説明

電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置、および、電圧駆動型スイッチング制御方法

【課題】並列接続した複数の電圧駆動型素子の特性にばらつきがあっても、熱破壊を回避可能な電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置および電圧駆動型スイッチング制御方法を提供する。
【解決手段】半導体モジュール10を構成する並列接続した複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)それぞれをPWM駆動する複数のゲート駆動部としてプッシュプル接続したPchMOSFET(Q4,Q6,Q8)、NchMOSFET(Q5,Q7,Q9)をゲート駆動回路11に備え、そのいずれか1乃至複数のゲート端子に順番にオンになる入力信号PWM1〜PWM3を入力することにより、対応するIGBT(Q1)〜(Q3)を順次切り替えて交互駆動することを可能とし、たとえば、IGBT(Q1)〜(Q3)のスイッチング損失が定常損失よりも大きい場合、前記交互駆動を行い、そうでない場合は、IGBT(Q1)〜(Q3)すべてを同時駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置、および、電圧駆動型スイッチング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
並列接続した複数の電圧駆動型素子を2つ直列に接続した直列回路を、相数に応じて、相数分、さらに並列に接続した構成を有する多相インバータ装置が一般に知られている。このような多相インバータ装置においては、並列接続した複数の電圧駆動型素子の配線インピーダンスにばらつきがあると、最小のインピーダンスになっている特定の電圧駆動型素子に電流が集中し、並列接続した複数の電圧駆動型素子のうちの特定の電圧駆動型素子が発熱して、熱破壊が生じる恐れがあった。
【0003】
このため、特許文献1に示す特開平7−7958号公報「電力変換装置」に記載されているように、並列接続した複数の電圧駆動型素子それぞれの電流経路のインピーダンスを均等にした半導体モジュールとして形成することにより、特定の電圧駆動型素子が熱破壊してしまう問題を回避するという手法が提案されている。すなわち、電流経路となる配線パターンを同一の形状とすることにより電圧駆動型素子それぞれに流れる電流を均一にして、電圧駆動型素子に発生する定常損失を均一に分散するようにして、電圧駆動型素子の定常損失を低減することを可能とし、もって、電圧駆動型素子の熱破壊を防止することにしている。
【0004】
この場合、半導体モジュールとして並列接続した複数の電圧駆動型素子すべてを制御周期ごとに同時にオン/オフするようにし、該半導体モジュールを一つの電圧駆動型のスイッチング素子として動作させて、多相インバータ装置として動作するようにしている。
【特許文献1】特開平7−7958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、次のような問題が存在している。
【0006】
複数の電圧駆動型素子が並列接続された半導体モジュールにおいて、各電圧駆動型素子間の回路上のインピーダンスを同一の値とすることにより、定常損失を低減し、電圧駆動型素子の熱破壊を防止するという手法が採用されているものの、定常損失のみに着目しているため、電圧駆動型素子の電力損失のもう一つの要因であるスイッチング損失についての配慮が全くなされていなく、熱破壊の防止が不完全であるという問題がある。
【0007】
すなわち、電圧駆動型素子のオン/オフ時におけるゲート閾値については、通常、半導体素子間のばらつき等によって異なってしまうものであり、ゲートのオン/オフ時におけるスイッチング損失を均一化させることが困難である。したがって、すべての電圧駆動型素子を同時にオンさせた場合、ゲート閾値が低い電圧駆動型素子に電流が集中して流れることになり、当該電圧駆動型素子のスイッチング損失が並列接続された他の素子よりも増大して、熱破壊を引き起こす可能性が依然として存在してしまう。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電圧駆動型素子の熱破壊を容易に回避可能な電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置、および、電圧駆動型スイッチング制御方法を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するために、並列接続した複数の電圧駆動型素子それぞれに対応した複数のゲート駆動部を備えることにより、スイッチング動作を制御する制御部の指示に基づいて、あらかじめ定めた制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか任意に選択された1乃至複数のゲート駆動部に対してPWM信号が入力されることにより、並列接続した複数の電圧駆動型素子のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子が駆動されるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置、および、電圧駆動型スイッチング制御方法によれば、並列接続した複数の電圧駆動型素子それぞれに対応した複数のゲート駆動部を備え、複数のゲート駆動部を独立に駆動することができるので、選択したいずれか1乃至複数の電圧駆動型素子ずつあらかじめ定めた制御周期ごとに順次切り替えて駆動する交互駆動を可能とし、もって、電圧駆動型素子の熱破壊を容易に回避可能な、信頼性が高いスイッチング動作を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明による電圧駆動型スイッチング回路、多相インバータ装置、および、電圧駆動型スイッチング制御方法の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の第1の実施形態について説明する。
【0013】
(本実施形態の構成)
最初に、図1を用いて、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成の一例を説明する。図1は、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成例として第1の実施形態の構成を示す回路図であり、電圧駆動型素子の一つであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を複数用いた半導体モジュール10とIGBTのゲート駆動回路11とからなる回路構成を示している。なお、本実施形態では、電圧駆動型素子として、IGBTを用いる場合を示しているが、本発明は、かかる場合のみに限るものではなく、例えば、MOS型パワートランジスタを用いて構成しても良い。
【0014】
半導体モジュール10は、電圧駆動型素子として複数(図1の例では、3個)のIGBT(Q1)〜(Q3)が並列接続されて構成されており、各IGBT(Q1)〜(Q3)それぞれのゲート端子(G1)〜(G3)は、ゲート駆動回路11に接続されている。
【0015】
ゲート駆動回路11は、複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)それぞれに対応して複数のゲート駆動部を備え、電圧駆動型素子IGBT(Q1)に対するゲート駆動部として、プッシュプル構成のPchMOSFET(Q4)とNchMOSFET(Q5)が、電圧駆動型素子IGBT(Q2)に対するゲート駆動部として、プッシュプル構成のPchMOSFET(Q6)とNchMOSFET(Q7)が、電圧駆動型素子IGBT(Q3)に対するゲート駆動部として、プッシュプル構成のPchMOSFET(Q8)とNchMOSFET(Q9)が、それぞれ配置されている。
【0016】
図1に示す当該電圧駆動型スイッチング回路のスイッチング動作を制御する制御部からの指示に基づいて、複数のゲート駆動部すなわちプッシュプル構成のPchMOSFET(Q4)、(Q6)、(Q8)とNchMOSFET(Q5)、(Q7)、(Q9)のうち、いずれか任意に選択された1乃至複数のゲート駆動部すなわちプッシュプル構成のPchMOSFETとNchMOSFETとに対してPWM信号が入力されることにより、並列接続した複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子IGBTが駆動される。
【0017】
ここで、IGBT(Q1)のゲート端子(G1)は、PchMOSFET(Q4)と抵抗R1とを介して電源電圧Vccに接続され、かつ、NchMOSFET(Q5)と抵抗R1とを介して基準電位Veeに接続されており、さらに、PchMOSFET(Q4)とNchMOSFET(Q5)とはプッシュプル構成とされている。同様に、IGBT(Q2)、IGBT(Q3)のそれぞれのゲート端子(G2)、ゲート端子(G3)は、PchMOSFET(Q6)と抵抗R2、PchMOSFET(Q8)と抵抗R3とをそれぞれ介して電源電圧Vccに接続され、かつ、NchMOSFET(Q7)と抵抗R2、NchMOSFET(Q9)と抵抗R3とをそれぞれ介して基準電位Veeに接続されており、さらに、PchMOSFET(Q6)とNchMOSFET(Q7)、PchMOSFET(Q8)とNchMOSFET(Q9)とは、それぞれプッシュプル構成とされている。
【0018】
なお、基準電位Veeは、IGBT(Q1)〜(Q3)から取り出して共通接続したエミッタ端子(E)と同電位であり、ゲート駆動回路11の基準電位となっている。
【0019】
さらに、PchMOSFET(Q4)のゲート端子は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)されたPWM信号を絶縁伝送するフォトカプラIC(I1)の出力端子に接続される。ここで、フォトカプラIC(I1)の出力端子は、抵抗R4を介して、電源Vccヘプルアップ接続されている。同様に、PchMOSFET(Q6)、PchMOSFET(Q8)のそれぞれのゲート端子は、フォトカプラIC(I2)、フォトカプラIC(I3)のそれぞれの出力端子に接続され、フォトカプラIC(I2)、フォトカプラIC(I3)のそれぞれの出力端子は、抵抗R5、抵抗R6をそれぞれ介して、電源Vccヘプルアップ接続されている。
【0020】
プッシュプル構成とされたPchMOSFET(Q4)とNchMOSFET(Q5)とのゲート端子は、フォトカプラIC(I1)を介して、入力信号端子1に接続され、PWM入力信号PWM1により、PchMOSFET(Q4)とNchMOSFET(Q5)とをオン/オフできるように構成されている。
【0021】
同様に、プッシュプル構成とされたPchMOSFET(Q6)とNchMOSFET(Q7)とのゲート端子、プッシュプル構成とされたPchMOSFET(Q8)とNchMOSFET(Q9)とのゲート端子は、それぞれ、フォトカプラIC(I2)、フォトカプラIC(I3)を介して、入力信号端子2、入力信号端子3にそれぞれ接続され、PWM入力信号PWM2、PWM入力信号PWM3により、PchMOSFET(Q6)とNchMOSFET(Q7)、PchMOSFET(Q8)とNchMOSFET(Q9)とをそれぞれオン/オフできるように構成されている。
【0022】
すなわち、図1に示す電圧駆動型スイッチング回路の構成例においては、あらかじめ定めた制御周期ごとに、並列接続した複数の電圧駆動素子のIGBT(Q1)〜(Q3)のうちいずれかを順次オン/オフさせるために、ゲート駆動回路11に対して外部から入力される入力信号PWM1〜PWM3を用いたPWM駆動により、ゲート駆動回路11のPchMOSFET(Q4)、(Q6)、(Q8)とNchMOSFET(Q5)、(Q7)、(Q9)とのプッシュプル回路のうちいずれかを順次オン/オフさせて、半導体モジュール10を形成している電圧駆動素子のIGBT(Q1)〜(Q3)のいずれかを順次切り替えてオン/オフさせるように構成している。
【0023】
ここで、ゲート駆動回路11に対して外部に設置したPWM生成回路12から入力される入力信号PWM1〜PWM3は、詳細は後述するが、あらかじめ定めた制御周期ごとに、電圧駆動素子のIGBT(Q1)〜(Q3)のいずれか1つを順番に切り替えて駆動する交互駆動用の信号である。
【0024】
(本実施形態の動作)
次に、図1の電圧駆動型スイッチング回路の構成例における動作について説明する。
【0025】
まず、図1の構成例に示す電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)群(すなわち、電圧駆動型スイッチング回路として、ゲート駆動回路11を介したPWM駆動によりオン/オフスイッチングさせる並列接続のIGBT(Q1)〜(Q3)を有する半導体モジュール10)を、2個直列接続した直列回路を形成し、さらに、該直列回路を相数分並列接続した並列回路を少なくとも備えた多相インバータ装置によって電動機を運転した場合のIGBTにおける電力損失について説明する。
【0026】
一般に、IGBTのトータルの電力損失は、前述したように、定常損失のみではなく、スイッチング損失と定常損失との和で表される。ここで、多相インバータ装置の相数として3相の場合の3相インバータ装置において、1素子当たりのスイッチング損失(Psw)ならびに定常損失(Psat)は、それぞれ、次に示すような式(1)ならびに式(2)で表される。なお、ここでは、3相インバータ装置を構成する各IGBTが1素子ずつで構成されている場合を示している。
【0027】
Psw =(1/π)×Esw×fc …(1)
Psat=Icp×Vce×{1/8+(D×cosθ/3/π)}…(2)
ここで、各パラメータの意味するところは、次の通りである。
【0028】
Esw :スイッチング1パルス当たりの損失
fc :PWM駆動周波数(キャリア周波数)
Icp :IGBTコレクタ電流ピーク値
Vce :IGBTコレクタ電圧
Vce=Vce1(Vce at Icp)×sinx (x:位相)
D :変調率
cosθ:力率
式(1)、式(2)に示すように、スイッチング損失(Psw)は、PWM駆動周波数fc(以下、キャリア周波数と称することもある)に比例し、一方、定常損失(Psat)は、コレクタ電流値(コレクタ電流ピーク値Icp)に比例している。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態における動作の一例を示すタイムチャートであり、図1の電圧駆動型スイッチング回路すなわち半導体モジュール10とゲート駆動回路11との構成例において、入力信号PWM1〜PWM3をあらかじめ定めた制御周期ごとに順番にオン/オフさせた場合の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のコレクタ電流波形を示している。
【0030】
図2に示すように、あらかじめ定めた制御周期ごとに、入力信号PWM1〜PWM3をあらかじめ定めた順番にオンさせる交互駆動をすることにより、対応するIGBT(Q1)〜(Q3)が順次オンにスイッチングされていき、オンに切り替わったIGBTにのみコレクタ電流が流れる。すなわち、図1の半導体モジュール10へ流れ込むコレクタ電流Icは、並列接続されたIGBT(Q1)〜(Q3)のうち、各制御周期内で順番に切り替わってオンになっていくいずれか1つのIGBTのみにすべて通電されることになる。
【0031】
而して、制御周期に応じて順番にスイッチングされるIGBTが切り替わることにより、並列接続されたIGBT(Q1)〜(Q3)のそれぞれに均等にスイッチング損失が分配されることになり、いずれか特定のIGBTにのみスイッチング損失が増大して熱破壊を引き起こすような事態を防止することができる。
【0032】
これに対して、従来の技術のように、IGBT(Q1)〜(Q3)すなわち半導体モジュール10の発熱を抑制するために、並列接続したIGBT(Q1)〜(Q3)すべてを同時にオン/オフし、コレクタ電流IcをIGBT(Q1)〜(Q3)それぞれに均等に電流負担するように動作させている場合は、前述したように、IGBT(Q1)〜(Q3)のゲート閾値のばらつき等の原因によって、特定のIGBTのみに電流負担が増加して、その結果、特定IGBTのスイッチング損失が増大してしまって、熱破壊を引き起こしてしまう危険性がある。
【0033】
一方、本実施形態の場合、前述のように、制御周期ごとに順番にオンになるPWM1〜PWM3により交互駆動してIGBT(Q1)〜(Q3)を順次切り替えてオンにスイッチングしていくことにより、特定のIGBTにのみスイッチング損失が増大して熱破壊を引き起こすような事態を確実に防止することができる。
【0034】
しかしながら、図2のように半導体モジュール10へ流れ込むコレクタ電流Icを制御周期ごとに1つのIGBTにすべて通電するようにしているため、通電されるIGBTのコレクタ電流は、制御周期ごとに複数のIGBTすべてを同時にオン/オフさせた場合に比べて、大きくなり、その結果、式(2)に示すように、定常損失(Psat)が大きくなってしまう。
【0035】
このため、図2のように、制御周期ごとにIGBT(Q1)〜(Q3)を交互にスイッチングさせていく場合の条件を特定することも重要である。
【0036】
たとえば、IGBTの電力損失において、定常損失(Psat)に比しスイッチング損失(Psw)が支配的になっている場合であって、かつ、IGBTの電力損失が増大して、熱破壊を引き起こすような条件が成立する場合にのみ、前述したように、制御周期ごとにIGBT(Q1)〜(Q3)を交互にスイッチングさせて順番にオンさせる交互駆動を行うようにしてもよい。一方、かかる条件が成立しないそれ以外の条件の場合においては、制御周期ごとにIGBT(Q1)〜(Q3)すべてを同時にスイッチングさせてオン/オフさせる同時駆動を行うように動作させる。このような制御を行うことにより、IGBTの総合的な電力損失を抑制し、多相インバータ装置の安定的な運用を可能とし得る。
【0037】
図1に示すように、複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)それぞれに対応して複数のゲート駆動部すなわちプッシュプル構成のPchMOSFET(Q4)、(Q6)、(Q8)とNchMOSFET(Q5)、(Q7)、(Q9)を備えた電圧駆動型スイッチング回路において、当該電圧駆動型スイッチング回路のスイッチング動作を制御する制御部は、複数のゲート駆動部すなわちプッシュプル構成のPchMOSFET(Q4)、(Q6)、(Q8)とNchMOSFET(Q5)、(Q7)、(Q9)のうちいずれか任意に選択した1乃至複数のゲート駆動部に対してPWM信号を入力するように指示することにより、並列接続した複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のうち対応する任意の1乃至複数の電圧駆動型素子IGBTを駆動することができる。
【0038】
かくのごとく、当該電圧駆動型スイッチング回路のスイッチング動作を制御する制御部は、並列接続した複数の電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のうちいずれか1乃至複数を選択して駆動することができるので、前述したような特定の条件を設定することによって、電圧駆動型スイッチング回路の交互動作と同時動作との動作を制御することも可能であり、以下に、該制御部が、特定の条件としてあらかじめ設定された条件に基づいて、交互駆動と同時駆動とを切り替えて制御する場合の動作の一例を、図3および図4の動作フローチャートを用いて以下に説明する。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施形態における動作の一例を説明するための動作フローチャートであり、電動機を所望した任意の動作状態に制御するために、前述したような特定の条件として、スイッチング損失(Psw)と定常損失(Psat)とを比較することにより、多相インバータ装置を構成する電圧駆動型素子すなわちIGBTの駆動方法を制御し、IGBTからの出力電流を制御している一例を示している。
【0040】
図3において、任意の時点で、多相インバータ装置に対して所望した所定の出力電流すなわち電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)からの出力電流となるように、制御指令として、電流指令値(Ia)が入力された場合、スイッチング制御を司る制御部は、まず、入力された該電流指令値(Ia)における電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のスイッチング損失(Psw)と定常損失(Psat)とを比較する(ステップS1)。
【0041】
スイッチング損失(Psw)が定常損失(Psat)よりも大きければ(ステップS1のYES)、ステップS2へ分岐して、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡が発生しないように、制御周期ごとに一つのIGBTのみを順番に駆動させていくようなIGBT交互駆動を行う(ステップS2)。
【0042】
一方、スイッチング損失(Psw)が定常損失(Psat)よりも大きくない場合には(ステップS1のNO)、ステップS3へ分岐して、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡を防止することよりも、IGBT(Q1)〜(Q3)間にコレクタ電流を均等に分配することにより、IGBT(Q1)〜(Q3)の定常損失(Psat)の負担を低減させ、もって、IGBT(Q1)〜(Q3)の総合的な電力損失を低滅するために、IGBT(Q1)〜(Q3)すべてを制御周期ごとに同時に駆動させるIGBT同時駆動を行う(ステップS3)。
【0043】
かかる動作を行うことにより、電圧駆動型スイッチング回路として、電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のトータルの電力損失を低減し、熱破壊を引き起こすことなく、安定した動作を行わせることができる。
【0044】
次に、図4の動作フローチャートについて説明する。
【0045】
図4も、また、図3と同様に、電動機を所望した任意の動作状態に制御するために、前述したような特定の条件によって多相インバータ装置を構成する電圧駆動型素子すなわちIGBTの駆動方法を制御し、IGBTからの出力電流を制御している例を示しているフローチャートであるが、前述の図3とは異なる例を説明している。
【0046】
図4において、任意の時点で、所望した所定のインバータ出力電流すなわち電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)からの出力電流となるように、制御指令として、電流指令値(Ia)が入力された場合、スイッチング制御を司る制御部は、まず、入力された電流指令値(Ia)と、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡が顕著となるコレクタ電流値(Ic1)に対応する電流指令値としてあらかじめ設定されている所定電流指令値(Ia1)すなわち不均衡発生電流値と、を比較する(ステップS11)。
【0047】
所定電流指令値(Ia1)よりも入力された電流指令値(Ia)が大きければ(ステップS11のYES)、ステップS12へ分岐して、次に、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡が顕著になっている場合において、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)が定常損失(Psat)に比べて支配的であるか否かを判定するために、スイッチング損失(Psw)と比例的な関係が成立するキャリア周波数(PWM駆動周波数:fc)を、所定キャリア周波数(fc1)、すなわち、スイッチング損失(Psw)が定常損失(Psat)に比べて支配的となる周波数としてあらかじめ設定されている閾値周波数と比較する(ステップS12)。
【0048】
ここに、所定キャリア周波数(fc1)とは、前述のごとく、スイッチング損失(Psw)と比例的な関係にあるキャリア周波数(fc)を用いて、電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)のスイッチング損失(Psw)が電圧駆動型素子IGBT(Q1)〜(Q3)の電力損失として支配的になる最低限のキャリア周波数(PWM駆動周波数)の値を、閾値周波数としてあらかじめ設定されているものである。
【0049】
キャリア周波数fcが、所定キャリア周波数(fc1)よりも大きければ(ステップS12のYES)、ステップS13に分岐して、IGBT(Q1)〜(Q3)のスイッチング損失(Psw)が定常損失(Psat)に比べて支配的になっている状態において、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡がさらに顕著にならないように、制御周期ごとに一つのIGBTのみを順番に駆動させていくようなIGBT交互駆動を行う(ステップS13)。
【0050】
一方、入力された電流指令値(Ia)が所定電流指令値(Ia1)よりも大きくない場合(ステップS11のNO)、あるいは、キャリア周波数fcが所定キャリア周波数(fc1)よりも大きくない場合には(ステップS12のNO)、ステップS14へ分岐して、IGBT(Q1)〜(Q3)間のスイッチング損失(Psw)の不均衡を防止することよりも、IGBT(Q1)〜(Q3)間にコレクタ電流を均等に分配することにより、IGBT(Q1)〜(Q3)の定常損失(Psat)の負担を低減させ、もって、IGBT(Q1)〜(Q3)の総合的な電力損失を低滅するために、IGBT(Q1)〜(Q3)すべてを制御周期ごとに同時に駆動させるIGBT同時駆動を行う(ステップS14)。
【0051】
図3や図4の動作フローチャートに示すような特定の条件を用いて、IGBT交互駆動とIGBT同時駆動とを切り替えることにより、IGBTの電力損失の不均衡による熱破壊等を回避しながら、多相インバータ装置の安定的な運用が可能となる。
【0052】
次に、電圧駆動型スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御部において、IGBT交互駆動とIGBT同時駆動とを切り替えて選択するための特定の条件として、図3と図4との場合と異なり、IGBT固有の特性を用いて選択する方法について説明する。図5は、IGBT固有の特性として、IGBTのコレクタ電流(Ic)とコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)との関係を示したI−V特性図である。図5において、実線は、IGBT温度が常温の場合のI−V特性を示す曲線であり、破線は、IGBT温度が常温よりも高い場合のI−V特性を示す曲線である。
【0053】
図5に示すように、IGBT固有の温度特性として、IGBT温度が常温時におけるI−V特性曲線と常温よりも高い高温時におけるI−V特性曲線とが互いにクロスする点Aが存在している。
【0054】
以下、図1に示すように複数並列接続したIGBT(Q1)〜(Q3)を例に、図5中のクロス点Aを境にして、IGBTの電力損失が異なる様相を示す状況について説明する。ここで、クロス点Aにおけるコレクタ電流の値をクロス点コレクタ電流値(IcA)と表現することにする。さらに言えば、常温時と該常温よりも高い高温時とで、同一のコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)において同一値のコレクタ電流が流れる場合におけるコレクタ電流値(IcA)を閾値電流として定義する。
【0055】
すなわち、コレクタ電流(Ic)が閾値電流として定義したクロス点コレクタ電流値(IcA)未満の場合、同一のコレクタ電流(Ic)が流れる場合のコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)が、常温時よりも高温時の方が小さい値となり、逆に、コレクタ電流(Ic)が閾値電流として定義したクロス点コレクタ電流値(IcA)以上の場合、同一のコレクタ電流(Ic)が流れる場合のコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)が、常温時よりも高温時の方が大きい値となる。
【0056】
次に、図1に示すような複数並列接続したIGBT(Q1)〜(Q3)すべてを同時に駆動する同時駆動の場合について考える。
【0057】
ここで、各IGBT(Q1)〜(Q3)のゲート閾値が異なっているような場合、前述のように、スイッチングの際の電流に不均衡が生じるため、特定のIGBTのスイッチング損失(Psw)のみが増大することになる。この結果、IGBTのスイッチング損失(Psw)の不均衡が顕著となったIGBTは、スイッチング損失による発熱量が多くなる。
【0058】
而して、IGBTのコレクタ電流(Ic)が、図5のクロス点Aにおけるクロス点コレクタ電流値(IcA)未満であった場合には、IGBTのI−V温度特性上、発熱量が大きく、常温よりも高温になったIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)は、小さくなる方向にシフトしようとする(図5参照)。
【0059】
このため、発熱量が大きいIGBTへの通電電流が一層大きくなるので、定常損失(Psat)が増大し、IGBT間の損失の不均衡をますます増大させる方向になってしまう。したがって、IGBTのコレクタ電流(Ic)が、クロス点コレクタ電流値(IcA)未満になっている場合には、図1のような複数並列接続したIGBT(Q1)〜(Q3)の回路では、複数のIGBT(Q1)〜(Q3)を制御周期ごとに順番にスイッチングさせるIGBT交互駆動を採用して、スイッチング損失(Psw)の不均衡を低減させることが有効となる。
【0060】
一方、IGBTのコレクタ電流が、図5のクロス点Aにおけるクロス点コレクタ電流値(IcA)以上であった場合には、IGBTのI−V温度特性上、スイッチング損失(Psw)が増大して発熱量が多くなり、常温よりも高温になったIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)は、大きくなる方向にシフトしようとする(図5参照)。
【0061】
このため、発熱量が大きいIGBTへの通電電流は小さくなるので、定常損失(Psat)を低減させて、IGBT間の損失の不均衡を減少させる方向になる。したがって、IGBTのコレクタ電流(Ic)が、クロス点コレクタ電流値(IcA)以上になっている場合には、図1のような複数並列接続したIGBT(Q1)〜(Q3)の回路では、複数のIGBT(Q1)〜(Q3)を制御周期ごとに同時に動作させるIGBT同時駆動を採用することにより、スイッチング損失(Psw)の不均衡を低減させることはできないものの、定常損失(Psat)を低減するように振舞うことが可能になる。特に、定常損失(Psat)がスイッチング損失(Psw)に比して支配的になっている状態の場合に効果的である。
【0062】
以上、図5に基づいて説明したように、スイッチング制御を司る制御部は、IGBTのI−V温度特性上、I−V特性曲線が常温時と高温時とで交差するというIGBT固有の特性を用いて、所望の指定したIGBTのコレクタ電流(Ic)として、コレクタ・エミッタ間電圧(Vce)が交差するクロス点コレクタ電流値(IcA)未満で動作しているか否かに基づいて、IGBT交互駆動を行うか、IGBT同時駆動を行うかを選択することが有効である。
【0063】
以上の第1の実施形態の説明においては、並列接続した複数のIGBT(Q1)〜(Q3)として3個の場合について交互駆動を行う場合について説明したが、並列接続した電力駆動型素子たとえばIGBTが2個以上の任意の個数からなる複数個で構成されていてもかまわないし、また、前記交互駆動を行う場合として、制御周期ごとに順番に駆動するIGBTの個数を1個にした場合に限って説明したが、並列接続した複数の電圧駆動型素子を1乃至複数個ずつにグループ化して、1乃至複数個のいずれかの電圧駆動型素子のグループを制御周期ごとに順番に選択して駆動するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の第2の実施形態について説明する。
【0064】
(本実施形態の構成)
まず、図6を用いて、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成の図1とは異なる例を説明する。図6は、本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成例として第2の実施形態の構成を示す回路図であり、図1と同様、電圧駆動型素子の一つであるIGBTを複数用いた半導体モジュール20とIGBTのゲート駆動回路21との2つのブロックからなっている。しかし、図6の構成は、図1の場合とは異なり、ゲート駆動回路21に入力された1つのPWM信号から、第1の実施形態として図1や図2で説明したような交互駆動用のPWM信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)を生成することを特徴としている。
【0065】
半導体モジュール20は、複数(図6の例では、図1と同様、3個)のIGBT(Q11)〜(Q13)が並列接続されて構成されており、各IGBT(Q11)〜(Q13)それぞれのゲート端子(G11)〜(G13)は、ゲート駆動回路21に接続されている。
【0066】
IGBT(Q11)のゲート端子(G11)は、図1と同様、PchMOSFET(Q14)と抵抗R11とを介して電源電圧Vccに接続され、かつ、NchMOSFET(Q15)と抵抗R11とを介して基準電位Veeに接続されており、さらに、PchMOSFET(Q14)とNchMOSFET(Q15)とはプッシュプル構成とされている。同様に、IGBT(Q12)、IGBT(Q13)のそれぞれのゲート端子(G12)、ゲート端子(G13)は、PchMOSFET(Q16)と抵抗R12、PchMOSFET(Q18)と抵抗R13とをそれぞれ介して電源電圧Vccに接続され、かつ、NchMOSFET(Q17)と抵抗R12、NchMOSFET(Q19)と抵抗R13とをそれぞれ介して基準電位Veeに接続されており、さらに、PchMOSFET(Q16)とNchMOSFET(Q17)、PchMOSFET(Q18)とNchMOSFET(Q19)とは、それぞれプッシュプル構成とされている。
【0067】
ここで、基準電位Veeは、IGBT(Q11)〜(Q13)から取り出して共通接続したエミッタ端子(E)と同電位であり、ゲート駆動回路21の基準電位となっている。
【0068】
以上の構成までは、図1の場合と全く同様であるが、以降に説明する回路構成は、入力された1つのPWM信号からIGBT交互駆動用のPWM_A,PWM_B,PWM_Cの3つのPWM信号を生成する回路ブロックであり、図1の場合とは異なる構成からなっている。まず、PchMOSFET(Q14)のゲート端子は、スリーステートNOT素子(I13)の出力端子に接続されている。また、同様に、PchMOSFET(Q16)、PchMOSFET(Q18)のゲート端子は、それぞれ、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)の出力端子に接続されている。
【0069】
ここで、スリーステートNOT素子(I13)の制御端子(S1)、スリーステートNOT素子(I14)の制御端子(S2)、スリーステートNOT素子(I15)の制御端子(S3)には、いずれも、NOT素子(I30)を介したフォトカプラ(I12)の出力端子が接続されている。制御端子(S1)、制御端子(S2)、制御端子(S3)へのそれぞれの入力がHiレベルの場合には、スリーステートNOT素子(I13)、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)の出力がそれぞれ許可され、逆に、Loレベルの場合は、出力禁止すなわちハイインピーダンス(HiZ)の状態になる。
【0070】
ここで、スリーステートNOT素子(I13)、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)の出力が許可された場合、それぞれ、スリーステートNOT素子(I13)、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)へ入力された信号レベルが反転されて出力される。
【0071】
なお、スリーステートNOT素子(I13)の制御端子(S1)、スリーステートNOT素子(I14)の制御端子(S2)、スリーステートNOT素子(I15)の制御端子(S3)のそれぞれに、NOT素子(I30)を介して出力するフォトカプラ(I12)には、SELECT信号として、IGBT(Q11)〜(Q13)のそれぞれを交互駆動するか、または、同時駆動するかのいずれかを選択する制御信号が入力される。また、フォトカプラ(I12)の出力端子は抵抗R14を介して電源Vccヘプルアップ接続されている。
【0072】
また、1つの入力信号としてPWM信号を入力するための信号入力端子は、フォトカプラ(I11)およびスリーステートNOT素子(I29)を介して、それぞれ、プッシュプル構成されたPchMOSFET(Q14)とNchMOSFET(Q15)、PchMOSFET(Q16)とNchMOSFET(Q17)、PchMOSFET(Q18)とNchMOSFET(Q19)の各ゲート端子へそれぞれ接続される。
【0073】
かかる回路構成とすることにより、フォトカプラ(I11)に入力されるPWM信号のオン/オフに応じて、PchMOSFET(Q14)とNchMOSFET(Q15)、PchMOSFET(Q16)とNchMOSFET(Q17)、PchMOSFET(Q18)とNchMOSFET(Q19)をそれぞれオン/オフできるように構成されている。
【0074】
ここで、スリーステートNOT素子(I29)の制御端子(S4)には、SELECT信号として入力されたフォトカプラ(I12)から出力されてくる制御信号が入力される。
【0075】
次に、フォトカプラ(I11)に入力された1つのPWM信号から、IGBT(Q11)〜(Q13)を交互駆動するために必要な3つの駆動信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)を生成するためのPWM生成回路22について説明する。
【0076】
PWM生成回路22は、フォトカプラ(I11)に入力されたPWM信号をクロック信号(CLK)としてカウントするカウンタ部23と、論理生成部24とから構成される。
【0077】
カウンタ部23は、2つのフリップフロップ(I16)、(I17)が直列に接続されてなる。PWM信号が入力されるフォトカプラ(I11)の出力端子は、フリップフロップ(I16)、(I17)それぞれにクロック信号(CLK)として入力されるPWM信号の間に時間差が生じるように、フリップフロップ(I17)のクロック端子には、フォトカプラ(I11)の出力端子が直接接続され、一方、フリップフロップ(I16)のクロック端子には、フォトカプラ(I11)の出力端子が遅延素子として機能するNOT素子(I18)、(I19)を介して接続される。
【0078】
フリップフロップ(I16)、(I17)のそれぞれの出力端子(DOUT1)、(DOUT2)は、NOR素子(I20)の入力端子へ接続され、NOR素子(I20)の出力端子は、フリップフロップ(I16)の入力端子(DIN1)へ接続される。
【0079】
一方、論理生成部24は、カウンタ部23のフリップフロップ(I16)、(I17)からの出力信号と、フォトカプラ(I11)を介して出力されるPWM信号とを用いて、あらかじめ定めた制御周期に、順番にオンになる3つのPWM信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)を生成する。
【0080】
すなわち、論理生成部24において、カウンタ部23のフリップフロップ(I16)、(I17)のそれぞれの出力端子(DOUTl)、(DOUT2)は、NAND素子(I22)とNOT素子(I25)とAND素子(I27)との入力端子、NAND素子(I22)とAND素子(I24)とNOT素子(I28)との入力端子へそれぞれ接続される。NOT素子(I25)、NOT素子(I28)のそれぞれの出力端子は、AND素子(I24)、AND素子(I27)の入力端子へ接続される。
【0081】
また、NAND素子(I22)、AND素子(I24)、AND素子(I27)のそれぞれの出力端子は、AND素子(I21)、AND素子(I23)、AND素子(I26)の入力端子へ接続される。AND素子(I21)、AND素子(I23)、AND素子(I26)のもう一方の入力端子には、PWM信号が入力されるフォトカプラ(I11)の出力端子が接続される。
【0082】
AND素子(I21)、AND素子(I23)、AND素子(I26)の出力端子は、スリーステートNOT素子(I13)、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)の入力端子へ接続される。
【0083】
この結果、AND素子(I21)、AND素子(I23)、AND素子(I26)の出力端子からそれぞれ出力された、交互駆動用の3つのPWM信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)が、それぞれスリーステートNOT素子(I13)、スリーステートNOT素子(I14)、スリーステートNOT素子(I15)に入力されることになる。
【0084】
(本実施形態の動作)
次に、図6の電圧駆動型スイッチング回路すなわち電圧駆動型素子のゲート駆動回路の構成例における動作の一例について図7を用いて説明する。
【0085】
図7は、本発明の第2の実施形態における動作の一例を示すタイムチャートであり、図6の構成例におけるIGBT交互駆動動作およびIGBT同時駆動動作を示すものである。図7に示すように、SELECT信号がHiレベルにある限り、論理生成部24において、カウンタ部23の2つのフリップフロップ(I16)、(I17)によってカウントされたカウンタ値である(DOUTl)、(DOUT2)の出力を用いて、入力された1つのPWM信号から順次切り替わって出力される交互駆動用の3つのPWM信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)が生成されて、制御周期ごとに、IGBT(Q11)〜(Q13)のうち、いずれか1つのIGBTが順番にオン状態にスイッチングされる。この結果、オン状態のIGBTのみに半導体モジュール20のコレクタ電流が集中して流れるというIGBT交互駆動動作が行われ、スイッチング損失(Psw)の不均衡を回避する動作が有効になる。
【0086】
一方、SELECT信号の電圧レベルがHiレベルからLoレベルに切り替わると、論理生成部24において、IGBT交互駆動からIGBT同時駆動動作に切り替わり、論理生成部24において、制御周期ごとに、入力された1つのPWM信号から同時駆動用の3つのPWM信号(PWM_A,PWM_B,PWM_C)がすべて同時に生成されて、IGBT(Q11)〜(Q13)すべてが同時にオンにスイッチングされるようになる。この結果、半導体モジュール20のコレクタ電流がIGBT(Q11)〜(Q13)の3つに均等に分散されて流れるというIGBT同時駆動動作に切り替わり、IGBT(Q11)〜(Q13)の定常損失(Psat)を低減することができる。
【0087】
かくのごとき動作を利用した本電圧駆動型スイッチング回路の作用効果については、第1の実施形態で説明した内容と全く同じであるので、ここでのこれ以上の説明は省略する。
以上、第1の実施形態や第2の実施形態として詳細に説明したように、本発明においては、熱破壊を回避可能な安定した動作を行う、電圧駆動型スイッチング回路(すなわち、並列接続した複数の電圧駆動型素子群を有する半導体モジュールおよびそれぞれの電圧駆動型素子を駆動するためのゲート駆動回路)を実現することができる。
【0088】
さらに、第1の実施形態や第2の実施形態において説明したような電圧駆動型スイッチング回路を多相インバータ装置に適用することにより、信頼性が高い安定なインバータ装置を実現することができ、車載電動機用の多相インバータ装置としても、十分利用することができる。
【0089】
すなわち、多相インバータ装置として、並列接続した複数の電圧駆動型素子と複数の前記電圧駆動型素子それぞれをPWM駆動する複数のゲート駆動回路とを備えた電圧駆動型スイッチング回路を、2個直列接続して直列回路を形成し、さらに、前記直列回路を、相数に応じて、相数分並列接続した並列回路を少なくとも備えて構成する場合、多相インバータ装置に適用する前記電圧駆動型スイッチング回路を、第1の実施形態や第2の実施形態において説明したいずれかの電圧駆動型スイッチング回路によって構成することにより、熱破壊を回避可能な安定した多相インバータ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成例として第1の実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における動作の一例を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態における動作の一例を説明するための動作フローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における動作の図3とは異なる例を説明するための動作フローチャートである。
【図5】IGBTのコレクタ電流(Ic)とコレクタ・エミッタ間電圧(Vce)との関係を示したI−V特性図である。
【図6】本発明による電圧駆動型スイッチング回路の構成例として第2の実施形態の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における動作の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10,20…半導体モジュール、11,21…ゲート駆動回路、12,22…PWM生成回路、23…カウンタ部、24…論理生成部、G1,G2,G3,G11,G12,G13…ゲート端子(IGBT)、I1,I2,I3,I11,I12…フォトカプラIC、I13,I14,I15…スリーステートNOT素子、I16,I17…フリップフロップ、I18,I19…NOT素子、I20…NOR素子、I21…AND素子、I22…NAND素子、I23…AND素子、I25…NOT素子、I26,I27…AND素子、I28…NOT素子、I29…スリーステートNOT素子、I30…NOT素子、Q1,Q2,Q3…IGBT、Q4,Q6,Q8…PchMOSFET、Q5,Q7,Q9…NchMOSFET、Q11,Q12,Q13…IGBT、Q14,Q16,Q18…PchMOSFET、Q15,Q17,Q19…NchMOSFET、Vcc…電源電圧、Vee…基準電位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続した複数の電圧駆動型素子と複数の前記電圧駆動型素子をPWM駆動するゲート駆動回路とを備えた電圧駆動型スイッチング回路において、前記ゲート駆動回路が、複数の前記電圧駆動型素子それぞれに対応して複数のゲート駆動部を備え、あらかじめ定めた制御周期ごとに、当該電圧駆動型スイッチング回路のスイッチング動作を制御する制御部の指示に基づいて複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか任意に選択された1乃至複数のゲート駆動部に対してPWM信号が入力されることにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子が駆動されることを特徴とする電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項2】
並列接続した複数の前記電圧駆動型素子が、IGBTからなっていることを特徴とする請求項1に記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項3】
前記制御部の指示に基づいて、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して前記PWM信号が入力されることにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動される交互駆動が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項4】
前記制御部により、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子の出力電流の値を指定する電流指令値の電流が流れたときに、前記電圧駆動型素子におけるスイッチング損失が定常損失よりも大きいと判断された場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して前記PWM信号が入力されることにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動される交互駆動が行われ、一方、前記スイッチング損失が前記定常損失よりも大きくないと判断された場合は、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号が同時に入力されることにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてが同時に駆動される同時駆動が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項5】
前記制御部により、複数の前記電圧駆動型素子の出力電流の値を指定する電流指令値が、複数の前記電圧駆動型素子間のスイッチング損失の不均等が顕著になる出力電流としてあらかじめ設定された不均衡発生電流値よりも大きく、かつ、前記制御周期を示すPWM駆動周波数が、スイッチング損失が定常損失に比べて支配的となる周波数としてあらかじめ設定された閾値周波数よりも大きいと判断された場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して前記PWM信号が入力されることにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動される交互駆動が行われ、一方、前記電流指令値が、前記不均衡発生電流値よりも大きくないと判断された場合、あるいは、前記PWM駆動周波数が、前記閾値周波数よりも大きくないと判断された場合、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号が同時に入力されることにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてが同時に駆動される同時駆動が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項6】
前記制御部により、前記電圧駆動型素子を形成するIGBTのコレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧との温度特性について、常温時と該常温よりも高い高温時とで、同一のコレクタ・エミッタ間電圧において同一値のコレクタ電流となる場合におけるコレクタ電流値を閾値電流として、前記IGBTのコレクタ電流が前記閾値電流よりも小さいと判断された場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して前記PWM信号が入力されることにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動される交互駆動が行われ、一方、前記IGBTのコレクタ電流が前記閾値電流よりも小さくないと判断された場合、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号が同時に入力されることにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてが同時に駆動される同時駆動が行われることを特徴とする請求項2に記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項7】
複数の前記PWM信号が、複数の前記ゲート駆動部が含まれる前記ゲート駆動回路の外部から入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項8】
あらかじめ定めた前記制御周期ごとに入力される1つのPWM信号から、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して前記制御周期ごとに入力される複数の前記PWM信号を生成するPWM生成回路を前記ゲート駆動回路に内蔵し、当該電圧駆動型スイッチング回路のスイッチング動作を制御する前記制御部より、1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動の指示信号が受信された場合は、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択されたゲート駆動部に対して、前記制御周期ごとに入力される1つの前記PWM信号に基づいて前記ゲート駆動回路に内蔵の前記PWM生成回路によって生成された複数の前記PWM信号が順次入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項9】
並列接続した複数の前記電圧駆動型素子を半導体モジュールとして構成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電圧駆動型スイッチング回路。
【請求項10】
並列接続した複数の電圧駆動型素子と複数の前記電圧駆動型素子それぞれをPWM駆動する複数のゲート駆動部を有するゲート駆動回路とを備えた電圧駆動型スイッチング回路を、2個直列接続して直列回路を形成し、さらに、前記直列回路を相数分並列接続した並列回路を少なくとも備えた多相インバータ装置において、前記電圧駆動型スイッチング回路を、請求項1乃至9のいずれかに記載の電圧駆動型スイッチング回路によって構成することを特徴とする多相インバータ装置。
【請求項11】
並列接続した複数の電圧駆動型素子と複数の前記電圧駆動型素子をPWM駆動するゲート駆動回路とを備えた電圧駆動型スイッチング回路を制御する電圧駆動型スイッチング制御方法において、前記ゲート駆動回路として、複数の前記電圧駆動型素子それぞれに対応して複数のゲート駆動部を備えることにより、あらかじめ定めた制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか任意に選択した1乃至複数のゲート駆動部に対してPWM信号を入力することにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子を駆動することを特徴とする電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項12】
並列接続した複数の前記電圧駆動型素子が、IGBTからなっていることを特徴とする請求項11に記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項13】
複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して前記PWM信号を入力することにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子のうち対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項14】
並列接続した複数の前記電圧駆動型素子の出力電流の値を指定する電流指令値の電流が流れたときに、前記電圧駆動型素子におけるスイッチング損失が定常損失よりも大きい場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して前記PWM信号を入力することにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動を行い、一方、前記スイッチング損失が前記定常損失よりも大きくない場合は、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号を同時に入力することにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてを同時に駆動する同時駆動を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項15】
複数の前記電圧駆動型素子の出力電流の値を指定する電流指令値が、複数の前記電圧駆動型素子間のスイッチング損失の不均等が顕著になる出力電流としてあらかじめ設定された不均衡発生電流値よりも大きく、かつ、前記制御周期を示すPWM駆動周波数が、スイッチング損失が定常損失に比べて支配的となる周波数としてあらかじめ設定された閾値周波数よりも大きい場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して前記PWM信号を入力することにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動を行い、一方、前記電流指令値が、前記不均衡発生電流値よりも大きくない場合、あるいは、前記PWM駆動周波数が、前記閾値周波数よりも大きくない場合、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号を同時に入力することにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてを同時に駆動する同時駆動を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項16】
前記電圧駆動型素子を形成するIGBTのコレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧との温度特性について、常温時と該常温よりも高い高温時とで、同一のコレクタ・エミッタ間電圧において同一値のコレクタ電流となる場合におけるコレクタ電流値を閾値電流として、前記IGBTのコレクタ電流が前記閾値電流よりも小さい場合、あらかじめ定めた前記制御周期ごとに、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して前記PWM信号を入力することにより、対応する1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動を行い、一方、前記IGBTのコレクタ電流が前記閾値電流よりも小さくない場合、複数の前記ゲート駆動部すべてに対して前記PWM信号を同時に入力することにより、並列接続した複数の前記電圧駆動型素子すべてを同時に駆動する同時駆動を行うことを特徴とする請求項12に記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。
【請求項17】
あらかじめ定めた前記制御周期ごとに入力される1つのPWM信号から、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して前記制御周期ごとに入力される複数の前記PWM信号を生成するPWM生成回路を前記ゲート駆動回路にさらに内蔵している場合、1乃至複数の電圧駆動型素子ずつ順次切り替えて駆動する交互駆動の指示信号を行うことにより、複数の前記ゲート駆動部のうちいずれか1乃至複数のゲート駆動部ずつ順番に選択したゲート駆動部に対して、前記制御周期ごとに入力される1つの前記PWM信号に基づいて前記ゲート駆動回路に内蔵の前記PWM生成回路によって生成された複数の前記PWM信号を順次入力することを特徴とする請求項11乃至16のいずれかに記載の電圧駆動型スイッチング制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−74771(P2007−74771A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255979(P2005−255979)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】