電子アバランシェ・フォトダイオードによるデータ・エイジの補償
干渉計からの測定信号の条件付けを含む方法。条件付けは、1つまたは複数の条件パラメータ、すなわち、条件下測定信号に対する複数の値の測定、前記条件パラメータを示す1つまたは複数の値の供給、前記条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、前記条件下測定信号の各測定値のところの調整値の決定、前記調整値による前記測定信号の測定値の調整を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、長さまたは位置の変化を測定するための方法および装置に関し、特に、長さまたは位置の複数の測定間のデータ・エイジの違いまたは位置の不確かさの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年12月1日付けの「電子アバランシェ・フォトダイオードによるデータ・エイジの補償(DATA AGE COMPENSATION WITH AVALANCHE PHOTODIODE)」という名称の米国仮特許出願第60/741,415号の優先権を主張する。上記米国仮特許出願の全文は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
位置、長さ、距離または光学長の変化の測定に干渉計を使用することは周知である。例えば、1993年9月発行の「Measurement Science & Technology」第4巻、第9号、907〜926ページ掲載のN.Bobroffの「変位測定干渉計の最近の進歩(Recent advances in displacement measuring)」、および1987年8月25日付けの米国特許第4,688,940号を参照されたい。通常の変位測定干渉計システムは、周波数安定化光源、干渉計光学系、および測定用電子機器(measuring electronics)から構成される。干渉計光学系は、レーザ光線を基準経路および測定経路に分割し、次に、2つの経路から戻ってくる光を再結合して、その再結合した光をフォトダイオードに送り、それによってフォトダイオードは干渉信号を生成する。測定経路内の1つの波長の、基準経路に対する距離が変化すると、干渉信号内に360度の位相の変化が起こる。測定用電子機器は、位相の変化を測定し、蓄積し、その用途に対して位置出力を供給する。
【0004】
多くの用途において、測定ビームと参照ビームの周波数が異なるヘテロダイン干渉計を使用することが好ましい。異なる周波数は、例えば、レーザ・ゼーマン分裂、音響光学変調、または複屈折素子等を使用するレーザ内部により生成することができる。測定ビームおよび参照ビームは直角に偏光することができ、重畳している出口測定ビームおよび参照ビームを形成するために、偏光ビーム・スプリッタは、測定ビームおよび参照ビームを測定および基準対象物にそれぞれ向けることができ、反射した測定ビームおよび参照ビームを結合することができる。重畳している出口ビームは、後で偏光子を通過する出力ビームを形成する。偏光子は、混合ビームを形成するために、出口測定および参照ビームの偏光を混合する。測定および参照ビームは異なる周波数を有しているので、電気干渉信号は、出口測定および参照ビームの周波数間の差に等しいビート周波数を有する「ヘテロダイン」信号を含む。測定および基準経路の長さが、例えば、測定対象物を含むステージを並進することにより、相互に対して変化する場合には、測定したビート周波数は、2vnp/λに等しいドップラー・シフトを含む。この場合、vは測定および基準対象物の相対速度であり、λは測定および参照ビームの波長であり、nはそこを通して光ビームが伝搬する、例えば、空気または真空のような媒体の屈折率であり、pは基準および測定対象物へのパスの数である。測定対象物の相対位置の変化は、測定した干渉信号の位相の変化に対応する。この場合、2πの位相の変化は、λ/(np)の距離の変化Lに対応する。この場合、Lは測定対象物を含むステージへのおよびからの距離の変化のような往復の距離の変化である。
【0005】
また、ヘテロダイン干渉計は、分散タイプであってもよい。分散測定用途の場合には、
光路長の測定は、例えば、532nmおよび1064nmのような複数の波長で行われ、距離測定干渉計の測定経路内のガスの分散度を測定するために使用される。分散測定は、距離測定干渉計により測定した光路長を物理的な長さに変換するために使用することができる。このような変換は重要な場合がある。何故なら、測定した光路長の変化は、測定対象物への物理的距離が変化しない場合でも、測定アーム内のガスの乱れおよび/またはガスの平均密度の変化により生じる場合があるからである。外因性分散測定の他に、光路長の物理長への変換の場合には、ガスの固有値を知っておく必要がある。係数Γは、適当な固有値であり、分散干渉計で使用する波長に対するガスの逆分散能である。係数Γは、別々に測定するか、または発行されている文献から得ることができる。
【0006】
集積回路を製造するために使用するステップアンドスキャン・フォトリソグラフィ・ツールのような多くの干渉計の用途の場合には、高速で高分解能で運動の複数の軸を測定しなければならない。高度なフォトリソグラフィ・システムは、例えば、8つ以上の軸の測定を含んでいる場合がある。測定した対象物上のフィーチャのサイズが小さくなればなるほど、精度の要件は厳しくなる。高い精度で複数の動的干渉計の位置の測定の正確なタイミングを測定する精度の要求およびニーズが急速に増大しているので、現在の周知の方法および装置につきものの不確かさの種々の原因を低減し、最小限度まで低減するために多数の努力が行われてきた。
【0007】
動的複数軸測定の精度を完全なものにするために、各軸の同時測定が時間的な同じ瞬間を表すように、すべての測定は同じデータ・エイジを有するものでなければならない。データ・エイジは、干渉計の位置の変化が起きた時点から測定した位置を表すデータが出力された時間までの時間として定義される。多軸力学系においては、システムが、運動中のいくつかの異なる軸からの位置の値に依存している場合には、軸間のデータ・エイジの僅かな違いが、有意な測定誤差になる恐れがある。同様に、測定信号の位相の僅かなシフトが、有意な測定誤差になる恐れがある。
【特許文献1】米国特許第4,688,940号
【特許文献2】米国特許第6,597,459 B2号
【特許文献3】米国特許出願第10/226、591号
【特許文献4】米国特許出願第10/207,314号
【非特許文献1】1993年9月発行の「Measurement Science & Technology」第4巻、第9号、907〜926ページ掲載のN.Bobroffの「変位測定干渉計の最近の進歩(Recent advances in displacement measuring)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
固有の不確かさの2つの形は固定遅延および可変遅延と呼ばれる。固定遅延は、ケーブルの長さ、光路長、光電検出装置の遅延および干渉計システムの位相メータ・オフセットの違いによるものであり、一方、(信号周波数により変化する)回路遅延、すなわちグループ遅延は、可変遅延を引き起こす。これら遅延の影響により、干渉計で測定値のデータ・エイジに違いが生じる。すなわち、位置測定を表す事象と、位置データをユーザが入手することができる時間との間に時間のズレが起こる。1つまたは複数の遅延を調整してデータ・エイジを補償するのは通常不可能である。
【0009】
角度測定のような干渉計による距離測定の場合には、必要な情報を提供するために、2つ以上の軸を測定しなければならない。測定軸の数が増大すると、通常、より強力な光源、より多数の光源、またはより高感度の測定用電子機器が必要になる。コスト、スペースおよび熱の発散の折り合いのために、好適な解決方法は、多くの場合、測定信号を条件付けするためにより高感度の測定用電子機器となる。
【0010】
しかし、本発明者は、高感度の測定用電子機器を使用すると、複雑になり正確な測定ができなくなることに気が付いた。干渉計測定信号を検出し、条件付けするために電子アバランシェ・フォトダイオード(APD)を使用した場合にそのようなことが起こる。APDは、印加されるバイアス電圧依存性信号利得を供給することにより、測定信号を条件付けするために使用することができる。この信号利得は、そうでない場合には、例えば、前置増幅器(プリアンプ)ノイズにより制限されるシステムの信号対雑音比を改善することができる。バイアス電圧を変えることにより、必要に応じて適当な量の利得を変えることができる。複数軸システムの場合には、バイアス電圧を軸毎および時間の両方により変えることができる。
【0011】
同様に、APDバイアス電圧を変えると、通常、APDキャパシタンスが変化する。キャパシタンスがバイアスにより変化すると、バイアスにより位相シフトが起こり、バイアスによりグループ遅延が起こる。さらに、APD自身の応答速度も、バイアスにより変化し、追加のバイアスによる位相シフトを導入する。通常、これらのグループ遅延および位相シフトは、軸毎に変わる場合もあり、時間により変わる場合もあり、測定誤差が許容できないレベルになる。
【0012】
Frank C.Demarestの「データ・エイジの調整(DATA AGE ADJUSTMENTS)」という名称の米国特許第6,597,459 B2号(参照により全体を本明細書に組み込むものとする)は、干渉計からの測定信号内のデータ・エイジを補償するために使用する方法および装置を記載している。ある態様の場合、本発明は、条件付けにより導入された測定誤差を補償することにより測定信号の条件付けを行う(例えば、増幅するなど)ためにAPDを使用することができる方法および装置の改善を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、本発明の態様および特徴を要約する。
通常、ある態様において、本発明は、干渉計からの測定信号の条件付けを含む方法である。上記条件付けは1つまたは複数の条件パラメータ、すなわち、条件下測定信号の複数の値の測定、条件パラメータを示す1つまたは複数の値の供給、条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、条件下測定信号の各測定値での調整値の決定、調整値による測定信号の測定値の調整を特徴とする。
【0014】
この方法は、1つまたは複数の下記の特徴を含むことができる。
調整値は、条件付けによる測定誤差を補償するように決定することができる。
種々の実施形態の場合には、測定誤差は、データ・エイジ、グループ遅延、位相シフトまたは検出装置遅延を含んでいる場合がある。
【0015】
ある実施形態の場合には、測定信号の条件付けは、信号の可変増幅を含む。この場合、増幅は、条件パラメータにより異なる。
ある実施形態の場合には、可変増幅を電子アバランシェ・フォトダイオードにより行うことができる。
【0016】
ある実施形態の場合には、測定誤差は、増幅により導入された誤差を含んでいる場合がある。
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される。
【0017】
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数の数式により決定される。
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数の数式および1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される。
【0018】
他の態様の場合には、干渉計からの光学測定信号を検出し、光学測定信号を電気測定信号に変換し、1つまたは複数の条件パラメータに基づいて、電気測定信号を条件付けするように構成される受信機ユニットを含む装置が開示されている。この装置は、さらに、受信機ユニットと結合している電子処理ユニットを含む。この電子処理ユニットは、(i)条件付けした信号の複数の値を測定し、(ii)条件パラメータを示す1つまたは複数の値を受信し、(iii)条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、条件付けした信号の各測定値での調整値を決定し、(iv)調整値により測定信号の測定値を調整するように構成されている。
【0019】
装置は、1つまたは複数の下記の機能を含むことができる。
電子処理ユニットは、データ・エイジ調整装置を含むことができる。
電子処理ユニットは、さらに動的データ・エイジ・ユニットを含むことができる。
【0020】
調整値は、条件付けによる測定誤差を補償するように決定することができる。
受信機ユニットは、電子アバランシェ・フォトダイオードを含むことができる。
条件パラメータは、電子アバランシェ・フォトダイオードに印加するバイアス電圧を含むことができる。電子アバランシェ・フォトダイオードの1つまたは複数の電気的特性は、バイアス電圧により異なる。例えば、ある実施形態の場合には、電子アバランシェ・フォトダイオードのキャパシタンスは、バイアス電圧により異なる。ある実施形態の場合には、電子アバランシェ・フォトダイオードの電気的特性のバイアス依存性変化は、バイアス依存性測定誤差を導入する。
【0021】
受信機ユニットは、さらに、増幅回路を含むことができる。増幅回路の1つまたは複数の電気的特性は、バイアス電圧により異なる。ある実施形態の場合には、増幅回路の電気的特性のバイアス依存性変化は、バイアス依存性測定誤差を導入する。
【0022】
他の態様の場合、本発明は、各測定信号が、参照ビームおよび測定ビームの光路長の差に対応する、1つまたは複数の光学測定信号を生成するように構成されている干渉計、および上記装置を含む干渉計システム装置を特徴とする。
【0023】
干渉計は、ヘテロダイン・タイプのものであってもよい。
種々の実施形態の場合には、測定信号は、1つまたは複数の測定対象物の位置、1つまたは複数の角度変位、または1つまたは複数の測定対象物の光学的特性を特徴付けることができる。ある実施形態の場合には、光学的特性は、分散を含むことができる。
【0024】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上に集積回路を製造する時に使用するためのリソグラフィ・システムを特徴とする。このシステムは、ウェハを支持するためのステージ、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するための照明システム、画像形成した放射線に対してステージの位置を調整するための位置決めシステム、および干渉計が画像形成した放射線に対するウェハの位置を監視するように構成されている上記干渉計システムを含む。
【0025】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上で集積回路を製造する時に使用するためのリソグラフィ・システムを特徴とする。このシステムは、ウェハを支持するためのステージ、放射源、マスク、位置決めシステム、レンズ組立体および上記干渉計システムを含む照明システムを含む。動作中、放射源は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、マスクを通して放射線を向ける。位置決めシステムは、放射源からの放射線に対するマ
スクの位置を調整する。レンズ組立体は、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成する。干渉計は、放射源からの放射線に対するマスクの位置を監視する。
【0026】
他の態様の場合、本発明は、リソグラフィ・マスクを製造する際に使用するためのビーム書込みシステムを特徴とする。このシステムは、基板をパターニングするために書込みビームを供給する放射源、基板を支持するステージ、基板に書込みビームを照射するためのビーム方向付組立体、相互に対してステージおよびビーム方向付組立体を位置決めするための位置決めシステム、および上記干渉計システムを含む。この場合、干渉計システムは、ビーム方向付組立体に対してステージの位置を監視するように構成されている。
【0027】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上で集積回路を製造するときに使用するためのリソグラフィ方法を特徴とする。この方法は、可動ステージ上にウェハを支持するステップと、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、ステージの位置を調整するステップと、上記干渉計システムによりステージの位置を監視するステップとを含む。
【0028】
他の態様の場合、本発明は、集積回路を製造するときに使用するためのリソグラフィ方法を特徴とする。このリソグラフィ方法は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、マスクを通して入力放射線を向けるステップと、入力方法に対してマスクを位置決めするステップと、上記干渉計システムにより入力放射線に対するマスクの位置を監視するステップと、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップとを含む。
【0029】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上に集積回路を製造するためのリソグラフィ方法を特徴とする。このリソグラフィ方法は、空間的にパターニングされた放射線にウェハを露光するために、リソグラフィ・システムの第2の構成要素に対してリソグラフィ・システムの第1の構成要素を位置決めするステップと、上記干渉計システムにより、第2の構成要素に対する第1の構成要素の位置を監視するステップとを含む。
【0030】
さらに、本発明は、集積回路を製造するためのいくつかの方法を特徴とする。それぞれの方法は、上記種々のリソグラフィ方法のうちの1つを含む。
他の態様の場合、本発明は、リソグラフィ・マスクを製造するための方法を特徴とする。この方法は、基板をパターニングするために基板に書込みビームを向けるステップと、書込みビームに対して基板を位置決めするステップと、上記干渉計システムにより書込みビームに対する基板の位置を監視するステップとを含む。
【0031】
別段の指示がない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における通常の当業者であれば当然理解することができるものと同じ意味を持つ。参照により本明細書に組み込むものとする文書内の定義と異なる場合には、本文が優先する。
【0032】
添付の図面および下記の説明内で本発明の1つまたは複数の実施形態について詳細に説明する。上記説明および図面および添付の特許請求の範囲を読めば、本発明の他の特徴、目的および利点を理解することができるだろう。
【0033】
種々の図面内の類似の参照番号は、類似の素子を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1Aを参照すると、ヘテロダイン干渉計システム10は、光学測定ユニット11および電子処理ユニット13を含む。ヘテロダイン干渉計システム10は、1つの測定軸の光
路内の変化を測定し、測定した信号のデータ・エイジの不確かさを低減する。説明を簡単にするために、ヘテロダイン干渉計システム10内には1つの測定軸しか図示していない。図1Bに示すような多軸測定システムの場合には、ヘテロダイン干渉計システム10bは、いくつかの軸の光路内の変化を検出し、各軸に対する条件下測定信号を生成するために光学測定ユニット11bを含む。電子処理ユニット13bおよび13cは、各軸からの条件下測定信号を処理し、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差を補償する。
【0035】
再度図1Aを参照すると、光学測定ユニット11は、光放射線を生成するための光源12、光放射線を変調するための干渉計18、および干渉計18からの変調した光放射線を受信し、周波数FMを有する電気測定信号に変換するための受信機40を含む。受信機ユニット40は、さらに、条件パラメータVbiasに基づいて電気測定信号を条件付けする。
【0036】
電気処理ユニット13は、アナログ−デジタル・コンバータ(ディジタイザ)510、フェーズ・ロック・ループ・ユニット(PLL)520、位相差計530、動的データ・エイジ調整装置540、位置計算器550、速度推定器590、デジタル・フィルタ560、および動的データ・エイジ・ユニット700を含む。以下にさらに詳細に説明するように、電子処理ユニット13は、受信機40から信号を受信し、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差を補償するために、測定信号の位相を調整する。
【0037】
光学測定ユニット11に戻って説明すると、通常は周波数安定化レーザである光源12は、一組のほぼ等しい輝度、相互にfOだけ周波数が異なる直角に偏光した光ビーム14および16を生成する。また光ビーム14および16は、ほぼ同一線上に位置しているが、単に説明を分かりやすくするためおよび説明の便宜上、図1Aにおいては、相互に横方向に若干ズレている。例えば、米国特許第5,249,030号に、約20メガヘルツ(MHz)の差周波数がfOの光源12の例が記載されている。もちろん、種々の実施形態の場合には、差周波数fOは、20MHzより低くてもよいし、高くてもよい。干渉計18は、測定経路の長さ、または測定対象物の位置の変化に基づいて光ビーム14に対して光ビーム16を変調する。図1Aには線形変位干渉計として図示してあるが、干渉計18は、任意の数の設計を持つことができる。例えば、変化が、線形変位、角度変位、分散または他の影響によるものであれ、光ビーム14に対する光ビーム16の光路長の変化を感知する測定信号を生成する任意の干渉計で十分である。光ビーム14をビーム22として第1の再帰反射器24に反射し、光ビーム16をビーム30として第2の再帰反射器32に送るために、偏光ビーム・スプリッタ20は光ビーム14および16の方を向いている。再帰反射器24は、ビーム22をビーム・スプリッタ20にビーム26として反射し、再帰反射器32は、ビーム30をビーム34としてビーム・スプリッタ20に反射する。ビーム34は、ビーム・スプリッタ20を出力ビーム38として通過し、一方、ビーム26は、ビーム・スプリッタ20により出力ビーム28として反射する。出力ビーム28および38は、入射ビーム14および16として、ほぼ同一線上に位置していて直角に偏光する。干渉計18を通してビーム22および26が横切る固定長経路を形成するように、再帰反射器24は、ビーム・スプリッタ20に対して固定される。第2の再帰反射器32は、光ビーム30および34の可変長経路を形成するために、ビーム・スプリッタ20に対して、また図1Aの矢印の方向に移動または変位することができる。再帰反射器32が移動または変位すると、出力ビーム28に対する出力ビーム38の位相が変化する。
【0038】
出力ビーム28および38は、同じ偏光の成分を含む各出力ビーム28および38を供給するために、混合偏光子35を含む受信機40を通して送られる。結果として得られる類似的な偏光ビーム28aおよび38aは、電気測定または干渉信号41を生成するために、電子アバランシェ・フォトダイオード(APD)検出装置37に送られる。
【0039】
APD37からの干渉信号41は、条件下測定信号42を生成するために、さらに、プリアンプ・ステージ、低域フィルタ、およびポストアンプ・ステージを含む信号増幅および条件付け回路39を通過する。測定信号42の周波数は下式で表される。
【0040】
【数1】
ここで、±nv/λは、ドップラー・シフト周波数であり、vは、その位置を測定中の干渉計素子の速度であり、λは、光の波長であり、nは、2である。nの値は、光が干渉計を通過する回数により異なる。
【0041】
APD37は、印加されたバイアス電圧、Vbias依存性信号利得を供給することにより測定信号を条件付けする。この信号利得は、そうでない場合には、プリアンプ・ノイズにより制限されるシステムの信号対雑音比を改善することができる。Vbiasが大きくなると、利得が増大する。しかし、種々の実施形態の場合には、Vbiasが増大すると、同様に、APDのキャパシタンスが低減する。Vbiasの増大によりキャパシタンスが低減すると、プリアンプの帯域幅が広くなり、バイアス依存性位相シフトが起こり、またバイアス依存性グループ遅延が起こる。さらに、APD自身の応答速度がバイアスに依存する場合があり、追加のバイアス依存性位相シフトが導入される。通常、説明を簡単にするために、APD応答時間を、プリアンプ位相シフトと一緒に考察することができる。
【0042】
図2Aは、いくつかのバイアス電圧(説明を簡単にするために中間の電圧を省略した)に対する通常のAPDおよびプリアンプ回路の位相対周波数特性である。信号経路のグループ遅延、すなわちデータ・エイジは、周波数に関する位相のマイナスの導関数として計算される。図2Bは、Vbiasに対する測定信号の平均グループ遅延の依存性を示す。Vbiasの各値に対して、平均グループ遅延は、ある範囲の測定信号周波数(4MHz〜36MHz)上に描かれている。図2Cは、20MHzの測定信号の場合のVbiasへの測定信号位相の依存性を示す。さらに、低域フィルタおよびポストアンプ・ステージは、測定信号の周波数依存性位相シフトを導入する場合がある。これらのバイアスおよび周波数に依存する影響は、以下にさらに詳細に説明するように、補償しなければならない測定誤差を導入する。
【0043】
図1Aおよび図3に戻って説明すると、光源12は、また電子処理ユニット13内の受信機40類似の光ファイバ受信機41への光ファイバ・ケーブルを介して周波数FRを有する基準信号44を送る。受信機40は、光学測定ユニット11内に図示してあり、光ファイバ受信機41は電子処理ユニット13内に図示してあるが、受信機と光ファイバ・ケーブルとのいくつかの組合わせも可能である。例えば、電子処理ユニット13は、一方は基準信号44を受信するためのものであり、他方は光学測定ユニット11から光ファイバ・ケーブルを通して送られた出力ビーム28aおよび38aを受信するためのものである、2つの光ファイバ受信機を含むことができる。
【0044】
図3を参照すると、ディジタイザ510は、アナログ測定信号42をデジタル化した信号Aに変換し、この信号を回路ライン505に送る。位相差計530は、デジタル化した信号Aを処理し、デジタル測定位相信号φmeasを計算し、この信号φmeasは、データ・エイジ訂正位相、すなわち、調整した位相信号φAを生成するために後でデータ・エイジ調整装置540により調整される。位置計算器550は、位相を蓄積し、蓄積位置
PAを出力する。デジタル・フィルタ560は、濾過した速度の値V、および調整し、濾過した位置の値Pを出力するためにPAを使用する。
【0045】
動作中、フェーズ・ロック・ループ520(PLL)は、システム内のすべてのデジタル電子機器に対してシステム・クロック信号FCを生成する。典型的な実施形態の場合には、システム・クロックおよびディジタイザ510のADCサンプリング・レートは、最も高い測定信号周波数、すなわちナイキスト・レートの2倍よりも大きい。典型的な実施形態の場合には、システム・クロック周波数は、基準周波数の整数倍である。ディジタイザ510は、測定信号42をサンプリングし、測定信号42の電圧を表すデジタル信号505を出力する。ディジタイザ510は、また、アンチエイリアシング・フィルタおよびバッファ・アンプ(図示せず)を含むこともできる。位相差計530は、離散フーリエ変換および高速フーリエ変換のような周知の方法およびヒルベルト変換位相検出装置および全デジタルPLLのような周知の装置により、デジタル信号505をデジタル測定位相信号507に変換する。
【0046】
図4を参照すると、動的データ・エイジ・ユニット700は、デジタル・フィルタまたは速度推定器(図示せず)からデータ・エイジ調整済み位置値Pおよびデータ・エイジ調整済み速度値VMを受信し、ヘテロダイン干渉システムの中央処理ユニット(CPU)(図示せず)から一定のデータ・エイジ値Cを受信する。値VMに基づいて、遅延/周波数(DF)補償値DF[VM]がDFルックアップ・テーブル701から入手される。位置値Pは、乗算器702により係数kでスケーリングされる。例えば、ある実施形態の場合には、kは1または−1に等しい。動的データ・エイジ・ユニット700は、位相調整値φOを生成するために、一定のデータ・エイジC、補償値DF[VM]およびスケーリングした位置値を合計し、合計した値にVMを掛ける。動的データ・エイジ・ユニット700は、VMおよびPの両方の値が変化した場合、すなわち再帰反射器32が移動した場合、φOの値を引き続き調整し、それによりデータ・エイジ調整装置700によりデータ・エイジの動的調整が行われる。
【0047】
図4に示すように、動的データ・エイジ・ユニット700は、2つの追加位相調整値φfおよびφbiasを計算する。動的データ・エイジ・ユニット700は、測定信号周波数に比例する測定速度値VMを受信する。
【0048】
【数2】
値VMに基づいて、補償値PF[VM]が、位相/周波数(PF)ルックアップ・テーブル703から入手される。動的データ・エイジ・ユニット700は、下式により位相調整値φfを計算する。
【0049】
【数3】
この位相調整は、例えば、受信機41で使用するポストアンプまたは低域フィルタ内の設計制限が導入する周波数依存性位相シフトを補償する。動的データ・エイジ・ユニット700は、FMの値が変化した場合、φfの値を引き続き調整する。しかし、φfの調整は、DFルックアップ・テーブル701が供給するタイプの速度に依存するデータ・エイジ
調整と同じものであることに留意されたい。それ故、ある実施形態の場合には、これら2つの補償のうちの一方だけが行われる。
【0050】
動的データ・エイジ・ユニット700は、測定速度値VMと一緒にAPDバイアス電圧値Vbiasを受信する。この電圧バイアス値Vbiasは、アナログ−デジタル・コンバータ704によりデジタル化される。ある実施形態の場合には、次に、デジタル化した電圧バイアスは、レジスタ(図示せず)に送られる。Vbiasに基づいて、遅延/バイアス(DB)補償値DB[Vbias]がルックアップ・テーブル705から入手され、位相/バイアス(PB)補償値がPB[Vbias]がルックアップ・テーブル706から入手される。PBルックアップ・テーブル706は、(FM=FRである場合の)ゼロ速度に対応する位相調整値を供給する。次に、位相調整値φbiasが下式により計算される。
【0051】
【数4】
この位相調整は、APD37のキャパシタンスの変化によるバイアス依存性位相シフトおよびグループ遅延を補償する。動的データ・エイジ・ユニット700は、VbiasおよびVMの値が変化すると、φbiasの値を引き続き調整する。
【0052】
図3に戻って説明すると、位相調整値φO、φfおよびφbiasは、1つの動的データ・エイジ値φDDAに対して結合され、データ・エイジ調整装置540に送られる。データ・エイジ調整装置540は、調整した位相値を生成するために動作する。
【0053】
【数5】
この調整した位相値は、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差をすでに補償したものである。
【0054】
本発明の多数の実施形態について説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の修正を行うことができることを理解することができるだろう。例えば、データ・エイジ調整装置は、測定した位相への別々の粗調整および微調整を行うために使用することができる。この場合、各位相調整値は、粗調整値または微調整値に分けることができる。
【0055】
さらに、種々の実施形態の場合には、意図する結果が得られる限りは、2つのかけ算器を1つのかけ算器に結合することにより、または値または加算/減算の符号を変えることにより、処理機能を再配置構成することができる。例えば、ある実施形態の場合には、一次元PBおよびDBルックアップ・テーブルは、1つの二次元テーブルとして実施される。他の実施形態の場合には、1つまたは複数の補償値は、例えば、ルックアップ・テーブルの代わりに多項式を使用して数学的に入手される。ある実施形態の場合には、補償は、例えば、複数の点間の内挿を含むより小さな一次元または二次元のテーブルのような、いくつかの方法の組合わせにより行われる。
【0056】
追加のロジックを診断またはデバッグのために補償の各部分を動作可能にし、動作不能にする目的で追加することができる。
ある実施形態の場合には、速度または周波数またはいくつかの他の中間値を、適当な修正を行って補償の計算の際に使用することができる。例えば、PBテーブルは、ゼロ周波数に対して計算した位相補償値PB0を含むことができる。補償の式は下記のようになる。
【0057】
【数6】
ある実施形態の場合には、例えば、φbias式、ルックアップ・テーブル値またはテーブル・インデックスとして使用するVbias値への調整は、例えば、複数の各測定軸で使用する個々のAPDの特性の違いを収容するための設計を較正するために行われる。
【0058】
電子処理ユニットの1つまたは複数の機能は、デジタル・コンピュータで稼働するソフトウェアとして実施することができる。
上記例の場合には、APDおよびプリアンプ回路は、条件パラメータVbiasに基づく増幅信号による測定を条件付けするために動作する。しかし、他のタイプの条件パラメータに基づく他のタイプの条件付けを使用することができる。例えば、標準可変利得アンプは、利得パラメータに基づいて条件付けを行うことができる。他のタイプの条件付けは、例えば、濾過または周波数変更を含むことができる。
【0059】
他の実施形態の場合には、上記実施形態で使用するヘテロダイン変位干渉計の代わりに他のタイプの干渉計システムを使用することができる。例えば、光学測定信号は、1つおよび/または複数のパス干渉計、受動干渉計、動的干渉計および分散干渉計のうちの任意のものを含むことができる干渉計システムにより生成することができる。さらに、ある実施形態の場合には、干渉計システムは、それぞれが、本明細書に記載したように、測定誤差を補償することができる対応する主干渉信号を生成することができる1つまたは複数の自由度を監視することができる。さらに、干渉計システムにより監視した自由度は、測定対象物への距離の変化、2つの測定対象物間の相対的距離の変化、測定対象物の角度の向きの変化、および入力ビームの向きの変化のうちの任意のものを含むことができる。
【0060】
Henry A.Hillの「入力ビームの動的干渉計制御方向(DYNAMIC INTERFEROMETER CONTROLLING DIRECTION OF INPUT BEAM)」という名称の2002年8月23日付けの米国特許出願第10/226、591号に、動的干渉計のいくつかの例が記載されている。Henry A.Hillの2002年7月29日付けの「受動ゼロ剪断干渉計(PASSIVE ZERO
SHEAR INTERFEROMETERS)」という名称の米国特許出願第10/207,314号に、受動ゼロ剪断干渉計のいくつかの例が記載されている。角度変位干渉計のいくつかの例が、両方ともHenry A.Hillの2002年8月23日付けの「入力ビームの方向を制御する動的干渉計(DYNAMIC INTERFEROMETER CONTROLLING DIRECTION OF INPUT BEAM)」という名称の米国特許出願第10/226,591号;2001年8月22日付けで、「角度感知ビーム・スプリッタを使用する受動ゼロ剪断干渉計PASSIVE ZERO
SHEAR INTERFEROMETERS USING ANGLE SENSITIVE BEAM−SPLITTERS」という名称の米国仮特許出願第60/314,345号;Henry A.HillおよびJustin Kreuzerの2002年10月15日付けの「光ビームの方向の変化を測定するための干渉計(INTERFEROMETERS FOR MEASURING CHANGES IN OPTICAL BEAM DIRECTION)」という名称の米国特許出願第10/271,034号に記載されている。別の方法としては、または追加的に、干渉計システムは、1つま
たは複数の微分角度変位干渉計を含むことができる。また、米国特許出願第10/271,034号にそのいくつかの例が記載されている。Henry A.Hillの「マルチプルパス干渉計(MULTIPLE−PASS INTERFEROMETRY)」という名称で、2003年1月28日付けの米国特許出願第10/352,616号;およびHenry A.Hillの「多軸干渉計(MULTI−AXIS INTERFEROMETER)」という名称で、2003年1月27日付けの米国特許出願第10/351,708号に2つ以上の自由度を測定し、ビーム剪断を低減するための干渉計システムのいくつかの例が記載されている。VDIBerichte Nr.749、93〜106(1989)、C.Zanoniの「距離および角度を測定するための差動干渉計装置:原理、利点および用途(Differential interferometer arrangements for distance and angle measurements: Principles, advantages and applications)」に、他の形のマルチプルパス干渉計が記載されている。Henry
A.Hill、Peter de GrootおよびFrank C.Demarestの「マルチプルパス干渉計を使用する空気の屈折率および光路長の影響を測定するための装置および方法(APPARATUS AND METHOD FOR MEASURING THE REFRACTIVE INDEX AND OPTICAL PATH LENGTH EFFECTS OF AIR USING MULTIPLE−PASS INTERFEROMETRY)」という名称の米国特許第6,219,144
B1号、およびPeter de Groot、Henry A.Hill、およびFrank C.Demarestの米国特許第6,327,039号に、二波長分散干渉計のいくつかの例が記載されている。
【0061】
処理中の量(すなわち、時間、電圧、位相、周波数、速度、位置)に対して、任意の数値表示(アナログ、デジタル、2進、10進等)または単位(ラジアン、サイクル等)を使用することができる。
【0062】
上記機能のうちのいずれかを内蔵する干渉計システムは、非常に正確な測定を行うことができる。このようなシステムは、コンピュータ・チップ等のような大規模集積回路を製造する際に使用するリソグラフィ用途の場合に特に役に立つ。リソグラフィは、半導体製造産業用に主要な技術ドライバである。オーバーレイ改善は、100nmのライン幅(設計規則)までのおよびそれ以下の5つの最も困難な難問のうちの1つである。
【0063】
オーバーレイは、ウェハおよびレチクル(またはマスク)ステージを位置決めするために使用する距離測定干渉計の性能、すなわち正確さおよび精度に直接依存する。リソグラフィ・ツールは、50〜100Mドル/年の製品を製造することができるので、性能を改善した距離測定干渉計からの経済的価値はかなりのものである。リソグラフィ・ツールの歩留まりが1%増大する度に、集積回路メーカーは約1Mドル/年の経済的利益を得ることができ、リソグラフィ・ツール販売業者は、非常に大きな競合上の利点を得ることができる。リソグラフィ・ツールの機能は、フォトレジストでコーティングしたウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を向けることである。このプロセスは、ウェハのどの位置で放射線を受けるのかを決定するステップ(位置合わせ)、およびその位置のフォトレジストに放射線を当てるステップ(露光)を含む。ウェハを正しく位置決めするために、ウェハは専用センサにより測定することができる位置合わせマークを含む。位置合わせマークの測定した位置は、ツール内のウェハの位置を示す。この情報は、ウェハ表面の所望のパターニングの仕様と一緒に、空間的にパターニングされた放射線に対してウェハを整合するのに役に立つ。このような情報に基づいて、フォトレジストでコーティングしたウェハを支持している並進可能なステージが、放射線がウェハの正しい位置を露光するようにウェハを移動する。
【0064】
露光中、放射源は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、放射線を散乱するパターニングされたレチクルを照明する。レチクルは、マスクとも呼ばれ、以下の説明においてはこれらの用語は同じものを意味する。縮小リソグラフィの場合には、縮小レンズは、散乱放射線を集光し、レチクル・パターンの縮小した画像を形成する。別の方法としては、近接印刷の場合には、散乱放射線は、レチクル・パターンの1:1の画像を形成するためにウェハに接触する前に、短い距離(通常、数ミクロン程度)を伝搬する。放射線は、放射線パターンをレジスト内の潜像に変換するレジスト内で光化学プロセスをスタートする。
【0065】
干渉計システムは、ウェハおよびレチクルの位置を制御し、ウェハ上でレチクル画像の見当を合わせる位置決め機構の重要な構成要素である。このような干渉計システムが、上記機能を含んでいる場合には、このシステムで測定した距離の精度は、条件パラメータ依存性測定誤差(例えば、測定信号を増幅するためのAPDの使用により導入されるバイアス電圧依存性グループ遅延など)が最小になると向上する。
【0066】
通常、露光システムとも呼ぶリソグラフィ・システムは、通常、照明システムおよびウェハ位置決めシステムを含む。照明システムは、紫外線、可視光線、X線、電子放射線またはイオン放射線のような放射線を供給するための放射源、および放射線をパターニングし、それにより空間的にパターニングされた放射線を生成するためのレチクルまたはマスクを含む。さらに、縮小リソグラフィの場合には、照明システムは、空間的にパターニングされた放射線をウェハ上に画像形成するためのレンズ組立体を含むことができる。画像形成された放射線は、ウェハ上にコーティングされているレジストを露光する。照明システムは、また、マスクを支持するためのマスク・ステージと、マスクを通過した放射線に対してマスク・ステージの位置を調整するための位置決めシステムとを含む。ウェハ位置決めシステムは、ウェハおよび画像形成された放射線に対してウェハ・ステージの位置を調整するための位置決めシステムを支持するためのウェハ・ステージを含む。集積回路の製造は、複数の露光ステップを含むことができる。リソグラフィ上の通常の文献としては、J.R.SheatsおよびB.W.SmithのMicrolithography:Science and Technology(1998年、ニューヨーク、Marcel Dekker社)を参照されたい。上記文献の内容は、引用によって本明細書に組み込むものとする。
【0067】
上記機能を内蔵する干渉計システムは、レンズ組立体、放射源、または支持構造体のような露光システムの他の構成要素に対して、ウェハ・ステージおよびマスク・ステージそれぞれの位置を正確に測定するために使用することができる。このような場合、干渉計システムを、固定構造体に取り付けることができ、測定対象物を、マスク・ステージおよびウェハ・ステージの一方のような可動素子に取り付けることができる。別の方法としては、取り付けるものを逆にすることができる。すなわち、干渉計システムを可動対象物に取り付け、測定対象物を固定対象物に取り付けることができる。
【0068】
より一般的には、このような干渉計システムを、露光システムの任意の他の構成要素に対して露光システムの任意の1つの構成要素の位置を測定するために使用することができる。この場合、干渉計システムは、構成要素のうちの1つに取り付けられるか、支持され、測定対象物は、構成要素の他の物に取り付けられるか、支持される。
【0069】
図5は、干渉計システム1126を使用するリソグラフィ・スキャナ1100の一例である。上記機能を内蔵する干渉計システムは、露光システム内のウェハ(図示せず)の位置を正確に測定するために使用される。この場合、ステージ1122は、露光ステーションに対してウェハを位置決めし、支持するために使用される。スキャナ1100は、フレーム1102を含み、このフレームは、他の支持構造体およびこれら構造体上に位置する
種々の構成要素を含む。露光ベース1104は、レンズ・ハウジング1106の頂部に装着されていて、その頂部にはレチクルまたはマスクを支持するために使用するレチクルまたはマスク・ステージ1116が装着されている。露光ステーションに対してマスクを位置決めするための位置決めシステムは、素子1117により概略示してある。位置決めシステム1117は、例えば、圧電トランスジューサ素子、および対応する制御電子機器(control electronics)を含むことができる。それは、この記述した実施形態には含まれていないが、上記機能を内蔵する1つまたは複数の干渉計システムは、また、マスク・ステージおよびその位置をリソグラフィ構造体を製造するためのプロセス内で正確に監視しなければならない他の可動素子の位置を正確に測定するために使用することができる(SheatsおよびSmithのMicrolithography:Science and Technology参照)。
【0070】
露光ベース1104の下には、ウェハ・ステージ1122を含む支持ベース1113が垂れ下がっている。ステージ1122は、干渉計システム1126によりステージの方に向けられた測定ビーム1154を反射するための平面ミラー1128を含む。干渉計システム1126に対してステージ1122を位置決めするための位置決めシステムを、素子1119により概略示す。位置決めシステム1119は、例えば、圧電トランスジューサ素子および対応する制御電子機器を含むことができる。測定ビームは、露光ベース1104上に装着している干渉計システムの方向に反射する。干渉計システムは、上記実施形態のうちの任意のものであってもよい。
【0071】
動作中、例えば、UVレーザ(図示せず)からの紫外線(UV)ビームのような放射ビーム1110は、ビーム整形光学系組立体1112を通過し、ミラー1114で反射した後で下方に移動する。その後で、放射ビームは、マスク・ステージ1116が支持しているマスク(図示せず)を通過する。マスク(図示せず)は、レンズ・ハウジング1106内に位置するレンズ組立体1108を介してウェハ・ステージ1122上のウェハ(図示せず)上に画像形成される。ベース1104およびそれにより支持されている種々の構成要素は、スプリング1120で示す制振システムにより外部の振動から絶縁される。
【0072】
リソグラフィ・スキャナの他の実施形態の場合には、1つまたは複数の上記干渉計システムを、例えば、ウェハおよびレチクル(またはマスク)ステージを含むがこれらに限定されない関連する複数の軸および角度に沿って距離を測定するために使用することができる。また、UVレーザ・ビームではなく、例えば、X線ビーム、電子ビーム、イオン・ビームおよび可視光線を含む他のビームも、ウェハを露光するために使用することができる。
【0073】
ある実施形態の場合には、リソグラフィ・スキャナは、当業者が列参照(column
reference)と呼んでいるものを含むことができる。このような実施形態の場合には、干渉計システム1126は、例えば、レンズ・ハウジング1106のような放射ビームをある方向に向けるある構造体上に装着されている基準ミラー(図示せず)と接触する外部基準経路に沿って参照ビーム(図示せず)をある方向に向ける。基準ミラーは、干渉計システムの方向へ参照ビームを反射する。干渉計システム1126により生成された干渉信号は、ステージ1122から反射した測定ビーム1154とレンズ・ハウジング1106上に装着している基準ミラーから反射した参照ビームを結合した場合に、放射ビームに対するステージの位置の変化を示す。さらに、他の実施形態の場合には、干渉計システム1126は、スキャナ・システムのレチクル(またはマスク)ステージ1116または他の可動構成要素の位置の変化を測定するように設置することができる。最後に、干渉計システムは、スキャナの他にまたはスキャナではなくステッパを含むリソグラフィ・システムと一緒に類似の方法で使用することができる。
【0074】
当業者であれば周知のように、リソグラフィは、半導体デバイスを製造するための製造方法の重要な部分である。例えば、米国特許第5,483,343号に、このような製造方法のためのステップが概略記載されている。これらのステップについては、図6および図7を参照しながら以下に説明する。図6は、半導体チップ(例えば、ICまたはLSI)、液晶パネルまたはCCDのような半導体デバイスを製造するためのシーケンスのフローチャートである。ステップ1151は、半導体デバイスの回路を設計するための設計プロセスである。ステップ1152は、回路パターン設計に基づいてマスクを製造するためのプロセスである。ステップ1153は、シリコンのような材料を使用してウェハを製造するためのプロセスである。
【0075】
ステップ1154は、前プロセスと呼ばれるウェハ・プロセスである。この場合、このように準備されたマスクおよびウェハを使用して、リソグラフィによりウェハ上に回路が形成される。十分な空間分解能でマスク上のこれらのパターンに対応するウェハ上の回路を形成するために、ウェハに対するリソグラフィ・ツールの干渉計による位置決めが必要である。本明細書に記載する干渉計による方法およびシステムは、ウェハ・プロセス中に使用するリソグラフィの効果を改善するのに特に役に立つ。
【0076】
ステップ1155は、後プロセスと呼ばれる組立てステップである。この場合、ステップ1154で処理されたウェハが、半導体チップ内に形成される。このステップは、組立て(ダイシングおよびボンディング)およびパッケージング(チップの密封)を含む。ステップ1156は、検査ステップであり、ステップ1155により製造された半導体デバイスの動作性チェック、耐久性チェック等が行われる。これらのプロセスにより、半導体デバイスが仕上げられ、出荷される(ステップ1157)。
【0077】
図7は、ウェハ・プロセスの詳細を示すフローチャートである。ステップ1161は、ウェハの表面を酸化するための酸化プロセスである。ステップ1162は、ウェハ表面上に絶縁フィルムを形成するためのCVDプロセスである。ステップ1163は、蒸着によりウェハ上の電極を形成するための電極形成プロセスである。ステップ1164は、ウェハにイオンを注入するためのイオン注入プロセスである。ステップ1165は、ウェハにレジスト(感光材料)を塗布するためのレジスト・プロセスである。ステップ1166は、露光(すなわち、リソグラフィ)により、上記露光装置によりウェハ上にマスクの回路パターンを印刷するための露光プロセスである。この場合も、すでに説明したように、本明細書に記載する干渉計システムおよび方法を使用すれば、このようなリソグラフィ・ステップの精度および分解能が改善する。ステップ1167は、露光したウェハを現像するための現像プロセスである。ステップ1168は、現像したレジスト画像以外の部分を除去するためのエッチング・プロセスである。ステップ1169は、エッチング・プロセスを行った後で、ウェハ上に残っているレジスト材料を分離するための分離プロセスである。これらのプロセスを反復することにより、回路パターンが形成され、ウェハ上に重畳される。
【0078】
上記干渉計システムは、また、対象物の相対位置を正確に測定しなければならない他の用途にも使用することができる。例えば、レーザ、X線、イオン・ビームまたは電子ビームのような書込みビームが、基板またはビームが移動した場合に、基板上のパターンをマークする用途の場合には、干渉計システムを、基板と書込みビーム間の相対移動を測定するために使用することができる。
【0079】
一例として、図8は、ビーム書込みシステム1200の略図を示す。ビーム源1210は、書込みビーム1212を生成し、ビーム集束組立体(beam focusing assembly)1214は、放射ビームを可動ステージ1218により支持されている基板1216に向ける。ステージの相対位置を決定するために、上記機能を内蔵する干
渉計システム1220は、参照ビーム1222をビーム集束組立体1214上の装着されているミラー1224に向け、測定ビーム1226をステージ1218上に装着されているミラー1228に向ける。参照ビームはビーム集束組立体上に装着されているミラーと接触するので、ビーム書込みシステムは列参照を使用するシステムの一例である。干渉計システム1220は、すでに説明した干渉計システムのうちの任意のものであってもよい。干渉計システムが測定した位置の変化は、基板1216上の書込みビーム1212の相対位置の変化に対応する。干渉計システム1220は、コントローラ1230に、基板1216上の書込みビーム1212の相対位置を示す測定信号1232を送る。コントローラ1230は、ステージ1218を支持し、位置決めするベース1236に出力信号1234を送る。さらに、コントローラ1230は、書込みビームが、基板の選択した位置のところだけに光物理的または光化学的変化を引き起こすのに十分な輝度で基板に接触するように、書込みビーム1212の輝度を変化させ、または阻止するために、放射源1210に信号1238を送る。
【0080】
さらに、ある実施形態の場合には、コントローラ1230は、ビーム集束組立体1214に、例えば、信号1244により基板のある領域上を書込みビームで走査させることができる。その結果、コントローラ1230は、基板をパターニングするために、システムの他の構成要素に指示を与える。このパターニングは、通常、コントローラ内に格納している電子設計パターンに基づいて行われる。ある用途の場合には、書込みビームは、基板上にコーティングされているレジストをパターニングし、他の用途の場合には、書込みビームは、基板を直接パターニングする、例えば、エッチングする。
【0081】
このようなシステムの重要な用途は、すでに説明したリソグラフィ方法で使用するマスクおよびレチクルの製造である。例えば、リソグラフィ・マスクを製造するために、クロムでコーティングしたガラス基板をパターニングするために電子ビームを使用することができる。書込みビームが電子ビームである場合には、ビーム書込みシステムは、真空内で電子ビーム経路を囲む。また、書込みビームが電子ビームまたはイオン・ビームである場合には、ビーム集束組立体は、真空下の基板上に荷電粒子の焦点をあわせ、向けるために、四重極レンズのような電界発生装置を含む。書込みビームが、例えば、X線、UVまたは可視光のような放射ビームである場合には、ビーム集束組立体は、基板に放射線の焦点を合わせ、向けるための対応する光学系を含む。
【0082】
本発明の多数の実施形態について説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、多くの修正を行うことができることを理解することができるだろう。それ故、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1A】干渉計システムのある実施形態のブロック図。
【図1B】干渉計システムのある実施形態のもう1つのブロック図。
【図2A】いくつかの電子アバランシェ・フォトダイオード・バイアス電圧の位相対周波数特性のグラフ。
【図2B】平均グループ遅延対バイアス電圧のグラフ。
【図2C】位相対バイアス電圧のグラフ。
【図3】電子処理ユニットのある実施形態のブロック図。
【図4】動的データ・エイジ・ユニットのある実施形態のブロック図。
【図5】本明細書に記載の干渉計システムを含み、集積回路を製造する際に使用するリソグラフィ・システムの略図。
【図6】集積回路を製造するためのステップを示すフローチャート。
【図7】集積回路を製造するための他のステップを示すフローチャート。
【図8】本明細書に記載する干渉計システムを含むビーム書込みシステムの略図。
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、長さまたは位置の変化を測定するための方法および装置に関し、特に、長さまたは位置の複数の測定間のデータ・エイジの違いまたは位置の不確かさの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年12月1日付けの「電子アバランシェ・フォトダイオードによるデータ・エイジの補償(DATA AGE COMPENSATION WITH AVALANCHE PHOTODIODE)」という名称の米国仮特許出願第60/741,415号の優先権を主張する。上記米国仮特許出願の全文は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
位置、長さ、距離または光学長の変化の測定に干渉計を使用することは周知である。例えば、1993年9月発行の「Measurement Science & Technology」第4巻、第9号、907〜926ページ掲載のN.Bobroffの「変位測定干渉計の最近の進歩(Recent advances in displacement measuring)」、および1987年8月25日付けの米国特許第4,688,940号を参照されたい。通常の変位測定干渉計システムは、周波数安定化光源、干渉計光学系、および測定用電子機器(measuring electronics)から構成される。干渉計光学系は、レーザ光線を基準経路および測定経路に分割し、次に、2つの経路から戻ってくる光を再結合して、その再結合した光をフォトダイオードに送り、それによってフォトダイオードは干渉信号を生成する。測定経路内の1つの波長の、基準経路に対する距離が変化すると、干渉信号内に360度の位相の変化が起こる。測定用電子機器は、位相の変化を測定し、蓄積し、その用途に対して位置出力を供給する。
【0004】
多くの用途において、測定ビームと参照ビームの周波数が異なるヘテロダイン干渉計を使用することが好ましい。異なる周波数は、例えば、レーザ・ゼーマン分裂、音響光学変調、または複屈折素子等を使用するレーザ内部により生成することができる。測定ビームおよび参照ビームは直角に偏光することができ、重畳している出口測定ビームおよび参照ビームを形成するために、偏光ビーム・スプリッタは、測定ビームおよび参照ビームを測定および基準対象物にそれぞれ向けることができ、反射した測定ビームおよび参照ビームを結合することができる。重畳している出口ビームは、後で偏光子を通過する出力ビームを形成する。偏光子は、混合ビームを形成するために、出口測定および参照ビームの偏光を混合する。測定および参照ビームは異なる周波数を有しているので、電気干渉信号は、出口測定および参照ビームの周波数間の差に等しいビート周波数を有する「ヘテロダイン」信号を含む。測定および基準経路の長さが、例えば、測定対象物を含むステージを並進することにより、相互に対して変化する場合には、測定したビート周波数は、2vnp/λに等しいドップラー・シフトを含む。この場合、vは測定および基準対象物の相対速度であり、λは測定および参照ビームの波長であり、nはそこを通して光ビームが伝搬する、例えば、空気または真空のような媒体の屈折率であり、pは基準および測定対象物へのパスの数である。測定対象物の相対位置の変化は、測定した干渉信号の位相の変化に対応する。この場合、2πの位相の変化は、λ/(np)の距離の変化Lに対応する。この場合、Lは測定対象物を含むステージへのおよびからの距離の変化のような往復の距離の変化である。
【0005】
また、ヘテロダイン干渉計は、分散タイプであってもよい。分散測定用途の場合には、
光路長の測定は、例えば、532nmおよび1064nmのような複数の波長で行われ、距離測定干渉計の測定経路内のガスの分散度を測定するために使用される。分散測定は、距離測定干渉計により測定した光路長を物理的な長さに変換するために使用することができる。このような変換は重要な場合がある。何故なら、測定した光路長の変化は、測定対象物への物理的距離が変化しない場合でも、測定アーム内のガスの乱れおよび/またはガスの平均密度の変化により生じる場合があるからである。外因性分散測定の他に、光路長の物理長への変換の場合には、ガスの固有値を知っておく必要がある。係数Γは、適当な固有値であり、分散干渉計で使用する波長に対するガスの逆分散能である。係数Γは、別々に測定するか、または発行されている文献から得ることができる。
【0006】
集積回路を製造するために使用するステップアンドスキャン・フォトリソグラフィ・ツールのような多くの干渉計の用途の場合には、高速で高分解能で運動の複数の軸を測定しなければならない。高度なフォトリソグラフィ・システムは、例えば、8つ以上の軸の測定を含んでいる場合がある。測定した対象物上のフィーチャのサイズが小さくなればなるほど、精度の要件は厳しくなる。高い精度で複数の動的干渉計の位置の測定の正確なタイミングを測定する精度の要求およびニーズが急速に増大しているので、現在の周知の方法および装置につきものの不確かさの種々の原因を低減し、最小限度まで低減するために多数の努力が行われてきた。
【0007】
動的複数軸測定の精度を完全なものにするために、各軸の同時測定が時間的な同じ瞬間を表すように、すべての測定は同じデータ・エイジを有するものでなければならない。データ・エイジは、干渉計の位置の変化が起きた時点から測定した位置を表すデータが出力された時間までの時間として定義される。多軸力学系においては、システムが、運動中のいくつかの異なる軸からの位置の値に依存している場合には、軸間のデータ・エイジの僅かな違いが、有意な測定誤差になる恐れがある。同様に、測定信号の位相の僅かなシフトが、有意な測定誤差になる恐れがある。
【特許文献1】米国特許第4,688,940号
【特許文献2】米国特許第6,597,459 B2号
【特許文献3】米国特許出願第10/226、591号
【特許文献4】米国特許出願第10/207,314号
【非特許文献1】1993年9月発行の「Measurement Science & Technology」第4巻、第9号、907〜926ページ掲載のN.Bobroffの「変位測定干渉計の最近の進歩(Recent advances in displacement measuring)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
固有の不確かさの2つの形は固定遅延および可変遅延と呼ばれる。固定遅延は、ケーブルの長さ、光路長、光電検出装置の遅延および干渉計システムの位相メータ・オフセットの違いによるものであり、一方、(信号周波数により変化する)回路遅延、すなわちグループ遅延は、可変遅延を引き起こす。これら遅延の影響により、干渉計で測定値のデータ・エイジに違いが生じる。すなわち、位置測定を表す事象と、位置データをユーザが入手することができる時間との間に時間のズレが起こる。1つまたは複数の遅延を調整してデータ・エイジを補償するのは通常不可能である。
【0009】
角度測定のような干渉計による距離測定の場合には、必要な情報を提供するために、2つ以上の軸を測定しなければならない。測定軸の数が増大すると、通常、より強力な光源、より多数の光源、またはより高感度の測定用電子機器が必要になる。コスト、スペースおよび熱の発散の折り合いのために、好適な解決方法は、多くの場合、測定信号を条件付けするためにより高感度の測定用電子機器となる。
【0010】
しかし、本発明者は、高感度の測定用電子機器を使用すると、複雑になり正確な測定ができなくなることに気が付いた。干渉計測定信号を検出し、条件付けするために電子アバランシェ・フォトダイオード(APD)を使用した場合にそのようなことが起こる。APDは、印加されるバイアス電圧依存性信号利得を供給することにより、測定信号を条件付けするために使用することができる。この信号利得は、そうでない場合には、例えば、前置増幅器(プリアンプ)ノイズにより制限されるシステムの信号対雑音比を改善することができる。バイアス電圧を変えることにより、必要に応じて適当な量の利得を変えることができる。複数軸システムの場合には、バイアス電圧を軸毎および時間の両方により変えることができる。
【0011】
同様に、APDバイアス電圧を変えると、通常、APDキャパシタンスが変化する。キャパシタンスがバイアスにより変化すると、バイアスにより位相シフトが起こり、バイアスによりグループ遅延が起こる。さらに、APD自身の応答速度も、バイアスにより変化し、追加のバイアスによる位相シフトを導入する。通常、これらのグループ遅延および位相シフトは、軸毎に変わる場合もあり、時間により変わる場合もあり、測定誤差が許容できないレベルになる。
【0012】
Frank C.Demarestの「データ・エイジの調整(DATA AGE ADJUSTMENTS)」という名称の米国特許第6,597,459 B2号(参照により全体を本明細書に組み込むものとする)は、干渉計からの測定信号内のデータ・エイジを補償するために使用する方法および装置を記載している。ある態様の場合、本発明は、条件付けにより導入された測定誤差を補償することにより測定信号の条件付けを行う(例えば、増幅するなど)ためにAPDを使用することができる方法および装置の改善を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、本発明の態様および特徴を要約する。
通常、ある態様において、本発明は、干渉計からの測定信号の条件付けを含む方法である。上記条件付けは1つまたは複数の条件パラメータ、すなわち、条件下測定信号の複数の値の測定、条件パラメータを示す1つまたは複数の値の供給、条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、条件下測定信号の各測定値での調整値の決定、調整値による測定信号の測定値の調整を特徴とする。
【0014】
この方法は、1つまたは複数の下記の特徴を含むことができる。
調整値は、条件付けによる測定誤差を補償するように決定することができる。
種々の実施形態の場合には、測定誤差は、データ・エイジ、グループ遅延、位相シフトまたは検出装置遅延を含んでいる場合がある。
【0015】
ある実施形態の場合には、測定信号の条件付けは、信号の可変増幅を含む。この場合、増幅は、条件パラメータにより異なる。
ある実施形態の場合には、可変増幅を電子アバランシェ・フォトダイオードにより行うことができる。
【0016】
ある実施形態の場合には、測定誤差は、増幅により導入された誤差を含んでいる場合がある。
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される。
【0017】
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数の数式により決定される。
ある実施形態の場合には、調整値は、1つまたは複数の数式および1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される。
【0018】
他の態様の場合には、干渉計からの光学測定信号を検出し、光学測定信号を電気測定信号に変換し、1つまたは複数の条件パラメータに基づいて、電気測定信号を条件付けするように構成される受信機ユニットを含む装置が開示されている。この装置は、さらに、受信機ユニットと結合している電子処理ユニットを含む。この電子処理ユニットは、(i)条件付けした信号の複数の値を測定し、(ii)条件パラメータを示す1つまたは複数の値を受信し、(iii)条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、条件付けした信号の各測定値での調整値を決定し、(iv)調整値により測定信号の測定値を調整するように構成されている。
【0019】
装置は、1つまたは複数の下記の機能を含むことができる。
電子処理ユニットは、データ・エイジ調整装置を含むことができる。
電子処理ユニットは、さらに動的データ・エイジ・ユニットを含むことができる。
【0020】
調整値は、条件付けによる測定誤差を補償するように決定することができる。
受信機ユニットは、電子アバランシェ・フォトダイオードを含むことができる。
条件パラメータは、電子アバランシェ・フォトダイオードに印加するバイアス電圧を含むことができる。電子アバランシェ・フォトダイオードの1つまたは複数の電気的特性は、バイアス電圧により異なる。例えば、ある実施形態の場合には、電子アバランシェ・フォトダイオードのキャパシタンスは、バイアス電圧により異なる。ある実施形態の場合には、電子アバランシェ・フォトダイオードの電気的特性のバイアス依存性変化は、バイアス依存性測定誤差を導入する。
【0021】
受信機ユニットは、さらに、増幅回路を含むことができる。増幅回路の1つまたは複数の電気的特性は、バイアス電圧により異なる。ある実施形態の場合には、増幅回路の電気的特性のバイアス依存性変化は、バイアス依存性測定誤差を導入する。
【0022】
他の態様の場合、本発明は、各測定信号が、参照ビームおよび測定ビームの光路長の差に対応する、1つまたは複数の光学測定信号を生成するように構成されている干渉計、および上記装置を含む干渉計システム装置を特徴とする。
【0023】
干渉計は、ヘテロダイン・タイプのものであってもよい。
種々の実施形態の場合には、測定信号は、1つまたは複数の測定対象物の位置、1つまたは複数の角度変位、または1つまたは複数の測定対象物の光学的特性を特徴付けることができる。ある実施形態の場合には、光学的特性は、分散を含むことができる。
【0024】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上に集積回路を製造する時に使用するためのリソグラフィ・システムを特徴とする。このシステムは、ウェハを支持するためのステージ、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するための照明システム、画像形成した放射線に対してステージの位置を調整するための位置決めシステム、および干渉計が画像形成した放射線に対するウェハの位置を監視するように構成されている上記干渉計システムを含む。
【0025】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上で集積回路を製造する時に使用するためのリソグラフィ・システムを特徴とする。このシステムは、ウェハを支持するためのステージ、放射源、マスク、位置決めシステム、レンズ組立体および上記干渉計システムを含む照明システムを含む。動作中、放射源は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、マスクを通して放射線を向ける。位置決めシステムは、放射源からの放射線に対するマ
スクの位置を調整する。レンズ組立体は、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成する。干渉計は、放射源からの放射線に対するマスクの位置を監視する。
【0026】
他の態様の場合、本発明は、リソグラフィ・マスクを製造する際に使用するためのビーム書込みシステムを特徴とする。このシステムは、基板をパターニングするために書込みビームを供給する放射源、基板を支持するステージ、基板に書込みビームを照射するためのビーム方向付組立体、相互に対してステージおよびビーム方向付組立体を位置決めするための位置決めシステム、および上記干渉計システムを含む。この場合、干渉計システムは、ビーム方向付組立体に対してステージの位置を監視するように構成されている。
【0027】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上で集積回路を製造するときに使用するためのリソグラフィ方法を特徴とする。この方法は、可動ステージ上にウェハを支持するステップと、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、ステージの位置を調整するステップと、上記干渉計システムによりステージの位置を監視するステップとを含む。
【0028】
他の態様の場合、本発明は、集積回路を製造するときに使用するためのリソグラフィ方法を特徴とする。このリソグラフィ方法は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、マスクを通して入力放射線を向けるステップと、入力方法に対してマスクを位置決めするステップと、上記干渉計システムにより入力放射線に対するマスクの位置を監視するステップと、ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップとを含む。
【0029】
他の態様の場合、本発明は、ウェハ上に集積回路を製造するためのリソグラフィ方法を特徴とする。このリソグラフィ方法は、空間的にパターニングされた放射線にウェハを露光するために、リソグラフィ・システムの第2の構成要素に対してリソグラフィ・システムの第1の構成要素を位置決めするステップと、上記干渉計システムにより、第2の構成要素に対する第1の構成要素の位置を監視するステップとを含む。
【0030】
さらに、本発明は、集積回路を製造するためのいくつかの方法を特徴とする。それぞれの方法は、上記種々のリソグラフィ方法のうちの1つを含む。
他の態様の場合、本発明は、リソグラフィ・マスクを製造するための方法を特徴とする。この方法は、基板をパターニングするために基板に書込みビームを向けるステップと、書込みビームに対して基板を位置決めするステップと、上記干渉計システムにより書込みビームに対する基板の位置を監視するステップとを含む。
【0031】
別段の指示がない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における通常の当業者であれば当然理解することができるものと同じ意味を持つ。参照により本明細書に組み込むものとする文書内の定義と異なる場合には、本文が優先する。
【0032】
添付の図面および下記の説明内で本発明の1つまたは複数の実施形態について詳細に説明する。上記説明および図面および添付の特許請求の範囲を読めば、本発明の他の特徴、目的および利点を理解することができるだろう。
【0033】
種々の図面内の類似の参照番号は、類似の素子を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1Aを参照すると、ヘテロダイン干渉計システム10は、光学測定ユニット11および電子処理ユニット13を含む。ヘテロダイン干渉計システム10は、1つの測定軸の光
路内の変化を測定し、測定した信号のデータ・エイジの不確かさを低減する。説明を簡単にするために、ヘテロダイン干渉計システム10内には1つの測定軸しか図示していない。図1Bに示すような多軸測定システムの場合には、ヘテロダイン干渉計システム10bは、いくつかの軸の光路内の変化を検出し、各軸に対する条件下測定信号を生成するために光学測定ユニット11bを含む。電子処理ユニット13bおよび13cは、各軸からの条件下測定信号を処理し、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差を補償する。
【0035】
再度図1Aを参照すると、光学測定ユニット11は、光放射線を生成するための光源12、光放射線を変調するための干渉計18、および干渉計18からの変調した光放射線を受信し、周波数FMを有する電気測定信号に変換するための受信機40を含む。受信機ユニット40は、さらに、条件パラメータVbiasに基づいて電気測定信号を条件付けする。
【0036】
電気処理ユニット13は、アナログ−デジタル・コンバータ(ディジタイザ)510、フェーズ・ロック・ループ・ユニット(PLL)520、位相差計530、動的データ・エイジ調整装置540、位置計算器550、速度推定器590、デジタル・フィルタ560、および動的データ・エイジ・ユニット700を含む。以下にさらに詳細に説明するように、電子処理ユニット13は、受信機40から信号を受信し、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差を補償するために、測定信号の位相を調整する。
【0037】
光学測定ユニット11に戻って説明すると、通常は周波数安定化レーザである光源12は、一組のほぼ等しい輝度、相互にfOだけ周波数が異なる直角に偏光した光ビーム14および16を生成する。また光ビーム14および16は、ほぼ同一線上に位置しているが、単に説明を分かりやすくするためおよび説明の便宜上、図1Aにおいては、相互に横方向に若干ズレている。例えば、米国特許第5,249,030号に、約20メガヘルツ(MHz)の差周波数がfOの光源12の例が記載されている。もちろん、種々の実施形態の場合には、差周波数fOは、20MHzより低くてもよいし、高くてもよい。干渉計18は、測定経路の長さ、または測定対象物の位置の変化に基づいて光ビーム14に対して光ビーム16を変調する。図1Aには線形変位干渉計として図示してあるが、干渉計18は、任意の数の設計を持つことができる。例えば、変化が、線形変位、角度変位、分散または他の影響によるものであれ、光ビーム14に対する光ビーム16の光路長の変化を感知する測定信号を生成する任意の干渉計で十分である。光ビーム14をビーム22として第1の再帰反射器24に反射し、光ビーム16をビーム30として第2の再帰反射器32に送るために、偏光ビーム・スプリッタ20は光ビーム14および16の方を向いている。再帰反射器24は、ビーム22をビーム・スプリッタ20にビーム26として反射し、再帰反射器32は、ビーム30をビーム34としてビーム・スプリッタ20に反射する。ビーム34は、ビーム・スプリッタ20を出力ビーム38として通過し、一方、ビーム26は、ビーム・スプリッタ20により出力ビーム28として反射する。出力ビーム28および38は、入射ビーム14および16として、ほぼ同一線上に位置していて直角に偏光する。干渉計18を通してビーム22および26が横切る固定長経路を形成するように、再帰反射器24は、ビーム・スプリッタ20に対して固定される。第2の再帰反射器32は、光ビーム30および34の可変長経路を形成するために、ビーム・スプリッタ20に対して、また図1Aの矢印の方向に移動または変位することができる。再帰反射器32が移動または変位すると、出力ビーム28に対する出力ビーム38の位相が変化する。
【0038】
出力ビーム28および38は、同じ偏光の成分を含む各出力ビーム28および38を供給するために、混合偏光子35を含む受信機40を通して送られる。結果として得られる類似的な偏光ビーム28aおよび38aは、電気測定または干渉信号41を生成するために、電子アバランシェ・フォトダイオード(APD)検出装置37に送られる。
【0039】
APD37からの干渉信号41は、条件下測定信号42を生成するために、さらに、プリアンプ・ステージ、低域フィルタ、およびポストアンプ・ステージを含む信号増幅および条件付け回路39を通過する。測定信号42の周波数は下式で表される。
【0040】
【数1】
ここで、±nv/λは、ドップラー・シフト周波数であり、vは、その位置を測定中の干渉計素子の速度であり、λは、光の波長であり、nは、2である。nの値は、光が干渉計を通過する回数により異なる。
【0041】
APD37は、印加されたバイアス電圧、Vbias依存性信号利得を供給することにより測定信号を条件付けする。この信号利得は、そうでない場合には、プリアンプ・ノイズにより制限されるシステムの信号対雑音比を改善することができる。Vbiasが大きくなると、利得が増大する。しかし、種々の実施形態の場合には、Vbiasが増大すると、同様に、APDのキャパシタンスが低減する。Vbiasの増大によりキャパシタンスが低減すると、プリアンプの帯域幅が広くなり、バイアス依存性位相シフトが起こり、またバイアス依存性グループ遅延が起こる。さらに、APD自身の応答速度がバイアスに依存する場合があり、追加のバイアス依存性位相シフトが導入される。通常、説明を簡単にするために、APD応答時間を、プリアンプ位相シフトと一緒に考察することができる。
【0042】
図2Aは、いくつかのバイアス電圧(説明を簡単にするために中間の電圧を省略した)に対する通常のAPDおよびプリアンプ回路の位相対周波数特性である。信号経路のグループ遅延、すなわちデータ・エイジは、周波数に関する位相のマイナスの導関数として計算される。図2Bは、Vbiasに対する測定信号の平均グループ遅延の依存性を示す。Vbiasの各値に対して、平均グループ遅延は、ある範囲の測定信号周波数(4MHz〜36MHz)上に描かれている。図2Cは、20MHzの測定信号の場合のVbiasへの測定信号位相の依存性を示す。さらに、低域フィルタおよびポストアンプ・ステージは、測定信号の周波数依存性位相シフトを導入する場合がある。これらのバイアスおよび周波数に依存する影響は、以下にさらに詳細に説明するように、補償しなければならない測定誤差を導入する。
【0043】
図1Aおよび図3に戻って説明すると、光源12は、また電子処理ユニット13内の受信機40類似の光ファイバ受信機41への光ファイバ・ケーブルを介して周波数FRを有する基準信号44を送る。受信機40は、光学測定ユニット11内に図示してあり、光ファイバ受信機41は電子処理ユニット13内に図示してあるが、受信機と光ファイバ・ケーブルとのいくつかの組合わせも可能である。例えば、電子処理ユニット13は、一方は基準信号44を受信するためのものであり、他方は光学測定ユニット11から光ファイバ・ケーブルを通して送られた出力ビーム28aおよび38aを受信するためのものである、2つの光ファイバ受信機を含むことができる。
【0044】
図3を参照すると、ディジタイザ510は、アナログ測定信号42をデジタル化した信号Aに変換し、この信号を回路ライン505に送る。位相差計530は、デジタル化した信号Aを処理し、デジタル測定位相信号φmeasを計算し、この信号φmeasは、データ・エイジ訂正位相、すなわち、調整した位相信号φAを生成するために後でデータ・エイジ調整装置540により調整される。位置計算器550は、位相を蓄積し、蓄積位置
PAを出力する。デジタル・フィルタ560は、濾過した速度の値V、および調整し、濾過した位置の値Pを出力するためにPAを使用する。
【0045】
動作中、フェーズ・ロック・ループ520(PLL)は、システム内のすべてのデジタル電子機器に対してシステム・クロック信号FCを生成する。典型的な実施形態の場合には、システム・クロックおよびディジタイザ510のADCサンプリング・レートは、最も高い測定信号周波数、すなわちナイキスト・レートの2倍よりも大きい。典型的な実施形態の場合には、システム・クロック周波数は、基準周波数の整数倍である。ディジタイザ510は、測定信号42をサンプリングし、測定信号42の電圧を表すデジタル信号505を出力する。ディジタイザ510は、また、アンチエイリアシング・フィルタおよびバッファ・アンプ(図示せず)を含むこともできる。位相差計530は、離散フーリエ変換および高速フーリエ変換のような周知の方法およびヒルベルト変換位相検出装置および全デジタルPLLのような周知の装置により、デジタル信号505をデジタル測定位相信号507に変換する。
【0046】
図4を参照すると、動的データ・エイジ・ユニット700は、デジタル・フィルタまたは速度推定器(図示せず)からデータ・エイジ調整済み位置値Pおよびデータ・エイジ調整済み速度値VMを受信し、ヘテロダイン干渉システムの中央処理ユニット(CPU)(図示せず)から一定のデータ・エイジ値Cを受信する。値VMに基づいて、遅延/周波数(DF)補償値DF[VM]がDFルックアップ・テーブル701から入手される。位置値Pは、乗算器702により係数kでスケーリングされる。例えば、ある実施形態の場合には、kは1または−1に等しい。動的データ・エイジ・ユニット700は、位相調整値φOを生成するために、一定のデータ・エイジC、補償値DF[VM]およびスケーリングした位置値を合計し、合計した値にVMを掛ける。動的データ・エイジ・ユニット700は、VMおよびPの両方の値が変化した場合、すなわち再帰反射器32が移動した場合、φOの値を引き続き調整し、それによりデータ・エイジ調整装置700によりデータ・エイジの動的調整が行われる。
【0047】
図4に示すように、動的データ・エイジ・ユニット700は、2つの追加位相調整値φfおよびφbiasを計算する。動的データ・エイジ・ユニット700は、測定信号周波数に比例する測定速度値VMを受信する。
【0048】
【数2】
値VMに基づいて、補償値PF[VM]が、位相/周波数(PF)ルックアップ・テーブル703から入手される。動的データ・エイジ・ユニット700は、下式により位相調整値φfを計算する。
【0049】
【数3】
この位相調整は、例えば、受信機41で使用するポストアンプまたは低域フィルタ内の設計制限が導入する周波数依存性位相シフトを補償する。動的データ・エイジ・ユニット700は、FMの値が変化した場合、φfの値を引き続き調整する。しかし、φfの調整は、DFルックアップ・テーブル701が供給するタイプの速度に依存するデータ・エイジ
調整と同じものであることに留意されたい。それ故、ある実施形態の場合には、これら2つの補償のうちの一方だけが行われる。
【0050】
動的データ・エイジ・ユニット700は、測定速度値VMと一緒にAPDバイアス電圧値Vbiasを受信する。この電圧バイアス値Vbiasは、アナログ−デジタル・コンバータ704によりデジタル化される。ある実施形態の場合には、次に、デジタル化した電圧バイアスは、レジスタ(図示せず)に送られる。Vbiasに基づいて、遅延/バイアス(DB)補償値DB[Vbias]がルックアップ・テーブル705から入手され、位相/バイアス(PB)補償値がPB[Vbias]がルックアップ・テーブル706から入手される。PBルックアップ・テーブル706は、(FM=FRである場合の)ゼロ速度に対応する位相調整値を供給する。次に、位相調整値φbiasが下式により計算される。
【0051】
【数4】
この位相調整は、APD37のキャパシタンスの変化によるバイアス依存性位相シフトおよびグループ遅延を補償する。動的データ・エイジ・ユニット700は、VbiasおよびVMの値が変化すると、φbiasの値を引き続き調整する。
【0052】
図3に戻って説明すると、位相調整値φO、φfおよびφbiasは、1つの動的データ・エイジ値φDDAに対して結合され、データ・エイジ調整装置540に送られる。データ・エイジ調整装置540は、調整した位相値を生成するために動作する。
【0053】
【数5】
この調整した位相値は、干渉計測定信号の条件付けによる誤差を含む測定誤差をすでに補償したものである。
【0054】
本発明の多数の実施形態について説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の修正を行うことができることを理解することができるだろう。例えば、データ・エイジ調整装置は、測定した位相への別々の粗調整および微調整を行うために使用することができる。この場合、各位相調整値は、粗調整値または微調整値に分けることができる。
【0055】
さらに、種々の実施形態の場合には、意図する結果が得られる限りは、2つのかけ算器を1つのかけ算器に結合することにより、または値または加算/減算の符号を変えることにより、処理機能を再配置構成することができる。例えば、ある実施形態の場合には、一次元PBおよびDBルックアップ・テーブルは、1つの二次元テーブルとして実施される。他の実施形態の場合には、1つまたは複数の補償値は、例えば、ルックアップ・テーブルの代わりに多項式を使用して数学的に入手される。ある実施形態の場合には、補償は、例えば、複数の点間の内挿を含むより小さな一次元または二次元のテーブルのような、いくつかの方法の組合わせにより行われる。
【0056】
追加のロジックを診断またはデバッグのために補償の各部分を動作可能にし、動作不能にする目的で追加することができる。
ある実施形態の場合には、速度または周波数またはいくつかの他の中間値を、適当な修正を行って補償の計算の際に使用することができる。例えば、PBテーブルは、ゼロ周波数に対して計算した位相補償値PB0を含むことができる。補償の式は下記のようになる。
【0057】
【数6】
ある実施形態の場合には、例えば、φbias式、ルックアップ・テーブル値またはテーブル・インデックスとして使用するVbias値への調整は、例えば、複数の各測定軸で使用する個々のAPDの特性の違いを収容するための設計を較正するために行われる。
【0058】
電子処理ユニットの1つまたは複数の機能は、デジタル・コンピュータで稼働するソフトウェアとして実施することができる。
上記例の場合には、APDおよびプリアンプ回路は、条件パラメータVbiasに基づく増幅信号による測定を条件付けするために動作する。しかし、他のタイプの条件パラメータに基づく他のタイプの条件付けを使用することができる。例えば、標準可変利得アンプは、利得パラメータに基づいて条件付けを行うことができる。他のタイプの条件付けは、例えば、濾過または周波数変更を含むことができる。
【0059】
他の実施形態の場合には、上記実施形態で使用するヘテロダイン変位干渉計の代わりに他のタイプの干渉計システムを使用することができる。例えば、光学測定信号は、1つおよび/または複数のパス干渉計、受動干渉計、動的干渉計および分散干渉計のうちの任意のものを含むことができる干渉計システムにより生成することができる。さらに、ある実施形態の場合には、干渉計システムは、それぞれが、本明細書に記載したように、測定誤差を補償することができる対応する主干渉信号を生成することができる1つまたは複数の自由度を監視することができる。さらに、干渉計システムにより監視した自由度は、測定対象物への距離の変化、2つの測定対象物間の相対的距離の変化、測定対象物の角度の向きの変化、および入力ビームの向きの変化のうちの任意のものを含むことができる。
【0060】
Henry A.Hillの「入力ビームの動的干渉計制御方向(DYNAMIC INTERFEROMETER CONTROLLING DIRECTION OF INPUT BEAM)」という名称の2002年8月23日付けの米国特許出願第10/226、591号に、動的干渉計のいくつかの例が記載されている。Henry A.Hillの2002年7月29日付けの「受動ゼロ剪断干渉計(PASSIVE ZERO
SHEAR INTERFEROMETERS)」という名称の米国特許出願第10/207,314号に、受動ゼロ剪断干渉計のいくつかの例が記載されている。角度変位干渉計のいくつかの例が、両方ともHenry A.Hillの2002年8月23日付けの「入力ビームの方向を制御する動的干渉計(DYNAMIC INTERFEROMETER CONTROLLING DIRECTION OF INPUT BEAM)」という名称の米国特許出願第10/226,591号;2001年8月22日付けで、「角度感知ビーム・スプリッタを使用する受動ゼロ剪断干渉計PASSIVE ZERO
SHEAR INTERFEROMETERS USING ANGLE SENSITIVE BEAM−SPLITTERS」という名称の米国仮特許出願第60/314,345号;Henry A.HillおよびJustin Kreuzerの2002年10月15日付けの「光ビームの方向の変化を測定するための干渉計(INTERFEROMETERS FOR MEASURING CHANGES IN OPTICAL BEAM DIRECTION)」という名称の米国特許出願第10/271,034号に記載されている。別の方法としては、または追加的に、干渉計システムは、1つま
たは複数の微分角度変位干渉計を含むことができる。また、米国特許出願第10/271,034号にそのいくつかの例が記載されている。Henry A.Hillの「マルチプルパス干渉計(MULTIPLE−PASS INTERFEROMETRY)」という名称で、2003年1月28日付けの米国特許出願第10/352,616号;およびHenry A.Hillの「多軸干渉計(MULTI−AXIS INTERFEROMETER)」という名称で、2003年1月27日付けの米国特許出願第10/351,708号に2つ以上の自由度を測定し、ビーム剪断を低減するための干渉計システムのいくつかの例が記載されている。VDIBerichte Nr.749、93〜106(1989)、C.Zanoniの「距離および角度を測定するための差動干渉計装置:原理、利点および用途(Differential interferometer arrangements for distance and angle measurements: Principles, advantages and applications)」に、他の形のマルチプルパス干渉計が記載されている。Henry
A.Hill、Peter de GrootおよびFrank C.Demarestの「マルチプルパス干渉計を使用する空気の屈折率および光路長の影響を測定するための装置および方法(APPARATUS AND METHOD FOR MEASURING THE REFRACTIVE INDEX AND OPTICAL PATH LENGTH EFFECTS OF AIR USING MULTIPLE−PASS INTERFEROMETRY)」という名称の米国特許第6,219,144
B1号、およびPeter de Groot、Henry A.Hill、およびFrank C.Demarestの米国特許第6,327,039号に、二波長分散干渉計のいくつかの例が記載されている。
【0061】
処理中の量(すなわち、時間、電圧、位相、周波数、速度、位置)に対して、任意の数値表示(アナログ、デジタル、2進、10進等)または単位(ラジアン、サイクル等)を使用することができる。
【0062】
上記機能のうちのいずれかを内蔵する干渉計システムは、非常に正確な測定を行うことができる。このようなシステムは、コンピュータ・チップ等のような大規模集積回路を製造する際に使用するリソグラフィ用途の場合に特に役に立つ。リソグラフィは、半導体製造産業用に主要な技術ドライバである。オーバーレイ改善は、100nmのライン幅(設計規則)までのおよびそれ以下の5つの最も困難な難問のうちの1つである。
【0063】
オーバーレイは、ウェハおよびレチクル(またはマスク)ステージを位置決めするために使用する距離測定干渉計の性能、すなわち正確さおよび精度に直接依存する。リソグラフィ・ツールは、50〜100Mドル/年の製品を製造することができるので、性能を改善した距離測定干渉計からの経済的価値はかなりのものである。リソグラフィ・ツールの歩留まりが1%増大する度に、集積回路メーカーは約1Mドル/年の経済的利益を得ることができ、リソグラフィ・ツール販売業者は、非常に大きな競合上の利点を得ることができる。リソグラフィ・ツールの機能は、フォトレジストでコーティングしたウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を向けることである。このプロセスは、ウェハのどの位置で放射線を受けるのかを決定するステップ(位置合わせ)、およびその位置のフォトレジストに放射線を当てるステップ(露光)を含む。ウェハを正しく位置決めするために、ウェハは専用センサにより測定することができる位置合わせマークを含む。位置合わせマークの測定した位置は、ツール内のウェハの位置を示す。この情報は、ウェハ表面の所望のパターニングの仕様と一緒に、空間的にパターニングされた放射線に対してウェハを整合するのに役に立つ。このような情報に基づいて、フォトレジストでコーティングしたウェハを支持している並進可能なステージが、放射線がウェハの正しい位置を露光するようにウェハを移動する。
【0064】
露光中、放射源は、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、放射線を散乱するパターニングされたレチクルを照明する。レチクルは、マスクとも呼ばれ、以下の説明においてはこれらの用語は同じものを意味する。縮小リソグラフィの場合には、縮小レンズは、散乱放射線を集光し、レチクル・パターンの縮小した画像を形成する。別の方法としては、近接印刷の場合には、散乱放射線は、レチクル・パターンの1:1の画像を形成するためにウェハに接触する前に、短い距離(通常、数ミクロン程度)を伝搬する。放射線は、放射線パターンをレジスト内の潜像に変換するレジスト内で光化学プロセスをスタートする。
【0065】
干渉計システムは、ウェハおよびレチクルの位置を制御し、ウェハ上でレチクル画像の見当を合わせる位置決め機構の重要な構成要素である。このような干渉計システムが、上記機能を含んでいる場合には、このシステムで測定した距離の精度は、条件パラメータ依存性測定誤差(例えば、測定信号を増幅するためのAPDの使用により導入されるバイアス電圧依存性グループ遅延など)が最小になると向上する。
【0066】
通常、露光システムとも呼ぶリソグラフィ・システムは、通常、照明システムおよびウェハ位置決めシステムを含む。照明システムは、紫外線、可視光線、X線、電子放射線またはイオン放射線のような放射線を供給するための放射源、および放射線をパターニングし、それにより空間的にパターニングされた放射線を生成するためのレチクルまたはマスクを含む。さらに、縮小リソグラフィの場合には、照明システムは、空間的にパターニングされた放射線をウェハ上に画像形成するためのレンズ組立体を含むことができる。画像形成された放射線は、ウェハ上にコーティングされているレジストを露光する。照明システムは、また、マスクを支持するためのマスク・ステージと、マスクを通過した放射線に対してマスク・ステージの位置を調整するための位置決めシステムとを含む。ウェハ位置決めシステムは、ウェハおよび画像形成された放射線に対してウェハ・ステージの位置を調整するための位置決めシステムを支持するためのウェハ・ステージを含む。集積回路の製造は、複数の露光ステップを含むことができる。リソグラフィ上の通常の文献としては、J.R.SheatsおよびB.W.SmithのMicrolithography:Science and Technology(1998年、ニューヨーク、Marcel Dekker社)を参照されたい。上記文献の内容は、引用によって本明細書に組み込むものとする。
【0067】
上記機能を内蔵する干渉計システムは、レンズ組立体、放射源、または支持構造体のような露光システムの他の構成要素に対して、ウェハ・ステージおよびマスク・ステージそれぞれの位置を正確に測定するために使用することができる。このような場合、干渉計システムを、固定構造体に取り付けることができ、測定対象物を、マスク・ステージおよびウェハ・ステージの一方のような可動素子に取り付けることができる。別の方法としては、取り付けるものを逆にすることができる。すなわち、干渉計システムを可動対象物に取り付け、測定対象物を固定対象物に取り付けることができる。
【0068】
より一般的には、このような干渉計システムを、露光システムの任意の他の構成要素に対して露光システムの任意の1つの構成要素の位置を測定するために使用することができる。この場合、干渉計システムは、構成要素のうちの1つに取り付けられるか、支持され、測定対象物は、構成要素の他の物に取り付けられるか、支持される。
【0069】
図5は、干渉計システム1126を使用するリソグラフィ・スキャナ1100の一例である。上記機能を内蔵する干渉計システムは、露光システム内のウェハ(図示せず)の位置を正確に測定するために使用される。この場合、ステージ1122は、露光ステーションに対してウェハを位置決めし、支持するために使用される。スキャナ1100は、フレーム1102を含み、このフレームは、他の支持構造体およびこれら構造体上に位置する
種々の構成要素を含む。露光ベース1104は、レンズ・ハウジング1106の頂部に装着されていて、その頂部にはレチクルまたはマスクを支持するために使用するレチクルまたはマスク・ステージ1116が装着されている。露光ステーションに対してマスクを位置決めするための位置決めシステムは、素子1117により概略示してある。位置決めシステム1117は、例えば、圧電トランスジューサ素子、および対応する制御電子機器(control electronics)を含むことができる。それは、この記述した実施形態には含まれていないが、上記機能を内蔵する1つまたは複数の干渉計システムは、また、マスク・ステージおよびその位置をリソグラフィ構造体を製造するためのプロセス内で正確に監視しなければならない他の可動素子の位置を正確に測定するために使用することができる(SheatsおよびSmithのMicrolithography:Science and Technology参照)。
【0070】
露光ベース1104の下には、ウェハ・ステージ1122を含む支持ベース1113が垂れ下がっている。ステージ1122は、干渉計システム1126によりステージの方に向けられた測定ビーム1154を反射するための平面ミラー1128を含む。干渉計システム1126に対してステージ1122を位置決めするための位置決めシステムを、素子1119により概略示す。位置決めシステム1119は、例えば、圧電トランスジューサ素子および対応する制御電子機器を含むことができる。測定ビームは、露光ベース1104上に装着している干渉計システムの方向に反射する。干渉計システムは、上記実施形態のうちの任意のものであってもよい。
【0071】
動作中、例えば、UVレーザ(図示せず)からの紫外線(UV)ビームのような放射ビーム1110は、ビーム整形光学系組立体1112を通過し、ミラー1114で反射した後で下方に移動する。その後で、放射ビームは、マスク・ステージ1116が支持しているマスク(図示せず)を通過する。マスク(図示せず)は、レンズ・ハウジング1106内に位置するレンズ組立体1108を介してウェハ・ステージ1122上のウェハ(図示せず)上に画像形成される。ベース1104およびそれにより支持されている種々の構成要素は、スプリング1120で示す制振システムにより外部の振動から絶縁される。
【0072】
リソグラフィ・スキャナの他の実施形態の場合には、1つまたは複数の上記干渉計システムを、例えば、ウェハおよびレチクル(またはマスク)ステージを含むがこれらに限定されない関連する複数の軸および角度に沿って距離を測定するために使用することができる。また、UVレーザ・ビームではなく、例えば、X線ビーム、電子ビーム、イオン・ビームおよび可視光線を含む他のビームも、ウェハを露光するために使用することができる。
【0073】
ある実施形態の場合には、リソグラフィ・スキャナは、当業者が列参照(column
reference)と呼んでいるものを含むことができる。このような実施形態の場合には、干渉計システム1126は、例えば、レンズ・ハウジング1106のような放射ビームをある方向に向けるある構造体上に装着されている基準ミラー(図示せず)と接触する外部基準経路に沿って参照ビーム(図示せず)をある方向に向ける。基準ミラーは、干渉計システムの方向へ参照ビームを反射する。干渉計システム1126により生成された干渉信号は、ステージ1122から反射した測定ビーム1154とレンズ・ハウジング1106上に装着している基準ミラーから反射した参照ビームを結合した場合に、放射ビームに対するステージの位置の変化を示す。さらに、他の実施形態の場合には、干渉計システム1126は、スキャナ・システムのレチクル(またはマスク)ステージ1116または他の可動構成要素の位置の変化を測定するように設置することができる。最後に、干渉計システムは、スキャナの他にまたはスキャナではなくステッパを含むリソグラフィ・システムと一緒に類似の方法で使用することができる。
【0074】
当業者であれば周知のように、リソグラフィは、半導体デバイスを製造するための製造方法の重要な部分である。例えば、米国特許第5,483,343号に、このような製造方法のためのステップが概略記載されている。これらのステップについては、図6および図7を参照しながら以下に説明する。図6は、半導体チップ(例えば、ICまたはLSI)、液晶パネルまたはCCDのような半導体デバイスを製造するためのシーケンスのフローチャートである。ステップ1151は、半導体デバイスの回路を設計するための設計プロセスである。ステップ1152は、回路パターン設計に基づいてマスクを製造するためのプロセスである。ステップ1153は、シリコンのような材料を使用してウェハを製造するためのプロセスである。
【0075】
ステップ1154は、前プロセスと呼ばれるウェハ・プロセスである。この場合、このように準備されたマスクおよびウェハを使用して、リソグラフィによりウェハ上に回路が形成される。十分な空間分解能でマスク上のこれらのパターンに対応するウェハ上の回路を形成するために、ウェハに対するリソグラフィ・ツールの干渉計による位置決めが必要である。本明細書に記載する干渉計による方法およびシステムは、ウェハ・プロセス中に使用するリソグラフィの効果を改善するのに特に役に立つ。
【0076】
ステップ1155は、後プロセスと呼ばれる組立てステップである。この場合、ステップ1154で処理されたウェハが、半導体チップ内に形成される。このステップは、組立て(ダイシングおよびボンディング)およびパッケージング(チップの密封)を含む。ステップ1156は、検査ステップであり、ステップ1155により製造された半導体デバイスの動作性チェック、耐久性チェック等が行われる。これらのプロセスにより、半導体デバイスが仕上げられ、出荷される(ステップ1157)。
【0077】
図7は、ウェハ・プロセスの詳細を示すフローチャートである。ステップ1161は、ウェハの表面を酸化するための酸化プロセスである。ステップ1162は、ウェハ表面上に絶縁フィルムを形成するためのCVDプロセスである。ステップ1163は、蒸着によりウェハ上の電極を形成するための電極形成プロセスである。ステップ1164は、ウェハにイオンを注入するためのイオン注入プロセスである。ステップ1165は、ウェハにレジスト(感光材料)を塗布するためのレジスト・プロセスである。ステップ1166は、露光(すなわち、リソグラフィ)により、上記露光装置によりウェハ上にマスクの回路パターンを印刷するための露光プロセスである。この場合も、すでに説明したように、本明細書に記載する干渉計システムおよび方法を使用すれば、このようなリソグラフィ・ステップの精度および分解能が改善する。ステップ1167は、露光したウェハを現像するための現像プロセスである。ステップ1168は、現像したレジスト画像以外の部分を除去するためのエッチング・プロセスである。ステップ1169は、エッチング・プロセスを行った後で、ウェハ上に残っているレジスト材料を分離するための分離プロセスである。これらのプロセスを反復することにより、回路パターンが形成され、ウェハ上に重畳される。
【0078】
上記干渉計システムは、また、対象物の相対位置を正確に測定しなければならない他の用途にも使用することができる。例えば、レーザ、X線、イオン・ビームまたは電子ビームのような書込みビームが、基板またはビームが移動した場合に、基板上のパターンをマークする用途の場合には、干渉計システムを、基板と書込みビーム間の相対移動を測定するために使用することができる。
【0079】
一例として、図8は、ビーム書込みシステム1200の略図を示す。ビーム源1210は、書込みビーム1212を生成し、ビーム集束組立体(beam focusing assembly)1214は、放射ビームを可動ステージ1218により支持されている基板1216に向ける。ステージの相対位置を決定するために、上記機能を内蔵する干
渉計システム1220は、参照ビーム1222をビーム集束組立体1214上の装着されているミラー1224に向け、測定ビーム1226をステージ1218上に装着されているミラー1228に向ける。参照ビームはビーム集束組立体上に装着されているミラーと接触するので、ビーム書込みシステムは列参照を使用するシステムの一例である。干渉計システム1220は、すでに説明した干渉計システムのうちの任意のものであってもよい。干渉計システムが測定した位置の変化は、基板1216上の書込みビーム1212の相対位置の変化に対応する。干渉計システム1220は、コントローラ1230に、基板1216上の書込みビーム1212の相対位置を示す測定信号1232を送る。コントローラ1230は、ステージ1218を支持し、位置決めするベース1236に出力信号1234を送る。さらに、コントローラ1230は、書込みビームが、基板の選択した位置のところだけに光物理的または光化学的変化を引き起こすのに十分な輝度で基板に接触するように、書込みビーム1212の輝度を変化させ、または阻止するために、放射源1210に信号1238を送る。
【0080】
さらに、ある実施形態の場合には、コントローラ1230は、ビーム集束組立体1214に、例えば、信号1244により基板のある領域上を書込みビームで走査させることができる。その結果、コントローラ1230は、基板をパターニングするために、システムの他の構成要素に指示を与える。このパターニングは、通常、コントローラ内に格納している電子設計パターンに基づいて行われる。ある用途の場合には、書込みビームは、基板上にコーティングされているレジストをパターニングし、他の用途の場合には、書込みビームは、基板を直接パターニングする、例えば、エッチングする。
【0081】
このようなシステムの重要な用途は、すでに説明したリソグラフィ方法で使用するマスクおよびレチクルの製造である。例えば、リソグラフィ・マスクを製造するために、クロムでコーティングしたガラス基板をパターニングするために電子ビームを使用することができる。書込みビームが電子ビームである場合には、ビーム書込みシステムは、真空内で電子ビーム経路を囲む。また、書込みビームが電子ビームまたはイオン・ビームである場合には、ビーム集束組立体は、真空下の基板上に荷電粒子の焦点をあわせ、向けるために、四重極レンズのような電界発生装置を含む。書込みビームが、例えば、X線、UVまたは可視光のような放射ビームである場合には、ビーム集束組立体は、基板に放射線の焦点を合わせ、向けるための対応する光学系を含む。
【0082】
本発明の多数の実施形態について説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、多くの修正を行うことができることを理解することができるだろう。それ故、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1A】干渉計システムのある実施形態のブロック図。
【図1B】干渉計システムのある実施形態のもう1つのブロック図。
【図2A】いくつかの電子アバランシェ・フォトダイオード・バイアス電圧の位相対周波数特性のグラフ。
【図2B】平均グループ遅延対バイアス電圧のグラフ。
【図2C】位相対バイアス電圧のグラフ。
【図3】電子処理ユニットのある実施形態のブロック図。
【図4】動的データ・エイジ・ユニットのある実施形態のブロック図。
【図5】本明細書に記載の干渉計システムを含み、集積回路を製造する際に使用するリソグラフィ・システムの略図。
【図6】集積回路を製造するためのステップを示すフローチャート。
【図7】集積回路を製造するための他のステップを示すフローチャート。
【図8】本明細書に記載する干渉計システムを含むビーム書込みシステムの略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計からの測定信号の条件付けを含む方法であって、前記条件付けが、下記の条件パラメータ、すなわち、
前記条件下測定信号に対する複数の値の測定、
前記条件パラメータを示す1つまたは複数の値の供給、
前記条件パラメータを示す測定値のうちの1つまたはそれ以上に基づいて、前記条件下測定信号の測定した各値のところの調整値の決定、
前記調整値による前記測定信号の測定値の調整
のうちの1つまたはそれ以上を特徴とする方法。
【請求項2】
前記調整値が、前記条件付けによる測定誤差を補償するように決定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定誤差が、データ・エイジを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定誤差が、グループ遅延を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記測定誤差が、位相シフトを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記測定誤差が、検出装置遅延を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記測定信号の前記条件付けが、前記信号の可変増幅を含み、前記増幅が前記条件パラメータにより変わる請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記可変増幅が、アバランシェ・フォトダイオードにより行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記測定誤差が、前記増幅により導入された誤差を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記調整値が、1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記調整値が、1つまたは複数の数式により決定される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記調整値が、1つまたは複数の数式および1つまたは複数のルックアップ・テーブルにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
干渉計からの光学測定信号を検出し、前記光学測定信号を電気測定信号に変換し、1つまたは複数の条件パラメータに基づいて前記電気測定信号を条件付けするように構成される受信機ユニットと、
前記受信機ユニットと結合し、(i)前記条件付けされた信号に対する複数の値を測定し、(ii)前記条件パラメータを示す1つまたは複数の値を受信し、(iii)前記条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、前記条件付けされた信号の測定した各値のところの調整値を決定し、(iv)前記調整値により前記測定信号の測定値を調整するように構成される電子処理ユニットを含む装置。
【請求項14】
前記電子処理ユニットが、データ・エイジ調整装置を備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電子処理ユニットが、動的データ・エイジ・ユニットを含む請求項14に記載の装置
。
【請求項16】
前記調整値が、前記条件付けによる測定誤差を補償するように決定される請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記受信機ユニットが、アバランシェ・フォトダイオードを含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記条件パラメータが、前記アバランシェ・フォトダイオードに印加されるバイアス電圧を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記アバランシェ・フォトダイオードの1つまたは複数の電気的特性が、前記バイアス電圧により変わる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記アバランシェ・フォトダイオードのキャパシタンスが、前記バイアス電圧により変わる請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記アバランシェ・フォトダイオードの前記電気的特性のバイアス依存性が、バイアス依存性測定誤差を導入する請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記受信機ユニットが、さらに、増幅回路を備える請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記増幅回路の1つまたは複数の電気的特性が、前記バイアス電圧より変わる請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記増幅回路の前記電気的特性のバイアス依存性変化が、バイアス依存性測定誤差を導入する請求項23に記載の装置。
【請求項25】
1つまたは複数の光学測定信号を生成するように構成される干渉計であって、各測定信号が参照ビームおよび測定ビームの光路長の差に対応する干渉計と、
請求項13に記載の前記装置と、を備える干渉計システム。
【請求項26】
前記干渉計がヘテロダイン・タイプである請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記測定信号が、1つまたは複数の測定対象物の位置を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記測定信号が、1つまたは複数の測定対象物の光学的特性を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記測定信号が、1つまたは複数の角度変位を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記光学的特性が、分散を含む請求項28に記載の装置。
【請求項31】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ・システムであって、
前記ウェハを支持するためのステージと、
前記ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するための照明システムと、
前記画像形成した放射線に対して前記ステージの位置を調整するための位置決めシステムと、
前記干渉計が前記画像形成された放射線に対して前記ウェハの位置を監視するように構成される請求項27に記載の装置を含むリソグラフィ・システム。
【請求項32】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ・システムであって、
前記ウェハを支持するためのステージと、
放射源、マスク、位置決めシステム、レンズ組立体、および請求項27に記載の前記装置を含む照明システムと、を備え、
動作中、前記放射源が、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、前記マスクを通して放射線をある方向に向け、前記位置決めシステムが、前記放射源からの前記放射線に対する前記マスクの位置を調整し、前記レンズ組立体が、前記ウェハ上に前記空間的にパターニングされた放射線を画像形成し、前記干渉計が、前記放射源から前記放射線に対する前記マスクの位置を監視するリソグラフィ・システム。
【請求項33】
リソグラフィ・マスクを製造する際に使用するためのビーム書込みシステムであって、
基板をパターニングするために書込みビームを供給する放射源と、
前記基板を支持するステージと、
前記基板に前記書込みビームを照射するためのビーム方向付け組立体と、
相互に前記ステージおよびビーム方向付け組立体を位置決めするための位置決めシステムと、
前記干渉計システムが、前記ビーム方向付け組立体に対する前記ステージの位置を監視するように構成される請求項27に記載の装置とを備えるビーム書込みシステム。
【請求項34】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ方法であって、
可動ステージ上に前記ウェハを支持するステップと、
前記ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、
前記ステージの位置を調整するステップと、
請求項27に記載の装置により前記ステージの位置を監視するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項35】
集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ方法であって、
空間的にパターニングされた放射線を生成するためにマスクを通して入力放射線をある方向に向けるステップと、
前記入力放射線に対して前記マスクを位置決めするステップと、
請求項27に記載の装置により前記入力放射線に対する前記マスクの位置を監視するステップと、
ウェハ上に前記空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項36】
ウェハ上に集積回路を製造するためのリソグラフィ方法であって、
前記ウェハを空間的にパターニングされた放射線に露光するために、リソグラフィ・システムの第2の構成要素に対してリソグラフィ・システムの第1の構成要素を位置決めするステップと、
請求項27に記載の装置により前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の位置を監視するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項37】
集積回路を製造するための方法であって、請求項34に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項38】
集積回路を製造するための方法であって、請求項35に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項39】
集積回路を製造するための方法であって、請求項36に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項40】
集積回路を製造するための方法であって、請求項31に記載のリソグラフィ・システムを使用するステップを含む方法。
【請求項41】
集積回路を製造するための方法であって、請求項32に記載のリソグラフィ・システムを使用するステップを含む方法。
【請求項42】
リソグラフィ・マスクを製造するための方法であって、
基板をパターニングするために前記基板に書込みビームを向けるステップと、
前記書込みビームに対して前記基板を位置決めするステップと、
請求項27に記載のシステムにより、前記書込みビームに対する前記基板の位置を監視するステップと、を含む方法。
【請求項1】
干渉計からの測定信号の条件付けを含む方法であって、前記条件付けが、下記の条件パラメータ、すなわち、
前記条件下測定信号に対する複数の値の測定、
前記条件パラメータを示す1つまたは複数の値の供給、
前記条件パラメータを示す測定値のうちの1つまたはそれ以上に基づいて、前記条件下測定信号の測定した各値のところの調整値の決定、
前記調整値による前記測定信号の測定値の調整
のうちの1つまたはそれ以上を特徴とする方法。
【請求項2】
前記調整値が、前記条件付けによる測定誤差を補償するように決定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定誤差が、データ・エイジを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定誤差が、グループ遅延を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記測定誤差が、位相シフトを含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記測定誤差が、検出装置遅延を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記測定信号の前記条件付けが、前記信号の可変増幅を含み、前記増幅が前記条件パラメータにより変わる請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記可変増幅が、アバランシェ・フォトダイオードにより行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記測定誤差が、前記増幅により導入された誤差を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記調整値が、1つまたは複数のルックアップ・テーブルから決定される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記調整値が、1つまたは複数の数式により決定される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記調整値が、1つまたは複数の数式および1つまたは複数のルックアップ・テーブルにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
干渉計からの光学測定信号を検出し、前記光学測定信号を電気測定信号に変換し、1つまたは複数の条件パラメータに基づいて前記電気測定信号を条件付けするように構成される受信機ユニットと、
前記受信機ユニットと結合し、(i)前記条件付けされた信号に対する複数の値を測定し、(ii)前記条件パラメータを示す1つまたは複数の値を受信し、(iii)前記条件パラメータを示す1つまたは複数の測定値に基づいて、前記条件付けされた信号の測定した各値のところの調整値を決定し、(iv)前記調整値により前記測定信号の測定値を調整するように構成される電子処理ユニットを含む装置。
【請求項14】
前記電子処理ユニットが、データ・エイジ調整装置を備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電子処理ユニットが、動的データ・エイジ・ユニットを含む請求項14に記載の装置
。
【請求項16】
前記調整値が、前記条件付けによる測定誤差を補償するように決定される請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記受信機ユニットが、アバランシェ・フォトダイオードを含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記条件パラメータが、前記アバランシェ・フォトダイオードに印加されるバイアス電圧を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記アバランシェ・フォトダイオードの1つまたは複数の電気的特性が、前記バイアス電圧により変わる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記アバランシェ・フォトダイオードのキャパシタンスが、前記バイアス電圧により変わる請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記アバランシェ・フォトダイオードの前記電気的特性のバイアス依存性が、バイアス依存性測定誤差を導入する請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記受信機ユニットが、さらに、増幅回路を備える請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記増幅回路の1つまたは複数の電気的特性が、前記バイアス電圧より変わる請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記増幅回路の前記電気的特性のバイアス依存性変化が、バイアス依存性測定誤差を導入する請求項23に記載の装置。
【請求項25】
1つまたは複数の光学測定信号を生成するように構成される干渉計であって、各測定信号が参照ビームおよび測定ビームの光路長の差に対応する干渉計と、
請求項13に記載の前記装置と、を備える干渉計システム。
【請求項26】
前記干渉計がヘテロダイン・タイプである請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記測定信号が、1つまたは複数の測定対象物の位置を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記測定信号が、1つまたは複数の測定対象物の光学的特性を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記測定信号が、1つまたは複数の角度変位を特徴付ける請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記光学的特性が、分散を含む請求項28に記載の装置。
【請求項31】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ・システムであって、
前記ウェハを支持するためのステージと、
前記ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するための照明システムと、
前記画像形成した放射線に対して前記ステージの位置を調整するための位置決めシステムと、
前記干渉計が前記画像形成された放射線に対して前記ウェハの位置を監視するように構成される請求項27に記載の装置を含むリソグラフィ・システム。
【請求項32】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ・システムであって、
前記ウェハを支持するためのステージと、
放射源、マスク、位置決めシステム、レンズ組立体、および請求項27に記載の前記装置を含む照明システムと、を備え、
動作中、前記放射源が、空間的にパターニングされた放射線を生成するために、前記マスクを通して放射線をある方向に向け、前記位置決めシステムが、前記放射源からの前記放射線に対する前記マスクの位置を調整し、前記レンズ組立体が、前記ウェハ上に前記空間的にパターニングされた放射線を画像形成し、前記干渉計が、前記放射源から前記放射線に対する前記マスクの位置を監視するリソグラフィ・システム。
【請求項33】
リソグラフィ・マスクを製造する際に使用するためのビーム書込みシステムであって、
基板をパターニングするために書込みビームを供給する放射源と、
前記基板を支持するステージと、
前記基板に前記書込みビームを照射するためのビーム方向付け組立体と、
相互に前記ステージおよびビーム方向付け組立体を位置決めするための位置決めシステムと、
前記干渉計システムが、前記ビーム方向付け組立体に対する前記ステージの位置を監視するように構成される請求項27に記載の装置とを備えるビーム書込みシステム。
【請求項34】
ウェハ上に集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ方法であって、
可動ステージ上に前記ウェハを支持するステップと、
前記ウェハ上に空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、
前記ステージの位置を調整するステップと、
請求項27に記載の装置により前記ステージの位置を監視するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項35】
集積回路を製造する際に使用するためのリソグラフィ方法であって、
空間的にパターニングされた放射線を生成するためにマスクを通して入力放射線をある方向に向けるステップと、
前記入力放射線に対して前記マスクを位置決めするステップと、
請求項27に記載の装置により前記入力放射線に対する前記マスクの位置を監視するステップと、
ウェハ上に前記空間的にパターニングされた放射線を画像形成するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項36】
ウェハ上に集積回路を製造するためのリソグラフィ方法であって、
前記ウェハを空間的にパターニングされた放射線に露光するために、リソグラフィ・システムの第2の構成要素に対してリソグラフィ・システムの第1の構成要素を位置決めするステップと、
請求項27に記載の装置により前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の位置を監視するステップと、を含むリソグラフィ方法。
【請求項37】
集積回路を製造するための方法であって、請求項34に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項38】
集積回路を製造するための方法であって、請求項35に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項39】
集積回路を製造するための方法であって、請求項36に記載のリソグラフィ方法を含む方法。
【請求項40】
集積回路を製造するための方法であって、請求項31に記載のリソグラフィ・システムを使用するステップを含む方法。
【請求項41】
集積回路を製造するための方法であって、請求項32に記載のリソグラフィ・システムを使用するステップを含む方法。
【請求項42】
リソグラフィ・マスクを製造するための方法であって、
基板をパターニングするために前記基板に書込みビームを向けるステップと、
前記書込みビームに対して前記基板を位置決めするステップと、
請求項27に記載のシステムにより、前記書込みビームに対する前記基板の位置を監視するステップと、を含む方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2009−517693(P2009−517693A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543392(P2008−543392)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045555
【国際公開番号】WO2007/064643
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045555
【国際公開番号】WO2007/064643
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
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