電子装置の製造方法
【課題】環境負荷が小さく低コストで、150℃以上の高温下で長時間使用しても接続信頼性を維持できる電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】電子装置のはんだ接続部1において、基板5の電極となるCu層上にNiめっき層3が形成され、はんだボールを構成し、かつ室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだ8との間に化合物層2を有する。化合物層2はCu6Sn5相がNiめっき上に析出あるいは移動してバリア層を形成し、界面反応を抑制する。
【解決手段】電子装置のはんだ接続部1において、基板5の電極となるCu層上にNiめっき層3が形成され、はんだボールを構成し、かつ室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだ8との間に化合物層2を有する。化合物層2はCu6Sn5相がNiめっき上に析出あるいは移動してバリア層を形成し、界面反応を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境下において接続界面の劣化を抑止可能な電子装置、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、燃料電池車といった自動車の電子化に伴い、車載電子部品が増加している。特にエンジン周りに配置される電子部品は、150℃以上の高温化に長時間さらされるため、通常よりも厳しい高温環境下での信頼性が要求される。鉛フリーはんだとして、融点200℃以上のSn-3Ag-0.5Cu等のSn系中温はんだが広く用いられているが、150℃以上の使用環境で長時間保持すると、接続界面で界面反応が進み、ボイドの形成および金属間化合物層の成長等により、接続信頼性が低下する問題がある。
【0003】
また、近年の高密度実装に伴い、電子部品のサイズの微小化に伴い、接続部がより微細化してきている。この場合、接続界面に形成される金属間化合物層が接続部において占める割合はより高くなり、接続部の信頼性、電気特性、熱特性が界面反応によって大きく劣化すると考えられる。これらの問題を解決するために、界面反応を抑制するための検討が世界中で行われている。
【0004】
Sn系はんだの界面反応を抑制する手法としては、特許文献1に、Cu:0.1〜2重量%、Ni:0.002〜1重量%、残部SnからなるSn系はんだを使用することによって、Cuの添加により被接続材のCu食われを抑止すると同時に、Ni添加により接続界面におけるCu6Sn5、Cu3Sn等の金属間化合物の成長を抑制することが可能であることが報告されている。また、特許文献2には、はんだバンプ形成において、被接続材表面に、Sn系はんだと反応して金属間化合物を形成する2種類の金属層を設けて、そこにSn系はんだボールを接続することで、接続界面にSnを含む2〜3種の元素からなる金属間化合物層を薄く形成することにより、界面反応を抑制することが可能であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3152945号
【特許文献2】特開2002−280417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来技術においては、以下の点について配慮がなされておらず、接続界面の十分な界面反応抑制ができなかった。
【0007】
特許文献1の場合、Ni添加により界面反応は抑制されるものの、Cu6Sn5、Cu3Snが常に化合物層を形成するCuとSn系はんだが接しているため、150℃以上の高温下で長時間さらされた場合、Cu-Sn化合物が成長していき信頼性が低下するおそれがある。
【0008】
一方、特許文献2の場合、はんだ最近接に形成された第1の金属間化合物層が、Sn系はんだと第1の金属間化合物層下に形成された第2の金属層のバリア層となるため、界面反応抑制効果は大きいと考えられる。しかしながら、2種類の金属層を設けるため、めっき工程が増加する、選択的に局所めっきをすることが高コストになる、電極を設けることができない構造の場合は金属層形成が困難になる等の問題がある。また、接続面最表面に形成された金属層を接続時にSn系はんだと反応させてバリア層とする必要があるため、最表面に形成された金属層が厚いと、接続時に未反応の最表面金属層が残存してしまいバリア層の効果が十分に得られないこと、完全に最表面金属層を反応させるのに接続時間を長くする等のプロセスの調整が必要となること、といった問題が生じる可能性がある。一方、最表面の金属層が薄い場合、界面反応を抑制するためのバリア層が薄くなり、150℃以上の高温下では十分に界面反応を抑制できないおそれがある。
【0009】
本発明は、環境負荷が小さく低コストで、150℃以上の高温下で長時間使用しても接続信頼性を維持できる電子装置およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次の通りである。本発明は、基板上の電極の上にSn系はんだ接続材料を配置する配置工程と、前記基板及びSn系はんだ接続材料とを加熱し、前記電極と電気的に接続されたSn系はんだ接続部を形成する加熱工程とを有する電子機器の製造方法において、前記電極上にはNi系層が形成されており、前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料は、当該Ni系層上に配置され、前記加熱工程では、前記Sn系はんだ接続材料中のCu-Sn化合物が前記Ni系層の表面に析出または移動し、前記Sn系はんだ接続部と前記Ni系層とが互いに接しないようにするCu-Sn化合物層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、環境負荷が小さく低コストで、150℃以上の高温下で長時間使用しても接続信頼性を維持できる電子装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電子装置の第一の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る電子装置の第二の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る電子装置のはんだボールの形態によるはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る電子装置のダイボンドによるはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図5】Ni層上にCu層を形成した後、Sn系はんだで接続した場合のはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る電子装置の第三の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る電子装置の第四の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明のはんだ接続部の第一の形成工程を模式的に示す図である。
【図9】本発明のはんだ接続部の第二の形成工程を模式的に示す図である。
【図10】本発明のはんだ接続部の第三の形成工程を模式的に示す図である。
【図11】本発明のはんだ接続部の第四の形成工程を模式的に示す図である。
【図12】本発明のはんだ接続部の第五の形成工程を模式的に示す図である。
【図13】本発明のはんだ接続部の第六の形成工程を模式的に示す図である。
【図14】Cu-Sn2元系状態図である。
【図15】高温放置試験後の接合界面の第一のSEM写真である。
【図16】接合界面のボイド形成状況を模式的に示す第一の断面図である。
【図17】接合界面のボイド形成状況を模式的に示す第二の断面図である。
【図18】高温放置試験後の接合界面の第二のSEM写真である。
【図19】本発明に係る電子装置のはんだ接続部の形成工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る電子装置は、基板等の被接続材のNi系層が施された電極に対し、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだを供給して得られたはんだ接続部を有する電子装置である。
【0014】
具体例として、本発明に係る電子装置の第一の実施形態は、図1に記載の通り、基板5と、前記基板の第一の面にはんだボールの形態からなる複数の第一のはんだ接続部1と、前記基板の第一の面の裏面に第二のはんだ接続部9を介して接続された表面実装部品101と半導体素子102とチップ部品103とを有して構成されるものである。
【0015】
ここで、前記第一のはんだ接続部1は、図3に記載の通り、基板5の電極となるCu層4の上であって、前記Cu層の一部を露出するように設けられたレジスト7の該露出部分にめっきにより設けられたNi系めっき層3と、はんだボールを構成するSn系はんだ8と、の間に化合物層2を有することを特徴とする。当該化合物層2は、Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とするものであり、バリア層として界面反応を抑制しうるため、150℃以上の高温下に長時間さらされても、接続界面の化合物層の成長およびそれにともなうボイド形成等を抑制し、接続信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0016】
これは、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだ接続材料を用いて接続した場合、はんだが溶融して凝固する際に、はんだ中のCu6Sn5相がNi系めっき上に能動的に析出あるいは移動してバリア層を形成したものである。
【0017】
一般的に、はんだボールと電極界面に金属間化合物層が厚く成長するとカーケンダルボイド等により耐衝撃性が低下することが知られているが、本発明により形成された化合物層の大部分は上記の通り凝固時に析出あるいは移動してできたものであるため、界面反応に伴うボイドはほとんど形成されず、良好な耐衝撃性を得ることができる。
【0018】
また、本発明では被接続材に少なくともNi、Ni-P、Ni-B等のNi系めっきを用いるだけでよいため、上記特許文献2のように2種類の金属層を設ける必要はなく、工程数が少なく、低コスト化を実現することができる。さらに、(Cu,Ni)-Sn化合物を主体とするバリア層の厚さは、はんだに含まれるCu-Sn化合物量に依存し、はんだに含まれるCu-Sn化合物量が多いほどバリア層は厚くなる。そのため、はんだボールの大きさに合わせて、適正な組成のはんだボールを用いることができ、(Cu,Ni)-Sn化合物主体のバリア層の厚さを自由に制御することが可能となる。また、接続後のはんだボール中にCu6Sn5相が残っていてもよく、高温下使用時に、カーケンダルボイド等の発生なしにバリア層がより厚くなっていくことになり、より接続信頼性の優れた電子装置を実現することができる。
【0019】
なお、特許文献2の手法のごとく、被接続材表面のNiめっき上にさらにCu層を予め形成し、Sn系はんだと接続してもCu-Sn化合物層は形成されうるが、反応により化合物層を形成しているため、上記したカーケンダルボイド等の問題がある他、図5に示すようにはんだ接続部以外にCu層が残存することとなり、高温放置による酸化、湿度による腐食が生じやすくなるという問題を有する。本発明では、Cu-Sn化合物であるCu6Sn5がNi系めっき上に析出あるいは移動してバリア層が形成されるため、被接続材表面にCu層等他の単体金属の層を設けておく必要がなく、図4に示すように、接続後に化合物層が形成された領域以外にCu層等の他の単体金属層が露出することもないため、上記問題は起こりえない。
【0020】
また、本実施形態においては、基板5上に表面実装部品101、半導体素子102、チップ部品103の全てが実装された例を示したが、これに限られず、いずれかが欠けていても、また複数個ずつあっても構わない。
【0021】
次に、本発明に係る電子装置の第二の実施形態について、図2を用いて説明する。本実施形態は、基板5と、前記基板の第一の面にはんだボールの形態からなる複数の第一のはんだ接続部1と、前記基板の第一の面の裏面に、はんだボールの形態からなる複数の第二のはんだ接続部9を介して実装された半導体素子102と、当該第二のはんだ接続部9を埋めるアンダーフィル6と、前記基板の第一の面の裏面上を覆うモールド樹脂20とを有して構成されるものである。
【0022】
本実施の形態の場合も、第一のはんだ接続部1は、第一の実施の形態と同様、図3のようなの構成をとるものであり、Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物主体のバリア層2により、150℃以上の高温下に長時間さらされても接続界面における化合物層の成長が抑制され、接続信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0023】
ここで、第一の実施形態及び第二の実施形態では、第一のはんだ接続部1のみに対して、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだを供給して得られたはんだ接続部を用いる例を示したが、これに限られず、第二のはんだ接続部9についてもこれを用いても構わない。もちろん、第二のはんだ接続部9については、一般的な高温はんだを用いたものであっても、導電性接着剤を用いたものであっても構わない。
【0024】
次に、本発明に係る電子装置の第三の実施形態として、図6を用い、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだをペーストとして用いて電子部品を基板に実装した例を示す。
【0025】
本実施の形態は、基板5と、前記基板の第一の面にはんだペーストの形で供給されて接続された第一のはんだ接続部1を介してそれぞれ実装された表面実装部品101と、半導体素子103と、挿入実装部品104とを有して構成される。これも他の実施の形態と同様に、第一のはんだ接続部1のはんだ部分と、基板5の電極であるCu層上Ni系めっき層と、の間にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物が主体となった化合物層によるバリア層を形成した構成をとるため、高温下でも接続信頼性の高い電子装置を実現することができる。
【0026】
ただし、本実施形態の場合、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだをペーストとして提供するため、電子部品の実装はリフロー炉等が用いられる。この際、前記はんだペーストは、液相線温度近傍で良好な濡れが確保できることが必要であるため、未溶融のCu6Sn5相が20%以下含まれるSn系はんだペーストを用いることが望ましい。これを超えると、はんだの流動性が悪くなり、ボイド、未濡れ等が発生する恐れがあるからである。
【0027】
次に、本発明に係る電子装置の第四の実施形態は、図7に示す通り、Ni系めっきを施したフレーム17と、前記フレームにはんだ箔の形で供給されて接続された第一のはんだ接続部1を介して実装された半導体素子102と、前記半導体素子102の電極とボンディングワイヤ15を介して電気的に接続されたリード16と、前記半導体素子102を少なくとも覆うように設けられたモールド樹脂20とを有して構成されるものである。他の実施形態と同様、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだ箔を用いて接続されるため、Cu6Sn5相がNi系めっき上に析出あるいは移動してCu-Sn化合物やNi-Sn化合物を主体としたバリア層ができ、高温使用下においても界面反応進行による特性劣化を防ぐことができる。特に、半導体素子102のような発熱が大きい製品では、発熱時に接続部が高温になるため本発明に係る構造が有効となる。
【0028】
以上、本発明に係る電子装置の実施形態について幾つか示したが、これに限られるものではなく、車載用のパワー半導体等のエンジン周辺に配置される電子装置、その他の電子装置についても適用できる。また、微小接続部において本発明を適用した場合、使用時の化合物成長を抑制できるため、接続部の信頼性、電気伝導、熱伝導の変動を抑制することができる。
【0029】
また、上記実施形態において、Sn系はんだは、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだの範囲内であればよく、Sn-Cu系はんだ、、Sn-Ag-Cu系はんだ、Sn-Ag-Cu-Bi-In系はんだ、Sn-Ag-Cu-In系はんだ、Sn-Zn系はんだ、Sn-Bi系はんだ、Sn-In系はんだ等を用いてもよい。これらでレベリングを行い、電子部品を実装した電子装置を提供することも可能である。具体的には、これらを第一の実施形態又は第二の実施形態に示すような構造における温度階層接続に適宜用いることも可能である。予め実装基板に、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをレベリングしておくことにより、リフローはんだ付けに一般的に用いられるSn-Ag-Cu系はんだ等で接続しても、Niめっき上にCu-Sn化合物を主体としたバリア層が形成でき、界面反応抑制効果を得ることができる。
【0030】
さらに、上記実施形態においては、いずれもNi系めっき層を例にとって示したが、これに限られるものではなく、めっきによらず他の手法を用いて形成されたNi系層でもよい。また、Ni系層としてはNi、Ni-P、Ni-B等を用いることができるがこれに限られず、その上にAu、Ag、Pdのうちの少なくとも1つのめっき等により施してもよい。例えば、AuめっきやAgめっきを施すことにより、濡れを向上させることが可能である。なお、この場合、AuやAgのめっき層は接続時にはんだ内部に全て拡散させることにより、下地のNi系めっき上にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とするバリア層を形成させることができ、同様に界面反応抑制効果が得られる。
【0031】
次に、上記した電子装置の製造方法について、特にそのはんだ接続部の製造方法に着目して説明する。
【0032】
図8、図9、図10は、いずれもはんだボールとして形成されるはんだ接続部1の製法について示したものである。
【0033】
図8は、供給はんだがはんだボール10の場合を示すものであり、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相2を含有するSn系はんだボール10を、Cu電極4上のNi系めっき層3上に供給して加熱することにより、Cu6Sn5相が能動的にNi系めっき層3の上に析出あるいは移動して化合物層2が形成される。これにより、高温下でも界面反応を抑制するバリア層が形成されたはんだボールとしてのはんだ接続部1を形成することができる。
【0034】
図9は、供給はんだがはんだペースト11の場合を示すものである。基板5の電極となるCu層4の上であって、前記Cu層の一部を露出するように設けられたレジスト7の該露出部分にめっきによりNi系層を形成する。その後、前記Niめっき層上に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだのはんだペーストを印刷し、加熱することにより、バリア層となるCu-Sn化合物層2が形成される。
【0035】
図10は、供給はんだがはんだめっき12の場合を示すものであり、基板5のCu電極4上のNi系めっき層3上に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをめっきし、その後加熱することによりSn-Cu化合物2によるバリア層が形成されたはんだボールとしてのはんだ接続部1を形成することができる。
【0036】
また、図11、図12、図13は、いずれもダイボンドによるはんだ接続部1の製法について示したものであり、それぞれ、はんだ箔13、はんだペースト11、はんだワイヤ14により供給したものである。供給形態が異なるものの、いずれの製法の場合でも、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをNi系めっき層上で加熱することにより、該Ni系めっき層上にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物によるバリア層が形成される点で共通するものであり、いずれも高温下での接続信頼性が高い電子装置を提供しうるものである。なお、これらのはんだの供給形態は、接続環境に応じて適宜選択可能である。
【0037】
次に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだを用いた場合に、Ni系めっき上にバリア層としてのCu-Sn化合物層が形成されるメカニズムについて説明する。
【0038】
Sn-3Ag-0.5CuあるいはSn-0.7Cuのように、共晶組成に比べてCu6Sn5相が少ない場合、本発明でNi系めっき上に形成されるCu-Snを主成分とする化合物のバリア層は形成されない。図14にSn-Cu2元系状態図を示す。Sn-0.9CuよりCu含有量の少ない組成では、はんだが溶融した凝固する際に、共晶組成より多く含まれるSnが初晶としてまず析出し、最後にSnとCu6Sn5が共晶組織として凝固する。そのとき、Cu6Sn5は接続部内部の粒界等に分散して析出するため、Ni系めっき上にバリア層状に析出しない。そのため、耐熱性が得られない。一方、Sn-0.9CuよりCu含有量が多い組成では、はんだが溶融して凝固する際に、まずCu6Sn5相が析出する。その際、Cu6Sn5がNi系めっき上に優先的に析出するために、Cu-Sn化合物主体のバリア層が形成される。最後に、SnとCu6Sn5が共晶組織として凝固する。実際には過冷の影響があるものの、上記のような機構でCu-Sn化合物のバリア層が形成される。そのため、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだは、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成を選択する必要がある。なお、共晶組成は、Sn-Cu系に他元素が含まれる場合、合金系によって組成が異なる。また、これまでSn系はんだに含まれる相としてCu6Sn5相を挙げたがこれに限られず、上記メカニズムによりNi系層上に析出又は移動してバリア層を形成しうるものであれば他の化合物であっても構わない。
【0039】
以下、具体的に実施した実験例の結果をその比較例とともに示す。
【0040】
(第1−6実験例)はんだボール実装
本発明の実験例1−6について図8を用いて説明する。Cuパッド4上に無電解Ni系めっき3、その上にフラッシュAuめっきを施したパッケージ基板5にフラックスを塗布し、直径0.4mmφの室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだボール10を供給後、リフロー炉を用いてN2気流中で加熱してパッド上にはんだボール1を形成した。
【0041】
上記のようにはんだボールを形成した電子装置(図2の構造)を200℃1000hの条件で高温放置試験し、はんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表1に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。実験例1〜6の全てにおいて、210℃1000hの高温放置試験後も初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。図15に、一例としてSn-1Ag-3Cuはんだを用いて接続したサンプルを210℃1000h高温放置したときの接続界面の断面を示す。Cu-Sn化合物のバリア層により、高温放置後もNi層が消失せず残存しており、体積変化に伴うボイド形成も観察されなかった。
【0042】
(比較例1、2)
接続構造は、実験例1−6と同じである。この電子装置の高温放置試験後のはんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を同じく表1に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。比較例1、2において、200℃1000hの高温放置試験後では、比較例1、2ともに初期接続強度の80%未満の強度となった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、接続強度が低下したと考えられる。図18に、一例としてSn-3Ag-0.5Cuはんだで接続したサンプルを200℃で1000h高温放置したときの接続界面の断面を示す。Cu-Sn化合物のバリア層が形成されないため、SnとNiが反応してNi層が完全に消失し、更に下地のCuまでもSnと反応しCu-Sn化合物層が厚く形成されている。その結果、大きな体積変化が生じボイドが形成され、良好な接続状況を維持することができなくなる。
【0043】
【表1】
【0044】
(第7−12実験例)基板実装
本発明の実験例7−12について図6、図19を用いて説明する。実装基板5上に、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだペースト11をメタルマスクを用いて印刷で供給した後、リフロー炉を用いてN2気流中で加熱してリード付き電子部品101を搭載した。
【0045】
上記のように電子装置を搭載した実装基板を200℃1000hの条件で高温放置試験および-55℃(30min.)/175℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験し、はんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表2に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。実施例1〜6の全てにおいて、200℃1000hの高温放置試験後も初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。
【0046】
(比較例3、4)
接続構造は、実験例7−12と同じである。この電子装置の高温放置試験後のはんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表2に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。比較例3、4において、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。しかしながら、比較例3、4において、200℃1000hの高温放置試験後では、比較例1、2ともに初期接続強度の80%未満の強度となった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、接続強度が低下したと考えられる。
【0047】
【表2】
【0048】
(第13−18実験例)ダイボンディング実装
本発明の実験例13−18について図7、図11を用いて説明する。Ni系めっきを施したCuフレーム17の上に、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだ箔13を供給しホットプレート上で260℃に加熱し溶融した後、その上に半導体素子102をダイボンディングした。その後、半導体素子上面の電極とリード16をワイヤボンディングし、180℃でトランスファーモールドし電素装置を作製した。
【0049】
この電子装置の温度サイクル試験および高温放置試験後の熱抵抗変動を測定した。その結果を表3に示す。初期から熱抵抗変動が30%以内の場合を○、20%以上の場合を×で表記した。実験例13−18の全てにおいて、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。また、200℃1000hの高温放置試験後も、実験例13−18の全てにおいて熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。
【0050】
(比較例5、6)
接続構造は、実験例13−18と同じである。温度サイクル試験および高温放置試験後の熱抵抗変動を測定した。その結果を同じく表3に示す。初期から熱抵抗変動が30%以内の場合を○、20%以上の場合を×で表記した。実験例13−18の全てにおいて、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。しかしながら、比較例5、6において、200℃1000hの高温放置試験後では、熱抵抗変動が20%以上になった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、大きな熱抵抗変動が生じたと考えられる。
【0051】
【表3】
【符号の説明】
【0052】
1 はんだ接続部、2 Cu-Sn化合物 or (Cu,Ni)-Sn化合物主体のバリア層、3 Ni系めっき層、4 Cu層、5 基板、6 アンダーフィル、7 レジスト、8 Sn系はんだ、9 はんだ接続部、10 はんだボール、11 はんだペースト、12 はんだめっき、13 はんだ箔、14 はんだワイヤ、15 ワイヤ、16 リード、17 フレーム、18 金属間化合物、20 モールド樹脂、101 表面実装部品、102 半導体素子、103 チップ部品、104 挿入実装部品、200 ボイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境下において接続界面の劣化を抑止可能な電子装置、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、燃料電池車といった自動車の電子化に伴い、車載電子部品が増加している。特にエンジン周りに配置される電子部品は、150℃以上の高温化に長時間さらされるため、通常よりも厳しい高温環境下での信頼性が要求される。鉛フリーはんだとして、融点200℃以上のSn-3Ag-0.5Cu等のSn系中温はんだが広く用いられているが、150℃以上の使用環境で長時間保持すると、接続界面で界面反応が進み、ボイドの形成および金属間化合物層の成長等により、接続信頼性が低下する問題がある。
【0003】
また、近年の高密度実装に伴い、電子部品のサイズの微小化に伴い、接続部がより微細化してきている。この場合、接続界面に形成される金属間化合物層が接続部において占める割合はより高くなり、接続部の信頼性、電気特性、熱特性が界面反応によって大きく劣化すると考えられる。これらの問題を解決するために、界面反応を抑制するための検討が世界中で行われている。
【0004】
Sn系はんだの界面反応を抑制する手法としては、特許文献1に、Cu:0.1〜2重量%、Ni:0.002〜1重量%、残部SnからなるSn系はんだを使用することによって、Cuの添加により被接続材のCu食われを抑止すると同時に、Ni添加により接続界面におけるCu6Sn5、Cu3Sn等の金属間化合物の成長を抑制することが可能であることが報告されている。また、特許文献2には、はんだバンプ形成において、被接続材表面に、Sn系はんだと反応して金属間化合物を形成する2種類の金属層を設けて、そこにSn系はんだボールを接続することで、接続界面にSnを含む2〜3種の元素からなる金属間化合物層を薄く形成することにより、界面反応を抑制することが可能であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3152945号
【特許文献2】特開2002−280417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来技術においては、以下の点について配慮がなされておらず、接続界面の十分な界面反応抑制ができなかった。
【0007】
特許文献1の場合、Ni添加により界面反応は抑制されるものの、Cu6Sn5、Cu3Snが常に化合物層を形成するCuとSn系はんだが接しているため、150℃以上の高温下で長時間さらされた場合、Cu-Sn化合物が成長していき信頼性が低下するおそれがある。
【0008】
一方、特許文献2の場合、はんだ最近接に形成された第1の金属間化合物層が、Sn系はんだと第1の金属間化合物層下に形成された第2の金属層のバリア層となるため、界面反応抑制効果は大きいと考えられる。しかしながら、2種類の金属層を設けるため、めっき工程が増加する、選択的に局所めっきをすることが高コストになる、電極を設けることができない構造の場合は金属層形成が困難になる等の問題がある。また、接続面最表面に形成された金属層を接続時にSn系はんだと反応させてバリア層とする必要があるため、最表面に形成された金属層が厚いと、接続時に未反応の最表面金属層が残存してしまいバリア層の効果が十分に得られないこと、完全に最表面金属層を反応させるのに接続時間を長くする等のプロセスの調整が必要となること、といった問題が生じる可能性がある。一方、最表面の金属層が薄い場合、界面反応を抑制するためのバリア層が薄くなり、150℃以上の高温下では十分に界面反応を抑制できないおそれがある。
【0009】
本発明は、環境負荷が小さく低コストで、150℃以上の高温下で長時間使用しても接続信頼性を維持できる電子装置およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次の通りである。本発明は、基板上の電極の上にSn系はんだ接続材料を配置する配置工程と、前記基板及びSn系はんだ接続材料とを加熱し、前記電極と電気的に接続されたSn系はんだ接続部を形成する加熱工程とを有する電子機器の製造方法において、前記電極上にはNi系層が形成されており、前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料は、当該Ni系層上に配置され、前記加熱工程では、前記Sn系はんだ接続材料中のCu-Sn化合物が前記Ni系層の表面に析出または移動し、前記Sn系はんだ接続部と前記Ni系層とが互いに接しないようにするCu-Sn化合物層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、環境負荷が小さく低コストで、150℃以上の高温下で長時間使用しても接続信頼性を維持できる電子装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電子装置の第一の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る電子装置の第二の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る電子装置のはんだボールの形態によるはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る電子装置のダイボンドによるはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図5】Ni層上にCu層を形成した後、Sn系はんだで接続した場合のはんだ接続部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る電子装置の第三の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る電子装置の第四の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明のはんだ接続部の第一の形成工程を模式的に示す図である。
【図9】本発明のはんだ接続部の第二の形成工程を模式的に示す図である。
【図10】本発明のはんだ接続部の第三の形成工程を模式的に示す図である。
【図11】本発明のはんだ接続部の第四の形成工程を模式的に示す図である。
【図12】本発明のはんだ接続部の第五の形成工程を模式的に示す図である。
【図13】本発明のはんだ接続部の第六の形成工程を模式的に示す図である。
【図14】Cu-Sn2元系状態図である。
【図15】高温放置試験後の接合界面の第一のSEM写真である。
【図16】接合界面のボイド形成状況を模式的に示す第一の断面図である。
【図17】接合界面のボイド形成状況を模式的に示す第二の断面図である。
【図18】高温放置試験後の接合界面の第二のSEM写真である。
【図19】本発明に係る電子装置のはんだ接続部の形成工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る電子装置は、基板等の被接続材のNi系層が施された電極に対し、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだを供給して得られたはんだ接続部を有する電子装置である。
【0014】
具体例として、本発明に係る電子装置の第一の実施形態は、図1に記載の通り、基板5と、前記基板の第一の面にはんだボールの形態からなる複数の第一のはんだ接続部1と、前記基板の第一の面の裏面に第二のはんだ接続部9を介して接続された表面実装部品101と半導体素子102とチップ部品103とを有して構成されるものである。
【0015】
ここで、前記第一のはんだ接続部1は、図3に記載の通り、基板5の電極となるCu層4の上であって、前記Cu層の一部を露出するように設けられたレジスト7の該露出部分にめっきにより設けられたNi系めっき層3と、はんだボールを構成するSn系はんだ8と、の間に化合物層2を有することを特徴とする。当該化合物層2は、Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とするものであり、バリア層として界面反応を抑制しうるため、150℃以上の高温下に長時間さらされても、接続界面の化合物層の成長およびそれにともなうボイド形成等を抑制し、接続信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0016】
これは、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだ接続材料を用いて接続した場合、はんだが溶融して凝固する際に、はんだ中のCu6Sn5相がNi系めっき上に能動的に析出あるいは移動してバリア層を形成したものである。
【0017】
一般的に、はんだボールと電極界面に金属間化合物層が厚く成長するとカーケンダルボイド等により耐衝撃性が低下することが知られているが、本発明により形成された化合物層の大部分は上記の通り凝固時に析出あるいは移動してできたものであるため、界面反応に伴うボイドはほとんど形成されず、良好な耐衝撃性を得ることができる。
【0018】
また、本発明では被接続材に少なくともNi、Ni-P、Ni-B等のNi系めっきを用いるだけでよいため、上記特許文献2のように2種類の金属層を設ける必要はなく、工程数が少なく、低コスト化を実現することができる。さらに、(Cu,Ni)-Sn化合物を主体とするバリア層の厚さは、はんだに含まれるCu-Sn化合物量に依存し、はんだに含まれるCu-Sn化合物量が多いほどバリア層は厚くなる。そのため、はんだボールの大きさに合わせて、適正な組成のはんだボールを用いることができ、(Cu,Ni)-Sn化合物主体のバリア層の厚さを自由に制御することが可能となる。また、接続後のはんだボール中にCu6Sn5相が残っていてもよく、高温下使用時に、カーケンダルボイド等の発生なしにバリア層がより厚くなっていくことになり、より接続信頼性の優れた電子装置を実現することができる。
【0019】
なお、特許文献2の手法のごとく、被接続材表面のNiめっき上にさらにCu層を予め形成し、Sn系はんだと接続してもCu-Sn化合物層は形成されうるが、反応により化合物層を形成しているため、上記したカーケンダルボイド等の問題がある他、図5に示すようにはんだ接続部以外にCu層が残存することとなり、高温放置による酸化、湿度による腐食が生じやすくなるという問題を有する。本発明では、Cu-Sn化合物であるCu6Sn5がNi系めっき上に析出あるいは移動してバリア層が形成されるため、被接続材表面にCu層等他の単体金属の層を設けておく必要がなく、図4に示すように、接続後に化合物層が形成された領域以外にCu層等の他の単体金属層が露出することもないため、上記問題は起こりえない。
【0020】
また、本実施形態においては、基板5上に表面実装部品101、半導体素子102、チップ部品103の全てが実装された例を示したが、これに限られず、いずれかが欠けていても、また複数個ずつあっても構わない。
【0021】
次に、本発明に係る電子装置の第二の実施形態について、図2を用いて説明する。本実施形態は、基板5と、前記基板の第一の面にはんだボールの形態からなる複数の第一のはんだ接続部1と、前記基板の第一の面の裏面に、はんだボールの形態からなる複数の第二のはんだ接続部9を介して実装された半導体素子102と、当該第二のはんだ接続部9を埋めるアンダーフィル6と、前記基板の第一の面の裏面上を覆うモールド樹脂20とを有して構成されるものである。
【0022】
本実施の形態の場合も、第一のはんだ接続部1は、第一の実施の形態と同様、図3のようなの構成をとるものであり、Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物主体のバリア層2により、150℃以上の高温下に長時間さらされても接続界面における化合物層の成長が抑制され、接続信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【0023】
ここで、第一の実施形態及び第二の実施形態では、第一のはんだ接続部1のみに対して、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだを供給して得られたはんだ接続部を用いる例を示したが、これに限られず、第二のはんだ接続部9についてもこれを用いても構わない。もちろん、第二のはんだ接続部9については、一般的な高温はんだを用いたものであっても、導電性接着剤を用いたものであっても構わない。
【0024】
次に、本発明に係る電子装置の第三の実施形態として、図6を用い、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだをペーストとして用いて電子部品を基板に実装した例を示す。
【0025】
本実施の形態は、基板5と、前記基板の第一の面にはんだペーストの形で供給されて接続された第一のはんだ接続部1を介してそれぞれ実装された表面実装部品101と、半導体素子103と、挿入実装部品104とを有して構成される。これも他の実施の形態と同様に、第一のはんだ接続部1のはんだ部分と、基板5の電極であるCu層上Ni系めっき層と、の間にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物が主体となった化合物層によるバリア層を形成した構成をとるため、高温下でも接続信頼性の高い電子装置を実現することができる。
【0026】
ただし、本実施形態の場合、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成のSn系はんだをペーストとして提供するため、電子部品の実装はリフロー炉等が用いられる。この際、前記はんだペーストは、液相線温度近傍で良好な濡れが確保できることが必要であるため、未溶融のCu6Sn5相が20%以下含まれるSn系はんだペーストを用いることが望ましい。これを超えると、はんだの流動性が悪くなり、ボイド、未濡れ等が発生する恐れがあるからである。
【0027】
次に、本発明に係る電子装置の第四の実施形態は、図7に示す通り、Ni系めっきを施したフレーム17と、前記フレームにはんだ箔の形で供給されて接続された第一のはんだ接続部1を介して実装された半導体素子102と、前記半導体素子102の電極とボンディングワイヤ15を介して電気的に接続されたリード16と、前記半導体素子102を少なくとも覆うように設けられたモールド樹脂20とを有して構成されるものである。他の実施形態と同様、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだ箔を用いて接続されるため、Cu6Sn5相がNi系めっき上に析出あるいは移動してCu-Sn化合物やNi-Sn化合物を主体としたバリア層ができ、高温使用下においても界面反応進行による特性劣化を防ぐことができる。特に、半導体素子102のような発熱が大きい製品では、発熱時に接続部が高温になるため本発明に係る構造が有効となる。
【0028】
以上、本発明に係る電子装置の実施形態について幾つか示したが、これに限られるものではなく、車載用のパワー半導体等のエンジン周辺に配置される電子装置、その他の電子装置についても適用できる。また、微小接続部において本発明を適用した場合、使用時の化合物成長を抑制できるため、接続部の信頼性、電気伝導、熱伝導の変動を抑制することができる。
【0029】
また、上記実施形態において、Sn系はんだは、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだの範囲内であればよく、Sn-Cu系はんだ、、Sn-Ag-Cu系はんだ、Sn-Ag-Cu-Bi-In系はんだ、Sn-Ag-Cu-In系はんだ、Sn-Zn系はんだ、Sn-Bi系はんだ、Sn-In系はんだ等を用いてもよい。これらでレベリングを行い、電子部品を実装した電子装置を提供することも可能である。具体的には、これらを第一の実施形態又は第二の実施形態に示すような構造における温度階層接続に適宜用いることも可能である。予め実装基板に、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをレベリングしておくことにより、リフローはんだ付けに一般的に用いられるSn-Ag-Cu系はんだ等で接続しても、Niめっき上にCu-Sn化合物を主体としたバリア層が形成でき、界面反応抑制効果を得ることができる。
【0030】
さらに、上記実施形態においては、いずれもNi系めっき層を例にとって示したが、これに限られるものではなく、めっきによらず他の手法を用いて形成されたNi系層でもよい。また、Ni系層としてはNi、Ni-P、Ni-B等を用いることができるがこれに限られず、その上にAu、Ag、Pdのうちの少なくとも1つのめっき等により施してもよい。例えば、AuめっきやAgめっきを施すことにより、濡れを向上させることが可能である。なお、この場合、AuやAgのめっき層は接続時にはんだ内部に全て拡散させることにより、下地のNi系めっき上にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とするバリア層を形成させることができ、同様に界面反応抑制効果が得られる。
【0031】
次に、上記した電子装置の製造方法について、特にそのはんだ接続部の製造方法に着目して説明する。
【0032】
図8、図9、図10は、いずれもはんだボールとして形成されるはんだ接続部1の製法について示したものである。
【0033】
図8は、供給はんだがはんだボール10の場合を示すものであり、室温から200℃において共晶組成より多くCu6Sn5相2を含有するSn系はんだボール10を、Cu電極4上のNi系めっき層3上に供給して加熱することにより、Cu6Sn5相が能動的にNi系めっき層3の上に析出あるいは移動して化合物層2が形成される。これにより、高温下でも界面反応を抑制するバリア層が形成されたはんだボールとしてのはんだ接続部1を形成することができる。
【0034】
図9は、供給はんだがはんだペースト11の場合を示すものである。基板5の電極となるCu層4の上であって、前記Cu層の一部を露出するように設けられたレジスト7の該露出部分にめっきによりNi系層を形成する。その後、前記Niめっき層上に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだのはんだペーストを印刷し、加熱することにより、バリア層となるCu-Sn化合物層2が形成される。
【0035】
図10は、供給はんだがはんだめっき12の場合を示すものであり、基板5のCu電極4上のNi系めっき層3上に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをめっきし、その後加熱することによりSn-Cu化合物2によるバリア層が形成されたはんだボールとしてのはんだ接続部1を形成することができる。
【0036】
また、図11、図12、図13は、いずれもダイボンドによるはんだ接続部1の製法について示したものであり、それぞれ、はんだ箔13、はんだペースト11、はんだワイヤ14により供給したものである。供給形態が異なるものの、いずれの製法の場合でも、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだをNi系めっき層上で加熱することにより、該Ni系めっき層上にCu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物によるバリア層が形成される点で共通するものであり、いずれも高温下での接続信頼性が高い電子装置を提供しうるものである。なお、これらのはんだの供給形態は、接続環境に応じて適宜選択可能である。
【0037】
次に、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有するSn系はんだを用いた場合に、Ni系めっき上にバリア層としてのCu-Sn化合物層が形成されるメカニズムについて説明する。
【0038】
Sn-3Ag-0.5CuあるいはSn-0.7Cuのように、共晶組成に比べてCu6Sn5相が少ない場合、本発明でNi系めっき上に形成されるCu-Snを主成分とする化合物のバリア層は形成されない。図14にSn-Cu2元系状態図を示す。Sn-0.9CuよりCu含有量の少ない組成では、はんだが溶融した凝固する際に、共晶組成より多く含まれるSnが初晶としてまず析出し、最後にSnとCu6Sn5が共晶組織として凝固する。そのとき、Cu6Sn5は接続部内部の粒界等に分散して析出するため、Ni系めっき上にバリア層状に析出しない。そのため、耐熱性が得られない。一方、Sn-0.9CuよりCu含有量が多い組成では、はんだが溶融して凝固する際に、まずCu6Sn5相が析出する。その際、Cu6Sn5がNi系めっき上に優先的に析出するために、Cu-Sn化合物主体のバリア層が形成される。最後に、SnとCu6Sn5が共晶組織として凝固する。実際には過冷の影響があるものの、上記のような機構でCu-Sn化合物のバリア層が形成される。そのため、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだは、共晶組成よりCu6Sn5相の含有量が多い組成を選択する必要がある。なお、共晶組成は、Sn-Cu系に他元素が含まれる場合、合金系によって組成が異なる。また、これまでSn系はんだに含まれる相としてCu6Sn5相を挙げたがこれに限られず、上記メカニズムによりNi系層上に析出又は移動してバリア層を形成しうるものであれば他の化合物であっても構わない。
【0039】
以下、具体的に実施した実験例の結果をその比較例とともに示す。
【0040】
(第1−6実験例)はんだボール実装
本発明の実験例1−6について図8を用いて説明する。Cuパッド4上に無電解Ni系めっき3、その上にフラッシュAuめっきを施したパッケージ基板5にフラックスを塗布し、直径0.4mmφの室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだボール10を供給後、リフロー炉を用いてN2気流中で加熱してパッド上にはんだボール1を形成した。
【0041】
上記のようにはんだボールを形成した電子装置(図2の構造)を200℃1000hの条件で高温放置試験し、はんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表1に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。実験例1〜6の全てにおいて、210℃1000hの高温放置試験後も初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。図15に、一例としてSn-1Ag-3Cuはんだを用いて接続したサンプルを210℃1000h高温放置したときの接続界面の断面を示す。Cu-Sn化合物のバリア層により、高温放置後もNi層が消失せず残存しており、体積変化に伴うボイド形成も観察されなかった。
【0042】
(比較例1、2)
接続構造は、実験例1−6と同じである。この電子装置の高温放置試験後のはんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を同じく表1に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。比較例1、2において、200℃1000hの高温放置試験後では、比較例1、2ともに初期接続強度の80%未満の強度となった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、接続強度が低下したと考えられる。図18に、一例としてSn-3Ag-0.5Cuはんだで接続したサンプルを200℃で1000h高温放置したときの接続界面の断面を示す。Cu-Sn化合物のバリア層が形成されないため、SnとNiが反応してNi層が完全に消失し、更に下地のCuまでもSnと反応しCu-Sn化合物層が厚く形成されている。その結果、大きな体積変化が生じボイドが形成され、良好な接続状況を維持することができなくなる。
【0043】
【表1】
【0044】
(第7−12実験例)基板実装
本発明の実験例7−12について図6、図19を用いて説明する。実装基板5上に、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだペースト11をメタルマスクを用いて印刷で供給した後、リフロー炉を用いてN2気流中で加熱してリード付き電子部品101を搭載した。
【0045】
上記のように電子装置を搭載した実装基板を200℃1000hの条件で高温放置試験および-55℃(30min.)/175℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験し、はんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表2に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。実施例1〜6の全てにおいて、200℃1000hの高温放置試験後も初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。
【0046】
(比較例3、4)
接続構造は、実験例7−12と同じである。この電子装置の高温放置試験後のはんだボール/パッド接続部の接続強度を測定した。その結果を表2に示す。初期接続強度の80%以上の強度を有している場合を○、80%未満の強度の場合を×で表記した。比較例3、4において、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、初期接続強度の80%以上の強度を維持することを確認した。しかしながら、比較例3、4において、200℃1000hの高温放置試験後では、比較例1、2ともに初期接続強度の80%未満の強度となった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、接続強度が低下したと考えられる。
【0047】
【表2】
【0048】
(第13−18実験例)ダイボンディング実装
本発明の実験例13−18について図7、図11を用いて説明する。Ni系めっきを施したCuフレーム17の上に、室温から200℃においてCu6Sn5相を含有するSn系はんだ箔13を供給しホットプレート上で260℃に加熱し溶融した後、その上に半導体素子102をダイボンディングした。その後、半導体素子上面の電極とリード16をワイヤボンディングし、180℃でトランスファーモールドし電素装置を作製した。
【0049】
この電子装置の温度サイクル試験および高温放置試験後の熱抵抗変動を測定した。その結果を表3に示す。初期から熱抵抗変動が30%以内の場合を○、20%以上の場合を×で表記した。実験例13−18の全てにおいて、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。また、200℃1000hの高温放置試験後も、実験例13−18の全てにおいて熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。
【0050】
(比較例5、6)
接続構造は、実験例13−18と同じである。温度サイクル試験および高温放置試験後の熱抵抗変動を測定した。その結果を同じく表3に示す。初期から熱抵抗変動が30%以内の場合を○、20%以上の場合を×で表記した。実験例13−18の全てにおいて、-40℃(30min.)/200℃(30min.)500サイクルの温度サイクル試験後、熱抵抗変動が20%以内であることを確認した。しかしながら、比較例5、6において、200℃1000hの高温放置試験後では、熱抵抗変動が20%以上になった。接続断面を観察すると、図16、図17のようなボイド200が接続界面に形成されていた。高温放置により界面反応が進み、化合物層18の成長に伴う体積変化で生じたボイド形成により、大きな熱抵抗変動が生じたと考えられる。
【0051】
【表3】
【符号の説明】
【0052】
1 はんだ接続部、2 Cu-Sn化合物 or (Cu,Ni)-Sn化合物主体のバリア層、3 Ni系めっき層、4 Cu層、5 基板、6 アンダーフィル、7 レジスト、8 Sn系はんだ、9 はんだ接続部、10 はんだボール、11 はんだペースト、12 はんだめっき、13 はんだ箔、14 はんだワイヤ、15 ワイヤ、16 リード、17 フレーム、18 金属間化合物、20 モールド樹脂、101 表面実装部品、102 半導体素子、103 チップ部品、104 挿入実装部品、200 ボイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の電極の上にSn系はんだ接続材料を配置する配置工程と、
前記基板及びSn系はんだ接続材料とを加熱し、前記電極と電気的に接続されたSn系はんだ接続部を形成する加熱工程とを有する電子機器の製造方法において、
前記電極上にはNi系層が形成されており、前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料は、当該Ni系層上に配置され、
前記加熱工程では、前記Sn系はんだ接続材料中のCu-Sn化合物が前記Ni系層の表面に析出または移動し、前記Sn系はんだ接続部と前記Ni系層とが互いに接しないようにするCu-Sn化合物層を形成することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置の製造方法であって、
前記Cu-Sn化合物層と前記Ni系層は直接接しており、その間に他の単体の金属層を含まないことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子装置の製造方法であって、
前記Cu-Sn化合物層は、前記Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とした層であることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
Cu-Sn化合物はCu6Sn5であることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、はんだボール、はんだペースト、はんだめっきのいずれかの形態で提供されるものであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記加熱工程後のSn系はんだ接続部の中には、前記Cu6Sn5相が残存していることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Ni系層は、Ni、Ni-P、Ni-Bのいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の電子装置の製造方法であって、
前記Ni系層は、めっきにより形成されたものであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、Sn-Ag-Cu系はんだ、Sn-Zn系はんだ、Sn-Ag-Cu-Bi-In系はんだ、Sn-Ag-Cu-In系はんだ、Sn-Bi系はんだ、Sn-In系はんだのいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料上に実装部品が配置され、
前記加熱工程では、前記電極と前記実装部品が前記Cu-Sn化合物及び前記Sn系はんだ接続部を介して電気的に接続されることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の電子装置の製造方法であって、
前記実装部品は、表面実装部品、チップ部品、挿入実装部品のいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項1】
基板上の電極の上にSn系はんだ接続材料を配置する配置工程と、
前記基板及びSn系はんだ接続材料とを加熱し、前記電極と電気的に接続されたSn系はんだ接続部を形成する加熱工程とを有する電子機器の製造方法において、
前記電極上にはNi系層が形成されており、前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料は、当該Ni系層上に配置され、
前記加熱工程では、前記Sn系はんだ接続材料中のCu-Sn化合物が前記Ni系層の表面に析出または移動し、前記Sn系はんだ接続部と前記Ni系層とが互いに接しないようにするCu-Sn化合物層を形成することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置の製造方法であって、
前記Cu-Sn化合物層と前記Ni系層は直接接しており、その間に他の単体の金属層を含まないことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子装置の製造方法であって、
前記Cu-Sn化合物層は、前記Cu-Sn化合物又はこれとNi-Sn化合物を主体とした層であることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
Cu-Sn化合物はCu6Sn5であることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、共晶組成より多くCu6Sn5相を含有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、はんだボール、はんだペースト、はんだめっきのいずれかの形態で提供されるものであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記加熱工程後のSn系はんだ接続部の中には、前記Cu6Sn5相が残存していることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Ni系層は、Ni、Ni-P、Ni-Bのいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の電子装置の製造方法であって、
前記Ni系層は、めっきにより形成されたものであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記Sn系はんだ接続材料は、Sn-Ag-Cu系はんだ、Sn-Zn系はんだ、Sn-Ag-Cu-Bi-In系はんだ、Sn-Ag-Cu-In系はんだ、Sn-Bi系はんだ、Sn-In系はんだのいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の電子装置の製造方法であって、
前記配置工程では、前記Sn系はんだ接続材料上に実装部品が配置され、
前記加熱工程では、前記電極と前記実装部品が前記Cu-Sn化合物及び前記Sn系はんだ接続部を介して電気的に接続されることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の電子装置の製造方法であって、
前記実装部品は、表面実装部品、チップ部品、挿入実装部品のいずれかであることを特徴とする電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−233879(P2011−233879A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85040(P2011−85040)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2006−274612(P2006−274612)の分割
【原出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2006−274612(P2006−274612)の分割
【原出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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