説明

電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器

【課題】電気光学装置の製造時における、蓄積容量を構成する誘電体膜の汚染を防止する。
【解決手段】基板(10)上に、画素電極(9)と、画素電極(9)及び容量電極(71)に挟持される誘電体膜(72)よりも下層側に配置された導電層(35)と、少なくとも画素電極(9)及び誘電体膜(72)を貫通して導電層(35)の表面に至るように開孔されたコンタクトホール(33b)に重なるように島状に形成されており、画素電極(9)と導電層(35)とを互いに電気的に接続する接続部材(93a)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びに該電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、基板上に、画素電極と、該画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)とを備えることにより、アクティブマトリクス駆動可能に構成されている。ここで、アクティブマトリクス駆動では、走査線に走査信号を供給することで画素スイッチング用のTFTの動作を制御すると共に、該TFTがON(オン)駆動されるタイミングでデータ線に画像信号を供給することによって、画像表示が実現される。このような電気光学装置では、表示画像の高コントラスト化等を目的として、画素スイッチング用のTFTと画素電極との間に蓄積容量が設けられることがある。例えば特許文献1には、蓄積容量を、容量絶縁膜(誘電体膜)を介して対向する一対の透明電極から構成することで、透過率を確保する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−148684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容量絶縁膜を介して対向する一対の容量電極からなる蓄積容量の上層側の容量電極(以下、上側電極という)を、蓄積容量より層間絶縁膜を介して下層側に配置された画素スイッチング用のTFTに電気的に接続する場合、一般的には、上側電極と画素スイッチング用のTFTとを電気的に接続するためのコンタクトホールが、容量絶縁膜を構成する誘電体膜及び層間絶縁膜に対してエッチング処理が施されることにより形成される。このエッチング処理では、典型的には有機材料からなるレジスト膜を誘電体膜の直上に所定のパターンで形成し、その後、アッシング処理及び剥離の各工程により除去する。この際、完全に除去するのは困難であることからレジスト膜が残存することにより、これに加えて若しくは代えてアッシング処理及び剥離の各工程における異なる装置内での処理により、誘電体膜が汚染される不具合が生じる可能性がある。このため、蓄積容量の容量値が不安定になったり、一対の容量電極間が短絡(即ち、ショート)してしまったり、耐圧が低下するなど、蓄積容量に種々の不良が発生してしまうおそれがあるという技術的問題点がある。この結果、電気光学装置の信頼性の低下や電気光学装置の歩留まり率の低下を招いてしまうおそれもある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、信頼性の高い蓄積容量を形成することができ、高品位な画像表示が可能な電気光学装置及びその製造方法、並びにそのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、画素電極と、該画素電極の下層側に、前記画素電極に誘電体膜を介して対向するように設けられた容量電極と、前記誘電体膜よりも下層側に配置された導電層と、少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜を貫通して前記導電層の表面に至るように開孔されたコンタクトホールに、前記基板上で平面的に見て重なるように島状に形成されており、前記画素電極と前記導電層とを互いに電気的に接続する接続部材とを備える。
【0007】
本発明の電気光学装置では、基板上に、例えば、走査線、データ線等の配線や画素スイッチング用のトランジスタ等の電子素子が、絶縁膜を介して相互に絶縁されつつ必要に応じて積層されることで画素電極を駆動するための回路が構成され、その上層側に画素電極が配置されている。電気光学装置の動作時には、例えば、走査線を通じて、画素電極に電気的に接続された画素スイッチング用素子の一例であるTFTのスイッチング動作が制御されると共に、データ線を通じて画像信号が供給されることで、該TFTを介して画素電極に対し、画像信号に応じた電圧を印加する。これにより、複数の画素電極が配列された画素領域或いは画素アレイ領域(又は「画像表示領域」とも呼ぶ)における画像表示が可能となる。
【0008】
本発明の電気光学装置は、画素電極に印加される駆動電圧を一定期間保持するための蓄積容量を有する。蓄積容量は、部分的に上側電極として機能する画素電極と、それよりも下層側の下側電極である容量電極とが、容量絶縁膜を構成する誘電体膜を介して対向するように設けられてなる。上側電極は画素電極の一部であるため、画素電位側電極として機能する。容量電極は、典型的には固定電位に電気的に接続されており、電位固定の固定電位側電極として機能する。従って、以上のような本発明の蓄積容量の構成によれば、例えば仮に一対の容量電極を有する蓄積容量と画素電極とを別個に設ける場合に比べて、基板上の画素の積層構造を簡易にすることができる。
【0009】
導電層は、蓄積容量に対して誘電体膜よりも下層側であって、これとは異なる位置に配置され、画素電極に電気的に接続される配線、電極等の少なくとも一部を構成する。例えば、導電層は、当該導電層よりも下層側に配置された画素スイッチング用のトランジスタと画素電極とを電気的に中継接続するための、中継層として形成される。導電層は、蓄積容量に対して誘電体膜よりも下層側であって容量電極と同層かそれよりも下層側に配置される。
【0010】
誘電体膜は、典型的には、基板上のほぼ全面にベタ状に形成される。尚、誘電体膜を基板上のほぼ全面にベタ状に形成することで、誘電体膜をパターニングするためのエッチング処理を行う必要がないので、誘電体膜上にレジスト膜を形成しなくて済む。
【0011】
導電層は、画素電極に接続部材を介して電気的に接続されている。接続部材は、画素電極上においてこれとは別個に形成される。接続部材は、そのパターン形状や配置は、コンタクトホールとの位置関係以外は画素電極と同様の構成としてもよいし、異なる構成としてもよい。
【0012】
画素電極及び誘電体膜において蓄積容量とは異なる位置にこれらを貫通するコンタクトホールが形成されており、接続部材は、コンタクトホールに基板上で平面的に見て重なる島状のパターンで形成される。導電層は、接続部材によりコンタクトホールを介して、画素電極における蓄積容量とは異なる位置、即ち蓄積容量を構成する一部以外の他部に電気的に接続される。ここに、コンタクトホール内にまで接続部材を延在させるようにしてもよいし、コンタクトホール内に導電性の金属プラグや導電性のシリサイドプラグなどのプラグを形成し、接続部材と導電層との間はコンタクトホール内に形成されたプラグによって電気的に接続されるようにしてもよい。
【0013】
本発明の電気光学装置では、その製造プロセスでは、誘電体膜上に容量電極と対向するように画素電極を形成し蓄積容量を形成した後、所定パターンのレジスト膜をマスクとして、蓄積容量とは異なる位置に少なくとも画素電極及び誘電体膜に対してエッチング処理を施すことにより、コンタクトホールを形成する。レジスト膜の形成は蓄積容量が形成された後であるため、蓄積容量の形成位置においてレジスト膜は誘電体膜に対して画素電極を介して配置される。よって、少なくとも蓄積容量の形成される位置において誘電体膜を画素電極により保護し、その表面がレジスト膜に直接に接触するのを防止できる。
【0014】
従って、コンタクトホール形成後、レジスト膜を除去する、アッシング処理或いは剥離の各工程で、少なくとも蓄積容量の形成位置において誘電体膜上にレジスト膜が残存したり、処理装置内にその表面が曝されたりすることを防止できるため、蓄積容量を構成する誘電体膜の一部が汚染されるのをより有効に防止することが可能となる。
【0015】
よって、蓄積容量の容量値が不安定になったり、蓄積容量の耐圧が低下したりするなどの不具合の発生を低減或いは防止できる。蓄積容量の形成位置以外で、画素電極及び容量電極が誘電体膜を介して重なる位置においても、上述と同様に誘電体膜を画素電極により保護することができるため、誘電体膜の汚染に起因して画素電極及び容量電極間が電気的にショートするような不具合もより確実に低減或いは防止できる。
【0016】
以上のように本発明の電気光学装置では、信頼性や歩留まりを向上させることができ、且つ高品位な表示を行うことが可能となる。
【0017】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記容量電極は、透明材料により形成される。
【0018】
この態様によれば、各画素において蓄積容量を開口領域に配置させることが可能となる。本発明の電気光学装置の一例としての液晶装置は、一対の基板間に電気光学物質の一例としての液晶が挟持されてなる。各画素では、画素電極に上述のように画像信号に応じた電圧が印加されることにより液晶の配向状態が制御され、液晶において光が変調され表示に寄与する光として、各画素から出射される。各画素において、表示に寄与する光が実際に透過等する領域として開口領域が設けられると共に、非開口領域によって開口領域が規定される。画素電極は開口領域に配置され、一方、走査線やデータ線、画素スイッチング素子等は非開口領域に配置される。
【0019】
例えば透過型の液晶装置では、光源から供給される光が開口領域において透過可能なように、画素電極は透明材料により形成され、加えて、誘電体膜をベタ状に開口領域から非開口領域に連続的に形成する場合、同様に誘電体膜も透明な膜として形成される。従って、容量電極が透明材料により形成されることで、開口領域と重なるように配置させても蓄積容量において光を透過させることができる。即ち、開口領域を狭めることなく、ここに蓄積容量を形成することができる。
【0020】
従って、この態様では、画素内のより広い領域に蓄積容量を形成することができるため、その容量値を増大させつつ、高開口率を維持することが可能となる。
【0021】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記導電層は、前記容量電極と同一膜により形成される。
【0022】
この態様によれば、「同一膜」とは、製造工程における同一機会に成膜される膜(言い換えれば、製造工程において同一の導電材料からなる薄膜を同時にパターニングすることにより形成される膜)を意味し、同一種類の膜である。よって、導電層を容量電極と同一の機会に成膜することができるため、製造プロセスを簡略化させることが可能となる。この態様では、導電層及び容量電極は同層に配置されており、導電層が容量電極よりも下層側に配置される場合と比較して、画素電極及び誘電体膜を貫通して導電層の表面に至るコンタクトホールの層間方向(即ち、基板上の積層構造における基板に交わる方向或いは垂直方向である積層方向)の長さをより短くすることができる。従って、コンタクトホールを介して接続部材により、より確実に且つ容易に、導電層及び画素電極を互いに電気的に接続することが可能となる。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記接続部材は、透明材料により形成される。
【0024】
この態様によれば、接続部材を各画素において開口領域に配置させることが可能となる。即ち、接続部材を開口領域と重ねて配置させても、光を透過させることができる。よって、接続部材を設けることで開口領域を狭めてしまう事態を回避して、高開口率を維持することが可能となる。
【0025】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記導電層に電気的に接続されたトランジスタと、該トランジスタに重なる遮光膜とを備え、前記接続部材は、前記遮光膜と少なくとも部分的に重なるように形成される。
【0026】
この態様によれば、各画素では画素スイッチング素子としてトランジスタが設けられると共に、導電層は、画素電極とトランジスタとを電気的に中継接続するための中継層として設けられる。トランジスタに対して遮光膜が重なるように設けられることで、遮光膜によりトランジスタに対して進行する光を遮光することが可能となる。
【0027】
この態様では、接続部材は少なくとも部分的に遮光膜と重なると共に、遮光性の材料により形成されるのが好ましい。この場合、トランジスタに対して接続部材をも重なるパターンとして形成することで、遮光膜に加えて接続部材によってもトランジスタに対して入射する光を遮ることで、低減できる。これにより、より確実にトランジスタの光リーク電流を低減することが可能となる。
【0028】
本発明の電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に導電層を形成する工程と、前記導電層と同層に又は前記導電層よりも上層側に容量電極を形成する工程と、前記導電層及び前記容量電極を覆うように誘電体膜を形成する工程と、記容量電極に前記誘電体膜を介して対向するように画素電極を形成する工程と、少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜を貫通して前記導電層の表面に至るコンタクトホールを開孔する工程と、前記画素電極と前記導電層とを互いに電気的に接続するように、前記コンタクトホールと前記基板上で平面的に見て重なるように島状に接続部材を形成する工程とを含む。
【0029】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、上述した本発明の電気光学装置と同様に、電気光学装置の信頼性や製造プロセスにおける歩留まりを向上させることができ、且つ電気光学装置において高品位な表示を行うことが可能となる。
【0030】
本発明の電気光学装置の製造方法における一態様では、前記コンタクトホールを開孔する工程は、前記画素電極上に所定パターンのレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜をマスクとして、少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜に対してエッチング処理を施す工程と、前記レジスト膜を除去する工程とを含む。
【0031】
この態様によれば、誘電体膜上に容量電極と対向するように画素電極を形成し蓄積容量を形成した後、一連の工程により、所定パターンのレジスト膜をマスクとして、少なくとも画素電極及び誘電体膜に対してエッチング処理を施すことにより、コンタクトホールを形成する。レジスト膜の形成は蓄積容量が形成された後であるため、蓄積容量の形成位置においてレジスト膜は誘電体膜に対して画素電極を介して配置される。よって、少なくとも蓄積容量の形成される位置において誘電体膜を画素電極により保護し、その表面がレジスト膜に直接に接触するのを防止できる。
【0032】
従って、コンタクトホール形成後、例えばアッシング処理或いは剥離によってレジスト膜を除去する工程では、少なくとも蓄積容量の形成位置において誘電体膜上にレジスト膜が残存したり、装置内にその表面が曝されたりすることを防止できるため、蓄積容量を構成する誘電体膜の一部が汚染されるのをより有効に防止することが可能となる。
【0033】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0034】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えてなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域における配線等の位置関係を透過的に示す模式図である。
【図4】画素の主要な構成要素の構成例を透過的に示した模式図である。
【図5】基板上での容量電極及び導電層の構成の一例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図である。
【図6】基板上での画素電極及び接続部材の構成の一例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図である。
【図7】図4のA−A’断面図である。
【図8】変形例について、基板上での画素電極及び接続部材の構成例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図である。
【図9】図7の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図(その1)である。
【図10】図7の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図(その2)である。
【図11】図7の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図(その3)である。
【図12】比較例について図7に対応する断面部分の構成を示す断面図である。
【図13】比較例に係る図12の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図(その1)である。
【図14】比較例に係る図12の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図(その2)である。
【図15】第2実施形態について、画素の積層構造において主要な構成要素の構成例を示す断面図である。
【図16】本実施形態の電気光学装置を適用した電子機器の一例であるプロジェクタの構成を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0038】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態の液晶装置において説明する。本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0039】
図1は、TFTアレイ基板10を、その上に形成された各構成要素と共に、対向基板20の側から見た液晶装置の構成を示す概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。
【0040】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板又はシリコン基板である。対向基板20は例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、電気光学動作の行われる画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0041】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。
【0042】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0043】
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104及び外部回路接続端子102が夫々形成されている。
【0044】
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び複数の外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に夫々沿って設けられている。
【0045】
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0046】
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられている。
【0047】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9は、ITO膜からなる透明電極として形成されている。画素電極9上には、配向膜16が形成されている。
【0048】
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、ITO膜からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向して例えばベタ状に形成され、更に対向電極21上(図2中対向電極21より下側)には配向膜22が形成されている。
【0049】
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9と対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。
【0050】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、データ線に画像信号をサンプリングして供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
【0051】
次に、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の電気的な構成について、図3を参照して説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0053】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9及び画素スイッチング用のTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9に電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置の動作時に画素電極9をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6は、TFT30のソース領域に電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0054】
TFT30のゲートには走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。
【0055】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0056】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9と対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量に対して電気的に並列に、蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9と並列してTFT30のドレインに電気的に接続され、他方の電極は、所定電位となるように、電位固定の容量配線300に接続されている。
【0057】
次に、本実施形態に係る液晶装置において、画像表示領域10aの各画素における具体的な積層構造について、図4から図7を参照して詳しく説明する。
【0058】
図4は、画素の主要な構成要素の構成例を透過的に示した模式図である。図5は、基板上での容量電極及び導電層の構成の一例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図であり、図6は、基板上での画素電極及び接続部材の構成の一例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図である。図7は、図4のA−A’断面図である。尚、図4から図7では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。この点については以下に説明する各図についても同様である。
【0059】
以下では、図4から図7を参照して、TFTアレイ基板10上の画素の積層構造について特に詳細に説明することとし、各図においては説明に足りる主要な構成を示し、例えば図2に示す配向膜等の構成については図示を省略してある。
【0060】
図4又は図6において、画素電極9はTFTアレイ基板10上にマトリクス状に複数設けられている。画素電極9の縦横の境界に夫々沿って、データ線6及び走査線11が設けられている。即ち、走査線11はX方向に沿って延びており、データ線6はY方向に沿って延びている。走査線11及びデータ線6の交差に応じて、画素スイッチング素子の一例としてTFT30が設けられている。
【0061】
本実施形態の構成例によれば、走査線11、データ線6、蓄積容量70、TFT30等は非開口領域内に配置される。非開口領域は、TFTアレイ基板10上の積層構造における走査線11やデータ線6等を構成する導電膜等と共に、図2に示す対向基板20上の遮光膜23によっても規定される。隣接する画素で互いに非開口領域により開口領域が区画され、開口領域に画素電極9が配置される。
【0062】
以下、画素の積層構造について第1層から順に説明する。
【0063】
図4又は図7において、第1層には、走査線11が、遮光性の導電材料、例えば、W(タングステン)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)等から形成されており、TFT30の半導体層30aを平面的に見て含むように、半導体層30aより幅広のパターン形状で形成されている。走査線11は半導体層30aより下層側に配置されているので、このように走査線11をTFT30の半導体層30aよりも幅広に形成することによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域30a2を殆ど或いは完全に遮光できる。その結果、液晶装置の動作時に、TFT30における光リーク電流は低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。
【0064】
図7において、走査線11は下地絶縁膜12によって覆われており、下地絶縁膜12の表面は平坦化されている。尚、下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能も有している。
【0065】
図7において、下地絶縁膜12より上層側の第2層には、TFT30が形成される。図4又は図7において、TFT30は、半導体層30aと、ゲート電極30bとを有して構成されている。半導体層30aは、ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3含んで形成されている。半導体層30aの構成はこれに限定されず、例えば、チャネル領域30a2とソース領域30a1、又は、チャネル領域30a2とドレイン領域30a3との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
【0066】
ゲート電極30bは、例えば導電性ポリシリコン等の導電性材料により、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域30a2と重なる領域にゲート絶縁膜13を介して形成されている。ゲート電極30bは、下層側に配置された走査線11に、図4に示すコンタクトホール34を介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT30をオン/オフ制御している。
【0067】
図4又は図7において、TFT30のソース領域30a1は、コンタクトホール31を介して上層側に形成されたデータ線6に電気的に接続されている。一方、TFT30のドレイン領域30a3は、コンタクトホール32、33a及び33bに夫々形成された中継層7、導電層35、接続部材93a(図4において図示省略)を夫々介して、画素電極9に電気的に接続されている。
【0068】
図4又は図7において、第2層より上層側の第1層間絶縁膜14にはコンタクトホール31及び32が夫々開孔されている。図7において、第1層間絶縁膜14上の第3層において、上述のように半導体層30aの各領域に夫々電気的に接続されたデータ線6a及び中継層7が設けられている。中継層7は、第2層間絶縁膜15に開孔されたコンタクトホール33aを介して導電層35に電気的に接続されている。データ線6a或いは中継層7が、好ましくは走査線11と共に遮光性の導電材料により、図4に示すように半導体層30aに重なるパターンとして形成されることで、走査線11の側とは反対側から半導体層30aに対して進行してくる光を遮光することができる。
【0069】
第3層より上層側に第2層間絶縁膜15を介して第4層には、容量電極71、及び容量電極71に対して誘電体膜72を介して対向する画素電極9を含む蓄積容量70が形成される。
【0070】
図4又は図6において、画素電極9は画素毎に島状に形成されている。図4では説明の便宜上、画素電極9全体の輪郭を点線ライン9´のみを図示している。画素電極9は、図7に示すように容量電極71と誘電体膜72のみを介して対向する部分において、蓄積容量70の上側電極として機能する。
【0071】
図5において、蓄積容量70の下側電極である容量電極71は、例えば各画素に跨って共通のベタ状のパターンで形成されており、画素毎に下層からのTFT30に対する電気的な中継接続に対応して開口部5aが設けられ、開口部5a内に導電層35、及び導電層35を接続部材93aに電気的に接続するためのコンタクトホール33bが配置される。図7において、導電層35は容量電極71と同層に同一膜により形成されている。
【0072】
誘電体膜72は、その平面的なレイアウトについては図示を省略してあるが、好ましくは容量電極71と同様に、各画素に共通のベタ状のパターンとして形成される。図7において、誘電体膜72は容量絶縁膜として蓄積容量70の形成位置においては直に容量電極71及び画素電極9の一部に挟持され、蓄積容量70と異なる位置では、好ましくは第3層間絶縁膜18と共に、容量電極71及び導電層35と、画素電極9aとを電気的に絶縁するように延在される。
【0073】
蓄積容量70において、上側電極は画素電極9の一部であるため画素電位側電極として機能し、容量電極71は図5に示すようにベタ状のパターンとして、図3に示す容量配線300と一体的に形成され、電位固定の固定電位側電極として機能する。従って、本実施形態では、例えば仮に一対の容量電極を有する蓄積容量70と画素電極9とを別個に設ける場合に比べて、TFTアレイ基板10上の画素の積層構造を簡易にすることができる。尚、蓄積容量70を設けることによって、画素電極9の電圧を、実際に画像信号が印加されている時間よりも、例えば3桁も長い時間だけ保持することが可能となり、液晶容量の保持特性が改善されるため、高コントラスト比を有する液晶装置を実現することができる。
【0074】
図6又は図7において、接続部材93aは、画素電極9上においてこれとは別個に形成される。接続部材93aは、そのパターン形状や配置は、コンタクトホール33bとの位置関係以外は画素電極9と同様の構成としてもよいし、異なる構成としてもよい。コンタクトホール33bは、図4又は図7において、蓄積容量70とは異なる位置において、画素電極9及び誘電体膜72、更には第3層間絶縁膜18を貫通して、導電層35の表面に至るように形成されている。コンタクトホール33bは、図5に示すように開口部5a内の導電層35と重なるように配置される。接続部材93aは、図6に示すようにコンタクトホール33bに平面的に見て重なる島状のパターンで形成される。
【0075】
導電層35は、図7において、接続部材93aによりコンタクトホール33bを介して、画素電極9における蓄積容量70とは異なる位置、即ち蓄積容量70を構成する一部以外の他部に電気的に接続される。
【0076】
本実施形態では、画素電極9と共に、ベタ状のパターンで形成された誘電体膜72及び容量電極71は夫々、透明材料により形成されるのが好ましい。この場合、開口領域において画素電極9、誘電体膜72及び容量電極71において光を透過させることが可能となる。容量電極71は、例えば画素電極9と同一の透明導電材料、好ましくはITO(Indium Tin Oxide)から形成される。従って、開口領域と重なるように配置させても蓄積容量70において光を透過させることができる。即ち、開口領域を狭めることなく、ここに蓄積容量70を形成することができる。よって、画素内のより広い領域に蓄積容量70を形成することができるため、その容量値を増大させつつ、高開口率を維持することが可能となる。
【0077】
更には接続部材93aも透明導電材料、例えばITOから形成されるようにしてもよい。これにより接続部材93aをも、図6に示すように画素電極9と共に開口領域に配置させることが可能となる。即ち、接続部材93aを開口領域と重ねて配置させても、光を透過させることができる。よって、接続部材93aを設けることで開口領域を狭めてしまう事態を回避して、高開口率を維持することが可能となる。
【0078】
一方、接続部材93aは遮光性の導電材料により形成するようにしてもよい。図8には、本実施形態の変形例について、基板上での画素電極及び接続部材の構成例を、データ線や走査線と共に透過的に示した模式図である。
【0079】
上述した画素の積層構造において、本発明に係る「遮光膜」の一例がデータ線6や走査線11として構成され、TFT30の半導体層30aに対して進行する光を遮光することができる。図8において、接続部材93aは少なくとも部分的に、データ線6や走査線11と重なると共に、遮光性の材料により形成されるのが好ましい。この場合、半導体層30aに対して接続部材93aをも重なるパターンとして形成することで、データ線6や走査線11に加えて接続部材93aによっても半導体層30aに対して入射する光を遮ることで、低減できる。これにより、より確実にTFT30の光リーク電流を低減することが可能となる。
【0080】
次に、図9から図11を参照して、上述の液晶装置の製造方法について工程毎に説明する。以下では、図4から図7を参照して説明した画素の積層構造の主要部についてのみ製造プロセスを詳細に説明し、それ以外の例えば配向膜等については詳細な説明を省略する。図9から図11は夫々、図7の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図である。
【0081】
図9(a)において、TFTアレイ基板10上に、走査線11及びTFT30、更にはデータ線6及び中継層7を形成する。この際、各層間を絶縁する下地絶縁膜12及び第1層間絶縁膜14を形成し、コンタクトホール31及び32を開孔する。
【0082】
図9(b)において、第2層間絶縁膜15、及び第2層間絶縁膜15にコンタクトホール33aを開孔し、容量電極71を形成する。容量電極71は、例えばITO膜をスパッタリング等により第2層間絶縁膜15上にベタ状に形成した後、エッチング処理等によって開口部5aと共に導電層35を形成する。容量電極71が導電層35と同一膜により形成されることで、導電層35を容量電極71と同一の機会に成膜することができるため、製造プロセスを簡略化させることが可能となる。
【0083】
図9(c)において、容量電極71及び導電層35上に、第3層間絶縁膜18を形成し、更には誘電体膜72を例えばベタ状に形成する。第3層間絶縁膜18において蓄積容量70の形成位置には、誘電体膜72が既に説明したように容量電極71と画素電極9とに直接に挟持されるように、開口を形成する。
【0084】
図10(a)において、誘電体膜72上に画素電極9を形成し、蓄積容量70を形成する。続いて、図10(b)において、画素電極9上にレジスト膜930を形成する。レジスト膜930は、コンタクトホール33bの形成位置に対応して開口930hを有する所定のパターンとして、例えばフォトリソグラフィ法により形成する。
【0085】
その後、図11(a)において、レジスト膜930を介して画素電極9及び誘電体膜72、更には第3層間絶縁膜18に対して例えばエッチング処理を施し、コンタクトホール33bを開孔する。続いて、図11(b)において、レジスト膜930を例えばアッシング処理或いは剥離により除去する。その後、図7に示すような接続部材93aを形成する。
【0086】
ここで、比較例について、本実施形態と異なる点についてのみ図12から図14を参照して詳細に説明する。図12は、比較例について図7に対応する断面部分の構成を示す断面図である。図13及び図14は夫々、図12の断面部分について製造プロセスの工程毎の構成を示す断面図である。
【0087】
図12において、コンタクトホール33cは、誘電体膜72及び第3層間絶縁膜18を貫通して、導電層35の表面に至るように形成される。導電層35は、コンタクトホール33cを介して直に画素電極9と電気的に接続されている。
【0088】
このような構成によれば、その製造プロセスは、図13(a)において、第3層間絶縁膜18上に誘電体膜72を形成した後、図13(b)において、コンタクトホール33cの形成位置に対応して開口930chを有する所定パターンのレジスト膜930を形成する。
【0089】
その後、図14(a)において、レジスト膜930を介して誘電体膜72及び第3層間絶縁膜18に対して例えばエッチング処理を施し、コンタクトホール33cを開孔する。続いて、図14(b)において、レジスト膜930を除去し、画素電極9を形成し、蓄積容量70を形成する。
【0090】
比較例によれば、レジスト膜930を誘電体膜72の直上に所定のパターンで形成し、コンタクトホール33cを開孔した後、これを除去する。この際、完全に除去するのは困難であることからレジスト膜930を構成する例えば有機材料の残留物が付着することにより、これに加えて若しくは代えてレジスト膜930を除去する工程における異なる装置内での処理により、誘電体膜72における蓄積容量70の形成位置を含めての汚染が生じるおそれがある。
【0091】
これに対して本実施形態の製造プロセスによれば、レジスト膜930の形成は蓄積容量70が形成された後であるため、蓄積容量70の形成位置においてレジスト膜930は誘電体膜72に対して画素電極9を介して配置される。よって、少なくとも蓄積容量70の形成される位置において誘電体膜72を画素電極9により保護し、その表面がレジスト膜930に直接に接触するのを防止できる。
【0092】
従って、コンタクトホール33bの形成後、レジスト膜930を除去する各工程で、少なくとも蓄積容量70の形成位置において誘電体膜72上にレジスト膜930の残留物が付着したり、装置内にその表面が曝されたりすることを防止できるため、蓄積容量70を構成する誘電体膜72の一部が汚染されるのをより有効に防止することが可能となる。
【0093】
よって、蓄積容量70の容量値が不安定になったり、蓄積容量70の耐圧が低下したりするなどの不具合の発生を低減或いは防止できる。蓄積容量70の形成位置以外で、画素電極9及び容量電極71が誘電体膜72を介して重なる位置においても、上述と同様に誘電体膜72を画素電極9により保護することができるため、誘電体膜72の汚染に起因して画素電極9及び容量電極71間が電気的にショートするような不具合もより確実に低減或いは防止できる。
【0094】
従って、本実施形態によれば、液晶装置の信頼性や製造プロセスの歩留まりを向上させることができ、且つ液晶装置において高品位な表示を行うことが可能となる。
【0095】
尚、上述した本実施形態では、導電層35を容量電極71と同一膜により形成する場合について説明したが、容量電極71と異なる材料により、異なる層、即ち容量電極71より下層側に配置されるようにしてもよい。例えば図7において、導電層35は配置されず、代わりにデータ線6aと同層の中継層7が、本発明に係る「導電層」の一例として形成されるようにしてもよい。この場合、コンタクトホール33bは、画素電極9及び誘電体膜72、更には第2及び第3層間絶縁膜15及び18を貫通して、中継層7の表面に至るように開孔される。
【0096】
但しこのような構成と比較して、図7に示すように中継層7が、これとは別個の導電層35及び2種のコンタクトホール33a及び33bを介して接続部材93aと電気的に接続される場合には、コンタクトホール33bの積層構造の層間(或いは積層)方向の長さをより短くすることができる。従って、コンタクトホール33bを介して接続部材93aにより、より確実に且つ容易に、導電層35及び画素電極9を互いに電気的に接続することが可能となる。
【0097】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、画素の積層構造が一部、第1実施形態とは異なっている。以下では第1実施形態と異なる構成についてのみ着目して詳細に説明し、同様の構成については特に図4から図7と同一の符号を付して示すと共に、説明を省略することもある。
【0098】
図15は、第2実施形態について、画素の積層構造において主要な構成要素の構成例を示す断面図である。図15を参照して、TFTアレイ基板10上の画素の積層構造について特に詳細に説明することとし、図においては説明に足りる主要な構成を示し、例えば配向膜等の構成については図示を省略してある。
【0099】
図15に示す積層構造では、第1層に走査線11が形成され、第1層と下地絶縁膜12によって絶縁されて、第2層にTFT30が形成され、第2層より上層側の層間絶縁膜14にコンタクトホール31及び32が夫々開孔される。
【0100】
層間絶縁膜15上の図15中の最上層側には、容量電極71、誘電体膜72及び画素電極9が形成され、蓄積容量70が設けられる。容量電極71の開口部に導電層35が設けられ、画素電極9及び誘電体膜72、更には層間絶縁膜18を貫通してコンタクトホール33bが開孔される。導電層35は、コンタクトホール33bを介して接続部材93aにより画素電極9に電気的に接続される。
【0101】
従って、第2実施形態においても第1実施形態と同様の製造プロセスにより、蓄積容量70を構成する誘電体膜72の一部が汚染されるのをより有効に防止できる。その結果、第1実施形態と同様の利益を享受することが可能である。
【0102】
第2実施形態では、積層構造の第3層に、コンタクトホール31を介してTFT30のソース領域30a1に電気的に接続された中継電極(或いは配線)831、並びにコンタクトホール32を介してTFT30のドレイン領域30a3に電気的に接続された中継電極(或いは配線)7aが設けられる。層間絶縁膜17を介して第3層より上層側の第4層には、データ線6、及び層間絶縁膜15に開孔されたコンタクトホール33aを介して導電層35に電気的に接続された中継電極(或いは配線)833が設けられる。
【0103】
層間絶縁膜17にはコンタクトホール33c及び34が開孔される。TFT30のソース領域30a1は、コンタクトホール31及び34を介して中継電極831によりデータ線6に電気的に接続され、TFT30のドレイン領域30a3は、コンタクトホール32、33c、33a及び33bを介して、中継電極7a及び833、導電層35及び接続部材93aにより画素電極9に電気的に接続される。
【0104】
データ線6に加えて、中継電極7a、831及び833が夫々、好ましくは遮光性の導電材料により、半導体層30aに重なるパターンとして形成されることで、データ線6の配置された側から半導体層30aに対して進行してくる光を遮光することができる。従って、データ線6に加えて、このデータ線6が配置された第4層及びそれよりも下層側の第3層の両方で、中継電極7a、831及び833によっても半導体層30aに対して入射する光を低減できる。これにより、より確実にTFT30の光リーク電流を低減することが可能となる。
【0105】
<電子機器>
次に、図16を参照しながら、上述した液晶装置を、電子機器の一例であるプロジェクタにライトバルブとして適用した例を説明する。図16は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0106】
図16において、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0107】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0108】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0109】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0110】
尚、図16を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0111】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0112】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその製造方法、並びに該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
9…画素電極、10…TFTアレイ基板、33b…コンタクトホール、35…導電層、70…蓄積容量、71…容量電極、72…誘電体膜、93a…接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
画素電極と、
該画素電極の下層側に、前記画素電極に誘電体膜を介して対向するように設けられた容量電極と、
前記誘電体膜よりも下層側に配置された導電層と、
少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜を貫通して前記導電層の表面に至るように開孔されたコンタクトホールに、前記基板上で平面的に見て重なるように島状に形成されており、前記画素電極と前記導電層とを互いに電気的に接続する接続部材と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記容量電極は、透明材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記導電層は、前記容量電極と同一膜により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記接続部材は、透明材料により形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記導電層に電気的に接続されたトランジスタと、
該トランジスタに重なる遮光膜と
を備え、
前記接続部材は、前記遮光膜と少なくとも部分的に重なるように形成される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
基板上に導電層を形成する工程と、
前記導電層と同層に又は前記導電層よりも上層側に容量電極を形成する工程と、
前記導電層及び前記容量電極を覆うように誘電体膜を形成する工程と、
前記容量電極に前記誘電体膜を介して対向するように画素電極を形成する工程と、
少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜を貫通して前記導電層の表面に至るコンタクトホールを開孔する工程と、
前記画素電極と前記導電層とを互いに電気的に接続するように、前記コンタクトホールと前記基板上で平面的に見て重なるように島状に接続部材を形成する工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記コンタクトホールを開孔する工程は、前記画素電極上に所定パターンのレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜をマスクとして、少なくとも前記画素電極及び前記誘電体膜に対してエッチング処理を施す工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と
を含むことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−169912(P2010−169912A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12683(P2009−12683)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】