電源装置
【課題】発電装置に使用される系統連系する電源装置において、交流電源の電圧上昇を発生することなく、発電電力を有効利用することを目的とする。
【解決手段】発電手段1と,前記発電手段1により得られた発電電力を交流電源2へ出力する,スイッチング素子3と逆並列したダイオード4を上下に直列接続した2つのアーム5により構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5に並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて前記発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段10を備える構成とすることにより、交流電源2の電圧上昇あるいは低下に合わせて充放電することで,発電電力を有効利用することができる電源装置が得られる。
【解決手段】発電手段1と,前記発電手段1により得られた発電電力を交流電源2へ出力する,スイッチング素子3と逆並列したダイオード4を上下に直列接続した2つのアーム5により構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5に並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて前記発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段10を備える構成とすることにより、交流電源2の電圧上昇あるいは低下に合わせて充放電することで,発電電力を有効利用することができる電源装置が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ技術を利用した電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭の負荷の増加による化石燃料の枯渇、地球温暖化問題などが生じており、太陽光発電システムや節電装置、あるいは系統電圧の安定化装置などによる、クリーンエネルギーの利用や省エネルギー装置が求められている。
【0003】
従来、この種の電源装置は、発電装置の発電電力を系統側に連系する系統連系電力変換装置として、進相無効成分を含む電流を出力し、需要家負荷の消費電力を低減可能とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その電源装置について図15及び図16を参照しながら説明する。
【0005】
図15に示すように、系統連系インバータ101から配電系統102へ進相無効成分を含む電流Iinvを出力すると、需要家一般負荷103への供給電圧Vline=Vinvは、系統電圧Vgに系統インピーダンス104(R+j×L)における電圧降下分Vdifを加えた値となる。図16の(a)は太陽光の照射があり直流電源が配電系統102に有効電力を供給している有効電力調整モードで、系統連系インバータ101は直流電源からの直流電力を交流電力に変換し、配電系統102および需要家一般負荷103に電力供給した場合のベクトル図を示す。この運転モードでは、通常負荷電圧Vlineは系統電圧Vgより高くなる。次に図16の(b)では、系統連系インバータ101の制御を変えて同時に無効電力を配電系統102および需要家一般負荷103に供給している場合のベクトル図を示す。この場合、図に示すように、負荷電圧Vlineが系統電圧Vgより低くなり、系統インピーダンス104の定数を加味して有効電力および無効電力を適切に制御することにより、需要家一般負荷103に供給する負荷電圧Vlineをその運転可能下限電圧以上の範囲で定格電圧より低い電圧値に制御することができることとなる。よって、需要家一般負荷103への供給電圧をその定格電圧未満に制御することができ、需要家一般負荷103の消費電力を低減可能としている。
【特許文献1】特開2003−153444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の電源装置では、発電装置が地域に集中して設置され、系統電源に連系した場合、系統電源の電圧が上昇し、発電電力を抑制する必要が発生するという課題があり、確実に系統電圧の上昇を抑制し、かつ発電装置により発電した電力を有効に利用することが要求されている。
【0007】
また、発電電力は系統電源に対し、発電が多い昼間は逆潮流する場合が頻発し、かつ夜間あるいは曇天時など発電が期待できない場合は、系統電源から買電する場合が頻発し、発電電力を有効に活用できないという課題があり、発電電力のピークシフトする電源装置が要求されている。
【0008】
さらに、蓄電池を備えた設備は蓄電池の長寿命化のため、回復充電を実施する必要性があるが、同時に地域に集中して連系した場合、蓄電池の回復充電を実施するための系統電源の負担は大きくなり、系統から見た負荷が大きくなるという課題があり、回復充電中であっても、できるだけ系統電源の負担を少なくする電源装置が要求されている。
【0009】
また、蓄電池の回復充電中に、発電電力が少なくなり、規定の定電流充電が行なえなくなる場合が発生し、回復充電に必要な時間が長くなる、あるいは回復充電と中断状態を反復することで蓄電池の過充電、すなわち蓄電池の寿命に影響を及ぼす可能性があるという課題があり、回復充電を効率的に行なう電源装置が要求されている。
【0010】
さらに、太陽光発電のような不安定な電力供給源の場合、回復充電中に充分な発電電力が得られなくなることで、蓄電池電圧が下がり、再度発電電力が多くなった際に通常の蓄電池への充電方法をとった場合、蓄電池電圧が規定電圧を超過し、蓄電池の寿命に影響を及ぼす可能性があるという課題があり、回復充電中においても発電電力の変動による蓄電池の規定電圧オーバーシュートを抑制する必要がある。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0013】
さらに、本発明は、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0014】
また、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電源装置は上記目的を達成するために、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成としたものである。
【0016】
この手段により、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる電源装置が得られる。
【0017】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成としたものである。
【0018】
この手段により、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができる電源装置が得られる。
【0019】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成としたものである。
【0020】
この手段により、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができる電源装置が得られる。
【0021】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成としたものである。
【0022】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0023】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成としたものである。
【0024】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0025】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成としたものである。
【0026】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0027】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成としたものである。
【0028】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0029】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成としたものである。
【0030】
この手段により、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0031】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0032】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができる電源装置が得られる。
【0033】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0034】
この手段により、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができる電源装置が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成とすることで、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0036】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成とすることで、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0037】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成とすることで、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0038】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0039】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0040】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0041】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0042】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0043】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0044】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成とすることで、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の請求項1記載の発明は、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成としたものであり、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができるという作用を有する。
【0046】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成としたものであり、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができるという作用を有する。
【0047】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成としたものであり、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができるという作用を有する。
【0048】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0049】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0050】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0051】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0052】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0053】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができるという作用を有する。
【0054】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成としたものであり、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができるという作用を有する。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における電源装置の構成図を示す。
【0057】
図に示すように、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cにより構成している。
【0058】
次に、充放電制御部10cの制御フローチャートについて、図2を参照しながら説明する。
【0059】
図に示すように、充放電制御部10cは、系統電圧Vacを入力する。系統電圧Vacが系統上限電圧Vac_maxを超えた場合、系統連系インバータ9の出力電流指令値を△Iのみ下げるように指令する。この時の出力電流指令値を下げるのはゼロまでとし、交流電源2から受電することは行なわない。この指令により、発電電力の需給バランスが崩れるため、中間のコンデンサ7の電圧が上昇することとなる。次に、充放電制御部10cはコンデンサ7の電圧を入力する。入力したコンデンサ7の電圧Vcが充電閾値Vchより高いか否かを判定し、Vch以上であれば充電を行なう。充電電流の指令値は、コンデンサ7の電圧の目標値Vch*と実際の電圧値Vcとの偏差からPI制御器に入力し、算出する。ここで、充電電流指令値は、蓄電池10aの充電可能電流Ib_chaより大きければ、充電電流指令値はIb_chaに制限する。さらに充電電流を制限し、交流電源2への出力を絞ることにより、発電電力の需給バランスが崩れた場合には、昇圧チョッパ回路1bは太陽電池1aのMPPT制御(最大電力追従制御)を外れて定電力制御へリミット制御することとなる。逆に、系統電圧Vacが系統下限電圧Vac_minを下回った場合、系統連系インバータ9の出力電流指令値を△Iのみ上げるように指令する。この時の出力電流の指令は、系統連系インバータ9から出力可能な最大電流Iinv_maxまでとし、リミット制御を行なう。この出力電流の増加指令により、発電電力の需給バランスが崩れるため、中間のコンデンサ7の電圧は低下することとなる。次に充放電制御部10cはコンデンサ7の電圧を入力する。入力したコンデンサ7の電圧Vcが放電閾値Vclより低いか否かを判定し、Vcl以下であれば放電を行なう。また、放電電流の指令値は、充電の時と同様に、コンデンサ7の電圧の目標値Vcl*と実際の電圧値Vcとの偏差からPI制御器に入力し、算出する。さらに、放電電流指令値は、蓄電池10aの放電可能電流Ib_disより大きければ、放電電流指令値はIb_disに制限する。
【0060】
以上のように、本実施の形態1によれば、太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cにより構成することで、フルブリッジインバータ6からの過剰電力を蓄電池10aへ充放電回路10bを通して充電あるいは放電することができることとなる。また、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる。
【0061】
なお、本実施例においては、蓄電手段10の蓄電媒体として蓄電池10aとしたが、電気二重層コンデンサ、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等であってもよい。
【0062】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態2における電源装置の構成図を示す。
【0063】
図に示すように、実施の形態2における電源装置は、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cと、コンデンサ7とフルブリッジインバータ6との間に直列に挿入した、発電電力充電手段あるいは回復充電制御手段としての逆流防止ダイオード11aにより構成している。
【0064】
以上のように、本実施の形態2によれば、蓄電手段10の蓄電池10aへの充電は、逆流防止ダイオード11aにより、交流電源2からの電力流入を防止し、発電手段1からの発電電力のみ充電あるいは蓄電池10aの回復充電を行なうことができる。
【0065】
(実施の形態3)
図4は、本実施の形態3における電源装置の構成図を示す。
【0066】
図に示すように、実施の形態3における電源装置は、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cと、発電電力充電手段あるいは回復充電制御手段としてのインバータ逆流防止制御部11bにより構成している。
【0067】
次に、インバータ逆流防止制御部11bのフローチャートについて、図5を参照しながら説明する。
【0068】
図に示すように、インバータ逆流防止制御部11bは、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8の出力電力指令値を常時正の値Po_minをとるように出力下限値設定を送信する。また、充放電回路10bは、充電時にコンデンサ7の電圧がVc_chaとなるように制御する。このため、発電電力が充分ない状態となった時には、コンデンサ7の電圧は低下することとなる。従って、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8が常時正の値Po_minを出力下限値として動作することから、コンデンサ7の電圧の低下を充放電回路10bが制御することとなり、蓄電池10aへ充電するよう制御していた運転制御は充電電流を絞り、放電制御へと切り換わることとなる。
【0069】
以上のように、本実施の形態3によれば、蓄電手段10の蓄電池10aへの充電は、インバータ逆流防止制御部11bにより、交流電源2に対し、常時出力する制御を行なうため、交流電源2からの電力流入が防止でき、発電手段1からの発電電力のみ充電あるいは回復充電することができることとなる。
【0070】
(実施の形態4)
図6は、本実施の形態4における電源装置の構成図を示す。
【0071】
図に示すように、実施の形態4における電源装置は、発電手段1の発電電力が、蓄電池10aの定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段12と、発電手段1の発電電力が、蓄電池10aの定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段13と、蓄電池10aの充電制御において、発電手段1の発電電力が変動による、蓄電池10aの電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段14を備える構成としている。
【0072】
次に、定電流充電手段12のフローチャートについて、図7を参照しながら説明する。
【0073】
図に示すように、定電流充電手段12は、回復充電中であることを示す回復充電フラグ信号と、回復充電に必要な発電電力があるか否かを示す回復充電可能フラグ信号を入力する。入力した回復充電フラグ信号と回復充電可能フラグ信号の両信号がONすなわち回復充電中でかつ必要な発電電力が無い場合、コンデンサ7の電圧が一定となるよう制御し、定電流充電ではなく、コンデンサ7の電圧を一定に保ちながら充電制御を行なう。この時の充電電流の上限値は、蓄電池10aの定電流充電時の指令値を使用し蓄電池10aへの過充電も防止する。従って、蓄電池10aの定電流充電の指令値を超える充電量へと発電電力が増加した際には、上限値である定電流充電時の指令値により飽和し、上限値以上の指令とならないよう構成している。
【0074】
次に、定電圧充電手段13のフローチャートについて、図8を参照しながら説明する。
【0075】
図に示すように、定電圧充電手段13は、回復充電中に蓄電池10aの電圧が規定の電圧に到達し、その時の充電電流が規定値より小さくなった場合、充電継続時間のカウントを開始する。その後、発電電力が減少し、蓄電池10aの定電圧充電が継続できなくなった時には、蓄電池10aへの充電は継続するが、充電継続時間のカウントを中断する。この充電継続時間のカウントは、再度発電電力が回復充電に充分な発電電力となり、蓄電池10aの電圧が規定電圧に到達すると同時に、規定の充電電流より小さくなった場合に再開する。この再開時の充電継続時間のカウントの初期値は、充電を中断した際のカウント値とする。
【0076】
次に、蓄電池電圧抑制手段14の制御ブロックについて、図9を参照しながら説明する。
【0077】
図に示すように、蓄電池電圧抑制手段14は、定電圧充電時の制御ブロックと定電流充電時の制御ブロックにより構成している。定電圧充電時の制御ブロックは、蓄電池10aの電圧目標値と、実際の蓄電池10aの電圧との偏差により充電電流を決定している。その充電電流の指令値は、偏差をPI制御器に入力することで計算する。次に定電流充電時の制御ブロックは、蓄電池10aの充電電流目標値と、実際の充電電流との偏差からPI制御器に入力することで充放電制御部10cに指令を送信する。さらに蓄電池10aの電圧の上昇速度が速い場合、図10に示すような、微分制御を追加しPID制御器へ蓄電池10aの電圧を入力することで対応する。微分制御の入力には蓄電池10aの電圧が逐次入力され、蓄電池10aの電圧変化量に微分ゲインを掛けることで演算する。これにより蓄電池10aの電圧は、充電状態に関わらず、規定電圧をオーバーしない制御としている。
【0078】
図11に、蓄電池電圧抑制手段14による蓄電池10aの電圧上昇を抑えた結果例を示す。
【0079】
図に示すように、蓄電池10aの電圧は、充電開始時の初期立ち上り速度は通常のPI制御器と同等であり、蓄電池10aの電圧が上昇してきた際には、規定電圧をオーバーしないように制御を可能としている。
【0080】
以上のように、本実施の形態4によれば、蓄電池10aへの回復充電中は発電電力を有効に充電するため、規定電流を充電できない場合であっても、蓄電池10aに充電することができる。また、蓄電池10aが満充電付近となり充電制御が定電圧充電に切り換わった後、発電電力が不足した場合、蓄電池10aの充電効率が悪化するため、充電カウントを停止し、蓄電池10aの長寿命化を図ることができる。さらに、蓄電池10aへの回復充電中に発電電力が減少し、一時的に蓄電池10aの電圧が低下した際には、定電流充電から再スタートする場合であっても、通常時の充電と同等の充電立ち上り速度を確保することで早期に充電を開始、継続することができ、また蓄電池10aの電圧は規定電圧を超えることなく制御することができる。
【0081】
(実施の形態5)
図12は、本実施の形態5における電源装置の構成図を示す。
【0082】
図に示すように、実施の形態5における電源装置は、蓄電池10aの回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池10aを最優先とする優先順位制御手段15と、蓄電池10aの回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源2への出力を最優先する第二優先順位制御手段16を備えている。
【0083】
次に、優先順位制御手段15のフローチャートについて、図13を参照しながら説明する。
【0084】
図に示すように、優先順位制御手段15は、回復充電フラグ信号を入力し、回復充電であるか否かを判別する。判定した結果、回復充電中であれば、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8をコンデンサ7の電圧制御モードで動作するよう指令を送信する。さらに優先順位制御手段15は、充放電制御部10cに対して定電流充電制御を行なうように指令を送信する。
【0085】
次に、第二優先順位制御手段16のフローチャートについて、図14を参照しながら説明する。
【0086】
図に示すように、第二優先順位制御手段16は、回復充電フラグ信号から回復充電中でない場合、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8に対して、定電力制御指令を送信する。さらに第二優先順位制御手段16は、充放電制御部10cに対してコンデンサ7の電圧制御を行なうように指令を送信する。
【0087】
以上のように、本実施の形態5によれば、優先順位制御手段15により、回復充電中は蓄電池10aの管理及び長寿命化のための充電を第一優先に発電電力を給電し、第二優先順制御手段16により、回復充電以外の時は系統への出力を第一優先に発電電力を給電することができる。従って、発電電力のみの回復充電であっても、回復充電を効率的に実施することができ、また必要容量のみ蓄電池10aを具備するため、蓄電池10aの容量を最小化でき、装置全体の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
太陽電池や燃料電池を用いた発電手段を、コンデンサに対して並列接続したシステムに対して、蓄電手段を用いて容易に発電電力のピークシフトができるため、発電電力の平準化あるいは負荷の平準化が必要となる家庭向けにも適用でき、また、交流電源側のインピーダンスを自動判定することにより、系統連系の際の出力抑制を未然に予測することができるため、系統側との調和を図る必要のある集中連系の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例1の電源装置の構成図
【図2】同充放電制御部の制御フローチャート
【図3】本発明の実施例2の電源装置の構成図
【図4】本発明の実施例3の電源装置の構成図
【図5】同インバータ逆流防止制御部のフローチャート
【図6】本発明の実施例4の電源装置の構成図
【図7】同定電流充電手段のフローチャート
【図8】同定電圧充電手段のフローチャート
【図9】同蓄電池電圧抑制手段(PI制御時)の制御ブロック図
【図10】同蓄電池電圧抑制手段(PID制御時)の制御ブロック図
【図11】(a)同蓄電池電圧上限値をオーバーした場合の実施例を示す図(b)同蓄電池電圧の上昇抑制時の実施例を示す図
【図12】本発明の実施例5の電源装置の構成図
【図13】同優先順位制御手段のフローチャート
【図14】同第二優先順位制御手段のフローチャート
【図15】従来の電源装置(系統連系インバータ)のブロック図
【図16】同供給電圧制御時のベクトル図
【符号の説明】
【0090】
1 発電手段
2 交流電源
3 スイッチング素子
4 ダイオード
5 アーム
6 フルブリッジインバータ
7 コンデンサ
8 主回路制御部
9 系統連系インバータ
10a 蓄電池
10b 充放電回路
10c 充放電制御部
11a 逆流防止ダイオード
11b インバータ逆流防止制御部
12 定電流充電手段
13 定電圧充電手段
14 蓄電池電圧抑制手段
15 優先順位制御手段
16 第二優先順位制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ技術を利用した電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭の負荷の増加による化石燃料の枯渇、地球温暖化問題などが生じており、太陽光発電システムや節電装置、あるいは系統電圧の安定化装置などによる、クリーンエネルギーの利用や省エネルギー装置が求められている。
【0003】
従来、この種の電源装置は、発電装置の発電電力を系統側に連系する系統連系電力変換装置として、進相無効成分を含む電流を出力し、需要家負荷の消費電力を低減可能とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その電源装置について図15及び図16を参照しながら説明する。
【0005】
図15に示すように、系統連系インバータ101から配電系統102へ進相無効成分を含む電流Iinvを出力すると、需要家一般負荷103への供給電圧Vline=Vinvは、系統電圧Vgに系統インピーダンス104(R+j×L)における電圧降下分Vdifを加えた値となる。図16の(a)は太陽光の照射があり直流電源が配電系統102に有効電力を供給している有効電力調整モードで、系統連系インバータ101は直流電源からの直流電力を交流電力に変換し、配電系統102および需要家一般負荷103に電力供給した場合のベクトル図を示す。この運転モードでは、通常負荷電圧Vlineは系統電圧Vgより高くなる。次に図16の(b)では、系統連系インバータ101の制御を変えて同時に無効電力を配電系統102および需要家一般負荷103に供給している場合のベクトル図を示す。この場合、図に示すように、負荷電圧Vlineが系統電圧Vgより低くなり、系統インピーダンス104の定数を加味して有効電力および無効電力を適切に制御することにより、需要家一般負荷103に供給する負荷電圧Vlineをその運転可能下限電圧以上の範囲で定格電圧より低い電圧値に制御することができることとなる。よって、需要家一般負荷103への供給電圧をその定格電圧未満に制御することができ、需要家一般負荷103の消費電力を低減可能としている。
【特許文献1】特開2003−153444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の電源装置では、発電装置が地域に集中して設置され、系統電源に連系した場合、系統電源の電圧が上昇し、発電電力を抑制する必要が発生するという課題があり、確実に系統電圧の上昇を抑制し、かつ発電装置により発電した電力を有効に利用することが要求されている。
【0007】
また、発電電力は系統電源に対し、発電が多い昼間は逆潮流する場合が頻発し、かつ夜間あるいは曇天時など発電が期待できない場合は、系統電源から買電する場合が頻発し、発電電力を有効に活用できないという課題があり、発電電力のピークシフトする電源装置が要求されている。
【0008】
さらに、蓄電池を備えた設備は蓄電池の長寿命化のため、回復充電を実施する必要性があるが、同時に地域に集中して連系した場合、蓄電池の回復充電を実施するための系統電源の負担は大きくなり、系統から見た負荷が大きくなるという課題があり、回復充電中であっても、できるだけ系統電源の負担を少なくする電源装置が要求されている。
【0009】
また、蓄電池の回復充電中に、発電電力が少なくなり、規定の定電流充電が行なえなくなる場合が発生し、回復充電に必要な時間が長くなる、あるいは回復充電と中断状態を反復することで蓄電池の過充電、すなわち蓄電池の寿命に影響を及ぼす可能性があるという課題があり、回復充電を効率的に行なう電源装置が要求されている。
【0010】
さらに、太陽光発電のような不安定な電力供給源の場合、回復充電中に充分な発電電力が得られなくなることで、蓄電池電圧が下がり、再度発電電力が多くなった際に通常の蓄電池への充電方法をとった場合、蓄電池電圧が規定電圧を超過し、蓄電池の寿命に影響を及ぼす可能性があるという課題があり、回復充電中においても発電電力の変動による蓄電池の規定電圧オーバーシュートを抑制する必要がある。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0013】
さらに、本発明は、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0014】
また、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電源装置は上記目的を達成するために、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成としたものである。
【0016】
この手段により、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる電源装置が得られる。
【0017】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成としたものである。
【0018】
この手段により、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができる電源装置が得られる。
【0019】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成としたものである。
【0020】
この手段により、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができる電源装置が得られる。
【0021】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成としたものである。
【0022】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0023】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成としたものである。
【0024】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0025】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成としたものである。
【0026】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0027】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成としたものである。
【0028】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0029】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成としたものである。
【0030】
この手段により、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができる電源装置が得られる。
【0031】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0032】
この手段により、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができる電源装置が得られる。
【0033】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0034】
この手段により、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができる電源装置が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成とすることで、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0036】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成とすることで、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0037】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成とすることで、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0038】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0039】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0040】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0041】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0042】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0043】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成とすることで、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0044】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成とすることで、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の請求項1記載の発明は、発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備える構成としたものであり、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができるという作用を有する。
【0046】
また、蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備える構成としたものであり、負荷の利用時間に合わせて発電電力を利用することができるという作用を有する。
【0047】
さらに、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成としたものであり、蓄電池の回復充電中であっても系統に対する影響を極小化することができるという作用を有する。
【0048】
また、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0049】
さらに、発電手段の発電電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行ない、かつ充電効率の悪い場合には充電量をカウントせず、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0050】
また、蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0051】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0052】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電で急峻な蓄電池電圧の上昇があっても、蓄電池の電圧を規定範囲内とすることができ、蓄電池の長寿命化に対して悪影響を抑制した充電を行なうことができるという作用を有する。
【0053】
さらに、蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成としたものであり、発電電力のみによる回復充電であっても、回復充電を効率的に行なうことができるという作用を有する。
【0054】
また、蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成としたものであり、蓄電池の容量を最小化でき、装置全体を小型化することができるという作用を有する。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における電源装置の構成図を示す。
【0057】
図に示すように、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cにより構成している。
【0058】
次に、充放電制御部10cの制御フローチャートについて、図2を参照しながら説明する。
【0059】
図に示すように、充放電制御部10cは、系統電圧Vacを入力する。系統電圧Vacが系統上限電圧Vac_maxを超えた場合、系統連系インバータ9の出力電流指令値を△Iのみ下げるように指令する。この時の出力電流指令値を下げるのはゼロまでとし、交流電源2から受電することは行なわない。この指令により、発電電力の需給バランスが崩れるため、中間のコンデンサ7の電圧が上昇することとなる。次に、充放電制御部10cはコンデンサ7の電圧を入力する。入力したコンデンサ7の電圧Vcが充電閾値Vchより高いか否かを判定し、Vch以上であれば充電を行なう。充電電流の指令値は、コンデンサ7の電圧の目標値Vch*と実際の電圧値Vcとの偏差からPI制御器に入力し、算出する。ここで、充電電流指令値は、蓄電池10aの充電可能電流Ib_chaより大きければ、充電電流指令値はIb_chaに制限する。さらに充電電流を制限し、交流電源2への出力を絞ることにより、発電電力の需給バランスが崩れた場合には、昇圧チョッパ回路1bは太陽電池1aのMPPT制御(最大電力追従制御)を外れて定電力制御へリミット制御することとなる。逆に、系統電圧Vacが系統下限電圧Vac_minを下回った場合、系統連系インバータ9の出力電流指令値を△Iのみ上げるように指令する。この時の出力電流の指令は、系統連系インバータ9から出力可能な最大電流Iinv_maxまでとし、リミット制御を行なう。この出力電流の増加指令により、発電電力の需給バランスが崩れるため、中間のコンデンサ7の電圧は低下することとなる。次に充放電制御部10cはコンデンサ7の電圧を入力する。入力したコンデンサ7の電圧Vcが放電閾値Vclより低いか否かを判定し、Vcl以下であれば放電を行なう。また、放電電流の指令値は、充電の時と同様に、コンデンサ7の電圧の目標値Vcl*と実際の電圧値Vcとの偏差からPI制御器に入力し、算出する。さらに、放電電流指令値は、蓄電池10aの放電可能電流Ib_disより大きければ、放電電流指令値はIb_disに制限する。
【0060】
以上のように、本実施の形態1によれば、太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cにより構成することで、フルブリッジインバータ6からの過剰電力を蓄電池10aへ充放電回路10bを通して充電あるいは放電することができることとなる。また、発電装置が集中設置された場合であっても、系統電源の電圧上昇を抑制しつつ、発電電力を有効利用することができる。
【0061】
なお、本実施例においては、蓄電手段10の蓄電媒体として蓄電池10aとしたが、電気二重層コンデンサ、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等であってもよい。
【0062】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態2における電源装置の構成図を示す。
【0063】
図に示すように、実施の形態2における電源装置は、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cと、コンデンサ7とフルブリッジインバータ6との間に直列に挿入した、発電電力充電手段あるいは回復充電制御手段としての逆流防止ダイオード11aにより構成している。
【0064】
以上のように、本実施の形態2によれば、蓄電手段10の蓄電池10aへの充電は、逆流防止ダイオード11aにより、交流電源2からの電力流入を防止し、発電手段1からの発電電力のみ充電あるいは蓄電池10aの回復充電を行なうことができる。
【0065】
(実施の形態3)
図4は、本実施の形態3における電源装置の構成図を示す。
【0066】
図に示すように、実施の形態3における電源装置は、発電手段1としての太陽電池1a及び昇圧チョッパ回路1bと、太陽電池1aからの電力を昇圧チョッパ回路1bにより昇電圧した発電電力を交流電源2へ出力する、スイッチング素子3a〜3dと逆並列したダイオード4a〜4dを上下に直列接続した2つのアーム5a及び5bにより構成したフルブリッジインバータ6と、前記2つのアーム5a及び5bに並列に接続したコンデンサ7と、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8を備えた系統連系インバータ9において、前記コンデンサ7に並列接続し、かつ交流電源2の電圧の上下変動に応じて発電手段1からの発電電力を充電あるいは交流電源2に出力するための放電を行なう蓄電手段10としての蓄電池10a、充放電回路10b及び充放電制御部10cと、発電電力充電手段あるいは回復充電制御手段としてのインバータ逆流防止制御部11bにより構成している。
【0067】
次に、インバータ逆流防止制御部11bのフローチャートについて、図5を参照しながら説明する。
【0068】
図に示すように、インバータ逆流防止制御部11bは、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8の出力電力指令値を常時正の値Po_minをとるように出力下限値設定を送信する。また、充放電回路10bは、充電時にコンデンサ7の電圧がVc_chaとなるように制御する。このため、発電電力が充分ない状態となった時には、コンデンサ7の電圧は低下することとなる。従って、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8が常時正の値Po_minを出力下限値として動作することから、コンデンサ7の電圧の低下を充放電回路10bが制御することとなり、蓄電池10aへ充電するよう制御していた運転制御は充電電流を絞り、放電制御へと切り換わることとなる。
【0069】
以上のように、本実施の形態3によれば、蓄電手段10の蓄電池10aへの充電は、インバータ逆流防止制御部11bにより、交流電源2に対し、常時出力する制御を行なうため、交流電源2からの電力流入が防止でき、発電手段1からの発電電力のみ充電あるいは回復充電することができることとなる。
【0070】
(実施の形態4)
図6は、本実施の形態4における電源装置の構成図を示す。
【0071】
図に示すように、実施の形態4における電源装置は、発電手段1の発電電力が、蓄電池10aの定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段12と、発電手段1の発電電力が、蓄電池10aの定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段13と、蓄電池10aの充電制御において、発電手段1の発電電力が変動による、蓄電池10aの電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段14を備える構成としている。
【0072】
次に、定電流充電手段12のフローチャートについて、図7を参照しながら説明する。
【0073】
図に示すように、定電流充電手段12は、回復充電中であることを示す回復充電フラグ信号と、回復充電に必要な発電電力があるか否かを示す回復充電可能フラグ信号を入力する。入力した回復充電フラグ信号と回復充電可能フラグ信号の両信号がONすなわち回復充電中でかつ必要な発電電力が無い場合、コンデンサ7の電圧が一定となるよう制御し、定電流充電ではなく、コンデンサ7の電圧を一定に保ちながら充電制御を行なう。この時の充電電流の上限値は、蓄電池10aの定電流充電時の指令値を使用し蓄電池10aへの過充電も防止する。従って、蓄電池10aの定電流充電の指令値を超える充電量へと発電電力が増加した際には、上限値である定電流充電時の指令値により飽和し、上限値以上の指令とならないよう構成している。
【0074】
次に、定電圧充電手段13のフローチャートについて、図8を参照しながら説明する。
【0075】
図に示すように、定電圧充電手段13は、回復充電中に蓄電池10aの電圧が規定の電圧に到達し、その時の充電電流が規定値より小さくなった場合、充電継続時間のカウントを開始する。その後、発電電力が減少し、蓄電池10aの定電圧充電が継続できなくなった時には、蓄電池10aへの充電は継続するが、充電継続時間のカウントを中断する。この充電継続時間のカウントは、再度発電電力が回復充電に充分な発電電力となり、蓄電池10aの電圧が規定電圧に到達すると同時に、規定の充電電流より小さくなった場合に再開する。この再開時の充電継続時間のカウントの初期値は、充電を中断した際のカウント値とする。
【0076】
次に、蓄電池電圧抑制手段14の制御ブロックについて、図9を参照しながら説明する。
【0077】
図に示すように、蓄電池電圧抑制手段14は、定電圧充電時の制御ブロックと定電流充電時の制御ブロックにより構成している。定電圧充電時の制御ブロックは、蓄電池10aの電圧目標値と、実際の蓄電池10aの電圧との偏差により充電電流を決定している。その充電電流の指令値は、偏差をPI制御器に入力することで計算する。次に定電流充電時の制御ブロックは、蓄電池10aの充電電流目標値と、実際の充電電流との偏差からPI制御器に入力することで充放電制御部10cに指令を送信する。さらに蓄電池10aの電圧の上昇速度が速い場合、図10に示すような、微分制御を追加しPID制御器へ蓄電池10aの電圧を入力することで対応する。微分制御の入力には蓄電池10aの電圧が逐次入力され、蓄電池10aの電圧変化量に微分ゲインを掛けることで演算する。これにより蓄電池10aの電圧は、充電状態に関わらず、規定電圧をオーバーしない制御としている。
【0078】
図11に、蓄電池電圧抑制手段14による蓄電池10aの電圧上昇を抑えた結果例を示す。
【0079】
図に示すように、蓄電池10aの電圧は、充電開始時の初期立ち上り速度は通常のPI制御器と同等であり、蓄電池10aの電圧が上昇してきた際には、規定電圧をオーバーしないように制御を可能としている。
【0080】
以上のように、本実施の形態4によれば、蓄電池10aへの回復充電中は発電電力を有効に充電するため、規定電流を充電できない場合であっても、蓄電池10aに充電することができる。また、蓄電池10aが満充電付近となり充電制御が定電圧充電に切り換わった後、発電電力が不足した場合、蓄電池10aの充電効率が悪化するため、充電カウントを停止し、蓄電池10aの長寿命化を図ることができる。さらに、蓄電池10aへの回復充電中に発電電力が減少し、一時的に蓄電池10aの電圧が低下した際には、定電流充電から再スタートする場合であっても、通常時の充電と同等の充電立ち上り速度を確保することで早期に充電を開始、継続することができ、また蓄電池10aの電圧は規定電圧を超えることなく制御することができる。
【0081】
(実施の形態5)
図12は、本実施の形態5における電源装置の構成図を示す。
【0082】
図に示すように、実施の形態5における電源装置は、蓄電池10aの回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池10aを最優先とする優先順位制御手段15と、蓄電池10aの回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源2への出力を最優先する第二優先順位制御手段16を備えている。
【0083】
次に、優先順位制御手段15のフローチャートについて、図13を参照しながら説明する。
【0084】
図に示すように、優先順位制御手段15は、回復充電フラグ信号を入力し、回復充電であるか否かを判別する。判定した結果、回復充電中であれば、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8をコンデンサ7の電圧制御モードで動作するよう指令を送信する。さらに優先順位制御手段15は、充放電制御部10cに対して定電流充電制御を行なうように指令を送信する。
【0085】
次に、第二優先順位制御手段16のフローチャートについて、図14を参照しながら説明する。
【0086】
図に示すように、第二優先順位制御手段16は、回復充電フラグ信号から回復充電中でない場合、フルブリッジインバータ6を制御する主回路制御部8に対して、定電力制御指令を送信する。さらに第二優先順位制御手段16は、充放電制御部10cに対してコンデンサ7の電圧制御を行なうように指令を送信する。
【0087】
以上のように、本実施の形態5によれば、優先順位制御手段15により、回復充電中は蓄電池10aの管理及び長寿命化のための充電を第一優先に発電電力を給電し、第二優先順制御手段16により、回復充電以外の時は系統への出力を第一優先に発電電力を給電することができる。従って、発電電力のみの回復充電であっても、回復充電を効率的に実施することができ、また必要容量のみ蓄電池10aを具備するため、蓄電池10aの容量を最小化でき、装置全体の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
太陽電池や燃料電池を用いた発電手段を、コンデンサに対して並列接続したシステムに対して、蓄電手段を用いて容易に発電電力のピークシフトができるため、発電電力の平準化あるいは負荷の平準化が必要となる家庭向けにも適用でき、また、交流電源側のインピーダンスを自動判定することにより、系統連系の際の出力抑制を未然に予測することができるため、系統側との調和を図る必要のある集中連系の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例1の電源装置の構成図
【図2】同充放電制御部の制御フローチャート
【図3】本発明の実施例2の電源装置の構成図
【図4】本発明の実施例3の電源装置の構成図
【図5】同インバータ逆流防止制御部のフローチャート
【図6】本発明の実施例4の電源装置の構成図
【図7】同定電流充電手段のフローチャート
【図8】同定電圧充電手段のフローチャート
【図9】同蓄電池電圧抑制手段(PI制御時)の制御ブロック図
【図10】同蓄電池電圧抑制手段(PID制御時)の制御ブロック図
【図11】(a)同蓄電池電圧上限値をオーバーした場合の実施例を示す図(b)同蓄電池電圧の上昇抑制時の実施例を示す図
【図12】本発明の実施例5の電源装置の構成図
【図13】同優先順位制御手段のフローチャート
【図14】同第二優先順位制御手段のフローチャート
【図15】従来の電源装置(系統連系インバータ)のブロック図
【図16】同供給電圧制御時のベクトル図
【符号の説明】
【0090】
1 発電手段
2 交流電源
3 スイッチング素子
4 ダイオード
5 アーム
6 フルブリッジインバータ
7 コンデンサ
8 主回路制御部
9 系統連系インバータ
10a 蓄電池
10b 充放電回路
10c 充放電制御部
11a 逆流防止ダイオード
11b インバータ逆流防止制御部
12 定電流充電手段
13 定電圧充電手段
14 蓄電池電圧抑制手段
15 優先順位制御手段
16 第二優先順位制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する,スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
発電手段の発電電力が蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても、充電を継続する定電流充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
発電手段の発電電力が蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項6】
蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項7】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項9】
蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項10】
蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項1】
発電手段と、前記発電手段により得られた発電電力を交流電源へ出力する,スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記2つのアームに並列に接続したコンデンサと、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部を備えた系統連系インバータにおいて、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧の上下変動に応じて前記発電手段からの発電電力を充電あるいは交流電源出力するための放電を行なう蓄電手段を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
蓄電手段は、発電手段からの発電電力のみ充電する発電電力充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、発電手段からの発電電力のみで行なう回復充電制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
発電手段の発電電力が蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても、充電を継続する定電流充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
発電手段の発電電力が蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項6】
蓄電池の充電制御において、発電手段の発電電力が変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項7】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
【請求項9】
蓄電池の回復充電中において、発電電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項10】
蓄電池の回復充電以外の場合、発電電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−60984(P2006−60984A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243314(P2004−243314)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「集中連係型太陽光発電システム実証研究」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006242)松下エコシステムズ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「集中連係型太陽光発電システム実証研究」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006242)松下エコシステムズ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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