説明

電界効果型トランジスタ及びその製造方法

【課題】ゲート容量の増大を抑制しつつ、耐湿性を大幅に向上させることを可能にした電界効果型トランジスタおよびその製造方法を得る。
【解決手段】半導体層1上にT型ゲート電極2が形成された電界効果型トランジスタであって、T型ゲート電極2が形成されている領域をトランジスタ能動領域としたとき、当該トランジスタ能動領域全体において、T型ゲート電極2上に設けられた、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む第1の高耐湿性保護膜5を備え、T型ゲート電極2の傘下を含むT型ゲート電極2の近傍において、半導体層1と第1の高耐湿性保護膜5との間に空隙6が形成されており、空隙6が外界に接している端面6aを第2の高耐湿性保護膜7により塞いだ構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界効果型トランジスタ及びその製造方法に関し、特に、数GHz以上のマイクロ波帯、ミリ波帯での使用に適するガリウム砒素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)を主成分とする電界効果型トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波およびミリ波帯域を利用する無線通信市場は、衛星通信や、60GHz帯の高速大容量通信システム、あるいは、70〜80GHz帯の車載レーダシステムなどの普及に伴い、拡大傾向にある。これら高周波帯信号の受送信部には、化合物半導体、特に、ガリウム砒素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体エピタキシャル層基板に積層した、MESFET、HFET、及び、HEMTと呼ばれる電界効果型トランジスタ(以後FETと呼称)が多く使用されている。
【0003】
無線通信市場の拡大に必須な受送信機器の低コスト化のためには、気密封止パッケージから、非気密型やモールド封止への変更が有効であるが、化合物半導体を使用する電界効果型トランジスタは、通常湿度に弱く、チップ単体の高耐湿化が必要とされている。
【0004】
耐湿性向上には半導体表面に耐湿性保護膜を積層することにより水分が半導体表面に到達することを防止する対策が有効であるが、一般的に耐湿性保護膜の被覆はトランジスタの特性劣化を伴う。電界効果型トランジスタの場合、ゲート電極と半導体表面若しくはソース・ドレイン電極との間の空間に絶縁保護膜が介在することによりゲート容量が増大し、結果デバイス特性を悪化させる。
一般に高出力増幅器用FETでは、ゲート抵抗の低減に有効なT型ゲート構造を採用することが多い。T型ゲート構造ではゲートの傘下、半導体層との間に空洞があるが、絶縁保護膜の積層によりこの傘下空洞が充填されると、前述のゲート容量が更に増大し、マイクロ波、ミリ波帯の利得特性を低下させる。
【0005】
高耐湿性膜の保護とゲート容量増大の抑制を両立する試みとしては、例えば、下記の特許文献1に提案されている。特許文献1に記載の電界効果型トランジスタにおいては、T型ゲート傘下の空洞化により、ゲート容量増大を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−98400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1においては、T型ゲート傘下の空洞化により、ゲート容量増大を抑制している。しかしながら、T型ゲート傘下だけを空洞化したのでは、ゲート傘外側に堆積する高耐湿絶縁膜の影響で、一定のゲート容量増大は避けられず、結果的に、利得低下を引き起こすという問題点があった。
【0008】
下記の表1に、3種のGaAs−pHEMT構造にて10GHzの利得(MSG)を評価した結果を示す。傘下空洞化したトランジスタ構造は、傘下が充填されている構造に比べ、0.5dB程度利得が増加するが、高耐湿性膜の無いトランジスタに比べ、0.6〜0.7dB低下する。
【0009】
【表1】

【0010】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、ゲート容量の増大を抑制しつつ、耐湿性を大幅に向上させることを可能にした電界効果型トランジスタおよびその製造方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、半導体層上にT型ゲート電極が形成された電界効果型トランジスタであって、前記T型ゲート電極が形成されている領域をトランジスタ能動領域としたとき、当該トランジスタ能動領域全体において、前記T型ゲート電極上に設けられた、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む保護膜を備え、前記T型ゲート電極の傘下を含む前記T型ゲート電極の近傍において、前記半導体層と前記保護膜との間に、空隙が形成されており、前記空隙が前記トランジスタ能動領域端においてさらに高耐湿性膜により取り囲まれていることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、半導体層上にT型ゲート電極が形成された電界効果型トランジスタであって、前記T型ゲート電極が形成されている領域をトランジスタ能動領域としたとき、当該トランジスタ能動領域全体において、前記T型ゲート電極上に設けられた、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む保護膜を備え、前記T型ゲート電極の傘下を含む前記T型ゲート電極の近傍において、前記半導体層と前記保護膜との間に、空隙が形成されており、前記空隙が外界に接している端面を高耐湿性膜により塞いだことを特徴とする電界効果型トランジスタであるので、ゲート容量の増大を抑制しつつ、耐湿性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの構成を示した断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタおよび参考例における、ゲート容量の観点で適した空隙幅を、デバイスシミュレーションにて解析した結果を示した説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタおよび参考例における、ゲート容量の観点で適した空隙幅を、デバイスシミュレーションにて解析した結果を示した説明図である。
【図4A】本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの製造方法の流れを示した説明図である。
【図4B】本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの製造方法の流れを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下に、本発明に係る電界効果型トランジスタおよびその製造方法を示す実施の形態について説明する。本発明に係る電界効果型トランジスタは、ゲート傘下を含む、ゲート廻り及びゲート近傍の半導体表面(又は表面上に堆積された保護絶縁膜)上に、空隙を設け、その上層に高耐湿性保護膜を配置することで、ゲート容量の増大を抑制しつつ、耐湿性を大幅に向上させることを可能にするものである。
【0015】
図1に、本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの構造を示す。本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタにおいては、図1に示すように、半導体層1上に定義された所定の領域に、T型ゲート電極2とソース又はドレイン(以下、SDと略す)電極3とが設けられている。なお、SD電極3は、半導体層1上に形成されたSD電極(コンタクト層)3aとその上に形成されたSD電極(蒸着またはメッキ層)3bとから構成されているが、以下では、これらをまとめて、SD電極3と呼ぶこととする。半導体層1は、バッファ層、チャネル層、ゲートコンタクト層、ゲート埋込層、キャップ層などを含んでいる。図1に示すように、T型ゲート電極2とSD電極3とは、半導体層1上に交互に配列されている。なお、T型ゲート電極2およびSD電極3が設けられている上記の所定の領域を、以下では、トランジスタ能動領域と呼ぶ。また、それ以外の領域を、トランジスタ能動領域外と呼ぶ。なお、図1の例では、ゲート電極をT型ゲート電極2としているが、T型形状に限らず、庇型であればよく、従って、例えば、Y型やΓ型のような形状でも良いこととする。
【0016】
また、図1に示すように、トランジスタ能動領域の全体を覆うように、第1の高耐湿性保護膜5が形成されている。第1の高耐湿性保護膜5は、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む保護膜である。また、T型ゲート電極2の傘下を含むT型ゲート電極2近傍において、第1の高耐湿性保護膜5と半導体層1表面との間に空隙6が存在する。また、SD電極3の近傍にも、第1の高耐湿性保護膜5と半導体層1表面との間に空隙6が存在する。従って、第1の高耐湿性保護膜5は中空となっている。さらに、図1においては、第1の高耐湿性保護膜5上に、第2の高耐湿性保護膜7が設けられている。
【0017】
第1の高耐湿性保護膜5は、図1に示すように、空隙6が介在するため、半導体層1の表面には接触していない。そのため、トランジスタ能動領域とトランジスタ能動領域外との境界付近においては、第1の高耐湿性保護膜5の下方に、空隙6が外界に接触する端面6aが存在する。端面6aは、穴となっているため、ここから外の水分が内部に侵入する可能性がある。そのため、第2の高耐湿性保護膜7は、この空隙6の端面6aを覆い、内部に水分が侵入することを防ぐための保護膜である。図1においては、第2の高耐湿性保護膜7が、空隙6の端面6aだけでなく、トランジスタ能動領域全体をカバーするように記載されているが、この第2の高耐湿性保護膜7は、空隙6aの端面部分のみに存在しても構わない。また、第1の高耐湿性保護膜5と第2の高耐湿性保護膜7とは同じ材質で構成しても良いし、違う材質で構成しても構わない。
【0018】
ゲート容量の観点で、空隙6に適した空隙幅(空隙6の厚み)を、デバイスシミュレーションにて解析した結果を図2及び図3に示す。図2はモデルトランジスタのゲート廻り断面構造を示している。図2において、T型ゲート電極2は、その茎の下方一部分が半導体層1内に埋め込まれており、また、半導体層1には、ゲート電極からソース側、ドレイン側両方の外側にリセスを作成している。図2においては、半導体層1は、AlGaAs層1aと、当該AlGaAs層1a上に形成されたGaAs層1bとを含んでいる。図2(1)の参考例の構造では、表面保護絶縁膜(Si3N4:50nm厚)8のみしか存在しないが、図2(2)の本実施の形態では、T型ゲート電極2およびSD電極3との間に、200nmの空隙幅の空隙6を持って、絶縁膜(Si3N4)から構成された高耐湿性保護膜5を配している(断面縦軸と横軸の縮尺が異なっているので見え方は異なるが、表面側も両電極側も空隙幅は200nmである)。
【0019】
この構造において、右側のSD電極3(ドレイン側とする)のみに電圧を印加し、T型ゲート電極2との電位差が、Vdg=2Vとなった時のゲート・ドレイン間容量(Cgd)を、有限要素法を用いたシミュレーション解析にて導出した。空隙幅を0〜200nmに変化させて導出した値を図3に示す。空隙幅が200nmから50nmまではCgdの増加率は3%以内に留まるが、空隙幅0nmでは15%以上増加していることが分かる。以上から空隙幅は50nm以上が望ましい。一方、空隙幅が大きいと、第1の高耐湿性保護膜5等の変形が容易になるため、望ましくない。図3において、空隙幅が200nmではCgd増加率が0.25%以下とほぼ無視出来ることから、空隙幅は、50〜200nm程度が適度であると言える。
【0020】
第1及び第2の高耐湿性保護膜5,7としては、耐湿性・耐エッチング性の高い、窒化シリコン膜(以下、SiNxと表記する。)が最適である。通常よく使用される絶縁保護膜としては、他に、酸化シリコン膜(SiO)や窒酸化シリコン膜(SiON)などがあるが、これらは屈折率がSiNx膜より小さく、耐湿性、耐沸酸性に劣る。有機膜では絶縁膜に比べても耐湿性に難点がある。
【0021】
異方的堆積法については、実現可能な方法として、触媒CVD法によるSiN膜の積層を用いる。触媒CVD法は、ウエハ上部に設置した高温タングステンワイヤがシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)が反応するための触媒の役割を果たし、ウエハの加熱やプラズマなどを要せずに、SiNx膜を形成することが出来る。プラズマが発生しないため、半導体表面ダメージがなく、ストイキオメトリなSi3N4とほぼ同等の屈折率(n〜2.05)を持つ絶縁膜となり、耐湿性、耐薬品(希釈フッ酸)性も非常に高い。これらの特性に関しては、例えば“Highly moisture-resistive silicon nitride films prepared by catalytic chemical vapor deposition and application to gallium arsenide field-effect transistors”, A. Masuda et. al., Vacuum, 74 (2004) pp. 525-529に詳しい。また、触媒CVD法では、反応生成物が表面拡散に依らず、タングステンワイヤで生成することから、表面でのSiNxの拡散があまりなく、側壁・傘下など影となる領域への堆積が殆どない。
【0022】
図4Aおよび図4Bに、本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの製造方法の処理の流れを示す。ただし、図1の構造のものに比し、より詳細に配線電極10,11が形成された場合を示す。なお、配線電極10は、例えば配線などのメッキ層を想定しており、配線電極11は蒸着層またはメッキ層を想定している。まず、図4A(a)に示すように、T型ゲート電極2およびSD電極3の廻りおよび上部、並びに、半導体層1の表面上を含めたチップ全体に(ゲート金属近傍の半導体層1の表面に表面保護絶縁膜がある場合はその表面保護絶縁膜上に)、低エッチング耐性膜9を積層する。このとき、低エッチング耐性膜9は、トランジスタ能動領域だけでなく、トランジスタ能動領域外にも、積層される。低エッチング耐性膜9の膜厚は、上述の空隙6の空隙幅に対応し、例えば、本実施形態では0.5〜2μm程度を想定している。次に、図4A(b)に示すように、通常エッチングやCMPなどの平坦化プロセスを用い、一番高層の配線電極10上から低エッチング耐性膜9を除去する。一番高層の配線電極10は、上述したように配線などのメッキ層を想定しており、この際にゲート周りの低エッチング耐性膜9は残存するように平坦化プロセスを最適化する。次に、図4A(c)に示すように、低エッチング耐性膜9上に、第1の高耐湿性保護膜5を積層する。第1の高耐湿性保護膜5の膜厚は、触媒CVD法適用SiNx膜であれば、50nm以上であれば良い。なお、このとき、図4A(b)に示す工程で、一番高層の配線電極10上だけは低エッチング耐性膜9が除去されているので、この部分だけは、第1の高耐湿性保護膜5が直に一番高層の配線電極10上に積層される。
【0023】
次に、レジストマスクを用いて、図4B(d)に示すように、トランジスタ能動領域外において、第1の高耐湿性保護膜5及び低エッチング耐性膜9を、エッチングにより除去する。なお、この工程におけるエッチングは、ドライエッチングであっても、ウェットエッチングであっても良い。
【0024】
次に、図4B(e)に示すように、ウェットエッチングにて、トランジスタ能動領域内にある、第1の高耐湿性保護膜5下の低エッチング耐性膜9を除去して、空隙6を形成する。なお、この工程におけるエッチングは、低エッチング耐性膜9の特性により異なる。例えば、現像液で容易に除去できるレジスト等の膜を低エッチング耐性膜9として使用する場合、このウェットエッチング工程は、現像液を第1の高耐湿性保護膜5と半導体層1との間に侵入させることにより行われる。また、エラストマー、PPEなどに類する温度上昇により融解・流出する可塑性を有した膜を低エッチング耐性膜9として使用する場合、このウェットエッチング工程は、少なくとも第1の高耐湿性保護膜5と半導体層1との間を加熱することにより、低エッチング耐性膜9を溶出させて行われる。この加工プロセスにより空隙となる箇所が多く発生するが、一番高層の配線電極10には高耐湿性保護膜5が直付けされており、この接面において全体の高耐湿性保護膜5を支えている。
【0025】
最後に、図4B(f)に示すように、図4B(e)の工程で形成された空隙6が外界に接触している端面6aを、第2の高耐湿保護膜7の積層により塞ぐ。第2の高耐湿性保護膜7についても、水平方向の膜厚としては、第1の高耐湿性保護膜5と同様であるが、触媒CVD法を利用したSiNx膜の場合、垂直面への積層厚は、水平面と比べ、著しく薄くなるため、逆に、垂直面への積層膜厚が50nmであった場合は、水平面へは100nm以上の膜厚となる。なお、この第2の高耐湿性保護膜7は、空隙6の端面6aを覆って湿気の侵入を防ぐための保護膜であるため、空隙6aの端面6a部分のみに存在していればよい。しかしながら、図4B(f)に示すように、空隙6の端面6aを含むトランジスタ能動領域全体をカバーするように、第2の高耐湿性保護膜7を設けるようにしてもよい。
【0026】
このように、本実施の形態1においては、エッチングされやすい膜(低エッチング耐性膜9)を最初に塗布しておき、その上に、耐湿性・耐エッチング性の高い膜(第1の高耐湿性保護膜5)を積層し、その後に、当該エッチングされやすい膜(低エッチング耐性膜9)を除去するようにした。これにより、容易に、T型ゲート電極2廻り、及び、SD電極3廻りに、空隙6を形成することができる。
【0027】
以上のように、本発明においては、トランジスタ能動領域全体を覆うように、耐湿性・耐エッチング性の高い第1の高耐湿性保護膜5を設けた。T型ゲート電極2の傘下、T型ゲート電極2廻り、SD電極3廻り、T型ゲート電極2近傍に、空隙6を形成した。また、T型ゲート電極2が設けられていないトランジスタ能動領域外に、第1の高耐湿性保護膜5が除去されている領域を形成した。更に、空隙6と外界との端面6aを塞ぐように、第2の高耐湿性保護膜7を設けた。このようにして、空隙6を設けたことにより、T型ゲート電極2を保護するための第1の高耐湿性保護膜5がT型ゲート電極2の傘下に入らなくなるので、ゲート容量が増大することを抑制することができる。また、第1の高耐湿性保護膜5をトランジスタ能動領域全体に設けたので、T型ゲート電極2やSD電極3を保護でき、それらを傷つけることを防止できる。さらに、第1の高耐湿性保護膜5として、耐湿性の高い膜を用いたので、耐湿性を大幅に向上することができる。また、空隙6が本来、外界と接するはずであった端面6aを、第2の高耐湿性保護膜7を堆積することにより塞いだので、さらに、耐湿性が向上する。
【0028】
なお、上記の説明においては、第1の高耐湿性保護膜5として、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜を含む膜を用いる例について説明した。しかしながら、第1の高耐湿性保護膜5として、耐湿性・耐エッチング性の高い有機膜を含む膜を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 半導体層、2 T型ゲート電極、3 SD電極、5 第1の高耐湿性保護膜、6 空隙、7 第2の高耐湿性保護膜、8 表面保護絶縁膜、9 低エッチング耐性膜、10,11 配線電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層上に庇型ゲート電極が形成された電界効果型トランジスタであって、
前記庇型ゲート電極が形成されている領域をトランジスタ能動領域としたとき、当該トランジスタ能動領域全体において、前記庇型ゲート電極上に設けられた、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む保護膜とを備え、
前記庇型ゲート電極の傘下を含む前記庇型ゲート電極の近傍において、前記半導体層と前記保護膜との間に、空隙が形成されており、
前記空隙は、前記トランジスタ能動領域端においてさらに高耐湿性膜により取り囲まれている
ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項2】
前記保護膜および前記高耐湿性膜の少なくともいずれか一方は、SiNx膜から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項3】
前記庇型ゲート電極が、T型、Y型、またはΓ型ゲート電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項4】
半導体層上に定義されたトランジスタ能動領域に庇型ゲート電極を形成するステップと、
ウェットエッチングにて容易に除去出来る低エッチング耐性膜を、前記庇型ゲート電極廻り及び前記半導体層表面に積層するステップと、
前記低エッチング耐性膜上に、耐湿性・耐エッチング性の高い絶縁膜若しくは有機膜を含む保護膜を積層するステップと、
前記トランジスタ能動領域外の前記高耐湿性保護膜及び前記低エッチング耐性膜を除去するステップと、
前記トランジスタ能動領域内の前記低エッチング耐性膜をウェットエッチングにて除去して、前記庇型ゲート電極廻りにおいて、前記半導体層と前記保護膜との間に空隙を形成するステップと、
前記空隙の外界に接している部分を高耐湿性膜を積層することにより塞ぐステップと
を備えたことを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記低エッチング耐性膜は現像液で容易に除去出来る膜であり、
前記ウェットエッチングにて除去する工程は、前記半導体層と前記保護膜との間に現像液を浸入させることにより行うことを特徴とする請求項4に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記低エッチング耐性膜は、温度上昇により融解・流出する可塑性を有した膜であり、
前記ウェットエッチングにて除去する工程は、少なくとも前記半導体層と前記保護膜との間の温度を上昇させることにより行うことを特徴とする請求項4に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2010−205837(P2010−205837A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48185(P2009−48185)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、総務省、「ミリ波帯無線装置の高能率化技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】