非日常行動自動通報装置およびシステム
【課題】携帯ブザーは子供自身が紐を抜いてブザーを鳴らすしくみになっているので、怪我などによりブザーを操作することができない場合には使用できない。また、周囲に人気の無い場所ではブザーを鳴らしても助けは来ない。
【解決手段】装置1は、所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、動作を予め登録された非日常動作の判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、非日常動作と判定された場合には携帯電話機3を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段とを備える。動作は加速度センサーと地磁気方位センサーによりセンシングする。
【解決手段】装置1は、所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、動作を予め登録された非日常動作の判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、非日常動作と判定された場合には携帯電話機3を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段とを備える。動作は加速度センサーと地磁気方位センサーによりセンシングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を利用した携帯型の非日常行動自動通報装置およびそれを利用したシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今は交通量の増大や治安の悪化が繰り返し報道されており、子供を持つ親にとっては特に登下校時の子供の安全を確保することが課題となっている。
その一案として、子供が非日常動作にあることを知らせる携帯ブザーが市販されているが、携帯ブザーは子供自身が紐を抜いてブザーを鳴らすしくみになっているので、怪我や手足の拘束などによりブザーを操作することができない場合には使用できない。
また、周囲に人気の無い場所では大音量でブザー鳴動させても、音の伝達距離は短く、緊急情報伝達手段としてはその能力に限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近では携帯電話機が爆発的に普及しており、この通信網を利用して通報すれば、遠隔地にいる親などにも迅速に子供の非日常動作の発生を知らせることができる。
従って、本発明は、非日常動作をセンシングすると、携帯電話機を自動発信させて、親などに迅速に通報する非日常行動自動通報装置およびそれを利用したシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、前記動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作パターンとの類似マッチングによる判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、携帯電話機と接続され、前記非日常動作判定手段で非日常動作と判定された場合には前記携帯電話機を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段と、前記自動通報手段との接続が切断された場合に鳴動する警報アラーム鳴動手段とを備えることを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載した非日常行動自動通報装置において、動作センシング手段が3軸加速度センサーと地磁気方位センサーを有し、非日常動作判定手段では前記加速度センサーと地磁気方位センサーから得られる加速度値、速度値、変位値及び/または方向、並びに移動方位に基づいて動作を判定することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した緊急自動通報装置において、自動通報手段は携帯電話機の電話帳ファイルの所定の位置に登録された連絡先もしくは装置に登録された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した非日常行動自動通報装置において、さらに時計手段を備え、動作センシング手段は前記時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、時計手段と記録手段を備え、学習モードでは動作センシング手段によりユーザーの日常的動作をセンシングされると、その動作を規定時間内の日常的動作と記録手段に記録しておき、非日常動作判定手段では、その動作がセンシングされても規定時間内に発生した場合には、非日常動作と判定しないことを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、自動通報手段は、連絡先が非日常動作パターンとリンクされて登録されており、非日常行動判定により判定された非日常動作パターンに対応する連絡先を選別して、前記携帯電話機からの自動発信時にはその選別された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置と携帯電話機とが接続され、非日常動作発生時には前記携帯電話機が移動電話回線網を通じて予め登録された連絡先に自動発信することを特徴とする非日常行動自動通報システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非日常行動自動通報装置およびシステムによれば、子供を含むユーザーが非日常動作にあるときに、携帯電話機が自動的に発信して非日常動作を通報するので、ユーザー自身が操作できずとも、また周囲に人がいなくとも、非日常動作を迅速に且つ確実に必要な連絡先に知らせることができる。
また、加速度センサーと地磁気方位センサーを利用することにより、非日常動作の発生を精度高く判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態に係る非日常行動自動通報装置1は、携帯電話機3の接続コネクタ5に携帯接続ケーブル7の接続コネクタ(シリアルポートコネクタ)9が差し込まれて有線接続されている。
携帯電話機3は、特定の位置に登録できる電話帳ファイルを有するか、非日常行動通報装置自体が連絡先の登録機能を有し、装置のファイルに登録された電話番号をコマンド制御により受信できる機能を有する。
非日常行動自動通報装置1の筐体上には、電源ONの表示ランプ11とセンシング中の動作表示用LEDランプ13が表出している。また、スピーカ用の穴15が形成されている。
この非日常行動自動通報装置1はコンパクトに形成されており、衣服の胸ポケットに入れるなど、基本的にはユーザーの衣服等でユーザーの体の中心位置に装着して所持されることを想定している。
【0013】
非日常行動自動通報装置1の内部構造を説明する。
装置内部には、主に、中央制御ユニット(CPU)17、メモリICもしくは外部メモリカード19、3軸加速度センサー21、地磁気方位センサー30、カレンダーIC23、警報アラームスピーカー25、動作表示用LED回路27、および電源としての水銀電池29が備えられている。
因みに、地磁気方位センサー30は、MR素子で構成したホイートストンブリッジが2箇所配置された、2軸磁界センサーであり、地磁気に基づいて方位を測定できる構成になっている。
【0014】
日常動作センシング手段は、所持しているユーザーの動作をセンシングする手段であり、中央制御ユニット17と3軸加速度センサー21と地磁気方位センサー30とが対応している。
非日常動作判定手段は、日常動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作の類似パターンマッチング判定手順に従って非日常動作か否かを判定する手段であり、中央制御ユニット17が対応している。
自動通報手段は、非日常動作判定手段で非日常動作と判定された後に、その非日常動作の種別に対応する予め登録された連絡先に、自動発信して通報する手段であり、中央制御ユニット17と、携帯電話機3との接続機能を担っている携帯接続ケーブル7が対応しており、携帯接続ケーブル7を介して携帯電話機3を自動発信させる。即ち、自動通報手段は、携帯電話機3をオフフックし、特定の電話番号を読み出してダイヤリングさせる。
アラーム鳴動手段は、携帯接続ケーブル7が動作解除手順無しに外されるかまたは携帯電話機3の電源が切られた場合には、警報アラームを鳴動させる手段であり、中央制御ユニット17と警報アラームスピーカ25と携帯接続ケーブル7が対応している。
上記したように中央制御ユニット17は判定処理に加え、携帯電話機3への自動発信を含む種々の指令、警報アラームスピーカ25の鳴動なども行っている。
その他、カレンダーIC23は時計手段に対応している。
メモリICもしくは外部メモリカード19には、判定手順や、学習モードで得られたユーザーの日常動作データが記憶されている。
【0015】
次に、非日常行動自動通報装置1の非日常動作判定手段が行う判定手順を、子供の動作パターンを例にして説明する。
一般的に子供の登下校時の行動パターンはある程度規則化されており、その動作は日常的動作であり決まった時間に、決まった速度、決まった方位への移動が通常である。
仮に、登下校時の日常的動作にない自転車や自動車などでの移動が登下校時に発生した場合には子供の移動スピード、移動方位に大きな変化が現れる。従って、3軸加速度センサー21を使用して子供の体に加わる加速度をセンシングし、地磁気方位センサー30を使用して子供の移動する方位をセンシングすれば非日常動作としての検出ができる。
具体的に説明すると、通常子供の動作は緩慢であり、普通に歩行している場合だけでなく走行している場合でも、加速度の数値に換算すると、±0.3G程度の範囲内に収まっており、加速度の変化はそれほど大きくない。因みに、1Gとは9.81m/sec2で、約1秒で速度の変化が1km/hrの場合、約0.03Gとなる。
しかしながら、子供が自転車や自動車に衝突したり、自転車や自動車で移動したりした場合には加速度に大きな変化が現れる。
【0016】
3軸加速度センサー21を使用して子供の非日常動作を数値として捉えると、以下のようになる。
(1)自転車などに衝突した場合‥‥前方、後方、側方のいずれの方向にも合成された加速度値が大きく変化する。
(2)急に気分が悪くなるなどして横になった状態が連続している場合‥‥通常の垂直方向が水平方向に変わり、その後は加速度値の変化が無くなる。
(3)自転車や自動車で移動した場合‥‥積分処理により得られる速度値が一定以上(例えば30km/hr以上)となる。
(4)不審者が連れ去ろうとするのに抵抗して一定時間一定間隔で体をひねった場合‥‥加速度のベクトル方向が大きく変化することが定期的に継続する。
(5)不審者に抱き上げられた場合‥‥積分処理により得られる垂直方向の変位が急に変化する(例えば50cm以上)。
(6)不審者から逃げるために全力でジグザグに走っている場合‥‥積分処理により得られる速度値が一定以上(例えば10kg/hr以上)で、加速度のベクトル方向が大きく変化することが定期的に継続する。
図3は、一例として、上記(1)の自転車などに衝突して突き飛ばされた場合の加速度のベクトル方向の変化を矢印で示している。
【0017】
従って、非日常動作判定手段では、加速度のベクトル方向、加速度値、速度値、変位値、移動方位、継続時間などにより特定される非日常動作パターンを予め登録しておき、その非日常動作パターンに適合するか否かを判定している。なお、非日常動作パターンはユーザーの年齢や装着状況を考慮して複数設定される。また、動作のあいまいさを考慮して非日常動作パターンを特定する数値には幅が持たされている。
図4のフローチャートに従って、先ず、予備的に、一時判定処理を行う。一時判定処理では、規定時間内の速度値が規定値(上限値、下限値)以上になった場合若しくは登下校時の道順を通っていない場合には、非日常動作発生、即ち判定成立としている。そこで、非日常動作が発生したと判定された場合には、さらに、登録された非日常動作パターンに適合するかどうかを判定する。
【0018】
一例として、非日常動作パターン1に適合するか否かの判定処理を、図5のフローチャートに従って判定する。
実際に収集された動作パターンが、図6に示すものだとすると、条件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の順に判定していき、全ての条件値を達成するときには非日常動作パターン1の成立と判定する。この非日常動作パターン1は一定時間以上の上限値オーバー後に一定時間内に下限値オーバーが発生したものである。
なお、図6では波形イメージパターンを示しているが、実際には、一定サンプル数を抽出して判定すれば足りると思われる。
積分処理には各種方法があり、最近はCPUの能力向上によりFFTを使用する例もあるが、この実施の形態では、ワンチップCPUにより簡易に算出するために、直接積分法を利用している。なお、直接積分法をそのまま利用すると誤差が累積していくため、簡易なローカット(ハイパス)フィルタ処理を併用している。
【0019】
また、非日常動作パターン2に適合するか否かの判定処理を、図7のフローチャートに従って判定する。
子供の通学路が図8に示すものだとすると、子供の登校時の移動パターンは、自宅“A”を出てその先の分岐路“ア”までを東の方角へ歩数“1”で歩きその分岐路“ア”を北北東の方角へ左折し、分岐路“イ”まで歩数“2”まで直進しその分岐路“イ”を東北東の方角に右折し、最終的に学校“B”に到着するまでに、通学路にあわせ“3”から“7”の歩数区間を移動する方位を変えながらいつもの道順を日常動作パターンとして移動する。
しかしながら、登下校途中で子供が寄り道をした場合や、第三者に連れ去られるような状況が発生した場合、日常動作パターンに適合せず、非日常動作パターンに適合すると判定する。
なお、子供の歩数は加速度センサー21を利用して歩数を測定する。
【0020】
次に、非日常行動自動通報装置1を使用した非日常行動自動通報システムの構成と、その利用方法を、図9、図10、図11に従って説明する。
(1)事前準備
先ず、連絡先を携帯電話機3の電話帳ファイルの所定の位置に登録しておく。登録位置は予め指定されている。単数でも複数でも登録できる。例えば、保護者や契約してある警備会社を連絡先として登録する。
また、装置の外部メモリカード19に外部からの操作により電話番号を登録できる機能を持たせている場合には、そこに登録する。
なお、携帯電話機3の電話会社の提供する位置情報提供サービスを契約してある。
【0021】
(2)使用中
携帯電話機3の電源をONにし、それと接続した状態でユーザーである子供の胸ポケットに非日常行動自動通報装置1を入れておく。
センシング中は、動作表示用LEDランプ13が点灯している。
非日常動作判定手段により非日常動作と判定された場合の自動発信処理について、図10のフローチャートに従って説明する。
非日常動作と判定された場合には(S1)、自動通報手段は携帯電話機3のオンフックキーが押されるのを一定時間(5〜10秒程度)待つ(S2)。子供が遊んでいるときに誤って非日常動作と判定されるような動作を行った場合などには、子供自身が直ぐにオンフックキーを押すことで通報を事前に阻止することができる。
【0022】
オンフックキーが一定時間内に押されなかった場合には、携帯電話機3の電話帳ファイルの指定された登録位置の連絡先の電話番号を読み出すか、或いは装置内に登録された電話番号を携帯電話機3がコマンド制御により受信して、自動発信するが、その段階前に非日常動パターンの種別に応じて連絡先の選別を行う。(S3)。
発信先の応答を確認したら(S4)、モールス信号の“SOS”に似た音を送出する。或いは発信元の現場の音を送出する(S5)。
そして、発信先のオンフックにより電話回線が切断されると(S6)、処理を終了する。
【0023】
着信した人は、位置情報提供サービスを利用して位置情報を取得する。そして、非日常動作と判断した場合で緊急通報であれば、警察に連絡するし、その他非日常行動通報では連絡した人が現場に駆けつける行動をする。
また、警察に連絡する前に、再確認のために携帯電話機3に向けて発信すると、図11のフローチャートに示すように、自動応答処理される。
即ち、非日常行動自動通報装置1は携帯電話機3に電話がかかってくると、即ち着信を確認すると(S1)、発信元の電話番号を確認し(S2)、自動発信の際の発信先が発信元の場合には、携帯電話機3の着信音を鳴らさずに自動応答させて現場の音を送出する(S3)。
その他の電話番号で携帯電話機3に電話がかかってきた場合には、自動応答せずに通常時と同様に着信音を鳴らして、その子供が応答するのを待つ(S4)。これにより、その子供が今当に不審者に襲われているような場合にはその不審者へ威嚇できる。また、その子供が着信できた場合には、その子供の最終位置や現在の状況を正確に伝えることができる。
【0024】
なお、子供がセンシング対象の場合には、センシングは登下校時に行えば十分であり、安全な場所で運動をしたり友達と活発に遊んだりしているときまでセンシングされると、誤通報されることになる。従って、予めセンシング時間を登録しておき、時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止する。
また、携帯接続ケーブル7が予め設定された動作解除手順無しに外されるかまたは携帯電話機3の電源が切られた場合には、アラーム鳴動手段が警報アラームを鳴動させる。従って、非日常行動自動通報装置1が作動しなくなった場合には直ぐ子供が気づく。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、連絡先を1つに限定しているが、連絡先を複数登録し、最初の連絡先が所定時間待っても応答しないときに、次の連絡先に同じように自動発信する構成にしてもよい。
また、上記の実施の形態では、動作の判定を非日常行動自動通報装置1内で行っているが、一時判定後は収集データを管理センターに転送し、管理センターで判定してもよい。
また、上記実施の形態では、非日常行動自動通報装置が携帯電話機と有線接続されているが、無線通信部を設けて携帯電話機と無線接続させてもよい。その場合には、装置のみを所持すればよいので、嵩張らず帯同し易い。
さらに、無線接続で、ブルートゥースを利用することも考えられる。その電波の到達距離が5m程度と短いので、非日常行動自動通報装置と携帯電話機の距離が離れて電波の到達距離を越えた場合に、警報アラームが鳴動する構成にすることもできる。
【0026】
さらに、上記実施の形態の判定では、データの上下限値等の点条件を主に利用しているが、それに(X/Y/Z)方向を加えた複合条件で判定する方がより精度高く判定できる。能力上の問題から、非日常行動自動通報装置1内で判定させる場合には上記したように点条件により判定していたが、管理センターで判定させる場合には複合条件で判定させることができる。
【0027】
また、ユーザーが実際に使用する前に、即ち自動通報手段を作動させる前に、学習モードで、自分の日常的な動作を加速度センサー21と地磁気方位センサー30によりセンシングし、その動作をその動作の発生時間を基にその前後の時間を加えた幅のある規定時間とリンクさせてメモリICもしくは外部メモリカード19に記録しておき、実際に使用する際には、その動作がセンシングされても、非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段がその動作が規定時間に発生した場合には非日常動作と判定しないように構成してもよい。
即ち、非日常行動自動通報装置に学習機能を持たせてもよい。例えば、子供が月曜日の午後4時頃にバスに乗ってスイミングスクールに通い、午後5時半頃に再びバスに乗って自宅に帰るような場合を例にとると、バスに乗ることにより徒歩の場合より大きい加速度が発生しても、それが、一定の時間帯に発生するそのユーザー特有の日常的動作と予め記録されていれば、その動作が発生しても日常的動作と判定し、判定の精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の非日常行動自動通報装置およびシステムによれば、携帯し易く、しかもユーザーが非日常動作にあるときには直ぐにその旨が必要な人に連絡されるので、ユーザーの被害を最小限に食い止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の非日常行動自動通報装置の所持方法の説明図である。
【図2】図1の非日常行動自動通報装置の内部構造図である。
【図3】自転車などに衝突して突き飛ばされた場合の加速度のベクトル方向の変化の説明図である。
【図4】一時判定処理のフローチャートである。
【図5】非日常動作パターン1の適合判定処理のフローチャートである。
【図6】センシングされた非日常動作の波形イメージパターンである。
【図7】非日常動作パターン2の適合判定処理のフローチャートである。
【図8】子供の通学路を想定した図である。
【図9】非日常行動自動通報システムの構成図である。
【図10】図8のシステムの自動発信処理のフローチャートである。
【図11】図8のシステムの自動応答処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1‥‥非日常行動自動通報装置
3‥‥携帯電話機 5‥‥接続コネクタ
7‥‥携帯接続ケーブル 9‥‥コネクタ
11‥‥電源ONの表示ランプ 13‥‥動作表示用LEDランプ
15‥‥スピーカ用の穴
17‥‥中央制御ユニット(CPU)
19‥‥メモリICもしくは外部メモリーカード
21‥‥3軸加速度センサー 23‥‥カレンダーIC
25‥‥警報アラームスピーカ 27‥‥動作表示用LED回路
29‥‥水銀電池 30‥‥地磁気方位センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を利用した携帯型の非日常行動自動通報装置およびそれを利用したシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今は交通量の増大や治安の悪化が繰り返し報道されており、子供を持つ親にとっては特に登下校時の子供の安全を確保することが課題となっている。
その一案として、子供が非日常動作にあることを知らせる携帯ブザーが市販されているが、携帯ブザーは子供自身が紐を抜いてブザーを鳴らすしくみになっているので、怪我や手足の拘束などによりブザーを操作することができない場合には使用できない。
また、周囲に人気の無い場所では大音量でブザー鳴動させても、音の伝達距離は短く、緊急情報伝達手段としてはその能力に限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近では携帯電話機が爆発的に普及しており、この通信網を利用して通報すれば、遠隔地にいる親などにも迅速に子供の非日常動作の発生を知らせることができる。
従って、本発明は、非日常動作をセンシングすると、携帯電話機を自動発信させて、親などに迅速に通報する非日常行動自動通報装置およびそれを利用したシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、前記動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作パターンとの類似マッチングによる判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、携帯電話機と接続され、前記非日常動作判定手段で非日常動作と判定された場合には前記携帯電話機を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段と、前記自動通報手段との接続が切断された場合に鳴動する警報アラーム鳴動手段とを備えることを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載した非日常行動自動通報装置において、動作センシング手段が3軸加速度センサーと地磁気方位センサーを有し、非日常動作判定手段では前記加速度センサーと地磁気方位センサーから得られる加速度値、速度値、変位値及び/または方向、並びに移動方位に基づいて動作を判定することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した緊急自動通報装置において、自動通報手段は携帯電話機の電話帳ファイルの所定の位置に登録された連絡先もしくは装置に登録された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した非日常行動自動通報装置において、さらに時計手段を備え、動作センシング手段は前記時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、時計手段と記録手段を備え、学習モードでは動作センシング手段によりユーザーの日常的動作をセンシングされると、その動作を規定時間内の日常的動作と記録手段に記録しておき、非日常動作判定手段では、その動作がセンシングされても規定時間内に発生した場合には、非日常動作と判定しないことを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、自動通報手段は、連絡先が非日常動作パターンとリンクされて登録されており、非日常行動判定により判定された非日常動作パターンに対応する連絡先を選別して、前記携帯電話機からの自動発信時にはその選別された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置である。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置と携帯電話機とが接続され、非日常動作発生時には前記携帯電話機が移動電話回線網を通じて予め登録された連絡先に自動発信することを特徴とする非日常行動自動通報システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非日常行動自動通報装置およびシステムによれば、子供を含むユーザーが非日常動作にあるときに、携帯電話機が自動的に発信して非日常動作を通報するので、ユーザー自身が操作できずとも、また周囲に人がいなくとも、非日常動作を迅速に且つ確実に必要な連絡先に知らせることができる。
また、加速度センサーと地磁気方位センサーを利用することにより、非日常動作の発生を精度高く判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態に係る非日常行動自動通報装置1は、携帯電話機3の接続コネクタ5に携帯接続ケーブル7の接続コネクタ(シリアルポートコネクタ)9が差し込まれて有線接続されている。
携帯電話機3は、特定の位置に登録できる電話帳ファイルを有するか、非日常行動通報装置自体が連絡先の登録機能を有し、装置のファイルに登録された電話番号をコマンド制御により受信できる機能を有する。
非日常行動自動通報装置1の筐体上には、電源ONの表示ランプ11とセンシング中の動作表示用LEDランプ13が表出している。また、スピーカ用の穴15が形成されている。
この非日常行動自動通報装置1はコンパクトに形成されており、衣服の胸ポケットに入れるなど、基本的にはユーザーの衣服等でユーザーの体の中心位置に装着して所持されることを想定している。
【0013】
非日常行動自動通報装置1の内部構造を説明する。
装置内部には、主に、中央制御ユニット(CPU)17、メモリICもしくは外部メモリカード19、3軸加速度センサー21、地磁気方位センサー30、カレンダーIC23、警報アラームスピーカー25、動作表示用LED回路27、および電源としての水銀電池29が備えられている。
因みに、地磁気方位センサー30は、MR素子で構成したホイートストンブリッジが2箇所配置された、2軸磁界センサーであり、地磁気に基づいて方位を測定できる構成になっている。
【0014】
日常動作センシング手段は、所持しているユーザーの動作をセンシングする手段であり、中央制御ユニット17と3軸加速度センサー21と地磁気方位センサー30とが対応している。
非日常動作判定手段は、日常動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作の類似パターンマッチング判定手順に従って非日常動作か否かを判定する手段であり、中央制御ユニット17が対応している。
自動通報手段は、非日常動作判定手段で非日常動作と判定された後に、その非日常動作の種別に対応する予め登録された連絡先に、自動発信して通報する手段であり、中央制御ユニット17と、携帯電話機3との接続機能を担っている携帯接続ケーブル7が対応しており、携帯接続ケーブル7を介して携帯電話機3を自動発信させる。即ち、自動通報手段は、携帯電話機3をオフフックし、特定の電話番号を読み出してダイヤリングさせる。
アラーム鳴動手段は、携帯接続ケーブル7が動作解除手順無しに外されるかまたは携帯電話機3の電源が切られた場合には、警報アラームを鳴動させる手段であり、中央制御ユニット17と警報アラームスピーカ25と携帯接続ケーブル7が対応している。
上記したように中央制御ユニット17は判定処理に加え、携帯電話機3への自動発信を含む種々の指令、警報アラームスピーカ25の鳴動なども行っている。
その他、カレンダーIC23は時計手段に対応している。
メモリICもしくは外部メモリカード19には、判定手順や、学習モードで得られたユーザーの日常動作データが記憶されている。
【0015】
次に、非日常行動自動通報装置1の非日常動作判定手段が行う判定手順を、子供の動作パターンを例にして説明する。
一般的に子供の登下校時の行動パターンはある程度規則化されており、その動作は日常的動作であり決まった時間に、決まった速度、決まった方位への移動が通常である。
仮に、登下校時の日常的動作にない自転車や自動車などでの移動が登下校時に発生した場合には子供の移動スピード、移動方位に大きな変化が現れる。従って、3軸加速度センサー21を使用して子供の体に加わる加速度をセンシングし、地磁気方位センサー30を使用して子供の移動する方位をセンシングすれば非日常動作としての検出ができる。
具体的に説明すると、通常子供の動作は緩慢であり、普通に歩行している場合だけでなく走行している場合でも、加速度の数値に換算すると、±0.3G程度の範囲内に収まっており、加速度の変化はそれほど大きくない。因みに、1Gとは9.81m/sec2で、約1秒で速度の変化が1km/hrの場合、約0.03Gとなる。
しかしながら、子供が自転車や自動車に衝突したり、自転車や自動車で移動したりした場合には加速度に大きな変化が現れる。
【0016】
3軸加速度センサー21を使用して子供の非日常動作を数値として捉えると、以下のようになる。
(1)自転車などに衝突した場合‥‥前方、後方、側方のいずれの方向にも合成された加速度値が大きく変化する。
(2)急に気分が悪くなるなどして横になった状態が連続している場合‥‥通常の垂直方向が水平方向に変わり、その後は加速度値の変化が無くなる。
(3)自転車や自動車で移動した場合‥‥積分処理により得られる速度値が一定以上(例えば30km/hr以上)となる。
(4)不審者が連れ去ろうとするのに抵抗して一定時間一定間隔で体をひねった場合‥‥加速度のベクトル方向が大きく変化することが定期的に継続する。
(5)不審者に抱き上げられた場合‥‥積分処理により得られる垂直方向の変位が急に変化する(例えば50cm以上)。
(6)不審者から逃げるために全力でジグザグに走っている場合‥‥積分処理により得られる速度値が一定以上(例えば10kg/hr以上)で、加速度のベクトル方向が大きく変化することが定期的に継続する。
図3は、一例として、上記(1)の自転車などに衝突して突き飛ばされた場合の加速度のベクトル方向の変化を矢印で示している。
【0017】
従って、非日常動作判定手段では、加速度のベクトル方向、加速度値、速度値、変位値、移動方位、継続時間などにより特定される非日常動作パターンを予め登録しておき、その非日常動作パターンに適合するか否かを判定している。なお、非日常動作パターンはユーザーの年齢や装着状況を考慮して複数設定される。また、動作のあいまいさを考慮して非日常動作パターンを特定する数値には幅が持たされている。
図4のフローチャートに従って、先ず、予備的に、一時判定処理を行う。一時判定処理では、規定時間内の速度値が規定値(上限値、下限値)以上になった場合若しくは登下校時の道順を通っていない場合には、非日常動作発生、即ち判定成立としている。そこで、非日常動作が発生したと判定された場合には、さらに、登録された非日常動作パターンに適合するかどうかを判定する。
【0018】
一例として、非日常動作パターン1に適合するか否かの判定処理を、図5のフローチャートに従って判定する。
実際に収集された動作パターンが、図6に示すものだとすると、条件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の順に判定していき、全ての条件値を達成するときには非日常動作パターン1の成立と判定する。この非日常動作パターン1は一定時間以上の上限値オーバー後に一定時間内に下限値オーバーが発生したものである。
なお、図6では波形イメージパターンを示しているが、実際には、一定サンプル数を抽出して判定すれば足りると思われる。
積分処理には各種方法があり、最近はCPUの能力向上によりFFTを使用する例もあるが、この実施の形態では、ワンチップCPUにより簡易に算出するために、直接積分法を利用している。なお、直接積分法をそのまま利用すると誤差が累積していくため、簡易なローカット(ハイパス)フィルタ処理を併用している。
【0019】
また、非日常動作パターン2に適合するか否かの判定処理を、図7のフローチャートに従って判定する。
子供の通学路が図8に示すものだとすると、子供の登校時の移動パターンは、自宅“A”を出てその先の分岐路“ア”までを東の方角へ歩数“1”で歩きその分岐路“ア”を北北東の方角へ左折し、分岐路“イ”まで歩数“2”まで直進しその分岐路“イ”を東北東の方角に右折し、最終的に学校“B”に到着するまでに、通学路にあわせ“3”から“7”の歩数区間を移動する方位を変えながらいつもの道順を日常動作パターンとして移動する。
しかしながら、登下校途中で子供が寄り道をした場合や、第三者に連れ去られるような状況が発生した場合、日常動作パターンに適合せず、非日常動作パターンに適合すると判定する。
なお、子供の歩数は加速度センサー21を利用して歩数を測定する。
【0020】
次に、非日常行動自動通報装置1を使用した非日常行動自動通報システムの構成と、その利用方法を、図9、図10、図11に従って説明する。
(1)事前準備
先ず、連絡先を携帯電話機3の電話帳ファイルの所定の位置に登録しておく。登録位置は予め指定されている。単数でも複数でも登録できる。例えば、保護者や契約してある警備会社を連絡先として登録する。
また、装置の外部メモリカード19に外部からの操作により電話番号を登録できる機能を持たせている場合には、そこに登録する。
なお、携帯電話機3の電話会社の提供する位置情報提供サービスを契約してある。
【0021】
(2)使用中
携帯電話機3の電源をONにし、それと接続した状態でユーザーである子供の胸ポケットに非日常行動自動通報装置1を入れておく。
センシング中は、動作表示用LEDランプ13が点灯している。
非日常動作判定手段により非日常動作と判定された場合の自動発信処理について、図10のフローチャートに従って説明する。
非日常動作と判定された場合には(S1)、自動通報手段は携帯電話機3のオンフックキーが押されるのを一定時間(5〜10秒程度)待つ(S2)。子供が遊んでいるときに誤って非日常動作と判定されるような動作を行った場合などには、子供自身が直ぐにオンフックキーを押すことで通報を事前に阻止することができる。
【0022】
オンフックキーが一定時間内に押されなかった場合には、携帯電話機3の電話帳ファイルの指定された登録位置の連絡先の電話番号を読み出すか、或いは装置内に登録された電話番号を携帯電話機3がコマンド制御により受信して、自動発信するが、その段階前に非日常動パターンの種別に応じて連絡先の選別を行う。(S3)。
発信先の応答を確認したら(S4)、モールス信号の“SOS”に似た音を送出する。或いは発信元の現場の音を送出する(S5)。
そして、発信先のオンフックにより電話回線が切断されると(S6)、処理を終了する。
【0023】
着信した人は、位置情報提供サービスを利用して位置情報を取得する。そして、非日常動作と判断した場合で緊急通報であれば、警察に連絡するし、その他非日常行動通報では連絡した人が現場に駆けつける行動をする。
また、警察に連絡する前に、再確認のために携帯電話機3に向けて発信すると、図11のフローチャートに示すように、自動応答処理される。
即ち、非日常行動自動通報装置1は携帯電話機3に電話がかかってくると、即ち着信を確認すると(S1)、発信元の電話番号を確認し(S2)、自動発信の際の発信先が発信元の場合には、携帯電話機3の着信音を鳴らさずに自動応答させて現場の音を送出する(S3)。
その他の電話番号で携帯電話機3に電話がかかってきた場合には、自動応答せずに通常時と同様に着信音を鳴らして、その子供が応答するのを待つ(S4)。これにより、その子供が今当に不審者に襲われているような場合にはその不審者へ威嚇できる。また、その子供が着信できた場合には、その子供の最終位置や現在の状況を正確に伝えることができる。
【0024】
なお、子供がセンシング対象の場合には、センシングは登下校時に行えば十分であり、安全な場所で運動をしたり友達と活発に遊んだりしているときまでセンシングされると、誤通報されることになる。従って、予めセンシング時間を登録しておき、時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止する。
また、携帯接続ケーブル7が予め設定された動作解除手順無しに外されるかまたは携帯電話機3の電源が切られた場合には、アラーム鳴動手段が警報アラームを鳴動させる。従って、非日常行動自動通報装置1が作動しなくなった場合には直ぐ子供が気づく。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、連絡先を1つに限定しているが、連絡先を複数登録し、最初の連絡先が所定時間待っても応答しないときに、次の連絡先に同じように自動発信する構成にしてもよい。
また、上記の実施の形態では、動作の判定を非日常行動自動通報装置1内で行っているが、一時判定後は収集データを管理センターに転送し、管理センターで判定してもよい。
また、上記実施の形態では、非日常行動自動通報装置が携帯電話機と有線接続されているが、無線通信部を設けて携帯電話機と無線接続させてもよい。その場合には、装置のみを所持すればよいので、嵩張らず帯同し易い。
さらに、無線接続で、ブルートゥースを利用することも考えられる。その電波の到達距離が5m程度と短いので、非日常行動自動通報装置と携帯電話機の距離が離れて電波の到達距離を越えた場合に、警報アラームが鳴動する構成にすることもできる。
【0026】
さらに、上記実施の形態の判定では、データの上下限値等の点条件を主に利用しているが、それに(X/Y/Z)方向を加えた複合条件で判定する方がより精度高く判定できる。能力上の問題から、非日常行動自動通報装置1内で判定させる場合には上記したように点条件により判定していたが、管理センターで判定させる場合には複合条件で判定させることができる。
【0027】
また、ユーザーが実際に使用する前に、即ち自動通報手段を作動させる前に、学習モードで、自分の日常的な動作を加速度センサー21と地磁気方位センサー30によりセンシングし、その動作をその動作の発生時間を基にその前後の時間を加えた幅のある規定時間とリンクさせてメモリICもしくは外部メモリカード19に記録しておき、実際に使用する際には、その動作がセンシングされても、非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段がその動作が規定時間に発生した場合には非日常動作と判定しないように構成してもよい。
即ち、非日常行動自動通報装置に学習機能を持たせてもよい。例えば、子供が月曜日の午後4時頃にバスに乗ってスイミングスクールに通い、午後5時半頃に再びバスに乗って自宅に帰るような場合を例にとると、バスに乗ることにより徒歩の場合より大きい加速度が発生しても、それが、一定の時間帯に発生するそのユーザー特有の日常的動作と予め記録されていれば、その動作が発生しても日常的動作と判定し、判定の精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の非日常行動自動通報装置およびシステムによれば、携帯し易く、しかもユーザーが非日常動作にあるときには直ぐにその旨が必要な人に連絡されるので、ユーザーの被害を最小限に食い止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の非日常行動自動通報装置の所持方法の説明図である。
【図2】図1の非日常行動自動通報装置の内部構造図である。
【図3】自転車などに衝突して突き飛ばされた場合の加速度のベクトル方向の変化の説明図である。
【図4】一時判定処理のフローチャートである。
【図5】非日常動作パターン1の適合判定処理のフローチャートである。
【図6】センシングされた非日常動作の波形イメージパターンである。
【図7】非日常動作パターン2の適合判定処理のフローチャートである。
【図8】子供の通学路を想定した図である。
【図9】非日常行動自動通報システムの構成図である。
【図10】図8のシステムの自動発信処理のフローチャートである。
【図11】図8のシステムの自動応答処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1‥‥非日常行動自動通報装置
3‥‥携帯電話機 5‥‥接続コネクタ
7‥‥携帯接続ケーブル 9‥‥コネクタ
11‥‥電源ONの表示ランプ 13‥‥動作表示用LEDランプ
15‥‥スピーカ用の穴
17‥‥中央制御ユニット(CPU)
19‥‥メモリICもしくは外部メモリーカード
21‥‥3軸加速度センサー 23‥‥カレンダーIC
25‥‥警報アラームスピーカ 27‥‥動作表示用LED回路
29‥‥水銀電池 30‥‥地磁気方位センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、
前記動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作パターンとの類似マッチングによる判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、
携帯電話機と接続され、前記非日常動作判定手段で非日常動作と判定された場合には前記携帯電話機を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段と、
前記自動通報手段との接続が切断された場合に鳴動する警報アラーム鳴動手段と
を備えることを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載した非日常行動自動通報装置において、動作センシング手段が3軸加速度センサーと地磁気方位センサーを有し、非日常動作判定手段では前記加速度センサーと地磁気方位センサーから得られる加速度値、速度値、変位値及び/または方向、並びに移動方位に基づいて動作を判定することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した緊急自動通報装置において、自動通報手段は携帯電話機の電話帳ファイルの所定の位置に登録された連絡先もしくは装置に登録された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した非日常行動自動通報装置において、さらに時計手段を備え、動作センシング手段は前記時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、時計手段と記録手段を備え、学習モードでは動作センシング手段によりユーザーの日常的動作をセンシングされると、その動作を規定時間内の日常的動作と記録手段に記録しておき、非日常動作判定手段では、その動作がセンシングされても規定時間内に発生した場合には、非日常動作と判定しないことを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、自動通報手段は、連絡先が非日常動作パターンとリンクされて登録されており、非日常行動判定により判定された非日常動作パターンに対応する連絡先を選別して、前記携帯電話機からの自動発信時にはその選別された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置と携帯電話機とが接続され、非日常動作発生時には前記携帯電話機が移動電話回線網を通じて予め登録された連絡先に自動発信することを特徴とする非日常行動自動通報システム。
【請求項1】
所持しているユーザーの動作をセンシングする動作センシング手段と、
前記動作センシング手段でセンシングされた動作を、予め登録された非日常動作パターンとの類似マッチングによる判定手順に従って非日常動作か否かを判定する非日常動作判定手段と、
携帯電話機と接続され、前記非日常動作判定手段で非日常動作と判定された場合には前記携帯電話機を自動発信させて予め登録された連絡先に非日常動作の発生を通報する自動通報手段と、
前記自動通報手段との接続が切断された場合に鳴動する警報アラーム鳴動手段と
を備えることを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載した非日常行動自動通報装置において、動作センシング手段が3軸加速度センサーと地磁気方位センサーを有し、非日常動作判定手段では前記加速度センサーと地磁気方位センサーから得られる加速度値、速度値、変位値及び/または方向、並びに移動方位に基づいて動作を判定することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した緊急自動通報装置において、自動通報手段は携帯電話機の電話帳ファイルの所定の位置に登録された連絡先もしくは装置に登録された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した非日常行動自動通報装置において、さらに時計手段を備え、動作センシング手段は前記時計手段からの時計情報に基づいて所定の時間センシングを停止することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、時計手段と記録手段を備え、学習モードでは動作センシング手段によりユーザーの日常的動作をセンシングされると、その動作を規定時間内の日常的動作と記録手段に記録しておき、非日常動作判定手段では、その動作がセンシングされても規定時間内に発生した場合には、非日常動作と判定しないことを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置において、自動通報手段は、連絡先が非日常動作パターンとリンクされて登録されており、非日常行動判定により判定された非日常動作パターンに対応する連絡先を選別して、前記携帯電話機からの自動発信時にはその選別された連絡先に通報することを特徴とする非日常行動自動通報装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の非日常行動自動通報装置と携帯電話機とが接続され、非日常動作発生時には前記携帯電話機が移動電話回線網を通じて予め登録された連絡先に自動発信することを特徴とする非日常行動自動通報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−213155(P2007−213155A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30067(P2006−30067)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(593133419)東海ピーエチエス販売株式会社 (3)
【出願人】(305062930)有限会社キャステック (3)
【出願人】(304050244)株式会社インターファンクス (5)
【出願人】(305062941)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(593133419)東海ピーエチエス販売株式会社 (3)
【出願人】(305062930)有限会社キャステック (3)
【出願人】(304050244)株式会社インターファンクス (5)
【出願人】(305062941)
【Fターム(参考)】
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