説明

非球面偏心測定方法及び非球面偏心測定装置

【課題】容易に姿勢調整が可能であり、迅速に測定できる非球面偏心測定装置等を提供すること。
【解決手段】非球面レンズ101を保持するレンズホルダ110と、保持する吸着力を制御する吸着力可変機構114と、レンズホルダ100を回転軸120の周りに回転させるモータ112等と、その回転角を検出するエンコーダ113と、非球面102、103からの反射光によるスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出部115と、非球面102、103の形状を測定する形状測定部117、118と、スポット軌跡検出部115と形状測定部117等とエンコーダ113との各検出結果に基づいて、非球面偏心を演算する演算部119とを有し、吸着力可変機構114は、レンズホルダ110上で非球面レンズ101の姿勢調整が可能な第1の吸着力と、第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力とに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズの非球面偏心量と非球面偏心方向とを測定する偏心測定方法及び非球面偏心測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非球面レンズの偏心を測定する装置が、例えば特許文献1に提案されている。図6は、特許文献1に開示された装置の概略構成を示す。光学測定装置は、エアースピンドル11を備えている。このエアースピンドル11は、スピンドルスリーブ12に、スピンドル13を回転自在に配置して構成されている。
【0003】
スピンドル13には、軸心に沿って貫通孔14aが形成されている。そして、貫通孔14aの下方に、光学式芯ずれ測定器15が配置されている。スピンドル13の上端には、軸心に沿って貫通孔16aが形成された円筒状の回転部材16が固定されている。
【0004】
また、回転部材16の上端には、レンズ等の被測定部材20を支持する円環状の支持部材21が固定されている。スピンドルスリーブ12の上面には、円筒状のリング部材22が配置されている。
【0005】
回転部材16には、一端をリング部材側連通路22aに開口し、他端を被測定部材20、支持部材21により囲まれる吸引用空間23に連通する複数の回転部材側連通路16bが放射状に形成されている。
【0006】
一方、リング部材22には、回転部材側連通路16bに連通する複数のリング部材側連通路22aが放射状に形成されている。そして、リング部材側連通路22aには、真空発生装置31の吸引配管32が接続されている。
【0007】
上述した光学測定装置では、真空発生装置31により、吸引配管32と、リング部材側連通路22aと、回転部材側連通路16bとを介して、吸引用空間23内の空気が吸引される。この吸着力(吸引力)により、被測定部材20は支持部材21に密着される。被測定部材20が密着されることにより、測定時に支持部材21上で移動することが防止できる。測定時における吸着力は、真空発生装置31に設けられている圧力調整弁(不図示)により調節可能である。
【0008】
そして、エアースピンドル11のスピンドル13により、回転部材16が回転される。高精度変位計33、34は、接触式の測定子33a、34aにより、被測定部材20の外周および上面の振れを測定する。また、光学式芯ずれ測定器15は、被測定部材20の下面の芯ずれを同時に測定する。
【0009】
【特許文献1】特開平10−10006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非球面を測定するに先立って、支持部材に載置した被測定部材の位置を予め所定の範囲内に調整することが望ましい。この調整により、回転部材を回転させたときの被測定部材の外周および上面の振れを小さくすることができる。
【0011】
しかしながら、特許文献1の構成では、測定時において被測定部材が支持部材上で移動しないように吸着力を調整している。このため、被測定部材を一旦吸着すると、支持部材上で移動させること、特に微調整することは困難である。また、吸着保持されている被測定部材を支持部材上で無理に移動させてしまうと、被測定部材の支持部材側の面に傷を生じてしまうおそれがある。さらに、被測定部材の移動が困難なことから、位置調整に時間を要してしまう。
【0012】
特に、被測定部材が大口径レンズのとき、支持部材であるレンズホルダの内径も大きくなる。吸着力は、レンズホルダの内径の断面積に比例する。このため、大口径レンズを測定するとき、上述の問題はさらに顕著になる。また、反対に吸着力を小さくすると、接触式の測定子により測定するとき、被測定部材が動いてしまう。このため、測定中に被測定部材の位置、向き等の姿勢が変化し、測定結果に誤差を生じてしまう。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容易に姿勢調整が可能であり、迅速に測定できる非球面偏心測定方法及び非球面偏心測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、レンズホルダ上で被検物の姿勢調整が可能な第1の吸着力により、被検物を保持する第1の保持ステップと、、被検物に対して光を照射し、被検物の被検面からの反射光により形成されるスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出ステップと、被検物を回転機構により所定軸の周りに回転させる回転ステップと、スポット軌跡に対応した回転角を検出する回転角検出ステップと第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力により被検物を保持する第2の保持ステップと、被検物の被検面の形状を測定する形状測定ステップと、スポット軌跡検出ステップの検出結果と形状測定ステップの測定結果と回転角検出ステップの検出結果とに基づいて、被検物の非球面偏心を演算する演算ステップとを有することを特徴とする非球面偏心測定方法を提供できる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の保持ステップにおいて、被検物の外径またはレンズホルダの口径に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、レンズホルダ上の被検物の姿勢を調整する被検物押圧ステップをさらに有し、第1の保持ステップにおいて、被検物を押圧するときの反発力に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の保持ステップにおいて、被検物のレンズホルダ側の面の近軸曲率半径に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の保持ステップにおいて、被検物の肉厚に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、第2の保持ステップにおいて、被検物の肉厚に応じて第2の吸着力を変えることが望ましい。
【0020】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の保持ステップにおいて、被検物の姿勢調整の経過に応じて、第1の吸着力を段階的に大きくしてゆくことが望ましい。
【0021】
また、本発明によれば、被検物を保持するレンズホルダと、被検物を保持する吸着力を可変にする吸着力可変部と、レンズホルダを所定軸の周りに回転させる回転機構と、回転機構の回転角を検出する回転角検出部と、被検物に対して光を照射する光源を備え、被検物の被検面からの反射光により形成されるスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出部と、被検物の被検面の形状を測定する形状測定部と、スポット軌跡検出部の検出結果と形状測定部の測定結果と回転角検出部の検出結果とに基づいて、被検物の非球面偏心量とその方向を演算する演算部とを有し、吸着力可変部は、吸着力を、レンズホルダ上で被検物の姿勢調整が可能な第1の吸着力と、第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力とに制御することを特徴とする非球面偏心測定装置を提供できる。
【0022】
また、本発明の好ましい態様によれば、吸着力可変部は、被検物の外径またはレンズホルダの口径に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0023】
また、本発明の好ましい態様によれば、レンズホルダに第1の吸着力で保持されている被検物の姿勢を調整する姿勢調整部をさらに有し、吸着力可変部は、姿勢調整部が被検物を押圧するときの反発力に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0024】
また、本発明の好ましい態様によれば、吸着力可変部は、被検物のレンズホルダ側の面の近軸曲率半径に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、吸着力可変部は、被検物の肉厚に応じて第1の吸着力を変えることが望ましい。
【0026】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、吸着力可変部は、被検物の肉厚に応じて第2の吸着力を変えることが望ましい。
【0027】
また、本発明の好ましい態様によれば、吸着力可変部は、被検物の姿勢調整の経過に応じて、第1の吸着力を段階的に大きくしてゆくことが望ましい。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、形状測定部は、被検物の第1面の形状を測定する第1の形状測定部と被検物の第2面の形状を測定する第2の形状測定部とを備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る非球面偏心測定方法では、被検物は姿勢調整が可能な第1の吸着力によりレンズホルダに吸着される。この状態で回転ステップにより、被検物は所定軸の周りに回転される。そして、スポット軌跡検出ステップにおいて、回転している被検物に光を照射し、被検物の被検面からの反射光により形成されるスポットの軌跡を検出する。ここで、例えば、略円形のスポットの軌跡の半径が極力小さくなるように、被検物の位置を調整する。次に、第2の保持ステップにおいて、第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力により被検物を保持する。形状測定ステップにおいて、第2の吸着力で保持されている被検物の被検面の形状を測定する。そして、演算ステップにおいて、スポット軌跡検出ステップの検出結果と形状測定ステップの測定結果と回転角検出ステップの検出結果とに基づいて、被検物の非球面偏心量とその方向を演算する。このように、被検物の姿勢調整が可能な第1の吸着力により、被検物を保持している。これにより、スポット軌跡検出ステップにおいて、被検物をレンズホルダ上で移動させること、特に微調整することができる。また、吸着保持されている被検物をレンズホルダ上で無理に移動させてしまうことを防止できる。このため、被検物のレンズホルダ側の面に傷を生じてしまうことを低減できる。さらに、容易に被検物を移動できることから、姿勢の調整を迅速に行うことができる。この結果、容易に姿勢調整が可能であり、迅速に測定できる非球面偏心測定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明に係る非球面偏心測定方法及び非球面偏心測定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により、この発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
(非球面偏心測定装置の構成)
まず、図1を参照して非球面偏心測定装置の構成について説明する。次に、図2、図3、図4を参照して、非球面偏心測定の手順について説明する。図1は、本発明の実施例1に係る非球面偏心測定装置100の概略構成を示す。以下の説明において使用するxyz直交座標系では、y軸は紙面に垂直な方向であり、紙面の手前から奥に進む方向をプラスとする。非球面レンズ101は、レンズホルダ110の上端面に載置される。レンズホルダ110は、円筒形状を有している。円筒形状の中心部は、中空に形成されている。中空部を真空にすることで、非球面レンズ101は、真空吸着によりレンズホルダ110に保持される。レンズホルダ110の上端面は、中心軸に略直交する輪帯形状を有している。
【0032】
レンズホルダ110の上端面の輪帯形状は、内側接触部と外側接触部とを有している。内側接触部は、レンズホルダ110の上端面と輪帯形状の内周面との境界である円形のエッジ部である。外側接触部は、レンズホルダ110の上端面と輪帯形状の外周面との境界である円形のエッジ部である。円形の内側接触部の中心と円形の外側接触部の中心とは、それぞれエアースピンドル111の回転軸120上になるように設けられている。
【0033】
エアースピンドル111は、レンズホルダ110と一体的に配置されている。上述したように、エアースピンドル111とレンズホルダ110は、エアースピンドル111の回転軸120とレンズホルダ110の回転中心軸線とが一致する状態、すなわち同軸となるように配置されている。
【0034】
エアースピンドル111を回転することにより、レンズホルダ110を回転させることができる。レンズホルダ110を回転することにより、保持されている非球面レンズ101を回転させることができる。
【0035】
エアースピンドル111には、回転軸120と同軸に、非球面レンズ101を吸着するための吸着孔111aが形成されている。吸着孔111aは、吸引パイプ111bと連通している。
【0036】
吸引パイプ111bは、エアーチューブ121を介して、吸着圧可変機構114と接続されている。また、モータ112は、エアースピンドル111の下部に設けられている。モータ112は、エアースピンドル111を回転軸120の周りに回転させる。モータ112とエアースピンドル111とは回転機構に対応する。エンコーダ113は、エアースピンドル111に接続されている。エンコーダ113は、エアースピンドル111の回転角を検出する。非球面レンズ101は、レンズホルダ110に保持されている。このため、エンコーダ113は、非球面レンズ101の回転角を検出する。エンコーダ113は、回転角検出部に対応する。
【0037】
吸着圧可変機構114は、真空発生ユニット122と調圧ユニット123とエアーチューブ124とを有している。吸着圧可変機構114は、吸着力可変部に対応する。真空発生ユニット122は、真空吸引力(吸着力)を発生する。真空発生ユニット122による吸着力により、レンズホルダ110に載置された非球面レンズ101が吸着保持される。
【0038】
調圧ユニット123は、真空発生ユニット122へ供給する空気圧を可変にするためのものである。真空発生ユニット122と調圧ユニット123とは、エアーチューブ124により接続されている。調圧ユニット123は、例えば、供給する空気圧を2段階に切り替える。真空発生ユニット122は、2つの異なる空気圧を供給されることで、第1の吸着力と第2の吸着力とを発生する。第1の吸着力とは、レンズホルダ110上で非球面レンズ101の姿勢を調整できる大きさの力(非球面レンズ101を動かすことができる力)をいう。非球面レンズ101の姿勢とは、非球面レンズ101の位置、向きをいう。また、第2の吸着力とは、第1の吸着力よりも大きな力である。具体的には、第2の吸着力は、後述する接触式の形状測定時に、非球面レンズ101がレンズホルダ110上で移動しない大きさの力である。なお、第1の吸着力は、ゼロよりも大きな力である。
【0039】
スポット軌跡検出部115は、非球面レンズ101の非球面102(第1面)と非球面103(第2面)とに対して、それぞれ光を照射する光源(不図示)を備えている。また、スポット軌跡検出部115は、オートコリメーション法により非球面102または非球面103からの反射光のスポットの軌跡を検出する。
【0040】
姿勢調整部116は、非球面レンズ101の外周部に対向して設けられている。姿勢調整部116は、押圧部125と移動部126と反発力検出センサ130とを備えている。押圧部125は、押圧端子125aを非球面レンズ101の外周部101aに接触させる。そして、押圧端子125aは、非球面レンズ101を回転軸120と垂直な方向に押圧する。これにより、非球面レンズ101の姿勢、例えば位置や向きを調整できる。移動部126は、押圧部125を図中のx方向またはz方向へ移動させる。移動部126としては、例えばステッピングモータによる駆動機構を用いることができる。
【0041】
また、レンズホルダ110の斜め上方には、上側形状測定部117が設けられている。上側形状測定部117は、接触子117aを有している。上側形状測定部117は、接触子117aにより非球面レンズ101の非球面102の輪帯状の3次元形状を測定する。上側形状測定部117は、第1の形状測定部に対応する。
【0042】
レンズホルダ110の斜め下方には、下側形状測定部118が設けられている。下側形状測定部118は、接触子118aを有している。下側形状測定部118は、接触子118aにより非球面レンズ101の非球面103の輪帯状の3次元形状を測定する。下側形状測定部118は、第2の形状測定部に対応する。上側形状測定部117と下側形状測定部118とにより、両面非球面を測定できる。
【0043】
演算部119は、スポット軌跡検出部115の検出結果と、上側形状測定部117、下側形状測定部118の測定結果と、エンコーダ113の検出結果とに基づいて、非球面レンズ101の非球面偏心を演算する。演算内容の詳細は後述する。
【0044】
(非球面偏心測定の手順)
次に、図2、図3−1、図3−2、図4を参照して、非球面偏心測定の手順を説明する。まず、図2に基づいて、「光軸」、「非球面軸」等の定義を説明する。図2は、非球面レンズ101の断面構成を示す。非球面102の中心付近の曲率中心を近軸曲率中心O1という。非球面103の中心付近の曲率中心を近軸曲率中心O2という。近軸曲率中心O1と近軸曲率中心O2とを結ぶ軸が非球面レンズ101の光軸104である。光軸104は、非球面偏心量の評価の基準となる。
【0045】
非球面102の非球面軸107は、非球面面頂105と近軸曲率中心O1とを結んだ軸である。非球面103の非球面軸108は、非球面面頂106と近軸曲率中心O2とを結んだ軸である。このように、非球面面頂105は、非球面102と非球面軸107との交点である。非球面面頂106は、非球面103と非球面軸108との交点である。非球面面頂105、106は、必ずしも非球面102、103の最も高い点とは限らない。非球面軸107、108は、回転対称な形状を有する非球面102、103の回転対称軸である。
【0046】
非球面レンズ101が設計値どおりに作製されているとき、光軸104と非球面軸107と非球面軸108とはそれぞれ一致する。しかしながら、実際に非球面レンズ101を作製するときには、製造誤差により光軸104と非球面軸107と非球面軸108とは一致しない。
【0047】
例えば、図2に示すように2本の非球面軸107、108は、理想的な状態と比較して傾斜している。そして、光軸104と非球面軸107とは、角度ε1で交差している。光軸104と非球面軸108とは、角度ε2で交差している。角度ε1は、非球面102の非球面偏心量に対応する。角度ε2は、非球面103の非球面偏心量に対応する。
【0048】
なお、上述した説明では、光軸104に対する非球面軸107、108の傾き(チルト)により非球面偏心量を定義している。しかしながら、これに限られるものではなく、光軸104に対する距離(シフト)によっても非球面偏心量を定義できる。シフトにより非球面偏心量を定義するとき、非球面102の非球面面頂105と光軸104との距離δ1が、非球面102の非球面偏心量(シフト)に対応する。同様に、非球面102の非球面面頂106と光軸104との距離δ2が、非球面103の非球面偏心量(シフト)に対応する。
【0049】
非球面軸107、108が光軸104に対して傾いているときは、図3−1、図3−2に示すように、光軸104をxy平面の原点として、原点から非球面面頂105、106への方向が非球面偏心の方向に対応する。例えば、図3−1では、xy平面におけるx軸とy軸との交点が光軸104を示している。そして、非球面102の非球面面頂105をプロットする。x軸を角度の基準(0度)として、x軸と線分105aとのなす角度θε1が非球面102の非球面偏心の方向に対応する。同様に、図3−2では、xy平面におけるx軸とy軸との交点が光軸104を示している。そして、非球面103の非球面面頂106をプロットする。x軸を角度の基準(0度)として、x軸と線分106aとのなす角度θε2が非球面103の非球面偏心の方向に対応する。
【0050】
図4は、非球面偏心測定方法の手順を示す。初めに本発明の特徴的な手順を中心に大まかな測定手順を説明する。その後、さらに詳細な非球面偏心測定の手順を説明する。図4のステップS401において、非球面レンズ101の位置検出を行う。まず、レンズホルダ110に非球面レンズ101を載置する。このとき、非球面103とレンズホルダ110とが当接するように載置する。演算部109は、調圧ユニット123へ第1の空気圧を発生させるように信号を送る。これにより、真空ユニット122は、第1の吸着力を発生させる。非球面レンズ101は、第1の吸着力により、レンズホルダ110に吸着保持される。
【0051】
スポット軌跡検出部115を光軸に沿って移動させる。ここでの光軸は、スポット軌跡検出部115の測定光軸である。これにより、非球面102の近軸曲率中心O1の位置にスポット軌跡検出部115からの光が集光するようにする。エアースピンドル111により非球面レンズ101を回転させる。スポット軌跡検出部115は、非球面102の近軸曲率中心O1に共役なスポットの軌跡をオートコリメーション法により検出する。同時に、エンコーダ113は、非球面レンズ101の回転角を検出する。演算部119は、スポット軌跡検出部115の検出結果とエンコーダ113の検出結果とに基づいて、非球面102の近軸曲率中心O1の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とを算出する。
【0052】
ステップS402において、非球面レンズ101の心出しを行う。演算部119は、ステップS401で算出された偏心量と偏心方向とに基づいて、非球面レンズ101のレンズホルダ110に対する姿勢の調整量を求める。
【0053】
姿勢調整部116は、演算部119で求めた姿勢の調整量に基づいて、非球面レンズ101の姿勢、例えば位置、向きの調整を行う。これにより、非球面レンズ101の非球面102の近軸曲率中心O1と回転軸120とを略一致させる。
【0054】
姿勢調整時に、非球面レンズ101は第1の吸着力によりレンズホルダ110に吸着保持されている。第1の吸着力は、上述したように、レンズホルダ110上で非球面レンズ101の姿勢を調整可能な大きさの力である。このため、非球面レンズ101をレンズホルダ110上で移動させること、特に微調整することができる。また、吸着保持されている非球面レンズ101をレンズホルダ110上で無理に移動させてしまうことを防止できる。このため、非球面レンズ101のレンズホルダ110側の非球面103に傷を生じてしまうことを低減できる。さらに、容易に非球面レンズ101を移動できることから、姿勢の調整を迅速に行うことができる。この結果、容易に姿勢調整が可能であり、迅速に測定できる。
【0055】
特に、非球面レンズ101が大口径レンズのとき、レンズホルダ110の内径も大きくなる。大口径レンズでも、本実施例では、第1の吸着力により非球面レンズ101を吸着保持する。これにより、容易に大口径レンズの姿勢を調整できる。
【0056】
ステップS403において、非球面レンズの光軸位置検出を行う。ステップS403では、非球面102の近軸曲率中心O1の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とを求める。また、非球面103の近軸曲率中心O2の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とを求める。詳細な算出手順は後述する。
【0057】
ステップS401、S402、S403は、第1の保持ステップと回転ステップと回転角検出ステップとスポット軌跡検出ステップとに対応する。
【0058】
ステップS404において、非球面軸の測定を行う。演算部109は、調圧ユニット123へ第2の空気圧を発生させるように新たな信号を送る。これにより、真空ユニット122は、第2の吸着力を発生させる。非球面レンズ101は、第2の吸着力により、レンズホルダ110に吸着保持される。
【0059】
ステップS404では、上側形状測定部117の球状の接触子117aを非球面レンズ101の非球面102に接触させる。エアースピンドル111を回転させて、非球面102の輪帯状の3次元形状を測定する。同様に、下側形状測定部118の球状の接触子118aを非球面レンズ101の非球面103に接触させる。エアースピンドル111を回転させて、非球面103の輪帯状の3次元形状を測定する。
【0060】
上述したように、第2の吸着力は、第1の吸着力よりも大きな力である。好ましくは、第2の吸着力は、接触子117a、118aが非球面レンズ101の表面に接触したとき、非球面レンズ101がレンズホルダ110上において移動しないような大きさ以上の力であることが望ましい。これにより、測定中に非球面レンズ101の位置、向き等の姿勢が変化し、測定結果に誤差を生じてしまうことを低減できる。
【0061】
演算部119は、測定された3次元形状データに基づいて、後述する手順により、非球面軸107、108の回転軸120に対する位置と傾きとを求める。ステップS404は、形状測定ステップに対応する。
【0062】
ステップS405において、非球面偏心量の演算を行う。ステップS405では、非球面レンズ101の光軸104の回転軸120に対する位置、傾きと、非球面102の非球面軸107の回転軸120に対する位置、傾きとに基づいて、非球面102の非球面偏心量ε1と非球面偏心方向θε1とを求めることができる。同様に、非球面レンズ101の光軸104の回転軸120に対する位置、傾きと、非球面103の非球面軸108の回転軸120に対する位置、傾きとに基づいて、非球面103の非球面偏心量ε2と非球面偏心方向θε2とを求めることができる。ステップS405は、演算ステップに対応する。
【0063】
次に、上述の非球面偏心測定の手順をさらに詳細に説明する。ステップS402の非球面レンズの心出しの詳細を説明する。非球面レンズ101の姿勢を調整するとき、移動部126により、押圧部125をx方向、z方向に走査させる。これにより、押圧部125を非球面レンズ101の外周部101aに近接させる。次に、移動部126をx方向のみに移動する。そして、押圧部125の押圧端子125aを非球面レンズ101の外周部101aに当接させる。さらに、移動部126をx方向に移動させる。これにより、非球面レンズ101の非球面102の近軸曲率中心O1と回転軸120とが一致するように、非球面レンズ101の位置を調整する。
【0064】
ここで、近軸曲率中心O1と回転軸120とが不一致の状態では、スポットの軌跡は所定の半径の円形形状を描く。これに対して、近軸曲率中心O1と回転軸120とが一致する状態では、スポットの軌跡の振れ回りが静止している。また、これに限られず、近軸曲率中心O1と回転軸120とが一致する状態には、スポットの軌跡の振れ回りが予め定めた許容範囲内で僅かに振れている状態も含むものとする。
【0065】
ステップS403の非球面レンズの光軸位置検出の詳細について説明する。非球面レンズ101の姿勢の調整を行った後、非球面102の近軸曲率中心O1に光を集光させた状態のまま、エアースピンドル111により非球面レンズ101を回転させる。スポット軌跡検出部115は、非球面102の近軸曲率中心O1のスポット軌跡を検出する。
【0066】
次に、スポット軌跡検出部115を光軸に沿って移動させる。これにより、非球面103の近軸曲率中心O2にスポット軌跡検出部115からの光を集光させる。エアースピンドル111により非球面レンズ101を回転させる。スポット軌跡検出部115は、非球面103の近軸曲率中心O2のスポット軌跡を検出する。
【0067】
検出された非球面102の近軸曲率中心O1のスポット軌跡と、非球面103の近軸曲率中心O2のスポット軌跡とは、演算部119に送られる。同時に、エンコーダ113は、非球面レンズ101の回転角を検出する。そして、近軸曲率中心O1のスポット軌跡に対応する非球面102の回転角と、近軸曲率中心O2のスポット軌跡に対応する非球面103の回転角とは、演算部109に送られる。
【0068】
演算部109は、非球面102のスポット軌跡と回転角とに基づいて、非球面102の近軸曲率中心O1の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とを算出する。さらに、演算部109は、非球面103のスポット軌跡と回転角とに基づいて、非球面103の近軸曲率中心O2の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とを算出する。
【0069】
なお、非球面103の偏心量と偏心方向とを算出するときには、非球面102を光が透過した状態でスポットの軌跡を検出している。このため、非球面103の偏心量と偏心方向とを求めるときには、非球面102の近軸曲率中心O1の偏心量と偏心方向とを考慮して算出することが望ましい。
【0070】
そして、非球面102の近軸曲率中心O1の回転軸120に対する偏心量と偏心方向と、非球面103の近軸曲率中心O2の回転軸120に対する偏心量と偏心方向とに基づいて、非球面レンズ101の光軸104の回転軸120に対する位置と傾きとを算出できる。
【0071】
ステップS404の非球面軸測定の詳細について説明する。上述したように、ステップS404では、非球面102の輪帯状の3次元形状と、非球面103の輪帯状の3次元形状とが測定されている。演算部119は、非球面102の非球面軸107の回転軸120に対する位置と傾きとを以下の演算手順により算出する。
(1)非球面102の設計値の近軸曲率中心O1と、測定された近軸曲率中心O1とが一致するように、測定された近軸曲率中心O1をシフトする。
(2)近軸曲率中心O1を一致させた状態で、測定された輪帯状の3次元形状が、設計値に最もフィットするようにチルトさせる。
(3)フィッティングさせた状態で、回転軸に対する非球面面頂位置を算出する。
(4)非球面面頂と近軸曲率半径O1とを結んで非球面軸107を算出する。
(5)上記(1)〜(4)までの算出手順を非球面103についても行う。
【0072】
そして、非球面102の非球面軸107の回転軸120に対する位置と傾きとが算出される。同様に、非球面103の非球面軸108の回転軸120に対する位置と傾きとが算出される。
【0073】
なお、(1)〜(5)の手順において、上側形状測定部117、下側形状測定部118は、それぞれ非球面102、103の一輪帯の3次元形状を用いている。好ましくは、一つの被検面について複数の輪帯状の3次元形状を測定して、この測定値を用いることが望ましい。これにより、面頂位置の算出精度を向上できる。さらに好ましくは、一つの被検面の全面に関して輪帯状の3次元形状を測定することが望ましい。
【0074】
(実施例1の変形例)
次に、上述した実施例1の変形例について説明する。上述の実施例1では、真空発生ユニット122は、第1の吸着力と第2の吸着力とを発生している。以下は、吸着力の大きさ等に関する変形例である。
【0075】
第1の変形例では、ステップS401において、非球面レンズ101の外径またはレンズホルダ110の口径に応じて第1の吸着力を変える。レンズホルダ110の径とは、吸着孔111aの直径をいう。例えば、小口径の非球面レンズを測定するときは、小口径用のレンズホルダを用いる。次に、大口径の非球面レンズを測定するときは、大口径用のレンズホルダに交換する。小口径のレンズホルダと大口径のレンズホルダとでは、非球面レンズを吸着保持した状態で姿勢を調整できる第1の吸着力の大きさが異なる。このため、小口径のレンズホルダを用いるときは、大口径のレンズホルダを用いるときに比較して、第1の吸着力を小さくする。これにより、レンズホルダの径や非球面レンズの口径に応じた適切な吸着圧で保持できる。
【0076】
なお、非球面レンズ101の外径データは、オペレータがキーボード等の入力装置(不図示)で入力できる。また、レンズホルダ110の径は、エアースピンドル111にレンズホルダ110を取り付けたときに、接点等で自動的に検出できるように構成することもできる。
【0077】
また、第2の変形例では、姿勢調整部116は反発力検出センサ130(図1参照)を備えている。反発力検出センサ130は、ステップS402において非球面レンズ101の姿勢を押圧部125により押圧するときの反発力を検出する。そして、検出された反発力は、演算部119へ送られる。真空発生ユニット122は、反発力に応じた第1の吸着力を発生させる。これにより、常に適切な第1の吸着力で非球面レンズ101を保持できる。
【0078】
また、第3の変形例では、ステップS401において、非球面101のレンズホルダ110側の非球面103の近軸曲率半径に応じて第1の吸着力を変える。非球面103の近軸曲率半径が大きくなるに応じて、平面(近軸曲率半径が無限大)に近づく方向へ変化する。そして、吸着保持する面が平面に近くなるほど、第1の吸着力は小さくて良い。本変形例では、真空発生ユニット122は、吸着保持される非球面103の近軸曲率半径に応じた第1の吸着力を発生させる。これにより、常に適切な第1の吸着力で非球面レンズ101を保持できる。
【0079】
また、第4の変形例では、ステップS401において、非球面レンズ101の肉厚に応じて第1の吸着力を変える。非球面レンズ101の肉厚が薄いとき、吸着力が大きいと非球面レンズ101が撓む等の変形をしてしまうおそれがある。非球面レンズ101の肉厚が薄くなるほど、第1の吸着力は小さくて良い。本変形例では、真空発生ユニット122は、吸着保持される非球面レンズ101の肉厚に応じた第1の吸着力を発生させる。これにより、非球面レンズ101に変形を生じることなく適切な第1の吸着力で保持できる。
【0080】
さらに、好ましくは、ステップS404において、非球面レンズ101の肉厚に応じて第2の吸着力を変えることが望ましい。これにより、非球面レンズ101に変形を生じることなく適切な第2の吸着力で保持できる。この結果、非球面レンズ101に変形を生じることなく、接触子117a、118aによる測定を行うことができる。なお、非球面レンズ101の近軸曲率半径、肉厚等のデータは、オペレータがキーボード等の入力装置(不図示)で入力できる。
【0081】
また、第5の変形例では、ステップS402において、非球面レンズ101の姿勢調整の経過に応じて、第1の吸着力を段階的に大きくしている。ステップS402の姿勢調整が終了すると、ステップS403の近軸曲率中心の測定を経て、ステップS404の非球面軸測定へ移行する。そして、姿勢調整の段階が進むと、非球面レンズ101の位置や向きの調整量が少なくなる。このため、姿勢調整の経過に応じて、第1の吸着力を段階的に大きくすることで、後続する測定ステップへ迅速かつ円滑に移行できる。
【実施例2】
【0082】
図5は、本発明の実施例2に係る非球面偏心測定装置200の概略構成を示す。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の装置では、片側非球面レンズ201を測定する。片側非球面レンズ201は、一方の面が非球面202、他方の面が球面203である。
【0083】
レンズホルダ110に球面203が当接するように、片側非球面レンズ201を載置する。レンズホルダ110は、球面203側を載置したとき、球心と回転中心とが一致するように構成されている。
【0084】
本実施例は、片側非球面レンズ用の測定装置である。このため、非球面202の形状を測定するための上側形状測定部117のみが設けられている。非球面203の偏心量を測定する手順は、図4を用いて説明した上述の実施例1と同一である。
【0085】
このため、本実施例では、姿勢調整時に、片側非球面レンズ201は第1の吸着力によりレンズホルダ110に吸着保持されている。第1の吸着力は、レンズホルダ110上で片側非球面レンズ201の姿勢を調整可能な大きさの力である。このため、片側非球面レンズ201をレンズホルダ110上で移動させること、特に微調整することができる。また、吸着保持されている片側非球面レンズ201をレンズホルダ110上で無理に移動させてしまうことを防止できる。このため、片側非球面レンズ201のレンズホルダ110側の球面203に傷を生じてしまうことを低減できる。さらに、容易に片側非球面レンズ201を移動できることから、姿勢の調整を迅速に行うことができる。この結果、容易に姿勢調整が可能であり、迅速に測定できる。
【0086】
特に、片側非球面レンズ201が大口径レンズのとき、レンズホルダ110の内径も大きくなる。このときでも、本実施例では、第1の吸着力により片側非球面レンズ201を吸着保持する。これにより、容易に大口径レンズの姿勢を調整できる。
【0087】
なお、本発明は上述の構成、手順に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明に係る非球面偏心測定方法及び非球面偏心測定装置は、被検物、特に光学レンズの表面形状を測定するときに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例1に係る非球面偏心測定装置の概略構成を示す図である。
【図2】非球面レンズの断面構成を示す図である。
【図3−1】非球面の偏心方向を説明する図である。
【図3−2】非球面の偏心方向を説明する他の図である。
【図4】非球面偏心測定の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例2に係る非球面偏心測定装置の概略構成を示す図である。
【図6】従来の非球面偏心測定装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
100 非球面偏心測定装置
101 非球面レンズ
101a 外周部
102、103 非球面
104 光軸
105、106 面頂
105a、106a 線分
107、108 非球面軸
O1、O2 近軸曲率中心
111 エアースピンドル
112 モータ
113 エンコーダ
114 吸着圧可変機構
115 スポット軌跡検出部
116 姿勢調整部
117 上側形状測定部
118 下側形状測定部
117a、118a 接触子
119 演算部
120 回転軸
121 エアーチューブ
122 真空発生ユニット
123 調圧ユニット
124 エアーチューブ
125 押圧部
125a 押圧端子
126 移動部
130 反発力検出センサ
ε1、ε2 角度
δ1、δ2 距離
200 非球面偏心測定装置
201 片側非球面レンズ
202 非球面
203 球面
11 エアースピンドル
12 スピンドルスリーブ
13 スピンドル
14a 貫通孔
15 光学式芯ずれ測定器
16 回転部材
16a 貫通孔
20 被測定部材
21 支持部材
22 リング部材
22a 貫通孔
23 吸引用空間
31 真空発生装置
32 吸引配管
33、34 高精度変位計
33a、34a 測定子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズホルダ上で被検物の姿勢調整が可能な第1の吸着力により、前記被検物を保持する第1の保持ステップと、
前記被検物に対して光を照射し、前記被検物の被検面からの反射光により形成されるスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出ステップと、
前記被検物を回転機構により所定軸の周りに回転させる回転ステップと、
前記スポット軌跡に対応した回転角を検出する回転角検出ステップと、
前記第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力により前記被検物を保持する第2の保持ステップと、
前記被検物の前記被検面の形状を測定する形状測定ステップと、
前記スポット軌跡検出ステップの検出結果と前記形状測定ステップの測定結果と前記回転角検出ステップの検出結果とに基づいて、前記被検物の非球面偏心を演算する演算ステップとを有することを特徴とする非球面偏心測定方法。
【請求項2】
前記第1の保持ステップにおいて、前記被検物の外径または前記レンズホルダの口径に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項1に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項3】
前記レンズホルダ上の前記被検物の姿勢を調整する被検物押圧ステップをさらに有し、
前記第1の保持ステップにおいて、前記被検物を押圧するときの反発力に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項1に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項4】
前記第1の保持ステップにおいて、前記被検物の前記レンズホルダ側の面の近軸曲率半径に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項1に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項5】
前記第1の保持ステップにおいて、前記被検物の肉厚に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項1に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項6】
さらに、前記第2の保持ステップにおいて、前記被検物の肉厚に応じて前記第2の吸着力を変えることを特徴とする請求項5に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項7】
前記第1の保持ステップにおいて、前記被検物の姿勢調整の経過に応じて、前記第1の吸着力を段階的に大きくしてゆくことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の非球面偏心測定方法。
【請求項8】
前記被検物を保持するレンズホルダと、
前記被検物を保持する吸着力を可変にする吸着力可変部と、
前記レンズホルダを所定軸の周りに回転させる回転機構と、
前記回転機構の回転角を検出する回転角検出部と、
前記被検物に対して光を照射する光源を備え、前記被検物の被検面からの反射光により形成されるスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出部と、
前記被検物の被検面の形状を測定する形状測定部と、
前記スポット軌跡検出部の検出結果と前記形状測定部の測定結果と前記回転角検出部の検出結果とに基づいて、前記被検物の非球面偏心量とその方向を演算する演算部とを有し、
前記吸着力可変部は、前記吸着力を、前記レンズホルダ上で前記被検物の姿勢調整が可能な第1の吸着力と、前記第1の吸着力よりも大きな第2の吸着力とに制御することを特徴とする非球面偏心測定装置。
【請求項9】
前記吸着力可変部は、前記被検物の外径または前記レンズホルダの口径に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項8に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項10】
前記レンズホルダに前記第1の吸着力で保持されている前記被検物の姿勢を調整する姿勢調整部をさらに有し、
前記吸着力可変部は、前記姿勢調整部が前記被検物を押圧するときの反発力に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項8に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項11】
前記吸着力可変部は、前記被検物の前記レンズホルダ側の面の近軸曲率半径に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項8に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項12】
前記吸着力可変部は、前記被検物の肉厚に応じて前記第1の吸着力を変えることを特徴とする請求項8に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項13】
さらに、前記吸着力可変部は、前記被検物の肉厚に応じて前記第2の吸着力を変えることを特徴とする請求項12に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項14】
前記吸着力可変部は、前記被検物の姿勢調整の経過に応じて、前記第1の吸着力を段階的に大きくしてゆくことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の非球面偏心測定装置。
【請求項15】
前記形状測定部は、前記被検物の第1面の形状を測定する第1の形状測定部と前記被検物の第2面の形状を測定する第2の形状測定部とを備えることを特徴とする請求項8〜14の何れか一項に記載の非球面偏心測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−208197(P2006−208197A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20767(P2005−20767)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】