駆動車輪用軸受装置
【課題】ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置において、車両姿勢制御用の適切な情報を得るための手段を軸受装置自体に設けることにより、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させ、かつ正確で安全な車両姿勢制御を行えるようにする。
【解決手段】この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪10と等速自在継手40と軸受20とをユニット化し、等速自在継手40の外側継手部材41のステム部45の外周にハブ輪10を嵌合させてこれら外側継手部材41とハブ輪10とで内方部材29を構成したものとする。軸受20の複列の内周側軌道面27,28のうち、一方の軌道面27をハブ輪10に形成し、他方の軌道面28を外側継手部材41に形成する。
【解決手段】この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪10と等速自在継手40と軸受20とをユニット化し、等速自在継手40の外側継手部材41のステム部45の外周にハブ輪10を嵌合させてこれら外側継手部材41とハブ輪10とで内方部材29を構成したものとする。軸受20の複列の内周側軌道面27,28のうち、一方の軌道面27をハブ輪10に形成し、他方の軌道面28を外側継手部材41に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車輪を回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置に関し、特にハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化した形式であって、かつセンサ付きとした第4世代構造の駆動車輪用軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の安全走行のために、各車輪の回転速度を検出するセンサを車輪用軸受に設けたものがある。従来の一般的な自動車の走行安定性確保対策は、各部の車輪の回転速度を検出することで行われているが、車輪の回転速度だけでは十分でなく、その他のセンサ信号を用いてさらに安定しかつ高精度な車両姿勢制御を行うことが求められている。
【0003】
そこで、車両走行時に各車輪に作用する荷重から姿勢制御を図ることも考えられる。例えばコーナリングにおいては外側車輪に大きな荷重がかかり、また左右傾斜面走行では片側車輪に、ブレーキングにおいては前輪にそれぞれ荷重が片寄るなど、各車輪にかかる荷重は均等ではない。また、積載荷重不均等の場合にも各車輪にかかる荷重は不均等になる。このため、車輪にかかる荷重を随時検出できれば、その検出結果に基づき、事前にサスペンション等を制御することで、車両走行時の姿勢制御(コーナリング時のローリング防止、ブレーキング時の前輪沈み込み防止、積載荷重不均等による沈み込み防止等)を行うことが可能となる。しかし、車輪に作用する荷重を検出するセンサの適切な設置場所がなく、荷重検出による姿勢制御の実現が難しい。
【0004】
また、今後ステアバイワイヤが導入されて、車軸とステアリングが機械的に結合しないシステムになってくると、車軸方向荷重を検出して運転手が握るハンドルに路面情報を伝達することが求められる。
【0005】
このような要請に応えるものとして、車輪用軸受に作用する荷重を検出するセンサを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
駆動輪支持用の車輪用軸受装置では、図12に示すように、ハブ輪10と等速自在継手40と軸受20とをユニット化した第4世代型と呼ばれる構成が採用されることがある。これまで第4世代型を始めとする駆動車輪用軸受装置へ直接設置される車輪の回転速度を検出するセンサを除いては、加速度センサ等の車両の姿勢制御に用いられる情報を得るための各種センサは、車体と駆動車輪用軸受装置との間に設けられるサスペンション用バネの上側、いわゆるバネ上の車体側に設けられるのが一般的であった。
【0007】
また、上記第4世代型の車輪用軸受装置において、等速自在継手40の外側継手部材41のステム部45を中空形状とし、このステム部45をハブ輪10の内径側に嵌合させた状態でステム部45を拡径させることにより、ハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41とを締結する拡径加締形式のものが提案されている(特許文献2)。外側継手部材41とハブ輪10との締結構造としては、各種の加締形式のものがあるが、上記拡径加締形式のものは、加締部の緩みが生じ難く、したがって複列の軌道面間の寸法変化による予圧抜けが防止され、軸受の予圧維持に優れるという利点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−9866号公報
【特許文献2】特開2002−254901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、ハブ輪、等速自在継手、および軸受をユニット化した駆動車輪用軸受装置では、車両姿勢制御用の各種センサが、いわゆるバネ上の車体側に設けられている。このため、得られる情報にタイムラグが生じ、路面の状況変化等に対する制御システムの応答性を上げることに限界があった。また、駆動車輪用軸受装置内部の詳細な情報、例えば軸受の予圧や剛性に関わる複列の軌道面間の寸法変化等を検出することができず、正確な車両姿勢制御を行うことができなかった。
【0010】
ステム部45を拡径させてハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41とを締結する拡径加締形式の場合には、上記のように加締部の緩みが生じ難くて、ハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41との間の位置ずれが生じ難い。しかし、拡径加締形式においても、例えば、縁石への乗り上げ等、過度の外部入力により、加締部の緩みが生じることがあり、これにより前記複列の軌道面間の寸法が変化し、予圧抜けが生じる恐れがある。予圧抜けは、軸受の早期剥離や剛性低下につながるため、両者の締結状態を常時監視しておくことが望ましい。
【0011】
この発明の目的は、ハブ輪、等速自在継手、および軸受をユニット化した形式の駆動車輪用軸受装置において、車両姿勢制御用の適切な情報を得るための手段を軸受装置自体に設けることにより、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させ、かつ正確な車両姿勢制御を行うことである。
この発明の他の目的は、軸受装置自体の異常の有無について診断する機能を付加して、常に安全な車両姿勢制御を行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、拡径加締部の締結状態が監視できて、予圧抜けによる軸受の早期剥離等を未然に防ぐことができるものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
車両走行に伴い駆動車輪用軸受装置に荷重が加わると、主として回転側である内方部材が変形する。内方部材の変形は、外側継手部材およびハブ輪において生じるが、外側継手部材とハブ輪とで変形の程度が異なる。そこで、外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を、外方部材に設けた相対位置測定手段によって測定し、その測定結果に基づき車両の姿勢制御を行う。このように、センサ等からなる相対位置測定手段を軸受装置自体に設けるため、車体側に設けたセンサによって軸受装置の情報を得る場合と異なり、介在物を介することなく軸受装置の情報を得ることができ、かつ軸受装置内部の詳細な情報を得ることができる。そのため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性が高く、軸受装置内部の詳細な情報に基づく正確な車両姿勢制御を行える。
【0014】
前記相対位置測定手段は、前記外側継手部材の外径面に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第1のセンサと、前記ハブ輪に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第2のセンサと、これら第1および第2のセンサの出力を比較する手段とでなるものとするのが良い。
駆動車輪用軸受装置に荷重が加わった場合でも外方部材の変形は少ないため、第1および第2のセンサを外方部材に取付けると、これらのセンサが軸受装置の変形の影響を受けることが少なく、外側継手部材の外径面およびハブ輪に設けたマークを精度良く検出することができる。そして、その精度良く検出された第1および第2のセンサの出力を比較することにより、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置が正確に求められる。
【0015】
前記各マークは、周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものとすることができ、また、前記各センサは、磁気式センサまたは光学式センサとすることができる。
周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものであるマークを、磁気式センサまたは光学式センサである第1および第2のセンサで検出する構成とすると、外方部材に第1および第2のセンサを設けながら、内方部材である外側継手部材の外径部およびハブ輪の回転軸方向位置を検出することができる。
【0016】
前記相対位置測定手段の出力から、軸受部の作用力を検出する作用力検出手段、同じく等速自在継手の外側継手部材の内部応力を推定する継手内部応力推定手段、および同じくハブ輪の内部応力を推定するハブ輪内部応力推定手段を設けると良い。
相対位置測定手段は軸受自体に設置されるため、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を精度良く、かつ応答性良く検出できる。そのため、その前記相対位置、軸受部への作用力、等速自在継手の外側継手部材の内部応力、およびハブ輪の内部応力との関係を予め実験やシミュレーションで求めておけば、相対位置測定手段の出力から上記各検出項目値を検出することができる。この検出した各検出項目値を自動車の車両制御に使用することが出来る。
【0017】
また、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪と外側継手部材との拡径加締部の締結状態を推定する締結状態推定手段を設けると良い。
等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置と、拡径加締部の締結状態との関係についても、予め実験やシミュレーションで求めておくことができる。締結状態推定手段は、このように求めておいた関係を用いて、相対位置測定手段の出力から拡径加締部の締結状態の推定、例えば締結の緩みの程度を推定する。
締結状態推定手段を設けると、ハブ輪と外側継手部材との締結状態を常時監視することができるため、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材との間に緩みや位置ずれが生じた場合にすぐに発見することができ、予圧抜けによる軸受の早期剥離や剛性低下による問題を未然に防ぐことができる。
【0018】
さらに、前記相対位置測定手段の出力、または測定の結果、または推定の結果を設定範囲と比較して設定範囲外である場合に警報を出力する警報出力手段を設けると良い。
警報出力手段を設けると、相対位置測定手段の出力、または測定の結果、または推定の結果が設定範囲外である場合に、そのことを迅速に運転者等に知らせることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させ、かつ正確な車両姿勢制御を行うことができる。また、相対位置測定手段の出力と軸受の状態との関係が精度良く、かつ応答性良く得られ、そのため診断機能を付加することで、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の実施形態を図1と共に説明する。この駆動車輪用軸受装置は、第4世代型の駆動輪支持用の駆動車輪用軸受装置であり、ハブ輪10と、等速自在継手40と、軸受20とをユニット化して構成される。なお、以下の説明では、車両に取付けた状態で車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0021】
ハブ輪10は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取付けるためのフランジ14を備えており、フランジ14の円周方向等間隔位置にホイールディスクを固定するためのハブボルト15を植え込んである。ハブ輪10のフランジ14よりもインボード側の外周面に、軸受20の複列の内周側軌道面のうちのアウトボード側の軌道面27を形成してある。ハブ輪10は軸心部に軸方向の貫通孔を有する中空状に形成されている。
【0022】
等速自在継手40は、ドライブシャフトからのトルクを内側継手部材42およびトルク伝達ボール43を介して外側継手部材41に伝達する。外側継手部材41の内周部には複数のトラック溝41aが形成されている。このトラック溝41aと内側継手部材42の外周部に設けた複数のトラック溝42aとの協働で複数のボールトラックが形成され、各ボールトラックにトルク伝達ボール43を配置することで等速自在継手40が構成される。各トルク伝達ボール43は、保持器44によって同一平面内に保持されている。
【0023】
外側継手部材41は、ステム部45とマウス部46とからなり、ステム部45にてハブ輪10の内周に嵌合している。マウス部46の肩面47寄りの外周面に、軸受20の複列の内周側軌道面のうちのインボード側の軌道面28を形成してある。マウス部46の肩面47がハブ輪10のインボード側の端面と当接し、これにより、ハブ輪10と外側継手部材41の軸方向の位置決めがなされ、かつ、軌道面27,28間の寸法が規定される。ステム部45は、椀状のマウス部46の底と連通した軸方向の貫通孔48を設けることによって中空にしてある。
【0024】
外側継手部材41のステム部45は、ハブ輪10に対して、拡径加締めにより締結される。この実施形態の拡径加締めは、事前にハブ輪10の内周面における一部、例えばアウトボード側の端部に凹凸部31を形成し、その凹凸部31を熱処理によって硬化させておき、このように内周面に凹凸部31が形成されたハブ輪10の内周に、外側継手部材41のステム部45を嵌合し、ステム部45を内径側から外径側に拡径させることにより、ステム部45の外周部をハブ輪10の凹凸部31に食い込ませて、ハブ輪10と外側継手部材41とを締結するものである。ハブ輪10の内周面における凹凸部31以外の部分は、ステム部45の円筒状外周面と密着嵌合する円筒状に形成されている。
【0025】
前記凹凸部31の凹凸形状は任意であり、例えばねじ形状やセレーション(スプラインを含む)形状、あるいは互いに平行な複数列の溝同士を交差させたアヤメローレット形状に形成される。これらの中でもアヤメローレットは加締め後のフレッティング(特に軸方向および円周方向のフレッティング)防止に特に有効である。
【0026】
軸受20は、ハブ輪10および外側継手部材41で構成される内方部材29と、外方部材21と、複列の転動体22とを含む。外方部材21は車体(図示せず)に取付けるためのフランジ23を備え、内周面に、前記ハブ輪10の内周側軌道面27および前記外側継手部材41の内周側軌道面28に対向する複列の外周側軌道面24を形成してある。そして、内周側軌道面27,28と複列の外周側軌道面24との間に、複列の転動体22が組み込まれている。ここでは転動体22としてボールを使用した複列のアンギュラ玉軸受の場合を図示してあるが、重量の嵩む自動車用の駆動車輪用軸受装置の場合には、転動体として円すいころを使用した複列円すいころ軸受を採用する場合もある。外方部材21の両端開口部にはシール25,26が装着され、軸受内部に充填したグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0027】
外方部材21の内周面におけるインボード側の転動体22とインボード側のシール26との間には、外側継手部材41の外径面に設けた環状のマーク50(1)をそれぞれ検出する第1のセンサ51(1A),51(1B)が設けられ、同じく外方部材21の内周面におけるアウトボード側の転動体22とアウトボード側のシール25との間には、ハブ輪10に設けた環状のマーク50(2)をそれぞれ検出する第2のセンサ51(2A),51(2B)が設けられている。
第1のセンサ51(1A)および第2のセンサ51(2A)は軸受装置の回転軸回り同一位相に配置されており、両センサの出力を比較手段52Aで比較することにより、等速自在継手40の外側継手部材41の回転軸方向(x方向)位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。これら第1のセンサ51(1A)、第2のセンサ51(2A)、および比較手段52Aで相対位置測定手段53Aを構成する。
同様に、第1のセンサ51(1B)および第2のセンサ51(2B)も軸受装置の回転軸回り同一位相に配置されており、両センサの出力を比較手段52Bで比較することにより、等速自在継手40の外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。これら第1のセンサ51(1B)、第2のセンサ51(2B)、および比較手段52Bで相対位置測定手段53Bを構成する。センサ51(1A),51(2A)とセンサ51(1B),51(2B)とは軸受装置の回転軸回りの異なる位相、例えば互いに180度の位相で設けられている。
【0028】
この実施形態の場合、各センサ51(1A,1B,2A,2B)は光学式センサであり、これに対向するマーク50(1,2)は、例えば図2に示すように、黒色部分50aと白色部分50bとに色分けされたターゲット面とされる。つまり、マーク50(1,2)は、周辺に対して光学的に差異を有するものとされている。センサ51(1A,1B,2A,2B)は、ターゲット面の黒色部分50aと白色部分50bとの境界部の位置を検出することで、外側継手部材41の回転軸方向位置またはハブ輪10の回転軸方向位置を検出する。
【0029】
前記比較手段52A,52Bは、それぞれ軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58に接続されている。これら各手段54,55,56,57,58の作用については後で説明する。
【0030】
上記構成の駆動車輪用軸受装置の作用を説明する。車両走行に伴い駆動車輪用軸受装置に荷重が加わると、主として回転側である内方部材29が変形する。この内方部材29の変形は、外側継手部材41とハブ輪10とで異なるし、また回転軸回りの周方向位置によっても異なる。そこで、回転軸回りの位相が異なる複数箇所で、外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置をそれぞれ個別に検出することにより、軸受装置内部の詳細な情報を得ることができる。
【0031】
具体的には、各センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)の出力をそれぞれs1A,s1B,s2A,s2Bとした場合、(s1A−s1B)+(s2A−s2B)と、外側継手部材41とハブ輪10との回転軸方向(x軸方向)の相対変位xとの関係は図3で示され、(s1A−s1B)−(s2A−s2B)と、外側継手部材41とハブ輪10とのy軸回りの歪θyとの関係は図4で示される。y軸は、x軸に直交する水平方向であって、この軸受装置が取付けられる車両の前後方向となる。ここで、(s1A−s1B)および(s2A−s2B)は、それぞれ外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置であって、比較手段52A,52Bにより求められるものである。図3および図4に示す関係に基づき、各センサの出力より、外側継手部材41とハブ輪10とのx軸方向の相対変位x、および外側継手部材41とハブ輪10とのy軸回りの歪θyが求められる。
【0032】
このようにして求められた値x,θyと下記の各項目との関係を実験やシミュレーションにて予め求めておけば、軸受に作用する作用力、等速自在継手40の外側継手部材41に発生する内部応力、およびハブ輪10に発生する内部応力を算出または推定することができる。軸受作用力測定手段54は、このように実験やシミュレーションより予め求めておいた関係から、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力より、軸受に作用する作用力を算出する。また、継手内部応力推定手段55、およびハブ輪内部応力推定手段56は、上記関係から、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力より、等速自在継手40の外側継手部材41に発生する内部応力、およびハブ輪10に発生する内部応力をそれぞれ推定する。
【0033】
また、締結状態推定手段57は、軸受作用力測定手段54の測定結果や、継手内部応力推定手段55およびハブ輪内部応力推定手段56の推定結果等から、設定規則に基づき総合的に判断して、ハブ輪10と外側継手部材41の締結状態を推定する。
【0034】
そして、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力、軸受作用力測定手段54の測定結果、および各推定手段55,56,57の推定結果が予め定めた所定の設定結果と比較して設定範囲外である場合は、警報出力手段58により警報を出力する。
【0035】
このように、この実施形態の駆動車輪用軸受装置は、センサ51(1A,1B,2A,2B)の検出結果に基づき、軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58により、車両姿勢制御に関わる軸受装置内部の詳細な情報を得られるため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させることができるともに、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【0036】
また、センサ51(1A,1B,2A,2B)として光学式センサを採用しているため、変形の少ない外方部材21に取付けたセンサによる外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置の検出が可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0037】
図5は異なる実施形態を示す。この実施形態と前記実施形態(図1)と異なる点は、センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用し、これに対向するマーク50(1),50(2)を、図6ないし図9の(A)に示すように、外側継手部材41およびハブ輪10の外周面に形成された円周方向の溝状切欠きとしたことである。マーク50(1),50(2)の回転軸方向位置x1A,x1B,x2A,x2Bとセンサ出力s1A,s1B,s2A,s2Bとの関係は、図6ないし図9の(B)に示される。
【0038】
この実施形態の場合も、第1のセンサ51(1A),51(1B)の出力と、第2のセンサ51(2A),51(2B)の出力とを比較手段52A,52Bで比較して、外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。そして、その測定結果に基づき、軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58により、車両姿勢制御に関わる軸受装置内部の詳細な情報を得る。このため、上記同様、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させることができるともに、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【0039】
センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用した場合も、光学式センサを採用した場合と同様に、変形の少ない外方部材21に取付けたセンサによる外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置の検出が可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0040】
図10および図11に示すように、センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用する場合、これに対向するターゲット面に設けられるマーク50(1),50(2)を、N極50aとS極50bとからなる着磁パターンとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図に制御系のブロック図を組み合わせて表示した図である。
【図2】センサおよびシールの拡大図である。
【図3】センサ出力と、外側継手部材とハブ輪とのx軸方向の相対変位との関係を示すグラフである。
【図4】センサ出力と、外側継手部材とハブ輪とのy軸回りの歪との関係を示すグラフである。
【図5】異なる実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図に制御系のブロック図を組み合わせて表示した図である。
【図6】(A)は図5における上側の第1のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図7】(A)は図5における上側の第2のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図8】(A)は図5における下側の第1のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図9】(A)は図5における下側の第2のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図10】さらに異なる実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図である。
【図11】図10のXI部の拡大図である。
【図12】従来の駆動車輪用軸受装置の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10…ハブ輪
20…軸受
21…外方部材
22…転動体
24…外周側軌道輪
25,26…シール
27,28…内周側軌道輪
29…内方部材
31…凹凸部
40…等速自在継手
41…外側継手部材
42…内側継手部材
43…トルク伝達ボール
44…保持器
45…ステム部
50(1),50(2)…マーク
51(1A),51(1B)…第1のセンサ
51(2A),51(2B)…第2のセンサ
52A,52B…比較手段
53A,53B…相対位置測定手段
54…軸受作用力測定手段
55…継手内部応力推定手段
56…ハブ輪内部応力推定手段
57…締結状態推定手段
58…警報出力手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車輪を回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置に関し、特にハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化した形式であって、かつセンサ付きとした第4世代構造の駆動車輪用軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の安全走行のために、各車輪の回転速度を検出するセンサを車輪用軸受に設けたものがある。従来の一般的な自動車の走行安定性確保対策は、各部の車輪の回転速度を検出することで行われているが、車輪の回転速度だけでは十分でなく、その他のセンサ信号を用いてさらに安定しかつ高精度な車両姿勢制御を行うことが求められている。
【0003】
そこで、車両走行時に各車輪に作用する荷重から姿勢制御を図ることも考えられる。例えばコーナリングにおいては外側車輪に大きな荷重がかかり、また左右傾斜面走行では片側車輪に、ブレーキングにおいては前輪にそれぞれ荷重が片寄るなど、各車輪にかかる荷重は均等ではない。また、積載荷重不均等の場合にも各車輪にかかる荷重は不均等になる。このため、車輪にかかる荷重を随時検出できれば、その検出結果に基づき、事前にサスペンション等を制御することで、車両走行時の姿勢制御(コーナリング時のローリング防止、ブレーキング時の前輪沈み込み防止、積載荷重不均等による沈み込み防止等)を行うことが可能となる。しかし、車輪に作用する荷重を検出するセンサの適切な設置場所がなく、荷重検出による姿勢制御の実現が難しい。
【0004】
また、今後ステアバイワイヤが導入されて、車軸とステアリングが機械的に結合しないシステムになってくると、車軸方向荷重を検出して運転手が握るハンドルに路面情報を伝達することが求められる。
【0005】
このような要請に応えるものとして、車輪用軸受に作用する荷重を検出するセンサを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
駆動輪支持用の車輪用軸受装置では、図12に示すように、ハブ輪10と等速自在継手40と軸受20とをユニット化した第4世代型と呼ばれる構成が採用されることがある。これまで第4世代型を始めとする駆動車輪用軸受装置へ直接設置される車輪の回転速度を検出するセンサを除いては、加速度センサ等の車両の姿勢制御に用いられる情報を得るための各種センサは、車体と駆動車輪用軸受装置との間に設けられるサスペンション用バネの上側、いわゆるバネ上の車体側に設けられるのが一般的であった。
【0007】
また、上記第4世代型の車輪用軸受装置において、等速自在継手40の外側継手部材41のステム部45を中空形状とし、このステム部45をハブ輪10の内径側に嵌合させた状態でステム部45を拡径させることにより、ハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41とを締結する拡径加締形式のものが提案されている(特許文献2)。外側継手部材41とハブ輪10との締結構造としては、各種の加締形式のものがあるが、上記拡径加締形式のものは、加締部の緩みが生じ難く、したがって複列の軌道面間の寸法変化による予圧抜けが防止され、軸受の予圧維持に優れるという利点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−9866号公報
【特許文献2】特開2002−254901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、ハブ輪、等速自在継手、および軸受をユニット化した駆動車輪用軸受装置では、車両姿勢制御用の各種センサが、いわゆるバネ上の車体側に設けられている。このため、得られる情報にタイムラグが生じ、路面の状況変化等に対する制御システムの応答性を上げることに限界があった。また、駆動車輪用軸受装置内部の詳細な情報、例えば軸受の予圧や剛性に関わる複列の軌道面間の寸法変化等を検出することができず、正確な車両姿勢制御を行うことができなかった。
【0010】
ステム部45を拡径させてハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41とを締結する拡径加締形式の場合には、上記のように加締部の緩みが生じ難くて、ハブ輪10と等速自在継手40の外側継手部材41との間の位置ずれが生じ難い。しかし、拡径加締形式においても、例えば、縁石への乗り上げ等、過度の外部入力により、加締部の緩みが生じることがあり、これにより前記複列の軌道面間の寸法が変化し、予圧抜けが生じる恐れがある。予圧抜けは、軸受の早期剥離や剛性低下につながるため、両者の締結状態を常時監視しておくことが望ましい。
【0011】
この発明の目的は、ハブ輪、等速自在継手、および軸受をユニット化した形式の駆動車輪用軸受装置において、車両姿勢制御用の適切な情報を得るための手段を軸受装置自体に設けることにより、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させ、かつ正確な車両姿勢制御を行うことである。
この発明の他の目的は、軸受装置自体の異常の有無について診断する機能を付加して、常に安全な車両姿勢制御を行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、拡径加締部の締結状態が監視できて、予圧抜けによる軸受の早期剥離等を未然に防ぐことができるものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
車両走行に伴い駆動車輪用軸受装置に荷重が加わると、主として回転側である内方部材が変形する。内方部材の変形は、外側継手部材およびハブ輪において生じるが、外側継手部材とハブ輪とで変形の程度が異なる。そこで、外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を、外方部材に設けた相対位置測定手段によって測定し、その測定結果に基づき車両の姿勢制御を行う。このように、センサ等からなる相対位置測定手段を軸受装置自体に設けるため、車体側に設けたセンサによって軸受装置の情報を得る場合と異なり、介在物を介することなく軸受装置の情報を得ることができ、かつ軸受装置内部の詳細な情報を得ることができる。そのため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性が高く、軸受装置内部の詳細な情報に基づく正確な車両姿勢制御を行える。
【0014】
前記相対位置測定手段は、前記外側継手部材の外径面に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第1のセンサと、前記ハブ輪に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第2のセンサと、これら第1および第2のセンサの出力を比較する手段とでなるものとするのが良い。
駆動車輪用軸受装置に荷重が加わった場合でも外方部材の変形は少ないため、第1および第2のセンサを外方部材に取付けると、これらのセンサが軸受装置の変形の影響を受けることが少なく、外側継手部材の外径面およびハブ輪に設けたマークを精度良く検出することができる。そして、その精度良く検出された第1および第2のセンサの出力を比較することにより、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置が正確に求められる。
【0015】
前記各マークは、周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものとすることができ、また、前記各センサは、磁気式センサまたは光学式センサとすることができる。
周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものであるマークを、磁気式センサまたは光学式センサである第1および第2のセンサで検出する構成とすると、外方部材に第1および第2のセンサを設けながら、内方部材である外側継手部材の外径部およびハブ輪の回転軸方向位置を検出することができる。
【0016】
前記相対位置測定手段の出力から、軸受部の作用力を検出する作用力検出手段、同じく等速自在継手の外側継手部材の内部応力を推定する継手内部応力推定手段、および同じくハブ輪の内部応力を推定するハブ輪内部応力推定手段を設けると良い。
相対位置測定手段は軸受自体に設置されるため、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を精度良く、かつ応答性良く検出できる。そのため、その前記相対位置、軸受部への作用力、等速自在継手の外側継手部材の内部応力、およびハブ輪の内部応力との関係を予め実験やシミュレーションで求めておけば、相対位置測定手段の出力から上記各検出項目値を検出することができる。この検出した各検出項目値を自動車の車両制御に使用することが出来る。
【0017】
また、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪と外側継手部材との拡径加締部の締結状態を推定する締結状態推定手段を設けると良い。
等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置と、拡径加締部の締結状態との関係についても、予め実験やシミュレーションで求めておくことができる。締結状態推定手段は、このように求めておいた関係を用いて、相対位置測定手段の出力から拡径加締部の締結状態の推定、例えば締結の緩みの程度を推定する。
締結状態推定手段を設けると、ハブ輪と外側継手部材との締結状態を常時監視することができるため、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材との間に緩みや位置ずれが生じた場合にすぐに発見することができ、予圧抜けによる軸受の早期剥離や剛性低下による問題を未然に防ぐことができる。
【0018】
さらに、前記相対位置測定手段の出力、または測定の結果、または推定の結果を設定範囲と比較して設定範囲外である場合に警報を出力する警報出力手段を設けると良い。
警報出力手段を設けると、相対位置測定手段の出力、または測定の結果、または推定の結果が設定範囲外である場合に、そのことを迅速に運転者等に知らせることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させ、かつ正確な車両姿勢制御を行うことができる。また、相対位置測定手段の出力と軸受の状態との関係が精度良く、かつ応答性良く得られ、そのため診断機能を付加することで、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の実施形態を図1と共に説明する。この駆動車輪用軸受装置は、第4世代型の駆動輪支持用の駆動車輪用軸受装置であり、ハブ輪10と、等速自在継手40と、軸受20とをユニット化して構成される。なお、以下の説明では、車両に取付けた状態で車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0021】
ハブ輪10は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取付けるためのフランジ14を備えており、フランジ14の円周方向等間隔位置にホイールディスクを固定するためのハブボルト15を植え込んである。ハブ輪10のフランジ14よりもインボード側の外周面に、軸受20の複列の内周側軌道面のうちのアウトボード側の軌道面27を形成してある。ハブ輪10は軸心部に軸方向の貫通孔を有する中空状に形成されている。
【0022】
等速自在継手40は、ドライブシャフトからのトルクを内側継手部材42およびトルク伝達ボール43を介して外側継手部材41に伝達する。外側継手部材41の内周部には複数のトラック溝41aが形成されている。このトラック溝41aと内側継手部材42の外周部に設けた複数のトラック溝42aとの協働で複数のボールトラックが形成され、各ボールトラックにトルク伝達ボール43を配置することで等速自在継手40が構成される。各トルク伝達ボール43は、保持器44によって同一平面内に保持されている。
【0023】
外側継手部材41は、ステム部45とマウス部46とからなり、ステム部45にてハブ輪10の内周に嵌合している。マウス部46の肩面47寄りの外周面に、軸受20の複列の内周側軌道面のうちのインボード側の軌道面28を形成してある。マウス部46の肩面47がハブ輪10のインボード側の端面と当接し、これにより、ハブ輪10と外側継手部材41の軸方向の位置決めがなされ、かつ、軌道面27,28間の寸法が規定される。ステム部45は、椀状のマウス部46の底と連通した軸方向の貫通孔48を設けることによって中空にしてある。
【0024】
外側継手部材41のステム部45は、ハブ輪10に対して、拡径加締めにより締結される。この実施形態の拡径加締めは、事前にハブ輪10の内周面における一部、例えばアウトボード側の端部に凹凸部31を形成し、その凹凸部31を熱処理によって硬化させておき、このように内周面に凹凸部31が形成されたハブ輪10の内周に、外側継手部材41のステム部45を嵌合し、ステム部45を内径側から外径側に拡径させることにより、ステム部45の外周部をハブ輪10の凹凸部31に食い込ませて、ハブ輪10と外側継手部材41とを締結するものである。ハブ輪10の内周面における凹凸部31以外の部分は、ステム部45の円筒状外周面と密着嵌合する円筒状に形成されている。
【0025】
前記凹凸部31の凹凸形状は任意であり、例えばねじ形状やセレーション(スプラインを含む)形状、あるいは互いに平行な複数列の溝同士を交差させたアヤメローレット形状に形成される。これらの中でもアヤメローレットは加締め後のフレッティング(特に軸方向および円周方向のフレッティング)防止に特に有効である。
【0026】
軸受20は、ハブ輪10および外側継手部材41で構成される内方部材29と、外方部材21と、複列の転動体22とを含む。外方部材21は車体(図示せず)に取付けるためのフランジ23を備え、内周面に、前記ハブ輪10の内周側軌道面27および前記外側継手部材41の内周側軌道面28に対向する複列の外周側軌道面24を形成してある。そして、内周側軌道面27,28と複列の外周側軌道面24との間に、複列の転動体22が組み込まれている。ここでは転動体22としてボールを使用した複列のアンギュラ玉軸受の場合を図示してあるが、重量の嵩む自動車用の駆動車輪用軸受装置の場合には、転動体として円すいころを使用した複列円すいころ軸受を採用する場合もある。外方部材21の両端開口部にはシール25,26が装着され、軸受内部に充填したグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0027】
外方部材21の内周面におけるインボード側の転動体22とインボード側のシール26との間には、外側継手部材41の外径面に設けた環状のマーク50(1)をそれぞれ検出する第1のセンサ51(1A),51(1B)が設けられ、同じく外方部材21の内周面におけるアウトボード側の転動体22とアウトボード側のシール25との間には、ハブ輪10に設けた環状のマーク50(2)をそれぞれ検出する第2のセンサ51(2A),51(2B)が設けられている。
第1のセンサ51(1A)および第2のセンサ51(2A)は軸受装置の回転軸回り同一位相に配置されており、両センサの出力を比較手段52Aで比較することにより、等速自在継手40の外側継手部材41の回転軸方向(x方向)位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。これら第1のセンサ51(1A)、第2のセンサ51(2A)、および比較手段52Aで相対位置測定手段53Aを構成する。
同様に、第1のセンサ51(1B)および第2のセンサ51(2B)も軸受装置の回転軸回り同一位相に配置されており、両センサの出力を比較手段52Bで比較することにより、等速自在継手40の外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。これら第1のセンサ51(1B)、第2のセンサ51(2B)、および比較手段52Bで相対位置測定手段53Bを構成する。センサ51(1A),51(2A)とセンサ51(1B),51(2B)とは軸受装置の回転軸回りの異なる位相、例えば互いに180度の位相で設けられている。
【0028】
この実施形態の場合、各センサ51(1A,1B,2A,2B)は光学式センサであり、これに対向するマーク50(1,2)は、例えば図2に示すように、黒色部分50aと白色部分50bとに色分けされたターゲット面とされる。つまり、マーク50(1,2)は、周辺に対して光学的に差異を有するものとされている。センサ51(1A,1B,2A,2B)は、ターゲット面の黒色部分50aと白色部分50bとの境界部の位置を検出することで、外側継手部材41の回転軸方向位置またはハブ輪10の回転軸方向位置を検出する。
【0029】
前記比較手段52A,52Bは、それぞれ軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58に接続されている。これら各手段54,55,56,57,58の作用については後で説明する。
【0030】
上記構成の駆動車輪用軸受装置の作用を説明する。車両走行に伴い駆動車輪用軸受装置に荷重が加わると、主として回転側である内方部材29が変形する。この内方部材29の変形は、外側継手部材41とハブ輪10とで異なるし、また回転軸回りの周方向位置によっても異なる。そこで、回転軸回りの位相が異なる複数箇所で、外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置をそれぞれ個別に検出することにより、軸受装置内部の詳細な情報を得ることができる。
【0031】
具体的には、各センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)の出力をそれぞれs1A,s1B,s2A,s2Bとした場合、(s1A−s1B)+(s2A−s2B)と、外側継手部材41とハブ輪10との回転軸方向(x軸方向)の相対変位xとの関係は図3で示され、(s1A−s1B)−(s2A−s2B)と、外側継手部材41とハブ輪10とのy軸回りの歪θyとの関係は図4で示される。y軸は、x軸に直交する水平方向であって、この軸受装置が取付けられる車両の前後方向となる。ここで、(s1A−s1B)および(s2A−s2B)は、それぞれ外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置であって、比較手段52A,52Bにより求められるものである。図3および図4に示す関係に基づき、各センサの出力より、外側継手部材41とハブ輪10とのx軸方向の相対変位x、および外側継手部材41とハブ輪10とのy軸回りの歪θyが求められる。
【0032】
このようにして求められた値x,θyと下記の各項目との関係を実験やシミュレーションにて予め求めておけば、軸受に作用する作用力、等速自在継手40の外側継手部材41に発生する内部応力、およびハブ輪10に発生する内部応力を算出または推定することができる。軸受作用力測定手段54は、このように実験やシミュレーションより予め求めておいた関係から、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力より、軸受に作用する作用力を算出する。また、継手内部応力推定手段55、およびハブ輪内部応力推定手段56は、上記関係から、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力より、等速自在継手40の外側継手部材41に発生する内部応力、およびハブ輪10に発生する内部応力をそれぞれ推定する。
【0033】
また、締結状態推定手段57は、軸受作用力測定手段54の測定結果や、継手内部応力推定手段55およびハブ輪内部応力推定手段56の推定結果等から、設定規則に基づき総合的に判断して、ハブ輪10と外側継手部材41の締結状態を推定する。
【0034】
そして、センサ51(1A,1B,2A,2B)の出力、軸受作用力測定手段54の測定結果、および各推定手段55,56,57の推定結果が予め定めた所定の設定結果と比較して設定範囲外である場合は、警報出力手段58により警報を出力する。
【0035】
このように、この実施形態の駆動車輪用軸受装置は、センサ51(1A,1B,2A,2B)の検出結果に基づき、軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58により、車両姿勢制御に関わる軸受装置内部の詳細な情報を得られるため、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させることができるともに、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【0036】
また、センサ51(1A,1B,2A,2B)として光学式センサを採用しているため、変形の少ない外方部材21に取付けたセンサによる外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置の検出が可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0037】
図5は異なる実施形態を示す。この実施形態と前記実施形態(図1)と異なる点は、センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用し、これに対向するマーク50(1),50(2)を、図6ないし図9の(A)に示すように、外側継手部材41およびハブ輪10の外周面に形成された円周方向の溝状切欠きとしたことである。マーク50(1),50(2)の回転軸方向位置x1A,x1B,x2A,x2Bとセンサ出力s1A,s1B,s2A,s2Bとの関係は、図6ないし図9の(B)に示される。
【0038】
この実施形態の場合も、第1のセンサ51(1A),51(1B)の出力と、第2のセンサ51(2A),51(2B)の出力とを比較手段52A,52Bで比較して、外側継手部材41の回転軸方向位置とハブ輪10の回転軸方向位置との相対位置を測定する。そして、その測定結果に基づき、軸受作用力測定手段54、継手内部応力推定手段55、ハブ輪内部応力推定手段56、締結状態推定手段57、および警報出力手段58により、車両姿勢制御に関わる軸受装置内部の詳細な情報を得る。このため、上記同様、路面の状況変化等に対する車両姿勢制御システムの応答性を向上させることができるともに、軸受装置自体の異常の有無について診断することができて、常に正確で安全な車両姿勢制御を行える。
【0039】
センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用した場合も、光学式センサを採用した場合と同様に、変形の少ない外方部材21に取付けたセンサによる外側継手部材41およびハブ輪10の回転軸方向位置の検出が可能となり、検出精度を向上させることができる。
【0040】
図10および図11に示すように、センサ51(1A),51(1B),51(2A),51(2B)として磁気式センサを採用する場合、これに対向するターゲット面に設けられるマーク50(1),50(2)を、N極50aとS極50bとからなる着磁パターンとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図に制御系のブロック図を組み合わせて表示した図である。
【図2】センサおよびシールの拡大図である。
【図3】センサ出力と、外側継手部材とハブ輪とのx軸方向の相対変位との関係を示すグラフである。
【図4】センサ出力と、外側継手部材とハブ輪とのy軸回りの歪との関係を示すグラフである。
【図5】異なる実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図に制御系のブロック図を組み合わせて表示した図である。
【図6】(A)は図5における上側の第1のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図7】(A)は図5における上側の第2のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図8】(A)は図5における下側の第1のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図9】(A)は図5における下側の第2のセンサおよびマークの拡大図、(B)はセンサのx方向の位置とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図10】さらに異なる実施形態にかかる駆動車輪用軸受装置の断面図である。
【図11】図10のXI部の拡大図である。
【図12】従来の駆動車輪用軸受装置の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10…ハブ輪
20…軸受
21…外方部材
22…転動体
24…外周側軌道輪
25,26…シール
27,28…内周側軌道輪
29…内方部材
31…凹凸部
40…等速自在継手
41…外側継手部材
42…内側継手部材
43…トルク伝達ボール
44…保持器
45…ステム部
50(1),50(2)…マーク
51(1A),51(1B)…第1のセンサ
51(2A),51(2B)…第2のセンサ
52A,52B…比較手段
53A,53B…相対位置測定手段
54…軸受作用力測定手段
55…継手内部応力推定手段
56…ハブ輪内部応力推定手段
57…締結状態推定手段
58…警報出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、
前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
【請求項2】
請求項1において、前記相対位置測定手段は、前記外側継手部材の外径面に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第1のセンサと、前記ハブ輪に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第2のセンサと、これら第1および第2のセンサの出力を比較する手段とでなる駆動車輪用軸受装置。
【請求項3】
請求項2において、前記各マークは、周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものである駆動車輪用軸受装置。
【請求項4】
請求項2において、前記各センサは、磁気式センサまたは光学式センサである駆動車輪用軸受装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、軸受部の作用力を検出する作用力検出手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、等速自在継手の外側継手部材の内部応力を推定する継手内部応力推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪の内部応力を推定するハブ輪内部応力推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪と外側継手部材との拡径加締部の締結状態を推定する締結状態推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の測定値、または前記いずれかの推定手段の推定の結果を設定範囲と比較して設定範囲外である場合に警報を出力する警報出力手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項1】
ハブ輪と等速自在継手と軸受とをユニット化し、等速自在継手の外側継手部材のステム部の外周にハブ輪を嵌合させてこれら外側継手部材とハブ輪とで内方部材を構成し、軸受の複列の内周側軌道面のうち、一方の軌道面をハブ輪に形成し、他方の軌道面を外側継手部材に形成し、複列の外周側軌道面を有する外方部材を設け、対向する軌道面間に転動体を介在させ、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成されると共に、前記外側継手部材の中空ステム部とハブ輪の嵌合部を拡径させて、当該凹凸部に食い込ませて加締めることにより、前記外側継手部材とハブ輪とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、
前記外方部材に、等速自在継手の外側継手部材の回転軸方向位置とハブ輪の回転軸方向位置との相対位置を測定する相対位置測定手段を設けたことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
【請求項2】
請求項1において、前記相対位置測定手段は、前記外側継手部材の外径面に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第1のセンサと、前記ハブ輪に設けたマークに対向して外方部材に取付けられて対向するマークを検出する第2のセンサと、これら第1および第2のセンサの出力を比較する手段とでなる駆動車輪用軸受装置。
【請求項3】
請求項2において、前記各マークは、周辺に対して、磁気的、または光学的、または形状的に差異を有するものである駆動車輪用軸受装置。
【請求項4】
請求項2において、前記各センサは、磁気式センサまたは光学式センサである駆動車輪用軸受装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、軸受部の作用力を検出する作用力検出手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、等速自在継手の外側継手部材の内部応力を推定する継手内部応力推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪の内部応力を推定するハブ輪内部応力推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の出力から、ハブ輪と外側継手部材との拡径加締部の締結状態を推定する締結状態推定手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記相対位置測定手段の測定値、または前記いずれかの推定手段の推定の結果を設定範囲と比較して設定範囲外である場合に警報を出力する警報出力手段を設けた駆動車輪用軸受装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−205381(P2007−205381A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22178(P2006−22178)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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