説明

駐車場案内システム

【課題】エレベータなどの昇降設備が複数設置された複数階の立体駐車場において、どの昇降設備を利用すれば、昇降設備の降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができる駐車場案内システムを提供する。
【解決手段】車両の駐車位置と、エレベータの設置位置と、の位置関係に基づいて駐車位置に短い距離で戻ることができるエレベータの順位を決定し、その決定した順位に従ったエレベータの案内情報を携帯端末400に対して通知する。これにより、車両の搭乗者は、その携帯端末400に通知されたエレベータの案内情報を参照することで、どのエレベータを利用すれば、エレベータの降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載のように、大型立体駐車場において、ユーザの携帯する携帯装置によって駐車位置情報を取得することで、駐車位置を忘れてしまっても車両を見つけることが可能な駐車位置通知システムが提案されている。
【特許文献1】特開2007−80081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、大型立体駐車場では、各階に通ずるエレベータが複数台設置されていることが多く、その駐車場を初めて利用するユーザや利用回数の少ないユーザにとっては、駐車位置と異なる階からエレベータを利用して駐車位置へ戻る際、どのエレベータを利用すれば、エレベータを降りてから駐車位置へ速やかに戻れるか確認することができない。
【0004】
この問題に対し、上記特許文献1の駐車位置通知システムは、駐車位置情報を取得するものに過ぎないため、この問題を解決することができない。
【0005】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、エレベータなどの昇降設備が複数設置された複数階の駐車場において、どの昇降設備を利用すれば、昇降設備の降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができる駐車場案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、
車両の搭乗者が複数の昇降設備が設置された複数階の駐車場に車両を駐車した後、その複数の昇降設備の何れかの昇降設備を利用して車両を駐車した階へ移動する場合、搭乗者が携帯する携帯端末に対して、昇降設備の案内情報を通知する駐車場案内システムにおいて、
駐車場の各駐車区画における車両の駐車を検出する駐車検出装置と、
その駐車検出装置によって車両の駐車が検出された場合に、その駐車検出装置からの信号に基づいて、車両の駐車位置を決定する駐車位置決定手段と、
駐車位置決定手段の決定した駐車位置と、車両を駐車した階において利用可能な各昇降設備の設置位置と、の位置関係に基づいて、駐車位置に短い距離で戻ることができる各昇降設備の順位を決定する順位決定手段と、
順位決定手段の決定した順位に従った昇降設備の案内情報を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このように本発明では、順位決定手段によって、車両の駐車位置と、エレベータ、エスカレータや階段などの昇降設備の設置位置と、の位置関係に基づいて駐車位置に短い距離で戻ることができる昇降設備の順位を決定するものであるから、駐車位置へ速やかに戻ることが可能な昇降設備を把握することができる。そして、通知手段によって、順位決定手段の決定した順位に従った昇降設備の案内情報を車両の搭乗者が携帯する携帯端末に対して通知するので、搭乗者は、その携帯端末に通知された案内情報を参照することで、どの昇降設備を利用すれば、昇降設備の降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができるようになる。
【0008】
請求項2記載の駐車場案内システムによれば、通知手段は、
昇降設備の案内情報を文字情報として通知するものであり、
車両を駐車した階において利用可能な各昇降設備の文字情報を、順位決定手段の決定した順位に並べ替えて通知することを特徴とする。
【0009】
これにより、車両の搭乗者は、短い距離で駐車位置に戻ることができる昇降設備の順位を確認することができる。
【0010】
請求項3記載の駐車場案内システムによれば、通知手段は、昇降設備の案内情報として、駐車位置決定手段の決定した駐車位置の情報を含めて通知することを特徴とする。
【0011】
こうすれば、車両の搭乗者は、昇降設備の設置位置と駐車位置との位置関係を確認することが可能となる。
【0012】
請求項4記載の駐車場案内システムは、
駐車場の各階の場内地図を記憶する地図記憶手段を備え、
通知手段は、昇降設備の案内情報として、車両を駐車した階の場内地図上に、各昇降設備の設置位置と駐車位置とを示した駐車場地図を表示するための地図情報を加えて通知することを特徴とする。
【0013】
これにより、昇降設備の設置位置と駐車位置との位置関係を駐車場地図から確認することができるので、その駐車場地図に従って、昇降設備の降り口から駐車位置へ速やかに戻ることが可能となる。
【0014】
請求項5記載の駐車場案内システムでは、車両を駐車した階において利用可能な昇降設備の設置位置から駐車位置までの経路を設定する経路設定手段を備え、
通知手段は、昇降設備の案内情報として、車両を駐車した階の場内地図上に、経路設定手段の設定した経路を示した駐車場案内地図を表示するための地図情報を加えて通知することを特徴とする。
【0015】
搭乗者が車両を駐車してから他の階へ移動する場合と、他の階から駐車位置へ戻る場合とで異なる昇降設備を利用した場合、昇降設備の降り口から駐車位置への経路が分からなくなることがある。そこで、上記のように、場内地図上に経路を示した駐車場案内地図を表示するための地図情報を昇降設備の案内情報に加えて、搭乗者の携帯する携帯端末に通知する。これにより、車両の搭乗者は、駐車場案内地図から、昇降設備の降り口から駐車位置への経路を確認することができるため、駐車位置へ迷うことなく戻ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る駐車場案内システムは、図1に示すように、車載装置100、駐車場設備200、サーバー300、及び携帯端末400によって構成される。図2に示す車載装置100は、車両に搭載された装置であり、車載側情報入力装置110、車載側外部記憶装置120、車載側データ送受信装置130、位置検出器140、車載側制御装置150によって構成されている。
【0017】
車載側情報入力装置110は、例えば、車両の搭乗者が入力操作を行うためのリモコンセンサやタッチパネル、音声入力に用いられるマイクのほか、他機器からの送信情報を近距離無線通信により受信するBluetooth(登録商標)などが採用され、その入力された情報を車載側制御装置150に出力する。
【0018】
車載側外部記憶装置120は、道路地図を表示するための地図データを記憶するほか、車両登録番号(ナンバープレートに記載の番号。以下、ナンバー。)や車両の搭乗者の携帯する携帯端末400の電子メールアドレスを記憶している。外部記憶装置120は、車載側制御装置150からの指令信号に従って、ナンバーや電子メールアドレスを車載側制御装置150へ供給する。
【0019】
車載側データ送受信装置130は、駐車場設備200から送信されるデータ要求信号を受信し、その受信した信号を車載側制御装置150へ供給する。また、車載側制御装置150を介して車両側外部記憶装置120からナンバーと電子メールアドレスが供給された場合には、それを駐車場設備200へ送信する。この車載側データ送受信装置130と駐車場設備200との通信は、電子ナンバープレートの通信方式を採用するものであるが、DSRC(dedicated short range communications)、無線LAN(Local Area Network)、RFID(radio frequency identification)などの通信方式を採用したものであってもよい。
【0020】
位置検出器140は、人工衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ、車両の相対方位を検出するためのステアリングセンサ(何れも不図示)を有している。さらに、位置検出器10は、車両の走行速度から走行距離を検出するために車速センサ(不図示)を備えている。これらの検出信号は、車載側制御装置150へ供給する。
【0021】
車載側制御装置150は、何れも周知のCPU、ROM、RAM、およびI/Oポートなどを備えたマイクロコンピュータとして構成されるものである。この車載側制御装置150は、そのROMに記憶されたプログラムに従い所定の処理を実行する。例えば、駐車場設備200からデータ要求信号が供給されると、外部記憶装置120に記憶されているナンバーと電子メールアドレスを車載側データ送受信装置130から送信させる。
【0022】
図3に示す駐車場設備200は、複数階からなる大型の立体駐車場であり、その各階に通ずる昇降設備としてのエレベータが複数台設置されている。各エレベータには、各々固有のエレベータ番号が割り当てられており、サーバー300において、各エレベータの設置位置と対を成して管理されている。なお、以下の説明では、昇降設備としてエレベータの例を説明するものであるが、エスカレータや階段などの昇降設備であってもよい。
【0023】
図3に示す駐車場側データ送受信装置210〜240は駐車区画毎に設置される。この駐車場側データ送受信装置210〜240の各々には、駐車区画毎に固有の駐車位置データ(例えば、階数:5階、ブロック番号:Aブロック、駐車位置番号:300番)が登録されている。ここで、ブロックとは、立体駐車場内を複数のブロックに分割し、駐車区画がどのブロックに属するのかを示すものであり、駐車位置番号とは、全ての駐車区画に割り当てられた固有の番号である。また、駐車場側データ送受信装置210〜240の各々は、駐車検出装置、電子ナンバープレート読み取り装置、及びデータ送受信装置を備える。
【0024】
駐車検出装置は、駐車区画に車両が駐車したことを検出するものであり、車両の駐車を検出した場合には、その駐車場側データ送受信装置に対して予め登録された駐車位置データにより、階数、ブロック番号、駐車位置番号を決定する。そして、この決定した階数、ブロック番号、駐車位置番号を示す駐車位置データは、後述の受信データに追加され、LANを介してサーバー300に出力される。
【0025】
また、駐車検出装置は、ブロック毎にも設置され、ブロック単位で車両が駐車したことを検出することができる。そして、車両の駐車を検出した場合には、そのことを示す駐車位置データ(階数、ブロック番号のみ)がLANを介してサーバー300に出力される。なお、駐車検出には、赤外線方式や、ループ方式など、駐車場において車両検出に用いられている公知の種々の方式のセンサを用いることができる。
【0026】
電子ナンバープレート読み取り装置は、車載装置100の外部記憶装置120に記憶されているナンバーや電子メールアドレスを読み取る。データ送受信装置は、電子ナンバープレート読み取り装置と対を成す駐車検出装置によって車両の駐車が検出されると、ナンバーと電子メールアドレスの送信を要求するデータ要求信号を車載装置100へ出力する。また、車載装置100から送信されるナンバーと電子メールアドレスを受信し、この受信したナンバーと電子メールアドレスを示す受信データに上述した駐車位置データを加えてLANを介してサーバー300へ出力する。
【0027】
図4に示すサーバー300は、駐車場設備200を管理する管理サーバーであり、データ取得部310、エレベータ番号取得部320、距離DB330、駐車位置地図合成部340、駐車場地図DB350、案内図作成部360、メール文章作成部370、メール送受信部380、及びサーバー制御装置390で構成される。
【0028】
データ取得部310は、駐車場設備200から、駐車位置データの追加された受信データを取得する。エレベータ番号取得部320は、距離DB330の記憶する各駐車位置と各エレベータの設置位置との位置関係から割り出された各エレベータの順位とその距離を示すテーブル(図6)を参照して、駐車位置に短い距離で戻ることができるエレベータの順位と各々の距離を決定する。
【0029】
図6に示すテーブルにおいては、エレベータ毎に割り当てられたエレベータ番号は、駐車位置番号毎に、左から駐車位置に近い順に配置されており、また、各エレベータから駐車位置までの距離のデータが付されている。エレベータ番号取得部320は、駐車位置番号から、エレベータ番号とその順位及び各々のエレベータから駐車位置までの距離を示すエレベータ情報を取得することができる。
【0030】
例えば、図6に示すように、エレベータ番号1〜10の計10台のエレベータが3つのエレベータホール(No.1〜3、No.4〜7、No.8〜10)毎に分かれて設置されている場合、駐車位置番号(No.2)の駐車区画に車両を駐車した場合には、エレベータ番号取得部320は、エレベータ番号(No.1〜3)を第1位(距離b1[m])、エレベータ番号(No.4〜7)を第2位(距離b2[m])、エレベータ番号(No.8〜10)を第3位(距離b3[m])といった具合に各エレベータの順位を決定することで、エレベータ番号とその順位及び各々のエレベータから駐車位置までの距離を示すエレベータ情報を取得する。
【0031】
また、距離DB330では、図7に示すように、各ブロックと各エレベータの設置位置との位置関係から割り出された各エレベータの順位とその距離を示すテーブルについても記憶しており、駐車区画毎に設置された駐車検出装置が故障などにより車両の駐車を検出できず、ブロック毎に設置された駐車検出装置のみによって車両の駐車を検出した場合には、この図7に示すテーブルから、受信データに含まれるブロック番号に対応するエレベータ番号のうち、短い距離で駐車位置に戻ることができるエレベータの順位及び各々のエレベータから駐車位置までの距離を把握する。
【0032】
駐車位置地図合成部340は、駐車場地図DB350から車両を駐車した階の場内地図の地図情報を読み込み、その場内地図上に、その駐車した階の各エレベータの設置位置と駐車位置とを合成した駐車場地図を作成する。そして、サーバー300では、エレベータ情報と駐車場地図の地図情報を加えたエレベータの案内情報の電子メールを携帯端末400へ通知することで、搭乗者は、各エレベータの設置位置と駐車位置との位置関係を駐車場地図から確認することができる。よって、その駐車場地図に従って、エレベータの降り口から駐車位置へ速やかに戻ることが可能となる。
【0033】
駐車場地図DB350は、駐車場設備200の各階の場内地図を記憶するものであり、場内地図の描画データのほか、各駐車区画の位置及びそれと対を成す駐車位置番号、ブロック番号、各エレベータの設置位置及びそれと対を成すエレベータ番号、及び歩行者通路データを記憶する。ここで、歩行者通路データを構成するリンクデータ、ノードデータを説明する。
【0034】
リンクデータとは、図10に示すように、場内地図上の歩行者通路を、交差・分岐・合流する地点を複数のノードNODEにて分割し、それぞれのノード間をリンクLINKとして規定するものであり、リンクLINKを接続することにより歩行者通路が構成される。リンクデータは、リンクLINKを特定する固有番号(リンクID)、リンクLINKの長さを示すリンク長、リンクLINKの始端及び終端ノード座標(例えば、緯経度等)等の各データから構成される。
【0035】
また、ノードデータは、場内地図上の歩行者通路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノードNODEに接続する全てのリンクLINKのリンクIDが記述される接続リンクID等の各データから構成される。なお、エレベータホールEVHのノードには、そのエレベータホールに設置されるエレベータ番号のデータ(No.8〜10等)が含まれる。
【0036】
案内図作成部360は、図8の駐車場地図の一部を拡大表示し、その駐車場地図上に、搭乗者の選択したエレベータから駐車位置への経路を合成した駐車場案内地図を作成する(図9参照)。これは、図8に示すエレベータの案内情報の文字情報として表示される利用可能エレベータ(No.4〜7、No.8〜10、No.1〜3)のなかからその1つを搭乗者が選択した場合、その選択したエレベータ番号を含む経路要求データの電子メールを携帯端末400から受信することで実行される。なお、経路設定は制御装置390にて実行される。
【0037】
この作成した駐車場案内地図の地図情報が加えられたエレベータの案内情報の電子メールを携帯端末400へ通知することで、車両の搭乗者は、駐車場案内地図から、エレベータの降り口から駐車位置への経路を確認することができる。従って、搭乗者が車両を駐車してから他の階へ移動する場合と、他の階から駐車位置へ戻る場合とで異なるエレベータを利用した場合、エレベータの降り口から駐車位置への経路が分からなくなったとしても、この経路を確認しながら駐車位置へ迷うことなく戻ることが可能となる。
【0038】
メール文章作成部370は、データ取得部310の取得した駐車位置データと、エレベータ番号取得部320によるエレベータ情報とを参照して、図8に示すエレベータの案内情報の文字情報(車両の駐車位置(5階○○付近など)、利用可能エレベータのエレベータ番号)を作成する。ここで、駐車位置については、駐車位置番号、ブロック番号、あるいは、これらを組み合わせたものとしたりするとよい。また、利用可能エレベータについては、駐車位置に近い順序で上から並ぶように作成する。これにより、車両の搭乗者は、短い距離で駐車位置に戻ることができるエレベータの順位を確認することができる。
【0039】
メール送受信部380は、エレベータの案内情報の電子メールを、データ取得部310の取得した電子メールアドレスの携帯端末400へ送信する。また、このエレベータの案内情報の送信後、エレベータ番号を含む経路要求データの電子メールを受信した場合には、駐車場案内地図の地図情報を含むエレベータの案内情報の電子メールを携帯端末400へ送信する。
【0040】
サーバー制御装置390は、何れも周知のCPU、ROM、RAM、およびI/Oポートなどを備えたサーバーである。このサーバー制御装置390は、そのROMに記憶されたプログラムに従い、上述した経路設定処理などの所定の処理を実行する。
【0041】
図5に示す携帯端末400は、車両の搭乗者が携帯する携帯電話などの携帯端末であり、端末側情報入力装置410、端末側外部記憶装置420、端末側メール送受信部430、端末側表示装置440、及び端末側制御装置450で構成される。
【0042】
端末側情報入力装置410は、例えば、タッチパネル、入力キー、音声入力に用いられるマイクのほか、他機器からの送信情報を近距離無線通信により受信するBluetooth(登録商標)などが採用され、その入力された情報を端末側制御装置450に出力する。端末側外部記憶装置420は、各種のデータを記憶する記憶装置である。端末側メール送受信部430は、サーバー300との電子メールの送受信を行う。表示装置440は、例えば、液晶パネルで構成される表示画面を備える装置であり、サーバー300から受信したエレベータの案内情報を表示する。
【0043】
端末側制御装置450は、何れも周知のCPU、ROM、RAM、およびI/Oポートなどを備えたマイクロコンピュータとして構成されるものである。この端末側制御装置450は、そのROMに記憶されたプログラムに従い所定の処理を実行する。例えば、サーバー300からのエレベータの案内情報の電子メールを受けて、表示装置440にその案内情報を表示する。
【0044】
また、エレベータの案内情報の文字情報として表示された利用可能エレベータのなかから、その1つを搭乗者が選択した場合、その選択したエレベータ番号を含む経路要求データの電子メールをサーバー300に送信する。また、この送信後にサーバー300から駐車場案内地図の地図情報が加えられたエレベータの案内情報の電子メールを受信した場合には、その駐車場案内地図を表示装置440へ表示する。
【0045】
次に、このように構成された駐車場案内システムの動作について、図11〜図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。図11に車載装置100の動作を示す。立体駐車場の駐車区画に車両が駐車すると、図11のステップS10では、駐車場からのデータ要求信号を受信するため、待機状態とする。
【0046】
ステップS20では、駐車場側データ送受信装置から、前記データ要求信号を受信したかどうかを判定する。このステップS20にて肯定判定した(データ要求信号を受信した)場合にはステップS30に処理を進め、否定判定した(データ要求信号を受信していない)場合にはステップS10に処理を移行し、データ要求信号を受信するための待機状態を継続する。ステップS30では、駐車場側データ送受信装置に対してナンバーと電子メールアドレスのデータを送信する。
【0047】
続いて、図12を参照しながら駐車場設備200の動作を説明する。図12のステップS110では、車載装置100を搭載した車両が駐車場側データ送受信装置の付近に駐車するまで待機状態を維持する。ステップS120では、駐車区画に車両が駐車したことを検出したかどうかを判定する。このステップS120にて肯定判定した場合にはステップS130へ処理を進め、否定判定した場合にはステップS110へ処理を戻す。ステップS130では、車載装置100に対してデータ要求信号を送信する。
【0048】
ステップS140では、車載装置100からのデータを受信するため、待機状態を維持する。ステップS150では、車載装置100からナンバーと電子メールアドレスのデータを受信したかどうかを判定する。このステップS150にて肯定判定した(データを受信した)場合にはステップS160へ処理を進め、否定判定した(データを受信していない)場合にはステップS140へ処理を移行して、待機状態を維持する。ステップS160では、車両の駐車を検出した駐車検出装置の駐車場側データ送受信装置に登録済の駐車位置データを、受信した受信データに加える。ステップS170では、ステップS160にて駐車位置データを追加した受信データをサーバー300へ送信する。
【0049】
図13のフローチャートは、サーバー300における、駐車場地図の地図情報を含むエレベータの案内情報を送信するための処理の動作を示している。図13のステップS210では、駐車場設備200の駐車場側データ送受信装置からの受信データを取得するため、待機状態を維持する。ステップS220では、受信データを取得したかどうかを判定する。このステップS220にて肯定判定した場合にはステップS230へ処理を進め、否定判定した場合にはステップS210に処理を移行し、待機状態を維持する。
【0050】
ステップS230では、受信データに含まれる駐車位置データを取得する。ステップS240では、ステップS230にて取得した駐車位置データ及び距離DB330を元に、駐車位置に短い距離で戻ることができるエレベータのエレベータ番号とその順位を示すエレベータ情報を決定し、その決定したエレベータ情報を取得する。
【0051】
ステップS250では、車両を駐車した階の場内地図上に、その駐車した階の各エレベータの設置位置と駐車位置とを合成した駐車場地図を作成する。ステップS260では、エレベータの案内情報の文字情報(文章)を作成し、この作成した文字情報と駐車場地図の地図情報からなるエレベータの案内情報を最終的に作成する。ステップS270では、ステップS260にて作成したエレベータの案内情報を携帯端末400へ送信する。
【0052】
図14のフローチャートは、サーバー300における、駐車場案内地図の地図情報を含むエレベータの案内情報を送信するための処理の動作を示している。この処理は、上述した図13の処理の実行後、携帯端末400から経路要求データの電子メールが送信された場合に実行するものである。先ず、図14のステップS310では、携帯端末400からの経路要求データの電子メールを取得するため、待機状態を維持する。ステップS320では、経路要求データの電子メールを取得したかどうかを判定する。このステップS320にて肯定判定した場合にはステップS330へ処理を進め、否定判定した場合にはステップS310に処理を移行し、待機状態を維持する。
【0053】
ステップS330では、経路要求データに含まれるエレベータ番号を取得する。ステップS340では、ステップS330にて取得したエレベータ番号のエレベータから駐車位置までの経路を設定し、駐車場地図の一部を拡大表示し、その駐車場地図上に、搭乗者の選択したエレベータの設置位置、駐車位置、及びその設置位置から駐車位置への経路を合成した駐車場案内地図を作成する。ステップS350では、エレベータの案内情報の文字情報(文章)を作成し、この文字情報と駐車場案内地図からなるエレベータの案内情報を最終的に作成する。ステップS360では、ステップS350にて作成したエレベータの案内情報を携帯端末400へ送信する。
【0054】
このように、本実施形態の駐車場案内システムは、車両の駐車位置と、エレベータの設置位置と、の位置関係に基づいて駐車位置に短い距離で戻ることができるエレベータの順位を決定するものであるから、駐車位置へ速やかに戻ることが可能なエレベータを把握することができる。そして、その決定した順位に従ったエレベータの案内情報を携帯端末400に対して通知するので、搭乗者は、その携帯端末400に通知されたエレベータの案内情報を参照することで、どのエレベータを利用すれば、エレベータの降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができるようになる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0056】
例えば、本実施形態の車載装置100は、電子ナンバープレートの通信方式を採用した車載側データ送受信装置130を備えるものであるが、この車載側データ送受信装置130を備えていない車両の場合には、以下の説明のようにするとよい。先ず、駐車場設備200の駐車場側データ送受信装置210〜240の各々には、駐車区画に駐車した車両のナンバーを読み取るナンバープレート番号読み取り装置を備えておく。また、車両を駐車するまでに、ナンバーと携帯電話400の電子メールアドレスをサーバー300に事前登録しておく。そして、車両が駐車区画に駐車した場合には、その車両のナンバーをナンバープレート番号読み取り装置が読み取り、その読み取ったナンバーと駐車場側データ送受信装置に予め登録された駐車位置データをサーバー300に送信する。サーバー300は、このナンバーに対応する電子メールアドレスを検索し、ナンバーに対応する電子メールアドレスが検索された場合には、エレベータの案内情報を携帯端末400に対して電子メールで送信する。このようにすることで、車載側データ送受信装置130を備えていない車両の場合であっても、エレベータの降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができる。
【0057】
また、上記のように、サーバー300に対してナンバーと携帯電話400の電子メールアドレスを事前登録していない場合には、以下の説明のように、駐車後に登録すると、その登録直後にエレベータの案内情報を通知するようにしてもよい。先ず、車両が駐車区画に駐車した場合、駐車場設備200では、その車両のナンバーをナンバープレート番号読み取り装置が読み取り、その読み取ったナンバーと駐車場側データ送受信装置に予め登録された駐車位置データをサーバー300に送信する。次に、車両の搭乗者は、車両を駐車させた後、携帯端末400からサーバー300にアクセスして、携帯端末400の電子メールアドレスとナンバーを登録する。このサーバー300のアクセス先は、例えば、駐車場のビラなどに印刷されたQRコードなどから取得すればよい。そして、サーバー300では、駐車場設備200から送信されたナンバーが登録されているかどうか検索し、そのナンバーが登録されている場合には、ナンバーとともに登録された電子メールアドレスの携帯端末400に対して、エレベータの案内情報を電子メールで送信する。このようにすることで、ナンバーと携帯電話400の電子メールアドレスを事前登録していない場合であっても、エレベータの降り口から駐車位置へ速やかに戻れるかを確認することができる。
【0058】
また、例えば、エレベータが故障していたり、点検中であったり、あるいは、停止階の限定されたエレベータを利用したりする場合には、エレベータの乗り継ぎを必要とする場合もある。従って、サーバー300にて、エレベータの故障、点検、停止階の状況を把握し、これらの状況を踏まえて、エレベータの乗り継ぎを考慮したエレベータの案内情報を作成するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、距離の短い順にエレベータ番号を並べて表示するものであるが、距離のほか、所要時間の短い順にエレベータ番号を並べて表示するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態における駐車場案内システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】車載装置100の構成を示したブロック図である。
【図3】駐車場設備200の各階の各駐車区画に設置される駐車場側データ送受信装置210〜240を示す図である。
【図4】サーバー300の構成を示したブロック図である。
【図5】携帯端末400の構成を示したブロック図である。
【図6】各駐車区画に対応した駐車位置番号とその駐車位置の階における各エレベータの設置位置との距離を示したテーブルの図である。
【図7】ブロック番号とその駐車位置の階における各エレベータの設置位置との距離のテーブルの図である。
【図8】駐車場地図を表示するための地図情報が加えられたエレベータの案内情報を示した図である。
【図9】駐車場案内地図を表示するための地図情報が加えられたエレベータの案内情報を示した図である。
【図10】ノードNODEとリンクLINKで構成される歩行者通路を示した図である。
【図11】車載装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】駐車場設備200の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】サーバー300における、駐車場地図の地図情報を含むエレベータの案内情報を送信するための処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】サーバー300における、駐車場案内地図の地図情報を含むエレベータの案内情報を送信するための処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100:車載装置、110:車載側情報入力装置、120:車載側外部記憶装置、130:車載側データ送受信装置、140:位置検出器、150:車載側制御装置、200:駐車場設備、210〜240:駐車場側データ送受信装置、300:サーバー、310:データ取得部、320:エレベータ番号取得部、330:距離DB、340:駐車位置地図合成部、350:駐車場地図DB、360:案内図作成部、370:メール文章作成部、380:メール送受信部、390:サーバー制御装置、400:携帯端末、410:端末側情報入力装置、420:端末側外部記憶装置、430:端末側メール送受信部、440:端末側表示装置、450:端末側制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の搭乗者が複数の昇降設備が設置された複数階の駐車場に車両を駐車した後、前記複数の昇降設備の何れかの昇降設備を利用して前記車両を駐車した階へ移動する場合、前記搭乗者が携帯する携帯端末に対して、昇降設備の案内情報を通知する駐車場案内システムにおいて、
駐車場の各駐車区画における車両の駐車を検出する駐車検出装置と、
その駐車検出装置によって車両の駐車が検出された場合に、その駐車検出装置からの信号に基づいて、車両の駐車位置を決定する駐車位置決定手段と、
前記駐車位置決定手段の決定した駐車位置と、前記車両を駐車した階において利用可能な各昇降設備の設置位置と、の位置関係に基づいて、前記駐車位置に短い距離で戻ることができる各昇降設備の順位を決定する順位決定手段と、
前記順位決定手段の決定した順位に従った昇降設備の案内情報を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする駐車場案内システム。
【請求項2】
前記通知手段は、
前記昇降設備の案内情報を文字情報として通知するものであり、
前記車両を駐車した階において利用可能な各昇降設備の文字情報を、前記順位決定手段の決定した順位に並べ替えて通知することを特徴とする請求項1記載の駐車場案内システム。
【請求項3】
前記通知手段は、前記昇降設備の案内情報として、前記駐車位置決定手段の決定した駐車位置の情報を含めて通知することを特徴とする請求項1又は2記載の駐車場案内システム。
【請求項4】
前記駐車場の各階の場内地図を記憶する地図記憶手段を備え、
前記通知手段は、前記昇降設備の案内情報として、前記車両を駐車した階の場内地図上に、前記各昇降設備の設置位置と前記駐車位置とを示した駐車場地図を表示するための地図情報を加えて通知することを特徴とする請求項3記載の駐車場案内システム。
【請求項5】
前記車両を駐車した階において利用可能な昇降設備の設置位置から前記駐車位置までの経路を設定する経路設定手段を備え、
前記通知手段は、前記昇降設備の案内情報として、前記車両を駐車した階の場内地図上に、前記経路設定手段の設定した経路を示した駐車場案内地図を表示するための地図情報を加えて通知することを特徴とする請求項4記載の駐車場案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−116746(P2009−116746A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291143(P2007−291143)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】