説明

5’−修飾ヌクレオシド誘導体及びその医薬用途

本発明は、ナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体2活性阻害作用を有し、痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症等の血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防または治療に有用な、一般式


(Aは6−アミノプリン−9−イル基等、RはH又はOH;Xは−OCH−、−C(=O)OCH−等;Yはアルキレン基等;Zはアルキレン基等;Arは置換可アリール環から派生する2価の基等;Arは置換可アリール基等)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体、その薬理学的に許容される塩及びそれらのプロドラッグを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、医薬品として有用な5’−修飾ヌクレオシド誘導体に関するものである。
更に詳しく述べれば、本発明は、ナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体2(以下CNT2という)阻害活性を有し、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬として有用な、5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグに関するものである。
【背景技術】
尿酸はヒトにおけるプリン体の最終産物であり、性、年齢を問わず、血漿中の尿酸溶解濃度が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものを臨床的に高尿酸血症と定義している。高尿酸血症は成人の男性に多く、プリン体代謝に関与する遺伝的要因と高エネルギー食、高核酸食の摂取といった二次的要因との複合の結果生じると考えられている。高尿酸血症の状態が持続すると関節内または関節周囲に尿酸塩の結晶が沈着して関節炎を発症するリスクが高くなる。このような関節炎を発症した症状を痛風といい、関節炎を痛風発作という。高尿酸血症の病型は、尿酸の産生量が増加する尿酸産生過剰型、尿中の尿酸排泄量が低下する尿酸排泄低下型および両者が混在した混合型に大別される。(例えば、下記文献1及び2参照)。
高尿酸血症や痛風の予防または治療においては血漿尿酸値を一定水準以下にコントロールして痛風関節炎の発症を防止することが基本であり、この痛風関節炎の発症は、血漿尿酸値を4.6〜6.6mg/dLにコントロールしたときが最も発症率が低いとされている。従来、高尿酸血症や痛風の治療には、尿酸合成阻害薬のアロプリノールまたは尿酸排泄促進薬のプロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロンなどを用いた血漿尿酸レベルの改善が行われている。また、痛風発作時の治療においては、コルヒチンなどの鎮痛発作治療薬、インドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジンなどの非ステロイド性抗炎症薬およびステロイドが用いられている。(例えば、下記文献1参照)
尿酸合成阻害薬であるアロプリノールは、中毒症候群(過敏性血管炎)、スティーブンス・ジョンソン症候群、剥離性皮膚炎、再生不良性貧血、肝機能障害などの副作用がある。また、尿酸排泄促進薬は腎不全患者には使えないという制約があり、さらに、プロベネシド、ブコロームやベンズブロマロンは、胃腸障害や尿路結石などの副作用を発現し、特に、ベンズブロマロンは、特異体質患者の場合、劇症肝炎を起こすこともある。(例えば、下記文献1参照)
このような従来の治療薬の問題点を解決できるような副作用の少ない新しい予防治療薬、特に、治療方法の選択枠を広げるという意味から、従来の治療薬とはメカニズムの異なった新しい予防治療薬が望まれている。
高尿酸血症は、過食、高プリン・高脂肪・高タンパク食嗜好、常習飲酒、運動不足などの生活習慣によって引き起こされ、また、肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常などとも深く関係することから、生活習慣の是正を目的とした非薬物療法としての生活指導の役割は大きい。その中においてもプリン体の過剰摂取制限を行う食事療法は重要な位置を占めているが、この食事療法および生活習慣の改善は持続することが困難で、成功しないことも多い。
従来の尿酸合成阻害薬または尿酸排泄促進薬とは作用が異なり、食事療法の一環としてまたは食事療法に代えて用いられるものとして、プリン体消化吸収調節薬が提案されている(例えば、下記文献3参照)。下記文献3記載の発明は、キトサンを含む、ヒトに対するプリン体消化吸収調節剤であるが、投与量が2〜2000mg/kg/日と比較的高用量であり、さらに、飲料または食品の形態で投与するとされているように、食事療法の補助的な使用を主とするものである。また、この下記文献3の他に、キトサンまたは食物繊維を活性成分とする高尿酸血症改善剤及び改善用食品も開発されている(例えば、下記文献4参照)。この下記文献3または4記載のキトサンまたは食物繊維の作用は明確ではないが、高分子であるキトサンまたは食物繊維にプリン体が結合または吸着されることにより、プリン体の吸収が抑制され、尿酸の産生が低下するものと推測される。
ヒトにおける核酸代謝系路については、腸管内において、摂取した核酸および核タンパク質から核酸が放出され、この核酸が、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼおよびポリヌクレオチダーゼによってモノヌクレオチドへと分解される。さらに、モノヌクレオチドがヌクレオチダーゼおよびホスファターゼによってヌクレオシドに分解され、このヌクレオシドが吸収されて尿酸に変わるという経路が主経路と考えられている(例えば、下記文献5参照)。この経路以外に、ヌクレオシドがさらに分解されてプリン塩基を生成した後に吸収される経路、あるいは食物に含まれるプリン塩基が直接吸収される経路なども考えられるが、これらの経路については未だ詳細な解明がなされておらず、不明確である。
腸管内でのヌクレオシドの取り込みにはヌクレオシド輸送担体と呼ばれる膜タンパク質が関与している。哺乳類の細胞には、この輸送担体としては、ヌクレオシドの濃度差によって取り込む平衡化(Equilibrative)輸送体(以下ENTという)および細胞内外のイオン濃度差を利用するナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体(以下CNTという)が存在している(例えば、下記文献6参照)。ヒトのヌクレオシド輸送担体について、これまで、ENTについては、タイプ1(以下ENT1という)およびタイプ2(以下ENT2という)の2つのタイプが同定され、クローニングされている(例えば、下記文献7及び8参照)。また、CNTについては、タイプ1(以下CNT1という)、タイプ2(上記CNT2)およびタイプ3(以下CNT3という)の3タイプが同定、クローニングされている(例えば、下記文献9〜11参照)。
これらの輸送担体の分布および特性についてもある程度確認されている。ENTは、ENT1、ENT2共にヒト正常組織において広く発現しており、プリン、ピリミジンヌクレオシド両方を輸送する。機能的には、ニトロベンジルチオイノシン(nitrobenzylthioinosine、以下、NBMPRという)による阻害に対する感受性が異なっており、ENT1は低濃度のNBMPR(IC50<5nM)でも顕著に阻害され、ENT2はNBMPRによって阻害されにくく、高濃度のNBMPR(IC50>1μM)によってのみ阻害される。(例えば、下記文献12参照)
一方、CNTに関しては、CNT1はピリミジンヌクレオシドとアデノシンを取り込み、ラットにおいて、空腸、腎臓においてメッセンジャーRNA(以下m−RNAという)の発現が認められている。CNT2はプリンヌクレオシドとウリジンを取り込み、ヒトにおいて、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓、腸などを含む臓器に多種類のm−RNAの発現が認められている。CNT3は最近クローニングされているが、プリン、ピリミジンヌクレオシド両方を取り込み、ヒトにおいて、骨髄、膵臓、腸、乳腺にm−RNAの発現が確認できている。また、機能的には、全てのCNTはNBMPRによって影響を受けないことが確認されている。(例えば、下記文献11及び13参照)
また、これまでの腸管における輸送メカニズムの研究において、CNTを介して粘膜(mucosal)側からヌクレオシドが取り込まれ、ENTを介して漿膜(serosal)側からヌクレオシドが吸収されていることが示されている(例えば、下記文献14参照)。しかしながら、ヒトの腸管、特に小腸におけるヌクレオシド吸収における輸送担体の関与については詳細に解明されていない。
一方、下記文献3および4において、プリン体の吸収を抑制することにより血漿尿酸値が低下することが示されており、また、その外にも、ヒトにおいて、食物由来のプリン体の摂取制限を行うことにより血漿尿酸値が低下することも確認されており、腸管から吸収されたプリンヌクレオシドから生成した尿酸は血漿尿酸濃度に反映されている(例えば、下記文献15参照)。従って、腸管からのプリンヌクレオシド吸収を効果的に抑制することにより血漿中の尿酸値を調整することができる。
これまで、ヌクレオシド輸送担体の阻害薬としては、ジピリダモールの他、いくつかの化合物が報告されている(例えば、下記文献16〜18参照)。これらの阻害薬はいずれもENT阻害薬であり、主として、心臓保護、疼痛治療、抗腫瘍薬の作用強化薬などとして用いられている。一方、CNT阻害薬についてはこれまでこのような報告は全くされていない。更に、CNT2阻害活性を有する化合物が腸管におけるプリンヌクレオシド吸収を効果的に抑制でき、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防または治療薬として有用であることは全く報告も示唆もされていない。
文献1:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン作成委員会編集,「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」,日本痛風・核酸代謝学会発行,2002年9月1日,p.1−9
文献2:谷口敦夫、外1名,「診断と治療」,2002年,第90巻,第2号,p.186−191
文献3:特開2001−163788号公報
文献4:特許第2632577号公報
文献5:「ハーパー・生化学 原書25版」,上代淑人外訳,丸善株式会社発行,2001年1月30日,p.417
文献6:Carol E.Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.318−321
文献7:Mark Griffiths、外10名,「ネイチャー メディスン(NATURE MEDICINE)」,1997年1月,第3巻,第1号,p.89−93
文献8:Charles R.Crawford、外3名,「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,1998年,第273巻,第9号,p.5288−5293
文献9:Mabel W.L.Ritzel、外5名,「アメリカン ジャーナル オブ フィジオロジー(American Journal of Physiology)」,1997年,第272巻,セルフィジオロジー(Cell Physiology),第41巻,p.C707−C714
文献10:Juan Wang、外5名,「アメリカン ジャーナル オブ フィジオロジー(American Journal of Physiology)」,1997年,第273巻,リーナルフィジオロジー(Renal Physiology),第42巻,p.F1058−F1065
文献11:Mabel W.L.Ritzel、外14名,「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,2001年,第276巻,第4号,p.2914−2927
文献12:Carol E.Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.316−318
文献13:Carol E.Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.327−332
文献14:James D.Young、外4名,「ガストロインテスティナル トランスポート モレキュラー フィジオロジー(Gastrointestinal transport,molecular physiology)」、2001年、p.334−337
文献15:N.Zollner,「プロシーディング オブ ザ ニュートリション ソサイアティー(proceedings of the Nutrition Society)」,1982年,第41巻,p.329−342
文献16:特開平6−247942号公報
文献17:特表2002−504134号公報
文献18:特表2001−517226号公報
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒト組織におけるCNT1及びCNT2の発現パターンを示すグラフである。縦軸は、1ngcDNA当たりの分子数(分子数/ngcDNA)を表す。横軸は、組織名を表す。尚、左側の棒グラフがCNT1を示し、右側の棒グラフがCNT2を示す。
第2図は、ヒト胃及び腸におけるCNT1〜3の発現パターンを示すグラフである。縦軸は、1ng全RNA当たりの分子数(分子数/ng全RNA)を表す。横軸は、部位名を表す。尚、左側の棒グラフがCNT1を示し、中央の棒グラフがCNT2を示し、右側の棒グラフがCNT3を示す。
く別の作用を有する、新規な血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防または治療薬を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく、ヒトの腸管におけるヌクレオシド吸収について鋭意研究を行った結果、ヒトの腸管、特に上部小腸においては、CNT2が最も多く分布していることを見出し、またある種の5’−修飾ヌクレオシド誘導体がCNT2阻害活性を有していることを見出した。以上の如く、CNT2はプリンヌクレオシドの吸収に深く関与しており、CNT2を阻害することより血漿中の尿酸値を低下させることができることから、CNT2阻害活性を有する下記の5’−修飾ヌクレオシド誘導体が、従来の治療薬とは全く異なるメカニズムによる、新規な血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防または治療薬となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、
[1] 下記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ:

式中、
Aは、下記式から選択される基であり;

Rは、水素原子又は水酸基であり;
Xは、−OCH−、−C(=O)OCH−、−OC(=O)OCH−、−NHC(=O)OCH−、−OC(=O)−又は−NHCO−であり;
Yは、−C2−4アルキレン−L−C2−4アルキレン−(式中のLは酸素原子、硫黄原子又は−NH−である)、C1−8アルキレン基、C2−8アルケニレン基又は単結合であり;
Zは、−C2−4アルキレン−L−C2−4アルキレン−(式中のLは酸素原子、硫黄原子又は−NH−である)、C1−8アルキレン基、C2−8アルケニレン基、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は単結合であり;
Arは、下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール環から派生する2価の基、下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル環から派生する2価の基、又は下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロアリール環から選択される環から派生する2価の基であり;
Arは、下記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、又は下記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロアリール基である;
〔置換基群α〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、C1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、C1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、カルボキシ基、C2−9アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、ウレイド基、ハロ(C1−8アルキル)基、ハロ(C1−8アルコキシ)基、ヒドロキシ(C1−8アルキル)基、ヒドロキシ(C1−8アルコキシ)基、アミノ(C1−8アルキル)基、アミノ(C1−8アルコキシ)基、カルバモイル(C1−8アルキル)基、カルバモイル(C1−8アルコキシ)基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、C2−9アシルアミノ基、アミノ(C2−9アシルアミノ)基、C6−10アリールオキシ基、C6−10アリールチオ基、C6−10アリールスルフィニル基、C6−10アリールスルホニル基、カルボキシ(C1−8アルキル)基、カルボキシ(C1−8アルコキシ)基、C2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルキル)基及びC2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルコキシ)基
〔置換基群β〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基及びスルフィナモイル基
〔置換基群γ〕
下記置換基群δから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよく、或いは下記置換基群εから選択される基を1個有していてもよい下記置換基群:
1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、C1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、C2−9アルコキシカルボニル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイルオキシ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、C1−8アルキルスルフィニルアミノ基、C1−8アルキルスルホニルアミノ基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、C2−9アシル基、C2−9アシルオキシ基、C2−9アシルアミノ基、C3−8シクロアルキル基、C2−7環状アミノ基、C4−5環状アミノ−C(=O)−、C6−10アリール基、C6−10アリールオキシ基、C6−10アリールチオ基、C6−10アリールスルフィニル基、C6−10アリールスルホニル基、C6−10アリール(C1−8アルキル)基、C6−10アリール(C1−8アルコキシ)基、C6−10アリール(C1−8アルキルチオ)基及びC2−9ヘテロアリール基
〔置換基群δ〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕アミノ基、カルボキシ基、C2−9アルコキシカルボニル基、C1−8アルコキシ基及びC1−8アルキルチオ基
〔置換基群ε〕
1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、C2−9アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、ウレイド基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)オキシカルボニルオキシ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、C1−8アルキルスルフィニルアミノ基、C1−8アルキルスルホニルアミノ基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔アミノ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕ウレイド基、C2−7環状アミノ−C(=O)−、C2−9アシル基及びC2−9アシルアミノ基
[2] 糖残基上の3’位の水酸基が4’位の置換基に対してトランス側に位置し、RがAに対してトランス側に位置されている、下記一般式(Ia)で表される、前記[1]記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ

[3] Aが
る、下記一般式(Ib)で表される、前記[2]記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ

[4] Rが水酸基であり;Xが−OCH−、−C(=O)OCH−又は−OC(=O)OCH−であり;Yが単結合であり;Zがメチレン基又は単結合であり;Arがフェニレン基であり;Arが置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいフェニル基である、前記[3]記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ;
[5] 置換基群βがハロゲン原子、水酸基、シアノ基及びカルバモイル基であり;置換基群γがハロゲン原子、水酸基及びアミノ基から選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよい、C1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、及びモノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基である、前記[4]記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ;
[6] 前記[1]〜[5]の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを活性成分として含有する医薬組成物;
[7] 活性成分として、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合せてなる、前記[6]記載の医薬組成物;
[8] 非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、前記[7]記載の医薬組成物;
[9] 活性成分として、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を更に含有することを特徴とする、前記[6]記載の医薬組成物;
[10] 非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、前記[9]記載の医薬組成物;
[11] 血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用である、前記[6]〜[10]の何れかに記載の医薬組成物;
[12] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、前記[11]記載の医薬組成物;
[13] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、前記[12]記載の医薬組成物;
[14] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、前記[12]記載の医薬組成物;
[15] 前記[1]〜[5]の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することによる、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療方法;
[16] コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種を組合せて投与することによる、前記[15]記載の予防又は治療方法;
[17] 非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、前記[16]記載の予防又は治療方法;
[18] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、前記[15]〜[17]のいずれか記載の予防又は治療方法;
[19] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、前記[18]記載の予防又は治療方法;
[20] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、前記[18]記載の予防又は治療方法;
[21] 血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用の製剤を製造するための、前記[1]〜[5]の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用;
[22] コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種を組合せた、前記[21]記載の使用;
[23] 非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、前記[22]記載の使用;
[24] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、前記[21]〜[23]のいずれか記載の使用;
[25] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、前記[24]記載の使用;
[26] 血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、前記[24]記載の使用;
[27] 前記[1]〜[5]の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを含有することを特徴とする血漿尿酸値調整剤;等に関するものである。
第一に、本発明者らはヒトCNTのcDNAのクローニングを行い、先ず、ヒト組織におけるCNTの分布パターンを解析したところ、ヒト小腸においては、CNT1はあまり発現しておらず、CNT2が多量に発現していることを確認した。更に、消化管の各部位における分布パターンについて解析を行った結果、CNT1は下部小腸の空腸および回腸に多く発現しており、CNT2は上部小腸の十二指腸で最も発現量が多く、次いで空腸で発現量が多いことを確認した。
本発明者らは、更に研究を進め、CNT2阻害活性を有する化合物を探索した結果、ヒトCNT2遺伝子導入COS7細胞を用いた実験において、下記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体が、アデノシン取り込み阻害活性を示すことを確認した。また、プリンヌクレオシドの体内吸収に対する阻害活性は、下記試験例8記載の方法に従い、ラットを用いたプリン体負荷試験において、ラットでの尿酸の最終代謝産物であるアラントインを指標して、その尿中排泄量を測定して評価することができる。或いは、当該阻害活性は、下記試験例9記載の方法に従い、ラットを用いたプリン体負荷試験において、HPLC法により血漿尿酸値を測定して評価することができる。本発明の下記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグは、CNT2阻害活性を有しており、プリンヌクレオシドの体内吸収を抑制することから、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬として有用であることが判った。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物において、C1−8アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルキル基をいう。C1−8アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基をいう。C1−8アルキルチオ基とは、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert−ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルキルチオ基をいう。C1−8アルキルスルフィニル基とは、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルキルスルフィニル基をいう。C1−8アルキルスルホニル基とは、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルキルスルホニル基をいう。C1−8アルキレン基とは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基等の炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルキレン基をいう。C2−4アルキレンとは、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基等の炭素数2〜4の直鎖状または枝分かれ状のアルキレン基をいう。C2−8アルケニレン基とは、ビニレン基、プロペニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状または枝分かれ状のアルケニレン基をいう。ヒドロキシ(C1−8アルキル)基とは、水酸基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。ヒドロキシ(C1−8アルコキシ)基とは、水酸基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。アミノ(C1−8アルキル)基とは、2−アミノエチル基等の、アミノ基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。アミノ(C1−8アルコキシ)基とは、アミノメチルオキシ基、2−アミノエチルオキシ基等の、アミノ基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。カルバモイル(C1−8アルキル)基とは、カルバモイル基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。カルバモイル(C1−8アルコキシ)基とは、カルバモイル基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。カルボキシ(C1−8アルキル)基とは、カルボキシ基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。カルボキシ(C1−8アルコキシ)基とは、カルボキシ基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子をいう。ハロ(C1−8アルキル)基とは、トリフロロメチル基等の、任意の上記ハロゲン原子で1〜3置換された上記C1−8アルキル基をいう。ハロ(C1−8アルコキシ)基とは、トリフロロメチルオキシ基等の、任意の上記ハロゲン原子で1〜3置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。
モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基をいう。モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕アミノ基とは、任意の上記ヒドロキシ〔C1−8アルキル〕基でモノ又はジ置換されたアミノ基をいう。モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイルオキシ基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ又はジ置換されたカルバモイルオキシ基をいう。モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基とは、任意の上記ヒドロキシ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基とは、任意の上記ヒドロキシ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイルオキシ基をいう。モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基とは、任意の上記アミノ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基とは、任意の上記アミノ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイルオキシ基をいう。モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイル基とは、任意の上記カルバモイル(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基とは、任意の上記カルバモイル(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたカルバモイルオキシ基をいう。モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基とは、上記C1−8アルコキシ基を有する上記C1−8アルキル基で任意にモノ又はジ置換されたカルバモイル基をいう。モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基とは、上記C1−8アルコキシ基を有する上記C1−8アルキル基で任意にモノ又はジ置換されたカルバモイルオキシ基をいう。モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ又はジ置換されたスルファモイル基をいう。モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基とは、任意の上記ヒドロキシ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたスルファモイル基をいう。モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基とは、C1−8アルキル部分が上記C1−8アルコキシ基で置換されている上記モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基をいう。C1−8アルキルスルフィニルアミノ基とは、上記C1−8アルキルスルフィニル基で置換されたアミノ基をいう。C1−8アルキルスルホニルアミノ基とは、上記C1−8アルキルスルホニル基で置換されたアミノ基をいう。モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ又はジ置換されたスルフィナモイル基をいう。モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基とは、任意の上記ヒドロキシ(C1−8アルキル)基でモノ又はジ置換されたスルフィナモイル基をいう。モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基とは、C1−8アルキル部分が上記C1−8アルコキシ基で置換されている上記モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基をいう。モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基とは、任意の上記C1−8アルキル基でモノ、ジ又はトリN−置換されたウレイド基をいう。モノ、ジ又はトリ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基とは、任意の上記ヒドロキシ(C1−8アルキル)基でモノ、ジ又はトリN−置換されたウレイド基をいう。モノ、ジ又はトリ〔アミノ(C1−8アルキル)〕ウレイド基とは、任意の上記アミノ(C1−8アルキル)基でモノ、ジ又はトリN−置換されたウレイド基をいう。モノ、ジ又はトリ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕ウレイド基とは、任意の上記カルバモイル(C1−8アルキル)基でモノ、ジ又はトリN−置換されたウレイド基をいう。モノ、ジ又はトリ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基とは、C1−8アルキル部分が上記C1−8アルコキシ基で置換されている上記モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基をいう。
2−9アシル基とは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基等の炭素数2〜9の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアシル基をいう。C2−9アシルオキシ基とは、上記C2−9アシル基で置換された水酸基をいう。C2−9アシルアミノ基とは、上記C2−9アシル基で置換されたアミノ基をいう。アミノ(C2−9アシルアミノ)基とは、2−アミノアセチルアミノ基、3−アミノプロピオニルアミノ基等の、アミノ基で置換された上記C2−9アシルアミノ基をいう。C2−9アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜9の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシカルボニル基をいう。C2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルキル)基とは、上記C2−9アルコキシカルボニル基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。C2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルコキシ)基とは、上記C2−9アルコキシカルボニル基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。C2−9アルコキシカルボニルオキシ基とは、上記C2−9アルコキシカルボニル基で置換された水酸基をいう。C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)オキシカルボニルオキシ基とは、上記C1−8アルコキシ基で置換された上記C2−9アルコキシカルボニルオキシ基をいう。
3−8シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基をいう。C6−10アリール基、或いはC6−10アリールオキシ基、C6−10アリールチオ基、C6−10アリールスルフィニル基及びC6−10アリールスルホニル基におけるC6−10アリールとは、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6又は10の芳香族環状炭化水素基をいう。C6−10アリール(C1−8アルキル)基とは、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の、上記C6−10アリール基で置換された上記C1−8アルキル基をいう。C6−10アリール(C1−8アルコキシ)基とは、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、ナフチルエチルオキシ基等の、上記C6−10アリール基で置換された上記C1−8アルコキシ基をいう。C6−10アリール(C1−8アルキルチオ)基とは、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、ナフチルメチルチオ基、ナフチルエチルチオ基等の、上記C6−10アリール基で置換された上記C1−8アルキルチオ基をいう。C2−9ヘテロアリール基とは、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チオジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、フラザン等から派生される、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個結合部位以外の環内に含む5又は6員環の芳香族ヘテロ環基、又はインドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、インドリジン、ナフチリジン、プテリジン等から派生される、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個結合部位以外の環内に含む5又は6員環と6員環が縮合した芳香族ヘテロ環基をいう。C2−7環状アミノ基又はC2−7環状アミノとは、アジリジノ基、アゼチジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、1−ピペラジニル基、1−ピロリル基等の、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を結合部位の窒素原子以外の環内に含んでいてもよい3〜8員環の環状アミノ基をいう。
3−8シクロアルキル環とは、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環またはシクロオクタン環をいう。C6−10アリール環とは、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数6又は10の芳香族環をいい、C6−10アリール環から派生する二価の基とは、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。C2−9ヘテロアリール環とは、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チオジアゾール、トリアゾール、フラザン等の、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜3個結合部位以外の環内に含む5又は6員環の芳香族ヘテロ環、又はインドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、インドリジン、ナフチリジン、プテリジン等の、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個結合部位以外の環内に含む5又は6員環と6員環が縮合した芳香族ヘテロ環をいう。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、以下の方法或いはそれらに準じた方法、又はその他文献記載の方法或いはそれらに準じた方法等に従い製造することができる。
例えば、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、
方法1)アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、4−ヒドロキシ−1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン又は4,6−ジヒドロキシ−1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジンを一般式

(式中のRは水酸基の保護基であり;Rは水素原子又は保護基を有する水酸基であり;Ar1Aは水酸基及び/又はアミノ基を有する場合は必要に応じて保護基を有する前記Arであり;Ar2Aは水酸基及び/又はアミノ基を有する場合は必要に応じて保護基を有する前記Arであり;X、Y及びZは前記と同じ意味をもつ。)で表される五炭糖誘導体を用いて、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルトリフラート及びモレキュラシーブスの存在下、或いはN−ヨードサクシイミド、トリフロロメタンスルホン酸及びモレキュラシーブスの存在下、必要に応じて、アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエン又はそれらの混合溶媒を添加して、0℃〜還流温度で30分間〜2日間グリコシル化を行うか;或いは
方法2)ウラシル又はジ−O−トリメチルシリルウラシルを、前記一般式(II)で表される五炭糖誘導体を用いて、塩化すず(IV)の存在下、必要に応じて、アセトニトリル、ジクロロメタン又はそれらの混合溶媒を添加して、−20℃〜還流温度で30分間〜2日間グリコシル化を行った後、
必要に応じて保護基を除去することにより製造することができる。
また、本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−OC(=O)OCH−である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のLは塩素原子、臭素原子等の脱離基であり;A、R、R、R、Y、Z、Ar、Ar1A、Ar及びAr2Aは前記と同じ意味をもつ。)
工程1
前記一般式(III)で表される化合物を前記一般式(IV)で表されるハロ炭酸エステルを用いて、不活性溶媒中、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基の存在下にカルボネート化することにより前記一般式(V)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0〜60℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜3日間である。
工程2
前記一般式(III)で表される化合物をクロロギ酸4−ニトロフェニルと、不活性溶媒中、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基の存在下に反応させることにより前記一般式(VI)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0℃〜室温であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜2日間である。
工程3
前記一般式(VI)で表される化合物を前記一般式(VII)で表されるアルコールを用いて、不活性溶媒中、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下にカルボネート化することにより、前記一般式(V)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0〜60℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜3日間である。
工程4
前記一般式(V)で表される化合物を、保護基の種類に応じて常法に従い適宜保護基を除去することにより実施することができる。例えば、
方法1)水酸基の保護基がアセチル基やベンゾイル基である場合は、水、アルコール又は含水アルコール中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド又はアンモニアを用いて脱保護化するか;或いは
方法2)水酸基の保護基がイソプロピリデン基、シクロペンチリデン基やシクロヘキシリデン基である場合は、必要に応じて水を添加し、ギ酸、酢酸、トリフロロ酢酸、トシル酸、塩酸又は硫酸を用いて脱保護化することにより、
本発明の前記一般式(Ic)で表される化合物を製造することができる。反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分間〜7日間である。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−NHC(=O)OCH−である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のRはメチル基、エチル基、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、コハク酸イミド基等の脱離基であり;A、R、R、R、Y、Z、Ar、Ar1A、Ar及びAr2Aは前記と同じ意味をもつ。)
工程5
前記一般式(VIII)で表される化合物を前記一般式(IX)で表される第1級アミンを用いて、不活性溶媒中、カルバメート化することにより、前記一般式(X)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜5日間である。
工程6
前記一般式(X)で表される化合物を前記工程4と同様にして脱保護化することにより、本発明の前記一般式(Id)で表される化合物を製造することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−C(=O)OCH−である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のA、L、R、R、R、Y、Z、Ar及びArは前記と同じ意味をもつ。)
工程7
前記一般式(III)で表される化合物を前記一般式(XI)で表されるカルボン酸を用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下にエステル誘導体に変換することにより、前記一般式(XIII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜2日間である。
工程8
前記一般式(III)で表される化合物を前記一般式(XII)で表されるアシルハライドを用いて、不活性溶媒中、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基の存在下にO−アシル化することにより、前記一般式(XIII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ピリジン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜3日間である。
工程9
前記一般式(XIII)で表される化合物を前記工程4と同様にして脱保護化することにより、本発明の前記一般式(Ie)で表される化合物を製造することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−OCH−であり、Yが単結合であり、Arがフェニレン基又はナフチレン基である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のAr1Bはフェニレン基又はナフチレン基であり;A、R、R、R、Z及びArは前記と同じ意味をもつ。)
工程10
前記一般式(III)で表される化合物を前記一般式(XIV)で表されるアリールアルコールを用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下に反応させることにより、前記一般式(XV)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜2日間である。
工程11
前記一般式(XV)で表される化合物を前記工程4と同様にして脱保護化することにより、本発明の前記一般式(If)で表される化合物を製造することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−NHC(=O)−である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のA、R、R、R、Y、Z、Ar、Ar1A、Ar及びAr2Aは前記と同じ意味をもつ。)
工程12
前記一般式(XVI)で表される化合物を前記一般式(IX)で表される第1級アミンを用いて、不活性溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イルトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフロロリン酸化物塩等の縮合剤の存在下、必要に応じて、N−ヒドロキシスクシイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンを添加してアミド化することにより、前記一般式(XVII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分間〜5日間である。
工程13
前記一般式(XVII)で表される化合物を前記工程4と同様にして脱保護化することにより、本発明の前記一般式(Ig)で表される化合物を製造することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される化合物の内、Xが−OC(=O)−である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のA、R、R、R、Z、Ar1B及びArは前記と同じ意味をもつ。)
工程14
前記一般式(XVI)で表される化合物を前記一般式(VII)で表されるアルコールを用いて、不活性溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イルトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフロロリン酸化物塩等の縮合剤の存在下、必要に応じて、N−ヒドロキシスクシイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンを添加してエステル化することにより、前記一般式(XVIII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分間〜5日間である。
工程15
前記一般式(XVIII)で表される化合物を前記工程4と同様にして脱保護化することにより、本発明の前記一般式(Ih)で表される化合物を製造することができる。
前記製造方法において出発原料として用いられる前記一般式(II)で表される化合物は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができる。
また、前記製造方法において出発原料として用いられる前記一般式(VIII)で表される化合物は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができ、例えば、下記の方法を例示することができる。

(式中のRは水素原子、塩素原子又はニトロ基である。)
工程16
前記一般式(XIX)で表される化合物をアジ化ナトリウムを用いて、不活性溶媒中でアジド化することにより、前記一般式(XX)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜2日間である。
工程17
前記一般式(XX)で表される化合物をクロロギ酸フェニル、クロロギ酸4−ニトロフェニル又はクロロギ酸4−クロロフェニルを用いて、不活性溶媒中、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基の存在下にカルボネート化することにより、前記一般式(XXI)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常0〜60℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜3日間である。
工程18
前記一般式(XXI)で表される化合物を、
方法1)メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸、それらの混合溶媒などの不活性溶媒中、パラジウム炭素粉末等のパラジウム系触媒を用いて、通常室温〜還流温度で通常1時間〜2日間接触還元するか;或いは
方法2)テトラヒドロフラン、アセトニトリル、それらの混合溶媒などの不活性溶媒中、ヨウ化サマリウム(II)、ヨウ化ナトリウム/塩化鉄(III)、サマリウム/塩化ニッケル(II)又は鉄/塩化ニッケル(II)を用いて、通常室温〜還流温度で通常1時間〜2日間還元することにより、
前記一般式(VIIIa)で表される化合物を製造することができる。
更に、本発明の前記一般式(Ib)で表される化合物の内、Rが水酸基であり;Xが−OCH−であり;Yが単結合であり;Zが単結合又はメチレン基であり;Arがフェニレン基であり;Arが上記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいフェニル基である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のRは水酸基の保護基であり;Rは水素原子又は低級アルキル基であるか、或いはR同士が結合し低級アルキレン基を形成し;R〜Rは独立して水素原子又は上記置換基群β及びγから選択される基であり;Eはハロゲン原子又はトリフロロメタンスルホニルオキシ基であり;Zは単結合又はメチレン基であり;Rは前記と同じ意味をもつ。)
工程19
前記一般式(XXII)で表される化合物を前記一般式(XXIII)で表されるフェノール誘導体を用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下に反応させることにより、前記一般式(XXIV)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
工程20
前記一般式(XXIV)で表される化合物を、前記一般式(XXV)で表される化合物と、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒や炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下、テトラブチルアンモニウムブロミド等の相間移動触媒の存在下又は非存在下に縮合させ、必要に応じ脱保護をすることにより、本発明の前記一般式(Ii)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜1日間である。
工程21
前記一般式(XXII)で表される化合物を前記一般式(XXVI)で表されるフェノール誘導体を用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下に反応させ、必要に応じ脱保護をすることにより、本発明の前記一般式(Ii)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
本発明の前記一般式(Ib)で表される化合物の内、Rが水酸基であり;Xが−C(=O)OCH−であり;Yが単結合であり;Zが単結合又はメチレン基であり;Arがフェニレン基であり;Arが上記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいフェニル基である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のEはハロゲン原子又はトリフロロメタンスルホニルオキシ基であり;R、R、R〜R、及びZは前記と同じ意味をもつ。)
工程22
前記一般式(XXII)で表される化合物を前記一般式(XXVII)で表されるカルボン酸誘導体を用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下に反応させることにより、前記一般式(XXVIII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
工程23
前記一般式(XXVIII)で表される化合物を、前記一般式(XXV)で表される化合物と、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒や炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下、テトラブチルアンモニウムブロミド等の相間移動触媒の存在下又は非存在下に縮合させ、必要に応じ脱保護をすることにより、本発明の前記一般式(Ij)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜1日間である。
工程24
前記一般式(XXII)で表される化合物を前記一般式(XXIX)で表されるカルボン酸誘導体を用いて、不活性溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジメチルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アゾジカルボキシレート等の光延試薬及びトリフェニルホスフィンの存在下に反応させ、必要に応じ脱保護をすることにより、本発明の前記一般式(Ij)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
本発明の前記一般式(Ib)で表される化合物の内、Rが水酸基であり;Xが−OC(=O)OCH−であり;Yが単結合であり;Zが単結合又はメチレン基であり;Arがフェニレン基であり;Arが上記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいフェニル基である化合物は、例えば、以下の方法によっても製造することができる。

(式中のR、R、R〜R、及びZは前記と同じ意味をもつ。)
工程25
前記一般式(XXII)で表される化合物を前記一般式(XXX)で表される化合物を用いて、不活性溶媒中、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下に反応させ、必要に応じ脱保護をすることにより、前記一般式(Ik)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
前記製造方法において出発原料として用いられる前記一般式(XXVI)で表される化合物は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができ、例えば、下記の方法を例示することができる。

(式中のR10は水酸基の保護基であり;Eはハロゲン原子又はトリフロロメタンスルホニルオキシ基であり;EはMgCl、MgI、ZnI、ZnBr、ZnCl又はリチウム原子であり;R〜R、及びZは前記と同じ意味をもつ。)
工程26
前記一般式(XXXI)で表される化合物を、前記一般式(XXXII)で表される化合物と、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒や炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下、テトラブチルアンモニウムブロミド等の相間移動触媒の存在下又は非存在下に縮合させ、必要に応じ脱保護をすることにより、Zが単結合である前記一般式(XXVI)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜1日間である。
工程27
前記一般式(XXXIII)で表される化合物と前記一般式(XXXIV)で表される金属試薬を、不活性溶媒中で反応させることにより、前記一般式(XXXV)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は通常−78℃〜室温であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分間〜1日間である。
工程28
前記一般式(XXXV)で表される化合物を、不活性溶媒中、塩酸等の酸の存在下または非存在下、パラジウム炭素末等のパラジウム系触媒を用いて水素雰囲気下接触還元し、或いは無溶媒又は不活性溶媒中、トリフロロ酢酸、トリフロロホウ素ジエチルエーテル錯体等のルイス酸の存在下、トリエチルシラン等の還元剤を用いて還元し、必要に応じて水酸基の保護基を常法に従い除去することにより、Zがメチレン基である前記一般式(XXVI)で表される化合物を製造することができる。接触還元反応において用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。また、トリエチルシラン等の還元剤を用いた還元反応において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。水酸基の保護基の除去は、常法に従い種々の方法にて実施でき、その保護基がベンジル基である場合、例えば、トリフロロ酢酸及びジメチルスルフィドの水溶液中、通常0℃〜還流温度で30分間〜1日間反応させることにより実施できる。
前記製造方法において出発原料として用いられる前記一般式(XXIX)で表される化合物は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができ、例えば、下記の方法を例示することができる。

(式中のR11はカルボキシ基の保護基であり;EはMgCl、MgI、ZnI、ZnBr、ZnCl又はリチウム原子であり;E、R〜R、及びZは前記と同じ意味をもつ。)
工程29
前記一般式(XXXI)で表される化合物を、前記一般式(XXXVI)で表される化合物と、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒や炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下、テトラブチルアンモニウムブロミド等の相間移動触媒の存在下又は非存在下に縮合させ、必要に応じ脱保護をすることにより、Zが単結合である前記一般式(XXIX)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常1時間〜1日間である。
工程30
前記一般式(XXXIII)で表される化合物と前記一般式(XXXVII)で表される金属試薬を、不活性溶媒中で反応させることにより、前記一般式(XXXVIII)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は通常−78℃〜室温であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分間〜1日間である。
工程31
前記一般式(XXXVIII)で表される化合物を、不活性溶媒中、塩酸等の酸の存在下または非存在下、パラジウム炭素末等のパラジウム系触媒を用いて水素雰囲気下接触還元し、或いは無溶媒又は不活性溶媒中、トリフロロ酢酸、トリフロロホウ素ジエチルエーテル錯体等のルイス酸の存在下、トリエチルシラン等の還元剤を用いて還元し、必要に応じてカルボキシ基の保護基を常法に従い除去することにより、Zがメチレン基である前記一般式(XXIX)で表される化合物を製造することができる。接触還元反応において用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。また、トリエチルシラン等の還元剤を用いた還元反応において用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などを挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。水酸基の保護基の除去は、常法に従い種々の方法にて実施でき、その保護基がベンジル基である場合、例えば、トリフロロ酢酸及びジメチルスルフィドの水溶液中、通常0℃〜還流温度で30分間〜1日間反応させることにより実施できる。
前記製造方法において出発原料として用いられる前記一般式(XXX)で表される化合物は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができ、例えば、下記の方法を例示することができる。

(式中のR〜R、及びZは前記と同じ意味をもつ。)
工程32
前記一般式(XXVI)で表される化合物を、不活性溶媒中、トリホスゲン、ホスゲン等のクロロホルミル化試薬と反応させることにより、前記一般式(XXX)で表される化合物を製造することができる。用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、それらの混合溶媒などを挙げることができ、その反応温度は通常−78℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜1日間である。
上記製造方法において、水酸基の保護基としては、メトキシベンジル基、ベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、アリル基等の他、2つの水酸基が隣接する場合は、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等の一般的に有機合成反応において用いられる水酸基の保護基を用いることができる。
前記製造方法において得られる本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、慣用の分離手段である分別再結晶法、クロマトグラフィーを用いた精製法、溶媒抽出法、固相抽出法等により単離精製することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体は、常法により、その薬理学的に許容される塩とすることができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−アミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アルギニン、リジン等の有機塩基との付加塩を挙げることができる。
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体又はその薬理学的に許容される塩には、水やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体の内、不飽和結合を有する化合物には、2つの幾何異性体である、シス(Z)体の化合物及びトランス(E)体の化合物が存在するが、本発明においてはそのいずれの化合物を使用してもよい。
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体の内、糖残基部分を除き不斉炭素原子を有する化合物には、2種類の光学異性体である、R配置の化合物及びS配置の化合物が存在するが、本発明においてはそのいずれの光学異性体を使用してもよく、それらの光学異性体の混合物であっても構わない。また、糖残基における水酸基の立体配置は、R配置、S配置の他、その混合物でも構わない。糖残基における個々の立体異性体は、例えば、相当する糖残基又はその誘導体を用いて常法に従い製造することができる。
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体には種々の互変異性体が存在するが、本発明の化合物にはそれらの互変異性体も含まれる。
更に、本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物の各種プロドラッグも用いることができる。プロドラッグとは、薬理学的に許容できる通常プロドラッグにおいて使用される基で親化合物を修飾した化合物をいい、例えば、安定性や持続性の改善等の特性が付与され、腸管内等で親化合物に変換されて効果を発現することが期待できる。本発明の前記一般式(I)で表される化合物のプロドラッグは、相当するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、前記一般式(I)で表される化合物における水酸基、アミノ基、その他プロドラッグ化の可能な基から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる(「月刊薬事 医薬品適正使用のための臨床薬物動態」,2000年3月臨時増刊号,第42巻,第4号,p.669−707、「新・ドラッグデリバリーシステム」,株式会社シーエムシー発行,2000年1月31日,p.67−173参照)。水酸基やアミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、C2−9アシル基、C1−8アルコキシ(C2−9アシル)基、C2−9アルコキシカルボニル(C2−9アシル)基、C2−9アルコキシカルボニル基、C1−8アルコキシ(C2−9アルコキシカルボニル)基等を挙げることができる。C1−8アルコキシ(C2−9アシル)基とは、前記C1−8アルコキシ基で置換された前記C2−9アシル基をいい、C2−9アルコキシカルボニル(C2−9アシル)基とは、前記C2−9アルコキシカルボニル基で置換された前記C2−9アシル基をいい、C1−8アルコキシ(C2−9アルコキシカルボニル)基とは、前記C1−8アルコキシ基で置換された前記C2−9アルコキシカルボニル基をいう。
本発明において、血漿尿酸値異常に起因する疾患としては、痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症、急性尿酸性腎症などの疾患を挙げることができ、特には、痛風、高尿酸血症を挙げることができる。
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、その活性成分である前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、例えば、経口投与の場合成人1日当たり概ね1〜2000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、用法に応じ、経口的或いは非経口的に種々の剤型のものが使用されるが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などの経口投与製剤が好ましい。
これらの医薬組成物は、通常の調剤学的手法に従い、その剤形に応じ適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などの医薬品添加物を適宜混合し、常法に従い調剤することにより製造することができる。
例えば、散剤は、活性成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和して散剤とする。錠剤は、活性成分に必要に応じ、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを加え、常法に従い打錠して錠剤とし、更に必要に応じ、適宜コーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠、腸溶性皮錠などにする。カプセル剤は、活性成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和した後、或いは常法に従い顆粒又は細粒とした後、適当なカプセルに充填してカプセル剤とする。さらに、このような経口投与製剤の場合は予防又は治療方法に応じて、速放性あるいは徐放性製剤とすることもできる。
本発明の活性成分の他に、ヌクレオシド吸収を実質的に阻害しない、高尿酸血症治療薬又は痛風治療薬を組み合せて使用することができる。本発明において使用できる高尿酸血症治療薬としては、例えば、プロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロン等の尿酸排泄促進薬、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、Y−700等の尿酸合成阻害薬、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム等の尿アルカリ化薬、ラスブリカーゼの尿酸オキシダーゼ等を挙げることができる。また痛風治療薬としてはコルヒチン、或いはインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブ、テノキシカム等の非ステロイド性抗炎症薬、並びにステロイド等を挙げることができる。本発明においては、本発明の活性成分の他に、少なくとも1種のこれら薬剤と組み合せて使用することもできるが、少なくとも1種のこれら薬剤と組み合せてなる医薬組成物とは、本発明の活性成分と同時に配合した単一の医薬組成物に限らず、本発明の活性成分を含有する医薬組成物とは別個に製造した医薬組成物として同時に又は間隔をずらして併用する投与形態も含む。また、本発明の活性成分以外の薬剤と組み合せて使用する場合、本発明の化合物の投与量は、組み合せて使用する他の薬剤の投与量に応じて減量することができ、場合により、上記疾患の予防又は治療上相加効果以上の有利な効果を得ることや、組み合せて使用する他の薬剤の副作用を回避又は軽減させることができる。
【実施例】
本発明の内容を以下の参考例、実施例および試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。
(参考例1)
3−ベンジル安息香酸
ベンゾイル安息香酸(1g)のトリフロロ酢酸(15mL)溶液にトリエチルシラン(1.77mL)を室温で加えた。その混合物を室温で24時間撹拌し、次いで減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄した後、ソニケーションした。析出物をろ取し、ヘキサンで洗浄した後、60℃で乾燥し固体(0.841g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.02(s,2H),7.17−7.33(m,5H),7.39−7.45(m,1H),7.47−7.53(m,1H),7.74−7.82(m,2H),12.93(brs,1H)
(参考例2)
5’−O−(2−ビフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.15g)、2−ヒドロキシビフェニル(0.108g)及びトリフェニルホスフィン(0.166g)のテトラヒドロフラン混合液(2.4mL)を40℃で30分間撹拌した。次いで40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(0.321g)を滴下し、混合物を40℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)で分離精製し黄色固体(188mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ ppm:
1.37(s,3H),1.61(s,3H),4.06−4.16(m,1H),4.33(dd,1H,J=2.6,10.4Hz),4.60(dd,1H,J=3.3,6.2Hz),4.63−4.68(m,1H),4.91(dd,1H,J=1.8,6.2Hz),5.52(brs,2H),6.07(d,1H,J=3.3Hz),6.92−6.96(m,1H),7.04−7.09(m,1H),7.20−7.36(m,7H),7.47(s,1H),8.35(s,1H)
(参考例3)
3−フェニル安息香酸
3−ブロモ安息香酸(0.5g)、フェニルボロン酸(0.334g)、炭酸ナトリウム(0.527g)、水(2mL)及びエタノール(12mL)の混合物にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.287g)を室温で加え、混合物を7時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで1mol/L塩酸(30mL)を加え、酢酸エチル(70mL)で抽出した。有機層を順次水(30mL)と飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=25:1)で分離精製し3−フェニル安息香酸(0.480g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
7.37−7.45(m,1H),7.46−7.66(m,3H),7.67−7.73(m,2H),7.89−7.98(m,2H),8.16−8.21(m,1H),13.07(brs,1H)
【実施例1】
5’−O−(2−ビフェニル)アデノシン
5’−O−(2−ビフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.184g)に70%ギ酸水溶液(4.0mL)を加え、混合物を室温で65時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)で分離精製し白色固体(0.112g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.16−4.30(m,4H),4.49−4.57(m,1H),5.35(d,1H,J=4.7Hz),5.47(d,1H,J=6.1Hz),5.89(d,1H,J=6.1Hz),7.02−7.09(m,1H),7.11−7.17(m,1H),7.20−7.36(m,5H),7.37−7.42(m,2H),7.48−7.53(m,2H),7.72(s,1H),8.12(s,1H)
【実施例2】
5’−O−(3−ビフェニル)アデノシン
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.15g)、3−ヒドロキシビフェニル(0.108g)及びトリフェニルホスフィン(0.166g)のテトラヒドロフラン混合液(2.4mL)を40℃で30分間撹拌した。次いで40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(0.321g)を滴下し、混合物を40℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)で分離精製し黄色固体(0.287g)を得た。その固体に70%ギ酸水溶液(2.8mL)を加え、混合物を室温で65時間撹拌した後、減圧下濃縮した。残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)で分離精製し白色固体(0.118g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.23−4.41(m,4H),4.70−4.77(m,1H),5.40(d,1H,J=5.3Hz),5.58(d,1H,J=5.7Hz),5.98(d,1H,J=5.4Hz),6.94−7.00(m,1H),7.20−7.33(m,4H),7.34−7.49(m,4H),7.62−7.68(m,2H),8.15(s,1H),8.36(s,1H)
【実施例3】
5’−O−(3−ベンジルベンゾイル)アデノシン
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.15g)、3−ベンジル安息香酸(0.134g)及びトリフェニルホスフィン(0.166g)のテトラヒドロフラン混合液(2.4mL)を40℃で1時間撹拌した。次いで40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(0.321g)を滴下し、混合物を40℃で6時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)で分離精製し白色固体(0.274g)を得た。白色固体(0.264g)に70%ギ酸水溶液(3.8mL)を加え、混合物を室温で11時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)で分離精製し5’−O−(3−ベンジルベンゾイル)アデノシン(0.168g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.02(s,2H),4.18−4.24(m,1H),4.35−4.42(m,1H),4.45(dd,1H,J=6.0,12.0Hz),4.57(dd,1H,J=3.6,12.0Hz),4.70−4.77(m,1H),5.40(d,1H,J=5.9Hz),5.58(d,1H,J=6.0Hz),5.93(d,1H,J=4.7Hz),7.14−7.35(m,7H),7.39−7.46(m,1H),7.49−7.54(m,1H),7.74−7.82(m,2H),8.10(s,1H),8.28(s,1H)
【実施例4】
5’−O−(3−フェニルベンゾイル)アデノシン
実施例3と同様の方法により標記化合物を製造した。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.22−4.29(m,1H),4.41−4.47(m,1H),4.51(dd,1H,J=6.1,11.9Hz),4.64(dd,1H,J=3.7,11.9Hz),4.73−4.81(m,1H),5.41(d,1H,J=5.6Hz),5.58(d,1H,J=6.0Hz),5.94(d,1H,J=5.0Hz),7.26(brs,2H),7.38−7.44(m,1H),7.46−7.54(m,2H),7.58−7.65(m,1H),7.66−7.72(m,2H),7.91−7.99(m,2H),8.06(s,1H),8.16−8.20(m,1H),8.30(s,1H)
【実施例5】
N−(4−ベンジルフェニル)アデノシン−5’−カルボキサミド
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボン酸(0.100g)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に4−ベンジルアニリン(0.038g)と縮合剤(N−シクロヘキシルカルボジイミド、N’−メチルポリスチレンHL(200−400メッシュ)、2%ジビニルベンゼン(1.95mmol/g、0.212mg))を加えた。混合物を室温で60時間振とうした。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:メタノール)で分離精製し、N−(4−ベンジルフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボキサミド(0.072g)を得た。得られたN−(4−ベンジルフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン−5’−カルボキサミド(0.072g)に水(0.5mL)と88%ギ酸水溶液(4mL)を加え、混合物を室温で65時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をオクタデシルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/メタノール:水=1:10→10:1)で分離精製し、N−(4−ベンジルフェニル)アデノシン−5’−カルボキサミド(0.015g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
3.92(s,2H),4.26−4.32(m,1H),4.48−4.52(m,1H),4.61−4.69(m,1H),5.62(d,1H,J=6.4Hz),5.80(d,1H,J=4.2Hz),6.03(d,1H,J=6.9Hz),7.13−7.32(m,7H),7.40−7.58(brs,2H),7.48−7.58(m,2H),8.12(s,1H),8.44(s,1H),10.43(1H,s)
【実施例6】
N−(4−フェノキシフェニル)アデノシン−5’−カルボキサミド
実施例5と同様の方法により標記化合物を製造した。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.30−4.35(m,1H),4.50−4.55(m,1H),4.65−4.71(m,1H),5.63(d,1H,J=6.3Hz),5.82(d,1H,J=4.8Hz),6.05(d,1H,J=7.1Hz),6.97−7.08(m,4H),7.09−7.15(m,1H),7.35−7.45(m,4H),7.60−7.67(m,2H),8.14(s,1H),8.45(s,1H),10.53(s,1H)
(参考例4)
5’−O−(3−ブロモフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(1.5g)、3−ブロモフェノール(1.1g)及びトリフェニルホスフィン(1.7g)をテトラヒドロフラン(24mL)に懸濁し、40℃にて30分間撹拌した。40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(3.2g)を滴下し、反応混合物を40℃で80分間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル(30mL)を加えた。反応混合物を懸濁撹拌し、不溶物をろ取して乾燥することにより、5’−O−(3−ブロモフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(1.8g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
1.36(s,3H),1.57(s,3H),4.17(dd,1H,J=5.7,10.3Hz),4.24(dd,1H,J=4.5,10.3Hz),4.49−4.56(m,1H),5.12(dd,1H,J=2.7,6.2Hz),5.53(dd,1H,J=2.7,6.2Hz),6.22(d,1H,J=2.7Hz),6.87−6.93(m,1H),7.09−7.16(m,2H),7.18−7.25(m,1H),7.31(brs,2H),8.17(s,1H),8.30(s,1H)
(参考例5)
3−(3−メトキシメトキシベンジル)安息香酸
マグネシウム(1.21g)をテトラヒドロフラン(50mL)に懸濁し、室温にて3−(メトキシメトキシ)ブロモベンゼン(10.8g)を滴下した後、3時間加熱還流した。反応混合物を3−ホルミル安息香酸ベンジル(12.0g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に滴下し、18時間撹拌した。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をエタノール(100mL)に溶解し、触媒量の10%パラジウム炭素末を加え、水素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製(溶出溶媒/酢酸エチル)することにより3−(3−メトキシメトキシベンジル)安息香酸(8.7g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
3.47(s,3H),4.01(s,2H),5.15(s,2H),6.75−6.95(m,3H),7.15−7.50(m,3H),7.90−8.00(m,2H)
(参考例6)
3−(3−ヒドロキシベンジル)−N,N−ジメチルベンズアミド
3−(3−メトキシメトキシベンジル)安息香酸(0.22g)、塩酸ジメチルアミン(0.07g)、ジフェニルホスホリルアジド(0.24mL)をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に懸濁し、室温撹拌下トリエチルアミン(0.29mL)を加えた。室温にて18時間撹拌した後、反応混合物に1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をメタノール(5mL)に溶解した。得られたメタノール溶液に濃硫酸(0.5mL)を加え、60℃にて3時間攪拌した。反応混合物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製(溶出溶媒/酢酸エチル)することにより3−(3−ヒドロキシベンジル)−N,N−ジメチルベンズアミド(0.2g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
2.94(s,3H),3.09(s,3H),3.90(s,2H),5.74(s,1H),6.55−6.80(m,3H),6.95−7.45(m,5H)
(参考例7)
5’−O−〔4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾイル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン
2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(2.0g)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸(1.8g)及びトリフェニルホスフィン(2.2g)をテトラヒドロフラン(24mL)に懸濁し、氷冷撹拌下40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(4.3g)を滴下し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製することにより5’−O−〔4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾイル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(3.6g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ ppm:
1.36(s,12H),1.42(s,3H),1.64(s,3H),4.40−4.70(m,3H),5.18(dd,1H,J=3.1,6.2Hz),5.50−5.70(m,3H),6.11(d,1H,J=2.2Hz),7.75−8.00(m,5H),8.34(s,1H)
【実施例7】
5’−O−〔3−(3−クロロフェニル)フェニル〕アデノシン
5’−O−(3−ブロモフェニル)−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.1g)、3−クロロフェニルボロン酸(0.04g)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g)、炭酸ナトリウム(0.05g)、水(0.7mL)をエタノール(4.3mL)に溶解し、6時間加熱還流した。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)にて精製し、5’−O−〔3−(3−クロロフェニル)フェニル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.087g)を得た。5’−O−〔3−(3−クロロフェニル)フェニル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.085g)を70%ギ酸水溶液(1.7mL)に溶解し、室温にて20時間撹拌した。減圧下に反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)にて精製し、5’−O−〔3−(3−クロロフェニル)フェニル〕アデノシン(0.065g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.22−4.42(m,4H),4.71−4.77(m,1H),5.40(d,1H,J=5.4Hz),5.58(d,1H,J=6.1Hz),5.98(d,1H,J=4.9Hz),6.97−7.04(m,1H),7.14−7.52(m,7H),7.60−7.66(m,1H),7.72−7.76(m,1H),8.15(s,1H),8.35(s,1H)
【実施例8】
実施例7と同様の方法で以下の化合物を得た。
5’−O−〔3−(2−トリフロロメチルフェニル)フェニル〕アデノシン
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.20−4.38(m,4H),4.66−4.74(m,1H),5.38(d,1H,J=5.4Hz),5.57(d,1H,J=5.7Hz),5.97(d,1H,J=5.3Hz),6.86−6.93(m,2H),7.69−7.07(m,1H),7.14−7.43(m,4H),7.58−7.65(m,1H),7.68−7.75(m,1H),7.80−7.86(m,1H),8.13(s,1H),8.33(s,1H)
【実施例9】
実施例7と同様の方法で以下の化合物を得た。
5’−O−〔3−(3−メチルスルファニルフェニル)フェニル〕アデノシン
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
2.54(s,3H),4.22−4.42(m,4H),4.69−4.77(m,1H),5.40(d,1H,J=5.4Hz),5.58(d,1H,J=5.9Hz),5.98(d,1H,J=5.5Hz),6.95−7.02(m,1H),7.15−7.43(m,8H),7.49−7.51(m,1H),8.15(s,1H),8.35(s,1H)
【実施例10】
5’−O−〔3−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル〕アデノシン
2,6−ジメチルブロモベンゼン(0.3g)、3−ベンジルオキシフェニルボロン酸(0.43g)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.09g)、炭酸ナトリウム(0.34g)、水(1.1mL)をN,N−ジメチルホルムアミド(6.5mL)に懸濁し、6時間加熱還流した。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣にトリフロロ酢酸(9.5mL)、水(1mL)、ジメチルスルフィド(0.5mL)を加え、室温で10時間撹拌した。減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、3−(2,6−ジメチルフェニル)フェノール(0.2g)を得た。得られたフェノール化合物(0.13g)と2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.15g)、及びトリフェニルホスフィン(0.17g)をテトラヒドロフラン(2.4mL)に溶解し、40℃にて30分間撹拌した。40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレート−トルエン溶液(0.32g)を滴下し、反応混合物を40℃で8時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)にて精製し、5’−O−〔3−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシンを得た。得られた5’−O−〔3−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.3g)を70%ギ酸水溶液(1.7mL)に溶解し、40℃にて20時間撹拌した。減圧下に反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)にて精製し、5’−O−〔3−(2,6−ジメチルフェニル)フェニル〕アデノシン(0.088g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
1.93−2.00(m,6H),4.16−4.38(m,4H),4.64−4.72(m,1H),5.38(d,1H,J=5.3Hz),5.57(d,1H,J=6.1Hz),5.97(d,1H,J=5.2Hz),6.68−6.76(m,2H),6.93−6.99(m,1H),7.07−7.41(m,6H),8.12(s,1H),8.34(s,1H)
【実施例11】
実施例10と同様の方法で以下の化合物を得た。
5’−O−〔3−(2−シアノフェニル)フェニル〕アデノシン
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.23−4.40(m,4H),4.69−4.76(m,1H),5.40(d,1H,J=5.4Hz),5.58(d,1H,J=5.6Hz),5.97(d,1H,J=5.2Hz),7.07−7.40(m,5H),7.42−7.49(m,1H),7.56−7.65(m,2H),7.75−7.82(m,1H),7.92−7.98.(m,1H),8.14(s,1H),8.34(s,1H)
【実施例12】
実施例10と同様の方法で以下の化合物を得た。
5’−O−〔3−(4−カルバモイルフェニル)フェニル〕アデノシン
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
4.22−4.42(m,4H),4.70−4.78(m,1H),5.42(d,1H,J=5.3Hz),5.60(d,1H,J=5.9Hz),5.98(d,1H,J=5.2Hz),6.98−7.04(m,1H),7.16−7.44(m,6H),7.73−7.78(m,2H),7.93−8.10(m,3H),8.15(s,1H),8.36(s,1H)
【実施例13】
5’−O−〔3−(3−ジメチルカルバモイルベンジル)フェニルオキシカルボニル〕アデノシン
3−(3−ヒドロキシベンジル)−N,N−ジメチルベンズアミド(0.10g)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、氷冷撹拌下トリホスゲン(0.048g)を加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.07mL)を滴下し、室温にて16時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣にジエチルエーテル(1mL)を加え、懸濁させた。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下に濃縮することによりクロロギ酸エステルを得た。2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.08g)のアセトニトリル(2.4mL)懸濁液に室温でジメチルアミノピリジン(0.06g)を加えた。次いで先ほど得たクロロギ酸エステル(0.13g)を加え、室温で4時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を順次水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/酢酸エチル)で分離精製し、黄色オイル(0.11g)を得た。オイルに70%ギ酸水溶液(2.3mL)を加え、混合物を室温で13時間撹拌した後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離精製し、5’−O−〔3−(3−ジメチルカルバモイルベンジル)フェニルオキシカルボニル〕アデノシン(0.1g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:
2.72−3.08(m,6H),3.98(s,2H),4.14−4.20(m,1H),4.28−4.35(m,1H),4.40(dd,1H,J=6.3,11.7Hz),4.51(dd,1H,J=3.6,11.7Hz),4.63−4.70(m,1H),5.43(d,1H,J=5.6Hz),5.60(d,1H,J=5.5Hz),5.95(d,1H,J=4.8Hz),7.00−7.06(m,1H),7.07−7.11(m,1H),7.14−7.42(m,8H),8.15(s,1H),8.31(s,1H)
【実施例14】
5’−O−{4−〔2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕ベンゾイル}アデノシン
2−(2−ヒドロキシエトキシ)ブロモベンゼン(0.08g)、5’−O−〔4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾイル〕−2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン(0.18g)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.05g)、炭酸ナトリウム(0.10g)、水(0.2mL)をテトラヒドロフラン(4mL)に懸濁し、12時間加熱還流した。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣を70%ギ酸水溶液(3mL)に溶解し、40℃にて20時間撹拌した。減圧下に反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒/ジクロロメタン:メタノール=15:1)にて精製し、5’−O−{4−〔2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕ベンゾイル}アデノシン(0.03g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ ppm:
3.60−3.80(m,2H),4.00−4.15(m,2H),4.20−4.30(m,1H),5.40(d,1H,J=5.3Hz),5.57(d,1H,J=5.7Hz),5.94(d,1H,J=4.6Hz),7.00−7.50(m,6H),7.71(d,2H,J=8.3Hz),7.95(d,2H,J=8.3Hz),8.13(s,1H),8.31(s,1H)
(試験例1)
ヒトCNT1のcDNAクローニング
ヒトCNT1cDNAは、ヒト腎臓cDNA(オリジーン(Origene)社製)を用いたPCR増幅によって得た。PCR反応液は、1μLcDNA、2ユニッツ・プラチナタック・DNAポリメラーゼ ハイフィデリティー(units Platinum taq DNA polymerase high fidelity/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、1μMプライマー(フォワード:5’−TGC ACT GCA TGG TTG CTG CT−3’、リバース:5’−GTC TAA GTC CTG TGG CTT CC−3’)を用いて調製した。増幅は、94℃2分、1サイクル、94℃30秒、58℃30秒、68℃3分、32サイクルで行い、PCR II−TOPOベクター(インビトロジェン(Invitrogen)社製)にライゲーションを行った。クローニングしたヒトCNT1アミノ酸配列は、既に報告されているヒトCNT1アミノ酸配列(NCBI Accession No.AAB53837.1)に対し、G34E(コドンGGAがGAA)、Q462R(コドンCAGがCGG)、R511C(コドンCGCがTGC)へと置換している。
(試験例2)
ヒトCNT2のcDNAクローニングと発現プラスミドの作製
ヒトCNT2cDNAは、ヒト腎臓cDNA(クロンテック(CLONTECH)社製)を用いたPCR増幅によって得た。PCR反応液は、1μLcDNA、2ユニッツ・プラチナタック・DNAポリメラーゼ ハイフィデリティー(units Platinum taq DNA polymerase high fidelity/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、1μMプライマー(フォワード:5’−AGG AGC CAG AGG GAA TCA AT−3’、リバース:5’−ACA TCT TGG TGA GTG AGT TG−3’)を用いて調製した。増幅は、94℃2分、1サイクル、94℃30秒、58℃30秒、68℃3分、32サイクルで行い、PCR II−TOPOベクター(インビトロジェン(Invitrogen)社製)にライゲーションを行った。作製したプラスミドを鋳型として、制限酵素付加したプライマーを用いてPCR反応を行った。PCR反応液は、100ngプラスミド、2ユニッツ・パイロベスト DNAポリメラーゼ(units Pyrobest DNA polymerase/タカラ(Takara)社製)、330nMプライマー(フォワード:5’−CCG CTC GAG AGG AGC CAG AGG GAA TCA AT−3’、リバース:5’−CGT CTA GAA CAT CTT GGT GAG TGA GTT G−3’)を用いて調製した。増幅は、95℃3分、1サイクル、98℃10秒、60℃30秒、72℃1分、15サイクル、72℃7分、1サイクルで行い、PCI−ネオ・マンマリアン・エクスプレッションベクター(neo mammalian expression vector/プロメガ(Promega)社製)にライゲーションを行った。クローニングしたヒトCNT2アミノ酸配列は、既に報告されているヒトCNT2アミノ酸配列(NCBI Accession No.AAC51930)に対し、P22L(コドンCCGがCTG)、S45C(コドンAGCがTGC)、I160M(コドンATAがATG)へと置換している。
(試験例3)
ヒトCNT3のcDNAクローニング
ヒトCNT3cDNAは、ヒト腸cDNA(クロンテック(CLONTECH)社製)を用いたPCR増幅によって得た。PCR反応液は、0.2μLcDNA、エクスパンド・ロングテンプレート PCRシステム(Expand long template PCR system/ロシュ(Roche)社製)、0.5μMプライマー(フォワード:5’−GCC AGC CAG CAG CAA AAA−3’、リバース:5’−TGG AGA AGT GGC TGA CCT−3’)を用いて調製した。増幅は、94℃2分、1サイクル、94℃10秒、58℃30秒、68℃2分、33サイクルで行い、PCR II−TOPOベクター(インビトロジェン(Invitrogen)社製)にライゲーションを行った。クローニングしたヒトCNT3塩基酸配列は、ヒトCNT3塩基配列(NCBI Accession No.NM_022127)に対し1130番目から1215番目まで全て同じであった。
(試験例4)
ヒトCNT遺伝子のヒト組織における分布パターン
1)cDNAの合成
ヒト肝臓、結腸、精巣、膵臓、肺、小腸、胃、胎盤、筋肉由来の全RNA(tRNA)はサワディーテクノロジー社から購入し、気管、脳、腎臓、心臓のtRNAはクロンテック(CLONTECH)社から購入した。tRNA濃度をリボグリーン(RiboGreen)RNAクオンティフィケーション・リージェント・アンド・キット(quantification reagent and kit/モレキュラープローブ(Molecular Probe)社製)を用いて測定した。cDNAの合成(逆転写反応)を行った。16.5μL反応液を用い、1.5μgtRNA、1.5μLの500ng/μLランダムヘキサマー(random hexamer/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を含んでいる。反応液を70℃で5分の反応を行い、室温に5分間保持した。6μLの5xBRL ファースト・ストランド・緩衝液(5xBRL 1st strand buffer/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、3.25μLの蒸留水(ニッポンジーン)、1.5μLの10mMデオキシリボヌクレオチドミックス(dNTP mix/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、0.75μLのリボヌクレアーゼ阻害剤(RNase inhibitor/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、2μLのスーパースクリプトII(SuperScript II/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を含んでいる13.5μL反応液を上記反応液に加えた。また同時にスーパースクリプトIIの代わりに蒸留水(ニッポンジーン)を加えた反応液も同様に上記溶液に加えた。全ての混合液は室温10分放置後、42℃で1時間反応を行った。そしてスーパースクリプトIIを失活させるために95℃10分反応を行い、直ちに氷中に移した。次に1.5μLのリボヌクレアーゼH(RNaseH/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を加え、37℃30分反応を行った。反応終了後170μLの蒸留水を加えた。合成されたcDNAは、200μLのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1(インビトロジェン(Invitrogen)社製)で抽出し、さらに200μLのクロロホルム:イソアミルアルコール=24:1を用いて抽出した。エタノール沈殿を行い100μLの蒸留水(ニッポンジーン)に希釈した。
2)リアルタイム定量PCRを用いたヒトCNT遺伝子発現量の測定
ヒトCNT1のリアルタイム定量PCRのプライマーとして、フォワード:5’−ATT TAC CAG TGC TGC CGT GAG−3’およびリバース:5’−AAA CCG ACA GCA GTT GTC CAG−3’、プローブとして5’−AGA GCG TCA ATC CAG AGT TCA GCC CA−3’を用いた。ヒトCNT2にはフォワード:5’−GGC AGC TTG CAT CTT GAA TTT C−3’およびリバース:5’−CAA AAA CGA GTG AAC CAG GAC A−3’、プローブとして5’−CCT TGT TTG TCA TCA CCT GCT TGG TGA TCT−3’を用いた。プローブは、蛍光色素、FAMで5’末端を、TAMRAで3’末端をラベルした。25μL反応液を用い、上記で作製された2.5ng cDNA、1xタックマン・ユニバーサル・マスターミックス(1xTaqman Universal master mix/アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製)、500nMフォワード、リバースプライマー、200nMプローブを含んでいる。PCR条件は、以下のようになる。50℃2分、1サイクル、95℃10分、1サイクル、95℃15秒、60℃1分、40サイクル。アッセイは、ジーンアンプ・5500シーケンス・ディテクション・システム(GeneAmp 5500 Sequence detection system/アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製)を用い、マイクロアンプ・オプティカル・96穴・リアクションプレート(MicroAmp optical 96−well reaction plate/アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製)とマイクロアンプ・オプティカル・キャップ(MicroAmp optical cap/アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製)中にて行われた。シグナルは製造元の手引きに従って検出した(「ゲノム リサーチ(Genome Research),1996年,第6巻,p.986−994参照)。連続的に1:10の割合で希釈したプラスミドDNAを標準曲線として解析を行った。結果は第1図に示す通りであり、ヒトCNT1は、腎臓、肝臓に最も多く発現し、小腸においては弱い発現が確認された。その他の組織においては殆ど発現は確認されなかった。一方、ヒトCNT2は、小腸、胃に最も多く発現が確認され、その他に結腸、腎臓、精巣において弱い発現が見られた。
(試験例5)
ヒトCNT遺伝子の胃、腸における分布パターン
リアルタイム定量PCRを用いたヒトCNT遺伝子発現量の測定
胃底、胃体、十二指腸、空腸、回腸、上行結腸由来のtotal RNA(tRNA)はBIOCHAIN(バイオチェーン)社から購入した。tRNA濃度をリボグリーン(RiboGreen)RNAクオンティフィケーション・リージェント・アンド・キット(quantification reagent and kit/モレキュラープローブ(Molecular Probe)社製)を用いて測定した。ヒトCNT1,2のプライマー、プローブは試験例4と同様のものを用いた。ヒトCNT3にはフォワード:5’−GCT GGT CCG ACC ATA TTT ACC TTA C−3’およびリバース:5’−CGC TTC CAG CAA TGG TAG AGA−3’、プローブとして5’−TCA CCA AGT CTG AAC TCC ACG CCA TC−3’を用いた。プローブは、蛍光色素、FAMで5’末端を、TAMRAで3’末端をラベルした。タックマン・EZ RT−PCRキット(Taqman EZ RT−PCR kit/アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製)、500nMフォワード、リバースプライマー、200nMプローブを用いて反応液(25μL)を作製した。PCR条件は、以下のようになる。50℃2分、1サイクル、60℃30分、1サイクル、95℃5分、1サイクル、94℃20秒、62℃1分、40サイクル。アッセイは、DNAエンジンオプティコン(DNA Engine Opticon/MJジャパン(MJ Japan)社製)を用い、96穴ロウ・マルチプルプレート(96 well low multipleplate/MJジャパン(MJ Japan)社製)中にて行われた。シグナルは製造元の手引きに従って検出した(「ゲノム リサーチ(Genome Research),1996年,第6巻,p.986−994参照)。連続的に1:10の割合で希釈したプラスミドDNAを標準曲線として解析を行った。結果は第2図に示す通りであり、ヒトCNT1は、空腸、回腸に強い発現が見られ、ヒトCNT2は、十二指腸、空腸に強い発現が確認された。また、胃、結腸においてもCNT2のみ弱く発現していた。ヒトCNT3は、全般的に弱い発現のみ確認できた。
(試験例6)
ヒトCNT2一過性発現細胞の調製
ヒトCNT2発現プラスミドをリポフェクション法によりCOS−7細胞(RIKEN CELL BANK RCBO539)に導入した。リポフェクション試薬はリポフェクタミン2000(LIPOFECTAMINE 2000/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を用いた。COS−7細胞を1mLあたり5x10個となるよう10%血清(三光純薬製)含有D−MEM培地(インビトロジェン(Invitrogen)社製)に懸濁し、これをコラーゲンコート96穴プレート(岩城硝子製)の1穴あたり100μLずつ分注し、2時間、37℃、5% CO条件下にて培養を行った。1穴あたり0.6μLのリポフェクタミン2000(LIPOFECTAMINE 2000/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を25μLのOPTI−MEM(インビトロジェン(Invitrogen)社製)で希釈し、室温で7分間静置する(以下Lipo 2000−OPTIとする)。1穴あたり0.3μgのプラスミドを25μLのOPTI−MEM(インビトロジェン(Invitrogen)社製)で希釈し、Lipo 2000−OPTIに加えて穏やかに混和し30分間静置した後、1穴あたり50μLずつ細胞培養液に添加し、37℃、5% COの条件下2日間培養し、取り込み阻害活性の測定に供した。
(試験例7)
ヒトCNT2を介したアデノシン取り込み阻害活性の測定
「取り込み用緩衝液」は140mM塩化ナトリウム、2mM塩化カリウム、1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、10mM2−〔2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸、5mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、5mMグルコースを含む緩衝液pH7.4に、アデノシンの非放射ラベル体(シグマ(Sigma)社製)と14Cラベル体(アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences)社製)のアデノシンの最終濃度が10μMとなるように混和し添加した。基礎取り込み測定用には塩化ナトリウムに替えて140mMの塩化コリンを含む「基礎取り込み測定用緩衝液」を調製した。測定時には取り込み用緩衝液および基礎取り込み測定用緩衝液には、NBMPRを最終濃度が10μMとなるように加えた。化合物の阻害活性を測定する場合には、ジメチルスルフォキシドに溶解した後、取り込み用緩衝液にて適宜希釈し測定用緩衝液とした。ヒトCNT2一過性発現細胞の培地を除去し、前処置用緩衝液(アデノシン、グルコースを含まない基礎取り込み測定用緩衝液)を1穴あたり200μL加え、37℃で10分間静置した。同一操作をもう1度繰り返した後、前処置用緩衝液を除去し、測定用緩衝液および基礎取り込み測定用緩衝液を1穴当たり75μLずつ加え37℃で静置した。30分後に測定用緩衝液、基礎取り込み測定用緩衝液を除去し、1穴当たり200μLの洗浄用緩衝液(10μM非放射ラベル体アデノシンを含む基礎取り込み測定用緩衝液)で2回洗浄した。1穴当たり75μLの0.2mol/L水酸化ナトリウムで細胞を溶解し、その液をピコプレート(パッカード(Packard)社製)に移した。150μLのマイクロシンチ40(パッカード(Packard)社製)を加えて混和し、シンチレーションカウンター(パッカード(Packard)社製)にて放射活性を計測した。対照群の取り込みから基礎取り込み量を差し引いた値を100%として、試験化合物の各濃度におけるアデノシンの取り込み量を算出した。試験化合物がアデノシンの取りこみを50%阻害する濃度(IC50値)をロジットプロットにより算出した。結果は表1に示す通りである。

(試験例8)
CNT2阻害薬の尿中アラントインへの影響
SD−IGS系雄性ラット(4週齢)にAIN−76精製飼料(日本クレア社製)を1週間与えた後、実験に用いる。一晩絶食後、プリンミックス(アデノシン:イノシン:グアノシン=1:1:1(アデノシン(Sigma社製)、イノシン(和光純薬社製)、グアノシン(ICN Biomedicals社製)、600mg/kg)及び試験化合物を同時に経口投与し、代謝ケージにて24時間蓄尿を行い、尿中に含まれるアラントイン量の測定を行う。測定方法は、Young−Conway法(Proc.Soc.Nutr.Physiol.1994年,第3巻,pp.232参照)に従い、尿中に含まれるアラントイン全量を算出できる。
(試験例9)
CNT2阻害薬の血漿尿酸値への影響
SD−IGS系雄性ラット(5週齢)を一晩絶食した後、オキソン酸(Aldrich社製;100mg/kg)を皮下投与し、1時間後プリンミックス(アデノシン:イノシン:グアノシン=1:1:1(アデノシン(Sigma社製)、イノシン(和光純薬社製)、グアノシン(ICN社製);50mg/kg)、所定量の試験化合物を同時に経口投与する。対照群としてオキソン酸、プリンミックスのみを投与した群を用い、またオキソン酸のみを投与した群を内因性の血漿尿酸値として用いる。1時間後に、エーテル麻酔下で腹部大動脈より採血を行い、ベノジェクトII真空採血管(テルモ、VP−FHO52)にて血漿分離を行う。血漿中に含まれている尿酸は、Journal of Chromatography B,Vol.744(2000),pp.129−138記載の方法に準拠し、HPLC法にて下記の条件で測定を行う。各実験群の血漿尿酸値より内因性の血漿尿酸値を差し引いた値について、対照群を100%として算出する。
HPLC法による尿酸濃度測定
上記により得られた血漿0.1mLに、内部標準物質としてテオフィリン10μgを添加した後、メタノール1mLを加え、除タンパクを行う。遠心分離後、メタノール層を窒素気流下で蒸発乾固する。移動相300μLで希釈し、その40μLをHPLCに注入する。血漿尿酸濃度はHPLC法により以下の条件にて測定する。尚、検量線は蒸留水0.1mLに、内部標準物質としてテオフィリンおよび種々の濃度の尿酸を適量添加し、上記と同様に操作することにより作成する。
HPLC分析条件
カラム:Inertsil ODS−2(4.6×250mm)
移動相
A溶液:アセトニトリル
B溶液:10mMリン酸緩衝液(pH3.0)
グラジエント溶出法:A溶液2%→A溶液22%(25分)
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/分
測定波長:284nm
【産業上の利用可能性】
本発明の前記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグは、CNT2阻害活性を有しており、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬として有用である。
【配列表】



【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ:

式中、
Aは、下記式から選択される基であり;

Rは、水素原子又は水酸基であり;
Xは、−OCH−、−C(=O)OCH−、−OC(=O)OCH−、−NHC(=O)OCH−、−OC(=O)−又は−NHCO−であり;
Yは、−C2−4アルキレン−L−C2−4アルキレン−(式中のLは酸素原子、硫黄原子又は−NH−である)、C1−8アルキレン基、C2−8アルケニレン基又は単結合であり;
Zは、−C2−4アルキレン−L−C2−4アルキレン−(式中のLは酸素原子、硫黄原子又は−NH−である)、C1−8アルキレン基、C2−8アルケニレン基、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は単結合であり;
Arは、下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール環から派生する2価の基、下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC3−8シクロアルキル環から派生する2価の基、又は下記置換基群αから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロアリール環から選択される環から派生する2価の基であり;
Arは、下記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC6−10アリール基、又は下記置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいC2−9ヘテロアリール基である。
〔置換基群α〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、C1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、C1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、カルボキシ基、C2−9アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、ウレイド基、ハロ(C1−8アルキル)基、ハロ(C1−8アルコキシ)基、ヒドロキシ(C1−8アルキル)基、ヒドロキシ(C1−8アルコキシ)基、アミノ(C1−8アルキル)基、アミノ(C1−8アルコキシ)基、カルバモイル(C1−8アルキル)基、カルバモイル(C1−8アルコキシ)基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、C2−9アシルアミノ基、アミノ(C2−9アシルアミノ)基、C6−10アリールオキシ基、C6−10アリールチオ基、C6−10アリールスルフィニル基、C6−10アリールスルホニル基、カルボキシ(C1−8アルキル)基、カルボキシ(C1−8アルコキシ)基、C2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルキル)基及びC2−9アルコキシカルボニル(C1−8アルコキシ)基
〔置換基群β〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基及びスルフィナモイル基
〔置換基群γ〕
下記置換基群δから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよく、或いは下記置換基群εから選択される基を1個有していてもよい下記置換基群:
1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、C1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、C2−9アルコキシカルボニル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイルオキシ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、C1−8アルキルスルフィニルアミノ基、C1−8アルキルスルホニルアミノ基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、C2−9アシル基、C2−9アシルオキシ基、C2−9アシルアミノ基、C3−8シクロアルキル基、C2−7環状アミノ基、C4−5環状アミノ−C(=O)−、C6−10アリール基、C6−10アリールオキシ基、C6−10アリールチオ基、C6−10アリールスルフィニル基、C6−10アリールスルホニル基、C6−10アリール(C1−8アルキル)基、C6−10アリール(C1−8アルコキシ)基、C6−10アリール(C1−8アルキルチオ)基及びC2−9ヘテロアリール基
〔置換基群δ〕
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)アミノ基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕アミノ基、カルボキシ基、C2−9アルコキシカルボニル基、C1−8アルコキシ基及びC1−8アルキルチオ基
〔置換基群ε〕
1−8アルキルスルフィニル基、C1−8アルキルスルホニル基、C2−9アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、ウレイド基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔アミノ(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイル基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕カルバモイルオキシ基、C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)オキシカルボニルオキシ基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルファモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルファモイル基、モノ又はジ(C1−8アルキル)スルフィナモイル基、モノ又はジ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、モノ又はジ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕スルフィナモイル基、C1−8アルキルスルフィニルアミノ基、C1−8アルキルスルホニルアミノ基、モノ、ジ又はトリ(C1−8アルキル)ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔ヒドロキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔C1−8アルコキシ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ、ジ又はトリ〔アミノ(C1−8アルキル)〕ウレイド基、モノ又はジ〔カルバモイル(C1−8アルキル)〕ウレイド基、C2−7環状アミノ−C(=O)−、C2−9アシル基及びC2−9アシルアミノ基
【請求項2】
糖残基上の3’位の水酸基が4’位の置換基に対してトランス側に位置し、RがAに対してトランス側に位置されている、請求項1記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【請求項3】
Aが
である、請求項2記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【請求項4】
Rが水酸基であり;Xが−OCH−、−C(=O)OCH−又は−OC(=O)OCH−であり;Yが単結合であり;Zがメチレン基又は単結合であり;Arがフェニレン基であり;Arが置換基群β及びγから選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよいフェニル基である、請求項3記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【請求項5】
置換基群βがハロゲン原子、水酸基、シアノ基及びカルバモイル基であり;置換基群γがハロゲン原子、水酸基及びアミノ基から選択される異種又は同種の基を1〜3個有していてもよい、C1−8アルキル基、C1−8アルコキシ基、C1−8アルキルチオ基、及びモノ又はジ(C1−8アルキル)カルバモイル基である、請求項4記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを活性成分として含有する医薬組成物。
【請求項7】
活性成分として、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合せてなる、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
活性成分として、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を更に含有することを特徴とする、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項10】
非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用である、請求項6〜10の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1〜5の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することによる、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療方法。
【請求項16】
コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種を組合せて投与することによる、請求項15記載の予防又は治療方法。
【請求項17】
非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、請求項16記載の予防又は治療方法。
【請求項18】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、請求項15〜17のいずれか記載の予防又は治療方法。
【請求項19】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、請求項18記載の予防又は治療方法。
【請求項20】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、請求項18記載の予防又は治療方法。
【請求項21】
血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用の製剤を製造するための、請求項1〜5の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項22】
コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、尿酸合成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬および尿酸オキシダーゼの群から選ばれる少なくとも1種を組合せた、請求項21記載の使用。
【請求項23】
非ステロイド性抗炎症薬がインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブまたはテノキシカムであり、尿酸合成阻害薬がアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタットまたはY−700であり、尿酸排泄促進薬がプロベネシド、ブコロームまたはベンズブロマロンであり、尿アルカリ化薬が炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウムである、請求項22記載の使用。
【請求項24】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症および急性尿酸性腎症から選択される疾患である、請求項21〜23のいずれか記載の使用。
【請求項25】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風である、請求項24記載の使用。
【請求項26】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が高尿酸血症である、請求項24記載の使用。
【請求項27】
請求項1〜5の何れかに記載の5’−修飾ヌクレオシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを含有することを特徴とする血漿尿酸値調整剤。

【国際公開番号】WO2004/101593
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506240(P2005−506240)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006792
【国際出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】