説明

アミド型カルボキサミド誘導体

本発明は、医薬、特にFXa阻害剤として有用な、一般式[1]:


(式中、Xは式:−N=または式:−CH=で示される基を示す。Rは、ハロゲン原子、低級アルキル基等を示す。Rは、


等を示す。YおよびYは、同一または異なってハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基等から選ばれる基を示す。環Aは、フェニル基等を示す)により表されるアミド型カルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、特に活性化血液凝固第X因子(FXa)阻害剤として有用なアミド型カルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩に関する
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣の欧米化、高齢化社会の到来などに伴い、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈血栓症をはじめとする血栓塞栓性疾患は年々増加し、その治療の社会的重要性は益々高まっている。
【0003】
血栓塞栓性疾患の治療法のうち、抗凝固療法は、線溶療法および抗血小板療法とともに血栓症の治療および予防における内科的治療法の一端を担っている(非特許文献1)。特に、血栓症の予防においては長期投与に耐えうる安全性と、確実且つ適切な抗凝固活性の発現が必須となる。クマリン誘導体、特にワルファリンカリウムは、経口抗凝固剤として世界中で繁用されているが、その作用機序に基づく特性から、薬効発現濃度域が狭いにもかかわらず薬効発現までに長時間を要するうえ、血中半減期が非常に長く、さらに薬効用量の個人差が非常に大きい等の理由により抗凝固能のコントロールが難しく(非特許文献2、3)、また、出血の危険性、悪心、嘔吐、下痢、脱毛等の副作用もあるなど、臨床的には非常に使用しづらい薬剤であり、より有用で使いやすい抗凝固剤の登場が望まれている。
【0004】
また、不安定狭心症、脳梗塞、脳塞栓、心筋梗塞、肺梗塞、肺塞栓、バージャー病、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群、人工弁置換後の血栓形成、血行再建後の再閉塞および体外循環時の血栓形成などは、血液凝固能の亢進が重要な因子の一つであることから、用量反応性に優れ、出血の危険性が低く、副作用の少ない、経口投与で十分な効果が得られる優れた抗凝固薬が求められている(非特許文献4)。
トロンビンは、凝固カスケードの最終段階であるフィブリノーゲンのフィブリンへの転化を司るばかりか、血小板の活性化および凝集にも深く関与し(非特許文献5)、その阻害剤は創薬のターゲットとして長い間抗凝固剤研究の中心にあった。しかしながら、トロンビン阻害剤は、経口投与でのバイオアベイラビリティ(Bioavailability)が低く、副作用として出血傾向を示すなど安全性面でも問題がある(非特許文献6)。
【0005】
FXaは、外因系および内因系凝固カスケード反応の合流点に位置するキーエンザイム(Key Enzyme)であり、凝固カスケードにおいてトロンビンよりも上流に位置するため、本因子の阻害はトロンビン阻害よりも効率的かつ特異的に凝固系を阻害できる可能性がある(非特許文献7)。
【0006】
したがって、FXaを阻害し、酵素選択性に優れ、バイオアベイラビリティーが高いものは、経口投与により長期間の抗凝固活性のコントロールが可能となり、既存抗凝固薬と比較してより優れた治療効果を有すると考えられることから、経口投与可能なFXa阻害剤の創製が切望されている。
【0007】
FXa阻害作用を示す化合物として、血栓症などの予防または治療に有用なチオベンズアミド化合物が知られている(特許文献1)。
【0008】
一方、下記のベンゾフラン化合物が知られているが(非特許文献8)、当該化合物のFXa阻害作用については一切記載されていない。

【0009】
さらに、活性化リンパ球増殖抑制作用を有し、自己免疫疾患の予防または治療薬として有用な下記の縮合二環性アミド化合物が知られている(特許文献2)。

【0010】
しかし、当該公報には、FXa阻害作用に関する記載は一切なく、また、ピリジンおよびフランからなる縮合環にアミドおよびカルバモイルがジ置換した化合物が開示されているものの、該カルバモイルの窒素原子上のベンゼン環には、2つの置換基XおよびYを同時に有する化合物群のみが記載されている。
【0011】
【特許文献1】国際公開第99/42439号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/12189号パンフレット
【非特許文献1】総合臨床41:2141−2145,1989
【非特許文献2】ジャーナル オブ クリニカル ファーマコロジー(Journal of Clinical Pharmacology),1992年,第32巻,p.196−209
【非特許文献3】ニュー イングランド ジャーナル オブ メディシン(NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE),1991年,第324巻、第26号,p.1865−1875
【非特許文献4】トロンボシスリサーチ(Thrombosis Research),1992年,第68巻,p.507〜512
【非特許文献5】松尾理,t−PAとPro−UK,学際企画,1986年,p.5−40
【非特許文献6】バイオメディカ バイオチミカ アクタ(Biomedica Biochimica Acta),1985年,第44巻,p.1201−1210
【非特許文献7】トロンボシスリサーチ(Thrombosis Research),1980年,第19巻,p.339−349
【非特許文献8】インディアン ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Indian Journal of Heterocyclic Chemisty),1994年,第3巻,p.3247−3252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は優れたFXa阻害作用を有するアミド型カルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、鋭意研究の結果、下記のアミド型カルボキサミド誘導体が、優れたFXa阻害作用を有することを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.一般式[1]:

(式中、Xは式:−N=または式:−CH=で示される基を示す。YおよびYは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、低級アルキルカルバモイル基およびフェニル基から選ばれる基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示す。Rは、式:−CO−R21−R22で示される基を示す。R21は、低級アルキレン基またはシクロアルカンジイル基を示す。R22は、

を示す。R23およびR24は、同一または異なって、低級アルキル基または低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ低級アルキル基を示すか、あるいはR23及びR24が互いに末端で結合して隣接する式:−N−C(=O)−で示される基とともに置換されていてもよい含窒素飽和異項環基を形成する。R25およびR26は、同一または異なって、低級アルキル基または低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ低級アルキル基を示すか、あるいはR25及びR26が互いに末端で結合して隣接する窒素原子とともに置換されていてもよい含窒素飽和異項環基を形成する。環Aは、芳香族炭化水素環、単環式複素芳香環または縮合チオフェン環を示す。)により表されるアミド型カルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩。
2.環Aが、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピラゾール、ベンゾチオフェンまたはチエノピリジンである1記載の化合物。
3.Rが、

であり、R22が、

であり、



である2記載の化合物。
4.Rがハロゲン原子または低級アルキル基であり、R

であり、R22

であり、



であり、YおよびYが、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基およびカルボキシル基から選ばれる基である2記載の化合物。
5.



である4記載の化合物。
6.上記1〜5のいずれか1つに記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩を有効成分として含有する医薬組成物。
7.上記1〜5のいずれか1つに記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩の有効量を血栓症の患者に投与する血栓症の治療方法。
8.上記1〜5のいずれか1つに記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩の血栓症の患者の治療への使用。
【0014】
以下、本発明化合物[1]につき詳述する。
本明細書中の一般式の定義にいて「低級」なる用語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6の直鎖または分枝状の炭素鎖を意味する。
【0015】
従って、「低級アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。これらの中では炭素数1〜4のもの、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが一般的である。
【0016】
また、「低級アルコキシ基」としては、上記低級アルキル基に酸素原子が結合した置換基を意味する。これらの中では炭素数1〜4のもの、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が一般的である。
【0017】
「低級アルキレン基」としては、例えば、炭素数1から6個の直鎖または分枝鎖状のアルキレンであり、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどがあげられ、このうち、炭素数1から5個のアルキレンが一般的である。
【0018】
「シクロアルカンジイル基」としては、3〜7員シクロアルカンジイル基が挙げられ、例えば1,4−シクロヘキサンジイル基が挙げられる。
【0019】
「芳香族炭化水素環」としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等が挙げられ、縮合環も含まれる。このうち、ベンゼンまたはナフタレンが一般的である。
【0020】
「単環式複素芳香環」としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択された同一または異なるヘテロ原子を1〜4個有する単環式複素芳香環を意味し、このうち5〜7員の複素環が一般的である。具体的にはピリジン、フラン、チオフェン、ピラゾール、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピリダジン、ピリミジンまたはピラジン等が挙げられる。
【0021】
「縮合チオフェン環」としては、チオフェン環と環式化合物が縮合した環を意味し、ベンゾチオフェンまたはチエノピリジンが挙げられる。
【0022】
「含窒素飽和異項環基」は、ヘテロ原子を1〜4個有する飽和環基を意味し、該環は、窒素原子の他、酸素原子及び/または硫黄原子を有してもよく、このうち窒素原子のみをヘテロ原子として有するか、窒素原子および酸素原子をヘテロ原子として有する4〜14員の飽和複素環式基が一般的であり、縮合環も含まれる。具体的にはイミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジル、ピロリジニル、オキサゾリジニル等が挙げられる。
【0023】
「ハロゲン原子」としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0024】
本発明の化合物[1]の薬理学的に許容しうる塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩、あるいはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、マイレン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩、またはアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの金属との塩、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミンなどの有機塩基との塩、あるいはリジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩などがあげられる。本発明化合物[1]は4級塩とすることもでき、本発明化合物は4級塩も包含される。
【0025】
また、本発明の化合物[1]は、分子内塩、水和物、溶媒和物や結晶多形のものなども包含される。
【0026】
また、本発明化合物[1]に不斉炭素を有する場合は光学異性体が存在するが、本発明化合物[1]は、それら異性体の1つあるいは混合物を包含する。さらに、本発明化合物[1]に二重結合あるいは環上に2つ以上の置換基を持ったシクロアルカンジイル基を有する場合は、シス体、トランス体が存在する可能性があり、本発明化合物[1]は、それら異性体の1つあるいは混合物を包含する。
【0027】
また、本発明の化合物[1]には、前記の化合物のプロドラッグも含まれる。プロドラッグとしては、例えば、化合物[1]におけるアミノ、カルボキシなどの官能基を、通常用いられる保護基を用いて保護したものなどがあげられる。
本発明の化合物は、以下の方法により製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[A法]
本発明の化合物[1]は、一般式[2]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示されるアミノ化合物と一般式[3]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示されるカルボン酸化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。
【0029】
[B法]
また、本発明の化合物[1]は、一般式[4]:

(式中、Rは低級アルキル基であり、その他の記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物と一般式[5]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物を反応させることにより製造することができる。
【0030】
また、上記方法[A]または[B]により合成した化合物[1]を、必要に応じ、適宜、アルキル化反応、還元的アルキル化反応、アミド化反応、スルホニルアミド化反応、アリール化反応、還元反応、脱アルキル化反応、加水分解反応、4級アミノ化反応、アミノ基およびカルボキシル基の保護反応および脱保護反応等により別の化合物[1]に相互変換することにより製造することがもできる。
【0031】
[原料製法:化合物[2]の製法]
化合物[2]は、一般式[7]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と化合物[5]とを反応させて一般式[6]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物を製し、次いで、化合物[6]のニトロ基を還元することにより製造することができる。
【0032】
また、化合物[2]は、一般式[10]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物と一般式[11]:

(式中、Lは遊離基を表し、Zはカルボキシル基の保護基を意味する)で示される化合物を反応させ、一般式[9]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物を製し、分子内閉環反応に供して一般式[8]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物を製し、化合物[5]を反応させることにより製造することもできる。
【0033】
[原料製法:化合物[4]の製法]
化合物[4]は、一般式[12]:

(式中、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物と化合物[3]またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。
上記[A]法〜[B]法は以下のようにして実施することができる。
【0034】
[A法]
化合物[2]に[3]で示される化合物を用いて化合物[1]を製造する工程は、通常のアミド化法にしたがって実施することができる。例えば、反応は、化合物[2]に化合物[3]あるいは化合物[3]のカルボキシル基における反応性誘導体、またはそれらの塩を縮合剤の存在下または非存在下、必要により脱酸剤の存在下で、適当な溶媒中で実施することができる。縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)あるいはその塩酸塩、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)等、通常の縮合剤を好適に用いることができる。とりわけ、DCC、EDCまたはその塩酸塩をより好適に用いることができる。化合物[3]の反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド、混合酸無水物、活性エステル等、縮合に常用されるものをいずれも用いることができる。化合物[3]の反応性誘導体への変換に用いることができる活性化剤としては、塩化チオニル、臭化チオニル、オキザリルクロリドの他、1−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のN−ヒドロキシアミン系の化合物およびp−ニトロフェノール等のフェノール系化合物を用いる活性化剤があげられ、塩化チオニル、オキザリルクロリド、1−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等を好適に用いることができる。とりわけ、酸クロリド法をより好適に用いることができる。化合物[3]または化合物[3]のカルボキシル基における反応性誘導体が塩を形成する場合の塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩を用いることができる。また、適用する方法によっては、脱酸剤を用いることができ、脱酸剤としては、無機塩基類または有機塩基類を用いることができる。本反応は塩基の存在下でまたはこれら塩基を溶媒として反応することにより、反応が円滑に進行する場合がある。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ土類金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類をあげることができ、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のトリ低級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の三級アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン類、ピリジン、ルチジン、コリジン等をあげることができる。とりわけ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジンを用いて実施するのが好ましい。本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行われ、好ましくは溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒ならびにこれら溶媒と水との組み合わせがあげられるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピリジン等が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンがより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、氷冷下〜60℃で好適に実施することができる。
【0035】
[B法]
化合物[4]と[5]から化合物[1]を製造する工程は、適当な溶媒中あるいは無溶媒で化合物[4]と[5]の混合物を加熱するかもしくは、化合物[5]をトリメチルアルミニウムによって対応するアルミニウムアミド化合物とした後、化合物[4]と反応させることにより実施することができるが、アルミニウムアミドを用いる方法が好ましい。溶媒としては反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類又はそれ以上の混合溶媒があげられるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ヘキサン好ましい。トリメチルアルミニウムと同様な方法で用いる試薬としては、トリ低級アルキルアルミニウム、ジエチルジヒドロアルミニウムナトリウム等を好適に用いることができる。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、氷冷下〜60℃で好適に実施することができる。
【0036】
また、[A]あるいは[B]法を実施した後、得られた化合物[1]で示される化合物中に、さらなる反応が可能な部分が存在する場合(例えば、主にアミンの保護基、アルコール、フェノール性OH、エステル、カルボン酸、ニトロ、ハロゲン等のことを示す)は、必要に応じ、以下の反応等を行い、相互変換することで、所望の化合物[1]を製造することができる。
【0037】
必要に応じて適宜行われる、相互変換のうち、アルキル化反応、還元的アルキル化反応、アミド化反応、スルホニルアミド化反応、アリール化反応、還元反応、脱アルキル化反応、加水分解反応、4級アミノ化反応、アミノ基およびカルボキシル基の保護反応およびおよび脱保護反応等は、次の通り行うことができる。
【0038】
アルキル化反応は、必要に応じて常法に従って実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に塩基の存在下または非存在下で、塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキル等のハロゲン化アルキルを適当な溶媒中で反応させることにより実施することができる。このとき用いられる塩基としては、無機塩基や有機塩基があげられる。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類をあげることができ、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のトリ低級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の三級アミン類、ピリジン、ルチジン、コリジン等を用いることができる。とりわけ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等を用いて実施するのが好ましい。また、本反応は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化アルカリ金属類を添加してもよく、これにより、反応が円滑に進行する場合がある。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒があげられるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、エタノール、ジメチルスルホキシド等が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、エタノール、およびこれらの混合溶媒がより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、とりわけ、−10℃〜反応混合物の沸点で好適に実施することができる。
【0039】
還元的アルキル化反応は、必要に応じて常法に従って実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に適当な水素化金属還元剤の存在下、あるいは金属触媒存在下での接触水素還元条件下で、対応するカルボニル化合物を適当な溶媒中で反応させることにより実施することができる。水素化金属還元剤としては、通常に用いられるものであれば特に制限はないが、アミド結合等に影響を及ぼさない還元剤が好ましく、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等を好適に用いることができる。また、本反応は、酢酸等の有機酸類あるいは塩酸等の鉱酸類を添加してもよく、これらの添加により、反応が円滑に進行する場合がある。また、化合物[1]として塩酸等の鉱酸と塩を形成しているアミン類を用いる場合には、適当な中和剤、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基類または酢酸ナトリウム等の酢酸アルカリ金属塩を添加してもよく、これらの添加により、反応が円滑に進行する場合がある。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、水等および必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒を用いることができるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、プロパノール等が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランがより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、氷冷下〜室温で好適に実施することができる。また、本反応は、金属触媒存在下での接触水素還元反応でも同様に行うことができ、金属触媒としては、パラジウム−炭素、白金−炭素、酸化白金、ラネーニッケル等を用いることができる。また、本反応は、酢酸等の有機酸類あるいは塩酸等の鉱酸類を添加してもよく、これらの添加により、反応が円滑に進行する場合がある。また、化合物[1]として塩酸等の鉱酸と塩を形成しているアミン類を用いる場合には、適当な中和剤、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基類または酢酸ナトリウム等の酢酸アルカリ金属塩を添加してもよく、これらの添加により、反応が円滑に進行する場合がある。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、水等および必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒を用いることができるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が好ましく、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等がより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、氷冷下〜室温で好適に実施することができる。
【0040】
アミド化反応は、必要に応じて常法に従って行われるが、例えば、前記化合物[2]と化合物[3]の反応と同様に行うことができる。
【0041】
スルホニルアミド化反応は、必要に応じて常法に従って実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に塩基の存在下または非存在下、置換基を有しても良いアルキルスルホン酸ハロゲン化物を適当な溶媒中で反応させることにより行うことができ、前記化合物[2]と化合物[3]のアミド化反応と同様の脱酸剤、溶媒、ならびに反応温度で実施することができる。
【0042】
アリール化反応は、必要に応じて常法により実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に適当な塩基の存在下または非存在下、ハロゲン化アリールを適当な溶媒中で反応させることにより行うことができる。塩基としては、無機塩基や有機塩基塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類等をあげることができ、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のトリ低級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の三級アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン類、ピリジン、ルチジン、コリジン等をあげることができる。とりわけ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム等を用いて実施するのが好ましい。本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行われ、好ましくは溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒があげられる。キシレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、エタノール、ブタノール等が好ましく、とりわけ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ブタノールがより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、室温〜反応混合物の沸点で好適に実施することができる。また、パラジウムカップリング法により実施してもよい。
【0043】
また、還元反応は、必要に応じて常法に従って実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に適当な還元剤、あるいは金属触媒存在下に水素を適当な溶媒中で反応させることにより実施することができる。還元剤としては、通常用いられるものであれば特に制限はないが、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属還元剤や、亜鉛、鉄、スズ等の金属あるいは塩化スズ等の金属塩を好適に用いることができ、スズ等の金属あるいは塩化スズ等の金属塩をより好適に用いることができる。また、水素添加反応に用いる金属触媒としては、通常用いられるものであれば特に制限はないが、パラジウム−炭素、ラネーニッケル、ラネーコバルト、酸化白金等を好適に用いることができ、ラネーニッケル等の金属をより好適に用いることができる。また、適用する方法によっては、塩酸等の鉱酸の共存下酸性で反応することにより、反応が円滑に進行する場合がある。水素化金属還元剤による反応に用いる溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、水等および必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒を用いることができるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。亜鉛、鉄、スズ等の金属あるいは塩化スズ等の金属塩による反応に用いる溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等および必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒を用いることができるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、酢酸エチルあるいは、水、あるいは水とアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒との混合溶媒等が好ましい。金属触媒存在下に水素添加反応に用いる溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒等および必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒を用いることができるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点で好適に実施することができる。接触水素還元反応で用いる水素の圧力は、通常約1〜約100気圧である。本反応の反応時間は、用いる還元剤や触媒の活性および使用量により異なるが、通常は約10分〜24時間である。
【0044】
また、脱アルキル化反応は、必要に応じて常法に従って実施することができる。例えば、本反応は、化合物[1]に適当な脱アルキル化剤を適当な溶媒中あるいは無溶媒で反応させることにより実施することができる。脱アルキル化剤としては、通常に用いられるものであれば特に制限はないが、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、ヨードトリメチルシラン、塩化アルミニウム(III)、塩化ピリジニウム等を好適に用いることができ、とりわけ、三臭化ホウ素、ヨードトリメチルシラン等を用いて実施するのが好ましい。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類またはそれ以上の混合溶媒があげられるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、とりわけ、−78℃〜反応混合物の沸点で好適に実施することができる。
【0045】
また、加水分解反応は常法により適宜行うことができる。
また、4級アミノ化反応は、必要に応じて行われるが、前記アルキル化反応と同様に行うことができる。
また、アミノ基およびカルボキシル基の保護反応および脱保護反応は、必要に応じ行われるが、任意の公知の方法を適宜用いることができる。
【0046】
[原料製法:化合物[2]の製法]
化合物[7]またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と化合物[5]とを反応させて化合物[6]を製造する工程は、化合物[2]と[3]を反応させる工程と同様の方法で実施することができる。
【0047】
次いで、得られた化合物[6]のニトロ基を還元して化合物[2]を製造する工程は、前記の還元反応と同様の方法により行うことができる。
【0048】
化合物[10]と化合物[11]とを反応させ、化合物[9]を製造する工程は、化合物[2]と[3]を反応させる工程と同様の方法で実施することができる。
【0049】
化合物[9]を、分子内閉環させて化合物[8]を得る工程は、縮合剤の存在下又は非存在下、必要に応じて化合物[9]に活性化剤を用いて反応性誘導体に変換し、脱酸剤の存在下又は非存在下で、適当な溶媒中で実施することができる。縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)あるいはその塩酸塩、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)等、通常の縮合剤を好適に用いることができる。とりわけ、DCC、EDC又はその塩酸塩をより好適に用いることができる。化合物[9]の反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド、混合酸無水物、活性エステル等、縮合に常用されるものをいずれも用いることができる。化合物[9]の反応性誘導体への変換に用いることができる活性化剤としては、塩化チオニル、オキザリルクロリド等を好適に用いることができる。とりわけ、酸クロリド法をより好適に用いることができる。また、適用する方法によっては、脱酸剤を用いることができ、脱酸剤としては、無機塩基類又は有機塩基類を用いることができる。本反応は塩基の存在下で又はこれら塩基を溶媒として反応することにより、反応が円滑に進行する場合がある。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ土類金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類をあげることができ、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のトリ低級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の三級アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン類、ピリジン、ルチジン、コリジン等をあげることができる。とりわけ、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジンを用いて実施するのが好ましい。本反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われ、好ましくは溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に支障をきたさない不活性溶媒であれば制限がなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン等、および、必要に応じてこれら溶媒の二種類又はそれ以上の混合溶媒ならびにこれら溶媒と水との組み合わせがあげられるが、適用する方法に応じ適宜選択するのが好ましい。とりわけ、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピリジン等が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンがより好ましい。本反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施することができ、例えば、−10℃〜反応混合物の沸点、とりわけ、氷冷下〜60℃で好適に実施することができる。
【0050】
化合物[8]に化合物[5]を反応させ、化合物[2]を製造する工程は、化合物[4]と[5]を反応させる工程と同様の方法で実施することができる。
【0051】
[原料製法:化合物[4]の製法]
化合物[12]と化合物[3]またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とを反応させ、化合物[4]を製造する工程は、化合物[2]と[3]を反応させる工程と同様の方法で実施することができる。
【0052】
このようにして得られる本発明化合物は再結晶法、カラムクロマト法などの有機合成化学の分野における公知の方法により単離精製することができる。
【0053】
本発明の化合物[1]またはその薬理的に許容しうる塩は、優れたFXa阻害作用を有することから、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモットなど)に対して、血栓ならびに塞栓によって引き起こされる各種疾患、例えば、安定狭心症、不安定狭心症、脳血栓、脳梗塞、脳塞栓、一過性脳虚血発作(TIA)、くも膜下出血後の脳血管れん縮等の虚血性脳血管障害、冠動脈血栓形成による虚血性心疾患、うつ血性慢性心不全、心筋梗塞、急性心筋梗塞、肺梗塞、肺塞栓、肺血管障害、エコノミークラス症候群、腎疾患(糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、IgA腎症等)、アテローム硬化症を伴った血栓形成、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、バージャー病、深部静脈血栓症、汎発性血管内凝固症候群(DIC)、人工血管術後または人工弁あるいは関節置換後の血栓形成、間欠性跛行、経皮的経管式冠動脈形成術(PTCA)あるいは経皮的経管式冠動脈再開通療法(PTCR)等の血行再建後の血栓形成および再閉塞、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全(MODS)、体外循環時の血栓形成、採血時の血液凝固、糖尿病性循環障害、移植時の拒絶反応、移植時の臓器保護あるいは機能改善などの予防または治療に有用である。
【0054】
また、本発明化合物は、優れたFXa阻害作用を有すると同時に、毒性が軽減され、既存抗凝固薬の副作用(出血など)がほとんどみられない特徴を有する。
【0055】
また、分布容積(体内薬物量/血中濃度)が小さいFXa阻害剤は、リン脂質症や肝毒性等の副作用を実質的に示さない。従って、分布容積が小さいFXa阻害剤、特に分布容積が0.1〜3.0L/kgで、FXa阻害作用(IC50)が100nM以下のFXa阻害剤は、リン脂質症や肝毒性等の副作用を実質的に示さず、血栓症治療薬として有用である。
【0056】
本発明の化合物[1]またはその薬理学的に許容しうる塩は、当該化合物の治療上有効量および薬理学的に許容される担体からなる医薬組成物に製剤化することができる。薬理学的に許容される担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ)、崩壊剤(バレイショデンプン)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
【0057】
本発明の化合物[1]またはその薬理的に許容しうる塩は、経口的または非経口的に投与することができ、適当な医薬製剤として用いることができる。経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤などの固体製剤、あるいは溶液製剤、懸濁製剤または乳化製剤などが挙げられる。非経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、坐剤、注射用蒸留水、生理食塩水またはブドウ糖水溶液などを用いた注射剤または点滴製剤、あるいは吸入剤等が挙げられる。
【0058】
本発明の化合物[1]またはその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態或いは疾患の種類・程度によっても異なるが、通常、1日当り約0.1〜50mg/kg、とりわけ約0.1〜30mg/kg程度とするのが好ましい。
【0059】
以下、本発明を実施例、参考例により詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例1】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−5−メトキシ−2−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)ベンズアミド

参考例4で得られたトランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸120mgをクロロホルム3mlに溶解し、1M塩化チオニル−クロロホルム溶液540μlおよびN,N−ジメチルホルムアミド1滴を加え、室温にて7時間攪拌した。反応液に2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−5−メトキシベンズアミド111mgおよびピリジン1mlを加え、室温にて一晩攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、表題化合物158mgを得た。APCI−MS M/Z:487/489[M+H]
【実施例2】
【0060】
4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)安息香酸t−ブチル

(1)4−(t−ブトキシカルボニル)−2−ニトロ安息香酸1.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解し、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液0.72gを加えた。トルエンを注ぎ減圧濃縮後、得られた残渣をクロロホルム50mlに懸濁し、オキサリルクロリド489μlおよびN,N−ジメチルホルムアミドを2滴加え、室温にて3時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣にクロロホルム20mlを注ぎ懸濁液とした。5−クロロ−2−アミノピリジン480mgおよびピリジン453μlをクロロホルム30mlに溶解後氷冷し、上記で調製した懸濁液を滴下した。反応液を室温にて8時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルにて希釈した後、10%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−ニトロ安息香酸t−ブチル803mgを得た。APCI−MS M/Z:378[M+H]
【0061】
(2)実施例2(1)で得られた4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−ニトロ安息香酸t−ブチル3.2gをテトラヒドロフラン50mlに溶解し、ラネーニッケルを加え、加圧(3気圧)水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。不溶物をセライトで濾去し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=20/1)にて精製し、3−アミノ−4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}安息香酸t−ブチル2.3gを得た。APCI−MS M/Z:348[M+H]
【0062】
(3)実施例2(2)で得られた3−アミノ−4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}安息香酸t−ブチル278mgを実施例1と同様の方法で処理することにより、表題化合物190mgを得た。APCI−MS M/Z:557/559[M+H]
【実施例3】
【0063】
4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)安息香酸

実施例2で得られた4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)安息香酸t−ブチル293mgをクロロホルム10mlに溶解し、4規定塩化水素−ジオキサン溶液10mlを加え、室温にて3日間攪拌した。反応液にジイソプロピルエーテルを注ぎ析出する固体を濾取し、表題化合物280mgを得た。ESI−MS M/Z:499/501[M−H]
【実施例4】
【0064】
−(5−クロロピリジン−2−イル)−N,N−ジメチル−2−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)テレフタルアミド

実施例3で得られた4−{[(5−クロロピリジン−2−イル)アミノ]カルボニル}−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)安息香酸50mgをピリジン1mlに溶解し、塩酸ジメチルアミン20mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール27mgおよび塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド40mgを加え、室温にて20時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、表題化合物28mgを得た。APCI−MS M/Z:528/530[M+H]
【実施例5】
【0065】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド

(1)2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸3.0gをクロロホルム25mlに懸濁し、オキサリルクロリド1.67mlおよびN,N−ジメチルホルムアミドを2滴加え、室温にて3時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣にクロロホルム20mlを注ぎ懸濁液とした。5−クロロ−2−アミノピリジン1.56gおよびピリジン1.55mlにクロロホルム30mlを加えた後氷冷し、上記で調製した溶液を滴下した。反応液を室温にて8時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルにて希釈した後、10%硫酸水素カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をn−ヘキサンに懸濁後、濾取、乾燥し、N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド4.73gを得た。APCI−MS M/Z:346/348[M+H]
【0066】
(2)実施例5(1)で得られたN−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド4.73gを実施例2(2)と同様の方法で処理することにより、2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド1.55gを得た。APCI−MS M/Z:316/318[M+H]
【0067】
(3)実施例5(2)で得られた2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド126mgを実施例1と同様の方法で処理することにより、表題化合物183mgを得た。APCI−MS M/Z:525/527[M+H]
【実施例6】
【0068】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−({[トランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド

実施例5(2)で得られた2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド72mgと参考例2で得られたトランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸63mgを実施例1と同様の方法で処理することにより、表題化合物95mgを得た。APCI−MS M/Z:509/511[M+H]
【実施例7】
【0069】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジメトキシ−2−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)ベンズアミド


(1)N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンズアミド2.73gを実施例2(2)と同様の方法で処理することにより、2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジメトキシベンズアミド2.53gを得た。APCI−MS M/Z:308/310[M+H]
【0070】
(2)実施例7(2)で得られた2−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−4,5−ジメトキシベンズアミド123mgを実施例1と同様の方法で処理することにより、表題化合物163mgを得た。APCI−MS M/Z:517/519[M+H]
【0071】
実施例8−33
対応するアミノ化合物とカルボン酸化合物を実施例1と同様の方法で処理することにより、下記表記載の化合物を得た。
【0072】

【0073】


【0074】


【0075】


【0076】


【0077】


【実施例34】
【0078】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−3−({[トランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)−2−ナフトアミド

(1)2H−ナフト[2,3−d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン216mgと2−アミノ−5−クロロピリジン202mgのキシレン5ml懸濁液を150℃にて13時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン14.4mgを加え、150℃にてさらに3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮後、得られた残渣を酢酸エチルに懸濁し、不溶物を濾別した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、3−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−ナフトアミド24mgを得た。APCI−MS m/z:298/300[M+H]
【0079】
(2)参考例2で得られたトランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸40mgをクロロホルム3mlに溶解し、塩化チオニル15μlおよびN,N−ジメチルホルムアミド1滴を加え、室温にて15時間攪拌した。反応液に実施例34(1)で得られた3−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−ナフトアミド31mgをおよびピリジン1mlを加え、室温にて12時間攪拌した。トランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸43mg、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド42mgおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジン56mgを加え、室温でさらに12時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き1/4)にて精製し、表題化合物36mgを得た。APCI−MS M/Z:491/493[M+H]
【実施例35】
【0080】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)ピリジン−2−カルボキサミド

参考例4で得られたトランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸120mgをクロロホルム3mlに溶解し、1M塩化チオニル−クロロホルム溶液540μlおよびN,N−ジメチルホルムアミド1滴を加え、室温にて7時間攪拌した。反応液に3−アミノ−N−(5−クロロピリジン−2−イル)ピリジン−2−カルボキサミド99mgおよびピリジン1mlを加え、室温にて一晩攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、表題化合物94mgを得た。APCI−MS M/Z:458/460[M+H]
【0081】
実施例36−44
対応するアミノ化合物とカルボン酸化合物を実施例35と同様の方法で処理することにより、下記表記載の化合物を得た。
【0082】


【0083】


【実施例45】
【0084】
3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−カルボン酸メチル


参考例4で得られたトランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸1193mgを塩化チオニル10mlに溶解し、室温にて18時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をトルエンで共沸後、クロロホルム7mlに溶解した。3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル79mgをピリジン3mlに溶解後、氷冷下、上記で調製したクロロホルム溶液1mlを滴下した。反応液を室温に戻し21時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて精製し、表題化合物188mgを得た。APCI−MS M/Z:367[M+H]
【0085】
実施例46−68
対応するアミノ化合物とカルボン酸化合物を実施例45と同様の方法で処理することにより、下記表記載の化合物を得た。
【0086】


【0087】


【0088】


【0089】


【0090】


【0091】


【実施例69】
【0092】
N−(5−クロロピリジン−2−イル)−3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−カルボキサミド

2−アミノ−5−クロロピリジン179mgをクロロホルム5mlに溶解し、氷冷下、0.98Mトリメチルアルミニウム−ヘキサン溶液1.42mlを滴下した。反応液を室温にて0.5時間攪拌後、実施例45で得られた3−({[トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキシル]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−カルボン酸メチル170mgを加え、18時間加熱還流した。放冷後、反応液に10%塩酸4mlを加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム)にて精製し、表題化合物172mgを得た。APCI−MS M/Z:463/465[M+H]
【0093】
実施例70−92
対応するエステルを実施例69と同様の方法で処理することにより、下記表記載の化合物を得た。
【0094】

【0095】


【0096】


【0097】


【0098】


【0099】


【0100】
実施例93−105
対応するアミノ化合物と参考例8−11で得られたカルボン酸化合物を実施例1と同様の方法で処理することにより、下記表記載の化合物を得た。
【0101】


【0102】


【0103】


【0104】
参考例1
トランス−4−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル

(1)−30℃冷却下、メタノール1500mlに塩化チオニル254mlを約1時間かけて滴下した。終了後、室温にて0.5時間攪拌した後、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸500.0gを加え室温にて17時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をn−ヘキサンにて結晶化した後、濾取、乾燥し、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチル545.0gを得た。APCI−MS M/Z:201[M+H]
【0105】
(2)参考例1(1)で得られたトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチル150.0gをテトラヒドロフラン1500mlに溶解し、氷冷下、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液149gと水13.2gの混合溶液を滴下した。反応液を室温に戻し3.5時間攪拌した後、n−ヘキサン1500mlを注ぎ、析出物を濾取した。得られた固体を氷冷下、濃塩酸50ml、水450ml、およびクロロホルム1000mlの混合溶液に加え、室温にて20分間攪拌後、クロロホルム層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をn−ヘキサンにて結晶化した後、濾取、乾燥し、トランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸106.0gを得た。ESI−MS/Z:185[M−H]
【0106】
(3)参考例1(2)で得られたトランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸100.0gをt−ブタノール1000mlに溶解し、ジフェニルリン酸アジド155gおよびトリエチルアミン78.6mlを加えた後、約60℃で1時間加熱し、さらに17時間加熱環流した。放冷後、反応液に氷水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をメタノール250mlに溶解し水750mlを加えた後、氷冷下攪拌した。0.5時間後、析出物を濾取し、水−メタノール(3:1)1000mlおよびn−ヘキサンにて順次洗浄後、乾燥し、表題化合物117.0gを得た。APCI−MS M/Z:275[M+H]
【0107】
参考例2
トランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例1で得られたトランス−4−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル234.0gをジオキサン500mlに溶解し、4規定塩化水素−ジオキサン500mlを加え、室温にて19時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁後、析出物を濾取し、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩121.9gを得た。APCI−MS M/Z:158[M+H]
【0108】
(2)参考例2(1)で得られたトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩45.31gをジクロロメタン1000mlに懸濁し、氷冷下、4−クロロブチリルクロリド31.5mlを加え、続いて、トリエチルアミン81.5mlのジクロロメタン80ml溶液を滴下した。反応液を室温に戻し3時間攪拌後、反応液を減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルおよび5%塩酸を注ぎ、有機層を分取後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、活性炭処理し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルに懸濁し、析出物を濾取後、乾燥し、トランス−4−[(4−クロロブタノイル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル38.81gを得た。APCI−MS M/Z:262/264[M+H]
【0109】
(3)60%油性水素化ナトリウム9.60gをN,N−ジメチルアセトアミド500mlに懸濁し、氷冷下、参考例2(2)で得られたトランス−4−[(4−クロロブタノイル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル52.32gを少しずつ加えた。反応液を室温に戻し24時間攪拌後、氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液および氷水を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)にて精製した後、残渣をn−ヘキサン−ジイソプロピルエーテルに懸濁した。結晶を濾取後、乾燥し、トランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル39.20gを得た。APCI−MS M/Z:226[M+H]
【0110】
(4)参考例2(3)で得られたトランス−4−(2−オキソピロリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル39.15gをメタノール400mlに溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液60mlを加え、室温にて3時間攪拌した。氷冷下、10%塩酸を注ぎ反応液をpH1〜2とし、食塩で飽和後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を少量の酢酸エチルに懸濁した後、ジイソプロピルエーテルを注ぎ、結晶を濾取した。ジイソプロピルエーテルで数回洗浄後、乾燥し、表題化合物35.94gを得た。ESI−MS M/Z:210[M−H]
【0111】
参考例3
トランス−4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例1で得られたトランス−4−[(t−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル30.00gをN,N−ジメチルホルムアミド150mlに溶解し、氷冷下、60%油性水素化ナトリウム5.60gを加えた。同冷却下、0.5時間攪拌した後、ヨウ化メチル14.5mlおよびメタノール0.15mlを順次加え、反応液を室温に戻し4時間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液および氷水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1に続き、7/1)にて精製し、トランス−4−[(t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル26.33gを得た。APCI−MS M/Z:272[M+H]
【0112】
(2)参考例3(1)で得られたトランス−4−[(t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル26.32gをジオキサン100mlに溶解し、4規定塩化水素−ジオキサン溶液100mlを加えた。反応液を室温にて4時間攪拌した後、ジイソプロピルエーテル500mlを注いだ。析出物を濾取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、乾燥し、トランス−4−(メチルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩19.01gを得た。APCI−MS M/Z:172[M+H]
【0113】
(3)参考例3(2)で得られたトランス−4−(メチルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩18.93gをジクロロメタン400mlに懸濁し、氷冷下、塩化アセチル8.42mlを加え、続いて、トリエチルアミン38.1mlのジクロロメタン40ml溶液を滴下した。反応液を室温に戻し2時間攪拌後、反応液に5%塩酸を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)にて精製し、トランス−4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル19.05gを得た。APCI−MS M/Z:214[M+H]
【0114】
(4)参考例3(3)で得られたトランス−4−[アセチル(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル19.00gをメタノール200mlに溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液60mlを加え、室温にて3時間攪拌した。氷冷下、10%塩酸を注ぎ反応液をpH1〜2とし、食塩で飽和後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を少量の酢酸エチルに懸濁した後、ジイソプロピルエーテルを注ぎ、結晶を濾取した。ジイソプロピルエーテルで数回洗浄後、乾燥し、表題化合物16.31gを得た。ESI−MS M/Z:198[M−H]
【0115】
参考例4
トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸

(1)60%油性水素化ナトリウム6.80gをN,N−ジメチルアセトアミド80mlに懸濁し、氷冷下、2−(ベンジルオキシ)エタノール12.9gのN,N−ジメチルアセトアミド50ml溶液を10分間かけて滴下した。室温で15分間撹拌した後、反応液を氷冷し、クロロ酢酸8.13gを少しずつ加え、室温で11時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで洗浄した。水層を濃塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下留去して[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸18.24gを得た。ESI−MS M/Z:209[M−H]
【0116】
(2)参考例4(1)で得られた[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸6.51g、参考例2(1)で得られたトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩5.27g、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール5.06gをN,N−ジメチルホルムアミド100mlに溶解し、氷冷下、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド7.10gとトリエチルアミン4.50mlを順次加え、室温で3日間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、トランス−4−({[2−(2−ベンジルオキシ)エトキシ]アセチル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル8.24gを得た。APCI−MS M/Z:350[M+H]
【0117】
(3)参考例4(2)で得られたトランス−4−({[2−(2−ベンジルオキシ)エトキシ]アセチル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル5.09gを酢酸150mlに溶解し、5%パラジウム−炭素1.01gを加え、常圧水素雰囲気下に室温で2.4時間撹拌した。触媒を濾別した後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して、トランス−4−{[(2−ヒドロキシエトキシ)アセチル]アミノ}シクロヘキサンカルボン酸メチル3.32gを得た。APCI−MS M/Z:260[M+H]
【0118】
(4)参考例4(3)で得られたトランス−4−{[(2−ヒドロキシエトキシ)アセチル]アミノ}シクロヘキサンカルボン酸メチル1.37gをクロロホルム15mlに溶解し、氷冷下トリエチルアミン890μlを加えた。続いて、同温にて塩化メタンスルホニル450μlを滴下した。反応液を氷冷下3時間撹拌した後、水で希釈しクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して、トランス−4−[({2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}アセチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル1.83gを得た。APCI−MS M/Z:338[M+H]
【0119】
(5)参考例4(4)で得られたトランス−4−[({2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}アセチル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル1.08gをN,N−ジメチルアセトアミド15mlに溶解し、氷冷下60%油性水素化ナトリウム135mgを加え、室温にて16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に、水と過剰の食塩を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、トランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル715mgを得た。APCI−MS M/Z:242[M+H]
【0120】
(6)参考例4(5)で得られたトランス−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル500mgを参考例2(4)と同様の方法で処理することにより、表題化合物322mgを得た。ESI−MS M/Z:226[M−H]
【0121】
参考例5
トランス−4−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例2(1)で得られたトランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル・塩酸塩5.00gをクロロホルム60mlに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン11mlを加え、続いてクロロギ酸2−クロロエチル3.3mlのクロロホルム10ml溶液を滴下した。室温にて2.5時間撹拌後、反応液に5%塩酸を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をクロロホルム−ジイソプロピルエーテルに懸濁し、析出物を濾取後、乾燥して、トランス−4−{[(2−クロロエトキシ)カルボニル]アミノ}シクロヘキサンカルボン酸メチル5.11gを得た。APCI−MS M/Z:264/266[M+H]
【0122】
(2)参考例5(1)で得られたトランス−4−{[(2−クロロエトキシ)カルボニル]アミノ}シクロヘキサンカルボン酸メチル3.70gをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解し、氷冷下、60%油性水素化ナトリウム630mgを加え、室温で16.5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、トランス−4−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル1.83gを得た。APCI−MS M/Z:228[M+H]
【0123】
(3)参考例5(2)で得られたトランス−4−(2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸メチル1.84gを参考例2(4)と同様の方法で処理することにより、表題化合物1.75gを得た。ESI−MS M/Z:212[M−H]
【0124】
参考例6
5−(2−オキソピロリジン−1−イル)ペンタン酸

(1)5−アミノ吉草酸7.35gをメタノール50mlに溶解し、氷冷下、塩化チオニル4.9mlを滴下後、反応液を室温に戻し17時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁後、析出物を濾取し、5−アミノ吉草酸メチル・塩酸塩9.93gを得た。APCI−MS M/Z:132[M+H]
【0125】
(2)参考例6(1)で得られた5−アミノ吉草酸メチル・塩酸塩1.68gをクロロホルム20mlに懸濁し、氷冷下、トリエチルアミン2.54gを加えた後、4−クロロブチリルクロリド1.55gを滴下した。反応液を室温に戻し2時間攪拌後、反応液に氷水を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、5−[(4−クロロブタノイル)アミノ]ペンタン酸メチル2.34gを得た。APCI−MS M/Z:236/238[M+H]
【0126】
(3)参考例6(2)で得られた5−[(4−クロロブタノイル)アミノ]ペンタン酸メチル2.33gをN,N−ジメチルアセトアミド20mlに溶解し、氷冷下、60%油性水素化ナトリウム0.47gを少しずつ加えた。反応液を室温に戻し20時間攪拌後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルムに続き、クロロホルム/酢酸エチル=20/1)にて精製し、5−(2−オキソピロリジン−1−イル)ペンタン酸メチル2.15gを得た。APCI−MS M/Z:200[M+H]
【0127】
(4)参考例6(3)で得られた5−(2−オキソピロリジン−1−イル)ペンタン酸メチル1.00gをメタノール20mlに溶解し、4規定水酸化ナトリウム水溶液2.5mlを加えた後、反応液を室温に戻し18時間攪拌した。反応液をジエチルエーテルで洗浄し、2規定塩酸5.0mlを加えた後、減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルムで抽出後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、表題化合物0.90gを得た。ESI−MS M/Z:184[M−H]
【0128】
参考例7
5−(3−オキソモルホリン−4−イル)ペンタン酸

(1)参考例6(1)で得られた5−アミノ吉草酸メチル・塩酸塩3.35g、参考例4(1)で得られた[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸4.63g、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール3.78gをN,N−ジメチルホルムアミド80mlに溶解し、氷冷下、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド5.37gおよびトリエチルアミン3.35mlを順次加え、室温で2日間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を氷水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、水および飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、5−({[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]アセチル}アミノ)ペンタン酸メチル5.56gを得た。APCI−MS M/Z:324[M+H]
【0129】
(2)参考例7(1)で得られた5−({[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]アセチル}アミノ)ペンタン酸メチル5.54gをテトラヒドロフラン60mlに溶解し、20%水酸化パラジウム−炭素0.5gを加え、常圧水素雰囲気下に室温で4時間撹拌した。触媒を濾別した後、濾液を減圧下濃縮し、5−{[(2−ヒドロキシエトキシ)アセチル]アミノ}ペンタン酸メチル3.76gを得た。APCI−MS M/Z:234[M+H]
【0130】
(3)参考例7(2)で得られた5−{[(2−ヒドロキシエトキシ)アセチル]アミノ}ペンタン酸メチル1.17gをクロロホルム15mlに溶解し、氷冷下トリエチルアミン0.84mlを加えた。続いて、同温にて塩化メタンスルホニル0.43mlを滴下した。反応液を室温に戻し1時間撹拌した後、氷水を注ぎクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して、5−[({2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}アセチル)アミノ]ペンタン酸メチル1.51gを得た。APCI−MS M/Z:312[M+H]
【0131】
(4)参考例7(3)で得られた5−[({2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}アセチル)アミノ]ペンタン酸メチル1.48gをN,N−ジメチルアセトアミド22mlに溶解し、氷冷下60%油性水素化ナトリウム0.20gを加え、室温にて18時間撹拌した。反応液に氷水を注いだ後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1に続き、酢酸エチル)にて精製し、5−(3−オキソモルホリン−4−イル)ペンタン酸メチル0.93gを得た。APCI−MS M/Z:216[M+H]
【0132】
(5)参考例7(4)で得られた5−(3−オキソモルホリン−4−イル)ペンタン酸メチル500mgをメタノール10mlに溶解し、水酸化ナトリウム(0.40g)水溶液2mlを加えた後、反応液を室温に戻し17時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、2規定塩酸で中和した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルムで抽出後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧下留去することにより、表題化合物0.35gを得た。ESI−MS M/Z:200[M−H]
【0133】
参考例8
トランス−4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例1(2)で得られたトランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸20.0gをクロロホルム200mlに溶解し、氷冷下、塩酸ジメチルアミン10.5g、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド24.7g、およびトリエチルアミン26.0gを加え、室温にて17時間攪拌した。反応液に氷水を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルムに続き、クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、トランス−4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロヘキサンカルボン酸メチル20.1gを得た。APCI−MS M/Z:214[M+H]
【0134】
(2)参考例8(1)で得られたトランス−4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロヘキサンカルボン酸メチル20.0gをメタノール100mlに溶解し、水酸化ナトリウム7.50gを水40mlに溶解した溶液を加え、室温にて18時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣を氷水で希釈後、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた水層を10%塩酸で酸性とした後、クロロホルムで2回抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮し得られた残渣をn−ヘキサンに懸濁後濾取し、表題化合物15.7gを得た。ESI−MS M/Z:198[M−H]
【0135】
参考例9
トランス−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例1(2)で得られたトランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸20.0gをクロロホルム200mlに溶解し、氷冷下、ピロリジン9.2g、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド24.7g、およびトリエチルアミン13.6gを加え、室温にて17時間攪拌した。反応液に氷水を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルムに続き、クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、トランス−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル11.8gを得た。APCI−MS M/Z:240[M+H]
【0136】
(2)参考例9(1)で得られたトランス−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル11.7gをメタノール50mlに溶解し、水酸化ナトリウム3.95gを水20mlに溶解した溶液を加え、室温にて18時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣を氷水で希釈後、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた水層を10%塩酸で酸性とした後、クロロホルムで2回抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮し、得られた残渣をn−ヘキサンに懸濁後濾取し、表題化合物10.1gを得た。ESI−MS M/Z:224[M−H]
【0137】
参考例10
トランス−4−(モルホリン−4−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸

(1)参考例1(2)で得られたトランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸800mgをクロロホルム30mlに溶解し、氷冷下、モルホリン560mg、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド1.24g、およびトリエチルアミン650mgを加え、室温にて19時間攪拌した。反応液に氷水を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルムに続き、クロロホルム/メタノール=30/1)にて精製し、トランス−4−(モルホリン−4−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル897mgを得た。APCI−MS M/Z:256[M+H]
【0138】
(2)参考例10(1)で得られたトランス−4−(モルホリン−4−イルカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル860mgをメタノール40mlに溶解し、4規定水酸化ナトリウム水溶液1.68mlを加え、室温にて18時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣を氷水で希釈後、10%塩酸で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下濃縮し、表題化合物638mgを得た。ESI−MS M/Z:240[M−H]
【0139】
参考例11
トランス−4−{[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]カルボニル}シクロヘキサンカルボン酸


(1)参考例1(2)で得られたトランス−4−(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸8.84gをクロロホルム100mlに溶解し、氷冷下、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール7.14g、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド10.00g、およびN,N,N’−トリメチルエチレンジアミン5.33gを加え、室温にて4時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=200/10/1)にて精製し、トランス−4−{[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]カルボニル}シクロヘキサンカルボン酸メチル11.98gを得た。APCI−MS M/Z:271[M+H]
【0140】
(2)参考例11(1)で得られたトランス−4−{[[2−(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]カルボニル}シクロヘキサンカルボン酸メチル6.32gをメタノール20mlに溶解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液25mlを加え、室温にて3時間攪拌した。反応液に1規定塩酸25mlを加えた後、反応液を減圧下濃縮した。残渣を凍結乾燥し、等モルの食塩を含む粗体として、表題化合物6.71gを得た。APCI−MS M/Z:257[M+H]
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明の化合物[1]またはその薬理的に許容しうる塩は、低毒性で安全であり、優れたFXa阻害作用を有することから、血栓または塞栓により引き起こされる疾患の予防または治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1]:

(式中、Xは式:−N=または式:−CH=で示される基を示す。YおよびYは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、低級アルキルカルバモイル基およびフェニル基から選ばれる基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示す。Rは、式:−CO−R21−R22で示される基を示す。R21は、低級アルキレン基またはシクロアルカンジイル基を示す。R22は、

を示す。R23およびR24は、同一または異なって、低級アルキル基または低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ低級アルキル基を示すか、あるいはR23及びR24が互いに末端で結合して隣接する式:−N−C(=O)−で示される基とともに置換されていてもよい含窒素飽和異項環基を形成する。R25およびR26は、同一または異なって、低級アルキル基または低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ低級アルキル基を示すか、あるいはR25及びR26が互いに末端で結合して隣接する窒素原子とともに置換されていてもよい含窒素飽和異項環基を形成する。環Aは、芳香族炭化水素環、単環式複素芳香環または縮合チオフェン環を示す。)により表されるアミド型カルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩。
【請求項2】
環Aが、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピラゾール、ベンゾチオフェンまたはチエノピリジンである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、

であり、R22が、

であり、




である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
がハロゲン原子または低級アルキル基であり、R

であり、R22

であり、


であり、YおよびYが、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基およびカルボキシル基から選ばれる基である請求項2記載の化合物。
【請求項5】


である請求項4記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩の有効量を血栓症の患者に投与する血栓症の治療方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその薬理的に許容し得る塩の血栓症の患者の治療への使用。

【国際公開番号】WO2005/030706
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514202(P2005−514202)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013892
【国際出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】