説明

アルコール溶媒中での有機フルオロ化合物の調製方法

本発明は、放射性同位元素フッ素18を含んだ有機フルオロ化合物の調製方法に関するもので、より詳細には、放射性同位元素フッ素18を含んだフッ素塩とアルキルハライドまたはアルキルスルホナートとを反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、下記の化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用することによって、有機フルオロ化合物を高収率で調製する有機フルオロ化合物の調製方法に関するものであり、本発明による合成は、穏和な反応条件下で行うことができ、反応時間を短縮させるだけではなくその収率を顕著に向上させることにより、有機フルオロ化合物の大量生成に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素フッ素18を含んだ有機フルオロ化合物の調製方法に関するもので、より詳細には、放射性同位元素フッ素18を含んだフッ素塩をアルキルハライドまたはアルキルスルホナートと反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、下記の化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用することによって、前記有機フルオロ化合物を高収率で調製することができる有機フルオロ化合物の調製方法に関するものである。
【0002】
化学式1
【化1】

【0003】
(式中、R、R、及びRは、水素またはC〜C18アルキル基である。)
【背景技術】
【0004】
フッ素原子は、水素原子と大きさがほとんど同じで、強い極性をおよび疎水性の性質を有している。このようなフッ素原子を含む有機フルオロ化合物は、一般的な有機化合物とは異なり特異な化学的、生理学的特性を有していて、医薬、農薬、染料、高分子等に有用に使用される(Gerstenberger,M.R.C.;Haas,A.Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.1981年,第20巻,647頁;Filler,R.In Organofluorine Compounds in Medicinal Chemistry and Biomedical Applications,Filler,R.,Ed.,Studies in Organic Chemistry48,Elservier,NewYork,1993年,1−23頁)。
【0005】
一般的に有機フルオロ化合物は、下記のスキーム1のように、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートとフッ素塩とを反応させることによるフルオライドの置換反応から調製される。
【0006】
スキーム1
【化2】

【0007】
前記アルキルハライド中のハライドは、Fを除いたCl、Br、Iからなる群から選択される。アルキルスルホナート中のスルホナートは、−SO12であり、R12はアルキル基またはアリール基である。アルキル基は、好ましくはC〜C12アルキルスルホナートまたはハロC〜C12アルキル基であって、例えば、メタンスルホナート、エタンスルホナート、イソプロパンスルホナート、クロロメタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート及びクロロエタンスルホナートからなる群から選択されるものである。アリール基は、フェニル基、C〜Cのアルコキシフェニル基、ハロフェニル基、C〜Cのアルコキシフェニル基、またはニトロフェニル基から選択されることが好ましく、その好ましい例としては、メチルフェニルスルホナート;エチルフェニルスルホナート;クロロフェニルスルホナート、ブロモフェニルスルホナート、メトキシフェニルスルホナートまたはニトロフェニルスルホナートがある。
【0008】
ここで、フルオライドの供給源としてのフッ素塩(MFn)は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムなどのアルカリ金属を含むアルカリ金属フルオライド;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムなどのアルカリ土類金属を含むアルカリ土類金属フルオライド;及びアンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムなどのアンモニウムの誘導体を含むアンモニウムフルオライドからなる群より選択される。
【0009】
一般的に、親核性フルオロ化反応は、フッ素塩の溶解度を増加させてフルオライドの反応性を増加させるために、アセトニトリル(CHCN)、DMF、及びDMSOのような極性非プロトン性(aprotic)溶媒下で反応させることが知られている。プロトン性(protic)溶媒であるアルコールは、親核性フルオロ化反応に適合しない溶媒として知られている。さらに、アルコール溶媒は、フッ素供給源であるフルオライドと水素結合を形成して、親核性フルオロ化反応における反応性を低下させることが知られている(Smith,M.D.;March,J.Advanced Organic Chemistry,5th ed.;Wiley−Interscience:NewYork,2001年;389−674頁)。
【0010】
前記有機フルオロ化合物を調製する方法において、アルキルハライド及びカリウムフルオライドをエチレングリコール溶媒条件下で反応させて、アルキルフルオライドを調製した方法が報告されたことがある(Hoffmann,F.W.J.Am.Chem.Soc.,1948年,第70巻,2596頁)。しかし、前記方法は、前記カリウムフルオライドの低い溶解度に起因して反応性が落ちるので、有機フルオロ化合物の調製時に140℃以上の高温で長期間反応させなければならず、収率が低いという短所を有する。
【0011】
前記フッ素塩の溶解度を改善してフルオライドの反応性を高めるために、金属イオンと強い結合をする18−クラウン−6エーテルを触媒に使用して、80〜90℃の相対的に低い温度及び穏和な条件で優秀な収率で有機フルオロ化合物を調製した例が報告されている(Liotta,C.L.;Harris,H.P.J.Am.Chem.Soc.,1974年,第96巻,2250頁)。しかし、この方法は、18−クラウン−6−エーテルが高価であり、長い反応時間が必要であり、フルオライドが塩基と作用して副反応物であるアルケンを多量に生成するという短所を有する。
【0012】
有機フルオロ化合物の調製においてフッ素塩を使用する場合、下記のスキーム2に示されるような副反応を伴うことが知られている。
【0013】
スキーム2
【化3】

【0014】
その一例として、フッ素塩として、テトラブチルアンモニウムフルオライドを使用した場合、穏和な反応条件で優秀な収率で有機フルオロ化合物を調製した結果が報告されている(Cox,D.P.;Terpinski,J.;Lawrynowicz,W.J.Org.Chem.1984年,第49巻,3216頁)。しかし、前記テトラブチルアンモニウムフルオライドは、水によって生じる副反応物であるアルコールが多量に生成される問題点、およびテトラブチルアンモニウムフルオライドの高い塩基度に起因する別の副反応物としてアルケンが生成される問題点を伴う。
【0015】
ゆえに、フッ素塩とアルキルハライドまたはアルキルスルホナートとを反応させることによる有機フルオロ化合物の調製のために、フッ素塩の反応性を向上させて反応時間を短縮させ、水分の影響を除去し、フルオライド自体が有している塩基度を最小化して、であるアルケンおよびアルコールなどの副反応物の形成を減らすことができる調製方法が求められている。
【0016】
以上のことに鑑みて、本発明者等は、前記の問題点の解決を試みた。本発明は、フッ素塩とアルキルハライドまたはアルキルスルホナートとを反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法であって、図1に説明される反応に従って進行されるものと考えられるが、必ずしもこのような理論に拘束されるものではない。本発明者らは、アルコール溶媒が、フッ素金属塩との水素結合を通じて金属陽イオンとフッ素陰イオン間のフルオライドのイオン結合を弱化させることにより、フッ素塩の親核性置換反応性を増加させること、および、フルオライドの水素結合を通じてフルオライドの塩基度を弱化させることによって、フルオロ化反応時に塩基度の影響による副反応が抑制されることを発見し、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートとフッ素塩とを反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、金属陽イオンとフッ素陰イオンとの間のフルオライドのイオン結合を弱化させて、前記フッ素塩の溶解度を増加させることと同時に、フルオライドの反応性を向上させて反応時間を短縮させ、水分の影響を除去し、フルオライド自体が有している塩基度を弱化させてフッ素塩の親核性置換反応性を増加させ、同時に、副反応物の生成を減らすことによって、前記有機フルオロ化合物を高収率で調製することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明は、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートとフッ素塩とを反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、下記の化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用することを特徴とする、有機フルオロ化合物の調製方法を提供する。
【0019】
化学式1
【化4】

【0020】
(式中、R、R、及びRは、水素またはC〜C18アルキル基である。)
【0021】
本発明において、有機フルオロ化合物とは、フッ素18及び/またはフッ素19を含む有機フルオロ化合物を意味する。
【0022】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコール中、前記Rは、好ましくは水素またはC〜C18アルキル基であり;前記Rは、水素またはC〜C18アルキル基であり;及び前記Rは、水素またはC〜C18アルキル基であり得るが、より好ましくは、前記Rがメチル基またはエチル基であり;前記Rはメチル基またはエチル基であり;及び前記Rはメチル基またはエチル基である。
【0023】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1のアルコールは、好ましくは、メタノール、エチルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプタノール、n−オクタノール等の1級アルコール;イソプロパノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、3−ペンタノール等の2級アルコール;t−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−シクロプロピル−2−プロパノール、2−シクロプロピル−2−ブタノール、2−シクロプロピル−3−メチル−2−ブタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、1−エチルシクロヘキサノール、1−メチルシクロヘプタノール等の3級アルコールからなる群から選択され得るが、3級アルコールであるt−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール及び2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノールの中から選択することがより好ましい。
【0024】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記フッ素塩は、好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選択されるアルカリ金属を含んでなるアルカリ金属フルオライド;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択されるアルカリ土類金属を含んでなるアルカリ土類金属フルオライド;及びアンモニウムフルオライドの中から選択され得るが、セシウムフルオライドまたはアンモニウムフルオライドがより好ましい。
【0025】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記アンモニウムフルオライドは、好ましくは、テトラブチルアンモニウムフルオライド及びベンジルトリメチルアンモニウムフルオライドを含む4級アンモニウムフルオライド;トリエチルアンモニウムフルオライド、トリブチルアンモニウムフルオライドを含む3級アンモニウムフルオライド;ジブチルアンモニウムフルオライド、ジヘキシルアンモニウムフルオライドを含む2級アンモニウムフルオライド;ブチルアンモニウムフルオライド、ヘキシルアンモニウムフルオライドを含む1級アンモニウムフルオライドからなる群から選択することができるが、テトラブチルアンモニウムフルオライドがより好ましい。
【0026】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記セシウムを含むアルカリ金属フルオライドまたはテトラアルキルアンモニウムフルオライドは、セライト(Celite)、モレキュラーシーブ(MolecularSeive)、アルミナ及びシリカゲルの中から選択されたいずれか一つの支持体によって吸着されたものが好ましい。
【0027】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、フッ素塩とアルコールとの最も好ましい組み合わせとしては、前記フッ素塩が金属フルオライドまたはテトラアルキルアンモニウムフルオライドであり、より具体的には、セシウムフルオライドまたはテトラブチルアンモニウムフルオライドであり;好ましいアルコールは、t−ブタノールまたはt−アミルアルコールなどの3級アルコールである。
【0028】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記フッ素塩は、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートに対して1.0〜10当量使用することが好ましい。
【0029】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式2で表わされる[18F]フルオロデオキシグルコースであることが可能である。
【0030】
化学式2
【化5】

【0031】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式3で表わされる[18F]フルオロミソニダゾールであることが可能である。
【0032】
化学式3
【化6】

【0033】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式4で表わされる[18F]フルオロエストラジオールであることが可能である。
【0034】
化学式4
【化7】

【0035】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式5で表わされる[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンであることが可能である。
【0036】
化学式5
【化8】

【0037】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式6で表わされる[18F]フルオロDDNPであることが可能である。
【0038】
化学式6
【化9】

【0039】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式7で表わされる[18F]フルオロチミジンであることが可能である。
【0040】
化学式7
【化10】

【0041】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式8で表わされる[18F]フルオロコリンであることが可能である。
【0042】
化学式8
【化11】

【0043】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式9で表わされる[18F]フルオロエチルコリンであることが可能である。
【0044】
化学式9
【化12】

【0045】
本発明による有機フルオロ化合物の調製方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒に使用して調製される有機フルオロ化合物は、下記の化学式10で表わされる[18F]フルオロプロピルコリンであることが可能である。
【0046】
化学式10
【化13】

【0047】
本発明によれば、アルコール溶媒がフルオライドと水素結合を形成して、それによりフッ素塩の親核性置換反応を増加させることで、従来、金属陽イオンとフッ素陰イオンとの間のフルオライドのイオン結合に起因してフルオライドの反応性が低いという問題点を克服し、反応時間を短縮させ、同時に副反応を抑制して最終生成物である有機フルオロ化合物を高収率で調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0049】
本発明は、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートをフッ素塩と反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、前記化学式1で表わされるアルコールを溶媒として使用して0〜150℃で0.5〜24時間反応させることが好ましいが、20〜120℃で1〜10時間反応させることがより好ましく、さらに好ましくは40〜100℃で1.5〜6時間反応を行うことである。
【0050】
前記化学式1で表されるアルコールの沸騰点、水との親和力、化学的安定性及び反応性は、アルキル基の組成に依存する。
【0051】
アルコールのアルキル基の炭素数およびアルキル置換基数が多くなると、アルコールの沸点と融点が高くなる。高い沸点および融点ヲ有するアルコールは、反応溶媒として不適切であるかまたは固体の状態で存在する。また、アルキル基の炭素数が少ないかまたはアルキル置換基数が少ないアルコールは、アルコールの立体障害(sterichindrance)に起因してアルコール溶媒自体の反応性が増大し、溶媒として不適切である。
【0052】
このような効果を考慮すると、前記Rは、水素またはC〜C18アルキル基であることが好ましいが、C〜C16アルキル基がより好ましく、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0053】
前記Rは、水素またはC〜C18アルキル基であることが好ましいが、C〜C16アルキル基がより好ましく、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0054】
また、前記Rは、水素またはC〜C18アルキル基であることが好ましいが、C〜C16アルキル基がより好ましく、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0055】
上記のアルコールの例としては、アルコールは、メタノール、エチルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプタノール、n−オクタノール等の1級アルコール;イソプロパノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、3−ペンタノール等の2級アルコール;
【0056】
t−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−シクロプロピル−2−プロパノール、2−シクロプロピル−2−ブタノール、2−シクロプロピル−3−メチル−2−ブタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、1−エチルシクロヘキサノール、1−メチルシクロヘプタノール等の3級アルコールからなる群から選択することができるが、3級アルコールであるt−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノールまたは2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノールを使用することがより好ましい。
【0057】
本発明のアルコール溶媒は、金属フルオライド及びテトラアルキルアンモニウムフルオライドとの水素結合の形成を通じて金属陽イオンとフッ素陰イオンと間のフルオライドのイオン結合を弱化させることにより、フッ素塩の親核性置換反応を増加させ、またフルオライドの塩基性を弱化させて副反応を抑制する。
【0058】
本発明の方法は、図1に概略的に示された反応スキームに従って進行すると考えられるが、必ずしもこれに理論的に拘束されるものではない。さらに、アルコールがアルキルスルホナートと水素結合を形成するので、アルキルスルホナートの反応がアルキルハライドの反応より効果的であることを見出した。
【0059】
有機フルオロ化合物調製時にフルオライドイオンを提供するフッ素塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選択されるアルカリ金属を含んでなるアルカリ金属フルオライド;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択されるアルカリ土類金属を含んでなるアルカリ土類金属フルオライド;及びアンモニウムフルオライドから選択して使用することができる。
【0060】
前記アンモニウムフルオライドが、テトラブチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド等の4級アンモニウムフルオライド;トリエチルアンモニウムフルオライド、トリブチルアンモニウムフルオライド等の3級アンモニウムフルオライド;ジブチルアンモニウムフルオライド、ジヘキシルアンモニウムフルオライド等の2級アンモニウムフルオライド;ブチルアンモニウムフルオライド、ヘキシルアンモニウムフルオライド等の1級アンモニウムフルオライドからなる群から選択されたものを使用することができる。最も好ましくは、セシウムフルオライドまたはテトラブチルアンモニウムフルオライドを使用する。
【0061】
このようなセシウムを含んだアルカリ金属フルオライド及びテトラアルキルアンモニウムフルオライドは、多様な支持体に吸着された形態で使用することができ、その一例としては、セライト(Celite)、モレキュラーシーブ(MolecularSeive)、アルミナ、シリカゲル等の支持体に吸着されたセシウムフルオライドまたはテトラブチルアンモニウムフルオライドを使用する。フッ素19を使用する反応の場合、フッ素塩はアルキルハライドまたはアルキルスルホナートに対して、1.0〜10.0当量で添加し、3.0〜6.0当量で使用することがより好ましい。前記フッ素塩が前記範囲より少なく添加される場合には収率が落ちる一方、前記範囲を超過して添加される場合には高い収率は維持されるが、フッ素塩が浪費されるので好ましくない。
【0062】
同様の理由により、フッ素18の場合、前記フッ素塩はアルキルハライドまたはアルキルスルホナートに対して、極微量の[18F]フルオライドで使用することが好ましいが、より好ましくは前記アルキルハライドまたはアルキルスルホナート1mgに対して1pg乃至100ngの[18F]フルオライドで使用することが好ましい。
【0063】
一方、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートとポジトロン放出放射性同位元素フッ素18のフッ素塩を反応させると、フッ素18で標識された有機フルオロ化合物を調製することができる。ここで、放射性同位元素であるフッ素塩のフッ素は詳細には、フッ素18すなわち[18F]フルオロライドである。
【0064】
アルキルハライドまたはアルキルスルホナートとフッ素塩を反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法において、3級アルコールを反応溶媒として使用して副反応を抑制して選択的に主産物である有機フルオロ化合物を90%より高いの収率で調製することができる。
【0065】
一方、本発明のある態様によれば、従来有機フルオロ化合物の調製に使用される極性非プロトン性溶媒であるアセトニトリルまたはDMFの場合は、フッ素塩の低い溶解度に起因して収率が低い。無極性溶媒である1,4−ジオキサンまたはベンゼンを使用して反応を行うと、有機フルオロ化合物が全く生成されない(表1を参照)。
【0066】
結論として、本発明において使用されるアルコール溶媒は、アルカリ金属フルオライド及びテトラアルキルアンモニウムフルオライドとの水素結合の形成を通じて金属陽イオンとフッ素陰イオンとの間のイオン結合を弱化させて、フッ素塩の親核性置換反応を増加させることにより、従来方法におけるフッ素塩の強いイオン結合に起因する低い反応性の問題点を克服することができると同時に、フッ素塩の反応性及び反応速度を増加させて反応時間を短縮するのみならず、本発明の有機フルオロ化合物を高収率で得ることができる。
【0067】
さらに、プロトン性溶媒であるアルコールは、フルオライドとの水素結合の形成を通じてフルオライドの塩基度を弱化させることにより、フルオロ化反応中の塩基度の影響に起因する副反応物の形成を抑制することができる。それによって、副反応物であるアルコール及びアルケンの生成を減らすことができる。
【0068】
本発明によって前記化学式1のアルコールを反応溶媒として使用して有機フルオロ化合物を調製する方法は、従来の調製方法より穏和な反応条件下において、より高い収率において、より短い反応時間で有機フルオロ化合物を合成することができる。本発明者によって既に開示された別の調製方法も充分高い収率を出すことができる(Kim,D.W.;Song,C.E.;Chi,D.Y.J.Am.Chem.Soc.2002年,第124巻,10278−10279頁)。しかし、前記の論文による方法は、高価なイオン液体を使用するので経済的な欠点があるが、本発明は非常に手頃なアルコールを使用することを特徴にしている。
【0069】
前記の従来の方法は、非極性有機フルオロ化合物を合成するのには非常に有用である。例えば、18Fで標識された有機フルオロ化合物を高い収率で調製することができる(Kim,D.W.;Choe,Y.S.;Chi,D.Y.Nucl.Med.Biol.2003年,第30巻,345−350頁)。しかし、18F標識放射性医薬を実際に合成する場合、18F標識放射性医薬の大部分は極性であるので、イオン性液体からの分離が非常に難しいという問題がある。
【0070】
従って、本発明は、18F標識放射性医薬の合成において、重要な用途を有する。本発明は、18F標識放射性医薬の調製のための多様な応用を含んでいて、本発明の例示的な実施形態は、既存の18F標識放射性医薬への適用を意図する。
【0071】
以下、本発明を下記の実施例への参照によってさらに詳しく説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例だけに限定されるものではなく、当業界の通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に対して多様な変形及び変更を加えることができ、それも本発明の範囲に属するようになることが理解される。
【0072】
<実施例1>
有機フルオロ化合物の調製1
2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(280mg、1.0mmol)とセシウムフルオライド(456mg、3.0mmol)をt−ブタノール4.0mlの溶媒に添加した。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。金属塩を除去するため、前記反応混合物にエチルエーテル7ml添加した後、ろ過し、ろ過物を減圧蒸留器で濃縮させた。前記濃縮液をカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:n−ヘキサン=1:20)によって、2−(3−フルオロプロポキシ)ナフタレン(188mg、92%)を得た。
【0073】
<実施例2〜7>
有機フルオロ化合物の調製2〜7
アルコール溶媒の種類、反応温度及び反応時間を下記の表1のように変化させたことを除き、前記実施例1と同一方法で実施した。表1に示すように、有機フルオロ化合物を調製した、下記の化学式3は、前記有機フルオロ化合物の調製時に得られる生成物である、2−(3−フルオロプロポキシ)ナフタレン(A)、2−(3−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン(B)、2−(アリルオキシ)ナフタレン(C)及び2−(3−アルコキシプロポキシ)ナフタレン(D)を示す。
【0074】
<比較例1>
有機フルオロ化合物の調製1
2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(280mg、1.0mmol)およびセシウムフルオライド(456mg、3.0mmol)を、アルコール溶媒の代わりに、アセトニトリル(CHCN)4mlに添加した。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。
【0075】
前記実験の結果、反応がほとんど進行しなかったので、有機フルオロ化合物の調製時にアルコール溶媒の役割が必須であることを確認した。
【0076】
<比較例2>
有機フルオロ化合物の調製2
2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(280mg、1.0mmol)およびセシウムフルオライド(456mg、3.0mmol)を、アルコール溶媒の代わりに、DMF4mlに添加した。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。
【0077】
反応の後で、33%の反応物が未だ残っていた。大量のアルコールおよびアルケンの副生成物が形成された。有機フルオロ化合物の調製時にアルコール溶媒の役割が必須であることを確認した。
【0078】
<比較例3〜4>
有機フルオロ化合物の調製3〜4
2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(280mg、1.0mmol)およびセシウムフルオライド(456mg、3.0mmol)を、アルコール溶媒の代わりに、1,4−ジオキサンまたはベンゼン4mlに添加した。この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。
【0079】
前記実験の結果、反応が全く進行されず、有機フルオロ化合物の調製時にアルコール溶媒の役割が必須であることを確認した。
【0080】
<比較例5〜6>
有機フルオロ化合物の調製5〜6
フッ素塩とアルコール溶媒との間の水素結合による反応性増加を確認するために、アルコールとの水素結合を形成できない臭化カリウムをフッ素塩の代わりに使用して実施例1と同一の方法で反応を行った。
【0081】
前記実験の結果、ブロム化反応がほとんど進行されず、有機フルオロ化合物の調製時にアルコール溶媒とフッ素塩との間の水素結合がフッ素塩の反応性増加に必須な役割をすることを確認した。
【0082】
表1
【表1】

【0083】
スキーム3
【化14】

【0084】
表1のデータは、セシウムフルオライドをフッ素供給源として使用し、3級アルコールであるt−ブタノールとt−アミルアルコールを溶媒として使用した場合、有機フルオロ化合物である2−(3−フルオロプロポキシ)ナフタレン(A)が92%の収率で調製されることを示す(実施例1、実施例3、及び実施例4)。
【0085】
また、フッ素供給源としてセシウムフルオライドの代わりにテトラブチルアンモニウムフルオライドを使用した場合も、主生成物を90%以上の高い収率で得ることができ(実施例7)、ルビジウムフルオライドを使用した場合も、反応時間は長くなるがフルオロ化反応が進行された(実施例5)。
【0086】
一方、従来、有機フルオロ化合物の調製時に使用される極性非プロトン性溶媒を使用した比較例1および比較例2の場合、ならびには非極性溶媒を使用した場合は、反応混合物は6時間処理された。反応が全く起きないか、または多量の副生成物が形成され、生成物の収率はわずか48%の収率であった。この結果から、有機フルオロ化合物調製時にアルコール溶媒の役割が必須であることを確認した。また、1級アルコールであるn−ブタノールを溶媒として使用する場合、のエーテル副産物である2−(3−n−ブトキシプロポキシ)ナフタレン(D)(30%)が生成される。この結果は、1級または2級アルコールの代わりに、3級アルコールを溶媒として使用することによって、副反応物であるエーテル化合物の生成を抑制できることを示す。
【0087】
そして、比較例5と比較例6は、フッ素塩とアルコール溶媒との間の水素結合による反応性増加を確認するために、水素結合を形成し得ない臭化カリウムをフッ素塩の代わりに使用する。ブロム化反応がほとんど進行しないことを確認し、これは有機フルオロ化合物の調製時にアルコール溶媒とフッ素塩との間の水素結合が、有機フルオロ化合物の調製においてフッ素塩の反応性を増加するために必須であることを確認した。
【0088】
<実施例8>
有機フルオロ化合物の調製8
2−(3−トルエンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(356mg、1.0mmol)およびセシウムフルオライド(456mg、3.0mmol)を、反応容器中で4.0mlのt−アミルアルコールに添加した。この反応混合物を90℃で2時間撹拌した。エチルエーテル7mlを添加して金属塩を除去し、ろ過後、ろ過物を減圧蒸留器を使用して濃縮させた。前記濃縮液をカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:n−ヘクサン=1:20)によって、2−(3−フルオロプロポキシ)ナフタレン(190mg、収率93%)を得た。
【0089】
<実施例9〜14>
有機フルオロ化合物の調製9〜14
2−(3−トルエンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレンの代りに表2に表示す数種のアルキルハライドまたはアルキルスルホナート1.0mmolを使用することを除き、前記実施例8と同一の方法で遂行した。
【0090】
表2
【表2】

【0091】
前記表2の結果にみられるように、使用されたアルキルハライドまたはアルキルスルホナートに従って、25〜110℃で1.5〜24時間反応を行う。高い収率で有機フルオロ化合物が調製されたことを確認した。
【0092】
<実施例15>
有機フルオロ化合物の調製15
18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)の調製
スキーム4に[18F]フルオロデオキシグルコースの合成過程が示される。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(300μlの水中、16mg)とKryptofix 222(300μlアセトニトリル中、22mg)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させた。500μl×3のアセトニトリル溶媒を使用して、[18F]フルオライドを乾燥させた。溶液に20mgのマンノーストリフレートを添加し、次いでt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール300μlとアセトニトリル300μlとを含む混合溶液を添加し、100℃で15分間反応させた。反応終了後、溶媒を95℃で窒素気体を使用して除去し、500μlの2NNaOH溶液を添加した。常温で2分間加水分解反応を実施し、次いで反応物を3mlの水を添加して希釈した。反応混合物を、中性アルミナカートリッジ、tC18カートリッジ、そしてIC−Hカートリッジを逐次通過させて、純粋な[18F]フルオロデオキシグルコースを得た。前記条件で実験時、減弱補正(attenuation corrected)された放射化学的収率は95.1±2.7%であり、放射化学的純度は98.2±1.3%であった。
【0093】
スキーム4
【化15】

【0094】
<実施例16>
有機フルオロ化合物の調製16
18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)の自動化調製
実施例15の条件を適用して[18F]フルオロデオキシグルコースの自動化調製を実施した。自動化調製に使用した装置は、GE TracerLab MXで、作動プログラムを[18F]フルオロデオキシグルコースの調製に適合するように修正した。調製には、使い捨てカセットを使用し、使い捨てカセットの概念図を図2に示す。
【0095】
GE TracerLab MX用使い捨てカセットを自動化装置に装着後、10mlのV1バイアルにアセトニトリル7ml、10mlのV2バイアルに20mgのマンノーストリフレート(1.2mlのt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコールおよび0.8mlのアセトニトリル)、10mlのV3バイアルにエチルアルコール5ml、V4バイアルには5mlの1N HCl溶液およびバッファー溶液、ならびに、2mL注射器には2N NaOH溶液2mlを各々入れた。
【0096】
サイクロトロン中で1000mCiの[18F]フルオライドを酸素18標識水から調製し、次いで、[18F]フルオライドをヘリウム気体圧力によってGE TracerLab MX自動化装置に移した。移された[18F]フルオライドは、自動化装置内のイオン交換樹脂カートリッジに吸着して、酸素18は酸素18水貯蔵装置に回収される。吸着した[18F]フルオライドは、炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)混合溶液またはテトラブチルアンモニウム塩溶液によって反応容器に溶出した後、V1のアセトニトリル1mlを使用して完全に乾燥した。乾燥した[18F]フルオライドを含有する反応容器にV2のマンノーストリフレート溶液を添加した後、100℃で15分間反応後、反応溶媒を全て除去した。V1のアセトニトリル1mlを反応容器に添加した後、図2の注射器1へ混合物を移した。水25mlを加えて反応中間体を希釈した後、tC18カートリッジに反応中間体を吸着させた。吸着した反応中間体に2mL注射器の2N NaOH溶液を加えて加水分解後、中性アルミナカートリッジおよびtC18カートリッジを通過させて精製した後、純粋な[18F]フルオロデオキシグルコースを得た。前記条件で自動化調製をした場合、減弱補正された放射化学的収率は75.1±7.4%であり、放射化学的純度は98.2±1.2%であった。
【0097】
<実施例17>
有機フルオロ化合物の調製17
18F]フルオロミソニダゾール(FMISO)の調製1
スキーム5に[18F]フルオロミソニダゾールの調製過程を示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを、炭酸セシウム(2mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム塩溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に10mgの1−(1,2−エポキシプロピル)−2−ニトロイミダゾールを添加後、t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlの混合液を添加後、100℃で15分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を除去して、反応容器に200μlのアセトニトリルと1000μlの水を添加後、高圧液体クロマトグラフィーを使用して精製し、純粋な[18F]フルオロミソニダゾールを得た。高圧液体クロマトグラフィーの条件は、以下の通りである;
Alltech Econosil C18カラムを使用し、水:エチルアルコール=95:5の混合液を、5mL/分の流速で使用し、254nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、75.4±3.1%の吸収補正された放射化学的収率を得、放射化学的純度は98.1±0.7%であった。
【0098】
スキーム5
【化16】

【0099】
<実施例18>
有機フルオロ化合物の調製18
18F]フルオロミソニダゾール(FMISO)の調製2
スキーム6に他の方法の[18F]フルオロミソニダゾールの調製過程を示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを、炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。この溶液に10mgの1−(2−ニトロ−1−イミダゾイル)−2−O−テトラヒドロピラニル−3−O−トルエンスルホニルオキシプロパンジオールを添加する。t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlとの混合溶液を添加後、100℃で10分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去して、反応容器に200μlのアセトニトリルと500μlの1NHClを添加して、100℃で5分間加水分解を実施した。加水分解後、高圧液体クロマトグラフィーを使用して精製し、純粋な[18F]フルオロミソニダゾールを得た。高圧液状クロマトグラフィーの条件は、Alltech Econosil C18カラムを使用し、水:エチルアルコール=95:5の混合液を5ml/分の流速で使用し、254nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は82.1±1.1%であり、放射化学的純度は98.1±1.5%であった。
【0100】
スキーム6
【化17】

【0101】
<実施例19>
有機フルオロ化合物の調製19
18F]フルオロエストラジオール(FES)の調製
スキーム7に[18F]フルオロエストラジオールの調製過程を示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを、炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。この溶液に3mgの3−O−メトキシメチル−16β,17β−エピエストリオール−O−サイクロスルホンを添加し、t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール400μlとアセトニトリル100μlとの混合液を添加後、100℃で15分間反応させた。
【0102】
反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去し、次いで200μlのアセトニトリルおよび50μlの1NHClを添加し、100℃で3分間、窒素気体下で、溶媒を除去しながら加水分解を実施した。前記の手順を3回実施した。高圧液体クロマトグラフィーにより、純粋な[18F]フルオロエストラジオールを得た。高圧液体クロマトグラフィーの条件は、以下のとおりである;
Nucleosil C18 120−5A C18カラムを使用し、水:エチルアルコール=40:60の混合液を4ml/分の流速で使用し、280nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は72.1±1.1%であり、放射化学的純度は98.4±1.2%であった。
【0103】
スキーム7
【化18】

【0104】
<実施例20>
有機フルオロ化合物の調製20
18F]フルオロエストラジオール(FES)の自動化調製
実施例19の条件を適用して[18F]フルオロエストラジオールの自動化調製を実施した。自動化調製に使用した装置は、GE TracerLab MXで、作動プログラムを[18F]フルオロエストラジオールの調製に適合するように修正した。調製には、1回用カセットを使用して、1回用カセットの概念図を図2に示す。
【0105】
GE TracerLab MX用使い捨てカセットを自動化装置に装着後、10mlのV1バイアルにアセトニトリル7ml、10mlのV2バイアルに3mgの3−O−メトキシメチル−16β,17β−エピエストリオール−O−サイクロスルホン(1.5mlのt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール+0.5mlアセトニトリル)、10mlのV3バイアルにエチルアルコール3mlおよび2N NaOH 500μlと水1mlとの混合溶液、V4には0.63mlの2N HClと6mlのアセトニトリルを各々入れて、使い捨てカセットに装着した。
【0106】
サイクロトロン中で1.0Ciの[18F]フルオライドを酸素18標識水から調製した後、生成された[18F]フルオライドをヘリウム気体圧力によってGE TraverLab MX自動化装置に移した。移された[18F]フルオライドをイオン交換カートリッジに吸着して、酸素18は酸素18水貯蔵装置に回収する。吸着した[18F]フルオライドを、炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液によって反応容器に溶出した後、V1のアセトニトリル1mlを使用して完全に乾燥した。乾燥した[18F]フルオライドを含有する反応容器にV2の3−O−メトキシメチル−16β,17β−エピエストリオール−O−サイクロスルホン溶液を添加した後、95℃で5分間反応させ、次いで反応溶媒を除去した。この反応容器にV4の塩酸とアセトニトリルとの混合液を一度に2mlずつ添加して、90℃で加水分解を行った。この手順を3回反復した。加水分解完了後、反応溶媒を除去した。V3の混合溶液を反応容器に添加して、反応混合物を溶解した。高圧液体クロマトグラフィーによって、純粋な[18F]フルオロエストラジオールを得た。高圧液体クロマトグラフィーの条件は、Nucleosil C18 120−5A C18カラムを使用し、水:エチルアルコール=40:60の混合液を4ml/分の流速を使用し、280nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は42.1±5.1%であり、放射化学的純度は98.0±1.1%であった。
【0107】
<実施例21>
有機フルオロ化合物の調製21
18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパン(FP−CIT)の調製1
スキーム8に[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの調製過程を示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。この溶液に10mgの1,3−ジトシルプロパンを添加し、t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlとを含有する混合液を添加後、95℃で15分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去し、次いで300μlのアセトニトリルと500μlのt−ブチルアルコールとの混合溶液中に溶解した5mgのノル(nor)−β−CITを添加し、135℃で40分間反応させた。反応後、高圧液体クロマトグラフィーによって、純粋な[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを得た。高圧液体クロマトグラフィーの条件は、μ−BondaPack C18カラムを使用し、リン酸:アセトニトリル=40:60の混合液を5ml/分の流速で使用し、220nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は25.3±2.1%であり、放射化学的純度は97.2±1.3%であった。
【0108】
スキーム8
【化19】

【0109】
<実施例22>
有機フルオロ化合物の調製22
18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパン(FP−CIT)の調製2
スキーム9に[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの調製過程を示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に5mgの(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパンまたは(3−トルエンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパンの溶液を添加後、t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlとの混合液を添加し、95℃で10分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去して、反応容器に300μlのアセトニトリルと500μlの水とを添加後、HPLCによって純粋な〔18F〕フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを得た。HPLCの条件は、μ−BondaPack C18カラムを使用し、リン酸:アセトニトリル=40:60の混合液を5ml/分の流速で使用し、220nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は25.3±2.1%であり、放射化学的純度は97.2±1.3%であった。
【0110】
スキーム9
【化20】

【0111】
<実施例23>
有機フルオロ化合物の調製23
18F]フルオロDDNP(FDDNP)の調製
18F]フルオロDDNPの調製過程をスキーム10に示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に4mgのスキーム9のトシル前駆体を添加後、t−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlとの混合液を添加後、95℃で10分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去し、アセトニトリルに反応混合物を溶かし、ラジオTLCを使用して放射化学的収率を測定した。前記条件で実験時、42.3±4.1%の減弱補正された放射化学的収率を得た。
【0112】
スキーム10
【化21】

【0113】
<実施例24>
有機フルオロ化合物の調製24
18F]フルオロチミジン(FLT)の調製
別の[18F]フルオロチミジンの調製過程をスキーム11に示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に、10〜40mgの3−N−t−ブトキシカルボニル−(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2−デオキシ−3’−O−(4−ニトロベンゼンスルホニル)−β−D−スレオ−ペントプラノシル)チミン[(3−N−t−Butoxycarbonyl−(5’−O−(4,4’−dimethoxytriphenylmethyl)−2−deoxy−3’−O−(4−nitrobenzenesulfonyl)−β−D−threopentofuranosyl)thymine)]または3−N−t−ブトキシカルボニル−(5’−O−トリフェニルメチル)−2−デオキシ−3’−O−(4−ニトロベンゼンスルホニル)−β−D−スレオ−ペントプラノシル)チミン[(3−N−t−Butoxycarbonyl−(5’−O−triphenylmethyl)−2−deoxy−3’−O−(4−nitrobenzene sulfonyl)−β−D−threopentofuranosyl)thymine)]を添加し、次いでt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlの混合液を添加後、100〜150℃で10分間反応させた。反応終了後、95℃で窒素気体を使用して溶媒を完全に除去し、次いで200μlのアセトニトリルと500μlの1N HClを添加後、100℃で5分間加水分解を実施した。加水分解後、高圧液体クロマトグラフィーにより、純粋な[18F]フルオロチミジンを得た。高圧液体クロマトグラフィーの条件は、Alltech EconosilC18カラムを使用し、水:エチルアルコール=90:10の混合液を5ml/分の流速で使用し、267nmのUV検出器と放射能検出器を一緒に装着した装置を使用した。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は85.6±3.1%であり、放射化学的純度は98.5±1.2%であった。
【0114】
スキーム11
【化22】

【0115】
<実施例25>
有機フルオロ化合物の調製25
18F]フルオロコリン(FCholine)の調製
別の[18F]フルオロコリンの調製過程をスキーム12に示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に10mgの1,1−ジ−p−トルエンスルホニルオキシメタンを添加し、次いでt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlの混合液を添加後、100〜150℃で10分間反応させた。反応終了後、アルキル化のためにN,N−ジメチルアミノエタノールを添加する。高圧液体クロマトグラフィーにより、純粋な[18F]フルオロコリンを得た。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は75.7±3.1%であり、放射化学的純度は97.5±1.2%であった。
【0116】
スキーム12
【化23】

【0117】
<実施例26>
有機フルオロ化合物の調製26
18F]フルオロエチルコリン(FECholine)の調製
別の[18F]フルオロコリンの調製過程をスキーム13に示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に10mgの1,2−ジ−p−トルエンスルホニルオキシエタンを添加し、次いでt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlとの混合液を添加後、100〜150℃で10分間反応させた。反応終了後、アルキル化のためにN,N−ジメチルアミノエタノールを添加して、高圧液体クロマトグラフィーにより、純粋な[18F]フルオロエチルコリンを得た。前記条件で実験時、減弱補正された放射化学的収率は67.7±8.1%であり、放射化学的純度は98.2±2.3%であった。
【0118】
スキーム13
【化24】

【0119】
<実施例27>
有機フルオロ化合物の調製27
18F]フルオロプロピルコリン(FPCholine)の調製
別の[18F]フルオロコリンの調製過程をスキーム14に示す。[18F]フルオライド10mCiをイオン交換樹脂に吸着させた。吸着した[18F]フルオライドを炭酸セシウム(16mg/300μl水)とKryptofix 222(22mg/300μlアセトニトリル)との混合溶液またはテトラブチルアンモニウム溶液で反応容器に溶出させて、500μl×3のアセトニトリルを使用して[18F]フルオライドを乾燥させた。反応溶液に10mgの1,3−ジ−p−トルエンスルホニルオキシプロパノールを添加し、次いでt−ブチルアルコールまたはt−アミルアルコール500μlとアセトニトリル100μlの混合液を添加後、100〜150℃で10分間反応させた。反応終了後、アルキル化のためにN,N−ジメチルアミノエタノールを添加して、高圧液体クロマトグラフィーにより、純粋な[18F]フルオロエチルコリンを得た。前記条件で実験を行う場合、の減弱補正された放射化学的収率は72.4±6.1%であり、放射化学的純度は98.1±1.3%であった。
【0120】
スキーム14
【化25】

【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の一実施例によるアルコール溶媒がフッ素金属塩と水素結合を通じて金属陽イオンとフッ素陰イオンとの間のイオン結合を弱化させることを示した概念図である。
【図2】本発明の一実施例による使い捨てカセットの概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素塩とアルキルハライドまたはアルキルスルホナートとを反応させて有機フルオロ化合物を調製する方法であって、下記の化学式1で表わされるアルコールを溶媒として使用することを特徴とする、有機フルオロ化合物の調製方法。
化学式1
【化1】

(式中、R、R、及びRは、水素またはC〜C18アルキル基である。)
【請求項2】
前記フッ素塩が、フッ素18またはフッ素19を含む化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
が水素またはC〜C18アルキル基であり;Rが水素またはC〜C18アルキル基であり;Rが水素またはC〜C18アルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
がメチル基またはエチル基であり;Rがメチル基またはエチル基であり;Rがメチル基またはエチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記化学式1のアルコールが、1級アルコールであるメタノール、エチルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプタノール、およびn−オクタノール、ならびに2級アルコールであるイソプロパノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、および3−ペンタノール、ならびに3級アルコールであるt−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−シクロプロピル−2−プロパノール、2−シクロプロピル−2−ブタノール、2−シクロプロピル−3−メチル−2−ブタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、1−エチルシクロヘキサノール、1−メチルシクロヘプタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記化学式1のアルコールが、t−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール及び2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノールからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項7】
前記フッ素塩が、セシウムフルオライドまたはテトラアルキルアンモニウムフルオライドであり、アルコールが、t−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール及び2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノールからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
【請求項8】
前記フッ素塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選択されるアルカリ金属を含んでなるアルカリ金属フルオライド;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選択されるアルカリ土類金属を含んでなるアルカリ土類金属フルオライド;ならびにアンモニウムフルオライドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
【請求項9】
前記アンモニウムフルオライドが、テトラブチルアンモニウムフルオライド及びベンジルトリメチルアンモニウムフルオライドを含む4級アンモニウムフルオライド;トリエチルアンモニウムフルオライド及びトリブチルアンモニウムフルオライドを含む3級アンモニウムフルオライド;ジブチルアンモニウムフルオライド、ジヘキシルアンモニウムフルオライドを含む2級アンモニウムフルオライド;ブチルアンモニウムフルオライド、ヘキシルアンモニウムフルオライドを含む1級アンモニウムフルオライドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記フッ素塩が、セシウムフルオライドまたはテトラアルキルアンモニウムフルオライドであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
【請求項11】
前記セシウムフルオライドまたはテトラアルキルアンモニウムフルオライドが、セライト、モレキュラーシーブ、アルミナ及びシリカゲルからなる群より選択される支持体に吸着されることを特徴とする、請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
フッ素19の場合、前記フッ素塩の量が、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートに対して1.0〜10当量であり、フッ素18の場合、前記フッ素塩の量が、アルキルハライドまたはアルキルスルホナートに対して微量の[18F]フッ素であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
【請求項13】
フッ素18の場合、アルキルハライドまたはアルキルスルホナート1mgに対して1pg乃至100ngの[18F]フルオライドが、前記フッ素塩として使用されることを特徴とする、請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式2で表わされる[18F]フルオロデオキシグルコースであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式2
【化2】

【請求項15】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式3で表わされる[18F]フルオロミソニダゾールであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式3
【化3】

【請求項16】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式4で表わされる[18F]フルオロエストラジオールであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式4
【化4】

【請求項17】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式5で表わされる[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式5
【化5】

【請求項18】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式6で表わされる[18F]フルオロDDNPであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式6
【化6】

【請求項19】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式7で表わされる[18F]フルオロチミジンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式7
【化7】

【請求項20】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式8で表わされる[18F]フルオロコリンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式8
【化8】

【請求項21】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式9で表わされる[18F]フルオロエチルコリンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式9
【化9】

【請求項22】
前記有機フルオロ化合物が、下記の化学式10で表わされる[18F]フルオロプロピルコリンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の調製方法。
化学式10
【化10】


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−524205(P2008−524205A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546555(P2007−546555)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004228
【国際公開番号】WO2006/065038
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507198691)フューチャーケム カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FUTURECHEM CO., LTD.
【出願人】(507198705)
【氏名又は名称原語表記】THE ASAN FOUNDATION
【Fターム(参考)】