説明

ウィルス複製のインヒビター

本発明の実施態様は、一般式(I)から(IV)の化合物、および対象の化合物を含めた医薬組成物を含む組成物を提供する。さらに本発明の実施態様は、C型肝炎ウィルス感染を治療する方法、および肝線維症を治療する方法を含む治療方法を提供し、その方法は、有効量の主題の化合物または組成物をそれについて必要とする個体に投与することを一般に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウィルス(HCV)感染の治療を目的とする化合物、合成プロセス、組成物および方法に関係する。
【0002】
本出願は2005年10月11日に出願された米国仮特許出願第60/725584号の利益を主張し、その内容の全てはここに含まれる。
【背景技術】
【0003】
HCVはフラビウィルス科のエンベローププラス鎖RNAウィルスである。一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチドの長さであり、約3000アミノ酸の単一の巨大ポリタンパク質をコード化する単一の翻訳領域を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は細胞内およびウィルスプロテアーゼによって複数の部位で切断され、ウィルスの構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生成する。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B)の生成が、2個のウィルス由来プロテアーゼにより影響される。第一のウィルスプロテアーゼは、ポリタンパク質のNS2-NS3連結部位を切断する。第二のウィルスプロテアーゼは、NS3(ここでNS3プロテアーゼと呼ばれる)のN末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼである。NS3プロテアーゼは、ポリタンパク質の中のNS3の部位に対して下流の部位(すなわちNS3のC末端とポリタンパク質のC末端の間の部位)において、続いて起こるすべての切断事象を媒介する。NS3プロテアーゼはNS3-NS4切断部位にシス位で、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、およびNS5A-NS5B部位にはトランス位で、両方ともに活性を提示する。NS4Aタンパク質は、NS3プロテアーゼの補因子として作用し、おそらくNS3の膜局在と他のウィルス複製因子を補助したりする、複数の機能を提供していると考えられている。外見上、NS3とNS4Aの複合体の形成がNS3仲介プロセシング事象に必須であり、NS3により認識されるすべての部位においてタンパク質分解効率を上昇させる。NS3プロテアーゼはまた、ヌクレオシドトリフォスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を提示する。NS5BはHCV RNAの複製に関与するRNA依存型RNAポリメラーゼである。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/725584号
【特許文献2】米国特許第5082659号
【特許文献3】欧州特許294160号
【特許文献4】米国特許第4806347号
【特許文献5】米国特許第5082659号
【特許文献6】米国特許第5190751号
【特許文献7】米国特許第4806347号
【特許文献8】欧州特許294160号
【特許文献9】カナダ特許第1321348号
【特許文献10】欧州特許第276120号
【特許文献11】米国特許第6172046号
【特許文献12】米国特許第6245740号
【特許文献13】米国特許第5824784号
【特許文献14】米国特許第5372808号
【特許文献15】米国特許第5980884号
【特許文献16】WO 96/21468
【特許文献17】WO 96/11953
【特許文献18】WO 00/59929
【特許文献19】WO 00/66623
【特許文献20】WO2003/064416
【特許文献21】WO2003/064455
【特許文献22】WO2003/064456
【特許文献23】WO 97/06804
【特許文献24】WO 98/17679
【特許文献25】WO 98/22496
【特許文献26】WO 97/43310
【特許文献27】WO 98/46597
【特許文献28】WO 98/46630
【特許文献29】WO 99/07733
【特許文献30】WO 99/07734
【特許文献31】WO 00/09543
【特許文献32】WO 00/09558
【特許文献33】WO 99/38888
【特許文献34】WO 99/64442
【特許文献35】WO 99/50230
【特許文献36】WO 95/33764
【特許文献37】米国特許第5633388号
【特許文献38】米国特許第5866684号
【特許文献39】米国特許第6018020号
【特許文献40】米国特許第5869253号
【特許文献41】米国特許第6608027号
【特許文献42】米国特許第5985265号
【特許文献43】米国特許第5908121号
【特許文献44】米国特許第6177074号
【特許文献45】米国特許第5711944号
【特許文献46】米国特許第5382657号
【特許文献47】米国特許第5908121号
【特許文献48】米国特許第6183121号
【特許文献49】米国特許第3547119号
【特許文献50】米国特許第4755173号
【特許文献51】米国特許第4531937号
【特許文献52】米国特許第4311137号
【特許文献53】米国特許第6017328号
【特許文献54】米国特許第4211771号
【特許文献55】米国特許第6277830号
【特許文献56】WO/00139081
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
C型肝炎ウィルス(HCV)の感染は、米国においてもっとも一般的な慢性血液由来感染である。新たな感染の数は減少したにもかかわらず、慢性的感染の負担は相当にのぼり、米国において390万人(1.8%)の感染者が国立疾病対策センターにより推定されている。慢性肝疾患は、米国の成人の中で10番目に多い死亡原因であり、毎年約2万5千人の死亡原因となり、また全死者の約1%の死因となっている。研究により、慢性肝疾患の40%はHCV関連であり、その結果毎年推定8千人から1万人が死亡していることが示されている。HCV関連の最終段階の肝疾患は、成人間の肝移植に対する最も頻繁な指標である。
【0005】
慢性C型肝炎の抗ウィルス治療は、最近10年間にわたって急速に進歩しており、治療の効果において顕著な改善がみられている。しかし、PEG化IFN-αとリバビリンの併用療法によっても、患者の40%から50%は治療に失敗する、すなわち反応しなかったり、再発したりする。このような患者には現在効果的な代替治療が存在しない。特に、肝臓生検において進行した線維症や肝硬変を有する患者には、腹水症や黄疸、静脈瘤出血、脳疾患、および進行性肝不全を含むさらなる肝疾患の合併症が進行する重大な危険、および顕著に増大した肝臓がんの危険がある。
【0006】
慢性HCV感染の高い罹患率は、米国の慢性肝疾患の将来的な負担のために、公衆の健康と重要な意味を有する。米国の全国栄養調査(NHANESIII)によるデータは、新たなHCVへの感染率の大きな増大は1960年代末から1980年代初頭に、特に20歳から40歳の人々の間で発生していることを示している。20年またはそれ以上の長期HCV感染者数は、1990年から2015年までに、75万人から300万人以上になり4倍以上に達しうると見積もられている。それに比例して30年または40年間感染した人の増大もさらに大きくなるであろう。HCV関連慢性肝疾患の危険は感染の持続期間に関係するため、20年以上間感染した人に対して肝硬変の危険を連続的に増大させ、1965年から1985年までの間に感染した患者の間で肝硬変関連疾患と死亡を相当数増加させる結果となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましい実施態様として、式(I)の化合物が提供される。
【化1】

【0008】
[前記式中、R1は、任意置換アリール、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリールアルキル、またはヘテロシクリル系に窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルアルキルであり;
R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
またはR2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から20員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(I)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化2】


【0009】
好ましい実施態様として、式(II)の化合物が提供される。
【化3】

【0010】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるが;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリルおよびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(II)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化4】


【0011】
好ましい実施態様として、式(IV)の化合物が提供される。
【化5】

【0012】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R18は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジ任意置換C1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択される]
【0013】
好ましい実施態様は、NS3タンパク質をここで開示される化合物と接触させることを含むNS3活性を制御する方法により提示される。
【0014】
好ましい実施態様は、NS3ヘリカーゼをここで開示される化合物と接触させることを含むNS3ヘリカーゼを制御することによる、肝炎を治療する方法により提示される。
【0015】
好ましい実施態様は、NS3ヘリカーゼの部位に結合することができ、また核酸基質の巻き戻しを阻害することができ、それによってNS3ヘリカーゼの活性を制御することができる化合物により提示される。
【0016】
<定義>
ここで使用される用語「肝線維症(hepatic fibrosis)」は、ここでは「肝線維化(liver fibrosis)」と区別なく使用され、慢性肝炎感染の状況おいて発生しうる肝臓中の瘢痕組織の成長を指す。
【0017】
用語「個体」、「宿主」、「被験者」、および「患者」は、ここでは区別なく使用され、類人猿およびヒトを含む霊長類を含めて哺乳動物を指すが、それに限定されない。
【0018】
ここで使用される用語「肝機能」とは、以下を含む肝臓の標準な機能を指すが、それに限定されない。すなわち、血清タンパク質(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5'-ヌクレオシダーゼ、γ-グルタミニルトランスペプチダーゼなど)のようなタンパク質の合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成を含むがそれに限定されない合成機能;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝、および脂質代謝を含むがそれに限定されない肝臓代謝機能;外来薬物の解毒;内臓および門脈の血行力学を含む血行力学的機能;およびその類似物。
【0019】
ここで使用される用語「持続型ウイルス応答」(SVR、「持続型応答」または「永続的応答」とも呼ぶ)とは、HCV感染のレジメンに対する、血清HCV力価の点から見た個体の応答を指す。一般に、「持続型ウイルス応答」とは、治療を休止してから少なくとも約一ヶ月、少なくとも約二ヶ月、少なくとも約三ヶ月、少なくとも約四ヶ月、少なくとも約五ヶ月、または少なくとも約六ヶ月間、患者の血清中に検出可能なHCV RNAが見出されない(例えば、血清1mLあたり約500未満、約200未満、または約100未満のゲノムコピー数しか見出されない)ことを指す。
【0020】
ここで使用される「治療失敗患者」とは、以前のHCVに対する治療に応答に失敗したHCV感染患者(「非応答者」とも呼ぶ)、または以前の治療に最初は応答したがその治療応答が維持されなかったHCV感染患者(「再発者」とも呼ぶ)を一般に指す。以前の治療は一般に、IFN-α単独療法またはIFN-α併用療法による治療を含むことができ、その併用療法は、IFN-αおよびリバビリンなどの抗ウイルス剤の投与を含んでよい。
【0021】
ここで使用される用語「治療」、「治療する」などは、望まれる薬理効果および/または生理効果を得ることを指す。その効果は、疾患または疾患の兆候を完全または部分的に予防するという点で予防的なものであってよく、かつ/あるいは疾患および/または疾患に起因する有害効果の部分的または完全治癒という点で治療的なものでもよい。ここで使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のいずれの治療も包含し、(a)疾患の素因があるかもしれないが、まだそれを有するとは診断されていない被験者において疾患を発症させないようにすること、(b)疾患を阻害する、すなわち、その進行を阻止すること、および(c)疾患を緩和する、すなわち疾患を軽減させることを含む。
【0022】
用語「個体」、「宿主」、「被験者」、および「患者」はここでは区別なく使用され、マウス、類人猿、ヒト、家畜哺乳動物、競技用哺乳動物、および愛玩哺乳動物を含む哺乳動物を指すが、それに限定されない。
【0023】
ここで使用される用語「投与事象」は、それが必要な患者に対する抗ウィルス剤の投与を指し、この事象は薬剤投与装置から1回またはそれ以上の抗ウィルス剤の放出を包含してよい。それゆえ、ここで使用される用語「投与事象」は、(例えば、ポンプまたは他の制御放出注入システムのような)継続送達装置の設置;単独の皮下注射とそれに続く継続送達装置の設置を含むが、それに限定されない。
【0024】
ここで使用される「継続送達」(例えば「物質の組織に対する継続送達」の状況において)は、例えば、ほぼ等量の薬物を選択される期間、毎分患者が受け入れるとき、選択される期間にわたる望まれた量の物質の組織への送達を提供する方法で組織へといったように、送達部位への薬物の移動を指すことが意味されている。
【0025】
ここで使用される「制御放出」(例えば「薬物制御放出」という状況において)は、使用環境に実質的に影響されない、選択される、または別の制御可能な割合、インターバル、および/または量で物質(例えばタイプIまたはタイプIIIインターフェロンレセプターアゴニスト、例えばIFN-α)を放出することを包含して意味される。それゆえ「制御放出」は実質的に継続的な送達や、(例えば、ある期間にわたって定期的または不定期な時間のインターバルによって中断される間欠的な送達のような)パターン化される送達を包含するが、必然的にそれに限定されない。
【0026】
薬物送達の状況で使用される「パターン化される」または「定期的な」とは、パターン、一般的に(例えば、ボーラス投与に関わる時間以外のように)前もって選択される期間にわたる実質的に規則的なパターンの薬物送達を意味する。「パターン化される」または「定期的な」薬物送達は、増加、減少、実質的に一定、あるいは脈動的な(例えば、単位時間当たりの薬剤量、または単位時間当たりの薬剤配合物の量のような)速度または速度の範囲にある薬物送達を包含して意味され、さらに継続的または実質的に継続的な、あるいは慢性的な送達を包含して意味される。
【0027】
「制御薬物送達装置」の語は、薬物またはその中に含まれる他の望まれる物質の(例えば速度や放出時間のような)放出が、装置そのものにより制御される、または決定されるが使用環境に実質的に影響されない、あるいは使用環境において再現可能な速度で放出するような、装置のいずれかを包含して意味される。
【0028】
例えば「実質的な継続的注入」または「実質的な継続的送達」という状況で使用される、「実質的に継続的」とは、薬物送達が前もって選択される期間実質的に阻害されず、ある選択される期間のいずれの8時間インターバルの間、患者が受け入れる薬剤の量が決してゼロにならないような方法の薬物送達を指して意味される。さらに、「実質的に継続的」薬物送達は、前もって選択される薬物送達の期間実質的に阻害されない、(例えば単位時間当たりの薬物量、またはあるいは単位時間当たりの薬物配合物の量が)実質的に一定、前もって選択される速度、または速度の範囲の薬物の送達を包含することができる。
【0029】
時間の関数として変動し得る生物学的パラメーターの状況で使用される「実質的な安定状態」とは、時間経過中のいずれかの8時間に対する時間の関数として、生物学的パラメーターの値によって定義される曲線下面積(AUC8hr)が、時間経過中8時間の間の生物学的パラメーターの平均曲線下面積(AUC8hr平均)よりも、約20%高くならない、または約20%低くならない、好ましくは約15%高くならない、または約15%低くならない、より好ましくは約10%高くならない、約10%低くならないような、実質的に一定の値を時間経過中に生物学的パラメーターが提示されることが意味される。AUC8hr平均は、時間経過全体にかけての生物学的パラメーターの曲線下面積(AUC合計)を時間経過中の8時間インターバルの数(合計/3日)で割った商(q)、すなわち、q=(AUC合計)/(合計/3日)と定義される。例えば、薬物の血清濃度の状況で、時間経過中の任意の8時間の経時的な薬物血清濃度の曲線下面積(AUC8hr)が、血清薬物濃度のその時間経過中の8時間の平均曲線下面積(AUC8hr平均)より約20%高くならない、または約20%低くならないとき、すなわち、AUC8hrが血清薬物濃度のその時間経過中のAUC8hr平均より約20%高くならない、または約20%低くならないとき、血清薬物濃度は時間経過と共に実質的に安定した状態に保持されている。
【0030】
ここで複数のタンパク質を指して使用される「相同」あるいは「バリアント」の語は、配列の類似性あるいは同一性を指し、同一性のほうが望ましい。当業者に既知であるように、多くの異なったプログラムを、あるタンパク質(あるいは、以下に議論されるように核酸)が、既知の配列に配列同一性または類似性を有するか否かを同定するために使用されることができる。それゆえ、好ましい実施態様では、相同タンパク質またはバリアントが、野生型の配列に最大約40%の残基で異なっている可能性がある、それゆえ約60%の相同性を有しているアミノ酸配列を有する。他の好ましい実施態様では、相同タンパク質には、約65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%の相同性を有する可能性がある。
【0031】
ここで使用される「アルキル」の語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ヘキシル、およびその類似物を含むが、それに限られない、1個から20個の炭素原子からなる一価の直鎖または分岐鎖遊離基を指す。
【0032】
ここで使用される「ハロ」の語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを指す。
【0033】
ここで使用される「アルコキシ」の語は、O架橋を通して母体となる分子に共有結合直鎖または分岐鎖のアルキル遊離基を指す。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、およびその類似物が含まれるが、それに限られない。
【0034】
ここで使用される「アルケニル」の語は、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、およびその類似物を含むが、それに限られない、炭素二重結合を含む2個から20個の炭素原子からなる一価の直鎖または分岐鎖遊離基を指す。
【0035】
ここで使用される「アルキニル」の語は、1-プロピニル、1-ブチニリル、2-ブチニリル、およびその類似物を含むが、それに限られない、炭素三重結合を含む2個から20個の炭素原子からなる一価の直鎖または分岐鎖遊離基を指す。
【0036】
ここで使用される「アリール」の語は、縮環しているかいないかにかかわらず、同素環芳香族を指す。アリール基の例として、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフトアセニル、およびその類似物が含まれるが、それに限られない。
【0037】
ここで使用される「シクロアルキル」の語は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない、3個から20個の炭素原子を有する飽和脂肪族環状系遊離基を指す。
【0038】
ここで使用される「シクロアルケニル」の語は、少なくとも1個の炭素二重結合を環内に持ち、3個から20個の炭素原子を含む飽和脂肪族環状系遊離基を指す。シクロアルケニル基の例として、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0039】
ここで使用される「ポリシクロアルキル」の語は、橋頭炭素と縮環しているかいないかにかかわらず、少なくとも2個の環を持つ、飽和脂肪族環状系遊離基を指す。ポリシクロアルキル基の例として、ビシクロ(4.4.0)デカニル、ビシクロ(2.2.1)ヘプタニル、アダマンチル、ノルボルニル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0040】
ここで使用される「ポリシクロアルケニル」の語は、橋頭炭素と縮環しているかまたはしていない、少なくとも2個の環を有する飽和脂肪族環状系遊離基を指す。ポリシクロアルケニル基の例として、ノルボルニレニル、1,1'-ビシクロペンテニル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0041】
ここで使用される「多環式炭化水素」の語は、環を構成する全てが炭素原子である環状系遊離基を指す。多環式炭化水素基は、芳香族であったり、あるいは最大値よりも少ない数の非累積二重結合を含むことができる。多環式炭化水素基の例として、ナフチル、ジヒドロナフチル、インデニル、フルオレニル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0042】
ここで使用される「ヘテロ環状基」または「ヘテロシクリル」の語は、少なくとも1個の環をもち、そのなかの1個またはそれ以上の環原子が炭素ではない、すなわちヘテロ原子である、環状系遊離基を指す。ヘテロ環状基は非芳香族であったり、芳香族であったりすることができる。ヘテロ環状基の例として、モルフォリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、オキサゾニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0043】
ここで使用される「ヘテロアリール」の語は、形式的にアレーンに由来し、芳香族系であることを維持しつつ、1個またはそれ以上のメチンおよび/またはビニレンをそれぞれ三価または二価のヘテロ原子に置換したヘテロ環状基を指す。ヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピロリル、オキサゾニル、インドニル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0044】
ここで使用される「アリールアルキル」の語は、アルキル遊離基に付加した1個またはそれ以上のアリール基を指す。アリールアルキル基の例として、ベンジル、フェネチル、フェンプロピル(phenpropyl)、フェンブチル(phenbutyl)、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0045】
ここで使用される「シクロアルキルアルキル」の語は、アルキル遊離基に付加した1個またはそれ以上のシクロアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基の例として、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0046】
ここで使用される「ヘテロアリールアルキル」の語は、アルキル遊離基に付加した1個またはそれ以上のヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールアルキル基の例として、ピリジルメチル、フラニルメチル、チオフェニルエチル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0047】
ここで使用される「ヘテロシクリルアルキル」の語は、アルキル遊離基に付加した1個またはそれ以上のヘテロシクリル基を指す。ヘテロシクリルアルキル基の例として、モルフォリニルメチル、モルフォリニルエチル、モルフォリニルプロピル、テトラヒドロフラニルメチル、ピロリジニルプロピル、およびその類似物が含まれるがそれに限られない。
【0048】
ここで使用される「アリールオキシ」の語は、O架橋を通して母分子に共有結合したアリール遊離基を指す。
【0049】
ここで使用される「アルキルチオ」の語は、S架橋を通して母分子に共有結合した直鎖または分岐鎖アルキル遊離基を指す。
【0050】
ここで使用される「アリールチオ基」の語は、S架橋を通して母分子に共有結合したアリール遊離基を指す。
【0051】
ここで使用される「アルキルアミノ」の語は、1個またはそれ以上のアルキルがそこに付加した窒素遊離基を指す。それゆえ、モノアルキルアミノは1個のアルキル基が付加した窒素遊離基を、ジアルキルアミノは2個のアルキル基が付加した窒素遊離基を指す。
【0052】
ここで使用される「シアノアミノ」の語は、ニトリル基が付加した窒素遊離基を指す
【0053】
ここで使用される「カルバミル」の語は、RNHCOO-を指す。
【0054】
ここで使用される「ケト」および「カルボニル」の語は、C=Oを指す。
【0055】
ここで使用される「カルボキシ」の語は、-COOHを指す。
【0056】
ここで使用される「スルファミル」の語は、-SO2NH2を指す。
【0057】
ここで使用される「スルホニル」の語は、-SO2-を指す。
【0058】
ここで使用される「スルフィニル」の語は、-SO-を指す。
【0059】
ここで使用される「チオカルボニル」の語は、C=Sを指す。
【0060】
ここで使用される「チオカルボキシ」の語は、CSOHを指す。
【0061】
ここで使用される遊離基は、その遊離基を含む分子が別の分子に共有結合しうるように、1個の不対電子をもつ分子を指す。それゆえこの場面では、遊離基はフリーラジカルである必要はない。むしろ遊離基は、より大きな分子の特定の部位のことを示す。「遊離基」の語は、「基」の語と相互に交換して使用することができる。
【0062】
ここで使用されている置換基は、置換されていない母構造物に由来し、そこでは1個またはそれ以上の水素原子が他の原子または基に交換されている。置換されるとき、置換基(群)は、C1〜20アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、(例えばテトラヒドロフリルのような)C3〜20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(例えばクロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロのような)ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、C1〜20アルキルチオ、アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、第4級アンモニウム塩、アミノC1〜20アルコキシ、ヒドロキシC1〜20アルキルアミノ、アミノC1〜20アルキルチオ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト(オキシ)、カルボニル、カルボキシ、グリコシル、グリシル、ヒドラジノ、グアニル、スルファミル、スルホニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせからそれぞれ独立に選ばれた1個またはそれ以上の基(群)である。上述の置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は当業者に既知であり、GreeneおよびWuts(1999年), 「Protective Groups in Organic Synthesis」, John Wiley and Sons,New Yorkなどを参照することにより見つけられることができる。置換基が「任意置換」と記述されている場合は常に、置換基は上記の置換基に置換する可能性がある。
【0063】
記述される化合物の中に不斉炭素原子が存在してもよい。ジアステレオマーおよび鏡像異性体、ならびにそれらの混合物を含む、そのような全ての異性体は、記述される化合物の範囲に含まれることが意図されている。ある場合には、化合物は互異性体の形態で存在することができる。全ての互異性体は、記述される化合物の範囲に含まれることが意図されている。同様に、化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、その化合物のシスおよびトランス異性体が存在する可能性がある。シスおよびトランス異性体両方、ならびにシスおよびトランス異性体の混合物が、考慮されている。それゆえ、ここの化合物に対する言及は、文脈が別途明確に記述していない限り、前述の異性体形態の全てを含む。
【0064】
多形体、溶媒和物、水和物、配座異性体、塩、およびプロドラッグ誘導体を含む、種々の形態が実施態様に含まれる。多形体は、同一の化学式を有するが異なった構造を有する組成物である。溶媒和物は、(溶媒分子と溶質の分子またはイオンの組み合わせの)溶媒化によって形成される組成物である。水和物は、水の取り込みによって形成される組成物である。配座異性体は、構造異性体である構造物である。構造異性とは、同一の構造式であるが、回転性結合に関して異なった原子の構造(配座)をもつ分子の現象である。化合物の塩は、当業者に既知の方法により調製されることができる。例えば化合物の塩は、適切な塩基または酸を化学量論的に等量の化合物と反応させることにより調製されることができる。プロドラッグは、医薬効果を提示する前に生物学的形質変換(化学的転化)を行う化合物である。例えばそれゆえに、あるプロドラッグを、母体分子において望ましくない性質を一時的に変化させたり除去したりするために使用される特定の保護基を含む薬剤とみなすことができる。そして、ここの化合物に対する言及は、文脈が別途明確に記述していない限り、全ての前述の形態を含む。
【0065】
ある値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に記述していない限り、下限の単位の10分の1につき、その範囲の上限と下限の間にあるそれぞれの値、および他の記述される、あるいは記述される範囲の中間にある値は、実施態様に包含されると理解される。これらのより小さい範囲の上限と下限を、そのより小さい範囲に含めてよいこともまた、記述範囲で特に除外される限界値のいずれかに従って、本発明の中に包含される。記述範囲が一方または両方の限界値を含む場合、ここで含まれる限界値の両方のどちらかを除く範囲もまた実施態様に含まれる。
【0066】
別途定義されていない限り、ここで使用される全ての技術的よび科学的用語は、実施態様が所属する通常の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここで記述されるものと類似または同等の方法および材料のいずれもまた、実施態様の実践または試験に使用されることができるが、好ましい方法と物質をここに記述する。ここで言及される全ての文献は、文献が関連して引用されている方法および/または物質を開示し記述するために参照してここに組み入れてあるものである。
【0067】
ここで使用されるとき、および請求範囲において、単数形の「一つの、ある」、および「その」は、文脈が別途明確に記述していない限り、複数形を示すことも含む。それゆえ例えば、「ある方法」に対する言及は、複数のそのような方法を含み、「1回投与量」に対する言及は、それについて当業者に既知である1回投与量またはそれ以上の投与量、および同等量の記述を含む。
【0068】
本実施態様により、式(I)から(IV)の化合物、および式(I)から(IV)のすべての化合物を含む薬理成分および製剤が提供される。以下に記述するように、主題の化合物はHCV感染および他の疾患の治療に有用である。
【0069】
<組成物>
好ましい実施態様は、一般式(I)を含む化合物により提供される。
【化6】

【0070】
[前記式中、R1は、任意置換アリール、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリールアルキル、またはヘテロシクリル系に窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルアルキルであり;
R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
またはR2、R3、およびR4のうち少なくとも2個が結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から20員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(I)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化7】


【0071】
好ましい実施態様は、一般式(II)を含む化合物により提供される。
【化8】

【0072】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるが;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリルおよびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(II)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化9】


【0073】
好ましい実施態様は、一般式(III)を含む化合物により提供される。
【化10】

【0074】
[前記式中、R11は、H、ハロ、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、または任意置換C1〜20アルコキシであり;
R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択され;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される]
【0075】
好ましい実施態様は、一般式(IV)を含む化合物により提供される。
【化11】

【0076】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R18は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジ任意置換C1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択される]
【0077】
化学式(I)の化合物の例は、下記表1に提示される。
【表1】





























【0078】
化学式(II)から(IV)の化合物の例は、下記表2に提示される。
【表2】














【0079】
好ましい実施態様は、式(I)の化合物により提供される。
【化12】

【0080】
[前記式中、R1は、任意置換アリール、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリールアルキル、またはヘテロシクリル系に窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルアルキルであり;
R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
またはR2、R3、およびR4のうち少なくとも2個が結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から20員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(I)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化13】


【0081】
好ましい実施態様は、R1が、任意置換アリール、または、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルである、式(I)の化合物により提供される。
【0082】
好ましい実施態様は、R2、R3、およびR4が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換C5〜20アリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、式(I)の化合物により提供される。
【0083】
好ましい実施態様は、R2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、式(I)の化合物により提供される。
【0084】
好ましい実施態様は、R1がチオフェンである、式(I)の化合物により提供される。
【0085】
好ましい実施態様は、R1が任意置換フェニルである、式(I)の化合物により提供される。
【0086】
好ましい実施態様は、R1がチオフェンまたは任意置換フェニルであり、ならびにR2、R3、およびR4が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換C5〜20アリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、式(I)の化合物により提供される。
【0087】
好ましい実施態様は、R1が任意置換フェニルであり、R2、R3、およびR4のうち少なくとも2個は結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分が炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、式(I)の化合物により提供される。
【0088】
好ましい実施態様は、下記式(Ia)、(Ib)、(Ic)を提供する。
【化14】

【0089】
[前記式中、Arは(例えばフェニル、チオフェニルなどの)アリールを表し;nは1または2で、表示される位置の環中の炭素原子の数を表す。例えば、nが1のとき、環が4個の炭素原子と1個の窒素原子を含み;nが2のとき、環は5個の炭素原子と1個の窒素原子を含む。式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物は、式(I)の化合物の例である]
【0090】
好ましい実施態様は、式(II)の化合物により提供される。
【化15】

【0091】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるが;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリルおよびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(II)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化16】


【0092】
好ましい実施態様は、R12、R13、R14、およびR17が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、およびカルボキシより選択される、式(II)の化合物により提供される。
【0093】
好ましい実施態様は、R15とR16が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、任意置換C5〜20アリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、式(II)の化合物により提供される。
【0094】
好ましい実施態様は、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換4から6員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素および硫黄より選択される、式(II)の化合物により提供される。
【0095】
好ましい実施態様は、下記式を有する式(II)の化合物により提供される。
【化17】

【0096】
本発明は、一般式(III)を有する化合物を提示する。
【化18】

【0097】
[前記式中、R11は、H、ハロ、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、または任意置換C1〜20アルコキシであり;
R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択され;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される]
【0098】
好ましい実施態様は、R11が、H、ハロ、任意置換C1〜20アルキル、または任意置換C1〜20アルコキシである、式(III)の化合物により提供される。
【0099】
好ましい実施態様は、R12、R13、およびR14が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており、R12、R13、およびR14のうち全てがHであることはない、式(III)の化合物により提供される。
【0100】
好ましい実施態様は、R12、R13、およびR14が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、およびそれらの組み合わせより選択されており、R12、R13、およびR14のうち全てがHであることはない、式(III)の化合物により提供される。
【0101】
好ましい実施態様は、R15とR16が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C2〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、式(III)の化合物により提供される。
【0102】
好ましい実施態様は、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換4から6員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、式(III)の化合物により提供される。
【0103】
好ましい実施態様は、R11がフルオロであり、ならびにR12、R13、およびR14がそれぞれ独立に、H、アルキル、およびハロより選択される、式(III)の化合物により提供される。
【0104】
本発明は、一般式(IV)を含む化合物を提供する。
【化19】

【0105】
[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R18は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジ任意置換C1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択される]
【0106】
好ましい実施態様は、個体のC型肝炎感染を治療する方法を提供し、その方法は好ましい化合物を含む有効量組成物の個体へ投与を含む。
【0107】
好ましい実施態様は、個体の肝線維症を治療する方法を提供し、その方法は好ましい化合物を含む有効量の組成物の個体へ投与を含む。
【0108】
好ましい実施態様は、C型肝炎を有する個体の肝機能を増大する方法を提供し、その方法は好ましい化合物を含む有効量組成物の個体へ投与を含む。
【0109】
本実施態様は、一般式(I)から(IV)の化合物を含む医薬組成物を含む組成物、および塩、エステル、またはそれらの他の誘導体をさらに提供する。対象医薬組成物は、対象組成物;および薬剤として許容される賦形剤を含む。非常に多様な薬剤として許容される賦形剤が当業者に既知であり、それらについてここで詳細に議論される必要はない。薬剤として許容される賦形剤は、例えばA. Gennaro(2000年)「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」第20版, Lippincott, Williams, & Wilkins、H.C. Anselら編(1999年)「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」第7版, Lippincott, Williams, & Wilkins、およびA.H. Kibbeら編(2000年)「Handbook of Pharmaceutical Excipients」第3版, Amer. Pharmaceutical Assoc.を含む種々の刊行物に詳述されている。
【0110】
媒体、アジュバント、担体、または希釈剤のような薬剤として許容される賦形剤は、誰にでも容易に入手可能である。さらに、pH調整および緩衝剤、等張性調整剤、安定化剤、湿潤剤およびその類似物のような薬剤として許容される補助物質も、誰にでも容易に入手可能である。
【発明の効果】
【0111】
多くの実施態様において、主題の化合物は約50μM未満のIC50ともにHCVのNS3ヘリカーゼの酵素活性を阻害する。例えば、主題の化合物は約40μM未満、約25μM未満、約10μM未満、約1μM未満、約100nM未満、約80nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約10nM未満、または約1nM未満、あるいはそれ以下のIC50でHCV NS3プロテアーゼを阻害する。
【0112】
多くの実施態様において、主題の化合物はHCVウィルス複製を阻害する。例えば、主題の化合物は、化合物非存在下におけるHCVウィルス複製に比較して少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、あるいはそれ以上、HCVウィルス複製を阻害する。主題の化合物がHCVウィルス複製を阻害するか否かを、in vitroウィルス複製アッセイを含む、当業者に既知の方法を使用して決定することができる。
【0113】
<NS3ヘリカーゼ>
HCVはプラス鎖RNAウィルスである。感染によりそのゲノムRNAは、ウィルスおよび細胞タンパク質により10種類以上の異なるウィルスタンパク質にプロセシングされる、巨大なポリタンパク質を生成する。他のプラス鎖RNAウィルスと同様に、プラス鎖RNAの複製は、マイナス鎖RNAの最初の合成に関与している。このマイナス鎖RNAは、複製中間体であり、子孫のゲノムRNAの生成のための鋳型として機能する。このプロセスは、RNA依存RNAポリメラーゼおよびRNAヘリカーゼを含むウィルスがコード化する2種類またはそれ以上のコード化酵素により実行されると信じられている。RNAポリメラーゼは子孫のRNAの生成のための鋳型RNAを複製する。この酵素は、鋳型DNAよりRNA分子を合成することはない。
【0114】
RNAヘリカーゼは、一本鎖RNAに存在する二次構造を巻き戻す。ヘリカーゼはまた、二本鎖RNAを一本鎖形態に巻き戻す。ゲノムHCV RNA分子は広範な二次構造を含む。HCV RNAの複製中間体は、プラス鎖およびマイナス鎖RNA分子からなる二本鎖RNAとして存在すると信じられている。RNAヘリカーゼの活性は、一本鎖RNAを鋳型として巻き戻すと信じられているRNA依存RNAポリメラーゼの活性を促進すると信じられている。それゆえヘリカーゼの生物学的活性は、HCV複製にとって重要であると信じられている。
【0115】
<NS3ヘリカーゼ活性の制御>
NS3ヘリカーゼは、ドメイン1、ドメイン2、およびドメイン3の3個のドメインを含んだ約631アミノ酸残基(配列番号1)を含む。NS3ヘリカーゼの相同構造が、実施態様の一部として考慮されている。配列番号1に示されるように、ドメイン1は第190残基から第324残基にわたる残基またはそれらのバリアントを含む。配列番号1に示されるように、ドメイン2は第328残基から第483残基にわたる残基またはそれらのバリアントを含む。ドメイン1およびドメイン2は、αへリックスに囲まれた並行βシートを形成する。
【0116】
ここで記述される化合物(例えば式(I)から(IV))は、ドメイン1および/またはドメイン2においてNS3ヘリカーゼに結合すると信じられている。配列番号1に示されるように、ドメイン1におけるNS3ヘリカーゼに対する化合物の結合は、第209残基から第221残基;第286残基から第288残基;第317残基から第319残基;および/または第214残基から第218残基のうち、1またはそれ以上の残基との相互作用を含むと信じられている。
【0117】
ドメイン2におけるNS3ヘリカーゼに対する化合物の結合は、配列番号1に示されるように、第412残基から第423残基;第363残基;第365残基;第406残基;第408残基;第391残基;第397残基;第400残基;および第400残基から第404残基のうち、1またはそれ以上の残基との相互作用を含むと信じられている。
【0118】
上述のような、ドメイン1および/またはドメイン2におけるNS3ヘリカーゼに対する化合物の結合は、第412残基から第423残基のうち1またはそれ以上の残基の移動を誘起してよい。付随したNS3ヘリカーゼの移動もまた発生してよい。化合物の結合に起因する移動または移動群により、NS3ヘリカーゼの遠隔部位における核酸基質の結合が阻害されてよいような、NS3ヘリカーゼのアロステリックな動きが発生してよい。好ましい実施態様では、核酸基質がDNAまたはRNAである。核酸基質の結合を阻害することにより、NS3ヘリカーゼ活性が制御されてよい。好ましい実施態様では、NS3ヘリカーゼ活性の制御はNS3ヘリカーゼ活性の阻害である。好ましい実施態様では、制御されるNS3ヘリカーゼ活性はHCVの複製である。NS3ヘリカーゼ活性の制御は、in vivoまたはex vivoで実行することができる。
【0119】
実施態様は、NS3ヘリカーゼに対する化合物の結合を促進するように設計され、その結合がNS3ヘリカーゼ活性の制御(例えば阻害)に対して有効である、少なくとも1個の官能基を含む化合物を提供する。式(I)から(IV)の化合物は、そのように設計される官能基を含む化合物の例である。例えば化合物は、前記表1および表2に記述されるI-1からI-183またはII-1からII-82のうちいずれか1個またはそれ以上であってよい。実施態様では、結合はNS3ヘリカーゼによる核酸基質(例えばDNAおよび/またはRNA)の巻き戻しの阻害に対して有効である。NS3ヘリカーゼのアロステリックな動きを結合が促進し、それによってNS3ヘリカーゼ活性を制御してもよい。NS3ヘリカーゼドメイン1に対する、例えばNS3ヘリカーゼドメイン1中の1残基またはそれ以上の残基に対する、化合物の結合を促進するように官能基を設計してよく、例えば残基は、第209残基から第221残基、第286残基から第288残基、第317残基から第319残基、または第214残基から第218残基のうちいずれか一つであってよい。別の実施態様では、NS3ヘリカーゼドメイン2、例えばNS3ヘリカーゼドメイン2中の1残基またはそれ以上の残基への化合物の結合を促進するように官能基を設計してよく、例えば残基は、第412残基から第423残基、第363残基、第365残基、第406残基、第408残基、第391残基、第397残基、第400残基、または第400残基から第404残基のうちいずれか一つであってよい。
【0120】
別の実施態様は、化合物および薬剤として許容される担体を含む医薬組成物を提供し、前述のようにここでその化合物は、NS3ヘリカーゼに対する化合物の結合を促進するように設計され、その結合がNS3ヘリカーゼ活性の制御に対して有効である、少なくとも1個の官能基を含む。例えば組成物中の化合物は式(I)から(IV)の化合物であってよく、それゆえ前述表1および表2に記述されるI-1からI-183またはII-1からII-82のうちのいずれか1個またはそれ以上であってよい。
【0121】
別の実施態様は、化合物または化合物を含む組成物とNS3タンパク質を接触させることを含む、NS3ヘリカーゼ活性を制御する方法を提供し、前述のようにここでその化合物は、NS3ヘリカーゼに対する化合物の結合を促進するように設計され、その結合がNS3ヘリカーゼ活性の制御に対して有効である、少なくとも1個の官能基を含む。接触はex vivoまたはin vivoで発生してよい。in vivoであれば、接触は人体内で発生してよい。実施態様では、方法は例えば肝疾患またはHCVのような状態のような、ここで開示される医学的状態または疾患を有する人物を同定することを含む。
【0122】
<肝ウィルス感染の治療>
ここに記述される方法および組成物は、一般にHCV感染の治療において有用である。
【0123】
主題の方法がHCV感染の治療において有効であるか否かは、ウィルス量の減少、(患者血清中でウィルスが検知不可能な)セロコンバージョン時間の減少、治療に対する持続型ウイルス応答の速度の増大、医療の結果における罹患率または死亡率、あるいは他の疾患反応の指標により、決定されることができる。
【0124】
一般的に、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量とは、ウィルス量を減少させる、または治療に対する持続型ウィルス応答を達成するために有効な量である。
【0125】
主題の方法がHCV感染の治療において有効であるか否かは、ウィルス量を測定することにより、または、肝線維化、血清トランスアミナーゼレベルの上昇、および肝臓中の壊死性炎症活性を含むがそれに限定されない、HCV感染に関わるパラメーターを測定することにより決定されることができる。
【0126】
方法は、有効量の1種類またはそれ以上の付加抗ウィルス剤と任意に組み合わされる、有効量の式(I)から(IV)の化合物の投与を含む。ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、例えば血清1mLあたりのゲノムコピー数が約1000から約5000、約500から約1000、または約100から約500のような、検知不可能なレベルまでウィルス力価を減少させるために有効な量である。ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、ウィルス量を血清1mLあたりゲノムコピー数100より少なく減少させるために有効である量である。
【0127】
ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、個体の血清中のウィルス力価において1.5対数、2対数、2.5対数、3対数、3.5対数、4対数、4.5対数、または5対数減少値を達成するために有効である量である。
【0128】
多くの実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、例えば、治療の休止後、少なくとも約一ヶ月、少なくとも約二ヶ月、少なくとも約三ヶ月、少なくとも約四ヶ月、少なくとも約五ヶ月、または少なくとも約六ヶ月の期間、患者の血清中にHCV RNAが、検知不可能、または実質的に検知不可能(例えば血清1mLあたりゲノムコピー数約500未満、約400未満、約200未満、または約100未満)な、持続型ウィルス応答を達成するために有効である量である。
【0129】
前述されたように、主題の方法がHCV感染の治療において有効であるか否かは、肝線維化のような、HCV感染に関わるパラメーターを測定することにより決定されることができる。肝線維化の程度を決定する方法は、以下で議論される。ある実施態様では、肝線維化の血清マーカーレベルは、肝線維化の程度を示す。
【0130】
一つの非限定的例として、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の値が、標準アッセイを使用して測定される。一般に、約45国際単位(IU)未満のALT値が正常であると考えられている。ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、ALT値を血清1mLあたり45IU未満に減少させるために有効である量である。
【0131】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、非治療個体におけるマーカーの値またはプラセボ治療個体に比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、あるいはそれ以上、肝線維化のマーカーの血清値を減少させるために有効である量である。血清マーカーを測定する方法は、所与の血清マーカーに対して特異的な抗体を使用した、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイなどの、免疫学的方法を含む。
【0132】
多くの実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、相乗的な量である。ここで使用される式(I)から(IV)の化合物、および付加抗ウィルス剤の「相乗的併用」または「相乗的量」は、(i)単独治療と同じ投与量が投与されるときに、式(I)から(IV)の化合物の治療上または予防上の利点、および(ii)単独治療と同じ投与量が投与されるときに、付加抗ウィルス剤がもつ治療上または予防上の利点の、単なる加法的組み合わせから予想または期待されることができる治療結果における漸進的な改善よりも、HCV感染の治療または予防的治療においてより有効である併用投与量である。
【0133】
ある実施態様では、選択される量の式(I)から(IV)の化合物と、選択される量の付加抗ウィルス剤は、疾病の併用療法において使用されるときに有効であるが、選択される量の式(I)から(IV)の化合物、および/または選択される量の付加抗ウィルス剤は、疾病の単独療法において使用されるとき効果がない。それゆえその実施態様は、(1)選択される量の付加抗ウィルス剤が疾患の単独療法において使用されるときには治療上の利点を提供しないで、選択される量の付加抗ウィルス剤が疾患の併用療法において使用されるときに、選択される量の式(I)から(IV)の化合物の治療上の利点を増大させるレジメン、(2)選択される量の式(I)から(IV)の化合物が疾患の単独療法において使用されるときには治療上の利点を提供しないで、選択される量の式(I)から(IV)の化合物が疾患の併用療法において使用されるときに、選択される量の付加抗ウィルス剤の治療上の利点を増大させるようなレジメン、(3)選択される量の式(I)から(IV)の化合物および付加抗ウィルス剤各々がそれぞれ疾患の単独療法において使用されるときには治療上の利点を提供せず、選択される量の式(I)から(IV)の化合物および選択される量の付加抗ウィルス剤が疾患の併用療法において使用されるときに治療上の利点を提供するレジメンを包含する。ここ使用される式(I)から(IV)の化合物、および付加抗ウィルス剤の「相乗効果量」、およびその文法上同義語は、上記(1)から(3)のいずれかに包含されるレジメンのいずれかを含むと理解されるべきである。
【0134】
<線維化>
実施態様は、(HCV感染に起因する、または関係する肝線維化の形態を含む)肝線維化を治療する方法を提供し、一般に式(I)から(IV)の化合物と、1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量を投与することを含む。1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の存在下または非存在下における式(I)から(IV)の化合物の有効量、ならびにレジメンは、以下で議論される。
【0135】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤による治療が、肝線維化を減退させる際に有効であるか否か、肝線維化と肝機能を測定するためのいくつかの十分に確立された技術のいずれかにより決定される。肝線維化の減退は肝生検試料を解析することにより決定される。肝生検の解析は、2大要素を含む。すなわち:重症度や進行中疾患活性の測定として「段階」によって査定される壊死炎症、および長期的疾患進行の反映として「進行度」によって査定される線維化病変および実質性または血管リモデリングの病変。例えば、Brunt(2000年), Hepatol.第31巻:241〜246ページ;およびMETAVIR(1994年), Hepatology第20巻:15〜20ページを参照のこと。肝生検の解析に基いて、スコアが評価される。いくつかの標準化されたスコア化システムが存在し、線維化の進行度や重症度の定量査定を提供する。この中には、METAVIR、Knodell、Scheuer、 Ludwig、およびIshakスコア化システムが含まれる。
【0136】
肝生検の様々な特徴の解析に基づき、METAVIRスコア化システムは、線維化(門脈の線維化、小葉中心の線維化、および硬変);壊死(断片および小葉の壊死、好酸球の後退、および気球状変性);炎症(門脈路の炎症、門脈でのリンパ球凝集、および門脈炎症の分布);胆管の変化、およびKnodell指標(門脈周囲の壊死、小葉の壊死、門脈の炎症、線維化、および全般的な疾患活性のスコア)を含む。METAVIRシステムにおける各段階の定義は以下のとおりである。すなわち、スコア0:線維化なし、スコア1:門脈路の星状の肥大があるが中隔形成なし、スコア2:門脈路の星状の肥大と共に、まれに中隔形成あり、スコア3:多数の中隔あるが硬変なし、スコア4:硬変。
【0137】
Knodellスコア化システムは、肝炎活性指標とも呼ばれ、病理組織の特徴の4つのカテゴリーにおけるスコアに基づき検体を分類する。すなわち、カテゴリーI:門脈周囲壊死および/または架橋壊死、カテゴリーII:小葉内変性および巣状壊死、カテゴリーIII:門脈の炎症、およびカテゴリーIV:線維化である。Knodell進行度システムでは、スコアは以下のとおりである:スコア0:線維化なし、スコア1:軽度の線維化(線維性の門脈拡大)、スコア2:中程度の線維化、スコア3:重度の線維化(架橋性線維化)、およびスコア4:硬変。スコアが高いほど、肝組織の損傷は重症である。Knodell(1981年), Hepatol.第1巻:431ページ。
【0138】
Scheuerスコア化システムは、以下のとおりである。すなわち、スコア0:線維化なし、スコア1:肥大し線維化した門脈路、スコア2:門脈周囲中隔または門脈-門脈中隔があるが構造は無傷、スコア3:構造の歪みを伴う線維化があるが明らかな硬変はなし、スコア4:確度の高いまたは明確な硬変。Scheuer(1991年), J. Hepatol.第13巻:372ページ参照のこと。
【0139】
Ishakスコア化システムは、Ishak(1995年), J.Hepatol.第22巻:696〜699ページに記述されている。第0期:線維化なし、第1期:短い線維性中隔があるまたはない一部門脈域の線維性拡大、第2期:短い線維性中隔があるまたはない大部分の門脈域における線維性拡大、第3期:時折門脈-門脈(P-P)架橋の見られる大部分の門脈域における線維性拡大、第4期:(P-P)だけでなく門脈-中心(P-C)架橋の著しい門脈域における線維性拡大、第5期:時折結節(不完全な硬変)の見られる著しい架橋(P-Pおよび/またはP-C)、第6期:確度の高いまたは明確な硬変。
【0140】
血清ビリルビンレベル、血清アルブミンレベル、プロトロンビン時間、腹水の存在および重症度、ならびに脳症の存在および重症度の異常に基づく多成分ポイントシステムを含むChild-Pughスコア化システムを使用して、抗線維化療法の利点を測定および評価することもできる。これらのパラメーターの異常の存在および重症度に基づき、臨床疾患の重症度における昇順の3カテゴリー、すなわち:A、B、またはCのいずれか1カテゴリーに患者を配分してもよい。
【0141】
ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物および1種またはそれ以上の任意付加抗ウイルス剤の治療有効量は、治療前および治療後の肝生検に基づく線維化進行度において1単位またはそれ以上変化させる効果をもつ量である。特定の実施態様では、式(I)から(IV)の化合物および1種またはそれ以上の任意追加抗ウイルス剤の治療有効量は、METAVIR、Knodell、Scheuer、Ludwig、またはIshakの各スコア化システムで少なくとも1単位、肝線維化を軽減する量である。
【0142】
肝機能の二次的または間接的な指数を使用して、式(I)から(IV)の化合物による治療の有効性を評価することもできる。肝線維化のコラーゲンおよび/または血清マーカーによる特異的染色に基づく量的な肝線維化度を、形態計測式コンピューター化半自動査定を、主題の治療方法が有効である指標として測定することもできる。肝機能の二次的な指標は、血清トランスアミナーゼレベル、プロトロンビン時間、ビリルビン、血小板数、門脈圧、アルブミンレベル、およびChild-Pughスコア査定が含むが、それに限定されない。
【0143】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の有効量は、非治療個体の肝機能の指標またはプラセボ治療個体に比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、あるいはそれ以上、肝機能の指標を増大させるために有効である量である。当業者ならば、その多くが市販品であり、臨床現場で日常的に使用されている標準アッセイ法を使用して、そのような肝機能の指標を容易に測定することができる。
【0144】
肝線維化の血清マーカーをまた、主題の治療方法の有効性の指標として測定することもできる。肝線維化の血清マーカーは、ヒアルロン酸、III型プロコラーゲンN末端ペプチド、IV型コラーゲン7Sドメイン、I型プロコラーゲンC末端ペプチド、およびラミニンを含むが、それに限定されない。肝線維化の付加生化学マーカーは、α-2-マクログロブリン、ハプトグロビン、γグロブリン、アポリポタンパク質A、およびγグルタミルトランスペプチダーゼを含む。
【0145】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、非治療個体のマーカー値またはプラセボ治療個体に比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、あるいはそれ以上、肝線維化マーカーの血清レベルを軽減させるために有効である量である。当業者ならば、その多くが市販品であり、臨床現場で日常的に使用されている標準アッセイ法を使用して、そのような肝線維化の血清マーカーを容易に測定することができる。血清マーカーを測定する方法は、所与の血清マーカーに対して特異的な抗体を使用した、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイなどの、免疫学的方法を含む。
【0146】
機能肝臓予備能力の定量試験を使用して、インターフェロンレセプターアゴニストおよびパーフェニドン(またはパーフェニドン類似体)による治療の有効性を査定することもできる。これら方法は以下を含む。すなわち:インドシアニングリーンクリアランス(ICG)、ガラクトース排泄能(GEC)、アミノピリン呼気試験(ABT)、アンチピリンクリアランス、モノエチルグリシン-キシリジン(MEG-X)クリアランス、およびカフェインクリアランス。
【0147】
ここ使用される、「肝硬変に関係した合併症」とは、非代償性肝疾患の続発症である障害、すなわち、肝線維化の進行に続いて、およびその結果として発生する障害を指し、腹水の進行、静脈瘤出血、門脈高血圧、黄疸、進行性肝不全、脳症、肝細胞癌、肝臓移植を要する肝不全、および肝臓に関係のある死を含むが、それに限定されない。
【0148】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、肝硬変に関係した障害の発生率(例えば、個体で進行する可能性)を、非処置個体またはプラセボ治療個体に比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、あるいはそれ以上、軽減させるために有効である量である。
【0149】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤による治療が、肝硬変に関係した障害の発生率の軽減に有効であるか否かは、当業者によって容易に決定することができる。
【0150】
肝線維化の軽減は肝機能を増強する。したがって実施態様は、肝機能を増強する方法を提供し、治療有効量の式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤を投与することを一般に含む。肝機能は以下を含む肝臓の標準な機能を指すが、それに限定されない。すなわち、血清タンパク質(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5'-ヌクレオシダーゼ、γ-グルタミニルトランスペプチダーゼなど)のようなタンパク質の合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成を含むがそれに限定されない合成機能;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝、および脂質代謝を含むがそれに限定されない肝臓代謝機能;外来薬物の解毒;内臓および門脈の血行力学を含む血行力学的機能;およびその類似物。
【0151】
肝機能が増強されるか否かは、十分に確立された肝機能の試験を使用して当業者により容易に確認可能である。アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビン、およびその類似物などのような肝機能マーカーの合成は、標準免疫および酵素アッセイ法を使用して血清におけるこれらのマーカーレベルを測定することにより査定されることができる。標準方法を使用した門脈楔部圧力および/または抵抗によって、内臓循環および門脈血行力学を測定することができる。血清中のアンモニア値を測定することにより、代謝機能を測定することができる。
【0152】
肝臓によって正常に分泌される血清タンパク質が正常範囲にあるか否かは、標準免疫および酵素アッセイ法を使用して、そのようなタンパク質の値を測定することにより決定することができる。当業者には、そのような血清タンパク質の正常範囲は既知である。以下は、非限定的な例である。アラニントランスアミナーゼの正常値が、血清1mLあたり約45IUである。アスパラギン酸トランスアミナーゼの正常範囲が、血清1Lあたり約5単位から約40単位である。ビリルビンが、標準アッセイ法を使用して測定される。正常なビリルビン値は、普通は約1.2mg/dL未満である。血清アルブミン値が、標準アッセイ法を使用して測定される。血清アルブミンの正常値は、約35g/Lから約55g/Lの範囲である。プロトロンビン時間の延長が、標準アッセイ法を使用して測定される。正常なプロトロンビン時間は、対照より約4秒間未満長い。
【0153】
式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、肝機能を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、あるいはそれ以上増大させるために有効な量である。例えば、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、肝機能の血清マーカーの上昇した値を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、あるいはそれ以上低下させる、あるいは肝機能の血清マーカーの値を正常範囲内に低下させるために有効な量である。式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤の治療有効量は、肝機能の血清マーカーの低下した値を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、あるいはそれ以上上昇させる、あるいは肝機能の血清マーカーの値を正常範囲内に上昇させるために有効な量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0154】
<投与量、配合物、および投与経路>
主題の方法では、活性薬剤(例えば、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤)は、望まれる治療効果をもたらすことが可能な従来の手段のいずれを使用して宿主に投与してよい。それゆえ薬剤は、治療投与のための様々な配合物に組み入れられてよい。より特定すると、薬剤として許容される適切な担体または希釈剤と医薬組成物に実施態様の薬剤を配合することができ、さらに錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、およおびエアロゾルのような、固体、半固体、液体、または気体形態に調製して配合してよい。
【0155】
<配合物>
上で論じられた活性薬剤を、既知の試薬および方法を使用して配合することができる。薬剤として許容される賦形剤との配合物として、組成物は提供される。薬剤として許容される広範な種類の賦形剤が当業者に既知であり、ここで詳細に論じられる必要はない。薬剤として許容される賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000年)「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」第20版, Lippincott, Williams, & Wilkins、H.C.Anselら編(1999年)「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」第7版, Lippincott, Williams, & Wilkins、およびA.H.Kibbeら編(2000年)「Handbook of Pharmaceutical Excipients」第3版, Amer. Pharmaceutical Assoc.を含む種々の刊行物に豊富に記述されている。
【0156】
媒体、佐剤、担体、または希釈剤のようなの薬剤として許容される賦形剤は、誰にでも容易に入手可能である。さらに、pH調整および緩衝剤、等張性調整剤、安定化剤、湿潤剤などの薬剤として許容される補助物質も、誰にでも容易に入手できるものである。
【0157】
ある実施態様では、水性バッファー中に薬剤を配合する。適切な水性バッファーは、5mMから100mMの様々な強度の酢酸、コハク酸、クエン酸、およびリン酸のバッファーを含むが、それに限定されない。ある実施態様では、水性バッファーは等張性溶液を提供する試薬を含む。そのような試薬は、塩化ナトリウムや、例えば、マンニトール、デキストロース、スクロース、およびその類似物の糖類が含むが、それに限定されない。ある実施態様では、水性バッファーはポリソルベート20もしくは80などの非イオン性界面活性剤をさらに含んでよい。任意で、配合物は保存剤をさらに含んでよい。適切な保存剤は、ベンジルアルコール、フェノール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、およびその類似物を含むが、それに限定されない。多くの場合、配合物は約4℃で貯蔵される。配合物を凍結乾燥してもよいが、その場合配合物は一般に、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、マンニトールなどの凍結保護物質を含む。凍結乾燥配合物は、周囲温度でも長期間貯蔵することができる。
【0158】
それに応じて、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、経皮、気管内などの投与を含む様々な手段で薬剤の投与を実現することができる。多くの実施態様では、大量注射、例えば、皮下大量注射、筋肉内大量注射、およびその類似物によって投与を行う。
【0159】
実施態様の医薬組成物を、経口的に、非経口的に、または植込貯蔵器(implanted reservoir)によって投与することができる。経口投与または注射による投与が好ましい。
【0160】
実施態様の医薬組成物の皮下投与は、標準的な方法および装置、例えば、針とシリンジ、皮下注射ポート送達システム(subcutaneous injection port delivery system)などを使用して実行される。例えば、米国特許第3547119号、同第4755173号、同第4531937号、同第4311137号、および同第6017328号を参照のこと。皮下注射ポート、および本発明の医薬組成物をそのポートを通して患者に投与する装置を組み合わせたものを、ここでは「皮下注射ポート送達システム」と呼ぶ。多くの実施態様では、針とシリンジによる大量送達によって皮下投与を実行する。
【0161】
医薬単位剤形で、薬剤として許容されるそれらの塩の形態で試薬を投与してもよいし、あるいは単独で、または他の医薬活性化合物との適切な合剤にして、および組み合わせてそれらを使用してよい。以下の方法および賦形剤は単に例示的なものであり、決して限定するものではない。
【0162】
経口製剤のために、単独で試薬を使用することも、あるいは、錠剤、粉末、顆粒、またはカプセル剤を作製するために、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプンのような通常の添加剤;微結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンのような結合剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウムのような崩壊剤;タルクやステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;および望まれれば、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、および着香剤と組み合わせて試薬を使用することができる。
【0163】
植物油または類似した他の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの水性または非水性の溶媒に、望まれれば可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤など通常の添加剤を組み合わせて、それらを溶解、懸濁、または乳化させることで、試薬を注射用に調整して配合することができる。
【0164】
さらに、乳化基剤または水溶性基剤のような様々な基剤と混合して試薬を坐剤に作製することができる。実施態様の化合物を、坐剤を介して直腸投与することができる。坐剤は、カカオ脂、カーボワックス、およびポリエチレングリコールのような、体温で融解するが室温では凝固する媒体を含んでよい。
【0165】
シロップ、エリキシル、懸濁液のような、経口または直腸投与のための単位剤形形態が提供されてよく、ここで例えば、茶さじ1杯、テーブルスプーン1杯、錠剤、または坐剤の各投与単位は、1種類またはそれ以上のインヒビターを含む前もって決定される量の組成物を含む。同様に、注射または静脈内投与用のための単位剤形形態は、無菌水、通常の生理食塩水、または薬剤として許容される他の担体中の溶液として組成物中にインヒビター(群)を含んでよい。
【0166】
ここで使用される用語「単位剤形」とは、ヒトおよび動物被験者に対する単位投与量として適する物理的別個単位を指し、各単位は薬剤として許容される希釈剤、担体、または媒体と共同で望まれる効果をもたらすために十分な量に算出される、前もって決定される量の実施態様の化合物を含む。実施態様の新規な単位剤形についての詳細は、使用される特定の化合物、達成される効果、および宿主中における各化合物に関連する薬力学に依存する。
【0167】
媒体、佐剤、担体、希釈剤のような薬剤として許容される賦形剤は、誰にでも容易に入手可能である。さらに、pH調整および緩衝剤、等張性調整剤、安定化剤、湿潤剤およびその類似物のような薬剤として許容される補助物質も、誰にでも容易に入手可能である。
【0168】
<他の抗ウイルス剤または抗線維化剤との同時投与>
主題の方法は、ある実施態様では、式(I)から(IV)の化合物、および1種類またはそれ以上の任意付加抗ウィルス剤(群)であるNS3インヒビター投与によって実施されるであろう。
【0169】
ある実施態様では、方法は、1種類またはそれ以上のインターフェロンレセプターアゴニスト(群)の投与をさらに含む。他の実施態様では、方法はパーフェニドンまたはパーフェニドン類似体の投与をさらに含む。
【0170】
併用療法で使用するために適した付加抗ウイルス剤は、ヌクレオチドおよびヌクレオシド類似体を含むが、それに限定されない。非限定的な例は、アジドチミジン(AZT)(ジドブジン)とその類似体および誘導体;2',3'-ジデオキシイノシン(DDI)(ジダノシン)とその類似体および誘導体;2',3'-ジデオキシシチジン(DDC)(ジデオキシシチジン)とその類似体および誘導体;2'3,'-ジデヒドロ-2',3'-ジデオキシチミジン(D4T)(スタブジン)とその類似体および誘導体;コンビビル;アバカビル;アデフォビルジポキシル;シドフォビル;リバビリン;リバビリン類自体を含む。
【0171】
ある実施態様では、方法はリバビリンの投与をさらに含む。リバビリン、すなわち1-β-D-リボフラノシル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドは、ICN Pharmaceuticals, Inc.,米国カリフォルニア州コスタメーサから入手可能であり、Merck Index、化合物番号8199、第11版に記述されている。その製造および配合物は、米国特許第4211771号に記述されている。ある実施態様はまた、リバビリンの誘導体の使用も含む(例えば、米国特許第6277830号を参照)。リバビリンを、カプセル剤または錠剤の形態で経口的に、あるいはインターフェロンレセプターアゴニストと同じまたは異なる投与形態で、同じまたは異なる経路で投与してもよい。当然、利用可能となる限り、経鼻スプレー、経皮、静脈内、坐剤、徐放剤形形態などによる投与のような、両方の医薬の他の種類の投与が企図される。活性成分を破壊することなく適正な投与量が送達される限り、投与のいずれの形態も作用するであろう。
【0172】
ある実施態様では、付加抗ウイルス剤は、NS3インヒビター化合物治療の全過程の間、投与される。他の実施態様では、付加抗ウイルス剤は、NS3インヒビター化合物治療の期間と重なる期間投与される、例えば、付加抗ウイルス剤による治療を、NS3インヒビター化合物治療が始まる前に始め、NS3インヒビター化合物治療が終わる前に終えることができ;付加抗ウイルス剤による治療を、NS3インヒビター化合物治療が始まった後に始め、NS3インヒビター化合物治療が終わった後に終えることもでき;付加抗ウイルス剤による治療を、NS3インヒビター化合物治療が始まった後に始め、NS3インヒビター化合物治療が終わる前に終えることもでき;あるいは付加抗ウイルス剤治療を、NS3インヒビター化合物治療が始まる前に始め、NS3インヒビター化合物治療が終わった後に終えることもできる。
【0173】
<治療の方法>
<単独療法>
ここに記述されているNS3インヒビター化合物を、HCV疾患に対する急性または慢性治療で使用してよい。多くの実施態様では、約1日から約7日、または約1週間から約2週間、または約2週間から約3週間、または約3週間から約4週間、または約一ヶ月から約二ヶ月、または約三ヶ月から約四ヶ月、または約四ヶ月から約六ヶ月、または約六ヶ月から約八ヶ月、または約八ヶ月から約十二ヶ月の期間、あるいは少なくとも1年間にわたってNS3インヒビター化合物は投与され、より長い期間にわたって投与されてもよい。1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、毎日、隔日、週2回、週3回、毎週、隔週、月3回、または月1回、NS3インヒビター化合物は投与されることができる。他の実施態様では、持続輸液としてNS3インヒビター化合物は投与される。
【0174】
多くの実施態様では、実施態様のNS3インヒビター化合物は経口投与される。
【0175】
患者におけるHCV疾患の治療のための上述の方法に関連して、ここに記述されるNS3インヒビター化合物は、患者の体重1kgあたり1日約0.01mgから約100mgの投与量を、1日1回から1日5回に分けて患者に投与されてもよい。ある実施態様では、NS3インヒビター化合物は、患者の体重1kgあたり1日約0.5mgから約75mgの投与量を1日1回から1日5回に分けて投与される。
【0176】
治療される宿主および特定の投与方式に応じて、剤形を作製するために担体物質に組み合わされてよい活性成分の量を変化させることができる。典型的な医薬調製物は、約5%から約95%の活性成分(w/w)を含むことができる。他の実施態様では、医薬調製物は、約20%から約80%の活性成分を含むことができる。
【0177】
特定のNS3インヒビター化合物の機能、症状の重症度、および被験者の副作用に対する感受性に応じて投与値を変えることができることを、当業者ならば容易に理解するであろう。所与のNS3インヒビター化合物の好ましい投与量は、当業者によって様々な手段で容易に判定可能である。好ましい手段は、所与のインターフェロンレセプターアゴニストの生理的効力を測定することである。
【0178】
多くの実施態様では、NS3インヒビター化合物は複数の投与単位が投与される。例えば、NS3インヒビター化合物は、月1回、月2回、月3回、隔週(qow)、週1回(qw)、週2回(biw)、週3回(tiw)、週4回、週5回、週6回、隔日(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または1日3回(tid)、約1日から約1週間、約2週間から約4週間、約一ヶ月から約二ヶ月、約二ヶ月から約四ヶ月、約四ヶ月から約六ヶ月、約六ヶ月から約八ヶ月、約八ヶ月から約1年、約1年から約2年、または約2年から約4年間、あるいはそれ以上の範囲の期間にわたり、投与される。
【0179】
<患者の同定>
ある実施態様では、最初のウィルス量、患者のHCV感染の遺伝子型、肝臓の形態、および/または患者の肝線維化の進行度のような患者によって提示されるある疾患パラメーターに応じて、HCV患者の治療に使用される薬剤治療の特定のレジメンが選択される。
【0180】
それゆえ、ある実施態様は、48週間の継続期間に治療失敗患者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。
【0181】
他の実施態様は、患者が48週間クールの治療を受ける、非応答患者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。
【0182】
他の実施態様は、患者が48週間クールの治療を受ける、再発者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。
【0183】
他の実施態様は、患者が48週間クールの治療を受ける、遺伝子型1のHCVに感染した未治療患者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。
【0184】
他の実施態様は、患者が48週間クールの治療を受ける、遺伝子型4のHCVに感染した未治療患者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。
【0185】
他の実施態様は、患者が48週間クールの治療を受ける、遺伝子型1のHCVに感染し、高ウィルス量(HVL)を有する未治療患者を治療するために主題の方法が改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。ここで「HVL」は血清1mLあたりHCVゲノムコピー数が2x106以上であるウィルス量を指す。
【0186】
ある実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)Knodellスコア3または4と計測されるような進行した、または重度の進行度である肝線維化を示す患者を同定し、その後(2)約24週間から約60週間、または約30週間から約1年、または約36週間から約50週間、または約40週間から約48週間、または少なくとも約24週間、または少なくとも約30週間、または少なくとも約36週間、または少なくとも約40週間、または少なくとも約48週間、または少なくとも約60週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0187】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)Knodellスコア3または4と計測されるような進行したもしくは重度の進行度である肝線維化を示す患者を同定し、その後(2)約40週間から約50週間、または約48週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0188】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106以上である患者を同定し、その後(2)約24週間から約60週間、または約30週間から約1年、または約36週間から約50週間、または約40週間から約48週間、または少なくとも約24週間、または少なくとも約30週間、または少なくとも約36週間、または少なくとも約40週間、または少なくとも約48週間、または少なくとも約60週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0189】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106以上である患者を同定し、その後(2)約40週間から約50週間、または約48週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0190】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106以上で、Knodellスコア0、1または2と計測されるような、肝線維化がない、または早期の進行度である患者を同定し、その後(2)約24週間から約60週間、または約30週間から約1年、または約36週間から約50週間、または約40週間から約48週間、または少なくとも約24週間、または少なくとも約30週間、または少なくとも約36週間、または少なくとも約40週間、または少なくとも約48週間、または少なくとも約60週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0191】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106以上で、Knodellスコア0、1または2と計測されるような、肝線維化がない、または早期の進行度である患者を同定し、その後(2)約40週間から約50週間、または約48週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0192】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106未満または同等量である患者を同定し、その後(2)約20週間から約50週間、または約24週間から約48週間、または約30週間から約40週間、または約20週間以下、または約24週間以下、または約30週間以下、または約36週間以下、または約48週間以下の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0193】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106未満または同等量である患者を同定し、その後(2)約20週間から約24週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0194】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1のHCV感染を有し、最初のウィルス量が、患者の血清1mLあたりゲノムコピー数が2x106未満または同等量である患者を同定し、その後(2)約24週間から約48週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0195】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型2または3のHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)約24週間から約60週間、または約30週間から約1年、または約36週間から約50週間、または約40週間から約48週間、または少なくとも約24週間、または少なくとも約30週間、または少なくとも約36週間、または少なくとも約40週間、または少なくとも約48週間、または少なくとも約60週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0196】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型2または3のHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)約20週間から約50週間、または約24週間から約48週間、または約30週間から約40週間、または約20週間以下、または約24週間以下、または約30週間以下、または約36週間以下、または約48週間以下の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0197】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型2または3のHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)約20週間から約24週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0198】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型2または3のHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)少なくとも約24週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0199】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型1または4のHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)約24週間から約60週間、または約30週間から約1年、または約36週間から約50週間、または約40週間から約48週間、または少なくとも約24週間、または少なくとも約30週間、または少なくとも約36週間、または少なくとも約40週間、または少なくとも約48週間、または少なくとも約60週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0200】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型5、6、7、8、および9のいずれかのHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)約20週間から約50週間の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0201】
他の実施態様は、主題の方法が下記の工程を含むよう改変される、HCV疾患の治療のための上述の方法のいずれかを提供する。すなわち、(1)遺伝子型5、6、7、8、および9のいずれかのHCV感染を有する患者を同定し、その後(2)少なくとも約20週間、および約48週間以下の期間、主題の方法の薬剤治療を患者に投与する。
【0202】
<治療に適する被験者>
上記のレジメンはいずれも、HCV感染と診断される個体に投与されることができる。上記のレジメンのいずれも、以前HCV感染の治療に失敗した個体(非応答者と再発者を含む「治療失敗患者」)に投与されることができる。
【0203】
HCVに感染したと臨床上診断される個体は、多くの実施態様において特に対象となる。HCVに感染した個体は、その血液中にHCV RNAを有する、かつ/またはその血清中に抗HCV抗体を有するものとして同定される。そのような個体は、抗HCV ELISA陽性個体、および陽性組換えイムノブロットアッセイ(RIBA)である個体を含む。そのような個体はまた、上昇したALT値を有していてもよいが、そうである必要もない。
【0204】
HCVに感染したと臨床上診断される個体は、未診断の個体(例えば、HCV治療、特にIFN-αベースおよび/またはリバビリンベースの治療を以前受けたことがない個体)、およびHCVに対する以前の治療に失敗した個体(「治療失敗」患者)を含む。治療失敗患者は、非応答者(すなわち、HCVに対する以前の治療、例えば、以前のIFN-α単独療法、以前のIFN-αおよびリバビリンの併用療法、または以前のPEG化IFN-αおよびリバビリンの併用療法で、HCV力価が有意にまたは十分に軽減されていない個体);および再発者(すなわち、以前にHCVに対する治療を受けた個体、例えば、以前のIFN-α単独療法、以前のIFN-αおよびリバビリンの併用療法、または以前のPEG化IFN-αとリバビリンの併用療法を受け、HCV力価が減少し、それに続き増加した個体)を含む。
【0205】
特に興味深い実施態様では、個体は血清1mLあたりHCVゲノムコピー数が少なくとも約105、または約5x105、約106、約2x106、のHCV力価を有する。患者は、HCVの遺伝子型(1aと1bを含む遺伝子型1、2、3、4、6など、および(例えば2a、2b、3aなどの)サブ遺伝子型)のいずれかに、1型HCV、および特定のHCVサブ遺伝子型および擬似種のような特に治療が困難なものに感染させられていてよい。
【0206】
また興味深いのは(上記のような)HCV陽性個体であり、その個体は、慢性HCV感染による重篤な線維化、または早期の肝硬変(代償性で、Child-PughスコアがAまたはそれ以下)、またはより進行した肝硬変(非代償性、Child-PughスコアがBまたはC)を提示したり、先行したIFN-αベースの抗ウィルス治療にもかかわらずウィルス血症であったり、またはIFN-αベースの治療に耐用性を持つことができなかったり、あるいはそのような治療に禁忌症を有したりする。特に興味深い実施態様では、METAVIRスコア化システムによるとスコア3または4の肝線維化であるHCV陽性個体は、ここに記述される方法による治療に適している。特に興味深い実施態様では、実施態様の方法による治療に適した個体は、臨床上の症状が非代償性肝硬変である患者であり、肝移植を待つ患者も含むかなり進行した肝硬変の患者を含む。さらに別の実施態様では、ここに記述される方法による治療に適した個体は、(METAVIR、LudwigおよびScheuerスコア化システムにおけるスコア1および2、Ishakスコア化システムにおける第1期、第2期、または第3期の)早期線維化の患者も含めて、より線維化の軽い程度の患者を含む。
【0207】
<NS3インヒビターの調製>
下記セクションのNS3インヒビターは、各セクションの手順および計画に従って調製されることができる。各NS3インヒビターの調製セクションのそれぞれの番号は、特定のセクションのみにおける意味が意味されており、別のセクションの同じ番号が意味されたり、混同されたりするべきではない。
【0208】
<方法論>
<NS3インヒビターの調製>
HCVヘリカーゼインヒビターは、以下に示す手順および計画に従って調製されることができる。
【0209】
式(I)を有するNS3ヘリカーゼインヒビターの合成を、反応式1に要約する。下記の一般反応式は、これらの化合物の合成のための反応条件を記述する。R3はアルキル基、例えばメチル基またはエチル基であってよい。
【0210】
<式(I)の化合物の合成のための一般手順>
【化20】

【0211】
適当量のクロロホルム中で、2-イソシアナトチオフェン(1)(THF中0.125 mmol/L)を、アミノエステル(2)(1.2当量)とDIEA((2)の1mL/mmol)の溶液に加える。イソシアン酸全てが消化されるまで(典型的には2時間から24時間)、反応物を室温で振盪する。シリカ上のイソシアン酸(5当量)を加え、過剰のアミノエステルが分離されるまで(通常6から24時間)、反応物を室温で振盪する。反応物を濾過し、濾過物を減圧中で濃縮する。取得される残留物を、加えられた適当量の2-メトキシエタノールおよびDIEA((1)の1mL/mmol)中に採取する。反応物を室温で24時間から36時間振盪する。この時点で、環状化していない生成物(3)が残っているか、反応混合物をLC-MSにより確認する。もし有意な量の生成物(3)がみつけられれば、環状化が完遂されるまで、反応混合物を60℃まで加熱する。中間体(3)が検出されなくなったら、反応物を減圧下で濃縮し、未精製生成物を取得する。もし未精製生成物が有意に不純であったなら、通常または逆相クロマトグラフィを使用して純化することができる。
【0212】
表3に示される式(I)を有するNS3ヘリカーゼインヒビターを、上記のようにして調製した。
【表3】


【0213】
<式(II)の化合物の合成のための一般手順>
【化21】

【0214】
置換アリールシンナミド類似体(5)を、文献(WO/00139081, Marty Winnら(2001年), J. Med. Chem., 第44巻:4393-4403ページ)中の開示されたプロトコルを使用して、反応式1に記述される方法に従って調製することができる。
【0215】
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、またはその類似物の適切な塩基存在下、または(例えばDMF、DMA、酢酸、メタノール、およびその類似物)極性溶媒中において、(2または4-フルオロベンズアルデヒド、2または4-クロロベンズアルデヒドのような)種々の置換ハロベンズアルデヒドを、(例えば4-フルオロチオフェノール、2-メトキシチオフェノール、またはその類似物などの)種々の置換チオフェノールと反応させることにより、ジアリール硫化物の中間体(3)を調製することができる。その結果生じるジアリール硫化物アルデヒド(3)を、マロン酸またはトリエトキシホスホノ酢酸のような酢酸同等物、または類似した試薬と反応させて、桂皮酸(4)またはそれに相当するエステルが提供される。エステルの場合それを、(例えばエタノール、メタノールのような)アルコールと水の混合物中で、(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはその類似物などの)無機塩基と加水分解させ、酸(4)が提供される。(塩化チオニル、またはジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシこはく酸イミド、またはその類似物を使用した酸の活性化を含む)標準的アミド結合形成条件下で、桂皮酸(4)を一級または二級アミンと共役させ、最終シンナミド類似体(5)が提供されることができる。
【0216】
別の方法として、反応式3に示される順序で化合物(8)を調製してもよい。
【化22】

【0217】
置換パラニトロハロベンゼン類似体(1)を、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、またはその類似物の適切な塩基存在下、または(例えばDMF、DMA、酢酸、メタノール、およびその類似物の)極性溶媒中において、(4-フルオロベンゼンチオール、2-メトキシベンゼンチオールなどのような)置換アリールチオール(2)と反応させて、中間体(3)が提供されてよい。パラジウム炭素、白金炭素、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、およびその類似物のような触媒を使用して、あるいは亜鉛/エタノール、塩化スズを使用して、水素付加により中間体(3)をそれに対応するアニリン(4)に変換してもよい。文献に開示されている標準サンドマイヤー反応条件によって、アニリン(5)をそれに対応したヨードまたはブロモ類似体に変換してもよい。トリエトキシホスホノ酢酸または他の類似試薬のような酢酸同等物と(5)の反応から、シンナミド類似体(6)を調製することができる。その結果生じるエステル(6)を、対応した酸(7)を得るために、(例えばエタノール、メタノールのような)アルコールと水の混合物中で、(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはその類似物などの)無機塩基と加水分解させてもよい。(塩化チオニル、またはジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシこはく酸イミド、またはその類似物を使用した酸の活性化を含む)標準アミド結合形成条件下で、酸(7)を一級または二級アミンと反応させ、最終ジアリール硫化物化合物(8)を調製してもよい。
【0218】
【化23】

【0219】
反応式4はアミノ置換シンナミド(4)の調製を示す。(例えばDMF、DMA、アセトン、メタノール、およびその類似物の)極性溶媒中で、(例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリメチルアミン、またはその類似物の)適切な塩基存在下で、(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、モルホリン、ピペリジン、置換ピペラジン、およびその類似物の)一級または二級アミンと、(2または4-フルオロベンズアルデヒド、2または4-クロロベンズアルデヒドのような)ハロ置換ベンズアルデヒド(1)を反応させてもよい。その結果生じるアルデヒド(2)を、桂皮酸酸(3)またはそれに相当するエステルを提供するために、マロン酸またはトリエトキシホスホノ酢酸のような酢酸同等物、または類似した試薬と反応させてもよい。エステルの場合それを、(例えばエタノール、メタノールのような)アルコールと水の混合物中で、(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはその類似物などの)無機塩基と加水分解させ、酸(3)が提供される。(塩化チオニル、またはジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシこはく酸イミド、またはその類似物を使用した酸の活性化を含む)標準的アミド結合形成条件下で、桂皮酸(3)を一級または二級アミンと共役させ、最終シンナミド類似体(5)が提供されることができる。
【0220】
【化24】

【0221】
文献(WO/00139081)に記述された反応手順から、2,3-ジクロロ置換ジアリール硫化物(8)を調製してよい。低温(0℃から室温)で、二塩化メチルまたは三塩化メチルのような非極性溶媒中で、フェノール(1)の臭素化より臭化物(2)を調製してよい。そしてアルキルアクリル酸を含むこの中間体のヘック反応は、中間体(3)を提供するであろう。ヒューニッヒの塩基、トリエチルアミン、ルチジン、またはその類似物のような塩基の存在下で、さらに低温(0℃から-20℃)下、二塩化メチルまたは三塩化メチル中で、トリフリック無水物を使用して、フェノール(3)をトリフレート(4)に変換してよい。(リチウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド、またはその類似物の)塩基の存在下、(DMF、NMP、またはその類似物の)極性溶媒中で、ジアリール硫化物類似体(6)を提供するために、トリフレート(4)のチオフェノール(5)との共役を実行することができる。(例えば、エタノール/水、メタノール/水、THF-メタノール/水、または類似した溶媒系などの)溶媒混合物中で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのような塩基を使用して、エステル(6)の加水分解を達成してよい。(塩化チオニル、またはジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシこはく酸イミド、またはその類似物を使用した酸の活性化を含む)標準的なアミド結合形成条件下で、桂皮酸(7)と一級または二級アミンの共役により、最終シンナミド類似体(8)が提供されてよい。
【実施例】
【0222】
<実施例1>
【化25】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)-1-(4-(フラン-3-カルボニル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0223】
<実施例1A>
【化26】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-フェニル)アクリル酸
【0224】
実施例1Aを、Marty Winnら(2001年), J. Med. Chem.,第44巻(第25号):4393-4403ページに記述される手順に従って、4-フルオロベンゼンチオールを2-クロロ-4-フルオロベンズアルデヒドと反応させ、その後マロン酸と濃縮して調製した。
【0225】
<実施例1B>
【化27】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4フルオロフェニルチオ)フェニル)-1-(4-(フラン-3-カルボニル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0226】
DMF(1mL)中の、実施例1A(60mg, 0.194 mmol)、HOBt水和物(44.64mg, 0.2915mmol)、N-メチルモルホリン(64μM, 0.583mmol)、およびフラン-3-イル(ピペリジン-1-イル)メタノン(42mg, 0.233mmol)の溶液を、EDCI(56mg, 0.292 mmol)で処理し、周辺の温度で撹拌した。18時間後、混合物を二塩化メチル(2mL)で希釈し、水(2mL)で洗浄した。二塩化メチル層を、39%酢酸エタノール/ヘキサンの段階的濃度勾配により溶出しつつ、シリカゲル(5g Alltech SEP packs)上のフラッシュクロマトグラフィーで分離して直接精製し、表題の化合物(38mg, 収量42%)を白色固体として取得した。LCMS (APCI) m/z 469 (M-H)。
【0227】
<実施例2>
【化28】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)-1-(ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0228】
実施例2を、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをピペリジンで代用した点を除き、実施例1A(60mg, 0.194mmol)に記述されるように調製した。生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー後、68%の収量(49mg)で単離した。LCMS (APCI)- at m/z 374 (M-H)-, Rt = 4.32 min.。
【0229】
<実施例3>
【化29】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)-1-モルフォリノプロパ-2-エン-1-オン
【0230】
実施例3を、実施例1A(60mg, 0.194mmol)から、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをモルフォリンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)- at m/z 378 (M-H)-, Rt = 3.82 min.。
【0231】
<実施例4>
【化30】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)-N,N-ジエチルアクリルアミド
【0232】
実施例4(37mg)を、実施例1A(60mg, 0.194mmol)から、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをジエチルアミンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)- at m/z 362 (M-H)-, Rt = 4.25 min.。
【0233】
<実施例5>
【化31】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル
【0234】
実施例5(46mg)を、実施例1A(60mg, 0.194mmol)から、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをイソニピコチン酸メチルで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)- at m/z 432 (M-H)-, Rt = 4.08 min.。
【0235】
<実施例6>
【化32】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボキシル酸
【0236】
Marty Winnら(2001年), J. Med. Chem.,第44巻(第25号):4393-4403ページに記述される手順に従って、実施例5(40mg, 0.095 mmol)を、水酸化リチウム一水和物と加水分解し、表題の化合物を白色粉末として提供された。LCMS (APCI)- at m/z 426 (M-H)-, Rt = 2.99 min.。
【0237】
<実施例7>
【化33】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)アクリルアミド)安息香酸メチル
【0238】
表題の化合物を、実施例1Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを3-アミノ安息香酸メチルで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。実施例7を白色粉末として単離した。LCMS (APCI)- at m/z 441 (M-H)-
【0239】
<実施例8>
【化34】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)フェニル)アクリルアミド)安息香酸
【0240】
実施例8を、実施例7から、実施例6に記述される方法に従って調製した。表題の化合物を白色粉末として取得した。LCMS (APCI)- at m/z 418 (M-H)-., Rt = 2.79 min.。
【0241】
<実施例9>
【化35】

(E)-1-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパ-2-エン-1-オン
【0242】
<実施例9A>
【化36】

(E)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)アクリル酸
【0243】
実施例9Aを、実施例1Aに記述してあるように、2-クロロ-4-フルオロベンズアルデヒドをジメチルアミンと反応させ、それに続いてマロン酸と濃縮して調製した。
【0244】
<実施例9B>
【化37】

(E)-1-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)プロパ-2-エン-1-オン
【0245】
表題の化合物(115mg)を、実施例9Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを1-(ピペラジン-1-イル)エタノンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 336 (M+H)+, Rt = 2.73 min.。
【0246】
<実施例10>
【化38】

(E)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)-N-(2-モルフォリノエチル)アクリルアミド
【0247】
実施例9Aを、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを2-モルフォリノエタンアミンで代用した点を除き、実施例1Bと同様に処理し、表題の化合物(27.4 mg)が提供された。LCMS (APCI)+ at m/z 338 (M+H)+, Rt = 2.64 min.。
【0248】
<実施例11>
【化39】

(E)-N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル) アクリルアミド
【0249】
実施例11(15mg)を、実施例9Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 333 (M+H)+, Rt = 2.62 min.。
【0250】
<実施例12>
【化40】

(E)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-(4-(フラン-3-カルボニル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0251】
実施例12(69mg)を、実施例9Aから、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 388 (M+H)+, Rt = 3.81 min.。
【0252】
<実施例13>
【化41】

(E)-3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)-1-モルフォリノプロパ-2-エン-1-オン
【0253】
実施例13(51.9mg)を、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをモルフォリンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 295 (M+H)+, Rt = 3.01 min.。
【0254】
<実施例14>
【化42】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル
【0255】
表題の化合物(73mg)を、実施例9Aから、実施例5に記述されるように調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 351 (M+H)+, Rt = 3.32 min.。
【0256】
<実施例15>
【化43】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(ジメチルアミノ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
【0257】
表題の化合物(24mg)は、実施例14から、実施例6に記述されるように調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 335 (M-H)-, Rt = 2.19 min.。
【0258】
<実施例16>
【化44】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)-1-(ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0259】
<実施例16A>
【化45】

1-クロロ-5-ヨード-4-メチル-2-ニトロベンゼン
【0260】
実施例16Aを、Tetrahedron Letters(2005年),第46巻(第18号):3197ページに記述されている方法に従って、5-クロロ-2-メチル-4-ニトロアニリンより調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 8.267 (s, 1H), 8.062 (s, 1H), 2.434 (s, 3H)。
【0261】
<実施例16B>
【化46】

(5-クロロ-2-メチル-4-ニトロフェニル)(4-フルオロフェニル)スルファン
【0262】
Organic Letters(2002年) 第9巻(第20号):3517ページに記述されているように、実施例16Aを、4-フルオロベンゼンチオールと処理して、表題の化合物が87%の収量で提供された。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 8.073 (s, 1H), 7.687-7.647 (m, 2H), 7.45-7.40 (m, 2H), 6.79 (s, 1H), 2.38 (s, 3H)。
【0263】
<実施例16C>
【化47】

2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルアニリン
【0264】
実施例16Bを、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2005年) 第15巻(第8号):2033-2039ページに記述されている方法で還元して、表題の化合物が(99%の収量で)無色油性物として提供された。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 7.32 (s, 1H), 7.15-7.11 (m, 2H), 7.05-7.02(m, 2H), 6.77 (s, 1H), 5.71 (br s, 2H), 2.15 (s, 3H)。
【0265】
<実施例16D>
【化48】

(5-クロロ-4-ヨード-2-メチルフェニル)(4-フルオロフェニル)スルファン
【0266】
実施例16Dを、実施例16C(1.8g, 6.723mmol)より、実施例16Aに記述されている方法に従って調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 7.85 (s, 1H), 7.4-7.41 (m, 2H), 7.29-7.24 (m, 2H), 6.99 (s, 1H), 2.22 (s, 3H)。
【0267】
<実施例16E>
【化49】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)アクリル酸メチル
【0268】
実施例16Eを、WO/00139081に記述されている手順に従って、アクリル酸メチルと実施例16Dを反応させ調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 7.89 (s, 1H), 7.77 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 7.54-7.51 (m, 2H), 7.35-7.31 (m, 2H), 6.79 (s, 1H), 6.69 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 3.71 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0269】
<実施例16F>
【化50】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)アクリル酸
【0270】
実施例16E(400mg, 1.188mmol)を、実施例6に記述されているように、水酸化リチウム一水和物と処理し、表題の化合物(300mg)が93%の収量で提供された。1H NMR (400 MHz, DMSO d6) δ 12.61 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.75 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 7.56-7.53 (m, 2H), 7.37-7.33 (m 2H), 6.83 (s, 1H), 6.61 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H)。
【0271】
<実施例16G>
【化51】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)-1-(ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0272】
実施例16G(53mg)を、実施例16Fより、3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをピペリジンで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 390 (M+H)+, Rt = 4.56 min.。
【0273】
<実施例17>
【化52】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)-1-(4-(フラン-3-カルボニル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0274】
表題の化合物(34mg)を、実施例16Fから、実施例1Bに記述されるように調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 485 (M+H)+, Rt = 4.02 min.。
【0275】
<実施例18>
【化53】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)-N,N-ジエチルアクリルアミド
【0276】
実施例16Fを、実施例4と同様に処理し、表題の化合物(49mg)が提供された。
LCMS (APCI)+ at m/z 378 (M+H)+, Rt = 4.44 min.。
【0277】
<実施例19>
【化54】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)アクリルアミド)プロパン酸エチル
【0278】
実施例19を、実施例16から、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを3-アミノプロパン酸エチルで代用した点を除き、実施例1Bに記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 421 (M+H)+, Rt = 4.21 min.。
【0279】
<実施例20>
【化55】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)アクリルアミド)プロパン酸
【0280】
実施例20を、実施例6と同様に処理し、表題の化合物(39mg)が提供された。LCMS (APCI)- at m/z 392 (M-H)-, Rt = 2.74 min.。
【0281】
<実施例21>
【化56】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)アクリルアミド)安息香酸
【0282】
実施例21を、実施例8の調製のために記述される方法に従って、実施例16Fと3-アミノ安息香酸メチルより調製し、水酸化リチウム一水和物で処理した。LCMS (APCI)- at m/z 440 (M-H)-, Rt = 3.12 min.。
【0283】
<実施例22>
【化57】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)ピペリジン)-4-カルボン酸
【0284】
実施例22(47mg)を、実施例16Fから、実施例6に記述されるように調製した。LCMS (APCI)- at m/z 432 (M-H)-, Rt = 2.88 min.。
【0285】
<実施例23>
【化58】

(E)-3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェニルチオ)-5-メチルフェニル)-1-モルフォリノプロパ-2-エン-1-オン
【0286】
実施例23(52mg)を、実施例16Fから、実施例3に記述される手順に従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 392 (M+H)+, Rt = 4.05 min.。
【0287】
<実施例24>
【化59】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド
【0288】
<実施例24A>
【化60】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)アクリル酸
【0289】
実施例24を、Marty Winnら(2001年), J. Med. Chem. 第44巻(第25号):4393-4403ページに記述される手順に従って、2-メトキシベンゼンチオールと2-クロロ-4-フルオロベンズアルデヒドの反応より調製し、その後マロン酸と濃縮した。
【0290】
<実施例24B>
【化61】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド
【0291】
実施例24Bを、実施例24Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンをN1,N1-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンで代用した点を除き、実施例1Bに記述されるように調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 405 (M+H)+, Rt = 2.456 min.。
【0292】
<実施例25>
【化62】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-N-(2-(1-メチルピロリジン-3-イル)エチル)アクリルアミド
【0293】
表題の化合物を、実施例24Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを2-(1-メチルピロリジン-3-イル)エタンアミンで代用した点を除き、実施例1Bの調製に記述されるように調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 431 (M+H)+, Rt = 2.515 min.。
【0294】
<実施例26>
【化63】

(E)-1-(3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
【0295】
実施例26(49 mg)を、実施例24Aから、実施例6に記述されるように調製した。LCMS (APCI)- at m/z 430 (M-H)-, Rt = 2.84 min.。
【0296】
<実施例27>
【化64】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-1-(4-(フラン-3-カルボニル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0297】
実施例24Aを、実施例1Bと同様に処理し、表題の化合物が提供された。LCMS (APCI)- at m/z 483 (M-H)-, Rt = 3.65 min.。
【0298】
<実施例28>
【化65】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-N,N-ジエチルアクリルアミド
【0299】
実施例28を、実施例18に記述される方法に従って調製した。LCMS (APCI)- at m/z 376 (M-H)-, Rt = 4.08 min.。
【0300】
<実施例29>
【化66】

(E)-3-(3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)アクリルアミド)プロパン酸
【0301】
実施例29を、実施例24Aより、実施例20に記述される手順に従って調製した。LCMS (APCI)- at m/z 390 (M-H)-, Rt = 2.54 min.。
【0302】
<実施例30>
【化67】

(E)-3-(2-クロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)-1-(4-(ピロリジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0303】
実施例30を、実施例24Aから、フラン-3-イル(ピペラジン-1-イル)メタノンを4-(ピロリジン-1-イル)ピペリジンで代用した点を除き、実施例1Bに記述されるように従って調製した。LCMS (APCI)+ at m/z 457, 459 (M+H)+, Rt = 2.94 min.。
【0304】
<実施例31>
【化68】

(E)-1-(3-(4-(4-フルオロフェニルチオ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
【0305】
<実施例31A>
【化69】

(E)-3-(4-(4-フルオロフェニルチオ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリルアルデヒド
【0306】
実施例31Aを、実施例1Aに記述されている手順に従って、4-フルオロベンゼンチオールと4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの反応から調製し、その後マロン酸と濃縮した。
【0307】
<実施例31B>
【化70】

(E)-1-(3-(4-(4-フルオロフェニルチオ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
【0308】
表題の化合物(47mg)を、実施例6に記述されている手順に従って、実施例31Aより調製した。LCMS (APCI)- at m/z 452 (M-H)-, Rt = 2.88 min.。
【0309】
<実施例32>
【化71】

(E)-1-(3-(2,3-ジクロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
<実施例32A>
【化72】

4-ブロモ-2,3-ジクロロフェノール
【0310】
2,3-ジクロロフェノールを、WO/00139081に記述されている方法に従って、二塩化メチル中で臭素と処理した。LCMS (APCI-) at m/e 241 (M+H)+
【0311】
<実施例32B>
【化73】

(E)-3-(2,3-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)アクリル酸メチル
【0312】
実施例32Aを、WO/00139081に記述されているように、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリトリルホスフィン、トリエチルアミン存在下、および乾燥DMF(300mL)中で、メチルアクリル酸で処理した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.27 (s, 1H), 7.83 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.98 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.98 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H)。
【0313】
<実施例32C>
【化74】

(E)-3-(2,3-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニルチオ)フェニル)アクリル酸
【0314】
実施例32Bを、WO/00139081に記述されている方法に従って、2,2,2-トリフルオロ酢酸無水物と処理し、それに対応したトリフレートを取得した。その後、単離される生成物を、WO/00139081に記述されているように、2-メトキシベンゼンチオールと処理した。次に、単離される生成物を、実施例16Fと同様に処理し、表題の化合物が提供された。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.65 (br s, 1H), 7.83 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.59 hz, 1H), 7.61-7.56 (m, 1H), 7.53-7.51 (m, 1H), 7.25 (d, J = 8.20 Hz, 1H), 7.11-7.07 (m, 1H), 6.53-6.50 (m, 1H), 6.51 (d, J = 167.01 Hz, 1H)。
【0315】
<実施例32D>
【化75】

(E)-1-(3-(2,3-ジクロロ-4-(2-メトキシフェニルチオ)フェニル)アクリロイル)ピペリジン-4-カルボン酸
【0316】
実施例32Cを、実施例5に記述される手順に従ってイソニペコチン酸と処理した。その後、単離される生成物を、実施例6と同様に水酸化リチウム一水和物と処理し、表題の化合物が提供された。(400 MHz, DMSO-d6) δ 12.26 (br s, 1H), 7.79 (d, J = 8.59 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 16.01 Hz, 1H), 7.56-7.51 (m, 1H), 7.45-7.43 (m, 1H), 7.23-7.20 (m, 2H), 7.06-7.03 (m, 1H), 6.51 (d, J = 8.98 Hz, 1H), 4.27-4.21 (m, 1H), 4.10-4.04 (m, 1H), 3.76 (m, 3H), 3.27 (m, 1H), 3.18-3.08 (m, 1H), 2.85-2.78 (m, 1H), 1.83-1.77 (m, 2H), 1.45-1.35 (m, 2H)。
【0317】
<一般手順>
【化76】

【0318】
二塩化メチル中(2mL)の置換フェニルアクリロイル塩化物(2.50mmol)溶液にアミン(2.75mmol)を加え、その後PS-DMAP(2.50mmol)を加え、週末の間に周辺温度で撹拌した。反応混合物を濾過および濃縮し、高純度の表題の化合物が70-90%の収量で与えられた。
【0319】
<実施例33>
【化77】

(E)-3-(2-クロロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド
LC-MS: m/z 226.959 (M+1)。
【0320】
<実施例34>
【化78】

(E)-3-(2-クロロフェニル)-1-(イソインドリン-2-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0321】
LC-MS: m/z 285.197 (M+1)。
【0322】
<実施例35>
【化79】

(E)-3-(2-クロロフェニル)-N-フェニルアクリルアミド
【0323】
LC-MS: m/z 259.133 (M+1)。
【0324】
【表4】

【0325】
<HCVヘリカーゼTR-FRET巻き戻りアッセイ>
in vitro同種経時蛍光消光アッセイ法において、その化合物がDNAの巻き戻りを阻害する能力を決定することにより化合物の効力を査定した。ヘリカーゼの基質(Perkin Elmer, TruPoint Helicase Substrate)は、一方のオリゴ核酸の鎖を蛍光ユーロピウムキレートで標識し、もう一方の鎖をQSY(登録商標)7消光剤で標識した、部分的二重鎖DNAからなる。ヘリカーゼおよびATPの存在下で、このDNAは巻き戻り、蛍光の大幅な増大が観測される。消光する側の鎖に相補的である、過剰の標識されていないオリゴヌクレオチド(同じくPerkin Elmer, TruPoint Helicase Capture Strand)は、ユーロピウムとQSY標識鎖が再びアニールするのを防ぐためにアッセイに含まれている。
【0326】
アッセイバッファーは、DMSOが最終濃度2%(v/v)で存在する、25mM MOPS (pH 7.0)、 500μM 塩化マグネシウム、および0.005%(v/v) トリトンX-100からなる。組換え、精製、全長NS3(第1残基から第631残基)タンパク質が、このアッセイでは最終濃度2.5nMで含まれた。TruPoint Helicase Substrate(最終濃度4nM)、TruPoint Helicase Capture Strand(最終濃度15nM)、およびATP(最終濃度100μM)の付加の前に、384穴白色Proxiplate(登録商標)(Perkin Elmer)中で5分間NS3タンパク質と化合物をインキュベートた。最終反応量は20μLであった。基質を加えてDNA鎖を捕捉した直後、室温中でEnvision (Perkin Elmer)プレートリーダーを通して、巻き戻り反応の初速度を決定した。化合物の効力を評価するために、試験化合物を含む反応速度を、試験化合物を含まない反応速度と比較した。IC50値を、曲線近似ソフトウェアXLfit (IDBS)を使用して決定した。
【0327】
<NS3-NS4プロテアーゼアッセイ>
<NS4A-2とのNS3複合体形成>
組換え大腸菌またはバキュロウィルス全長NS3を、アッセイバッファーで3.33μMに希釈し、その物質をエッペンドルフチューブに移し、4℃冷蔵庫中の水浴中に配置した。アッセイバッファー中、8.3mMとなる適切な量のNS4A-2を、ステップ2.1.1(アッセイバッファー272μL中、転化要素3.8mg)において、等量のNS3に加えた。その物質をエッペンドルフチューブに移し、4℃冷蔵庫中の水浴中に配置した。
【0328】
4℃に平衡化後、等量のNS3およびNS4A-2溶液をエッペンドルフチューブ内で併合し、手動ピペッターで穏やかに混合し、その混合物を4℃の水浴中で15分間インキュベートした。混合物の最終濃度は、NS3が1.67μMおよびNS4A-2が4.15mMである(2485倍モル濃度比で過剰NS4A-2)。
【0329】
4℃中15分後、NS3/NS4A-2エッペンドルフチューブを取り除き、室温水浴中に10分間配置した。NS3/NS4A-2混合物は適切な分量に分注し、-80℃で保存した(大腸菌NS3は25μLで分注、アッセイでは2nMで実行し、バキュロウィルスNS3は30μLで分注、アッセイでは3nMで実行する)。
【0330】
<NS3阻害アッセイ>
ステップ2.2.5. 試料化合物をDMSO中10mMとなるよう溶解し、その後DMSO中2.5mM(1:4)に希釈する。典型的には、化合物を2.5mMの濃度でアッセイプレートに加え、希釈によりアッセイ阻害曲線における最初の濃度である50μMとした。化合物をアッセイバッファー中に段階的に希釈し、低濃度の試験溶液が提供された。
【0331】
ステップ2.2.6. 大腸菌NS3/NS4A-2を、4nM NS3となるよう希釈した(1.67μMストックを1:417.5で希釈、すなわち1.67μMストック18μL+アッセイバッファー7497μL)。
【0332】
バキュロウィルスNS3/NS4A-2を、6nM NS3となるよう希釈した(1.67μMストックを1:278.3で希釈、すなわち1.67μMストック24μL+アッセイバッファー6655μL)。
【0333】
ステップ2.2.7. 手動多チャンネルピペッターを使用して、かつプレート中に泡が入らないよう注意して、50μLのアッセイバッファーを黒色Costar 96穴ポリプロピレン保存プレートのA01からH01のウェルに加えた。
【0334】
ステップ2.2.8. 手動多チャンネルピペッターを使用して、かつプレート中に泡が入らないよう注意して、ステップ2.2.6.の希釈NS3/NS4A-2を、ステップ2.2.7.のプレートのA02からH12のウェルに加えた。
【0335】
ステップ2.2.9. 手動多チャンネルピペッターを使用して、かつプレート中に泡が入らないよう注意して、ステップ2.2.5.の薬剤希釈プレート中のウェルの25μLを、ステップ2.2.8.のアッセイプレート中の対応するウェルに移した。多チャンネルピペッターのチップを各列の化合物を移すために交換した。
【0336】
ステップ2.2.10. 手動多チャンネルピペッターを使用して、かつプレート中に泡が入らないよう注意して、ステップ2.2.9.のアッセイプレートのウェルを、各ウェル5回ずつ、75μL中35μLを吸入および放出することにより混合した。多チャンネルピペッターのチップは各列の化合物を移すために交換した。
【0337】
ステップ2.2.11. プレートをポリスチレンプレート蓋で覆い、NS3プロテアーゼと試料化合物を含むステップ2.2.10.のプレートを、室温で10分間プレインキュベートした。
【0338】
ステップ2.2.11.のプレートをプレインキュベートしている間、RETS1基質を15mLのポリプロピレン遠心管中で希釈した。RETS1基質は、8μMに希釈した(646μM ストックを1: 80.75で希釈、すなわち646μM ストック65μL+アッセイバッファー5184μL)。
【0339】
ステップ2.2.11.のプレートがプレインキュベートを終えた後、手動多チャンネルピペッターを使用して、基質25μLをプレートの全ウェルに加えた。ウェルの内容物を、ステップ2.2.10.と同様であるがウェル中で100μL中65μLを混合するように、迅速に混合した。
【0340】
プレートを、Molecular Devices SpectraMax Gemini XSプレートリーダーに動的モードで測定した。リーダーの設定は以下のとおりである:
読み取り時間:30分間、インターバル:36秒間、読み取り回数:51、励起波長λ:335nm、発光波長:495nm、カットオフ:475nm、自動ミックス:オフ、キャリブレーション:1回、PMT:高、1ウェルの読み取り回数:6、Vmax pts:21または28/51 反応の直線性に依存。
【0341】
IC50値を、4個のパラメーター曲線近似式を使用して判定し、以下のKm値を使用してKi値に変換した。
[全長大腸菌NS3―2.03μM
全長バキュロウィルスNS3―1.74μM;
ここでKi = IC50/(1+[S]/Km))]
【0342】
<HCVサブゲノムレプリコンGS4.3中の、選択マーカータンパク質であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPTII)のELISA法による定量>
HCVサブゲノムレプリコン(I377/NS3-3', アクセス番号AJ242652)は、HuH-7肝癌細胞中で安定に保持されており、Lohmannら(1999年), Science 第285巻:110-113ページで創出された。レプリコン含有培養細胞はGS4.3と名づけられ、ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるFox Chaseがんセンターのがん研究所のChristoph Seeger博士によって取得された。
【0343】
200mM L-グルタミン(100倍)(Gibco25030-081)、非必須アミノ酸(NEAA)(Biowhittaker 13-114E)、熱非働化(HI)ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone SH3007.03)、および750μg/mL ジェネティシン(G418)(Gibco 10131-035)を補充したDMEM(Gibco 11965-092)中で、37℃、5%二酸化炭素でGS4.3細胞を維持した。2、3日おきに細胞を1:3または1:4に分注した。
【0344】
アッセイの24時間前にGS4.3細胞を集め、計数し、そして96穴プレート(Costar 3585)に1ウェルあたり7500細胞で標準維持培地(上述)100μl中に配置し、そして上述の条件でインキュベートした。アッセイを開始するために、培養培地を取り除き、細胞をPBS(Gibco 10010-023)で洗い、アッセイ培地(DMEM, L-グルタミン, NEAA, 10% HI FBS, G418無し) 90μlを加えた。10倍ストックとしてアッセイ培地(10μMから3倍希釈して最終濃度56pM、最終DMSO濃度1%となるように)中でインヒビターを作製し、ウェルを複製するために10μlを加え、混合するためにプレートを固定し、上述のように72時間インキュベートした。
【0345】
NPTII ELISAキットを、AGDIA, Inc.(Compound direct ELISA test system for Neomycin Phosphotransferase II, PSP 73000/4800)から取得した。いくつかの改変とともに、製造者の指示書に従った。500μM PMSF(Sigma P7626, 50mMイソプロパノール中ストック)を含むように、10倍PEB-1溶解バッファーを作製した。72時間のインキュベーション後、細胞をPBSで1回洗い、PMSFを含んだPEB-1 150μlを、各ウェルに加えた。プレートを15分間室温中で激しく撹拌し、その後-70℃で凍結した。プレートを溶解し、溶解液を完全に混合し、100μlをNPTII ELISAプレートに注入した。標準曲線を作成した。DMSO処理対照細胞から細胞溶解液を回収し、段階的にPMSFを含むPEB-1で希釈し、最初の細胞溶解液量が150μlから2.5μlの範囲となるようにELISAプレートの複製ウェルに注入した。それに加え、ブランクとしてバッファーのみ100μlを複製ウェルに注入した。プレートを封入し、室温で2時間穏やかに撹拌した。捕捉インキュベーションの後、PBS-T(0.5% Tween-20、PBS-TはELISAキットに付属)300μlで5回プレートを洗浄した。計測のため、酵素複合希釈剤MRS-2(5倍)の1倍希釈物をPBS-T中に作製し、それに対して、指示書に従って酵素複合物AおよびBの1:100希釈物を加えた。プレートを再封入し、室温で2時間、封入したまま撹拌しながらインキュベートした。その後洗浄を繰り返し、室温TMB基質を100μl加えた。(室温中、撹拌しながら、封入したまま)ほぼ30分間インキュベートした後、3M硫酸50μlを加えて反応を停止させた。プレートをMolecular Devices Versamaxプレートリーダーで、波長450nmで計測した。
【0346】
DMSO処理対照シグナルの百分率として、インヒビター効果を表示した。以下の4パラメーターの等式を使用して、阻害曲線を計算した:
y=A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))
【0347】
[ここでCは、最大半量活性、またはEC50であり;
この中で、
Aは、表示されるように、50μM未満のIC50またはEC50を示し;
Bは、表示されるように、10μM未満のIC50またはEC50を示し;
Cは、表示されるように、1μM未満のIC50またはEC50を示し;
およびDは、表示されるように、0.1μM未満のIC50またはEC50を示す]。
【0348】
<結論>
HCV NS3ヘリカーゼの強力な小分子インヒビターが開発された。
【0349】
本発明は、本発明の特定の実施態様を参照して記述されているが、さまざまな改変を行ってよく、本発明の真の目的と範囲から離れることなく同等物と置換してよいことが、当業者によって理解されるべきである。それに加えて、本発明の目標、目的、および範囲に対して、特定の状況、物質、物体の組成物、プロセス、プロセス工程または工程群を適応させるために多くの改変を行うことができる。全てのそのような改変は、ここに付加される請求項の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[前記式中、R1は、任意置換アリール、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリル、任意置換アリールアルキル、またはヘテロシクリル系に窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルアルキルであり;
R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
またはR2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から20員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(I)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化2】

]。
【請求項2】
R1が、任意置換アリール、または、窒素、酸素または硫黄のうち少なくとも一つを含む任意置換ヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2、R3、およびR4が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換C5〜20アリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1がチオフェンである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R2、R3、およびR4が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換C5〜20アリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
R1が任意置換フェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
R2、R3、およびR4が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換C5〜20アリール、任意置換C6〜20アリールアルキル、任意置換C3〜20シクロアルキルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R2、R3、およびR4のうち少なくとも二つが結合して環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
表1のI-1からI-183より選択される式を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(II)の化合物:
【化3】

[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されるが;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリルおよびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される;
ただし、式(II)の化合物は、下記の構造式を含まない
【化4】

]。
【請求項13】
R12、R13、R14、およびR17が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、およびカルボキシより選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
R15とR16が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、任意置換C5〜20アリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換4から6員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素および硫黄より選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
式(III)を有する、請求項12に記載の化合物:
【化5】

[前記式中、R11は、H、ハロ、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、または任意置換C1〜20アルコキシであり;
R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択され;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15とR16は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されるか;
または、R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換3から7員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される]。
【請求項17】
R11が、H、ハロ、任意置換C1〜20アルキル、または任意置換C1〜20アルコキシである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R12、R13、およびR14が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、およびR14のうち全てがHであることはない、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
R12、R13、およびR14が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、およびR14のうち全てがHであることはない、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
R15とR16が、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C3〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
R15とR16が共に環を形成し、その環は非置換または置換4から6員環であり、その環の成分は炭素、窒素、酸素または硫黄より選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
R11がフルオロであり、ならびにR12、R13、およびR14がそれぞれ独立に、H、アルキル、およびハロより選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項23】
表2のII-1からII-82より選択される式を有する、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
下記式を有する、請求項12に記載の化合物。
【化6】

【請求項25】
表2のII-1からII-82より選択される式を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式(IV)の化合物:
【化7】

[前記式中、R12、R13、R14、およびR17は、それぞれ独立に、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、ハロ、シアノ、メルカプト、ヒドロキシ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、シアノアミノ、ニトロ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、スルファミル、スルフォニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R12、R13、R14、およびR17のうち全てがHであることはなく;
R15は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルケニル、任意置換C1〜20アルキニル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20シクロアルキル、任意置換部分飽和または完全飽和C3〜20複素環、任意置換C5〜20アリール、任意置換C2〜20ヘテロアリール、任意置換C1〜20ヘテロシクリルアルキル、任意置換C5〜20ヘテロアリールアルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、任意置換C5〜20アリールオキシ、任意置換C1〜20アルキルチオ、任意置換C1〜20アリールチオ、モノおよびジC1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択されており;
R18は、H、任意置換C1〜20アルキル、任意置換C1〜20アルコキシ、モノおよびジ任意置換C1〜20アルキルアミノ、カルバミル、ケト、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニリル、およびそれらの組み合わせより選択される]。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の化合物、および薬剤として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項28】
有効量の請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物、または組成物とNS3タンパク質を接触させることを含む、NS3活性を制御する方法。
【請求項29】
接触がex vivoで起きる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
接触がin vivoで起きる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
接触が人体内で起きる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
C型肝炎を有する人物を同定することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
NS3タンパク質がNS3ヘリカーゼドメインを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
NS3ヘリカーゼ活性を阻害することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
NS3ヘリカーゼに対する化合物の結合を促進するように設計される少なくとも1個の官能基を含み、その結合がNS3ヘリカーゼ活性の制御に対して有効である化合物。
【請求項36】
結合が、NS3ヘリカーゼによる核酸基質の巻き戻しの阻害に対して有効である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
核酸基質がDNAまたはRNAである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
結合が、NS3ヘリカーゼのアロステリックな動きを促進する効果を持つ、請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
NS3ヘリカーゼドメイン1に対する化合物の結合が促進されるように官能基が設計される、請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
NS3ヘリカーゼドメイン1の少なくとも1残基に対する化合物の結合が促進されるように官能基が設計される、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
残基が、第209残基から第221残基、第286残基から第288残基、第317残基から第319残基、または第214残基から第218残基のいずれか一つである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
NS3ヘリカーゼドメイン2に対する化合物の結合が促進されるように官能基が設計される、請求項35に記載の化合物。
【請求項43】
NS3ヘリカーゼドメイン2の少なくとも1残基に対する化合物の結合が促進されるように官能基が設計される、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
残基が、第412残基から第423残基、第363残基、第365残基、第406残基、第408残基、第391残基、第397残基、第400残基、または第400残基から第404残基のいずれか一つである、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
活性制御が阻害である、請求項35に記載の化合物。
【請求項46】
化合物が、表1のI-1からI-183、および表2のII-1からII-82に記述されるうちのいずれか一つである、請求項35に記載の化合物。
【請求項47】
請求項35に記載の化合物と、薬剤として許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項48】
表1のI-1からI-183、および表2のII-1からII-82に記述されるうちのいずれか一つである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
NS3タンパク質を請求項35に記載の化合物と接触させることを含む、NS3ヘリカーゼ活性を制御する方法。
【請求項50】
接触がex vivoで起きる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
接触がin vivoで起きる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
接触が人体内で起きる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
C型肝炎を有する人物を同定することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
NS3タンパク質のNS3活性を制御するときに使用するための、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項55】
タンパク質がex vivoにある、請求項54に記載の化合物または組成物。
【請求項56】
タンパク質がin vivoにある、請求項54に記載の化合物または組成物。
【請求項57】
タンパク質が人体内にある、請求項56に記載の化合物または組成物。
【請求項58】
C型肝炎の治療において使用するための、請求項54に記載の化合物または組成物。
【請求項59】
NS3タンパク質がNS3ヘリカーゼドメインを含む、請求項54に記載の化合物または組成物。
【請求項60】
NS3ヘリカーゼ活性の阻害において使用するための、請求項54に記載の化合物または組成物。
【請求項61】
NS3タンパク質のNS3ヘリカーゼ活性の制御において使用するための、請求項35に記載の化合物。
【請求項62】
タンパク質がex vivoにある、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
タンパク質がin vivoにある、請求項61に記載の化合物。
【請求項64】
タンパク質が人体内にある、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
C型肝炎の治療において使用するための、請求項61に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−513576(P2009−513576A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535577(P2008−535577)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/039044
【国際公開番号】WO2007/047146
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506125960)インターミューン・インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】