説明

ウェハ背面及び縁部からポリマーを除去するための方法及び装置

リアクタ内の支持台座部上に保持されたウェハの背面から、弓状側方ガス注入ノズルを利用してポリマーを除去する。弓状側方ガス注入ノズルは、ウェハ縁部に適合した曲率でリアクタ側壁部を貫通して延び、また遠隔プラズマ源からプラズマ副生成物を供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマエッチ処理に続いて、ウェハ正面上の繊細な薄膜を損傷することなく、ウェハの背面及び縁部からポリマーを除去するための方法及び装置に関する。
【背景】
【0002】
プラズマエッチ処理は、半導体ウェハ上の薄膜構造体をエッチする際に使用される。誘電性の薄膜(二酸化ケイ素等)をエッチするためのあるプラズマエエッチ処理では、フルオロカーボン及びフルオロ−ハイドロカーボン処理ガスを使用する。このような処理ガスは、フッ素に富んだエッチャント種及び炭素に富んだポリマー種とに解離する。当該分野で周知のように、エッチャント種が所望のエッチングを行ない、ポリマー種が所望のパッシベーションを行なう。ポリマー種は、ウェハ正面とウェハ背面の露出した縁部の両方に堆積する傾向がある。一部のケースにおけるウェハ背面へのポリマーの堆積は、ウェハの周縁部がエッチ処理中、露出するからである。ウェハ正面上に堆積されたポリマーは続くプラズマ処理工程の通常の流れの中で除去される。しかしながら、背面のポリマー膜の少なくとも一部は除去されない。これはウェハ背面がプラズマイオンの衝突から遮られるからである。このような背面のポリマー膜が無制限に蓄積し、後のプラズマ処理工程における汚染の一因となる恐れがある。ここで本発明者は、プラズマエッチ処理の最後に背面のポリマーを除去することによって、このような汚染を防止することを提案する。問題は、どのようにしてこの除去を行なうかである。
【0003】
ある特殊なエッチ処理を行って背面のポリマーを除去することができる。問題は、ウェハ正面がある繊細な薄膜材料を有し、その一部が先行の誘電体エッチ工程中に露出してしまっている可能性があることである。この繊細な薄膜は、例えば、超低誘電率(ultra−low dielectric constant:ULK)材料である。このようなULK材料は、(背面のポリマーと同様に)比較的高い割合で炭素を含む傾向があるため、背面のポリマーを除去可能なプラズマ化学反応に曝露された場合に特にエッチされやすい又は損傷を受けやすい。背面のポリマーを除去可能な環境にウェハを曝露しながら、ウェハ正面上のULK膜への損傷を防止するのは極めて困難又は不可能である。
【概要】
【0004】
一実施形態において、ウェハ背面を、その周縁部を露出させる支持表面上に配置し、チャンバの円筒形の側壁部を貫通してチャンバ内に延び且つウェハ縁部に隣接した弧に沿って分布する180度未満の限定された弧角度の弓状ガス注入区域を有する弓状側方ガス注入ノズルを設置することによって、ポリマーはウェハの背面から除去される。一実施形態においては、支持表面及びウェハを、弓状側方ガス注入ノズルを越えて天井部ガス分散プレートに向かって上昇させ、ウェハ正面とチャンバ天井部との間の狭い間隙にウェハ正面を閉じ込める。プラズマ副生成物を、遠隔プラズマ源において、酸素含有種を含む処理ガスから発生させ、得られたプラズマ副生成物は、リアクタチャンバ内へと弓状側方ガス注入ノズルの弓状ガス注入区域を通って導入され、ウェハを連続的に回転させながら、弧角度によって限定されるウェハ背面の一区画をプラズマ副生成物に曝露してポリマーをウェハ背面から除去する。ウェハ正面に面した天井部でガス分散プレートを通してパージガスを導入することによって、プラズマ副生成物の、ウェハ正面と天井部との間の間隙への進入が防止される。
【0005】
一実施形態においては、支持表面及びウェハを天井部ガス分散プレートから離して弓状側方ノズルより下の位置へと下降させることによって、ウェハ正面からフォトレジストを除去する。天井部ガス分散プレートを通したパージガス流れを止めて、遠隔プラズマ源からのプラズマ副生成物を、弓状側方ガス注入ノズルを通して導入し、ウェハを連続的に回転させながら、弧角度によって限定されるウェハ正面の一区画をプラズマ副生成物に曝露する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の例示的な実施形態が実現され且つ詳細に理解されるように、上記で簡単に要約した本発明のより詳細な説明をその実施形態を参照して行う。実施形態は添付図面に図示されている。本発明を不明瞭にすることがないように、一部の周知の処理について本願では説明しないと理解すべきである。
【0007】
【図1A】弓状側方ノズルに相対しての上昇位置に設定された、ウェハ背面からポリマーを除去するための回転・昇降可能なウェハ支持台座部を有する一実施形態によるリアクタの立面図である。
【図1B】図1Aに対応する平面図である。
【図1C】図1Aに対応する正射投影図である。
【図2】様々な弧長の分散ノズルでの処理ガスによるウェハの適用範囲を比較した図である。
【図3】ウェハ正面からフォトレジストを除去するためにウェハ支持台座部が下降位置にある図1Aのリアクタの立面図である。
【図4】ウェハ支持台座部が中間位置にある図1Aのリアクタの立面図である。
【図5A】〜
【図5C】図1Aのリアクタの弓状側方ノズルの第1の実施形態のそれぞれ正射投影図、立面図及び平面図である。
【図6A】〜
【図6C】図1Aのリアクタの弓状側方ノズルの第2の実施形態のそれぞれ正射投影図、立面図及び平面図である。
【図7A】〜
【図7C】図1Aのリアクタの弓状側方ノズルの第3の実施形態のそれぞれ正射投影図、立面図及び正面図である。
【図8A】〜
【図8C】図1Aのリアクタの弓状側方ノズルの第4の実施形態のそれぞれ正射投影図、立面図及び正面図である。
【0008】
円滑な理解のために、可能な限り、図面で共通する同一要素は同一参照番号を使用して表した。一実施形態の要素及び構成が、特に記載されることなくその他の実施形態で有益に組み入れられる場合が考えられる。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態しか図示しておらず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得ることから、本発明の範囲を制限すると解釈されないことに留意すべきである。
【詳細な説明】
【0009】
図1A、1B、1Cには、半導体ウェハ等のワークピースの背面からポリマーを除去するためのリアクタが図示される。リアクタは、対称軸106を規定する円筒形の側壁部105、側壁部105上に支持された天井部110及び側壁部105の底部の床部115によって取り囲まれた真空チャンバ100を含む。支持台座部120は、チャンバ100の内部に設置され、天井部110に面し且つ概して対称軸106に垂直である支持表面120aを有する。半導体ウェハ122等の平坦なワークピースが、支持表面120a上に載置され得る。支持表面120aの直径はウェハ122の直径より小さいため、ウェハ背面の周縁部が露出する。露出したウェハ背面の周縁部には、先行のエッチ処理工程中にポリマーが堆積した、ウェハ背面上の周縁領域が含まれる。台座部120は、対称軸106に沿って床部115を貫通して延びる回転軸125上に支持される。軸125は、対称軸106を中心として回転可能であり且つ対称軸106に沿って平行移動可能であるため、天井部110に相対して上昇又は下降させることができる。圧縮・拡張可能な昇降蛇腹部127が軸125を取り巻き、その底部で床部115に封止され、その上部にて台座部120の底部に封止される。回転サーボ130が軸125の回転を制御し、昇降サーボ135が、対称軸106に沿った軸125の平行移動を制御する。床部115を貫通してチャンバ100に連結されたメインチャンバ真空ポンプ137が、チャンバ100内の圧力を制御する。
【0010】
弓状側方ノズル140が側壁部105を貫通して、対称軸106に相対しての半径方向に延びる。慣用のタイプの遠隔プラズマ源(remote plasma source:RPS)145は内部真空チャンバ146を有し、その内部チャンバ146内で、処理ガス供給源152、154からガス分散パネル150を通して供給される処理ガスから発生するプラズマを維持する。内部チャンバ146内のプラズマにおいて解離した中性原子及びラジカルは、注入のために、弓状側方ノズル140を通ってメインチャンバ100内へと引き込まれる。RPSはいずれの適切なプラズマ発生技法を採用してもよいが、図1Aでは、チャンバ146の対向するポート162、164でチャンバ146に進入する一対の端部を有する外部内曲導管160を含むトロイダルプラズマ源を有するRPS145を図示している。RFソース電力が、導管160に隣接した又はそれを取り巻き且つRFソース電力発生装置168に連結されたコイル166によって内曲導管160の内部に結合される。コイル166以外の慣用の技法を採用してRF電力を内曲導管160の内部に結合してもよい。典型的には、メインチャンバ真空ポンプ137を作動させることによってチャンバ100、146間の十分な圧力差を維持し、プラズマ副生成物をRPSチャンバ146から弓状側方ノズル140を通してメインチャンバ100内へと引き込む。
【0011】
ウェハの背面からフルオロカーボンポリマーを効率的に除去可能なプラズマ副生成物(例えば、中性原子及びラジカル)を供給するために、一実施形態において、ガス供給源152は水素ガスを格納し、その一方でガス供給源154は水蒸気を供給する。別の実施形態において、ガス供給源154は、二酸化炭素又は代替として一酸化炭素を格納する。
【0012】
一実施形態において、天井部110は天井部ガス分散プレート180を含む又は支持する。天井部ガス分散プレート180は、内部ガスマニホルド182と、マニホルド180と連通し且つチャンバ100に開放している複数のガス注入オリフィス184を含む。ガス供給導管186は、パージガス供給源188からコントロールバルブ189を介してマニホルド182へとパージガスを供給する。パージガスは、ULK又はウェハ正面上のその他の材料と反応しない種であり、ポリマーと反応しないヘリウム、アルゴン等の不活性ガス又は窒素等のガスであってもよい。この構成により、ウェハ正面と天井部110との間の領域に陽圧が発生するため、弓状側方ノズルを通して導入される処理ガス又はプラズマ副生成物がウェハ正面に到達するのが防止される。これにより、背面のポリマーを除去している間、ウェハ正面上の敏感な薄膜を保護することができる。コントローラ170が出口バルブ189、真空ポンプ137、回転サーボ130、昇降サーボ135、RF発生装置168及びガスパネル150を統括する。
【0013】
図2の上面図は、弓状側方ノズル140の内部構成を隠れ線で示す。弓状側方ノズル140は、弓状ガス流路141及びウェハ122に向かって半径方向内側に面した複数の離間されたガス注入ノズルオリフィス142を取り囲むノズルヘッド140aを含む。ノズル140の円筒形の導管143が、RPSチャンバ146と弓状ガス流路141との間を連結する。図1A及び図1Bに示されるように、弓状側方ノズル140の導管143はチャンバ側壁部105を貫通して延び、一方、ノズルヘッド140aは側壁部105によって完全に取り囲まれる。その他の実施形態において、導管143は完全にチャンバ100の外部に位置し、ノズルヘッド140aは側壁部105を貫通して延びる。
【0014】
以下に記載の幾つかの実施形態の1つにおいて、ノズル140は半円又はそれより小さい弧にほぼ対応した弧長に亘って延びる。ノズル140とウェハ122の縁部との間には小さい(例えば、1〜5mm)の間隙G(図2)があるため、ノズルオリフィス142はガス又はプラズマ副生成物を、ウェハ(又はウェハ背面)122のパイ形状の領域の縁部の一部に亘って噴射する。パイ形状の領域は、例えば図2において約170度(角度A)の弧長に対応するが、その他の実施形態ではより短い弧長の場合もある。ウェハ背面の全周縁部からのポリマーの均一な除去は、ウェハ支持台座部120の回転によって達成される。ウェハの各回転について、ウェハ背面上の各領域の曝露時間は、回転速度(RPM)の逆数に、ノズル140(図1B)によって定められる角度Aと360度との比をかけたものである。
曝露時間=[1/RPM][A/360]
【0015】
一実施形態において、背面ポリマー除去エッチ処理のエッチ速度(生産性)は、側方ノズル140が定める角度Aを増大させることによって上昇する。ノズル開口部を極めて狭い角度(例えば、5度)に制限すると濃縮され且つ効果的なポリマーエッチプラズマ副生成物流れが得られるものの、処理の生産性は低下する。角度Aの拡大に伴うプラズマ副生成物の損失又は拡散は曝露時間の延長より小さいため、角度Aの拡大により生産性がある程度まで上昇することを本発明者は発見した。弧長がより長くなると(例えば、A=約180度)、角度Aの更なる拡大はプラズマ副生成物のより多くの損失又は拡散を引き起こす。このような損失は、実施形態によっては、エッチ速度を低下させ、曝露時間の延長による生産性における更なる利得を相殺してしまう。本願で開示の弓状側方ノズル140の実施形態は、発明者の発見に従って、曝露時間とプラズマ副生成物の損失との間の最適な兼ね合いの範囲内にあり、角度Aは一般に180度未満であるが、一般に約20度より大きい。
【0016】
図1Aのリアクタでは、台座部120が弓状側方ノズル140の高さ又はそれより若干上にまで上昇させられているため、ノズル140からのプラズマ副生成物又はエッチャント種はウェハ背面に流れる。しかしながら、リアクタが、ウェハ正面からフォトレジストを除去するために使用されることもある。この場合、台座部120を下降させて(図3に図示のように)ウェハ122を弓状側方ノズル140の高さより下にもってくると、ノズル140からのガスがウェハ正面に流れる。この実施形態において、天井部ガス分散プレートからのパージガス流は停止する。この応用例の場合、より大きい弧角度Aを有する弓状側方ノズル140の実施形態のほうが、1回のウェハ回転中に全ウェハ表面をカバーするのに効率が良い。これは、背面ポリマー除去処理ではプラズマ副生成物をウェハ背面の周縁部にしか分散させる必要がなく、フォトレジストの除去では、プラズマ副生成物をウェハ正面の全面に分散させる必要があるからである。
【0017】
図4は、ウェハ台座部120を図1Aの上昇位置と図3の下降位置との間の中間位置に上昇させたリアクタを図示する。この中間位置において、弓状側方ノズル140はウェハ122の縁部に面する。このモードは、ポリマーをウェハ背面及びウェハ縁部の面取りされた領域の両方から除去するのに有用である。
【0018】
図5A〜5Cは、図1Bの弓状側方ノズル140の変形である弓状側方ノズル240の一実施形態を示す。図5A〜5Cの弓状側方ノズル240は約30度の限定された弧角度Bを有する。その主用途は、背面のポリマーの除去である。図5A〜5Cのノズル240は、供給端部200a及び出口端部200bを有する円形の中空円筒形ガス供給導管200を有する。扇形ノズルヘッド210は、導管出口端部200bに連結される。扇形ノズルヘッド210は、扇形天井部214、天井部214に面した扇形床部216、第1傾斜平面側壁部218及び第2傾斜平面側壁部219に取り囲まれた中空内部212を有する。一実施形態において、扇形天井部214及び側壁部216は、図1Aに図示のワークピース又はウェハ122に面した弓状縁部214a、216aをそれぞれ有する。弓状縁部214a、216aはそれぞれ、ワークピース又はウェハ122の半径にほぼ対応する曲率半径を有する。弓状縁部214a、216aの曲率半径はウェハの半径より若干大きく、この差は、ウェハ122の周縁部とノズル弓状縁部214a、216aとの間の間隙G(図2を参照のこと)に対応する。傾斜側壁部218、219は導管出口端部200bに向かって互いに接近し、導管出口端部200bで終端し、導管出口端部200bに面したノズルヘッド210の開口部215(図5b)を画成する。開口部215は、ノズルヘッド開口部215が外接する導管出口端部200bの部位200cと重なる。導管出口端部200bの残りの部位は、エンドキャップ201によってブロックされる。ノズルヘッド210の弓状縁部214a、216aによって定められる弧角度は、45度未満である。図示の実施形態において、弧角度は約30度である。図5A〜5Cのノズル240は、石英又は同様の材料から慣用の製造技法を使用して形成される。
【0019】
図6A〜6Cは、図1Bの弓状側方ノズル140の変形である弓状側方ノズル340の一実施形態を示す。図6A〜6Cのノズル340は、約180度の大きな弧角度Cを有する。背面のポリマー除去及び正面のフォトレジスト除去の両方に有用である。図6A〜6Cのノズル340は、供給端部300a及び出口端部300bを有する円形の中空円筒形ガス供給導管300を有する。環状ノズルヘッド310は、導管出口端部300bに連結される。環状ノズルヘッド310は、環状天井部314、天井部314に面した環状床部316、環状外方側壁部318及び環状内方側壁部319によって取り囲まれた中空内部312(図6Cにおいて隠れ線で図示)を有する。環状内方側壁部319は、ワークピース又はウェハ122の半径にほぼ対応する曲率半径を有する。内方側壁部319の曲率半径はウェハの半径より若干大きく、この差は、ウェハ122の周縁部とノズル内方側壁部319との間の間隙G(図2を参照のこと)に対応する。複数のガス注入オリフィス320が内方環状側壁部319を貫通して延び、ノズルヘッド310の中空内部312と連通する。外方側壁部318は、導管出口端部300bの部位300cと連通し且つそれをカバーする、ノズル中空内部312への開口部318aを有する。導管出口端部300bの残りの部位は、エンドキャップ301によってブロックされる。ノズルヘッド310の内方側壁部319によって定められる弧角度は90度より大きい。図示の実施形態において、弧角度は約180度である。図6A〜6Cのノズルは、石英又は同様の材料から慣用の製造技法を使用して形成される。
【0020】
図7A〜7Cは、図1Bの弓状側方ノズル140の変形である弓状側方ノズル440のある実施形態を示す。図7A〜7Cの弓状側方ノズル440は、約30〜60度の弧角度Dを有する。図7A〜7Cのノズル440は、供給端部400a及び出口端部400bを有する円形の中空円筒形ガス供給導管400を有する。扇形ノズルヘッド410は、導管出口端部400bに連結される。扇形ノズルヘッド410は、扇形天井部414、天井部414に面した扇形床部416、第1傾斜平面後方側壁部418及び第2傾斜平面後方側壁部419によって取り囲まれた中空内部412を有する。加えて、弓状前方側壁部420は、ノズルヘッド410の両側において一対の出口ポート422、424を画成する。弓状前方側壁部420及び一対のガス出口ポート422、424は、図1Aに図示のワークピース又はウェハ122に面する。一実施形態において、扇形天井部414及び側壁部416は、弓状前方側壁部420の弧に適合し且つ図1Aに図示のワークピース又はウェハ122に面する弓状縁部414a、416aをそれぞれ有する。弓状縁部414a、416a及び弓状前方側壁部420はそれぞれワークピース又はウェハ122の半径にほぼ対応した曲率半径を有する。弓状縁部414a、416a及び側壁部420の曲率半径はウェハの半径より若干大きく、この差は、ウェハ122の周縁部とノズル弓状縁部414a、416aとの間の間隙G(図2を参照のこと)に対応する。傾斜側壁部418、419は導管出口端部400bに向かって互いに接近し、導管出口端部400bで終端し、導管出口端部400bに面したノズルヘッド410の開口部415(図7Bにおいて隠れ線で図示)を画成する。開口部415は、ノズルヘッド開口部415に外接する導管出口端部400bの部位400cにまたがる。導管出口端部400bの残りの部位は、エンドキャップ401によってブロックされる。ノズルヘッド410の一対の出口ポート422、424の間に定められる弧角度は、約30〜60度の範囲内である。図示の実施形態において、弧角度は約30度である。図7A〜7Cのノズル440は、石英又は同様の材料から慣用の製造技法を使用して形成される。図7A〜7Cの実施形態は、ウェハに対しての直接的な流れとは異なって、プラズマ副生成物をウェハの縁部に相対しての接線方向で流れを供給する利点を有し得る。ウェハ背面からポリマーを除去する間、この構成により、注入されたプラズマ副生成物又はガスがウェハと天井部との間の間隙の狭い区域に無理やり進入する傾向を抑えることができる。本願に記載の実施形態のそれぞれにおいて、ウェハと天井部との間の間隙は、例えば、約1〜10mmの範囲内である。これによって、実施形態によっては、ウェハ正面上の敏感な薄膜への損傷の危険性を抑えることができる。
【0021】
図8A〜8Cは、図7A〜7Cの実施形態の変形である第4の実施形態を示す。この実施形態において、前方弓状側壁部420には、側壁部420を貫通して複数のガス注入オリフィス430が設けられている。この実施形態は、図7A〜7Cの実施形態を参照して説明したようなウェハ縁部に向かう、プラズマ副生成物の接線方向の流れ及び図6A〜6Cの実施形態のような、ウェハ縁部に向かう直接的な流れの態様と組み合わせることができる。
【0022】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ背面を、その周縁部を露出させる、チャンバ内に設置された支持表面上に配置し、ここでチャンバは、チャンバの円筒形の側壁部を貫通してチャンバ内に延び且つウェハの縁部に隣接した弧に沿って分散した弓状ガス注入区域を有する弓状側方ガス注入ノズルを含み、
支持表面及びウェハを、チャンバの天井部ガス分散プレートに向かって弓状側方ガス注入ノズルを越えて上昇させ、ウェハ正面とチャンバ天井部との間の狭い間隙にウェハ正面を閉じ込め、
プラズマ副生成物を、遠隔プラズマ源において、酸素含有種を含む処理ガスから発生させ、プラズマ副生成物を、リアクタチャンバ内へと弓状側方ガス注入ノズルの弓状ガス注入区域を通して導入し、弧によって限定されるウェハ背面の一区画をプラズマ副生成物に曝露してポリマーをウェハ背面から除去し、
ウェハ正面に面した天井部でガス分散プレートを通してパージガスを導入することによって、プラズマ副生成物の、ウェハ正面と天井部との間の間隙への進入を阻止することを含む、ウェハ背面上にポリマー層を有するウェハをリアクタチャンバ内で処理する方法。
【請求項2】
弧が180度未満の角度である請求項1記載の方法。
【請求項3】
弧が約360度の角度である請求項1記載の方法。
【請求項4】
ウェハを連続的に回転させることを更に含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
ウェハ正面上にフォトレジストが堆積され、
支持表面及びウェハを天井部ガス分散プレートから離して弓状側方ノズルより下の位置へと下降させ、
天井部ガス分散プレートを通したパージガス流れを止め、
プラズマ副生成物を、弓状側方ガス注入ノズルを通してリアクタチャンバ内に導入し、弧角度によって限定されるウェハ正面の一区画をプラズマ副生成物に曝露してウェハ正面からフォトレジストを除去し、
ウェハを連続的に回転させることを更に含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
パージガスが、不活性ガス又は窒素のいずれか1つを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
遠隔プラズマ源の処理ガスが、水素ガス及び水蒸気を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
処理ガスが二酸化炭素及び水素ガスを含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
処理ガスが酸素含有種を含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
処理ガスが水素ガスを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
第1真空ポンプでリアクタチャンバを排気し、リアクタチャンバの圧力を遠隔プラズマ源の圧力より低く維持することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
ウェハ正面と天井部との間の狭い間隙を1〜10mm未満に維持することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
弓状ガス注入区域とウェハ縁部の対応する部位との間の1〜5mmを越えない間隙を維持することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
弓状側方ガス注入ノズルを設置することが、弓状ガス注入区域に沿って弓状壁部を設置し、弓状壁部を貫通する複数のガス注入オリフィスを設置することを含み、
プラズマ副生成物を弓状ガス注入区域を通してリアクタチャンバ内に導入することが、複数のガス注入オリフィスを通してプラズマ副生成物を流すことを含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
弓状側方ガス注入ノズルを設置することが、弓状ガス注入区域に沿って弓状壁部を設置し、弓状側方ガス注入ノズルの両端に、ウェハの縁部に接線方向で面する一対のポートを弓状壁部を通して設置することを含み、
プラズマ副生成物を弓状ガス注入区域を通してリアクタチャンバ内に導入することが、プラズマ副生成物を一対のポートを通してウェハの縁部に向かって接線方向で流すことを含む請求項1記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2011−523501(P2011−523501A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537924(P2010−537924)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/013208
【国際公開番号】WO2009/075731
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】