説明

カメラユニットおよびこれを用いるカメラシステム

【課題】広視野の撮像にも容易に対処できて視認性の良好な画像を撮像でき、薄型化およびコストダウンが図れてユーザの利便性を向上できるカメラユニットを提供する。
【解決手段】被写体像を結像する自由曲面プリズム4,5,6を有する撮像光学系50と、撮像光学系50により結像される被写体像を光電変換する撮像素子15と、撮像素子15を駆動する撮像素子駆動部33と、撮像素子15からの光電変換信号を処理して画像信号を出力する信号処理部35と、外部制御ユニット71と通信を行う通信部37と、撮像素子駆動部33および信号処理部35の動作を制御して、信号処理部35から出力される画像信号を通信部37から外部制御ユニット71に送信する制御部38と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラユニットおよびこれを用いるカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラユニットとして、車両の運転を支援するための車載用カメラユニット、防犯や防災のための監視用カメラユニット、携帯型電子情報端末に搭載するための端末用カメラユニットなど、種々のカメラユニットが提案されている。このようなカメラユニットとして、小型化を図るために、例えば、撮像素子を搭載した基板に、撮像素子駆動部、画像処理部、CPU、メモリ等の周辺回路を搭載したもの(例えば、特許文献1参照)や、撮像素子を搭載した基板にレンズユニットを搭載したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
また、広視野の画像を撮像するため、撮像レンズの前方にプリズムを配置し、このプリズムより入射された複数の視野からの光を結像レンズにより単一の撮像素子に分割して結像させることによって、複数の視野の画像を同時に撮像するようにしたカメラユニットも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−54097号公報
【特許文献2】特開2008−306350号公報
【特許文献3】特開2000−89301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示のカメラユニットにおいて、例えば、撮像レンズとして、画角が120°程度の通常のレンズ、あるいは、画角が200°程度の魚眼レンズを用いると、撮像素子に結像される画像の周辺部が歪み、視認性が低下することが懸念される。また、視認性を向上させようとすると、撮像素子から得られる画像データに対して、周辺部の画像データの補間処理や歪み補正処理等を行う画像処理ソフトウェアが必要となり、その分、コストアップを招くことになって、ユーザの利便性が低下することになる。
【0006】
また、特許文献3に開示のカメラユニットにおいては、撮像レンズの前方にプリズムを配置することから、撮像素子の受光面から前方に突出する寸法が長くなって、カメラユニットが厚型化することが懸念される。
【0007】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、広視野の撮像にも容易に対処できて視認性の良好な画像を撮像でき、しかも、薄型化およびコストダウンが図れてユーザの利便性を向上できるカメラユニットおよびこれを用いたカメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する第1の観点に係るカメラユニットの発明は、
被写体像を結像する自由曲面プリズムを有する撮像光学系と、
前記撮像光学系により結像される前記被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、
前記撮像素子からの光電変換信号を処理して画像信号を出力する信号処理部と、
外部制御ユニットと通信を行う通信部と、
前記撮像素子駆動部および前記信号処理部の動作を制御して、前記信号処理部から出力される画像信号を前記通信部から前記外部制御ユニットに送信する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0009】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係るカメラユニットにおいて、
前記撮像光学系は、3つの自由曲面プリズムを有し、前記3つの自由曲面プリズムにより、正面60°、右60°、左60°の範囲の被写体像を、前記撮像素子上のそれぞれ分離された所定の領域に結像させるように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
第3の観点に係る発明は、第1または2の観点に係るカメラユニットにおいて、
前記自由曲面プリズムは、入射面側に楕円形状の固定絞りが配置され、Y−Z面内において、前記入射面である第1面が負の屈折力を有し、出射面である第2面および反射作用を有する第3面が正の屈折力を有することを特徴とするものである。
【0011】
さらに、上記目的を達成する第4の観点に係るカメラシステムの発明は、
第1〜3の観点のいずれか一つの観点に係るカメラユニットと、
前記カメラユニットと接続される外部制御ユニットとを有し、
前記外部制御ユニットは、
前記カメラユニットと通信を行う通信部と、
前記通信部が受信した前記カメラユニットからの画像信号を処理する画像処理部と、
前記画像処理部で画像処理された画像信号による画像を表示する画像表示部と、
前記通信部を介して前記カメラユニットの動作を制御するとともに、前記画像処理部および前記画像表示部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
第5の観点に係る発明は、第4の観点に係るカメラシステムにおいて、
前記外部制御ユニットには前記カメラユニットが複数台接続されており、
前記外部制御ユニットは、
前記画像表示部への画像の表示モードを入力する操作入力部をさらに有し、
前記制御部は、前記操作入力部から入力された表示モードに応じて、前記複数台のカメラユニットからの画像信号を前記画像処理部で画像処理して前記画像表示部に表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカメラユニットによると、自由曲面プリズムを用いて被写体像を撮像素子上に結像させるので、複数の自由曲面プリズムを用いることにより、広視野の撮像にも容易に対処できて視認性の良好な画像を撮像することが可能となる。したがって、画像周辺部の補間処理や歪み補正処理等の画像処理が不要となり、コストダウンが図れ、ユーザの利便性を向上することができる。また、自由曲面プリズムを用いることから、撮像素子の法線方向の寸法を小さくできて、カメラユニットの薄型化が可能となる。
【0014】
本発明に係るカメラシステムによると、カメラユニットが上記の効果を奏することから、車両の運転支援、防犯や防災等の種々の用途に容易に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るカメラユニットをそれぞれ異なる方向から見た外観斜視図である。
【図2】図1に示したカメラユニットの分解斜視図である。
【図3】図2に示したフレームの外観図である。
【図4】図2に示したフレームに自由曲面プリズムを組み入れた状態を示す外観斜視図である。
【図5】図1のA−A線断面図である。
【図6】図1に示したカメラユニットで使用する自由曲面プリズムのY−Z面を示した図である。
【図7】図1に示したカメラユニットで使用する自由曲面プリズムの外形を表す斜視図である。
【図8】図1に示したカメラユニットで使用する前段プリズムの外形を表す斜視図である。
【図9】図1に示したカメラユニットの機能の概要を説明するための図である。
【図10】図1に示したカメラユニットの基板に搭載された撮像素子およびその周辺回路の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】図1に示したカメラユニットによる被写体の撮像範囲例を示す図である。
【図12】図11に示した被写体を撮像したときに撮像素子上に結像される3つの部分画像の位置関係と画像サイズとを説明するための図である。
【図13】本発明の第2実施の形態に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【図14】図13に示したカメラシステムの動作を説明するための機能ブロック図である。
【図15】図13に示したカメラシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図16】図14に示した第1のフレームメモリへの1台目のカメラユニットからの画像データの格納状態を説明するための図である。
【図17】図14に示した第2のフレームメモリへの1台目のカメラユニットからの画像データの格納状態を説明するための図である。
【図18】図17に示したパノラマ画像を生成するアドレステーブルの一例を示す図である。
【図19】図15に示した表示設定処理を示すフローチャートである。
【図20】図13に示したカメラシステムによる標準表示モードでの表示例を示す図である。
【図21】図13に示したカメラシステムによる混合表示モードでの表示例を示す図である。
【図22】図13に示したカメラシステムによる混合表示モードでの他の表示例を示す図である。
【図23】図13に示したカメラシステムによる拡大表示モードでの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0017】
(第1実施の形態)
まず、本発明の第1実施の形態に係るカメラユニットについて、図1〜図12を参照して説明する。
【0018】
図1〜図5に示すように、カメラユニット31は、フレーム1、ホルダ2およびカバー体3を有している。フレーム1には、長手方向の中央部分に天面1aから底面1bに向けて貫通孔hが形成されており、天面1a、底面1bの両側に位置する傾斜側面1c、1dには該貫通孔hに連通するように切り欠かれた区画凹所e1〜e3が設けられている。そして、該区画凹所e1〜e3の底部の対向位置には、2つで1組になる座部t1〜t6(t、tで1組、t、tで1組、t、tで1組)が形成されている(図3、図5参照)。
【0019】
ホルダ2は、フレーム1を載置するとともに、後述するように、撮像素子15およびその周辺回路を搭載した基板を保持するためのものである。また、カバー体3は、ホルダ2に合わさって3つの自由曲面プリズム4、5、6をフレーム1とともに内側に収納するためのものである。
【0020】
カバー体3には、自由曲面プリズム4、5、6の第1面(入射面)において開口する窓孔3a〜3cが設けられており、フレーム1とは螺子や接着によって固定される。カバー体3の窓孔3a〜3cには、異物の侵入を防止するためカバーガラス等が適宜設けられ、また窓孔3a〜3cの開放角度は、自由曲面プリズム4、5、6の性能(撮像できる視野の範囲)や楕円形状の固定絞り12〜14に応じて設定される(図6参照)。
【0021】
自由曲面プリズム4は、例えば、左側視野を真横(カバー体3に形成された凹部である窓孔3cの外表面)から前方に向けて角度θ1(60°)の範囲で撮像を可能とするものである(図4、図9参照)。この自由曲面プリズム4は、図6並びに図7(A),(B)に示すように、光の透過作用を有する第1面(入射面)4a、光の内部反射と透過作用を有する第2面(出射面であり貫通孔hの底面壁1bの出側に位置する)4bおよび光の反射作用を有する第3面4cの3つの光学面を有し、そのうちの第2面4b、第3面4cがレンズ機能を兼ね備えており、該第2面4bの両側の端部にはフレーム1の座部tおよびtに適合して簡単かつ正確に位置決め配置することができる段差k、kが形成されている(図3、図6)。
【0022】
自由曲面プリズム5は、自由曲面プリズム4と同様の外観形状を有する(図2、図7参照)。この自由曲面プリズム5は、入射面である第1面5aを自由曲面プリズム4とは逆方向を向くように、自由曲面プリズム4に対して、図6の撮像素子15の撮像面の軸の回りに180°回転させて貫通孔hに並列に配置されるものであり、例えば、右側の視野を真横から前方に向かって角度θ2(60°)の範囲で撮像することが可能になっている。
【0023】
また、自由曲面プリズム6は、自由曲面プリズム4、自由曲面プリズム5と同様の構成からなる(図2、図7参照)。この自由曲面プリズム6は、自由曲面プリズム4と同じ向きに並列して貫通孔hに配置され(図4参照)、その第1面6aの入側には、図8(A),(B)に示すような三角柱状あるいは台形状等からなる前段プリズム7が配置されている(図5参照)。
【0024】
図5に示すように、前段プリズム7より入射された光は、自由曲面プリズム6を経て撮像素子15上に結像される。すなわち、自由曲面プリズム6は、真正面を基準に右側、左側へそれぞれ30°、合計で角度θ3(60°)の範囲における視野(前方視野)の撮像を可能としている(図9参照)。なお、この前段プリズム7は、撮像しようとする視野の光をより多く取り入れるため自由曲面プリズム6の厚さWよりも厚い厚Wを有している(図7(A),図8(A)参照)。
【0025】
撮像素子15は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Devices)からなり、フレキシブルプリント配線基板または硬質プリント配線基板からなる基板17に接続されている。この撮像素子15には、その背面にシリコンシート等の絶縁部材および基板17に形成された開口を通して放熱板18が設けられおり、前面には保護板19(ガラス等)が設けられている。基板17、放熱板18、保護板19は、撮像素子15とともにホルダ2の貫通開口においてフレーム1の貫通孔hに対応するように配置されている。基板17は、周辺回路を搭載した基板21に接続される。
【0026】
基板21は、フレキシブルプリント配線基板または硬質プリント配線基板からなり、基板17とはフレキシブルプリント配線基板を介して接続される。したがって、基板17および基板21は、一体のフレキシブルプリント配線基板からなる場合と、いずれか一方がフレキシブルプリント配線基板からなる場合と、双方が硬質プリント配線基板からなり、両者がフレキシブルプリント配線基板を介して接続される場合とがある。
【0027】
基板21には、図10に詳細に示すように、周辺回路として、TG/SSG部33、CDS/AGC/A/D部34、デジタル信号処理部35、メモリ36、通信I/F37、および、各部の動作を制御するCPU38が搭載されている。
【0028】
撮像素子15は、TG/SSG部33からの撮像タイミングパルスに基づいて動画を撮像し、その画像信号をCDS/AGC/AD部34に出力する。CDS/AGC/AD部34は、撮像素子15からの画像信号を相関二重サンプリングし、信号量に応じて利得を調整し、A/D変換して、デジタル信号処理35に出力する。そして、デジタル信号処理35では、入力したデジタル画像信号に対して、メモリ36を使用して、カラー信号補間、カラー補正、ホワイトバランスなどの処理を行って撮像画像データとして、通信I/F37からネットワークを介して外部制御ユニットに出力する。
【0029】
CPU38は、外部制御ユニットからの露出設定や利得調整などのコマンドに従って、当該カメラユニット31の各部の動作を制御する。なお、撮像画像のホワイトバランスや露出補正などの設定については、一般的なデジタルビデオカメラと同等であるので、詳細は省略する。
【0030】
したがって、TG/SSG部33は撮像素子駆動部を構成し、CDS/AGC/AD部34、デジタル信号処理35およびメモリ36は信号処理部を構成し、通信I/F37は通信部を構成している。なお、本実施の形態において、メモリ36を除く、TG/SSG部33、CDS/AGC/A/D部34、デジタル信号処理部35、通信I/F37およびCPU38は、MPU39により構成されている。また、基板21には、必要に応じて、各部に所要の電源を供給する電源回路が搭載される。
【0031】
本実施の形態のカメラユニット31で用いる自由曲面プリズム4〜6は、同一形状で、屈折率が1.31より大きい同一媒質にて構成されており、いずれの光学面もY−Z面を唯一の対称面とする自由曲面からなり、光束にパワーを与え、かつ、偏心により発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成され、かつ、3面の中の第1面、第3面が回転非対称面になっている。ここで、Y−Z面とは、図6に示したような面(図6では、全ての自由曲面プリズム4〜6の向きを同じにして表示してある)であり、自由曲面プリズム4〜6を用いることにより、魚眼レンズを用いることなく、広画角で、高精細な撮像が可能となる。なお、図6において、符号lは軸上主光線を示し、符号Oは絞り中心を示す。
【0032】
また、自由曲面プリズム4〜6において、被写体からの光は、第1面4a〜6aに入射して、該第1面4a〜6aを透過した後、第2面4b〜6bおよび第3面4c〜6cで順次内部反射され、さらに第2面4b〜6bを透過して撮像素子15に至る。ここで、第1〜3面の各光学面は、図6のX−Z面内およびY−Z面内において、表1に示す屈折力を有している。すなわち、第1面4a〜6aは、X−Z面内では正の屈折力、Y−Z面内では負の屈折力を有し、第2面4b〜6bは、X−Z面内では負の屈折力、Y−Z面内では正の屈折力を有し、さらに、第3面4c〜6cは、X−Z面内およびY−Z面内ともに正の屈折力を有する。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から明らかなように、自由曲面プリズム4〜6は、Y−Z面内では、入射面である第1面4a〜6aから出射面である第2面4b〜6bまで、負、正、正、正の屈折力であり、単純化すると、入射側から負、正の屈折力の組合せとなる、いわゆるレトロフォーカスの配置になっている。したがって、バックフォーカスを長くすることが可能となり、撮像素子15と自由曲面プリズム4〜6との距離を適切に確保することができ、さらにIRカットフィルタ、光学的ローパスフィルタ等の光学部材を配置するにも有利となる。
【0035】
また、X−Z面内において、第1面4a〜6aおよび第2面4b〜6bは、正の屈折力と負の屈折力とによってコマ収差の補正を行っており、第3面4c〜6cおよび第2面4b〜6b(この場合出射面)は、正の屈折力と負の屈折力とによって像面をフラットにする作用を持つことになる。
【0036】
さらに、このような光学面の配置によれば、軸外光線においては第3面4c〜6cの正の屈折力で像面に対して内側に傾いた主光線を、第2面4b〜6b(この場合出射面)の負の屈折力によって撮像面に対してほぼ垂直な光線にしてX−Z面内における像側テレセントリック条件を満たすことに寄与することになる。
【0037】
上記のカメラユニット31においては、自由曲面プリズム4により集束された左側60°の視野の光像が撮像素子15の所定の領域に結像し、自由曲面プリズム5を通して集束された右側60°の視野の光像が撮像素子15の所定の領域において左側60°視野の光像に並列に結像され、さらに、前段プリズム7および自由曲面プリズム6を通して集束された前方60°の視野の光像が撮像素子15の所定の領域において他の光像に並列に結像される。すなわち、単一の撮像素子15において3つの視野が並列に結像される。したがって、このカメラユニット31においては、左側から前方、右側にわたる180°の範囲における撮像が可能となる。
【0038】
図9に示すように、カメラユニット31は、自由曲面プリズム4、5、6および前段プリズム7から構成される撮像光学系50と単一の撮像素子15とを有する。ここで、一般的なカメラに使用される撮像素子は、長方形であり、風景を撮像する場合は、画面の長辺が水平方向、短辺が垂直方向になるように配置して被写体に正対する。これに対し、本実施の形態に係るカメラユニット31は、撮像素子15の短辺が被写体の水平方向となるように配置され、図12に示すように、分割された3画像が撮像素子15の長辺方向に積み重ねて結像するよう構成されている。
【0039】
図11は、カメラユニット31が180°の視野範囲を撮像する場合の被写体のイメージである。この被写体をカメラユニット31で撮像すると、撮像素子15上には、図12に示した部分画像51a、51b、51cが形成される。なお、図12に示した部分画像51aは、自由曲面プリズム4による左側視野60°で撮像された画像であり、部分画像51bは、自由曲面プリズム5による右側視野60°で撮像された画像であり、部分画像51cは、前段プリズム7と自由曲面プリズム6とによる中心視野60°で撮像された画像である。
【0040】
以上のように本実施の形態に係るカメラユニット31によれば、3つの自由曲面プリズム4、5、6を用いて、正面60°、右60°、左60°の方向からの被写体像を単一の撮像素子15上のそれぞれ所定の領域に結像させるようにしたので、視認性の良好な画像を撮像することができる。これにより、180°視野の広画角の画像データを、画像周辺部の補間処理や歪み補正処理等の画像処理を行うことなく、高解像力で得ることができるので、画像処理のコストダウンが図れ、ユーザの利便性を向上することができる。また、正面の視野範囲を撮像するための前段プリズム7が、自由曲面プリズム4、5、6から撮像素子15の法線方向に突出しないので、カメラユニット31の薄型化が可能となる。さらに、3つの自由曲面プリズム4、5、6に対応する正面、右および左の部分画像を形成するので、外部制御ユニットにおいて、部分画像毎に画像拡大を含む処理を実行でき、表示モードの変更を容易にできる。
【0041】
(第2実施の形態)
次に、上述したカメラユニット31を用いる本発明の第2実施の形態に係るカメラシステムについて、図13〜図23を参照して説明する。
【0042】
図13は、本実施の形態に係るカメラシステムの構成を示すブロック図である。図13において、カメラシステムは、複数のカメラユニット31と、これらカメラユニット31を制御して画像を表示する外部制御ユニット71とを有する。各カメラユニット31および外部制御ユニット71は、例えばLAN(Local Area Network)やIEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)等の無線あるいは有線のネットワーク91を介して接続される。本実施の形態に係るカメラシステムは、4台のカメラユニット31をネットワーク91介して外部制御ユニット71に接続するものとする。なお、4台のカメラユニットは、車両の運転を支援する車載用の場合は、車両のフロント、リア、左右のドアミラー等に配置され、防犯や防災のための監視用の場合は、異なる場所に設置される。
【0043】
外部制御ユニット71は、通信I/F72、画像処理MPU73、メモリ74、表示制御部75、表示装置76、操作入力部77、および、各部の動作を制御するCPU78を備えている。
【0044】
外部制御ユニット71は、ネットワーク91を介して通信I/F72に入力される各カメラユニット31からの画像データを、操作入力部77で設定された表示モードに応じて、CPU78の制御のもとに画像処理MPU73によりメモリ74を用いて画像処理し、その画像処理した画像データを表示制御部75により表示装置76に表示する。なお、表示装置76は、例えば、WVGA(横800画素×縦480画素)の表示サイズを有するものとする。
【0045】
ここで、図12に示したように、撮像素子15の画素数を750画素×480画素とすると、自由曲面プリズム4、5、6により3分割されて撮像される各視野の部分画像51a〜51cの画素数は、縦250画素×横480画素となる。
【0046】
一方、この3分割された部分画像51a〜51cは、左60°、右60°、中心60°の計180°の視野の画像である。このため、このまま縦250画素×横480画素の部分画像を3つ合成して表示装置76に表示しようとすると、縦方向は問題ないが、横方向は1440画素必要となり、WVGAのサイズの表示装置76では3部分画像を合成したパノラマ画像をそのまま表示することができないことになる。
【0047】
そこで、画像処理MPU73は、操作入力部77への操作入力に応じて、後述する各種表示方法に応じた画像の縮小、拡大、切り出しなどの処理を実行する。
【0048】
次に、本実施の形態に係るカメラシステムの動作について説明する。
【0049】
図14は、本実施の形態に係るカメラシステムの動作を説明するための機能ブロック図であり、図15は、その動作を説明するフローチャートである。図16は、図14に示した第1のフレームメモリへの1台目のカメラユニットからの画像データの格納状態を説明するための図であり、図17は、図14に示した第2のフレームメモリへの1台目のカメラユニットからの画像データの格納状態を説明するための図であり、図18は、図17に示したパノラマ画像を生成するアドレステーブルの一例を示す図であり、図19は、図15に示した表示設定処理を示すフローチャートである。
【0050】
図14および図15に示すように、まず、各カメラユニット31において、被写体像は、撮像部101により取込まれて(ステップS701)、ADC(A/Dコンバータ)102によりデジタル画像信号に変換される(ステップS702)。そして、デジタル信号に変換された画像信号は、画像生成部103により、カラー信号補間、カラー補正、ホワイトバランス、ガンマ補正等の処理が実行され(ステップS703)、これにより生成された画像データが、通信I/F37およびネットワーク91を経て外部制御ユニット71に転送される(ステップS704)。なお、カメラユニット31は、一般のデジタルビデオカメラ等と同様に、露出検出部105および露出制御部106を備え、撮像素子15からの輝度情報に基づいて露出検出部105で算出された露出値に応じて、露出制御部106により撮像部101の露出が自動的に制御される。
【0051】
ここで、図14のカメラユニット31において、撮像部101は、図13に示した撮像素子15および撮像光学系50を有して構成され、ADC102はCDS/AGC/AD部34により構成され、画像生成部103はデジタル信号処理部35およびメモリ36を含んで構成され、露出検出部105および露出制御部106はTG/SSG部33を含んで構成される。
【0052】
外部制御ユニット71において、各カメラユニット31から転送された画像データは、通信I/F72を経て第1のフレームメモリ112に格納される(ステップS705)。この際、第1のフレームメモリ112には、各カメラユニット31において撮像素子15に結像された画像と同じカラー画像データが格納される。したがって、本実施の形態に係るカメラシステムは、4つのカメラユニット31を有するので、図16に示すような画像が4つ格納されることになる。例えば、1台目のカメラユニット31からの画像が、アドレス(1,1)から(480,750)までに格納され、2台目のカメラユニット31からの画像が、アドレス(481,1)から(960,750)までに格納され、3台目のカメラユニット31からの画像が、アドレス(961,1)から(1440,750)までに格納され、4台目のカメラユニット31からの画像が、アドレス(1441,1)から(1920,750)までに格納される。
【0053】
第1のフレームメモリ112に格納された各カメラユニット31の撮像画像データは、読出/書込制御部113によって、アドレスメモリ114に記憶されたパノラマ画像生成用のアドレス変換テーブルを参照して読み出されて(ステップS706)、第2のフレームメモリ115にパノラマ画像が格納される(ステップS707)。したがって、本実施の形態に係るカメラシステムは、4つのカメラユニット31を有するので、図17に示すようなパノラマ画像が4つ格納されることになる。
【0054】
ここで、図16および図17は、1台目のカメラユニット31からの画像データを格納する場合を示している。すなわち、1台目のカメラユニット31からの画像データは、第1のフレームメモリ112のアドレス(1,1)から(1,750)まで、すなわち図16の1Aに対応するアドレス(1,1)から(1,250)、1Bに対応するアドレス(1,251)から(1,500)、1Cに対応するアドレス(1,501)から(1,750)の順番に読み出された画像データは、それぞれ第2のフレームメモリ115のアドレス(250,1)から(1,1)に書き込まれ、続いてアドレス(250,961)から(1,961)に書き込まれ、続いてアドレス(250,481)から(1,481)に書き込まれる。
【0055】
すなわち、図16の1Aラインは図17の1Aに書き込まれ、図16の1Bラインは図17の1Bラインに書き込まれ、図16の1BCラインは図17の1BCラインに書き込まれる。このような処理が、第1のフレームメモリ112に格納された撮像画像データ全体に実行される。
【0056】
この処理により、図17に示すように、第1のフレームメモリ112に格納された画像が、上下および左右反転され、さらにそれら左側視野60°、中央視野60°、右側視野60°の画像が180°の視野に対応する1つの画像になるよう配列されて、第2のフレームメモリ115にパノラマ画像として格納されることになる。
【0057】
同様に、2〜4台目のカメラユニット31からの画像データも、パノラマ画像に変換されて第2のフレームメモリ115に格納される。したがって、第2のフレームメモリ115には、例えば、アドレス(1,1)から(250,1440)に、1台目のカメラユニット31によるパノラマ画像が格納され、アドレス(251,1)から(500,1440)に、2台目のカメラユニット31によるパノラマ画像が格納され、アドレス(501,1)から(750,1440)に、3台目のカメラユニット31によるパノラマ画像が格納され、アドレス(751,1)から(1000,1440)に、4台目のカメラユニット31によるパノラマ画像が格納されることになる。
【0058】
その後、表示設定処理のサブルーチンが実行されて(ステップS708)、表示モードスイッチ116による表示モードに応じて表示装置76に画像が表示される。
【0059】
本実施の形態に係るカメラシステムは、表示モードとして、4台のカメラユニット31による4つのパノラマ画像を表示する標準表示モードと、この標準表示モードによる各パノラマ画像を基準にして、選択された2台のカメラユニット31によるパノラマ画像のそれぞれ選択された一つの部分画像を拡大し、残りの部分画像を縮小して表示する混合表示モードと、4台のカメラユニット31によるパノラマ画像のそれぞれ選択された一つの部分画像を拡大して表示する拡大表示モードとを含んでいる。
【0060】
図20〜図23は、表示設定処理において、表示モードスイッチ116により設定される表示モードに応じて表示装置76に表示される画像表示例を示す図で、図20は標準表示モードによる表示例を示し、図21および図22は混合表示モードでの表示例を示し、図23は拡大表示モードでの表示例を示す。なお、図20〜図23において、同一の部分画像については同じ符号を付してある。
【0061】
図19に示すように、表示設定処理においては、まず、読出制御部117により、表示モードの設定変更を検出する(ステップS710)。すなわち、表示モードスイッチ116で表示モードの切り替えの指示があったか否かを検出する。そして、表示モードの設定変更があれば(ステップS710:YES)、ステップS711に進んで、アドレスメモリ114に格納された、表示モードに対応するアドレス変換テーブルを選択する。他方、表示モードの設定に変更がなければ(ステップS710:NO)、既に選択されているアドレス変換テーブルのままで次のステップS712に進む。
【0062】
ステップS712では、表示モードが標準表示モードか否かを判断する。その結果、標準表示モードの場合(ステップS712:YESの場合)は、図20に示すように、4台のカメラユニット31の各パノラマ画像を表示する。この場合、各カメラユニット31の撮像素子15の画素数が、750×480画素とすると、前述したように、各カメラユニット31で得られる全視野180°のパノラマ画像は、横方向の画素数が480×3=1440画素、縦方向の画素数が250画素となる。このため、表示装置76の画面の画素数がWVGAとすると、第2のフレームメモリ115に記憶されている4台のカメラユニット31のパノラマ画像データをそのままのサイズで表示装置76に同時に表示することはできない。したがって、この場合は、各パノラマ画像を、表示装置76上で横800画素×縦120画素の領域内に表示できるように縮小する必要がある。
【0063】
そのため、ステップS713において、読出制御部117がアドレスメモリ114に記載された現在の表示モードに対応するアドレス変換テーブルを選択して、第2のフレームメモリ115に格納された各カメラユニット31によるパノラマ画像から読み出す画素(注目画素)のアドレスを算出する。
【0064】
ここで、縮小率が整数でない場合、一般に、注目画素の多くはアドレス変換により、非整数のアドレスに写像される。なお、非整数のアドレスとは、画素の中心が非整数のアドレスであることを表わす。その場合、第2のフレームメモリ115から注目画素を含む周辺の画素をブロックとして読み出して(ステップS714)、読出制御部117により、読み出されたブロック内の各画素のアドレスと縮小率とにより写像先のアドレスを算出して、書き込み先のアドレスを決定する(ステップS715)。
【0065】
続いて、補間部118により、ブロック読み出しされた画素の画素値と写像先の非整数のアドレスとに基づいて、ステップS715で決定された表示装置76のアドレスに位置する画素の画素値を、補間処理により算出する(ステップS716)。この場合の補間方法としては、バイリニア補間やバイキュービック補間などの公知の方法を使用することができる。
【0066】
ステップS716の補間処理により算出された画素値は、図示しない書込制御部により第3のフレームメモリ119の設定されたアドレスに格納される(ステップS717)。
【0067】
その後、標準表示モードに応じた第3のフレームメモリ119の全画素の書き込みが完了したか否か、すなわち、4台のカメラユニット31のパノラマ画像データの縮小処理が完了したか否かが判断される(ステップS718)。その結果、完了していなければ(ステップS718:NO)、ステップS713に移行し、完了していれば(ステップS718:YES)、表示制御部75により第3のフレームメモリ119に格納された画像データが表示装置76に伝送されて表示画像の更新処理が行われる(ステップS719)。これにより、図20に示したように、各カメラユニット31による180°視野のパノラマ画面が表示装置76に縮小されて表示される。
【0068】
これに対し、ステップS712において、表示モードが標準表示モードでない場合(NOの場合)は、表示モードに応じて、混合表示モードでは、図21および図22に示すように、選択された2台のカメラユニット31によるパノラマ画像のそれぞれ選択された一つの部分画像を拡大し、残りの部分画像を縮小して表示し、拡大表示モードでは、図23に示すように、4台のカメラユニット31によるパノラマ画像のそれぞれ選択された一つの部分画像を拡大して表示する。
【0069】
なお、図21は、選択された2台のカメラユニット31のそれぞれ中央の部分画像B,Eを拡大表示し、残りの部分画像A,C,D,Fを縮小表示した場合を示し、図22は、選択された2台のカメラユニット31のうち、一方のカメラユニット31については、左側の部分画像Aを拡大表示して、残りの部分画像B,Cは縮小表示し、他方のカメラユニット31については、右側の部分画像Fを拡大表示して、残りの部分画像D,Eは縮小表示した場合を示している。また、図23は、4台のカメラユニット31のそれぞれ中央の部分画像B,E,H,Kを選択して拡大表示した場合を示している。
【0070】
すなわち、部分画像の拡大表示を含む混合表示モードや拡大表示モードの場合は、ステップS720において、読出制御部117がアドレスメモリ114に記載された現在の表示モードに対応するアドレス変換テーブルを選択して、第2のフレームメモリ115に格納された各カメラユニット31によるパノラマ画像から、拡大表示する部分画像中から読み出す注目画素のアドレスを算出する。なお、縮小表示を伴う混合表示モードの場合は、その縮小表示する部分画像中から読み出す注目画素のアドレスも算出する。
【0071】
ここで、拡大率が整数でない場合は、第2のフレームメモリ115から注目画素を含む周辺の画素をブロックとして読み出して(ステップS721)、読出制御部117により、読み出されたブロック内の各画素のアドレスと拡大率とにより写像先のアドレスを算出して、書き込み先のアドレスを決定する(ステップS722)。続いて、補間部118により、ブロック読み出しされた画素の画素値と写像先の非整数のアドレスとに基づいて、ステップS721で決定された表示装置76のアドレスに位置する画素の画素値を、バイリニア補間やバイキュービック補間などの公知の補間処理により算出する(ステップS723)。
【0072】
ステップS723の補間処理により算出された画素値は、図示しない書込制御部により第3のフレームメモリ119の設定されたアドレスに格納される(ステップS724)。同様に、縮小表示を伴う混合表示モードの場合は、その縮小表示する部分画像が、ステップS713からステップS717で説明したと同様にして縮小されて、第3のフレームメモリ119の設定されたアドレスに格納される。
【0073】
その後、表示モードに応じた第3のフレームメモリ119の全画素の書き込みが完了したか否か、すなわち拡大された部分画像、あるいは拡大された部分画像および縮小された部分画像が第2の動画像に合成されたか否かが判断される(ステップS725)。その結果、第2の動画像の合成が完了していなければ(ステップS725:NO)、ステップS720に移行し、完了していれば(ステップS725:YES)、表示制御部75により第3のフレームメモリ119に格納された画像データが表示装置76に伝送されて表示画像の更新処理が行われて、図21〜図23に示したような表示モードに応じた画像が表示装置76に表示される。
【0074】
ここで、混合表示モードの場合は、図21および図22に示したように、表示装置76の画面を上下に2分割する。例えば、表示装置76の画面の画素数がWVGAとすると、横800画素×縦240画素の領域に2分割し、その各分割された領域に、選択されたパノラマ画像の選択された一つの部分画像を拡大して表示し、残りの2つの部分画像は縮小して表示する。また、拡大表示モードの場合は、図23に示すように、表示装置76の画面を上下左右に4分割する。例えば、表示装置76の画面の画素数がWVGAとすると、横400画素×縦240画素の領域に4分割し、その各分割された領域に、各パノラマ画像の選択された一つの部分画像を拡大して表示する。
【0075】
なお、図14の外部制御ユニット71において、第1のフレームメモリ112、第2のフレームメモリ115、第3のフレームメモリ119、およびアドレスメモリ114は、図13のメモリ74により構成され、読出/書込制御部113、読出制御部117、および補間部118は、図13の画像処理MPU73およびCPU78により構成され、表示モードスイッチ116は、図13の操作入力部77により構成される。
【0076】
以上のように本実施の形態に係るカメラシステムによれば、各カメラユニット31から得られる視認性の良好な部分画像を、操作入力部77から入力される表示モードに応じて表示装置76に表示することができる。また、各カメラユニット31が、第1実施の形態で説明したような作用効果を奏することから、システム全体を安価に構成することが可能となり、種々の用途に容易に適用することができる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形または変更が可能である。例えば、カメラユニット31による撮像可能な視野の範囲は、使用する自由曲面プリズム4、5、6の形状や材料、組合せによって適宜変更することができるものであり、各自由曲面プリズム4、5、6の視野が60°の範囲に限定されるものではない。
【0078】
また、カメラユニット31の撮像光学系は、一方向の視野を結像する1個の自由曲面プリズム(前方視野の場合は、前段プリズム7と自由曲面プリズム6との組み合わせ)、あるいは任意の2方向の視野を結像する2個の自由曲面プリズムで構成することもできる。また、撮像光学系は、前方視野を、左右の前段プリズムを経てそれぞれ自由曲面プリズムで結像させるようにして、視差を有するステレオ画像を得るように構成したり、このステレオ画像を得る光学系に、左方の視野および/または右方の視野を結像する自由曲面プリズムを付加して構成したり、することもできる。
【0079】
また、360°の視野を撮像することを可能にするために、上述した構成のカメラユニット31を2組み背面合わせとした構成を採用することはもちろん、上下に組み込んだ構成を採用することもできる。さらに、複数の自由曲面プリズムを用いる場合は、拡大率の異なる自由曲面プリズムを組み合わせることもできる。
【0080】
さらに、カメラシステムは、1台のカメラユニット31と外部制御ユニット71とで構成することもできるし、4台以外の複数台のカメラユニット31と1台の外部制御ユニット71とで構成することもできる。また、カメラユニット31および外部制御ユニット71は、ネットワーク接続に限らず、有線や無線を介して直接接続することもできる。さらに、表示モードについても、一つのパノラマ画像について、二つの部分画像を拡大し、残りの部分画像を縮小して同時に表示したり、二つの部分画像のみを拡大して表示したり、種々の表示モードが可能である。
【0081】
また、本発明に係るカメラシステムは、外部制御ユニット71を、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、可搬記憶媒体、ネットワーク接続装置で構成されるシステムで実現することもできる。すなわち、前述した外部制御ユニット71の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記憶媒体を、カメラシステムに供給し、そのカメラシステムのコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0082】
この場合、可搬記憶媒体等から読み出されたプログラムコード自体が外部制御ユニット71の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記憶媒体等は本発明を構成することになる。ここで、プログラムコードを供給するための可搬記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記憶媒体などを用いることができる。
【0083】
また、コンピュータがメモリ上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した外部制御ユニット71の機能を実現するように構成することもできるし、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した外部制御ユニット71の機能を実現するように構成することもできる。
【0084】
さらに、可搬型記憶媒体から読み出されたプログラムコードやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した外部制御ユニット71の機能を実現することもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 フレーム
2 ホルダ
3 カバー体
4、5、6 自由曲面プリズム
4a,5a,6a 第1面
4b,5b,6b 第2面
4c,5c,6c 第3面
7 前段プリズム
15 撮像素子
31 カメラユニット
33 TG/SSG部
34 CDS/AGC/A/D部
35 デジタル信号処理部
36 メモリ
37 通信I/F
38 CPU
39 MPU
50 撮像光学系
51a、51b、51c 部分画像
71 外部制御ユニット
72 通信I/F
73 画像処理MPU
74 メモリ
75 表示制御部
76 表示装置
77 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を結像する自由曲面プリズムを有する撮像光学系と、
前記撮像光学系により結像される前記被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、
前記撮像素子からの光電変換信号を処理して画像信号を出力する信号処理部と、
外部制御ユニットと通信を行う通信部と、
前記撮像素子駆動部および前記信号処理部の動作を制御して、前記信号処理部から出力される画像信号を前記通信部から前記外部制御ユニットに送信する制御部と、
を備えることを特徴とするカメラユニット。
【請求項2】
前記撮像光学系は、3つの自由曲面プリズムを有し、前記3つの自由曲面プリズムにより、正面60°、右60°、左60°の範囲の被写体像を、前記撮像素子上のそれぞれ分離された所定の領域に結像させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項3】
前記自由曲面プリズムは、入射面側に楕円形状の固定絞りが配置され、Y−Z面内において、前記入射面である第1面が負の屈折力を有し、出射面である第2面および反射作用を有する第3面が正の屈折力を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカメラユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカメラユニットと、
前記カメラユニットと接続される外部制御ユニットとを有し、
前記外部制御ユニットは、
前記カメラユニットと通信を行う通信部と、
前記通信部が受信した前記カメラユニットからの画像信号を処理する画像処理部と、
前記画像処理部で画像処理された画像信号による画像を表示する画像表示部と、
前記通信部を介して前記カメラユニットの動作を制御するとともに、前記画像処理部および前記画像表示部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするカメラシステム。
【請求項5】
前記外部制御ユニットには前記カメラユニットが複数台接続されており、
前記外部制御ユニットは、
前記画像表示部への画像の表示モードを入力する操作入力部をさらに有し、
前記制御部は、前記操作入力部から入力された表示モードに応じて、前記複数台のカメラユニットからの画像信号を前記画像処理部で画像処理して前記画像表示部に表示することを特徴とする請求項4に記載のカメラシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2010−263478(P2010−263478A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113651(P2009−113651)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】