説明

カラー画像形成装置

【課題】 所要の二次転写特性が確実に得られ、従って、画質の高い画像が長期間の間にわたって安定的に得られるカラー画像形成装置の提供。
【解決手段】 上記課題は、複数の像形成体上に形成された各色トナー像を中間転写体上に順次に一次転写してこれらを重ね合わせた後、転写材上に二次転写するものであって、中間転写体の移動方向における最下流側の一次転写領域と二次転写領域との間に、トナーと逆極性の直流電圧が印加される放電電極と、トナーと同極性の直流電圧が印加される制御グリッドとを備えた電位調整手段が設けられており、トナー像形成条件が変更される際に、帯電手段に対する印加電圧が増大されるに従って制御グリッドに対する印加電圧が増大されるよう、適正な大きさに制御された電圧が制御グリッドに印加され、電位調整処理後の一次転写トナー像の電位の絶対値が所定範囲内となる状態とされる構成のカラー画像形成装置により達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式を利用したカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子写真方式を利用したある種のカラー画像形成装置においては、例えば、互いに異なる色のトナー像を像形成体上に形成する複数のトナー像形成ユニットを備えており、各々のトナー像形成ユニットによって形成された各色トナー像を順次に例えば無端ベルト状の中間転写体上に一次転写し、これらを重ね合わせることにより一次転写トナー像を中間転写体上に形成し、その後、中間転写体上の一次転写トナー像を転写材に一括して二次転写することによりカラー画像を形成する転写方式が利用されている。
【0003】
而して、このようなカラー画像形成装置においては、一次色の画像を形成する場合には、画像欠陥が生ずることのない良好な二次転写性が得られる二次転写条件であっても、二次色またはそれ以上の色の画像を形成する場合には、一次色の画像に係る二次転写条件と同一の条件で二次転写プロセスを行った場合には、十分な二次転写性を得ることができず、高い画質の画像を確実に得ることができない場合がある、という問題がある。この理由は、中間転写体上に形成されるトナー像が1層から最大で4層までの広範囲のトナー付着量分布を有するため、それぞれの画像領域においては、トナー像の総電荷量が異なり、適正な二次転写条件が異なるためである。
【0004】
このような問題に対して、広範囲のトナー付着量分布を有する一次転写トナー像を二次転写する場合であっても、一定の二次転写条件を利用するための技術が開示されている (例えば特許文献1、特許文献2参照)。
具体的には、例えば中間転写体の移動方向における二次転写領域の上流側の位置に、中間転写体上の一次転写トナー像の電位を調整する二次転写前帯電手段を設け、この二次転写前帯電手段によって、当該一次転写トナー像を付加帯電して一次転写トナー像の電位 (総電荷量)が一定となるよう調整した状態において、二次転写プロセスを行うものである。
特に、特許文献2に開示されている技術においては、中間転写体上のトナー像を付加帯電することによって、付加帯電処理後の中間転写体上のトナー像の電位と、二次転写バイアスローラの電位との差が一定の状態となるよう調整し、これにより、広範囲の付着量分布を有する画像に対しても、所要の二次転写性が安定的に得られる、と記載されている。
【特許文献1】特開平10−274892号公報
【特許文献2】特開平11−143255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特開平11−143255号公報に記載された技術を利用するためには、一次転写プロセスが行われた後であって、二次転写プロセスが行われる前の時点において、中間転写体上の一次転写トナー像の電位を検出し、その検出結果に基づいて二次転写前帯電処理条件を設定する必要があり、そのための検出手段が必要になると共にその検出結果に基づいた二次転写前帯電処理条件を設定するための制御をトナー像形成条件の制御とは別個に独自に行うことが必要になり、制御系が煩雑化する、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明者らが、中間転写体上の一次転写トナー像の実際の電位を検出しなくとも、所要の二次転写性が安定して得られるように検討を行ったところ、以下のようにすればよいことを見出した。
すなわち、一次転写トナー像を構成するトナーの電位と逆極性の電荷を、各色トナー像を形成するに際して設定された帯電電位または現像バイアス電位と同等の大きさであって、トナーの電位と同極性の電位(制電電位)によって規制した状態で、一次転写トナー像に対して付与すれば、各色トナー像が重ねられてなる電位が高い画像領域(二次色またはそれ以上の色)においては、トナー像の電位を除電することができると共に、例えば単層トナー像からなる電位が低い画像領域(一次色)においては、トナー像の電位は変化することなく、その状態を維持することができる結果、中間転写体上の一次転写トナー像全体の電位を所定範囲内となる状態に収束させることができるものと考えた。
【0007】
また、一般に、一次色よりなるトナー像がそのトナー付着量が一定とされた状態で形成されている場合には、当該トナー像の電位は個々のトナー粒子の帯電特性(帯電量)に依存するが、例えばトナー濃度変動、環境変動や現像剤劣化等の理由によってトナーの帯電特性が変化した場合には、各々のトナー像形成ユニットにおいては、同一のトナー像形成条件でトナー像を形成した場合であっても、像形成体に対するトナー付着量が変化して現像性が低下するため、トナー付着量を一定とするためにトナー像形成条件をトナーの帯電特性の変化に伴って変更する必要がある。
然るに、二次転写プロセス前の一次転写トナー像の電位調整処理を、一定の条件(トナー像の電位と逆極性の電荷の大きさを規制するための電位の大きさが一定となる条件)で行ったのであれば、十分な二次転写性を確実に得ることができない、という問題が生じるため、トナー像形成条件の変更に応じて電位調整処理条件を変更することが必要である。
而して、一次転写トナー像の電位と逆極性の電荷を、帯電電位または現像電位に応じて適正な大きさに制御されたトナー像の電位と同極性の電位によって規制した状態で、一次転写トナー像に対して付与する構成とすることにより、所要の二次転写性を安定的に得ることができることを見出した。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、所要の二次転写性を確実に得ることができ、従って、画質の高い画像を長期間の間にわたって安定的に形成することができるカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカラー画像形成装置は、各々、像形成体の表面を所定の電位に帯電させる帯電手段と、像形成体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、現像バイアス電圧を印加して静電潜像をトナーによって顕像化することによりトナー像を形成する現像手段とを有する、互いに異なる色のトナー像を形成する複数のトナー像形成ユニットを備えてなり、各々の像形成体上に形成された各色トナー像を表面が像形成体の各々に対接しながら移動する中間転写体上に順次に一次転写し、これらを重ね合わせることにより一次転写トナー像を形成し、当該一次転写トナー像を転写材上に二次転写することによりカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
中間転写体の移動方向における最下流側に位置されるトナー像形成ユニットに係る一次転写領域と、二次転写領域との間に、中間転写体上に形成された一次転写トナー像の電位を調整するための二次転写前電位調整手段が設けられており、当該二次転写前電位調整手段は、トナーと逆極性の直流電圧が印加される帯電位調整用放電電極と、トナーと同極性の直流電圧が印加される帯電位調整用制御グリッドとを備えており、
各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更されるに際して、帯電手段に印加される電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が増大されると共に帯電手段に印加される電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が減少されるよう、適正な大きさに制御された電圧が帯電位調整用制御グリッドに印加され、電位調整処理後の一次転写トナー像におけるトナー量最大付着部の電位の絶対値が100〜600Vの範囲内となる状態とされることを特徴とする。
【0010】
本発明のカラー画像形成装置においては、帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧の大きさは、帯電手段に印加される電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該帯電手段に印加される電圧の大きさに対して比例的に制御されることが好ましい。
【0011】
また、本発明のカラー画像形成装置は、各々、像形成体の表面を所定の電位に帯電させる帯電手段と、像形成体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、少なくともトナーの帯電極性と同極性の直流バイアス電圧を含む現像バイアス電圧を印加して静電潜像をトナーによって顕像化することによりトナー像を形成する現像手段とを有する、互いに異なる色のトナー像を形成する複数のトナー像形成ユニットを備えてなり、各々の像形成体上に形成された各色トナー像を表面が像形成体の各々に対接しながら移動する中間転写体上に順次に一次転写し、これらを重ね合わせることにより一次転写トナー像を形成し、当該一次転写トナー像を転写材上に二次転写することによりカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
中間転写体の移動方向における最下流側に位置されるトナー像形成ユニットに係る一次転写領域と、二次転写領域との間に、中間転写体上に形成された一次転写トナー像の電位を調整するための二次転写前電位調整手段が設けられており、当該二次転写前電位調整手段は、トナーと逆極性の直流電圧が印加される帯電位調整用放電電極と、トナーと同極性の直流電圧が印加される帯電位調整用制御グリッドとを備えており、
各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更されるに際して、現像手段に印加される直流バイアス電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が増大されると共に現像手段に印加される直流バイアス電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が減少されるよう、適正な大きさに制御された電圧が帯電位調整用制御グリッドに印加され、電位調整処理後の一次転写トナー像におけるトナー量最大付着部の電位の絶対値が100〜600Vの範囲内となる状態とされることを特徴とする。
【0012】
本発明のカラー画像形成装置においては、帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧の大きさは、現像手段に印加される直流現像バイアス電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該直流現像バイアス電圧の大きさに対して比例的に制御されることが好ましい。
【0013】
また、本発明のカラー画像形成装置においては、中間転写体上の一次転写トナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段は、一次転写トナー像の電位と逆極性の転写バイアス電圧が印加される構成とされており、転写バイアス電圧が2.5〜5kVに設定されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のカラー画像形成装置においては、二次転写前電位調整手段は、中間転写体の移動方向における二次転写領域の40〜120mm上流側の位置に配置された構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラー画像形成装置によれば、中間転写体上に形成された一次転写トナー像に対してこれを構成するトナーの電位と逆極性の電荷が、トナーの電位と同極性であって、適正な大きさに制御された電位が印加された帯電位調整用制御グリッドによって規制された状態で、付与されることにより、当該一次転写トナー像における帯電位調整用制御グリッドより電位が高い画像領域においては、トナーの電位と逆極性の電荷による影響によってトナーの電位が帯電位調整用制御グリッドに印加される電位(以下、「制電電位」という。)と同等の高さまで低下(除電)されると共に、制電電位と同等または電位が低い画像領域においては、帯電位調整用制御グリッドの作用によって帯電位調整用放電電極からの電荷の影響を実質的に受けることがなく、トナー像の電位の高さが維持されるので、二次転写前電位調整手段による電位調整処理が行われた後の一次転写トナー像を、その電位の高さが所定範囲内となる状態に調整することができる。
しかも、各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更される際に、帯電手段に印加される電圧の大きさの変更に伴って適正な大きさに制御された電圧が二次転写前電位調整手段の帯電位調整用制御グリッドに印加される構成とされていることにより、例えばトナー濃度変動、環境変動や現像剤劣化等の理由からトナーの帯電特性が変化した場合であっても、各色トナー像に係るトナー像形成条件に応じた適正な条件で電位調整処理を行うことができるので、二次転写プロセス前における中間転写体上の一次転写トナー像の電位を常に適正な状態に調整することができる。
従って、トナーの付着量分布が広範囲にわたるカラー画像を形成する場合であっても、二次転写プロセスを一定の二次転写条件で行うことができる結果、所要の二次転写性を確実に得ることができ、高い画質の画像を長期間の間にわたって安定的に形成することができる。
【0016】
また、電位調整処理条件が各色トナー像に係るトナー像形成条件に基づいて算出される一次転写トナー像の電位に応じて設定されることにより、トナーの帯電特性の変化による一次転写トナー像の電位の変化を、実際に検出手段によって検出すること(検出手段による検出結果に基づいて電位調整処理条件を設定すること。)が不要であるので、電位調整処理条件を適正な条件に極めて容易に変更することができるものでありながら、電位調整処理条件の制御を安定して行うことができる。
【0017】
また、各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更される際に、現像手段に印加される直流バイアス電圧の大きさに応じて制御された大きさの電圧が帯電位調整用制御グリッドに印加される構成とすることによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0018】
また、二次転写前電位調整手段が二次転写領域の位置との関係において所定の位置に設定されていることにより、二次転写前電位調整手段による電位調整処理が二次転写プロセスに干渉することを確実に防止することができ、二次転写プロセスを適正な条件で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のカラー画像形成装置の一例における構成の概略を示す説明図である。 このカラー画像形成装置は、複数の支持ローラ17a〜17d群によって張架された状態で配設された、無端ベルト状の中間転写体(以下、「中間転写ベルト」という。)17を備えており、この中間転写ベルト17の外周面に沿って、各々、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像およびブラックトナー像を形成する4つのトナー像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kが、中間転写ベルト17が各々のトナー像形成ユニットにおける像形成体10Y,10M,10C,10Kの各々に対接されながら循環移動されるよう、離間して並ぶよう設けられている。
【0020】
中間転写ベルト17は、例えば、体積抵抗率が1×104 〜1×1012Ωcmである半導電性を有するベルト基体よりなる単層構造のものとされ、その表面抵抗率が1×109 〜1×1013Ω/□、より好ましくは1×1010〜1×1012Ω/□であるものとされる。中間転写ベルト17の表面抵抗率(Ω/□)は、油化電子製の抵抗測定器「ハイレスターIP」を用い、常温常湿(温度20±1℃、湿度50±2%)環境下において、電圧100Vを10秒間印加することにより計測される値である。
【0021】
中間転写ベルト17のベルト基体を構成する材料としては、例えば、熱硬化ポリイミド、変性ポリイミドなどの樹脂材料、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリウレタンゴム等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーが分散されてなるもの、あるいはイオン性の導電材料が含有されてなるものなどを例示することができる。
【0022】
イエロートナー像に係るトナー像形成ユニット30Yは、回転される像形成体10Yと、この像形成体10Yの外周面に沿って、各々、像形成体10Yの回転方向に対して動作順に並ぶよう配設された、帯電手段11Y、露光手段12Y、現像手段13Y、一次転写手段14Y、および像形成体クリーニング手段20Yにより構成されている。
【0023】
像形成体10Yは、例えば、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層がドラム状の金属基体の外周面に形成されてなる有機感光体よりなり、搬送される転写材Pの幅方向(図1において、紙面に対して垂直な方向)に伸びる状態で配設されている。
感光層を構成する樹脂としては、例えばポリカーボネイト等を例示することができる。 像形成体10Yは、電荷輸送層と電荷発生層とが積層された機能分離型の感光層が形成されてなるものであることが好ましい。
【0024】
帯電手段11Yは、例えば、導電性材料からなる矩形枠状のケーシング111を備え、このケーシング111内に、放電ワイヤーよりなる放電電極112が像形成体10Yの軸方向に沿って伸びるよう配置されると共に出力制御用の帯電制御グリッド113が放電電極112と像形成体10Yとの間に介在する状態で配置されてなる、スコロトロン帯電器により構成されている。そして、放電電極112に対して、例えばトナーの帯電特性と同極性の直流電圧が図示しない電圧印加手段によって印加されると共に、帯電制御グリッド113に対して、例えばトナーの帯電特性と同極性の直流電圧が図示しないグリッド電圧印加手段によって印加され、これにより、像形成体10Yの表面が所定の電位(帯電電位)に帯電される。
【0025】
露光手段12Yは、例えば、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズおよびミラー等で構成されたレーザ照射装置よりなる。
【0026】
現像手段13Yは、例えば内部に複数の磁極を有する例えば円柱状の現像マグネット(図示せず)が配設された、現像剤搬送手段である現像スリーブ131を備えており、この現像スリーブ131は、現像マグネットの周囲を回転可能とされた状態で、像形成体10Yと現像領域を介して対向するよう配置されている。
現像スリーブ131には、例えば、トナーの帯電極性と同極性の直流バイアス電圧(直流成分)が交流バイアス電圧(交流成分)に重畳された現像バイアス電圧が図示しない現像バイアス電圧印加手段によって印加され、これにより、露光手段12Yによる露光領域にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0027】
一次転写手段14Yは、中間転写ベルト17を介して像形成体10Yに押圧されて一次転写領域(一次転写ニップ部)が形成されるよう設けられた一次転写ローラ141Yと、この一次転写ローラ141Yに接続された転写電流供給手段(図示せず)とにより構成されており、転写電流供給手段によって一次転写ローラ141Yに所定の大きさの転写電流が供給されることにより転写電界が形成され、この転写電界の作用によって像形成体10Y上に形成されたイエロートナー像が中間転写ベルト17上に一次転写される。
【0028】
像形成体クリーニング手段20Yは、例えばブレードクリーニング方式を利用したものにより構成されている。
像形成体クリーニングブレードは、例えば、ウレタンゴムなどの弾性体よりなり、その基端部分が支持部材によって支持されると共に、先端部分が像形成体10Yの表面に当接されるよう設けられており、像形成体クリーニングブレードの基端側から伸びる方向は、当接箇所における像形成体10Yの回転による移動方向と反対方向である、いわゆるカウンター方向とされている。
【0029】
他のトナー像形成ユニット30M,30C,30Kの各々についても、現像剤がイエロートナーの代わりにそれぞれマゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを含むものである他は、イエロートナー像に係るトナー像形成ユニット30Yと同様の構成とされており、図1においては、便宜上、イエロートナー像に係るトナー像形成ユニット30Yと同一の構成部材については、「Y」を、それぞれ、「M」,「C」,「K」に代えた同一の符号が付してある。ここに、互いに隣接する像形成体の回転軸の離間距離は、例えば90〜95mmである。
【0030】
中間転写ベルト17の移動方向(図1において矢印で示す。)におけるトナー像形成ユニット配置領域より下流側の位置には、二次転写手段14Sが設けられている。
二次転写手段14Sは、中間転写ベルト17を支持する支持ローラの一であるバックアップローラ17dに中間転写ベルト17を介して押圧されて二次転写領域(二次転写ニップ部)が形成されるよう設けられた二次転写ローラ141Sと、この二次転写ローラ141Sに接続された、転写電圧印加手段(図示せず)とにより構成されており、この転写電圧印加手段によって、一次転写トナー像の電位と逆極性の二次転写バイアス電圧が二次転写ローラ141Sに印加されることにより転写電界が形成され、この転写電界の作用によって中間転写ベルト17上に形成された一次転写トナー像が転写材P上に転写される。
二次転写バイアス電圧の大きさの絶対値は、例えば2.5〜5kVであることがこましい。二次転写バイアス電圧が過大である場合には、放電による白抜けやハーフトーン部のあれが生じやすく、これに対して、二次転写バイアス電圧が過小である場合には、所要の二次転写性を得ることが困難となり、高い画質の画像を確実に形成することができなくなる。
【0031】
図1において、18は、二次転写領域より搬送される転写材P上におけるカラートナー像を定着させる定着装置であり、例えば、内部に加熱源を具えた加熱ローラ181と、この加熱ローラ181と定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラ182とにより構成されている。
また、20Sは、中間転写ベルト17上における未転写トナーを除去するクリーニングブレードを具えた中間転写体クリーニング手段であり、中間転写ベルト17の移動方向における二次転写領域より下流側の位置に設けられている。
【0032】
上記のカラー画像形成装置においては、中間転写ベルト17の移動方向における二次転写領域より上流側の位置に、中間転写ベルト17上に形成される一次転写トナー像の電位を調整するための二次転写前電位調整手段(以下、単に「電位調整手段」という。)40が設けられている。
具体的には、電位調整手段40は、例えば中間転写ベルト17の移動方向における二次転写領域の40〜120mm上流側の位置に設けられていることが好ましく、この例においては、転写材Pの二次転写領域への導入部近傍に位置された支持ローラ17cと対向する位置に、中間転写ベルト17を介して設けられている。これにより、二次転写プロセスが行われるに際して、電位調整手段40による電位調整処理が二次転写プロセスに干渉することを確実に防止することができ、二次転写プロセスを適正な条件で行うことができる。
【0033】
電位調整手段40は、中間転写ベルト17上に形成された一次転写トナー像に対して、これを構成するトナーの電位と逆極性の電荷を付与する機能を有するものであり、例えば、導電性材料からなる、中間転写ベルト17の表面を臨む面が開口する矩形枠状のケーシング41を備え、このケーシング41内に、放電ワイヤーよりなる帯電位調整用放電電極42が中間転写ベルト17の幅方向(図1において、紙面に対して垂直な方向)に沿って伸びるよう配置されると共に帯電位調整用放電電極42により一次転写トナー像に付与される電荷量を規制するための帯電位調整用制御グリッド43が帯電位調整用放電電極42と中間転写ベルト17との間に介在する状態で配置されてなる、スコロトロン帯電器により構成されている。
【0034】
帯電位調整用放電電極42は、帯電位調整用放電電圧印加手段42Aに接続されており、この帯電位調整用放電電圧印加手段42Aによって、トナーの帯電特性と逆極性の直流電圧が印加されることにより、一次転写トナー像に対してこれを構成するトナーの電位と逆極性の電荷が付与される。
【0035】
帯電位調整用制御グリッド43は、中間転写ベルト17の表面と例えば1mmの間隙を介して離間した状態とされている。
帯電位調整用制御グリッド43には、帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bが接続されており、一次転写トナー像に対してこれを構成するトナーの電位と同極性であって、帯電手段11の帯電制御グリッド113に印加される電圧の大きさに基づいて適正な大きさに制御された直流電圧が印加される。
具体的には、現像剤履歴あるいは環境変動に伴ってトナー像形成条件が変更される際に、帯電手段11の帯電制御グリッド113に印加される電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッド43に印加される電圧の大きさが増大されると共に、帯電グリッド電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッド43に印加される電圧が減少された状態で印加されるよう、帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bの動作状態が図示しない制御手段によって制御される。
【0036】
電位調整手段40の帯電位調整用制御グリッド43に印加される電圧(以下、「帯電位調整用グリッド電圧」という。)の大きさについて具体的に説明すると、当該帯電位調整用グリッド電圧の大きさは、トナー像形成ユニットの帯電手段に印加される電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該帯電手段に印加される電圧の大きさに対して比例的に制御されることが好ましい。
具体的には、例えば、帯電手段に印加される電圧の大きさVhが−650V未満である場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.67×Vh〜0.72×Vhに設定され、帯電手段に印加される電圧の大きさVhが−650〜−750Vである場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.64×Vh〜0.66×Vhに設定され、帯電手段に印加される電圧の大きさVhが−750V以上である場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.58×Vh〜0.63×Vhに設定される。
【0037】
帯電位調整用グリッド電圧の大きさがこのようにして設定されることにより、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像に対して十分な電位調整を確実に行うことができる。帯電位調整用制御グリッド43に印加される帯電位調整用グリッド電圧が過小である場合には、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像の電位が全体的に過度に低い電位にまで除電されることになるので、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対して過剰に除電された状態のものとなり、ハーフトーン部にあれが発生しやすくなる。一方、帯電位調整用グリッド電圧が過大である場合には、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像に対して十分な電位調整を行うことができないため、所要の二次転写性を得ることが困難となり、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対する除電が不十分な状態のものとなり、2層ベタ部(二次色)の均一性が低下しやすくなる。
【0038】
帯電位調整用制御グリッド43に対して帯電位調整用グリッド電圧を印加するための帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bは、例えば定電圧電源により構成されていることが好ましい。
【0039】
以上において、支持ローラ17cは接地電位状態に維持されており、ケーシング41は帯電位調整用制御グリッド43と同じ電位状態に維持されている。
【0040】
以上の画像形成装置において用いられる各色のトナーは、体積平均粒径が3〜5μmであるものであることが好ましい。体積平均粒径が3〜5μmの範囲である小粒径トナーを用いることにより、定着装置18における定着工程において、転写材Pに対する付着性の過度なトナーや付着力の弱いトナーなどの存在を減らすことができ、安定した現像性を長期間にわたって得ることができると共に、高い転写効率が得られてハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの微細画の画質が向上した画像を形成することができる。
ここに、トナーの体積平均粒径は、「コールターカウンターTA−II」または「コールターマルチサイザー」(いずれもコールター社製)を用いて測定した値である。
【0041】
このようなトナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させて得られるものであり、例えば懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合体粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤などを添加して会合する方法で製造することができる。また、単量体とトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液とを混合して会合させる方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などにより製造することもできる。ここで、「会合」とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。また本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0042】
このようなトナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤などの各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0043】
本発明のカラー画像形成装置において用いられるトナーは、その球形化度が、例えば0.94〜0.98であるものであることが好ましい。トナーの球形化度は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により500倍に拡大したトナー粒子像を500個無作為にサンプリングして画像解析装置「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)によってトナー粒子像の解析を行い、下記式1によって算出されるものである。
式1; 球形化度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
【0044】
球形化度が0.94よりも小さいトナーは、粒子の凹凸が大きくなり、機械内での圧力により破壊されやすく、また現像手段13Y、13M、13C,13Kにおいてトナー粒子が一様に帯電されないため、高い画質の画像を形成することができない。一方、球形化度が0.98よりも大きいトナーは、粒子が真球に近すぎるものであるため、クリーニング性が低下し画質の高い画像を形成することが困難となる。
【0045】
このようなトナーは、一成分現像剤として用いても、二成分現像剤として用いてもよい。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
【0046】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いる場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来より好適に利用されている材料を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径が15〜100μmのものであることが好ましく、より好ましくは25〜80μmのものである。体積平均粒径がトナーの体積平均粒径の15〜100μmであるキャリアを使用することにより、小粒径トナーを用いた場合でもキャリア表面の帯電付与性能を向上させることができ、これにより、かぶりやトナー飛散の発生を確実に防止することができ、しかも、キャリア付着の発生を確実に防止することができ、従って、均一な画像濃度を有すると共にきめの細かい画質の高い画像を確実に得ることができる。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0047】
上記構成のカラー画像形成装置においては、次のようにして画像形成動作が行われる。すなわち、イエロートナー像に係るトナー像形成ユニット30Yにおいて、回転される像形成体10Yの表面が、帯電手段11Yによって所定の極性、例えば負極性に順次に帯電され、この状態において、像形成体10Yの表面に露光手段12Yによって選択的に光が照射されることにより、照射箇所(露光領域)の電位が低下して原稿画像に対応した静電潜像が形成される。
一方、現像手段13Yにおける現像スリーブ131の表面に対して、トナーの帯電極性と同極性の直流バイアス電圧が交流バイアス電圧に重畳された現像バイアス電圧が図示しない電圧印加手段によって印加され、現像スリーブ131の表面電位と同じ極性に帯電されたトナーを含む現像剤が、その搬送量が規制された状態で現像領域に搬送される。そして、現像領域において、現像スリーブ131上のトナーが像形成体10Yの露光領域に付着して反転現像が行われて、像形成体10Y上にイエロートナー像が形成される。
【0048】
このようなトナー像形成動作が、マゼンタトナー像に係るトナー像形成ユニット30M、シアントナー像に係るトナー像形成ユニット30Cおよびブラックトナー像に係るトナー像形成ユニット30Kの各々において行われて、各色のトナー像が各像形成体10Y,10M,10C,10K上に形成される。
【0049】
トナー像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kの各々において形成された各色のトナー像は、それぞれの一次転写領域において順次に中間転写ベルト17上に一次転写され、各色のトナー像が中間転写ベルト17上で重ね合わせられることにより一次転写トナー像が形成され、この一次転写トナー像は、中間転写ベルト17に担持されたまま搬送され、電位調整手段40による電位調整処理が行われる。
【0050】
一次転写トナー像に対する電位調整処理について具体的に説明すると、一次転写トナー像を構成するトナーの電位と逆極性の直流電圧が、帯電位調整用放電電圧印加手段42Aによって帯電位調整用放電電極42に印加されると共に、トナーの帯電特性と同極性であって、帯電手段における帯電制御グリッド113に印加される電圧の大きさに応じて制御された所定の大きさの直流電圧が、帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bによって帯電位調整用制御グリッド43に印加されることにより、一次転写トナー像に対してこれを構成するトナーの電位と逆極性の電荷が帯電位調整用制御グリッド43によって規制された状態で付与され、これにより、一次転写トナー像における帯電位調整用制御グリッド43より電位が高い画像領域は、その電位が所定の高さまで低下(除電)されると共に、帯電位調整用制御グリッド43と同等または電位が低い画像領域は、その電位が維持され、これにより、一次転写トナー像全体の電位が所定範囲内となる状態に調整される。具体的には、電位調整処理によって、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像におけるトナー量最大付着部の電位が−100〜−600Vの範囲内、好ましくは−400〜−600Vの範囲内となる状態とされる。
【0051】
電位調整処理が行われた後の一次転写トナー像は、二次転写領域において、転写電圧印加手段によって適正な大きさに制御された二次転写バイアス電圧が二次転写手段14Sの二次転写ローラ141Sに印加されることにより形成される転写電界の作用によって、中間転写ベルト17に担持された一次転写トナー像と同期がとられた状態で搬送路に沿って搬送されてきた転写材P上に二次転写され、その後、定着手段18における加熱ローラ181および加圧ローラ182によって熱定着されて転写材S上にカラー画像が形成される。
【0052】
一方、各々のトナー像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kにおいては、一次転写領域を通過して像形成体10Y,10M,10C,10K上に残留する未転写トナーが、像形成体クリーニング手段20Y,20M,20C,20Kによって除去される。
また、二次転写領域を通過して中間転写体17上に残留する未転写トナーは、中間転写体クリーニング手段20Sによって除去される。
【0053】
而して、上記構成のカラー画像形成装置によれば、中間転写ベルト17上に形成された一次転写トナー像に対してこれを構成するトナーの電位と逆極性の電荷が、トナーの電位と同極性であって、適正な大きさに制御された電位(制電電位)が印加された帯電位調整用制御グリッド43によって規制された状態で、付与されることにより、当該一次転写トナー像における帯電位調整用制御グリッド43より電位が高い画像領域においては、トナーの電位と逆極性の電荷による影響によってトナー像の電位が制電電位と同等の高さまで低下(除電)されると共に、制電電位と同等または電位が低い画像領域においては、帯電位調整用制御グリッド43の作用によって帯電位調整用放電電極42からの電荷の影響を実質的に受けることがなく、トナー像の電位の高さが維持されるので、電位調整手段40による電位調整処理が行われた後の一次転写トナー像を、その電位の高さが所定範囲内にある状態に調整することができる。
しかも、各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更される際に、帯電手段11に印加される電圧の大きさの変更に伴って適正な大きさに制御された帯電位調整用グリッド電圧が電位調整手段40の帯電位調整用制御グリッド43に印加される構成とされていることにより、例えばトナー濃度変動、環境変動や現像剤劣化等の理由からトナーの帯電特性が変化した場合であっても、各色トナー像のトナー像形成条件に応じた適正な条件で電位調整処理を行うことができるので、二次転写プロセス前における中間転写ベルト17上の一次転写トナー像の電位を常に適正な状態に調整することができる。
従って、トナーの付着量分布が広範囲にわたるカラー画像を形成する場合であっても、二次転写プロセスを一定の二次転写条件で行うことができる結果、所要の二次転写性を確実に得ることができ、従って、高い画質の画像を長期間の間にわたって安定的に形成することができる。
【0054】
また、電位調整処理条件が各色トナー像に係るトナー像形成条件に基づいて算出される一次転写トナー像の電位に応じて設定されることにより、トナーの帯電特性の変化による一次転写トナー像の電位の変化を、実際に検出手段によって検出すること(検出手段による検出結果に基づいて電位調整処理条件を設定すること。)が不要であるので、電位調整処理条件を適正な条件に極めて容易に変更することができるものでありながら、電位調整処理条件の制御を安定して行うことができる。
【0055】
さらに、電位調整手段40が二次転写領域の位置との関係において所定の位置に設定されていることにより、電位調整手段40による電位調整処理が二次転写プロセスに干渉することを確実に防止することができ、二次転写プロセスを適正な条件で行うことができる。
【0056】
上記構成のカラー画像形成装置は、一次色よりなる画像領域と、二次色またはそれ以上よりなる画像領域とを有する画像を形成する場合だけでなく、例えばソリッド(ベタ)部とハーフトーン部とを有する画像のように、トナー付着量が異なる画像領域を有する一次色よりなる画像を形成する場合にも、極めて有用である。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、トナーの帯電特性の変化に伴って各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更される際に、トナー像形成ユニットにおける現像手段の現像スリーブ131に印加する直流現像バイアス電圧の大きさに基づいて適正な大きさに制御された帯電位調整用グリッド電圧が、電位調整手段における帯電位調整用制御グリッドに印加される構成とされていても、上記構成のカラー画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
具体的には、現像剤履歴あるいは環境変動に伴ってトナー像形成条件が変更されるに際して、現像手段の現像スリーブ131に印加される直流現像バイアス電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッド43に印加される帯電位調整用グリッド電圧の大きさが増大されると共に、直流現像バイアス電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッド43に印加される帯電位調整用グリッド電圧が減少された状態で印加されるよう、帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bの動作状態が図示しない制御手段によって制御される。
【0058】
電位調整手段40の帯電位調整用制御グリッド43に印加される帯電位調整用グリッド電圧の大きさについて具体的に説明すると、当該帯電位調整用グリッド電圧の大きさは、トナー像形成ユニットの現像手段に印加される直流現像バイアス電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該直流現像バイアス電圧の大きさに対して比例的に制御されることが好ましい。
具体的には、例えば、直流現像バイアス電圧の大きさVdcが−550V未満である場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.8×Vdc〜0.85×Vdcに設定され、直流現像バイアス電圧の大きさVdcが−550〜−650Vである場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.76×Vdc〜0.79×Vdcに設定され、直流現像バイアス電圧の大きさVdcが−650V以上である場合には、帯電位調整用グリッド電圧の大きさは0.70×Vdc〜0.75×Vdcに設定される。
【0059】
帯電位調整用グリッド電圧の大きさがこのようにして設定されることにより、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像に対して十分な電位調整を確実に行うことができる。帯電位調整用制御グリッド43に印加される帯電位調整用グリッド電圧が過小である場合には、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像の電位が全体的に過度に低い電位にまで除電されることになるので、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対して過剰に除電された状態のものとなり、ハーフトーン部にあれが発生しやすくなる。一方、帯電位調整用グリッド電圧が過大である場合には、中間転写ベルト17上の一次転写トナー像に対して十分な電位調整を行うことが困難となるため、所要の二次転写性が得られず、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対する除電が不十分な状態のものとなり、2層ベタ部(二次色)の均一性が低下しやすくなる。
【0060】
帯電位調整用制御グリッド43に対して帯電位調整用グリッド電圧を印加するための帯電位調整用グリッド電圧印加手段42Bは、例えば定電圧電源により構成されていることが好ましい。
【0061】
また、本発明のカラー画像形成装置においては、以下のような変更を加えることができる。
例えば、電位調整処理条件を設定するに際しては、いずれの色のトナー像に係るトナー像形成条件に基づいて行われてもよく、各色トナー間において互いにトナー像形成条件が異なっていても、帯電位調整用制御グリッドに印加される帯電位調整用グリッド電圧の大きさによって中間転写体上に形成された一次転写トナー像の電位が調整されるので、一次転写トナー像の電位を電位調整処理によって所定範囲内となる状態に確実に調整することができる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
図1に示す構成に従って、本発明に係るカラー画像形成装置を製造した。具体的な構成は以下に示す通りである。
【0064】
中間転写体としては、体積抵抗率が1×108 Ωcmであるポリイミドよりなる無端状の半導電性樹脂ベルト(中間転写ベルト)を用いた。中間転写ベルトの表面抵抗率は3.2×1011Ω/□であり、JIS B0601による十点平均粗さRzが3μmである。表面抵抗率(Ω/□)は、油化電子製の抵抗測定器「ハイレスターIP」を用い、常温常湿(温度20±1℃、湿度50±2%)環境下において、電圧100Vを10秒間印加することにより計測した。
【0065】
各色トナー像に係るトナー像形成ユニットの各々は、いずれも同一の構成を有するものであり、互いに隣接するトナー像形成ユニットにおける像形成体の回転軸の軸間距離を95mmに設定した。
(1)像形成体としては、表面にフタロシアニン顔料を含有せしめたポリカーボネートよりなる感光層が25μmの厚みで形成されてなる有機感光体であって、外径が60mm、軸方向長さが335mmであるものを用いた。有機感光体のJIS B0601による十点平均粗さが0.2μmである。
(2)帯電手段としては、負放電特性を有するスコロトロン帯電器を用いた。
(3)露光手段としては、表面標準出力が300μWである半導体レーザ照射装置を用いた。
(4)現像手段としては、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーの各々に係る現像剤のいずれのものも、トナー濃度が7質量%である二成分現像剤が充填されてなる現像器を用いた。
トナーは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーのいずれのものも、負帯電特性(平均帯電量;−25μC/g)を有し、体積平均粒径が4.5±0.15μm、球形化度が0.96である各色の重合トナーに、大粒径シリカ0.8質量%、小粒径シリカ0.2質量%、大粒径チタニア0.2質量%、小粒径チタニア0.4質量%、ステアリン酸カルシウム0.05質量%を外添処理したものを用いた。
キャリアは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーの各々に係る現像剤のいずれのものも、体積平均粒径が25μm、飽和磁化60emu/gのフェライト粒子の表面に、アクリル系樹脂をフェライト粒子に対する被覆量が3質量%となる状態でコーティングしたものを用いた。
現像スリーブの回転数は、210〜280rpmの範囲内で調整して、有機感光体上の単位面積当たりのトナー付着量が0.4mg/cm2 、現像スリーブによる現像剤搬送量が25±2mg/cm2 となる状態とし、有機感光体と現像スリーブとの最近接距離(現像ギャップ)を0.3mmに設定すると共に現像スリーブの軸方向における磁気ブラシの形成幅を320mmに設定した。
【0066】
(5)一次転写手段を構成する一次転写ローラは、ステンレス鋼よりなる芯金の表面に、カーボンがシリコーン樹脂に分散されてなる発泡スポンジ状態の半導電性ゴムよりなる被覆層が形成されてなる、外径が20mm、実抵抗値が1×106 Ω(押圧荷重19.6N、印加電圧500Vにて測定)、アスカーC硬度が25゜であるものである。一次転写ローラの、中間転写ベルトを介して有機感光体に押圧される押圧荷重は、4.9N(500gf)に設定すると共に、転写電流供給手段としては定電流電源を用い、一次転写ローラに印加する一次転写電流値を20μAに設定した。
【0067】
二次転写手段を構成する二次転写ローラは、ステンレス鋼よりなる芯金の表面に、カーボンがシリコーン樹脂に分散されてなる発泡スポンジ状態の半導電性ゴムよりなる被覆層が形成されてなる、外径が30mm、実抵抗値が5×107 Ω(押圧荷重19.6N、印加電圧500Vにて測定)であるものを用いた。
転写電圧印加手段としては定電流電源を用いた。
【0068】
電位調整手段としては、正放電特性を有するスコロトロン帯電器を用い、中間転写ベルトの移動方向における二次転写領域の50mm上流側の位置に配置すると共に、電位調整手段の帯電位調整用制御グリッドに帯電位調整用グリッド電圧を印加する帯電位調整用グリッド電圧印加手段として、定電圧電源を用いた。
【0069】
また、プロセス速度を220mm/sec(1分間当たりの画像出力枚数が50枚となる状態)に設定した。
【0070】
<実施例1>
上記構成のカラー画像形成装置について、(環境条件)温度20℃、相対湿度50%RHの環境条件(常温常湿環境)下にて、以下に示す画像形成条件(トナー像形成条件)に従って、現像バイアス電圧を一定とした状態において、各色トナー像に係る帯電処理条件(帯電電位)を画像形成枚数(現像剤の劣化の程度)に基づいて制御して実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
【0071】
<画像形成条件(トナー像形成条件)>
(a)現像剤初期時(画像形成枚数:1〜1万枚)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−600Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−400V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の67%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+3.5kVに設定した。
(b)現像剤中期時(画像形成枚数:1万〜5万枚)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−700Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−450V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の64%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+4kVに設定した。
(c)現像剤耐久時(画像形成枚数:5万〜10万枚)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−800Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−480V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の60%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+4.5kVに設定した。
【0072】
<評価基準>
(イ):2層ベタ部(二次色)の均一性
2層ベタ部(二次色)の均一性の評価は、マゼンタ色およびシアン色により構成された2色カラー(二次色)のベタ画像よりなるテスト用画像を1枚形成した後、文字原稿(各色トナーの印字率がいずれも6%)よりなる画像を連続して5万枚形成し、その後、テスト用画像を1枚形成し、その後さらに、文字原稿(各色トナーの印字率がいずれも6%)よりなる画像を連続して5万枚形成した後、テスト用画像を1枚形成する画像出力テストを行い、1枚目に形成された出力画像(現像剤初期時)、5万枚目に形成された出力画像(現像剤中期時)および10万枚目に形成された出力画像(現像剤耐久時)の各々について、画像濃度の均一性を目視にて評価し、画像濃度の均一性が良好である場合を「○」、画像濃度の不均一な部分が若干あるが、実用上許容範囲内にある場合を「△」、画像濃度が不均一であり、実用に供さないレベルである場合を「×」として評価した。
【0073】
(ロ)ハーフトーン部のあれ:
ハーフトーン部のあれの評価は、マゼンタ色の単色ハーフトーン画像よりなるテスト用画像をを1枚形成した後、文字原稿(各色トナーの印字率がいずれも6%)よりなる画像を連続して5万枚形成し、その後、テスト用画像を1枚形成し、その後さらに、文字原稿(各色トナーの印字率がいずれも6%)よりなる画像を連続して5万枚形成した後、テスト用画像を1枚形成する画像出力テストを行い、1枚目に形成された出力画像(現像剤初期時)、5万枚目に形成された出力画像(現像剤中期時)および10万枚目に形成された出力画像(現像剤耐久時)の各々について、ハーフトーン部のあれの発生有無を目視で観察し、ハーフトーン部のあれが発生していないものである場合を「○」、ハーフトーン部のあれが目視で認識することができる程度で発生しているが、実用が50%以上で許容されるものである場合を「△」、ハーフトーン部のあれが目視で認識することができる程度で発生しており、実用に供さないものである場合を「×」として評価した。
【0074】
<参考例1>
上記実施例1において、現像剤中期時(b)における帯電位調整用グリッド電圧を−420V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の60%の大きさ)に設定したことの他は実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
【0075】
<参考例2>
上記実施例1において、現像剤耐久時(c)における帯電位調整用グリッド電圧を−520V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の65%の大きさ)に設定したことの他は実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
【0076】
<比較例1>
上記実施例1において、二次転写前電位調整手段を具備せず、中間転写ベルト上に形成された一次転写トナー像に対して電位調整処理を行わずに二次転写プロセスが行われるよう制御したことの他は、実施例1に係るものと同様の構成を有する比較用のカラー画像形成装置を製造した。
この比較用のカラー画像形成装置について、実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
【0077】
<比較例2>
上記実施例1において、各色トナー像に係るトナー像形成条件を変更しても、帯電位調整用グリッドに印加される電圧の大きさを変更することなしに、−450Vの一定の大きさの帯電位調整用制御グリッド電圧が印加されるよう制御したことの他は、実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
【0078】
<実施例2>
上記実施例1において、以下に示す画像形成条件(トナー像形成条件)に従って、帯電電位を一定とした状態において、直流現像バイアス電圧を現像剤履歴に基づいて調整すると共に、現像バイアス電圧の変更に伴って電位調整処理条件(帯電位調整用グリッド電圧)を調整したことの他は実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表1および表2に示す。
<画像形成条件>
(a)現像剤初期時;
・感光体表面電位:−750V
・直流現像バイアス電圧:Vdc=−500V
・制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−400V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の80%の大きさ)
(b)現像剤中期時
・感光体表面電位:−750V
・直流現像バイアス電圧:Vdc=−600V
・制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−450V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の76%の大きさ)
(c)現像剤耐久時
・感光体表面電位:−750V
・直流現像バイアス電圧:Vdc=−700V
・制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−500V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の71%の大きさ)
その他の条件は、上記実施例1と同じ条件に設定した。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
<実施例3>
上記実施例1において、以下に示す画像形成条件(トナー像形成条件)に従って、各色トナー像に係る現像バイアス電圧を環境条件に基づいて制御したことの他は実施例1と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表3および表4に示す。
【0082】
<トナー像形成条件>
(d)高温高湿環境(30℃、80%RH)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−600Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−500V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−410V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の82%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+3.5kVに設定した。
(e)常温常湿環境(20℃、50%RH)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−650Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−600V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−460V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の77%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+4kVに設定した。
(f)低温低湿環境(10℃、20%RH):
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−700Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−680V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−500V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の74%の大きさ)
・二次転写ローラに印加する二次転写バイアス電圧を+4.5kVに設定した。
【0083】
<参考例3>
上記実施例3において、常温常湿環境条件下における帯電位調整用グリッド電圧を−430V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の72%の大きさ)に設定したことの他は実施例3と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表3および表4に示す。
【0084】
<参考例4>
上記実施例3において、低温低湿環境条件下における帯電位調整用グリッド電圧を−540V(マゼンタトナー像に係る現像手段の現像スリーブに印加される直流バイアス電圧の77%の大きさ)に設定したことの他は実施例3と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表3および表4に示す。
【0085】
<実施例4>
また、上記実施例3において、以下に示す画像形成条件(トナー像形成条件)に従って、トナー像形成条件における直流現像バイアス電圧を一定とした状態において、帯電処理条件(帯電電位)を環境条件に応じて制御したことの他は実施例3と同様の実写テストを行うことにより、(イ)2層ベタ部(二次色)の均一性、(ロ)ハーフトーン部のあれの発生有無についての評価を行った。結果を下記表3および表4に示す。
<画像形成条件>
(d)高温高湿環境(30℃、80%RH)
・感光体表面電位;
有機感光体の表面電位:−600V
直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−400V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の67%の大きさ)
(e)常温常湿環境(20℃、50%RH)
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−700Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−460V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の66%の大きさ)
(f)低温低湿環境(10℃、20%RH):
・感光体表面電位;
帯電電位(未露光部電位)(Vh):放電ワイヤーに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加すると共に制御グリッドに対してトナーの帯電特性と同極性の直流電圧を印加することにより、有機感光体の表面電位が−800Vとなる状態に設定した。
露光部電位(VL);−70V
現像バイアス電位;交流バイアス電圧に直流バイアス電圧を重畳したもの、交流バイアス電圧:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波、直流バイアス電圧:Vdc=−550V
制電電位;帯電位調整用放電電極に対する印加電流値:+200μA、帯電位調整用制御グリッドに対する帯電位調整用グリッド電圧:−500V(マゼンタトナー像に係る帯電手段の帯電制御グリッドに印加される電圧の63%の大きさ)
その他の条件は、上記実施例3と同じ条件に設定した。
【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
以上の結果から明らかなように、実施例1〜実施例4に係る本発明のカラー画像形成装置によれば、トナー粒子の帯電特性の変化(現像剤履歴、環境変動によるもの)および中間転写体上に形成されるトナー像のトナー付着量の差に関わらず、高い2層ベタ部(二次色)の均一性を得ることができることを確実に防止することができ、高い画質の画像を長期間の間にわたって安定的に形成することができることが確認された。
また、一次転写トナー像がトナー付着量が少なく電位が小さいものである場合においては、ハーフトーン部にあれが発生しやすくなるが、実施例1〜実施例4に係る本発明のカラー画像形成装置によれば、ハーフトーン部にあれが発生することを確実に防止することができ、高い画質の画像を長期間の間にわたって安定的に形成することができることが確認された。
【0089】
これに対して、比較例1に係るカラー画像形成装置においては、十分な二次転写性が得られず、実用に供さない画像欠陥が生ずることが確認された。また、比較例2に係るカラー画像形成装置においては、トナー像形成条件が変更されたときに、実用に供さない画像欠陥が生ずることがあり、画質の高い画像を確実に形成することが困難であることが確認された。
また、参考例1および参考例3に係るカラー画像形成装置においては、帯電位調整用グリッド電圧が適正範囲より高く設定されたことにより、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対する除電が不十分な状態のものとなり、2層ベタ部(二次色)の均一性が低下し、参考例2および参考例4に係るカラー画像形成装置においては、帯電位調整用グリッド電圧が適正範囲より低く設定されたことにより、電位調整処理後の一次転写トナー像は、所定の画像領域に対して過剰に除電された状態のものとなり、ハーフトーン部にあれが発生することが確認され、従って、帯電位調整用グリッド電圧が適正範囲外の大きさに設定された場合には、画質の高い画像を確実に形成することが困難であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0091】
10Y、10M、10C、10K 像形成体
11Y、11M、11C、11K 帯電手段
111 ケーシング
112 放電電極
113 帯電制御グリッド
12Y、12M、12C、12K 露光手段
13Y、13M、13C、13K 現像手段
131 現像スリーブ
14Y、14M、14C、14K 一次転写手段
141Y、141M、141C、141K 一次転写ローラ
14S 二次転写手段
141S 二次転写ローラ
17 中間転写体
17a、17b、17c 支持ローラ
17d バックアップローラ
18 定着装置
181 加熱ローラ
182 加圧ローラ
20Y、20M、20C、20K 像形成体クリーニング手段
20S 中間転写体クリーニング手段
30Y、30M、30C、30K トナー像形成ユニット
40 二次転写前帯電位調整手段
41 ケーシング
42 帯電位調整用放電電極
42A 帯電位調整用放電電圧印加手段
42B 帯電位調整用グリッド電圧印加手段
43 帯電位調整用制御グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、像形成体の表面を所定の電位に帯電させる帯電手段と、像形成体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、現像バイアス電圧を印加して静電潜像をトナーによって顕像化することによりトナー像を形成する現像手段とを有する、互いに異なる色のトナー像を形成する複数のトナー像形成ユニットを備えてなり、各々の像形成体上に形成された各色トナー像を表面が像形成体の各々に対接しながら移動する中間転写体上に順次に一次転写し、これらを重ね合わせることにより一次転写トナー像を形成し、当該一次転写トナー像を転写材上に二次転写することによりカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、 中間転写体の移動方向における最下流側に位置されるトナー像形成ユニットに係る一次転写領域と、二次転写領域との間に、中間転写体上に形成された一次転写トナー像の電位を調整するための二次転写前電位調整手段が設けられており、当該二次転写前電位調整手段は、トナーと逆極性の直流電圧が印加される帯電位調整用放電電極と、トナーと同極性の直流電圧が印加される帯電位調整用制御グリッドとを備えており、
各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更されるに際して、帯電手段に印加される電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が増大されると共に帯電手段に印加される電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が減少されるよう、適正な大きさに制御された電圧が帯電位調整用制御グリッドに印加され、電位調整処理後の一次転写トナー像におけるトナー量最大付着部の電位の絶対値が100〜600Vの範囲内となる状態とされることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧の大きさは、帯電手段に印加される電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該帯電手段に印加される電圧の大きさに対して比例的に制御されることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
各々、像形成体の表面を所定の電位に帯電させる帯電手段と、像形成体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、少なくともトナーの帯電極性と同極性の直流バイアス電圧を含む現像バイアス電圧を印加して静電潜像をトナーによって顕像化することによりトナー像を形成する現像手段とを有する、互いに異なる色のトナー像を形成する複数のトナー像形成ユニットを備えてなり、各々の像形成体上に形成された各色トナー像を表面が像形成体の各々に対接しながら移動する中間転写体上に順次に一次転写し、これらを重ね合わせることにより一次転写トナー像を形成し、当該一次転写トナー像を転写材上に二次転写することによりカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
中間転写体の移動方向における最下流側に位置されるトナー像形成ユニットに係る一次転写領域と、二次転写領域との間に、中間転写体上に形成された一次転写トナー像の電位を調整するための二次転写前電位調整手段が設けられており、当該二次転写前電位調整手段は、トナーと逆極性の直流電圧が印加される帯電位調整用放電電極と、トナーと同極性の直流電圧が印加される帯電位調整用制御グリッドとを備えており、
各色トナー像に係るトナー像形成条件が変更されるに際して、現像手段に印加される直流バイアス電圧の大きさが増大されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が増大されると共に現像手段に印加される直流バイアス電圧の大きさが減少されるに従って帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧が減少されるよう、適正な大きさに制御された電圧が帯電位調整用制御グリッドに印加され、電位調整処理後の一次転写トナー像におけるトナー量最大付着部の電位の絶対値が100〜600Vの範囲内となる状態とされることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項4】
帯電位調整用制御グリッドに印加される電圧の大きさは、現像手段に印加される直流現像バイアス電圧の大きさに応じて異なる比率で、当該直流現像バイアス電圧の大きさに対して比例的に制御されることを特徴とする請求項3に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
中間転写体上の一次転写トナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段は、一次転写トナー像の電位と逆極性の転写バイアス電圧が印加される構成とされており、転写バイアス電圧が2.5〜5kVであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
二次転写前電位調整手段は、中間転写体の移動方向における二次転写領域の40〜120mm上流側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−243501(P2006−243501A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60817(P2005−60817)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】