説明

カラー画像形成装置

【課題】 所望の基準色に合致した色データを視覚によって探し出して指定する手間を省くことができるとともに、所望の基準色を正確に出力することができるカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像処理手段5の基準色データ特定部51が、画像読取手段4が生成した原稿読取画像データのうち基準色に対応する基準色読取データを特定し、注目カラーパッチ特定部52が、シート読取画像データのうち基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチを特定する。そして、画像データ変換部53が、基準色読取データが注目カラーパッチに基づいた画像データになるように原稿読取画像データを出力画像データに変換し、画像形成手段7が、出力画像データに基づいて画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色成分の色材を用いてカラー画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー複写機などのカラー画像形成装置は、記録用紙などの記録媒体に形成した複写物の画像の色が、原稿の画像の色と一致するように製造、調整されているものであるが、経年劣化や使用環境温度の変化などによって感光体などのプロセスユニットの特性が変化し、それぞれの色同士が一致しなくなることがある。このような場合、複写物の画像の色が原稿の画像の色と一致するように、専用の基準チャートを用いて色調整を行うことができるが、その色調整作業は複雑である。
【0003】
一方、たとえば名刺などを印刷するとき、原稿の画像のうち企業ロゴなどの特定箇所の基準色を、正確に出力したい場合がある。特許文献1には、色相が少しずつ変化した複数のカラーパッチから成る色見本から、所望の基準色に合致するカラーパッチを視覚によって確認しながら予め選択し、その選択したカラーパッチに対応した色をスキャナで読取って、所望の基準色を指定する色指定方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平2−170769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される色指定方法をカラー画像形成装置に適用することによって、所望の基準色を正確に出力することが可能となる。しかしながら、このような装置の場合、装置の利用者は、所望の基準色に合致した色データを色見本の中から視覚によって確認しながら探し出して指定する必要があり、基準色を指定するのに手間がかかる。
【0006】
したがって本発明の目的は、所望の基準色に合致した色データを視覚によって探し出して指定する手間を省くことができるとともに、所望の基準色を正確に出力することができるカラー画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の色成分の色材を用いてカラー画像を形成する画像形成手段を有するカラー画像形成装置であって、
各色成分の画像データを有するカラーパッチが、色相の変化が略連続するように複数配置されたカラーパターンである色見本データを予め記憶する記憶手段と、
所望の基準色に近似する色である近似色を予め指定する指示を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段から入力された指示に基づいて、近似色に対応するカラーパッチを含んで所定の範囲の色相の変化が略連続するように配置されたカラーパターンを前記画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製するカラーパッチシート出力手段と、
原稿の画像を読取って原稿読取画像データを生成し、かつ前記カラーパッチシートの画像を読取ってシート読取画像データを生成する画像読取手段と、
前記原稿読取画像データを所定の階調を有する出力画像データに変換する画像処理手段とを含み、
前記画像処理手段は、
前記原稿読取画像データのうち、基準色に対応する基準色読取データを特定する基準色データ特定部と、
前記シート読取画像データのうち、前記基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチを所定の処理によって特定する注目カラーパッチ特定部と、
前記基準色読取データが前記注目カラーパッチに基づいた画像データになるように、前記原稿読取画像データを出力画像データに変換する画像データ変換部とを有し、
前記画像形成手段は、前記画像データ変換部が変換した出力画像データに基づいて画像を形成することを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0008】
また本発明は、前記指示入力手段は、前記画像読取手段が読取る原稿の画像の中で、基準色が含まれる領域を指定する指示を入力可能に構成され、
前記画像処理手段の基準色データ特定部は、指示入力手段によって入力された前記領域に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記カラーパッチシート出力手段は、近似色に対応するカラーパッチを含むカラーパターンを、前記色見本データの中から抽出して前記画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記画像読取手段は、前記原稿読取画像データおよび前記シート読取画像データを生成するとき、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを同時に読取ることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記画像読取手段が原稿の画像およびカラーパッチシートの画像を読取るとき、原稿とカラーパッチシートとがそれぞれ載置される位置を予め設定する載置位置設定手段を備え、
前記画像読取手段は、前記載置位置設定手段によって予め設定される位置に基づいて、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取ることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記指示入力手段によって基準色が含まれる領域を指定する指示が入力されたとき、
前記画像処理手段の基準色データ特定部は、指示入力手段によって入力された前記領域内の画像のうち白色を除く画像に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カラーパッチシート出力手段は、指示入力手段から入力された指示に基づいて、所望の基準色に近似する近似色に対応するカラーパッチを含んだカラーパターンを画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製する。そして、画像読取手段は、原稿の画像を読取って原稿読取画像データを生成し、カラーパッチシートの画像を読取ってシート読取画像データを生成する。そして、画像処理手段の基準色データ特定部が、原稿読取画像データのうち基準色に対応する基準色読取データを特定し、注目カラーパッチ特定部が、シート読取画像データのうち基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチを所定の処理によって特定する。そして、画像処理手段の画像データ変換部は、基準色読取データが注目カラーパッチに基づいた画像データになるように、原稿読取画像データを出力画像データに変換する。そして、画像形成手段は、画像データ変換部が変換した出力画像データに基づいて画像を形成する。そのため、装置の利用者は、所望の基準色に合致した色データを視覚によって探し出して指定する手間がなく、近似色を指定する指示を入力するだけで、所望の基準色を正確に出力することができる。
【0014】
また本発明によれば、指示入力手段は、画像読取手段が読取る原稿の画像の中で、基準色が含まれる領域を指定する指示を入力可能に構成されている。そして、画像処理手段の基準色データ特定部は、指示入力手段によって入力された前記領域に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定する。このように、基準色データ特定部が、前記領域の中から基準色読取データを特定するので、効率よく基準色読取データを特定することができる。
【0015】
また本発明によれば、カラーパッチシート出力手段は、近似色に対応するカラーパッチを含むカラーパターンを、記憶手段によって予め記憶される色見本データの中から抽出して画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製する。このように、カラーパターンを色見本データの中から抽出するので、効率よくカラーパッチシートを作製することができる。
【0016】
また本発明によれば、画像読取手段は、原稿読取画像データおよびシート読取画像データを生成するとき、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを同時に読取る。そのため、画像読取手段によって行われる画像の読取処理の効率を向上することができる。
【0017】
また本発明によれば、画像読取手段が原稿の画像およびカラーパッチシートの画像を読取るとき、載置位置設定手段は、原稿とカラーパッチシートとがそれぞれ載置される位置を予め設定する。そして、画像読取手段は、載置位置設定手段によって予め設定される位置に基づいて、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取る。そのため、たとえば、原稿の画像とカラーパッチシートとを同時に読取る場合であっても、画像読取手段は、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取ることができる。
【0018】
また本発明によれば、指示入力手段によって基準色が含まれる領域を指定する指示が入力されたとき、画像処理手段の基準色データ特定部は、前記領域内の画像のうち白色を除く画像に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定する。このように、基準色データ特定部は、白色を除いて基準色読取データを特定するので、より効率よく基準色読取データを特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態であるカラー画像形成装置1の構成を示すブロック図である。カラー画像形成装置1は、複数の色成分の色材を用いて、記録用紙などの記録媒体にカラー画像を印刷して複写物を得るカラー複写機であって、原稿の画像のうち特定箇所の基準色を正確に出力することができる装置である。カラー画像形成装置1は、指示入力手段2と、カラーパッチシート出力手段3と、画像読取手段4と、画像処理手段5と、記憶手段6と、画像形成手段7と、載置位置設定手段8と、制御手段9とを含む。
【0020】
指示入力手段2は、所望の基準色に近似する色である近似色を予め指定する指示を入力する手段であり、たとえば、液晶表示パネルの表面を被覆するように形成されるタッチパネルなどで構成される操作パネルである。近似色とは、たとえば、名刺などの原稿の画像のうち、企業ロゴなどの特定箇所の色である基準色が赤色である場合、装置の利用者が、おおよそ赤色であるとして選択する色である。そのため、近似色は、必ずしも所望の基準色と完全に合致する必要はない。したがって、装置の利用者は、所望の基準色と完全に合致した色データを視覚によって探し出して指定する必要がない。本実施の形態では、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)、黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、赤紫(RP)から成る10色相のカラーパターンが操作パネルに表示され、その表示されたカラーパターンの中から、近似色に対応する箇所を座標指定することによって、近似色を予め指定する色指定指示を入力することができるように構成されている。
【0021】
また、近似色を予め指定する色指定指示は、次のようにして入力するようにしてもよい。つまり、後述する画像読取手段4によって予め読取られた原稿の画像を、操作パネルにプレビュー表示させ、その表示された原稿の画像のうち、所望の近似色に対応する箇所を座標指定することによって、色指定指示が入力可能となるように構成される。このように構成することで、あらゆる基準色に対応する近似色を容易に選択することができる。
【0022】
また、指示入力手段2は、後述する画像読取手段4が読取る原稿の画像の中で、基準色が含まれる領域を指定する領域指定指示を入力可能に構成されることが好ましい。本実施の形態では、操作パネルに原稿の画像がプレビュー表示され、その表示された原稿の画像のうち、基準色に対応する箇所を座標指定することによって、領域指定指示を入力することができるように構成されている。
【0023】
また、指示入力手段2には、スタートキーボタンが配置される。このスタートキーボタンは、後述する画像読取手段4による画像読取処理および画像処理手段5による画像補正処理を開始する指示が入力されるボタンであり、画像形成手段7による画像形成処理を開始する指示が入力されるボタンである。
【0024】
カラーパッチシート出力手段3は、指示入力手段2から入力された色指定指示に基づいて、近似色に対応するカラーパッチを含んで所定の範囲の色相の変化が略連続するように配置されたカラーパターンを、後述する画像形成手段7によって出力させ、カラーパッチシートを作製する。本実施の形態では、カラーパッチシート出力手段3は、近似色に対応するカラーパッチを含むカラーパターンを、後述する記憶手段6によって予め記憶される色見本データの中から抽出して画像形成手段7によって出力させ、カラーパッチシートを作製するように構成される。このように、カラーパッチシート出力手段3が、カラーパターンを色見本データの中から抽出することによって、効率よくカラーパッチシートを作製することができる。ここで、カラーパッチは、YMCK(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒)の各色成分の画像データを有し、色見本データは、色相の変化が略連続するように複数のカラーパッチが配置されたカラーパターンである。
【0025】
画像読取手段4は、プラテンガラス41上に載置された用紙の画像を読取る。画像読取手段4が画像を読取るときの動作は次のとおりである。画像読取手段4が有する走査ユニットの露光ランプが、プラテンガラス41上に載置された用紙の表面を照射し、反射ミラーが用紙の反射光を結像レンズへと導く。そして、結像レンズが用紙の反射光をCCD(Charge Coupled Device)に集光させて、用紙の画像をCCD上に結像させる。画像読取手段4は、前述のようにして画像を読取るが、原稿の画像を読取って原稿読取画像データを生成し、カラーパッチシートの画像を読取ってシート読取画像データを生成する。原稿読取画像データおよびシート読取画像データは、読取られた画像データの画素ごとに各色8ビットの階調データに変換されたデータであり、RGB(R:赤、G:緑、B:青)のカラーデータである。
【0026】
また、画像読取手段4は、原稿およびカラーパッチシートがプラテンガラス41上に同時に載置された場合には、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを同時に読取る。これによって、画像読取手段4によって行われる画像読取処理の効率を向上することができる。また、原稿のサイズがプラテンガラス41のサイズに対して大きい場合には、画像読取手段4は、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを別々に読取ることもできるように構成されている。
【0027】
画像処理手段5は、基準色データ特定部51と、注目カラーパッチ特定部52と、画像データ変換部53とを含む。基準色データ特定部51は、指示入力手段2によって入力された領域指定指示に基づいて、画像読取手段4が生成した原稿読取画像データのうち、基準色に対応するRGBのカラーデータである基準色読取データを特定する。また、基準色データ特定部51は、領域指定指示によって指定された領域内の画像に白色がある場合、白色を除く画像に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定する。
【0028】
注目カラーパッチ特定部52は、画像読取手段4が生成したRGBのカラーデータであるシート読取画像データのうち、基準色読取データに最も近似するRGB値を有するカラーパッチである注目カラーパッチを所定の処理によって特定する。そして、注目カラーパッチ特定部52は、特定した注目カラーパッチのRGBデータに対応するYMCKデータを、色見本データから抽出する。注目カラーパッチを特定する処理手順については、後述する。画像データ変換部53は、基準色読取データが注目カラーパッチに基づいた画像データになるように、RGBのカラーデータである原稿読取画像データを、YMCKの階調データである出力画像データに変換する。
【0029】
記憶手段6は、色見本データ記憶部61と、原稿読取画像データ記憶部62と、シート読取画像データ記憶部63と、基準色読取データ記憶部64と、注目カラーパッチデータ記憶部65とを有する。色見本データ記憶部61は、YMCKの各色成分の画像データを有するカラーパッチが、色相の変化が略連続するように複数配置されたカラーパターンである色見本データを予め記憶する。原稿読取画像データ記憶部62は、画像読取手段4が生成した原稿読取画像データを記憶する。シート読取画像データ記憶部63は、画像読取手段4が生成したシート読取画像データを記憶する。基準色読取データ記憶部64は、基準色データ特定部51が特定した基準色読取データを記憶する。注目カラーパッチデータ記憶部65は、注目カラーパッチ特定部52が特定した注目カラーパッチのRGBデータに対応するYMCKデータを記憶する。
【0030】
画像形成手段7は、画像データ変換部53が生成した出力画像データに基づいて画像を形成し、複写物を得る手段である。画像形成手段7は、出力画像データに含まれるYMCKの各色の画像情報に対応するために、4つ設けられる。4つの画像形成手段7は、用いるトナーの色が異なっている点以外は同一であり、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーが用いられる。画像形成手段7は、この分野で常用される方式を採用することができ、感光体ドラムと、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含んで構成される。画像形成手段7によって複写物を得るとき、まず、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、現像手段が静電潜像を現像剤であるトナーで顕像化する。次に転写手段が、感光体ドラム上で現像されて形成されたトナー像を転写ベルトに転写し、転写ベルトから記録用紙などの記録媒体に転写する。そして定着手段が、熱と圧力を加えて、記録用紙に転写されたトナー像を記録用紙に定着させ、複写物を得る。
【0031】
載置位置設定手段8は、画像読取手段4が原稿の画像およびカラーパッチシートの画像を読取るとき、原稿とカラーパッチシートとがそれぞれプラテンガラス41上に載置される位置を予め設定する。載置位置設定手段8は、原稿がプラテンガラス41上に載置される領域を原稿載置位置設定領域41aとして設定し、カラーパッチシートが載置される領域をシート載置位置設定領域41bとして設定する。載置位置設定手段8が予め設定した原稿載置位置設定領域41aおよびシート載置位置設定領域41bに基づいて、前述した画像読取手段4は、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取る。そのため、たとえば、原稿とカラーパッチシートとをプラテンガラス41に同時に載置して、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを同時に読取る場合であっても、画像読取手段4は、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取ることができる。
【0032】
制御手段9は、指示入力手段2、カラーパッチシート出力手段3、画像読取手段4、画像処理手段5、記憶手段6、画像形成手段7および載置位置設定手段8などの各手段を統括的に制御し、各手段における各種処理を実行させる。
【0033】
図2は、カラー画像形成装置1において注目カラーパッチが特定されるまでの流れを示すフローチャートである。また、図3は、カラー画像形成装置1において注目カラーパッチが特定されるまでの流れを説明する図である。カラー画像形成装置1においては、装置の利用者が、原稿11の画像のうち、特定箇所である基準色部11aの基準色に近似する近似色を指定する指示を入力することによって、注目カラーパッチを特定する動作が開始される。まず、ステップs1では、制御手段9は、指示入力手段2に近似色を予め指定する指示である色指定指示が入力されたか否かを判断する。制御手段9が色指定指示が入力されたことを判断するとステップs2に進み、色指定指示が入力されていないと判断するとステップs1を繰返す。ここで、カラー画像形成装置1においては、指示入力手段2から色指定指示が入力された時点で、注目カラーパッチを特定するモードとなる。
【0034】
ステップs2では、制御手段9はカラーパッチシート出力手段3を制御して、指示入力手段2から入力された色指定指示に基づいて、色見本データの中から近似色に近い彩度、明度を有する複数のカラーパッチ12aが配置されたカラーパッチシート12を出力させる。次にステップs3では、制御手段9は載置位置設定手段8を制御して、原稿11がプラテンガラス41上に載置される領域を原稿載置位置設定領域41aとして設定させ、カラーパッチシート12が載置される領域をシート載置位置設定領域41bとして設定させる。このとき、装置の利用者は、原稿載置位置設定領域41aに原稿11を載置し、シート載置位置設定領域41bにカラーパッチシート12を載置する。
【0035】
次にステップs4では、制御手段9は指示入力手段2が有するスタートキーボタンが押圧されたか否かを判断する。制御手段9がスタートキーボタンが押圧されたことを判断するとステップs5に進み、スタートキーボタンが押圧されていないと判断するとステップs4を繰返す。ステップs5では、制御手段9は画像読取手段4を制御して、プラテンガラス41上に載置された原稿11の画像とカラーパッチシート12の画像とを、それぞれ区別して同時に読取る。このとき、画像読取手段4は、原稿11の画像を読取って原稿読取画像データを生成し、カラーパッチシート12の画像を読取ってシート読取画像データを生成する。このように画像読取手段4によって生成された原稿読取画像データは記憶手段6の原稿読取画像データ記憶部62に記憶され、シート読取画像データはシート読取画像データ記憶部63に記憶される。その後、指示入力手段2の操作パネルに原稿11の画像がプレビュー表示され、装置の利用者は、原稿11の基準色部11aに関する領域となる領域指定部11bに対応する領域を座標指定する領域指定指示を入力する。
【0036】
次にステップs6では、制御手段9は領域指定指示が入力されたか否かを判断する。制御手段9が領域指定指示が入力されたことを判断するとステップs7に進み、領域指定指示が入力されていないと判断するとステップs6を繰返す。ステップs7では、制御手段9は画像処理手段5を制御して、基準色データ特定部51に基準色読取データを特定させる。基準色データ特定部51は、領域指定指示に基づいて、ステップs5において生成されて原稿読取画像データ記憶部62に記憶された原稿読取画像データのうち、基準色に対応する基準色読取データを特定する。このように基準色データ特定部51によって特定された基準色読取データは、記憶手段6の基準色読取データ記憶部64に記憶される。
【0037】
次にステップs8では、制御手段9は画像処理手段5を制御して、注目カラーパッチ特定部52に注目カラーパッチを特定させる。注目カラーパッチ特定部52は、ステップs5において生成されてシート読取画像データ記憶部63に記憶されたシート読取画像データのうち、基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチを所定の処理によって特定する。図4は、カラー画像形成装置1において注目カラーパッチ特定部52がシート読取画像データから注目カラーパッチを特定する流れを説明する図である。シート読取画像データ記憶部63に記憶されるシート読取画像データは、カラーパッチシート12が有する複数のカラーパッチ12aにそれぞれ対応したRGBデータの集まりであり、各カラーパッチ12aのRGBデータはRGB値(Rxy,Gxy,Bxy)を有する。また、基準色読取データ記憶部64に記憶される基準色読取データも、シート読取画像データと同様にRGBデータであり、RGB値(Rd,Gd,Bd)を有する。
【0038】
注目カラーパッチ特定部52は、基準色読取データのRGB値(Rd,Gd,Bd)と、シート読取画像データのRGB値(Rxy,Gxy,Bxy)との差分の自乗の和の平方根(ΔC)を、下記式(1)に基づいて算出する。
【0039】
【数1】

【0040】
そして、注目カラーパッチ特定部52は、ΔCが最小となるRGB値を有するカラーパッチを基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチとして特定する。このとき、ΔCの上限値を予め設定してもよい。これは、基準色読取データに応じた色と、注目カラーパッチの画像データに応じた色とが大きく異なるのを抑制して、原稿11の基準色と、後述する複写物の色とが大きく異なるのを防止するためである。たとえば、装置の利用者が近似色に関する色指定指示を誤って入力した場合、基準色読取データに応じた色と、注目カラーパッチの画像データに応じた色とが大きく異なる可能性があるが、ΔCの上限値を設定することによって、原稿11の基準色と大きく異なった色の複写物が出力されてしまうのを防止することができる。
【0041】
また、ΔCが最小となるRGB値を有するカラーパッチが複数存在した場合、注目カラーパッチ特定部52は、予め定める手順に基づいて、1つのカラーパッチを注目カラーパッチとして特定する。ここで、予め定める手順とは、たとえば、RGB値のR値、G値、B値のうち注目する色値を予め定めておく。そして、注目カラーパッチ特定部52は、その注目した色値の差分の自乗が最小となるようなカラーパッチを特定する。そして、注目カラーパッチ特定部52は、特定した注目カラーパッチのRGBデータに対応するYMCKデータを、色見本データ記憶部61に記憶される色見本データから抽出する。このようにして抽出された注目カラーパッチに対応したYMCKデータは、注目カラーパッチデータ記憶部65に記憶される。
【0042】
以上のようにして、原稿11の画像のうち、特定箇所である基準色部11aの基準色に応じた、カラーデータを有する注目カラーパッチを特定する動作が完了する。また、ステップs1〜s8を繰返すことによって、複数の基準色に応じた注目カラーパッチを特定することができる。
【0043】
図5は、カラー画像形成装置1において画像が形成されるまでの流れを示すフローチャートである。また、図6は、カラー画像形成装置1において画像が形成されるまでの流れを説明する図である。まず、ステップa1では、制御手段9はスタートキーボタンが押圧されたか否かを判断する。制御手段9がスタートキーボタンが押圧されたことを判断するとステップa2に進み、スタートキーボタンが押圧されていないと判断するとステップa1を繰返す。次にステップa2では、制御手段9は画像読取手段4を制御して、プラテンガラス41上に載置された原稿11の画像を読取る。次にステップa3では、制御手段9は読取った画像の各画素について、基準色読取データ記憶部64に記憶されている基準色読取データと一致するデータがあるか否かを判断する。制御手段9が一致するデータがあると判断した場合にはステップa4に進み、一致するデータがないと判断した場合にはステップa5に進む。
【0044】
ステップa4では、制御手段9は画像処理手段5を制御して、画像データ変換部53に、基準色読取データが注目カラーパッチデータ記憶部65に記憶される注目カラーパッチに応じたYMCKカラーデータになるように、RGBのカラーデータである原稿読取画像データをYMCKのカラーデータである出力画像データに変換させる。また、ステップa5では、制御手段9は画像処理手段5を制御して、画像データ変換部53に、一般的な基本変換テーブルに基づいて、RGBのカラーデータである原稿読取画像データをYMCKのカラーデータである出力画像データに変換させる。
【0045】
次にステップa6では、制御手段9は画像データ変換部53による出力画像データの生成が完了したか否かを判断する。制御手段9が出力画像データの生成が完了したと判断した場合にはステップa7に進み、完了していないと判断した場合にはステップa3に戻る。ステップa7では、制御手段9は画像形成手段7を制御して、画像データ変換部53が生成した出力画像データに基づいて画像を形成させ、複写物13を得る。
【0046】
以上のように、カラー画像形成装置1においては、所望の基準色に対応する基準色読取データが注目カラーパッチに応じたカラーデータになるように画像が形成されるので、所望の基準色が正確な色で出力された複写物13を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の一形態であるカラー画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】カラー画像形成装置1において注目カラーパッチが特定されるまでの流れを示すフローチャートである。
【図3】カラー画像形成装置1において注目カラーパッチが特定されるまでの流れを説明する図である。
【図4】カラー画像形成装置1において注目カラーパッチ特定部52がシート読取画像データから注目カラーパッチを特定する流れを説明する図である。
【図5】カラー画像形成装置1において画像が形成されるまでの流れを示すフローチャートである。
【図6】カラー画像形成装置1において画像が形成されるまでの流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カラー画像形成装置
2 指示入力手段
3 カラーパッチシート出力手段
4 画像読取手段
5 画像処理手段
6 記憶手段
7 画像形成手段
8 載置位置設定手段
9 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色成分の色材を用いてカラー画像を形成する画像形成手段を有するカラー画像形成装置であって、
各色成分の画像データを有するカラーパッチが、色相の変化が略連続するように複数配置されたカラーパターンである色見本データを予め記憶する記憶手段と、
所望の基準色に近似する色である近似色を予め指定する指示を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段から入力された指示に基づいて、近似色に対応するカラーパッチを含んで所定の範囲の色相の変化が略連続するように配置されたカラーパターンを前記画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製するカラーパッチシート出力手段と、
原稿の画像を読取って原稿読取画像データを生成し、かつ前記カラーパッチシートの画像を読取ってシート読取画像データを生成する画像読取手段と、
前記原稿読取画像データを所定の階調を有する出力画像データに変換する画像処理手段とを含み、
前記画像処理手段は、
前記原稿読取画像データのうち、基準色に対応する基準色読取データを特定する基準色データ特定部と、
前記シート読取画像データのうち、前記基準色読取データに最も近似する画像データを有するカラーパッチである注目カラーパッチを所定の処理によって特定する注目カラーパッチ特定部と、
前記基準色読取データが前記注目カラーパッチに基づいた画像データになるように、前記原稿読取画像データを出力画像データに変換する画像データ変換部とを有し、
前記画像形成手段は、前記画像データ変換部が変換した出力画像データに基づいて画像を形成することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記指示入力手段は、前記画像読取手段が読取る原稿の画像の中で、基準色が含まれる領域を指定する指示を入力可能に構成され、
前記画像処理手段の基準色データ特定部は、指示入力手段によって入力された前記領域に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記カラーパッチシート出力手段は、近似色に対応するカラーパッチを含むカラーパターンを、前記色見本データの中から抽出して前記画像形成手段によって出力させ、カラーパッチシートを作製することを特徴とする請求項1または2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読取手段は、前記原稿読取画像データおよび前記シート読取画像データを生成するとき、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを同時に読取ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記画像読取手段が原稿の画像およびカラーパッチシートの画像を読取るとき、原稿とカラーパッチシートとがそれぞれ載置される位置を予め設定する載置位置設定手段を備え、
前記画像読取手段は、前記載置位置設定手段によって予め設定される位置に基づいて、原稿の画像とカラーパッチシートの画像とを、それぞれ区別して読取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記指示入力手段によって基準色が含まれる領域を指定する指示が入力されたとき、
前記画像処理手段の基準色データ特定部は、指示入力手段によって入力された前記領域内の画像のうち白色を除く画像に基づいて、基準色に対応する基準色読取データを特定することを特徴とする請求項2に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−169309(P2009−169309A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9881(P2008−9881)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】