説明

キャパシタおよびその製造方法、回路基板、半導体装置

【課題】ビルドアップ基板中に内蔵できるキャパシタを、エアロゾルデポジション法を使って形成する。
【解決手段】金属よりなる第1の基体上に第1のセラミック膜を形成する工程と、金属よりなる第2の基体上に第2のセラミック膜を形成する工程と、前記第1および第2のセラミック膜の一方の表面に銅よりなる第1の電極パタ―ンと第1のビアプラグパタ―ンとを、相互に離間して形成する工程と、前記第1および第2の基体を互いに押圧することにより、前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とを、前記第1の基体と前記第2の基体とが押圧された状態で、前記第1の基体と前記第2の基体との間にパルス電圧を印加することにより、前記第1および第2のセラミック膜を、前記第1の電極パターンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して相互に接合する工程と、前記第2の基体を除去する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタおよびその製造方法、回路基板およびその製造方法、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化および性能の向上に対応して、実装技術に関しても小型化および性能の向上が求められている。
【0003】
現在パーソナルコンピュータやサーバなどの電子装置あるいは情報処理装置に使用されている回路基板では、CPUなどの論理素子の周りにデカップリングキャパシタを配置し、
電源電圧に変動が生じた場合においても安定な電流供給を可能とし、またノイズの除去などを行っている。最近のCPUの動作速度の向上および電圧動作の低下に伴い, この機能は益々重要になっている。
【0004】
特にCPUに供給される電圧および電流の変動を高速で補償するためには、 デカップリングキャパシタを含む電源供給系のインピーダンスを抑制することが有効である。このため、大容量で、かつインダクタンスの低いキャパシタ、および回路基板上におけるデカップリングキャパシタへの電源配線の配線長、従ってそのインダクタンスの低減が求められている。
【0005】
回路基板上においてデカップリングキャパシタへの電源配線のインダクタンスを低減するには、デカップリングキャパシタをCPUの直下に配置するのがもっとも効果的であり、かつ回路基板内にデカップリングキャパシタを内蔵させるのが効果的であると考えられる。またこのような構成により、半導体装置および回路基板の製造費用の低減も期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−524259号公報
【特許文献2】特開平5−347227号公報
【特許文献3】特開2007−318089号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Takeuchi, T., etal., J. Mater. Res. Vol.18, No.8, Aug 2003, pp1809-1815
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来デカップリングキャパシタを回路基板に内蔵する方法として、セラミックスのグリーンシート上に電極パターンを印刷し、このようなグリーンシートを重ねて高温で焼成することによりキャパシタ部品を作製し、作製された回路基板に埋め込む方法が提案されている。またビルドアップ回路基板を形成する際、一枚のビルドアップ層の形成毎にキャパシタ誘電体膜を形成し、全体として多数のキャパシタ誘電体膜を積層する方法も提案されている。
【0009】
さらに最近では、シリコン酸化膜を形成されたシリコン基板上に白金よりなる下部電極を形成し、その上に高誘電体や強誘電体のセラミック誘電体膜をスパッタ法で形成し、その上に白金よりなる上部電極を形成し、前記下部電極および上部電極に、基板上方へと延在する接続電極を設けた構成のキャパシタが提案されている。
【0010】
しかし完成したキャパシタ部品を内蔵する構成の回路基板では、キャパシタ部品は一般に、有機バインダを多量に含むグリーンシート上に電極パターンを印刷し、これらのグリーンシートを積層して焼成することにより形成されているが、このようなグリーンシートは焼成時に大きく収縮し、微細な電極パターンを形成することが困難である。さらにこのようなキャパシタ部品を回路基板上に実装する際には、高抵抗の半田接合を使用することが避けられず、回路基板全体で電源供給系のインピーダンスが上昇してしまう。
【0011】
またグリーンシート法で形成されるキャパシタ部品では、グリーンシートからセラミックのキャパシタ誘電体膜を形成する焼成工程を、酸化雰囲気中において高温で行う必要があり、このため従来のキャパシタ部品では、キャパシタ電極やビアプラグとして、ニッケルなどの耐熱金属を使う必要があった。しかしこのような耐熱金属は、LSIの配線などで使われている銅に比べると比抵抗が高く、インピーダンスの増大を招く。
【0012】
またキャパシタ電極に白金を使う場合にも、白金の比抵抗が大きいため、かかるキャパシタ素子では、インピーダンスの増加を招いてしまう。さらにスパッタ法により形成されたセラミック誘電体膜は非晶質状態で形成され、結晶化のために熱処理を行うとクラックが発生してリーク電流が流れるなどの問題点を有している。
【0013】
インピーダンスを低減するためには、キャパシタ部品内部の電極パタ―ンやビアプラグを、比抵抗の低い銅により形成するのが望まれる。しかし銅の融点は1084℃であり、これに対し、従来グリーンシートを焼成するには1500℃程度の温度が必要であったため、セラミック誘電体膜を積層した構成のキャパシタ部品中に銅の電極パタ―ンやビアプラグを設けることは、従来不可能であった。
【0014】
一方、キャパシタ誘電体膜をビルドアップ基板中に一枚ずつ積層した構成では、キャパシタ全体の厚さが積層ビルドアップ層の全体の厚さに等しくなり、長いビア接続が必要で、やはりインピーダンスが上昇してしまう。またこのような構成では回路基板の絶縁層数が増えるため工数が増え、製造費用が増大するのみならず、回路基板全体の厚さが厚くなるため、信号配線のインピーダンスも増大してしまう問題が生じる。さらにこのようにビルドアップ層毎に形成するキャパシタ誘電体膜は、ビルドアップ層が損傷しないように、スパッタなど低温プロセスにより形成する必要があるが、低温で形成したキャパシタ誘電体膜は、先にも述べたように一般に非晶質になっており、本来なら1000以上の大きな比誘電率を実現できる高誘電体材料や強誘電体材料を使っても、40程度の比誘電率しか得られず、満足なキャパシタ部品を実現することはできなかった。また, ビルドアップ基板などには, 樹脂と高誘電率セラミックスとを混合した複合材料を用いることもあるが, この場合も樹脂(通常, エポキシを使用)が有する低誘電率の影響で複合材料の誘電率も50程度しか得られなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の観点によるキャパシタの製造方法は、金属よりなる第1の基体上に第1のセラミック膜を形成する工程と、金属よりなる第2の基体上に第2のセラミック膜を形成する工程と、前記第1および第2のセラミック膜の一方の表面に銅よりなる第1の電極パタ―ンと第1のビアプラグパタ―ンとを、相互に離間して形成する工程と、前記第1および第2の基体を、前記第1の電極パタ―ンが前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とに挟持されるように配置し、前記第1および第2の基体を互いに押圧することにより、前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とを、前記第1の電極パタ―ンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して互いに押圧し、前記第1の基体と前記第2の基体とが押圧された状態で、前記第1の基体と前記第2の基体との間にパルス電圧を印加することにより、前記第1および第2のセラミック膜を、前記第1の電極パターンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して相互に接合する工程と、前記第2の基体を除去する工程と、を含む。
【0016】
第2の観点によるキャパシタは、金属よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグパタ―ンは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第3のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグパタ―ンは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第4のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている。
【0017】
第3の観点による回路基板は、複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した積層回路基板本体と、前記積層回路基板本体中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、を含み、前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている。
【0018】
第4の観点による半導体装置は、複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した回路基板と、複数のバンプ電極を有し、前記積層回路基板上に前記複数のバンプ電極を、それぞれ対応する電極パッドに接合されてフリップチップ実装された半導体チップと、前記回路基板中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、を含み、前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0019】
開示のキャパシタ素子では、高い比誘電率の誘電体膜を多数積層した構成を有するにもかかわらず、電極パターンやビアプラグパタ―ンなどの内部導体に、比抵抗の低い銅を使うことができ、その結果、キャパシタ素子のインピーダンスを低減することができる。またキャパシタ素子の全体の高さを、ビルドアップ層一層ないし数層分程度の厚さに形成でき、このためキャパシタ素子を回路基板の内部に組み込むことが可能である。開示のキャパシタ素子を内部に組み込んだ回路基板は、全体の厚さを減少させることができ、かかる回路基板上に半導体チップを実装して半導体装置を構成した場合、半導体装置の電源系インピーダンスのみならず、信号配線系のインピーダンスをも、効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態によるキャパシタ素子の構成を示す断面図である。
【図2A】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その1)である。
【図2B】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その2)である。
【図2C】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その3)である。
【図2D】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その4)である。
【図2E】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その5)である。
【図2F】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その6)である。
【図2G】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その7)である。
【図2H】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その8)である。
【図2I】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その9)である。
【図2J】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その10)である。
【図2K】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その11)である。
【図2L】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その12)である。
【図2M】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その13)である。
【図2N】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その14)である。
【図2O】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その15)である。
【図2P】図1のキャパシタ素子の製造工程を示す図(その16)である。
【図3A】第1の実施形態の一変形例を示す断面図である。
【図3B】第1の実施形態の別の変形例を示す断面図である。
【図4A】エアロゾルデポジション装置の概略的構成を示す図である。
【図4B】図4Aのエアロゾルデポジション装置を使った成膜の様子を示す図である。
【図4C】第1の実施形態において、図4Aのエアロゾルデポジション装置を使って得られた誘電体膜の断面構造を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図5A】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その1)である。
【図5B】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その2)である。
【図5C】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その3)である。
【図5D】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その4)である。
【図5E】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その5)である。
【図5F】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その6)である。
【図5G】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その7)である。
【図5H】第2の実施形態によるキャパシタ素子の製造工程を示す図(その8)である。
【図6】第3の実施形態による回路基板の構成を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態による半導体装置の構成を示す断面図である。
【図8A】図6の回路基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図8B】図6の回路基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図9】図6の回路基板の一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態によるキャパシタ素子10の構成を示す断面図である。
【0022】
図1を参照するに前記キャパシタ素子10は、例えば銅よりなり厚さが1μm〜50μm、好ましくは、ビルドアップ回路基板で使われる一層のビルドアップ層の厚さよりも薄い、例えば16μmの厚さの基体11を含み、前記基体11上には、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)よりなり、厚さが0.3μm以上で5μm以下、例えば1μmの誘電体膜12,14,16,18,20が、後で詳細に説明するようにエアロゾルデポジション法により順次積層されている。ただし前記誘電体膜12,14,16,18,20の各々は銅の融点よりも低い温度で熱処理を施されており、かかる熱処理に伴う焼成の結果、いずれの誘電体膜も、平均粒径が5nm以上、500nm以下のグラニュラー構造を有している。
【0023】
前記誘電体膜12と14の間には銅層13が、誘電体膜14と16の間には銅層15が、誘電体膜16と18の間には銅層17が、誘電体膜18と20の間には銅層19が、また誘電体膜20上には最上層の銅層21が、スパッタ法により、200nm〜500nmの膜厚に形成されている。ただし前記銅層13,15,17,19,21の形成はスパッタ法に限定されるものではなく、例えば電解メッキ法や無電解メッキ法により形成することも可能である。前記銅層13,15,17,19,21をスパッタ法により形成する場合には、その下の誘電体膜との間に、例えば銅層13と誘電体膜12との間に、密着性の向上のためチタン膜やクロム膜を、数十ナノメートルの膜厚で形成してもよい。ただし近年の進歩したスパッタ技術を使う場合には、このような密着膜は省略可能であり、抵抗低減のために省略するのが好ましい。
【0024】
各々の銅層、例えば銅層13は電極パターン13Aおよび13B、およびビアプラグパタ―ン13Cにパターニングされており、前記銅層13を覆う誘電体膜14には、前記電極パターン13Aおよび13B、および前記ビアプラグパタ―ン13Cを露出する開口部14a,14b,14cがそれぞれ形成され、前記開口部14a,14b,14cは銅ビアプラグパタ―ン14A,14Bおよび14Cにより、それぞれ充填されている。前記銅ビアプラグパタ―ン14A,14B,14Cは、例えば銅の電解メッキにより形成することができるが、あるいは金、白金、タングステン、モリブデン、ニッケル、クロム、チタン、パラジウム、鉄などにより形成することも可能である。
【0025】
前記銅層15は電極パターン15A,15B,15C、およびビアプラグパタ―ン15D,15Eにパターニングされており、前記銅層15を覆う誘電体膜16には、前記ビアプラグパターン15Dおよび15Eにそれぞれ対応して銅ビアプラグ16Aおよび16Bが、また前記電極パターン15Bに対応してビアプラグパタ―ン16Cが形成されている。
【0026】
さらに銅層17は電極パターン17Aおよび17B、およびビアパタ―ン17Cにパターニングされており、前記銅層17を覆う誘電体膜18には、前記電極パターン17Aおよび17B、および前記ビアパタ―ン17Cにそれぞれ対応して銅プラグ18A,18Bおよび18Cが形成されている。
【0027】
また前記銅層19は電極パターン19A,19B,19C、およびビアプラグパタ―ン19D,19Eにパターニングされており、前記銅層19を覆う誘電体膜20には、前記ビアプラグパターン19Dおよび19Eにそれぞれ対応して銅プラグ20Aおよび20Bが、また前記電極パターン19Bに対応してビアプラグパタ―ン20Cが形成されている。
【0028】
さらに前記銅層21は、前記ビアプラグパタ―ン20A〜20Cにそれぞれ対応して電極パターン21A,21B,21Cにパターニングされているが、これらの電極パターン21A、21B,21Cはキャパシタ上部において接続用の配線パタ―ンをも兼ねている。
【0029】
また前記誘電体膜12には、前記電極パターン13Aおよび13Bに対応して銅よりなるビアプラグパタ―ン12A,12Bが形成されている。
【0030】
図1のキャパシタ素子10では、電極パターン13Aおよび17Aがビアプラグパタ―ン12A,14A,15D,16A,18A,19D,20Aを介して前記基体11および電極パターン21Aに電気的に接続され、電極パターン15C,19Cがビアプラグパタ―ン13C,14C,16C,17C,18C,20Cを介して電極パターン21Bに電気的に接続されている。また電極パターン13Bおよび15Bがビアプラグパタ―ン12B,14B,15E,18B,20Bを介して前記基体11および電極パターン21Bに電気的に接続されている。
【0031】
ここで前記電極パターン13Aおよび13Cは前記電極パタ―ン15Cと誘電体膜14を介して対向し、間にキャパシタを形成する。同様に電極パターン15Cは電極パターン17Aおよび17Bと誘電体膜16を介して対向し、間にキャパシタを形成する。さらに電極パターン17Aおよび17Bは電極パターン19Cと誘電体膜18を介して対向し、間にキャパシタを形成する。
【0032】
そこで、例えば前記基体11あるいは電極パターン21Aおよび21Bに接地電圧を供給し、電極パターン21Cに電源電圧を供給すると、図1のキャパシタ素子10では、上記多数のキャパシタが電源電圧と接地電圧の間に並列接続され、その結果、図1のキャパシタ素子10は効果的なデカップリングキャパシタとして動作する。またその際、前記誘電体膜12〜20の各々の膜厚は0.3μm以上、5μm以下と薄く、例えば各々の膜厚を1μmとした場合、5層の誘電体膜12〜20を積層しても、得られる積層体全体の膜厚は5μm程度にしかならず、ビアプラグパタ―ン12A,14A,15D,16A,18A,19D,20Aよりなる電流供給路およびビアプラグパタ―ン13C,14C,16C,17C,18C,20Cよりなる電流供給路の抵抗およびインダクタンスを低減することができる。
【0033】
このように図1のキャパシタ素子10は、前記基体16まで含めても、全体の厚さをせいぜい20μm程度、あるいはそれ以下に形成することができるため、半導体チップが実装される回路基板を構成する単一の、あるいはせいぜい数層のビルドアップ層中に埋め込むことが可能となる。
【0034】
図1のキャパシタ素子10ではビアプラグパタ―ン12A,14A,15D,16A,18A,19D,20Aよりなる電流路およびビアプラグパタ―ン12B,14B,15E,18B,20Bよりなる電流路が基体11に接続されているため、キャパシタ素子10を、後の実施形態で説明するように、ビルドアップ基板などの回路基板中に埋め込んだ場合、接地電圧あるいは電源電圧の一方を、回路基板の裏側から、最短距離で供給することができ、回路基板中における寄生インダクタンスの発生を効果的に抑制することができる。
【0035】
なお本実施形態において前記誘電体膜12,14,16,18,20はBaTiO3に限定されるものではなく、PbZrTiO3,(Ba,Sr)TiO3,Ba(Zr,Ti)O3,KNbO 3,K0.5Na0.5NbO3,KNbO3・NaNbO3・LiNbO3, (Bi1/21/2)TiO3,(Bi1/2Na1/2)TiO3,BiFeO3,(Sr,Ca)2NaNb515,(Sr,Ba)NbO6,Ba2(Na,K)Nb515,Bi4Ti312,SrBiTiTaOO3,SiBi2Ta29,SrBi2Nb29,(Sr,Ca)2Bi4Ti518,CaBi4Ti415,LiNbO3,LiTaO3,PbNb26などをベース組成とした材料、他の高誘電体酸化物あるいは強誘電体酸化物を使うことが可能である。
【0036】
次に図1のキャパシタ素子10の製造方法を、図2A〜図2Pを参照しながら説明する。
【0037】
図2Aを参照するに、厚さが例えば16μmの銅よりなる基体11上にはBaTiO3よりなる誘電体膜12が、図4A〜図4Cに示すエアロゾルデポジション装置160を使い、例えば1.5μmの膜厚に形成される。
【0038】
図4Aを参照するに前記エアロゾルデポジション装置160は排気経路133を介してメカニカルブースタポンプ162および真空ポンプ162Aにより真空排気される処理容器161を備えており、前記処理容器161中には、ステージ161A上に被処理基板Wが、X−Y−Z−θ駆動機構132を使うことによりX軸,Y軸,Z軸およびθ軸方向に変位自在に保持される。ここでZ軸はステージ161Aの面に垂直な方向を、X軸およびY軸は前記Z軸に対して直交し、相互にも直交する軸を表す。またθ軸はZ軸回りの回転を表す。
【0039】
前記処理容器161中には、前記ステージ161A上の被処理基板Wに対向してノズル161Bが設けられており、前記ノズル161BはBaTiO3の原料粉末のエアロゾルを乾燥キャリアガスとともに供給され、これを前記被処理基板Wの表面に、ジェット161cとして吹き付ける。ここでジェット161cは溶媒などの液体やバインダなどの有機物は含まない。
【0040】
このようにして前記ノズル161Bから被処理基板Wに吹き付けられたエアロゾルを構成するBaTiO3粒子は、図4Bに概略的に示すように50nm以上300nm以下の粒径の大粒径粒子と、1nm以上20nm以下の粒径のナノ粒子の混合物となっており、ノズル161B中においてより大きな原料粒子が相互に衝突して破砕されることにより形成される。このようにしてノズル161B中において破砕により形成されたBaTiO3粒子は、破砕の結果生じた非常に活性な表面を特徴としており、前記被処理基板Wの表面で効果的に衝撃固化し、前記基体11上に、90%以上の高い相対密度の緻密なBaTiO3膜を、前記誘電体膜12として形成する。このようにして形成された誘電体膜12は、50nm以上300nm以下の粒径の大粒径粒子12Lと、1nm以上20nm以下の粒径のナノ粒子12Nとより構成されている。
【0041】
一例では前記ノズル161Bとして、内径が10mmで円形断面の搬送用配管部161Vを、ノズル開口部161bにおいて徐々に長さが10mmで幅が0.5mmのスリット形状に変化させる構成の部材を使い、最終的に前記ノズル開口部161bの排出面に形成された幅が0.5mmで長さが45mmのスリットからエアロゾルのジェット161cを噴出させた。例えばこのような構成により、原料粉末としてより大きな粒子を含む、例えば平均粒径が100nm〜800nmの市販のBaTiO3原料粉末から、上記の50nm以上300nm以下の粒径の大粒径粒子と、1nm以上20nm以下の粒径の小粒径ナノ粒子の活性な混合物よりなるエアロゾルのジェットを、前記破砕の結果として得ることができる。
【0042】
再び図4Aを参照するに、前記エアロゾルデポジション装置160は、前記ノズル161Bに前記エアロゾルを供給するため、BaTiO3粉末原料163aを保持した原料容器163を有し、前記原料容器163に不活性ガスや高純度酸素などのキャリアガスを、高圧ガス源164から、ライン165および質量流量コントローラ164Aを介して供給することにより、前記エアロゾルを発生させる。また図4Aの前記原料容器163は、エアロゾルの発生を促進するため振動台163A上に保持されており、エアロゾル発生に先立って、前記排気経路133に連通したバルブ163Bを開くことにより、原料中の水分が前記ポンプ162および162Aにより除去される。
【0043】
より具体的には、本実施形態では前記原料粉末として平均粒径が100nm〜800nmの市販のBaTiO3原料粉末を、原料163aとして前記原料容器163中に装填し、さらに前記振動台163Aを駆動して前記原料容器163の全体に超音波振動を印加し、150℃で加熱しながら前記バルブ163Bを開いて前記原料粉末表面に吸着した水分を真空脱気することにより除去する。
【0044】
さらに前記バルブ163を閉じた後、前記メカニカルブースタポンプ162および真空ポンプ162Aを駆動することにより前記処理容器160内部の圧力を例えば10Pa以下に低下させ、前記高圧ガス源164から例えば2kg/cm2の圧力の高純度酸素ガスを、前記ガスライン165および質量流量コントローラ164Aを介して、例えば4リットル/分の流量で前記原料容器163に供給し、前記原料容器163中において、前記BaTiO3粉末原料のエアロゾルを発生させる。さらに、このようにして発生したエアロゾルを、前記原料容器163内部の圧力を200Paで一定に維持しながら、前記原料容器163から前記ノズル161Bに供給する。
【0045】
この状態で前記ノズル161Bから前記被処理基板Wに向けてエアロゾルを例えば2分間噴射する。本実施形態ではこのようにして、前記基体11上への誘電体膜12の成膜を、例えば1±0.5μm/分の成膜速度で行うことができる。
【0046】
図4Cは、このようにして形成されたBaTiO3誘電体膜12の、前記銅基体11との界面近傍の断面を示す透過電子顕微鏡写真である。
【0047】
図4C中、(a),(b)の写真よりわかるようにBaTiO3誘電体膜12と銅基体11との界面にボイドなど欠陥の存在は観察されず、また前記BaTiO3誘電体膜12の一部の断面を拡大して示す写真(c)−1、およびそのさらに一部を拡大して示す写真(c)−2からも、BaTiO3誘電体膜12の膜中にボイドなどの欠陥は全く生じていないことがわかる。前記写真(c)−1および(c)−2より、前記BaTiO3膜12中には粒径が50nmから300nm程度で平均粒径が100nm程度の大粒径粒子と、粒径が1nmから20nm程度で平均粒径が10nm程度の小粒径粒子より構成されており、図4Bに模式的に示した断面を有する膜が得られているのがわかる。
【0048】
特に前記図4C中、(b)の拡大写真では、銅基体11とBaTiO3誘電体膜12との界面に、約500nmの厚さにわたり、銅とBaTiO3とがボイドを生じることなくかみ合ったインターロッキング層が形成されているのがわかる。さらに前記図4C中、写真(e)では、隣接する結晶粒の粒界に1nm以上の非晶質層が形成されているのがわかる。
【0049】
さらに前記写真(c)−2の一部を拡大した写真(c)−3および写真(c)−1の一部を拡大した写真(e)では、個々のBaTiO3結晶粒の格子像が観察されるのがわかる。
【0050】
このような格子像から二次元フーリエ変換により逆格子像を求めたところ、形成されているBaTiO3結晶は、(100)面の面間隔が0.401nm,(010)面の面間隔が0.382nm,(110)面の面間隔が0.279nmであり、(100)面と(010)面のなす角度が91.4°,(100)面と(110)面のなす角度が47.0°であり、理想的な立方晶BaTiO3結晶、すなわち(100)面の面間隔が0.4031nm,(010)面の面間隔が0.4031nm,(110)面の面間隔が0.2850nm,(100)面と(010)面のなす角度が90.0°,(100)面と(110)面のなす角度が45.0°、に近いことが確認された。
【0051】
再び図2Aを参照するに、このようにして前記基体11上に形成されたBaTiO3誘電体膜12は、銅の融点である1084℃よりも低い、例えば1000℃の温度において熱処理され、その結果、前記誘電体膜12中のBaTiO3結晶が焼結する。通常のBaTiO3膜の焼結では、1500℃以上の温度が必要となるが、エアロゾルデポジションにより形成されたBaTiO3膜は、上記のように非常に小さなナノ粒子12Nを含んでおり、このため1000℃程度の温度でも焼結する。焼結の結果、前記誘電体膜12中においては粒成長が生じ、BaTiO3膜の微構造は、平均粒径が5nm以上、500nm以下のグラニュラー構造に変化する。このような焼結を行っても、前記BaTiO3誘電体膜12は、エアロゾルデポジション直後の状態において既に90%を超える相対密度を有しているため、ほとんど収縮することはなく、厚さ方向に例えば0.5μm程度収縮することがあっても、膜の面内での収縮は生じない。
【0052】
次に図2Bを参照するに、前記誘電体膜12中にビアホール12a,12bを、前記ビアプラグ12A,12Bに対応して、フォトリソグラフィを使ったレジストプロセスおよびドライエッチングにより形成し(もしくは, レジストプロセスでビアホール部分を開口させ, この部分を5%ふっ硝酸にてケミカルエッチングを施し, ビアホールを形成する)、前記ビアホール12a,12b中に無電解メッキにより銅シード層(図示せず)を形成し、さらに電解メッキを行うことにより前記ビアホール12a,12bを銅により充填することにより、前記銅プラグ12A,12Bを形成する。図2Bは、その後無電解メッキ膜をウェットエッチングなどで除去した状態を示している。もしくは, 基材である銅箔をシード層として電解めっきを用いて, ビアホール中に銅のビアプラグを形成する。
【0053】
本実施形態では、前記図2A〜図2Cの工程と平行して、あるいは相前後して、図2Dに示すように銅よりなる第2の基体41を準備し、前記基体41上に図2Eに示すように、前記ビアプラグパタ―ン14A〜14Dにそれぞれ対応してビアホール14a〜14cを形成する。
【0054】
さらに前記図2Cで説明したのと同様にして、図2Fに示すように、前記ビアホール14a〜14cに銅プラグパタ―ン14A〜14Cを形成する。なお前記ビアホール12a,12b、およびビアホール14a〜14cの形成は、レーザビームの照射により行うことも可能である。レーザビームを使った場合、ビアホールの底に下層の銅層が露出した時点でレーザビームが反射され、ビアホールの形成は自動的に停止する。
これらのビアホール形成・ビアプラグ形成は, 熱処理を施したエアロゾルデポジション膜に対して行ってもいいが, 熱処理を施さないエアロゾルデポジション膜に対して行ってもよい。
【0055】
エアロゾルデポジションのビアホールの形成については,
堆積直後の状態および熱処理後の状態いずれでも構わない。また, ビアホールの形成は, ふっ硝酸によるケミカルエッチング, ICPエッチャー,RIE,イオンミリング, レーザなどドライエッチングも適用できるとともに, レジスト形成後, 成膜し, レジストを除去するリフトオフプロセスも適用可能である。
【0056】
さらに図2Gに示すように、前記誘電体膜14上に銅層13を、例えばスパッタ法により、200nm〜500nmの膜厚に形成する。ただし前記銅層13の形成はスパッタ法に限定されるものではなく、無電解メッキ法あるいは電解メッキ法を使うことも可能である。
【0057】
なお前記銅層13をスパッタ法で形成する場合、先にも述べたように銅層13の形成前に前記誘電体膜14上にチタン膜やクロム膜を密着層として、数十ナノメートルの膜厚に形成することもできるが、このような密着層は抵抗の要因となるため、省略するのが好ましい。
【0058】
さらに図2Hに示すように、前記銅層13をパターニングし、前記電極パターン13A,13Bおよびビアプラグパタ―ン13Cを、それぞれ前記ビアプラグパタ―ン14A,14Bおよび14C上に形成し、図2Iに示すように前記基体41およびその上に形成された構造を反転させ、前記図2Cにおいて得られた構造に対向させ、前記電極パターン13Aおよびビアプラグパタ―ン14Aがビアプラグパタ―ン12Aに、前記電極パターン13Bおよびビアプラグパタ―ン14Bがビアプラグパタ―ン12Bに対応するように、位置合わせする。
【0059】
さらに図2Jに示すように前記誘電体膜12および14を、上記の通り位置合わせしたまま、間に前記銅パターン13A〜13Cを介して接するように配置し、窒素雰囲気などの不活性雰囲気中もしくは真空中において前記基体11および基体41を、モリブデン、タングステン、チタン、あるいはそれらの合金などの耐熱金属、あるいは黒鉛よりなる治具51および52により、図2J中に矢印で示すように互いに1MPa〜50MPa、例えば5MPaの圧力で押圧し、前記誘電体膜14を誘電体膜12に、前記銅パターン13A〜13Cを介して押圧する。
【0060】
さらにこの状態で、図2Jに示すように前記治具51および52の間に例えば12Vの直流パルス電圧を、高出力パルス電源53により例えば1kHzの周波数で繰り返し供給し、100A〜1500A程度の電流を通電し、パルス通電接合を行う。前記治具51,52のいずれかには、前記基体11あるいは41の温度を測定する熱電対52Aが設けられており、前記パルス通電接合は、前記熱電対52Aにより測定された基体11あるいは41の温度を1000℃程度に維持しながら30分間実行される。このようなパルス通電接合の結果、前記銅電極パターン13Aおよび13Bが、対応するビアプラグ12Aおよび12B、および前記BaTiO3誘電体膜12に、また銅ビアプラグパターン13Cが前記BaTiO3誘電体膜12に接合し、図2Kに示す構造が得られる。
【0061】
その際、図2K中に破線で囲んだ部分は、図2Jの状態では隙間が生じていたが、図2Kの状態では、前記BaTiO3誘電体膜14により充填されており、またBaTiO3誘電体膜12はBaTiO3誘電体膜14に対して接合しており、膜12と膜14の境界が消滅しているのが観察された。この理由は現時点では十分に解明されてはいないが、パルス電流が、スパークプラズマシンタリング(SPS)と同様な機構によって誘電体膜12,14の粒界に沿って流れ、粒界が局所的に溶融・反応・拡散した結果、前記治具51,52により印加された応力を緩和するようにBaTiO3粒子の移動が生じたものと考えられる。
【0062】
かかるパルス通電接合の結果、図2Kで得られた構造では、前記BaTiO3誘電体膜12とBaTiO3誘電体膜14とが、間に介在する銅パターン13A,13B,13Cを介して強固に接合される。
【0063】
次に図2Lに示すように前記基体41を、例えばウェットエッチングにより除去し、前記誘電体膜14の表面を露出させた後、図2Mに示すように前記誘電体膜14の表面上に銅層15(図1参照)を形成し、これをパターニングして、前記電極パターン13A,13Bに前記誘電体膜14を介してそれぞれ対向する電極パターン15A,15Bを、また前記ビアプラグ14C上に電極パターン15Cを、さらに前記ビアプラグパタ―ン14Aおよび14B上にビアプラグパタ―ン15D,15Eを、それぞれ形成する。
【0064】
図2A〜図2Mの工程により、前記キャパシタ素子10の一層目のキャパシタ構造が得られる。
【0065】
さらに同様な工程を繰り返すことにより、前記図2Mのキャパシタ構造上に、次の層のキャパシタ構造を形成することができる。
【0066】
すなわち図2Nに示すように、ビアプラグパタ―ン16A〜16Cを含むBaTiO3誘電体膜16を、前記基体41と同様な基体42上に、前記図2D〜図2Fの工程と同様にして形成し、得られた構造を前記図2Mの構造上に上下反転させて配置し、先の図2Jと同様な加圧下でのパルス通電接合を行い、さらに前記基体42をエッチング除去することにより、図2Oに示す構造を得る。
【0067】
さらに図2Pに示すように前記誘電体膜16上に電極パターン17A,17Bおよび17Cを、それぞれ前記ビアプラグ16A,16B,16C上に形成することにより、前記図2Mのキャパシタ構造上に、二層目のキャパシタ構造が形成される。
【0068】
さらに同様な工程を繰り返すことにより、前記キャパシタ素子10を任意の層数に形成することができる。
【0069】
なお図2I,図2Jよりわかるように、前記銅パターン13A〜13Cは、前記誘電体膜14の代わりに誘電体膜12上に形成してもよいことは明らかである。
【0070】
なお前記銅基体11および41は、図2Aあるいは図2Dのエアロゾルデポジション工程に先立って、300℃以上、600℃以下の温度で熱処理をしておくと、膜応力による基材11,41の反りの問題や、表面の劣化の問題を回避することができる。これに対し前記熱処理温度が300℃未満だとエアロゾルデポジションを行った場合に基体11あるいは41が反って、図1のキャパシタ素子10のような積層構造を形成する際、パタ―ンの位置合わせがずれてしまうおそれがあり、また熱処理温度が600℃を超えると、基体11や41の強度が低下して、表面に部分的な凹凸が発生してしまう問題が発生する場合がある。但し, コスト低減を図るために, 銅基体11を構成する銅箔の反りが, パターン精度に対して無視できる範囲の場合は, 前記銅基体11は, 熱処理を施す必要はない。
【0071】
本実施形態において前記基体41として銅を使う場合には、例えば図2Lの工程において前記基体41を完全には除去せず、その膜厚を低減させた上でパターニングし、図2Mにおける電極パターン15A〜15Cおよびビアパタ―ン15D,15Eを形成することも可能である。
【0072】
なお本実施形態において、図3Aの変形例10Mに示すように前記誘電体膜12中のビアプラグ12A,12Bを省略することも可能である。ただしこの場合には、前記キャパシタ素子10を回路基板に実装した場合に、電源電圧および接地電圧の一方を電極パターン21Aおよび21Bに供給し、他方を電極パターン21Cに供給する必要がある。
【0073】
また本実施形態において、図3Bの変形例10Nに示すように、前記図2A〜図2Pの工程によりキャパシタ10を形成した後で、基体11を除去することも可能である。ただし図3Bの実施例では、このように基体11を除去した後、露出された誘電体膜12の表面に露出したビアプラグ12A,12Bに対応して電極パターン11A,11Bが形成されており、また前記電極パターン13Cに対応してビアプラグ12Cが形成されている。さらに前記誘電体膜12上には前記ビアプラグ12Cに対応して電極パターン11Cが形成されている。
【0074】
なお本実施形態においては、前記図2Jの接合工程に先立って、前記誘電体膜12の表面に、接合界面の状態を向上させるため、LiFやPb5Ge311,Bi23,Li2Bi25など、LiやBiあるいはGeを含む化合物の層を、焼結助剤として100nm程度の膜厚に界面部分に形成しておいてもよい。このような焼結助剤は、特に図2Iや図2Nの例に示すように接合工程の直前に、エアロゾルデポジション法やスパッタ法などにより、電極パターン13A,13Bとビアパタ―ン13Cの間の隙間、あるいは電極パターン15A〜15Cおよびビアパタ―ン15C,15Eの間の隙間に形成するのが好ましい。この場合、前記13A,13Bとビアパタ―ン13Cあるいは電極パターン15A〜15Cおよびビアパタ―ン15C,15Eの表面に堆積した焼結助剤は、研磨などにより、接合工程前に除去するのが好ましい。
【0075】
さらに本実施形態において前記誘電体膜12,14,16,18,20は、図2Aや図2Dのエアロゾルデポジション工程のたびに熱処理し,1層毎にSPSを用いて接合を繰り返すことで多層化してもよい。また, エアロゾルデポジション工程後, 熱処理せずに, SPSで接合する際に, 熱処理を施してもよいし, エアロゾルデポジション工程のたびに熱処理した膜を多数枚設置して, 一括してSPSで各層を接合してもよいし, さらに, エアロゾルデポジション工程後, 熱処理を行わず, 各膜を多数枚用意して, 位置合わせ後, 全体をSPSで熱処理を行い, 各々の膜中でBaTiO3を焼結させてもよい(あるいは積層してキャパシタ素子10の構造配置が完成した段階で熱処理を行ってもよい)。この場合には熱処理工程が一回ですみ、製造の効率が向上する。
【0076】
本実施形態では、前記誘電体膜12,14,16,18,20を熱処理することにより、誘電体膜中には、先にも述べたように平均粒径が5nm以上、500nm以下のグラニュラー構造が出現しているが、このようなグラニュラー構造のセラミック膜では、スパッタ法により形成したセラミック膜を熱処理した場合に頻繁に出現する柱状構造と異なり、結晶粒界がセラミック膜の一方の側から他方の側まで連続することがなく、このため結晶粒界に沿ったリーク電流の電流路が遮断され、信頼性の高いキャパシタ素子を得ることができる。
【0077】
本実施形態において積層層数には限界はなく, 百層以上の多層化も可能である。
【実施例1】
【0078】
前記誘電体膜12〜20に対応するBaTiO3誘電体膜を、先に説明した条件で20層〜50層積層して図1と同様なキャパシタ素子を形成する実験を行った。その結果、各々の誘電体膜と、これに接する銅電極パタ―ンあるいはビアパタ―ンとの間には、欠陥のない強固な接合が得られることが確認された。
【0079】
このようにして得られたキャパシタ素子10を構成する誘電体膜について比誘電率を測定したところ、1000〜1500の値が得られた。またキャパシタンスおよびインダクタンスを測定したところ、キャパシタンスとしては17μF/cm2〜65μF/cm2と、非常に大きな値が得られ、インダクタンスとしては、いずれの試料でも、3pHの非常に小さな値が得られた。この小さなインダクタンスは、明らかに銅を電極パターンおよびビアプラグパタ―ンに使った効果であると考えられる。ただし実施例1の実験ではキャパシタ素子中に、径が50μmのビアプラグを150μmのピッチで形成している。
【0080】
このようにして得られたキャパシタ素子10を、後で図6において説明する積層回路基板60の内部に、半田バンプを使わず、ビアプラグを電解メッキにより接続することで実装し、キャパシタ部のインピーダンスを1GHzの周波数において測定したところ、0.1mΩという、非常に低い値が得られた。これに対し、同じキャパシタを同じ積層回路基板上に半田バンプを介して実装して測定した場合には、インピーダンスの値は、同じ測定条件で5mΩに増加した。
【0081】
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同じ構造のキャパシタ素子を、同じ条件で、ただし図2Jで説明した通電接合法の代わりにホットプレス法を使って形成した。この比較例1の場合には、銅電極パターンあるいはビアパタ―ンを介した誘電体膜同士の接合が分離してしまい、安定なキャパシタ素子を形成できないことが確認された。
【0082】
[比較例2]
比較例2では、実施例1と同じ構造のキャパシタ素子を、同じ条件で、ただし図2Jで説明したパルス通電接合法の代わりに、連続的に直流電圧を印加して接合を行って形成した。この比較例2の場合にも、銅電極パターンあるいはビアパタ―ンを介した誘電体膜同士の接合が分離してしまい、やはり安定なキャパシタ素子を形成できないことが確認された。このことは、図2Jで説明したパルス通電接合の際、パルスの立ち上がりおよび立ち下がりにおいて接合しようとしている誘電体膜中に、おそらくは結晶粒界に沿って電流が瞬間的に流れ、その結果、例えば誘電体膜12と銅電極パターン13A,13Bあるいはビアプラグパタ―ン13Cとの間に接合が生じることを示していると考えられる。
【0083】
[比較例3]
比較例3では、前記実施例1と同じ構造のキャパシタ素子を、同じ条件で、ただし各誘電体膜のエアロゾルデポジションによる形成の際、平均粒径10μmのBaTiO3粒子を原料として前記図4Aの原料容器163に充填して使って形成した。この比較例3の場合にも、銅電極パターンあるいはビアパタ―ンを介した誘電体膜同士の接合が分離してしまい、安定なキャパシタ素子を形成できないことが確認された。
【0084】
比較例3の結果より、本実施形態においてエアロゾルデポジションプロセスは、平均粒径が10μm未満の原料粒子を使って行うのが好ましいことが結論される。
【0085】
[比較例4]
形式は異なるが、グリーンシート法により、BaTiO3よりなる誘電体膜を20層積層したキャパシタ素子を、100μmのビアプラグ径および350μmのビアピッチで作製したところ、一層の誘電体膜の膜厚は5μmとなり、また個々の誘電体膜の比誘電率は3000と、非常に大きな値を示したものの、得られたキャパシタは10μF/cm2にしかならず、一方キャパシタ全体でのインダクタンスは8pHと、上記実施例1に比べて大幅に増加することが見出された。なお比較例4では、電極パターンとして、耐熱金属である抵抗値の大きいニッケルを使っている。
【0086】
[比較例5]
形式は異なるが、シリコン酸化膜で覆われたシリコン基板上に、スパッタ法によりBaTiO3よりなる誘電体膜を積層したキャパシタを、前記実施例1と同じビアプラグ径および同じビアピッチで作製した。この比較例では、キャパシタ電極として白金を使っている。かかる形式のキャパシタ素子では、スパッタ法を使っているため、個々の誘電体膜の膜厚が200nm〜300nm程度にしかならず、誘電体膜内部において焼結のための熱処理(大気もしくは, 酸素を含むガス雰囲気中で)に伴ってクラックが発生し、このため、誘電体膜を多数積層しようとしても、3層の積層が限界であった。また得られたキャパシタンスは3.5〜4.5μF/cm2程度、誘電体膜の比誘電率は200〜300程度にしかならず、さらに、このようにして得られたキャパシタのインダクタンスは10pHに達するのが確認された。
【0087】
なお上記実施例1において、前記図2Jのパルス通電接合を、前記治具51,52としてモリブデンあるいはタングステンよりなる治具を使って実験したところ、得られたBaTiO3誘電体膜13および14は、1012Ωcmの非常に大きな絶縁抵抗を有していることが確認された。このような非常に大きな絶縁抵抗を有する誘電体膜を図1のキャパシタ素子10において使うことにより、本実施形態ではキャパシタ素子のリーク電流を効果的に低減することができる。
【0088】
一方、前記図2Jのパルス通電接合を、前記治具51,52として黒鉛よりなる治具を使って実験したところ、得られたBaTiO3誘電体膜13および14は、109Ωcmのより低い絶縁抵抗を示すことがわかった。これは、窒素などの不活性雰囲気中において前記パルス通電接合を行う際、黒鉛治具が雰囲気ガス中の微量の酸素を消費してしまい、酸素分圧が極端に低下する結果、誘電体膜中の酸素原子が雰囲気ガスを通じて脱離してしまい、組成が一般にBaTiO3-xで表される非化学量論組成の誘電体膜が得られることによるものと考えられる。
【0089】
このことから、本実施形態において図2Jに示すパルス通電接合を行う場合、黒鉛治具の使用が排除されることはないが、モリブデンあるいはタングステンよりなる治具を、前記治具51,52として使うのが、より好ましいことがわかる。
【0090】
(第2の実施形態)
図5A〜図5Gは、前記図1のキャパシタ素子10の、第2の実施形態による製造方法を示す図である。
【0091】
図5Aを参照するに、本実施形態でも前記基体11上にBaTiO3よりなる誘電体膜12が先の実施形態の場合と同様に形成され、さらに前記誘電体膜12上に銅電極パターン13A,13Bおよび銅ビアプラグパタ―ン13Cが形成される。本実施形態では、前記誘電体膜12中にビアプラグパタ―ン12A,12Bは形成されない。
【0092】
また図5Aの工程に平行して、あるいは相前後して、前記基体41上にBaTiO3よりなる誘電体膜14が、先の実施形態の場合と同様に形成される。本実施形態では前記図5Bの状態では、前記誘電体膜14中にはビアプラグパタ―ン14A〜14Cは形成されていない。
【0093】
さらに図5Cに示すように図5Bの構造を図5Aの構造上に上下反転して、前記誘電体膜14が前記誘電体膜12上の電極パターン13A,13Bおよびビアプラグパタ―ン13Cに対面するように配置し、図5Dに示すように前記基体11と41とをそれぞれの治具51,52で相互に押圧し、前記図2Jの工程と同様なパルス通電接合を行い、図5Eに示す構造を得る。
【0094】
さらに図5Fに示すように基体41を除去した後、前記誘電体膜14中にビアホール14a〜14cを、それぞれ前記電極パターン13A,13B、およびビアプラグパタ―ン13Cに対応して形成し、図5Gに示すように前記ビアホール14a〜14cに、銅よりなるビアプラグ14A〜14Cを、それぞれ形成する。
【0095】
さらに図5Hに示すように前記誘電体膜14上に電極パターン15A〜15Cおよびビアプラグパタ―ン15D,15Eを形成することにより、前記図2Mと同様な構造を得ることができる。
【0096】
本実施形態では、図5Dのパルス通電接合の際、基体11から基体41に貫通する導体パターンが存在しておらず、電流が特定の電流路に集中せず、また消費電力を低減することができる。
【0097】
(第3の実施形態)
図6は、ビルドアップ層61〜65を積層した樹脂積層体中に先の実施形態のキャパシタ10を実装した積層回路基板60を、また図7は前記積層回路基板60上に半導体チップ71をフリップチップ実装した半導体装置70を示す断面図である。
【0098】
図6を参照するに、前記積層回路基板60の上面、すなわち表側には、半導体チップ71との接続のための多数の銅よりなる電極パッド65T1〜65T7が形成されており、また前記積層回路基板60の下面、すなわち裏側には、配線基板との接続のための銅よりなる外部接続端子61T1〜61T9が形成されている。
【0099】
各々のビルドアップ層61〜65は、典型的には, シリカ粒子を含有したエポキシ膜やガラスクロスで補強されたエポキシ樹脂膜よりなり、例えば20μm程度の厚さを有しており、例えば前記電極パッド65T1,65T2,65T6,65T7を対応する外部接続端子61T1〜61T2,61T7〜61T9のいずれかに電気的に接続する配線構造を担持している。例えばかかる配線構造は、前記ビルドアップ層61中に形成された銅よりなるビアプラグ61A〜61B,61F〜61H,前記ビルドアップ層62中に形成された銅よりなるビアプラグ62A〜62C,前記ビルドアップ層63中に形成された銅よりなるビアプラグ63A〜63B,前記ビルドアップ層64中に形成された銅よりなるビアプラグ64A,64B,前記ビルドアップ層65中に形成された銅よりなるビアプラグ65A,65C〜65D、さらに前記ビルドアップ層61上に形成されビルドアップ層62で覆われた銅よりなる配線パタ―ン61P1〜61P3,前記ビルドアップ層62上に形成されビルドアップ層63で覆われた銅よりなる配線パタ―ン62P1〜62P3,前記ビルドアップ層63上に形成されビルドアップ層64で覆われた銅よりなる配線パタ―ン63P1〜63P3,前記ビルドアップ層64上に形成されビルドアップ層65で覆われた銅よりなる配線パタ―ン64P1〜64P5などを含む。
【0100】
例えば前記外部接続端子61T2は、前記ビアプラグ61B,62A,配線パタ―ン62P1,ビアプラグ63A,配線パタ―ン63P1,ビアプラグ64A,配線パタ―ン64P1およびビアプラグ65Aを経て前記電極端子65T1に電気的に接続されている。また前記外部接続端子61T8は、前記ビアプラグ61G,62C,配線パタ―ン62P3,ビアプラグ63B,配線パタ―ン63P3,ビアプラグ64B,配線パタ―ン64P4およびビアプラグ65Dを経て前記電極端子65T7に電気的に接続されている。
【0101】
また前記図6においてキャパシタ素子10中のビアプラグ10Aは、前記ビアプラグパタ―ン12A,14A,15D,16A,18A,19D,20Aが形成する電流路を表しており、これがビルドアップ層65を貫通する貫通ビアVT1により、電極パッド65T3に接続されている。また前記図6においてキャパシタ素子10中のビアプラグ10Bは、前記ビアプラグパタ―ン12B,14B,15E,16B,18B,19E,20Bが形成する電流路を表しており、これがビルドアップ層65を貫通する貫通ビアVT2により、電極パッド65T5に接続されている。これにより、前記電極パッド65T3および65Ttに、接地電圧VGが、前記キャパシタ素子10によりノイズを除去された状態で現れる。
【0102】
さらに図6においてキャパシタ素子10中のビアプラグ10Cは、前記ビアプラグパタ―ン13C,14C,16C,17C,18C,20Cが形成する電流路を表しており、これがビルドアップ層65を貫通する貫通ビアVT3により、電極パッド65T4に接続されている。
【0103】
前記積層回路基板60では、外部接続端子61T3は電源電圧VVが供給される電源端子であり、前記外部接続端子61T3には、前記ビルドアップ層61〜65を貫通するビアプラグVT4が接続されている。前記ビアプラグVT4は、前記ビルドアップ層63上にビルドアップ層64で覆われて形成された配線パタ―ン63P2に電気的に接続されており、前記配線パタ―ン63P2は前記ビルドアップ層63上を延在して前記貫通ビアプラグ65T4に電気的に接続される。これにより、前記電極パッド65T4に電源電圧VVが、前記キャパシタ素子10によりノイズを除去された状態で現れる。
【0104】
そこで、図7に示すように電極パッド71A〜71Gを有する半導体チップ71を、前記積層回路基板60の表側、すなわち上面に、それぞれの電極パッド71A〜71Gが対応する電極パッド65T1〜65T7にコンタクトするように、半田バンプ72A〜72Gによりフリップチップ実装することにより、半導体チップ71に、ノイズを効果的に除去した電源電圧VGおよびVVを供給できる半導体装置70が得られる。
【0105】
なお前記ビアプラグ61A〜61B,61D〜61H,62A〜62C,63A〜63B,64A,64B,65A〜65Dなどは、例えば電解メッキ法により形成することができ、配線パタ―ン61P1〜61P3,62P1〜61P3,63P1および63P3,64P1〜64P4などは、例えばスパッタ法により形成することができる。
【0106】
さらに前記積層回路基板60において、前記外部接続端子61T4および61T5は接地電圧VGが供給される電源端子であり、それぞれビアプラグ61Dおよび61Eにより、前記キャパシタ素子10の基体11に電気的に接続されている。
【0107】
図8A〜図8Bは、前記図6の積層回路基板60の製造方法を、特にキャパシタ10の実装工程について説明する断面図である。
【0108】
図8Aを参照するに、前記ビルドアップ層63上には配線パタ―ン61P1,61P2および61P3がスパッタ法により形成されており、前記ビルドアップ層61上には前記配線パタ―ン61P1,61P2および61P3を覆ってビルドアップ層64が形成されている。ただし図8Aでは、ビルドアップ層63より下の部分の図示は省略している。
【0109】
前記ビルドアップ層64中には、前記キャパシタ素子10に対応した開口部64Apが形成されており、前記ビルドアップ層63上には前記開口部62Apを介してキャパシタ素子10が、矢印で示すように実装され、図示をしない接着剤層により接着される。あるいは、前記キャパシタ素子10を先に前記ビルドアップ層63上に接着しておき、その後でビルドアップ層64をビルドアップ層63上に積層してもよい。
【0110】
さらに、このようにして形成されたビルドアップ層64上に、ビルドアップ層65を、それぞれの配線パタ―ンおよびビアプラグとともに順次積層することにより、図8Bに示す構造が得られる。
【0111】
前記積層回路基板60では、ビルドアップ層62中に埋め込まれたキャパシタ素子10への貫通ビアプラグVT1,VT2,VT3、および貫通ビアプラグVT4の接続を、電解メッキ法により、半田バンプを使うことなく行うことができるため、積層回路基板60内における寄生抵抗の発生を低減でき、寄生インピーダンスを低減することが可能である。
【0112】
図9は、図6の回路基板の一変形例による回路基板を示す断面図である。ただし図9中、図6で説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0113】
図9の回路基板はビルドアップ層61〜63の積層よりなり、先に図3Bの変形例で説明したキャパシタ10Nが実装されている。
【0114】
図9で使われるキャパシタ10Nは、多数の誘電体膜および電極パターン、ビアパタ―ンを繰り返し積層した結果、回路基板の全体の厚さに対応する厚さを有しており、またビアプラグ10A〜10Cに加えて、前記ビアプラグ10Bに隣接して、前記ビアプラグ10Cと同様なビアプラグ10Dを有している。また前記ビアプラグ10A〜10Dにそれぞれ対応して、電極パッド63T1〜T4が形成されている。
【0115】
このような構成の回路基板を使って前記図7と同様な半導体装置を構成した場合、半導体チップ71に伝達される電源系のノイズを効果的に遮断することが可能となる。
【0116】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
金属よりなる第1の基体上に第1のセラミック膜を形成する工程と、
金属よりなる第2の基体上に第2のセラミック膜を形成する工程と、
前記第1および第2のセラミック膜の一方の表面に銅よりなる第1の電極パタ―ンと第1のビアプラグパタ―ンとを、相互に離間して形成する工程と、
前記第1および第2の基体を、前記第1の電極パタ―ンが前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とに挟持されるように配置し、前記第1および第2の基体を互いに押圧することにより、前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とを、前記第1の電極パタ―ンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して互いに押圧し、前記第1の基体と前記第2の基体とが押圧された状態で、前記第1の基体と前記第2の基体との間にパルス電圧を印加することにより、前記第1および第2のセラミック膜を、前記第1の電極パターンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して相互に接合する工程と、
前記第2の基体を除去する工程と、を含むキャパシタの製造方法
(付記2)
前記第1のセラミック膜を形成する工程および第2のセラミック膜を形成する工程は、前記第1および第2のセラミック膜がいずれも50nm以上300nm以下の粒径の大粒径粒子と、1nm以上20nm以下の粒径の小粒径粒子とにより構成されるように、それぞれエアロゾルデポジションプロセスにより実行される、付記1記載のキャパシタの製造方法。
(付記3)
前記第1のセラミック膜を形成する工程および前記第2のセラミック膜を形成する工程は、平均粒径が10μm未満の原料粉末の混合物を原料に使ってそれぞれエアロゾルデポジションプロセスにより実行される、請求項1記載のキャパシタの製造方法。
(付記4)
前記第1のセラミック膜を形成する工程および前記第2のセラミック膜を形成する工程は、平均粒径が1nm〜100nmの原料粉末と平均粒径が100〜800nmの原料粉末の混合物か、もしくは平均粒径100nm〜800nmの原料のみを使って、それぞれエアロゾルデポジションプロセスにより実行される、付記1〜3のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記5)
前記それぞれのエアロゾルデポジションプロセスは、先端部がスリット状に絞られた形状のノズルを使って実行される、付記3または4記載のキャパシタの製造方法。
(付記6)
前記第1および第2のセラミック膜を接合する工程の前に、前記第1および第2のセラミック層をそれぞれ、銅の融点未満の温度で焼結する工程を含む、付記1〜5のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記7)
前記第1および第2のセラミック膜を接合する工程の後に、前記第1および第2のセラミック膜を、同時に銅の融点未満の温度で焼結する工程を含む、付記1〜5のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記8)
前記第1および第2のセラミック膜を接合する工程は、前記第1および第2の基体の間に10Hz〜300kHzの電圧パルスを繰り返し印加することにより実行される、付記1〜7のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記9)
前記第1および第2のセラミック膜を接合する工程は、前記第1および第2の基体を、モリブデン、タングステン、チタン、あるいはそれらの合金よりなる治具により押圧しながら実行される、付記1〜8のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記10)
前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜を接合する工程の前に、前記第1の電極パターンおよび第1のビアプラグパタ―ンにそれぞれ対応して、前記第2のセラミック膜に第2および第3のビアプラグパタ―ンを形成する工程を含む、付記1〜9のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記11)
前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜を接合する工程の後に、前記第1の電極パターンおよび第1のビアプラグパタ―ンに対応して、前記第2のセラミック膜に第2および第3のビアプラグパタ―ンをそれぞれ形成する工程を含む、付記1〜9のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
(付記12)
前記第1および第2のセラミック膜の接合する工程の後、前記第2のセラミック膜のうち、前記第1のセラミック膜に対面する側と反対側の表面に、前記第2のビアプラグに対応して第4のビアプラグを、また前記第3のビアプラグに対応して第2の電極パターンを、相互に離間して、また前記第2の電極パターンが前記第1の電極パターンと、前記第2のセラミック膜を介して対向するように形成することを含む付記10または11記載のキャパシタの製造方法。
(付記13)
金属よりなる基体と、
前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、
前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、
前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、
前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、
前記第1のビアプラグパタ―ンは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第3のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグパタ―ンは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第4のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続されており、
前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されているキャパシタ。
(付記14)
前記複数のキャパシタ誘電体膜は、平均粒径が5nm以上で500nm以下のグラニュラー構造を有する付記13記載のキャパシタ。
(付記15)
前記第1の電極パタ―ンと前記第1のビアプラグ、および前記第2の電極パタ―ンと前記第2のビアプラグの間は、前記セラミックにより充填されている付記13または14記載のキャパシタ。
(付記16)
前記セラミックはBaTiO3,SrBaTiO3,PbTiZrO3,(Ba,Sr)TiO3,Ba(Zr,Ti)O3,KNbO 3,K0.5Na0.5NbO3,KNbO3・NaNbO3・LiNbO3, (Bi1/21/2)TiO3,(Bi1/2Na1/2)TiO3,BiFeO3,(Sr,Ca)2NaNb515,(Sr,Ba)NbO6,Ba2(Na,K)Nb515,Bi4Ti312,SrBiTiTaO3,SiBi2Ta29,SrBi2Nb29,(Sr,Ca)2Bi4Ti518,CaBi4Ti415,LiNbO3,LiTaO3,PbNb26のいずれかをベース組成とした材料よりなる付記13〜15のうち、いずれか一項記載のキャパシタ。
(付記17)
前記複数のキャパシタ誘電体膜の各々は、0.3μm以上で5μm以下の膜厚を有する付記13〜16のうち、いずれか一項記載のキャパシタ。
(付記18)
前記キャパシタは、80μm厚以下であり, 望ましくは20μm以下の厚さを有することを特徴とする付記13〜17のうち、いずれか一項記載のキャパシタ。
(付記19)
複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した積層回路基板本体と、
前記積層回路基板本体中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、
を含み、
前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている回路基板。
(付記20)
複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した回路基板と、
複数のバンプ電極を有し、前記積層回路基板上に前記複数のバンプ電極を、それぞれ対応する電極パッドに接合されてフリップチップ実装された半導体チップと、
前記回路基板中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、
を含み、
前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている半導体装置。
【符号の説明】
【0117】
10,10M キャパシタ素子
10A,10B,10C ビアプラグ
11,41,42 基体
12,14,16,18,20 セラミック誘電体膜
12A,12B,14A,14B,14C,16A,16B,16C,17A,17B,17C,18A,18B,18C,20A,20B,20C ビアプラグパタ―ン
12L 大粒径粒子
12N ナノ粒子
12a,12b,14a,14b,14c ビアホール
13A,13B,15A,15B,15C,17A,17B,19A,19B,19C,21A,21B,21C 銅電極パターン
13C,15D,15E,17C,19D,19E 銅ビアプラグパタ―ン
51,52 治具
52A 熱電対
60 積層回路基板
61,62,63,64,65 ビルドアップ層
61A,61B,61D,61E,61F,61G,61H,62A,62B,62C,63A,63B,64A,64B,65A,65N.65C,65F ビアプラグ
61P,61P,61P,62P,62P,62P,63P,63P,63P,64P,64P,64P,64P 配線パタ―ン
61a〜61c,65a〜65g ビアホール
62Ap 開口部
65T,65T,65T,65T,65T,65T,65T 電極パッド
70 半導体装置
71 半導体チップ
71A〜71G 電極パッド
72A〜72G 半田バンプ
132 ステージ駆動機構
133 排気経路
160 エアロゾルデポジション装置
161 処理容器
161A ステージ
161B ノズル
161V 搬送用配管部
161b ノズル開口部
161c エアロゾルジェット
162,162A 真空ポンプ
163 原料容器
163A 振動台
163B バルブ
163a 原料
164 高圧ガス源
164A 質量流量コントローラ
T1,VT2,VT3,VT4 貫通ビアプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属よりなる第1の基体上に第1のセラミック膜を形成する工程と、
金属よりなる第2の基体上に第2のセラミック膜を形成する工程と、
前記第1および第2のセラミック膜の一方の表面に銅よりなる第1の電極パタ―ンと第1のビアプラグパタ―ンとを、相互に離間して形成する工程と、
前記第1および第2の基体を、前記第1の電極パタ―ンが前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とに挟持されるように配置し、前記第1および第2の基体を互いに押圧することにより、前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜とを、前記第1の電極パタ―ンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して互いに押圧し、前記第1の基体と前記第2の基体とが押圧された状態で、前記第1の基体と前記第2の基体との間にパルス電圧を印加することにより、前記第1および第2のセラミック膜を、前記第1の電極パターンおよび前記第1のビアプラグパタ―ンを介して相互に接合する工程と、
前記第2の基体を除去する工程と、を含むキャパシタの製造方法。
【請求項2】
前記第1のセラミック膜を形成する工程および前記第2のセラミック膜を形成する工程は、平均粒径が10μm未満の原料粉末の混合物を原料に使ってそれぞれエアロゾルデポジションプロセスにより実行される、請求項1記載のキャパシタの製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2のセラミック膜を接合する工程は、前記第1および第2の基体の間に10Hz〜300kHzの電圧パルスを繰り返し印加することにより実行される、請求項1または2記載のキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜を接合する工程の前に、前記第1の電極パターンおよび第1のビアプラグパタ―ンにそれぞれ対応して、前記第2のセラミック膜に第2および第3のビアプラグパタ―ンを形成する工程を含む、請求項1〜3のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
【請求項5】
前記第1のセラミック膜と前記第2のセラミック膜を接合する工程の後に、前記第1の電極パターンおよび第1のビアプラグパタ―ンに対応して、前記第2のセラミック膜に第2および第3のビアプラグパタ―ンをそれぞれ形成する工程を含む、請求項1〜3のうち、いずれか一項記載のキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記第1および第2のセラミック膜の接合する工程の後、前記第2のセラミック膜のうち、前記第1のセラミック膜に対面する側と反対側の表面に、前記第2のビアプラグに対応して第4のビアプラグを、また前記第3のビアプラグに対応して第2の電極パターンを、相互に離間して、また前記第2の電極パターンが前記第1の電極パターンと、前記第2のセラミック膜を介して対向するように形成することを含む請求項4または5記載のキャパシタの製造方法。
【請求項7】
金属よりなる基体と、
前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、
前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、
前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグパタ―ンとが相互に離間して介在し、
前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、
前記第1のビアプラグパタ―ンは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第3のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグパタ―ンは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された第4のビアプラグパタ―ンを介して電気的に接続されており、
前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されているキャパシタ。
【請求項8】
前記複数のキャパシタ誘電体膜は、平均粒径が5nm以上で500nm以下のグラニュラー構造を有する請求項7記載のキャパシタ。
【請求項9】
複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した積層回路基板本体と、
前記積層回路基板本体中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、
を含み、
前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている回路基板。
【請求項10】
複数の樹脂ビルドアップ膜の積層よりなり、第1の側に電源端子と接地端子を含む複数の外部接続端子を担持し、前記第1の側に対向する第2の側に電源パッドと接地バッドを含む複数の電極パッドを担持した回路基板と、
複数のバンプ電極を有し、前記積層回路基板上に前記複数のバンプ電極を、それぞれ対応する電極パッドに接合されてフリップチップ実装された半導体チップと、
前記回路基板中の単一の樹脂ビルドアップ膜中に埋設されたキャパシタと、
を含み、
前記キャパシタは、銅よりなる基体と、前記基体上に繰り返し積層されたセラミックよりなる複数のキャパシタ誘電体膜と、を含み、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれる第1のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ前記第1のキャパシタ誘電体膜に隣接する第2のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第1の電極パターンと銅よりなる第1のビアプラグが相互に離間して介在し、前記第2のキャパシタ誘電体膜と、前記複数のキャパシタ誘電体膜に含まれ、前記第2のキャパシタ誘電体膜に前記第1のキャパシタ誘電体膜とは反対の側で隣接する第3のキャパシタ誘電体膜との間には、銅よりなる第2の電極パターンと銅よりなる第2のビアプラグとが相互に離間して介在し、前記第1の電極パターンと前記第2の電極パターンとは、前記第2のキャパシタ誘電体膜を介して対向し、前記第1のビアプラグは前記第2の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第3のビアプラグを介して電気的に接続され、前記第2のビアプラグは前記第1の電極パターンに、前記第2のキャパシタ誘電体膜中に形成された銅よりなる第4のビアプラグを介して電気的に接続されており、前記第1の電極パターンは第1の端子に、前記第2の電極パターンは第2の端子に電気的に接続されている半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図2O】
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【図2P】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図4A】
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【図4C】
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【公開番号】特開2012−60034(P2012−60034A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203637(P2010−203637)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】