説明

キャリアガスシステムおよび基板キャリアのロードポートとの連結

基板キャリアを加圧するための方法は、キャリアと一体構造のものであるチャンバおよび/またはキャリア内の基板カセットを加圧するステップと、チャンバからキャリア内へガスを放出することにより、キャリア内の圧力を維持するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2006年9月14日に出願された米国仮特許出願第60/825,704号に基づく優先権を主張するものであり、その開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1.技術分野
例示的な実施形態は、基板キャリアをロードポートと連結することおよび基板キャリアをパージすることに関する。
【0003】
2. 背景技術
例えばフープ(FOUP;Front Opening Unified Pod)等、半導体基板を運搬するための現在の基板キャリアは、ポリカーボネート、ポリエチレン等のようなポリマー材料から製造される。これらの材料は、例えば窒素またはアルゴン等の不活性ガスの分子サイズよりも大きい分子構造を有する。このため、キャリア材料は、すべてのガスが失われるまでキャリアシェルを通って拡散する不活性ガスを収納するために十分でない場合がある。ガスの分子サイズよりも小さい分子構造を有するより高密度の材料を使用してもよいが、より高密度の材料は、キャリアに望ましくない重量を付加し得る。ガスは、基板処理中、水分または酸素の影響を受けやすい、それらの上に蒸着された材料を有し得る基板付近の環境を制御するために使用される。現在のガスパージシステムは、屋内ガス供給部に配管されたストレージネストおよび漏出を補うためにキャリア内へ継続的に入力されるガスに依存している。基板キャリアとともに移動する分離ガスコンテナも既知であり得る。
【0004】
また、従来の基板キャリアは、ツールに対する位置決めまたはそれとの整列のために、キャリアの底面にある機構を介して、ロードポートと機械的に連結されている。前面開口キャリアの場合、基板にアクセスするために開放されたドアは、キャリアの片側にあり、底面に対して垂直である。ドア位置付けおよび係止機構は、対応するロードポート機構と嵌合する。これにより、基板キャリア上に、嵌合しているロードポート平面と整列された2つの平面が形成される。これは、キャリアが許容範囲内でない場合、またはロードポートが適切に調整されていない場合、インタフェースの品質に悪影響を及ぼす。さらに、各部品を生産するコストは、2つの平面間の関係を維持することの複雑さにより、高くなり得る。従来の基板キャリアの実施例は、単一の垂直な運動軸で除去することができるくさび形状のドアを作製する、角度のあるシール面を開示している米国特許第5,895,191号において見ることができ、該キャリアは、キャリア位置決めをキャリアの底面に依存する。
【0005】
キャリアに限局されたガスパージシステムと、キャリアをツールに対して位置決めし、基板アクセスのためにドアを開放するために自由度を減少させたロードポート連結器とを有することが有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
1つの例示的な実施形態において、基板キャリアを加圧するための方法が提供される。該方法は、キャリアと一体構造のものであるチャンバおよび/またはキャリア内の基板カセットを加圧するステップと、チャンバからキャリア内へガスを放出することにより、キャリア内の圧力を維持するステップとを含む。
【0007】
別の例示的な実施形態において、基板搬送システムが提供される。該システムは、外部雰囲気から略隔離された基板を保持および運搬するためのケーシングであって、基板を保持することができる少なくとも1つのチャンバおよび外部雰囲気とは異なるチャンバ雰囲気を有するケーシングと、ガス供給部およびケーシングがユニットとして移動可能なようにケーシングと接続された携帯型ガス供給部であって、チャンバ雰囲気が所定圧力に維持されるよう、ガスの供給部を保持し、供給部から少なくとも1つのチャンバ内へガスを制御可能に排出するように配置されているガス供給部とを有する基板搬送キャリアを含む。
【0008】
1つの例示的な実施形態において、基板キャリアをポートと連結するための方法が提供される。該方法は、キャリアの少なくとも1つの上部位置決め機構を、ポートの少なくとも1つの位置決め機構のうちの対応する1つに係合させるステップと、キャリアを回転させるステップと、キャリアの少なくとも1つの下部位置決め機構を、ポートの少なくとも1つの下部位置決め機構のうちの対応する1つに係合させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本実施形態の前述の態様およびその他の特徴を、添付図面に関連して、以下の記述において説明する。
【図1−1A−1B】例示的な実施形態に従う例示的なガスシステムの概略図である。
【図2】例示的な実施形態に従うFABの概略図である。
【図3A−3C】例示的な実施形態に従うシステムを示す図である。
【図4】例示的な実施形態に従う別のシステムを示す図である。
【図5】例示的な実施形態に従う方法の図である。
【図6】例示的な実施形態に従う別の方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、例示的な実施形態に従うガスシステムの概略図を示す。図面中に示され、以下に記述されている例示的な実施形態を参照して本発明の態様を説明するが、それらの態様は実施形態の多数の代替形態で具現化し得るものであることを理解すべきである。さらに、任意の適切なサイズ、形状または種類の要素または材料を使用してもよい。
【0011】
図1からわかるように、基板キャリア100が示されている。基板キャリアは、底部開口キャリア100、フープ(FOUP;Front Opening Unified Pod)(例えば、側面開口)(図1Aの参照番号100’を参照)、またはその他の任意の適切な基板搬送デバイスであってよい。キャリア100は、例えば、半導体ウエハ、フラットパネルディスプレイ用のフラットパネル、レチクル/マスク、またはその他の任意の適切な基板もしくは品目を運搬するように構成されてもよい。半導体ウエハは、例えば、200mm、300mm、450mm、またはその他の任意の適切なウエハであってもよい。基板キャリア100は、いたるところに配置されている自動マテリアルハンドリングシステム等の搬送システム280の一部、例えば、キャリア100をFAB内の種々のステーション210〜270へ搬送するための加工施設(FAB)200であってもよい(図2参照)。
【0012】
キャリアは、例えばポリマー材料等、任意の適切な材料で構築されているシェル110および/またはドア(図1には図示せず)を有してもよい。ポリマー材料は、ポリカーボネート、ポリエチレン等を含み得るが、これらに限定されない。シェル100は、基板またはワークピース120を、チャンバ160の外部の雰囲気から隔離することができる環境で運搬することができる、チャンバまたは内部空洞160を画定することができる。図1に示されているキャリア100の形状は例示に過ぎず、代替的な実施形態において、キャリアはその他の任意の適切な形状を有し得る。キャリア100は、図示されているように基板120をキャリア内に支持するためのチャンバ160内にカセット130を収めることができ得る底部開口キャリアとして示されている。代替的な実施形態において、キャリアは、カセットを有しなくてもよい。
【0013】
基板カセット130は、概して、一列または多数の支持部を提供するためにその上に分布する基板支持棚125、またはその上に1つ以上の基板が図示されているように個別に支持されている棚を持つ、細長い支持部を有する。代替的な実施形態において、キャリアは、より多いまたは少ない基板のための支持棚を有し得る。カセット130は、後述するような基部140を含んでもよい。カセット130は、キャリア構造体に載置されているか、または付着していてもよい。代替的な実施形態において、キャリア100は、カセットを有しなくてもよく、基板支持部は、内蔵型であってもよいし、キャリア構造体との一体構造として形成されてもよい。
【0014】
図示されている例示的な実施形態において、基部140は、ガスチャンバ150、または基部140に内蔵されている、もしくはそれと一体構造のものである任意の適切な形状および/もしくはサイズの中空体積を含み得る。代替的な実施形態において、チャンバ150は、カセット内の何処かに位置し得る。例えば、チャンバ150は、例えばカセットの側面、背面または頂面等、カセットの任意の適切な部分と統合されていてもよい。その他の代替的な実施形態において、チャンバ150は、例えばキャリアドア、頂面、底部または側面等、キャリアの任意の適切な部分と統合されていてもよい。
【0015】
図1Aを参照すると、別の例示的なキャリア100’が示されている。この実施形態において、キャリアは、側面または前面ローディング式キャリア(例えば、FOUP型キャリア)として示されている。キャリア100’は、キャリア100と略同様であってもよい。キャリア100’は、シェル110’、ドア145、空洞160および任意の適切な基板支持部を有してもよい。キャリア100’は、上に記載されているもの等の任意の適切な基板120を運搬するように構成されてもよい。代替的な実施形態において、キャリア110’は、上に記載されているカセット130と略同様の基板カセットを格納するように構成されてもよい。この実施例において、チャンバ150は、キャリア100’のドア145に組み込まれてもよい。代替的な実施形態において、チャンバ150は、キャリア100’の任意の適切な部分に組み込まれてもよいし、それに付着していてもよい。
【0016】
図1Bに示すようなさらに他の実施形態において、チャンバは、連結器155を介してキャリア100’’と接合され得る着脱可能なモジュール150’であってもよい。モジュール150’は、キャリア100’’の任意の望ましい部分に付着していてもよい。代替的な実施形態において、チャンバ150またはモジュール150’は、カセットに組み込まれてもよい。一実施形態において、モジュール150’は、チャンバの補充のために除去および/または交換することもでき、または、キャリア100’’と接続されたときに補充することもできる。連結器は、迅速接続/切断連結器またはネジ式連結器を含むがこれらに限定されない任意の適切な連結器であってよい。着脱可能なモジュール150’は、例えばキャリアの頂面、底部または側面等、キャリア100’’の任意の適切な部分に付着するように構成されてもよい。1つの例示的な実施形態において、着脱可能なモジュール150’は、インタフェース面(例えば、処理ツールの任意の適切なコンポーネントとインタフェース接続または嵌合しているキャリアの任意の表面)に付着し、キャリア100’’とインタフェース接続または嵌合しているデバイスとの間のインタフェースとしての役割を果たすように構成されてもよい。例示的な実施形態において、チャンバ150を使用してキャリアをパージまたはツールの係止具をロードすることができることに留意されたい。
【0017】
チャンバ150は、図2に示すように、ガスがチャンバ壁を通って大気中へ漏出するのを防止するために、チャンバ内に収容されているガスの分子よりも小さい分子構造を有する材料で構築されてもよい。チャンバ150は、例えば、金属またはポリマーで構築されてもよい。チャンバ150は、より高密度の材料による重量増加を最小化するために、薄断面を持つ壁を有してもよい。代替的な実施形態において、チャンバ材料の断面は、任意の適切な断面を有し得る。その他の代替的な実施形態において、チャンバは、より高密度の材料で作られている内張りを装備し得るカセットまたはキャリアと同じ材料で構築されてもよい。
【0018】
チャンバ150は、キャリア100内部の圧力を調節し、キャリア100の過加圧を防止することができる逆止弁を介して、キャリアまたはポッド100の内部空洞160と接続されてもよい。代替的な実施形態において、チャンバ150は、例えば電子制御弁、任意の適切な調節弁または直接接続等、任意の適切な様式で、キャリアの内部空洞と接続されてもよい。
【0019】
ガスチャンバ150は、任意の適切な様式で充填または補充することができる。例えば、図2に示す基板処理エリアまたは加工施設200を参照すると、キャリア100がロードポート上に置かれている場合に、ロードポート上のガス管とチャンバとの間の適切な連結器または継手が係合するように、ツールのロードポート240、250を屋内または集中型ガス閉じ込めユニット270に配管してもよい。例えば、キャリアと接続されたパージ管を使用して、ロードポートにおいてキャリアをパージすることができる。連結器は、例えば圧力作動連結器または迅速接続/切断連結器等、任意の適切な連結器であってもよい。チャンバ150は、ロードポート上にある間、連結器を介し、所定圧力までガスを充填することができる。代替的な実施形態において、チャンバ150は、チャンバ内部を加圧することにより、補充することができる。図2からわかるように、チャンバ150は、例えば、キャリア100が、緩衝器、キャリアストレージまたはストッカー等のネスティング位置210、220、230の上または中に置かれているときに充填され得る。ネスティング位置210〜230は、屋内または集中型ガス源270等、任意の適切なガス源と接続されてもよい。ガスは、キャリア100がネスティング位置210〜230の上または中に置かれているときに、任意の適切な連結器または継手を介してチャンバ150に移行され得る。ネスティング位置210〜230は、例えばFAB200内の任意の適切な位置に置かれてもよい。チャンバは、戦略的に置かれた補充ステーション260内で補充することもできる。補充ステーション260は、屋内ガス供給部270等の集中型ガス供給部と接続されてもよい。戦略的に置かれた補充ステーション260は、ストッカーまたは処理ベイ開口部に近接するストレージエリアへの進入口または脱出口を含むがこれらに限定されない、FAB200内の任意の適切な位置に位置し得る。補充ステーション210〜260は、チャンバ150を介してキャリア100の遠隔保守を提供するように構成されてもよい。
【0020】
例えば、加圧チャンバ150を有するキャリア100は、ガス供給部との接続なしに長期間保管または搬送できるため、FAB200を通るガスパイプの数を減少させることができる。補充ステーション260の数も、ガスチャンバ150、およびネスティング位置または戦略的に置かれた補充ステーション260内でチャンバ150を補充する能力によって、減少させることができる。キャリア100がより長時間にわたって保管または搬送され得ることに加え、チャンバ150は、キャリア内部がもはやその自己のガスリザーバではないため、キャリア内部160内のガス圧のより正確な制御を可能にすることができる。例えば、キャリア100が搬送または保管されている間、キャリア100内に十分なガスがあることを確実にするために、キャリア100内にさらに高いガス圧を印加する必要はない。キャリア100内におけるより正確な圧力制御の結果として、キャリア内におけるより良い温度制御も得ることができる。チャンバ150内のガスの再充電間の時間延長は、チャンバのサイズならびにキャリア内のシールおよびキャリア材料の品質によって推進され得る。
【0021】
その他の例示的な実施形態において、キャリア150の内部空洞160内の圧力を監視するために、圧力センサ170(例えば図1を参照)をキャリアまたはその一部に組み込んでもよい。その他の代替的な実施形態において、圧力センサ170は、チャンバ150と接続されている、またはその中にある等、任意の適切な位置に位置してもよい。圧力センサ170は、適切なコントローラに信号を送るための適切な通信システムを具備してもよい。センサ170は、キャリア100上に適切なインジケータを具備してもよい。圧力センサ170は、キャリア100内の圧力および/またはチャンバ150内の圧力を計測し、圧力が所定レベル未満に低下した場合、例えばオペレータまたは自動マテリアルハンドリングシステム(AHMS)の制御コンピュータに、適切な警告を報告することができる。オペレータは、ステージングまたはストレージ位置等、その現在位置からキャリア100を回収し、チャンバ150の再充填のために例えばパージネスト上にキャリア100を置くよう、オペレータがAHMSに命令する、または制御コンピュータがAHMSに命令することができる。代替的な実施形態において、ガスチャンバは、手動またはその他の任意の適切な様式で再充填され得る。また、キャリアの圧力センサ170は、コントローラに周期信号を送信し、補充がいつ必要であるかをコントローラに予測させ、それに従ってキャリアを移動させるスケジュールを決めることができる。
【0022】
動作中、キャリア100は、チャンバ150がガス供給管と連結されるように、ロードポートまたはネスティングステーション上に置かれる。チャンバ150は、所定圧力まで加圧される(図5、ブロック500)。チャンバ150は、例えば、逆止弁(またはその他適切な弁もしくは接続)を介し、チャンバ内からキャリア100の内部空洞160内へ加圧ガスを放出することにより、圧力を維持することができる(図5、ブロック510)。キャリアの内部空洞160内のあらゆる圧力低下は、キャリア100が保管または搬送されている間の、キャリアシールまたは壁を通るガス漏出によるものである場合がある。
【0023】
ここで図3A〜3Bを参照すると、基板キャリア300は、処理ステーション380とインタフェース接続して示されている。基板キャリア300は、上に記載されているキャリア100と略同様のキャリア等の任意の適切なキャリアであってもよいし、内臓型ガスチャンバのないキャリアであってもよい。この例示的な実施形態において、キャリア300は前面または側面開口キャリアとして示されているが、代替的な実施形態において、キャリアはその他の任意の適切な基板キャリアであってもよい。基板は、キャリアから、ウエハ面と略平行な方向にロードおよびアンロードされ得る。処理ステーション380は、例えばEFEM(Equipment Front End Module)またはクラスタツール等、任意の適切な処理ステーションであってもよい。処理ツールは、複数の基板処理チャンバおよび該処理チャンバと接続された基板カセットエレベータを有し得る。代替的な実施形態において、処理ツールは、任意の適切な構成を有し得る。キャリアおよび処理ステーションインタフェースは、単一のインタフェース面に沿って位置してもよい。
【0024】
図3Aからわかるように、キャリア300は、オーバーヘッド搬送システム320とともに使用するように構成されてもよい。代替的な実施形態において、キャリアは、コンベヤ、または手動もしくはロボット制御のカートによって等、任意の適切な様式で搬送されるように構成されてもよい。この例示的な実施形態において、キャリア300は、シェル303およびドア330を含む。
【0025】
ドア330は、図3Aにおいてくさび形状(ドアの側面から見た場合)を有するものとして示されているが、代替的な実施形態において、ドア330は、任意の適切な形状を有し得る。ドア330とシェル303との間のインタフェースは、カセット300の内部を外部雰囲気から隔離するためのシールを含み得る。また、キャリアが処理ステーションまたはツール380のポート(例えば、ロードポートモジュール370)とインタフェース接続している場合、キャリアドアおよび基部は、ポートドア340に対してキャリアドア330を、ポート370に対してキャリア表面304をそれぞれ密封するためのシーリングインタフェースをそれぞれ有し得る(例えば、シール面310を参照)。この例示的な実施形態において、シール面310およびキャリア表面304とキャリアドア330との間のインタフェースは、ボックスオープナ/ローダー・ツール標準インタフェース(BOLTS)面371に対して角度をつけたものとして示されている。代替的な実施形態において、シール面310およびキャリア表面/ドアインタフェースは、例えばBOLTS面371に対して平行または垂直等、任意の適切な配向を有し得る。
【0026】
この例示的な実施形態において、図3Bおよび3Cからわかるように、キャリア表面304およびロードポート表面372(例えば、キャリア/ロードポートインタフェース)は、キャリア300をロードポート370と整列させるためのキャリア位置決め機構を装備している。キャリア位置決め機構は、キャリアをロードポートと連結する際の過剰制約を解消し、従来のキャリア位置決め方法等を用いて、例えば複数のインタフェース面(例えば、キャリアの底部およびキャリア/ポートインタフェース)間の整列を維持することにより、キャリア300とポート370との間のあらゆる不整合を最小化するために、キャリア/ポートドアインタフェース(例えば、シール面310)と同じ表面上に位置し得る。
【0027】
この例示的な実施形態において、キャリア表面304は、位置決め機構、例えば、上部溝または陥凹301および下部溝または陥凹302等の運動学的連結機構を装備している。ポート表面372は、ポート表面上におけるキャリアの決定論的で反復可能な位置付けのために、対応する位置決め機構、例えば、上部陥凹301を係合させるための上部突起またはピン390および下部陥凹302を係合させるための下部突起またはピン302等の相補的な運動学的連結機構を装備している。代替的な実施形態において、ピンはキャリア表面上に位置してもよく、陥凹はポート表面上に位置してもよい。その他の代替的な実施形態において、例えば、フックとループ、L型ピンと陥凹、ボールとソケット、または後述するようなインタフェースを過剰制約しないその他の任意の接続等、任意の適切な係合デバイスを位置決め機構として利用してもよい。位置決め機構は、キャリアドア330およびポートドア340が、位置決め機構、シール面310またはキャリアドア330とポートドア340との間の相互作用に干渉することなく除去または開放され得るように、キャリア表面304およびポート表面372上に位置してもよい。例えば、キャリアの位置決め機構は、例えばキャリアドア330周囲の縁または枠に沿って等、キャリア表面304の外周辺上に位置してもよい。ロードポート370の位置決め機構は、同様に、ポートドア340周囲の縁または枠周辺に位置してもよい。キャリア、キャリアドア、ポート枠およびポートドアの間のシールインタフェースは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2006年11月3日に出願された米国特許出願第11/556,584号、2007年4月18日に出願された第11/787,981号、2007年5月11日に出願された第11/803,077号および2007年8月13日に出願された第11/891,835号において記載されているものと同様であってよい。
【0028】
位置決め機構390、395、301、302は、キャリア300を安定に保持し、ポート370と整列させるように構成されてもよい。例えば、溝または陥凹301、302は、ポート表面372の対応するピン390、395が、例えば陥凹301、302の中心線に案内されてピンおよび陥凹の反復可能な整列を達成するように、V溝または凹形状を有してもよい。同様に、ピン390、395は、陥凹301、302と嵌合するための対応する溝付きまたは凸形状を有してもよい。代替的な実施形態において、陥凹301、302およびピン390、395は、例えば円錐形または球形等、ポート370上におけるキャリア300の反復可能な配置を可能にする任意の適切な形状を有し得る。
【0029】
図3Cからわかるように、上に記載されているピンおよび陥凹等、3セットの位置決め機構396A、396B、397Aを利用して、キャリア300をポート370に対して確定的に位置付け、安定に保持することができる。この例示的な実施形態において、三角形を形成する2セットの上部位置決め機構396A、396Bおよび1セットの下部位置決め機構397Aを利用して、キャリア300を保持し、ポート370に整列させることができる。代替的な実施形態において、より多いまたは少ない位置決め機構を利用して、キャリアとポートとの間に決定論的な運動学的連結器を画定することができる。例えば、2セットの上部位置決め機構と2セットの下部位置決め機構、1セットの上部位置決め機構と2セットの下部位置決め機構、1セットの上部位置決め機構と1セットの下部位置決め機構等があってもよい。その他の代替的な実施形態において、任意の適切な数の上部および下部位置決め機構を利用してもよい。さらに他の代替的な実施形態において、位置決め機構の種類の任意の組み合わせを利用してもよく、例えば、フックとループ、ボールとソケット、および/またはピンと溝の任意の組み合わせを利用してよい。また他の代替的な実施形態において、シール面310またはその他の任意の適切な機構は、位置決め機構にさらなる回転安定性を付与することができる。運動学的連結器の位置決め機構は、自動マテリアルハンドリング搬送システムとの自由で制約されないインタフェースを可能にし、FAB床と整列させることができるポートにキャリアをロードおよびアンロードしながら、処理ステーションのウエハ搬送平面を基準にして設置することができる。
【0030】
この例示的な実施形態において、上に記載されている機械的に安定な状態で連結器をプレロードする力を付与するために、キャリア300の重心305が利用される。代替的な実施形態において、機械的に安定な状態のための力は、例えば、カセットに作用するスプリング、ガイド、レバー、線形または回転アクチュエータ等、任意の適切な様式で得ることができる。
【0031】
ここで、上部ピン390は、下部ピン395が下部陥凹302を係合させる前に上部陥凹301を係合させることができる。キャリア300の重心305に存在する重力と同時に作用する、上部ピン390によって上部陥凹301に働く反力F2およびF3は、キャリアに、上部ピン390と上部陥凹との間の係合点の周囲を回転させるモーメントMyを付与することができる。モーメントMyは、上部ピンと上部陥凹とを一緒に係止すること、またはそれらの間の係合の締着を実行することもできる。上部係合点の周囲における回転またはモーメントMyは、反力F1およびF4がキャリア300に働いてキャリア300のさらなる回転を防止するように、下部陥凹302が下部ピン395を係合させるよう促すことができる。この例示的な実施形態において、上部および下部位置決め機構間の係合は、キャリア300をロードポート370上に保持する。代替的な実施形態において、ライブサポートを利用して、キャリア300をロードポート370上に保持するのを補助することができる。例えば、バネ荷重垂直サポートを利用して、位置決め機構に対してまたはそれによって働く力を軽減すること、および、キャリアを部分的に垂直に支持しながら、同時に上に記載されている通りの位置決め機構の予負荷を可能にすることができる。
【0032】
動作中、オーバーヘッド搬送機320等の搬送により、キャリア300がロードポート370上に降下する(図6、ブロック600)。オーバーヘッド搬送機320は、キャリア300の上部陥凹301がロードポート370の上部ピン390と略整列するように、ロードポートと十分に整列することができる。上部陥凹301と上部ピン390とが係合すると、キャリアの重量により、両者は整列させられる(例えば、陥凹の縦中心線がピンの縦中心線と整列する)(図6、ブロック610)。キャリア300の重心305において作用するキャリアの重量は、下部陥凹302と下部ピンとが係合するように促されて、キャリア300とロードポート370との間に機械的に安定な載置または連結された状態を形成するように、上部陥凹301と上部ピン390との間の係合点の周囲におけるキャリア300の回転を引き起こす(図6、ブロック620、630)。シール面310は、キャリア300とロードポート370とが連結するときに、キャリア300および/またはロードポート370の外部の雰囲気がキャリア300および/またはロードポート370の内部に入るのを防止することができる。ポートドア340は、ポートドア340とキャリアドア330との間で捕捉され得るあらゆる雰囲気がキャリア300および/またはロードポート370から漏れたりその中へ入ったりしないように密封するシールを有してもよい。
【0033】
ポートドア340は、機械的またはソリッドステート連結器等の適切な連結器によってキャリアドア330を係合させ、例えばロードポート370内に位置する搬送装置によって基板120にアクセスすることができるように、キャリアドア330をキャリア300から除去する(例えば、ドアを開放する)ことができる。キャリアドア330のくさび形状または別の角度をつけた構成およびキャリア300とロードポート370との間の角度をつけた係合面304、372により、ポートドアオープナ360に、略垂直の運動軸350に沿ってキャリアドア330を除去/設置させることが可能となる(図6、ブロック640)。
【0034】
ここで図4を参照すると、別の例示的な実施形態に従うキャリア/ロードポートインタフェースが示されている。キャリア300’およびロードポート370は、特に断りのない限り、上に記載されているキャリアおよびロードポートと略同様であってもよい。この例示的な実施形態において、キャリア300’は、キャリアドア340’が、キャリア300’の上部および下部表面420、410に対して角度をつけてキャリア300’に載置または付着されるように構成される。この例示的な実施形態において、ドア330’は、ドア330’がキャリア300’の底部410の方を向くように角度をつけられる。代替的な実施形態において、キャリアおよびキャリアドアは、ドアがキャリアの頂面または側面の方を向くように構成されてもよい。角度をつけたドアは、キャリアをロードポートおよびポートドアに対して密封するための継続的かつ略平坦な表面を提供することができる。
【0035】
キャリア300’は、キャリア表面304’上に位置する図3A〜3Cに関連して上に記載されているものと略同様の位置決め機構を有し得る。ロードポートも、キャリアのロードポートとの整列を引き起こす、ポート表面372’上に位置する図3A〜3Cに関連して上に記載されているものと略同様の位置決め機構を有し得る。例えば、図3Bおよび3Cを再度参照すると、キャリアインタフェース304’は、上に記載されているもの等の位置決め機構を有し得る。位置決め機構は、例えば、図3Cに示され、上に記載されている三角形パターン等、任意の適切な構成を有し得る。この例示的な実施形態において、キャリア300’の重心305を利用して、図4に示され、上に記載されている機械的に安定な状態で連結器をプレロードする力を付与することができる。また、前述のように、代替的な実施形態において、機械的に安定な状態のための力は、例えば、カセットに作用するスプリング、ガイド、レバー、線形または回転アクチュエータ等、任意の適切な様式で得ることができる。
【0036】
ロードポート370は、下部ピン395が下部陥凹302を係合させる前に上部陥凹301を係合させることができる上部ピン390を含み得る。陥凹301、302は、キャリアインタフェース304’等、キャリア300’上の任意の適切な位置に位置してもよい。キャリア300’の重心305に存在する重力と同時に作用する、上部ピン390によって上部陥凹301に働く反力F2およびF3は、キャリアに、上部ピン390と上部陥凹との間の係合点の周囲を回転させるモーメントMyを付与することができる。モーメントMyは、上部ピンと上部陥凹とを一緒に係止すること、またはそれらの間の係合の締着を実行することもできる。上部係合点の周囲における回転またはモーメントMyは、反力F1およびF4がキャリア300’に働いてキャリア300’のさらなる回転を防止するように、下部陥凹302が下部ピン395を係合させるよう促すことができる。この例示的な実施形態において、上部および下部位置決め機構間の係合は、キャリア300’をロードポート370上に保持する。前述のように、代替的な実施形態において、ライブサポートを利用して、キャリア300’をロードポート370上に保持するのを補助することができる。
【0037】
動作中、キャリア300’はロードポート上に搬送され、ここで、図3A〜3Cに関連して上に記載されているものと略同様の様式で、位置決め機構を介してロードポートと連結および整列され得る。しかしながら、この例示的な実施形態において、キャリアドア330’の開放は、上に記載されているものと異なる。後述するように、キャリアドアの除去/設置は、角度をつけて行われ得る。ドアの角度をつけた経路は、ロードポート設置面積の減少を可能にする。
【0038】
ポートドアは、機械的またはソリッドステート連結器等の適切な連結器によってキャリアドア330’を係合させ、例えばロードポート370内に位置する搬送装置によって基板120にアクセスすることができるように、キャリアドア330’をキャリア300’から除去する(例えば、ドアを開放する)ことができる。キャリアドア330’の角度をつけた構成およびキャリア300’とロードポート370との間の角度をつけた係合面304’、372’により、ポートドアオープナに、キャリアドアがキャリア表面304’と略垂直の方向に除去されるように、角度をつけた運動軸351に沿ってキャリアドア330’を除去/設置させることができる(図6、ブロック640)。代替的な実施形態において、ポートドアオープナは、ドア330’とキャリア/ロードポート表面との間に十分なクリアランスが存在するようになるまでキャリアドアが角度のある経路に沿って除去されるように、角度のある経路を垂直な運動経路と組み合わせた経路(例えば、図4の経路352を参照)に沿ってキャリアドア330’を除去/設置することができる。キャリアドアおよびロードポートドアがキャリア/ポートインタフェースから離れている場合、キャリアドアは、略垂直の運動経路に沿って搬送され、キャリア内の基板へのアクセスを可能にすることができる。さらに他の代替的な実施形態において、任意の適切な運動経路を利用して、キャリアドアを除去/設置することができる。
【0039】
前述の説明は、実施形態の例示にすぎないことを理解すべきである。本実施形態から逸脱することなく、当業者によって種々の代替形態および修正形態が考案され得る。したがって、本実施形態は、添付の請求項の範囲内に入るそのような代替形態、修正形態および変動形態をすべて包含することが意図されている。
【図1】

【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板キャリアを加圧するための方法であって、
前記キャリアと一体構造のものであるチャンバおよび/または前記キャリア内の基板カセットを加圧するステップと、
前記チャンバから前記キャリア内へガスを放出することにより、前記キャリア内の圧力を維持するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記チャンバを加圧するステップは、前記チャンバを第1の位置で加圧するステップを含み、前記方法は、前記基板キャリアを、前記第1の位置から離れた、前記キャリア内の圧力が前記チャンバによって遠隔で維持される第2の位置へ移動させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア内の圧力を維持するステップは、前記チャンバから前記キャリア内へ放出されるガスの量を調節するステップと、前記キャリアの過加圧を防止するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリアおよび/またはチャンバ内の圧力を監視するステップと、
前記圧力が所定レベル未満である場合には警告を報告するステップと、
チャンバ補充ステーションから離れた位置から前記チャンバ補充ステーションへ前記キャリアを搬送するように、ハンドリングシステムに命令するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリアおよび/またはチャンバ内の圧力に関する周期信号を、前記キャリアからハンドリングシステムコントローラへ送信するステップをさらに含み、前記コントローラは補充がいつ必要であるかを予測する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
外部雰囲気から略隔離された基板を保持および運搬するためのケーシングであって、前記基板を保持することができる少なくとも1つのチャンバおよび前記外部雰囲気とは異なるチャンバ雰囲気を有するケーシングと、
ガス供給部およびケーシングがユニットとして移動可能なように前記ケーシングと接続された携帯型ガス供給部であって、前記チャンバ雰囲気が所定圧力に維持されるよう、ガスの供給部を保持し、前記供給部から前記少なくとも1つのチャンバ内へガスを制御可能に排出するように配置されているガス供給部と
を有する基板搬送キャリアを備える、基板搬送システム。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記ガス供給部を画定する別のチャンバを形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記携帯型ガス供給部は、前記ケーシングと着脱可能に連結されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記携帯型ガス供給部を加圧するように構成される第1の位置をさらに備え、前記携帯型ガス供給部は、前記基板搬送キャリアが前記第1の位置から離れた第2の位置にある場合、前記チャンバ雰囲気の遠隔保守を実行する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記基板搬送キャリアと接続された圧力監視ユニットと、
前記基板搬送キャリアを搬送するように構成されるハンドリングシステムと、
をさらに備え、
前記圧力監視ユニットは、
前記少なくとも1つのチャンバおよび/または前記携帯型ガス供給部内の圧力を監視し、
前記圧力が所定レベル未満である場合には、前記ハンドリングシステムのコントローラに警告を報告するように構成され、
前記コントローラは、携帯型ガス供給部補充ステーションから離れた位置から前記携帯型ガス供給部補充ステーションへ前記基板搬送キャリアを搬送するように、前記ハンドリングシステムに命令するように構成される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
基板キャリアをポートと連結するための方法であって、
前記キャリアの少なくとも1つの上部位置決め機構を、前記ポートの少なくとも1つの上部位置決め機構のうちの対応する1つに係合させるステップと、
前記キャリアを回転させるステップと、
前記キャリアの少なくとも1つの下部位置決め機構を、前記ポートの少なくとも1つの下部位置決め機構のうちの対応する1つに係合させるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記キャリアの重心は、前記キャリアおよびポートの予負荷係合された位置決め機構を機械的に安定な状態で実行する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリアの少なくとも1つの上部および少なくとも1つの下部位置決め機構は、キャリアドア開口部が位置する前記キャリアの表面上に位置する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ボックスオープナ/ローダー・ツール標準インタフェース面に対して角度をつけた経路に沿って、前記キャリアのドアを設置または除去するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記角度のある経路は、キャリアドア開口部の角度に対応する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記経路は、双方向経路を含む、請求項14に記載の方法。

【図2】
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【図3A−3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−503990(P2010−503990A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528300(P2009−528300)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/019951
【国際公開番号】WO2008/147379
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(398029692)ブルックス オートメーション インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】