説明

クロック信号生成回路、表示パネルモジュール、撮像デバイス及び電子機器

【課題】従来型のクロック信号生成回路は回路規模が大きく製造コストが高くなる。
【解決手段】遅延同期ループ型のクロック信号生成回路を、第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、遅延同期ループ型のクロック信号生成回路に関する。特に、能動素子が薄膜形成技術や印刷技術を用い形成される場合に好適なものである。なお発明は、表示パネルモジュール、撮像デバイス及び電子機器としての側面も有する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、大画面のディスプレイだけでなく中小型の表示ディスプレイでも表示解像度の高精細化が望まれている。これに伴い、入力クロック信号や映像信号の高周波数化が進んでいる。
【0003】
例えば、ディスプレイ基板上に機能回路を集約したシステムディスプレイでは、映像信号をシリアル形式からパラレル形式に変換することで信号周波数を低下させ、低消費電力化や薄膜トランジスタの特性ばらつきに対する動作マージンの向上を図っている。
【0004】
しかし、映像信号の入力周波数が非常に高くなっている昨今のシステムディスプレイでは、ディスプレイ基板上で発生するクロック信号と映像信号の遅延差が無視できなくなっている。
【0005】
なお、遅延同期ループ型のクロック信号生成回路には、以下に示すものがある。
【特許文献1】特開2006−287641号公報
【特許文献2】特開2007−6517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、クロック信号生成回路に位相調整回路(PLL回路やDLL回路)を用い、遅延差を0(ゼロ)に近づけることでクロック信号と映像信号の遅延差を小さくする方法が考える。
【0007】
しかし、クロック信号生成回路を構成する能動素子を絶縁基板上に薄膜トランジスタとして形成又は印刷する場合、回路規模が大きいためにパネル上への搭載が難しい問題がある。
【0008】
これは、絶縁基板上に形成又は印刷される薄膜トランジスタの素子サイズが、シリコン(半導体)基板上に製造されるトランジスタと比較して素子サイズが大きくなるためである。特に、遅延量を設定する部分をディジタル回路で構成する場合には回路規模が大きくなる問題が容易に予測される。なお、回路規模が大きくなれば理収が悪くなり、製造コストも上がってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者らは、遅延同期ループ型のクロック信号生成回路として、第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部とを有するものを提案する。
【0010】
なお、ディジタル型の遅延線路は、遅延時間長の粗調整用の第1の遅延線路と、遅延時間長の微調整用の第2の遅延線路の直列接続によって構成され、リング型シフトレジスタは、前記第1の遅延線路に対応する第1のリング型シフトレジスタと、前記第2の遅延線路に対応する第2のリング型シフトレジスタとで構成され、遅延量制御部は、前記第1の遅延線路に対応する第1の遅延量制御部と、前記第2の遅延線路に対応する第2の遅延量制御部とで構成されることが好ましい。
【0011】
すなわち、遅延線路を粗調整用と微調整用の2段構成とし、各段別にリング型シフトレジスタと遅延制御部を配置することが望ましい。この場合、単一の遅延線路による遅延量の調整動作よりも短時間での位相同期が可能となる。
【0012】
更に、第1及び第2のリング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、第1のクロック信号又は前記第2のクロック信号の周波数より低いことが望ましい。例えばシフトクロック信号は、第1のクロック信号の分周出力として与えることが望ましい。
【0013】
このように周波数の低いシフトクロックを用いることで、シフトレジスタの動作マージンを向上させることができる。その分、歩留まりを向上でき、製造コストの低減を実現できる。
【0014】
ところで、第1のリング型シフトレジスタに入力される第1のシフトクロック信号の周波数は、前記第2のリング型シフトレジスタに入力される第2のシフトクロック信号の周波数より低いことが望ましい。
【0015】
すなわち、粗調整用のシフトレジスタで使用するシフトクロックの周波数を、微調整のシフトレジスタで使用するシフトクロックの周波数よりも低くする。結果的に、粗調整用のシフトレジスタの動作マージンを微調整用のシフトレジスタの動作マージンよりも高めることができる。
【0016】
なお、粗調整用と微調整用の両方で遅延時間長が設定された状態で、新たに位相差の発生が生じた場合には、まず微調整用の遅延時間長の設定動作だけを再開することが望ましい。この動作は粗調整用と微調整用のシフトクロックの周波数差により実現できる。
【0017】
また、ディジタル型の遅延線路は、遅延時間長の粗調整用の第1の遅延線路と、遅延時間長の微調整用の第2の遅延線路の直列接続によって構成され、第1の遅延線路の遅延時間長の設定は前記リング型シフトレジスタが実行し、第2の遅延線路の遅延時間長の設定はディジタル型の遅延量設定部が実行することが望ましい。
【0018】
すなわち、遅延線路を粗調整用と微調整用の2段構成とし、少なくとも粗調整用の各段別にリング型シフトレジスタと遅延制御部を配置することが望ましい。この場合、遅延時間長の粗調整のみをリング型シフトレジスタで実行し、遅延時間長の微調整は周知回路を含む他の遅延調整回路で実現する。
【0019】
なおこの場合も、リング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、第1のクロック信号又は第2のクロック信号の周波数より低いことが望ましい。このように周波数の低いシフトクロックを用いることで、シフトレジスタの動作マージンを向上させることができる。
【0020】
なお、位粗調整用と微調整用の両方で遅延時間長が設定された状態で、新たに位相差の発生が生じた場合には、まず微調整用の遅延時間長の設定動作だけを再開する。この動作は粗調整用と微調整用のシフトクロックの周波数差により実現できる。
【0021】
なお、前述の例とは異なり、遅延線路を一段で構成する場合も、リング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、第1のクロック信号又は前記第2のクロック信号の周波数より低いことが望ましい。この際、シフトクロックは、第1のクロック信号の分周出力として与えられることが望ましい。
【0022】
また、発明者らは、前述した構成のクロック信号生成回路を搭載した表示パネルモジュール、撮像デバイス又は電子機器を提案する。
ここで、表示パネルモジュールは、表示パネルと、前述したいずれかの構成のクロック信号生成回路と、その出力クロックである第2のクロック信号に基づいて表示パネルを駆動する駆動回路とで構成する。
【0023】
因みに、表示パネルモジュールを構成するクロック信号生成回路の能動素子は、絶縁基板上に形成又は印刷された薄膜トランジスタであることが望ましい。また、表示パネルは、例えば液晶パネル、有機ELパネルであることが望ましい。
【0024】
また、撮像デバイスは、撮像素子と、前述した構成のクロック信号生成回路と、その出力クロックである第2のクロック信号に基づいて撮像素子を駆動する駆動回路とで構成する。
【0025】
また、電子機器は、前述した構成のクロック信号生成回路と、システム全体の動作を制御するシステム制御部と、システム制御部に対する操作入力を受け付ける操作入力部とで構成する。
【発明の効果】
【0026】
発明者らの提案する構造を有するクロック信号生成回路の採用により、当該回路をオン抵抗の高い薄膜トランジスタで生成する場合にも回路面積の小型化を実現できる。特に、遅延段数が多いほど、従来型の回路構成よりも回路面積を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、発明をシステムディスプレイに適用する場合について説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0028】
(A)形態例1
以下では、ディスプレイパネルが液晶ディスプレイパネルの場合について説明する。
【0029】
(A−1)ディスプレイパネルの構成
図1に、この形態例で説明するディスプレイパネル1の平面構成例を示す。この形態例の場合、ガラス基板3の表面には、表示領域5と共にその周辺回路も同一プロセスで形成する。すなわち、ディスプレイパネル1がシステムパネルである場合を想定する。
【0030】
表示領域5には、表示解像度に応じてゲート線と信号線とが格子状に形成され、それらの各交点位置に画素回路が形成される。すなわち、表示領域5は、アクティブマトリクス駆動方式に対応するパネル構造を有している。なお、ゲート線は表示領域のx方向に延びる配線であり、信号線は表示領域のy方向に延びる配線である。
【0031】
各画素回路には、薄膜トランジスタで構成されるスイッチングトランジスタと、書き込まれた信号電圧を保持する保持容量Csとが形成される。なお、スイッチングトランジスタのゲート電極はゲート線に接続され、一方の主電極が信号線に接続される。また、他方の主電極が画素電極に接続される。
【0032】
画素電極は、不図示の対向電極との間に電界を発生し、当該電界により液晶の配列方向を可変制御する。なお、この形態例の場合、画素回路の構造は問わない。例えば画素電極と対向電極を異なるパネル基板上に対向するように配置する方式や画素電極と対向電極を同じパネル基板上の同一面に形成するIPS(In-Plain Switching )方式その他にも適用できる。
【0033】
表示領域5の周辺には、信号線ドライバ7、ゲート線ドライバ9、クロック信号生成回路11等が機能回路として形成される。
信号線ドライバ7は、書き込みタイミングに応じた信号電圧を対応する信号線に印加する駆動回路である。
【0034】
信号線ドライバ7は、x方向の画素数分のフリップフロップ段で構成されたシフトレジスタと、個々のフリップフロップ段の出力で信号値をラッチし、そのラッチ出力をアナログ電圧に変換するディジタル・アナログ変換回路等とで構成される。
【0035】
ゲート線ドライバ9は、信号電圧の書き込みタイミングを線順次にゲート線に与える駆動回路である。ゲート線ドライバ9は、y方向に並ぶ画素数分のフリップフロップ段で構成される。
信号線ドライバ7及びゲート線ドライバ9は、クロック信号生成回路11から与えられるクロック信号(後述するCLK2)により駆動される。
【0036】
因みに、クロック信号生成回路11は、映像信号と同期した入力クロックが入力される回路であり、後述するように入力クロックCLK1に同期した出力クロックCLK2を生成する。この形態例の場合、クロック信号生成回路11を構成する能動素子は、絶縁基板であるガラス基板3上に半導体プロセスを用いて形成される。
【0037】
この他、ガラス基板3には電源供給TCP13が配置される。これらの配線はフレキシブル配線であり、接続パッドを通じて表示領域内の電源供給線に接続される。なお、信号線ドライバ7、ゲート線ドライバ11、クロック信号生成回路11に対する駆動信号も不図示の配線を通じて供給される。因みに、下部基板であるガラス基板3の表面には、液晶層を封止するように対向ガラス15が配置される。
【0038】
(A−2)クロック信号生成回路の構成
図2に、この明細書において発明者らが提案する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路11の内部構成例を示す。
クロック信号生成回路11は、入力バッファ回路21、ディジタル遅延線23、出力バッファ回路25、位相比較回路27、シフトクロック発生部29、リング型シフトレジスタ31で構成される。
【0039】
入力バッファ回路21と出力バッファ回路25は、それぞれインバータ回路を複数段直列に接続した回路である。入力バッファ回路21に入力される入力クロックCLK1が、特許請求の範囲の第1のクロックに対応する。一方、出力バッファ回路27から出力される出力クロックCLK2が、特許請求の範囲の第2のクロックに対応する。
【0040】
ディジタル遅延線23は、入力クロックCLK1の遅延量をディジタル的に制御可能な遅延線である。この形態例では、各インバータ回路の遅延量を2値的に切り換える方式のディジタル遅延線23を使用する。
図3に、ディジタル遅延線23の回路例を示す。
【0041】
ディジタル遅延線23は、負荷容量付きのCMOSインバータ回路の直列接続回路で構成される。この形態例の場合、CMOSインバータ回路の接続段数は16段とする。ただし、CMOSインバータ回路の各出力端と接地線との間にはCMOSスイッチが挿入されており、伝搬路と負荷容量との接続を切り替え制御できる構成になっている。
【0042】
なお、各スイッチの開閉は、後述するリング型シフトレジスタ31により実行され、伝送路に接続される負荷容量の数を0(ゼロ)個から16個の範囲で増減できる構成になっている。
因みに、全てのCMOSスイッチが開制御される場合(全てのCMOSスイッチがオフ制御された場合)が、最も遅延時間が短い状態である。
【0043】
そして、伝送路に接続される負荷容量の数が1つ増加すると、ディジタル遅延線23上での遅延量は単位遅延量ずつ増加する仕組みになっている。従って、全てのCMOSスイッチが閉制御された場合(全てのCMOSスイッチがオン制御された場合)が、最も遅延時間が長い状態になる。
【0044】
位相比較回路27は、入力クロックCLK1のエッジ位相と出力クロックCLK2のエッジ位相を比較し、その比較関係に応じた判定出力Q1、Q2を後段に出力する回路である。
図4に、位相比較回路27の回路構成例を示す。
【0045】
位相比較回路27は、入力クロックCLK1をクロック信号として動作するDフリップフロップ41と、出力クロックCLK2をクロック信号として動作するDフリップフロップ43と、Dフリップフロップ41及び43の出力信号の論理積を求めてDフリップフロップ41及び43のリセット信号を生成する論理積ゲート45で構成される。
【0046】
この回路構成の場合、位相比較回路は27、立ち上がりエッジが先に検出されたクロックCLKに対応するDフリップフロップの出力信号が先に「Hレベル」となり、後に「Hレベル」が現れるクロックCLKに対応するDフリップフロップの出力信号が「Hレベル」となるタイミングでDフリップフロップ41及び43の判定出力Q1及びQ2が共にリセットされる。
【0047】
結果的に、位相差の分だけ「Hレベル」の判定出力Q1又はQ2が出力される。例えば入力クロックCLK1の位相の方が出力クロックCLK2の位相より進んでいる場合、その位相差の期間だけ判定出力Q1だけが「Hレベル」になる。一方、出力クロックCLK2の位相の方が入力クロックCLK1の位相より進んでいる場合、その位相差の期間だけ判定出力Q2だけが「Hレベル」になる。
【0048】
なお、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2のエッジ位相がほぼ同じ場合、位相比較回路27は、Dフリップフロップ41及び43の両方から「Lレベル」の判定出力Q1及びQ2が継続的に出力される。
図5に、以上説明した判定出力Q1、Q2と位相状態の関係を示す。
【0049】
シフトクロック発生部29は、位相比較回路27の判定出力Q1及びQ2に基づいてシフトクロックの供給と停止を制御する回路である。このシフトクロック発生部29は、特許請求の範囲における「遅延量制御部」に対応する。
【0050】
シフトクロック発生部29は、判定出力Q1及びQ2の一方が「Hレベル」で他方が「Lレベル」の期間中、シフトクロックSCLKをリング型シフトレジスタ31に供給し、判定出力Q1及びQ2の両方が「Lレベル」の期間、シフトクロックSCLKのリング型シフトレジスタ31への供給を停止する回路である。
【0051】
図6に、シフトクロック発生部29の回路例を示す。図6の場合、シフトクロック発生部29は、チャージポンプ51、バッファ53、ダイオード接続されたトランジスタ55、リセットトランジスタ57、ラッチ59、バッファ61、論理積ゲート63、バッファ65で構成される。
【0052】
チャージポンプ51は、判定出力Q1を論理反転するインバータ511と、CMOSスイッチ(513、515)と、保持容量517で構成される。
【0053】
チャージポンプ51は、初期状態で「Lレベル」を出力する。なお、この形態例の場合、リセット動作直後のクロック信号生成回路11は、必ず出力クロックCLK2の位相が入力クロックCLK1よりも早くなるように設計されている。
【0054】
従って、チャージポンプ51は、入力クロックCLK1の位相と出力クロックCLK2の位相が同じになるか、入力クロックCLK1の位相が出力クロックCLK2の位相より早くなるまでは「Lレベル」を出力する。
【0055】
そして、チャージポンプ51は、入力クロックCLK1の位相と出力クロックCLK2の位相が同じになるか、入力クロックCLK1の位相が出力クロックCLK2の位相より早くなったとき、「Hレベル」を出力する。
【0056】
バッファ53は、偶数段のインバータ回路が直列に接続された回路である。ボルテージフォロア55は、薄膜トランジスタのドレイン電極とゲート電極を接続したバッファ回路であり、ゲート電極電位がそのままソース電極電位となる。
リセットトランジスタ57は、ラッチ59の入力レベルを強制的に「Lレベル」にリセットするための薄膜トランジスタである。
【0057】
ラッチ59は、2つのインバータ回路をリング状に接続した回路段である。バッファ61は、偶数段のインバータ回路が直列に接続された回路である。論理積ゲート63は、前述した論理ゲート(51、53、55、57、59、61)とシフトクロックSCLKとの論理積を出力するゲート回路である。
【0058】
従って、論理積ゲート63は、論理ゲート(51、53、55、57、59、61)の出力が「Hレベル」の間だけ、シフトクロックSCLKをバッファ65に出力する。因みに、論理積ゲート63は、論理ゲート(51、53、55、57、59、61)の出力が「Lレベル」のとき、シフトクロックSCLKの出力を停止する。なお、バッファ65は、複数段のインバータ回路が直列に接続された回路である。
【0059】
リング型シフトレジスタ31は、ディジタル遅延線23と同じ段数のDフリップフロップをリング状に接続したシフトレジスタ回路である。このリング型シフトレジスタ31は、特許請求の範囲における「遅延量設定部」の一つの態様である。
【0060】
図7に、リング型シフトレジスタ31の回路例を示す。図7の場合、リング型シフトレジスタ31は、前段のQ出力を次段のD入力とする16段のDフリップフロップ回路と、最終段のQ出力を論理反転して初段のD入力に帰還するインバータ回路71とで構成される。
【0061】
なお、Dフリップフロップ回路はリセット端子を備え、リセット信号の入力により全てのQ出力が「Lレベル」の状態に変更される。また、Dフリップフロップ回路はシフトクロック端子を備え、シフトクロックSCLKの供給によりD入力をラッチし、Q出力として次段に出力する動作を実行する。
【0062】
この形態例の場合、リセット状態から入力されるシフトクロックSCLKの立ち上がりエッジの数だけ、Q出力が「Hレベル」に立ち上がるように動作する。勿論、Q出力とその反転出力(反転Q出力)の論理レベルの関係は互いに逆になる。
【0063】
また、各フリップフロップ回路段のQ出力と反転Q出力は、ディジタル遅延線23を構成する各段に対応するCMOSスイッチの開閉動作を実行する。ここで、Q出力はNチャネル型の薄膜トランジスタのゲート電極に接続され、反転Q出力はPチャネル型の薄膜トランジスタのゲート電極に接続される。従って、CMOSスイッチを構成する2つの薄膜トランジスタの開動作と閉動作はいずれも同時に実行される。
【0064】
(A−3)クロック信号生成回路の動作及び効果
以下では、図8及び図9を用いて、クロック信号生成回路11で実行される動作を説明する。
【0065】
(a)リセット時
まず、電源投入時に実行されるリセット動作を説明する。図8(A)は、リセット動作時のシフトクロック発生部29の動作状態を説明する図である。
【0066】
このとき、シフトクロック発生部29を構成するラッチ59の前段電位は強制的に「Lレベル」に設定される。
従って、シフトクロック発生部29を構成する論理積ゲート63には、「Hレベル」の論理ゲート出力が入力される。
【0067】
このため、シフトクロック発生部29からリング型シフトレジスタ31には、シフトクロックSCLKが供給される(図9(B))。ただし、リセット信号(図9(A))が「Hレベル」であるので、リング型シフトレジスタ31を構成する各Dフリップフロップはリセットされる。
【0068】
すなわち、シフトクロックSCLKが入力されても、各Dフリップフロップ段のQ出力(図9(C1)〜図9(C16))は「Lレベル」となる。
このため、リセット期間中のディジタル遅延線23の遅延量は最小値のままとなる。ディジタル遅延線23の全てのCMOSスイッチが開制御されるからである。
【0069】
(b)位相ロックまで
次に、リセット動作の終了から入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の位相ロックまでの動作を説明する。
図8(B)に、リセット動作の終了時点の動作状態を示す。このとき、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2は未だ同期していない。従って、チャージポンプ51の出力は「Lレベル」となる。
【0070】
勿論、シフトクロック発生部29を構成するラッチ59の入力電位は「Lレベル」であり、その状態が保持される。
従って、シフトクロック発生部29を構成する論理積ゲート63には、「Hレベル」の論理ゲート出力が入力される。
【0071】
このため、この期間も引き続き、シフトクロック発生部29からリング型シフトレジスタ31にシフトクロックSCLKが供給される(図9(B))。
ところが、今回は、リセット信号(図9(A))が「Lレベル」である。従って、シフトクロックSCLKのエッジがDフリップフロップに入力されるたびに、先頭段から順番にQ出力が「Hレベル」に立ち上がる。
【0072】
図9(C1)〜図9(C15)は、シフトクロックSCLKのエッジが15個入力された場合の波形を示している。すなわち、先頭から15段までのDフリップフロップからは「Hレベル」のQ出力が出力され、16段目のDフリップフロップのみ「Lレベル」のQ出力が出力される。
【0073】
(c)位相ロック以降
最後に、位相ロック以降の動作を説明する。図8(C)は、位相ロック時のシフトクロック発生部29の動作状態を説明する図である。
このとき、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2は同期しているので、チャージポンプ51の出力は初めて「Hレベル」に変化する。
【0074】
結果的に、ラッチ59の入力電位は「Hレベル」にセットされ、その状態が保持される。この電位変化により、シフトクロック発生部29を構成する論理積ゲート63に入力される論理ゲート出力は、「Hレベル」から「Lレベル」に切り替わり、以後その状態が維持される。
【0075】
この電位変化以降は、図9(B)に示すように、シフトクロックSCLKのリング型レジスタ31への供給が停止される。
勿論、シフトクロックSCLKの供給が停止されると、リング型シフトレジスタ31における「Hレベル」のシフト動作は停止する。図9の例であれば、先頭から15段目までのQ出力が「Hレベル」に切り替わった状態が維持される。
【0076】
一方、ディジタル遅延線23を構成するCMOSインバータ回路に接続される負荷容量の接続段数は15段となり、遅延時間の最小値より単位遅延時間の15個分だけ遅延時間が長く調整されたクロックが出力バッファ回路25に出力される。
【0077】
(d)まとめ
以上の通り、遅延量設定部をリング型シフトレジスタ31で構成することにより、遅延量のディジタル制御を実現できる。
しかも、この回路構成は、カウンタとデコーダを使用する従来型の遅延量設定部に比べて素子数が少なく済み、回路規模の削減を実現できる。
【0078】
図10に、カウンタとデコーダで構成される遅延量設定部を用いたクロック信号生成回路例を示す。なお、図10には図2との対応部分に同一符号を付して示す。
図10に示すクロック信号生成回路81は、入力バッファ回路21、出力バッファ回路25、位相比較回路27、クロック発生部83、カウンタ85、デコーダ87、ディジタル遅延線89で構成される。
【0079】
このうち入力バッファ回路21、出力バッファ回路25、位相比較回路27については図2と同じものを使用する。なお、ディジタル遅延線89は、図6に示す構造とは異なり、CMOSインバータ回路の2段直列接続を一単位とする16個のバッファ回路段の直列接続回路で構成される。
【0080】
なお、各バッファ回路段(最終段を除く)の出力線路は2つに分岐され、一方は次段のバッファ回路段に接続され、他方はCMOSスイッチ経由で出力端子に接続される。この回路構成の場合、遅延量の制御は、16個のCMOSスイッチのうち閉制御される唯一つのCMOSスイッチの位置の制御により実現される。
【0081】
この唯一つのCMOSスイッチの位置を、カウント値に基づいて生成するのがデコーダ87である。
図11及び図12に、ディジタル遅延線89の駆動に適したカウンタ85とデコーダ87の回路構成例を示す。
【0082】
このとき、図11に示すカウンタ85の素子数は、4個のDフリップフロップに相当する80個(=20×4)と、7個の排他的論理和ゲートに相当する70個(=10×7)と、3入力論理積回路に相当する8個と、2入力論理積回路に相当する6個と、4個のバッファ回路に相当する16個(=4×4)の総和として与えられる。すなわち、カウンタ85は180個の素子数で構成される。
【0083】
一方、図12に示すデコーダ87の素子数は、16個の4入力論理積ゲートに相当する160個(10×16)と、4個のインバータ回路に相当する8個(=2×4)の総和として与えられる。すなわち、デコーダ87は168個の素子数で構成される。
【0084】
結局、図10に示す従来構成の場合、カウンタ85とデコーダ87の部分で348個(=180+168)の素子数が必要とされる。
一方、図7に示すリング型シフトレジスタ31の素子数は、16個の4入力論理積ゲートに相当する160個(=10×16)と、1個のインバータ回路に相当する2個(=2×1)の総和で済む。すなわち、リング型シフトレジスタ31は162個の素子数で構成することができる。
【0085】
この素子数は、従来型の348個の半分以下で済む。従って、この回路構成の採用により、回路規模(回路面積)の大幅な縮小化を実現できる。結果として、理収を高めて製造コストを低減することが可能になる。
また、この形態例の場合、素子数が少なく済むので、従来構成に比べ、消費電力も削減することができる。
【0086】
(B)形態例2
ここでも、ディスプレイパネルが液晶ディスプレイパネルの場合について説明する。
【0087】
(B−1)ディスプレイパネルの構成
図13に、この形態例で説明するディスプレイパネル91の平面構成例を示す。なお、図13には図1との対応部分に同一符号を付して示している。図13に示すディスプレイパネル91と図1に示すディスプレイパネル1との違いは、クロック信号生成回路93の構成のみである。以下では、相違点であるクロック信号生成回路93の構成について説明する。
【0088】
(B−2)クロック信号生成回路の構成
図14に、この明細書において発明者らが提案する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路93の内部構成例を示す。図14には図2との対応部分に同一符号を付して示している。
【0089】
図14に示すクロック信号生成回路93は、入力バッファ回路21、ディジタル遅延線101、出力バッファ回路25、位相比較回路27、シフトクロック発生部29、リング型シフトレジスタ103で構成される。すなわち、ディジタル遅延線101とリング型シフトレジスタ103以外は、形態例1の回路構成と同じである。
【0090】
以下では、形態例2に特有な構成であるディジタル遅延線101とリング型シフトレジスタ103の回路構成について説明する。
ディジタル遅延線101は、形態例1の場合と同じく、入力クロックCLK1の遅延量をディジタル的に制御可能な遅延線である。ここでは、形態例1とは異なる方式により、遅延量を2値的に切り換えることができるディジタル遅延線101について説明する。
【0091】
図15に、ディジタル遅延線101の回路例を示す。図15に示すディジタル遅延線101は、CMOSインバータ回路の2段直列接続を一単位とする16個のバッファ回路段の直列接続回路で構成される。
【0092】
なお、各バッファ回路段(最終段を除く)の出力線路は2つに分岐され、一方は次段のバッファ回路段に接続され、他方はCMOSスイッチ経由で出力端子に接続される。この回路構成の場合、遅延量の制御は、16個のCMOSスイッチのうち閉制御される唯一つのCMOSスイッチの位置の制御により実現される。
【0093】
このため、後述するリング型シフトレジスタ103には、16段のDフリップフロップ段105の各段から出力されるQ出力のうちただ一段だけ「Hレベル」の遅延量設定信号DPを発生するデコーダ107が内蔵される。
【0094】
この形態例の場合、入力クロックCLK1の遅延量(すなわち、入力クロックCLK1が通過するバッファ回路の段数)は1個から16個の範囲で設定される。従って、先頭段に位置するCMOSスイッチが閉制御される場合が、最も遅延時間が短い状態である。
【0095】
そして、閉制御されるCMOSスイッチの位置が一段ずつ後ろにずれる度に、ディジタル遅延線101上での遅延量は単位遅延量ずつ増加する仕組みになっている。従って、全ての最後尾(16段目)のCMOSスイッチが閉制御された場合、遅延時間は最大値になる。
【0096】
次に、リング型シフトレジスタ103の構成を説明する。リング型シフトレジスタ103は、ディジタル遅延線101と同じ段数のDフリップフロップをリング状に接続したシフトレジスタ回路である。
【0097】
図16に、リング型シフトレジスタ103の回路例を示す。図16の場合、リング型シフトレジスタ103は、前段のQ出力を次段のD入力とする16段のDフリップフロップ回路と、最終段のQ出力を論理反転して初段のD入力に帰還するインバータ回路105と、デコーダ107とで構成される。
【0098】
なお、Dフリップフロップ回路はリセット端子を備え、リセット信号の入力により全てのQ出力が「Lレベル」の状態に変更される。また、Dフリップフロップ回路はシフトクロック端子を備え、シフトクロックSCLKの供給によりD入力をラッチし、Q出力として次段に出力する動作を実行する。
【0099】
このシフトレジスタ段の構成は形態例1の構成と同じである。従って、リセット状態から入力されるシフトクロックSCLKの立ち上がりエッジの数だけ、Q出力が「Hレベル」に立ち上がるように動作する。
ただし、これらのQ出力をそのままディジタル遅延線101に与えたのでは、ディジタル遅延線101を正しく動作させることができない。
【0100】
そこで、デコーダ107が必要となる。デコーダ107は、基本的に「Hレベル」のQ出力が現れるDフリップフロップの境界位置を検出する動作を実行する。この位置が、位相同期に必要な遅延時間を反映しているためである。
そこで、デコーダ107として、2段目のDフリップフロップから16段目のDフリップフロップまでの範囲で、各Dフリップフロップの入力レベルと出力レベルの一致/不一致を検出する15個の排他的論理和回路111を配置する。
【0101】
この排他的論理和回路111を用いれば、自段のQ出力が「Hレベル」で次段のQ出力が「Lレベル」となるDフリップフロップの位置(レベル変化の境界位置)を検出することができる。
【0102】
なお、レベル変化の境界位置では、排他的論理和回路111の出力に「Hレベル」のパルス信号(遅延量設定信号DP)が2発現れる。このため、論理積ゲート113において、自段ののQ出力と排他的論理和回路111の論理積を求め、「Hレベル」のパルス信号を1発だけ抽出する。
【0103】
これら15個の論理積ゲート113の出力パルスは、遅延量設定信号DPとして、それぞれディジタル遅延線101のうち対応位置のCMOSスイッチ(具体的にはゲート電極)に供給される。
【0104】
なお、遅延量設定信号DPは正論理である。従って、Nチャネル型の薄膜トランジスタのゲート電極には出力パルスDPが直接与えられ、Pチャネル型の薄膜トランジスタのゲート電極には出力パルスDPをインバータ回路で論理反転した信号が与えられる。
【0105】
ただし、初段に位置する論理積ゲート113の出力パルスに関してだけは、リセット信号と共に論理和ゲート115に入力され、その論理和出力が初段のCMOSスイッチに対応した遅延量設定信号DP1として供給される。これにより、リセット信号の入力時には、初段のCMOSスイッチを強制的に閉制御することができる。
【0106】
(B−3)クロック信号生成回路の動作及び効果
以下では、図17を用いて、クロック信号生成回路11で実行される動作を説明する。なお、シフトクロック発生部29の動作は同じであるので省略する。
【0107】
(a)リセット時
まず、電源投入時に実行されるリセット動作を説明する。
このとき、リング型シフトレジスタ103には、「Hレベル」のリセット信号(図17(A))と共にシフトクロックSCLK((図17(B))が供給される。
【0108】
このとき、論理和ゲート115を通過したリセット信号により初段のCMOSスイッチだけが閉制御された状態に制御される。これにより、ディジタル遅延線101の遅延量は最小値に制御される。
【0109】
(b)位相ロックまで
次に、リセット動作の終了から入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の位相ロックまでの動作を説明する。
まず、リセット動作終了後の最初のシフトクロックSCLKの入力により、初段のDフリップフロップのQ出力だけが「Hレベル」に変化する。
【0110】
このとき、2段目のDフリップフロップのQ出力は「Lレベル」であるので、初段の論理積ゲート113の出力段にのみ「Hレベル」の遅延量設定信号DPが現れる。これにより、やはり初段のCMOSスイッチだけが閉制御される。
【0111】
続いて、リセット動作終了後の2発目のシフトクロックSCLKが入力されると、初段のDフリップフロップと2段目のフリップフロップのQ出力が「Hレベル」の状態になる。従って、「Hレベル」のQ出力と「Lレベル」のQ出力の境界位置は、2段目のDフリップフロップと3段目のDフリップフロップとの間になる。
【0112】
従って、今度は2段目に位置する論理積ゲート113の出力段にのみ「Hレベル」の遅延量設定信号DPが現れる。これにより、2段目のCMOSスイッチだけが閉制御される。以後順番に、シフトクロックSCLKが入力されるたび、閉制御されるCMOSスイッチの位置が3段目、4段目と順番にシフトする(図17(C1)〜(C14))。
【0113】
(c)位相ロック以降
最後に、位相ロック以降の動作を説明する。図17では、リセット終了後の15個目のシフトクロックSCLKがリング型シフトレジスタ103に入力された時点で、位相ロックが検出された場合を表している。
【0114】
この場合、「Hレベル」のQ出力と「Lレベル」のQ出力の境界位置は、15段目のDフリップフロップと16段目のDフリップフロップとの間の状態に固定される。この結果、15段目のCMOSスイッチを通じて15段のバッファ回路で遅延されたクロックが出力バッファ回路25に出力される。
【0115】
(d)まとめ
以上の通り、遅延量設定部をリング型シフトレジスタ103で構成することにより、遅延量のディジタル制御を実現できる。
【0116】
なお、この回路構成(図16)の総素子数は、17個のDフリップフロップに相当する136個(=8×17)と、16個の排他的論理和ゲートに相当する160個(=10×16)と、16個の2入力論理積ゲートに相当する96個(=6×16)と、1個の論理和ゲートに相当する6個と、17個のインバータ回路に相当する34個(=2×17)との総和として計算される。
【0117】
その個数は432個である。一方、形態例で説明した従来型の遅延量設定部の総素子数は348個であった。従って、この形態例の場合には、素子数としては形態例の構成の方が、従来回路よりも多くなる。
【0118】
ただし、従来型の遅延量設定部の場合には、デコーダ87の負荷容量をドライブするためのバッファが必要となる。また、ディジタル遅延線の段数が大きくなるほど、デコーダ87を構成する素子数の増加の割合が大きくなるので、結果的に回路面積は従来回路の方が大きくなる。
【0119】
なお、従来回路の素子数が増加するのは、図12に示す構成のデコーダ87の場合、論理積ゲートの入力数が多くなると出力インピーダンスが高くなり、出力信号の遅延時間が増大するためである。
【0120】
このため、回路の分割が必要となり、素子数が増加する原因となる。また、結晶シリコンと比較して薄膜トランジスタ等は移動度が低く、つまりトランジスタのオン抵抗が高いためインピーダンスを下げる工夫が必要になる。
【0121】
以上のように、この形態例で説明した構成の採用により、回路規模(回路面積)の縮小化を実現できる。結果として、理収を高めて製造コストを低減することが可能になる。
なお、Dフリップフロップに替えてSRフリップフロップを用いれば、論理回路を削減でき、回路規模を縮小することができる。
【0122】
(C)形態例3
この形態例では、入力クロックCLK1を分周してシフトクロックとして使用する場合について説明する。
【0123】
図18及び図19に、分周回路を搭載したクロック信号生成回路の構成例を示す。図18は形態例1に分周回路123を追加したクロック信号生成回路121の例であり、図19は形態例2に分周回路123を追加したクロック信号生成回路131の例である。
【0124】
なお、分周回路123による分周は任意である。いずれの場合も、入力クロックCLK1よりもシフトクロックSCLKの周波数を遅くできるので、その分、リング型シフトレジスタ31及び103の動作マージンを確保することができる。結果的に、歩留まりへの影響も小さくすることができる。
【0125】
(D)形態例4
この形態例では、遅延量の調整を階層的に実行できるクロック信号生成回路の形態例を示す。ここでの階層構造は、粗調整と微調整の2段階の場合について説明する。
【0126】
(a)クロック信号生成回路の構成
図20に、この明細書において発明者らが提案する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路141の内部構成例を示す。なお、図20には、図18との対応部分に同一符号を付して表している。また図20は、形態例1に適用する場合の構成例について表しているが、形態例2に適用することも勿論できる。
【0127】
図20に示すクロック信号生成回路141は、入力バッファ回路21、ディジタル遅延線23、143、出力バッファ回路25、位相比較回路27、シフトクロック発生部29、リング型シフトレジスタ31、分周回路123、チャージポンプ145で構成される。
【0128】
この構成で新規な部分は、ディジタル遅延線が微調整用のディジタル遅延線143と粗調整用のディジタル遅延線23の2段に分離されている点と、それぞれの駆動にチャージポンプ145及びリング型シフトレジスタ31が用いられる点の2点である。
【0129】
この形態例の場合、チャージポンプ145は、位相比較回路27の判定出力Q1及びQ2に応じてディジタル遅延線143の制御信号の発生に用いられる。なお、ディジタル遅延線143は、図22に示すようにディジタル遅延線23の1段部分で構成される。このため、チャージポンプ145は、CMOSスイッチの開閉駆動に必要なバイアス電圧Vbias_nとVbias_p(アナログ電圧)を発生する。図21に、チャージポンプ145の回路構成を示す。
【0130】
図21に示すチャージポンプ145は、インバータと、CMOSスイッチと、保持容量で構成される。判定出力Q1が「Hレベル」の場合、チャージポンプ145は、保持容量を電源電圧で充電するように動作する。すなわち、出力電圧を電源電位に変化させるように動作する。
【0131】
一方、判定出力Q2が「Hレベル」の場合、チャージポンプ145は、保持容量を接地電圧で充電するように動作する。すなわち、負荷容量の電荷を引き抜いて出力電圧を接地電位に変化させるように動作する。
結果として、位相が進んでいる場合(判定出力が「Hレベル」のとき)、CMOSスイッチは閉制御され、ディジタル遅延線143での遅延量が増加するように動作する。
【0132】
一方、位相が遅れている場合(判定出力が「Lレベル」のとき)、CMOSスイッチは開制御され、ディジタル遅延線143での遅延量が小さくなるように動作する。
すなわち、1単位遅延量を加算するか否かの動作が、ディジタル遅延線143とチャージポンプ145によって実現される。
【0133】
(b)クロック信号生成回路の動作及び効果
この形態例に係るクロック信号生成回路141の場合には、リセット動作が終了した時点で位相の関係が検出され、その後の動作期間で、微調整用のディジタル遅延線143と粗調整用のディジタル遅延線23の両方が検出された位相量に応じて駆動制御される。
【0134】
やがて、位相ロックが検出されると、粗調整を制御するリング型シフトレジスタ31に対するシフトクロックSCLKの供給が停止され、その時点での制御量が保存される。なお、位相ロック後に位相差が生じた場合には、チャージポンプ145が単独で位相の微調整を再開する。粗調整用のリング型シフトレジスタ31のシフトクロックSCLKは分周されているため、位相差に対する反応にマージンがあるためである。
【0135】
このように遅延量の制御を階層的に実行することにより、位相ロックの早さと微調整とのバランスがとれたクロック信号生成回路を実現できる。なお、この形態例の場合も、リング型シフトレジスタ31の駆動には、入力クロックCLK1を分周したシフトクロックSCLKを使用する。このため、リング型シフトレジスタ31の動作マージンを確保でき、歩留まりを高めることができる。
【0136】
(E)形態例5
この形態例の場合にも、遅延量の調整を階層的に実行できるクロック信号生成回路の形態例を示す。ここでの階層構造も、粗調整と微調整の2段階とする。ただし、この形態例の場合、2段ともリング型シフトレジスタで駆動する場合を説明する。
【0137】
(a)クロック信号生成回路の構成
図23に、この明細書において発明者らが提案する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路151の内部構成例を示す。なお、図23には、図20との対応部分に同一符号を付して表している。また図23は、形態例1に対応する回路に適用する場合の構成例について表しているが、形態例2に対応する回路に適用することも勿論できる。
【0138】
図23に示すクロック信号生成回路151は、入力バッファ回路21、微調整用のディジタル遅延線23、粗調整用のディジタル遅延線23、出力バッファ回路25、位相比較回路27、微調整用のシフトクロック発生部29、粗調整用のシフトクロック29、微調整用のリング型シフトレジスタ31、粗調整用のリング型シフトレジスタ31、微調整用のシフトクロック生成用の分周回路123、粗調整用のシフトクロック生成用の分周回路123で構成される。
【0139】
ただし、この形態例の場合、粗調整用のリング型シフトレジスタ31に入力するシフトクロックSCLK2の周波数を、微調整用のリング型シフトレジスタ31に入力するシフトクロックSCLK1の周波数よりも低くする。
【0140】
具体的には、入力クロックCLK1を第1の分周回路123で分周して微調整用のシフトクロックSCLK1を生成し、更にこの微調整用のシフトクロックSCLK1を第2の分周回路123で分周して粗調整用のシフトクロックSCLK2を生成する。
【0141】
このシフトクロックの設定により、粗調整用のリング型シフトレジスタ31による調整感度を微調整用のリング型シフトレジスタ31による調整感度より低下させることができる。
【0142】
(b)クロック信号生成回路の動作及び効果
この形態例に係るクロック信号生成回路151の場合、リセット動作後、微調整用のディジタル遅延線23と粗調整用のディジタル遅延線23の両方が検出された位相量に応じて駆動制御される。
【0143】
やがて、位相ロックが検出されると、粗調整用のリング型シフトレジスタ31と微調整用のリング型シフトレジスタ31の両方が動作を停止し、その時点の制御量が粗調整用のリング型シフトレジスタ31と微調整用のリング型シフトレジスタ31にそれぞれ保存される。
【0144】
なお、位相ロック後に位相差が生じた場合には、シフトクロックSCLKの周波数が相対的に速く調整感度の高い微調整用のリング型シフトレジスタ31が単独で動作を再開し、遅延量の微調整動作を実行する。
【0145】
このように遅延量の制御を階層的に実行することにより、遅延量の粗調整と微調整とのバランスがとれたクロック信号生成回路を実現できる。なお、この形態例の場合、粗調整用のリング型シフトレジスタ31と微調整用のリング型シフトレジスタ31の駆動には、入力クロックCLK1を分周した2種類のシフトクロックSCLK1及び2を使用する。このため、リング型シフトレジスタ31の動作マージンを確保でき、歩留まりを高めることができる。
【0146】
(F)形態例6
ここでは、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の位相差が180°ずれた状態にロックされる状態(擬似ロック状態)への対応機能を搭載するクロック信号生成回路について説明する。
【0147】
前述したように、ディスプレイパネルとしてガラス基板その他の絶縁基板が用いられる場合、その表面に形成される薄膜トランジスタは、シリコンウェハ上に製造されるトランジスタと比較して特性ばらつきが大きい特性がある。
【0148】
このため、クロック信号生成回路を構成する薄膜トランジスタの特性バラツキが大きいプロセスでは、図24に示すような擬似ロック状態を脱して正しい位相ロック状態を実現する機能の搭載が望まれる。この形態例は、当該機能に関するものである。
【0149】
(a)クロック信号生成回路の構成
図25は、この擬似ロック脱出機能を有するクロック信号生成回路161の内部構成例を示す。なお図25には、図18との対応部分に同一符号を付して示す。
図25に示すクロック信号生成回路161は、入力バッファ回路21、ディジタル遅延線23、出力バッファ回路25、位相比較回路27、シフトクロック発生部29、リング型シフトレジスタ31、分周回路123、位相反転/非反転部163及び擬似ロック検出部165で構成される。
【0150】
因みに、図25は形態例3のうち形態例1に対応するクロック信号生成回路121に、位相反転/非反転部163と擬似ロック検出部165を追加した回路構成を表しているが、いうまでもなく形態例3のうち形態例2に対応するクロック信号生成回路131(図19)に、位相反転/非反転部163と擬似ロック検出部165を追加する場合にも適用できる。
【0151】
この形態例に新規の構成部分は、ディジタル遅延線23と出力バッファ回路26の中間に配置される位相反転/非反転部163と、その制御部である擬似ロック検出部165である。
以下、新規な構成である位相反転/非反転部163と擬似ロック検出部165についてのみ構成を説明する。
【0152】
位相反転/非反転部163は、ディジタル遅延線23から入力されるクロックを位相反転し又は非反転のまま出力する回路である。この位相反転/非反転部163が、「ロック状態解除部」として機能する。擬似ロック状態では、図24に示したように、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の位相差が180°ずれている。
【0153】
擬似ロック状態の検出時において、この位相反転/非反転部163は、入力クロックの位相を180°反転するように動作する。なお、擬似ロック状態以外の位相状態では、位相反転/非反転部163は入力クロックをそのまま出力するように動作する。
【0154】
なお、位相反転/非反転部163による反転・非反転の切り替えは、擬似ロック検出部165から与えられる制御信号により実行される。
図26に、位相反転/非反転部163の回路例を示す。
【0155】
図26に示す位相反転/非反転部163は、インバータINVを2段通過する伝送路(CMOSスイッチ1の経路)と1段のみ通過する伝送路(CMOSスイッチ2の経路)を有しており、CMOSセンサ1及び2によっていずれか一方の伝送路だけが選択されるようになっている。
【0156】
すなわち、CMOSスイッチ1及び2の動作は排他的となるように配線が設定されている。従って、図26の位相反転/非反転部163は、擬似ロック検出信号WNGの接続を反転している。なお、インバータINV3は、擬似ロック検出信号WNGの極性を反転するために用いられる。
【0157】
擬似ロック検出部165は、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の擬似ロック状態を検出する回路である。図27に、擬似ロック検出部165の回路構成を示す。図27(A)は、ゲート回路と論理回路171とを組み合わせる場合の回路構成であり、図27(B)は、ゲート回路の組み合わせだけで構成される回路構成である。
【0158】
図28に、擬似ロック検出部165の入出力関係を示す。図28に黒枠で囲んで示すように、擬似ロック検出部165は、出力信号Q1及びQ2が共に「Lレベル」であって、かつ、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の信号レベルが異なるとき、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2が擬似ロック状態にあると判定する。
【0159】
因みに、出力信号Q1及びQ2が共に「Lレベル」であることは、図27の否定論理和ゲートにて検出される。また、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2の信号レベルが異なることは、図27の排他的論理和ゲートにて検出される。なお、論理回路171は、論理積ゲートと同じ論理演算を実現する。
【0160】
擬似ロック検出部165は、擬似ロック状態の検出時、擬似ロック検出信号WNGを「Hレベル」に変換する。なお、擬似ロック状態が検出されない場合、擬似ロック検出部33は、「Lレベル」の擬似ロック検出信号WNGを出力する。
【0161】
(b)クロック信号生成回路の動作及び効果
この形態例に係るクロック信号生成回路161の場合には、位相比較回路27の判定出力Q1及びQ2が共に「Lレベル」となり、位相ロック状態と判定された場合でも、擬似ロック検出部165によってそのロック状態が正規のものか偽物のものかを判定し、偽物(擬似ロック)であると判定された場合には、位相判定/非反転部163によってディジタル遅延線23の出力クロックの位相を反転することができる。
【0162】
擬似ロック状態と正規のロック状態は180°の位相差があるので、この反転動作により出力クロックCLK2は正しいロック位相に変更することができる。
以上のように、このクロック信号生成回路の場合には、出力クロックCLK2の位相が擬似ロック状態に誤って引き込まれた場合でも、この状態から確実に抜け出して正規のロック状態に引き込むことができる。
【0163】
なお、この形態例の場合には、位相反転/非反転部163を用いてクロック位相を180°反転しているが、通常の位相比較動作によってロック状態に収束できる位相関係に変更できるのであれば、擬似ロック状態の検出時の位相変化量は180°でなくても良い。例えば擬似ロック状態から90°以上位相を変更することができれば、通常の位相比較動作によってもロック状態に収束させることができる。
【0164】
(G)他の構成例
(G−1)リング型シフトレジスタ
前述の形態例の説明では、リング型シフトレジスタをDフリップフロップの多段接続回路として説明した。
しかし、セット・リセット(SR)フリップフロップを含め、他の種類のフリップフロップ回路を用いてリング型シフトレジスタを構成することもできる。
【0165】
(G−2)入出力クロックの関係
前述の形態例の説明では、入力クロックCLK1と出力クロックCLK2が同じ周波数の場合について説明した。
しかし、クロック周波数は異なっていても良い
【0166】
(G−3)シフトクロック
前述の形態例の説明では、シフトクロックSCLKを入力クロックCLK1又はその分周クロック(再分周クロックを含む。)として生成する場合について説明した。
しかし、動作マージンを確保するだけであれば、シフトクロックSCLKは、入力クロックCLK1又は出力クロックCLK2より周波数が低ければその位相関係は問わない。
【0167】
(G−4)絶縁基板
前述の形態例では、クロック信号生成回路を構成する能動素子は、ポリシリコン(高温・低温を問わず)、アモルファスシリコン、有機材料等の薄膜形成技術や印刷技術を用いて絶縁基板であるガラス基板3の表面に直接形成される場合について説明した。
しかし、クロック信号生成回路が形成される絶縁基板は、ガラス基板3に実装されるプラスチックその他の絶縁基板でも良い。
【0168】
(G−5)ディスプレイパネルへの応用例
前述の形態例で説明したクロック信号生成回路は、液晶パネルだけでなく、有機ELパネル、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイその他の自発光型ディスプレイパネルに搭載する場合にも適用できる。
【0169】
(G−6)電子機器への応用例
(a)システム例
前述したクロック信号生成回路は、システムディスプレイ以外の電子機器にも搭載することができる。以下、電子機器の一例を示す。
【0170】
図29に、電子機器のうちディスプレイパネルを搭載するシステム構成例を示す。この電子機器181は、ディスプレイパネル183と、システム制御部185と、クロック信号生成回路187で構成される。ここで、クロック信号生成回路187は、ディスプレイパネル183の基板上に形成されていても良いし、別の基板上に形成されていても良い。
【0171】
システム制御部185は、システム全体の動作を制御する処理ユニットであり、例えばCPUで構成される。この他、電子機器の用途に応じたインターフェースで構成される。
【0172】
図30に、電子機器のうち撮像デバイス(イメージャ)を搭載するシステム構成例を示す。この電子機器191は、撮像デバイス193と、システム制御部195と、クロック信号生成回路197で構成される。
【0173】
ここで、クロック信号生成回路197は、撮像デバイスの動作クロックを生成する回路である。形態例の場合と同様、クロック信号生成回路197は、撮像デバイス193の基板上に形成されていても良いし、別の基板上に形成されていても良い。
【0174】
システム制御部195は、システム全体の動作を制御する処理ユニットであり、例えばCPUで構成される。この他、電子機器の用途に応じたインターフェースで構成される。なお、システム制御部195を搭載しないセンシングデバイス単体としての構成もあり得る。
【0175】
(b)電子機器の外観例
以下では、前述したクロック信号生成回路を内蔵する電子機器の外観例を例示する。なお、クロック信号生成回路は、筐体内のいずれかの部分に内蔵されている。
【0176】
図31は、テレビジョン受像機201の外観例である。テレビジョン受像機201は、筐体としてのフロントパネル203の正面にディスプレイパネル205を配置した構造を有している。
【0177】
図32に、デジタルカメラ211の外観例を示す。なお、図32(A)はデジタルカメラの正面側(被写体側)外観例であり、図32(B)はデジタルカメラの背面側(撮影者側)外観例である。
【0178】
デジタルカメラ211は、保護カバー213、撮像レンズ部215、ディスプレイパネル217、コントロールスイッチ219、シャッターボタン221その他を筐体に配置した構造を有している。
【0179】
図33に、ビデオカメラ231の外観例を示す。ビデオカメラ231は、本体233の前方に被写体を撮像する撮像レンズ235を配置し、本体233の背面に撮影スタート/ストップスイッチ237を配置し、本体233の側面にディスプレイパネル239を配置した構造を有している。
【0180】
図34に、携帯電話機の外観例を示す。図34に示す携帯電話機241は折りたたみ式であり、図34(A)が筐体を開いた状態の外観例であり、図34(B)が筐体を折りたたんだ状態の外観例である。
【0181】
携帯電話機241は、上側筐体243、下側筐体245、連結部(この例ではヒンジ部)247、主ディスプレイパネル249、補助ディスプレイパネル251、ピクチャーライト253、撮像レンズ255を筐体表面に配置した構造を有している。
【0182】
図35に、コンピュータの外観例を示す。コンピュータ261は、下型筐体263、上側筐体265、キーボード267及びディスプレイパネル269で構成される。
【0183】
これらの他、クロック信号生成回路は、オーディオ再生装置、ゲーム機、電子ブック、電子辞書その他の電子機器にも搭載できる。
【0184】
(G−7)位相比較回路
前述の形態例の説明では、位相比較回路27が図4に示す回路構成を有する場合について説明した。
【0185】
しかし、位相比較回路27には、図36に示す回路構成を採用することもできる。すなわち、出力クロックCLK2をクロックとして動作するDフリップフロップ271としても構成することができる。この場合、入力クロックCLK1をD入力端子に接続すれば良い。
【0186】
この回路構成の場合、位相比較回路27は、図37で示す関係で動作する。すなわち、ロック状態か出力クロックCLK2の位相が入力クロックCLK1の位相より遅いとき、Q出力は「Hレベル」となり、出力クロックCLK2の位相が入力クロックCLK1の位相より早いとき、Q出力は「Lレベル」となる。
【0187】
このQ出力は、シフトクロック発生部29を構成するチャージポンプ51(図6)の出力と同じである。従って、図36に示す回路構成の位相比較回路27を用いる場合、シフトクロック発生部29の回路構成は図38に示す構成で良い。すなわち、図6で説明したシフトクロック発生部29の回路構成からチャージポンプ51を除いた回路構成で良い。
【0188】
参考までに、この回路構成を採用する場合におけるシフトクロック発生部29の動作を図39に示す。図39に示す動作内容は、形態例1で説明した図8の動作内容と全く同じである。
【0189】
(G−8)その他
前述した形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。例えば本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】ディスプレイパネルの平面構成例を示す図である。
【図2】形態例1に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である。
【図3】ディジタル遅延線の構成例を示す図である。
【図4】位相比較回路の構成例を示す図である。
【図5】位相比較回路の動作状態を説明する図である。
【図6】シフトクロック発生部の構成例を示す図である。
【図7】リング型シフトレジスタとディジタル遅延線との接続関係を示す図である。
【図8】シフトクロック発生部の動作状態を説明する図である
【図9】形態例1に係るクロック信号生成回路の動作例を示す図である。
【図10】クロック信号生成回路の従来構成例を示す図である。
【図11】カウンタの従来構成例を示す図である。
【図12】デコーダの従来構成例を示す図である。
【図13】ディスプレイパネルの構成例を示す図である。
【図14】形態例2に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である。
【図15】ディジタル遅延線の構成例を示す図である。
【図16】リング型シフトレジスタとディジタル遅延線との接続関係を示す図である。
【図17】形態例2に係るクロック信号生成回路の動作例を示す図である。
【図18】形態例3に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である(その1)。
【図19】形態例3に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である(その2)。
【図20】形態例4に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である。
【図21】チャージポンプの構成例を示す図である。
【図22】微調整用のディジタル遅延線の構成例を示す図である。
【図23】形態例5に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である。
【図24】擬似ロック状態を説明する図である。
【図25】形態例6に係るクロック信号生成回路の構成例を示す図である。
【図26】位相反転/非反転部の内部構成例を示す図である。
【図27】擬似ロック検出部のゲート構成を示す図である。
【図28】擬似ロック検出部の入出力関係を示す図である。
【図29】電子機器のシステム構成例を示す図である。
【図30】電子機器のシステム構成例を示す図である。
【図31】電子機器の外観例を示す図である。
【図32】電子機器の外観例を示す図である。
【図33】電子機器の外観例を示す図である。
【図34】電子機器の外観例を示す図である。
【図35】電子機器の外観例を示す図である。
【図36】位相比較回路の他の構成例を示す図である。
【図37】図36に示す位相比較回路の動作状態を説明する図である。
【図38】図36の位相比較回路に適したシフトクロック発生部の構成例を示す図である。
【図39】図38に示すシフトクロック発生部の動作状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0191】
11 クロック信号生成回路
23 ディジタル遅延線
27 位相比較回路
29 シフトクロック発生部
31 リング型シフトレジスタ
93 クロック信号生成回路
101 ディジタル遅延線
103 リング型シフトレジスタ
121 クロック信号生成回路
123 分周回路
131 クロック信号生成回路
141 クロック信号生成回路
143 ディジタル遅延線
145 チャージポンプ
151 クロック信号生成回路
161 クロック信号生成回路
163 位相反転/非反転部
165 擬似ロック検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、
前記ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、
前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、前記リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部と
を有することを特徴とする遅延同期ループ型のクロック信号生成回路。
【請求項2】
請求項1に記載のクロック信号生成回路において、
前記ディジタル型の遅延線路は、遅延時間長の粗調整用の第1の遅延線路と、遅延時間長の微調整用の第2の遅延線路の直列接続によって構成され、
前記リング型シフトレジスタは、前記第1の遅延線路に対応する第1のリング型シフトレジスタと、前記第2の遅延線路に対応する第2のリング型シフトレジスタとで構成され、
前記遅延量制御部は、前記第1の遅延線路に対応する第1の遅延量制御部と、前記第2の遅延線路に対応する第2の遅延量制御部とで構成される
ことを特徴とする遅延同期ループ型のクロック信号生成回路。
【請求項3】
請求項2に記載のクロック信号生成回路において、
前記第1及び第2のリング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、前記第1のクロック信号又は前記第2のクロック信号の周波数より低い
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のクロック信号生成回路において、
前記シフトクロック信号は、前記第1のクロック信号の分周出力として与えられる
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一つに記載のクロック信号生成回路において、
前記第1のリング型シフトレジスタに入力される第1のシフトクロック信号の周波数は、前記第2のリング型シフトレジスタに入力される第2のシフトクロック信号の周波数より低い
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一つに記載のクロック信号生成回路において、
粗調整用と微調整用の両方で遅延時間長が設定された状態で、新たに位相差の発生が生じた場合には、まず微調整用の遅延時間長の設定動作だけを再開する
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項7】
請求項1に記載のクロック信号生成回路において、
前記ディジタル型の遅延線路は、遅延時間長の粗調整用の第1の遅延線路と、遅延時間長の微調整用の第2の遅延線路の直列接続によって構成され、
前記第1の遅延線路の遅延時間長の設定は前記リング型シフトレジスタが実行し、前記第2の遅延線路の遅延時間長の設定はディジタル型の遅延量設定部が実行する
ことを特徴とする遅延同期ループ型のクロック信号生成回路。
【請求項8】
請求項7に記載のクロック信号生成回路において、
前記リング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、前記第1のクロック信号又は前記第2のクロック信号の周波数より低い
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のクロック信号生成回路において、
粗調整用と微調整用の両方で遅延時間長が設定された状態で、新たに位相差の発生が生じた場合には、まず微調整用の遅延時間長の設定動作だけを再開する
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項10】
請求項1に記載のクロック信号生成回路において、
前記リング型シフトレジスタを駆動するシフトクロックは、前記第1のクロック信号又は前記第2のクロック信号の周波数より低い
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項11】
請求項10に記載のクロック信号生成回路において、
前記シフトクロックは、前記第1のクロック信号の分周出力として与えられる
ことを特徴とするクロック信号生成回路。
【請求項12】
表示パネルと、
第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、前記ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、前記リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部とを有する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路と、
前記第2のクロック信号に基づいて表示パネルを駆動する駆動回路と
を有することを特徴とする表示パネルモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載の表示パネルモジュールにおいて、
前記クロック信号生成回路の能動素子は、絶縁基板上に形成又は印刷された薄膜トランジスタである
ことを特徴とする表示パネルモジュール。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の表示パネルモジュールにおいて、
前記表示パネルは、液晶パネルである
ことを特徴とする表示パネルモジュール。
【請求項15】
撮像素子と、
第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、前記ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、前記リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部とを有する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路と、
前記第2のクロック信号に基づいて前記撮像素子を駆動する駆動回路と
を有することを特徴とする撮像デバイス。
【請求項16】
第1のクロック信号を遅延して第2のクロック信号を生成するディジタル型の遅延線路と、前記ディジタル型の遅延線路の遅延時間長を、各段のフリップフロップ出力により設定するリング型シフトレジスタと、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号の位相関係に基づいて、前記リング型シフトレジスタに対するシフトクロックの供給を制御する遅延量制御部とを有する遅延同期ループ型のクロック信号生成回路と、
システム全体の動作を制御するシステム制御部と、
前記システム制御部に対する操作入力を受け付ける操作入力部と
を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate


【公開番号】特開2009−141569(P2009−141569A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314634(P2007−314634)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】