説明

コンテナ容器の洗浄乾燥装置及び方法

【課題】天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥装置及び方法において、エア抜き口のノズル部周辺を含めた自動洗浄を可能とすると共に、装置自体の配置スペースを抑え、かつコンテナ容器の洗浄及び乾燥を効率良く行う。
【解決手段】洗浄乾燥装置10は、コンテナ容器1内に進入して温水又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズル17と、エア抜き口7の上方からそのノズル部7aに温水を噴射する複数のサブノズル34とを備え、各ノズル17,34から温水を噴射してコンテナ容器1内及びエア抜き口7を洗浄した後、前記メインノズル17からスチームを噴射して前記コンテナ容器1内を昇温させると共に、前記メインノズル17からのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器1内に除菌エアを送入して乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャンプーやボディソープ等の液状製品の製造過程で該液状製品自体又はその原料等の液状内容物を収容するコンテナ容器の洗浄乾燥装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記コンテナ容器は、同種又は異なる液状内容物を必要に応じて入れ替えて使用することから、その入れ替えに際しては品質維持及び雑菌繁殖防止のための洗浄が必須であり、その洗浄工程においても滅菌対策を十分に考慮する必要がある。
このようなコンテナ容器の洗浄を行う場合、特にその内部の洗浄はコンテナ容器の上部開口から行うこととなり、かつ該洗浄には温水及びスチームを用いることから、人手で対応するには作業性が悪くかつ重労働でもあった。
このような点を改善するべく、例えば下記特許文献1には、コンテナ容器に温水及びスチームを選択的に噴射する洗浄ノズルを有する洗浄室と、コンテナ容器に温風を吹き付けるエアノズルを有する乾燥室と、洗浄室及び乾燥室にコンテナ容器を順次移送する移送手段とを備え、これら洗浄室、乾燥室、及び移送手段の動作を制御装置により一括制御することで、コンテナ容器の洗浄及び乾燥を人手を介さず行えるようにした洗浄乾燥装置及び方法が記載されている。
【特許文献1】特開平9−299897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、コンテナ容器の天板部分には、液状内容物の充填時及びコンテナ容器内の洗浄時の作業孔となる比較的大きな上部開口の他に、液体内容物の流出入時に用いる比較的小さなエア抜き口が設けられることがある。このエア抜き口は、コンテナ移送時やコンテナ外面洗浄時等にはキャップを取り付けて閉塞することから、上方に突出するノズル部が連設されることが多い。しかしながら、コンテナ容器内の洗浄時に前記ノズル部を十分に洗浄することは困難であり、自動洗浄終了後に別途人手による洗浄作業を要することがあるため、コンテナ容器の洗浄作業工数を増加させるという問題がある。
また、上記従来の構成では、洗浄室と乾燥室とを並設すると共にこれらの間でコンテナ容器を移送する必要があることから、装置自体の配置スペースを増大させると共に、洗浄室及び乾燥室の間におけるコンテナ容器の移送の手間がかかるという問題がある。
そこでこの発明は、天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥装置及び方法において、エア抜き口のノズル部周辺を含めた自動洗浄を可能とすると共に、装置自体の配置スペースを抑え、かつコンテナ容器の洗浄及び乾燥を効率良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥装置において、前記コンテナ容器内に進入して洗浄液又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズルと、前記エア抜き口の上方からそのノズル部に洗浄液を噴射する複数のサブノズルとを備えることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記メインノズルからスチームを噴射して前記コンテナ容器内を昇温させると共に、前記メインノズルからのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器内に除菌エアを送入して乾燥させることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥方法において、前記コンテナ容器内に洗浄液又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズルを配置する工程と、前記エア抜き口のノズル部に洗浄液を噴射するべく複数のサブノズルを配置する工程と、前記メインノズルから洗浄液を噴射して前記コンテナ容器内を洗浄すると共に前記各サブノズルから洗浄液を噴射して前記エア抜き口のノズル部を洗浄する工程と、前記メインノズルからの洗浄液の噴射後に該メインノズルから前記コンテナ容器内にスチームを噴射する工程と、前記メインノズルからのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器内に除菌エアを送入する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、回転噴射式のメインノズルによりコンテナ容器内の洗浄を満遍なく容易に行えると共に、該コンテナ容器内の洗浄時には複数のサブノズルによりエア抜き孔のノズル部の洗浄も同時に行うことができるため、コンテナ容器の洗浄作業工数を抑えると共に、エア抜き口の洗い残しを無くしてこれに基づく微生物の繁殖を確実に防止できる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、コンテナ容器内を洗浄液で洗浄した後にスチームで昇温殺菌し、かつコンテナ容器内を十分昇温させた後に除菌エアを送入して素早く乾燥させることで、コンテナ容器内に除菌用アルコールを塗布する等の作業を不要としコストダウンを図った上で微生物の繁殖を確実に防止できる。また、コンテナ容器を移送することなくその洗浄及び乾燥を同一作業位置で行うことができ、装置自体の配置スペースを抑えると共にコンテナ容器の洗浄及び乾燥を効率良く行うことができる。
【0009】
請求項3に記載した発明によれば、回転噴射式のメインノズルによりコンテナ容器内の洗浄を満遍なく容易に行えると共に、該コンテナ容器内の洗浄時には複数のサブノズルによりエア抜き孔のノズル部の洗浄も同時に行うことができるため、コンテナ容器の洗浄作業工数を抑えると共に、エア抜き口の洗い残しを無くしてこれに基づく微生物の繁殖を確実に防止できる。
また、コンテナ容器内を洗浄液で洗浄した後にスチームで昇温殺菌し、かつコンテナ容器内を十分昇温させた後に除菌エアを送入して素早く乾燥させることで、コンテナ容器内に除菌用アルコールを塗布する等の作業を不要としコストダウンを図った上で微生物の繁殖を確実に防止できる。また、コンテナ容器を移送することなくその洗浄及び乾燥を同一作業位置で行うことができ、装置自体の配置スペースを抑えると共にコンテナ容器の洗浄及び乾燥を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示す洗浄乾燥装置10は、シャンプーやボディソープ等の液状製品の製造過程において該液状製品自体又はその原料等の液状内容物を収容するコンテナ容器1を洗浄するためのもので、この実施例においては、その洗浄室11内に図面左右方向に並ぶ二つの作業スペースを有し、二基のコンテナ容器1の洗浄作業を同時に行うことが可能とされる。洗浄室11は、後述の如く乾燥室も兼ねる。なお、各作業スペース間の仕切りの有無は問わない。
【0011】
図2に示すように、コンテナ容器1は、概ね平坦状の天板3とすり鉢状の底板4とを有する容器本体2と、該容器本体2外周を支持する支持フレーム5とを一体に設けてなる。容器本体2は、その底板4をコンテナ載置面から所定量離間させた状態に配置される。容器本体2の天板3中央には、該容器本体2内への液状内容物の充填時及び容器本体2内の洗浄時の作業孔となる比較的大きな上部開口6が設けられると共に、該上部開口6から離間した位置には、液体内容物の流出入時に用いる比較的小さなエア抜き口7が設けられる。また、容器本体2の底板4中央(下端)には、容器本体2内の液状内容物を流出可能な抜出ノズル8が設けられる。
【0012】
図3を併せて参照し、コンテナ容器1の上部開口6には、上方に起立する環状のカラー部6aが連設されると共に、例えばヒンジ開閉式の上蓋6bが設けられる。上蓋6bは、上部開口6を開放した全開状態で固定治具41により保持可能とされる。なお、上蓋6bと上部開口6との間には、不図示のシールパッキンが設けられる。
【0013】
また、エア抜き口7には、上方に突出する円筒状のノズル部7aが連設される。ノズル部7aには、例えば螺着式のエア抜きキャップ7bが着脱可能に取り付けられる。ここで、コンテナ容器1の天板3上には、ノズル部7a洗浄用のノズル洗浄器31を配設可能とされる。なお、ノズル部7aとエア抜きキャップ7bとの間には、不図示のシールパッキンが介設される。
抜出ノズル8には、不図示の開閉バルブが設けられると共に、着脱可能な抜出キャップ8bが取り付けられる。
【0014】
図1に示すように、洗浄室11における図面手前側の壁部には、各作業スペースに対するコンテナ容器1の搬出入口12が設けられる。各作業スペースの床面には、その作業位置と搬出入口12との間でコンテナ容器1を移動可能とするローラ等の搬送手段13が敷設される。なお、コンテナ搬出入口12までのコンテナ容器1の搬送及びコンテナ搬出入口12から作業位置までの搬送は、有人又は無人の搬送手段13(フォークリフト、コンベヤ、クレーン等)を用いて断続的又は連続的に行われる。
【0015】
搬出入口12は、コンテナ容器1の搬出入時には不図示のドアを全開にし、コンテナ容器1の洗浄作業時には前記ドアを全閉にする。前記ドアの開閉状況はドアセンサ(不図示)により検出される。
また、コンテナ容器1が洗浄室11内における所定の作業位置に配置されたか否かはコンテナセンサ(不図示)により検出される。なお、洗浄室11内の各作業スペースには、コンテナ容器1が所定の作業位置に配置された際にこれを固定する不図示の固定手段が設けられる。
前記ドアセンサによるドア開閉状況並びにコンテナセンサによるコンテナ容器1の配置及び固定状況は、洗浄乾燥装置10全体の作動制御を行う制御装置(不図示)に入力される。
【0016】
洗浄室11内における各作業スペースの上方には、各作業位置に搬送されたコンテナ容器1の上部(天板3全体)を覆うフードカバー15が配設される。各フードカバー15は、それぞれ対応する昇降装置16により昇降可能とされ、その下端位置がコンテナ搬出入口12の上端位置よりも上方となる位置(以下、フードカバー15の上限位置という)まで上昇することで、コンテナ容器1の搬出入時にはその妨げにならず、かつコンテナ容器1の洗浄作業時には適宜下降して洗浄液の飛散を抑える。
【0017】
各フードカバー15内には、各作業位置に配置されたコンテナ容器1に対して温水又はスチームを選択的に噴射するメインノズル17が配設されると共に、洗浄後のコンテナ容器1に除菌エアを送入するエアノズル18が配設される。
ここで、前記昇降装置16は、フードカバー15と共にメインノズル17及びエアノズル18を昇降させると共に、フードカバー15に対してメインノズル17を個別に昇降させる。
【0018】
図10を併せて参照し、メインノズル17は、フードカバー15に対して昇降可能な供給配管19の先端に設けられるもので、該供給配管19に接続される円筒部17aの先端に回転可能な球状部17bを有してなる。球状部17bの外面には複数の噴射口17がランダムに(概ね放射状に)形成され、供給配管19からの温水又はスチームの供給時には、その温水圧又はスチーム圧を受けて球状部17bが回転しつつ各噴射口17より温水又はスチームを放射状に噴射する。
【0019】
メインノズル17は、対応するフードカバー15が前記上限位置にあるときには該フードカバー15の略中間高さとなる位置(以下、メインノズル17の上限位置という)に配置され、かつ該フードカバー15と共に下降可能とされる。
【0020】
各フードカバー15は、その下端外周が対応するコンテナ容器1(容器本体2)の上端外周(天板3外周)にほぼ当接する位置(以下、フードカバー15の下限位置という)まで下降可能とされる(図4参照)。フードカバーが下限位置にあるとき、メインノズル17はコンテナ容器1の上部開口6の上方であって全開状態の上蓋6bと同等の高さとなる位置(以下、メインノズル17の中間位置という)に配置され、エアノズル18はその下端送風口をコンテナ容器1の上部開口6内に臨ませるように配置される。
【0021】
また、各メインノズル17は、フードカバー15が前記下限位置にある状態において、前記昇降装置16の作動により前記中間位置からコンテナ容器1の上部開口6を経て容器本体2内に至るまで下降し、該容器本体2の略中間高さとなる位置(以下、メインノズル17の下限位置という)に配置可能とされる(図6参照)。また、メインノズル17は、前記昇降装置16の作動により前記下限位置において所定量だけ上下動可能とされる(図7参照)。
【0022】
各メインノズル17には、メイン供給経路23及び前記供給配管19を介して、温水槽21及びスチーム装置22がそれぞれ接続される。
温水槽21は80℃に加熱した純水を貯留するもので、その下流側には温水ポンプ25が設けられると共に、該温水ポンプ25の下流側には自動弁B1が設けられ、これら温水槽21、温水ポンプ25、及び自動弁B1の協働により、適宜昇圧した温水をメインノズル17に供給可能とする。なお、符号S1は温水圧力を検出する圧力センサを示す。
【0023】
スチーム装置22は105℃の通常の加圧蒸気を発生させるもので、その下流側には自動弁B2が設けられ、これらスチーム装置22及び自動弁B2の協働により、所定圧のスチームをメインノズル17に供給可能とする。なお、符号はスチーム圧力を検出する圧力センサS2を示す。
【0024】
各エアノズル18には、エア供給経路24を介してブロワ26が接続される。ブロワ26の下流側にはヒータ27及び除菌フィルタ28が設けられると共に、これらの下流側には自動弁B3が設けられ、これらブロワ26、ヒータ27、除菌フィルタ28、及び自動弁B3の協働により、常温又は適宜加熱した除菌エアを各エアノズル18に供給可能とする。なお、符号は計装エア圧力を検出する圧力センサS3を示す。
【0025】
図11に示すように、ノズル洗浄器31は、メイン供給経路23からの分岐経路23a(図1参照)に接続可能な接続配管32と、該接続配管32が接続される円盤状のチャンバー部33と、該チャンバー部33の周囲に配設された複数(三つ)のサブノズル34と、該各サブノズル34をエア抜き口7の上方に所定量離間させた状態で設置可能とする支持フレーム35とを有してなる。各サブノズル34は、その先端の噴射口34aから円錐霧状に温水を噴射(噴霧)するもので、エア抜き口7のノズル部7aと同軸の円周上に概ね等間隔に配置され、該ノズル部7aに対して斜め下方に噴射口34aを指向させる。これら各サブノズル34からノズル部7aに温水を噴射することで、該ノズル部7aの内外が同時に洗浄される。なお、前記分岐経路23aには自動弁B4が設けられ(図1参照)、メインノズル17への温水供給とは個別にノズル洗浄器31への温水供給を制御可能とされる。
【0026】
図12に示すように、固定治具41は、小径棒状の鋼材からなる屈曲部品を適宜組み合わせてなり、容器本体2の天板3上面に載置されるベース部42と、該ベース部42の一端から上方に延びて全開状態の上蓋6b外面を支持する支持部43と、ベース部42の他端から前記カラー部6aを跨ぐように延びて上部開口6内に臨む湾曲部44と、該湾曲部44の上部開口6内の先端部にスライド可能に支持されるスライドアーム45とを有してなる。スライドアーム45は、固定治具41の取り付け作業時には上部開口6内周側にスライドし、湾曲部44の上部開口6内への進入を許容すると共に、固定治具41の取り付け後には上部開口6外周側にスライドし、容器本体2の天板3下面に係合して固定治具41の脱落を防止する。
【0027】
次に、上記洗浄乾燥装置10を用いてコンテナ容器1を洗浄乾燥する際の手順について説明する。
まず、準備確認工程として、洗浄室11内にそれぞれ未洗浄のコンテナ容器1を搬入する。なお、洗浄室11内に搬入するコンテナ容器1は一基でもよいが、作業効率を高めるために二基同時に搬入し洗浄を行うことが望ましい。
【0028】
コンテナ容器1の搬入前又は後には、図3に示すように、上蓋6bを全開にして上部開口6を開放し、エア抜きキャップ7bを取り外してエア抜き口7を開放し、抜出キャップ8bを取り外すと共に抜出バルブを開いて抜出ノズル8を開放する。また、上蓋6bは前記固定治具41を用いて全開状態に保持し、かつ天板3上には前記ノズル洗浄器31をセットする。ここで、この時点で各サブノズル34を配置せず、フードカバー15内に各サブノズル34を固定又は可動状態で配設した構成としてもよい。取り外した各キャップ7b,8b及びこれらに取り付くシールパッキンは別途手洗浄を行う。
【0029】
なお、コンテナ容器1の搬入前又は後には該コンテナ容器1内の残液回収を行う。これは、上部開口6からポンプ等を用いて残液を吸引するか、抜出ノズル8から残液を排出すればよい。また、コンテナ容器1の搬入前又は後には該コンテナ容器1の外面洗浄も行う。これは、前記メイン供給経路23からの温水をスプレーノズル等を用いて吹き付けることで行えばよい。
【0030】
前記制御装置は、前記コンテナセンサによりコンテナ容器1が所定の作業位置に配置され固定されたことを確認すると共に、前記ドアセンサにより洗浄室11のドアが全閉になったことを確認し、かつ各自動弁B1〜B4が閉状態であることを確認すると、前記温水ポンプ25、スチーム装置22、及びブロワ26を起動し、温水圧力を0.5MPa、スチーム圧力を0.2MPa、計装エア圧力を0.65MPaとし、さらにフードカバー15及びメインノズル17が前記上限位置にあることを確認すると、自動洗浄準備が完了したものとしてランプ等の告知手段を作動させる。この告知手段を確認後に所定のスイッチ等を操作することで、コンテナ容器1の自動洗浄が開始される。
【0031】
自動洗浄工程としては、まず、図4に示すように、フードカバー15が前記下限位置まで下降し、作業位置にあるコンテナ容器1の上部(天板3全体)を上方から覆うと共に、これに連動してメインノズル17が前記中間位置まで下降し、上部開口6の上方において全開状態の上蓋6bと同等の高さに配置される。このとき、エアノズル18の送風口は上部開口6内に臨まされる。その後、図5に示すように、自動弁B1が開いてメインノズル17に温水が供給され、該メインノズル17が回転しながら上蓋6b内面全体に温水を噴射することで、上蓋6b内面に付着し乾燥した液状内容物(乾燥付着物)が洗い流される(上蓋洗浄工程)。
【0032】
上蓋6b洗浄時には、自動弁B4も開いてノズル洗浄器31に温水が供給され、各サブノズル34がエア抜き口7のノズル部7aに温水を噴射することで、エア抜き口7内外に付着した液状内容物がもれなく洗い流される(エア抜き口洗浄工程)。なお、この実施例では、上蓋6b及びエア抜き口7を同時に洗浄することでこれらの洗浄時間を同一としたが、これら各洗浄時間を個別に設定してもよい。
【0033】
上蓋6b及びエア抜き口7の洗浄時間経過後には、図6に示すように、各自動弁B1,B4が閉じて各ノズルからの温水噴射を一旦停止した状態で、メインノズル17が前記下限位置まで下降し、容器本体2内の略中間となる高さに配置される。その後、図7に示すように、自動弁B1が開いてメインノズル17に再度温水が供給され、該メインノズル17が回転しながら容器本体2内面全体に温水を噴射すると共に、該メインノズル17が適宜上下動することで、容器本体2内面に付着した液状内容物がもれなく洗い流される(容器本体洗浄工程)。このとき、容器本体2内に噴射された温水が抜出ノズル8を連続的に流れることで、該抜出ノズル8内の洗浄も併せて行われる。
【0034】
容器本体2の洗浄時間経過後には、自動弁B1が閉じてメインノズル17からの温水噴射が停止すると共にその上下動が停止する。その後、図8に示すように、自動弁B2が開いてメインノズル17にスチームが供給され、該メインノズル17が回転しながらスチームを噴射して容器本体2内を加熱殺菌する(スチーミング工程)。このときの昇温状況を図13のグラフに示す。この実施例では、2分間で容器本体2内を約90℃に昇温させ、さらにこの状態を5分間保つことで容器本体2内の滅菌を図っている。なお、メインノズル17を上下動させつつスチーム噴射を行ってもよい。
【0035】
上記スチーミング時間経過後には、図9に示すように、自動弁B2が閉じてメインノズル17からのスチーム噴射が停止すると共に、自動弁B3が開いて除菌フィルタ28を経た除菌エアがエアノズル18から容器本体2内に導入され、該容器本体2内を乾燥させると共に冷却させる(乾燥冷却工程)。このときの降温状況を図14のグラフに示す。この実施例では、10分間で容器本体2内を約45℃に降温させている。除菌エアは、導入前半ではヒータ27の作用により約50℃に昇温した状態で容器本体2内に導入されてその完全乾燥を図ると共に、導入後半にはヒータ27が停止した状態で容器本体2内に導入されてその冷却を図る。
【0036】
以上の自動洗浄の内容を下記表1に示す。なお、表中におけるTOD(理論的酸素要求量)とは、試験物質が完全に酸化された場合に必要とされる理論的な酸素消費量(計算値)である。
【0037】
【表1】

【0038】
以上説明したように、上記実施例における洗浄乾燥装置10は、天板3に上部開口6及びエア抜き口7を有するコンテナ容器1の自動洗浄に用いられるものであって、前記コンテナ容器1内に進入して温水又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズル17と、前記エア抜き口7の上方からそのノズル部7aに温水を噴射する複数のサブノズル34とを備えるものである。
この構成によれば、回転噴射式のメインノズル17によりコンテナ容器1内の洗浄を満遍なく容易に行えると共に、該コンテナ容器1内の洗浄時には複数のサブノズル34によりエア抜き孔のノズル部7aの洗浄も同時に行うことができるため、コンテナ容器1の洗浄作業工数を抑えると共に、エア抜き口7の洗い残しを無くしてこれに基づく微生物の繁殖を確実に防止できる。
【0039】
また、上記洗浄乾燥装置10においては、前記メインノズル17からスチームを噴射して前記コンテナ容器1内を昇温させると共に、前記メインノズル17からのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器1内に除菌エアを送入して乾燥させることで、コンテナ容器1内を温水で洗浄した後にスチームで加熱殺菌し、かつコンテナ容器1内を十分昇温させた後に除菌エアを送入して素早く乾燥させることで、コンテナ容器1内に除菌用アルコールを塗布する等の作業を不要としコストダウンを図った上で微生物の繁殖を確実に防止できる。また、コンテナ容器1を移送することなくその洗浄及び乾燥を同一作業位置で行うことができ、装置自体の配置スペースを抑えると共にコンテナ容器1の洗浄及び乾燥を効率良く行うことができる。
【0040】
ここで、上記実施例における洗浄乾燥方法は、天板3に上部開口6及びエア抜き口7を有するコンテナ容器1の自動洗浄に用いられるものであって、前記コンテナ容器1内に温水又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズル17を配置する工程と、前記エア抜き口7のノズル部7aに温水を噴射するべく複数のサブノズル34を配置する工程と、前記メインノズル17から温水を噴射して前記コンテナ容器1内を洗浄すると共に前記各サブノズル34から温水を噴射して前記エア抜き口7のノズル部7aを洗浄する工程と、前記メインノズル17からの温水の噴射後に該メインノズル17から前記コンテナ容器1内にスチームを噴射する工程と、前記メインノズル17からのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器1内に除菌エアを送入する工程とを備えるものであるといえる。
【0041】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、各作業スペース毎に温水、スチーム、及びエアの供給を制御するべくこれらの供給経路に自動弁を設定すれば、コンテナ容器が搬送されない作業スペースへの温水等の供給を停止することが可能となり、さらにはフードカバーやメインノズルの昇降パターンを各作業スペース毎に制御することで、異なる液状内容物を収容したコンテナ容器や異なる仕様のコンテナ容器を、異なる洗浄パターンで同時に洗浄することも可能となる。
また、上記実施例における洗浄乾燥装置及び方法は、温水やスチームに対する耐熱性を考慮すると、ステンレス製のコンテナ容器に適用することが望ましいが、樹脂製のコンテナ容器であってもステンレスコーティング等の対策を施し耐熱性を高めることで適用可能である。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、コンテナ容器に充填される液状内容物はシャンプー、リンス、トリートメント、液体石鹸、化粧液、洗浄剤、液体洗剤、柔軟仕上げ剤、液体歯磨き等様々であることはもちろん、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施例における洗浄乾燥装置の構成説明図である。
【図2】この発明の実施例におけるコンテナ容器の正面図である。
【図3】上記コンテナ容器の洗浄作業時の正面図である。
【図4】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第一作用説明図である。
【図5】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第二作用説明図である。
【図6】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第三作用説明図である。
【図7】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第四作用説明図である。
【図8】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第五作用説明図である。
【図9】上記洗浄乾燥装置における洗浄作業時の第六作用説明図である。
【図10】上記洗浄乾燥装置のメインノズルの斜視図である。
【図11】(a)は上記コンテナ容器のエア抜き口のノズル部を洗浄するノズル洗浄器の斜視図であり、(b)は前記ノズル洗浄器をコンテナ容器にセットした状態の正面図である。
【図12】(a)は上記コンテナ容器の上蓋を全開状態で保持する固定治具の斜視図であり、(b)は前記固定治具をコンテナ容器にセットした状態の正面図である。
【図13】上記洗浄乾燥装置のスチーミング時の昇温状況を示すグラフである。
【図14】上記洗浄乾燥装置の冷却乾燥時の降温状況を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
1 コンテナ容器
3 天板
6 上部開口
7 エア抜き口
7a ノズル部
10 洗浄乾燥装置
17 メインノズル
34 サブノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥装置において、
前記コンテナ容器内に進入して洗浄液又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズルと、前記エア抜き口の上方からそのノズル部に洗浄液を噴射する複数のサブノズルとを備えることを特徴とするコンテナ容器の洗浄乾燥装置。
【請求項2】
前記メインノズルからスチームを噴射して前記コンテナ容器内を昇温させると共に、前記メインノズルからのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器内に除菌エアを送入して乾燥させることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ容器の洗浄乾燥装置。
【請求項3】
天板に上部開口及びエア抜き口を有するコンテナ容器の洗浄乾燥方法において、
前記コンテナ容器内に洗浄液又はスチームを多方向に噴射しつつ回転するメインノズルを配置する工程と、前記エア抜き口のノズル部に洗浄液を噴射するべく複数のサブノズルを配置する工程と、前記メインノズルから洗浄液を噴射して前記コンテナ容器内を洗浄すると共に前記各サブノズルから洗浄液を噴射して前記エア抜き口のノズル部を洗浄する工程と、前記メインノズルからの洗浄液の噴射後に該メインノズルから前記コンテナ容器内にスチームを噴射する工程と、前記メインノズルからのスチーム噴射により昇温した前記コンテナ容器内に除菌エアを送入する工程とを備えることを特徴とするコンテナ容器の洗浄乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−110323(P2008−110323A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296455(P2006−296455)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】