説明

コーストストップ車両及びコーストストップ方法

【課題】ベルト式無段変速機構(バリエータ)を備えた車両において、コーストストップ実行時のベルト滑りを抑制する。
【解決手段】
コントローラ12は、コーストストップ条件の成否を判断し、コーストストップ条件が成立したと判断された場合に、Lowブレーキ32への供給油圧を低下させ、Lowブレーキ32に供給される油圧を低下させた後にエンジン1及びメカオイルポンプ10mを停止させ、これによってLowブレーキ32への供給油圧をさらに低下させてLowブレーキ32を解放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中にエンジンを自動停止させるコーストストップ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、燃料消費量低減を目的として、車両走行中にエンジンを自動停止させるコーストストップの技術を開示している。コーストストップでは、エンジンへの燃料供給を停止するとともに、自動変速機をニュートラル状態とし、エンジンの回転を完全に停止させる。
【0003】
コーストストップは、自動変速機としてベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ」という。)を備えた車両においても可能であり、コーストストップを行うには、エンジンへの燃料供給を停止するとともに、バリエータの前段又は後段に配置されて動力の伝達・非伝達を切り換える摩擦締結要素(クラッチ又はブレーキ)を解放すればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エンジンが停止するとエンジンによって駆動されるオイルポンプも停止するため、バリエータのプーリへの供給圧、すなわちベルトの挟持圧も低下する。この時、摩擦締結要素の解放が遅れ、締結したままであると、ブレーキング等で駆動輪からトルクが入力された時に、当該トルクが摩擦締結要素を介してバリエータに伝達され、ベルトとプーリとの間で滑りが発生する。このため、摩擦締結要素は、エンジンの停止と同時かそれよりも前に解放させる必要がある。
【0006】
しかしながら、摩擦締結要素に油圧を供給する油路の途中に、N−Dセレクト時等にクラッチが急締結されてショックが発生するのを防止するためのアキュムレータ(蓄圧器)が設けられている場合がある。このようなアキュムレータが設けられていると、エンジンへの燃料供給停止を指示すると同時に摩擦締結要素の解放を指示したとしてもアキュムレータに蓄えられた油圧がドレーンされるまで摩擦締結要素の解放が遅れ、エンジンの停止と同時かそれよりも前に摩擦締結要素を解放させることができない。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ベルト式無段変速機構(バリエータ)を備えた車両において、コーストストップ実行時のベルト滑りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、車両走行時にエンジンを停止させるコーストストップ車両であって、一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、前記エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ条件の成否を判断するコーストストップ条件判断手段と、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成否を判断する油圧低下条件判断手段と、前記油圧低下条件判断手段によって前記油圧低下条件が成立したと判断された場合に、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下手段と、前記コーストストップ条件判断手段によって前記コーストストップ条件が成立したと判断され、かつ、前記油圧低下手段によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手段と、を備えたことを特徴とするコーストストップ車両が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、車両走行時にエンジンを停止させるコーストストップ車両であって、一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、前記エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成立によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手段と、を備えたことを特徴とするコーストストップ車両が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、を備えた車両において、車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ方法であって、前記車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ条件の成否を判断するコーストストップ条件判断手順と、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成否を判断する油圧低下条件判断手順と、前記油圧条件判断手順によって前記油圧低下条件が前記が成立したと判断された場合に、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下手順と、前記コーストストップ条件判断手順によって前記コーストストップ条件が成立したと判断され、かつ、前記油圧低下手順によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手順と、を備えたことを特徴とするコーストストップ方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、を備えた車両において、車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ方法であって、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成立によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手順と、を備えたことを特徴とするコーストストップ方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
これらの態様によれば、エンジン及びその結果としてのオイルポンプの停止と、摩擦締結要素の解放と、が略同時に行われるので、コーストストップ中にブレーキング等で駆動輪からトルクが入力されたとしてもこれがバリエータに伝達されることはなく、バリエータのベルトが滑るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るコーストストップ車両の概略構成図である。
【図2】コントローラの内部構成を示した図である。
【図3】変速マップの一例を示した図である。
【図4】コントローラによって実行されるコーストストップ制御の内容を示したフローチャートである。
【図5】コーストップ制御時のLowブレーキ圧の変化を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転速度を当該変速機構の出力回転速度で割って得られる値である。また、「最Low変速比」は当該変速機構の最大変速比、「最High変速比」は当該変速機構の最小変速比である。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係るコーストストップ車両の概略構成図である。この車両は駆動源としてエンジン1を備え、エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
【0016】
変速機4には、エンジン1の回転が入力されエンジン1の動力の一部を利用して駆動されるメカオイルポンプ10mと、バッテリ13から電力供給を受けて駆動される電動オイルポンプ10eとが設けられている。電動オイルポンプ10eは、オイルポンプ本体と、これを回転駆動する電気モータ及びモータドライバとで構成され、運転負荷を任意の負荷に、あるいは、多段階に制御することができる。また、変速機4には、メカオイルポンプ10mあるいは電動オイルポンプ10eからの油圧(以下、「ライン圧PL」という。)を調圧して変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11が設けられている。
【0017】
変速機4は、ベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に直列に設けられる副変速機構30とを備える。「直列に設けられる」とはエンジン1から駆動輪7に至るまでの動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギヤ列)を介して接続されていてもよい。あるいは、副変速機構30はバリエータ20の前段(入力軸側)に接続されていてもよい。
【0018】
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるVベルト23とを備える。プーリ21、22は、それぞれ固定円錐板と、この固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、この可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させる油圧シリンダ23a、23bとを備える。油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してVベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比が無段階に変化する。
【0019】
副変速機構30は前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニョウ型遊星歯車機構31と、ラビニョウ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(Lowブレーキ32、Highクラッチ33、Revブレーキ34)とを備える。各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると、副変速機構30の変速段が変更される。
【0020】
例えば、Lowブレーキ32を締結し、Highクラッチ33とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速となる。Highクラッチ33を締結し、Lowブレーキ32とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな2速となる。また、Revブレーキ34を締結し、Lowブレーキ32とHighクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進となる。以下の説明では、副変速機構30の変速段が1速である場合に「変速機4が低速モードである」と表現し、2速である場合に「変速機4が高速モードである」と表現する。
【0021】
各摩擦締結要素は、動力伝達経路上、バリエータ20の前段又は後段に設けられ、いずれも締結されると変速機4の動力伝達を可能にし、解放されると変速機4の動力伝達を不能にする。
【0022】
また、Lowブレーキ32に油圧を供給する油路の途中にはアキュムレータ(蓄圧器)35が接続されている。アキュムレータ35は、Lowブレーキ32への油圧の供給、排出に遅れを持たせるもので、N−Dセレクト時に油圧を蓄えることによってLowブレーキ32への供給油圧が急上昇するのを抑え、Lowブレーキ32が急締結してショックが発生するのを防止する。
【0023】
コントローラ12は、エンジン1及び変速機4を統合的に制御するコントローラであり、図2に示すように、CPU121と、RAM・ROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。
【0024】
入力インターフェース123には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力回転速度(=プライマリプーリ21の回転速度、以下、「プライマリ回転速度Npri」という。)を検出する回転速度センサ42の出力信号、車速VSPを検出する車速センサ43の出力信号、ライン圧PLを検出するライン圧センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ46、車体の傾斜(≒路面勾配)を検出する傾斜センサ47の出力信号等が入力される。
【0025】
記憶装置122には、エンジン1の制御プログラム、変速機4の変速制御プログラム、これらプログラムで用いられる各種マップ・テーブルが格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されているプログラムを読み出して実行し、入力インターフェース123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して、燃料噴射量信号、点火時期信号、スロットル開度信号、変速制御信号、電動オイルポンプ10eの駆動信号を生成し、生成した信号を出力インターフェース124を介してエンジン1、油圧制御回路11、電動オイルポンプ10eのモータドライバに出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、その演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
【0026】
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換えるとともにメカオイルポンプ10m又は電動オイルポンプ10eで発生した油圧から必要な油圧を調製し、これを変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比、副変速機構30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われる。
【0027】
図3は記憶装置122に格納される変速マップの一例を示している。コントローラ12は、この変速マップに基づき、車両の運転状態(この実施形態では車速VSP、プライマリ回転速度Npri、アクセル開度APO)に応じて、バリエータ20、副変速機構30を制御する。
【0028】
この変速マップでは、変速機4の動作点が車速VSPとプライマリ回転速度Npriとにより定義される。変速機4の動作点と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが変速機4の変速比(バリエータ20の変速比に副変速機構30の変速比を掛けて得られる全体の変速比、以下、「スルー変速比」という。)に対応する。この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセル開度APO毎に変速線が設定されており、変速機4の変速はアクセル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。なお、図3には簡単のため、全負荷線(アクセル開度APO=8/8の場合の変速線)、パーシャル線(アクセル開度APO=4/8の場合の変速線)、コースト線(アクセル開度APO=0/8の場合の変速線)のみが示されている。
【0029】
変速機4が低速モードの場合は、変速機4はバリエータ20の変速比を最Low変速比にして得られる低速モード最Low線とバリエータ20の変速比を最High変速比にして得られる低速モード最High線の間で変速することができる。この場合、変速機4の動作点はA領域とB領域内を移動する。一方、変速機4が高速モードの場合は、変速機4はバリエータ20の変速比を最Low変速比にして得られる高速モード最Low線とバリエータ20の変速比を最High変速比にして得られる高速モード最High線の間で変速することができる。この場合、変速機4の動作点はB領域とC領域内を移動する。
【0030】
副変速機構30の各変速段の変速比は、低速モード最High線に対応する変速比(低速モード最High変速比)が高速モード最Low線に対応する変速比(高速モード最Low変速比)よりも小さくなるように設定される。これにより、低速モードでとりうる変速機4のスルー変速比の範囲(図中、「低速モードレシオ範囲」)と高速モードでとりうる変速機4のスルー変速比の範囲(図中、「高速モードレシオ範囲」)とが部分的に重複し、変速機4の動作点が高速モード最Low線と低速モード最High線で挟まれるB領域にある場合は、変速機4は低速モード、高速モードのいずれのモードも選択可能になっている。
【0031】
また、この変速マップ上には副変速機構30の変速を行うモード切換変速線が低速モード最High線上に重なるように設定されている。モード切換変速線に対応するスルー変速比(以下、「モード切換変速比mRatio」という。)は低速モード最High変速比と等しい値に設定される。モード切換変速線をこのように設定するのは、バリエータ20の変速比が小さいほど副変速機構30への入力トルクが小さくなり、副変速機構30を変速させる際の変速ショックを抑えられるからである。
【0032】
そして、変速機4の動作点がモード切換変速線を横切った場合、すなわち、スルー変速比の実際値(以下、「実スルー変速比Ratio」という。)がモード切換変速比mRatioを跨いで変化した場合は、コントローラ12は以下に説明する協調変速を行い、高速モード−低速モード間の切換えを行う。
【0033】
協調変速では、コントローラ12は、副変速機構30の変速を行うとともに、バリエータ20の変速比を副変速機構30の変速比が変化する方向と逆の方向に変更する。この時、副変速機構30の変速比が実際に変化するイナーシャフェーズとバリエータ20の変速比が変化する期間を同期させる。バリエータ20の変速比を副変速機構30の変速比変化と逆の方向に変化させるのは、実スルー変速比Ratioに段差が生じることによる入力回転の変化が運転者に違和感を与えないようにするためである。
【0034】
具体的には、変速機4の実スルー変速比Ratioがモード切換変速比mRatioをLow側からHigh側に跨いで変化した場合は、コントローラ12は、副変速機構30の変速段を1速から2速に変更(1−2変速)するとともに、バリエータ20の変速比をLow側に変更する。
【0035】
逆に、変速機4の実スルー変速比Ratioがモード切換変速比mRatioをHigh側からLow側に跨いで変化した場合は、コントローラ12は、副変速機構30の変速段を2速から1速に変更(2−1変速)するとともに、バリエータ20の変速比をHigh側に変更する。
【0036】
また、コントローラ12は、燃料消費量を抑制するために、以下に説明するコーストストップ制御を行う。
【0037】
コーストストップ制御は、低車速域で車両が走行している間、エンジン1を自動的に停止(コーストストップ)させて燃料消費量を抑制する制御である。アクセルオフ時に実行される燃料カット制御とは、エンジン1への燃料供給が停止される点で共通するが、ロックアップクラッチ及びLowブレーキ32を解放してエンジン1と駆動輪7との間の動力伝達経路を絶ち、エンジン1の回転を完全に停止させる点において相違する。
【0038】
コーストストップを実行するにあたっては、コントローラ12は、まず、以下に示す条件a〜d:
a:アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
b:ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ液圧が所定値以上)
c:車速が所定の低車速(例えば、15km/h)以下
d:ロックアップクラッチが解放されている
を判断する。これらの条件は、言い換えれば、運転者に停車意図があるかを判断するための条件である。
【0039】
ロックアップクラッチは変速マップ上に設定されるロックアップ解除線(不図示)を高速側又は高回転側から低速側又は低回転側に横切った場合に解放される。コントローラ12は、これらの条件a〜dが全て成立した場合にコーストストップ条件成立と判断する。
【0040】
コーストストップ条件が成立したら、次に、コントローラ12は、Lowブレーキ32への指示油圧をゼロまで下げ、アキュムレータ35に蓄えられている油圧をドレーンさせる。Lowブレーキ32の供給油圧を下げているという点からすれば、コーストストップ条件の成立はLowブレーキ32への供給油圧を下げるための条件(油圧低下条件)の成立でもある。そして、コントローラ12は、アキュムレータ35に蓄えられている油圧が全てドレーンされたら、コーストストップを実行する。
【0041】
コーストストップでは、エンジン1への燃料供給を停止し、エンジン1を自動的に停止させる。エンジン1が停止すると、エンジン1の動力によって駆動されるメカオイルポンプ10mも停止してその吐出圧がゼロになり、Lowブレーキ32が完全に解放される。上記の通り、アキュムレータ35に蓄えられていた油圧は前もって全てドレーンされているので、Lowブレーキ32は、エンジン1及びメカオイルポンプ10mの停止と略同時に解放される。
【0042】
メカオイルポンプ10mからプーリ21、22の油圧シリンダ23a、23bへの供給油圧がゼロになり、かつ、Lowブレーキ32が解放されてバリエータ20が回転方向にフリーになると、バリエータ20の変速比は油圧シリンダ23a、23b内に配置されるリターンスプリングによって最Low変速比に向けて変化する。
【0043】
メカオイルポンプ10mが停止すると、電動オイルポンプ10eの駆動が開始され、電動オイルポンプ10eで発生させた油圧が油圧シリンダ23a、23bに供給され、バリエータ20を最Low変速比まで変化させる。
【0044】
油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧は、プーリ21、22でベルト23を挟持するだけの油圧で、動力を伝達するのには十分な油圧ではない。しかしながら、Lowブレーキ32が解放され、副変速機構30がニュートラル状態になっているので、仮にブレーキング等で駆動輪7からトルクが入力されたとしてもこのトルクが副変速機構30を介してバリエータ20に伝達されることはなく、ベルト23の滑りが防止される。
【0045】
また、コントローラ12は、Lowブレーキ32が解放された後、Lowブレーキ32への供給油圧を、Lowブレーキ32を入力側要素と出力側要素との間の隙間がゼロで、かつ、Lowブレーキ32のトルク容量(伝達可能なトルク)がゼロとなる油圧(以下、「ゼロ点油圧」という。)まで上昇させる。これは、コーストストップ中、Lowブレーキ32を締結直前の状態に維持しておくことで、再加速時にはLowブレーキ32のトルク容量を速やかに上昇させ、再加速応答性を向上させるためである。
【0046】
なお、エンジン1を再始動させると、エンジン1の回転速度は一旦吹け上がった後、定常回転に落ち着く。コントローラ12は、吹け上がった時の回転がLowブレーキ32を介して駆動輪7に伝達されないようにするために、Lowブレーキ32への供給油圧はエンジン1の吹け上がりが収束するまでゼロ点油圧に維持する。
【0047】
なお、上記a〜dの条件はコーストストップ中も成立しているかの判断が継続される。そして、いずれか一つでも不成立になるとコーストストップ条件が不成立になり、コントローラ12は、エンジン1への燃料供給を再開してエンジン1を再始動するとともに、メカオイルポンプ10mが十分な油圧を発生するようになった時点で電動オイルポンプ10eを停止させる。
【0048】
図4はコントローラ12が実行するコーストストップ制御の内容を示したフローチャートである。これを参照しながらコーストストップ制御についてさらに説明する。なお、各ステップの内容はコントローラ12の処理内容の他、コントローラ12の処理を受けて発生するバリエータ20又は副変速機構30の動作も示している。
【0049】
S11では、コントローラ12は、コーストストップ条件が成立しているか判断する。コーストストップ条件は上記a〜dの条件が全て成立した場合に成立したと判断され、一つでも不成立の条件があると不成立と判断される。コーストストップ条件が成立したと判断された場合は処理がS12に進む。
【0050】
S12では、コントローラ12は、Lowブレーキ32の指示油圧をゼロまで下げて、Lowブレーキ32への供給油圧の低下を開始する。これにより、アキュムレータ35に蓄えられている油圧を排出させる。
【0051】
S13では、コントローラ12は、S12でLowブレーキ32への供給油圧低下を指示してから所定時間経過したか判断する。所定時間はアキュムレータ35に蓄えられている油圧が全てドレーンされるのに必要な時間である。所定時間が経過し、アキュムレータ35に蓄えられている油圧が全てドレーンされたと判断された場合は、処理がS14に進む。
【0052】
S14では、コーストストップを実行する。具体的には、コントローラ12は、エンジン1への燃料供給を停止し、エンジン1を停止させる。そして、電動オイルポンプ10eの駆動を開始する。
【0053】
エンジン1を停止させるとメカオイルポンプ10mも停止し、メカオイルポンプ10mの吐出圧がゼロになる(S15)。そして、Lowブレーキ32への供給油圧もゼロになり、Lowブレーキ32が解放される(S16)。アキュムレータ35内の油圧が予めドレーンされているので、S14のエンジン1への燃料供給停止からS16のLowブレーキ32までは速やかに行われる。
【0054】
メカオイルポンプ10mの吐出圧がゼロになってプーリ21、22の油圧シリンダ23a、23bへの供給油圧がゼロになり、かつ、Lowブレーキ32が解放されてバリエータ20は回転方向にフリーの状態になると、バリエータ20の変速比は、油圧シリンダ23a、23b内に設けられているリターンスプリングによって最Low変速比に向けて変更される(S17)。
【0055】
電動オイルポンプ10eが起動し、その吐出圧が上昇すると(S18)、コントローラ12は、Lowブレーキ32の指示油圧をゼロ点油圧まで高め、Lowブレーキ32への供給油圧をゼロ点油圧まで高める(S19)。これにより、Lowブレーキ32は締結直前の状態に維持され、エンジン1が再始動されて再加速する場合のLowブレーキ32の締結遅れを無くし、良好な再加速応答性を実現する。
【0056】
そして、コントローラ12は、エンジン1の再始動時の吹け上がり回転が伝達されてショックとならないよう、エンジン1の再始動時の吹け上がりが収束するまでLowブレーキ32への供給油圧をゼロ点油圧に維持する。
【0057】
その一方で、コントローラ12は、電動オイルポンプ10eの吐出圧をプーリ21、22の油圧シリンダ23a、23bにも供給し、バリエータ20の変速比を最Low変速比まで変更する(S20)。その後、コントローラ12は、バリエータ20の変速比を最Low変速比に維持し(S21)、上記Lowブレーキ32のゼロ点油圧待機と相まって、再加速時の良好な加速応答性を実現する。
【0058】
図5は上記コーストストップ制御を行ってコーストストップが実行された場合のLowブレーキ圧の変化を示した図である。これを参照しながら、コーストストップが実行される時の動作についてさらに説明する。
【0059】
時刻t1でコーストストップ条件が成立すると、Lowブレーキ32の指示油圧がゼロまで下げられ、Lowブレーキ32への供給油圧が低下する。
【0060】
時刻t1から所定時間が経過した時刻t2では、アキュムレータ35内の油圧(図中、「アキューム圧」)が全てドレーンされ、コーストストップが実行される。コーストストップでは、エンジン1への燃料供給が停止されてエンジン1が停止し、また、メカオイルポンプ10mの吐出圧がゼロになってLowブレーキ32への供給油圧もゼロになる。予めアキュムレータ35の油圧が全てドレーンされているので、エンジン1及びメカオイルポンプ10mの停止とLowブレーキ32の解放は略同時に行われる。
【0061】
したがって、上記コーストストップ制御によれば、Lowブレーキ32が締結したまま油圧シリンダ23a、23bへの供給油圧だけが先行して低下することがなく、油圧シリンダ23a、23bへの供給油圧が低下する時にはLowブレーキ32も略同時に解放される。すなわち、コーストストップ中、バリエータ20のトルク容量がLowブレーキ32のトルク容量よりも小さくなることがない。
【0062】
これにより、コーストストップ中にブレーキング等で駆動輪7からトルクが入力されたとしてもこれが副変速機構30を介してバリエータ20に伝達されることはなく、ベルト23とプーリ21、22との間で滑りが発生し、ベルト23の耐久性が低下するのを防止することができる(請求項1〜4、8〜10に記載の発明の効果)。なお、Lowブレーキ32への供給油圧を下げるには、本実施形態のようにLowブレーキ32の指示油圧をゼロにするのが好適であり、これによってアキュムレータ32の油圧を速やかに下げることができる(請求項4に記載の発明の効果)。
【0063】
時刻t3では、Lowブレーキ32の指示油圧がゼロ点油圧まで高められ、Lowブレーキ32への供給油圧がゼロ点油圧まで高められる。コーストストップ中のLowブレーキ32への供給油圧をゼロ点油圧に維持しておくことで、アクセルペダルが踏み込まれる、ブレーキペダルから足が離される等の再加速要求又は再加速意図を受けてエンジン1を再始動し車両を再加速させる時にLowブレーキ32を遅れなく締結(トルク容量を発生)し、良好な再加速応答性を実現することができる(請求項5に記載の発明の効果)。
【0064】
なお、Lowブレーキ32への供給油圧は、エンジン1の再始動時の吹け上がりが収束し、定常回転に落ち着くまでゼロ点油圧に維持され、これによって、エンジン1の再始動時の吹け上がり回転がLowブレーキ32を介して駆動輪7に伝達されてショックが発生するのを防止することができる(請求項6に記載の発明の効果)。
【0065】
また、図示しないが、コーストストップ中、リターンスプリングの作用及び電動オイルポンプ10eからの供給油圧によってバリエータ20の変速比を最Low変速比まで変化させる。これにより、Lowブレーキ32のゼロ点油圧待機と相まって、良好な再加速応答性を実現することができる(請求項7に記載の発明の効果)。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、コーストストップ条件が成立した時にLowブレーキ32への供給油圧の低下を開始しているが、Lowブレーキ32への供給油圧の低下条件(油圧低下条件)をコーストストップ条件とは別に判断し、油圧低下条件成立時にLowブレーキ32への供給油圧の低下を開始するようにしてもよい。
【0068】
例えば、アキュムレータ35内の油圧をドレーンするのに時間を要する場合は、油圧低下条件の車速条件をコーストストップ条件よりも高めに設定し(例えば、20km/h以下で成立)、油圧低下条件が成立してLowブレーキ32への供給油圧が開始されるタイミングをコーストストップ条件成立よりも早めるようにする。図5で言えば、時刻t1よりも前にLowブレーキ32への供給油圧低下を開始する。これにより、コーストストップ条件成立からアキューム圧が完全にドレーンされてコーストストップが実行されるまでの時間を短縮することができる。
【0069】
なお、制御簡略化の観点からは、上記実施形態のようにコーストストップ条件が成立した時にLowブレーキ32への供給油圧の低下を開始する、すなわち、油圧低下条件=コーストストップ条件とするのが好適である。
【0070】
また、上記実施形態では、コーストストップ時に締結・解放する摩擦締結要素が副変速機構30のLowブレーキ32であるが、そのような摩擦締結要素は副変速機構30のLowブレーキ32に限定されない。
【0071】
例えば、バリエータ20の前段又は後段に前後進切換機構を備えた変速機であれば、そのような摩擦締結要素を前後進切換機構のフォワードクラッチとすることができる。又は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータを備えた変速機であれば、そのような摩擦締結要素をロックアップクラッチとすることができる。
【0072】
また、上記実施形態では、バリエータ20は動力伝達部材としてVベルト23を有しているが、Vベルト23に代えてチェーンベルトを有していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 エンジン
4 無段変速機
10m メカオイルポンプ
10e 電動オイルポンプ
12 コントローラ
20 バリエータ
32 Lowブレーキ(摩擦締結要素)
35 アキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行時にエンジンを停止させるコーストストップ車両であって、
一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、前記エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、
前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、
前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、
車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ条件の成否を判断するコーストストップ条件判断手段と、
前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成否を判断する油圧低下条件判断手段と、
前記油圧低下条件判断手段によって前記油圧低下条件が成立したと判断された場合に、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下手段と、
前記コーストストップ条件判断手段によって前記コーストストップ条件が成立したと判断され、かつ、前記油圧低下手段によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手段と、
を備えたことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項2】
請求項1に記載のコーストストップ車両であって、
前記油圧低下条件判断手段は、前記コーストストップ条件が成立した場合に前記油圧低下条件が成立したと判断する、
ことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコーストストップ車両であって、
前記油圧低下手段は、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させ始めてから前記アキュムレータに蓄えられた油圧が全て排出されるまでの間、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる、
ことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のコーストストップ車両であって、
前記油圧低下手段は、前記摩擦締結要素の指示油圧をゼロにして前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる、
ことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のコーストストップ車両であって、
前記コーストストップ制御手段は、前記摩擦締結要素を解放した後、前記摩擦締結要素への供給油圧を前記摩擦締結要素の入力側要素と出力側要素との間の隙間がゼロかつ前記摩擦締結要素のトルク容量がゼロとなるゼロ点油圧まで上昇させる、
ことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項6】
請求項5に記載のコーストストップ車両であって、
前記コーストストップ制御手段は、前記エンジンが再始動時の前記エンジンの吹け上がりが収束するまで前記摩擦締結要素への供給油圧を前記ゼロ点油圧に維持する、
ことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のコーストストップ車両であって、
コーストストップ制御手段によって前記摩擦締結要素を解放した後、前記バリエータの変速比を最大変速比に向けて変化させるLow戻し手段、
をさらに備えたことを特徴とすることを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項8】
車両走行時にエンジンを停止させるコーストストップ車両であって、
一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、前記エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、
前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、
前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、
前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成立によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手段と、
を備えたことを特徴とするコーストストップ車両。
【請求項9】
一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、を備えた車両において、車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ方法であって、
前記車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ条件の成否を判断するコーストストップ条件判断手順と、
前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成否を判断する油圧低下条件判断手順と、
前記油圧条件判断手順によって前記油圧低下条件が前記が成立したと判断された場合に、前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下手順と、
前記コーストストップ条件判断手順によって前記コーストストップ条件が成立したと判断され、かつ、前記油圧低下手順によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手順と、
を備えたことを特徴とするコーストストップ方法。
【請求項10】
一対のプーリ及びこれらの間に掛け回されるベルトを有し、変速比を無段階に変更可能なバリエータと、前記バリエータの前段又は後段に設けられ、締結されると動力伝達を可能にし、解放されると動力伝達を不能にする摩擦締結要素とを有し、エンジンの出力回転を変速して駆動輪に出力する無段変速機と、前記エンジンによって駆動されて前記摩擦締結要素への供給油圧を発生させるオイルポンプと、前記オイルポンプで発生した油圧を前記摩擦締結要素に供給する油路の途中に設けられたアキュムレータと、を備えた車両において、車両走行時に前記エンジンを停止させるコーストストップ方法であって、
前記摩擦締結要素への供給油圧を低下させる油圧低下条件の成立によって前記摩擦締結要素に供給される油圧を低下させた後に、前記エンジンを停止させるコーストストップ制御手順と、
を備えたことを特徴とするコーストストップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−51468(P2012−51468A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195531(P2010−195531)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】