説明

サスペンション機構

【課題】減衰力を調整でき、かつ全体としての構成を小型化できるサスペンション機構を提供する。
【解決手段】車輪1の近傍に該車輪1を駆動するトルクを出力するモータ4が配置されるとともに、その車輪1の振動に対して減衰力を与えるダンパが設けられたサスペンション機構において、前記ダンパは、磁束を受けて粘度が増大する磁性流体の流動抵抗によって前記減衰力を発生するMRダンパ8によって構成されるとともに、前記モータ4で発生する磁束を前記磁性流体に導いてその磁束を前記磁性流体に作用させる誘導部材14が設けられ、さらにその誘導部材14を介した前記モータ4から前記磁性流体に対する前記磁束の誘導を選択的に実行および遮断するスイッチ手段15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のサスペンション機構に関し、特に振動に対する減衰力を変更することの可能なサスペンション機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車輪を車体に連結しているサスペンション機構は、路面の凹凸などに起因する衝撃を緩和するためにコイルスプリングなどの弾性体およびリンク機構を主体とする緩衝機構とその衝撃力や振動に対抗する減衰力を生じさせるダンパ機構とを備えている。そのダンパ機構は、ピストンを収容しているシリンダの内部に、オイルなどの適宜の粘性流体を充填し、ピストンが移動することに伴う粘性流体の流動に抵抗を与えるように構成したものが一般的である。その一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
その構成を簡単に説明すると、ロッドと一体のピストンがシリンダの内部に摺動自在に収納されるとともに、そのシリンダの内部に磁性流体が封入され、さらにピストンの移動に伴う磁性流体の出入りを可能にする配管が設けられ、その配管内を磁場内に収める磁場を発生する磁場発生器が設けられている。したがって、特許文献1に記載された装置では、磁場発生器で磁場を発生させると、前記配管が磁場内に収められて磁性流体に磁束が及ぶからその粘性が高くなり、その結果、ピストンおよびこれと一体のロッドが移動する応答性すなわち流体圧シリンダの伸縮応答性が悪くなる。言い換えれば、流体圧シリンダを伸縮させるためには大きい外力が必要となり、ダンパとして使用した場合には減衰力が大きくなる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−181115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された装置は、磁場発生器を動作させて磁場を発生させることにより減衰力を増大させ、また反対に磁場を生じさせなくすることにより、磁性流体の流動性を良くして減衰力を低下させるように構成されている。すなわち、特許文献1に記載された装置では、磁場を適宜に発生・消滅させることができ、あるいは磁場の強度を制御できる磁場発生器が必須であり、そのため、装置全体としての構造が大型化し、また高コストになる可能性がある。特に車両においては、磁性流体をシリンダに対して出入りさせる配管に加えて磁場発生器を新たに搭載しなければならないので、車載性に劣る可能性がある。
【0006】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車輪もしくは車体の振動に対する減衰力を容易に制御でき、また全体としての構成を小型化して車載性を向上させることのできるサスペンション機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車輪の近傍に該車輪を駆動するトルクを出力するモータが配置されるとともに、その車輪の振動に対して減衰力を与えるダンパが設けられたサスペンション機構において、前記ダンパは、磁束を受けて粘度が増大する磁性流体の流動抵抗によって前記減衰力を発生するMRダンパによって構成されるとともに、前記モータで発生する磁束を前記磁性流体に導いてその磁束を前記磁性流体に作用させる誘導部材が設けられ、さらにその誘導部材を介した前記モータから前記磁性流体に対する前記磁束の誘導を選択的に実行および遮断するスイッチ手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記モータは、前記車輪に組み込まれたインホイールモータによって構成されるとともに、該インホイールモータをアーム部材で支持することにより前記車輪が支持されていることを特徴とするサスペンション機構である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記車輪を備えている車両の前後加速度もしくは横加速度を検出する加速度検出手段と、その加速度検出手段で検出された側臥が予め定めた基準値以上の場合にその加速度によって車体が沈み込む側の前記MRダンパにおける磁性流体に前記磁束を誘導するように前記スイッチ手段を動作させる制御手段とを更に備えていることを特徴とするサスペンション機構である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、車輪に駆動トルクを与えるモータが、電磁気力でトルクを発生するから、モータによって磁束が発生し、これが誘導部材によってMRダンパに導かれ、その磁性流体に磁束が作用する。その結果、磁性流体の実質的な粘度が増大し、MRダンパによる減衰力が増大する。また、スイッチ手段をいわゆるオフ状態に設定すると、モータで発生した磁束がMRダンパに導かれないので、磁性流体に対する磁束が消滅して磁性流体の実質的な粘度が低下し、MRダンパの減衰力が低下する。このように車輪を駆動するために既に設けられているモータの磁束を利用してMRダンパの減衰力を大小に制御することができるので、装置の全体としての構成を簡素化し、また車載性を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、インホイールモータで生じる磁束を利用してMRダンパの減衰力を制御することができ、そのMRダンパとインホイールモータとは車両の構成上、互いに接近して配置されているので、全体としての構成を簡素化して車載性を向上させることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、前後加速度や横加速度で生じて車体を傾ける力が作用した場合、車体が沈み込む側のMRダンパに磁束が誘導されてその磁性流体の実質的な粘度、すなわちMRダンパの減衰力が自動的に増大するので、車体の沈み込みや傾きが防止もしくは抑制され、車両の挙動の安定性あるいは乗り心地を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明に係るサスペンション機構が搭載される車両は、走行のための動力源としてモータを備えており、そのモータはその出力トルクが伝達される車輪の近傍に配置されている。したがって、最も典型的な例は、駆動輪毎にモータが設けられ、各駆動輪のトルクをそれぞれのモータで個別に制御できるように構成された車両であり、さらにはホイールの内周側にモータを設けたインホイールモータを有する車両である。
【0014】
その車輪を車体に連結しているサスペンション機構の基本的な構造は、従来の車両に用いられているものと特に変わるところはなく、リンク機構やスプリング、ダンパなどを備えている。そのダンパは、振動の減衰力を発生するためのものであり、粘性流体の流動抵抗を減衰力として作用させるように構成されている。例えば、シリンダの内部にピストンと共にオイルなどの粘性流体を封入し、かつそのピストンに貫通孔を形成しておき、ピストンの移動に伴って、ピストンによって区分されている各油室の容積が変化することにより、粘性流体がピストンの貫通孔を通過する際の流動抵抗を減衰力として作用させるように構成されている。あるいはピストンの移動に伴ってシリンダに対して粘性流体を出入りさせる配管を設け、その配管の内部における粘性流体の流動抵抗を減衰力として作用させるように構成されている。
【0015】
この発明に係るサスペンション機構におけるダンパは、粘性流体として磁性流体が用いられたダンパである。その磁性流体は、粒径が数十μmないし数μmの強磁性の粉粒体をオイルに混入した流体であり、磁束が作用することによりその粉粒体が相互に繋がり、その結果、実質的な粘度が増大するようになっている。そして、このダンパは、リンク機構におけるいずれかの可動部材と車体とを連結するように配置されていることにより、ダンパと前記モータとは互いに接近している。
【0016】
前記モータは、ブラシレスDCモータや誘導モータなどからなり、通電することにより、あるいは通電しなくても、磁束を発生する。前記ダンパはこのモータで生じる磁束を利用してその減衰力(減衰係数)を制御するように構成されている。すなわち、モータの磁束をダンパに導いて前記磁性流体に作用させるための誘導手段が設けられている。この誘導手段は鉄などの強磁性体からなるものであって、一端部がモータを構成しているステータコイルの側端部に接近もしくは接触して配置され、かつ他端部がダンパに取り付けられ、あるいは近接して配置されている。したがって、モータの磁界によって誘導手段を構成している強磁性体が磁化され、そのダンパ側の端部の周囲に磁界を生じさせ、その磁界によって磁性流体の粘度が高くなるように構成されている。
【0017】
モータでの磁界は、モータに通電している間は常時発生し、これに対してダンパの減衰力(減衰係数)は必要に応じて変化させる必要があり、そのため磁性流体に作用する磁束を選択的に遮断するスイッチ手段が設けられている。そのスイッチ手段は、磁性流体に作用する磁束を選択的に遮断できる構成であればよく、したがって前記誘導手段をその途中で遮断する構成や、誘導手段で導かれた磁束を磁性流体に及ぶ前に閉磁路に導く構成などであってよい。
【0018】
図1にインホイールモータを備えた車両にこの発明を適用した例を模式的に示してある。符号1は前輪または後輪の駆動輪を示し、タイヤ2を装着してあるホイール3の内周側にインホイールモータ4が設けられている。このインホイールモータ4は、例えば永久磁石式の同期電動機から構成され、そのロータにホイール3が直接連結され、あるいは減速機(図示せず)を介して連結されている。このインホイールモータ4にアッパーアーム5およびロアーアーム6などのサスペンションリンクを連結することにより駆動輪1が車体7に連結されている。
【0019】
そのロアーアーム6と車体7との間にこれらを連結するようにMRダンパ8が設けられている。したがつてこのMRダンパ8とインホイールモータ4とは互いに接近している。このMRダンパ8は、流動抵抗力を減衰力とするための粘性流体として磁性流体(MR流体)を使用したダンパであって、それ以外の基本的な構成は従来のダンパとほぼ同様である。すなわち、ロッド9と一体のピストン10がシリンダ11の内部に摺動自在に収容され、そのシリンダ11の内部に磁性流体が封入されている。なお、そのピストン10には表裏両側に開口する貫通孔が形成され、その移動に伴って磁性流体が貫通孔を通って相対的に流動し、その際の流動抵抗が減衰力となるように構成されている。
【0020】
さらに、前記インホイールモータ4で生じる磁束をMRダンパ8の磁性流体に及ぼすために、磁束をインホイールモータ4からMRダンパ8に誘導するための手段が設けられている。その一例を図2に模式的に示してあり、インホイールモータ4のステータを構成しているコイル12の端部に、漏れ磁束の通路となるカバー13が取り付けられている。したがって、このカバー13は鉄などの強磁性体によって構成されている。さらに、鉄などの強磁性体からなる磁束誘導ケーブル14の一端部が前記カバー13に連結されている。その磁束誘導ケーブル14の他方の端部は前記MRダンパ8の外周部に延び、MRダンパ8の外周に磁束を生じさせるとともにその内部の磁性流体に磁束を作用させるようになっている。したがって、MRダンパ8におけるシリンダ11の少なくとも一部は、透磁性のある構成とされている。
【0021】
そして、その磁束誘導ケーブル14の端部もしくは途中には、インホイールモータ4からの磁束を選択的に遮断するスイッチ装置15が設けられている。このスイッチ装置15の最も簡単な構成は、磁束誘導ケーブル14の接続を選択的に断って磁束を遮断する構成であるが、これ以外に磁束誘導ケーブル14における磁束をMRダンパ8の手前で閉磁路に導いて磁性流体に及ばないようにする構成としてもよい。
【0022】
つぎに、四輪車の車輪の全てに前記インホイールモータ4を設け、かつ上記のMRダンパ8を含むこの発明に係るサスペンション機構を四輪に装着した場合の作用について説明する。車両が発進し、あるいは走行中に加速する場合、後輪側の荷重が相対的に大きくなるので、後輪の駆動トルクが大きくなるようにインホイールモータ4が制御される。それに伴って後輪のインホイールモータ4の通電量が相対的に増大し、そのためその周囲の磁束が増大する。その場合、後輪のサスペンション機構におけるスイッチ装置15をいわゆるオン状態として、インホイールモータ4での磁束をMRダンパ8の磁性流体に導くようにしておく。その結果、後輪のインホイールモータ4で生じた磁束が磁束誘導ケーブル14を介してMRダンパ8の磁性流体に作用し、その実質的な粘度が増大する。すなわち、MRダンパ8の減衰係数が増大して減衰力すなわちロッド9を伸縮させるための荷重が大きくなる。
【0023】
このように、発進時あるいは加速時に後輪の駆動トルクを増大させると、後輪を支持しているMRダンパ8の減衰力が増大するので、車体後部の沈み込みを防止もしくは抑制して車体の姿勢を安定させることができ、またそれに伴って振動を抑制することができる。さらに、上述した構成では、駆動トルクが大きいほど、磁束が増大して磁性流体の粘度あるいは固化の程度が増大するので、加速度の大きさに応じたMRダンパ8の減衰係数を自動的に設定することが可能になる。
【0024】
また、減速時における作用について説明すると、前記インホイールモータ4は外力を受けて強制的に回転させられることにより発電機として機能し、起電力を生じるので、発電のためのトルクを制動トルクとして車両に作用させることができる。このようにして減速する場合、前輪側に相対的に大きい荷重が作用するので、前輪での回生トルクを相対的に増大させる。インホイールモータ4の周囲に発生する磁束は、駆動トルクが大きい場合と同様に、回生トルクが大きいほど増大する。その場合、前輪のサスペンション機構におけるスイッチ装置15をいわゆるオン状態として、インホイールモータ4での磁束をMRダンパ8の磁性流体に導くようにしておく。その結果、前輪のインホイールモータ4で生じた磁束が磁束誘導ケーブル14を介してMRダンパ8の磁性流体に作用し、その実質的な粘度が増大する。すなわち、MRダンパ8の減衰係数が増大して減衰力すなわちロッド9を伸縮させるための荷重が大きくなる。
【0025】
このように、いわゆる動力源ブレーキ力を使用した減速時に前輪の回生トルクを増大させると、前輪を支持しているMRダンパ8の減衰力が増大するので、車体前部の沈み込み(すなわち前のめり)を防止もしくは抑制して車体の姿勢を安定させることができ、またそれに伴って振動を抑制することができる。さらに、上述した構成では、回生トルクが大きいほど、磁束が増大して磁性流体の粘度あるいは固化の程度が増大するので、減速度の大きさに応じたMRダンパ8の減衰係数を自動的に設定することが可能になる。
【0026】
さらに旋回時の作用について説明する。車両が旋回する場合、遠心力によって外輪(旋回中心に対して外周側の車輪)に相対的に大きい荷重が作用する。また、ヨーレートが操舵角などに基づいて求められる目標ヨーレートとなるように内外輪の駆動トルクが制御される。この制御は直接ヨー制御(DYC制御)と称されることがある。したがって、インホイールモータ4についてのこの種のトルク制御を行うと、外輪のインホイールモータ4の出力トルクを相対的に増大させることになる。その場合、外輪のサスペンション機構におけるスイッチ装置15をいわゆるオン状態として、インホイールモータ4での磁束をMRダンパ8の磁性流体に導くようにしておく。その結果、外輪のインホイールモータ4で生じた磁束が磁束誘導ケーブル14を介してMRダンパ8の磁性流体に作用し、その実質的な粘度が増大する。すなわち、MRダンパ8の減衰係数が増大して減衰力すなわちロッド9を伸縮させるための荷重が大きくなる。
【0027】
このように、旋回時に外輪の駆動トルクを増大させると、外輪を支持しているMRダンパ8の減衰力が増大するので、車体のローリングを防止もしくは抑制して車体の姿勢を安定させることができ、またそれに伴って振動を抑制することができる。さらに、上述した構成では、駆動トルクが大きいほど、磁束が増大して磁性流体の粘度あるいは固化の程度が増大するので、横加速度もしくはヨーレートの大きさに応じたMRダンパ8の減衰係数を自動的に設定することが可能になる。
【0028】
上述したように、この発明に係るサスペンション機構によれば、車体に作用する前後加速度あるいは横加速度に応じてMRダンパ8の減衰力もしくは減衰係数を自動的に制御できるので、車体の姿勢を安定させ、また振動を抑制することができる。これに加えて、磁性流体に作用させる磁束は、車輪の駆動トルクを生じさせるために搭載されているインホイールモータ4で生じる磁束であるから、新たに磁束発生手段を設ける必要がなく、その結果、全体としての構成を簡素化することができ、また車載性を向上させることができる。
【0029】
ところで、インホイールモータ4は通電されている間は常時磁束を発生しているから、前記スイッチ装置15をオン状態にしておくと、MRダンパ8の磁性流体に磁束が作用し、その粘度が高くなる。すなわち、減衰係数が常時、ある程度以上の大きい値に維持されてしまい、衝撃力を緩和する特性が低下することになる。そこで、前後加速度あるいは横加速度が小さく、MRダンパ8の減衰力を特に大きくする必要がない場合には、磁性流体に作用する磁束を遮断するように制御することが好ましい。そのための制御例を図3に示してある。
【0030】
この図3に示す制御は、前述したスイッチ装置15が接続されている電子制御装置(図示せず)によって所定の短時間の間隔で繰り返し実行される。その電子制御装置には、車両の前後加速度および横加速度さらにはヨーレートなどの車両の挙動を検出するセンサ(図示せず)が接続されている。図3に示す制御例では、先ず、上記の各種のセンサで検出されているデータが読み込まれる(ステップS1)。つぎに、読み込んだ前後加速度Gあるいは横加速度Gが、予め定めた基準値αより大きいか否かが判断される(ステップS2)。その基準値αは、MRダンパ8に磁束を作用させてその減衰力を大きくしても、搭乗者に特には違和感を与えない値として実験もしくはシミュレーションによって求めた値、あるいは設計上定めた値である。
【0031】
加速度Gが小さいことによりステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくリターンする。すなわち、スイッチ装置15をオフ状態に維持して、MRダンパ8に対するインホイールモータ4からの磁束を遮断する。その結果、MRダンパ8の減衰係数を小さくしておくことができるので、衝撃力を効果的に緩和し、違和感を防止することができる。
【0032】
これに対して加速度Gが大きいことによりステップS2で肯定的に判断された場合には、その加速度Gが要因となって大きい荷重が掛かる車輪のサスペンション機構におけるスイッチ装置15をONにする(ステップS3)。その結果、上述したように、車体後部の沈み込みや前のめり、あるいはローリングなどが防止もしくは抑制されて車体の姿勢が維持され、乗り心地が向上するとともに違和感を防止できる。
【0033】
したがって、上述した各種のセンサがこの発明の加速度検出手段に相当し、またステップS2およびステップS3の制御を実行する機能的手段が、この発明の制御手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一例を模式的に示す図である。
【図2】インホイールモータからMRダンパに磁束を誘導するための構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】スイッチ装置のON・OFFを加速度に応じて制御する制御例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1…車輪、 2…タイヤ、 3…ホイール、 4…インホイールモータ、 5…アッパーアーム、 6…ロアーアーム、 7…車体、 8…MRダンパ、 9…ロッド、 10…ピストン、 11…シリンダ、 12…コイル、 13…カバー、 14…磁束誘導ケーブル、 15…スイッチ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の近傍に該車輪を駆動するトルクを出力するモータが配置されるとともに、その車輪の振動に対して減衰力を与えるダンパが設けられたサスペンション機構において、
前記ダンパは、磁束を受けて粘度が増大する磁性流体の流動抵抗によって前記減衰力を発生するMRダンパによって構成されるとともに、
前記モータで発生する磁束を前記磁性流体に導いてその磁束を前記磁性流体に作用させる誘導部材が設けられ、
さらにその誘導部材を介した前記モータから前記磁性流体に対する前記磁束の誘導を選択的に実行および遮断するスイッチ手段が設けられている
ことを特徴とするサスペンション機構。
【請求項2】
前記モータは、前記車輪に組み込まれたインホイールモータによって構成されるとともに、
該インホイールモータをアーム部材で支持することにより前記車輪が支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション機構。
【請求項3】
前記車輪を備えている車両の前後加速度もしくは横加速度を検出する加速度検出手段と、
その加速度検出手段で検出された側臥が予め定めた基準値以上の場合にその加速度によって車体が沈み込む側の前記MRダンパにおける磁性流体に前記磁束を誘導するように前記スイッチ手段を動作させる制御手段と
を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−113774(P2009−113774A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292481(P2007−292481)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】