シリコン蒸着のためのエピタキシャル反応器
一実施形態は、材料蒸着のための装置を提供する。装置は、反応チャンバと、一対のサセプタとを含む。各サセプタは、基材を載置する前側と背側とを有する。垂直に位置付けられるサセプタの前側は、相互に対面し、サセプタの垂直縁部は、相互と接触している。また、装置は、反応ガスを注入するためのいくつかのガスノズルも含む。チャンバの内部のガス流方向は、ガスノズルを制御することによって交互にすることができる。ガスノズルは、ガスノズルが反応ガスを注入していない時に、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む少量のパージガスを注入するように構成される。装置は、反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットを含む。加熱ユニットは、それらが熱エネルギーをサセプタの背側に直接放射するように配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、シリコン蒸着に関する。より具体的には、本開示は、シリコン蒸着のための拡張可能な高生産性マルチチャンババッチ型エピタキシャル反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の使用およびそのコストの高騰によって生じる環境上の負の影響は、より清浄かつより安価な代替エネルギー源の切迫した必要性をもたらしている。異なる形態の代替エネルギー源の中でも、太陽光発電は、その清浄度および広範な可用性から好ましい。
【0003】
太陽電池は、光電効果を使用して、光を電力に変換する。単一p−n接合、p−i−n/n−i−p、および多接合を含む、いくつかの基礎太陽電池構造がある。典型的単一p−n接合構造は、類似材料のp−型ドープ層と、n−型ドープ層とを含む。ヘテロ接合構造は、異なるバンドギャップの材料の少なくとも2つの層を含む。p−i−n/n−i−p構造は、p−型ドープ層と、n−型ドープ層と、p−層とn−層との間に挟入される任意の真性(非ドープ)半導体層(i−層)とを含む。多接合構造は、相互の上部に積載される、異なるバンドギャップの複数の半導体層を含む。
【0004】
太陽電池では、光は、キャリヤを生成するp−n接合近傍で吸収される。キャリヤは、p−n接合に拡散し、生来の電界によって分離され、それによって、デバイスおよび外部回路全体に電流を生産する。太陽電池の質を判定する際の重要な測定基準は、(吸収された光から電気エネルギーへ)変換される電力と、太陽電池が電気回路に接続されると、収集される電力との間の比率として定義される、そのエネルギー変換効率である。
【0005】
太陽電池を構築するために使用することができる材料には、非晶質シリコン(a−Si)、多結晶シリコン(poly−Si)、結晶性シリコン(結晶Si)、テルル化カドミウム(CdTe)等が挙げられる。図1は、例示的な結晶性シリコン薄膜太陽電池を図示する。太陽電池100は、低級結晶性Si基材102と、p−型ドープ単結晶Si層104と、n+シリコンエミッタ層106と、正面電極108と、Al背面電極110とを含む。図1の矢印は、入射太陽光を示す。
【0006】
産業調査によると、結晶性Siウエハを基材とする太陽電池は、市場の約90%を占める。しかしながら、結晶性Siウエハを基材とする太陽電池を生産する費用は高く、インゴット切断およびウエハ研磨のプロセスにおけるSi材料の無駄は、結晶性Siウエハの供給におけるボトルネックになっている。Si材料の急騰する価格および供給不足のため、太陽電池を作製するための代替的方法に強い関心が集まっている。近年、光起電薄膜技術は、使用される材料の量を大幅に削減することができ、したがって、太陽電池の費用を下げることができるため、非常に大きな関心を呼んでいる。種々の競合技術の中でも、単結晶Si薄膜太陽電池は、それらの低価格および高効率のため、大きな関心を呼んでいる。
【0007】
単結晶Si薄膜太陽電池は、製造費用を削減するだけでなく、太陽電池のエミッタ、吸収体、および背面電界への融通性のあるドーピングレベルも可能にし、したがって、その効率を向上する、従来の半導体エピタキシー技術を使用して作製することができる。研究所で、17%と効率の高い単結晶Si薄膜太陽電池が実演された(非特許文献1を参照)。
【0008】
高品質単結晶Si薄膜は、CMOS集積回路、電源デバイス、および高電圧の個別デバイスの高品質単結晶Si層を作製するために、半導体産業において広く使用されている、Siエピタキシーを使用して生産することができる。可能なSiエピタキシャル蒸着技術の中でも、トリクロロシラン(TCS)を基材とする化学蒸着(CVD)は、最大で10μm/分の蒸着速度を提供することができる。したがって、太陽電池用途向けの高処理量かつ低費用なエピタキシャルプロセスを達成することができる。
【0009】
しかしながら、太陽電池産業が必要とする、最大で数十ミクロンの厚さを有するSi膜層の高生産性および低蒸着費用に対する要求を満たすことができる好適なSiエピタキシーツールが欠如している。Santa Clara,California,米国のApplied Materials Inc.によるAMC7810TMおよびCentura5200TM、Tracy,California,米国のMoore Epitaxial Inc.によるMT7700TM、イタリア国のLPE Epitaxial TechnologyによるPE2061TM、ならびにオランダ国のASM InternationalによるEpsilon3200TM等の既存のSiエピタキシーツールは、半導体デバイス製造の要求に対して最適化される。これらのエピタキシャルツールは、最高品質のSi膜をもたらすことができるが、これらのツールは、処理量およびガス変換効率の観点から、太陽電池産業の経済的側面と適合しない。
【0010】
図2は、複数のウエハのバッチ処理に使用される、既存のバレルエピタキシャル反応器の構造を図示する、略図を提示する。バレル反応器200は、上部にガス吸入口204と、底部に通気口206とを有する、反応チャンバ202を含む。垂直に位置付けられるサセプタ208は、ウエハ210等のいくつかのウエハを保持する。無線周波数(RF)加熱コイル212は、サセプタおよびウエハ上に熱を放射する。バレル反応器200は、複数のウエハをバッチ処理することができるが、それが処理することができるウエハの数は、システムのアーキテクチャ、チャンバのサイズ、およびサセプタの設計によって制限される。いったん組み立てられると、より多くのウエハを収容するように反応器またはサセプタを修正することは困難である。加えて、サセプタは、より優れた均一性を達成するために、蒸着中、回転させる必要がある。
【0011】
特許文献1は、サセプタを回転させる必要なく、均一性を高めるために、双方向プロセスガス流を提供する、反応チャンバを提案する。しかしながら、これは、低処理量、低反応ガス変換率、低電力利用効率、石英チャンバ上への最小限のSi蒸着、および処理拡張性の問題を解決しない。加えて、ガス吸入口および排出口に同一のガス管を使用すると、汚染および再蒸着の危険性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,399,510号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.Reutuer et al.,”17% Efficient 50 μm Thick Solar Cells,”Technical Digest,17th International Photovoltaic Science and Engineering Conference,Fukuoka,Japan,p.424
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態は、材料蒸着のためのシステムを提供する。システムは、システム、サセプタ搭載/非搭載ステーション、サセプタを搭載/非搭載するめに搭載/非搭載ステーションに連結される、走行ビーム、およびマルチチャンバモジュールに電力を提供するためのAC(交流電流)パネルを含む。マルチチャンバモジュールは、ガスボックスと、SCRパネルと、相互の隣に位置する、いくつかの反応チャンバとを含む。反応チャンバは、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成され、一対のサセプタは、反応チャンバの内部に位置する。各サセプタは、前側と、背側とを有し、前側は、いくつかの基材を載置する。サセプタは、サセプタの前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する。また、システムは、いくつかのガスノズルも含む。ガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含む。ガス吸入口およびガス排出口は、異なるガス管に連結され、ガス吸入口およびガス排出口は、狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進する。ガス吸入口は、材料蒸着中、ガス吸入口が反応ガスを狭いチャネルに注入していない時に、少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止する。パージガスは、以下のHCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む。加えて、システムは、反応チャンバの外部に位置する、いくつかの加熱ユニットを含む。少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバの側壁間に位置し、それによって、少なくとも1つの加熱ユニットが2つの隣接する反応チャンバを同時に加熱できるようにする。加えて、加熱ユニットは、それらが熱エネルギーをサセプタの背側に直接放射するように配設される。
【0015】
実施形態の変形では、パージガスの流量は、反応ガスの流量の5%未満である。
【0016】
本発明の一実施形態は、材料蒸着のためのシステムを提供する。システムは、相互に隣接して定置される、いくつかの反応チャンバを含む。いくつかの反応チャンバの壁は、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される。また、システムは、反応チャンバの外部に位置する、いくつかの加熱ユニットも含む。少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバ間に定置され、それによって、少なくとも1つの加熱ユニットが熱エネルギーを2つの隣接するチャンバの両方に同時に放射できるようにする。
【0017】
本実施形態の変形では、システムは、加熱ユニットの数および電力を制御するための閉鎖ループフィードバック制御を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、例示的な結晶性Si薄膜太陽電池の構造を図示する、略図を提示する。
【図2】図2は、バレル反応器(従来技術)を図示する、略図を提示する。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の側面図を図示する、ブロック図を提示する。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の背面図を図示する、略図を提示する。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の基板およびチャンバの上面図を図示する、略図を提示する。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器内のチャンバの正面図を図示する、略図を提示する。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの内部のサセプタの前側を図示する、略図を提示する。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの側面図を図示する、略図を提示する。
【図6C】図6Cは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの断面の正面図を図示する、略図を提示する。
【図6D】図6Dは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の上面図を図示する、略図を提示する。
【図6E】図6Eは、本発明の実施形態に係る、ガスノズル614の上面図を図示する、略図を提示する。
【図6F】図6Fは、本発明の実施形態に係る、ガス吸入口および排出口のガス流順序を図示する、略図を提示する
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る、例示的なマルチチャンバ反応モジュールを図示する。
【0019】
図中、同様の参照番号は、同一の図形要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、任意の当業者が実施形態を作製および使用することを可能にするために提示され、特定の用途およびその要件に照らして提供される。開示される実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用されてもよい。したがって、本発明は、示される実施形態に制限されず、本明細書に開示される原理および特徴と一致する、最も広義の範囲が与えられる。
【0021】
(概説)
本発明の実施形態は、Si蒸着のための拡張可能な高処理量マルチチャンバエピタキシャル反応器を提供する。反応器は、いくつかの伸展可能な独立制御型マルチチャンバモジュールを含む。反応チャンバは、隣接するチャンバ間に交互に挿入される、ランプ加熱ユニットによって加熱される。各反応チャンバは、基材を支持するための一対のサセプタを囲む。反応ガスは、蒸着の均一性を保証するために、ある側から別の側に交互にチャンバに注入される。
【0022】
(9−チャンバエピタキシャル反応器)
図3は、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の側面図を図示する、ブロック図を提示する。反応器の後方部分(図3の左側)は、ガス/化学物質ボックス302等のガス/化学物質源と、AC(交流電流)パネル304およびSCR(シリコン制御整流器)パネル306等の種々の制御パネルとを含む。3区分熱交換器および送風器308は、ACパネル304の下方にある。反応器の前方部分は、いくつかの反応チャンバ310を含む。各反応チャンバは、ランプ加熱ユニット314によって包囲され、蓋312で被覆される。走行ビーム316は、反応器の正面に取り付けられ、工場のサセプタ搭載/非搭載ステーション318と接合する。サセプタスタンド320は、搭載/非搭載ステーション318の上方に位置する。
【0023】
ACパネル304は、反応器全体への電力供給を制御し、ガス/化学物質ボックス302は、TCSおよびH2キャリヤガス等の入力ガスの源を含み、SCRパネル306は、チャンバを包囲するランプ加熱ユニットの動作を制御する。ガス/化学物質ボックス302およびSCRパネル306の詳細は、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の背面図を図示する略図を提示する、図4に示されている。
【0024】
図4の上方部分は、3つのガスパネル402、404、および406を図示する。各ガスパネルは、3つの個々の反応チャンバへのガス入力を制御する。例えば、ガスパネル402は、3つの個々のチャンバ430、432、および434のためのガス制御を含む。図4の下方部分は、3つのSCRパネル410、412、および414を図示する。各SCRパネルは、3つの対応するチャンバを包囲するランプ加熱ユニットを制御する。例えば、SCRパネル410は、チャンバ430、432、および434を包囲するランプ加熱ユニットを制御する。加えて、各SCRパネルは、制御416〜422を含む、4つの制御を有し、各制御は、ランプのグループを独立して制御する。3つの反応チャンバを包囲する、すべてのランプ加熱ユニットは、それらの位置によって、4つのグループに分割される。例えば、チャンバの上部にある、すべてのランプは、上部制御416によって制御されるように、共にグループ化される。同様に、中部制御418、底部制御420、および縁部制御422は、それぞれ、チャンバ間、チャンバの底部、およびチャンバの縁部にあるランプを制御する。チャンバの異なる位置にあるランプを個々に制御することを可能にすることによって、確実に、反応チャンバの内部の大きな平らな区分にわたり、均一な温度を維持することができるように、およびサセプタを均一に加熱することができるようになる。一実施形態では、また、SCR制御は、チャンバの内部の加熱の均一性をさらに改善することができる、閉鎖ループフィードバック機構も含む。
【0025】
図4は、9つの反応チャンバが、それぞれが3つのチャンバを含む、3つのグループに分割されることを示す。各グループは、それ自体のガスパネルと、加熱制御とを有する。例えば、チャンバ430、432、および434は、それ自体のガスパネル402と、加熱制御のためのSCRパネル410とを有する、1つのグループを形成する。3つの反応チャンバは、それらの対応するガスパネルおよびSCRパネルと共に、マルチチャンバモジュールを形成する。各マルチチャンバモジュールは、他のモジュールから独立して動作することができるため、システム全体は、融通性のある処理量を提供することができる。例えば、特定の状況下では、反応チャンバのうちの1つまたは2つのモジュールのみが動作している。加えて、また、モジュール構成は、処理の拡張性も提供する。例えば、バッチ処理能力を増加させるために、反応チャンバのサイズまたはサセプタの構成を修正する必要なく、既存のシステムに、それぞれが、反応チャンバと、ガス源と、SCR制御とを含む、より多くのモジュールを単純に追加することができる。3つの反応チャンバを1つのモジュールにグループ化すること以外の他の構成もまた、可能であることに留意する。
【0026】
図3に戻ると、3区分熱交換器および送風器308は、反応チャンバ310を包囲するプレナム330内に強制気流を提供する。矢印326は、プレナム330内の強制気流の方向を示す。結果として、壁を、チャンバの内部の温度と比較して均一なより低い温度に保つために、反応チャンバ310の外壁に沿って、加圧気流が維持される。一実施形態では、チャンバ310の外面の温度は、約600℃に保たれ、したがって、チャンバ壁上へのSi蒸着を最小限にする。
【0027】
Si蒸着の前に、走行ビーム316は、自動誘導車両(AGV)、頭上巻き上げ搬送(OHT)、またはコンベヤ搬送システム用に構成可能である、工場のサセプタ搭載/非搭載ステーション318からサセプタ322を拾い上げる。次いで、走行ビーム316は、サセプタ322をロードロック332に運ぶ。搭載中、粉塵および他の不純物を除去するために、ロードロック332内に、矢印328によって示される層流が維持される。チャンバ310の蓋312は、矢印324によって示される方向に開放し、サセプタ322を、Si蒸着のためにチャンバ310の内部に降ろすことができる。走行ビーム316の構成によって、チャンバの内部に、毎回1つ以上のサセプタを搭載することができる。
【0028】
図5Aは、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の基板およびチャンバの上面図を図示する、略図を提示する。基板502は、ステンレス鋼または他の耐久性のある材料で作製することができる。反応チャンバ504の断面の形状は、長方形、矩形、円形、正方形、または他の形状であり得るが、これらに限定されない。
【0029】
図5Bは、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器内のチャンバの正面図を図示する、略図を提示する。ランプ加熱ユニット506および508等のランプ加熱ユニットは、反応チャンバ間に交互に挿入される。結果として、一組のランプ加熱ユニットは、熱をチャンバの両側上に放射することができ、したがって、エネルギー利用率を大幅に向上する。例えば、チャンバ510とチャンバ512との間にあるランプ加熱ユニット508は、熱を両方のチャンバに放射する。各ランプのサイズまたは各ランプ加熱ユニット内のランプの数は、チャンバのサイズおよびランプの電力によって変更することができる。一実施形態では、各チャンバは、22のランプによって包囲される。加熱ユニットは、RF加熱コイルまたはタングステンランプで作製することができる。エネルギー効率をさらに向上するために、一実施形態では、ランプからの放射エネルギーの大部分を反射し戻すために、金でコーティングされた反射体がチャンバの周囲に載置される。従来のエピタキシャル反応器と比較して、本反応器設計では、ランプ加熱ユニットからの放射熱が効率的に利用され、したがって、9−チャンバエピタキシャル反応器の電気消費量は、大幅に低減され、結果として、エピタキシープロセスの費用の削減をもたらす。
【0030】
(チャンバおよびサセプタ)
図6Aは、実施形態に係る、反応チャンバの内部のサセプタの前側を図示する、略図を提示する。サセプタ604は、チャンバ602の内部に垂直に定置される。チャンバ壁による熱吸収を回避するために、チャンバ602は、放射熱を透過する材料を使用して形成される。一実施形態では、チャンバ602は、石英を使用して形成される。一方、サセプタ604は、SiCでコーティングされたグラファイトおよびモノリシックSiC等、放射熱エネルギーを透過せずに吸収する材料を使用して形成することができる。一実施形態では、サセプタ604は、SiCでコーティングされたグラファイトを使用して形成される。結果として、ランプ加熱ユニットからの放射熱の大部分は、サセプタ604によって吸収される。加えて、チャンバ602の壁は、内面上へのSi蒸着を低減するために、包囲する強制気流によって涼しく保たれる。
【0031】
サセプタ604の前側は、蒸着される基材を支持するための、ポケット606等の一組のポケットを含む。ポケットの底部の形状は、サセプタと基材との間の良好な熱的接触を確実なものにするように、注意深く設計される。一実施形態では、ポケット606の底部は、曲線形状を有する。サセプタ604のサイズによって、サセプタ604上に種々の数の基材を取り付けることができる。一実施形態では、サセプタ604は、12 125×125mm2の基材を支持するための12のポケットを含む。
【0032】
図6Bは、実施形態に係る、反応チャンバの側面図を図示する、略図を提示する。図6Bは、石英チャンバ602の外壁を図示する。図6Cは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の正面図を図示する、略図を提示する。図6Cは、一対のサセプタ、サセプタ604およびサセプタ608が、反応チャンバ602の内部に垂直に定置されることを示す。狭いチャネル610が、サセプタ604とサセプタ608との間に形成される。また、前躯体および/またはパージガスを注入するため、ならびに排気を排出するためのいくつかのガス吸入口および排出口611〜616、ならびにノズルフランジ618も図6Cに示されている。後でより詳細に説明されるように、ガス吸入口611および612は、前躯体ガスを注入するように構成され、ガス排出口613および614は、排気を排出するように構成され、ガス吸入口615および616は、パージガスを注入するように構成されることに留意する。ノズルフランジ618は、ガス吸入口と、排出口と、対応するガス管路との間を接合する。
【0033】
図6Dは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の上面図を図示する、略図を提示する。図6Dは、サセプタ604および608の断面が「U」字型のような形状であることを図示する。サセプタ604および608の垂直縁部は、相互に接触しており、囲まれた狭いチャネル610を形成する。結果として、蒸着中、TCS等の前躯体ガスを、狭いチャネル610内に含むことができる。前躯体ガスの他の例には、SiH4、SiH2Cl2、およびSiCl4が挙げられるが、これらに限定されない。「U」字型形状に加えて、サセプタ604および608の断面は、半円、半楕円、および他の規則的または不規則な形状を含むが、これらに限定されない、他の形状を形成することができる。サセプタ604および608の前側(すなわち、ウエハ保持側)は、相互に対面することに留意する。したがって、基材606等の蒸着基材は、前躯体ガスを含有する、それらの蒸着表面を包囲するチャネル610を有し、それらがチャンバ602の内壁上に材料を蒸着しないようにする。そのような構成は、今、TCSガスが基材表面上にSiを蒸着するのに成功する可能性が大いに高いため、TCSガスの利用率を大幅に向上することができる。蒸着の可能性の向上は、前躯体ガスが蒸着表面によって包囲されていること、ならびにチャンバ602の内壁上への蒸着の低減からもたらされる。チャネル610は、チャネル内の十分なガス流を保証するのに狭すぎてはいけないことに留意する。チャネル610の幅(サセプタ604とサセプタ608との間の距離)は、5mm〜200mmにすることができる。一実施形態では、チャネル610の幅は、20mm〜30mmであり、最大で30%のTCS利用率を達成することができる。
【0034】
より良好なガス利用を可能にすることに加えて、この構成は、チャンバ壁およびランプ加熱ユニットを向く、サセプタの背側を有し、これは、黒色サセプタによるランプ加熱ユニットからの効率的な放射熱エネルギー吸収を保証する。次いで、サセプタは、吸収された熱エネルギーを基材に移送する。代替の実施形態では、単一のサセプタが、反応チャンバの内部に垂直に定置される。蒸着基材は、サセプタの両側上に載置され、ランプ加熱ユニットに面する。
【0035】
太陽電池では、膜の均一性は、太陽電池の効率に大きく影響する。従来のエピタキシャルシステムでは、良好な蒸着の均一性、および高反応ガス利用率を同時に達成することが困難であった。均一性を改善するために、基材の回転を使用することができる。しかしながら、大きなバッチ反応器では、基板を回転させることがますます困難になる。より良好な蒸着の均一性を達成するために、一実施形態では、TCSおよびH2等の前躯体ガスは、それぞれ、チャンバ602の上部および底部にある、ガス吸入口611および612を介して、チャンバ602の内部のチャネル610に注入される。蒸着中、チャンバの圧力を、1トール〜1520トールに保つことができる。図6Eは、本発明の実施形態に係る、ガスノズルフランジの上面図を図示する、略図を提示する。ガスノズル618は、ガスリング624によって相互から分離される、隙間620と、隙間622とを含む。隙間620は、ガス吸入口611および612に対応し、前躯体ガスをチャネル610に注入するために使用することができる。隙間622は、ガス排出口613および614に対応し、排気を排出するために使用することができる。隙間620および隙間622は、ガスリング624によって分離され、かつ異なるガス管に連結されるため、排気による汚染はない。ガス吸入口611および612は、多岐弁を切り替えることによってガス源に連結し、交互に開くように構成される。加えて、ガス排出口613および614の開放ならびに閉鎖もまた、ガス吸入口の閉鎖および開放と同期するように交互に起こる。結果として、チャンバ602の内部、またはより具体的には、チャネル610の内部のガス流方向は、順に交互にされる。
【0036】
図6Fは、本発明の実施形態に係る、ガス吸入口および排出口のガス流順序を図示する、略図を提示する。ステップ1の間、上部ガスノズルのガス吸入口630は、TCSおよびH2を含む前躯体ガスをチャネル610に注入するために開放される。矢印638は、前躯体ガスの流れ方向を示す。また、ステップ1では、底部ガスノズルのガス排出口636は、排気ガスを排出するために開放される。矢印640は、排気ガスの流れ方向を示す。上部ガスノズルのガス排出口632および底部ガスノズルのガス吸入口634は、ステップ1の間、閉鎖される。
【0037】
同様に、ステップ2の間、底部ガスノズルのガス吸入口634は、TCSおよびH2を含む前躯体ガスをチャネル610に注入するために開放される。矢印642は、前躯体ガスの流れ方向を示す。また、ステップ2では、上部ガスノズルのガス排出口632は、チャネル610から排気ガスを排出するために開放される。矢印644は、排気ガスの流れ方向を示す。上部ガスノズルのガス吸入口630および底部ガスノズルのガス排出口636は、ステップ2の間、閉鎖される。現行の構成は、チャネル610の内部の前躯体ガスの流れ方向を順に交互にすることを可能にするため、サセプタを回転する必要なく、基材上の均一な蒸着特性を達成することができる。ガスノズルをチャンバの上部および底部に定置することに加えて、均一性を改善するために、異なる数のノズルまたは異なるノズル位置等の他の構成もまた、可能であることに留意する。
【0038】
ガス吸入口630および634が注入のために閉鎖されている間、汚染の原因になる可能性がある、それらの周囲へのSi蒸着を防止するために、一実施形態では、それらが閉じられるステップの間、閉鎖される代わりに、ガス吸入口630および634は、少量の逆パージガスを注入するために、開いたままである。理想的には、逆パージガス流の量は、チャネル610内の流れ方向との干渉を防止するのに十分に小さい。一実施形態では、逆パージガスの流量は、前躯体の流量の5%未満である。例えば、ステップ1では、矢印646によって示されるように、ガス吸入口634から少量の逆パージガスが注入される。同様に、ステップ2では、矢印648によって示されるように、ガス吸入口630から少量の逆パージガスが注入される。前躯体ガスの逆方向に流れる少量のパージガスの存在は、ガス吸入口の周囲に乱気流を作り出し、したがって、前躯体ガスがガス吸入口の周囲にSiを蒸着するのを防止する。いくつかの実施形態は、逆パージガスとして、H2を使用する。いくつかの実施形態は、逆パージガスとして、HClまたはSiCl4を使用する。ガス吸入口の周囲に乱気流を作り出すことに加えて、HClまたはSiCl4は、Siと反応することができ、したがって、ガス吸入口の周囲へのSi蒸着のいかなる可能性も除去することができる。HCl(またはSiCl4)とSiとの間の反応生成物は、TCSであるため、チャンバに汚染物が添加されることはないことに留意する。さらなる実施形態では、HClまたはSiCl4は、逆パージガスとして使用するために、H2と混合される。
【0039】
図6Cに戻り、ガス吸入口611および612に加えて、サセプタ604および608の背側とチャンバ602の内壁との間に背側パージガスを注入するために、チャンバ602もまた、ガス吸入口615および616に連結される。サセプタ604および608の背側とチャンバ602の内壁との間のガス圧は、チャネル610の内部のガス圧以上に保たれ、したがって、チャネル610内に含まれるTCSガスが、チャンバの内壁の隣の空間に漏れるのを防止する。サセプタの背側とチャンバ壁との間の背側パージガス流の存在は、Siがチャンバ602の内壁上に堆積する危険性をさらに低減する。逆パージガスと同様に、背側パージガスは、H2、HCl、SiCl4、およびこれらの組み合わせであり得る。同様に、背側パージガスを注入することができる限り、ガス吸入口615および616の位置は、図6Cに示されるものとは異なってもよく、または背側パージガス注入ノズルの数は、2つ未満もしくは3つ以上であり得る。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係る、例示的なマルチチャンバ反応モジュールを図示する。図7に図示されるように、加熱ランプは、2つのプロセスチャンバ間に「挟入」される。したがって、加熱ランプからの放射エネルギーを、蒸着に完全に利用することができる。
【0041】
種々の実施形態の前述の説明は、図示および説明のためにのみ提示されてきた。これらは、包括的であること、または本発明を開示される形態に制限することは意図されない。したがって、多くの修正および変形が、当該技術分野に精通する実践者に明らかとなるであろう。したがって、上述の開示は、本発明を制限することは意図されない。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、シリコン蒸着に関する。より具体的には、本開示は、シリコン蒸着のための拡張可能な高生産性マルチチャンババッチ型エピタキシャル反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の使用およびそのコストの高騰によって生じる環境上の負の影響は、より清浄かつより安価な代替エネルギー源の切迫した必要性をもたらしている。異なる形態の代替エネルギー源の中でも、太陽光発電は、その清浄度および広範な可用性から好ましい。
【0003】
太陽電池は、光電効果を使用して、光を電力に変換する。単一p−n接合、p−i−n/n−i−p、および多接合を含む、いくつかの基礎太陽電池構造がある。典型的単一p−n接合構造は、類似材料のp−型ドープ層と、n−型ドープ層とを含む。ヘテロ接合構造は、異なるバンドギャップの材料の少なくとも2つの層を含む。p−i−n/n−i−p構造は、p−型ドープ層と、n−型ドープ層と、p−層とn−層との間に挟入される任意の真性(非ドープ)半導体層(i−層)とを含む。多接合構造は、相互の上部に積載される、異なるバンドギャップの複数の半導体層を含む。
【0004】
太陽電池では、光は、キャリヤを生成するp−n接合近傍で吸収される。キャリヤは、p−n接合に拡散し、生来の電界によって分離され、それによって、デバイスおよび外部回路全体に電流を生産する。太陽電池の質を判定する際の重要な測定基準は、(吸収された光から電気エネルギーへ)変換される電力と、太陽電池が電気回路に接続されると、収集される電力との間の比率として定義される、そのエネルギー変換効率である。
【0005】
太陽電池を構築するために使用することができる材料には、非晶質シリコン(a−Si)、多結晶シリコン(poly−Si)、結晶性シリコン(結晶Si)、テルル化カドミウム(CdTe)等が挙げられる。図1は、例示的な結晶性シリコン薄膜太陽電池を図示する。太陽電池100は、低級結晶性Si基材102と、p−型ドープ単結晶Si層104と、n+シリコンエミッタ層106と、正面電極108と、Al背面電極110とを含む。図1の矢印は、入射太陽光を示す。
【0006】
産業調査によると、結晶性Siウエハを基材とする太陽電池は、市場の約90%を占める。しかしながら、結晶性Siウエハを基材とする太陽電池を生産する費用は高く、インゴット切断およびウエハ研磨のプロセスにおけるSi材料の無駄は、結晶性Siウエハの供給におけるボトルネックになっている。Si材料の急騰する価格および供給不足のため、太陽電池を作製するための代替的方法に強い関心が集まっている。近年、光起電薄膜技術は、使用される材料の量を大幅に削減することができ、したがって、太陽電池の費用を下げることができるため、非常に大きな関心を呼んでいる。種々の競合技術の中でも、単結晶Si薄膜太陽電池は、それらの低価格および高効率のため、大きな関心を呼んでいる。
【0007】
単結晶Si薄膜太陽電池は、製造費用を削減するだけでなく、太陽電池のエミッタ、吸収体、および背面電界への融通性のあるドーピングレベルも可能にし、したがって、その効率を向上する、従来の半導体エピタキシー技術を使用して作製することができる。研究所で、17%と効率の高い単結晶Si薄膜太陽電池が実演された(非特許文献1を参照)。
【0008】
高品質単結晶Si薄膜は、CMOS集積回路、電源デバイス、および高電圧の個別デバイスの高品質単結晶Si層を作製するために、半導体産業において広く使用されている、Siエピタキシーを使用して生産することができる。可能なSiエピタキシャル蒸着技術の中でも、トリクロロシラン(TCS)を基材とする化学蒸着(CVD)は、最大で10μm/分の蒸着速度を提供することができる。したがって、太陽電池用途向けの高処理量かつ低費用なエピタキシャルプロセスを達成することができる。
【0009】
しかしながら、太陽電池産業が必要とする、最大で数十ミクロンの厚さを有するSi膜層の高生産性および低蒸着費用に対する要求を満たすことができる好適なSiエピタキシーツールが欠如している。Santa Clara,California,米国のApplied Materials Inc.によるAMC7810TMおよびCentura5200TM、Tracy,California,米国のMoore Epitaxial Inc.によるMT7700TM、イタリア国のLPE Epitaxial TechnologyによるPE2061TM、ならびにオランダ国のASM InternationalによるEpsilon3200TM等の既存のSiエピタキシーツールは、半導体デバイス製造の要求に対して最適化される。これらのエピタキシャルツールは、最高品質のSi膜をもたらすことができるが、これらのツールは、処理量およびガス変換効率の観点から、太陽電池産業の経済的側面と適合しない。
【0010】
図2は、複数のウエハのバッチ処理に使用される、既存のバレルエピタキシャル反応器の構造を図示する、略図を提示する。バレル反応器200は、上部にガス吸入口204と、底部に通気口206とを有する、反応チャンバ202を含む。垂直に位置付けられるサセプタ208は、ウエハ210等のいくつかのウエハを保持する。無線周波数(RF)加熱コイル212は、サセプタおよびウエハ上に熱を放射する。バレル反応器200は、複数のウエハをバッチ処理することができるが、それが処理することができるウエハの数は、システムのアーキテクチャ、チャンバのサイズ、およびサセプタの設計によって制限される。いったん組み立てられると、より多くのウエハを収容するように反応器またはサセプタを修正することは困難である。加えて、サセプタは、より優れた均一性を達成するために、蒸着中、回転させる必要がある。
【0011】
特許文献1は、サセプタを回転させる必要なく、均一性を高めるために、双方向プロセスガス流を提供する、反応チャンバを提案する。しかしながら、これは、低処理量、低反応ガス変換率、低電力利用効率、石英チャンバ上への最小限のSi蒸着、および処理拡張性の問題を解決しない。加えて、ガス吸入口および排出口に同一のガス管を使用すると、汚染および再蒸着の危険性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,399,510号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.Reutuer et al.,”17% Efficient 50 μm Thick Solar Cells,”Technical Digest,17th International Photovoltaic Science and Engineering Conference,Fukuoka,Japan,p.424
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態は、材料蒸着のためのシステムを提供する。システムは、システム、サセプタ搭載/非搭載ステーション、サセプタを搭載/非搭載するめに搭載/非搭載ステーションに連結される、走行ビーム、およびマルチチャンバモジュールに電力を提供するためのAC(交流電流)パネルを含む。マルチチャンバモジュールは、ガスボックスと、SCRパネルと、相互の隣に位置する、いくつかの反応チャンバとを含む。反応チャンバは、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成され、一対のサセプタは、反応チャンバの内部に位置する。各サセプタは、前側と、背側とを有し、前側は、いくつかの基材を載置する。サセプタは、サセプタの前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する。また、システムは、いくつかのガスノズルも含む。ガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含む。ガス吸入口およびガス排出口は、異なるガス管に連結され、ガス吸入口およびガス排出口は、狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進する。ガス吸入口は、材料蒸着中、ガス吸入口が反応ガスを狭いチャネルに注入していない時に、少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止する。パージガスは、以下のHCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む。加えて、システムは、反応チャンバの外部に位置する、いくつかの加熱ユニットを含む。少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバの側壁間に位置し、それによって、少なくとも1つの加熱ユニットが2つの隣接する反応チャンバを同時に加熱できるようにする。加えて、加熱ユニットは、それらが熱エネルギーをサセプタの背側に直接放射するように配設される。
【0015】
実施形態の変形では、パージガスの流量は、反応ガスの流量の5%未満である。
【0016】
本発明の一実施形態は、材料蒸着のためのシステムを提供する。システムは、相互に隣接して定置される、いくつかの反応チャンバを含む。いくつかの反応チャンバの壁は、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される。また、システムは、反応チャンバの外部に位置する、いくつかの加熱ユニットも含む。少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバ間に定置され、それによって、少なくとも1つの加熱ユニットが熱エネルギーを2つの隣接するチャンバの両方に同時に放射できるようにする。
【0017】
本実施形態の変形では、システムは、加熱ユニットの数および電力を制御するための閉鎖ループフィードバック制御を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、例示的な結晶性Si薄膜太陽電池の構造を図示する、略図を提示する。
【図2】図2は、バレル反応器(従来技術)を図示する、略図を提示する。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の側面図を図示する、ブロック図を提示する。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の背面図を図示する、略図を提示する。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の基板およびチャンバの上面図を図示する、略図を提示する。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器内のチャンバの正面図を図示する、略図を提示する。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの内部のサセプタの前側を図示する、略図を提示する。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの側面図を図示する、略図を提示する。
【図6C】図6Cは、本発明の実施形態に係る、反応チャンバの断面の正面図を図示する、略図を提示する。
【図6D】図6Dは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の上面図を図示する、略図を提示する。
【図6E】図6Eは、本発明の実施形態に係る、ガスノズル614の上面図を図示する、略図を提示する。
【図6F】図6Fは、本発明の実施形態に係る、ガス吸入口および排出口のガス流順序を図示する、略図を提示する
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る、例示的なマルチチャンバ反応モジュールを図示する。
【0019】
図中、同様の参照番号は、同一の図形要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、任意の当業者が実施形態を作製および使用することを可能にするために提示され、特定の用途およびその要件に照らして提供される。開示される実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用されてもよい。したがって、本発明は、示される実施形態に制限されず、本明細書に開示される原理および特徴と一致する、最も広義の範囲が与えられる。
【0021】
(概説)
本発明の実施形態は、Si蒸着のための拡張可能な高処理量マルチチャンバエピタキシャル反応器を提供する。反応器は、いくつかの伸展可能な独立制御型マルチチャンバモジュールを含む。反応チャンバは、隣接するチャンバ間に交互に挿入される、ランプ加熱ユニットによって加熱される。各反応チャンバは、基材を支持するための一対のサセプタを囲む。反応ガスは、蒸着の均一性を保証するために、ある側から別の側に交互にチャンバに注入される。
【0022】
(9−チャンバエピタキシャル反応器)
図3は、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の側面図を図示する、ブロック図を提示する。反応器の後方部分(図3の左側)は、ガス/化学物質ボックス302等のガス/化学物質源と、AC(交流電流)パネル304およびSCR(シリコン制御整流器)パネル306等の種々の制御パネルとを含む。3区分熱交換器および送風器308は、ACパネル304の下方にある。反応器の前方部分は、いくつかの反応チャンバ310を含む。各反応チャンバは、ランプ加熱ユニット314によって包囲され、蓋312で被覆される。走行ビーム316は、反応器の正面に取り付けられ、工場のサセプタ搭載/非搭載ステーション318と接合する。サセプタスタンド320は、搭載/非搭載ステーション318の上方に位置する。
【0023】
ACパネル304は、反応器全体への電力供給を制御し、ガス/化学物質ボックス302は、TCSおよびH2キャリヤガス等の入力ガスの源を含み、SCRパネル306は、チャンバを包囲するランプ加熱ユニットの動作を制御する。ガス/化学物質ボックス302およびSCRパネル306の詳細は、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の背面図を図示する略図を提示する、図4に示されている。
【0024】
図4の上方部分は、3つのガスパネル402、404、および406を図示する。各ガスパネルは、3つの個々の反応チャンバへのガス入力を制御する。例えば、ガスパネル402は、3つの個々のチャンバ430、432、および434のためのガス制御を含む。図4の下方部分は、3つのSCRパネル410、412、および414を図示する。各SCRパネルは、3つの対応するチャンバを包囲するランプ加熱ユニットを制御する。例えば、SCRパネル410は、チャンバ430、432、および434を包囲するランプ加熱ユニットを制御する。加えて、各SCRパネルは、制御416〜422を含む、4つの制御を有し、各制御は、ランプのグループを独立して制御する。3つの反応チャンバを包囲する、すべてのランプ加熱ユニットは、それらの位置によって、4つのグループに分割される。例えば、チャンバの上部にある、すべてのランプは、上部制御416によって制御されるように、共にグループ化される。同様に、中部制御418、底部制御420、および縁部制御422は、それぞれ、チャンバ間、チャンバの底部、およびチャンバの縁部にあるランプを制御する。チャンバの異なる位置にあるランプを個々に制御することを可能にすることによって、確実に、反応チャンバの内部の大きな平らな区分にわたり、均一な温度を維持することができるように、およびサセプタを均一に加熱することができるようになる。一実施形態では、また、SCR制御は、チャンバの内部の加熱の均一性をさらに改善することができる、閉鎖ループフィードバック機構も含む。
【0025】
図4は、9つの反応チャンバが、それぞれが3つのチャンバを含む、3つのグループに分割されることを示す。各グループは、それ自体のガスパネルと、加熱制御とを有する。例えば、チャンバ430、432、および434は、それ自体のガスパネル402と、加熱制御のためのSCRパネル410とを有する、1つのグループを形成する。3つの反応チャンバは、それらの対応するガスパネルおよびSCRパネルと共に、マルチチャンバモジュールを形成する。各マルチチャンバモジュールは、他のモジュールから独立して動作することができるため、システム全体は、融通性のある処理量を提供することができる。例えば、特定の状況下では、反応チャンバのうちの1つまたは2つのモジュールのみが動作している。加えて、また、モジュール構成は、処理の拡張性も提供する。例えば、バッチ処理能力を増加させるために、反応チャンバのサイズまたはサセプタの構成を修正する必要なく、既存のシステムに、それぞれが、反応チャンバと、ガス源と、SCR制御とを含む、より多くのモジュールを単純に追加することができる。3つの反応チャンバを1つのモジュールにグループ化すること以外の他の構成もまた、可能であることに留意する。
【0026】
図3に戻ると、3区分熱交換器および送風器308は、反応チャンバ310を包囲するプレナム330内に強制気流を提供する。矢印326は、プレナム330内の強制気流の方向を示す。結果として、壁を、チャンバの内部の温度と比較して均一なより低い温度に保つために、反応チャンバ310の外壁に沿って、加圧気流が維持される。一実施形態では、チャンバ310の外面の温度は、約600℃に保たれ、したがって、チャンバ壁上へのSi蒸着を最小限にする。
【0027】
Si蒸着の前に、走行ビーム316は、自動誘導車両(AGV)、頭上巻き上げ搬送(OHT)、またはコンベヤ搬送システム用に構成可能である、工場のサセプタ搭載/非搭載ステーション318からサセプタ322を拾い上げる。次いで、走行ビーム316は、サセプタ322をロードロック332に運ぶ。搭載中、粉塵および他の不純物を除去するために、ロードロック332内に、矢印328によって示される層流が維持される。チャンバ310の蓋312は、矢印324によって示される方向に開放し、サセプタ322を、Si蒸着のためにチャンバ310の内部に降ろすことができる。走行ビーム316の構成によって、チャンバの内部に、毎回1つ以上のサセプタを搭載することができる。
【0028】
図5Aは、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器の基板およびチャンバの上面図を図示する、略図を提示する。基板502は、ステンレス鋼または他の耐久性のある材料で作製することができる。反応チャンバ504の断面の形状は、長方形、矩形、円形、正方形、または他の形状であり得るが、これらに限定されない。
【0029】
図5Bは、実施形態に係る、9−チャンバエピタキシャル反応器内のチャンバの正面図を図示する、略図を提示する。ランプ加熱ユニット506および508等のランプ加熱ユニットは、反応チャンバ間に交互に挿入される。結果として、一組のランプ加熱ユニットは、熱をチャンバの両側上に放射することができ、したがって、エネルギー利用率を大幅に向上する。例えば、チャンバ510とチャンバ512との間にあるランプ加熱ユニット508は、熱を両方のチャンバに放射する。各ランプのサイズまたは各ランプ加熱ユニット内のランプの数は、チャンバのサイズおよびランプの電力によって変更することができる。一実施形態では、各チャンバは、22のランプによって包囲される。加熱ユニットは、RF加熱コイルまたはタングステンランプで作製することができる。エネルギー効率をさらに向上するために、一実施形態では、ランプからの放射エネルギーの大部分を反射し戻すために、金でコーティングされた反射体がチャンバの周囲に載置される。従来のエピタキシャル反応器と比較して、本反応器設計では、ランプ加熱ユニットからの放射熱が効率的に利用され、したがって、9−チャンバエピタキシャル反応器の電気消費量は、大幅に低減され、結果として、エピタキシープロセスの費用の削減をもたらす。
【0030】
(チャンバおよびサセプタ)
図6Aは、実施形態に係る、反応チャンバの内部のサセプタの前側を図示する、略図を提示する。サセプタ604は、チャンバ602の内部に垂直に定置される。チャンバ壁による熱吸収を回避するために、チャンバ602は、放射熱を透過する材料を使用して形成される。一実施形態では、チャンバ602は、石英を使用して形成される。一方、サセプタ604は、SiCでコーティングされたグラファイトおよびモノリシックSiC等、放射熱エネルギーを透過せずに吸収する材料を使用して形成することができる。一実施形態では、サセプタ604は、SiCでコーティングされたグラファイトを使用して形成される。結果として、ランプ加熱ユニットからの放射熱の大部分は、サセプタ604によって吸収される。加えて、チャンバ602の壁は、内面上へのSi蒸着を低減するために、包囲する強制気流によって涼しく保たれる。
【0031】
サセプタ604の前側は、蒸着される基材を支持するための、ポケット606等の一組のポケットを含む。ポケットの底部の形状は、サセプタと基材との間の良好な熱的接触を確実なものにするように、注意深く設計される。一実施形態では、ポケット606の底部は、曲線形状を有する。サセプタ604のサイズによって、サセプタ604上に種々の数の基材を取り付けることができる。一実施形態では、サセプタ604は、12 125×125mm2の基材を支持するための12のポケットを含む。
【0032】
図6Bは、実施形態に係る、反応チャンバの側面図を図示する、略図を提示する。図6Bは、石英チャンバ602の外壁を図示する。図6Cは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の正面図を図示する、略図を提示する。図6Cは、一対のサセプタ、サセプタ604およびサセプタ608が、反応チャンバ602の内部に垂直に定置されることを示す。狭いチャネル610が、サセプタ604とサセプタ608との間に形成される。また、前躯体および/またはパージガスを注入するため、ならびに排気を排出するためのいくつかのガス吸入口および排出口611〜616、ならびにノズルフランジ618も図6Cに示されている。後でより詳細に説明されるように、ガス吸入口611および612は、前躯体ガスを注入するように構成され、ガス排出口613および614は、排気を排出するように構成され、ガス吸入口615および616は、パージガスを注入するように構成されることに留意する。ノズルフランジ618は、ガス吸入口と、排出口と、対応するガス管路との間を接合する。
【0033】
図6Dは、実施形態に係る、反応チャンバの断面の上面図を図示する、略図を提示する。図6Dは、サセプタ604および608の断面が「U」字型のような形状であることを図示する。サセプタ604および608の垂直縁部は、相互に接触しており、囲まれた狭いチャネル610を形成する。結果として、蒸着中、TCS等の前躯体ガスを、狭いチャネル610内に含むことができる。前躯体ガスの他の例には、SiH4、SiH2Cl2、およびSiCl4が挙げられるが、これらに限定されない。「U」字型形状に加えて、サセプタ604および608の断面は、半円、半楕円、および他の規則的または不規則な形状を含むが、これらに限定されない、他の形状を形成することができる。サセプタ604および608の前側(すなわち、ウエハ保持側)は、相互に対面することに留意する。したがって、基材606等の蒸着基材は、前躯体ガスを含有する、それらの蒸着表面を包囲するチャネル610を有し、それらがチャンバ602の内壁上に材料を蒸着しないようにする。そのような構成は、今、TCSガスが基材表面上にSiを蒸着するのに成功する可能性が大いに高いため、TCSガスの利用率を大幅に向上することができる。蒸着の可能性の向上は、前躯体ガスが蒸着表面によって包囲されていること、ならびにチャンバ602の内壁上への蒸着の低減からもたらされる。チャネル610は、チャネル内の十分なガス流を保証するのに狭すぎてはいけないことに留意する。チャネル610の幅(サセプタ604とサセプタ608との間の距離)は、5mm〜200mmにすることができる。一実施形態では、チャネル610の幅は、20mm〜30mmであり、最大で30%のTCS利用率を達成することができる。
【0034】
より良好なガス利用を可能にすることに加えて、この構成は、チャンバ壁およびランプ加熱ユニットを向く、サセプタの背側を有し、これは、黒色サセプタによるランプ加熱ユニットからの効率的な放射熱エネルギー吸収を保証する。次いで、サセプタは、吸収された熱エネルギーを基材に移送する。代替の実施形態では、単一のサセプタが、反応チャンバの内部に垂直に定置される。蒸着基材は、サセプタの両側上に載置され、ランプ加熱ユニットに面する。
【0035】
太陽電池では、膜の均一性は、太陽電池の効率に大きく影響する。従来のエピタキシャルシステムでは、良好な蒸着の均一性、および高反応ガス利用率を同時に達成することが困難であった。均一性を改善するために、基材の回転を使用することができる。しかしながら、大きなバッチ反応器では、基板を回転させることがますます困難になる。より良好な蒸着の均一性を達成するために、一実施形態では、TCSおよびH2等の前躯体ガスは、それぞれ、チャンバ602の上部および底部にある、ガス吸入口611および612を介して、チャンバ602の内部のチャネル610に注入される。蒸着中、チャンバの圧力を、1トール〜1520トールに保つことができる。図6Eは、本発明の実施形態に係る、ガスノズルフランジの上面図を図示する、略図を提示する。ガスノズル618は、ガスリング624によって相互から分離される、隙間620と、隙間622とを含む。隙間620は、ガス吸入口611および612に対応し、前躯体ガスをチャネル610に注入するために使用することができる。隙間622は、ガス排出口613および614に対応し、排気を排出するために使用することができる。隙間620および隙間622は、ガスリング624によって分離され、かつ異なるガス管に連結されるため、排気による汚染はない。ガス吸入口611および612は、多岐弁を切り替えることによってガス源に連結し、交互に開くように構成される。加えて、ガス排出口613および614の開放ならびに閉鎖もまた、ガス吸入口の閉鎖および開放と同期するように交互に起こる。結果として、チャンバ602の内部、またはより具体的には、チャネル610の内部のガス流方向は、順に交互にされる。
【0036】
図6Fは、本発明の実施形態に係る、ガス吸入口および排出口のガス流順序を図示する、略図を提示する。ステップ1の間、上部ガスノズルのガス吸入口630は、TCSおよびH2を含む前躯体ガスをチャネル610に注入するために開放される。矢印638は、前躯体ガスの流れ方向を示す。また、ステップ1では、底部ガスノズルのガス排出口636は、排気ガスを排出するために開放される。矢印640は、排気ガスの流れ方向を示す。上部ガスノズルのガス排出口632および底部ガスノズルのガス吸入口634は、ステップ1の間、閉鎖される。
【0037】
同様に、ステップ2の間、底部ガスノズルのガス吸入口634は、TCSおよびH2を含む前躯体ガスをチャネル610に注入するために開放される。矢印642は、前躯体ガスの流れ方向を示す。また、ステップ2では、上部ガスノズルのガス排出口632は、チャネル610から排気ガスを排出するために開放される。矢印644は、排気ガスの流れ方向を示す。上部ガスノズルのガス吸入口630および底部ガスノズルのガス排出口636は、ステップ2の間、閉鎖される。現行の構成は、チャネル610の内部の前躯体ガスの流れ方向を順に交互にすることを可能にするため、サセプタを回転する必要なく、基材上の均一な蒸着特性を達成することができる。ガスノズルをチャンバの上部および底部に定置することに加えて、均一性を改善するために、異なる数のノズルまたは異なるノズル位置等の他の構成もまた、可能であることに留意する。
【0038】
ガス吸入口630および634が注入のために閉鎖されている間、汚染の原因になる可能性がある、それらの周囲へのSi蒸着を防止するために、一実施形態では、それらが閉じられるステップの間、閉鎖される代わりに、ガス吸入口630および634は、少量の逆パージガスを注入するために、開いたままである。理想的には、逆パージガス流の量は、チャネル610内の流れ方向との干渉を防止するのに十分に小さい。一実施形態では、逆パージガスの流量は、前躯体の流量の5%未満である。例えば、ステップ1では、矢印646によって示されるように、ガス吸入口634から少量の逆パージガスが注入される。同様に、ステップ2では、矢印648によって示されるように、ガス吸入口630から少量の逆パージガスが注入される。前躯体ガスの逆方向に流れる少量のパージガスの存在は、ガス吸入口の周囲に乱気流を作り出し、したがって、前躯体ガスがガス吸入口の周囲にSiを蒸着するのを防止する。いくつかの実施形態は、逆パージガスとして、H2を使用する。いくつかの実施形態は、逆パージガスとして、HClまたはSiCl4を使用する。ガス吸入口の周囲に乱気流を作り出すことに加えて、HClまたはSiCl4は、Siと反応することができ、したがって、ガス吸入口の周囲へのSi蒸着のいかなる可能性も除去することができる。HCl(またはSiCl4)とSiとの間の反応生成物は、TCSであるため、チャンバに汚染物が添加されることはないことに留意する。さらなる実施形態では、HClまたはSiCl4は、逆パージガスとして使用するために、H2と混合される。
【0039】
図6Cに戻り、ガス吸入口611および612に加えて、サセプタ604および608の背側とチャンバ602の内壁との間に背側パージガスを注入するために、チャンバ602もまた、ガス吸入口615および616に連結される。サセプタ604および608の背側とチャンバ602の内壁との間のガス圧は、チャネル610の内部のガス圧以上に保たれ、したがって、チャネル610内に含まれるTCSガスが、チャンバの内壁の隣の空間に漏れるのを防止する。サセプタの背側とチャンバ壁との間の背側パージガス流の存在は、Siがチャンバ602の内壁上に堆積する危険性をさらに低減する。逆パージガスと同様に、背側パージガスは、H2、HCl、SiCl4、およびこれらの組み合わせであり得る。同様に、背側パージガスを注入することができる限り、ガス吸入口615および616の位置は、図6Cに示されるものとは異なってもよく、または背側パージガス注入ノズルの数は、2つ未満もしくは3つ以上であり得る。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係る、例示的なマルチチャンバ反応モジュールを図示する。図7に図示されるように、加熱ランプは、2つのプロセスチャンバ間に「挟入」される。したがって、加熱ランプからの放射エネルギーを、蒸着に完全に利用することができる。
【0041】
種々の実施形態の前述の説明は、図示および説明のためにのみ提示されてきた。これらは、包括的であること、または本発明を開示される形態に制限することは意図されない。したがって、多くの修正および変形が、当該技術分野に精通する実践者に明らかとなるであろう。したがって、上述の開示は、本発明を制限することは意図されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料蒸着のための装置であって、
放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される反応チャンバと、
該反応チャンバの内部に位置する一対のサセプタであって、各サセプタは、前側と背側とを有し、該前側は、いくつかの基材を載置し、該サセプタは、該サセプタの該前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、該サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、一対のサセプタと、
第1の数のガスノズルであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス吸入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス吸入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス吸入口は、材料蒸着中、該ガス吸入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、第1の数のガスノズルと、
該反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの該背側に直接放射するように配設される、いくつかの加熱ユニットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
材料蒸着のためのシステムであって、
該システムに電力を提供するためのAC(交流電流)パネルと、
サセプタ搭載/非搭載ステーションと、
サセプタを搭載/非搭載するために該搭載/非搭載ステーションに連結される走行ビームと、
マルチチャンバモジュールであって、
ガスボックスと、
SCR(シリコン制御整流器)パネルと、
相互の隣に位置するいくつかの反応チャンバであって、該チャンバは、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成され、少なくとも1つの反応チャンバは、
該反応チャンバの内部に位置する一対のサセプタであって、各サセプタは、前側と、背側とを有し、該前側は、いくつかの基材を載置し、該サセプタは、該サセプタの該前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、該サセプタの該垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、一対のサセプタと、
第1の数のガスノズルであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス吸入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス吸入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス吸入口は、材料蒸着中、該ガス吸入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、第1の数のガスノズルと
を備える、いくつかのの反応チャンバと
を備える、マルチチャンバモジュールと、
各反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバの側壁間に位置し、それによって、該少なくとも1つの加熱ユニットは、該2つの隣接する反応チャンバを同時に加熱することができ、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの該背側に直接放射するように配設される、いくつかの加熱ユニットと
を備える、システム。
【請求項4】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
材料蒸着のための方法であって、
一対のサセプタの前側上にいくつかの基材を定置するステップと、
該一対のサセプタを、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成された反応チャンバの内部に垂直に定置するステップであって、該一対のサセプタの該前側は、相互に対面し、該サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、ステップと、
該反応チャンバの外部のいくつかの加熱ユニットを用いて、該サセプタを加熱するステップであって、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの背側に直接放射するように配設される、ステップと、
反応ガスを第1の数のガスノズルから該チャネルに注入するステップであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス注入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス注入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス注入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス注入口は、材料蒸着中、該ガス注入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス注入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
材料蒸着のためのシステムであって、
相互に隣接して定置されるいくつかの反応チャンバであって、該いくつかの反応チャンバの壁は、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される、いくつかの反応チャンバと、
該反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバ間に定置され、それによって、該少なくとも1つの加熱ユニットが、熱エネルギーを該2つの隣接するチャンバの両方に同時に放射することを可能にする、いくつかの加熱ユニットと
を備える、システム。
【請求項8】
加熱ユニットの数および電力を制御するための閉ループフィードバック制御をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項1】
材料蒸着のための装置であって、
放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される反応チャンバと、
該反応チャンバの内部に位置する一対のサセプタであって、各サセプタは、前側と背側とを有し、該前側は、いくつかの基材を載置し、該サセプタは、該サセプタの該前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、該サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、一対のサセプタと、
第1の数のガスノズルであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス吸入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス吸入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス吸入口は、材料蒸着中、該ガス吸入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、第1の数のガスノズルと、
該反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの該背側に直接放射するように配設される、いくつかの加熱ユニットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
材料蒸着のためのシステムであって、
該システムに電力を提供するためのAC(交流電流)パネルと、
サセプタ搭載/非搭載ステーションと、
サセプタを搭載/非搭載するために該搭載/非搭載ステーションに連結される走行ビームと、
マルチチャンバモジュールであって、
ガスボックスと、
SCR(シリコン制御整流器)パネルと、
相互の隣に位置するいくつかの反応チャンバであって、該チャンバは、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成され、少なくとも1つの反応チャンバは、
該反応チャンバの内部に位置する一対のサセプタであって、各サセプタは、前側と、背側とを有し、該前側は、いくつかの基材を載置し、該サセプタは、該サセプタの該前側が相互に対面するように垂直に位置付けられ、該サセプタの該垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、一対のサセプタと、
第1の数のガスノズルであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス吸入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス吸入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス吸入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス吸入口は、材料蒸着中、該ガス吸入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス吸入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、第1の数のガスノズルと
を備える、いくつかのの反応チャンバと
を備える、マルチチャンバモジュールと、
各反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバの側壁間に位置し、それによって、該少なくとも1つの加熱ユニットは、該2つの隣接する反応チャンバを同時に加熱することができ、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの該背側に直接放射するように配設される、いくつかの加熱ユニットと
を備える、システム。
【請求項4】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
材料蒸着のための方法であって、
一対のサセプタの前側上にいくつかの基材を定置するステップと、
該一対のサセプタを、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成された反応チャンバの内部に垂直に定置するステップであって、該一対のサセプタの該前側は、相互に対面し、該サセプタの垂直縁部は、相互と接触しており、それによって、異なるサセプタ上に載置された該基材間に、実質的に囲まれた狭いチャネルを形成する、ステップと、
該反応チャンバの外部のいくつかの加熱ユニットを用いて、該サセプタを加熱するステップであって、該加熱ユニットは、それらが熱エネルギーを該サセプタの背側に直接放射するように配設される、ステップと、
反応ガスを第1の数のガスノズルから該チャネルに注入するステップであって、該第1の数のガスノズルのうちの少なくとも1つは、反応ガスを該狭いチャネルに注入するためのガス注入口と、排気を排出するためのガス排出口とを含み、該ガス注入口および該ガス排出口は、異なるガス管に連結され、該ガス注入口および該ガス排出口は、該狭いチャネルの内部の反応ガス流方向を交互にすることができるように制御され、それによって、均一な材料蒸着を促進し、該ガス注入口は、材料蒸着中、該ガス注入口が反応ガスを該狭いチャネルに注入していない時に、所定の少量のパージガスを注入するように構成され、それによって、該ガス注入口の周囲への材料蒸着を防止し、該パージガスは、HCl、SiCl4、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記パージガスの流量は、前記反応ガスの流量の5%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
材料蒸着のためのシステムであって、
相互に隣接して定置されるいくつかの反応チャンバであって、該いくつかの反応チャンバの壁は、放射エネルギーを透過する材料を使用して形成される、いくつかの反応チャンバと、
該反応チャンバの外部に位置するいくつかの加熱ユニットであって、少なくとも1つの加熱ユニットは、2つの隣接する反応チャンバ間に定置され、それによって、該少なくとも1つの加熱ユニットが、熱エネルギーを該2つの隣接するチャンバの両方に同時に放射することを可能にする、いくつかの加熱ユニットと
を備える、システム。
【請求項8】
加熱ユニットの数および電力を制御するための閉ループフィードバック制御をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7】
【公表番号】特表2012−505549(P2012−505549A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531102(P2011−531102)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/059580
【国際公開番号】WO2010/042454
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511064362)シエラ ソーラー パワー, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/059580
【国際公開番号】WO2010/042454
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511064362)シエラ ソーラー パワー, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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