説明

シリコン電極アセンブリ表面から汚染を除去するための洗浄方法

電極アセンブリ結合剤の可能性のある化学腐食を制御し、又は無くするシリコン電極アセンブリ汚染除去洗浄方法及び溶液は、フッ化アンモニウム、過酸化水素、酢酸、場合によっては酢酸アンモニウム、及び脱イオン水を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン電極アセンブリ表面から汚染を除去するための洗浄方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
一つの実施形態では、プラズマに曝されたシリコン表面を含む使用された電極アセンブリを洗浄する方法は、イソプロピルアルコール及び脱イオン水の溶液にシリコン表面を接触させることを含む。シリコン表面は、0.01〜5%のフッ化アンモニウム、5〜30%の過酸化水素、0.01〜10%の酢酸、場合によっては0〜5%の酢酸アンモニウム、及びバランス脱イオン水を含む酸溶液と接触される。シリコン表面は、脱イオン水と接触される。好ましいことには、シリコン表面から汚染物質が除去される。電極アセンブリは、洗浄後に、プラズマエッチングチャンバで誘電体材料をエッチングするために使用することができる。
【0003】
他の実施形態では、使用された電極アセンブリのプラズマに曝されたシリコン表面から汚染物質を除去する酸溶液は、0.01〜5%のフッ化アンモニウムと、5〜30%の過酸化水素と、0.01〜10%の酢酸と、場合によっては0〜5%の酢酸アンモニウムと、バランス脱イオン水と、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
電極アセンブリを使用して非常に多くのRF時間(プラズマを発生するために高周波パワーが使用された時間単位の時間)が経過した後で、使用されたシリコン電極アセンブリは、エッチング速度の低下及びエッチング均一性のドリフトを示す。エッチング性能の低下は、電極アセンブリのシリコン表面の汚染だけでなく電極アセンブリのシリコン表面のモルフォロジの変化に起因し、これら双方は、誘電体エッチングプロセスの結果である。
【0005】
使用された電極アセンブリのシリコン表面を研磨して、黒色シリコン及び他の金属汚染を除去することができる。金属汚染物は、酸溶液で拭くことによってシリコン表面を変色させることなく、そのような電極アセンブリのシリコン表面から効率的に除去することができ、拭くことによって、電極アセンブリ結合剤に対する損傷の危険性が低くなる。したがって、電極アセンブリを洗浄することによって、プロセス窓のエッチング速度及びエッチング均一性を許容可能なレベルに回復させることができる。
【0006】
誘電体エッチングシステム(例えば、Lam2300Exelan(登録商標)及びLamExelan(登録商標)HPT)は、ガス出口を含むシリコンシャワーヘッド電極アセンブリを含みうる。本件出願と同一出願人により保有され、引用することによってその内容をここに合体される米国特許第6,376,385号に開示されているように、ただ1つのウェハのような半導体基板の処理を行うことができるプラズマ反応チャンバの電極アセンブリは、黒鉛裏当てリング又は部材のような支持部材、均一な厚さの円形ディスクの形をしたシリコンシャワーヘッド電極のような電極、及び、支持部材と電極の間のエラストマ結合部を含みうる。エラストマ結合部は、電極アセンブリの温度サイクルの結果としての熱膨張を補償するように支持部材と電極の間の動きを可能にする。エラストマ結合部は電気及び/又は熱伝導性充填剤を含んでもよく、エラストマは、高温で安定な触媒硬化重合体であってもよい。例えば、エラストマ結合剤は、シリコン重合体及びアルミニウム合金粉末充填剤を含みうる。結合剤を損傷する可能性がある酸溶液を電極アセンブリの結合剤と接触させないために、好ましくは、使用された電極アセンブリのシリコン表面は酸溶液で拭かれる。
【0007】
さらに、電極アセンブリは、内部電極を取り囲み場合によっては誘電体材料のリングで内部電極から分離されている外部電極リング又は部材を含みうる。外部電極部材は、300mmウェハなどのより大きなウェハを処理するように電極を延長するのに有用である。外部電極部材のシリコン表面は、平らな表面及び傾斜外縁部を備えうる。内部電極と同様に、外部電極部材は、好ましくは、裏当て部材を備え、例えば、外部リングは電気的に接地されたリングを備えることがあり、このリングに、外部電極部材がエラストマ結合されうる。内部電極及び/又は外部電極部材の裏当て部材は、容量結合されたプラズマ処理ツールに取り付けるための取付け穴を有しうる。電極アセンブリの汚染物質を最小限にするために、内部電極と外部電極部材との双方は、好ましくは、単結晶シリコンで構成される。外部電極部材は、環状構成に配列された単結晶シリコンのいくつかのセグメント(例えば、6セグメント)で構成されることがあり、各セグメントは裏当て部材に結合(例えば、エラストマ結合)されている。さらに、環状構成の隣接したセグメントは重なり合い、隣接セグメント間にギャップ又は接合部があることがある。
【0008】
誘電体エッチングツールで使用されるシリコン電極アセンブリは、この電極アセンブリを使用する非常に多くのRF時間が経過した後で、部分的に黒色シリコンの形成のために悪化している。「黒色シリコン」は、プラズマ処理工程中に表面に沈積された汚染物質によって表面が微小マスクされた結果として、プラズマに曝されたシリコン表面に生じ得る。黒色シリコンの形成の影響を受ける特定のプラズマ処理条件には、低Kビアのエッチング時に使用されるような、中間RFパワーでの高窒素濃度、低酸素濃度及び低C濃度がある。微小マスクされた表面領域は、約10nmから約10ミクロンの程度であり得る。どんな特定の理論にも拘束されることを望まないが、シリコン電極(又は、他のシリコン部分)のプラズマに曝された表面への黒色シリコン形成は、プラズマ処理工程中におけるシリコン電極への不連続的な重合体沈積の結果として生じると思われる。
【0009】
シリコン酸化物又は低k誘電体材料層などの半導体基板上の誘電体材料をエッチングする主エッチングステップ中に、不連続的な重合体沈積物が、プラズマに曝された表面、例えばシリコン上部電極の下面に生じ得る。重合体沈積物は、一般に、下にある表面をエッチングから選択的に保護する3次元島状形成物を形成する。いったん針状形成物が形成されると、それから重合体沈積物は、この針の先端に優先的に生じ、それによって、連続する基板の主エッチングステップ中に、微小マスク機構及び黒色シリコン拡大を加速する。微小マスクされた表面領域の不均一な異方性エッチングは、結果として、狭い間隔で並んだ針状又は棒状特徴を表面に形成することになる。これらの特徴は、光がシリコン表面の変形領域で反射するのを妨げることができ、これによって、それらの領域は黒色の外見になる。針状微小特徴は、狭い間隔で並び、一般に、約10nm(0.01μm)から約50,000nm(50μm)の長さを有することがあり(また、いくつかの例では、約1mm程度又はもっと長い長さを有することがあり)、さらに、一般に、約10nmから約50μmの幅を有することがある。
【0010】
黒色シリコンの影響を受けた電極アセンブリのシリコン表面は、研磨によって再生させうる。研磨の前に、電極アセンブリは、異物を除去するために前洗浄されうる。そのような前洗浄は、CO雪吹付け(snow blasting)を含んでもよく、このCO吹付けは、処理される表面にドライアイスの小さな薄片(例えば、ノズルを通して液体COを大気圧まで膨張させて、COの柔らかい薄片を形成することで生じる)の流れを向け、その結果、その薄片は、基板上の大きさが1ミクロン未満の小さな粒状汚染物質に当たり、そのとき昇華によって気化し、表面からその汚染物質を持ち上げる。それから、汚染物質及びCOガスは、一般に、高性能粒子空気(HEPA)フィルタなどのフィルタを通過し、そこで汚染物質は集められガスは放出される。適切な雪生成装置の例は、Vatran Systems Inc.(カリフォルニア州チュラビスタ)から市販されているSnow Gun−II(商標)である。研磨の前に、電極アセンブリは、アセトン及び/又はイソプロピルアルコールで洗浄されてもよい。例えば、電極アセンブリは、アセトンに30分間浸漬され、有機汚れ又は沈積物を除去するように拭かれてもよい。
【0011】
研磨は、適切な粗さ等級数の研削砥石を使用して旋盤で電極アセンブリの表面を研削し、別の砥石を使用して所望の仕上げ(例えば、8ミクロン−インチ)まで電極アセンブリ表面を研磨することを含む。好ましくは、汚れを除去し電極アセンブリを濡れた状態に保つために、シリコン表面は、不断の流水の下で研磨される。水が追加されたとき、研磨中にスラリーが生じることがあり、このスラリーは電極アセンブリ表面から取り除かれるべきである。電極アセンブリは、最初にErgoSCRUB(商標)及びScrubDISK(商標)を使用して研磨されうる。研磨手順(すなわち、使用される研磨紙の選択及び順序)は、電極アセンブリのシリコン表面の損傷の程度に依存する。
【0012】
激しい点腐食又は損傷がシリコン電極アセンブリに観察される場合には、研磨は、均一で平らな表面が実現されるまで、例えば140又は160グリットのダイアモンド研磨ディスクから始まることがある。次の研磨は、例えば、220、280、360、800、及び/又は1350グリットのダイアモンド研磨ディスクであってもよい。軽微な点腐食又は損傷がシリコン電極アセンブリに観察される場合には、研磨は、均一で平らな表面が実現されるまで、例えば280グリットのダイアモンド研磨ディスクから始まることがある。次の研磨は、例えば、360、800、及び/又は1350グリットのダイアモンド研磨ディスクであってもよい。
【0013】
研磨中に、電極アセンブリは、好ましくは約40〜160rpmの回転速度のターンテーブルに取り付けられる。強い力は、電極アセンブリのシリコン表面又は結合領域に損傷を引き起こす可能性があるので、好ましくは、研磨中に均一なしかし強くない力が加えられる。したがって、電極アセンブリの点腐食又は損傷の度合いに依存して、研磨プロセスには相当な量の時間がかかる可能性がある。外部電極リング又は部材の形及び角度(例えば、平らな表面と傾斜外縁部の間の中間面)は、好ましくは、研磨中は維持される。電極アセンブリのガス出口及び結合部の中に捕獲された粒子を最小限にするために、研磨ディスクを交換するときはいつでも、脱イオン水銃を使用して、研磨中に生じた粒子をガス出口及び結合部から除去してもよく、さらに、UltraSOLV(登録商標)ScrubPADを使用して研磨ディスクから粒子を除去してもよい。
【0014】
研磨に続いて、電極アセンブリは、好ましくは、脱イオン水でリンスされ、ブロー乾燥される。電極アセンブリの表面粗さは、例えばSurfscanシステムを使用して測定されうる。電極アセンブリの表面粗さは、好ましくは、約8μ−インチ以下である。
【0015】
電極アセンブリのガス出口及び結合部に捕獲されている可能性がある粒子を自由にするために、電極アセンブリは、好ましくは、80℃の脱イオン水に1時間浸される。電極アセンブリの表面から粒子を除去するために、電極アセンブリは、約60℃の脱イオン水中で30分間超音波洗浄されてもよい。捕獲粒子を除去するのを助けるために、電極アセンブリは、超音波洗浄中に、超音波槽の中で上下に動かされてもよい。
【0016】
電極アセンブリのガス出口及び結合部又は取付け穴を含む電極アセンブリは、50psi以下の圧力の窒素/脱イオン水銃を使用して洗浄されてもよい。使用された電極アセンブリの黒鉛表面は緩んだ表面構造であるかもしれないので、電極アセンブリの黒鉛裏当て部材に損傷を与え又は強い衝撃を与えるのを防止するように特殊な取り扱いが必要とされる可能性がある。クリーンルーム用紙、ナイロン線、又は白糸を使用して、例えば電極アセンブリのガス出口及び結合部からの粒子除去特性を検査してもよい。電極アセンブリは、50psi以下の圧力の窒素銃を使用して乾燥してもよい。
【0017】
研磨に続いて、重合体沈積だけでなく、例えばナトリウム塩、カリウム塩及びこれらの組合せなどの可溶性金属汚染物質を電極アセンブリから除去するために、電極アセンブリは、脱イオン水とイソプロピルアルコールとの溶液で、好ましくは超音波洗浄されてもよい。以下で詳細に説明される弱酸性溶液又は中性近くの溶液は、例えばケイ酸カルシウム、酸化銅、酸化亜鉛、チタニア及びこれらの組合せなどの不溶性金属塩を除去する。酸溶液は、脱イオン水を使用して電極アセンブリから除去されるが、超音波が好ましい。最後に、好ましくは、電極アセンブリは、フィルタで濾過された窒素ガスを使用してブロー乾燥され、さらに最終検査及びパッケージングの前にオーブンでベーキングされる。
【0018】
シリコン表面の金属汚染物質を除去するための弱酸性溶液又は中性近くの溶液は、0.01〜5%NHF+5〜30%H+0.01〜10%HAc+0〜5%NHAc+バランスUPWを含みうる。他の実施形態では、弱酸性溶液又は中性近くの溶液は、0.01〜2%NHF+10〜20%H+0.01〜5%HAc+0〜5%NHAc+バランスUPWを含みうる。また、効率及び化学反応速度を高めるために、キレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び界面活性剤などの添加物も洗浄溶液に加えられ得る。
【0019】
酸溶液中のフッ化アンモニウム(NHF)の加水分解で、フッ化水素酸及び水酸化アンモニウムが生じる。フッ化水素酸は、シリコン表面をエッチングするのを助ける。しかし、フッ化水素酸はシリコン重合体の分解を引き起こすことがあるので、エラストマ結合シリコン電極アセンブリの洗浄において過剰なフッ化水素酸は望ましくない。アンモニウムイオンとの溶液バランスを介して供給されるアンモニアは、例えば銅及び鉄などの多くの遷移金属と安定な錯金属イオンを形成する優れた錯化剤である。したがって、アンモニウムの存在は、金属除去効率を改善するのを助ける。
【0020】
過酸化水素(H)は、強い酸化剤であり、有機汚染物質だけでなく金属汚染物質も除去するのを助ける。酸化体として、過酸化水素は、上で述べたように、遷移金属を酸化して、アンモニアと可溶性錯体を形成するより高い化学状態にする。さらに、過酸化水素は、多くの金属イオンとキレート錯体を形成して、洗浄効率を改善することができる。酢酸(HAc)及び酢酸アンモニウム(NHAc)は、弱酸性又は中性近くに溶液のpHを維持するための緩衝液として作用する。超純粋脱イオン水(UPW)は、好ましくは、10e18オーム/cmを超える抵抗率を有する。
【0021】
電極アセンブリの結合剤が酸溶液で化学的に腐食される危険性をさらに減すために、電極アセンブリを酸溶液中に浸漬するのとは対照的に、好ましくは拭くことによって電極アセンブリのシリコン表面を酸溶液と接触させて、金属汚染物が除去される。このように電極アセンブリのシリコン表面だけを酸溶液と接触させることによって、さらに、シリコン表面が洗浄される間電極アセンブリのシリコン表面が下の方に向いて支持されるようにする固定具によって、裏当て部材又は結合部分との酸溶液の意図しない接触は防止される。電極アセンブリのシリコン表面が下の方に向いて支持された状態で、シリコン表面に適用された過剰な酸溶液は、裏当て部材又は結合部分に流れるのとは対照的に、シリコン表面から滴り落ちた後で集めることができる。裏当て部材及び結合部分は、酸溶液と接触した場合には、好ましくは、直ちに脱イオン水で洗浄される。その上、好ましくは、電極部材の露出した結合剤は、酸溶液で洗浄する前にマスク材料及び/又は化学薬品に耐性のあるテープで覆うことによって保護される。
【0022】
裏当て部材又は結合部分と酸溶液の意図しない接触を防ぐ他の手段には、裏当て部材からシリコン表面まで吹き付けられてどんな残留溶液もシリコン表面から吹き飛ばす圧縮窒素ガスを使用して、拭いた後の電極アセンブリを乾燥することがある。拭いた後で、電極アセンブリを脱イオン水でリンスすることによって、電極アセンブリから溶液が除去される。同様に、脱イオン水を用いた洗浄中の残留酸溶液による結合剤に対する可能性のある腐食は、裏当て部材を脱イオン水でリンスし、続いてシリコン表面を脱イオン水でリンスすることによって、さらに減少されうる。シリコン表面が下の方に向いている状態で電極アセンブリが固定具に支持された場合、電極アセンブリは裏当て部材からシリコン表面まで、さらに存在すればガス孔を通してリンスされる。
【0023】
洗浄されるべき電極アセンブリに合わせて作られた固定具は、作業台面より上に電極アセンブリを持ち上げて電極アセンブリの下の方に向いている表面を洗浄することができるようにする頑丈なベース及び3以上の支持部材を備えている。洗浄中に電極アセンブリを支持する固定具を示す図1A、及び図1Aの拡大部分を示す図1Bに示されるように、各支持部材の上部には、電極アセンブリが載り電極部材が支持部材から滑り落ちるのを妨げる段がある。支持部材及びベースは、好ましくは、酸に対して化学的に耐性のあるテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)などの化学的に耐性のある材料でコーティングされ、かつ/又は作られている。
【0024】
再生された電極アセンブリが製品仕様に一致することを保証するために、好ましくは、電極アセンブリは、再生前及び再生後に検査される。検査は、例えば、寸法(例えば、厚さ)、表面粗さ(Ra、例えば16μ−インチ以下、好ましくは8μ−インチ以下)、表面清浄度(誘導結合プラズマ質量分光分析)、例えばQIII(登録商標)+表面粒子検出器(カリフォルニア州リヴァーモア、Pentagon Technologies)によって測定されるような表面粒子数、表面モルフォロジ(例えば、走査形電子顕微鏡(SEM)による)、及び黒色シリコンピット及びエッチ深さの測定を測定することを含みうる。さらに、好ましくは、再生電極アセンブリが許容可能なエッチング速度及びエッチング均一性を示すことを保証するために、再生電極アセンブリのプラズマエッチングチャンバでの性能が試験される。
【0025】
図2A(Ra=16μ−インチ)は、新しい電極アセンブリのシリコン表面モルフォロジを示し、図2B〜D(それぞれ、Ra=240、170及び290μ−インチ)は使用された電極アセンブリの研磨前のシリコン表面モルフォロジを示し、さらに図2E〜G(それぞれ、Ra=9、9及び10μ−インチ)は使用された電極アセンブリの研磨後のシリコン表面モルフォロジを示す。図2A〜Gは、100倍の倍率のシリコン表面のSEM像を示す。図2の電極アセンブリは、上で述べられたように内部電極及び外部電極部材を有する。図2B及び2Eは、内部電極の中心から撮られた像であり、図2C及び2Fは、内部電極の縁部から撮られた像であり、図2D及び2Gは、外部電極部材から撮られた像である。図2は、研磨によって、使用された電極アセンブリのシリコン表面モルフォロジ及び粗さが新しい電極アセンブリの状態まで回復することを示す。
【0026】
図3及び4は、洗浄されていない使用された電極アセンブリの一例を示し、図5は、再生された電極アセンブリの一例を示す。図6Aは、酸溶液で拭くことに起因する内部電極アセンブリのシリコン表面の変色を示し、図6Bは、酸溶液で拭くことに起因する外部電極アセンブリ部材のシリコン表面の変色を示す。図7A(Ra>150μ−インチ)及び7B(Ra>300μ−インチ)は、再生前の使用された電極アセンブリの例を示し、一方で、図7C及び7D(両方とも、Ra<8μ−インチである)は、再生後の電極アセンブリの例を示す。図7A及び7Cは、外部電極部材を示し、一方で、図7B及び7Dは、内部電極を示す。
【0027】
[実施例]
シリコン電極アセンブリ表面を洗浄する以下の方法は、説明のためのものであり、限定されるものでない。
【0028】
脱イオン水とイソプロピルアルコールとの50/50溶液で満たされた超音波タンクに電極アセンブリを浸漬する(浸す)。電極アセンブリを室温で30分間超音波洗浄する。必要であれば、電極アセンブリのシリコン表面を糸屑の出ない拭取り布で軽くこすってどんな残留物も除去する。脱イオン水とイソプロピルアルコールとの溶液から電極アセンブリを取り出す。超純粋脱イオン水を使用して少なくとも5分間電極アセンブリをリンスする。ガス孔に両側から、裏当て側から始めその後でシリコン側から、水を流す。必要であれば、残っているどんな眼に見える残留物も除去するように上のことを繰り返す。
【0029】
シリコン表面が下の方に向いている状態で電極アセンブリを固定具に載置する。フィルタで濾過された窒素ガスを使用して電極アセンブリを空気乾燥させる。0.01〜2%NHFと、10〜20%Hと、0.01〜5%HAcと、場合によっては0〜5%NHAcと、バランスUPWとの溶液でポリエステルクリーンルーム拭取り布を濡らし、電極アセンブリのシリコン表面を拭く。拭取り布に眼に見える残留物が無くなるまで、必要に応じて濡れたポリエステルクリーンルーム拭取り布を取り替える。拭取り布に少しでも眼に見える残留物がある場合には、拭取り布に眼に見える残留物が無くなるまで、拭き取りを繰り返す。清浄な乾燥クリーンルーム拭取り布を使用して、シリコン表面から残留溶液を静かに拭き取る。
【0030】
ガス孔を含めて電極アセンブリを脱イオン水で少なくとも5分間リンスする。電極アセンブリを超純粋脱イオン水に浸漬し(浸し)、超純粋脱イオン水で30分間超音波洗浄する。ガス孔を含めて電極アセンブリを脱イオン水で少なくとも5分間洗浄する。フィルタで濾過された窒素ガスを使用してガス孔を含めて電極アセンブリを空気乾燥する。電極アセンブリを加熱されていないオーブンの中に置き、オーブンを10℃/分未満の速さで120℃まで加熱する。電極アセンブリを120℃で2時間加熱する。オーブンの電源を切り、冷えるのにまかせる。オーブンが60℃より下に冷えた後で、電極アセンブリを清浄な乾燥領域に置いて、室温まで冷やす。
【0031】
電極アセンブリを表面残留物、水の跡、ガス孔の障害物、及び/又は結合剤損傷に関して検査する。少しでも表面残留物、水の跡、及び/又はガス孔の障害物が見出された場合には、電極アセンブリを再び洗浄する。フィルタで濾過された窒素を使用して表面及び/又はガス孔から粒子が除去されてもよい。
【0032】
様々な実施形態が説明されたが、当業者には明らかになるように、変形物及び修正物が用いられることは理解されるべきである。そのような変形物及び修正物は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内に考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】洗浄中に電極アセンブリを支持するための固定具を示す図である。
【図1B】図1Aの拡大部分を示す図である。
【図2A】新しい電極アセンブリのシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2B】使用された電極アセンブリの研磨前のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2C】使用された電極アセンブリの研磨前のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2D】使用された電極アセンブリの研磨前のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2E】使用された電極アセンブリの研磨後のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2F】使用された電極アセンブリの研磨後のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図2G】使用された電極アセンブリの研磨後のシリコン表面モルフォロジを示す図である。
【図3】洗浄されなかった使用された電極アセンブリの一例を示す図である。
【図4】洗浄されなかった使用された電極アセンブリの一例を示す図である。
【図5】再生された電極アセンブリの一例を示す図である。
【図6A】酸溶液で拭くことに起因する内部電極アセンブリのシリコン表面の変色を示す図である。
【図6B】酸溶液で拭くことに起因する外部電極アセンブリ部材のシリコン表面の変色を示す図である。
【図7A】再生前後の電極アセンブリの一例を示す図である。
【図7B】再生前後の電極アセンブリの一例を示す図である。
【図7C】再生前後の電極アセンブリの一例を示す図である。
【図7D】再生前後の電極アセンブリの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマに曝されたシリコン表面を含む使用された電極アセンブリを洗浄する方法であって、
前記シリコン表面をイソプロピルアルコール及び脱イオン水の溶液と接触させる手順と、
前記シリコン表面を、0.01〜5%のフッ化アンモニウム、5〜30%の過酸化水素、0.01〜10%の酢酸及びバランス脱イオン水を含む酸溶液、又は、0.01〜5%のフッ化アンモニウム、5〜30%の過酸化水素、0.01〜10%の酢酸、5%までの酢酸アンモニウム及びバランス脱イオン水を含む酸溶液と接触させる手順と、
前記シリコン表面を脱イオン水と接触させる手順と、
を含み、
前記シリコン表面から汚染物質が除去されることを特徴とする方法。
【請求項2】
イソプロピルアルコール及び脱イオン水の前記溶液と接触させる前記手順が、前記電極アセンブリをイソプロピルアルコール及び脱イオン水の溶液に浸漬することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イソプロピルアルコール及び脱イオン水の前記溶液と接触させる前記手順が、超音波洗浄を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸溶液と接触させる前記手順の前に前記シリコン表面を下の方に向けて支持する手順をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコン表面のすべてが確実に洗浄されるために、前記酸溶液と接触させながら前記電極アセンブリを回転させる手順をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電極アセンブリのすべてが確実に洗浄されるために、脱イオン水と接触させながら前記電極アセンブリを回転させる手順をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコン表面を酸溶液と接触させる前記手順が、前記シリコン表面を酸溶液で拭くことを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸溶液と接触した場合には、前記電極アセンブリの裏当て板又は結合剤を脱イオン水で直ちに洗浄する手順をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコン表面を脱イオン水と接触させる前記手順が、前記裏当て板を脱イオン水でリンスし、これに続いて前記シリコン表面を脱イオン水でリンスすることを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
脱イオン水と接触させる前記手順が、前記電極アセンブリを脱イオン水に浸漬することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脱イオン水と接触させる前記手順が、超音波洗浄を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸溶液が、キレート剤、界面活性剤及びこれらの組合せから成るグループから選ばれた1つ又は複数の添加物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酸溶液が、エチレンジアミン四酢酸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記汚染物質が、重合体汚染物質、可溶性金属汚染物質、不溶性金属汚染物質及びこれらの組合せから成るグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
イソプロピルアルコール及び脱イオン水の前記溶液が、前記電極アセンブリから重合体汚染物質を除去することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
イソプロピルアルコール及び脱イオン水の前記溶液が、ナトリウム塩、カリウム塩及びこれらの組合せから成るグループから選ばれた可溶性金属汚染物質を前記電極アセンブリから除去することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記酸溶液が、ケイ酸カルシウム、酸化銅、酸化亜鉛、チタニア及びこれらの組合せから成るグループから選ばれた不溶性金属汚染物質を前記電極アセンブリから除去することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記電極アセンブリが、ガス出口のあるシャワーヘッド電極であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記シリコン表面が、黒鉛裏当て部材にエラストマ結合されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記黒鉛裏当て部材が、取付け穴を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電極アセンブリが、外部電極部材で取り囲まれた内部電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記外部電極部材が、環状構成に配列されたシリコンセグメントで構成されていることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸溶液が、
0.01〜2%のフッ化アンモニウム、10〜20%の過酸化水素、0.01〜5%の酢酸及びバランス脱イオン水、又は、0.01〜2%のフッ化アンモニウム、10〜20%の過酸化水素、0.01〜5%の酢酸、5%までの酢酸アンモニウム及びバランス脱イオン水を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記シリコン表面が、単結晶シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法に従って洗浄されたことを特徴とする電極アセンブリ。
【請求項26】
使用された電極アセンブリのプラズマに曝されたシリコン表面から汚染物質を除去する酸溶液であって、
0.01〜5%のフッ化アンモニウム、5〜30%の過酸化水素、0.01〜10%の酢酸及びバランス脱イオン水、又は、0.01〜5%のフッ化アンモニウム、5〜30%の過酸化水素、0.01〜10%の酢酸、5%までの酢酸アンモニウム及びバランス脱イオン水を含むことを特徴とする酸溶液。
【請求項27】
0.01〜2%のフッ化アンモニウム、10〜20%の過酸化水素、0.01〜5%の酢酸及びバランス脱イオン水、又は、0.01〜2%のフッ化アンモニウム、10〜20%の過酸化水素、0.01〜5%の酢酸、5%までの酢酸アンモニウム及びバランス脱イオン水を含むことを特徴とする請求項26に記載の酸溶液。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2008−526023(P2008−526023A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548314(P2007−548314)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045460
【国際公開番号】WO2006/071552
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】