説明

セキュリティ装置

【課題】ユーザビリティの低下を抑止しつつ、高いセキュリティレベルを確保することができるセキュリティ装置を提供する。
【解決手段】セキュリティ装置3は、予め設定された通信領域内に存在する他車セキュリティ装置23との間で通信を行うことにより該他車セキュリティ装置23の監視情報を取得し、その監視情報に基づいて該他車セキュリティ装置23により監視される車両の異常を認識した際に、非警戒モードから第1警戒モードに自動的に切り換えたり、第1警戒モードからさらに警戒態勢を高めた第2警戒モードに自動的に切り換えたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両や住宅等の異常監視を行うセキュリティ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に適用されるセキュリティシステムとして、特許文献1,2に示されるものが知られている。
この種のセキュリティシステムの共通する特徴点は、車両の状態を監視するセキュリティ機能が有効状態に設定されると、車両に異常(被害)が生じたことが検知された際に、その旨をユーザや周辺に通報することにある。
【0003】
さらに、特許文献1に記載されるセキュリティシステムは車両に搭載されたセキュリティ装置と、そのセキュリティ装置と通信可能な携帯機とを備えている。セキュリティ装置は監視カメラを備え、車両に異常が生じた場合には、その監視カメラによって車両周辺の画像が記録される。また、その異常が生じた旨を示す異常検出信号が、周辺車両に搭載された他のセキュリティ装置に送信される。該異常検出信号を受信した他のセキュリティ装置の監視カメラにより、異常が生じた車両(監視対象車両)の周辺画像が記録され、該記録データが監視対象車両に送信される。そして、監視対象車両のセキュリティ装置は、自身の監視カメラによって記録した周辺画像と他のセキュリティ装置から送信された記録データとを、対応する携帯機に送信する。このため、携帯機の所持者(監視対象車両のユーザ)は、セキュリティ送信された記録データにより、自分の車両に異常が生じた旨を認識することができるとともに、記録データに基づいて車両の状況を把握することができる。
【0004】
一方、特許文献2に記載されるセキュリティシステムでは、ある車両のセキュリティシステムで異常が検知されると、その旨が周辺の車両のセキュリティシステムに送信され、異常が検知された車両と、その周辺の車両とから警報音が発せられるようになっている。このため、異常が生じた車両のみから報知される場合に比べて、確実な報知が可能となる。
【0005】
すなわち、これら特許文献1,2に記載されるセキュリティシステムでは、複数のセキュリティシステムの相互扶助的な動作を行うことにより、車両に異常が生じた旨をユーザや車両周辺に確実に報知することができ、ひいては車両の盗難等を抑止することができる。
【特許文献1】特開2004−94696号公報
【特許文献2】特開2004−217162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうしたセキュリティ機能を有効にするための作業(セキュリティ設定作業)を自動化してしまうと、ユーザの意に反してセキュリティ機能が有効となってしまうため、ユーザビリティの観点では、セキュリティ設定作業を手動で行うことが望ましい。
【0007】
しかしながら、セキュリティ設定作業を手動で行うようにした場合には、該作業をユーザが忘れてしまうおそれがあり、十分なセキュリティレベルを確保できなくなってしまうおそれがある。
【0008】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザビリティの低下を抑止しつつ、高いセキュリティレベルを確保することができるセキュリティ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、携帯機との間の無線通信によってセキュリティ機能の有効可否が設定され、該セキュリティ機能の有効状態にあってはセキュリティ対象の異常有無の監視を行うセキュリティ装置であって、予め設定された通信領域内に存在する他のセキュリティ装置との間で通信を行うことにより該他のセキュリティ装置の監視情報を取得し、その監視情報に基づいて該他のセキュリティ装置により監視されるセキュリティ対象の異常を認識した際に、自身のセキュリティ機能を有効状態に自動的に切り換える、または自身のセキュリティ機能をさらに高い監視レベルに自動的に切り換えるオートセキュリティ制御を行うことを要旨とする。
【0010】
上記構成によると、セキュリティ装置は、設定された通信領域内に存在する他のセキュリティ装置から、該他のセキュリティ装置によって監視されるセキュリティ対象に異常が生じた旨を示す監視情報を取得した際には、自身のセキュリティ機能を無効状態から有効状態に自動的に切り換えたり、より高い監視レベルに切り換えたりする。このため、ユーザビリティの低下を抑止しつつ、高いセキュリティレベルを確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のセキュリティ装置において、前記オートセキュリティ制御により、少なくともセキュリティ機能をさらに高い監視レベルに切り換えた際には、予めユーザによって設定された解除操作が行われたことをそのセキュリティ機能の解除条件とすることを要旨とする。
【0012】
上記構成によると、セキュリティ機能を解除するためには、ユーザによって設定された解除操作が必要となる。このため、セキュリティ機能を有効状態から無効状態に切り換えることが第三者にとって困難となり、よりいっそう高いセキュリティレベルを確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように、本発明によれば、ユーザビリティの低下を抑止しつつ、高いセキュリティレベルを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用セキュリティシステムとして具体化した第1実施形態を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、セキュリティシステム1は、ユーザに所持される携帯機2と、車両に搭載されたセキュリティ装置3とを備えている。
携帯機2は通信機能を有し、予め設定された通信領域内において対応するセキュリティ装置3との間で相互通信を行う。詳しくは、携帯機2は、セキュリティ装置3から送信されるリクエスト信号を受信可能となっており、該リクエスト信号を受信すると、自身に予め設定された固有のIDコードを含むIDコード信号を送信する。また、携帯機2は、予め登録された管理センタ4から送信される異常報知信号及び異常警戒信号を受信可能となっており、それら信号を受信すると、表示、音、光、振動等によってその旨をユーザに報知する機能を有している。
【0016】
管理センタ4は、予め設定された登録手続きによって登録された複数のセキュリティシステム(ここではセキュリティシステム1,21)との間で無線通信を行うことにより、該セキュリティシステム1,21によって監視される車両の異常有無管理を行う。具体的には、対応するセキュリティシステム1,21から送信される異常報知信号や異常警戒信号の履歴を記録したり、それら信号と対応する信号を対応する携帯機2,22に送信したりする。
【0017】
セキュリティ装置3は、ドア錠の施解錠制御やエンジンの始動許可制御等のセキュリティ制御を行うセキュリティ制御ユニット11と、そのセキュリティ制御ユニット11と電気的に接続された異常検知制御部12とを備えている。また、セキュリティ装置3は、セキュリティ制御ユニット11に電気的に接続された警戒設定部13と、異常検知制御部12にそれぞれ電気的に接続された異常検知部14、報知器15、通報通信部16及び車車間通信部17とを備えている。
【0018】
警戒設定部13は、異常検知制御部12を警戒モードまたは非警戒モードに切り換えるための操作部であり、車両室内に配設されている。詳しくは、警戒設定部13は、異常検知制御部12を警戒モードに切り換えるための操作が行われると、その旨を示す警戒設定操作信号をセキュリティ制御ユニット11に出力する。また、警戒設定部13は、異常検知制御部12を非警戒モードに切り換えるための操作が行われると、その旨を示す警戒解除操作信号をセキュリティ制御ユニット11に出力する。
【0019】
異常検知部14は、例えば窓ガラスの破損等の異常を検知するガラス割れセンサ、車両の異常な振動を検知する振動センサ、車両の異常な傾斜変化を検知する傾斜センサなどによって構成されている。この異常検知部14は、異常検知制御部12から入力される作動信号に基づいて作動し、作動状態においては検知結果を示す検知信号を異常検知制御部12に出力する。
【0020】
報知器15は、例えば車両に設けられたホーンやスピーカ等の音響機器、ヘッドライトやハザードランプ等の照明機器などによって構成され、異常検知制御部12から入力される作動信号に基づいて音や光を発する。
【0021】
通報通信部16は、管理センタ4に対して無線信号を送信可能に構成され、異常検知制御部12から入力される異常報知信号または異常警戒信号を管理センタ4に送信する。
車車間通信部17は、他の車両に搭載された他車セキュリティシステム21の他車セキュリティ装置23と相互通信可能に構成されている。そして、車車間通信部17は、異常検知制御部12から入力される異常警戒信号を無線信号に変換して送信するとともに、他車セキュリティ装置23から送信される異常警戒信号を受信すると、その異常警戒信号を異常検知制御部12に出力する。
【0022】
セキュリティ制御ユニット11は無線通信機能を有し、対応する携帯機2との間で相互通信を行う。そして、その相互通信が成立したことを条件として、セキュリティ制御ユニット11は、ドア錠を自動的に解錠したりエンジンの始動を許可したりする。また、セキュリティ制御ユニット11は、異常検知制御部12と通信を行う。
【0023】
異常検知制御部12は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAM等からなるコンピュータユニットであり、セキュリティ制御ユニット11からの入力信号、及び車車間通信部17からの入力信号に基づき、セキュリティ対象(ここでは車両)の状態を監視する警戒モード、または該監視を行わない非警戒モードに切り換わる。
【0024】
そこで、セキュリティ制御ユニット11の動作と、それに基づく異常検知制御部12のモード移行態様について、図2に示すシーケンスチャートに従って説明する。
同図に示すように、セキュリティ制御ユニット11は、車両周辺や車両室内の所定領域に対してリクエスト信号を送信する(S1)。そして、携帯機2は、そのリクエスト信号を受信すると、前記IDコード信号を送信する(S2)。
【0025】
セキュリティ制御ユニット11は、IDコード信号を受信すると、自身に予め設定されたIDコードと、該IDコード信号に含まれるIDコードとの比較(照合)を行う。その結果、IDコード照合が成立した状態で(S3)、車両のドアハンドルに人が接触したか否かを判断するドアハンドルセンサによってその旨が検知されると(S4)、セキュリティ制御ユニット11は、車両のドア錠を自動的に解錠させるとともに(S5)、警戒解除指令信号を異常検知制御部12に出力する(S6)。異常検知制御部12は、警戒モードであれば(S7)、セキュリティ制御ユニット11から警戒解除指令信号が入力されると、警戒状態を解除して非警戒モードに切り換わる(S8)。
【0026】
そして、セキュリティ制御ユニット11は、警戒設定部13から警戒設定操作信号が入力された後(S9)、ドアハンドルに設けられたドアハンドルスイッチが操作されると(S10)、セキュリティ制御ユニット11は、ドア錠を施錠させるとともに(S11)、警戒設定指令信号を異常検知制御部12に出力する(S12)。異常検知制御部12は、該警戒設定指令信号が入力されると、非警戒モードから警戒モードに切り換わる(S13)。なお、警戒設定部13から警戒設定操作信号が入力されていない場合には、セキュリティ制御ユニット11は、警戒設定指令信号を出力しない。よってこの場合、異常検知制御部12は警戒モードに切り換わらない。
【0027】
次に、異常検知制御部12によって行われる処理を、図3に示すフローチャートに従って説明する。
まず、異常検知制御部12は、ステップS21において警戒モードであるか否かを判断し、警戒モードではないと判断するとステップS22においてセキュリティ制御ユニット11から警戒設定指令信号が入力されたか否かを判断する。その結果、警戒設定信号が入力されたと判断すると、異常検知制御部12は、ステップS23において警戒モードに切り換わり、ステップS24の処理へ移行する。また、異常検知制御部12は、ステップS21において警戒モードであると判断した場合においても、ステップS24の処理へ移行する。
【0028】
ステップS24において異常検知制御部12は、セキュリティ制御ユニット11から警戒解除指令信号が入力されたか否かを判断する。その結果、異常検知制御部12は、該警戒解除指令信号が入力されたと判断すると、ステップS25において警戒状態を解除して非警戒モードに切り換わってここでの処理を一旦終了する。これに対し、異常検知制御部12は、該警戒解除指令信号が入力されていないと判断すると、ステップS26において、異常検知部14からの検知信号に基づき、車両に異常が生じているか否かを判断する。
【0029】
その結果、車両に異常が生じていると判断した場合には、異常検知制御部12はステップS27において報知器15に作動信号を出力して該報知器15を作動させる。このため、報知器15から光や音による報知がなされ、これにより車両に異常が生じている旨が車両周辺に報知される。また、異常検知制御部12は、ステップS28において異常報知信号を通報通信部16に出力し、該通報通信部16から該異常報知信号を管理センタ4に送信させる。このため、管理センタ4は、管理対象となるセキュリティシステム1が搭載された車両に異常が生じた旨を確実に認識可能となる。また、異常を検知したセキュリティ装置3と対応する携帯機2に対して管理センタ4から異常報知信号が送信されるため、該携帯機2を所持するユーザは、携帯機2から発せられる表示や光や音などの報知により、車両に異常が生じた旨を確実に認識可能となる。さらに、異常検知制御部12は、ステップS29において、異常警戒信号を車車間通信部17に出力し、該車車間通信部17から該異常警戒信号を周辺車両に送信する。
【0030】
一方、ステップS22において警戒設定指令信号が入力されていないと判断した場合、及びステップS26において車両に異常が生じていないと判断した場合には、異常検知制御部12はステップS30の処理へ移行する。そして、そのステップS30において異常検知制御部12は、他車、すなわち他の車両に搭載されたセキュリティ装置(他車セキュリティ装置23)からの異常警戒信号を車車間通信部17によって受信したか否かを判断する。その結果、異常検知制御部12は、該異常警戒信号を受信していないと判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該異常警戒信号を受信したと判断するとステップS31の処理へ移行する。このため、異常検知制御部12は、車車間通信部17の通信領域内に存在する他のセキュリティ装置23によって車両の異常が検知された旨、すなわち他車に異常が発生した旨を認識可能となる。
【0031】
ステップS31に移行すると、異常検知制御部12は、受信した異常警戒信号を通報通信部16を介して管理センタ4に送信する。すなわち、異常検知制御部12は、周辺車両に異常が生じた旨を認識した際にその旨を管理センタ4を介して対応する携帯機2に通知する周辺異常情報通知制御を行う。このため、管理センタ4は、異常が生じた車両の周辺に存在する車両に搭載されたセキュリティ装置3が異常警戒状態となっている旨を確実に認識可能となる。また、その異常警戒状態となったセキュリティ装置3と対応する携帯機2に対して管理センタ4から異常警戒信号が送信されるため、該携帯機2を所持するユーザは、携帯機2から発せられる表示や光や音などの報知により、自身の車両の周辺に位置する他の車両に異常が生じた旨を確実に認識可能となる。
【0032】
また、続くステップS32において異常検知制御部12は、非警戒モードであるか否かを判断する。そして、異常検知制御部12は、非警戒モードではない、すなわち警戒モードである場合にはここでの処理を一旦終了し、非警戒モードである場合には、ステップS33において警戒モードに自動的に切り換わってここでの処理を一旦終了する。このため、周辺に存在する他車に異常が発生した際には、たとえその時点で自車のセキュリティ装置3が警戒モードとなっていなくても、自動的に警戒モードに切り換わる。すなわち、異常検知制御部12は、周辺の車両に異常が生じた旨を認識すると、自身を非警戒モードから警戒モードに自動的に切り換えるオートセキュリティ制御を行う。
【0033】
次に、周辺に存在する他車に搭載された他車セキュリティシステム21が異常(被害)を被った場合におけるセキュリティシステム1及び管理センタ4の動作を、図4に示すシーケンスチャートに従って説明する。
【0034】
図4に示すように、被害車両(他車セキュリティ装置23)によって異常が検知された場合(S41)、その他車セキュリティ装置23の報知器15が作動される(S42)。このため、該異常が生じた旨が被害車両の周辺に報知される。また、該異常が生じた旨を示す異常報知信号が管理センタ4に送信される(S43)とともに、周辺車両に対して異常警戒信号が送信される(S44)。
【0035】
そして、異常報知信号が管理センタ4によって受信されると、該管理センタ4から被害車両のユーザ(他の携帯機22)に異常報知信号が送信される(S45)とともに、その異常報知信号の受信時刻(報知受信時刻)が管理センタ4で記録される(S46)。
【0036】
一方、異常警戒信号が周辺車両(セキュリティ装置3)によって受信されると、そのセキュリティ装置3が非警戒モードの場合には警戒モードに自動的に切り換わる(S47)とともに、該異常警戒信号が管理センタ4に送信される(S48)。
【0037】
そして、異常警戒信号が管理センタ4によって受信されると、該管理センタ4から周辺車両ユーザ(携帯機2)に異常警戒信号が送信される(S49)。
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0038】
(1)セキュリティ装置3は、周辺車両に搭載された他車セキュリティ装置23から異常警戒信号を受信した際には、たとえその時点で非警戒モードに設定されていたとしても、警戒モードに自動的に切り換わる。このため、車両の防犯効果を高めることができる。
【0039】
(2)セキュリティ装置3は、車車間通信部17の通信領域内に存在する他車セキュリティ装置23から、該他車セキュリティ装置23によって監視される車両に異常が生じた旨を示す監視情報(異常警戒信号)を取得した際には、管理センタ4を介して対応する携帯機2に対してその旨の通知を行う。すなわち、セキュリティ装置3は、周辺で異常事態が発生したことを認識するとともに、該異常事態の発生を認識するとその旨を自身と対応する携帯機2に通知する。このため、該携帯機2を所持するユーザは、自身の車両に異常が生じる前にそのおそれがある旨を認識することができる。よって、該ユーザは、セキュリティ装置3の周辺で異常事態が発生した旨を確実に認識することができ、車両の警戒態勢を高めたり、警察等に迅速に通報したりすることができる。その結果、車両に対する高い被害抑止効果を得ることができる。また、たとえ被害車両のユーザが異常事態に気づかずに警察等への通報をしていない場合においても、周辺車両のユーザによって通報が行われることも期待できるため、該異常事態の迅速な通報も可能となる。
【0040】
(3)セキュリティ装置3は、自身が監視する車両の異常有無情報を周辺の通信領域に存在する他車セキュリティ装置23に送信する。このため、該他車セキュリティ装置23においても、周辺に異常が生じた旨を認識することができ、その旨を対応する携帯機22に通知することが可能となる。また、セキュリティ装置3は、車両の異常検出時にはその旨を管理センタ4を介して対応する携帯機2に通報するため、異常検知の旨をユーザに確実に通報することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。ここでは第1実施形態と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。なお、ここでは、セキュリティシステム1について説明する。
【0042】
図5に示すように、本実施形態において異常検知制御部12には2つの警戒モードが設定されており、非警戒モード、第1警戒モード、第2警戒モードのうちの何れかに切り換わるようになっている。具体的には、第1警戒モードは前記第1実施形態における警戒モードと同等であり、第2警戒モードはその第1警戒モードよりも警戒態勢を高めたモードとなっている。詳しくは、第1警戒モードにおいては、前記携帯機2に付帯された機械鍵(エマージェンシーキー)による車両のドア錠の解錠を可能としている。これに対し、第2警戒モードにおいては、エマージェンシーキーが挿入・回動されるキーシリンダに設けられたインターロック機構を機能させるなどして、該エマージェンシーキーによるドア錠の解錠を不能とする。このため、第2警戒モードにおいては、偽造キー等を用いた不正解錠操作を防止することができ、第1警戒モードに比べて破錠防止効果を高めている。
【0043】
また、第1警戒モードと第2警戒モードとでは非警戒モードに切り換わるための解除条件が異なって設定されている。
具体的には、第1警戒モードにおいて異常検知制御部12は、携帯機2とセキュリティ制御ユニット11との電子照合、またはエマージェンシーキーを用いた解錠操作によってドア錠が解錠された際に、非警戒モードに切り換わる。詳しくは、セキュリティ制御ユニット11は、携帯機2との通信によってドア錠を解錠させると、警戒解除指令信号を異常検知制御部12に出力する。異常検知制御部12は、該警戒解除指令信号が入力された際に、自身が第1警戒モードであれば、非警戒モードに切り換わる。
【0044】
これに対し、第2警戒モードにおいて異常検知制御部12は、携帯機2とセキュリティ制御ユニット11との電子照合によってドア錠が解錠されたことに加え、予めユーザによって設定されたユーザ登録操作が行われたことを条件として、非警戒モードに切り換わる。すなわち、例えば『ドアハンドルを3回連続で操作した後、2秒以上が経過してからドアハンドルを5回連続で操作すること』といったドアハンドルの操作回数や操作パターンなど、ユーザのみしか知り得ない操作がユーザ登録操作として設定された場合、該当操作が行われつつ、携帯機2とセキュリティ制御ユニット11とのIDコード照合(電子照合)によりドア錠が解錠された際に、非警戒モードに切り換わる。このため、異常検知制御部12は、セキュリティ制御ユニット11から警戒解除信号が入力されても、ユーザ登録操作が行われない場合には、非警戒モードには切り換わらない。
【0045】
次に、こうした異常検知制御部12におけるモード切換態様を、図6に示す状態遷移図を用いて詳細に説明する。
同図に示すように、異常検知制御部12は、非警戒モード(S51)にあっては、前記第1実施形態と同様に、警戒設定部13による警戒設定操作(ここでは第1警戒設定操作)が行われた後にドア錠が施錠された場合(S52)や、他車セキュリティ装置23からの異常警戒信号が車車間通信部17によって受信された場合(S53)に、第1警戒モードに切り換わる(S54)。そして、異常検知制御部12は、ドア錠が解錠された際(S55)に非警戒モードに切り換わる。
【0046】
一方、異常検知制御部12は、非警戒モードにおいて、第1警戒設定操作とは異なる第2警戒設定操作が警戒設定部13によって行われた後にドア錠が施錠されると(S56)、第2警戒モードに切り換わる(S57)。また、異常検知制御部12は、第1警戒モードにおいて他車セキュリティ装置23からの異常警戒信号が車車間通信部17によって受信された場合(S58)においても、第2警戒モードに自動的に切り換わる。すなわち、異常検知制御部12は、警戒設定部13による手動操作によって第2警戒モードに切り換わるとともに、周辺車両からの異常警戒信号の受信時には第2警戒モードに自動的に切り換わる。
【0047】
こうした第2警戒モードにおいて異常検知制御部12は、前記ユーザ登録操作が行われるとともに、携帯機2とセキュリティ制御ユニット11との電子照合によってドア錠が解錠された際(S59)に、非警戒モードに切り換わる。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における項目(1)〜(3)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4)警戒モードとして、第1警戒モードと、その第1警戒モードよりも警戒態勢が高い第2警戒モードとが設定されている。そして、第1警戒モードにおいては、ドア錠の解錠によって警戒状態が解除され、第2警戒モードにおいては、ユーザ登録操作と携帯機2を用いた電子照合によるドア錠の解錠とによって警戒状態が解除される。すなわち、第1警戒モードにおいては、特殊な操作を行うことなく、通常の乗車操作によって警戒状態を解除することができる。これに対し、第2警戒モードにおいては、ユーザ登録操作という通常の乗車操作とは別の特殊操作が行われないと解除されない。このため、例えば車両の通常使用時においては、第1警戒モードで車両を監視させることにより、煩雑な操作を行うことなく車両の高いセキュリティレベルを確保することができる。また、例えば車両を長期間使用しない場合などには、第2警戒モードに設定することにより、さらに高いセキュリティレベルを確保することができる。よって、ユーザビリティの悪化を抑制しつつ高いセキュリティレベルを確保することができる。
【0049】
(5)セキュリティ装置3は、周辺の車両に異常が発生したことを認識した際には、セキュリティ機能の無効状態(非警戒モード)から有効状態(第1警戒モード)に自動的に切り換えられたり、より高い監視レベル(第2警戒モード)に自動的に切り換えられたりする。そして、セキュリティ装置3は、第1警戒モードにおいて他車セキュリティ装置23からの異常警戒信号を受信すると、第2警戒モードに自動的に切り換わり、エマージェンシーキーによる解錠が不能となる。このため、車両周辺に盗難者が存在する場合においても、自車両が該盗難者によって盗難される危険性が低くなり、車両の防犯効果をより一層向上させることができる。また、こうした場合にのみ自動的に第2警戒モードに切り換わり、周辺車両に異常が生じていない状態にあっては第2警戒モードに自動的に切り換わってしまうことがないため、車両の通常使用状態において第2警戒モードに切り換わってしまうこともない。よって、ユーザが必要性を感じた場合にのみ第2警戒モードへ切り換えることができ、高いユーザビリティを確保することができる。
【0050】
(6)第2警戒モードを解除するためには、ユーザ登録操作が必要となる。このため、第三者による第2警戒モードの解除を困難なものとすることができ、車両のよりいっそう高いセキュリティレベルを確保することができる。
【0051】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 第1実施形態において異常検知制御部12は、該警戒設定部13の操作有無にかかわらず警戒モードに自動的に切り換わるようになっていてもよい。このようにすれば、警戒設定部13を省略することができる。
【0052】
また、第2実施形態において異常検知制御部12は、警戒設定部13による第1警戒設定操作が行われなくても、ドア錠の施錠によって第1警戒モードに自動的に切り換わるようになっていてもよい。
【0053】
・ 第2実施形態において、異常検知制御部12の警戒モードは必ずしも2種類である必要はなく、例えば3種類以上の警戒モードとなっていてもよい。
・ 第2実施形態において異常検知制御部12は、非警戒モードにおける異常警戒信号の受信時に、第1警戒モードではなく、第2警戒モードに切り換わるようになっていてもよい。
【0054】
・ 前記第2実施形態において、携帯機2,22に操作部が設けられ、該操作部が予め設定された態様で操作された際に、該携帯機2,22から対応するセキュリティ装置3,23に警戒解除信号が送信されるようになっていてもよい。そして、セキュリティ装置3,23は、該警戒解除信号を受信したことを条件として、第2警戒モードから非警戒モードに切り換わるようになっていてもよい。
【0055】
また、セキュリティ装置3,23は、携帯機2,22に限らず、専用のコントローラからの警戒解除信号に基づいて第2警戒モードから非警戒モードに切り換わるようになっていてもよい。
【0056】
・ 前記各実施形態において、各携帯機2,22に送信される異常報知信号及び異常警戒信号は、必ずしも管理センタ4を介して通信される必要はなく、対応するセキュリティ装置3,23から各携帯機2,22に直接通信されるようになっていてもよい。
【0057】
・ 前記各実施形態において、車両にGPS装置を設け、セキュリティ装置3,23は、そのGPS装置によって車両の位置情報を取得し、その取得した位置情報を含む異常報知信号を管理センタ4に送信するようになっていてもよい。そして、管理センタ4は、その異常報知信号に含まれる車両の位置情報を記録するようになっていてもよい。このようにすれば、異常発生現場を特定することができる。また、異常が検知された状態で車両が走行された場合には、セキュリティ装置3は、定期的に位置情報を管理センタ4に送信するようになっていてもよい。このようにすれば、管理センタ4は、車両の動向を認識することができ、盗難車両の位置を確実に認識することができる。
【0058】
・ 前記各実施形態において、セキュリティシステム1,21は車両用に限らず、例えば住宅等に適用され、該住宅の錠の監視を行うようになっていてもよい。
・ セキュリティ装置3と他のセキュリティ装置(他車セキュリティ装置)23との通信は、必ずしも無線通信である必要はなく、有線通信であってもよい。このようにすれば、セキュリティ装置3,23に無線通信回路を設ける必要がないため、セキュリティシステム1,21を例えばマンション等の集合住宅に適用した際に特に有効となる。
【0059】
・ 前記各実施形態において、セキュリティ装置3は、他車セキュリティ装置23から異常警戒信号を受信すると、その旨を管理センタ4を介して携帯機2に通知するようになっているが、こうした通知は必ずしも行われなくてもよい。
【0060】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項1または請求項2に記載のセキュリティ装置において、予め設定された通信領域内に存在する他のセキュリティ装置との間で通信を行うことにより該他のセキュリティ装置の監視情報を取得し、その監視情報に基づいて該他のセキュリティ装置により監視されるセキュリティ対象の異常を認識した際に、自身と対応する携帯機に対してその旨を通知する周辺異常情報通知制御を行うこと。この(1)に記載の技術的思想によれば、ユーザは、セキュリティ装置の周辺で異常事態が発生した旨を確実に認識することができ、セキュリティ対象の警戒態勢を高めたり、警察等に迅速に通報したりすることができる。その結果、セキュリティ対象に対して高い被害抑止効果を得ることが可能となる。
【0061】
(2) 上記(1)に記載のセキュリティ装置において、前記他のセキュリティ装置に対して自身の異常有無情報を送信するとともに、自身の異常検出時にはその旨を対応する携帯機に通報すること。この(2)に記載の技術的思想によれば、他のセキュリティ装置においても、周辺に異常が生じた旨を認識することができ、その旨を対応する携帯機に通知することが可能となる。また、セキュリティ装置は、自身の異常検出時にはその旨を対応する携帯機に通報するため、異常検知の旨をユーザに確実に通報することができる。
【0062】
(3) 請求項1,2、上記(1),(2)のいずれか1項に記載のセキュリティ装置において、当該セキュリティ装置は、車両に搭載されて該車両の異常有無を監視する車両用セキュリティ装置であること。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態のセキュリティシステムを概略的に示すブロック図。
【図2】第1実施形態のセキュリティ装置の動作態様例を示すシーケンスチャート。
【図3】第1実施形態のセキュリティ装置によって行われる処理例を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態のセキュリティシステムの動作を示すシーケンスチャート。
【図5】第2実施形態のセキュリティ装置に設定された警戒モードを示す表。
【図6】第2実施形態のセキュリティ装置における警戒モードの遷移を概略的に示す状態遷移図。
【符号の説明】
【0064】
1,21…セキュリティシステム、2,22…携帯機、3,23…セキュリティ装置、4…管理センタ、11…セキュリティ制御ユニット、12…異常検知制御部、13…警戒設定部、14…異常検知部、15…報知器、16…通報通信部、17…車車間通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機との間の無線通信によってセキュリティ機能の有効可否が設定され、該セキュリティ機能の有効状態にあってはセキュリティ対象の異常有無の監視を行うセキュリティ装置であって、
予め設定された通信領域内に存在する他のセキュリティ装置との間で通信を行うことにより該他のセキュリティ装置の監視情報を取得し、その監視情報に基づいて該他のセキュリティ装置により監視されるセキュリティ対象の異常を認識した際に、自身のセキュリティ機能を有効状態に自動的に切り換える、または自身のセキュリティ機能をさらに高い監視レベルに自動的に切り換えるオートセキュリティ制御を行うことを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項2】
前記オートセキュリティ制御により、少なくともセキュリティ機能をさらに高い監視レベルに切り換えた際には、予めユーザによって設定された解除操作が行われたことをそのセキュリティ機能の解除条件とすることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−123435(P2008−123435A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309268(P2006−309268)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】