説明

ダイヤモンドコーティングを製作する方法

化学気相輸送法(CVT)を用いて、低温低圧で、基板にダイヤモンドコーティングを製作する方法であって、ワイヤ巻付グラファイト組立部材と、基板とをチャンバ室内に提供するステップと、チャンバ室に水素を充填するステップと、チャンバ室の内部圧力を真空にしてから、水素を再度充填するステップと、1気圧未満の水素を含有したままチャンバ室を密閉するステップと、基板が125℃〜750℃の範囲に加熱されるまで、グラファイト棒に電流を流すステップと、を有する方法によって、優れた特性が得られる温度で、高品質ダイヤモンドが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温低圧の密閉チャンバー内で、自動制御型ダイヤモンドコーティングを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのダイヤモンドを製作する方法では、高温高圧条件が必要である。1980年代初期に、約0.1atmの低圧下で、化学気相成膜法(CVD)によって、ダイヤモンドが成膜できることが見出され、これは例えば、1983年の日本特許5927754号、1984年の日本特許第613320号、および小林の1999年の米国特許第5863324号に示されている。その後開発されたCVD法では、メタン(CH4)のような炭素含有化学種を含む水素ガスの導入、タングステンフィラメントまたはプラズマ発生器、および約750〜950℃の高温に保持された近接基板、の全てが揃った場合に、ダイヤモンドが得られ留。この場合、通常、ラマン分光測定において、1332cm-1に単一の鋭いピークを有する高品質ダイヤモンド、および約1555cm-1にピークを持ち、1357〜1580cm-1に固有のブロードなバンドを持つ、ダイヤモンド状炭素という全く異なる材料が得られる。これらの全てのCVD法には、いくつかの問題がある:
1 成膜速度が遅く、通常1μm/hのオーダーである;
2 ガス流通系に、ガス供給器、制御器、連続作動真空ポンプおよびしばしばプラズマ発生器が必要となる。装置が高額となり、この方法では、供給材料および電気が浪費されるため、CVD法のコスト増大につながる;
3 ある物質とのガス化学反応を生じさせるため、基板を高温にする必要がある。例えば、鉄、ニッケルまたはコバルトを含む材料上にダイヤモンドを成長させた場合、多孔質グラファイトの上部に低品質で密着性の悪いダイヤモンドが得られる。そのような問題を解消するため、異なる組成のバッファ層が必要となる;
4 高温にする必要があるため、成膜時に大きな応力が生じ、室温に冷却する際に、変形、湾曲およびクラックが生じる。この応力は、主として、ダイヤモンドの熱収縮率が基板とは異なること、および冷却時の大きな温度変化との相互作用により生じる;
5 CVDでの成膜に高温が必要となるため、この温度で損傷を受ける多くの材料上には、ダイヤモンドを成膜することができない。この制約は、全ての高分子材料、多くの半導体および装置構造に共通の問題となる;
6 問題5の対処のため、別の方法として2段階処理方法を利用する場合、CVDダイヤモンドは、まず800℃以上の温度で成膜されてから回収され、最終基板に移設される。
【0003】
これらの問題を解消して、コストを抑制し、成膜速度を増大し、部品を減らし、材料品質を高め、基板およびコーティングの応力を抑制し、高分子材料上への成膜を可能にするためには、ダイヤモンドコーティングの製作方法を改良する必要がある。低温低圧下での化学気相輸送法によるダイヤモンド成膜によって、そのようなコーティングが提供される。ダイヤモンドの優れた特性は、よく知られているが、本発明では、低温低圧でダイヤモンドを成膜する第1の手段が提供される。成膜温度が高いため、今までに知られていなかった追加の適用、例えば表示装置にダイヤモンド基板を使用すること、およびダイヤモンドでトランジスタの製作を行うことが提案される。
【特許文献1】特許第5927754号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、基板上に、低温低圧下で強固な密着性を有する高品質ダイヤモンドコーティングを製作する方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、基板上に、低温低圧下で強固な密着性を有する高品質ダイヤモンドコーティングを製作する方法が提供される。この方法は、チャンバに、グラファイト棒、高融点金属ワイヤおよび基板を提供するステップと、チャンバ内の圧力を真空に低下させ、約1気圧の水素に戻す操作を交互に行うステップと、チャンバ内を1気圧未満の水素ガスに戻し、密閉するステップと、グラファイト棒に電流を流して、基板を125℃から750℃の範囲に加熱するステップとを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、ダイヤモンドコーティングの全製作コストが抑制され、成膜速度が増大し、浪費が減り、必要部品数が削減され、材料品質が向上し、基板とコーティングの応力が抑制され、高分子材料上に成膜することが可能となるという利点が得られる。このダイヤモンドの低温低圧下での製作方法によって、成膜ガスと基板との反応、例えばメタンと鋼の反応によって炭化鉄が生成される反応を回避するため、また、ダイヤモンド−基板系が高い成膜温度から冷却された際に大きな応力が生じることを回避するため、今まで、中間層が必要であった多くの基板にも、ダイヤモンド成膜を行うことが可能となる。これにより多くの基板上に、密着性が良好で、クラックのない膜を1回で得ることができる。特に本方法では、低温ダイヤモンド成膜が可能となり、今まで知られていなかったダイヤモンドコーティングの新たな用途が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による前述のおよび他の課題、特徴、利点は、以下の説明および添付図面を参照することにより、より明らかとなろう。図面では、各図において共通の同一の特徴物を示す場合、同じ参照符号が付されている。
【0008】
分かりやすくするため、図において共通する部品には、できるだけ同じ参照符号が付されている。
【0009】
低温低圧ダイヤモンドの製作処理プロセスは、図1を参照することにより最も理解できるであろう。図には化学気相輸送(CVT)法が示されている。この方法は、炭素が密閉チャンバ内に移設されており、導入ガス中の炭化水素によっては導入されない点で、従来のCVD法とは異なっている。低温低圧ダイヤモンド成膜を可能にする新しい重要な特徴は、グラファイト棒(100)に、高融点金属ワイヤ(110)を巻き付けることである。出願人の実験では、このワイヤ材として、白金が特に優れている。基板(120)は、グラファイト棒(100)からある距離だけ離して設置されており、基板(120)を所望の低温に保持したまま、グラファイトが十分に高温になり、ダイヤモンド前駆体が生成される。この基板は、グラファイト棒(100)の下側、上側、グラファイト棒(100)に近接して、またはグラファイト棒(100)を覆うように設置される。熱電対(130)は、基板の反対側に、基板に接触するように設置される。この組立体の上部には、水冷チャンバカバー(210)が設置され、このカバーは、縁部にゴムOリング(200)を有する底板にボルトで固定され、チャンバ室の気密性が確保される。チャンバ室は、真空ポンプ(図示されていない)に接続された真空チューブ(260)を用いて、1時間以上真空引きされる。真空チューブ(260)のバルブ(図示されていない)を閉め、水素チューブ(240)のバルブ(図示されていない)を開き、チャンバ室を約1気圧の水素ガスで満たす。圧力は、圧力ゲージ(図示されていない)、または空気チューブ(250)に接続された変換器(図示されていない)で読むことができる。チャンバ室は、真空引き後に水素充填され、微量の空気および水分が除去される。最後に、所望の圧力、例えば約0.1気圧となるように、チャンバ室に水素を充填し、水素供給バルブを閉じる。チャンバ室は、この段階で完全に密閉され、圧力ゲージに対してのみ開状態となっている。グラファイト貫通柱(140)内の導線を介して、グラファイト棒(100)に電力を徐々に印加する。熱電対(130)が所望の基板温度を示すまで、電圧および電流を徐々に増加していく。グラファイト温度は、チャンバカバー(210)の観察窓(図示されていない)から、光学式パイロメータを用いて読み取っても良い。数分から数日の間の成膜処理の間、圧力、基板温度およびグラファイト棒の電流電圧等、多くのパラメータがモニターされる。通常、検出されるこれらのパラメータの変動は、無視できるほど小さい。成膜処理完了後に、グラファイトへの通電が停止される。1時間以上の冷却工程を経て、チャンバ室に、空気チューブ(250)を介して空気が導入され、その後チャンバ室が開放され、評価のため基板が回収される。
【0010】
ポリエチレンテレフタレート(PET、Dacron、Mylar等として知られている)およびポリエチレンナフタレート(PEN、Kaladex、Kalidarとして知られている)の2種類の高分子シート上に、125℃以下の低温、低圧でダイヤモンドを製作することにより、上記CVT装置および方法の妥当性について評価した。PETは、150℃を超えると、激しく収縮し分解する。一方PENは、190℃を超えると分解する。上記ダイヤモンドの製作方法に使用したこれらのプラスチックには、外観上、劣化や損傷は見られなかった。連続膜、分離ファセット結晶を含む、各種形態のものが製作された。膜は、強固に密着しており、粘着テープまたは指の爪でのスクラッチでは、剥離しなかった。エネルギー分散X線分光測定の結果、膜には炭素のみが含まれていることがわかった。また微小ラマン分光法では、膜は、1330nmにピークを有する高品質ダイヤモンドであることがわかった。ワイヤをグラファイト棒に巻き付けなかった、この装置を用いた初期の実験では、シリコン、モリブデン、銅、金、グラファイト、炭素フェルト、溶融シリカおよび光通信ファイバ上に、ダイヤモンド成膜を行った。その結果、酸化シリコン上の銅パターンに、選択的な成膜が認められた。すなわち核発生と成長は、銅上においてのみ生じた。
【0011】
図2において、準備サイクル(10)のステップAでは、市販の高純度グラファイトブロックが所望の寸法に機械加工され、グラファイト棒(100)が得られる。得られたグラファイト棒は、メタノール洗浄後に乾燥される。これに、通常は白金のような、所望の高融点金属ワイヤ(110)を巻き付け、単一のワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)を形成する。さらに、基板(120)をメタノール洗浄後、乾燥させる。ダイヤモンドの核発生密度(粒子/面積)を高めるため、時折超音波洗浄槽内でダイヤモンド粉末のサスペンションを基板に分散させて、基板をダイヤモンド粉末で研磨する。(この工程は、ダイヤモンドを得る上で必ずしも必要ではないが、ある場合には、単位面積当たりのダイヤモンド粒子数を増大する際に利用される。)熱電対(120)は、市販の個々のワイヤを接続させることにより形成される。
【0012】
図2において、組み立てサイクル(20)のステップBでは、高融点金属ワイヤ(110)が巻き付けられたグラファイト棒(100)は、2つの貫通柱(140)の端部に固く固定され、これらの貫通柱は、チャンバ室の外部で、可変電圧電源配線(150)によって、電圧電流測定器を含む可変電圧電源に接続される。ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)に接続された高さ調節装置(160)は、グラファイト貫通柱(140)に沿って、簡単にスライドさせることができ、ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)と基板(120)の間の間隔を調節することができる。基板(120)は、基板ホルダ(170)によって、基板高さ調節柱(180)に取り付けられる。また、この基板ホルダ(170)は、基板高さ調節柱(180)に沿って、上下に簡単に移動させることができる。実際には、基板高さ調節柱(180)の組は、グラファイト貫通柱(140)の組に対して90゜だけずらして設置されており、基板(120)は、ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)と直交していても良い。従って、基板(120)は、図1に示すようなワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)の下側ではなく、上側に設置することもできる。チャンバ室内のワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)および基板(120)の位置は、相互に関連し、得られる膜の性質に大きく影響するため、最適な位置を決めるためには、何回か実験を行う必要がある。基板(120)を所望の位置に設置させた後、基板のワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)とは反対の側に、熱電対(130)の接点が接触するように、熱電対(130)が誘導される。熱電対(130)は、熱電対ホルダ(190)に取り付けられ、このホルダは、mV信号を温度に変換する外部測定電子機器に接続される。
【0013】
図2において、密閉サイクル(30)のステップCでは、チャンバ室が形成される。通常はシリコンゴム製のOリング(200)が、ベース板の溝内に設置される。またチャンバカバー(210)も、Oリング(200)用の溝を有し、チャンバカバーは、Oリング(200)が溝内に配置されるように降ろされる。チャンバボルト(220)が挿入締結されて、Oリング(200)が圧縮され、チャンバ室が気密状態となる。チャンバカバー(210)に冷却水ホース(230)が接続され、冷却水の流通が開始される。まだ設置されていない場合、電力システムが可変電圧電源配線(150)に接続され、熱電対電子機器システムが熱電対ホルダ(190)に接続され、水素ガス配管に水素チューブ(240)が接続され、圧力変換器および空気配管に空気チューブ(250)が接続され、真空ポンプに真空チューブ(260)が接続される。
【0014】
図2において、成膜サイクルのステップDでは、水素供給配管および空気供給配管のバルブが閉じられ、真空ポンプに接続された真空チューブ(260)のバルブが開かれ、密閉チャンバ室が真空にされる。1時間またはそれ以上真空引きした後、真空ポンプに接続された配管のバルブが閉じられ、水素供給が開始され、チャンバ室の圧力が約1気圧になるまでこれが継続される。この真空処理および水素充填処理は、3回繰り返される。最後に、所望の成膜圧力、例えば約0.1気圧となるように、チャンバ室が水素で充填される。ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)への印加電圧を徐々に増大させ、この操作は、熱電対(130)が125℃以下の所望の温度を指示するまで継続される。その後の成膜処理の間、圧力、熱電対(130)の温度およびワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)の電流電圧が、手動またはデータロガーシステムを用いて、所定の周期で記録される。
【0015】
図2において、採取サイクルのステップEでは、45分〜数時間の所望の成膜時間が経過してから、ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)の電圧印加が停止される。成膜チャンバ室が1時間またはそれ以上冷却されてから、チャンバ室内の圧力が外部と等しくなるまで、空気チューブ(250)から空気が導入される。チャンバボルト(220)が取り外され、チャンバカバー(210)がベース板から取り降ろされる。基板(120)は、注意深く回収された後、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、エネルギー分散X線分光装置、原子間力顕微鏡、変位計測器、ラマン分光測定装置等によって評価される。
【0016】
図2のステップAからEにおいて、使用される基板は、これに限定されるものではないが、ガラス、シリコン、モリブデン、金もしくは銅等の硬質基板、またはこれに限定されるものではないが、高分子等の可撓性基板のいずれであっても良い。これらの可撓性基板(125)は、図3に示すように、ロ―ルツーロール式ケースホルダ(310)内に収容され、このホルダ(310)は、ロ―ルツーロール式ホルダ(300)によって適切な位置に設置される。可撓性基板(125)は、ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)からある距離だけ離して設置されており、可撓性基板(125)を所望の低温に保持したまま、グラファイトが十分に高温になり、ダイヤモンド前駆体が生成される。この基板は、グラファイト棒(100)の下側、上側、グラファイト棒(100)に近接して、またはグラファイト棒(100)を覆うように設置される。可撓性基板(125)は、基板ホルダ(170)によって、基板高さ調節柱(180)に取り付けられても良い。また、この基板ホルダ(170)は、基板高さ調節柱(180)に沿って、簡単に上下に動かすことができる。実際には、基板高さ調節柱(180)の組は、グラファイト貫通柱(140)の組に対して90゜だけずらして設置されており、可撓性基板(125)は、ワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)と直交していても良い。すなわち、可撓性基板(125)は、図3に示すようなワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)の下側ではなく、この上側に設置されても良い。チャンバ室内のワイヤ巻付グラファイト組立部材(400)および可撓性基板(125)の位置は、相互に関連し、得られる膜の性質に大きく影響するため、最適な位置を決めるには、何回か実験を行う必要がある。
【0017】
前述のステップにおいて、ダイヤモンド成膜に必要な温度は、ここに示した用途での温度よりも高くする必要がある。長期にわたる一連の実験によって、有機化合物を用いる場合の温度での、ダイヤモンド成膜に必要な条件が明らかとなっている。成膜温度は、コーティング表面をグラファイト棒から遠ざけ、グラファイト棒の温度を下げ、チャンバ室内の水素圧を下げ、グラファイト棒に触媒金属ワイヤを巻き付けることにより、十分に低くすることができる。
【0018】
我々の最初の請求項は、チャンバ室内の高融点金属ワイヤが巻き付けられたグラファイト棒と、基板とを用いて、チャンバ室内の圧力を真空にしてから約1気圧の水素を充填することを繰り返し、1気圧未満の水素ガスでチャンバ室を満たし、チャンバ室を密閉し、基板が125℃から750℃の範囲に加熱されるまで、グラファイト棒に電流を流すことにより、低温低圧下で、基板に高密着性で高品質なダイヤモンドコーティングを製作する方法であることに留意する必要がある。一例として、この方法によって製作された高品質のダイヤモンドコーティングのラマンスペクトルを、図4に示す。この図において、1332cm-1のところに、ダイヤモンド構造を示唆する単一の鋭いピークが観測される。このダイヤモンドは、高分子基板上に150℃で45分間成膜されたものである。
【0019】
用途に応じて、ダイヤモンドは、別個の結晶粒、結晶クラスタまたは連続膜として、形成される。本願に示した特殊なコーティング法では、そのような成膜を意図的に行うことが可能であることがわかっている。低温でダイヤモンドコーティングを形成するための、他の成膜法または成膜条件が開発される可能性がある。
【0020】
好適実施例を参照して、本発明を説明した。ただし、当業者には、本発明の範囲から逸脱しないで、各種変更および修正を行うことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による低温低圧ダイヤモンド成膜に使用される、CVT装置の側面図である。この装置は、以下の構成物で構成される;グラファイト棒、高融点金属ワイヤ、基板、熱電対、貫通柱、可変電圧電源配線、高さ調節装置、基板ホルダ、基板高さ調節柱、熱電対ホルダ、Oリング、チャンバカバー、冷却水ホース、チャンバボルト、水素チューブ、空気チューブおよび真空チューブである。
【図2】本発明の製作ステップを示すフローチャートである。
【図3】本発明による連続フロー処理を利用した、ロールツーロール式低温低圧ダイヤモンド成膜に使用されるCVT装置の側面図である。本装置は、以下の構成物で構成される;グラファイト棒、高融点金属ワイヤ、基板、熱電対、貫通柱、可変電圧電源配線、高さ調節装置、基板ホルダ、基板高さ調節柱、熱電対ホルダ、Oリング、チャンバカバー、冷却水ホース、チャンバボルト、水素チューブ、空気チューブ、真空チューブ、ロ―ルツーロール式ホルダおよびロ―ルツーロール式ケースホルダである。
【図4】ダイヤモンドコーティングの特徴を示す図であり、高分子上に150℃で45分間成膜を行った後の、ラマン分光測定による、1332cm-1に明確な単一の鋭いピークを有し、ダイヤモンドの存在を示唆する図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ステップA
20 ステップB
30 ステップC
40 ステップD
50 ステップE
100 グラファイト棒
110 高融点金属ワイヤ
120 基板
125 可撓性基板
130 熱電対
140 グラファイト貫通柱
150 可変電圧電源配線
160 高さ調節装置
170 基板ホルダ
180 基板高さ調節柱
190 熱電対ホルダ
200 ゴムOリング
210 チャンバカバー
220 チャンバボルト
230 冷却水ホース
240 水素チューブ
250 空気チューブ
260 真空チューブ
300 ロ―ルツーロール式ホルダ
310 ロ―ルツーロール式ケースホルダ
400 単一ワイヤ巻付グラファイト組立部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温低圧で、基板にダイヤモンドコーティングを形成する方法であって、
チャンバ室内に、グラファイト棒と、高融点金属ワイヤと、基板とを提供するステップ、
前記チャンバ室に水素を充填するステップ、
前記チャンバ室の内部圧力を1気圧未満に下げ、前記チャンバ室の内部圧力が1気圧未満のまま、前記チャンバ室を密閉するステップであって、密閉されたチャンバ室内が水素で満たされる、ステップ、および
前記基板が125℃〜750℃の範囲に加熱されるまで、前記グラファイト棒に電圧を印加するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
製作されたダイヤモンドコーティングは、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、非晶質ダイヤモンドまたはダイヤモンド特性を有するダイヤモンド状物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板の前記グラファイト棒に対する位置は、前記基板が一定の温度となるように定められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板は、前記グラファイト棒と直交していることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記基板は、前記グラファイト棒と平行であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記基板と前記グラファイト棒の間の距離を変化させ、前記基板の温度を変化させるステップを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイヤモンドコーティングは、125℃〜150℃で前記基板に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイヤモンドコーティングは、30〜60分間、125℃〜150℃で前記基板に形成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
基板にダイヤモンドコーティングを成膜する装置であって、
a)グラファイトと、水素と、ダイヤモンドコーティングが成膜される基板とを含む密閉チャンバ室、
b)ダイヤモンド成膜に必要な化学反応を促進するため、前記グラファイト棒に巻き付けられた高融点金属ワイヤ、および
c)前記グラファイト棒と前記基板との間の間隔を調節する手段、
を有する装置。
【請求項10】
前記密閉チャンバ室は、内部圧力が1気圧未満に維持されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記基板の温度は、前記グラファイト棒と前記基板との間の間隔によって変化することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記基板の前記グラファイト棒に対する位置は、前記基板が所望の一定温度となるように定められることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記基板は、前記グラファイト棒と直交していることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記基板は、前記グラファイト棒と平行であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記ダイヤモンドコーティングは、125℃〜150℃で前記基板に形成されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記ダイヤモンドコーティングは、30〜60分間、125℃〜150℃で前記基板に形成されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記グラファイト棒と前記基板との間の間隔は、1mmから30cmの間であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記高融点金属ワイヤは、白金およびニッケルからなる群から選定されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項19】
前記基板は、成膜の間、一つの位置に固定されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項20】
前記基板は、ダイヤモンド成膜の間、動いていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項21】
前記ダイヤモンドコーティングは、連続処理によって、前記基板に成膜されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記基板は、ロ―ルツーロール式材料であることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記基板は、可撓性材料であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項24】
例えば、半導体、高分子、金属、ガラスおよび石英のような多くの基板の上に、ダイヤモンドの成膜を行う装置の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−514864(P2007−514864A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541130(P2006−541130)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/026611
【国際公開番号】WO2005/056869
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】