説明

トンネル磁気抵抗効果膜および磁気デバイス

【課題】負のMR比を有し、常温での使用が可能な、磁気メモリ等の実用品への利用を可能にするトンネル磁気抵抗効果膜を提供する。
【解決手段】トンネルバリア層13を挟む配置に磁性層12、14aが形成されたトンネル磁気抵抗効果膜30であって、前記トンネルバリア層13の一方の側の磁性層12がFeN層であることを特徴とする。前記トンネルバリア層13を挟む他方の側の磁性層14aは、磁化の向きが固定された固定磁性層として設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル磁気抵抗効果膜およびこのトンネル磁気抵抗効果膜を利用した磁気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドは、記録媒体に情報を記録するライトヘッドと、記録媒体に記録されている情報を読み取るリードヘッドとを備える。リードヘッドには、記録媒体に記録された磁化信号に応答して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子が用いられる。磁気抵抗効果素子(リード素子)は複数の磁性層や非磁性層を積層した磁気抵抗効果膜からなる。TMR(Tunneling Magneto Resistance)素子は、磁性層/トンネルバリア層/磁性層のように、トンネルバリア層を挟む配置に磁性層が設けられた膜構成を有することが特徴である。このTMR型の磁気抵抗効果膜は、膜面に垂直にセンス電流を流して抵抗値の変化を検出するように用いられる。
【0003】
磁気抵抗効果膜はトンネルバリア層を挟んで配置された磁性層の磁化の向きが平行である場合と反平行である場合によって抵抗値が変化し、平行(P)の場合と反平行(AP)の場合での抵抗値の増加率がMR比=(RAP−RP)/RP×100として定義される。
従来使用されているTMR型の磁気抵抗効果膜の場合は、トンネルバリア層を挟んで配置された磁性層の磁化の方向が平行となる場合よりも反平行となる場合の方が抵抗値が高く、正のMR比を有するものが用いられている。
【0004】
これに対して、従来とは逆に、トンネルバリア層を挟んで配置された磁性層の磁化の方向が平行となる方が反平行となる場合よりも抵抗が大きくなる、すなわち負のMR比(インバースMR)を示す磁性材および磁性材についての組み合わせが報告されている(非特許文献1〜3)。これらの負のMR比を有する磁気抵抗効果膜は、正のMR比を有する磁気抵抗効果膜にくらべてMR比が小さいといった特性はあるが、その特性を生かして新規な磁気デバイスへの利用が可能である。なお、非特許文献1は、負のMR比となる磁気抵抗効果膜として、Co/SrTiO/LaSrMnOからなる膜構成を開示し、非特許文献2は、NiFe/TaAlO/NiFeからなる磁気抵抗効果膜を開示し、非特許文献3は、Ni/NiO/Coからなる磁気抵抗効果膜を開示している。
【非特許文献1】Phys.Rev.Lett.82(1999)4288
【非特許文献2】Phys.Rev.Lett.82(1999)616
【非特許文献3】Phys.Rev.Lett.90(2003)186602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、負のMR比を示す磁気抵抗効果膜の構成が従来、いくつか報告されている。しかしながら、Co/SrTiO/LaSrMnOからなる膜構成を有する磁気抵抗効果膜の場合には、MR比が大きい(-50%)という利点はあるものの、磁性層であるLaSrMnOが酸化物であるという問題と、使用温度が5Kといった低温であるという問題がある。また、NiFe/TaAlO/NiFeからなる磁気抵抗効果膜は、従来の磁気抵抗効果膜に用いられている材料が使用できるという利点はあるものの、MR比がー4%と小さいという難点がある。また、Ni/NiO/Coからなる磁気抵抗効果膜も、従来の磁気抵抗効果膜に用いられている材料が使用できるという利点はあるものの、素子のサイズが60nm以下というようにきわめて小さいという問題と、使用温度が4.2Kと低温であるという問題がある。
【0006】
このように、負のMR比を示す材料として従来提案されている磁気抵抗効果膜は、MR比が小さいために、磁気ヘッドに利用するような場合にはMR比の大きな従来品にかえて使用する利点がないという問題や、使用温度が極低温領域であるために実用製品への応用が困難であるといった問題があった。
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、負のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜であって、十分に実用に耐えるMR比を備え、かつ常温での使用が可能であることから、種々の用途への実用性の高いトンネル磁気抵抗効果膜およびこれを用いた磁気デバイスの例を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、トンネルバリア層を挟む配置に磁性層が形成されたトンネル磁気抵抗効果膜であって、前記トンネルバリア層の一方の側の磁性層がFeN層であることを特徴とする。
また、前記トンネルバリア層を挟む他方の側の磁性層が、磁化の向きが固定された固定磁性層として設けられていることにより、外部磁場が作用した際に前記一方の側の磁性層の磁化の向きが変化し、外部磁場の作用がトンネル磁気抵抗効果膜の抵抗値の変化として検知することが可能となる。
【0008】
また、前記固定磁性層は、反強磁性結合層を介して第1の固定磁性層と、第2の固定磁性層とが積層されて構成されていること、また、前記固定磁性層の隣接層として、固定磁性層と交換結合して固定磁性層の磁化を固定させる反強磁性層が設けられていることにより、固定磁性層の磁化の方向がより安定して保持される。
【0009】
また、磁気デバイスとして、トンネルバリア層を挟む配置に磁性層が形成され、該トンネルバリア層の一方の側の磁性層がFeN層からなるトンネル磁気抵抗効果膜を備えていることが有用である。磁気デバイスとしては、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜をリードヘッドを構成するリード素子の磁気抵抗効果膜として備えた磁気ヘッド、あるいは磁気メモリ等への応用が可能である。
【0010】
また、磁気デバイスとして、固定磁性層、トンネルバリア層および正のMR比特性を有する磁性層を備えた第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と、固定磁性層、トンネルバリア層および負のMR比特性を有する磁性層を備えた第2のトンネル磁気抵抗効果膜部とからなる磁気デバイスであって、前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部に設けられた、負のMR比特性を有する磁性層がFeN層からなることを特徴とする。
また、前記固定磁性層は、反強磁性結合層を介して第1の固定磁性層と、第2の固定磁性層とが積層されて構成されていること、また、前記固定磁性層の隣接層として、固定磁性層と交換結合して固定磁性層の磁化を固定させる反強磁性層が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部は、固定磁性層を共通として、該固定磁性層上で相互に離間した配置に、前記トンネルバリア層と各々の磁性層が形成されていることにより、磁気メモリの要素として磁気デバイスに組み込んで使用することができる。
また、前記第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部とが、アース電位とソース電極との間に直列に接続され、前記固定磁性層がゲート電極に接続され、外部磁場による入力信号の反転を、前記ゲートの反転出力として検知することにより、インバータ動作をなす論理回路として作用する磁気デバイスが構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜は、常温で−30%という大きな負のMR比を有することから、負のMR比の特性を生かして、磁気メモリ等の実用品への種々の利用が可能になる。また、本発明に係る磁気デバイスは、常温で使用でき、取り扱いやすく、十分に実用として利用できる製品として提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(トンネル磁気抵抗効果膜の構成)
図1は、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜の構成とその構成を備えた、磁気ヘッドに用いられるリード素子の構成例を示す。図1(a)が、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜を備えたリード素子20の構成を示し、図1(b)が、従来のトンネル磁気抵抗効果膜を備えたリード素子21の構成を示す。
図1(a)に示すリード素子20は、アルチック(AlTiC)からなる基板10上に、下地層11として第1の下地層11aおよび第2の下地層11bと、磁性層であるFeN(窒化鉄)層12と、絶縁層であるトンネルバリア層13と、固定磁性層14と、反強磁性層16と、キャップ層17をこの順に積層して形成されている。なお、固定磁性層14は、第1の磁性層14a、および反強磁性結合層15および第2の磁性層14bを積層して構成されている。
【0014】
リード素子20において、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜30は、トンネルバリア層13と、トンネルバリア層13を挟んで配置されているFeN層12と第1の磁性層14aからなる。FeN層12が、外部磁場の作用によって磁化の方向が変わるフリー層であり、第1の磁性層14aが磁化方向があらかじめ固定されているピン層として機能する。
固定磁性層14に積層されている反強磁性層16は、第2の磁性層14bとの間の交換結合作用により、第2の磁性層14bの磁化方向を固定する作用をなし、第1の磁性層14aと第2の磁性層14bとが反強磁性結合層15を介して反強磁性結合することによって、第1の磁性層14aの磁化方向がより安定した状態に固定される。
【0015】
リード素子20の膜構成、および各層には種々の材料が用いられるが、以下に、図1(a)における各層に用いられる材料と膜厚の例を示す。
第1の下地層11aとしてMgO(2nm)、第2の下地層11bとして、Fe(5nm)、FeN層12としてFe4N(5nm)、トンネルバリア層13としてMgO(2nm)、第1の磁性層14aとしてCoFeB(4nm)、反強磁性結合層15としてRu(0。85nm)、第2の磁性層14bとしてFe(3nm)、反強磁性層16としてMnIr(7.5nm)、キャップ層17としてTa(5nm)。
【0016】
図1(b)に示すリード素子21は、TMR型の磁気抵抗効果膜として従来用いられている構成を示す。図1(b)に示すリード素子21の構成において図1(a)に示す構成と相違する点は、トンネルバリア層13の下層に形成された磁性層22の構成のみである。磁性層22は、リード素子21におけるフリー層として使用されるもので、NiFe等の軟磁性材が従来使用される。
【0017】
図1(b)に示すリード素子21でのトンネル磁気抵抗効果膜31は、磁性層22とトンネルバリア層13と第1の磁性層14aが相当する。磁性層22以外の各層の構成および各層に用いられる材料は上述した図1(a)に示す場合と同一である。
図1(b)は、TMR型の磁気抵抗効果膜を用いたリード素子の従来における典型的な構成例を示すものであり、図1(a)に示すリード素子20は、従来のTMR型の磁気抵抗効果膜において、磁性層22にかえてFeN層12を用いて構成したことを示す。
【0018】
図2は、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜30でのMR比(図2(a))のグラフと、従来のトンネル磁気抵抗効果膜31でのMR比(図2(b))とを対比して示したものである。
図2(b)に示すように、従来のトンネル磁気抵抗効果膜31の場合は、磁性層22と第1の磁性層14aとの磁化方向が平行の場合よりも反平行となる方が抵抗値が大きくなる。すなわち、正のMR比となる特性を有する。
これに対して、図2(a)に示すように、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜30の場合には、FeN層12と第1の磁性層14aの磁化方向が反平行となる方が平行となる場合よりも抵抗値が小さくなる。すなわち、負のMR比の特性を有する。実験によると、上述した、Fe4N(5nm)/MgO(2nm)/CoFeB(4nm)からなるトンネル磁気抵抗効果膜によって、常温でMR比−30%が得られている。
【0019】
このように、トンネル磁気抵抗効果膜として常温でMR比ー30%という高いMR比を得ることができれば、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドのリード素子として利用することが可能である。一般に、磁気ヘッドではMR比(絶対値)が大きいほど特性が安定して有利であるから、負のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドのリード素子に利用する場合には、さらにMR比の大きな磁気抵抗効果膜を開発する必要がある。
【0020】
(磁気デバイスへの利用例)
以下に、本発明に係る負のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜の利用例として、正のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜と組み合わせて磁気デバイスとしてのランダムアクセスメモリを構成した例を示す。
図3は、正のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜であるFe(磁性層)/MgO(トンネルバリア層)/CoFeB(磁性層)と、負のMR比を有するトンネル磁気抵抗効果膜であるFeN(磁性層)/MgO(トンネルバリア層)/CoFeB(磁性層)を組み合わせて構成したランダムアクセスメモリの構成を説明的に示した。
【0021】
この磁気デバイスは、CoFeBからなる固定磁性層40を共通の磁性層として、この固定磁性層40の上に若干離間させて、MgOからなるトンネルバリア層42を挟んでFe層44とFeN層46とを形成したものである。CoFeBからなる固定磁性層40は外部磁場によって磁化方向が変動しない強磁性層として用いられ、着磁工程によってあらかじめ磁化方向が固定されている。これに対して、Fe層44およびFeN層46は外部磁場の作用によって磁化の方向が変わるように設定されている。
なお、固定磁性層40の磁化方向を固定するために、固定磁性層40を反強磁性結合層を介して複数の固定磁性層を積層した構成とすることも可能であり、反強磁性層を積層し固定磁性層との間の交換結合作用を利用して磁化方向を固定する構成とすることも可能である。
【0022】
固定磁性層40の上に、トンネルバリア層42を挟んでFe層44とFeN層46とを形成したことにより、Fe層44が形成された領域は、固定磁性層40とトンネルバリア層42とFe層44とからなる第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51となり、FeN層46が形成された領域は、固定磁性層40とトンネルバリア層42とFeN層44とからなる第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52となる。
FeN層46が形成された第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52は、負のMR比の特性を有し、Fe層44を備えた第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51は、正のMR比の特性を有することになる。
【0023】
なお、図3では、基板を示していないが、固定磁性層40、トンネルバリア層42、Fe層44およびFeN層46は、スパッタリングによって基板上に成膜して形成する。固定磁性層40、トンネルバリア層42、Fe層44およびFeN層46は、従来の成膜方法を利用することによって、任意の厚さ、任意の平面パターンに形成することができる。
Fe層44はアースに接続され、FeN層46はソース電極に接続され、固定磁性層40はゲート電極に接続される。
【0024】
図4は、図3に示す磁気デバイスの論理回路を示す。すなわち、第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51と第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52が、直列にアースとソース電極との間に配置され、固定磁性層40から出力が取り出される構成となる。
入力信号は磁気デバイスに作用する外部磁場である。すなわち、磁気デバイスのFe層44とFeN層46に、その磁化方向が反転するような外部磁場が作用することによって、第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51と第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化によってゲート出力が変化する。
磁気デバイスのFe層44とFeN層46の磁化方向を反転させる外部磁場を作用させる方法としては、たとえば、磁気デバイスの近傍に導線を配置し、導線に流す電流の方向を正逆方向に切り替えるようにすればよい。
【0025】
第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51は正のMR比特性を有するのに対して、第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52は負のMR比特性を有するから、第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51と第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52は、その磁化の向きが固定磁性層40の磁化の向きに対して、平行と反平行になる場合での抵抗値の大小関係が逆の関係にあり、この特性を利用することによって、図4に示す論理回路はインバータ回路として構成される。
【0026】
図5は、上述した磁気デバイスについての動作を示す。まず、磁気デバイスに対する入力信号が0のとき、すなわち、磁気デバイスのFe層44とFeN層46の磁化の向きが、固定磁性層40の磁化の向きとは逆向きとなるように外部磁場を印加する場合を入力信号が0の状態とすると、第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51では、固定磁性層40とFe層44の磁化の向きが反平行となって抵抗値が大きくなるのに対して、第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52では、固定磁性層40とFeN層46の磁化の向きが反平行となって抵抗値が小さくなる。この結果、ゲート出力は1(電圧:高)となる。
【0027】
一方、磁気デバイスへの入力信号を1、すなわち、固定磁性層40の磁化の向きに対してFe層44とFeN層46の磁化の向きが平行となるように外部磁場を印加すると、第1のトンネル磁気抵抗効果膜部51では、抵抗値が小さくなるのに対して、第2のトンネル磁気抵抗効果膜部52では抵抗値が高くなる。この結果、ゲート出力は0(電圧:低)となる。
【0028】
こうして、入力信号が0と1に対応して、ゲート出力が1と0となるインバータ動作が実現される。このインバータ動作は、磁気デバイスに外部磁場が入力されてはじめて反転動作するもので、磁気デバイスに外部磁場が作用しないと前の状態をそのまま維持している。すなわり、この磁気デバイスはランダムアクセスメモリとして機能する。
【0029】
ランダムアクセスメモリの場合には、磁化の向きを保持するだけであるから大きなMR比の特性を要しない。したがって、このような磁気デバイスに本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜は十分に利用することができる。とくに、本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜は常温での使用が可能であり、ー30%という大きなMR比を有することから、前述した磁気ヘッドへの利用を含めて、種々の磁気デバイスへの実用利用が十分に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るトンネル磁気抵抗効果膜を用いたリード素子の構成(a)と、従来のリード素子の構成(b)を示す説明図である。
【図2】トンネル磁気抵抗効果膜について負のMR比(a)と、正のMR比(b)を示すグラフである。
【図3】負のMR比の特性を有するトンネル磁気抵抗効果膜を用いた磁気デバイスの構成例を示す説明図である。
【図4】図3の磁気デバイスの論理回路である。
【図5】図3の磁気デバイスの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10 基板
11 下地層
12 FeN層
13 トンネルバリア層
14 固定磁性層
14a 第1の磁性層
14b 第2の磁性層
15 反強磁性結合層
16 反強磁性層
17 キャップ層
20、21 リード素子
22 磁性層
30、31 トンネル磁気抵抗効果膜
40 固定磁性層
42 トンネルバリア層
44 Fe層
46 FeN層
51 第1のトンネル磁気抵抗効果膜部
52 第2のトンネル磁気抵抗効果膜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルバリア層を挟む配置に磁性層が形成されたトンネル磁気抵抗効果膜であって、
前記トンネルバリア層の一方の側の磁性層がFeN層であることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果膜。
【請求項2】
前記トンネルバリア層を挟む他方の側の磁性層が、磁化の向きが固定された固定磁性層として設けられていることを特徴とする請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果膜。
【請求項3】
前記固定磁性層は、反強磁性結合層を介して第1の固定磁性層と、第2の固定磁性層とが積層されて構成されていることを特徴とする請求項2記載のトンネル磁気抵抗効果膜。
【請求項4】
前記固定磁性層の隣接層として、固定磁性層と交換結合して固定磁性層の磁化を固定させる反強磁性層が設けられていることを特徴とする請求項2移載のトンネル磁気抵抗効果膜。
【請求項5】
トンネルバリア層を挟む配置に磁性層が形成され、該トンネルバリア層の一方の側の磁性層がFeN層からなるトンネル磁気抵抗効果膜を備えていることを特徴とする磁気デバイス。
【請求項6】
固定磁性層、トンネルバリア層および正のMR比特性を有する磁性層を備えた第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と、
固定磁性層、トンネルバリア層および負のMR比特性を有する磁性層を備えた第2のトンネル磁気抵抗効果膜部とからなる磁気デバイスであって、
前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部に設けられた、負のMR比特性を有する磁性層がFeN層からなることを特徴とする磁気デバイス。
【請求項7】
前記固定磁性層は、反強磁性結合層を介して第1の固定磁性層と、第2の固定磁性層とが積層されて構成されていることを特徴とする請求項6記載の磁気デバイス。
【請求項8】
前記固定磁性層の隣接層として、固定磁性層と交換結合して固定磁性層の磁化を固定させる反強磁性層が設けられていることを特徴とする請求項6移載のトンネル磁気抵抗効果膜。
【請求項9】
前記第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部は、固定磁性層を共通として、該固定磁性層上で相互に離間した配置に、前記トンネルバリア層と各々の磁性層が形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の磁気デバイス。
【請求項10】
前記第1のトンネル磁気抵抗効果膜部と前記第2のトンネル磁気抵抗効果膜部とが、アース電位とソース電極との間に直列に接続され、
前記固定磁性層がゲート電極に接続され、
外部磁場による入力信号の反転を、前記ゲートの反転出力として検知することを特徴とする請求項9記載の磁気デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−192634(P2008−192634A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22160(P2007−22160)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】