説明

ナビゲーション装置、表示情報調停方法

【課題】情報の優先順位のみに従うことなく情報を見やすく表示するナビゲーション装置等を提供すること。
【解決手段】優先順位に基づき画面に表示する表示情報を切り替えて表示するナビゲーション装置100において、表示情報を提供する提供装置50、70の位置を取得する提供装置位置取得手段31と、車両の位置と連携して表示情報を生成させる連携対象情報を記憶する地図情報記憶手段14と、現在位置よりも進行方向前方の車両の予測ルートを予測する自車位置予測手段32と、予測ルートに存在する、提供装置又は連携対象を検出し、表示情報の表示区間が重複する表示情報がある場合、提供装置又は連携対象にかかる表示情報の表示位置に到達する前に、重複する表示区間に表示する表示情報を決定して表示スケジュールを生成する表示情報スケジューリング手段33と、表示情報の表示位置に到達した場合、表示スケジュールに従い前記表示情報を表示する表示制御部34と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図等の表示情報を切り替えて表示するナビゲーション装置等に関し、特に、位置や受信した情報に応じて表示情報を動的に切り替えるナビゲーション装置及び表示情報調停方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VICS(Vehicle Information and Communication System)センタでは、渋滞情報などのVICS情報を逐次収集し、路側に設けられたビーコン発信装置50からリアルタイムにVICS情報を配信している。車両のナビゲーション装置はVICS情報の受信装置を備えており、VICSが配信する情報を画面に表示したり、VICS情報と連携して道路地図上に渋滞した道路を色を変えて表示したりすることができる。
【0003】
ところで、ナビゲーション装置の表示装置には道路地図だけでなく種々のVICS情報、テレビやDVD等を表示できるようになっていることがあり、表示可能な情報に予め優先順位を与えておき、すでに表示している情報よりも優先順位のより高い情報の表示要求があった場合に情報を切り換えて表示するナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載のナビゲーション装置では、車両の異常など優先順位の高い情報を優先的に表示することができる。
【0004】
このため、走行中にビーコン発信装置50を通過すると、それまで表示していた道路地図に優先して、受信したVICS情報を運転者の操作なしに表示することができる。しかしながら、路側に設けられたビーコン発信装置50は主要な道路に配置されているものの、配置位置は不規則である。このため、車両がビーコン発信装置50からVICS情報を受信する度に、道路地図が頻繁にVICS情報に切り替わってしまうことになってしまう。
【0005】
図1は、VICSセンタから配信されたVICS情報の表示切り替えの一例を説明する図である。車両40はリンク1、リンク2及びリンク3を走行する。リンク2の進入口にはビーコン発信装置50が設けられており、リンク2〜4以降の渋滞や旅行時間などのVICS情報を配信している。車両40のナビゲーション装置は、ビーコン発信装置50からVICS情報を受信すると、交差点80の手前L〔m〕までVICS情報を表示し、その後、交差点80が接近するとより優先順位の高いルート案内に切り換える。交差点80を通過した後は例えばリンク1で表示していた画面(地図画面、音楽再生画面等)に切り替わる。VICS情報はそれほど長い間表示されるものではないので、画面上はVICS情報とルート案内とが頻繁に切り替わる印象を乗員に与え、煩わしさを感じさせることになる。
【0006】
この点について、VICS情報に道路の渋滞又は混雑を表す渋滞情報が含まれている場合にのみ、ビーコン発信装置50から受信したVICS情報を優先して表示するナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2記載のナビゲーション装置によれば、進行方向に渋滞又は混雑した道路がなければ、画面が頻繁に切り替わることを防止できる。
【特許文献1】特開平10−104005号公報
【特許文献2】特開2000−250407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2記載のナビゲーション装置では、VICS情報に道路の渋滞又は混雑を表す渋滞情報が含まれている場合には、渋滞案内とルート案内とが頻繁に切り替わってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、情報の優先順位のみに従うことなく情報を見やすく表示するナビゲーション装置及び表示情報調停方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、優先順位に基づき画面に表示する表示情報を切り替えて表示するナビゲーション装置において、表示情報を提供する提供装置の位置を取得する提供装置位置取得手段と、車両の位置と連携して表示情報を生成させる連携対象情報を記憶する地図情報記憶手段と、現在位置よりも進行方向前方の車両の予測ルートを予測する自車位置予測手段と、予測ルートに存在する、提供装置又は連携対象を検出し、表示情報の表示区間が重複する表示情報がある場合、提供装置又は連携対象にかかる表示情報の表示位置に到達する前に、重複する表示区間に表示する表示情報を決定して表示スケジュールを生成する表示情報スケジューリング手段と、表示情報の表示位置に到達した場合、表示スケジュールに従い表示情報を表示する表示制御部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、表示情報が重複する表示区間に表示する情報を予め表示スケジュールに登録しておくことで、自然で見やすく表示情報を表示することができる。
【0011】
また、本発明の一形態において、表示情報スケジューリング手段は、表示区間が重複する表示情報のうち、手前側で表示される表示情報の優先順位が低い場合、手前側の表示情報を表示しないように表示スケジュールに登録する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、優先順位が低い表示情報が表示された状態で優先順位の高い表示情報を提供する地物と遭遇しても、優先順位が高い表示情報に切り替わらないので、乗員の違和感の少ない表示が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
情報の優先順位のみに従うことなく情報を見やすく表示するナビゲーション装置及び表示情報調停方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図2は、本実施形態のナビゲーション装置による画面表示制御を説明する図である。車両40のナビゲーション装置は、予め画面表示の切り替えをスケジューリングした表示スケジュールを記憶している。表示スケジュールは、進行方向に存在する画面切り替え地物を読み出して決定される。画面切り替え地物は、VICS情報を配信するビーコン発信装置50及び路車間通信のための路側装置70等、表示情報を提供する提供装置と、交差点80等の地形及び学校60等の施設等、車両40の位置と連携して表示情報を生成させる地図連携対象である。
【0016】
このように地上(地下でもよい)に固定され画面の強制的な切り替えに影響する地物が画面切り替え地物となる。ナビゲーション装置100は、画面切り替え地物の存在を先読みし、短時間に表示情報が切り替わらないように位置毎の表示情報を予めスケジューリングしておく。
【0017】
図2では、ビーコン発信装置50の存在する位置ではVICS情報が表示情報に、路側装置70が存在する位置ではブラインドコーナの渋滞などの周辺情報が表示情報に、所定の地形の存在する位置では案内情報(例えば、交差点用の表示画面、ルート案内等)が表示情報に、学校60等の施設の存在する位置又はその手前ではスクールゾーンを知らせる施設情報が表示情報になる。
【0018】
車両40がリンク1〜4の道路を走行する場合、進行方向にはビーコン発信装置50、交差点80、学校60及び路側装置70、の画面切り替え地物が存在する。ナビゲーション装置100には予め、画面切り替え地物により表示される表示情報の優先順位が決定されているので、優先順位に従った場合に表示区間が重複した表示情報が短時間に切り替わるか否かを判定し、切り替わるのであれば切り替わらないように車両40の位置に表示情報を対応づけてスケジューリングする。
【0019】
図1で説明したように、案内情報の優先順位がVICS情報よりも高い場合、交差点80より所定距離(例えば300m)手前でVICS情報から案内情報に表示情報が切り替わってしまう。そこで、ナビゲーション装置100は、位置A〜Bでは優先割り込み禁止、位置B〜Cでは案内情報、というように表示情報をスケジューリングする。優先割り込み禁止は、表示切り替え地物による表示情報の切り替えを禁止する制御情報になるので、位置Aでナビゲーション装置100がVICS情報を受信しても位置A〜BではVICS情報が表示されない。そして、表示スケジュールに従い、車両40が位置Bに到達すると案内情報が表示される。なお、優先割り込み禁止が対応づけられた位置A〜Bの区間では、それまでユーザが画面に表示していた表示情報(地図画面、音楽再生画面等)が継続して表示される。
【0020】
このように予め表示情報をスケジューリングしておくことで、画面に表示される表示情報が短時間で切り替わることを防止し、自然で見やすい割込み表示を実現できる。
【0021】
また、左方向の進行方向の前方(車両11から見てより前方)には学校60があるので、ナビゲーション装置100は位置E〜位置Fの区間では施設情報を表示するようスケジューリングし、右方向の進行方向の前方には路側装置70があるので、位置C〜位置Dの区間では周辺情報が表示されるようスケジューリングする。
【0022】
このように、交差点80により進行方向が分岐していても、進行方向の所定距離内(例えば、1000m)であれば取り得るルートの全てに対し表示情報をスケジューリングすることができる。したがって、ナビゲーション装置100に目的地までのルートが設定されている必要がない。しかしながら、目的地までのルートが設定されている場合、目的地が設定されていない場合よりも、目的地までのルートを案内する案内情報は、目的地が設定されていない場合よりも優先順位が高くなる場合がある。すなわち、目的地が設定されている否かは表示情報の優先順位の違いとして取り扱うことができる。
【0023】
図3は、ナビゲーション装置100のハードウェアブロック図を示す。ナビゲーション装置100はナビ制御部20により制御され、ナビ制御部20は、CAN(Controller Area Network)等の車内LANや専用線を介してGPS受信機11、車速センサ12、ジャイロセンサ13、地図DB(Data Base)14、入力部15、通信装置16、VICS受信装置17、ビーコン発信装置位置DB19、路側装置位置DB21、スピーカ22及びディスプレイ23と接続されている。
【0024】
GPS受信機11は、地球の周りを周回する好ましくは4つ以上のGPS衛星を捕捉して、各GPS衛星からの電波の到達時間に基づき車両40の位置(緯度・経度・標高)を決定する。車速センサ12は、例えば、車両40の各輪に備えられたロータの円周上に定間隔で設置された凸部が通過する際の磁束の変化をパルスとして計測して、単位時間あたりのパルス数に基づき各輪毎に車輪速を計測する。車輪速にタイヤの外径を乗じれば車速が得られる。ジャイロセンサ13は、例えばマイクロマシニングで形成された震動片型ジャイロセンサであり、コリオリ力の作用により変化する震動片(電極間)の距離に基づき車両40が路面に対しヨーイング方向又はピッチング方向に回転する時の角速度を検知する。検知結果を積分することで角度、すなわち3軸方向の進行方向に変換する。
【0025】
地図DB14は、実際の道路網に対応したノード(道路と道路が交差する点、例えば交差点)と、リンク(ノードとノードを接続する道路)とを対応づけたテーブル状のデータベースである。したがって、ノードとリンクを辿ることで道路網を形成できる。また、地図DB14には、幼稚園や学校60の位置、事故の多発位置、一方通行や右折禁止等の交通規制情報が位置に対応づけて記憶されている。なお、地図DB14に記憶される道路地図情報は、所定のサーバからダウンロードして記憶してもよい。
【0026】
入力部15は、乗員がナビゲーション装置100を操作する操作情報を入力するユーザインターフェイスとなる。例えば、押しボタン式のキーボード、乗員の発した音声を入力する音声認識装置、ディスプレイ23に形成されたタッチパネル等である。また、ディスプレイ23はヘッドアップディスプレイや液晶ディスプレイなどであり、上述した各種の表示情報、道路地図、テレビ等の映像を表示するために用いられる。また、スピーカ22は、例えば交差点80の手前でディスプレイ23に表示される案内情報と同期して右左折等を指示する音声メッセージを出力する。
【0027】
通信装置16は、携帯電話の基地局や無線LAN等のアクセスポイントに接続してサーバ200と通信し、種々の情報を送受信する。本実施形態では、通信装置16から、ビーコン発信装置50の位置情報、路側装置70の位置情報を送信することでサーバ200に登録する。また、サーバ200は多数の車両40からビーコン発信装置50等の位置情報を受信しているので、例えば車両40からの要求に応じてビーコン発信装置50の位置情報を車両40に送信する。
【0028】
VICS受信装置17は、VICSセンターが配信するVICS情報を受信する。VICSセンターは、FM多重放送、光ビーコン及び電波ビーコンの3つのメディアでVICS情報を配信する。VICS受信装置17は、FM放送に多重された電波、電波ビーコン及び光ビーコンを復調し、ベースバンド信号に戻した後、信号処理して元のデジタル信号に復号することでVICS情報を受信する。それぞれのメディア毎に、配信するVICS情報の種類やカバーするエリアが異なるが、例えば、VICS情報はVICSセンターが区分したVICSリンクに対応づけられた、渋滞情報、リンク旅行時間、交通規制情報、駐車場情報、等である。FM電波によるVICS情報は広域の情報なので緊急性が低い。このため、ナビゲーション装置100が割り込み表示するのは電波ビーコン及び光ビーコンにより送信されたVICS情報である。なお、VICSは走行中の車両40に走行に係る情報を配信するシステムの一例であり、配信の事業主体や配信する情報の内容を限定するものではない。
【0029】
路車間通信部18は、例えば路側装置70との距離が所定以内の場合に通信する狭域通信(DSRC(Dedicated Short Range Communication))を実現する。例えば自動車専用道の料金所に設けられた通信装置と通信するため車両40がETC(Electronic Toll Collection System)装置を搭載している場合、路車間通信部18はこれと兼用してもよい。路車間通信部18は、路側装置70との通信エリアに入ると自動的に通信を開始し、例えば5.8GHz帯の搬送波をASK変調やQPSK変調して、ベースバンド信号を取り出しこれにプロトコル処理等の信号処理を施し周辺情報を取得する。なお、路車間通信部18による通信は一つの形態に限らず、比較的狭域で通信するブルートゥース、ワイヤレスUSB等であってもよい。
【0030】
ビーコン発信装置位置DB19及び路側装置位置DB21は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のメモリで構成された記憶手段である。ビーコン発信装置位置DB19にはビーコン発信装置50の位置情報が記憶され、路側装置位置DB21は路側装置70の位置情報が記憶されている。
【0031】
ナビ制御部20は、CPU、ROM、RAM、不揮発メモリ、CAN通信部及び入出力インターフェイス等を有するコンピュータであって、CPUがプログラムを実行するかASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算回路により実現される、情報提供装置位置取得部31、自車位置予測部32、表示情報スケジューリング部33、表示制御部34及び表示・音声変更部35を有する。
【0032】
図4は、ナビ制御部20のブロック図の一例を示す。図4において図3と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。情報提供装置位置取得部31は、ビーコン発信装置50や路側装置70等、表示情報を提供する提供装置の位置情報を取得するもので、その態様に応じて位置学習部311、サーバ情報受信部312及び路側装置位置受信部313を有する。
【0033】
位置学習部311は、ビーコン発信装置50の敷設された道路を実際に走行し、VICS受信装置17がVICS情報を受信した場合に、ビーコン発信装置50の位置をビーコン発信装置位置DB19に登録する。また、路側装置70の敷設された道路を実際に走行し、VICS受信装置17がVICS情報を受信した場合に、路側装置70の位置を路側装置位置DB21に登録する。したがって、ビーコン発信装置50又は路側装置70の敷設された道路を一度走行すれば、これらの位置情報を取得することができる。また、各車両40が取得した位置情報は通信装置16を介してサーバ200に送信されるので、サーバ200には車両40が実際に走行していない道路に敷設されたビーコン発信装置50及びVICS受信装置17の位置情報が記憶されている。
【0034】
サーバ情報受信部312は、サーバ200からこの位置情報を取得する。サーバ情報受信部312は、例えば定期的に進行方向の所定範囲にあるビーコン発信装置50及びVICS受信装置17の位置情報を要求してサーバ200から受信する。受信した位置情報をビーコン発信装置位置DB19及び路側装置位置DB21に登録する。
【0035】
路側装置位置受信部313は、路側装置70から、進行方向前方の路側装置70の位置情報を取得する。これにより、路側装置70が敷設された道路では進行方向前方の路側装置70の位置情報を取得できるので、路側装置70に限れば位置の学習やサーバ200から位置情報を取得する必要がない。受信した位置情報は路側装置位置DB21に登録してもよい。
【0036】
自車位置予測部32は、車両40の現在位置を検出すると共に、現在位置と進行方向から車両40が走行する予測ルートを予測する。上述したように、目的地までのルートが設定されていなくても表示スケジュールの生成を可能とするため、例えば進行方向前方1000〔m〕程度の範囲で、取り得る全ての予測ルートを抽出する。この予測ルート情報は表示情報スケジューリング部33に送出される。予測ルート情報は、例えば所定距離毎の位置情報、時系列のリンク番号等である。
【0037】
優先順位に応じた表示情報のスケジューリングについて図5に基づき説明する。仮に表示情報のスケジューリングをしないとすると、表示情報が切り替わる態様で最も多いのは、優先順位の低い表示情報が表示されている最中により優先順位の高い表示情報が表示される場合である。したがって、自車位置予測部32が予測した予測ルートにある、ビーコン発信装置50等の画面切り替え地物を読み出し、優先順位の低い表示情報が表示されている区間に、より優先順位の高い表示情報が表示される場合に表示情報をスケジューリングすればよい。以下、表示情報Aの優先順位が表示情報Bよりも低いとして説明する。
【0038】
・表示情報Aが手前側にある場合(図5(a))
表示情報スケジューリング33は、表示スケジュールの表示情報Aが表示される区間に「優先割り込み禁止」を登録する。図5(a)の場合、表示情報Aは表示されないが、例えば受信してから所定時間はユーザ操作により表示することができる。
区間I〜II:優先割込み禁止
区間II〜IV:表示情報B
なお、図5(a)のように表示スケジュールを設定しても、実際に走行した場合に位置II(例えば、交差点の手前300m)で表示情報が始まらない場合がある。このような場合、区間I〜IVで表示情報AもBのいずれも表示されなくなってしまうので、走行した際に表示情報Bがなかった場合、ナビゲーション装置100は図5(a)’に示すように、位置IIから表示情報Aを表示する。これにより、表示情報Aが受信されても表示されないことを防止できる。この場合、表示・音声変更手段35は必要であれば表示情報Aの内容を変更する。
・表示情報Bが手前側にある場合(図5(b))
表示情報スケジューリング33は、表示情報Bが表示される区間についで、表示スケジュールの表示情報Aを表示する区間に「優先割り込み禁止」を登録する。この場合、当初のナビゲーション装置100の設定によっては、表示情報のスケジューリングをしない場合と変わりはない。また、この場合、表示情報の内容によっては、表示情報Aの表示時間が短くならないように表示情報Aの表示の終了位置を後方にずらすことが好ましい。
区間I〜III:表示情報B
区間III〜IV:表示情報A
・表示情報Aが手前側にあるが、区間が重複しない場合(図5(c))
表示情報スケジューリング33は、表示情報をスケジューリングする必要はない。
・表示情報Aと表示情報Bの優先順位が同じ場合(図5(d))
表示情報スケジューリング33は、先に表示される表示情報Aを継続して表示し、表示情報Bは表示情報Aについで表示するようスケジューリングする。この場合、表示・音声変更手段35は必要であれば表示情報Aの内容を変更する。また、この場合、表示情報Bの表示時間が短くならないように表示情報Bの表示の終了位置を後方にずらすことが好ましい。
区間I〜III:表示情報A
区間III〜IV:表示情報B
なお、図5(a)と同様に先に表示される表示情報Aに「優先割り込み禁止」を登録してもよい。同じ優先順位では優劣が生じないからである。
区間I〜II:優先割込み禁止
区間II〜IV:表示情報B
なお、ビーコン発信装置50から受信するVICS情報は所定の時間だけ表示されるのに対し、案内情報は例えば交差点80の手前○○〔m〕というように地物や施設からの距離に従い表示される。距離に従い表示される表示情報は、例えば、学校60等の施設を知らせる施設情報、交差点80などの地形を知らせる案内情報、であり、所定の時間だけ表示される表示情報は、例えばVICS情報や周辺情報である。なお、周辺情報は内容によっては距離に従い表示される。
【0039】
距離に従い表示される表示情報は表示区間も固定的に取り扱うことができる。このため、規定された時間だけ表示される表示情報と、他の表示情報が表示される区間が重複するか否かは、例えば、表示される時間を距離(以下、換算区間という)に置き換えて判定する。規定された表示時間にその道路の法定速度を乗じれば、換算区間が得られるので図5で説明したようなスケジューリングが可能となる。
【0040】
なお、法定速度でなく車両40の車速やVICS情報が含むリンク旅行時間から通過するための速度を算出して、換算区間を算出してもよい。車両40の車速を例えば表示情報をスケジューリングする時の車速としても、多くの場合、実際に画面切り替え地物を通過する際の車速と大きく異ならないと考えられる。また、車両40が画面切り替え地物を通過するまでにスケジューリングできればよいので、画面切り替え地物の直前の車速としてもよい。
【0041】
図4に戻り、表示情報の表示について説明する。図5(b)や図5(d)で説明したように、前方の表示情報を表示する区間が、スケジューリングしない場合よりも前方にずれる場合がある。この場合、表示・音声変更部35は、表示情報を変更する。
【0042】
例えば、案内情報は「交差点まで300メートルです」等の距離を含む場合があるので、このような表示情報の表示が前方にずれる場合、表示の開始位置に一致する距離に表示情報を変更する。表示の開始位置は、図5(b)(d)の位置IIIであるのでナビゲーション装置100にとって既知である。したがって、表示・音声変更手段は例えば上記の案内情報を「交差点まで250メートルです」に変更する。
【0043】
なお、表示情報と連動して音声メッセージも出力される場合、表示情報だけ変更してもよいし、表示情報と一致するように音声メッセージを変更してもよい。表示情報だけ変更する場合、音声メッセージは先に出力されるので、乗員が右左折する交差点80に早期に気づくことができる。表示情報に連動して音声メッセージを変更する場合、例えば交差点80までの距離を統一できるので乗員に通知する情報量を低減できる。
【0044】
表示制御部34は走行中に表示スケジュールを参照して、画面切り替え地物による表示情報の切り替えを制御する。また、表示・音声変更部35が表示情報や音声メッセージを変更する場合は、変更後の表示情報を表示し及び/又は音声メッセージを出力する。
【0045】
図6(a)は、車両40の走行位置と表示装置に表示される割り込み情報の関係を説明する図を示す。車両40が走行する予測ルートには、ビーコン発信装置50、交差点80、路側装置70、及び、学校60の画面切り替え地物が存在する。なお、路側装置70から学校60までの道路は渋滞している。
【0046】
これら画面切り替え地物の位置はビーコン発信装置位置DB19、路側装置位置DB21及び地図DB14に登録されているので、図6(b)に示すように表示情報スケジューリング部33は予測ルートにおける画面切り替え地物の位置を検出でき、各表示情報の優先順位に従い表示情報をスケジューリングすることが可能となる。
【0047】
なお、一例として各表示情報の優先順位(数値が小さいほど優先順位が高い)は次の通りであるとする。この案内情報の優先順位は目的地までのルートが設定されている場合である。実際には周辺情報同士等、同じ表示情報同士に優先順位があるが、優先順位に従えば同様に表示スケジュールを生成できる。
1.周辺情報
2.案内情報
3.VICS情報、施設情報
表示情報のスケジューリングの手順について図7のフローチャート図に基づき説明する。図7のフローチャート図は、例えばイグニッションがオンになるとスタートし以降は例えば100〔m〕走行する度に繰り返し実行される。
【0048】
自車位置予測部32は、現在位置と進行方向から前方1000〔m〕程度の範囲で予測ルートを予測する(S10)。分岐がある場合は、走行距離が1000〔m〕となる全て組み合わせについて予測ルートを予測する。
【0049】
ついで、表示情報スケジューリング部33は、予測ルートに存在する画面切り替え地物を検出する(S20)。すなわち、表示情報スケジューリング部33は予測ルートに存在するビーコン発信装置50をビーコン発信装置位置DB19から、路側装置70を路側装置位置DB21から、地図連携対象を地図DB14からそれぞれ検出する。
【0050】
ついで、表示情報スケジューリング部33は、画面切り替え地物に対応する表示情報が重複する区間があるか否かを判定する(S30)。重複する区間がない場合(S30のNo)、表示スケジュールに登録する必要がないので図7の処理は終了する。
【0051】
表示情報が重複する区間がある場合(S30のYes)、表示情報スケジューリング部33は進行方向にたいし手前の表示情報の方が優先順位が低いか否かを判定する(S40)。図6(b)では、VICS情報と案内情報、及び、周辺情報と施設情報、について優先順位が比較される。この結果、VICS情報については「Yes」と判定され、周辺情報については「No」と判定される。
【0052】
手前の表示情報の優先順位が低い場合(S40のYes)、表示情報スケジューリング部33は、表示スケジュールに、優先順位が低い表示情報が表示される区間を優先割り込み禁止に設定し、優先順位が高い表示情報は元の表示区間に設定する(S50)。したがって、図6(b)ではVICS情報は優先割り込み禁止になり、案内情報はスケジューリングしない元の表示区間に表示されるよう設定される。
【0053】
手前の表示情報の優先順位が低くない場合(S40のYes)、表示情報スケジューリング部33は、表示スケジュールに、優先順位が高い表示情報は元の区間に設定し、優先順位が低い表示情報は優先順位の高い表示情報に続いて表示するようスケジューリングする(S60)。したがって、周辺情報は元の表示区間に表示されるよう設定され、施設情報は周辺情報に続いて表示されるよう設定される。なお、周辺情報に表示時間が極端に短くなる場合には表示を禁止してもよいし、周辺情報の表示終了位置を前方にずらす。
【0054】
ついで、表示・音声変更部35は、表示情報を変更する必要があるか否かを判定する(S70)。表示情報を変更する必要がある場合(S70のYes)、表示・音声変更部35は表示情報を変更し及び/又は音声メッセージを変更する(S80)。例えば、学校60に対する施設情報が「200前方はスクールゾーンです」の場合、表示スケジュールにより施設情報の表示開始位置が前方にずれこんだ分に応じて表示情報及び/又は音声メッセージを変更し記憶しておく。上記の表示情報は、例えば「100前方はスクールゾーンです」に変更される。
【0055】
以上のようにして設定された表示スケジュールに従い、表示制御部34は表示情報をスケジューリングして表示情報を表示する。図8は、表示制御部34が表示スケジュールに基づき表示情報を表示する手順を示すフローチャート図である。図8のフローチャート図は、所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0056】
表示制御部34は走行中、画面切り替え地物が検出されるか否かを繰り返し判定する(S110)。画面切り替え地物がビーコン発信装置50や路側装置70の場合、敷設された位置を通過得することでこれらの画面切り替え地物が検出され、交差点80等の地形や学校60等の施設の場合、地図DB14を参照することでこれらの地図連携対象が検出される。すなわち、画面切り替え地物の検出タイミングは表示情報をスケジューリングしない場合と同様である。
【0057】
画面切り替え地物が検出された場合(S110のYes)、表示制御部34は表示スケジュールを参照し(S120)、表示スケジュールによれば画面切り替え地物を検出した位置で表示情報の表示が許可されているか否かを判定する(S130のYes)。表示が許可されている場合(S130のYes)、表示制御部34は表示情報をディスプレイ23に表示する(S140)。
【0058】
画面切り替え地物を検出した位置で表示情報の表示が許可されていない場合(S130のNo)、表示スケジュールを参照し、画面切り替え地物を検出した位置よりもより前方では表示が許可されているか否かを判定する(S150)。この判定がYesとなるのはより優先順位の高い表示情報が既に表示されている場合である。表示制御部34は、表示・音声変更部35が生成した表示情報を、また、必要であれば音声メッセージを読み出す(S160)。そして、表示制御部34は表示が許可された位置まで走行したら、表示情報を表示し、音声メッセージを出力する(S170)。
【0059】
ステップS150に戻り、画面切り替え地物を検出した位置よりもより前方でも表示が許可されていない場合(S150のNo)、すなわち表示情報に「割り込み禁止」が登録されている場合、表示制御部34は検出した画面切り替え地物にかかる表示情報の表示を禁止する(S180)。これにより、走行中、不規則に出現する画面切り替え地物により表示情報が短時間で切り替わることを防止できる。
【0060】
また、表示を禁止された画面切り替え地物の次の画面切り替え地物による表示区間に到達したら、次の画面切り替え地物による表示処理を実行する(S190)。図5(a)に示したように、優先順位の高い画面切り替え地物が実際には検出されない場合、表示制御部34は表示を禁止された画面切り替え地物にかかる表示情報を表示する。したがって、表示が禁止された表示情報を表示することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置100によれば、予め表示情報をスケジューリングしておくことで、ディスプレイ23に表示される表示情報が短時間で切り替わったり上書きされることを防止し、より自然に見やすい割込み表示を実現することができる。表示情報の切り替えをスケジューリングできるので、切り替え前の表示情報をフェードアウトしたり、切り替え後の表示情報をフェードインする等、画面の表示態様をよりスムースにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】VICSセンタから配信されたVICS情報の表示切り替えの一例を説明する従来図である。
【図2】ナビゲーション装置による画面表示制御を説明する図である
【図3】ナビゲーション装置のハードウェアブロック図の一例である。
【図4】ナビ制御部のブロック図の一例である。
【図5】優先順位に応じて表示情報のスケジューリングについて図5に基づき
【図6】車両の走行位置と表示装置に表示される割り込み情報の関係を説明する図である。
【図7】表示情報のスケジューリングの手順を示すフローチャート図である。
【図8】表示制御部が表示スケジュールに基づき表示情報を表示する手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0063】
14 地図DB
17 VICS受信装置
18 路車間通信部
23 ディスプレイ
31 情報提供位置取得部
32 自車位置予測部
33 表示情報スケジューリング部
34 表示制御部
35 表示・音声変更部
40 車両
50 ビーコン発信装置
60 学校
70 路側装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
優先順位に基づき画面に表示する表示情報を切り替えて表示するナビゲーション装置において、
前記表示情報を提供する提供装置の位置を取得する提供装置位置取得手段と、
車両の位置と連携して前記表示情報を生成させる連携対象情報を記憶する地図情報記憶手段と、
現在位置よりも進行方向前方の車両の予測ルートを予測する自車位置予測手段と、
前記予測ルートに存在する、前記提供装置又は前記連携対象を検出し、複数の前記表示情報が重複して表示される重複表示区間がある場合、前記提供装置又は前記連携対象にかかる前記表示情報の表示位置に到達する前に、前記重複表示区間に表示する前記表示情報を決定して表示スケジュールを生成する表示情報スケジューリング手段と、
前記表示情報の表示位置に到達した場合、前記表示スケジュールに従い前記表示情報を表示する表示制御部と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示情報スケジューリング手段は、
前記重複表示区間に表示される前記表示情報のうち、手前側で表示される前記表示情報の優先順位が低い場合、手前側の前記表示情報を表示しないように前記表示スケジュールに登録する、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示情報スケジューリング手段は、
前記重複表示区間に表示される前記表示情報のうち、手前側で表示される前記表示情報の優先順位が高い場合、前方側の前記表示情報の表示を開始する位置を、重複する前記表示区間の終了位置より前方に移動するよう前記表示スケジュールに登録する、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前方に移動された前記表示情報を、移動後の位置に応じて変更する表示変更部、を有することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前方に移動された前記表示情報が音声メッセージを伴う場合、前記表示変更部は前記表示情報と同じ内容に前記音声メッセージを変更する、
ことを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示スケジュールには、前記表示位置に対応づけて表示する前記表示情報が登録されている、ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示情報が、予め定められた所定の時間のみ表示される場合、前記表示情報の前記表示位置は、所定の車速と前記時間から求められた走行距離に基づき定められる、
ことを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
優先順位に基づき画面に表示する表示情報を切り替えて表示するナビゲーション装置の表示情報調停方法において、
提供装置位置取得手段が、前記表示情報を提供する提供装置の位置を取得するステップと、
自車位置予測手段が、現在位置よりも進行方向前方の車両の予測ルートを予測するステップと、
表示情報スケジューリング手段が、前記予測ルートに存在する前記提供装置、又は、車両の位置と連携して前記表示情報を生成させる連携対象情報を地図情報記憶手段から前記連携対象を検出し、複数の前記表示情報が重複する重複表示区間がある場合、前記提供装置又は前記連携対象にかかる前記表示情報の表示位置に到達する前に、前記重複表示区間に表示する前記表示情報を決定して表示スケジュールを生成するステップと、
前記表示情報の表示位置に到達した場合、前記表示スケジュールに従い前記表示情報を表示する表示制御部と、
を有することを特徴とする表示情報調停方法。
【請求項9】
前記表示スケジュールには、前記表示位置に対応づけて表示する前記表示情報が登録されている、ことを特徴とする請求項8項記載の表示情報調停方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−186407(P2009−186407A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28737(P2008−28737)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】