説明

ナビゲーション装置及びナビゲーションシステム

【課題】正確な到着時刻を設定でき、推奨経路を的確に探索することが可能となるナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】CPU41は、車両の現在位置から15分毎に到達する各円形エリア51〜54を設定する(S11〜S16)。また、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離だけ離れた各境界エリア51A〜54Aを設定し、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cに基づいて、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを設定する(S17〜S19)。そして、各エリア51〜74に含まれる各リンクに対するリンクコストLCをそれぞれ設定後、推奨経路を探索し、経路案内を行う(S20〜S24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステムに関し、特に、表示装置の地図上に経路情報を表示するナビゲーション装置及びナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。このナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、受信した交通情報に基づいて経路探索を行って目的地に最短時間で到達できる誘導経路を探索するナビゲーション装置及びナビゲーションシステムが種々提案されている。
例えば、外部から送られてくる交通情報に基づいて目的地までの誘導経路を探索するナビゲーション装置において、前記交通情報を受信する交通情報受信手段と、過去の交通情報を時刻毎に分けて記憶する過去データ記憶手段と、前記過去データ記憶手段に記憶された前記過去の交通情報及び前記交通情報受信手段を介して取得した最新の交通情報を利用して前記誘導経路を探索する誘導経路探索手段とから構成されたナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−19593号公報(段落(0013)〜(0031)、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、過去データ記憶手段に記憶された過去の交通情報に基づいて、経路毎に、これから発生する渋滞を加味した誘導経路の探索が可能となる。
しかしながら、当該特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、一定の時間以内(例えば、1時間以内)の経路については最新の交通情報を利用して探索し、一定時間を超える経路については、過去の交通情報を利用して探索するため、交通情報の切り替え部分で各リンクの旅行時間が大きく変化して、予測到達時刻の精度が低下する可能性がある。その結果、実際の到着時刻とは大幅に異なる時間帯の交通情報を用いて推奨経路を探索してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、交通情報を切り替える境界付近では、隣接する境界部分の各リンクの旅行時間を補完して変化を緩やかなものにし、この補完した各リンクの旅行時間に基づいて到着時間を決定することによって、正確な到着時刻を設定でき、推奨経路を的確に探索することが可能となるナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置(2)において、車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段(38)と、前記予測距離範囲データに基づいて、現在の自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段(23)と、前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲の境界部に該境界部を含む所定距離範囲を予測境界距離範囲として設定する予測境界距離範囲設定手段(23)と、各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段(39)と、前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを設定する境界部交通データ設定手段(23)と、前記各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の前記各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記交通データを用いると共に、前記各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された前記境界部交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段(23)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置(2)において、前記予測境界距離範囲設定手段(23)は、前記境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側にそれぞれ所定距離入った範囲を前記予測境界距離範囲として設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーションシ装置(2)において、前記予測境界距離範囲設定手段(23)は、前記境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側に該各予測距離範囲の所定割合だけ入った範囲を前記予測境界距離範囲として設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記境界部交通データ設定手段(23)は、前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データの平均値を該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データとして設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係るナビゲーション装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置(2)において、車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段(38)と、前記予測距離範囲データに基づいて、現在の自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段(23)と、前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定する分割予測距離範囲設定手段(23)と、各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段(39)と、前記各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて前記各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データを設定する分割交通データ設定手段(23)と、前記各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記分割交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段(23)と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係るナビゲーション装置は、請求項5に記載のナビゲーション装置(2)において、前記分割予測距離範囲設定手段(23)は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数の等時間間隔に分割して前記各分割予測距離範囲を設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係るナビゲーション装置は、請求項5に記載のナビゲーション装置(2)において、前記分割予測距離範囲設定手段(23)は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定割合で所定個数に分割して前記各分割予測距離範囲を設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係るナビゲーション装置は、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記分割交通データ設定手段(23)は、前記各予測距離範囲と該各予測距離範囲の自車位置側の隣接する予測距離範囲とに対応する各一対の時間帯の交通データを前記各分割予測距離範囲の時間帯の各時間間隔に合うように比例配分して前記分割交通データを設定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記予測距離範囲データ記憶手段(38)は、前記予測距離範囲データを地図メッシュ毎に記憶しており、前記予測距離範囲設定手段(23)は、自車位置が含まれる地図メッシュを検出し、検出された地図メッシュに対応する前記予測距離範囲データを読み出して、予測距離範囲を設定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記予測距離範囲設定手段(23)は、現在の自車位置を中心として、同心円状の前記各予測距離範囲を設定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記予測距離範囲設定手段(23)は、最も現在の前記自車位置に近い前記予測距離範囲に対し、前記現在時刻及び前記予測距離範囲に対応する時間帯の同期をとって、前記予測距離範囲データを補正することを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のナビゲーション装置(2)において、前記予測距離範囲データは、区域、季節、曜日、祝日又は連休期間毎に生成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項13に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置(2)と、前記ナビゲーション装置に経路情報を配信する経路情報配信手段(17)を有する情報配信センタ(3)と、を備えたナビゲーションシステム(1)において、前記ナビゲーション装置(2)は、自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段(23、27)と、前記情報配信センタから配信された前記経路情報を受信する受信手段(27)と、前記受信手段で受信した経路情報を表示装置(25)の地図上に表示するように制御する表示制御手段(23)と、を有し、前記情報配信センタ(3)は、車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段(18)と、各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段(19)と、前記ナビゲーション装置(2)から自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、前記予測距離範囲データに基づいて、前記自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段(10)と、前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲の境界部に該境界部を含む所定距離範囲を予測境界距離範囲として設定する予測境界距離範囲設定手段(10)と、前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを設定する境界部交通データ設定手段(10)と、前記各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の前記各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記交通データを用いると共に、前記各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された前記境界部交通データを用いて、前記自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段(10)と、前記探索手段によって探索した推奨経路を前記経路情報配信手段を介して該ナビゲーション装置に配信するように制御する配信制御手段(10)と、を有することを特徴とする。
【0019】
更に、請求項14に係るナビゲーションシステムは、車両に搭載されたナビゲーション装置(2)と、前記ナビゲーション装置に経路情報を配信する経路情報配信手段(17)を有する情報配信センタ(3)と、を備えたナビゲーションシステム(1)において、前記ナビゲーション装置(2)は、自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段(23、27)と、前記情報配信センタから配信された前記経路情報を受信する受信手段(27)と、前記受信手段で受信した経路情報を表示装置(25)の地図上に表示するように制御する表示制御手段(23)と、を有し、前記情報配信センタ(3)は、車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段(18)と、各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段(19)と、前記ナビゲーション装置から自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、前記予測距離範囲データに基づいて、前記自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段(10)と、前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定する分割予測距離範囲設定手段(10)と、前記各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて前記各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データを設定する分割交通データ設定手段(10)と、前記各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記分割交通データを用いて、前記自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段(10)と、前記探索手段によって探索した推奨経路を前記経路情報配信手段を介して該ナビゲーション装置に配信するように制御する配信制御手段(10)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、車両の予測距離範囲が、時間帯毎に予測される。また、各予測距離範囲の境界部には、該境界部を含む所定距離範囲の予測境界距離範囲が設定され、該境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データが設定される。そして、各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の交通データを用いると共に、各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された境界部交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路が探索される。
これにより、各予測距離範囲間に予測境界距離範囲を設定して、該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを各時間帯の交通データに基づいて設定することが可能となる。このため、時間帯に応じた交通データを経路探索に用いる際に、各予測距離範囲に対応する交通データの差が大きくなって不連続であっても、予測境界距離範囲でこの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯を精度よく予測できるので、的確な時間帯の交通データ及び境界部交通データを用いることが可能となり、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を予測できる。
【0021】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、予測境界距離範囲設定手段は、境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側にそれぞれ所定距離入った範囲を予測境界距離範囲として設定する。このため、予測境界距離範囲を一定範囲で迅速に設定して、各予測距離範囲間の交通データの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯を予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0022】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、予測境界距離範囲設定手段は、境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側に該各予測距離範囲の所定割合だけ入った範囲を予測境界距離範囲として設定する。このため、各予測距離範囲の距離範囲データの変化に合わせて予測境界距離範囲を変化させることが可能となり、各予測距離範囲間の交通データの不連続性をより的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯の予測精度の更なる向上を図ることができる。
【0023】
また、請求項4に係るナビゲーション装置では、境界部交通データ設定手段は、各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データの平均値を該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データとして設定する。このため、境界部交通データを迅速に設定して、各予測距離範囲間の交通データの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯を予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0024】
また、請求項5に係るナビゲーション装置では、車両の予測距離範囲が、時間帯毎に予測される。また、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲が設定され、該各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データが設定される。そして、各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の分割交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路が探索される。
これにより、各予測距離範囲毎に該各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定して、この各分割予測距離範囲に対応する分割交通データを各時間帯の交通データに基づいて設定することが可能となる。このため、時間帯に応じた交通データを経路探索に用いる際に、各予測距離範囲に対応する交通データの差が大きくなって不連続であっても、各分割予測距離範囲でこの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯を精度よく予測できるので、的確な時間帯の分割交通データを用いることが可能となり、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を予測できる。
【0025】
また、請求項6に係るナビゲーション装置では、分割予測距離範囲設定手段は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数の等時間間隔に分割して各分割予測距離範囲として設定する。このため、分割予測距離範囲を迅速に設定して、各予測距離範囲間の交通データの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯を予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0026】
また、請求項7に係るナビゲーション装置では、分割予測距離範囲設定手段は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定割合で所定個数に分割して各分割予測距離範囲として設定する。このため、各予測距離範囲を分割した各分割予測距離範囲の相互の割合を変化させることが可能となり、各予測距離範囲間の交通データの不連続性をより的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯の予測精度の更なる向上を図ることができる。
【0027】
また、請求項8に係るナビゲーション装置では、分割交通データ設定手段は、各予測距離範囲と該各予測距離範囲の自車位置側の隣接する予測距離範囲とに対応する各一対の時間帯の交通データを各分割予測距離範囲の時間帯の各時間間隔に合うように比例配分して前記分割交通データを設定する。このため、分割交通データを迅速に設定して、各予測距離範囲間の交通データの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯を予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
また、請求項9に係るナビゲーション装置では、予測距離範囲データを地図メッシュ毎に記憶する。このため、予測距離範囲設定手段は、自車位置が含まれる地図メッシュの予測距離範囲データを読み出せば良いので、例えば自車位置から所定距離内のリンクを検出し、そのリンクに対応する予測距離範囲データを逐次検索するよりも、処理を軽減することができる。
【0029】
また、請求項10に係るナビゲーション装置では、現在の自車位置を中心として、同心円状の各予測距離範囲が設定されるので、時間的変化に伴った予測距離範囲を算出して、各予測境界距離範囲又は各分割予測距離範囲を算出することができる。
また、請求項11に係るナビゲーション装置では、最も現在位置に近い予測距離範囲を、現在時刻及び予測距離範囲の時間帯の同期をとって、予測距離範囲データを補正する。このため、より正確に予測距離範囲を設定して、各予測境界距離範囲又は各分割予測距離範囲を設定することができるので、的確な時間帯の交通データを用いることができる。
【0030】
また、請求項12に係るナビゲーション装置では、予測距離範囲データは、区域、季節、曜日、祝日、連休期間等の要因毎に生成されている。このため、車両の現在位置から所定時間内に到達する距離範囲をより的確に算出して、各予測境界距離範囲又は各分割予測距離範囲を設定するすることができる。
【0031】
また、請求項13に係るナビゲーションシステムでは、ナビゲーション装置は、自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを情報配信センタに送信する。そして、情報配信センタでは、この送信された自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、該自車位置情報に基づいて車両の予測距離範囲が、時間帯毎に予測される。また、各予測距離範囲の境界部には、該境界部を含む所定距離範囲の予測境界距離範囲が設定され、該境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データが設定される。そして、各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の交通データを用いると共に、各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された境界部交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索し、この探索した推奨経路を該ナビゲーション装置に配信する。その後、ナビゲーション装置は、この受信した推奨経路を表示装置の地図上に表示する。
これにより、情報配信センタは、各予測距離範囲間に予測境界距離範囲を設定して、該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを各時間帯の交通データに基づいて設定することが可能となる。このため、時間帯に応じた交通データを経路探索に用いる際に、各予測距離範囲に対応する交通データの差が大きくなって不連続であっても、予測境界距離範囲でこの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯を精度よく予測できるので、的確な時間帯の交通データ及び境界部交通データを用いることが可能となり、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測して経路探索を行うことができる。また、情報配信センタが、自車位置から目的地までの経路探索を行うため、ナビゲーション装置の処理負荷の軽減化を図ることができる。
【0032】
更に、請求項14に係るナビゲーションシステムでは、ナビゲーション装置は、自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを情報配信センタに送信する。そして、情報配信センタでは、この送信された自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、該自車位置情報に基づいて車両の予測距離範囲が、時間帯毎に予測される。また、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲が設定され、該各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データが設定される。そして、各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の分割交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索し、この探索した推奨経路を該ナビゲーション装置に配信する。その後、ナビゲーション装置は、この受信した推奨経路を表示装置の地図上に表示する。
これにより、情報配信センタは、各予測距離範囲毎に該各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定して、この各分割予測距離範囲に対応する分割交通データを各時間帯の交通データに基づいて設定することが可能となる。このため、時間帯に応じた交通データを経路探索に用いる際に、各予測距離範囲に対応する交通データの差が大きくなって不連続であっても、各分割予測距離範囲でこの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯を精度よく予測できるので、的確な時間帯の分割交通データを用いることが可能となり、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測して経路探索を行うことができる。また、情報配信センタが、自車位置から目的地までの経路探索を行うため、ナビゲーション装置の処理負荷の軽減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係るナビゲーション装置及びナビゲーションシステムについて具体化した実施例1乃至実施例4に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
先ず、実施例1に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は実施例1に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0035】
図1に示すように実施例1に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報、後述の予測距離範囲データとしてのスライス幅データ380(図4参照)や交通データ390(図5参照)を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0036】
また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞を通過するのに要する所要時間、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0037】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報DB15と、センタ側交通情報DB16と、センタ側通信装置17と、スライス幅データ380を格納するスライス幅DB18と、交通データ390を格納する交通DB19とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、後述のナビゲーション装置2からの要求に基づいて自車位置情報と目的地情報とに基づいて推奨経路の探索を行い、ナビゲーション装置2に対して推奨経路を配信する経路探索処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0038】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0039】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データや経路データ48(図3参照)等から構成されている。
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。また、10km×10kmで区画された各2次メッシュ(以下、「メッシュ」という。)には、メッシュID380A(図4参照)がそれぞれ付されている。
【0040】
また、図3に示すように、経路データ48は、全国を各区域に区画したリージョン毎のデータであって、ヘッダ48A、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ48B、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ48C、経路を探索するためのリンクコスト48D、ノードやリンクの座標を示す座標データ48E、バージョン48F等から構成されている。また、経路データ48には、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等が含まれている。
【0041】
このヘッダ48Aは、全国を区画した区域としてのメッシュのID番号等が格納されている。
また、ノードデータ48Bとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0042】
また、リンクデータ48Cとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0043】
また、リンクコスト48Dとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクの距離、道幅、道路種別等によって決定される各ノードの重み付け(以下、「コスト」という。)を算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成され、固定値である。
【0044】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26によって出力するための音声出力データも記録される。
【0045】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。具体的には、実施例1に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2から更新用地図情報14Aの配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報をナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される更新情報としては、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aの新設道路を特定するための新設道路情報を含む全情報を送信することとしても良いし、現在のナビゲーション装置に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の必要最小限の情報(新設道路を特定するための新設道路情報を含む更新部分の情報のみ)を送信することとしても良い。
【0046】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0047】
また、センタ側交通情報DB16には、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。また、このセンタ側交通情報DB16には、過去に作成された道路の渋滞等に関する統計的交通情報である統計交通情報16Bが格納されている。この統計交通情報16Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。更に、センタ側交通情報DB16には、現況交通情報16A及び統計交通情報16Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約30分間毎、約1時間毎、約2時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報16Cが格納されている。
【0048】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報16A、統計交通情報16B、及び予測交通情報16Cに基づいて各交差点間の交通情報等を選択して配信する。
【0049】
また、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0050】
ここで、センタ側地図情報DB14に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、各道路(リンク)に識別番号として付与される道路リンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション装置2のように変換テーブルを有するものである場合には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ(VICS)5からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。
ところが、ナビゲーション装置2が変換テーブルを有するものでない場合には、VICSリンクIDに基づいて道路の区間を特定することができなくなってしまう。そこで、センタ側交通情報DB16には、この変換テーブルも格納されている。これにより、VICSリンクIDをナビゲーション装置2において使用されている道路リンクIDに変換して、交通情報を送信することができる。
【0051】
また、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2から配信要求があったタイミングで、スライス幅データベース(スライス幅DB)18に格納されているスライス幅データ380を配信する。
ここで、スライス幅データ380について図4に基づいて説明する。図4は、スライス幅DB18に格納されるスライス幅データ380のデータ構造を説明する説明図である。
図4に示すように、スライス幅データ380は、メッシュID380A、季節380B、曜日380C、距離範囲としてのスライス幅380Dから構成されている。上記の通りメッシュID380Aは、全国を10km四方に区画した各メッシュに割り当てられたIDである。このメッシュID380Aの下位のデータは、季節380Bとなっている。季節380Bは、スライス幅データ380を春・夏・秋・冬・長期連休に分けている。さらに下位にある曜日380Cは、各曜日と、祝日とからなる。
【0052】
また、スライス幅380Dは、メッシュ毎に記憶されており、そのメッシュにおいて、所定時間としての15分の間に自動車が走行可能な距離範囲を予測したデータであって、15分間の時間帯毎に、24時間分のデータが記憶されている。即ち、各スライス幅380Dは、メッシュID380A(地域性)、季節380B、曜日380C、時間帯の要因が加味された予測データであって、実施例1では、情報配信センタ3により、VICS信号や、各自動車から収集したプローブ情報に基づいて統計処理されたデータである。例えば、メッシュに含まれる各リンクに対応するVICS信号、プローブ情報から、メッシュ内のリンク全ての平均車速を算出し、平均車速に所定時間(15分)を乗じた距離をそのメッシュのスライス幅380Dとする。
【0053】
また、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、交通データベース(交通DB)19に格納されている交通データ390を配信する。
ここで、交通データ390について図5に基づいて説明する。図5は、交通DB19に格納される交通データ390のデータ構造を説明する説明図である。
図5に示すように、交通データ390は、例えばメッシュID380A毎に生成されるとともに、時間帯390B毎に、各リンクのリンクID390Aに対するリンクコスト390Cを有している。時間帯390Bは、15分毎に設定され、スライス幅データ380で設定した時間帯(例えば「0:00」〜「0:14」等)と同じ区切りになっている。
また、このリンクコスト390Cは、その時間帯390Bにおいて、そのリンクを通過する際にかかる平均旅行時間を示すデータであって、例えば「3(min)」等になっている。つまり、経路データ48のリンクコスト48Dは、リンクの長さ、道路幅等に基づく、時間帯390Bを加味していないコストである。交通データ390のリンクコスト390Cは、各時間帯390Bの交通状況を反映したコストであって、各リンクコスト390Cを基準リンクコスト(例えば、「2min」である。)で除算した数値に、経路データ48のリンクコスト48Dを加算する等して、新たなリンクコストLCを生成するためのデータである。
【0054】
尚、情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、道路交通情報センタ(VICS)5が運営していてもよい。
【0055】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0056】
次に、実施例1に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は実施例1に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0057】
図2に示すように実施例1に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS)5や情報配信センタ3等との間で通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0058】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0059】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0060】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0061】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0062】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報DB36、ナビ側地図情報DB37、スライス幅DB38、交通DB39及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、実施例1においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0063】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、道路交通情報センタ(VICS)5から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報から作成した現況交通情報36Aが格納される。また、ナビ側交通情報DB36には、過去に作成された道路の渋滞等に関する統計的交通情報である統計交通情報36Bが格納されている。この統計交通情報36Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。更に、ナビ側交通情報DB36には、現況交通情報36A及び統計交通情報36Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約30分間毎、約1時間毎、約2時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報36BCが格納されている。
【0064】
また、ナビ側地図情報DB37には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報37Aが格納されている。ここで、ナビ地図情報37Aには、更新用地図情報14Aと同様に経路案内及び地図表示に必要な地図表示データや経路データ48(図3参照)等の各種情報から構成されており、例えば、図3に示すように、経路データ48は、全国を各区域に区画したリージョン毎のデータであって、ヘッダ48A、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ48B、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ48C、経路を探索するためのリンクコスト48D、ノードやリンクの座標を示す座標データ48E、バージョン48F等から構成されている。
尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。
そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0065】
また、スライス幅DB38には、情報配信センタ3による更新対象となる上述のスライス幅データ380(図4参照)が格納されている。また、交通DB19には、情報配信センタ3による更新対称となる上述の交通データ390(図5参照)が格納されている。
そして、スライス幅DB38に格納されるスライス幅データ380と、交通DB39に格納される交通データ390との各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0066】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した交通情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の予測距離範囲及び予測境界距離範囲を設定して、自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理プログラム(図6参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0067】
また、実施例1においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0068】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0069】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0070】
また、液晶ディスプレイ25には、後述のようにナビ地図情報37Aに基づく地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0071】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0072】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報、スライス幅データ380や交通データ390等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ(VICS)等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0073】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が、予測距離範囲及び予測境界距離範囲等を設定して、自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理について図6乃至図11に基づいて説明する。図6は実施例1に係るナビゲーション装置2が実行する自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理を示すフローチャートである。
尚、図6にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0074】
図6に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、ROM43に記憶された経路案内処理プログラムに従って、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24の入力操作等による、目的地の設定を待機する(S11:NO)。
そして、目的地が入力されたと判断すると(S11:YES)、CPU41は、その目的地の座標等をRAM42に一時格納する。
続いて、S12において、CPU41は、現在位置検出処理部21により自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する。そして、CPU41は、車両の現在位置を含む地図データをナビ地図情報37Aから読み出し、地図データに基づいて自車位置が含まれるメッシュを検出し、そのメッシュのメッシュID380Aを取得する。
【0075】
そして、S13において、CPU41は、タイマ45の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の季節380B、曜日380C、時間帯の要因を特定する。
また、S14において、CPU41は、メッシュID380A、季節380B、曜日380C、時間帯の要因を特定すると、メッシュID380Aが紐付けされたスライス幅データ380を読出し、そのスライス幅データ380に基づき、4つのスライス幅380Dを時系列的に決定する。
【0076】
例えば、季節380Bが「春」、曜日380Cが「月曜日」、現在時刻が10時15分〜10時29分に含まれる時刻であった場合、CPU41は、図4に示すスライス幅データ380のうち、「10時15分〜10時29分」のスライス幅380Dを読み出す。例えば、このスライス幅380Dは「6.0km」であって、このメッシュでは、車両の走行可能な距離範囲が、15分間で約6kmであることを示している。
次に、CPU41は、2番目のスライス幅380Dとして、同じメッシュID380A、季節380B、曜日380Cの「10時30分〜10時44分」のスライス幅380Dを読み出す。このとき読み出されるスライス幅380Dは、「10時15分〜10時29分」の間に車両が進行した位置から、「10時30分〜10時44分」に車両が到達する距離範囲を示したデータであって、例えば「5.6km」である。
【0077】
また、CPU41は、3番目、4番目のスライス幅380Dとして、同じメッシュID380A、季節380B、曜日380Cの「10時45分〜10時59分」、「11時0分〜11時14分」のスライス幅380Dである「6.3km」、「5.8km」をそれぞれ読み出す。これにより、「10時15分〜10時29分」、「10時30分〜10時44分」、「10時45分〜10時59分」、「11時0分〜11時14分」の連続する4つの各時間帯内において、車両が進行する距離を予測したスライス幅380Dを取得する。
【0078】
次に、S15において、CPU41は、1番目のスライス幅380Dを補正する。上記したように、1番目のスライス幅380Dは、「10時15分〜10時29分」の15分間に車両が進行する距離を予測している。従って、現在時刻が例えば「10時20分」であった場合、上記の時間帯の終端時刻「10時29分」までの時間(「10時20分」〜「10時29分」までの10分間)に応じて、スライス幅380Dを再計算する。つまり、「10時15分〜10時29分」の15分間の走行予測距離が「6.0km」であるとすると、10分間では「4.0km」になるので、1番目のスライス幅380Dを「4.0km」に補正し、補正したスライス幅380DをRAM42に記憶する。
【0079】
そして、S16において、CPU41は、4つのスライス幅380Dを使用して、予測距離範囲としての各円形エリアを設定する。
先ず、CPU41は、図7に示すように、現在の自車位置50を中心に、RAM42に記憶した1番目のスライス幅380Dを用いて、第1円形エリア51を設定する。補正した1番目のスライス幅380Dは「4.0km」であるので、第1円形エリア51は、自車位置50から半径「4.0km」の円形をなしている。この第1円形エリア51内は、車両が「10時20分〜10時29分」内に到達する予測距離範囲である。
続いて、CPU41は、第1円形エリア51の円周から、2番目のスライス幅380D(「5.6km」)だけ離れた、第2円形エリア52を設定する。この第2円形エリア52は、車両が「10時30分〜10時44分」内に到達する予測距離範囲である。
【0080】
更に、CPU41は、3番目及び4番目の各スライス幅380Dに基づき、第2円形エリア52の円周から、3番目のスライス幅380D(「6.3km」)だけ離れた第3円形エリア53、第3円形エリア53の円周から、4番目のスライス幅380D(「5.8km」)だけ離れた第4円形エリア54を設定する。第3円形エリア53は、車両が「10時45分〜10時59分」に到達する位置を予測した予測距離範囲、第4円形エリア54は、「11時0分〜11時14分」の予測距離範囲である。その結果、現在の自車位置50を中心に、同心円状に、各円形エリア51〜54が設定される。
【0081】
次に、図6に示すように、S17において、CPU41は、設定された各予測距離範囲の境界部に該境界部を含む所定距離範囲を予測境界距離範囲として設定する。即ち、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例1では、約500mである。)離れた各境界エリアを設定する。
先ず、CPU41は、図8に示すように、第1円形エリア51から自車位置50を中心とする半径方向内側に500m離れた第1内側境界エリア51Aを設定する。また、CPU41は、第1円形エリア51から自車位置50を中心とする半径方向外側に500m離れた第1外側境界エリア51Bを設定する。この第1内側境界エリア51Aと第1外側境界エリア51Bとによって挟まれた領域内は予測境界距離範囲である。
【0082】
また、CPU41は、第2円形エリア52から自車位置50を中心とする半径方向内側に500m離れた第2内側境界エリア52Aを設定する。また、CPU41は、第2円形エリア52から自車位置50を中心とする半径方向外側に500m離れた第2外側境界エリア52Bを設定する。この第2内側境界エリア52Aと第2外側境界エリア52Bとによって挟まれた領域内は予測境界距離範囲である。
続いて、CPU41は、第3円形エリア53から自車位置50を中心とする半径方向内側に500m離れた第3内側境界エリア53Aを設定する。また、CPU41は、第3円形エリア53から自車位置50を中心とする半径方向外側に500m離れた第3外側境界エリア53Bを設定する。この第3内側境界エリア53Aと第3外側境界エリア53Bとによって挟まれた領域内は予測境界距離範囲である。
【0083】
更に、CPU41は、第4円形エリア54から自車位置50を中心とする半径方向内側に500m離れた第4内側境界エリア54Aを設定する。この第4内側境界エリア54Aと第4円形エリア54とによって挟まれた領域内は予測境界距離範囲である。
この結果、現在の自車位置50を中心に、同心円状に、各境界エリア51A〜54Aが設定され、各円形エリア51〜53の半径方向両側及び第4円形エリア54の半径方向内側に予測境界距離範囲が設定される。
【0084】
また、図6に示すように、S18において、CPU41は、各円形エリア51〜54に対応する時間帯に基づき、交通DB39内の交通データ390を検索する。
先ず、CPU41は、現在の自車位置50が含まれるメッシュのメッシュIDが対応付けられた交通データ390を検索する。該当する交通データ390を検出すると、まず第1円形エリア51内のリンクに対応するリンクコスト390Cを読み出す。第1円形エリア51は、ここでは「10時20分〜10時29分」までに車両が到達する予測距離範囲であるため、「10時20分〜10時29分」の上記時間帯390Bに対応するリンクコスト390Cを検出する。
【0085】
また、CPU41は、第2円形エリア52内のリンクに対応する交通データ390を検出し、その交通データ390内のリンクコスト390Cを読み出す。図8に示すように、第2円形エリア52に含まれるメッシュは、それぞれ異なるが、各メッシュ毎に、交通データ390を検索する。そして、各交通データ390のうち、「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cであって、そのうち第2円形エリア52に含まれるリンクのリンクコスト390Cを読み出す。
同様に、第3〜第4円形エリア53〜54に含まれるリンクに対しても、各メッシュ毎の「10時45分〜10時59分」、「11時0分〜11時14分」の各交通データ390のリンクコスト390Cを読み出す。
【0086】
続いて、S19において、CPU41は、各境界エリア51A〜54Aに基づいて、各円形エリア51〜54に対応する時間帯に基づき、交通DB39内の交通データ390を検索し、各円形エリア51〜53の半径方向両側及び第4円形エリア54の半径方向内側に設定される各予測境界距離範囲内のリンクに対応するリンクコストを補完する境界エリア補完処理を実行する。
先ず、CPU41は、上記S18で読み出した第1円形エリア51の「10時20分〜10時29分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cと、第2円形エリア52の「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cを読み出し、この各リンクコスト390Cの平均値を算出する。そして、この各リンクコスト390Cの平均値を、第1内側境界エリア51Aと第1外側境界エリア51Bによって挟まれた領域(以下、「第1予測境界距離範囲71」という。)内のリンクのリンクコスト(以下、「第1平均リンクコスト390C」という。)としてRAM42に記憶する。
【0087】
また、CPU41は、上記S18で読み出した第2円形エリア52「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cと、第3円形エリア53の「10時45分〜10時59分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cとを読み出し、この各リンクコスト390Cの平均値を算出する。そして、この各リンクコスト390Cの平均値を、第2内側境界エリア52Aと第2外側境界エリア52Bによって挟まれた領域(以下、「第2予測境界距離範囲72」という。)内のリンクのリンクコスト(以下、「第2平均リンクコスト390C」という。)としてRAM42に記憶する。
また、CPU41は、上記S18で読み出した第3円形エリア53の「10時45分〜10時59分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cと、第4円形エリア54の「11時0分〜11時14分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cとを読み出し、この各リンクコスト390Cの平均値を算出する。そして、この各リンクコスト390Cの平均値を、第3内側境界エリア53Aと第3外側境界エリア53Bによって挟まれた領域(以下、「第3予測境界距離範囲73」という。)内のリンクのリンクコスト(以下、「第3平均リンクコスト390C」という。)としてRAM42に記憶する。
【0088】
更に、CPU41は、上記S18で読み出した第4円形エリア54の「11時0分〜11時14分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cと、この第4円形エリア54の「11時0分〜11時14分」の時間帯390Bの次の時間帯である「11時15分〜11時29分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cとを読み出し、この各リンクコスト390Cの平均値を算出する。そして、この各リンクコスト390Cの平均値を、第4内側境界エリア53Aと第4円形エリア54によって挟まれた領域(以下、「第4予測境界距離範囲74」という。)内のリンクのリンクコスト(以下、「第4平均リンクコスト390C」という。)としてRAM42に記憶する。
【0089】
例えば、図8に示されるリンクPについては、第1円形エリア51の「10時20分〜10時29分」の時間帯390Bのリンクコスト「5min」と、第2円形エリア52の「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト「15min]との平均値「10min」が第1平均リンクコスト390CとしてRAM42に記憶される。
また、図8に示されるリンクQについては、第2円形エリア52の「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト「7min」と、第3円形エリア52の「10時45分〜10時59分」の時間帯390Bのリンクコスト「20min]との平均値「13.5min」が第2平均リンクコスト390CとしてRAM42に記憶される。
【0090】
次に、図6に示すように、S20において、CPU41は、上記S18で読み出した各円形エリア51〜54の各リンクコスト390Cと、上記S19でRAM42に記憶した第1平均リンクコスト390C、第2平均リンクコスト390C、第3平均リンクコスト390C、第4平均リンクコスト390Cと、それらの各リンクコスト390Cと同じリンクに対応している、経路データ48のリンクコスト48Dとを用いて、新たなリンクコストLCを算出する。例えば、各リンクコスト390Cを基準リンクコスト(例えば、「2min」である。)で除算した数値にリンクコスト48Dを加算する等して、リンクコストLCを生成し、そのリンクコストLCを、RAM42に一時記憶する。
【0091】
そして、各円形エリア51〜54の各予測境界距離範囲71、72、73、74を除く領域、第1予測境界距離範囲71、第2予測境界距離範囲72、第3予測境界距離範囲73、第4予測境界距離範囲74に含まれる各リンクに対するリンクコストLCを生成すると、CPU41は、S21の処理に移行する。
S21において、CPU41は、リンクコストLCを用いて、現在の自車位置から、RAM42に記憶された目的地の座標までの経路をダイクストラ法等によって探索する。
【0092】
このとき、CPU41は、図9に示すように、自車位置50を中心とする第4円形エリア54内の領域及び目的地周辺領域58(例えば30km四方の領域)において、細道路まで含むレベルの経路データ48を用いる。そして、第4円形エリア54から目的地周辺領域58までの間は、そのレベルよりも上位であって、国道等の主要道路を含むレベルの経路データ48を用いる。
また、上記S18で読み出した各円形エリア51〜54の各リンクコスト390Cと、上記S19でRAM42に記憶した第1平均リンクコスト390C、第2平均リンクコスト390C、第3平均リンクコスト390C、第4平均リンクコスト390Cは、各円形エリア51〜54の各予測境界距離範囲71、72、73、74を除く領域、第1予測境界距離範囲71、第2予測境界距離範囲72、第3予測境界距離範囲73、第4予測境界距離範囲74に含まれる各リンクのリンクコストであるため、目的地周辺領域58内、及び、第4円形エリア54から目的地周辺領域58までの間は、経路データ48内のリンクコスト48Dのみを用いて、目的地55までの推奨経路をダイクストラ法等によって探索することになる。
【0093】
従って、自車位置50を中心とする第4円形エリア54内では、現時点で予測された、約60分先までの交通データ390が加味されているため、現時点では発生していないが、これから発生する渋滞を予測できる。例えば、図9に示すように、現在時刻(「10時20分」)では渋滞が発生していなくても、車両通過時(例えば「11時0分〜11時14分」)に、ラッシュ時等の自然渋滞の発生が予測される渋滞予測道路56を検出することができる。これにより、CPU41は、その渋滞予測道路56を回避した経路を探索することができる。このため、例えば、自車位置50と目的地55とを接続する第1経路R1と、渋滞予測道路56を含む第2経路R2とが探索された場合、渋滞予測道路56のリンクコストLCの大きさに応じて、渋滞予測道路56を回避した第1経路R1を推奨経路として算出することができる。
【0094】
逆に、図10に示すように、自車位置50から目的地55に向かう第1経路R1に、現時点(「10時20分」)でラッシュ時等による渋滞が発生している渋滞発生道路57があっても、車両通過時(例えば「11時0分〜11時14分」)にその渋滞の解消が予測されることがある。この場合、渋滞発生道路57を含む第1経路R1に対応するリンクコストLCが小さく、経路として適している際には、現時点で渋滞が発生していないが時間がかかる第2経路R2を選択せず、現時点で渋滞が発生しているが、通過時に解消が予測される第1経路R1を選択することができる。
【0095】
そして、推奨経路が探索されると、CPU41は、目的地までの所要時間を演算し、RAM42に一時記憶後、S22の処理に移行する。
図6に示すように、S22において、CPU41は、探索経路を液晶ディスプレイ25に表示して、経路案内を行う。
その結果、例えば、図11に示すような案内画面60が液晶ディスプレイ25に表示される。案内画面60には、自車位置50から目的地までの地図である地図画像61に、車両位置マーク62及び目的地マーク63と、各マーク62、63を接続する誘導経路(推奨経路)64が太い青線で重畳されている。また、このとき、スピーカ26から経路を案内する案内音声を出力してもよい。
【0096】
続いて、図6に示すように、S23において、CPU41は、推奨経路の案内を行いながら、第4円形エリア54を越えたか否かを判定する判定処理を実行する。そして、第4円形エリア54を越えていないと判定した場合には(S23:YES)、CPU41は、S24の処理に移行する。S24において、CPU41は、案内を終了するか否かを判定する判定処理を実行する。尚、実施例1では、車両が目的地に到着したか否か、又は、操作スイッチやタッチパネル等の操作部24により、経路案内中止の操作が行われたか否かを判定する。
そして、案内終了でないと判定した場合には(S24:NO)、CPU41は、再度S22以降の処理を実行して、経路案内を続行する。
一方、S23で第4円形エリア54を越えたと判定した場合には(S23:NO)、CPU41は、再度S12以降の処理を実行し、現在の自車位置が含まれるメッシュを検出し、上記した処理を繰り返す。そして、車両通過時の交通状況を予測しながら、経路を探索し、探索された経路を案内する。
他方、S24で目的地に到着、又は案内中止の入力操作が操作部24を介して行われた場合には(S24:YES)、CPU41は案内終了であると判定し、経路案内を終了して、当該処理を終了する。
【0097】
以上詳細に説明した通り、実施例1に係るナビゲーション装置2では、車両の現在位置から15分毎に到達する距離範囲(予測距離範囲)が各円形エリア51〜54として時間帯毎に、時系列的に予測される(S11〜S16)。また、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例1では、約500mである。)だけ離れた各境界エリア51A〜54Aが設定され、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74が設定される(S17)。また、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cに基づいて、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cが設定される(S18〜S19)。そして、各円形エリア51〜54の各予測境界距離範囲71、72、73、74を除く領域、第1予測境界距離範囲71、第2予測境界距離範囲72、第3予測境界距離範囲73、第4予測境界距離範囲74に含まれる各リンクに対するリンクコストLCがそれぞれ設定される(S20)。そして、CPU41は、リンクコストLCを用いて、現在の自車位置から、RAM42に記憶された目的地の座標までの推奨経路を探索して、経路案内を行い、第4円形エリア54を超えると、各円形エリア51〜54及び各境界エリア51A〜54Aが再設定される(S21〜S24)。
【0098】
従って、ナビゲーション装置2では、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例1では、約500mである。)離れた各境界エリア51A〜54Aを設定して、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74を設定し、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cに基づいて、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを設定することが可能となる。このため、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの差が大きくなって不連続であっても、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74内の各リンクに対して第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを設定することによって、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74内で各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを精度よく予測できるので、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測できる。
【0099】
また、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例1では、約500mである。)離れた各境界エリア51A〜54Aを設定するため、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0100】
また、各円形エリア51〜54のうちの隣接するエリアの各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの平均値を、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cとして設定するため、第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを予測する処理時間の更なる短縮化を図ることができる。
【0101】
また、CPU41は、現在時刻と第1円形エリア51に対応する時間帯との同期をとって、スライス幅380Dを短く補正するようにした。このため、より正確に第1円形エリア51を設定することができるので、第2〜第4円形エリア52〜54の精度を向上することができる。
更に、スライス幅データ380は、メッシュ380A、季節380B、曜日380C、時間帯の要因毎にスライス幅380Dを有するようにした。このため、地域性、時期的要因、時間的要因をスライス幅380Dに加味することができるので、スライス幅380Dの精度を向上することができる。
【実施例2】
【0102】
次に、実施例2に係るナビゲーション装置について図12乃至図14に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図6の実施例1に係るナビゲーションシステム1の構成と同一符号は、前記実施例1に係るナビゲーションシステム1の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0103】
この実施例2に係るナビゲーション装置2の概略構成は、実施例1に係るナビゲーション装置2とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も実施例1に係るナビゲーション装置2とほぼ同じ制御処理である。
ただし、図12に示すように、実施例2に係るナビゲーション装置2は、自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理のS47〜S49において、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分する点で、前記実施例1に係るナビゲーション装置2と異なっている。
【0104】
ここで、実施例2に係るナビゲーション装置2のCPU41が実行する 自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理について図12乃至図14に基づいて説明する。図12は実施例2に係るナビゲーション装置2が実行する自車位置から目的地までの誘導経路を探索して地図上に表示する経路案内処理を示すフローチャートである。
尚、図12にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0105】
図12に示すように、S41乃至S46において、CPU41は、上記S11乃至S16の処理を実行する。
そして、S47において、CPU41は、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して、各分割円形エリアを設定する。
例えば、図13に示すように、第1円形エリア51は、自車位置50から半径「4.0km」の円形をなしているため、自車位置50から車両が5分で到達する距離、即ち、「10時20分〜10時24分」内に到達する距離は、自車位置から「2km」であるので、CPU41は、自車位置から半径「2km」の第1分割円形エリア501を設定する。この第1分割円形エリア501内は、車両が「10時20分〜10時24分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第1分割円形エリア501と第1円形エリア51とで挟まれた領域は、車両が「10時25分〜10時29分」内に到達する分割予測距離範囲である。
【0106】
また、第1円形エリア51の円周から第2円形エリア52までの距離は、「5.6km」であることから、車両が第1円形エリア51の円周から半径方向5分で到達する距離は、「約1.9km」であるので、CPU41は、第1円形エリア51の円周から「約1.9km」だけ離れた、第2分割円形エリア511を設定する。また、第1円形エリア51の円周から「約3.8km」だけ離れた、第3分割円形エリア512を設定する。この第1円形エリア51と第2分割円形エリア511とで挟まれた領域は、車両が「10時30分〜10時34分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第2分割円形エリア511と第3分割円形エリア512とで挟まれた領域は、車両が「10時35分〜10時39分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第3分割円形エリア512と第2円形エリア52で挟まれた領域は、車両が「10時40分〜10時44分」内に到達する分割予測距離範囲である。
【0107】
また、第2円形エリア52の円周から第3円形エリア53までの距離は、「6.3km」であることから、車両が第2円形エリア52の円周から半径方向5分で到達する距離は、「約2.1km」であるので、CPU41は、第2円形エリア52の円周から「約2.1km」だけ離れた、第4分割円形エリア521を設定する。また、第2円形エリア52の円周から「約4.2km」だけ離れた、第5分割円形エリア522を設定する。この第2円形エリア52と第4分割円形エリア521とで挟まれた領域は、車両が「10時45分〜10時49分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第4分割円形エリア521と第5分割円形エリア522とで挟まれた領域は、車両が「10時50分〜10時54分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第5分割円形エリア522と第3円形エリア53で挟まれた領域は、車両が「10時55分〜10時59分」内に到達する分割予測距離範囲である。
【0108】
更に、第3円形エリア53の円周から第4円形エリア54までの距離は、「5.8km」であることから、車両が第3円形エリア53の円周から半径方向5分で到達する距離は、「約1.9km」であるので、CPU41は、第3円形エリア53の円周から「約1.9km」だけ離れた、第6分割円形エリア531を設定する。また、第3円形エリア53の円周から「約3.8km」だけ離れた、第7分割円形エリア532を設定する。この第3円形エリア53と第6分割円形エリア531とで挟まれた領域は、車両が「11時00分〜11時05分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第6分割円形エリア531と第7分割円形エリア532とで挟まれた領域は、車両が「11時05分〜11時09分」内に到達する分割予測距離範囲である。また、第7分割円形エリア532と第4円形エリア54で挟まれた領域は、車両が「11時10分〜11時14分」内に到達する分割予測距離範囲である。
【0109】
次に、図12に示すように、S48において、CPU41は、交通DB39内の交通データ390を読み出し、該交通データ390の各時間帯390Bを3等分して各時間帯391Bを設定すると共に、これに伴って、時系列的に隣接する各リンクコスト390Cをこの3等分した各時間帯391Bの時間間隔に合わせて比例配分した各リンクコスト391Cから構成される分割交通データ391を作成してRAM42に記憶する。
【0110】
例えば、図14に示すように、分割交通データ391は、交通データ390に対応する各メッシュID380A毎に設定されるとともに、時間帯391B毎に、各リンクのリンクID391Aに対するリンクコスト391Cを有している。この時間帯391Bは、交通データ390の各時間帯390Bを3等分する5分毎に設定され、スライス幅データ380で設定した時間帯(例えば、「0:00」〜「0:14」等)を3等分した区切り(例えば、「0:00」〜「0:04」、「0:05〜0:09」、「0:10〜0:14」等)になっている。
また、このリンクコスト391Cは、その時間帯391Bにおいて、そのリンクを通過する際にかかる平均旅行時間を示すデータであって、交通データ390の隣接する各時間帯390に対応するリンクコスト390Cを、この3等分した各時間帯391Bの時間間隔に合わせて比例配分したものである。
【0111】
例えば、図5に示すように、交通データ390のリンクPについて、「10時15分〜10時29分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cが「5min」で、「10時30分〜10時44分」の時間帯390Bのリンクコスト390Cが「15min」の場合には、リンクコスト390Cの差分「10min」が「3.3min」、「3.4min」、「3.3min」とほぼ3等分されて、リンクコスト390C「5min」に順次加算されて比例配分される。従って、図14に示すように、当該分割交通データ391のリンクPについて、「10時15分〜10時19分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cは「5min」で、「10時20分〜10時24分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cは「8.3min」で、「10時25分〜10時29分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cは「11.7min」で、「10時30分〜10時34分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cは「15min」に設定されて、RAM42に記憶される。
【0112】
続いて、図12に示すように、S49において、CPU41は、各分割円形エリア501、511〜532、及び各円形エリア51〜54に対応する時間帯に基づきRAM42に記憶した分割交通データ391を検索する。
先ず、CPU41は、現在の自車位置50が含まれるメッシュのメッシュIDが対応付けられた分割交通データ391を検索する。該当する分割交通データ391を検出すると、まず第1分割円形エリア501内のリンクに対応するリンクコスト391Cを読み出す。図13に示すように、第1分割円形エリア501は、ここでは「10時20分〜10時24分」までに車両が到達する予測距離範囲であるため、「10時20分〜10時24分」の上記時間帯391Bに対応するリンクコスト391Cを検出する。
【0113】
また、CPU41は、第1円形エリア51内のリンクに対応する分割交通データ391を検出し、その分割交通データ391内のリンクコスト391Cを読み出す。図13に示すように、第1円形エリア51は、ここでは「10時25分〜10時29分」までに車両が到達する予測距離範囲であるため、「10時25分〜10時29分」の上記時間帯391Bに対応するリンクコスト391Cを検出する。
また、CPU41は、第2分割円形エリア511内に含まれるメッシュは、それぞれ異なるが、各メッシュ毎に、分割交通データ391を検索する。そして、各分割交通データ391のうち、「10時30分〜10時34分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cであって、そのうち第2分割円形エリア511に含まれるリンクのリンクコスト391Cを読み出す。
【0114】
また、CPU41は、第3分割円形エリア512内に含まれるメッシュは、それぞれ異なるが、各メッシュ毎に、分割交通データ391を検索する。そして、各分割交通データ391のうち、「10時35分〜10時39分」の時間帯391Bのリンクコスト391Cであって、そのうち第3分割円形エリア512に含まれるリンクのリンクコスト391Cを読み出す。
同様に、第2円形エリア52、第4分割円形エリア521、第5分割円形エリア522、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54に含まれる各リンクに対しても、各メッシュ毎の「10時45分〜10時49分」、「10時50分〜10時54分」、「10時55分〜10時59分」、・・・、「11時05分〜11時09分」、「11時10分〜11時14分」の各分割交通データ391のリンクコスト391Cを読み出す。
【0115】
例えば、図13に示されるリンクPについては、第1円形エリア51の「10時25分〜10時29分」の時間帯391Bのリンクコスト「11.7min」がリンクコスト391Cとして分割交通データ391から読み出される。
また、図13に示されるリンクQについては、第4分割円形エリア521の「10時45分〜10時49分」の時間帯391Bのリンクコスト「20min」がリンクコスト391Cとして分割交通データ391から読み出される。
【0116】
次に、図12に示すように、S50において、CPU41は、この読み出した各リンクコスト391Cと、同じリンクに対応している、経路データ48のリンクコスト48Dとを用いて、新たなリンクコストLCを算出する。例えば、各リンクコスト391Cを基準リンクコスト(例えば、「2min」である。)で除算した数値にリンクコスト48Dを加算する等して、リンクコストLCを生成し、そのリンクコストLCを、RAM42に一時記憶する。
【0117】
そして、第1分割円形エリア501、第1円形エリア51、第2分割円形エリア511、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54に含まれる各リンクに対するリンクコストLCを生成すると、CPU41は、S51の処理に移行する。
S51において、CPU41は、リンクコストLCを用いて、現在の自車位置から、RAM42に記憶された目的地の座標までの経路をダイクストラ法等によって探索する。
【0118】
このとき、CPU41は、図9に示すように、自車位置50を中心とする第4円形エリア54内の領域及び目的地周辺領域58(例えば30km四方の領域)において、細道路まで含むレベルの経路データ48を用いる。そして、第4円形エリア54から目的地周辺領域58までの間は、そのレベルよりも上位であって、国道等の主要道路を含むレベルの経路データ48を用いる。
また、リンクコスト391Cは、第1分割円形エリア501、第1円形エリア51、第2分割円形エリア511、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54内について読み出したものであるため、目的地周辺領域58内、及び、第4円形エリア54から目的地周辺領域58までの間は、経路データ48内のリンクコスト48Dのみを用いて、目的地55までの推奨経路をダイクストラ法等によって探索することになる。
【0119】
従って、自車位置50を中心とする第4円形エリア54内では、現時点で予測された、約60分先までの分割交通データ391が加味されているため、上記実施例1に係るナビゲーション装置2と同様に、現時点では発生していないが、これから発生する渋滞を予測できる。
そして、推奨経路が探索されると、CPU41は、目的地までの所要時間を演算し、RAM42に一時記憶後、S52の処理に移行する。
続いて、S52乃至S54において、CPU41は、上記S22乃至S24の処理を実行して、当該処理を終了する。
【0120】
以上詳細に説明した通り、実施例2に係るナビゲーション装置2では、車両の現在位置から15分毎に到達する距離範囲(予測距離範囲)が各円形エリア51〜54として時間帯毎に、時系列的に予測される(S41〜S46)。また、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して、各分割円形エリア501、511〜532が設定される(S47)。また、交通データ390の各時間帯390Bを3等分した各時間帯391Bを設定すると共に、これに伴って、時系列的に隣接する各リンクコスト390Cをこの3等分した各時間帯391Bの時間間隔に合わせて比例配分した各リンクコスト391Cから構成される分割交通データ391が作成される(S48)。また、この分割交通データ391に基づいて、第1分割円形エリア501、第1円形エリア51、第2分割円形エリア511、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54に含まれる各リンクのリンクコスト391Cを読み出し、経路データ48のリンクコスト48Dに基づいてリンクコストLCがそれぞれ設定される(S49〜S50)。そして、CPU41は、リンクコストLCを用いて、現在の自車位置から、RAM42に記憶された目的地の座標までの推奨経路を探索して、経路案内を行い、第4円形エリア54を超えると、各円形エリア51〜54及び各各分割円形エリア501、511〜532が再設定される(S51〜S54)。
【0121】
従って、ナビゲーション装置2では、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して、各分割円形エリア501、511〜532を設定し、分割交通データ391に基づいて、第1分割円形エリア501、第1円形エリア51、第2分割円形エリア511、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54に含まれる各リンクに対してリンクコスト391Cを設定することが可能となる。このため、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの差が大きくなって不連続であっても、各分割円形エリア501、511〜532に対応して各円形エリア51〜54の各リンクコスト390Bを時系列的に比例配分した各リンクコスト391Cを設定することによって、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを精度よく予測できるので、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測できる。
【0122】
また、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して各分割円形エリア501、511〜532を設定する。このため、各分割円形エリア501、511〜532を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の交通データ390の不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
また、分割交通データ391は、交通データ390の各時間帯390Bを3等分した各時間帯391Bを設定すると共に、これに伴って、時系列的に隣接する各リンクコスト390Cをこの3等分した各時間帯391Bの時間間隔に合わせて比例配分した各リンクコスト391Cから構成されるため、該分割交通データ391を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを予測する処理時間の更なる短縮化を図ることができる。
【0123】
また、CPU41は、現在時刻と第1円形エリア51に対応する時間帯との同期をとって、スライス幅380Dを短く補正するようにした。このため、より正確に第1円形エリア51を設定することができるので、第2〜第4円形エリア52〜54の精度を向上することができる。更に、スライス幅データ380は、メッシュ380A、季節380B、曜日380C、時間帯の要因毎にスライス幅380Dを有するようにした。このため、地域性、時期的要因、時間的要因をスライス幅380Dに加味することができるので、スライス幅380Dの精度を向上することができる。
【実施例3】
【0124】
次に、実施例3に係るナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する現在の自車位置から目的地までの経路を案内する経路案内処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索してナビゲーション装置2に配信する経路探索処理について図15に基づいて説明する。
尚、以下の説明において上記図1乃至図11の実施例1に係るナビゲーションシステム1の構成と同一符号は、前記実施例1に係るナビゲーションシステム1の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0125】
この実施例3に係るナビゲーションシステムの概略構成は、実施例1に係るナビゲーションシステム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も実施例1に係るナビゲーションシステム1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、図15に示すように、実施例3に係るナビゲーションシステムは、情報配信センタ3が上記S12〜S21に相当する処理を実行する点で、前記実施例1に係るナビゲーションシステム1と異なっている。
【0126】
先ず、図15に基づいてナビゲーション装置2のCPU41が実行する「経路案内処理」について説明する。尚、図15に、S71〜S76のフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0127】
図15に示すように、S71において、CPU41は、ROM43に記憶された経路案内処理プログラムに従って、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24の入力操作等による、目的地の設定を待機する(S71:NO)。
そして、目的地が入力されたと判断すると(S71:YES)、CPU41は、その目的地の座標等をRAM42に一時格納する。
続いて、S72において、CPU41は、情報配信センタ3に対して、経路探索を要求する要求コマンドと共に、現在の自車位置のデータ、目的地の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報及び地図画像61(図11参照)の縮尺等を送信する。また同時に、前方の目的地までの誘導経路(推奨経路)64(図11参照)を液晶ディスプレイ25の地図画像61(図11参照)上に表示して経路を案内している場合には、CPU41は、該目的地や誘導経路64等の経路情報も情報配信センタ3に対して送信する。
【0128】
その後、S73において、CPU41は、情報配信センタ3から、誘導経路(推奨経路)64等の経路情報と第4円形エリア54の自車位置からの距離半径データ(実施例3では、距離半径データは、例えば約21.7kmである。即ち、実施例1の自車位置及び各円形エリア51〜54間の距離の総和である。)を受信して、この誘導経路64の経路情報と第4円形エリア54の自車位置からの距離半径データとをRAM42に記憶する。
そして、S74乃至S76において、CPU41は、上記S22乃至S24の処理を実行後、当該処理を終了する。
【0129】
次に、図15に基づいて情報配信センタ3のCPU11が実行する「経路探索処理」について説明する。尚、図15に、S111〜S121のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
先ず、S111において、CPU11は、上記S72でナビゲーション装置2から送信された経路探索を要求する要求コマンドと共に、自車位置のデータ、目的地の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報、地図画像61の縮尺や経路情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aに基づいて上記S12に相当する処理を実行する。
そして、S112乃至S120において、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aと、スライス幅DB18に格納されているスライス幅データ380と、交通DB19に格納されている交通データ390とに基づいて、上記S13乃至S21の処理を実行する。
【0130】
続いて、S121において、CPU11は、探索した推奨経路の経路情報と、第4円形エリア54の自車位置からの距離半径データ(実施例3では、距離半径データは、例えば約21.7kmである。即ち、実施例1の図8に示される自車位置及び各円形エリア51〜54間の距離の総和である。)とをナビゲーション装置2に送信後、当該処理を終了する。
【0131】
以上説明した通り、実施例3に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタ3のCPU11は、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例3では、約500mである。)離れた各境界エリア51A〜54Aを設定して、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74を設定し、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cに基づいて、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを設定することが可能となる。このため、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの差が大きくなって不連続であっても、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74内の各リンクに対して第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを設定することによって、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74内で各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを精度よく予測できるので、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測して経路探索を行うことができる。また、情報配信センタ3が、自車位置から目的地までの経路探索を行うため、ナビゲーション装置2の処理負荷の軽減化を図ることができる。
【0132】
また、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離(実施例3では、約500mである。)離れた各境界エリア51A〜54Aを設定するため、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
【0133】
また、各円形エリア51〜54のうちの隣接するエリアの各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの平均値を、第1予測境界距離範囲71〜第4予測境界距離範囲74に対応する第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cとして設定するため、第1平均リンクコスト390C〜第4平均リンクコスト390Cを迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯390Bを予測する処理時間の更なる短縮化を図ることができる。
【0134】
また、情報配信センタ3のCPU11は、現在時刻と第1円形エリア51に対応する時間帯との同期をとって、スライス幅380Dを短く補正するようにした。このため、より正確に第1円形エリア51を設定することができるので、第2〜第4円形エリア52〜54の精度を向上することができる。
更に、スライス幅データ380は、メッシュ380A、季節380B、曜日380C、時間帯の要因毎にスライス幅380Dを有するようにした。このため、地域性、時期的要因、時間的要因をスライス幅380Dに加味することができるので、スライス幅380Dの精度を向上することができる。
【実施例4】
【0135】
次に、実施例4に係るナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する現在の自車位置から目的地までの経路を案内する経路案内処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索してナビゲーション装置2に配信する経路探索処理について図16に基づいて説明する。
尚、以下の説明において上記図1乃至図15の実施例1乃至実施例3に係るナビゲーションシステム1の構成と同一符号は、前記実施例1乃至実施例3に係るナビゲーションシステム1の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0136】
この実施例4に係るナビゲーションシステムの概略構成は、実施例2に係るナビゲーションシステム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も実施例2に係るナビゲーションシステム1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、図16に示すように、実施例4に係るナビゲーションシステムは、情報配信センタ3が上記S42〜S51に相当する処理を実行する点で、前記実施例2に係るナビゲーションシステム1と異なっている。
【0137】
先ず、図16に基づいてナビゲーション装置2のCPU41が実行する「経路案内処理」について説明する。尚、図16に、S81〜S86のフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
図16に示すように、S81乃至S86において、CPU41は、上記S71乃至S76の処理を実行後、当該処理を終了する。
【0138】
次に、図16に基づいて情報配信センタ3のCPU11が実行する「経路探索処理」について説明する。尚、図16に、S141〜S151のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
先ず、S141において、CPU11は、上記S82でナビゲーション装置2から送信された経路探索を要求する要求コマンドと共に、自車位置のデータ、目的地の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報、地図画像61の縮尺や経路情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aに基づいて上記S42に相当する処理を実行する。
そして、S142乃至S150において、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aと、スライス幅DB18に格納されているスライス幅データ380と、交通DB19に格納されている交通データ390とに基づいて、上記S43乃至S51の処理を実行する。
【0139】
続いて、S151において、CPU11は、探索した推奨経路の経路情報と、第4円形エリア54の自車位置からの距離半径データ(実施例4では、距離半径データは、例えば約21.7kmである。即ち、実施例2の図13に示される自車位置及び各円形エリア51〜54間の距離の総和である。)とをナビゲーション装置2に送信後、当該処理を終了する。
【0140】
以上説明した通り、実施例4に係るナビゲーションシステムでは、情報配信センタ3のCPU11は、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して、各分割円形エリア501、511〜532を設定し、分割交通データ391に基づいて、第1分割円形エリア501、第1円形エリア51、第2分割円形エリア511、・・・・、第7分割円形エリア532、第4円形エリア54に含まれる各リンクに対してリンクコスト391Cを設定することが可能となる。このため、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの差が大きくなって不連続であっても、各分割円形エリア501、511〜532に対応して各円形エリア51〜54の各リンクコスト390Bを時系列的に比例配分した各リンクコスト391Cを設定することによって、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を補完して、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを精度よく予測できるので、時間的変化を加味して、車両通過時に渋滞が発生する道路、渋滞が解消される道路を高精度に予測して経路探索を行うことができる。また、情報配信センタ3が、自車位置から目的地までの経路探索を行うため、ナビゲーション装置2の処理負荷の軽減化を図ることができる。
【0141】
また、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して各分割円形エリア501、511〜532を設定する。このため、各分割円形エリア501、511〜532を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の交通データ390の不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを予測する処理時間の短縮化を図ることができる。
また、分割交通データ391は、交通データ390の各時間帯390Bを3等分した各時間帯391Bを設定すると共に、これに伴って、時系列的に隣接する各リンクコスト390Cをこの3等分した各時間帯391Bの時間間隔に合わせて比例配分した各リンクコスト391Cから構成されるため、該分割交通データ391を迅速に設定して、各円形エリア51〜54の各時間帯390Bに対応する各リンクコスト390Cの不連続性を的確に補完することが可能となり、車両が各リンクに到達する時間帯391Bを予測する処理時間の更なる短縮化を図ることができる。
【0142】
また、情報配信センタ3のCPU11は、現在時刻と第1円形エリア51に対応する時間帯との同期をとって、スライス幅380Dを短く補正するようにした。このため、より正確に第1円形エリア51を設定することができるので、第2〜第4円形エリア52〜54の精度を向上することができる。更に、スライス幅データ380は、メッシュ380A、季節380B、曜日380C、時間帯の要因毎にスライス幅380Dを有するようにした。このため、地域性、時期的要因、時間的要因をスライス幅380Dに加味することができるので、スライス幅380Dの精度を向上することができる。
【0143】
尚、本発明は前記実施例1乃至実施例4に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0144】
(1)前記実施例1乃至実施例4では、円形状の第1〜第4円形エリア51〜54を設定したが、真円である必要はなく、楕円、一部が突出した変形円でもよい。例えば、車線数等が周囲の道路に比べて極端に大きい道路がある場合、その道路に対応する箇所を突出させた変形円を設定したり、その道路を楕円の長軸部分に相当させた楕円形のエリアを設定してもよい。
(2)前記実施例1乃至実施例4では、自車位置が含まれるメッシュのスライス幅380Dを使用して、円形状の第1〜第4円形エリア51〜54を設定したが、設定したエリアの外周が位置するメッシュのスライス幅380Dを使用して予測距離範囲としてのエリアを設定してもよい。詳述すると、まず、自車位置が含まれるメッシュのスライス幅380Dを使用して自車位置から最も近傍のエリア(第1エリア)を設定する。設定したのち、第1エリアの外周が、自車位置が含まれるメッシュとは異なるメッシュに位置する場合、次のエリア(第2エリア)を設定する際には、第1エリアの外周が位置するメッシュのスライス幅380Dを使用する。
【0145】
(3)前記実施例1のステップ17及び前記実施例3のステップ116では、各円形エリア51〜54から自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ約500m離れた各境界エリアを設定したが、半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ各円形エリア51〜54間の距離の所定割合(例えば、10%である。)の距離だけ離れた各境界エリアを設定するようにしてもよい。
例えば、第1円形エリア51から自車位置50を中心とする半径方向内側に4km×10%=400m離れた第1内側境界エリア51Aを設定する。また、第1円形エリア51から自車位置50を中心とする半径方向外側に5.6km×10%=560m離れた第1外側境界エリア51Bを設定する。この第1内側境界エリア51Aと第1外側境界エリア51Bとによって挟まれた領域内は予測境界距離範囲である。
【0146】
(4)前記実施例2のステップ47及び前記実施例4のステップ146では、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分、即ち5分間隔で3等分して、各分割円形エリアを設定したが、各円形エリア51〜54間をそれぞれ異なる時間間隔で3分割するようにしてもよい。この場合には、各ステップ48、147において、分割交通データ391の各時間帯391Bも交通データ390の各時間帯390Bを3分割すると共に、それに合わせて各リンクコスト390Cを3分割して各リンクコスト391Cを設定する。
【0147】
(5)前記実施例2のステップ48及び前記実施例4のステップ147では、交通データ390の各時間帯390Bを3等分割して時間帯391Bを設定すると共に、それに合わせて各リンクコスト390Cを3等分割して各リンクコスト391Cを設定したが、B−スプライン曲線等を用いて各リンクコスト390Cの変化をスムーズ化して、各時間帯391Bに対応する各リンクコスト390Cを算出してリンクコスト391Cとして設定するようにしてもよい。
【0148】
(6)前記実施例1乃至実施例4では、第1〜第4円形エリア51〜54を設定したが、4つ以外の複数でもよい。
(7)前記実施例2のステップ47及び前記実施例4のステップ146では、各円形エリア51〜54間をそれぞれ時系列的に3分割したが、2分割でも、4分割以上に分割してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】実施例1に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】経路データのデータ構成の説明図である。
【図4】スライス幅データのデータ構成の説明図である。
【図5】交通データのデータ構成の説明図である。
【図6】実施例1に係るナビゲーション装置が実行する経路案内処理を示すフローチャートである。
【図7】第1〜第4円形エリアの説明図である。
【図8】各第1〜第4円形エリアから自車位置を中心とする半径方向内側及び半径方向外側にそれぞれ所定距離離れて設定される第1〜第4内側境界エリア、第1〜第3外側境界エリアの説明図である。
【図9】自車位置から目的地の座標までの経路を探索する経路探索処理の説明図である。
【図10】自車位置から目的地の座標までの経路を探索する経路探索処理の説明図である。
【図11】経路案内の案内画面の説明図である。
【図12】実施例2に係るナビゲーション装置が実行する経路案内処理を示すフローチャートである。
【図13】各第1〜第4円形エリア間をそれぞれ時系列的に等時間間隔で3等分するように設定される各分割円形エリアの説明図である。
【図14】分割交通データのデータ構成の説明図である。
【図15】実施例3に係るナビゲーションシステムのナビゲーション装置が実行する経路案内処理と情報配信センタが実行する経路探索処理を示すフローチャートである。
【図16】実施例4に係るナビゲーションシステムのナビゲーション装置が実行する経路案内処理と情報配信センタが実行する経路探索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
17 センタ側通信装置
18、38 スライス幅DB
19、39 交通DB
23 ナビゲーション制御部
25 液晶ディスプレイ
27 通信装置
37 ナビ側地図情報DB
48 経路データ
50 自車位置
51〜54 第1円形エリア〜第4円形エリア(予測距離範囲)
51A、52A、53A、54A 第1内側境界エリア〜第4内側境界エリア
51B、52B、53B 第1外側境界エリア〜第3外側境界エリア
71〜72 第1予測境界距離範囲〜第4予測境界距離範囲
380 スライス幅データ
390 交通データ
391 分割交通データ
501、511〜532 第1分割円形エリア〜第7分割円形エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置において、
車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段と、
前記予測距離範囲データに基づいて、現在の自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段と、
前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲の境界部に該境界部を含む所定距離範囲を予測境界距離範囲として設定する予測境界距離範囲設定手段と、
各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段と、
前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを設定する境界部交通データ設定手段と、
前記各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の前記各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記交通データを用いると共に、前記各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された前記境界部交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記予測境界距離範囲設定手段は、前記境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側にそれぞれ所定距離入った範囲を前記予測境界距離範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記予測境界距離範囲設定手段は、前記境界部から該境界部を形成する各予測距離範囲側に該各予測距離範囲の所定割合だけ入った範囲を前記予測境界距離範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記境界部交通データ設定手段は、前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データの平均値を該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データとして設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
車両に搭載されたナビゲーション装置において、
車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段と、
前記予測距離範囲データに基づいて、現在の自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段と、
前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定する分割予測距離範囲設定手段と、
各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段と、
前記各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて前記各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データを設定する分割交通データ設定手段と、
前記各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記分割交通データを用いて、現在の自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
前記分割予測距離範囲設定手段は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数の等時間間隔に分割して前記各分割予測距離範囲を設定することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記分割予測距離範囲設定手段は、各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定割合で所定個数に分割して前記各分割予測距離範囲を設定することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記分割交通データ設定手段は、前記各予測距離範囲と該各予測距離範囲の自車位置側の隣接する予測距離範囲とに対応する各一対の時間帯の交通データを前記各分割予測距離範囲の時間帯の各時間間隔に合うように比例配分して前記分割交通データを設定することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記予測距離範囲データ記憶手段は、前記予測距離範囲データを地図メッシュ毎に記憶しており、
前記予測距離範囲設定手段は、自車位置が含まれる地図メッシュを検出し、検出された地図メッシュに対応する前記予測距離範囲データを読み出して、予測距離範囲を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記予測距離範囲設定手段は、現在の自車位置を中心として、同心円状の前記各予測距離範囲を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記予測距離範囲設定手段は、最も現在の前記自車位置に近い前記予測距離範囲に対し、前記現在時刻及び前記予測距離範囲に対応する時間帯の同期をとって、前記予測距離範囲データを補正することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記予測距離範囲データは、区域、季節、曜日、祝日又は連休期間毎に生成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
車両に搭載されたナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置に経路情報を配信する経路情報配信手段を有する情報配信センタと、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段と、
前記情報配信センタから配信された前記経路情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した経路情報を表示装置の地図上に表示するように制御する表示制御手段と、
を有し、
前記情報配信センタは、
車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段と、
各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段と、
前記ナビゲーション装置から自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、前記予測距離範囲データに基づいて、前記自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段と、
前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲の境界部に該境界部を含む所定距離範囲を予測境界距離範囲として設定する予測境界距離範囲設定手段と、
前記各予測境界距離範囲に含まれる境界部を形成する各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて該各予測境界距離範囲に対応する境界部交通データを設定する境界部交通データ設定手段と、
前記各予測距離範囲内で且つ該各予測距離範囲内の前記各予測境界距離範囲外のリンクに対しては、その予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記交通データを用いると共に、前記各予測境界距離範囲内のリンクに対しては、その予測境界距離範囲にそれぞれ設定された前記境界部交通データを用いて、前記自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
前記探索手段によって探索した推奨経路を前記経路情報配信手段を介して該ナビゲーション装置に配信するように制御する配信制御手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項14】
車両に搭載されたナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置に経路情報を配信する経路情報配信手段を有する情報配信センタと、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定する自車位置情報と目的地を特定する目的地情報とを前記情報配信センタに送信する自車位置情報送信手段と、
前記情報配信センタから配信された前記経路情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した経路情報を表示装置の地図上に表示するように制御する表示制御手段と、
を有し、
前記情報配信センタは、
車両が所定時間内に到達する距離範囲を予測した予測距離範囲データを記憶する予測距離範囲データ記憶手段と、
各リンクに対し、各時間帯毎の交通状況に基づいて生成された交通データを記憶する交通データ記憶手段と、
前記ナビゲーション装置から自車位置情報と目的地情報を受信した場合には、前記予測距離範囲データに基づいて、前記自車位置を中心とした予測距離範囲を、現在時刻を基準として設定する予測距離範囲設定手段と、
前記予測距離範囲設定手段によって設定された各予測距離範囲を更にそれぞれ時系列的に所定個数に分割した分割予測距離範囲を設定する分割予測距離範囲設定手段と、
前記各予測距離範囲に対応する各時間帯の交通データに基づいて前記各分割予測距離範囲の時間帯に対応する分割交通データを設定する分割交通データ設定手段と、
前記各分割予測距離範囲内のリンクに対して、その分割予測距離範囲にそれぞれ対応する時間帯の前記分割交通データを用いて、前記自車位置から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
前記探索手段によって探索した推奨経路を前記経路情報配信手段を介して該ナビゲーション装置に配信するように制御する配信制御手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−271474(P2007−271474A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97802(P2006−97802)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】