説明

ナビゲーション装置

【課題】より高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在地が地図データに施設データが含まれている施設内である場合には、その施設の施設内通路データがあるか否かを判断し(S30)、ある場合には施設内通路データのリンクを辿って施設出口を通る経路を探索し(S40)、ない場合には施設出口が学習されているかどうかをさらに判断する(S50)。学習されていない場合には、その施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標である案内座標を施設出口の座標に決定し(S60)、学習されている場合には、学習されている座標を施設出口の座標に決定する(S70)。そして、決定した施設出口の座標を出発地の座標として経路を探索する(S80)。このように、施設内通路データがない場合でも施設出口を決定することにより、より高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの経路を探索することができるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上の施設の位置、およびその施設の出口の位置を含む施設データを地図データの一部として地図データ格納手段に格納し、地図データ格納手段に施設データが格納された施設内に車両が位置する場合に、施設の出口を通るように経路を探索するナビゲーション装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−037275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のナビゲーション装置の場合には、施設の出口を通る経路が探索されるためには、その施設の出口の位置が地図データ格納手段に格納されている必要があるが、実際には、全ての施設に関して出口の位置を地図データ格納手段に格納することは困難であることから、一部の施設に関してのみ、出口の位置が格納されているのが実情である。従って、出口の位置が格納されていない施設内に車両が位置する状況も生じ、その場合には、施設の出口を通る経路は探索されず、一般的には、施設に隣接する道路上の点からの経路が探索される。探索された経路が実際の施設の出口を通っていない場合には、ユーザは、施設の出口から探索された経路の始点までの経路を自分で決定しなければならなくなってしまう。
【0004】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、より高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両の現在座標が地図データに記憶されている施設内であるときは、その施設の施設出口の座標を通って目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、その経路探索手段によって探索された経路と前記車両の現在座標とに基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方を備えていることを特徴とする。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、施設の案内座標を施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、および、車両が地図データに記憶されている道路から施設内となった地点の座標を施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方によって施設出口が決定される。ここで、経路案内機能を有するナビゲーション装置においては、施設の案内座標は必ず設定されており、また、車両が地図データに記憶されている道路から外れて施設内に位置するようになったかどうかも逐次判定するようになっているので、第1施設出口決定手段および第2施設出口決定手段では必ず施設出口が決定される。従って、より高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0007】
また、前記請求項2記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記地図データには、一部の施設に関しての施設出口の座標が含まれており、前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれているときは、その地図データに含まれている施設出口の座標を通る経路を探索し、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれていないときは、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通る経路を探索することを特徴とする。
【0008】
このように、車両の現在座標が地図データに施設出口の座標が含まれている施設内であるときは、地図データに含まれている施設出口の座標を優先的に用いるようにすれば、地図データに含まれている施設出口の座標は、ほぼ確実に実際の施設の出口の座標であると考えられるので、より一層高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0009】
また、前記目的を達成するための請求項3記載の発明は、地図データに基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、その経路探索手段によって探索された経路と前記車両の現在座標とに基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、車両の座標が、前記地図データに記憶されている施設内からその地図データに記憶されている道路上となったときの座標をその施設の施設出口の座標として学習する施設出口学習手段を備え、前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であり、且つ、その施設の施設出口が前記施設出口学習手段によって学習されている場合には、その施設出口学習手段によって学習された施設出口を通る経路を探索することを特徴とする。
【0010】
この請求項3記載の発明によれば、施設出口学習手段によって、車両の座標が地図データ上において施設内から道路上となった座標が施設出口の座標として学習される。このようにして学習された施設出口の座標は、高い精度で実際の施設出口の座標を表していると考えられるので、二度目以降にその施設を訪れたときは、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記地図データには、一部の施設に関しての施設出口の座標が含まれており、前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれているときは、その地図データに含まれている施設出口の座標を通る経路を探索し、車両の現在座標が前記地図データに施設出口の座標が含まれていない施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されている場合には、その施設出口学習手段によって学習された施設出口の座標を通る経路を探索することを特徴とする。
【0012】
この請求項4においても、施設出口学習手段によって学習された施設出口の座標、および地図データに含まれている施設出口の座標の両方を用いるので、施設出口の座標が定まる施設の割合が多くなる。従って、より一層高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0013】
ここで、請求項5または6記載のように、前記施設出口学習手段を有しているナビゲーション装置または前記施設出口学習手段に加えて一部の施設については施設出口の座標を有しているナビゲーション装置においても、さらに、前記第1施設出口決定手段および第2施設出口決定手段のいずれか一方を有していることが好ましい。
【0014】
すなわち、請求項5記載の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方をさらに備え、前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されていない場合には、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通るように、経路を探索することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項4記載のナビゲーション装置において、前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方をさらに備え、前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに施設出口の座標が含まれていない施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されていない場合には、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通るように、経路を探索することを特徴とする。
【0016】
この請求項5または6記載の発明は、必ず施設出口の座標を決定できる第1施設出口決定手段および第2施設出口決定手段のいずれか一方を有していることから、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。また、それら第1施設出口決定手段および第2施設出口決定手段によって決定される施設出口の座標よりも、地図データに含まれている施設出口の座標(請求項6記載の発明の場合には、地図データに含まれている施設出口の座標に加えて、施設出口学習手段によって学習された施設出口の座標)を優先的に用いるので、さらに高精度に実際の施設の出口を通る経路が探索できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用されたカーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
図1において、カーナビゲーション装置は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、送受信機11、音声コントローラ12、スピーカ13、音声認識装置14、マイク15、リモコンセンサ16、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)17と、これら各装置が接続された制御装置8を備えている。
【0019】
制御装置8は、通常のコンピュータであり、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0020】
位置検出器1は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ2、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ3、車両の走行距離を検出する距離センサ4、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2、3、4、5は、いずれも周知のものである。これらのセンサ等2、3、4、5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等2、3、4、5により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器1を構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0021】
地図データ入力器6は、たとえばDVD−ROM、CD−ROMなどの図示しない記憶媒体を備え、その記憶媒体には、道路データ、背景データ、文字データおよび施設データなどを含むデジタル地図データが格納されており、それらのデータを制御装置8に入力する。
【0022】
上記道路データとしては、交差点等の節目における道路網接続関係を示すデータであるノードデータと、ノード間を結ぶ道路についてのデータであるリンクデータを含んでいる。また、施設データとしては、施設の代表座標と、その施設が目的地として設定されたときに経路案内を終了する座標である案内座標(この案内座標は一般的に施設入口の座標が用いられる)と、その施設のエリア(範囲)を閉ループでくくるポリゴンの集合であるエリアデータ(ポリゴンデータともいう)とを含んでいる。また、一部の施設についての施設データには、その施設内の通路(たとえば、その施設内の駐車場の通路)を、前述の道路データと同様に複数のリンクおよび複数のノードで表すとともに、複数のノードのうちの少なくとも一つが施設出口として設定された施設内通路データを含んでいる。
【0023】
操作スイッチ群7は、表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくは表示装置10の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、表示装置10に表示された地図の縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等の各種入力に使用される。また、リモコン17には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群7と同様の入力操作が行える。リモコン17に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ16を介して制御装置8へ供給される。
【0024】
記憶装置である外部メモリ9は、たとえば、メモリカードやハードディスク等であり、書き込み可能な記憶媒体を備えている。この外部メモリ9には、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。
【0025】
表示装置10は、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成され、その表示装置10の所定の地図表示領域には、車両の現在位置に対応する自車位置マークが地図データによって生成された車両周辺の道路地図上に重畳表示される。また、表示装置10には、その他に、現在時刻、渋滞情報などの他の情報表示を付加的に表示することもできる。
【0026】
送受信機11は、外部との通信接続をするための通信機であり、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センタから提供される道路交通情報、気象情報、日付情報、施設情報、広告情報を受信するVICSセンサと接続され、この道路交通情報等を制御装置8へ送信する。また、上記制御装置8で処理した情報を送受信機11から出力することもできる。
【0027】
スピーカ13は、音声コントローラ12から入力された音声出力信号に基づき所定の音声(案内のための音声や画面操作の説明、音声認識結果等)を外部に出力する。
【0028】
マイク15は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置14に入力する。音声認識装置14は、マイク15から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ12に入力する。
【0029】
音声コントローラ12は、音声認識装置14を制御するとともに、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ13を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置14の認識結果を制御装置8に入力する処理も行う。
【0030】
制御装置8は、音声認識装置14からの情報に基づき、操作者の発声に対する所定の処理および操作スイッチ群7あるいはリモコン17の入力操作に対する所定の処理(たとえば、メモリ9への地図データの記憶処理、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。また、制御装置8で処理された経路案内音声情報等は、音声コントローラ12を介してスピーカ13から適宜報知される。
【0031】
図2は、上記制御装置8の制御機能の要部を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置8は、マップマッチング手段20、経路案内手段22、施設出口学習手段24、目的地設定手段26および経路探索手段28を備えている。
【0032】
マップマッチング手段20は、位置検出器1によって検出される信号に基づいて自車位置の座標を決定するとともに、その決定した自車位置の座標に基づいて、地図データ入力器6から自車位置周辺の地図データを読み込む。そして、自車位置の座標と、地図データに含まれる道路データおよび施設データのエリアデータとを比較することによって、自車が、地図データ上のどの道路上或いはどの施設内に位置するかを所定の周期毎に判断する。また、自車の走行軌跡の形状を自車位置周辺の道路形状と比較して、自車の走行軌跡と最も相関の高い道路を自車が走行している道路として決定することにより、位置検出器1からの信号に基づいて決定した自車位置の座標の補正も行う。
【0033】
経路案内手段22は、マップマッチング手段20によって決定された自車位置の周辺の地図データを地図データ入力器6から読み込むとともに、その読み込んだ地図データ上における自車位置と、経路探索手段28によって探索された経路とを比較して、所定の経路案内を実行する。
【0034】
施設出口学習手段24は、マップマッチング手段20によって自車の座標が施設内から道路上となったと判定されたときの座標を、その施設の施設出口の座標として外部メモリ9に記憶する。
【0035】
目的地設定手段26は、表示装置10に所定の目的地設定画面を表示し、或いは、目的地設定を依頼する所定の音声をスピーカ13から出力させ、ユーザが操作スイッチ群7またはリモコン17を操作することにより特定された地点、或いは、マイク15から入力された地点を目的地として設定する。
【0036】
経路探索手段28は、ユーザによって出発地が設定されたときは、それを出発地として、その出発地から目的地設定手段26によって設定された目的地までの経路を、地図データ入力器6から入力される地図データに基づいてダイクストラ法等の公知の手法を用いて1本または複数本探索する。そして、探索した経路を表示装置10に表示する。
【0037】
一方、ユーザによって出発地が設定されていないとき、または出発地として現在地が設定されたときは、図3に示す処理を実行して、目的地設定手段26によって設定された目的地までの経路を探索する。
【0038】
図3において、まず、ステップS10では、車両の現在位置が施設内であるか否かを判断する。このステップS10の判断が否定されたときは、ステップS20において、現在地を出発地として、ユーザによって出発地が設定されたときと同様の手法によって、出発地から目的地までの経路を1本または複数本探索する。
【0039】
車両の現在地が施設内である場合(ステップS10が肯定された場合)には、現在地が地図データのリンク上になく、その結果、現在地を出発地として設定することができない可能性があるので、ステップS30以下を実行する。
【0040】
ステップS30では、その施設の施設データに施設内通路データが含まれているかどうかを判断する。このステップS30の判断が肯定された場合には、ステップS40において、その施設内通路データのリンクを辿って行って施設出口として設定されたノードまでの経路を決定するとともに、そのノード(施設出口)から目的地までの経路を前述のステップS20と同様にして探索する。
【0041】
一方、施設データに施設内通路データが含まれておらず、ステップS30の判断が否定された場合には、ステップS50において、前述の施設出口学習手段24によって学習された施設出口の座標が、外部メモリ9に記憶されているか否かをさらに判断する。
【0042】
このステップS50の判断が否定された場合には、第1施設出口決定手段に相当するステップS60において、自車が現在位置している施設の案内座標を施設出口の座標として決定した後に、ステップS70を実行する。なお、施設の案内座標は、前述のように、一般的に施設入口の座標が設定されており、施設入口は出口を兼ねている場合が多いので、案内座標は比較的高い精度で施設出口の座標を表している。
【0043】
一方、ステップS50の判断が肯定された場合には、ステップS70において、学習した座標を施設出口の座標に決定する。そして、ステップS80では、ステップS60またはステップS70で決定した施設出口の座標を出発地として、すなわち、施設出口の座標を通るようにして、目的地までの経路をステップS20やステップS40と同様にして探索する。
【0044】
そして、ステップS20、S40、およびS80のいずれかを実行した後は、ステップS90において、探索した経路を表示装置10に表示する。
【0045】
以上、説明した本実施形態によれば、ステップS60において、各施設に設定されている案内座標を施設出口の座標として決定するようになっているので、必ず施設出口を決定できる。従って、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。また、車両の位置する施設の施設内通路データがある場合(すなわち施設出口の座標が地図データに含まれている場合)や、施設出口の座標が学習されている場合には、地図データに含まれている施設出口の座標や学習された施設出口の座標を優先的に用いて施設出口の座標を通る経路を探索するようになっているので(ステップS40、S70〜S80)、さらに高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明において、前述の第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
第2実施形態のナビゲーション装置も、図1に示す構成を有しているが、制御装置8の制御内容が第1実施形態と異なる。図4は、第2実施形態における制御装置8の制御機能の要部を示すブロック図である。第2実施形態の制御装置8は、施設入口決定手段30をさらに備えている点において第1実施形態と異なる。
【0048】
施設入口決定手段30は、マップマッチング手段20によって自車の座標が道路上から施設内となったと判定されたときの座標を、その施設の施設入口の座標として決定して、決定した施設入口の座標を外部メモリ9に記憶する。
【0049】
図5は、第2実施形態における経路案内手段22で、図3と同一の条件が成立した場合に、その図3に代えて実行する処理を示すフローチャートである。
【0050】
図5に示すフローチャートにおいて、前述の図3に示すフローチャートと異なる点は、現在地が施設内であって(ステップS10がYES)、施設内通路データがなく(ステップS30がNO)、施設出口が学習されていない(ステップS50がNO)である場合に、ステップS60に代えてステップS65を実行する点のみである。
【0051】
そのステップS65は、第2施設出口決定手段に相当し、施設入口決定手段30によって決定された施設入口の座標を、施設出口の座標に決定する。なお、このステップS65は、ステップS10が肯定された場合、すなわち、現在地が施設内である場合に実行するステップであるので、ステップS65を実行する時点では、必ず施設入口の座標が決定されている。また、施設入口は出口を兼ねている場合が多いので、施設入口の座標は比較的高い精度で施設出口の座標を表している。
【0052】
以上、説明した第2実施形態によれば、ステップS65において、施設入口決定手段30によって施設内に車両が入った時に必ず決定される施設入口の座標を施設出口の座標として決定するようになっているので、必ず施設出口を決定できる。従って、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。また、第2実施形態においても、車両の位置する施設の施設内通路データがある場合や、施設出口の座標が学習されている場合には、施設内通路データに含まれている施設出口の座標や学習された施設出口の座標を優先的に用いて施設出口の座標を通る経路を探索するようになっているので(ステップS40、S70〜S80)、さらに高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0054】
たとえば、前述の実施形態では、一部の施設の施設データには施設内通路データが含まれていたが、どの施設の施設データにも施設内通路データが含まれていなくてもよい。どの施設の施設データにも施設内通路データが含まれていない場合には、図3または図5においてステップS30およびS40が省略される。この場合にも、ステップS60またはS65において必ず施設出口を決定でき、また、車両の位置する施設の施設内通路データがある場合や、施設出口の座標が学習されている場合には、施設内通路データに含まれている施設出口の座標や学習された施設出口の座標を優先的に用いて施設出口の座標を通る経路を探索するので(ステップS40、S70〜S80)、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0055】
また、前述の実施形態において、施設出口学習手段24を省略してもよい。施設出口学習手段24を省略する場合には、図3または図5においてステップS50およびS70が省略される。この場合にも、ステップS60またはS65において必ず施設出口を決定でき、また、施設内通路データがある場合には、その施設内通路データのリンクを辿って施設出口を通る経路を探索できるので(ステップS40)、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0056】
また、どの施設の施設データにも施設内通路データが含まれておらず、且つ、施設出口学習手段24が省略されていてもよい。このようにしても、ステップS60またはS65において必ず施設出口を決定できることから、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0057】
また、第1実施形態においてステップS60を省略したり、第2実施形態においてステップS65を省略したりすることもできる。なお、ステップS60またはS65を省略する場合には、ステップS50が否定判定されたときは、従来と同様に施設に隣接する道路上の点を出発点とする。このようにしても、施設出口が学習されているか、施設内通路データがある場合には、施設出口を通る経路が探索できるので、従来よりも高い精度で施設の実際の出口を通る経路を探索することができる。
【0058】
さらに、どの施設の施設データにも施設内通路データが含まれていない場合においても、第1実施形態のステップS60を省略したり、第2実施形態のステップS65を省略したりすることもできる。この場合であっても、施設出口学習手段24によって学習された施設出口の座標は高い精度で実際の施設出口の座標を表していると考えられるので、二度目以降にその施設を訪れたときは、高い精度で施設の実際の出口を通る経路が探索できる。
【0059】
また、前述の実施形態では、地図データは、地図データ入力器6に備えられたDVD−ROM、CD−ROMなどの記憶媒体に格納されていたが、通信回線を通じて地図データの一部または全部が配信されるようになっていてもよい。この場合には、地図データに含まれる施設データが逐次更新されることにより、施設内通路データを含んでいる施設データの割合が増加するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明が適用されたカーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の制御装置8の制御機能の要部を示すブロック図である。
【図3】図2の経路案内手段22において、ユーザによって出発地が設定されていないとき、または、出発地として現在地が設定されたときに実行する処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態における制御装置8の制御機能の要部を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態において、図3に代えて実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
24:施設出口学習手段
28:経路探索手段
30:施設入口決定手段
S60:第1施設出口決定手段
S65:第2施設出口決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在座標が地図データに記憶されている施設内であるときは、その施設の施設出口の座標を通って目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、その経路探索手段によって探索された経路と前記車両の現在座標とに基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、
前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、
および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段
のいずれか一方を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図データには、一部の施設に関しての施設出口の座標が含まれており、
前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれているときは、その地図データに含まれている施設出口の座標を通る経路を探索し、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれていないときは、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通る経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
地図データに基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、その経路探索手段によって探索された経路と前記車両の現在座標とに基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、
車両の座標が、前記地図データに記憶されている施設内からその地図データに記憶されている道路上となったときの座標をその施設の施設出口の座標として学習する施設出口学習手段を備え、
前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であり、且つ、その施設の施設出口が前記施設出口学習手段によって学習されている場合には、その施設出口学習手段によって学習された施設出口を通る経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データには、一部の施設に関しての施設出口の座標が含まれており、
前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記地図データに含まれているときは、その地図データに含まれている施設出口の座標を通る経路を探索し、車両の現在座標が前記地図データに施設出口の座標が含まれていない施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されている場合には、その施設出口学習手段によって学習された施設出口の座標を通る経路を探索することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、
および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方をさらに備え、
前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに記憶されている施設内であるが、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されていない場合には、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通るように、経路を探索することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記施設が目的地として設定された場合に経路案内を終了する座標として設定された案内座標を前記施設出口の座標として決定する第1施設出口決定手段、
および、前記車両の座標が前記地図データに記憶されている道路から前記施設内となった地点の座標を前記施設出口の座標として決定する第2施設出口決定手段のいずれか一方をさらに備え、
前記経路探索手段は、車両の現在座標が前記地図データに施設出口の座標が含まれていない施設内であって、且つ、その施設の施設出口の座標が前記施設出口学習手段によって学習されていない場合には、前記第1施設出口決定手段または前記第2施設出口決定手段によって決定された施設出口の座標を通るように、経路を探索することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−33209(P2007−33209A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216355(P2005−216355)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】