説明

ナビゲーション装置

【課題】より認識しやすい方面案内を行うことが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】案内標識が設置されている交差点を右折する走行経路が設定されている場合、案内標識から所定距離手前、例えば100m手前において方面案内が実行される。この場合、規則に従って、地名「枚方」が読み出されるが、「枚方」は難読地名(読み:ひらかた)であり、同一方面に難読地名でない別の地名「八幡」が存在するので、「八幡」を用いて「まもなく、やわたほうめんです」と音声案内を行う。これにより、運転者に取ってより理解しやすい方面案内が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、例えば、道路上に設定されている案内標識に対応して進行方向が何方面であるかを案内する方面案内に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行経路を案内する場合に、左方向、右方向といった進行方向を説明するだけでなく、進行方向が何方面なのかを音声により案内する方面案内の技術が提案されている。
すなわち、道路上に設置されている予告案内標識や交差点案内標識などの各種案内標識に表示されている地名(方面)を読み上げる(音声出力する)ことで、何方面に向かって走行するかを案内するようにしている。
例えば、特許文献1記載技術では、走行経路と現在位置とに基づいて、次に案内すべき案内対象分岐点の方面情報を読み出して音声出力する技術について提案されている。
【特許文献1】特開平9−61187
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の方面案内では、地名(方面)の「読み」をそのまま読み上げている。
このため、案内する地名の読みが難しい場合、運転者が案内標識(看板)をみてもどの方面(地名)が案内されたのか判断に迷うことがあった。
例えば、案内標識に「西原」と記載されている場合、方面案内では読み「いりばる」に対応して「まもなく、いりばるほうめんです」と音声案内されることになる。しかし、音声「いりばる」を聴いて、案内様式に表記された「西原」認識することが難しかった。
【0004】
そこで、本発明では、より認識しやすい方面案内を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1記載の発明では、進行方面の地名が表記された案内標識に対応して、該案内標識に表記された方面の地名、該地名に対応する音声出力用データ及び進行方向特定データが格納された方面データ記憶手段と、車両の走行経路を取得する経路取得手段と、前記取得した走行経路に存在する案内標識を検出する案内標識検出手段と、前記走行経路における車両の現在位置に対応して、前記検出した案内標識に表記された、走行経路に対応する進行方面の地名を音声で案内する方面案内手段とを備え、前記方面案内手段は、走行経路に対応する進行方面の地名が複数存在する場合、難読でない地名を優先して音声による案内を行う、ことを特徴とするナビゲーション装置により前記目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記方面案内手段は、走行経路に対応する進行方面の地名が全て難読である場合、方面の案内を中止する、ことを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、進行方面の地名が表記された案内標識に対応して、該案内標識に表記された方面の地名、該地名に対応する音声出力用データ及び進行方向特定データが格納された方面データ記憶手段と、車両の走行経路を取得する経路取得手段と、前記取得した走行経路に存在する案内標識を検出する案内標識検出手段と、前記走行経路における車両の現在位置に対応して、前記検出した案内標識に表記された、走行経路に対応する進行方面の地名を音声で案内する方面案内手段とを備え、前記方面案内手段は、方面案内の対象である地名が難読である場合、該地名に難読でない読みの文字を含む場合には当該地名を音声で案内し、該地名に難読でない読みの文字を含まない場合には、方面の案内を中止する、ことを特徴とするナビゲーション装置により前記目的を達成する。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置において、難読な地名が格納された難読地名辞書を備え、前記方面案内手段は、前記難読地名辞書を使用して、方面案内の対象である進行方面の地名が難読か否かを判断する、ことを特徴とする。
(5)請求項5に記載した発明では、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記方面案内手段は、常用漢字表の音訓読み以外の読みを難読と判断する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、走行経路に対応する進行方面の地名が複数存在する場合、難読でない地名を優先して音声による案内を行う、ので難読の方面案内が少なくなり、運転者にとってより認識しやすい方面案内となる。
請求項2記載の発明では、難読な地名による方面案内が中止されるので、難読の方面案内が少なくなり、運転者にとってより認識しやすい方面案内となる。
請求項3記載の発明では、方面案内の対象である地名が難読である場合、該地名に難読でない読みの文字を含む場合には当該地名を音声で案内し、該地名に難読でない読みの文字を含まない場合には、方面の案内を中止する、ので難読の方面案内が少なくなり、運転者にとってより認識しやすい方面案内となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のナビゲーション装置における好適な実施の形態について、図1から図5を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
道路には、進行方向に存在する地名(方面)を案内する案内標識が設置されているが、本実施形態では、この案内標識に表記された地名、音声出力用データ、進行方向を特定するデータを方面データとして記憶しておく。
また、難読である方面の表記を難読地名データとして記憶しておく。本実施形態における難読地名は、例えば、難読地名として収集されている既存のデーターベースを使用し、またインターネットから収集し、さらに、独自に調査し登録したものを使用するようにしてもよい。
この場合、難読地名の読みは方面データに存在するのでの難読地名データに記憶する必要がない。但し、難読地名データに読みも含め、難読地名データの表記と読みの両者が方面データと一致する場合に難読地名であると判断するようにしてもよい。
【0008】
方面案内を行う場合、走行経路に従って進行する方向(直進、右左折等)に対応する地名を、方面データから所定の規則に従って1つ読み出し、表記が難読地名であるか否かを判断し、難読地名でなければその地名での方面案内を行う。
一方、難読地名である場合には、同一方向に難読でない別の地名が存在するか否かを判断し、存在する場合には難読でない地名を読み上げることで音声による方面案内を行う。
【0009】
なお、方面データを読み出す場合の所定の規則としては、案内標識に表記された地名が上下に複数存在す場合には上側を優先し、左右に複数存在する場合には左側を優先する。
但し、データの格納順等のように、他の規則とすることも可能である。
【0010】
図1は方面案内の対象となる案内標識を例示したものである。
この図1に示されるように、案内標識には、左方面の地名「宇治」、直進方面の地名「東大阪」と「寝屋川」、右方面の地名「枚方」と「八幡」が表記されており、この標識に対応して方面データが格納されている。
そして、この案内標識が設置されている交差点を右折する走行経路が設定されている場合、案内標識から所定距離手前、例えば100m手前において方面案内が実行される。
この場合、規則に従って、地名「枚方」が読み出されるが、「枚方」は難読地名(読み:ひらかた)であり、同一方面に難読地名でない別の地名「八幡」が存在するので、「八幡」を用いて「まもなく、やわたほうめんです」と音声案内を行う。
これにより、運転者に取ってより理解しやすい方面案内が実行される。
【0011】
なお、図1の案内標識に対して直進する場合には、規則に従って選択した地名「東大阪」が読み出され、難読地名ではないのでそのまま方面案内が行われる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図2は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図2に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを具えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0013】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。
また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0014】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
【0015】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0016】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1のROM22はナビゲーションに関するプログラム、特に、現在位置の検出、経路の探索、表示案内などに関するナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0017】
RAM24は、後述する入力装置により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0018】
第2のROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。
画像プロセッサ27は、CPUで処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサにより処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0019】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。また、本実施形態における方面案内が実施される場合には、方面データ従って作成される案内標識が画面の一部に表示されるようになっている。
【0020】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、詳細目的地データファイル58、目的地読みデータファイル59、方面データファイル60、難読地名データファイル61、その他のデータファイル62を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
【0021】
図3は、方面案内データファイル60の内容と、道路データファイル54の道路データとの関係を概念的に表したものである。
図3では、道路データとしてノードA〜H、各ノード間を結ぶリンク1〜8が存在し、案内標識が設置されているノードGについての方面案内データについて表している。
方面データは、各地名毎の、進入リンク、退出リンク、読み(音声用)及び漢字(表示用)で構成されている。例えば、ノードGに対し、ノードGに進入する進入リンク(5〜8)と、ノードGから退出する退出リンク(5〜8)が格納され、この進入リンク、退出リンクの対に対応する音声用の読みと、表示用の漢字(表記)が格納されている。
【0022】
方面データは、道路に設置されている案内標識に基づいて作成されている。
方面データの進入リンクと退出リンクが進行方向特定データとして機能し、読み(音声用)が地名に対応する音声出力用データとして機能し、漢字(表示用)が内標識に表記された方面の地名として機能する。
【0023】
例えば、図3の点線pで表示されるように、リンク1、4、5を走行しノードGを右折してリンク7を走行する走行経路が設定されているものとする。この場合、案内標識から所定距離手前で実行される方面案内では、ノードGにリンク5から進入ししてリンク7へ退出する際の方面案内用のデータとして、枠qで囲った「枚方」と「八幡」の2つが使用されることになる。
【0024】
難読地名データファイル61(図2)は、難読地名辞書として機能し、難読な地名の表記(漢字)が格納されえいる。
難読地名データファイル61には、難読地名として、例えば、「東山」(あがりやま)、「西原」(いりばる)、「上生」(わぶ)、「特牛」(こっとい)などが格納されている。
【0025】
以上のように構成されたナビゲーション装置による、方面案内処理について説明する。
まず、方面案内処理を行う前提としての経路案内について説明する。
ナビゲーション装置は、現在位置検出装置10で現在位置を検出し、情報記憶装置50の地図データファイル51から現在位置周辺の地図情報を読み込みディスプレイ42に表示する。
そして、入力装置41から目的地が入力されると、情報処理制御装置20は、現在位置から目的地に至る走行経路の候補を複数探索(演算)し、ディスプレイ42に表示した地図上に表示し、運転者がいずれかの走行経路を選択すると、選択した走行経路をRAM24に格納することで、走行経路を取得する(走行経路取得手段)。
【0026】
なお、情報処理装置20は、情報処理センタに車両現在位置(又は入力された出発地)と目的地を送信し、情報処理センタで探索された目的地までの走行経路を受信することにより走行経路を取得すうるようにしてもよい。この場合、目的地や走行経路の通信は通信インターフェイス25を介して、無線通信により行う。
また、自宅等のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を使用して、出発地から目的地までの走行経路を探索し、USBメモリ等の記憶媒体に格納し、該記憶媒体読取り装置を介して取得するようにしてもよい。この場合の記憶媒体読み取り装置は伝送路45を介して情報処理装置20に接続される。
【0027】
なお、この走行経路を取得した段階で、走行経路上に存在する案内標識に対応した方面案内用のデータを方面データファイル60から抽出してRAM24の所定領域に格納しておくようにしてもよい。
【0028】
車両が走行すると、現在位置検出装置10によって検出された現在位置を追跡することにより、経路案内を行う。
経路案内は、探索した走行経路に対応する道路データと現在位置検出装置10で検出される現在位置とのマップマッチングにより、地図上の車両位置を特定し、車両現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示すると共に、探索した走行経路と現在位置とを地図上に表示する。
また、探索した走行経路と現在位置との関係から、案内の必要性、すなわち直進が所定距離以上続く場合、所定の進路変更地点等の走行経路の案内、及び方面案内が必要か否か等について判断し、必要である場合にはディスプレイ42の表示及び音声による案内を実行する。
【0029】
以下、方面案内が必要であると判断した場合に実行される方面案内処理について説明する。
(a)第1実施例
この第1実施例では、現在位置と走行経路とから方面案内の対象として取得した地名が難読地名である場合に、同一方向に他の難読でない地名が存在する場合には他の地名による方面案内を行うものである。
【0030】
図4は、第1実施例による方面案内処理の内容について表したフローチャートである。
経路案内を実行するメインルーチンにおいて方面案内を行うと判断されると、情報処理装置20は、図4に示されるように、現在位置と走行経路とから方面案内の対象となる地名データ(表示用の漢字と音声用の読み)を方面データファイル60から読み出し、RAM24に格納する(ステップ10)。
なお、読み出し対象となる地名が複数方面データファイル60に格納されている場合、情報処理装置20は、最初に格納されている(データ格納アドレスの小さい)地名を最初に読み出す。
【0031】
ついで情報処理装置20は、方面案内の対象として読み出した地名が難読地名か否か判断する(ステップ11)。
すなわち、情報処理装置20は、RAM24に格納した地名データの表示用漢字が難読地名データファイル61に存在するか否か検索し、存在する場合には難読地名と判断する。
【0032】
読み出した地名が難読地名でなければ(ステップ11;N)、情報処理装置20は、RAM24に格納されている地名データを使用して方面案内を行う(ステップ12)。
すなわち、情報処理装置20は、RAM24に格納した方面データの表示用漢字をディスプレイ42に表示すると共に、音声用の読みをスピーカ44から出力することで音声による方面案内を行い、メインルーチンにリターンする。
【0033】
一方、読み出した地名が難読地名である場合(ステップ11;Y)、情報処理装置20は、同一方面で別の地名データが方面データ61に存在するか否かを判断する(ステップ13)。
別の地名が存在する場合(ステップ13;Y)、情報処理装置20は、RAM24に既に格納されている地名を削除し、別の地名の地名データを新たに格納し(ステップ14)、ステップ11に戻る。以後、同様にRAM24に格納した地名が難読地名か否か判断され、難読地名でなければステップ12において難読でない別の地名による方面案内がなされる。
【0034】
一方、別の地名が存在しない場合(ステップ13;N)、情報処理装置20は、RAM24に格納されている難読地名の地名データに従って難読地名による方面案内を行う(ステップ15)。
すなわち、情報処理装置20は、RAM24に格納した方面データの表示用漢字をディスプレイ42に表示すると共に、音声用の読みをスピーカ44から出力することで音声による方面案内を行い、メインルーチンにリターンする。
【0035】
以上説明した第1実施例によれば、方面案内の対象となる地名が複数存在する場合に、難読でない地名を優先して方面案内をするので、車両の搭乗者(運転者、同乗者)は、方面の認識が容易になる。
【0036】
説明した第1実施形態では、方面案内の対象となる地名の全て(1つの場合を含む)が難読地名である場合に、難読地名による方面案内を行うが、かかる場合には方面案内を行わない(中止する)ようにしてもよい。
これにより、難読地名による方面案内をした場合の搭乗者の混乱をなくすことができる。
なお、難読地名による方面案内を行うか行わないかについては、この変形例、及び後述する第2実施例、その他の変形例を含め、搭乗者が選択出来るようにしてもよい。
【0037】
次に第2の実施例について説明する。
この第2実施形態では、方面案内の対象となる地名の全て(1つの場合を含む)が難読地名に該当する場合でも、方面の推測が可能な難読地名については、当該難読地名による方面案内を行い、推測が可能な難読地名がない場合には方面案内を行わない(中止する)ものである。
【0038】
図5は、第2実施例による方面案内処理の内容について表したフローチャートである。
経路案内を実行するメインルーチンにおいて方面案内を行うと判断されると、情報処理装置20は、第1実施形態と同様に、方面案内の対象となる地名データを方面データファイル60から読み出してRAM24に格納し(ステップ20)、読み出した地名が難読地名でなければ(ステップ21;N)、情報処理装置20は、RAM24に格納されている地名データを使用して方面案内を行う(ステップ22)。
【0039】
一方、読み出した地名が難読地名である場合(ステップ21;Y)、情報処理装置20は、同一方面で別の地名データが方面データ61に存在するか否かを判断する(ステップ23)。
別の地名が存在する場合(ステップ23;Y)、情報処理装置20は、第1実施例と同様に、RAM24に既に格納されている地名を削除し、別の地名の地名データを新たに格納し(ステップ24)、ステップ21に戻り、RAM24に新たに格納した地名が難読地名か否か判断される。
【0040】
一方、別の地名が存在しない場合(ステップ23;N)、情報処理装置20は、RAM24に格納されている難読地名の読みの中に、難読地名を表記する漢字に対応して通常の読みが存在するか否かについて判断する(ステップ25)。
例えば、「東山」(あがりやま)は難読地名データファイル61に格納されている難読地名であるが、その読み「やま」は、漢字「山」に対する通常の読みであるので、通常の読みが存在する難読地名に該当する。
このように、本実施例では常用漢字表の音訓読みを、通常の読みであると判断し、そのための常用漢字表と音訓読みのデータは難読地名データファイルに格納される。
【0041】
難読地名の中に通常の読みが1つ以上存在する場合(ステップ25;Y)、方面案内の音声に対応する難読地名を推定することが可能であるため、情報処理装置20は、当該難読地名による方面案内を行い(ステップ26)、メインルーチンにリターンする。
【0042】
一方、難読地名の中に通常の読みが1つも存在しない場合(ステップ25;N)、情報処理装置20は、当該難読地名による方面案内を行わずに(ステップ27)、メインルーチンにリターンする。
【0043】
以上説明した第2実施例によれば、難読でない地名及び推測可能な難読地名を方面案内の対象とし、推測可能でない難読地名の案内を行わないので、方面案内された地名を容易に認識することができると共に、方面案内の回数減を少なくすることができる。
【0044】
なお、第2実施例では、方面案内の対象の全てが難読地名である場合、すなわち最後に読み出した地名が難読地名である場合(ステップ23;N)、最後に読み出した難読地名について推測可能か否かを判断し、可能であれば方面案内をし(ステップ26)、可能でなければ方面案内を中止している(ステップ27)。
これに対し、全てが難読地名である場合には、各難読地名に対して1つ以上の通常の読みがあるか否か(推測可能か否か)を判断するようにしてもよい。すなわち、情報処理装置20は、難読地名を1つ読み出して推測可能か否かを判断し、推測可能でなければ他の難読地名について順次推測可能か否かを判断する。そして、推測可能な難読地名と判断した場合に、当該難読地名による方面案内を行い、全ての難読地名が推測可能でない場合に、方面案内を中止する。
【0045】
この場合、全ての難読地名について推測可能か否かを判断し、推測可能な難読地名が複数存在する場合には、通常の読みの数が最も多い難読地名について方面案内を行うようにしてもよい。通常の読みの数が同じ場合には、最初の難読地名を方面案内の対象とする。
【0046】
以上、本発明のナビゲーション装置における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態/実施例及び変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態/実施例及び変形例では、難読地名か否かについて、難読地名辞書を予め用意し、該辞書に格納されている表記と一致する場合に難読地名と判断したが、以下のいずれかの基準を満たす場合に難読地名と判断するようにしてもよい。
(a)地名を表記する漢字の全てが常用漢字以外の漢字である場合
(b)地名を表記する漢字の所定数(例えば半分以上)が常用漢字以外の漢字である場合
(c)地名を表記する漢字の全ての読みが常用漢字の音訓読みでない場合
(d)地名を表記する漢字の所定数(例えば半分以上)の読みが常用漢字の音訓読みでない場合
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】方面案内の対象となる案内標識を例示した説明図である。
【図2】本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図3】方面案内データファイルの内容と、道路データファイルの道路データとの関係を概念的に表した説明図である。
【図4】第1実施例による方面案内処理の内容について表したフローチャートである。
【図5】第2実施例による方面案内処理の内容について表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
40 入出力装置
50 情報記憶装置
60 方面データファイル
61 難読地名データファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方面の地名が表記された案内標識に対応して、該案内標識に表記された方面の地名、該地名に対応する音声出力用データ及び進行方向特定データが格納された方面データ記憶手段と、
車両の走行経路を取得する経路取得手段と、
前記取得した走行経路に存在する案内標識を検出する案内標識検出手段と、
前記走行経路における車両の現在位置に対応して、前記検出した案内標識に表記された、走行経路に対応する進行方面の地名を音声で案内する方面案内手段とを備え、
前記方面案内手段は、走行経路に対応する進行方面の地名が複数存在する場合、難読でない地名を優先して音声による案内を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記方面案内手段は、走行経路に対応する進行方面の地名が全て難読である場合、方面の案内を中止する、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
進行方面の地名が表記された案内標識に対応して、該案内標識に表記された方面の地名、該地名に対応する音声出力用データ及び進行方向特定データが格納された方面データ記憶手段と、
車両の走行経路を取得する経路取得手段と、
前記取得した走行経路に存在する案内標識を検出する案内標識検出手段と、
前記走行経路における車両の現在位置に対応して、前記検出した案内標識に表記された、走行経路に対応する進行方面の地名を音声で案内する方面案内手段とを備え、
前記方面案内手段は、方面案内の対象である地名が難読である場合、該地名に難読でない読みの文字を含む場合には当該地名を音声で案内し、該地名に難読でない読みの文字を含まない場合には、方面の案内を中止する、ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
難読な地名が格納された難読地名辞書を備え、
前記方面案内手段は、前記難読地名辞書を使用して、方面案内の対象である進行方面の地名が難読か否かを判断する、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記方面案内手段は、常用漢字表の音訓読み以外の読みを難読と判断する、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−216000(P2008−216000A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52900(P2007−52900)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】