説明

ナビゲーション装置

【課題】経路案内を速やかに受けることができるとともに、更新された地図データによる推奨経路の経路案内を受けることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、地図データを更新しないで推奨経路31を探索し、経路案内を行う。経路案内を開始した後、地図データを更新する。推奨経路31が、地図データが更新されているメッシュ領域M26,M35,M36を通過する場合、表示モニタ16にリルート画面40を表示する。再経路探索を行う場合、ユーザはリルート画面40のYESボタン41を押圧する。その結果、ナビゲーション装置は、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路を再探索する。そして、再経路探索された推奨経路で経路案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から地図データを取得して、内部に記憶している地図データを更新するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経路案内を行う前に、更新された地図データを外部から受信し、内部に記憶した地図データを更新する通信型ナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−75174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、更新された地図データを外部から受信したり、内部に記憶した地図データを更新したりするのに時間がかかるため、なかなか経路案内が開始されないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、地図をメッシュによりメッシュ領域に区画し、各メッシュ領域に対応して作成されたメッシュデータから構成される地図データを記憶する記憶手段と、更新された更新メッシュデータを外部から受信する受信手段と、受信手段により受信された更新メッシュデータを用いて記憶手段により記憶されている地図データを更新する更新手段と、記憶手段により記憶された地図データを用いて推奨経路を探索する探索手段と、探索手段により探索された推奨経路の経路案内を行う案内手段とを備え、案内手段は、更新手段により更新された地図データを用いて探索された更新後推奨経路の経路案内を開始するまで、更新手段により更新される前の地図データを用いて探索された更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、案内手段は、更新前推奨経路が更新メッシュデータに対応するメッシュ領域を通過しない場合、更新後推奨経路の経路案内を行わずに更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、ユーザによる推奨経路の再探索指示を入力する入力手段を備え、探索手段は、入力手段により再探索指示が入力された場合、更新後推奨経路を探索することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、更新前推奨経路が更新メッシュデータに対応するメッシュ領域を通過する場合、入力手段によりユーザに再探索指示を入力させるための入力画面を表示モニタに表示する表示制御手段を備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、案内手段は、更新前推奨経路と更新後推奨経路とが共通しない場合、更新後推奨経路の経路案内を開始するまで更新前推奨経路の経路案内を行い、更新前推奨経路と更新後推奨経路とが共通する場合、更新後推奨経路の経路案内を行わずに更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、ユーザによる更新後推奨経路の経路案内開始指示を入力する入力手段を備え、案内手段は、入力手段により経路案内開始指示が入力された場合、更新後推奨経路の経路案内を開始するまで更新前推奨経路の経路案内を行い、入力手段により経路案内開始指示が入力されない場合、更新後推奨経路の経路案内を行わずに更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、更新される前の地図データを用いて探索した推奨経路で経路案内を開始した後、更新した地図データを用いて再探索された推奨経路で経路案内を行うようにした。これにより、ユーザは、目的地までの経路案内を速やかに受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態による地図更新システムを説明するための図である。図1の地図更新システムは、車両に設けられたナビゲーション装置1と情報センタ2とを含む。ナビゲーション装置1と情報センタ2とはネットワーク3を介して接続している。この地図更新システムでは、情報センタ2は、ナビゲーション装置1に対して、更新したメッシュデータを送信する。ナビゲーション装置1は、受信したメッシュデータを使用して記憶している地図データを更新する。
【0007】
ナビゲーション装置1の詳細については後述する。情報センタ2はサーバ21と通信装置22とを備える。サーバ21は、地図データを記憶する。地図データは、所定の地図を網目状の区画に区切った単位で作成され、記憶される。以下、所定の地図を網目状に区画した1つの単位をメッシュ領域と呼び、該網目状の線をメッシュと呼ぶ。また、地図データの中で1つのメッシュ領域に対応するデータを、以下、メッシュデータと呼ぶ。複数のメッシュデータが集合したものを地図データと呼ぶ。
【0008】
メッシュデータには、道路データと、背景データと、道路ネットワークデータと、検索データとが含まれている。道路データは、地図上の道路を表示するためのデータであり、背景データは、道路以外の地図の背景を表示するためのデータである。道路ネットワークデータは、推奨経路の探索で使用されるリンクやノードのデータであり、検索データは施設を検索するために使用する施設データである。
【0009】
メッシュデータには、付属情報としてメッシュIDとバージョン情報とが含まれている。メッシュIDは、どのメッシュ領域のメッシュデータであるかを認識できるようにするための識別符号である。バージョン情報は、サーバに記憶されているメッシュデータがいつ更新されたものであるかを認識できるようにするための符号である。通信装置22を用いて、サーバ21に記憶したメッシュデータをナビゲーション装置1に送信することができる。
【0010】
図2は、第1の実施形態における地図更新システムを構成するナビゲーション装置1を説明するための図である。このナビゲーション装置1は、地図データを記憶しており、情報センタ2から送信されたメッシュデータを用いてその地図データを更新することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19、タッチパネルコントロール部110、通信装置111およびデータ記憶装置112を有している。地図データはデータ記憶装置112に記憶されている。
【0011】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、データ記憶装置112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。
【0012】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定する。また、現在地検出装置14により検出された車両の現在地が自車位置マークとして地図上に表示される。
【0013】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはデータ記憶装置112に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0014】
データ記憶装置112は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性記録媒体によって構成され、地図データをメッシュ領域単位で記憶する。地図データを構成するメッシュデータには、上述したように、道路データと、背景データと、道路ネットワークデータと、検索データとが含まれている。
【0015】
ナビゲーション装置1は、メッシュデータのバージョン情報によって、データ記憶部112に記憶されているメッシュデータが最新のものであるかを判定することができる。具体的には、データ記憶装置112に記憶されているメッシュデータのバージョン情報と、情報センタ2から送信されたバージョン情報とを比較することによって判定する。
【0016】
メッシュデータのメッシュIDによって、ナビゲーション装置1は、情報センタ2から受信したメッシュデータとデータ記憶装置112に記憶しているメッシュデータとの対応関係を認識することができる。これにより、古いメッシュデータを、新しいメッシュデータに置き換えることによって、地図データを更新することができる。したがって、地図データを更新するとき、データ記憶装置112に記憶されている地図データの全てを新しい地図データに置き換える必要がない。
【0017】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路案内したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などのために操作される操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。
【0018】
目的地がユーザによって設定されると、目的地に経路探索終了点が設定される。そして、経路探索用データを用いて経路探索開始点から経路探索終了点までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは道路地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路案内する。
【0019】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を通して表示される。したがって、表示モニタ16の表示画面を押圧しようとするとタッチパネル19が押圧される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出し、タッチパネルコントロール部110はタッチパネル19の押圧位置を算出する。表示モニタ16に表示された各種ボタンや表示メニューなどを指などで押圧しようとするとタッチパネル19は押圧され、各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行される。
【0020】
通信装置111はネットワーク3に向けて無線通信を行う装置である。これにより、情報センタ2との間で情報の送受を行うことができる。
【0021】
次に、図3および図4を参照して本発明の第1の実施形態における推奨経路の再経路探索について説明する。本発明の第1の実施形態では、地図データを更新する前に、更新前の地図データを用いて推奨経路を探索し、経路案内を開始する。そして、地図データを更新した後は更新後の地図データを用いて再び推奨経路を探索し、該経路案内に代えてその推奨経路の経路案内を行う。推奨経路は、データ記憶装置112に記憶されている地図データを用いて探索される。
【0022】
図3(a)は、地図データを最新のものに更新する前に探索された推奨経路31と、地図データを更新した後のメッシュ領域M01〜M60との関係を示す図である。メッシュ領域M01〜M60のうち、メッシュ領域M25.M26,M35,M36は、メッシュデータが更新されたメッシュ領域であり、理解しやすくするため表示色を変えてある。
【0023】
ユーザは、推奨経路を探索して経路案内を受ける操作を行うと、ナビゲーション装置1は、図3(a)に示す推奨経路31を探索し、推奨経路31の経路案内を行う。そして、ナビゲーション装置1は、メッシュデータを受信し、地図データを更新して、推奨経路31はメッシュデータが更新されているメッシュ領域M25,M26,M35,M36を通過するか否かを判定する。通過する場合、図3(b)に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の表示画面に、ユーザの再経路探索の指示を入力させるリルート画面40をポップアップ画面として表示する。リルート画面40には、「地図データが更新されています。リルートしますか。」という文章とともに、YESボタン41とNOボタン42とが表示される。
【0024】
更新された地図データを用いて再経路探索を行う場合、ユーザはYESボタン41を押圧することになる。その結果、ナビゲーション装置1は、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路を再探索する。そして、再探索された推奨経路を、地図30に重ねて表示モニタ16に表示し、再探索された推奨経路にしたがって、経路案内を行う。再経路探索を行わない場合、ユーザはNOボタン42を押圧することになる。その結果、ナビゲーション装置1は、引き続き地図データが更新される前の推奨経路31にしたがって経路案内を行う。
【0025】
一方、図3(a)と異なり、更新する前の地図データを用いて探索された推奨経路が、更新されたメッシュデータに対応するメッシュ領域を通過しない場合は、更新された地図データを用いて再経路探索を行わず、更新された地図データを用いて探索された推奨経路の経路案内を行わない。以下、説明する。図4(a)は、更新前の地図データを用いて探索された推奨経路31と、メッシュ領域M01〜M60との関係を示す図である。推奨経路31は、メッシュデータが更新されているメッシュ領域M37,M38,M47,M48を通過しない。この場合、ナビゲーション装置1は、図4(b)に示すように、地図データが更新されても表示モニタ16の表示画面にはリルート画面40を表示しない。再経路探索を行っても推奨経路が変更される可能性が低いからである。ナビゲーション装置1は、地図データが更新される前の推奨経路31にしたがって目的地までの経路案内を引き続き行う。
【0026】
次に、本発明の第1の実施形態における地図データの再経路探索処理について、図5および図6のフローチャートを参照して説明する。図5および図6の処理は、ユーザが所定の推奨経路探索の操作を行うと経路案内が開始された後、スタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0027】
ステップS501では、通信装置111を用いて、更新されたメッシュデータの送信を要求するメッシュデータ要求信号を情報センタ2へ送信する。ステップS502では、データ記憶装置112に記憶されている更新前の地図データを用いて、推奨経路を探索する。ステップS503では、探索された推奨経路を表示モニタ16に表示する。ステップS504では、経路案内を行うために必要になる誘導情報を作成する。ステップS505では、探索された推奨経路にしたがって経路案内を行う。
【0028】
ステップS506では、通信装置111を用いて情報センタ2より送信されたメッシュデータを受信する。ステップS507では、受信したメッシュデータを用いてデータ記憶装置112に記憶されている地図データを更新する。ステップS508では、地図データの更新が完了したか否かを判定する。地図データの更新が完了した場合はステップS508は肯定判定され、図6のステップS601へ進む。地図データの更新が完了しない場合はステップS508は否定判定され、ステップS505に戻る。
【0029】
図6のステップS601では、推奨経路が通過するメッシュに対応するメッシュデータが更新されたか否かを判定する。推奨経路が通過するメッシュに対応するメッシュデータが更新された場合はステップS601は肯定判定され、ステップS602へ進む。推奨経路が通過するメッシュに対応するメッシュデータが更新されていない場合はステップS601は否定判定され、ステップS609へ進む。
【0030】
ステップS602では、表示モニタ16の表示画面にリルート画面を表示する。ステップS603では、リルート画面に表示されたYESボタンが押圧されたか否かを判定する。
YESボタンが押圧された場合はステップS603は肯定判定され、ステップS604へ進む。YESボタンが押圧されない場合はステップS603は否定判定され、ステップS608へ進む。
【0031】
ステップS604では、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路を再探索する。ステップS605では、再探索された推奨経路を表示モニタ16に表示する。ステップS606では、経路案内を行うために必要になる誘導情報を作成する。ステップS607では、今まで行っていた経路案内に代えて再探索された推奨経路にしたがって経路案内を行う。
【0032】
ステップS608では、リルート画面に表示されたNOボタンが押圧されたか否かを判定する。NOボタンが押圧された場合はステップS608は肯定判定され、ステップS609へ進む。NOボタンが押圧されない場合はステップS608は否定判定され、ステップS603に戻る。ステップS609では、既に探索されている推奨経路にしたがって引き続き経路案内を行う。
【0033】
以上の第1の実施形態は次のような作用効果を奏する。
(1)更新前の地図データを用いて探索した推奨経路の経路案内を開始した後、更新した地図データを用いて再探索された推奨経路で経路案内を行うようにした。これにより、ユーザは、経路案内を速やかに受けることができる。なお、更新後の地図データを用いて探索された推奨経路が更新前の地図データを用いて探索された推奨経路と大きく異なることは少ないので、更新前の地図データにより探索された推奨経路を最初に走行することにより、更新後の地図データを最初から走行する場合に比べて、目的地までの行程が非常に遠回りになることはない。
【0034】
(2)推奨経路が通過するメッシュ領域に対応するメッシュデータが更新されていなければ、地図データが更新されても再経路探索を行わないようにした。これにより、再経路探索を行っても推奨経路が変わらない可能性が高い場合は、無駄な再経路探索処理を行わないようにすることができる。
【0035】
(3)最終的にユーザの判断で再経路探索を行うようにしたので、ナビゲーション装置1の利便性が向上する。たとえば、最近、地図データを更新し、地図データを更新して再経路探索を行っても推奨経路が変わらない可能性が高い場合は、ユーザの判断で再経路探索を行わないようにすることができ、便利である。
【0036】
(4)推奨経路が通過するメッシュ領域に対応するメッシュデータが更新されている場合、リルート画面40を表示して、ユーザにより再経路探索を行うか否かの判断を行いさせるようにした。これにより、上述と同じようにナビゲーション装置1の利便性が向上する。
【0037】
以上の第1の実施形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)メッシュデータが更新された場合であっても、メッシュデータに含まれる背景データのみが更新された場合は、再経路探索を行わないようにしてもよい。背景データは経路探索に関係なく、再経路探索しても推奨経路は変わらないからである。
【0038】
(2)以前探索した推奨経路をデータ記憶装置112に登録しておき、その登録経路が、メッシュデータが更新されたメッシュを通過する場合、その登録経路について再経路探索を行うようにしてもよい。地図データの更新により登録経路が推奨経路でなくなったり、登録経路が途中で途切れたりする場合があるからです。これにより、ユーザは、更新された地図データを用いて再探索された推奨経路の登録経路で速やかに経路案内を受けることができる。
【0039】
(3)地図データの更新により更新されたリンクに対応する道路を点滅表示するようにしてもよい。地図データの更新による道路の変更箇所をユーザが認識できるようにするためである。また、更新されたリンクに対応する道路を選択すると、その道路を経由地として再経路探索するようにしてもよい。これにより、地図データの更新によりリンクが更新された道路を実際に走行して変更箇所を確認することができる。
【0040】
(4)地図データの更新前の地図データを用いて探索した推奨経路で経路案内を開始した後、更新した地図データを用いて再探索された推奨経路で経路案内を行うようにできれば、更新されたメッシュデータの受信のタイミング、地図データの更新のタイミングは第1の実施形態に限定されない。たとえば、推奨経路の探索開始から並行してメッシュデータを受信し、地図データを更新するようにしてもよい。また、最初にメッシュデータの受信を開始し、メッシュデータを受信する処理と並行して更新前の地図データを用いて推奨経路を探索し、その後、地図データを更新するようにしてもよい。地図データの更新開始後は、更新前の地図データを用いて推奨経路を探索することはできないので、地図データの更新開始前に、更新前の地図データを用いて推奨経路の探索を完了しておく必要がある。
【0041】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置では、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路が、更新された地図データを用いて探索された推奨経路と変わらない場合、以下のようにする。つまり、更新された地図データを用いて探索された推奨経路の経路案内を行わずに、引き続き、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路で目的地までの経路案内を行う。本発明の第2の実施形態による地図更新システムおよびナビゲーション装置の構成は、第1の実施形態による地図更新システムおよびナビゲーション装置1の構成と共通するので、構成の説明は省略する。
【0042】
図7および図8を参照して本発明の第2の実施形態における経路案内について説明する。第2の実施形態でも、更新前の地図データを用いて探索した推奨経路の経路案内を開始した後、更新した地図データを用いて再探索された推奨経路で経路案内を行う。図7(a)は、最新のものに更新する前の地図データを用いて探索された推奨経路31と、メッシュ領域M01〜M60との関係を示す図である。メッシュ領域M01〜M60のうちのメッシュ領域M25,M26,M35,M36は、更新されたメッシュデータに対応するメッシュ領域である。図7(a)に示すように、推奨経路31が、メッシュデータが更新されているメッシュ領域M26,M35,M36を通過する場合、ナビゲーション装置1は、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路を再探索する。
【0043】
図7(b)は、再探索された推奨経路51を説明するための図である。図7(b)に示すように、推奨経路51は更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路31と異なる経路である。この場合、図7(c)に示すように、ナビゲーション装置1は、表示モニタ16の表示画面に、推奨経路31と推奨経路51とを地図30に重ねて表示する。更新された地図データを用いて探索された推奨経路51は、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路31と比較して強調表示される。
【0044】
さらに、ナビゲーション装置1は、ユーザに推奨経路51の経路案内指示を入力させる案内画面60をポップアップ画面として表示する。案内画面60には、「地図データが更新されています。新しいルートで案内しますか。」という文章とともに、YESボタン61とNOボタン62とが表示される。
【0045】
再探索された推奨経路51の経路案内を受ける場合、ユーザは、YESボタン61を押圧し、推奨経路51の経路案内を受けることができる。そのまま、推奨経路31の経路案内を受ける場合、ユーザは、NOボタン62を押圧し、地図データが更新される前の推奨経路31の経路案内を受けることができる。
【0046】
一方、更新された地図データを用いて探索された推奨経路が、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路と共通する経路である場合、表示モニタ16の表示画面には、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路のみが表示される。以下、説明する。図8(a)は、地図データを最新のものに更新する前に探索された推奨経路31と、メッシュM01〜M60領域との関係を示す図である。メッシュ領域M01〜M60のうちのメッシュ領域M25,M26,M35,M36は、更新されたメッシュデータに対応するメッシュ領域である。推奨経路31は、メッシュデータが更新されているメッシュ領域M26,M35,M36を通過するので、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路が再探索される。
【0047】
図8(b)は、再探索された推奨経路71を説明するための図である。図8(b)に示すように、推奨経路71は更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路31と共通する経路である。このような場合、図8(c)に示すように、表示モニタ16の表示画面には、推奨経路31のみが地図30に重ねて表示され、推奨経路71は表示されない。また、案内画面60も表示されない。ナビゲーション装置1は、継続して地図データが更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路31の経路案内を行う。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態における地図データの再経路探索処理について、図5および図9のフローチャートを参照して説明する。図5および図9の処理は、ユーザが所定の推奨経路探索の操作を行うと経路案内が開始された後、スタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。なお、第1の実施形態の図5および図6の処理と共通する処理には共通の符号を付し、図5および図6の処理と異なる部分を主に説明する。
【0049】
ステップS601の次にステップS604へ進み、更新された地図データを用いて、車両の現在地を出発地として目的地までの推奨経路を再探索する。ステップS604の次にステップS901へ進む。ステップS901では、再探索された推奨経路は、再経路探索する前の推奨経路と共通するか否かを判定する。共通するか否かは、再探索された推奨経路を構成するリンクが、再経路探索する前の推奨経路を構成するリンクと共通するか否かによって判定する。推奨経路が共通する場合はステップS901が肯定判定され、ステップS609へ進む。推奨経路が共通しない場合はステップS901が否定判定され、ステップS902へ進む。
【0050】
ステップS902では、再経路探索の前の推奨経路とともに再探索された推奨経路を表示モニタ16に表示する。このとき、再経路探索の前の推奨経路に比べて、再探索された推奨経路を強調表示する。ステップS903では、表示モニタ16の表示画面に案内画面を表示する。
【0051】
ステップS904では、案内画面に表示されたYESボタンは押圧されたか否かを判定する。YESボタンが押圧された場合はステップS904は肯定判定され、ステップS606へ進む。YESボタンが押圧されない場合はステップS904は否定判定され、ステップS905へ進む。ステップS905では、案内画面に表示されたNOボタンはが押圧されたか否かを判定する。NOボタンが押圧された場合はステップS905は肯定判定され、ステップS906へ進む。NOボタンが押圧されない場合はステップS905は否定判定され、ステップS904に戻る。ステップS906では、再探索された推奨経路を削除する。そして、ステップS609へ進む。
【0052】
以上の第2の実施形態は、第1の実施形態の(1)および(2)の効果のほかに、次のような作用効果を奏する。
(1)更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路と、更新された後の地図データを用いて探索された推奨経路とが共通する場合、更新される前の地図データを用いて探索された推奨経路で経路案内を行うようにした。これにより、更新された後の地図データを用いて推奨経路の誘導情報を作成しなおさなくても、その推奨経路にしたがう経路案内を行うことができる。
【0053】
(2)ユーザの判断で、再探索された推奨経路の経路案内を行うようにしたので、ナビゲーション装置1の利便性が向上する。たとえば、最近、地図データを更新し、地図データを更新して再経路探索をしても推奨経路が変わらない可能性が高い場合は、ユーザの判断で再探索された推奨経路の経路案内を受けないようにすることができ、便利である。
【0054】
以上の第2の実施形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
ユーザに対して、案内画面を用いて新しい推奨経路で経路案内指示を入力させた。しかし、経路案内を行うとき使用する誘導情報が変更された場合に、ユーザに対して、新しい推奨経路で経路案内を行うか否かの指示を入力させるようにしてもよい。
【0055】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0056】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0057】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の記憶手段はデータ記憶装置112に対応し、受信手段は通信装置111に対応する。更新手段は制御回路11およびデータ記憶装置112に対応し、探索手段は制御回路11に対応する。案内手段は制御回路11、表示モニタ16およびスピーカ17に対応し、入力手段は制御回路11、タッチパネル19およびタッチパネルコントロール部110に対応する。表示制御手段は制御回路11に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態の地図更新システムを説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における推奨経路の再経路探索について説明する。
【図4】本発明の第1の実施形態における推奨経路の再経路探索について説明する。
【図5】本発明の第1の実施形態における地図データの再経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態における地図データの再経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態における経路案内を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における経路案内を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における地図データの経路案内処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーション装置
2 情報センタ
3 ネットワーク
16 表示モニタ
19 タッチパネル
21 サーバ
22,111 通信装置
31,51,71 推奨経路
40 リルート画面
60 案内画面
112 データ記憶装置
M01〜M60 メッシュ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図をメッシュによりメッシュ領域に区画し、各メッシュ領域に対応して作成されたメッシュデータから構成される地図データを記憶する記憶手段と、
更新された更新メッシュデータを外部から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された更新メッシュデータを用いて前記記憶手段により記憶されている地図データを更新する更新手段と、
前記記憶手段により記憶された地図データを用いて推奨経路を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された推奨経路の経路案内を行う案内手段とを備え、
前記案内手段は、前記更新手段により更新された地図データを用いて探索された更新後推奨経路の経路案内を開始するまで、前記更新手段により更新される前の地図データを用いて探索された更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内手段は、前記更新前推奨経路が前記更新メッシュデータに対応するメッシュ領域を通過しない場合、前記更新後推奨経路の経路案内を行わずに前記更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
ユーザによる推奨経路の再探索指示を入力する入力手段を備え、
前記探索手段は、前記入力手段により再探索指示が入力された場合、前記更新後推奨経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記更新前推奨経路が前記更新メッシュデータに対応するメッシュ領域を通過する場合、前記入力手段によりユーザに再探索指示を入力させるための入力画面を表示モニタに表示する表示制御手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内手段は、前記更新前推奨経路と前記更新後推奨経路とが共通しない場合、前記更新後推奨経路の経路案内を開始するまで前記更新前推奨経路の経路案内を行い、前記更新前推奨経路と前記更新後推奨経路とが共通する場合、前記更新後推奨経路の経路案内を行わずに前記更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
ユーザによる前記更新後推奨経路の経路案内開始指示を入力する入力手段を備え、
前記案内手段は、前記入力手段により前記経路案内開始指示が入力された場合、前記更新後推奨経路の経路案内を開始するまで前記更新前推奨経路の経路案内を行い、前記入力手段により前記経路案内開始指示が入力されない場合、前記更新後推奨経路の経路案内を行わずに前記更新前推奨経路の経路案内を行うことを特徴とするナビゲーション装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−229375(P2009−229375A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77581(P2008−77581)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】