説明

ナビゲーション装置

【課題】無線通信によって既に実行されている機能を確保し、かつ、ナビゲーション装置側における目的地設定操作を従来よりも更に少なくする、ナビゲーション装置に関する技術を提供する。
【解決手段】携帯端末との間で所定の情報を送受信可能な通信部と、前記通信部で受信される所定の情報に応じた所定の処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する実行制御部と、前記携帯端末からの位置情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、を備える。前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、前記経路探索部による前記位置情報に基づく経路探索に必要な処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、住所、名前、電話番号等といった目的地を特定するための目的地情報に基づいて経路探索を行う。従来のナビゲーション装置では、ナビゲーション装置に直接住所等の目的地情報を入力することが一般的であった。一方、検索機能を有する携帯電話機が普及し、携帯電話機によって目的地を含めて様々な情報を得ることが可能となっている。また、今日では、ナビゲーション機能を有する携帯電話機も普及しつつある。そこで、近年、ナビゲーション装置と携帯電話機を連携させる様々な技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、携帯電話機のGPS機能を利用して位置情報を測位し、測位した位置情報をカーナビゲーション装置へ送信し、カーナビゲーション装置が、送信された位置情報に基づいて目的地を設定して経路探索を行う技術が開示されている。これにより、特許文献1に記載の技術によれば、携帯電話機によって取得した位置情報に基づいて、カーナビゲーション装置における経路探索を行うことができる。
【特許文献1】特開2003−106854号公報
【特許文献2】特開2007−205872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置に関する従来技術として、携帯電話機によって取得した位置情報をナビゲーション装置へ送信し、送信された位置情報に基づいて目的地を設定する技術が知られている。この技術によれば、ナビゲーション装置への位置情報等の入力の手間を低減することができる。すなわち、目的地の設定を操作部から行わずに目的地の設定を行うことができる。しかしながら、このような従来技術では、位置情報の送信が赤外線通信によるものが主流であり、この場合、ナビゲーション装置側において、赤外線通信を可能とするための設定がその都度必要であった。
【0005】
一方、近接したデバイス間で、2.4GHzの周波数帯域を用いて情報の受け渡しを可能とする無線通信に関する技術としてブルートゥース(登録商標)が知られている。また、車載に搭載されるナビゲーション装置においても、ブルートゥース機能を有するナビゲーション装置が徐々に普及しつつある。この近年普及しつつあるブルートゥース機能を有するナビゲーション装置は、車両の走行中にユーザ(運転者)が携帯電話機を手に持たずに通話できる、いわゆるハンズフリー機能に対応したものが殆どである。また、ハンズフリー機能の実行中は、ナビゲーション装置と携帯端末とは専用のプロファイル(profile)を用いることで、常時接続状態が実現されている。換言すると、ハンズフリー機能を実行するためには、常時接続状態を維持する必要がある。従って、ブルートゥース機能を利用して、携帯端末からナビゲーション装置に位置情報を送信する場合、ハンズフリー機能を確保しながら、位置情報の送信を可能とすることが求められる。
【0006】
本発明では、上記した問題に鑑み、携帯端末から無線通信によって送信される位置情報に基づいて目的地を設定可能なナビゲーション装置において、無線通信によって既に実行されている機能を確保し、かつ、ナビゲーション装置側における目的地設定操作を従来よりも少なくする、ナビゲーション装置に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上述した課題を解決するために、携帯端末からナビゲーション装置の通信部へ位置情報の送信要求がされると、通信部を使用する実行中の所定の処理を中断し、経路探索部による位置情報に基づく経路探索に必要な処理が実行されるようにナビゲーション装置を制御することとした。
【0008】
詳細には、本発明は、経路探索を行うと共に、無線通信により携帯端末との間で情報の送受信が可能なナビゲーション装置であって、前記携帯端末との間で所定の情報を送受信可能な通信部と、前記通信部で受信される所定の情報に応じた所定の処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する実行制御部と、前記携帯端末からの位置情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、を備える。そして、前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、前記経路探索部による前記位置情報に基づく経路探索に必要な処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する。
【0009】
本発明によれば、携帯端末から送られる位置情報に基づいて経路探索が行われるので、ナビゲーション装置側の目的地等の設定を行うことなく経路探索を行うことができる。また、本発明によれば、通信部を使用する所定の処理の実行が中断され、経路探索に必要な処理が実行される。換言すると、実行中の所定の処理は中断、すなわち、一時的に切断されるだけであり、経路探索に必要な処理が終了すると中断された機能は再開する。従って、本発明によれば、通信部を使用する実行中の機能を確保しながら、経路探索を自動的に行うことができる。更に、本発明によれば、携帯端末からの位置情報に基づいて自動的にナビゲーション装置の経路探索が実行されるので、例えば待ち合わせしている人の携帯端末から車両の運転手の携帯端末に待ち合わせ場所(現在位置)を送信し、更にこの現在位置がナビゲーション装置へ転送されることで、車両をを待ち合わせ場所まで円滑に誘導することができる。
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置は、経路探索を行うと共に、無線通信によって、携帯端末との間で情報の送受信が可能である。所定の情報の送受信は、通信部によって行われる。所定の情報には、位置情報や楽曲情報といったデータの他、ナビゲーション装置と携帯端末との間で所定の処理を実現させるために予め決められている共通のプロファイルも含まれる。共通のプロファイルには、携帯端末とナビゲーション装置との間で位置情報の送受信を可能とするもの、受信した楽曲情報の再生を実行させるもの等が例示される。なお、位置情報の送受信を可能とするプロファイルには、送受信される位置情報に基づいて目的地を設定するコマンドを含めるようにしてもよい。また、本発明に係るナビゲーション装置は、車両に搭載されるナビゲーション装置として好適に用いることができるが、この場合、共通のプロファイルには、車両の走行中にユーザ(運転者)が携帯端末を手に持たず通話できる、いわゆるハンズフリー機能を実行させるものとしてもよい。位置情報には、目的地や現在地の経度緯度に関する経度緯度情報やお店等の名称に関する情報が例示されるが、これらの限定されるものではなく、ナビゲーション装置の経路探索に用いることが可能な情報であればよい。
【0011】
実行制御部は、通信部で受信される所定の情報に応じた所定の処理が実行されるようにナビゲーション装置を制御する。ナビゲーション装置を制御するとは、例えばナビゲーション装置を構成する経路探索部を制御するといったように、ナビゲーション装置を構成する各機能部を制御することを意味する。各機能部には、携帯端末との間で所定の情報を送受信する通信部、経路探索を行う経路探索部、ハンズフリー機能を実行するハンズフリー実行部、楽曲等のコンテンツの再生を実行する再生部等が例示される。また、所定の処理には、これらのナビゲーション装置を構成する各機能部で行われる処理が含まれる。すなわち、所定の処理には、通信部によって行われる携帯端末との間で所定の情報の送受信、
経路探索部によって行われる経路探索、ハンズフリー実行部によるハンズフリー機能を実現する処理等が例示される。なお、所定の情報の送受信は、通信部を使用する処理であるが、ハンズフリー機能を実現する処理も、常時接続状態が必要であるため通信部を使用する処理に相当する。
【0012】
ここで、本発明に係るナビゲーション装置では、実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、前記経路探索部による前記位置情報に基づく経路探索に必要な処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御することを特徴とする。これにより、本発明によれば、通信部を使用する実行中の所定の処理の実行を確保するとともに、経路探索を自動的に行うことが可能となる。なお、中断とは、一時的に中断することを意味し、経路探索部による位置情報に基づく経路探索に必要な処理が終了されると再開されることを意味する。経路探索に必要な処理が終了するとは、例えば、位置情報の受信が正常に完了することである。
【0013】
なお、通信部を使用する実行中の所定の処理がある場合であっても、実行中の処理の種別(内容)によっては、処理がすぐに終了し、中断する必要がない場合や中断することができない場合も想定される。そこで、本発明に係るナビゲーション装置は、実行中の所定の処理の種別を判断する判断部を更に備える構成としてもよい。処理がすぐに終了し、中断する必要がない場合とは、例えば情報の送受信である。一方、処理がすぐに終了せず、処理の中断が必要とされる場合とは、例えば、常時接続状態を維持する必要があるハンズフリー機能を実現する処理である。
【0014】
ここで、本発明に係るナビゲーション装置において、前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、該実行中の所定の処理が中断されたことを、前記通信部を介して前記携帯端末へ送信し、該送信後に携帯端末から送られる位置情報を前記通信部を介して受信し、該受信が完了すると該位置情報の受信の完了を該携帯端末へ送信し、中断前に実行していた該通信部を使用する所定の処理が再開されるように該ナビゲーション装置を制御するようにしてもよい。本発明は、上述した実行制御部による処理内容をより具体化したものであり、通信部を使用する実行中の機能を確保しながら、経路探索を自動的に実行することができる。
【0015】
本発明に係るナビゲーション装置は、上述したように、携帯端末からの位置情報に基づいて自動的に経路探索を行うことを特徴とするものである。そこで、このような特徴をより明確にするため、本発明に係るナビゲーション装置において、前記経路探索部は、前記通信部が前記携帯端末からの位置情報の受信を完了すると、該通信部が受信した位置情報に基づいて少なくとも目的地を設定し、かつ、経路探索を開始するようにしてもよい。なお、本発明に係るナビゲーション装置では、目的地の設定後、自動的に経路探索が開始されるが、携帯端末から位置情報が順次送信されてくることも想定される。この場合には、例えば、ナビゲーション装置の記憶部に位置情報を格納しておき、順次経路探索を行うようにすることができる。少なくとも目的地を設定するとは、目的地の他、現在位置の設定も可能であることを意味する。
【0016】
上述したように、本発明に係る所定の処理には、いわゆるハンズフリー機能を実現するための処理も含まれるが、このハンズフリー機能を実行する場合には、機能の特性上、常時接続状態を維持する必要がある。本発明に係るナビゲーション装置によれば、このような常時接続を必要とする機能が既に実行されている場合にも一時的に中断して、再開することができる。従って、本発明に係るナビゲーション装置は、このような常時接続状態を必要とする機能、例えばハンズフリー機能を有するナビゲーション装置として好適に用い
ることができる。
【0017】
ここで、本発明に係るナビゲーション装置における無線通信の手段としては、ブルートゥース(登録商標)を用いることができる。ブルートゥースでは、通常、機器同士の間で共通のプロファイルを用いて所定の処理を実行する。そこで、本発明に係るナビゲーション装置では、所定の情報として、ナビゲーション装置と携帯端末との間で予め決められている共通のプロファイルを用いてもよい。
【0018】
なお、本発明は、上述したナビゲーション装置と携帯端末とを備えるナビゲーションシステムとしてもよい。上述したナビゲーション装置と、携帯端末とを一つのシステムとして機能させることで、簡単かつ容易に目的地の設定、及び設定された目的地までの経路探索を行うことができる。
【0019】
また、本発明は、上述したナビゲーション装置で実行される処理を実現させる方法、又はプログラムであってもよい。更に、本発明は、そのようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯端末から無線通信によって送信される位置情報に基づいて目的地を設定可能なナビゲーション装置において、無線通信によって既に実行されている機能を確保し、かつ、ナビゲーション装置側における目的地設定操作を従来よりも少なくする、ナビゲーション装置に関する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置を含むナビゲーションシステムを例に説明する。
【0022】
<構成>
図1は、実施形態のナビゲーションシステムの概略構成を示す。同図に示すように、本実施形態のナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたナビゲーション装置2と、携帯端末3とによって構成されている。また、携帯端末3は、ネットワークを通じてサーバ4と接続されている。なお、サーバ4は、例えば情報提供サービス業者に設置される。
【0023】
(ナビゲーション装置)
まず、車両に搭載されるナビゲーション装置2について説明する。ここで、図2は、ナビゲーション装置2の概略構成を示す。本実施形態のナビゲーション装置2は、ディスク再生部21と、メモリーカード再生部22と、TV受信部23と、ラジオ受信部24と、ディスプレイ25と、GPS情報受信部26と、操作部27と、外部通信部28と、これらと電気的に接続される制御部20と、により構成されている。
【0024】
ディスク再生部21は、CDやDVD等の光ディスクに記録されているコンテンツを再生する、CD/DVDデッキによって構成することができる。メモリーカード再生部22は、USBメモリ、SDメモリーカードといったナビゲーション装置に着脱可能な移動型記憶媒体に格納されているコンテンツを再生する。TV受信部23は、DTV(Digital Television)放送やワンセグ放送を受信する。TV受信部23は、既存のチューナによって構成することができる。ラジオ受信部24は、FM放送、AM放送、VICS情報等を
受信する。ラジオ受信部24は、既存のチューナによって構成することができる。
【0025】
GPS情報受信部26は、GPS情報を受信する。GPS情報受信部26は、図示せぬGPS用受信アンテナによって構成することができる。操作部27は、ユーザの操作に応じて、操作ボタンに対応する電気信号を制御部20へ送信する。操作部27は、ナビゲーション装置2に一体的に設けてもよく、また、遠隔操作を可能とするリモートコントローラであってもよい。
【0026】
ディスプレイ25は、地図情報と共に現在位置を表示する。また、ディスプレイ25は、上記に加えて、再生されるコンテンツに関する情報等も表示可能である。なお、本実施形態では、ディスプレイ25が、タッチパネルによって構成されているが、既存の様々なディスプレイを適用することができる。このような場合には、操作部やリモートコントローラによって目的地候補を選択すればよい。
【0027】
外部通信部28は、携帯端末3との間で情報の送受信を行う。本実施形態では、ブルートゥース(登録商標)による無線通信を実現可能とするブルートゥースアンテナによって構成されている。なお、外部通信部28は、上記に加えて、赤外線ポートやケーブルを接続するコネクタ等によって構成してもよい。
【0028】
次に、ナビゲーション装置2の制御部20ついて説明する。図3は、ナビゲーション装置2の機能ブロック図を示す。同図に示すように、制御部20は、通信部201と、実行制御部202と、判断部203と、経路探索部204と、ハンズフリー実行部205と、メモリ206と、によって構成されている。なお、制御部20は、CPU、メモリ等を含むコンピュータとコンピュータ上で実行されるプログラムによって実現することができる。また、制御部20を構成する、通信部201、実行制御部202、判断部203、経路探索部204、及びハンズフリー実行部205は、専用のプロセッサによって構成してもよい。
【0029】
通信部201は、ブルートゥースアンテナからなる外部通信部28を介してプロファイルを含む所定の情報の送受信を行う。プロファイルは、ナビゲーション装置2と携帯端末3との間で予め策定されたプロトコルであり、互いに共通のプロファイルを持つことで、プロファイルの機能を利用した所定の処理の実行が可能となる。プロファイルとしては、ハンズフリー機能を実現するためのプロファイル(HFP:Hands-Free Profile)、位置情報を送受信するためのプロファイル(OPP:Object Push Profile)が例示される。なお、位置情報には、目的地や現在地の経度緯度に関する経度緯度情報やお店等の名称に関する情報が例示される。また、プロファイルは、上記に限定されるものではなく、実行させる機能毎に設けることができる。
【0030】
判断部203は、通信部201を使用する実行中の処理の種別を判断する。例えば、本態様では実行中の処理がハンズフリー機能を実現するための処理と判断され、更に、このハンズフリー機能を実現するための処理は常時接続が必要であり位置情報の送受信を実現するためにはハンズフリー機能を実現するための処理の中断が必要と判断することができる。
【0031】
実行制御部202は、通信部201で受信した所定の情報に応じて所定の処理をナビゲーション装置2に実行させる。具体的には、実行制御部202は、ハンズフリー機能を実行するためのプロファイル(HFP)が受信されると、ハンズフリー実行部205に対して、ハンズフリー機能を実現するための処理を実行するよう指示する。また、実行制御部202は、位置情報を送受信するためのプロファイル(OPP)が受信されると、通信部201及び経路探索部204に対して位置情報を取得して取得した位置情報に基づいて目
的地を設定して経路探索を行うよう指示する。なお、実行制御部202は、判断部203が実行中の所定の処理の種別を判断し、更に、実行中の所定の処理の実行の中断が必要である場合に、位置情報を受信し、該位置情報に基づいて目的地を設定して経路探索を行うようにしてもよい。なお、実行制御部202による処理の詳細については後述する。
【0032】
経路探索部204は、携帯端末3から送信される位置情報(例えば、経度緯度)と現在位置情報(同じく経度緯度)とに基づいて経路探索を行う。現在位置情報は、携帯端末から受けてもよくナビゲーション装置2のGPS受信部26から得てもよい。なお、本実施形態では、携帯端末3からの位置情報に基づいて経路探索を行う例を説明するが、ナビゲーション装置2に直接位置情報を入力することも可能である。経路探索部204による経路探索は、既存のナビゲーション装置に用いられている経路探索プログラムによって実現することができる。
【0033】
ハンズフリー実行部205は、ナビゲーション装置2と携帯端末3とを常時接続状態とし、車両の走行中にユーザ(運転者)が携帯端末3を手に持たず通話できるようにする。ハンズフリー実行部205によるハンズフリー機能の実行は、既存のナビゲーション装置に用いられているハンズフリー機能を実行するプログラム、又は専用のプロセッサによって実現することができる。
【0034】
メモリ206は、カーナビゲーション装置2に必要な各種制御プログラムの他、位置情報等を格納することもできる。なお、メモリ206は、揮発性のRAMと、不揮発性のROMとを含む。
【0035】
(携帯端末)
次に携帯端末3について説明する。携帯端末3は、サーバ4に接続することで得られる位置情報(目的地情報や現在位置情報等)をナビゲーション装置2へ送信する。ここで、図4は、携帯端末3の機能ブロック図を示す。図4に示すように、携帯端末3は、CPU34、携帯端末側制御部31、操作部32、表示部33、カメラ35、外部機器と接続可能なインターフェース部36から構成されている。また、携帯端末側制御部31は、端末側通信部311、検索部312、メモリ313から構成されている。
【0036】
CPU34は、各ハードウェアと接続され、例えばメモリ313としてのROMに格納された制御プログラムに従って、所定の処理を実行する。メモリ313は、揮発性のRAMと、不揮発性のROMとを含む。操作部32は、携帯端末3を操作するのに必要な一般的な操作ボタンであればよく、タッチディスプレイ方式であってもよい。インターフェース部36は、ナビゲーション装置2と通信可能なブルートゥースアンテナによって構成されている。但し、インターフェース部36は、上記に加えて赤外線ポートやケーブルを接続するコネクタであってもよい。
【0037】
検索部312は、操作部32を介して入力される検索条件に基づいて情報提供サービス業者が提供する情報検索Webサイト(サーバ4)へアクセスする。この時、表示部33には、情報提供サービス業者が提供する情報検索用のWebページが表示される。Webページでは、例えば、目的やお店のジャンル等を入力して検索を実行する。これにより、所望の位置情報を含む各種情報の取得が可能となる。
【0038】
端末側通信部311は、検索部312で検索され、取得された位置情報や現在位置情報をブルートゥースアンテナからなるインターフェース部36を介してナビゲーション装置2へ送信する。メモリ313は、携帯端末3に必要な各種制御プログラム、すなわち、端末側通信部311を構成するプログラム等を格納する。
【0039】
<処理フロー>
次に本実施形態のナビゲーションシステム1で行われる処理フローについて図面に基づいて説明する。本実施形態では、ハンズフリー機能を実行中に携帯端末3からの位置情報に基づいて目的地を設定する場合を例に説明する。図5は、携帯端末3とナビゲーション装置2の通信処理フローを示す。
【0040】
ステップS01では、携帯端末3において、位置情報が取得される。より詳細には、携帯端末3の検索部312がサーバ4へアクセスし、所望の位置情報が取得される。なお、本態様では、検索した携帯端末から直接ナビゲーション装置へ位置情報を送信しているが、他の携帯端末で検索された位置情報をメール等によって転送し、更に、これをナビゲーション装置へ転送するようにしてもよい。位置情報が取得されると、続いてステップS02では、実行されているハンズフリー機能を中断させるコマンド(ハンズフリー切断コマンドとも言う)が送信される。このハンズフリー切断コマンドは、ユーザが携帯端末3の検索機能を利用して位置情報を取得し、取得した位置情報をナビゲーション装置2の目的地として設定したい場合に送信される。送信方法は、特に限定されるものではないが、例えばユーザが、位置情報の送信を開始するボタンを押すことで、ハンズフリー切断コマンドが送信される。なお、他の携帯から位置情報をメール等によって転送する場合には、携帯端末側で位置情報を含むメールを受信すると、自動的にナビゲーション装置へ位置情報を転送するようにしてもよい。ハンズフリー切断コマンドの送信が完了すると、ステップS11へ進む。
【0041】
ステップS11では、ナビゲーション装置2において、ハンズフリーの切断及び切断の通知が携帯端末3に対して行われる。すなわち、ナビゲーション装置2の実行制御部202は、ハンズフリー機能を実行させているハンズフリー実行部205に対して、ハンズフリー機能の実行を中断するよう指示する。続いて、実行制御部202は、ハンズフリー機能の実行が中断されると、ハンズフリー機能が中断(切断)されたことを携帯端末3へ送信する。この時、実行制御部202は、更に、ブルートゥースによって実行される機能を変更すべく、プロファイルを、ハンズフリー機能を実現するためのプロファイル(HFP)から位置情報を送受信するためのプロファイル(OPP)に変更する。ハンズフリー機能の中断の送信が完了すると、ステップS03へ進む。
【0042】
ステップS03では、携帯端末3において、ハンズフリー機能の中断完了の通知を受け、位置情報の送受信を可能とするためのコマンド(OPP接続コマンドとも言う。)が、ナビゲーション装置2に対して送信される。OPP接続コマンドの送信が完了すると、ステップS12へ進む。
【0043】
ステップS12では、ナビゲーション装置2において、実行制御部202は、OPP接続コマンドを受けると共に、プロファイルが変更されたことを確認して、プロファイルが変更された旨(OPPモード変更完了)を、携帯端末3に対して通知する。OPPモード変更完了の通知が完了すると、ステップS04へ進む。
【0044】
ステップS04では、携帯端末3において、OPPモード変更完了の通知を受け、位置情報の送信が開始される。位置情報の送信が開始されると、ステップS13では、ナビゲーション装置2において、位置情報の受信及び受信完了の通知が携帯端末3に対して行われる。なお、位置情報の受信中は、例えばディスプレイ25に「通信中です。通信が修理了するまでそのままお待ちください。」といった表示をしてもよい。図6は、通信中におけるディスプレイの表示状態を示す。このような表示は、実行制御部202がディスプレイ25に所定の文字情報等を表示させることで実現可能である。なお、本態様では、ディスプレイ25には、上記に加えて、「キャンセル」が表示されている。この「キャンセル」は、位置情報の送受信の中断を可能とするものであり、ディスプレイ25に表示されて
いる「キャンセル」部分がユーザによってタッチされると、位置情報の送受信が中断される。なお、中断後においては、位置情報の送受信が完了できなかったことをユーザに報知するため、「データ受信を中断しました」といった表示をディスプレイ25に表示するようにしてもよい。また、何らかの事情により位置情報が取得できなかったような場合、位置情報の送受信が完了できなかったことをユーザに報知するため、「通信できませんでした。もう一度操作してください」といった表示をディスプレイ25に表示するようにしてもよい。位置情報が正常に受信できた場合、位置情報の受信完了が、携帯端末3に対して通知される。位置情報の受信完了の通知が完了すると、ステップS05へ進む。
【0045】
ステップS05では、携帯端末3において、位置情報の受信完了の通知を受け、位置情報の送受信を終了するためのコマンド(OPP切断コマンドとも言う。)が、ナビゲーション装置2に対して送信される。OPP切断コマンドの送信が完了すると、ステップS14へ進む。
【0046】
ステップS14では、ナビゲーション装置2において、OPP切断コマンドを受け、OPP接続の終了及びOPP接続終了の通知が携帯端末3に対して行われる。OPP接続終了の通知がされると、ステップS06へ進む。
【0047】
ステップS06では、携帯端末3において、OPP接続終了の通知を受け、ハンズフリー接続コマンドが、ナビゲーション装置2に対して送信される。ハンズフリー接続コマンドが送信されると、ステップS15へ進む。ステップS15では、ナビゲーション装置2において、ハンズフリー接続が再開される。なお、携帯端末3において、再度位置情報が取得されると、携帯端末3において、ステップS01からステップS06の処理、ナビゲーション装置2においてステップS11からステップS15の処理が実行される。
【0048】
なお、ナビゲーション装置2における経路探索は、以下のように実行される。図7は、ナビゲーション装置2における経路探索処理フローを示す。まず、ステップS21では、位置情報が取得される。この位置情報は、ステップS04において携帯端末3から送信された位置情報である。続いて、ステップS22では、取得した位置情報に基づいて、現在位置及び目的地が設定される。なお、現在位置情報は、携帯端末3からの現在位置情報でもよく、また、ナビゲーション装置2で取得した現在位置情報であってもよい。現在地及び目的地の設定が完了すると、ステップS23へ進む。ステップS23では、設定された現在位置及び目的地に基づいて経路探索が実行される。
【0049】
以上説明したナビゲーション装置によれば、携帯端末3から送られる位置情報に基づいて経路探索が自動的に行われるので、ナビゲーション装置2側の目的地等の設定を行うことなく経路探索を行うことができる。また、赤外線ポートを使用して位置情報を送信する場合には、赤外線ポートの通信を可能とするため、ナビゲーション装置2側において、赤外線通信を可能とするための操作が必要であった。しかしながら、本実施形態に係るナビゲーション装置2では、通信手段としてブルートゥースを用いることでこのような操作も不要となる。更に、本実施形態に係るナビゲーション装置によれば、実行中の機能、すなわちハンズフリー機能が一時的に中断されて経路探索が実行される。換言すると、実行中のハンズフリー機能は、ナビゲーション装置2側における位置情報の受信が完了すると再開される。つまり、本実施形態に係るナビゲーション装置によれば、ブルートゥースによって既に実行されているハンズフリー機能の実行を確保しながら、経路探索を自動的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ナビゲーションシステムの概略構成を示す。
【図2】ナビゲーション装置の概略構成を示す。
【図3】ナビゲーション装置の機能ブロック図を示す。
【図4】携帯端末の機能ブロック図を示す。
【図5】携帯端末とナビゲーション装置の通信処理フローを示す。
【図6】通信中におけるディスプレイの表示状態を示す。
【図7】ナビゲーション装置における経路探索処理フローを示す。
【符号の説明】
【0051】
1・・・ナビゲーションシステム
2・・・ナビゲーション装置
3・・・携帯端末
4・・・サーバ
20・・・制御部(ナビゲーション装置)
21・・・ディスク再生部
22・・・メモリーカード再生部
23・・・TV受信部
24・・・ラジオ受信部
25・・・ディスプレイ
26・・・GPS情報受信部
27・・・操作部(ナビゲーション装置)
28・・・通信部
31・・・制御部(携帯端末)
32・・・操作部
33・・・表示部
34・・・CPU
35・・・カメラ
36・・・インターフェース部
201・・・通信部
202・・・実行制御部
203・・・判断部
204・・・経路探索部
205・・・ハンズフリー実行部
206・・・メモリ
311・・・端末側通信部
312・・・検索部
313・・・メモリ(携帯端末)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索を行うと共に、無線通信により携帯端末との間で情報の送受信が可能なナビゲーション装置であって、
前記携帯端末との間で所定の情報を送受信可能な通信部と、
前記通信部で受信される所定の情報に応じた所定の処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する実行制御部と、
前記携帯端末からの位置情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、を備え、
前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、前記経路探索部による前記位置情報に基づく経路探索に必要な処理が実行されるように該ナビゲーション装置を制御する、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、前記携帯端末からの位置情報を受信するように該ナビゲーション装置を制御する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記実行制御部は、前記通信部を使用する所定の処理の実行中に、前記携帯端末から前記位置情報の送信要求がある場合、該実行中の所定の処理を中断し、該実行中の所定の処理が中断されたことを、前記通信部を介して前記携帯端末へ送信し、該送信後に携帯端末から送られる位置情報を前記通信部を介して受信し、該受信が完了すると該位置情報の受信の完了を該携帯端末へ送信し、中断前に実行していた該通信部を使用する所定の処理が再開されるように該ナビゲーション装置を制御する、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索部は、前記通信部が前記携帯端末からの位置情報の受信を完了すると、該通信部が受信した位置情報に基づいて少なくとも目的地を設定し、かつ、経路探索を開始する、請求項1から請求3のいずれか一に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記通信部を使用する所定の処理の種別を判断する判断部を更に備え、
前記実行制御部は、前記判断部の判断結果に応じて前記実行中の所定の処理を中断する、請求項1から請求項4のいずれか一に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ナビゲーション装置は、車両に搭載され、
前記実行中の所定の処理とは、前記通信部を使用する、前記車両の走行中にユーザが携帯端末を手に持たずに通話できるハンズフリー機能を実現する処理である、請求項1から請求項5のいずれか一に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、経路探索を行うと共に、ブルートゥースによる無線通信により携帯端末との間で情報の送受信が可能である、請求項1から請求項6のいずれか一に記載のナビゲーション装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−60368(P2010−60368A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224735(P2008−224735)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】