説明

ハイブリッド車両の駆動力制御装置

【課題】車両挙動として運転者にクラッチまたはモータの過熱に対する危険性を知らせて回避操作をとることを可能にして、急に駆動力が出なくなる事態を運転者自身で防ぐことを可能にしたハイブリッド車両の駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】過熱危険性を判定する温度危険度判定部10と、運転者にインフォメーションを与えるか否かを判定する走行状態判定部20と、走行状態判定部20の判定、車速、モータトルク、およびクラッチ伝達トルクに基づいてインフォメーション波形の振幅と、車速に応じた周波数とを決め、インフォメーション波形を生成するインフォメーション波形生成部30と、インフォメーション波形生成部30のインフォメーション波形を加えた駆動トルクを伝達するように制御する駆動力生成部40を備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両では、勾配のきつい場所での渋滞(ショッピングセンターの地下駐車場の出口など)や坂の多い一部の地域では停止から極低速で非常に大きな駆動力が継続的に必要になる。しかし、トルクコンバータ(フルードカップリング機構)を持たないハイブリッド車両では、バッテリーに十分電力がありかつモータが必要な駆動力を出せる場合はモータの過熱のみを問題にすればよいが、例えばバッテリー電力が低下してモータだけでは駆動力が足りない場合はMT車のようにクラッチをスリップさせながらエンジンにより車両を駆動する必要がある(例えば、特許文献1参照)。その場合クラッチの表面温度が規定値を超えると伝達トルクを下げるなどして保護する必要があり勾配路で車両がずり下がることがあった。
【0003】
従来車両では、このようなコンポーネントに厳しい操作をしても何のインフォメーションもないため、運転者はそれと知らずに厳しい操作をつづけて急に車両の駆動力が出なくなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、車両挙動として運転者にクラッチまたはモータの過熱に対する危険性を知らせて回避操作をとることを可能にして、急に駆動力が出なくなる事態を運転者自身で防ぐことを可能にしたハイブリッド車両の駆動力制御装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、ハイブリッド車両の駆動力制御装置であって、クラッチおよびモータの過熱危険性を判定する温度危険度判定部と、温度危険度判定部の判定に加えて車速ならびにアクセル操作状態に応じて運転者にインフォメーションを与えるか否かを判定する走行状態判定部と、走行状態判定部の判定、車速、モータトルク、およびクラッチ伝達トルクに基づいてインフォメーション波形の振幅と、車速に応じた周波数とを決め、インフォメーション波形を生成するインフォメーション波形生成部と、変速機側のクラッチがスリップ状態で駆動力を伝達している場合にこのクラッチはもともとの駆動トルクに、インフォメーション波形生成部のインフォメーション波形を加えた駆動トルクを伝達するように制御する駆動力制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
このように、クラッチ及びモータの過熱危険性を判定する手段と車両の駆動力を任意に増減することのできる駆動力制御手段とを備えたハイブリッド車両の駆動力制御装置において、過熱危険性を判断した場合に故意に駆動力を増減させて車両振動を発生させ、運転者に危険性を認知させる構成であるため、MT車のクラッチ操作中のエンスト危険性のように、車両挙動として運転者にクラッチまたはモータの過熱に対する危険性を知らせて回避操作(この場合はブレーキでの停止又は車速を上げる等)をとることを可能にし、急に駆動力が出なくなる事態を運転者が自分で防ぐことができる。ここで、上記車両振動は危
険度が高い程、大きくなるように駆動力を制御するようにすることが好ましい。
【0008】
このように、インフォメーション波形生成部にて振幅と周期を変えることにより、過熱危険度に応じたインフォメーションを出すことができる。したがって、本発明によれば、過熱の危険性を段階的に検知できるようになり、よりきめ細かな操作が可能になる。
【0009】
また、本発明では、前記温度危険度判定部は、クラッチスリップ時のクラッチ表面温度の過熱の危険性を判定するクラッチ過熱危険性判定部と、モータの巻き線ならびにインバータの冷却水の過熱危険性を判定するモータ過熱危険性判定部と、モータ回転がゼロになるときに電流が単相に集中して温度上昇する過熱危険性を判定するロック過熱危険性判定部と、を備えてなることが好ましい。
【0010】
このように、クラッチ過熱、モータ過熱、モータロック過熱などのそれぞれの危険性を監視して、複数の過熱危険性がある場合は、その時の走行状況でもっとも危険度の高いものについてインフォメーションすることが可能となる。
【0011】
したがって、本発明では、いくつかのコンポーネントの組み合わせにおいても適切に危険性をインフォメーションすることが可能となる。
【0012】
さらに、本発明では、クラッチ過熱危険性判定部が、クラッチの差回転と、クラッチ伝達トルクとを軸として表されるグラフから危険度を評価するようにしてもよい。なお、クラッチ過熱危険判定は、クラッチ伝達トルクの一定期間の履歴により判定してもよい。
【0013】
また、本発明では、駆動力制御装置が、バッテリーの充電量が低く出力ができず、入力のみ可能である場合に、変動の大きさ分をエンジントルクに上乗せしてインフォメーション波形の谷はモータの発電で発生させるように制御するようにしてもよい。
【0014】
したがって、本発明では、クラッチ表面温度を計測できなくても、危険度を判定することが可能となる。
【0015】
なお、本発明においては、インフォメーション波形の与え方をバッテリー出力状態で切り替え、通常のバッテリー状態ではモータを使って波形を実現するが、バッテリー出力が絞られているときはエンジントルクを上乗せしてモータを発電側にのみ使うようにしてもよい。この場合、制御性の良いモータの特性を有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両挙動として運転者にクラッチまたはモータの過熱に対する危険性を知らせて回避操作をとることを可能にして、急に駆動力が出なくなる事態を運転者自身で防ぐことを可能にしたハイブリッド車両の駆動力制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置を適用した車両の駆動系を示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置の統合コントローラの過熱回避駆動力制御のブロック図である。
【図3】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置におけるクラッチ過熱危険度判定ロジックを示す図である。
【図4】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における走行状態判定ロジックを示す図である。
【図5】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。
【図6】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。
【図7】本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置の詳細を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置を適用する車両の駆動系を示す構成図である。本実施の形態におけるハイブリッド駆動系は、エンジン1と、第1クラッチ2と、モータ(モータジェネレータ)3と、第2クラッチ4と、自動変速機5と、図示しないプロペラシャフトと、ディファレンシャル6と、駆動輪7とを含む。
【0020】
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、図示しないエンジンコントローラからの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度などが制御される。なお、エンジン1の出力軸には図示しないフライホイールが設けられている。
【0021】
第1クラッチ2は、エンジン1とモータ3との間に介装されたクラッチであり、後述する駆動力生成装置40からの制御指令に基づいて、図示しない油圧ユニットにより作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み締結・解放が制御される。すなわち、クラッチ伝達トルクが制御される。
【0022】
モータ3は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述する駆動力制御装置からの制御指令に基づいて、図示しないインバータにより作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータ3は、図示しないバッテリーからの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発動機として機能してバッテリーを充電することもできる。
【0023】
第2クラッチ4は、モータ3と自動変速機5との間に介装されたクラッチであり、後述する駆動力生成装置40からの制御指令に基づいて、図示しない油圧ユニットにより作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み締結・解放が制御される。すなわち、クラッチ伝達トルクが制御される。
【0024】
自動変速機5は、例えば、前進5速後退1速などの有段階の変速比を車速やアクセル開度に応じて自動的に切り換える変速機である。なお、第2クラッチ4は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機5の各変速段にて締結される複数の摩擦要素のうち、いくつかの摩擦要素を流用している。
【0025】
そして、自動変速機5の出力軸は、図示しないプロペラシャフト、ディファレンシャル6を介して左右の駆動輪7に連結されている。なお、第1クラッチ2および第2クラッチ4としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いる。
【0026】
このようなハイブリッド駆動系は、第1クラッチ2の締結・解放状態に応じて3つの走行モードを有している。第1の走行モードは、第1クラッチ2の解放状態で、モータ3の動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、EV走行モードという。)である。
【0027】
第2の走行モードは、第1クラッチ2の締結状態で、エンジン1を動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、HEV走行モードという。)である。
【0028】
第3の走行モードは、第1クラッチ2の締結状態で第2クラッチ4をスリップ制御させ、エンジン1を動力源に含みながら走行または発信するエンジン使用スリップ走行モード(以下、WSC走行モードという。)である。このWSC走行モードは、特にバッテリーの充電量が低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成する。さらに、エンジン停止状態からの発進時にエンジン始動しつつ駆動力を出力可能なモードである。
【0029】
HEV走行モードは、エンジン走行モードと、モータアシスト走行モードと、走行発電モードとの3つの走行モードを有する。
【0030】
エンジン走行モードは、エンジン1のみを動力源として駆動輪7を動かす。モータアシスト走行モードは、エンジン1とモータ3の2つを動力源として駆動輪7を動かす。走行発電モードは、エンジン1を動力源として駆動輪7を動かすと同時に、モータ3を発電機として機能させる。定速運転時や加速運転時には、エンジン1の動力を利用してモータ3を発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギーを回生してモータ3により発電し、バッテリーの充電のために使用する。
【0031】
また、更なるモードとして、車両停止時には、エンジン1の動力を利用してモータ3を発電機として動作させる発電モードを有する。
【0032】
次に、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置について説明する。図2は、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置の統合コントローラの過熱回避駆動力制御のブロック図である。図2に示すように、温度危険度判定部10と、温度危険度判定部10からの判定信号に基づいて、アクセル開度、車速、モータトルク、クラッチ伝達トルクを加味してブレーキ促進制御開始判定を行う走行状態判定部20と、インフォメーション波形生成部30と、インフォメーション波形生成部30からのデータ信号に基づいて、バッテリーの充電量、モータトルク指令を加味してモータトルクおよびクラッチ伝達トルクのデータを生成する駆動力生成部40と、を備える。
【0033】
図2に示すように、温度状態判定部10は、電流値、モータの巻き線温度、インバータの冷却水の温度などからロック過熱危険性判定を行うロック過熱危険性判定部11ならびにモータ回転がゼロになるときに電流が単相に集中して温度上昇するモータロック過熱危険判定を行うモータ過熱危険性判定部12と、クラッチスリップ時のクラッチ表面温度の過熱の危険性を判定するクラッチ過熱危険性判定部12とからなる。
【0034】
なお、本実施の形態では、クラッチの表面温度を直接計測することおよび油温から推定するのは困難であるため、図3のグラフに示すように、差回転とクラッチ伝達トルクを軸とする面で危険度を評価し、危険領域ではカウントアップ、安全領域ではカウントダウン、中間領域では何もしないというように、所定時間内の積算値で危険度を判定する。なお、各領域でのカウント値には必要に応じて係数をかける。なお、図3は、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置におけるクラッチ過熱危険度判定ロジックを示す図である。
【0035】
走行状態判定部20は、温度危険度判定部10での温度危険度判定に加えて、図4に示すような(1)、(2)、(3)の車速領域で、車速やアクセル操作状態(開度)により運転者にインフォメーションを与えるか否かを判定する。なお、図4は、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における走行状態判定ロジックを示す図である。
【0036】
図2に示すように、インフォメーション波形生成部30では、モータトルクまたはクラッチ伝達トルクに応じてインフォメーション波形の振幅を、車速に応じて周波数を決める。このインフォメーション波形生成部30では、車速に基づいて周波数決定を行う周波数決定部31と、モータトルク、クラッチ伝達トルクならびに、走行状態判定部20でのロック過熱危険、モータ過熱危険、クラッチ過熱危険の判定結果に基づいて振幅を決定する振幅決定部32と、周波数決定部31と振幅決定部32からの出力に基づいて波形を生成する波形生成部33とから構成されている。波形生成部33の結果は、走行状態判定部20での危険情報に基づいて駆動力生成部40へ出力されるようになっている。
【0037】
図5に示すように、EV走行モードでは、モータ3のみで走行し、自動変速機5側の第2クラッチ4を締結してエンジン側の第1クラッチ2を開放している状態ではモータトルクでインフォメーション波形を出す。なお、図5は、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。
【0038】
図6は、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。図6に示すように、自動変速機5側の第2クラッチ4がスリップ状態で駆動力を伝達しているとき第2クラッチ4はもともとの駆動トルクにインフォメーション波形を加えた駆動トルクを伝達するように制御する。このときモータ3はバッテリーが出力可能である場合はエンジントルクにインフォメーション波形分のモータトルクを上乗せする。
【0039】
図7、本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置における、バッテリー状態に応じたインフォメーション波形実現方法を示す図である。図7に示すように、バッテリーの充電量が低いなどでバッテリーが出力できず、入力のみ可能である場合は変動の大きさ分をエンジントルクに上乗せしてインフォメーション波形の谷はモータの発電で発生させる。
【0040】
本実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動力制御装置では、第1クラッチ2、第2クラッチ4およびモータ3の過熱危険性を判定する温度危険度判定部10と、温度危険度判定部10の判定に加えて車速ならびにアクセル操作状態に応じて運転者にインフォメーションを与えるか否かを判定する走行状態判定部20と、走行状態判定部20の判定、車速、モータトルク、およびクラッチ伝達トルクに基づいてインフォメーション波形の振幅と、車速に応じた周波数とを決め、インフォメーション波形を生成するインフォメーション波形生成部30と、変速機5側の第2クラッチ4がスリップ状態で駆動力を伝達している場合に当該クラッチ4はもともとの駆動トルクに、上記インフォメーション波形生成部30のインフォメーション波形を加えた駆動トルクを伝達するように制御する駆動力制御手段としての駆動力生成部40を備えた構成である。
【0041】
したがって、本実施の形態のハイブリッド車両の駆動力制御装置では、過熱危険性を判断した場合に故意に駆動力を増減させて車両振動を発生させ、運転者に危険性を認知させる構成であるため、例えばMT車のクラッチ操作中のエンスト危険性のように、車両挙動として運転者にクラッチまたはモータの過熱に対する危険性を知らせて回避操作(この場合はブレーキでの停止又は車速を上げる等)をとることが可能になる。このため、急に駆動力が出なくなる事態を運転者が自分で防ぐことができる。ここで、上記車両振動は危険度が高い程、大きくなるように駆動力を制御するようにすることが好ましい。
【0042】
このように、本実施の形態では、インフォメーション波形生成部にて振幅と周期を変えることにより、過熱危険度に応じたインフォメーションを出すことができる。したがって
、本発明によれば、過熱の危険性を段階的に検知できるようになり、よりきめ細かな操作が可能になる。
【0043】
また、本実施の形態では、クラッチ過熱、モータ過熱、モータロック過熱などのそれぞれの危険性を監視して、複数の過熱危険性がある場合は、その時の走行状況でもっとも危険度の高いものについてインフォメーションすることが可能となる。
【0044】
したがって、本実施の形態では、いくつかのコンポーネントの組み合わせにおいても適切に危険性をインフォメーションすることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、クラッチ過熱危険性判定部13が、クラッチの差回転と、クラッチ伝達トルクとを軸として表されるグラフから危険度を評価するようにしてもよい。なお、クラッチ過熱危険判定は、クラッチ伝達トルクの一定期間の履歴により判定してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、駆動力生成部30が、バッテリーの充電量が低く出力ができず、入力のみ可能である場合に、変動の大きさ分をエンジントルクに上乗せしてインフォメーション波形の谷はモータの発電で発生させるように制御するようにしてもよい。したがって、本実施の形態では、クラッチ表面温度を計測できなくても、危険度を判定することが可能となる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、インフォメーション波形の与え方をバッテリー出力状態で切り替え、通常のバッテリー状態ではモータを使って波形を実現するが、バッテリー出力が絞られているときはエンジントルクを上乗せしてモータを発電側にのみ使うようにしてもよい。この場合、制御性の良いモータの特性を有効に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ハイブリッド車両の製造を行う産業において利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…エンジン
2…第1クラッチ
3…モータ
4…第2クラッチ
5…自動変速機
6…ディファレンシャル
7…駆動輪
10…温度危険度判定部
11…ロック過熱危険性判定部
12…モータ過熱危険性判定部
13…クラッチ過熱危険性判定部
20…走行状態判定部
30…インフォメーション波形生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチおよびモータの過熱危険性を判定する温度危険度判定部と、
前記温度危険度判定部の判定に加えて車速ならびにアクセル操作状態に応じて運転者にインフォメーションを与えるか否かを判定する走行状態判定部と、
前記走行状態判定部の判定、車速、モータトルク、およびクラッチ伝達トルクに基づいてインフォメーション波形の振幅と、車速に応じた周波数とを決め、インフォメーション波形を生成するインフォメーション波形生成部と、
変速機側のクラッチがスリップ状態で駆動力を伝達している場合に当該クラッチはもともとの駆動トルクに、前記インフォメーション波形生成部のインフォメーション波形を加えた駆動トルクを伝達するように制御する駆動力制御手段と、
を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の駆動力制御装置。
【請求項2】
前記温度危険度判定部は、クラッチスリップ時のクラッチ表面温度の過熱の危険性を判定するクラッチ過熱危険性判定部と、モータの巻き線ならびにインバータの冷却水の過熱危険性を判定するモータ過熱危険性判定部と、モータ回転がゼロになるときに電流が単相に集中して温度上昇する過熱危険性を判定するロック過熱危険性判定部と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動力制御装置。
【請求項3】
前記クラッチ過熱危険性判定部は、クラッチの差回転と、クラッチ伝達トルクとを軸として表されるグラフから危険度を評価することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の駆動力制御装置。
【請求項4】
前記駆動力制御装置は、バッテリーの充電量が低く出力ができず、入力のみ可能である場合に、変動の大きさ分をエンジントルクに上乗せしてインフォメーション波形の谷はモータの発電で発生させるように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の駆動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−228511(P2010−228511A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76529(P2009−76529)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】