説明

ハロシリルゲルマンの新規な製造方法および使用方法

本発明は、分子式SiGez−aの化合物と、この化合物を調製するための方法と、本発明の化合物を用いてシリコン基板上に高Ge含有量のSi膜を堆積させるための方法とを提供する。ここで、Xはハロゲンであり、x、y、z、およびaは、本明細書において規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学、オプトエレクトロニクス、シリコンゲルマニウム合金、半導体構造、ならびに関連する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Ge含有量の高いSi(100)上のヘテロエピタキシャルGe1−xSi層は、太陽電池、MEMS、量子カスケードレーザや、高速変調器および光検出器を含むSiベースのフォトニクスなどのキーテクノロジーに多くの用途を有するため、関心が持たれている(非特許文献1乃至3を参照)。しかしながら、これらの材料は、IR光学デバイスに大きな影響を与える可能性があるにもかかわらず、それほど開発されていない。加えて、これらの材料は、高移動性の歪んだSiおよびGeデバイスチャネルの成長用の仮想基板として機能するほか、Si技術によるIII−V属ベースのデバイスのモノリシックな統合への経路となる可能性があるとも考えられている(非特許文献4および5)。これらの材料に対する現在最良の経路は複雑で、困難に満ちており、Ge1−xSiエピ層とSi基板との間の不適合歪みを軽減し、平らな表面を形成するために、それぞれ、組成に傾斜のある厚膜(>10μm)の高温成長と、化学機械平坦化との両方を必要とする(非特許文献6を参照)。
【0003】
従来の経路によっては取得することが不可能である、Siの上のGeリッチ(Ge≧50原子%)なデバイス品質の合金の成長を可能とする化学蒸着(CVD)法が、最近開発されている(非特許文献7乃至9を参照)。Geリッチな膜によって、マイクロプロセッサの高速化、携帯電話機における省消費電力化、シリコンベースのフォトニクスや、太陽電池の高効率化が可能となる(上述の非特許文献1および2を参照)。この技術では、従来未知であった設計用Si−Ge水素化物前駆体を利用して、対応する膜の化学組成、モルフォロジ、およびミクロ構造を精密に制御し、厚い傾斜層やリフトオフ技術の必要を回避している(上述の非特許文献6を参照)。
【0004】
そのような半導体構造を調製するために、SiGe1−d合金を選択的に(例えば、トランジスタ構造のソースおよびドレイン領域に)堆積させることが可能である。従来的には、SiGe1−d合金の選択的な成長は、クロロシラン、ゲルマン、および元素Clの高温反応を用いて達成され、通常、Ge濃度が高い範囲において適切なモルフォロジおよびミクロ構造を有する膜は得られない。例えば、SiGe1−d合金の選択的な成長は、クロロシラン、ゲルマン、および幻想Clの高温反応を用いて達成されている。しかしながら、関連する多成分反応の複雑さおよび腐食性のClの存在のため、選択的な成長への代替のアプローチが必要である。この必要性は、クロロシラン経路では適切なモルフォロジ、ミクロ構造、および組成を有する選択的に堆積された膜の得られない、Ge濃度が高い範囲において特に高い。さらに、Ge含有量が高いため、従来のプロセスでは、高い転位密度、一様でない歪み、組成制御の欠如や、膜厚の減少が生じるが、それらは全て、最終的にストレッサ材料の品質および性能を低下させることにより、このアプローチの実用性を制限することがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mooney,P.M.;Chu,J.O.,Annu.Rev.Mate.Sci.,2000,30,335
【非特許文献2】Tromp,R.M;Ross,F.M.,Annu.Rev.Mate.Sci.,2000,30,431
【非特許文献3】Kuoら,Nature,2005,437,1334
【非特許文献4】Leeら、J.Vac.Sci.Technol.,2004,B 22(1),158
【非特許文献5】Kasper,E.;Heim,S.,Appl Surf.Sci.,2004,224,3
【非特許文献6】Currieら,Appl.Phys.Lett.,1998,72(14),1718
【非特許文献7】Ritterら,J.Am.Chem.Soc.,2005,127(27),9855−9864
【非特許文献8】Huら,J.Appl.Phys.Lett.,2005,87(18),181903/1−3
【非特許文献9】Chizmeshya,J.Am.Chem.Soc.,2006年,128(21),6919−6930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の問題を回避する、SiGe1−d材料を堆積させるための方法、SiGe1−d材料を選択的に堆積させるための方法、特に、Ge含有量が高い、基板上のSiGe1−d材料用の方法の必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、分子式SiGez−aの化合物を調製するための方法を提供する。ここで、Xはハロゲンであり、x、y、z、およびaは、本明細書において規定される。
【0008】
本発明は、さらに、分子式SiGez−aの化合物を提供する。ここで、Xはハロゲンであり、x、y、z、およびaは、本明細書において規定される。
本発明は、本発明の方法によって調製されるほぼ純粋な化合物を提供する。
【0009】
また、本発明は、本発明の化合物を用いて基板上にGe含有量の高いSiGe1−d膜を堆積させることにより半導体構造を調製するための方法も提供する。
また、本発明は、SiGe1−d層を選択的に堆積させるための方法も提供する。この方法は、2つ以上の部分を含む表面層を有する基板を接触させることを含み、表面層の第1の部分は半導体の表面層を含み、表面層の第2の部分は酸化物、窒化物、または酸窒化物の表面層を含み、SiGe1−d層は基板の第1の部分の上にのみ形成される。
【0010】
この新規な技術の重要なビルディングブロックは、完全なハロ(ゲルミル)シランのシーケンスからなる分子、SiGez−aであり、この分子は本明細書に記載の合成法を介し、実現可能な高純度の収率で得られる。ここで、Xはハロゲンであり、残りの変数は本明細書において規定される。SiGe分子コアを予め膜へ組み込むことによって、モルフォロジ、組成、および歪みが従来にはなく制御される。この領域の研究によって、低温CMOS互換条件下において、既存のプロセスによって与えられる膜より有意に高いスループット率でそのような膜を堆積させる前駆体およびプロセスの高い必要性に応じられる。
【0011】
SiGeのシリコン原子上のH原子のうちの一部または全部をハロゲンに置き換えることによって、所望の膜の成長中に、in situで、成長表面から不純物を除去するためのクリーニング試薬として機能することの可能なHX離脱基が組み込まれることなど、幾つかの所望の利点が提供される。それらはまた、パターン形成されたSiウエハ上における様々なデバイス構造(歪みSi、SiGe、および歪みGe)の選択的な成
長を促進することも可能である。一般に、SiOのパターン形成されたフィーチャを用いてSi表面上にSiGe1−d膜を選択的に成長させることは、HClなどのin situ型エッチング剤の生成によって成長中に達成され、ウエハ上のパターン形成された領域の周囲のマスクされていない領域上における結晶材料の選択的な成長を促進する。より質量の大きなハロ(ゲルミル)シランによって動力学的な安定性が増大し、SiGe1−d水素化物(例えば、HSiGeH)よりも低温であっても成長が進行する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】HSi−GeH、ClHSi−GeH、ClHSi−GeH、およびClSi−GeH分子の球棒構造表現の図。
【図2】HSi−GeH、ClHSi−GeH、ClHSi−GeH、およびClSi−GeH分子について計算された低周波数赤外線スペクトル(100〜1100cm−1)の図。
【図3】HSi−GeH、ClHSi−GeH、ClHSi−GeH、およびClSi−GeH分子について計算された高周波数赤外線スペクトル(900〜2500cm−1)の図。
【図4】ClHSiGeH分子について計算された赤外線スペクトルと観測された赤外線スペクトルとを比較する図。部分(a)および(b)に示す計算された低周波数スペクトルおよび高周波数スペクトルに対し、それぞれ0.989,0.979の周波数スケール係数を適用した。
【図5】テーブル3に与えられるClHSiGeHの回転定数を用いて得られた、シミュレートされた回転バンドの輪郭であるA,B,C型のバンドの図。
【図6】400℃でのClHSiGeHの分解によるSi0.50Ge0.50膜成長の明視野顕微鏡図(上部);無欠陥の整合面を示す、<110>投影による、Si/SiGe界面の高解像度画像(下部左);Si0.50Ge0.50組成および高度なエピタキシャル整合をそれぞれ示すRBSランダムスペクトルおよびチャネルスペクトル(下部右)。
【図7】2層構造に対するピーク[1]および[2]を示す、厚さ10nmの試料およびSi基板の(224)逆格子空間マップ。
【図8】無欠陥の平坦面およびバルク領域を示す、全膜厚に対するXTEM顕微鏡図(上部);完全な擬似格子整合成長を示す界面領域の高解像度顕微鏡図(下部)。
【図9】(a)420℃でのClSi(GeHの堆積によりデバイスの窪んだ「ソース」および「ドレイン」領域において選択的に成長したSiGe膜(暗く狭いバンド)のXTEM顕微鏡図。矢印は、トレンチの底からゲート/チャネル界面(点線)まで延びているリセスの高さを示す;(b)2つの材料間の整合成長を示すSiチャネル/Si0.26Ge0.74界面の高解像度画像;(c)後者のヘテロ接合の拡大図。SiGe膜厚が側壁および水平領域の両方で本質的に一様であることを示す。
【図10】Siピークに対する逆格子単位(rlu)によるSi0.33Ge0.67の(224)反射の高解像度XRD2次元逆格子空間マップ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様では、本発明は、分子式(I)の化合物を調製するための方法を提供する。SiGez−a(I)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、(i)各XはSiにのみ結合されており;(ii)xおよびyの和は5以下である。この方法は、約−80℃〜約25℃の温度にて、分子式(II)の化合物を式BXもしくはAlXの化合物、または金属塩素化試薬で処理する工程を含む。
SiGe(II)
以下、そのような方法を方法Aと呼ぶ。
【0014】
本明細書において示すように、式(I)の化合物は、例えば、半導体用途において所望の特性(完全に結晶性かつエピタキシャルなミクロ構造、平滑なモルフォロジ、および一様な歪み緩和状態を含む)を有する化学量論的なSiGe1−d膜を製造するための制御された堆積において、用いることが可能である。式(I)の化合物が、長期間を通じて著しく安定であり、したがって可能な産業用途において実現可能な分子源であることを、本明細書において示す。
【0015】
本発明のこの態様による化合物は、任意のコンフォメーション型の化合物を含んでおり、n,g,およびイソ型の化合物ならびにそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0016】
本発明のこの態様による方法における式(II)の代表的なシリコンゲルマニウム水素化物の出発原料は、テーブル1に挙げる化合物を含むか、またはそれらの化合物からなる。これらの化合物中のSi原子およびGe原子は、全て4価である。イソブタン様およびイソペンタン様の異性体では、角括弧内のSi,Ge原子は、角括弧の左側のSi,Geに直接結合しており、一部の化合物の最も右にある角括弧外の丸括弧内のSi,Geは、角括弧内の最後のSi,Geに直接結合している。
【0017】
【表1】



一実施形態では、本発明は、方法Aの方法を提供する。ここで、式(I)の化合物について、x、y、z、およびaは、次のテーブル2のうちの1つによる。
【0018】

【表2】


方法Aの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
【0019】
方法Aの一実施形態では、aは1である。方法Aの別の実施形態では、aは3xである。
方法Aの一実施形態では、xは1、かつ、aは3である。方法Aの別の実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法Aの別の実施形態では、xは1、かつ、aは2である。
【0020】
方法Aの別の実施形態では、xは2、かつ、aは6である。方法Aの別の実施形態では、xは2、かつ、aは1である。
方法Aの別の実施形態では、xは3、かつ、aは9である。方法Aの別の実施形態では、xは3、かつ、aは1である。
【0021】
方法Aの別の実施形態では、xは4、かつ、aは12である。方法Aの別の実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
方法Aの別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法Aの別の実施形態では、xおよびyの和は3以下である。方法Aの別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0022】
方法Aの好適な一実施形態では、分子式(I)の化合物は式(III)である。
SiGez−a(III)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Bと呼ぶ。
【0023】
方法Bの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法Bの一実施形態では、yは1である。方法Bの別の実施形態では、yは2である。方法Bの別の実施形態では、yは3である。方法Bの別の実施形態では、yは4である。
【0024】
方法Bの一実施形態では、aは1である。方法Bの別の実施形態では、aは2である。方法Bの別の実施形態では、aは3である。
方法Bの好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法Bの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法Bの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0025】
方法Bの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。方法Bの別の好適な実施形態では、式(II)の化合物は、HGeSiHSiHGeHである。
【0026】
方法Bの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHであり、かつ、aは1である。方法Bの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeHまたはHSi(GeHであり、かつ、aは2である。方法Bの別の好適な実施形態では、式(II)の化合物はHGeSiHSiHGeHであり、かつ、aは1または2である。
【0027】
方法Bの好適な一実施形態では、分子式(I)の化合物は式(IV)である。
SiGez−aCl(IV)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Cと呼ぶ。
【0028】
方法Cの一実施形態では、yは1である。方法Cの別の実施形態では、yは2である。方法Cの別の実施形態では、yは3である。方法Cの別の実施形態では、yは4である。
方法Cの一実施形態では、aは1である。方法Cの別の実施形態では、aは2である。方法Cの別の実施形態では、aは3である。
【0029】
方法Cの好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法Cの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法Cの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0030】
方法Cの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。方法Cの別の好適な実施形態では、式(II)の化合物は、HGeSiHSiHGeHである。
【0031】
方法Cの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHであり、かつ、aは1である。方法Cの好適な一実施形態では、式(II)の化合物は、HSiGeHまたはHSi(GeHであり、かつ、aは2である。方法Cの別の好適な実施形態では、式(II)の化合物はHGeSiHSiHGeHであり、かつ、aは1または2である。
【0032】
方法Cの好適な一実施形態では、分子式(I)の化合物は式(V)である。
SiGeH6−aCl(V)
ここで、aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Dと呼ぶ。
【0033】
方法Aの好適な一実施形態では、分子式(I)の化合物は式(VI)である。
SiGeHz−a(VI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Eと呼ぶ。
【0034】
方法Eの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法Eの一実施形態では、xは1である。方法Eの別の実施形態では、xは2である。方法Eの別の実施形態では、xは3である。方法Eの別の実施形態では、xは4である。
【0035】
方法Eの一実施形態では、aは1である。方法Eの別の実施形態では、aは2である。方法Eの別の実施形態では、aは3である。
方法Eの好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Eの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Eの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0036】
方法Eの好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法Eの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Eの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0037】
方法Eの好適な一実施形態では、分子式(I)の化合物は式(VII)である。
SiGeHz−aCl(VII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Fと呼ぶ。
【0038】
方法Fの一実施形態では、xは1である。方法Fの別の実施形態では、xは2である。方法Fの別の実施形態では、xは3である。方法Fの別の実施形態では、xは4である。
方法Fの一実施形態では、aは1である。方法Fの別の実施形態では、aは2である。方法Fの別の実施形態では、aは3である。
【0039】
方法Fの好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0040】
方法Fの好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは2である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Fの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0041】
第1の態様の別の実施形態では、方法A乃至Fのうちのいずれかの方法を提供する本発明は、さらに、次の工程を含む。
(ii)工程(i)の生成物を分留する工程
第1の態様の別の実施形態では、本発明は方法A乃至Fのうちのいずれかの方法を提供し、分子式(I)の化合物は式BXの化合物で処理される。好適には、この化合物はBClまたはBBrである。より好適には、この化合物はBClである。
【0042】
第1の態様の別の実施形態では、本発明は方法A乃至Fのうちのいずれかの方法を提供し、反応温度は約−60℃〜約10℃である第1の態様の好適な一実施形態では、本発明は方法A乃至Fのうちのいずれかの方法を提供し、反応温度は約−25℃〜約5℃である
第3の態様の別の実施形態では、本発明は方法A乃至Fのうちのいずれかの方法を提供し、式(I)の化合物は
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
またはそれらの混合物を含む。
【0043】
第2の態様では、本発明は、式(XII)の化合物を調製するための方法を提供する。SiGez−1X(XII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、(i)XはSiにのみ結合されており;(ii)xおよびyの和は5以下である。この方法は、(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式(XIII)の化合物を式CsXの化合物に接触させる工程を含む。
SiGez−1Y(XIII)
ここで、Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Gと呼ぶ。
【0044】
方法Gの一実施形態では、xは1である。方法Gの別の実施形態では、xは1、かつ、yは1である。方法Gの別の実施形態では、xは1、かつ、yは2である。方法Gの別の実施形態では、xは1、かつ、yは3である。方法Gの別の実施形態では、xは1、かつ、yは4である。
【0045】
方法Gの好適な一実施形態では、Xはクロロである。
第2の態様の好適な一実施形態では、本発明は、式(XIV)の化合物を調製するための方法を提供する。
SiGez−1X(XIV)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;Xはハロゲンであり、ただし、XはSiにのみ結合されている。この方法は、(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式(XV)の化合物を式CsXの化合物に接触させる工程を含む。
SiGez−1Y(XV)
ここで、Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Hと呼ぶ。
【0046】
方法Hの一実施形態では、yは1である。方法Hの別の実施形態では、yは2である。方法Hの別の実施形態では、yは3である。方法Hの別の実施形態では、yは4である。
方法Hの好適な一実施形態では、Xはクロロである。
【0047】
第2の態様のより好適な一実施形態では、本発明は、ClHSiGeHの化合物を調製するための方法を提供する。この方法は、(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式YHSiGeHの化合物を式CsClの化合物に接触させる工程を含む。
ここで、Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Iと呼ぶ。
【0048】
方法Iの一実施形態では、yは1である。方法Iの別の実施形態では、yは2である。方法Iの別の実施形態では、yは3である。方法Iの別の実施形態では、yは4である。
第2の態様のより好適な一実施形態では、本発明は、式(XVI)の化合物を調製するための方法を提供する。
SiGez−1Cl(XVI)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;ただし、ClはSiにのみ結合されている。この方法は、(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式(XV)の化合物を式CsClの化合物に接触させる工程を含む。
SiGez−1Y(XV)
Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Jと呼ぶ。
【0049】
方法Jの一実施形態では、yは1である。方法Jの別の実施形態では、yは2である。方法Jの別の実施形態では、yは3である。方法Jの別の実施形態では、yは4である。
第2の態様のより好適な一実施形態では、本発明は、ClHSiGeHの化合物を調製するための方法を提供する。この方法は、(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式YHSiGeHの化合物を式CsClの化合物に接触させる工程を含む。ここで、Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Kと呼ぶ。
【0050】
方法G乃至Kのうちのいずれかの方法の好適な一実施形態では、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、フェニルは、随意で、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルで置換されている。方法Hのより好適な一実施形態では、Rは、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、また
はフェニルであり、フェニルは随意でハロゲン、C−Cハロアルキル、またはC−Cアルキルで置換されている。方法Gのさらに好適な一実施形態では、Rは、C−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、フェニルは随意でハロゲン、C−Cパーフルオロアルキル、またはC−Cアルキルで置換されている。
【0051】
第2の態様の好適な一実施形態では、本発明は方法G乃至Kのうちのいずれかの方法を提供し、反応温度は約−25℃〜約25℃である
第2の態様の一実施形態では、本発明は方法G乃至Kのうちのいずれかの方法を提供し、この方法は、さらに、(ii)工程(i)の生成物を分留する工程を含む。
【0052】
第3の態様では、本発明は、式(XVII)の化合物を調製するための方法を提供する。
SiGez−a(XVII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である。この方法は、約−80℃〜約25℃の温度にて、分子式(LX)の化合物を式BXまたはAlXの化合物で処理する工程を含む。
SiGe(Lx)
以下、そのような方法を方法A1と呼ぶ。
【0053】
本明細書において示すように、式(XVII)の化合物は、例えば、半導体用途において所望の特性(完全に結晶性かつエピタキシャルなミクロ構造、平滑なモルフォロジ、および一様な歪み緩和状態を含む)を有する化学量論的なSiGe1−d膜を製造するための制御された堆積において、用いることが可能である。式(XVII)の化合物が、長期間を通じて著しく安定であり、したがって可能な産業用途において実現可能な分子源であることを、本明細書において示す。
【0054】
本発明のこの態様による化合物は、任意のコンフォメーション型の化合物を含んでおり、n,g,およびイソ型の化合物ならびにそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0055】
本発明のこの態様による方法における式(LX)の代表的なシリコンゲルマニウム水素化物の出発原料は、テーブル1に挙げる化合物を含むか、またはそれらの化合物からなる。
【0056】
一実施形態では、本発明は、方法A1の方法を提供する。ここで、式(I)の化合物について、x、y、z、およびaは、テーブル2に挙げたものによるか、または次のテーブル3のうちの1つによる。
【0057】
【表3】

方法A1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
【0058】
方法A1の一実施形態では、aは1である。方法A1の別の実施形態では、aは1〜2(x+y)である。方法A1の別の実施形態では、aは2(x+y)である。
方法A1の別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法A1の別の実施形
態では、xおよびyの和は3以下である。方法A1の別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0059】
方法A1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法A1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0060】
方法A1の好適な一実施形態では、分子式(XVII)の化合物は式(XVIII)である。
SiGez−a(XVIII)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンである。以下、そのような方法を方法B1と呼ぶ。
【0061】
方法B1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法B1の一実施形態では、aは1である。方法B1の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法B1の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
【0062】
方法B1の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法B1の別の実施形態では、yは1または2である。方法B1の別の実施形態では、yは1である。
方法B1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0063】
方法B1の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法B1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。方法B1の別の好適な実施形態では、式(LX)の化合物は、HGeSiHSiHGeHである。
【0064】
方法B1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHであり、かつ、aは1である。方法B1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。また、aは2または3である。方法B1の別の好適な実施形態では、式(LX)の化合物はHGeSiHSiHGeHであり、かつ、aは1または2である。
【0065】
方法B1の好適な一実施形態では、分子式(XVII)の化合物は式(XIX)である。
SiGez−aCl(XIX)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜zである。以下、そのような方法を方法C1と呼ぶ。
【0066】
方法C1の一実施形態では、aは1である。方法C1の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法C1の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
方法C1の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法C1の別の実施形態では、yは1または2である。方法C1の別の実施形態では、yは1である。
【0067】
方法C1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法C1の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0068】
方法C1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。方法C1の別の好適な実施形態では、式(LX)の化合物は、HGeSiHSiHGeHである。
【0069】
方法C1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHであり、かつ、aは1である。方法C1の好適な一実施形態では、式(LX)の化合物は、HSiGeH、HSi(GeH、またはHSi(GeHである。また、aは2、3、または4である。方法C1の別の好適な実施形態では、式(LX)の化合物はHGeSiHSiHGeHであり、かつ、aは1、2、3、または4である。
【0070】
方法C1の好適な一実施形態では、分子式(XVII)の化合物は式(XX)である。SiGeH6−aCl(XX)
ここで、aは1〜zである。以下、そのような方法を方法D1と呼ぶ。
【0071】
方法D1の一実施形態では、aは1〜4である。方法D1の別の実施形態では、aは2である。方法D1の別の実施形態では、aは1である。方法D1の別の実施形態では、aは4である。
【0072】
方法D1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法D1の好適な一実施形態では、aは1〜4であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0073】
方法A1の好適な一実施形態では、分子式(XVII)の化合物は式(XXI)である。
SiGeHz−a(XXI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンである;以下、そのような方法を方法E1と呼ぶ。
【0074】
方法E1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法E1の一実施形態では、aは1である。方法E1の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法E1の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
【0075】
方法E1の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法E1の別の実施形態では、xは1または2である。方法E1の別の実施形態では、xは1である。
方法E1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0076】
方法E1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法E1の好適な一実施形態では、分子式(XVII)の化合物は式(XXII)である。
SiGeHz−aCl(XXII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法F1と呼ぶ

【0077】
方法F1の一実施形態では、aは1である。方法F1の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法F1の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
方法F1の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法F1の別の実施形態では、xは1または2である。方法F1の別の実施形態では、xは1である。
【0078】
方法F1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法F1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0079】
第3の態様の別の実施形態では、本発明は方法A1乃至F1のうちのいずれかの方法を提供し、この方法はさらに、(ii)工程(i)の生成物を分留する工程を含む。
第3の態様の別の実施形態では、本発明は方法A1乃至F1のうちのいずれかの方法を提供し、分子式(XVII)乃至(XXII)の化合物は式BXの化合物で処理される。好適には、この化合物はBClまたはBBrである。より好適には、この化合物はBClである。
【0080】
第3の態様の別の実施形態では、本発明は方法A1乃至F1のうちのいずれかの方法を提供し、反応温度は約−60℃〜約10℃である第3の態様の好適な一実施形態では、本発明は方法A1乃至F1のうちのいずれかの方法を提供し、反応温度は約−25℃〜約5℃である
第3の態様の別の実施形態では、本発明は方法A1乃至F1のうちのいずれかの方法を提供し、式(XVII)の化合物は、
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
ClSiHGeHCl クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;または
ClSiHGeHCl ジクロロ(ジクロロゲルミル)シランである。
【0081】
第4の態様では、本発明は、第1、第2、および第3の態様の上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物を提供する。好適な一実施形態では、本発明は、本発明の上述の態様のいずれかの実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかのほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(III)または(XVIII)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(XIV)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(IV)または(XIX)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上
述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(XVI)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(V)または(XX)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(VI)または(XXI)のほぼ純粋な化合物を提供する。より好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、式(VII)または(XXII)のほぼ純粋な化合物を提供する。
【0082】
さらに好適な一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちのいずれかによって調整される、クロロ(ゲルミル)シランまたはジクロロ(ゲルミル)シランであるほぼ純粋な化合物を提供する。
【0083】
第5の態様では、本発明は、基板の上に式SiGe1−dの層を調製するための方法を提供する。ここで、dは0より大きく、かつ、1未満である。この方法は、次の分子式の化合物を含む化学物質の蒸気に基板を接触させる工程を含む。
SiGez−a(I)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、(i)各XはSiにのみ結合されており;(ii)xおよびyの和は5以下である以下、そのような方法を方法Lと呼ぶ。
【0084】
方法Lの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法Lの一実施形態では、aは1である。方法Lの別の実施形態では、aは3xである。
【0085】
方法Lの一実施形態では、xは1、かつ、aは3である。方法Lの別の実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは1、かつ、aは2である。
【0086】
方法Lの別の実施形態では、xは2、かつ、aは6である。方法Lの別の実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは2、かつ、aは2である。
【0087】
方法Lの別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは2である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは3である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは4である。
【0088】
方法Lの別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは2である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは3である。方法Lの別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは4である。
【0089】
方法Lの別の実施形態では、xは3、かつ、aは9である。方法Lの別の実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Lの別の実施形態では、xは3、かつ、aは3である。
【0090】
方法Lの別の実施形態では、xは3、かつ、yは2である。方法Lの別の実施形態では、xは3、yは2、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは3、yは2、
かつ、aは2である。方法Lの別の実施形態では、xは3、yは2、かつ、aは3、4、5、または6である。
【0091】
方法Lの別の実施形態では、xは4、かつ、aは12である。方法Lの別の実施形態では、xは4、かつ、aは1である。方法Lの別の実施形態では、xは4、かつ、aは2である。方法Lの別の実施形態では、xは4、かつ、aは3である。方法Lの別の実施形態では、xは4、かつ、aは4である。
【0092】
方法Lの別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法Lの別の実施形態では、xおよびyの和は3以下である。方法Lの別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0093】
方法Lのより好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(III)の化合物を含む。SiGez−a(III)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Mと呼ぶ。
【0094】
方法Mの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法Mの一実施形態では、yは1である。方法Mの別の実施形態では、yは2である。方法Mの別の実施形態では、yは3である。方法Mの別の実施形態では、yは4である。
【0095】
方法Mの一実施形態では、aは1である。方法Mの別の実施形態では、aは2である。方法Mの別の実施形態では、aは3である。
方法Mの好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法Mの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法Mの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0096】
方法Mの好適な一実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法Mの別の好適な実施形態では、y21、かつ、aは2である。
方法Mの好適な一実施形態では、yは3、かつ、aは1である。
【0097】
方法Mの好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、式(IV)の化合物を含む。
SiGez−aCl(IV)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Nと呼ぶ。
【0098】
方法Nの一実施形態では、yは1である。方法Nの別の実施形態では、yは2である。方法Nの別の実施形態では、yは3である。方法Nの別の実施形態では、yは4である。
方法Nの一実施形態では、aは1である。方法Nの別の実施形態では、aは2である。方法Nの別の実施形態では、aは3である。
【0099】
方法Nの好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法Nの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法Nの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0100】
方法Nの好適な一実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法Nの別の好適な実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
方法Nの好適な一実施形態では、yは3、かつ、aは1である。
【0101】
方法Nの好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(V)の化合物を含む。
SiGeH6−aCl(V)
ここで、aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Oと呼ぶ。
【0102】
方法Lのさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(VI)の化合物を含む。SiGeHz−a(VI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Pと呼ぶ。
【0103】
方法Pの一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法Pの一実施形態では、xは1である。方法Pの別の実施形態では、xは2である。方法Pの別の実施形態では、xは3である。方法Pの別の実施形態では、xは4である。
【0104】
方法Pの一実施形態では、aは1である。方法Pの別の実施形態では、aは2である。方法Pの別の実施形態では、aは3である。
方法Pの好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Pの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Pの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0105】
方法Pの好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法Pの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Pの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0106】
方法Pの好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(VII)の化合物を含む。
SiGeHz−aCl(VII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Qと呼ぶ。
【0107】
方法Qの一実施形態では、xは1である。方法Qの別の実施形態では、xは2である。方法Qの別の実施形態では、xは3である。方法Qの別の実施形態では、xは4である。
方法Qの一実施形態では、aは1である。方法Qの別の実施形態では、aは2である。方法Qの別の実施形態では、aは3である。
【0108】
方法Qの好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0109】
方法Qの好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは2である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Qの別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0110】
方法L乃至Qのさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;、またはそれらの混合物を含む
第6の態様では、本発明は、基板の上に式SiGe1−dのほぼ結晶の層を調製するための方法を提供する。ここで、dは0より大きく、かつ、1未満である。この方法は、次の分子式の化合物を含む化学物質の蒸気に基板を接触させる工程を含む。
SiGez−a(XVII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である以下、そのような方法を方法L1と呼ぶ。
【0111】
方法L1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法L1の一実施形態では、aは1である。方法L1の別の実施形態では、aは1〜2(x+y)である。方法L1の別の実施形態では、aは2(x+y)である。
【0112】
方法L1の別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法L1の別の実施形態では、xおよびyの和は3以下である。方法L1の別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0113】
方法L1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法L1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0114】
方法L1のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XVIII)の化合物を含む。
SiGez−a(XVIII)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法M1と呼ぶ。
【0115】
方法M1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法M1の一実施形態では、aは1である。方法M1の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法M1の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
【0116】
方法M1の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法M1の別の実施形態では、yは1または2である。方法M1の別の実施形態では、yは1である。方法M1の別の実施形態では、yは2である。
【0117】
方法M1の別の実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法M1の別の実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法M1の別の実施形態では、yは2である。方法M1の別の実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法M1の別の実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
【0118】
方法M1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合してい
ない。
方法M1の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0119】
方法M1の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XIXV)の化合物を含む。SiGez−aCl(XIX)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法N1と呼ぶ。
【0120】
方法N1の一実施形態では、aは1である。方法N1の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法N1の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
方法N1の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法N1の別の実施形態では、yは1または2である。方法N1の別の実施形態では、yは1である。方法N1の別の実施形態では、yは2である。
【0121】
方法N1の別の実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法N1の別の実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法N1の別の実施形態では、yは2である。方法N1の別の実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法N1の別の実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
【0122】
方法N1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法N1の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0123】
方法N1の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XX)の化合物を含む。
SiGeH6−aCl(XX)
ここで、aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法O1と呼ぶ。
【0124】
方法O1の一実施形態では、aは1である。方法O1の別の実施形態では、aは1〜4である。方法O1の別の実施形態では、aは4である。
方法O1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0125】
方法O1の好適な一実施形態では、aは1〜4であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法L1のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XXI)の化合物を含む。
SiGeHz−a(XXI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法P1と呼ぶ。
【0126】
方法P1の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法P1の一実施形態では、aは1である。方法P1の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法P1の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
【0127】
方法P1の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法P1の別の実施形態では、xは1または2である。方法P1の別の実施形態では、xは1である。
方法P1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0128】
方法P1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法P1の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XXII)の化合物を含む。SiGeHz−aCl(XXII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Q1と呼ぶ。
【0129】
方法Q1の一実施形態では、aは1である。方法Q1の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法Q1の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
方法Q1の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法Q1の別の実施形態では、xは1または2である。方法Q1の別の実施形態では、xは1である。
【0130】
方法Q1の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法Q1の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0131】
方法L乃至NまたはL1乃至N1のうちのいずれかの実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.2〜約0.5である。方法L乃至NまたはL1乃至N1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.2である。方法L乃至NまたはL1乃至N1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.25である。方法L乃至NまたはL1乃至N1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.33である。方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.50である。
【0132】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかの実施形態およびそれらの好適な実施形態では、式SiGe1−dの堆積した層は、シリコンおよびゲルマニウムについて式(I)または(XVII)の化合物と同じ実験式を有する。例えば、層が式(I)の化合物、すなわち、SiGez−aを用いて堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(III)または(XVIII)の化合物、すなわち、SiGez−aを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(IV)または(XIX)の化合物、すなわち、SiGez−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(V)または(XX)の化合物、すなわち、SiGeH6−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(VI)または(XXI)の化合物、すなわち、SiGeHz−aを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(VII)または(XXII)の化合物、すなわち、SiGeHz−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。
【0133】
方法L1乃至Q1のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
ClSiHGeHCl クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン;、またはそれらの混合物を含む。
【0134】
別の好適な実施形態では、xおよびyの両方が同じ値を有するとき、すなわち、両方が1である、または2であるとき、堆積した層はSiGeの実験式を有する。
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、上記温度は約200℃〜約600℃である。より好適には、温度は約350℃〜約450℃である。さらに好適には、温度は約400℃〜約450℃である。
【0135】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、層はほぼ結晶である。
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかのより好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、層はほぼ結晶であり、温度は約200℃〜約600℃である。より好適には、層はほぼ結晶であり、温度は約350℃〜約450℃である。さらに好適には、層はほぼ結晶であり、温度は約400℃〜約450℃である。
【0136】
この低温/急速成長プロセスに関連した実用上の利点には、(i)予備処理したSiウエハに適合する短い堆積時間、(ii)高周波デバイス用途における選択的な成長、(iii)無視できる程度のドーパント偏析質量(薄層には特に重要である)が含まれる。
【0137】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、基板は、半導体またはフラットパネルディスプレイ用に適切な任意の基板を含み、次に限定されないが、シリコン、ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ、Ge:Sn合金、SiO、サファイア、石英、Si:Ge合金、Si:C合金、ステンレス鋼、ポリイミドまたはフレキシブルディスプレイの製造に用いられるような他のポリマーを含む。方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかのより好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、基板はシリコンを含む。より好適な実施形態では、基板はSi(100)を含む。
【0138】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、次に限定されないが、ガスソース分子線エピタキシー、化学蒸着、プラズマ化学蒸着、レーザアシスト化学蒸着、および原子層堆積を含む任意の適切な技術によって堆積されてよい。
【0139】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、約10−8トル〜760トルの分圧で導入される。好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、10−8トル〜10
トル(UHV縦型炉技術に対応する)で導入される。別の好適な実施形態では、化学物質の蒸気は、10−8トル〜100トル(LPCVD条件に対応する)で導入される。さらに別の好適な実施形態では、化学物質の蒸気は10−3トル〜760トルで導入される。
【0140】
方法L乃至QまたはL1乃至Q1のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)条件下で堆積されてよい。
【0141】
PECVDは、基板上に気体状態(蒸気)から固体状態の薄膜を堆積させるプロセスである。このプロセスに関与する反応性化学種は、反応ガスからプラズマを形成することによって生成する。このプラズマは、一般に、2つの電極間のRF(交流)周波数またはDC放電によって形成される。
【0142】
PECVDプロセスのパラメータには、流速F(標準立方センチメートル毎分(sccm))、印加電力W(ワット(W))、共鳴周波数(キロヘルツ(kHz))、圧力(ミリトル(mTorr))、基板温度(摂氏(℃))、ならびにチャンバの寸法、電極寸法、電極配向、および基板からの距離などの幾何学的因子が含まれる。複合パラメータ(W/FM)、すなわち、モノマーの単位質量当たりのエネルギも本研究では用いた。MJ/kgにより表されるこの複合パラメータは、次式から計算される。
【0143】
【数1】

ここで、Mは前駆体の分子量(g/mol)である。
【0144】
他の様々な好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物がPECVD条件下で堆積されるとき、基板温度は約20℃〜約600℃である。より好適には、温度は約20℃〜約300℃である。さらに好適には、温度は約20℃〜約250℃である。
【0145】
他の様々な好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物がPECVD条件下で堆積されるとき、複合プラズマパラメータW/FMは、約200MJ/kg未満、より好適には、100MJ/kg未満、されに好適には、30MJ/kg未満である。
【0146】
他の様々な好適な実施形態では、Si−Ge材料が平坦な表面を有する部分的なまたは完全な歪み緩和層として基板上に形成されるか、Si−Ge材料の組成がほぼ一様であるか、化学物質の蒸気のSiおよびGeの骨格全体がSi−Ge材料もしくはエピタキシャルSi−Geへ組み込まれるか、またはそれらのうちの1つ以上である。
【0147】
他の様々な好適な実施形態では、Si−Ge材料が平坦な表面を有する完全な歪み層として基板上に形成されるか、Si−Ge材料の組成がほぼ一様であるか、化学物質の蒸気のSiおよびGeの骨格全体がSi−Ge材料もしくはエピタキシャルSi−Geへ組み込まれるか、またはそれらのうちの1つ以上である。
【0148】
他の好適な実施形態では、ほぼ結晶のSi−Ge材料は基板上に形成され、ほぼ単一の結晶ドメインを有する。
第7の態様では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供する。
SiGez−a(XXIV)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜2(x+y)であり、Xはハロゲンであり、ただし、(i)xおよびyの和は5以下であり;(ii)各SiおよびGe原子には2つ以下のX基しか結合しておらず;(iii)前記化合物は、
ブロモ(ゲルミル)シラン;
ジフルオロ(ゲルミル)シラン;
1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−(1−ゲルミル)トリシラン;
(ジフルオロゲルミル)ジフルオロシラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
1,1,2,2−テトラフルオロ−(1−ゲルミル)ジシラン;
フルオロ(フルオロゲルミル)シラン;
フルオロ(ゲルミル)シラン;
1,1−ジクロロ−(3−ゲルミル)トリシラン;
1,1−ジクロロ−(4−ゲルミル)テトラシラン;および
1,1−ジクロロ−(2−ゲルミル)ジシラン;でない。
【0149】
第7の態様の一実施形態では、本発明は、式(XXIV)の化合物を提供し、aは1である。別の実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、aは2(x+y)である。
【0150】
一実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
別の実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、xおよびyの和は4以下である。別の実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、xおよびyの和は3以下である。別の実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、xおよびyの和は2である。
【0151】
好適な一実施形態では、式(XXIV)の化合物は分子式(XXV)である。
SiGez−a(XXV)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜2(1+y)であり;Xはハロゲンである。
【0152】
式(XXV)の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
式(XXV)の別の実施形態では、aは1である。式(XXV)の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
【0153】
式(XXV)の別の実施形態では、yは1、2、または3である。式(XXV)の別の実施形態では、yは1または2である。式(XXV)の別の実施形態では、yは1である。
【0154】
好適な一実施形態では、分子式(XXV)の化合物は式(XXVI)である。
SiGez−aCl(XXVI)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜2(1+y)である。
【0155】
式(XXVI)の一実施形態では、aは1である。式(XXVI)の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
式(XXVI)の別の実施形態では、yは1、2、または3である。式(XXVI)の別の実施形態では、yは1または2である。式(XXVI)の別の実施形態では、yは1である。
【0156】
好適な一実施形態では、分子式(XXVI)の化合物は式(XXVII)である。
SiGeH6−aCl(XXVII)
ここで、aは1〜4である。
【0157】
式(XXVII)の一実施形態では、aは1である。式(XXVII)の別の実施形態では、aは4である。
式(XXIV)の一実施形態では、化合物は分子式(XXVIII)である。
SiGeHz−a(XXVIII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜2(x+1)であり;Xはハロゲンである。
【0158】
式(XXVIII)の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
式(XXVIII)の一実施形態では、aは1である。式(XXVIII)の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
【0159】
式(XXVIII)の別の実施形態では、xは1、2、または3である。式(XXVIII)の別の実施形態では、xは1または2である。式(XXVIII)の別の実施形態では、xは1である。
【0160】
好適な一実施形態では、分子式(XXVIII)の化合物は分子式(XXIX)である。
SiGeHz−aCl(XXIX)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜2(x+1)である。
【0161】
式(XXIX)の一実施形態では、aは1である。式(XXIX)の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
式(XXIX)の別の実施形態では、xは1、2、または3である。式(XXIX)の別の実施形態では、xは1または2である。式(XXIX)の別の実施形態では、xは1である。
【0162】
さらに好適な実施形態では、本発明は式(XXIV)の化合物を提供し、この化合物は、
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;または
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシランである。
【0163】
第8の態様では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供する。
SiGez−aCl(XXIII)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜2(y+1)であり、ただし、各SiおよびGe原子には2つ以下のX基しか結合していない。
【0164】
好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、aは1である。好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、aは2である。
【0165】
好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは1である。好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは2である。好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは3である。好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは4である。
【0166】
より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは1、かつ、aは1である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは2、かつ、aは1である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは3、かつ、aは1である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは4、かつ、aは1である。
【0167】
より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは1、かつ、aは2である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは2、かつ、aは2である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは3、かつ、aは2である。より好適な一実施形態では、本発明は式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供し、yは4、かつ、aは2である。
【0168】
さらに好適な一実施形態では、本発明は、クロロ(ゲルミル)シランまたはジクロロ(ゲルミル)シランである、式(XXIII)のほぼ純粋な化合物を提供する。
本明細書に示すように、式(I)乃至(XXIV)のうちのいずれかのハロシリルゲルマン化合物は、従来ない低温で、均一な組成および歪みのプロファイル、低い貫通転位密度、ならびに原子レベルで平坦な表面を示す、SiGe1−d半導体合金を製造することにおいて、特に有用である。制御された堆積によって、前駆体のSi/Ge含有量の反映された、半導体用途における所望の特性(完全に結晶性かつエピタキシャルなミクロ構造、平滑なモルフォロジ、および一様な歪み緩和状態を含む)を有する化学量論的なSiGe1−d膜が製造された。また、制御された堆積によって、前駆体のSi/Ge含有量の反映された、完全に結晶性かつエピタキシャルなミクロ構造、平滑なモルフォロジ、および完全な歪み状態を有する化学量論的なSiGe1−d膜も製造された。
【0169】
好適な一実施形態では、本発明のこの態様の半導体基板は、1マイクロメートル未満、より好適には、50nm〜500nmの範囲の厚さを有するSiGe1−d膜を含む、堆積されたSiGe1−d層を有する。さらなる好適な一実施形態では、この第2の態様の半導体基板は、10/cm以下の貫通欠陥密度を有するSiGe1−d膜を含む、SiGe1−d層を有する。さらなる好適な一実施形態では、本発明のこの態様の半導体基板は、ほぼ原子レベルで平坦な表面モルフォロジを有するSiGe1−d膜を含む。
【0170】
様々な実施形態では、化学物質の蒸気はテーブル2に挙げた、各々n型またはg型の化合物、もしくはその立体異性体のうちの1つ以上の化合物を含むか、またはそれらの化合物からなる。
【0171】
半導体構造は、次に限定されないが、ホウ素、リン、ヒ素、およびアンチモンなどのドーパントの混入物を含む、所望の他のフィーチャをさらに含んでもよい。これらの実施形態は、能動素子として用いられる半導体基板において、特に好適である。本技術分野において標準的な方法によって、そのようなドーパントを半導体基板へ含めることが可能である。
【0172】
さらなる一実施形態では、所与の用途において所望されるように、半導体構造は可変量の炭素またはスズをさらに含んでもよい。本技術分野において標準的な方法によって、炭素またはスズを半導体基板へ含めることが可能である。炭素を用いて、構造中のドーパント、より詳細にはホウ素の移動性を減少させることが可能である。Snを含めることによって、Siベースのレーザおよび高感度の赤外光検出器の形成を導く直接放射および吸収など、新規な光学特性を有する材料を得ることが可能である。
【0173】
第9の態様では、本発明は、式(I)乃至(XXIV)の1つ以上の化合物と、第2の気体とを含む、化学物質の蒸気を提供する。そのような第2の気体は、次に限定されないが、H、He、N、アルゴン、およびそれらの混合物を含む。好適には、第2の気体はHを含む。好適な実施形態は上述の通りである。
【0174】
半導体基板を調製するための前駆体として式(I)乃至(XXIV)の化合物を用いることによって、その半導体基板は本発明の化合物の基本骨格を含む、またはその基本骨格からなるSi−Ge層を含む。堆積にSiおよびGe源を別個に使用するのとは対照的に、本発明の化合物を用いることによって、得られるSi−Ge層は、非常に明確かつ一様な結合構成と、歪み補償されたSi−Ge原子パターンとを備える。これは、SiおよびGe原子が幾つかの(または多数の)原子SiおよびGeクラスタの密な混合物として存在することで、同質でない結合および局所的な歪み配置の導かれることがある従来のSi−Ge膜のランダムな性質とは対照的である。ミスマッチなヘテロエピタキシャル用途では、これらの材料は夥しい転位(大抵のデバイス用途には許容不能なレベルの)、歪みの非一様性、および高い表面粗度を示す。従来品を越える発明者らの化合物、膜、および方法の明瞭かつ重要な利点は、完全なSi−Ge分子コアを組み込むことによって、結晶全体を通じて例外的に一様な結合構成の形成が促進され、平坦な表面モルフォロジ(表面リプルのない)を有する緩和した(または一様な歪みを有する)膜が導かれることである。重大な利点は、SiおよびGe原子の表面移動性を減少させ、質量偏析を防止することによって、原子レベルで非常に一様な組成および歪みのプロファイルが得られる、従来にない低い成長温度である。
【0175】
大量のSi/Geコアを膜へ完全なまま組み込むことによって、従来の少量の化合物と比較して、小さな表面拡散および大きなスティッキング係数も導かれる。高い反応性によって、前駆体の質量につれて系統的に増大する高い成長速度が得られる。
【0176】
さらに、完全にSi/Ge骨格からなる格子を化学物質の蒸気へ含めることは、それによってモルフォロジの精密な制御、組成の調整、ならびにシランおよびゲルマンを別個に堆積させることや固体のSiおよびGe源による分子線エピタキシーによって得られない構造を可能とするので、SiGe1−dのナノスケール系(量子ドットおよびワイヤ)の形成において特に重要である。組成の精密な制御および対応するモルフォロジの両方は、それらのナノスケール材料の物理的性質を最終的に決定する、重要な項目である。個々のナノ構造内およびナノ構造間に存在する組成の変動は、光学的および電子的な特性や、デバイスの性能に対し有意な影響を及ぼす。MBEの場合、材料を成長させるために利用した流量比によって、平均濃度が決まる。CVDアプローチでは、試料の全体を通じて各部位において様々な分子源の反応を同時に制御することは不可能であるので、ナノ構造サ
イズのスケールにおける局所的な化学量論はさらに不確かである。したがって、どちらの技術も、制御可能な組成、歪み、および寸法を有するSi−Geナノスケール構造の系統的な成長を保証し得ない。
【0177】
そうした非常に明確なパターンは、中性子回折など、本技術分野における標準的な方法を用いて決定可能である。
さらなる態様では、本発明は基板と、式(I)乃至(XXIV)のうちのいずれかによる1つ以上の化合物の基本骨格を含む、またはその基本骨格からなるSi−Ge層とを含む、半導体構造を提供する。好適な実施形態は上述の通りである。
【0178】
別の態様では、本発明は、SiGe1−d層を選択的に堆積させるための方法も提供する。この方法は、2つ以上の部分を含む表面層を有する基板を、前記表面の第1の部分の上方にのみ所定の厚みを有するSiGe1−d層を所定の速度で選択的に堆積させるのに充分な条件で、上述の式(I)の化合物を含むまたはからなる化学物質の蒸気に接触させることを含み、表面層の第1の部分は半導体の表面層を含み、表面層の第2の部分は酸化物、窒化物、または酸窒化物の表面層を含む。
【0179】
本発明の方法では、式(I)の化合物を含むガス源を利用する当業者に知られている任意の方法によって、上述の上SiGe1−d層を選択的に堆積させることが可能である。好適には、SiGe1−d層は選択的に堆積される。より好適には、dは0.55未満であり、例えば、約0.05〜0.55である。一定の実施形態では、dは約0.45〜0.55である。他の一定の実施形態では、dは約0.20〜0.30である。
【0180】
一実施形態では、本発明は、反応チャンバにおいて基板の上に選択的にSiGe1−d材料を堆積させる方法を提供する。この方法は、式(I)の1つ以上の化合物を含むまたはからなる化学物質の蒸気を、SiGe1−d材料を含む層が基板上に選択的に形成される条件下において、チャンバへ導入する工程を含む。
【0181】
別の実施形態では、本発明は、基板の上にエピタキシャルSiGe1−d層を選択的に堆積させる方法を提供する。この方法は、式(I)の1つ以上の化合物を含むまたはからなる化学物質の蒸気を、基板の表面近くに導入する工程と、エピタキシャルSiGe1−dが基板表面の第1の部分の上にのみ選択的に形成される条件下において、前駆体の脱水素化、脱ハロゲン化、またはその両方を行う工程と、を含む。
【0182】
いずれの実施形態においても、基板は、2つ以上の部分を含む表面層を有する、半導体またはフラットパネルディスプレイ用の任意の適切な基板であってよく、表面層の少なくとも第1の部分は半導体の表面層を含み、表面層の第2の部分は酸化物、窒化物、または酸窒化物の表面層を含む。式(I)の化合物を含む化学物質の蒸気へそうした基板をさらすと、基板の第1の部分の上にのみSiGe1−d層が形成され、基板の第2の部分にはSiGe1−d合金がほぼ存在しないことが、予想外に発見された。本明細書において用いられる「ほぼ存在しない」は、当業者に知られている方法により解像度1μmのマイクロラマン分光法によって測定される基板の第2の部分において合金が検出可能でないことを意味する。
【0183】
本明細書において用いられる「半導体表面層」は、基板の一部である、または基板の上面の上に形成される、半導体特性を有する元素または合金材料からなる層を意味する。半導体特性を有する材料の例は、次に限定されないが、Si、Ge、SiGe GeSn、SiGeSn、SiGeC、Si1−xを含む。
【0184】
本明細書において用いられる「酸化物、窒化物、または酸窒化物表面層」は、基板の一
部である、または基板の上面の上に形成される、酸化物、窒化物、または酸窒化物化合物の層を意味する(すなわち、本明細書において定義される半導体表面層ではない)。そのような酸化物、窒化物、または酸窒化物化合物は、導体であっても、半導体であっても、絶縁体であってもよい。酸化物、窒化物、または酸窒化物化合物の例は、次に限定されないが、SiO、GeO、Si、SiON、またGeONを含む。
【0185】
例えば、基板層の第1の部分は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ、Ge:Sn合金、Si:Ge合金、Si:C合金、元素Si、または元素Geを含むことが可能である。基板表面の第2の部分は、酸化物、窒化物、または酸窒化物表面層(例えば、SiO、サファイア、石英、GeO、Si、SiON、Ge、GeON、Ta、ZrO、およびTiO)を含むことが可能である。好適な一実施形態では、基板の第1の部分はSi(100)またはSi(111)を含む。より好適には、基板の第1の部分は、次に限定されないが、n−ドーピングの行われたSi(100)、p−ドーピングの行われたSi(100)など、Si(100)を含む。
【0186】
化学物質の蒸気の実施形態は、本発明の先の態様について、上述において記載した通りである。例えば、方法は、次に限定されないが、ホウ素、リン、ヒ素、およびアンチモンなどのドーパントを含めることを含む、基板にドーパントを添加する工程を含んでもよい。これらの実施形態は、能動素子として用いられる半導体基板において、特に好適である。本技術分野において標準的な方法によって、そのようなドーパントを半導体基板へ含めることが可能である。例えば、米国特許第7,238,596号明細書(引用によって本明細書に援用する)に記載の方法によって、ドーパントを含めることが可能である。
【0187】
本明細書において用いられる「ドーピング」は、半導体の電気特性を変化させるために、本来の半導体へ意図的に不純物を導入するプロセスを指す。低いドーピングレベルでは、通常、約108〜9個の原子あたりドーパント原子が1個程度である。高いドーピングレベルでは、通常、10個の原子にドーパント原子が1個程度である。
【0188】
別の実施形態では、方法は、半導体基板または半導体表面に対し、可変量の炭素またはスズを添加する工程を含む。本技術分野において標準的な方法によって、炭素またはスズを半導体基板へ含めることが可能である。炭素を用いて、構造中のドーパント、より詳細にはホウ素の移動性を減少させることが可能である。Snを含めることによって、Siベースのレーザおよび高感度の赤外光検出器の形成を導く直接放射および吸収など、新規な光学特性を有する材料を得ることが可能である。
【0189】
本明細書において示すように、ハロシリルゲルマンを用いて、一様な組成および歪みのプロファイル、低い貫通転位密度、ならびに原子レベルで平坦な(すなわち、平ら)な表面を示す、基板上にデバイス品質の層を堆積させることが可能である。
【0190】
好適な一実施形態では、化学物質の蒸気はほぼ純粋な形態で導入される。さらなる好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は単一のガスソースとして導入される。
別の実施形態では、化学物質の蒸気は不活性なキャリアガスと混合して導入される。この実施形態では、不活性ガスは、例えば、H、ヘリウム、N、アルゴン、またはそれらの混合物であることが可能である。好適には、不活性ガスはHまたはNである。
【0191】
これらの態様では、化学物質の蒸気は、次に限定されないが、ガスソース分子線エピタキシー、化学蒸着、プラズマ化学蒸着、レーザアシスト化学蒸着、および原子層堆積を含む任意の適切な技術によって堆積されてよい。
【0192】
様々なさらなる実施形態では、選択的な堆積は、約2.0nm/minを越える所定の
速度で実行される。好適には、この所定の速度は約2.0〜10.0nm/minである。そうした層は、好適には、約25〜300nmの所定の厚みを有する。
【0193】
本発明による有用なハロシリルゲルマンは、本発明の先の態様に関して上述において記載したように、任意のコンフォメーション型の化合物を含んでおり、n,g,およびイソ型の化合物ならびにそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0194】
一実施形態では、本発明は、化学物質の蒸気が次の分子式の化合物を含む方法を提供する。
SiGez−a(I)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、(i)各XはSiにのみ結合されており;(ii)xおよびyの和は5以下である。以下、そのような方法を方法L2と呼ぶ。
【0195】
方法L2の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法L2の一実施形態では、aは1である。方法L2の別の実施形態では、aは3xである。
【0196】
方法L2の一実施形態では、xは1、かつ、aは3である。方法L2の別の実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは1、かつ、aは2である。
【0197】
方法L2の別の実施形態では、xは2、かつ、aは6である。方法L2の別の実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは2、かつ、aは2である。
【0198】
方法L2の別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは2である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは3である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは1、かつ、aは4である。
【0199】
方法L2の別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは2である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは3である。方法L2の別の実施形態では、xは2、yは2、かつ、aは4である。
【0200】
方法L2の別の実施形態では、xは3、かつ、aは9である。方法L2の別の実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法L2の別の実施形態では、xは3、かつ、aは3である。
【0201】
方法L2の別の実施形態では、xは3、かつ、yは2である。方法L2の別の実施形態では、xは3、yは2、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは3、yは2、かつ、aは2である。方法L2の別の実施形態では、xは3、yは2、かつ、aは3、4、5、または6である。
【0202】
方法L2の別の実施形態では、xは4、かつ、aは12である。方法L2の別の実施形態では、xは4、かつ、aは1である。方法L2の別の実施形態では、xは4、かつ、aは2である。方法L2の別の実施形態では、xは4、かつ、aは3である。方法L2の別
の実施形態では、xは4、かつ、aは4である。
【0203】
方法L2の別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法L2の別の実施形態では、xおよびyの和は3以下である。方法L2の別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0204】
方法L2のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(III)の化合物を含む。
SiGez−a(III)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法M2と呼ぶ。
【0205】
方法M2の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法M2の一実施形態では、yは1である。方法M2の別の実施形態では、yは2である。方法M2の別の実施形態では、yは3である。方法M2の別の実施形態では、yは4である。
【0206】
方法M2の一実施形態では、aは1である。方法M2の別の実施形態では、aは2である。方法M2の別の実施形態では、aは3である。
方法M2の好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法M2の別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法M2の別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0207】
方法M2の好適な一実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法M2の別の好適な実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
方法M2の好適な一実施形態では、yは3、かつ、aは1である。
【0208】
方法M2の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、式(IV)の化合物を含む。
SiGez−aCl(IV)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法N2と呼ぶ。
【0209】
方法N2の一実施形態では、yは1である。方法N2の別の実施形態では、yは2である。方法N2の別の実施形態では、yは3である。方法N2の別の実施形態では、yは4である。
【0210】
方法N2の一実施形態では、aは1である。方法N2の別の実施形態では、aは2である。方法N2の別の実施形態では、aは3である。
方法N2の好適な一実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法Nの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法Nの別の好適な実施形態では、yは1、かつ、aは3である。
【0211】
方法N2の好適な一実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法N2の別の好適な実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
方法N2の好適な一実施形態では、yは3、かつ、aは1である。
【0212】
方法N2の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(V)の化合物を含む。
SiGeH6−aCl(V)
ここで、aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法O2と呼ぶ。
【0213】
方法L2のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(VI)の化合物を含む。
SiGeHz−a(VI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法P2と呼ぶ。
【0214】
方法P2の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法P2の一実施形態では、xは1である。方法P2の別の実施形態では、xは2である。方法P2の別の実施形態では、xは3である。方法P2の別の実施形態では、xは4である。
【0215】
方法Pの一実施形態では、aは1である。方法P2の別の実施形態では、aは2である。方法P2の別の実施形態では、aは3である。
方法P2の好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法P2の別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法P2の別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0216】
方法P2の好適な一実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法P2の別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法P2の別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0217】
方法P2の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(VII)の化合物を含む。
SiGeHz−aCl(VII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Q2と呼ぶ。
【0218】
方法Q2の一実施形態では、xは1である。方法Q2の別の実施形態では、xは2である。方法Q2の別の実施形態では、xは3である。方法Q2の別の実施形態では、xは4である。
【0219】
方法Q2の一実施形態では、aは1である。方法Q2の別の実施形態では、aは2である。方法Q2の別の実施形態では、aは3である。
方法Q2の好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは1である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは1である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは1である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは1である。
【0220】
方法Q2の好適な一実施形態では、xは1、かつ、aは2である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは2、かつ、aは2である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは3、かつ、aは2である。方法Q2の別の好適な実施形態では、xは4、かつ、aは2である。
【0221】
方法L2乃至Q2のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;、またはそれらの混合物を含む。
【0222】
別の実施形態では、本発明は、化学物質の蒸気が次の分子式の化合物を含む方法を提供する。
SiGez−a(XVII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である以下、そのような方法を方法L3と呼ぶ。
【0223】
方法L3の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法L3の一実施形態では、aは1である。方法L3の別の実施形態では、aは1〜2(x+y)である。方法L3の別の実施形態では、aは2(x+y)である。
【0224】
方法L3の別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法L3の別の実施形態では、xおよびyの和は4以下である。方法L3の別の実施形態では、xおよびyの和は2である。
【0225】
方法L3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法L3の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0226】
方法L3のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XVIII)の化合物を含む。
SiGez−a(XVIII)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法M3と呼ぶ。
【0227】
方法M3の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、Xはクロロである。
方法M3の一実施形態では、aは1である。方法M3の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法M3の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
【0228】
方法M3の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法M3の別の実施形態では、yは1または2である。方法M3の別の実施形態では、yは1である。方法M3の別の実施形態では、yは2、または3である。
【0229】
方法M3の別の実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法M3の別の実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法M3の別の実施形態では、yは2である。方法
M3の別の実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法M3の別の実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
【0230】
方法M3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法M3の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0231】
方法M3の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XIXV)の化合物を含む。SiGez−aCl(XIX)
ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法N3と呼ぶ。
【0232】
方法N1の一実施形態では、aは1である。方法N3の別の実施形態では、aは1〜2(1+y)である。方法N3の別の実施形態では、aは2(1+y)である。
方法N3の別の実施形態では、yは1、2、または3である。方法N3の別の実施形態では、yは1または2である。方法N3の別の実施形態では、yは1である。方法N3の別の実施形態では、yは2である。
【0233】
方法N3の別の実施形態では、yは1、かつ、aは1である。方法N3の別の実施形態では、yは1、かつ、aは2である。方法N3の別の実施形態では、yは2である。方法N3の別の実施形態では、yは2、かつ、aは1である。方法N3の別の実施形態では、yは2、かつ、aは2である。
【0234】
方法N3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法N3の好適な一実施形態では、aは1〜2(1+y)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0235】
方法N3の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XX)の化合物を含む。
SiGeH6−aCl(XX)
ここで、aは1〜3であり、ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法O3と呼ぶ。
【0236】
方法O3の一実施形態では、aは1である。方法O3の別の実施形態では、aは1〜4である。方法O3の別の実施形態では、aは4である。
方法O3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0237】
方法O3の好適な一実施形態では、aは1〜4であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法L3のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XXI)の化合物を含む。
SiGeHz−a(XXI)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、各XはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法P3と呼ぶ。
【0238】
方法P3の一実施形態では、Xはクロロまたはブロモである。好適な一実施形態では、
Xはクロロである。
方法P3の一実施形態では、aは1である。方法P3の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法P3の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
【0239】
方法P3の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法P3の別の実施形態では、xは1または2である。方法P3の別の実施形態では、xは1である。
方法P3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0240】
方法P3の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法P3の好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は式(XXII)の化合物を含む。SiGeHz−aCl(XXII)
ここで、xは1,2,3,または4であり;zは2(x+2)であり;aは1〜3であり;ただし、各ClはSiにのみ結合されている。以下、そのような方法を方法Q3と呼ぶ。
【0241】
方法Q3の一実施形態では、aは1である。方法Q3の別の実施形態では、aは1〜2(x+1)である。方法Q3の別の実施形態では、aは2(x+1)である。
方法Q3の別の実施形態では、xは1、2、または3である。方法Q1の別の実施形態では、xは1または2である。方法Q3の別の実施形態では、xは1である。
【0242】
方法Q3の別の実施形態では、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
方法Q3の好適な一実施形態では、aは1〜2(x+1)であり、かつ、各SiおよびGe原子には2つ以下のXしか結合していない。
【0243】
方法L2乃至N2またはL3乃至N4のうちのいずれかの実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.2〜約0.5である。方法L2乃至N2またはL3乃至N3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.2である。方法L2乃至N2またはL3乃至N3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.25である。方法L2乃至N2またはL3乃至N3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.33である。方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、dは約0.50である。
【0244】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの実施形態およびそれらの好適な実施形態では、式SiGe1−dの堆積した層は、シリコンおよびゲルマニウムについて式(I)または(XVII)の化合物と同じ実験式を有する。例えば、層が式(I)の化合物、すなわち、SiGez−aを用いて堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(III)または(XVIII)の化合物、すなわち、SiGez−aを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(IV)または(XIX)の化合物、すなわち、SiGez−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(V)または(XX)の化合物、すなわち、SiGeH6−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(VI)または(XXI)の化合物、すなわち、SiGeHz−aを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの実験式を有する。好適な一実施形態では、式(VII)または(XXII)の化合物、すなわち、SiGeHz−aClを用いて層が堆積されると、堆積した層はSiGeの
実験式を有する。
【0245】
方法L3乃至Q3のさらに好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、
ClSiHGeH クロロ(ゲルミル)シラン;
ClSiHGeH ジクロロ(ゲルミル)シラン;
ClHSi(GeH クロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
ClSi(GeH クロロ(トリゲルミル)シラン;
ClHSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
(ClHSi)(HGe) 1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
ClSiSiH(GeH 1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
ClSiHGeHCl クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;
ClSiHGeHCl ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン;、またはそれらの混合物を含む。
【0246】
別の好適な実施形態では、xおよびyの両方が同じ値を有するとき、すなわち、両方が1である、または2であるとき、堆積した層はSiGeの実験式を有する。
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、上記温度は約200℃〜約600℃である。より好適には、温度は約350℃〜約450℃である。さらに好適には、温度は約400℃〜約450℃である。
【0247】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、層はほぼ結晶である
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかのさらに好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、層はほぼ結晶であり、温度は約200℃〜約600℃である。より好適には、層はほぼ結晶であり、温度は約350℃〜約450℃である。さらに好適には、層はほぼ結晶であり、温度は約400℃〜約450℃である。
【0248】
この低温/急速成長プロセスに関連した実用上の利点には、(i)予備処理したSiウエハに適合する短い堆積時間、(ii)高周波デバイス用途における選択的な成長、(iii)無視できる程度のドーパント偏析質量(薄層には特に重要である)が含まれる。
【0249】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、基板は、半導体またはフラットパネルディスプレイ用に適切な任意の基板を含み、次に限定されないが、シリコン、ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ、Ge:Sn合金、SiO、サファイア、石英、Si:Ge合金、Si:C合金、ステンレス鋼、ポリイミドまたはフレキシブルディスプレイの製造に用いられるような他のポリマーを含む。方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかのさらに好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、基板はシリコンを含む。より好適な実施形態では、基板はSi(100)を含む。
【0250】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、次に限定されないが、ガスソース分子線エピタキシー、化学蒸着、プラズマ化学蒸着、レーザアシスト化学蒸着、および原子層堆積を含む任意の適切な技術によって堆積されてよい。
【0251】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、約10−8トル〜760トルの分圧で導入される。好適な一実施形態では、化学物質の蒸気は、10−8トル〜10−5トル(UHV縦型炉技術に対応する)で導入される。別の好適な実施形態では、化学物質の蒸気は、10−8トル〜100トル(LPCVD条件に対応する)で導入される。さらに別の好適な実施形態では、化学物質の蒸気は10−3トル〜760トルで導入される。
【0252】
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかおよびそれらの好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物は、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)条件下で堆積されてよい。
【0253】
他の様々な好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物がPECVD条件下で堆積されるとき、基板温度は約20℃〜約600℃である。より好適には、温度は約20℃〜約300℃である。さらに好適には、温度は約20℃〜約250℃である。
【0254】
他の様々な好適な実施形態では、式(I)乃至(XXII)のうちのいずれかの化合物がPECVD条件下で堆積されるとき、複合プラズマパラメータW/FMは、約200MJ/kg未満、より好適には、100MJ/kg未満、されに好適には、30MJ/kg未満である。
【0255】
他の様々な好適な実施形態では、Si−Ge材料が平坦な表面を有する部分的なまたは完全な歪み緩和層として基板上に形成されるか、Si−Ge材料の組成がほぼ一様であるか、化学物質の蒸気のSiおよびGeの骨格全体がSi−Ge材料もしくはエピタキシャルSi−Geへ組み込まれるか、またはそれらのうちの1つ以上である。
【0256】
他の様々な好適な実施形態では、Si−Ge材料が平坦な表面を有する完全な歪み層として基板上に形成されるか、Si−Ge材料の組成がほぼ一様であるか、化学物質の蒸気のSiおよびGeの骨格全体がSi−Ge材料もしくはエピタキシャルSi−Geへ組み込まれるか、またはそれらのうちの1つ以上である。
【0257】
他の好適な実施形態では、ほぼ結晶のSi−Ge材料は基板上に形成され、ほぼ単一の結晶ドメインを有する。
方法L2乃至Q2またはL3乃至Q3のうちのいずれかの好適な一実施形態およびそれらの好適な実施形態では、いずれの実施形態においても、基板は2つ以上の部分を含む表面層を備え、表面層の少なくとも第1の部分は半導体の表面層を含み、表面層の第2の部分は酸化物、窒化物、または酸窒化物の表面層を含む。式(I)の化合物を含む化学物質の蒸気へそうした基板をさらすと、基板の第1の部分の上にのみSiGe層が形成され、基板の第2にはSiGe層がほぼ存在しないことが、予想外に発見された。
【0258】
例えば、基板層の第1の部分は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ、Ge:Sn合金、Si:Ge合金、Si:C合金、元素Si、または元素Geを含むことが可能である。基板表面の第2の部分は、酸化物、窒化物、または酸窒化物表面層(例えば、SiO、サファイア、石英、GeO、Si、SiON、Ge、GeON、Ta、ZrO、またはTiO)を含むことが可能である。好適な一実施形態では、基板の第1の部分はSi(100)またはSi(111)を含む。より好適には、基板の第1の部分は、次に限定されないが、n−ドーピングの行われたSi(100)、p−ドーピングの行われたSi(100)など、Si(100)を含む。
【0259】
用途
上述の方法によって、純粋かつ化学量論的なSiGe1−d合金を、例えば、典型的なデバイス構造のソース/ドレイン領域において、継ぎ目なく、等角に、選択的に、またはそれらのうちの1つ以上であるように、形成することが可能である。また、この種の成長には、光学部品(光ダイオード)を備えるマイクロエレクトロニクスを単一のチップへ組み込む際の追加の用途も存在する。
【0260】
一例では、基板の表面層は、ゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を各々含む1つ以上のトランジスタ構造を含み、表面層の第1の部分はソース領域およびドレイン領域を含み、表面層の第2の部分はゲート領域を含む。トランジスタアーキテクチャは、当業者によく知られているように、CMOS、NMOS、PMOS、またはMOSFET型であってよい。したがって、本発明のSiGe1−d層は、ゲート領域にSiGe1−d合金をほぼ存在させることなく、ソースおよびドレイン領域に選択的に堆積される(少なくともその表面上に)。
【0261】
そのような基板上のゲート領域は、例えば、ゲート誘電体層の上方に形成された金属ゲート層を含むことが可能である。金属ゲート層の例は、次に限定されないが、ポリシリコン、多結晶SiGe、Ta、Ir、W、Mo、TiN、TiSiN、WN、TaN、TaSi、NiSi、またはIrOを含む。ゲート誘電体層の例は、次に限定されないが、SiO、SiON、HfO、ZrO、La、Al、またはHfAlOを含む。一般に、ゲート領域は、酸化物、窒化物、もしくは酸窒化物のハードマスク、もしくは酸化物、窒化物、もしくは酸窒化物のスペーサ、またはその両方を含む。
【0262】
定義
本明細書において用いられる用語「アルコキシ」は、酸素原子を通じて親の分子の部位に結合したアルキル基(本明細書において定義されている)、を意味する。アルコキシの代表的な例は、次に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチロキシ、およびヘキシロキシを含む。
【0263】
本明細書において用いられる用語「アルキル」は、特に指定のない限り、1〜10の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表的な例は、次に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシルを含む。
【0264】
本明細書において用いられる用語「ハロアルキル」は、アルキル基(本明細書において定義されている)を通じて親の分子の部位に結合したハロゲン(本明細書において定義される)、を意味する。ハロアルキルの代表的な実施例は、次に限定されないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および2−クロロ−3−フルオロペンチルを含む。
【0265】
本明細書において用いられる用語「ハロゲン」は、−Cl、−Br、−I、または−Fを意味する。
本明細書において用いられる用語「非晶性の」は、短距離の原子の規則性を有するが、長距離の規則性がほぼ存在しない材料を意味する(Gerstenらの、The Physics and Chemistry of Materials、John Wiley & Sons、New York、2001、pp96〜100を参照。これを引用によって本明細書に援用する。)
本明細書において用いられる用語「ほぼ結晶」は、組成が10%未満のアモルファス領
域(本明細書において定義される)しか含まないことを意味するが、欠陥が多く存在してもよい。好適には、組成は5%未満のアモルファス領域しか含まない。より好適には、組成は2%未満のアモルファス領域しか含まない。さらに好適には、組成はアモルファス領域ほぼ含まない。
【0266】
本明細書において用いられる用語「ほぼ純粋」は、化合物が90%を越えて純粋であることを意味する。好適には、化合物は95%以上純粋である。さらに好適には、化合物は97%を越えて、または99.5%を越えて純粋である。
【0267】
本明細書において用いられる用語「ほぼ単一の結晶ドメイン」は、組成の90%を越えてその化合物の単一の多形体を含むことを意味する。好適には、化合物において、その化合物の単一の多形体が95%を越える。さらに好適には、化合物において、その化合物の単一の多形体が97%を越える。
【0268】
本明細書において用いられる用語「金属塩素化試薬」は、金属水素化物基を金属ハロゲン化物基で置き換える当業者に知られている化合物を意味する。金属塩素化試薬の例は、次に限定されないが、Cl、Br、SOCl、COCl、AgCl、およびAgBrを含む。
【0269】
合成法
(a)ClHSi(GeH(1)およびClSi(GeH(2)の合成経路:式1に従い、ジボランを発生させてモル比1:3のBClおよびSiH(GeHを直接組合わせることで、一塩素化された化学種を生成した。
【0270】
【化1】

目標化合物(1)を、室温蒸気圧〜14トルで、トラップ分取によって、無色で自燃性の液体として分離した。代表的な反応を0℃で2時間進行させたところ、使用した開始水素化物の量に基づき、充分な収率(〜40%)で純粋な単相の物質を生成した。開始水素化物は最適条件下で回収し、続く調製において再利用した。反応時間の延長によって収率を上昇させようとしたところ、モノクロロ化合物1と少量の二置換誘導体ClSi(GeH(2)との混合物が生成した。(2)の形成を強化するために、発明者らは、より高いモル比でBClおよびSiH(GeHを用いることによって、反応媒質におけるCl活量を上昇させた。式2に記載されるような化学量論的な2:3の組み合わせについて、発明者らは、(1)および(2)の混合物をそれぞれ20%および15%の収率で得た。このことは、予想されるように、Si中心における第2の塩素化が有意に増大していることを示す。
【0271】
【化2】

反応物を〜1:1のモル比で組み合わせることによって塩素の活量をさらに上昇させると、専らClSi(GeH(2)種が生成した(収率20%)が、ClHSi(GeH(1)の生成はほぼ抑止された(収率1%)。いずれの場合にも、ポリマー状の固体(高信頼性のキャラクタリゼーションには不十分な量であった)に加え、豊富な
量のジボラン副生成物が生成した。次いで、純粋な化合物2を、トラップ分取によって、無色で揮発性(蒸気圧:22℃で7トル)の液体として単離した
(b)ClSi(GeH(3)の合成経路:化合物3の調製については、まず、化学量論的な3:1のSiH(GeHおよびBClの組み合わせによって探究した。これらの組み合わせは、通常、ClSi(GeHおよびSiH(GeH化合物の混合物を生成したが、それらの化合物は沸点が類似しているために分離することは不可能であった。反応時間を延長すると、最終的には、恐らく多塩素化されたトリシリルゲルマンの分解に由来する不揮発性のポリマー状固体が生成した。このことは、時間を経ると、最終的にはSi部位に加えてGe部位に塩素化が起こり、不安定な生成物を生成することを示している。しかしながら、化合物3は、モル比1:1のSiH(GeHおよびBClを用いて、0℃、反応時間10分間で、〜20%の収率で容易に調整された。純粋な化合物3は、室温蒸気圧〜2トルの安定な無色の液体である。
【0272】
(c)ブタン様(GeH(2)(SiH)のSi部位の橋かけ塩素化:(HGe)SiH4−xに関する塩素化研究では、Si部位が優先的に塩素化され、様々な新たな化合物を生成することが示された。しかしながら、最も単純なSiHGeH種の場合、この従来の研究によって、末端のSi−H結合の連続的な塩素化は達成困難であるとを確立されていた。一方、SiH(GeHなど橋かけSiHの単一中心を含むプロパン様分子の塩素化は、それより相当簡単である。これは、イソ構造のトリシランSiH(GeHの場合にも当てはまることが分っており13、橋かけSiHは完全塩素化に対し最も敏感な部位であるが、末端のSi−H結合は、この種の置換を受けにくい。この反応挙動を考慮して、発明者らは、より大きな橋かけ部位のSi−H置換能を与える、関連するSi−Geベースの巨大分子の塩素化について、簡単な研究を行った。これらの化合物は、末端のSi−Hを含まず、非常に反応性の−SiH−SiH−ベースの結合を排他的に組み込むように設計されている。これらの基準を満たす最も単純な候補はブタン様(SiH(GeH種であり、この種は発明者らが以前に調製し、基礎的かつ実用的な観点から詳細な研究を行っているものである。この分子において2つの等価な反応部位が利用可能であるため、塩素化の順序および程度に対する基本的な関心が存在するとともに、SiGe、GeSiGeおよびGeSiSiGe中心を含む全種のハロゲン化Si−Ge巨大分子水素化物誘導体を製造するという発明者らの合成ストラテジの自然な拡張が表されている。最終的に、この族のより単純なメンバについての実験とシミュレートされた構造的および分光学的な特性とを一致させるという発明者らの成果を考慮し、発明者らは、このより複雑な系における反応傾向を探究するために、全シーケンスのCl4−nSi(GeHつの(n=1〜4)分子およびあらゆる可能なコンフォメーションに関する系統的な研究に着手した。
【0273】
f)ClHSiSiH(GeH(4)およびClSi(GeHの合成およびキャラクタリゼーション:一置換ClHSiSiH(GeH(4)種は、過剰なBClを(SiHGeHと比2:3で反応させることによって、容易に得られた。代表的な反応時間(1時間)、最適温度(0℃)でジボランを得たが、NMRによって確認されたように、これらの条件の下で少量の未反応出発物も回収された。反応時間を長くし、温度を上昇させることで(SiH(GeHのフルコンバージョンを達成しようとしたところ、完全には同定不可能な処理しにくいポリマー様固体が生成した。化合物4は、公称蒸気圧2トルの無色の液体として、蒸留によって単離した。その29Siスペクトルでは、SiH、SiHCl部位により、それぞれ−97.0、−15.0ppmの2つのピークが示された。これらは、出発物のSiH共鳴(−105.0)に対してダウンシフトしており、Si中心の一塩素置換と矛盾しない。Hスペクトルでは、GeH−SiH−SiHCl−GeHのシーケンスに結合されているプロトンに対応する、三重線(3.05)、五重線(3.33)、六重線(5.02)、および二重線(3.26)が示された。積分強度、カップリングパターン、およ
びピークの位置は、全体としてこの原子配列を示している。Cl部位(3.05)から最も遠くのGe−Hに対応するシフトは、出発物(3.11)のものに近いが、SiHClに隣接しているGe−Hのシフトはわずかにダウンシフトしている(3.26)、SiHピーク(3.33)は、出発物(3.29)のピークや、シリルゲルマン化合物中の他の橋かけSiH配位子のピークに極めて近い。SiHCl(5.02)に対応する六重線はClの存在のために有意にダウンシフトしており、ClHSi(GeHにおいて観察されたもの(5.07)に近い。分子構造は、さらに2D H COSYによって確認されており、次の関連付けを与えている:(i)3.26(二重線)および5.02(六重線)は−GeH−SiHCl−に関連している、(ii)5.02(六重線)および3.33(五重線)は−SiHCl−SiH−に関連している、(iii)3.33(五重線)および3.05(三重線)は−SiH−GeH−に関連している。H−29Si HMQC NMRでは、29Si(−97)とH(3.33、五重線)との間、および29Si(−15)とH(5.02、六重線)との間の直接的なカップリングが示されており、この最後の同定が補強されている。
【0274】
二塩素化されたClSi(GeH種は、2つの置換異性体ClSiSiH(GeHおよび(ClHSi)(HGe)の混合物として得られた。BClおよび(SiH(GeHを0℃にて比1:1で反応させることによって、〜1トルの蒸気圧を有する液体試料を調製した。この場合の反応時間は、これらの条件下で生成した不安定な副生成物の生成を回避する、または分解を軽減するために、一塩素化と比較して、〜20分間、有意に減少させた。二塩素化されたClSiSiH(GeHおよび(ClHSi)(HGe)誘導体の沸点は非常に近いため、普通の蒸留または分留技術による単離が妨げられた。したがって、それらのアイデンティティおよび構造は、主として、2D H COSYおよびH−29Si HMQC分析を含む、Hおよび29Si NMRによって確立および解明した。(ClHSi)(HGe)種について、プロトンNMRスペクトルでは、末端のGeHプロトンによる3.26ppmの二重線と、橋かけSiHプロトンに対応する4.98ppmの五重線とが示された。GeHピークとSiHピークとの積分強度比は、予想される通り、それぞれ3:1であることが分った。また、Hスペクトルでは、HGe−SiCl−SiH−GeH種に含まれるシーケンスのGeH、SiH、GeHプロトンに同定される、3.43(一重線)、3.42(四重線)、3.07ppm(三重線)の3つの追加のピークが示された。この試料の29Siスペクトルでは、それぞれHGe−SiCl−SiH−GeHのSiClおよびSiHと、(ClHSi)(HGe)のSiHとに対応する、24.4、−88.7、および−17.0ppmの3つの顕著な共鳴が示された。なお、ClSiSiH(GeHのSiH 29Si共鳴は、隣接したシリコンに結合した塩素原子の存在のため、出発物(−105)に対して低磁場側に有意にシフトしている(−88.7)。(ClHSi)(HGe)およびClSiSiH(GeHについて提案された構造は、さらに2D H COSYスペクトルによって確認されており、このスペクトルでは、それぞれ3.26,4.98ppmと、3.07,3.42ppmとのGe−H、Si−H共鳴に関連する2組のクロスピークのみが示されている。H−29Si HMQCスペクトルでは、4.98,3.42ppmのプロトンが−17.0,−88.7の29Si共鳴と直接カップリングしていることが明らかとなった。
【0275】
Cl6−nSiGe分子に関するシミュレーション研究
第1のゴールは、エネルギ的および構造的な面から、HSiGeHの塩素化傾向について解明することであった。テーブル3に示される化合物の一覧には、ClSiGeH種に加え、Cl原子が排他的にGeに結合している化合物HSiGeHCl、HSiGeHClも含めた。後者については一時的に観察されたものであり、再現可能な方式ではない。これは、恐らく、分解、または、観察されるように、そのSi部位にお
ける追加の塩素化により4つまでの塩素原子が結合した分子を生成することに対する相対的な不安定性のためである。
【0276】
発明者らは、次の式(5)に与えられる一般化した反応について、熱的に補正した自由エネルギを用いて標準反応自由エネルギ(298KでのΔGRX)を計算した。
【0277】
【化3】

主な結果を、反応自由エネルギの大きさが減少する順に並べ、テーブル3に示す。このデータから分るように、塩素化生成物の相対的な安定性は、結合した塩素原子の総数ではなく、Si−Cl結合の数に直接的に関連している。これは、第1および第2の塩素化反応が排他的にSi中心上に発生し、続いてGe部位の段階的な塩素化が起こるという、実験的に観察された塩素化の順序と矛盾しない。なお、実験的に捉えにくいHSiGeHClおよびHSiGeHCl化合物は、Si−Cl結合が存在しないため最も安定でない。対照的に、最も熱力学的に安定な誘導体であるClSiGeHは、その生成を促進する系統的な努力にもかかわらず得られなかった。発明者らが以下に詳細に説明するように、これは恐らく、反応動力学の遅延のためである。
【0278】
【表4】

本発明の化合物の構造および振動特性の計算
NMRスペクトルから導かれたClSiHGeHおよびClSiHGeHの分子構造を補強するために、発明者らは、それらの化合物の構造および振動特性の第一原理計算を行った。発明者らは以前の調査においてこのアプローチを用い、その振動署名に基づき、ブタン様のGeHSiHSiHGeHおよびGeHGeHSiHGeH化合物の異性体の混合物を識別することに成功している。本研究の中心は(1)および(2)にあるが、ここで、発明者らは完全性のために、クロロ(ゲルミル)シランCl1−xSi−GeH(x=0〜3)の一般シーケンスについて、結合および振動特性の重要な傾向を確立させようとするものである。追加の利益は、より複雑でより規則性の高いクロロ(ゲルミル)シランに関する解明のために、それらの化合物に特徴的な様々な振動モードの周波数範囲および特徴を分類することである。
【0279】
B3LYPハイブリッド関数を用いて、HSi−GeH、ClHSi−GeH
、ClHSi−GeH、およびClSi−GeH分子の密度汎関数理論シミュレーションを行った。Si−Geベースの分子に対する発明者らの以前の研究では、発明者らは、6−311++Gファミリの様々な基底系を用いて、重要な構造的、熱化学的、および分光学的特性を説明することに成功した。ここで対象となる分子は1個のゲルマニウム原子と3個以下の塩素原子とを含むに過ぎないので、総電子数は52〜100の範囲であり、これは6−311++G(3df,3pd)を用いる処理が扱いやすい。したがって、ここに示す結果では全て、この基底系をB3LYPハイブリッド密度関数と共に用いている。
【0280】
【表5】

テーブル4.HSi−GeH,ClHSi−GeH,ClHSi−GeH,ClSi−GeH分子の計算された構造および動力学特性。示されているのは、対称性、双極子モーメントm(デバイ)、質量M(amu)、回転定数{A,B,C}(GHz)、結合長(オングストローム)、および結合角(度(deg))である。このテーブルには、電子基底状態エネルギ(E)と、零点エネルギ(ZPE)、熱エネルギ(ΔETH)、エンタルピー(ΔH)および自由エネルギ(ΔG)について補正したEとも示す。最後の3つの熱化学的エネルギは、T=300Kについて推定した値である。すべてのエネルギは、ハートリーにより得た。
【0281】
構造最適化はすべて、Gaussian03コードを用い、「密な」力収束条件を用いて実行した(M.J.Frischら、Gaussian 03、Revision B.04、Gaussian Inc,2003を参照)。全てのCl1−xSi−GeH分子の振動スペクトルは正の有限振動周波数を示しており、これは基底状態の構造が動的に安定であることを示す。ClHSi−GeH分子の粗い構造最適化によって、内部的なGeH回転に対応するソフトなモードを生成することが注目される。重要な分子特性をテーブル4に要約して示す。テーブル4では、シーケンスを通じて、双極子モーメント、回転定数、結合長、および結合角を比較している。双極子モーメントは、分子のシリル単位へ塩素が置換されるにつれてHSi−GeHの〜0.15 Dから有意に増大し、ClSi−GeHでは、その値の10倍(1.67D)になる。シーケンスを通じた構造的な結合の傾向は特に顕著ではなく、主結合は塩素が含まれてもほとんど変化を示さない。例えば、Si−Ge、Ge−H、およびSi−Hの結合は、分子シーケ
ンスの全体を通じて数パーミル未満しか変化せず、最大の変化はSi−Cl結合において見られ、ClHSi−GeHからClSi−GeHになると数%減少する。また、結合角の変化は一般に小さく、塩素の含有に従って、H−Si−GeおよびCl−Si−Ge角度の両方が増大する傾向にある。また、H−Ge−Si角度は、ゲルミルプロトンと塩素原子との間の長範囲斥力と矛盾しない微小な系統的減少を示す。また、テーブル3に挙げたのは、全分子の基底状態の電子エネルギ(E)と、300Kでの零点エネルギ(ZPE)、熱エネルギ(ΔETH)、エンタルピー(ΔH)および自由エネルギ(ΔG)についての補正後の値である。
【0282】
最適化した基底状態の構造の対称性解析によって、端メンバ分子であるHSi−GeHおよびClSi−GeHは、両方ともC3v対称性を有する扁長(prolate)対称の上部であるが、一および二塩素化された変形体はより低いC対称性を有する非対称な上部であることが示される。したがって、端メンバの振動スペクトルは、より対称性の低い分子(x=1,2)のものほど複雑でない。このことは、分子のシーケンスの全体を通じた計算された赤外線活性な振動フィーチャを示すテーブル5から明らかである。計算されたスペクトルの対応する低および高周波プロットを、それぞれ図2および3に示す。これらの計算されたスペクトルには周波数スケーリングを適用していない。また、テーブル5において用いられるモード同定は、これらの図内の指定にも用いた。一般に、高周波スペクトルは非対称および対称なGe−H伸張(2120〜2160cm−1)と、その非対称および対称なSi−H相当物(2220〜2240cm−1)に対応する、2つの第1のフィーチャを含む。対応する低周波スペクトル(200〜1200cm−1)は、これより相当複雑であり、一般的な同定(周波数範囲での)は次の通りである:(i)120−160cm−1:Si−Cl横揺れモード、(ii)320−350cm−1:Si−Ge伸縮、(iii)520−530cm−1:Si−Clは伸縮、(iv)380−480cm−1:非対称なGeH/SiHの横揺れ振動、(v)740−800cm−1:対称なGeH/SiHの横揺れ振動、(vi)800−950cm−1:様々なGeHおよびSiHの縦揺れ振動。これらのモードのうち最も強い赤外線バンドは、対称なGeH/SiHの横揺れモードとして表したグループ(v)におけるものである。なお、これらの強いバンドの周波数は端メンバ分子におけるものとほぼ同じである(HSi−GeHにおいては796cm−1に、ClSi−GeHにおいては793cm−1に生じる)。これらのスペクトルのフィーチャは、より対称性の低い分子、ClHSi−GeHおよびClHSi−GeHでは、それぞれ、より低い周波数780cm−1,746cm−1にシフトする。
【0283】
ClHSi−GeHの計算されたスペクトルと観察されたスペクトルとの詳細な比較を、図4に示す。同様の基底系およびモデル化学を用いた発明者らの以前のシミュレーション研究(Chizmeshyaら、J.Am.Chem.Soc.,2006,128(21),6919−6930を参照)に基づき、発明者らは、計算された低周波数スペクトルおよび高周波数スペクトルに対し、それぞれ0.989,0.979の周波数スケール係数を適用した。図から分るように、計算された周波数および強度は、その実験的な対応データと非常によく一致しており、テーブル4に示したClHSi−GeHの振動の同定の信頼性が高いことを示唆している。なお、高周波数範囲(図4(b))に対して用いたスケール係数をわずかに減少させると、さらによい一致が得られる。最後に、ここに示した単純な調和振動スペクトル解析では、実験的に観察されたスプリッティングは説明されない。発明者らは、二量体の相互作用および非調和効果を含め、このスプリッティングについての幾つかの考えられる原因について調べた。前者の二量体の相互作用の場合では、分子がその詳細な相対配置に応じてカップリングを示すとき、選択的な振動フィーチャは分離する。相互作用の強度は1/10kcal/molのオーダーであると計算されたので、室温で作用するとは思われなかった。観察された系統的な〜12cm−1のスプリッティングの最も可能性の高い原因は、非対称な上部分子における回転に対する
カップリングである。高周波数のGe−HモードおよびSi−Hモードを含む全バンドにスプリッティングが発生することが注目される。このことは、ClHSi−GeH分子の対称性が比較的低く、全ての振動のモードについて(例えば、A’またはA”対称の振動でなく)A対称性が導かれることによって説明される。テーブル4に挙げたClHSi−GeH分子の回転定数を使用して、発明者らは、非対称上部のコンピュータプログラムを用いてA,B,C型の輪郭(contour)に対応する室温の回転バンドプロファイルを計算した。これらを図5において比較した。図5では、プロファイルが明瞭であることと、C−型の輪郭が観察された吸収帯の形状、特に約13cm−1の明らかなスプリッティングによく一致することと、が示されている。
【0284】
【表6】

テーブル5.HSi−GeH,ClHSi−GeH,ClHSi−GeH,ClSi−GeH分子のスケーリングなしの調和振動周波数と、それに対応した同定。計算強度0のサイレントモードは「Sil」で表す。
【0285】
本発明の方法と以前の方法との比較
発明者らは、以前にSiHGeH及びブタン様(GeH(SiH化合物を利用して、低温でSi0.50Ge0.50膜を堆積させた。両方の場合において、発明者らは、高品質なモルフォロジおよびミクロ構造の特性を備えた材料を得た。しかしながら、SiHGeHを用いて小寸法デバイスフィーチャの低温CMOSを選択的に成長させることは、475℃未満では成長が劇的に低下するため、実用的ではない(実際、450℃未満では成長速度は無視できる程度である)。対照的に、ClHSiGeHおよび(GeH(SiHの両方は、400〜450℃の範囲において、SiHGeHから得られる成長速度の10倍以上の成長速度を与え、また、それらの化合物は、400℃未満でも有意な膜成長を示す。また、膜品質は、ClHSiGeHまたは(GeH(SiHのいずれかを用いてSi0.50Ge0.50を成長させる場合と同等である。
【0286】
しかしながら、(GeH(SiHが技術的な観点から有望であるといっても、それは原理的に実演されたということであり、工業的な観点からコンセプトが真に実証されたのではない。例えば、この化合物を数グラムを越える量で合成することは困難であり、貯蔵および輸送に関連した熱的な安定性は充分に理解されてはいない。
【0287】
したがって、ClHSiGeH相当物は、50/50SiGe源として、より実際的な候補であると思われる。その合成はスケールアップが相当容易であり、出発物は即座に入手可能かつ安価である。BClとHSiGeHとの1ステップ反応は無溶媒環境で行われるので、半導体グレードの材料を製造するための単離および精製が容易であることが保証される。さらに、この化合物は、蒸気圧が高いため、シングルウエハ低圧CVD炉を含む既存の商用プロセスに容易に組み込まれることが可能である。
【0288】
実施例
全ての操作は、標準的な高真空ラインおよびドライボックス技術を用いて、不活性条件下で実行した。乾燥脱気溶媒は、使用の前に無水CaClまたはナトリウムベンゾフェノンケチルのいずれかから蒸留した。NMRスペクトルは全て、Gemini 300 MHz 分光計で収集した。試料は重水素化トルエンに溶解し、核は全て、示すようにTMSのプロトン信号または残留溶媒のピークを参照して直接的または間接的に決定した。ガス赤外線スペクトルは、KBrウィンドウを備えた10cmセルで得た。質量分析データは、Leybold−Inficon四極子質量分析計を用いて得た。三塩化ホウ素(Matheson gas製、99.95%)は、残留のHCl不純物を除去するために蒸留し、その純度は使用前に赤外線および質量スペクトルで確認した。水素化アルミニウムリチウム(Aldrich)、フェニルトリクロロシラン(Aldrich)、トリフルオロメタンスルホン酸(Alfa Aesar)、塩化セシウム(Aldrich)、および電子グレードのゲルマン気体(Voltaix Incより寄贈)は、そのまま用いた。出発物のフェニルシランは、フェニルトリクロロシランをで還元して調製し、フェニルモノクロロシランは、フェニルシランをHCl気体と反応させることによって調製した。フェニルシリルゲルマン(Lobreyerら、Chem.Ber.,1991,124,2405−2410)、ゲルミルシリルトリフルオロメタンスルホン酸およびゲルミルシラン(Huら、J.Appl.Phys.Lett.,2005,87(18),181903/1−3)は、文献の手順に従って調製した。出発物は全てNMR分光によって検査し、その純度を確かめた。カリウムゲルミル(KGeH)は、文献の調製法を変更し、モノグリム中、GeH気体を微分散させたナトリウム−カリウム合金(80%K)と反応させることによって合成した。注:テフロン(登録商標)とNaK合金との反応性が高いため、GeH/NaK/モノグリム溶液を撹拌するために用いたテフロン(登録商標)棒は、ガラスによりカプセル化した。
【0289】
成長研究は、超高真空(UHV)堆積システムにおいて、Si(100)基板上で行っ
た。基板は、UHV(10−10トル)下、1000℃でフラッシングを行い、表面から元々の酸化物を除去することによって、成長用に調製した。
【0290】
[実施例1]
ClSiHGeHおよびClSiHGeHの合成:
方法A(CsClと(CFSO)SiHGeHとの反応)
50mLのシュレンク(Schlenk)フラスコに、n−デカン(15mL)および(CFSO)SiHGeH(0.60g、2.35mmol)を充填した。塩化セシウム(0.42g、2.49mmol)を、−25℃で粉体添加漏斗を介してフラスコにゆっくり加え、22℃で12時間、窒素下で撹拌した。揮発分を、動的真空下、−50、−110、−196℃に保持したUトラップを通じて分留した。−50℃のトラップは溶媒を含み、−196℃のトラップは微量のGeHを含んでいた。−110℃のトラップは、純粋な無色のClSiHGeH(0.186g、収率56%)を保持していた。蒸気圧:〜147トル(23℃)。IR(気体、cm−1):IR(気体、cm−1) 2183(vs),2171(s),2156(vw),2092(vw),2082(vs),2070(s),1076(vw),948(m),936(m),896(m),839(vw),830(vw),790(s),774(vs),764(vs),549(m),540(m),470(w),360(vw)。H NMR(300MHz、トルエン−d):4.63(q,2H,Si−H),3.07(t,3H,Ge−H)。質量スペクトル:141(M),106(HGeSiH),75(GeH),65ClSiH,36(Cl),31(SiH)を中心としたm/qアイソトープエンベロープ。
【0291】
[実施例2]
ClSiHGeHおよびClSiHGeHの合成:
方法B(HSiGeHとBClとの反応)
ガス状のBCl(0.35g、3mmol)およびHSiGeH(0.96g、9mmol)を、高真空バルブを備えた−196℃の150mLステンレス鋼シリンダへ凝縮させた。シリンダおよびその内容物を0℃で8時間、保持した後、内容物を、−78、−196℃に保持したUトラップを通じて蒸留した。−196℃のトラップは、IR分光によって明らかにしたところ、主にBを含み、少量のHSiGeHも含んでいた。液体を−78℃で凝縮させ、H NMR(300MHz、トルエン−d)で分析された。スペクトルは、ClSiHGeH[δ4.63(q、2H、Si−H)、δ3.07(t、3H、GeH)]と、ClSiHGeH[δ5.51(q、H、Si−H)、δ3.20(d、3H、GeH)]との混合物を示した。Ge−H共鳴についてのH NMRピークの積分強度は、ClSiHGeH対ClSiHGeHの比が〜4:1であることを示した。この反応は、5.70mmolのClHSiGeHと、1.48mmolのHClSiGeHとを与えた。これは、開始物のHSiGeHに対して〜80%モルの変換率を示す。残りの未反応のHSiGeHの大半は、−196℃のトラップで回収された。等化学量論のBClおよびHSiGeHの組み合わせに−20℃で上述の反応条件を用いると、ClSiHGeH対ClSiHGeHの比は12:1であった。これは、温度の低下につれ一置換が優先されることを示している。
【0292】
[実施例3]
1:3のBCl/SiH(GeHの反応
ガス状のBCl(0.12g、1.05mmol)およびSiH(GeH(0.57g、3.14mmol)を50mLの丸底フラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で2時間、保持した後、揮発分を、−40、−60、−196℃に保持したUトラップを通過させた。−196℃のトラップは、ガスIR分光によって明らか
にしたところ、B(0.5mmol、収率100%)を含み、少量の出発物も含んでいた。−60の℃トラップは、無色透明な液体として、純粋な1を含んでいた。−40の℃トラップは、H NMRによって明らかにしたところ、1および2の混合物を含んでいた。1および2の収率は、それぞれ0.38mmol(36%)および0.03mmol(3%)であることが分った。ClHSi(GeH:IR(気体、cm−1):2153(m),2088(s),2075(s),880(s),793(s),767(vs),697(vs),573(w),549(w),469(w),411(vw)。H NMR(500MHz、C):δ5.07(七重線,H,J=3.5Hz,SiH),3.28(d,6H,J=3.5Hz,Ge−H)。29Si(500MHz、C):δ−14.71。質量スペクトル:207(M),172(SiGe2Hx),144(Ge2Hx),141(ClSiGeH),101(SiGeH),73(GeH),63ClSiH,36(Cl),29(SiH)を中心としたm/zアイソトープエンベロープ。
【0293】
[実施例4]
2:3のBCl:SiH(GeHの反応
BCl(0.23g、1.97mmol)およびSiH(GeH(0.53g、2.95mmol)を50mLの丸底フラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で1時間、保持した後、揮発分を、−40、−78、−196℃に保持したトラップを通過させた。−196のトラップは、IR分光によって明らかにしたところ、純粋なBを含んでいた。−78の℃トラップは、IR分光によって明らかにしたところ、純粋な1を含んでいた。−40のトラップは、1および2の混合物を含んでいた。H NMRスペクトルにおけるGe−Hピークの積分は、ClHSi(GeH:ClSi(GeHの比が3:2であることを示した。全体として、0.62mmol(収率21%)の1および0.38mmol(収率13%)が得られた。
【0294】
[実施例5]
1:1のBCl:SiH(GeHの反応
BCl(0.086g、0.74mmol)およびSiH(GeH(0.13g、0.74mmol)を50mLの丸底フラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で30分間、保持した後、揮発分を、−40、−78、−196℃に保持したトラップを通過させた。−196℃のトラップは、IR分光によって明らかにしたところ、Bを含んでいた。−78℃のトラップは、純粋な1(0.007mmol、収率1%)を含んでいた。−40の℃トラップは、無色透明な液体として、純粋な2を含んでいた(0.15mmol、収率20%)。ClSi(GeH:蒸気圧7トル。(23℃)。IR(気体、cm−1):2088(vs),2077(s),880(m),796(s),767(vs),572(w),551(w),472(w)。
NMR(500MHz、C):δ3.42(s、6H、GeH)。29Si(500MHz、C):δ30.22。質量スペクトル:246(M)、208(ClSiGe2Hx),178(ClSiGeH),171(SiGe2Hx),145(Ge2Hx),141(ClSiGeH),128(ClSiGeH),103(ClSiH),100(SiGeH),75(GeH),65ClSiH,36(Cl),29(SiH)を中心としたm/zアイソトープエンベロープ。
【0295】
[実施例6]
ClSi(GeHの合成
25mLの丸底フラスコに、(GeHSiH(0.46g、1.8mmol)を充填し、続いてBCl(0.21g、1.8mmol)をフラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で10分間、保持した後、揮発分に−78、−196℃の温
度のトラップを通過させた。−196℃のトラップは、IR分光によって明らかにしたところ、B(0.9mmol、収率100%)を含んでいた。−78℃のトラップは、無色透明な液体として、純粋な3を含んでいた(0.36mmol、収率19%)。ClSi(GeH:蒸気圧2トル(23℃)。IR(気体、cm−1):2082(s),2071(s),2065(s),787(w),770(vs),680(vw),551(vw),466(w)。H NMR(500MHz、C):δ3.49(s、6H、GeH)。29Si(500MHz、C):δ−8.13。
【0296】
[実施例7]
2:3のBCl:(SiH(GeHの反応25mLの丸底フラスコに(GeH(SiH(0.20g、0.95mmol)を充填し、続いてBCl(0.07g、0.63mmol)をフラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で1時間、保持した後、揮発分を、−20、−50、−196℃のトラップを通じて蒸留した。−196のトラップは、ガスIR分光によって明らかにしたところ、Bを含んでいた。−50℃のトラップは、ClHSiSiH(GeHおよび未反応の出発物を含んでおり、−20℃のトラップは、無色透明の液体として、純粋なHGeSiHClSiHGeHを保持していた。ClHSiSiH(GeH:蒸気圧1.5トル(23℃)。IR(気体、cm−1):2152(s),2137(s),2076(vs),2072(vs),2065(m),916(m),880(w),801(s),744(w),686(s),654(m),539(vw),471(vw),439(vw)。H NMR(500MHz、C):δ3.05(t、3H、Ge−H)、δ3.26(d、3H、Ge−H)、δ3.33(五重線、2H、Si−H)、δ5.02(六重線、H、Si−H)。29Si(500MHz、C):δ−97.0(SiH)、−15.0(Si−HCl)。
【0297】
[実施例8]
1:1のBCl:(SiH(GeHの反応
25mLの丸底フラスコに(SiH(GeH(0.26g、1.3mmol)を充填し、続いてBCl(0.15g、1.3mmol)をフラスコへ凝縮させた。フラスコおよびその内容物を0℃で20分間、保持した後、揮発分を、−15、−196℃のトラップを通じて蒸留した。−196のトラップは、ガスIR分光によって明らかにしたところ、Bを含んでいた。−15℃のトラップは蒸気圧0.5トルの無色透明な液体を含んでおり、これは、IRおよびとNMRによって、(ClHSi)(HGe)およびClSiSiH(GeHの混合物であると同定された。(ClHSi)(HGe)H NMR(500MHz、C):δ3.26(d、6H、Ge−H)、δ4.98(五重線、H、Si−H)。29Si(500MHz、C):δ−17.0。ClSiSiH(GeHH NMR(500MHz、C):δ3.43(s、3H、Ge−H)、δ3.42(q、2H、Si−H)、δ3.07(t、3H、GeH)。29Si(500MHz、C):δ−88.7(SiH)、24.4(Si−Cl)。
【0298】
[実施例9]
テーブル6の化合物は、記載のBCl対HSiGeHの比を用い、実施例2の方法によって調製した。反応は全て、0℃、2時間で行った。
【0299】
【表7】

テーブル6に示した塩素化シリルゲルマンのHおよび29Si NMRのデータ(テーブル7)は、当業者に知られている方法によって29Si HMQC(異核多量子コヒーレンス)およびH COSY(同核相関分光)を用いることにより決定した(Feibolin, Basic One− and Two−Dimensional NMR Spectroscopy, 3rd Ed. Wiley−VCH:Weinheim,ドイツ国,1998を参照)。
【0300】
このH NMRスペクトルは、それぞれ200〜300Hzおよび20〜50Hzの公称値を有するSi−HおよびSi−Hカップリング定数をそれぞれ示す、様々なSiHおよびGeHピークと、29Si衛星ピークにおいて予想される多重性を示した。これらの技術とカップリング定数との組み合わせは、様々な混合生成物中の各化合物における様々なHおよびCl原子のSi−Ge分子コアに対する結合関係を明白に確定させるので、特に有用である。
【0301】
テーブル7には、上述の(1)および(2)やSiHGeH反応物を含む全ての塩素化生成物について、発明者らの測定値に由来するHおよび29Siの化学シフトを挙げる。これらのデータには、次の傾向がある:(a)Si部位上のCl原子の数が一定の場合、Ge部位上のCl原子の数が大きくなると、SiHプロトンの遮蔽が強化され、SiHプロトンの系統的な高磁場シフトが得られる。例えば、ClSiHGeH、ClSiHGeHCl、ClSiHGeHClの系列では、Si−Hシフトは、それぞれ5.57、5.35、5.15ppmである(〜0.2ppm刻み)。同様に、ClSiHGeH、ClSiHGeHCl、ClSiHGeHClについては、SiHシフトは、それぞれ4.68、4.54、4.38ppmである(〜0.1ppm刻み)。(b)対照的に、GeHシフトはSi部位上のClの数に依存せず、単にGe部位上のCl原子の数に比例して低磁場側となる(δGeH:「−GeH」は〜3.2ppm、「−GeHCl」は4.8ppm、「−GeHCl」は6.0ppmであり、Siに結合したClの数にほぼ無関係)。(c)29Siシフトの傾向はより微妙であり、発明者らの研究では、Si部位上のClの数が一定の場合、Ge部位上のClが増えるのに関連してわずかな低磁場シフトが存在することが分っている(「ClHSi−」分子について、δSiは、Ge部位上のClが0、1、2個の場合、それぞれ−24.6、−24.3、−22.9である)。(d)さらに、この効果は、Si部位上のClの数が大きくなるとさらに顕著となる(「ClHSi−」分子について、δSiは、Ge部位上のClが0、1、2個の場合、それぞれ9.8、3.4、−1.1である)。このことは、Cl原子の数が増えるにつれ、Geに結合した塩素がSi核を系統的に遮蔽することを示唆している。
【0302】
【表8】

[実施例10]
シリコン基板上のSi−Ge膜の堆積
低温での半導体合金形成へのClHSiGeHの適用性を調査するために、成長実験を行った。化学物質の蒸気(1)を清浄なSi表面上で反応させ、HClおよびH副生成物の脱着により、膜を形成した。前駆体の分圧および反応温度は、通常、それぞれ10−5〜10−6トルおよび350℃〜450℃であった。膜組成は、ラザフォード後方散乱(RBS)によってSi0.50Ge0.50と決定され、ClHSi−GeH前駆体のSi/Ge比を精密に反映するものであった。合成した膜のヘテロエピタキシャル性を最初にランダムおよびチャネリングRBSによって調査したところ、材料は基板と完全に整合していることが示された。図6には、整合ピーク高さ対ランダムピーク高さの比(χmin)を示す。これは結晶化度の尺度であり、界面の25%から表面の10%まで減少する。このことは、界面の近くにおける典型的な欠陥の「積み重ね(pile up)」と、膜の上部に比較的欠陥が存在しないこととを示している。膜の結晶化度については、高解像度の断面電子顕微鏡(XTEM)によって徹底的に調査し、整合SiGe/Si界面と、完全に単結晶のエピ層ミクロ構造とが明らかとなった(図6を参照)。TEM試料には、層を貫く欠陥がほとんど見られず、これは、RBSチャネリング観察と矛盾しない。X線回折(XRD)では、歪みの程度と同様のモザイクが広がる、非常に整合した層が明らかとなった。層は成長につれてわずかに歪み、厚さ〜80nmの膜について、75%の公称XRD緩和が観察された。原子間力顕微鏡(AFM)の研究では、厚さ80〜100nmの膜は、10x10μmの面積において、それぞれ0.7、1.1nmのRMS値を示した。これは、非常に平坦な表面であることを示している。歪み弛緩中に生成される不一致の転位による「ひび割れ(cross hatched)」表面パターンは、700℃まで膜のアニーリングを行っても観察されなかった。実際、表面粗さは同じままであったか、またはアニーリングによってわずかに改善され、試料の平坦性が熱的に堅牢でであることを示している。
【0303】
[実施例11]
シリコン基板上のSi−Ge膜の堆積
ClHSiGeHの堆積は450℃(10−5トル)で行い、1nmに近付く成長速度(ClHSiGeHの堆積から得られたものよりわずかに大きい)で、10〜8
0nmの範囲の厚みを有する膜が生成した。厚さ10〜20nmを越える膜について、RBSに基づく定量分析では、Si含有量が43%程度と低いことが示された。より薄い試料(<10nm)については、RBSを用いて基板バックグラウンドからSi含有量が抽出することが困難であったので、膜組成は高解像度XRDデータから導いた。より厚い試料については、発明者らは、堆積圧を5x10から1x10トルまで減少すると、予想される(理想)の50%の化学量論から系統的に減少することを観察した。シリコン消耗は、安定なSiHCl分解副生成物など、多塩素化されたSi種の表面脱着が促進されるため、恐らく、圧力が低い条件下で強化される。これらの膜の結晶整合および表面モルフォロジは、ClHSiGeHの堆積物から得られたものと同等の品質であることが分った。それにもかかわらず、そのXTEMキャラクタリゼーションでは、層の貫通転位密度がより小さいことと、界面領域のミクロ構造品質が優れていることが示された。これには、完全なエピタキシャルのレジストリおよび膜と基板との間の原子レベルでの急な遷移が含まれ、低成長温度で2つの材料間の元素が混合しないこととと矛盾しない。
【0304】
膜の歪み状態特性は、HR−XRDを用いて広範囲に同定した。〜10nm、60nmの層厚みを有する2つの代表的な試料について、さらに説明する。精密な面内格子定数および垂直格子定数は、全構造に関する高解像度の(224)、(004)オン/オフ軸逆格子空間マップによって決定した。
【0305】
より薄い試料の場合、2つの識別可能な層が成長し、界面に隣接している初期の層はSi基板に対し完全に歪んでおり(a=aSi=0.54309nm、a=0.55991nm)、5−7nmの厚みを有する(図7を参照)ことがXRDデータによって示された。なお、図7では、[2](概略挿入図に示すように、界面に隣接している層に対応する)は、Si(224)ピークの直下にあり、界面内の完全な格子マッチングを示している。その伸びは、層の厚みが小さいことによる。また、より拡散したピーク[1]は明らかに目に見えて、膜の上部に対応する。なお、ピーク[1]は、Siピークをその起源に接続する緩和線の下に位置しており、部分的な緩和(〜50%)を示す。
【0306】
基本的な弾性歪み関係(ε=−2C12/C11ε。ここで、C11およびC12はバルクSiGe弾性定数であり、εおよびεは垂直歪みおよび平行歪みである)、バルクSi−Ge合金の既知の屈曲挙動、および上述の構造データを用いると、初期合金層の組成は、Geが45%±2、Siが55%±2であると決定された。また、XRDデータには拡散した高いモザイク状ピーク(図7のピーク[1])も見られ、これは、膜の上部(初期層に続いて成長する)は緩和が50%であり、Geが〜47±2%およびSiが53±2%の組成に対応する格子定数(a=0.54845nmおよびa=0.55654nmA)を有することを示している。このことは、この上部層が前駆体のSi−Ge含有量により予想される50/50の値に近い化学量論を有することを示している。この拡散限界低温成長過程では、Siに歪みが一致する傾向は、界面層に過剰なSiを組み込むことによってのみ達成可能である。一定の臨界厚み(これらの条件下では〜5〜6nm)を越えると、この歪みは測定可能な欠陥を形成することなく徐々に緩和され、前駆体の全化学量論量が組み込まれることを可能とする。
【0307】
厚さ60nm膜の場合、この成長によって、界面に隣接した同じ初期の完全歪み層(厚さ〜10nm)も形成され、続いて、Si含有量が公称目標値に近付く部分的な歪みバルク膜への遷移が生じることを、発明者らは観察している。図8には、(100)投影の全膜厚のXTEM顕微鏡写真を示す。なお、膜表面は原子レベルで平坦であり、バルク材料は広視野(通常、2μm)内に貫通欠陥を有しない。界面領域の高解像度画像には、完全な整合が示され、大きな不一致にもかかわらず、不適合転位のしるしは見られない。この観察は、XRDによって決定されるような完全擬似格子整合成長と矛盾しない。欠陥が存在しないことは、発明者らによる、膜の全体を通じて歪みを収容する固有の構成の勾配に
ついての観察によって説明可能である。これらの機構は、本研究において用いた、特異的に設計された前駆体化学によって与えられた低温成長手順に特有である。
【0308】
[実施例12]
SiGe1−d膜の選択的な成長
次に、発明者らは、プロトタイプのマイクロ電子デバイスにおける領域選択的な成長の可能性を評価するために、新規に調製した塩素化化合物を用いて、SiGe1−d合金に関する予備成長研究を行った。この実験では、単純なトランジスタと、非晶性の窒化物および酸化物薄層によってマスクする様々なパターンとを含む、デバイス構造のアレイを含む試験ウエハを利用した。堆積は、〜5x10−5トルおよび400〜450℃で、10−10トルの基本圧でチャンバへ蒸気圧の化合物を直接挿入することによって、ガスソース分子線エピタキシー(GSMBE)を用いて行った。膜成長は、光検出器および変調器などのIR光エレクトロニクスにおける用途を有する〜65−75%の範囲のGeリッチな組成の形成を目標とした。その「堆積したままの」試料を光学的顕微鏡によって検査したところ、ウエハの表面上の窒化物/酸化物でマスクされた領域の色は変わらないままであり、純粋なSi領域の色は金属的な灰色から薄茶色へと変化したことが示された。後者の変化はGe含有量の高いSiGe1−dの特性であり、選択的な堆積が起こった可能性を示唆するものである。ウエハの追加のキャラクタリゼーションを、断面電子顕微鏡(XTEM)、ラマン散乱、ラザフォード後方散乱(RBS)、および原子間力顕微鏡(AFM)によって実行したところ、そのデータは全体的に、試料の全体を通じて単一の結晶ミクロ構造を有する原子レベルで平坦なSi−Ge膜の存在を示した。膜の公称厚みは、ランダムRBSによって推定し、XTEMによって、50nmの範囲であり、ドレイン/ソース(S/D)リセス領域の全高に広がることが確認された。これらの実験では、毎分〜7nmまでの平均成長速度が得られた。全試料のXTEM顕微鏡写真では、ドレイン/ソースリセス領域(S/D)を充填する代表的なデバイス構造上にSi−Ge膜が選択的に一致して堆積されることが明白に実証された。
【0309】
図9は、単一のトランジスタの回折コントラスト画像を示す。420℃でのClSi(GeHの分解により、S/D領域において厚さ20nmのSi0.26Ge0.74層が選択的に成長させられる。この場合、膜厚は全体を通じて一様であるが、しかしながら、全リセスの高さ50nmより有意に小さい。この高さは、図7のトレンチ底部からゲート/チャネル界面まっで延びる(点線)矢印の長さによって示されている。ここで、水平のSi(100)トレンチ底部対傾斜したSi(111)側壁表面の材料の相対的な成長速度を決定するために、堆積プロセスを意図的に中断させた。図9に示す顕微鏡写真の下部右から分るように厚みは一様であり、これは、成長が、トレンチの全表面(側壁および底部)全表面を通じて同時に、同じ速度で起こることを示している。特に、非常に選択的な成長挙動の場合に期待されるように、窒化物スペーサ上、または構造のマスクされたポリシリコンゲートハードマスクフィーチャ上には、識別可能な成長は生じなかった。回析データは、一般に、デバイスプラットフォーム上の成長表面の結晶学的な配向にかかわらず、完全に等角かつ連続な層を示すことを示している。さらに、原子解像度のXTEM画像では、膜がSi基板に擬似格子整合しており、原子レベルで平坦であることが明らかとなった。AFM走査では、層ごとの成長モードと矛盾しない0.5nmの代表的な粗さを示す。
【0310】
マイクロラマン分光を用いて、成長の選択性を研究するとともに、〜1μmの空間分解能でウエハ表面を通じてSi−Ge組成を決定した。窒化物/酸化物でフィーチャの覆われた全試料から得られたスペクトルには、下にある基板のSi−Si振動に対応する1つのピークしか見られず、XTEMの観察結果に一致して、これらの領域では認識可能なSi−Ge成長は発生しなかったことを示している。しかしながら保護されていないSi領域から得られたラマンスペクトルでは、特徴的なSi−Si、Si−Ge、およびGe−
Ge合金振動に対応する、3つの追加のピークが示され、これは、Si0.26Ge0.74の組成を有する結晶性SiGe1−d膜の有意な成長を示している。ラマン組成がウエハ全体を通じた個々のデバイスフィーチャの多数の測定結果からの平均として得られ、RBSから得られるバルク膜組成とよく一致したことは重要である。RBS/ラマンの結果は、全体として、発明者らの化合物の領域選択的な堆積によって、精密な構成の制御が可能であることを示唆している。これらによって、個々のデバイスアーキテクチャ内および間で制御可能かつ相当均一な合金を生成する、低温蒸着が可能となる。この一様さのレベルは、高信頼性、再現可能、かつコスト効果的なデバイス組立および性能を達成するために、極めて重要である。加えて、単一の源の使用は、従来のプロセスにおいて選択的な堆積を行うのに必要である複雑な多成分反応および腐食性のClエッチング剤を回避することによって、統合方式を有意に単純化する。
【0311】
選択的な堆積実験に加えて、発明者らは、発明者らの堆積した膜において高度な歪み状態を達成する可能性について調べた。図10には、ClHSi(GeHの堆積によって成長させた、厚さ〜40nmのSi0.33Ge0.67層の逆格子空間マップ(RSM)を示す。RBSによって測定された膜の組成は対応する前駆体のものとよく一致し、SiGeコア全体が材料へ組み込まれていることを示している。平面格子定数および垂直格子定数は、それぞれ0.54986nm、0.56530nmと決定された。これらの値と標準的な弾性理論とを用いて、発明者らは、従来にはない1.6%の圧縮歪みを得た。なお、この値は、30%のGeを含有する従来技術において可能な1.2%の歪みより、有意に高い。図10のRSMプロットから、発明者らの膜の緩和が〜40%であることが明らかであり、成長速度および温度などの堆積条件を最適化することによって、本明細書に報告した現在の原理状態の確証を越える完全歪み膜が実現できる可能性が存在することが示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物を調製するための方法であって、
SiGez−a(I)
[ここでxは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である]
(i)約−80℃〜約25℃の温度にて、分子式SiGeの化合物を式BXもしくはAlXの化合物、または金属塩素化試薬で処理する工程を含む方法。
【請求項2】
aは1〜2(x+y)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
aは1である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式SiGez−aの化合物を調製するための請求項2に記載の方法。
【請求項5】
式SiGez−aClの化合物を調製するための請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式SiGeH6−aClの化合物を調製するための請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物は、
クロロ(ゲルミル)シラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
クロロ(ジゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
クロロ(トリゲルミル)シラン;
1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;または
ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン
である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(ii)工程(i)の生成物を分留する工程を含む請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
反応温度は約−25℃〜約5℃である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式BXの化合物はBClである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法によって調製されるほぼ純粋な化合物。
【請求項12】
クロロ(ゲルミル)シランまたはジクロロ(ゲルミル)シランである、請求項11に記載のほぼ純粋な化合物。
【請求項13】
式SiGez−1Xの化合物を調製するための方法であって、
[ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜3であり;Xはハロゲンであり、ただし、(i)XはS
iにのみ結合されており;(ii)xおよびyの和は5以下である]
(i)約−50℃〜約40℃の温度にて、式SiGez−1Yの化合物を式CsXの化合物に接触させる工程を含む方法。
[ここで、Yは−OSOであり、RはC−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、アルキルおよびフェニルは、随意で、各々に独立にハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルコキシ、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキル、または−S(O)−Cアルキルである1〜4個の基で置換されており、ただし、YはSiにのみ結合している]
【請求項14】
式SiGez−1Xの化合物を調製するための請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式SiGez−1Clの化合物を調製するための請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式ClHSiGeHの化合物を調製するための請求項15に記載の方法。
【請求項17】
は、C−Cハロアルキル、C−Cアルキル、またはフェニルであり、フェニルは随意でハロゲン、C−Cハロアルキル、またはC−Cアルキルで置換されている請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
反応温度は約−25℃〜約25℃である請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(ii)工程(i)の生成物を分留する工程を含む請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
基板の上に式SiGe1−dの層を調製するための方法であって、
基板を、基板の上方にSiGe1−d層を堆積させるのに充分な温度および圧力で、式SiGez−aの化合物を含む化学物質の蒸気に接触させる工程を含む方法。
[ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である]
【請求項21】
化学物質の蒸気は式SiGez−aの化合物を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
化学物質の蒸気は式SiGez−aClの化合物を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化学物質の蒸気は式SiGeH6−aClの化合物を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
化学物質の蒸気は、
クロロ(ゲルミル)シラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
クロロ(ジゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
クロロ(トリゲルミル)シラン;
1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;もしくは
ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン;の化合物、または
それらの混合物
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記温度は約200℃〜約600℃である請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記温度は約350℃〜約450℃である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
層はほぼ結晶である請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記温度は約200℃〜約600℃である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記温度は約350℃〜約450℃である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
基板はシリコンを含む請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
堆積される層はSiGeの実験式を有する請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記圧力は約10−8トルおよび760トルである請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記圧力は約10−3トルおよび760トルである請求項28に記載の方法。
【請求項34】
SiGe1−d層は完全に歪んでいる請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記層はプラズマ化学蒸着法によって形成される請求項20乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
式SiGez−aの化合物。
[ここで、xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y+1)であり;aは1〜2(x+y)であり、Xはハロゲンであり、ただし、(i)xおよびyの和は5以下であり;(ii)各SiおよびGe原子には2つ以下のX基しか結合しておらず;(iii)前記化合物は、
ブロモ(ゲルミル)シラン;
ジフルオロ(ゲルミル)シラン;
1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−(1−ゲルミル)トリシラン;
(ジフルオロゲルミル)ジフルオロシラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
1,1,2,2−テトラフルオロ−(1−ゲルミル)ジシラン;
フルオロ(フルオロゲルミル)シラン;
フルオロ(ゲルミル)シラン;
1,1−ジクロロ−(3−ゲルミル)トリシラン;
1,1−ジクロロ−(4−ゲルミル)テトラシラン;および
1,1−ジクロロ−(2−ゲルミル)ジシラン;でない]
【請求項37】
式SiGez−aの請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
式SiGez−aClの請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
式SiGeH6−aClの請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
式SiGeHz−aの請求項36に記載の化合物。
【請求項41】
式SiGeHz−aClの請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
aは1である、請求項36乃至41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
aは2(x+y)である、請求項36乃至41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
クロロ(ゲルミル)シラン;
クロロ(ジゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
クロロ(トリゲルミル)シラン;
1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;または
ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン
である請求項36に記載の化合物。
【請求項45】
式SiGez−aClのほぼ純粋な化合物。
[ここで、yは1,2,3,または4であり;zは2(y+2)であり;aは1〜3であり、ただし、各XはSiにのみ結合している]
【請求項46】
aは1である請求項45に記載のほぼ純粋な化合物。
【請求項47】
aは2である請求項45に記載のほぼ純粋な化合物。
【請求項48】
クロロ(ゲルミル)シラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
クロロ(ジゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジゲルミル)シラン;または
クロロ(トリゲルミル)シラン
である請求項45に記載のほぼ純粋な化合物。
【請求項49】
SiGe1−d層を選択的に堆積させるための方法であって、2つ以上の部分を含む表面層を有する基板を、前記表面の第1の部分の上方にのみ所定の厚みを有するSiGe1−d層を所定の速度で選択的に堆積させるのに充分な条件で、分子式SiGez−aの化合物を含む化学物質の蒸気に接触させることを含む方法。
[ここで、表面層の第1の部分は半導体の表面層を含み、表面層の第2の部分は酸化物、窒化物、または酸窒化物の表面層を含み、
xは1,2,3,または4であり;yは1,2,3,または4であり;zは2(x+y
+1)であり;aは1〜zであり;Xはハロゲンであり、ただし、xおよびyの和は5以下である]
【請求項50】
SiGe1−d層はガスソース分子線エピタキシーまたは化学蒸着によって堆積される請求項49に記載の方法。
【請求項51】
化学物質の蒸気はほぼ純粋な形態で導入される請求項49に記載の方法。
【請求項52】
化学物質の蒸気は単一のガスソースとして導入される請求項49に記載の方法。
【請求項53】
化学物質の蒸気は不活性なキャリアガスと混合して導入される請求項49に記載の方法。
【請求項54】
不活性なキャリアガスはHを含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
不活性なキャリアガスはNを含む請求項53に記載の方法。
【請求項56】
接触は約300〜500℃で行われる請求項49に記載の方法。
【請求項57】
接触は約1x10−8〜1000トルで行われる請求項49に記載の方法。
【請求項58】
所定の速度は約2.0nm/minより大きい請求項49に記載の方法。
【請求項59】
所定の速度は約2.0〜10.0nm/minである請求項58に記載の方法。
【請求項60】
所定の厚みは約25〜300nmである請求項49に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物は式SiGez−aである請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物は式SiGez−aである請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記化合物はSiGez−aである請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物はSiGez−aClである請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物は、
クロロ(ゲルミル)シラン;
ジクロロ(ゲルミル)シラン;
クロロ(ジゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジゲルミル)シラン;
クロロ(トリゲルミル)シラン;
1、2−ジゲルミル−1−クロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、2−ジクロロジシラン;
1、2−ジゲルミル−1、1−ジクロロジシラン;
クロロ(クロロゲルミル)シラン;
ジクロロ(クロロゲルミル)シラン;
クロロ(ジクロロゲルミル)シラン;
ジクロロ(ジクロロゲルミル)シラン;または
それらの混合物
を含む請求項49に記載の方法。
【請求項66】
yは2であり、zは2または3である請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
SiGe1−d層は圧縮歪みを有する請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
SiGe1−d層は完全に歪んでいる請求項67に記載の方法。
【請求項69】
第1の部分はSi(100)またはSi(111)を含む請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
第2の部分は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはそれらの混合物を含む請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
dは約0.05〜0.55である請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
dは約0.45〜0.55である請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
dは約0.20〜0.30である請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
SiGe1−d層の表面は原子レベルで平坦である請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
表面層は、ゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を各々含む1つ以上のトランジスタ構造を含み、表面層の第1の部分はソース領域およびドレイン領域を含み、表面層の第2の部分はゲート領域を含む、請求項49乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ゲート領域は、酸化物、窒化物、または酸窒化物のハードマスクを有するポリシリコンゲートを含む請求項75に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−523458(P2010−523458A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502252(P2010−502252)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059095
【国際公開番号】WO2009/005862
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(507080994)アリゾナ ボード オブ リージェンツ ア ボディー コーポレート アクティング オン ビハーフ オブ アリゾナ ステイト ユニバーシティ (17)
【氏名又は名称原語表記】ARIZONA BOARD OF REGENTS,a body corporate acting on behalf of ARIZONA STATE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】