説明

プリアライナ装置およびそれを備えた搬送システム

【課題】主に、小径ウエハを確実にアライメントすることができること、ウエハを搬送してくるロボットハンドの形状に影響されることなくウエハの受け渡しが可能であることを課題とする。
【解決手段】リフト機構17のリフトピン18の上下動の動作が、ウエハ20の載置部11がX軸移動機構15とY軸移動機構14とによって動作する平面方向との移動動作とは無関係におこなわれるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造装置や検査装置に使用されて半導体ウエハの外周の形状を検出し、ウエハの位置を所望の位置へ位置決めするプリアライナ装置であって、特に小径ウエハや複数の種類のウエハに対応できるプリアライナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の処理対象であるシリコンウエハは大口径化が進んでいる。ウエハサイズの歴史を振り返ると、75mm、100mm、125mm、150mm、200mm、300mmと大口径化を繰り返しており、現在の市場は300mmが主流である。ウエハを大口径化することで、ウエハ1枚から取れるICチップ数が多くなり、生産性が向上することから、半導体デバイスメーカーは積極的にウエハの大口径化を進めてきた。しかし、近年になって半導体市場では多品種少量生産が進み、小径ウエハのニーズが増えてきた。また、昨今の地球温暖化防止対策で脚光を浴びているLEDの製造装置市場においても、小径のサファイアウエハが使われている。LEDは発光効率がよく、長寿命であることから環境性能に優れており、薄形テレビやPCのバックライトを始め、車両照明、携帯電話などに多く使用されている。特に白色LEDは、蛍光灯に代わる照明器具として注目されている。
【0003】
このように、小径ウエハへのニーズがあるLEDなどの製造プロセスでは、シリコンと同じくウエハの中心合わせやオリフラの位置合わせが必要なものがあり、ここでプリアライナ装置が使用されている。かつて、シリコンウエハで小径が主流であったときの中心合わせや位置決め方法は、ウエハが収納されているカセット内で複数のウエハ側面に対して一括して複数のローラ等で押し当て回転させて、オリフラ部分を機械的に位置合わせするものが多かった。しかし、現在の装置では枚葉処理が主流となっていることから、ウエハ1枚ごとに位置合わせを行う必要があり、高クリーン度で、位置決め精度も高精度なプリアライナ装置が要求されている。小径のウエハサイズは、LEDで代表的な50mmから、100mm、150mm、200mmへと移行していくと予測される。従って、プリアライナ装置には、従来と異なり、枚葉処理に対応しつつ、高精度で、これら小径のウエハサイズの変更にフレキシブルに対応できることが要求されてきている。
【0004】
半導体製造装置等において、プリアライナ装置は、主にウェハ搬送ロボットと組み合わせて使用され、ロボットから移載されたウエハを保持し、ウエハを回転させることによって、その外周に予め施されているノッチやオリフラなどの切り欠き部分を検知するとともに、外周の形状を検知し、この情報をもとにウエハを所定の円周方向に回転させ、さらにウエハ自体の中心位置を決定(センタリング)する装置である。プリアライナ装置による、ウエハの円周方向の位置決めとセンタリングの動作を、アライメント動作と呼んでいる。
【0005】
従来技術のプリアライナ装置として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、XY方向移動機構と回転機構を有し、かつ、ウエハエッジ検出センサを2つ備えている。特許文献1では、ウエハを載置するウエハ載置パッドにウエハを載置し、回転機構でウエハを回転させ、そのときのウエハの外周をウエハエッジ検出センサで検出し、ウエハの回転中心とウエハ自身の中心位置との偏心量を算出し、ノッチやオリフラなどの切欠き部分を回転機構によって所望の位置に回転させ、かつ、ロボットハンドにウエハを渡したときに偏心量がなくなるように、XY方向移動機構によって平面2方向にウエハおよびウエハ載置パッドを移動させるプリアライナを開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平1−57638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、プリアライメント装置のウエハを円周方向にさせる回転機構が、ウエハ裏面の中心部を吸着したり支持したりするウエハ載置パッドであるため、ロボットとプリアライナ間でウエハの受け渡しをするためには、ロボットハンドがウエハ載置パッドと干渉しないよう、ロボットハンドがU字形状でなくてはならない。
しかし、ウエハサイズが小径の場合、ロボットハンドがU字形状のフォーク形だと、把持面積が小さくなるため、パドル(へら)形が適しているのにもかかわらず、特許文献1の構成では、ロボットとプリアライナ間での適切にウエハの受け渡しを実現できなくなる。このことについて図4を使って説明する。図4は、従来のプリアライナ装置とそれにウエハを搬送するロボットのロボットハンドがU字形状である場合を示す上面図である。図において、U字形ロボットハンド32がウエハ載置パッド11とウエハを授受しようとしている。U字形ロボットハンド32はウエハ載置パッド11に干渉しない形状でないとウエハ搬送が成り立たないため、ロボットハンドは必然的にU字形となる。
ここで、U字形ロボットハンド32のU字の内幅寸法W1は、ウエハ載置パッド11の外径φPDよりも大きく、L1やL2で示すクリアラインスを確保する必要がある。また、U字形ロボットハンド32のU字の外幅寸法W2は、図示しないウエハ20のカセット形状に制約を受け、ウエハ20の外径φWDよりも小さくなければならない。ウエハ20が大口径の場合は、W2−W1の面積が十分確保できるのでU字形ロボットハンド32によるウエハ20の保持は問題とならないが、ウエハ20が小径になるにつれてU字形ロボットハンド32の形状は、カセットやウエハ載置パッド11からの寸法制約が大きくなり、W2−W1の面積では小径ウエハを確実に保持できないという問題がある。従って、小径ウエハのアライメントを確実に行なおうとすれば、搬送装置のハンドはパドル形でなければならない。
【0008】
そこで、パドル形のロボットハンドとウエハ載置パッドとの間でウエハの受け渡しを行なうため、プリアライナ装置にリフト機構を設ける必要がある。リフト機構は、ロボットハンドがウエハ載置パッドと直接ウエハを授受できない場合に設けるための機構であって、ロボットハンドとウエハを授受し、かつ、しかし、ウエハ載置パッドともウエハを授受するための機構である。
しかし、特許文献1のような構成の場合、つまり、ウエハ載置パッドが平面の直角2方向に動きながらウエハの中心位置をアライメントする場合、一般的にはウエハ載置パッドとともにリフト機構が平面2方向に動くように設けられていた。これは、ウエハの載置パッドのみが平面2方向に動くと、リフト機構と干渉する恐れを無くすためである。
また、以上のように、ウエハ載置パッドとリフト機構とがともにXY移動機構に搭載されて移動する構成において、ウエハが小径のものに対応させるため、ウエハ載置パッドとリフト機構とをウエハエッジ検出センサに接近させると、リフト機構とロボットハンドとのウエハの授受の際、ウエハがウエハエッジ検出センサに干渉してしまう恐れがある。この干渉を避けるため、ウエハ載置パッドとウエハエッジ検出センサとを離してしまった場合、あるいは、ロボットハンドがウエハ載置パッドに載置したウエハの偏心量が大きすぎた場合、センサが適切にウエハの外周を検知できなくなるおそれがある。このような場合、ロボットによって再度ウエハをウエハ載置パッドに置き換えないといけない。
また、特許文献1では、異径ウエハ(径の異なるウエハ)に対応できる構成について開示されていない。異径ウエハに対応するためには、ウエハエッジ検出センサとウエハ載置パッドとの間の距離を変えればよいことは容易に思いつく。つまり、特許文献1において、ウエハの径に応じて、ウエハ載置パッドをXY移動機構を使ってウエハエッジ検出センサ側に接近させればよいが、上記のように、リフト機構がウエハ載置パッドとともに移動してしまうと、ウエハの授受ができないおそれがある。
【0009】
従って、本発明は、小径ウエハを確実にアライメントすることができること、ウエハを搬送してくるロボットハンドの形状に影響されることなくウエハの受け渡しが可能であること、ロボットによるウエハの載置位置がずれていた場合でもアライメントすることができること、を可能にするプリアライナ装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、次のように構成するとよい。
すなわち、搬送装置が搬送してきたウエハを保持し、前記ウエハの円周方向と中心とを所望の位置に移動させるプリアライナ装置において、前記ウエハを載置する載置部と、 前記ウエハを載置した前記載置部を回転させる回転機構と、前記回転機構によって回転する前記ウエハの外周を検知するウエハエッジ検出センサと、前記載置部と前記回転機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向に移動させるX軸移動機構と、前記載置部と前記回転機構と前記X軸移動機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向とは直角の平面方向に移動させるY軸移動機構と、前記搬送装置と前記ウエハを授受するとともに、上下動を行なって前記載置部と前記ウエハを授受するリフト機構と、前記回転機構と前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構と前記リフト機構とをコントロールするとともに、前記ウエハエッジ検出センサの信号から前記ウエハのノッチもしくはオリフラの位置と前記ウエハの中心位置とを算出するコントローラと、を備え、前記リフト機構の前記上下動の動作が、前記載置部の前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構とによる平面方向との移動とは無関係におこなわれるよう構成する。
また、前記リフト機構が、前記載置部を取り囲むように設けられた少なくとも3本のリフトピンを備え、前記少なくとも3本のリフトピンが、前記搬送装置が進入可能な方向を変更できるよう、前記リフトピンのそれぞれの位置を移動できるよう構成する。
また、前記回転機構が前記ウエハを保持した前記載置部を回転させ、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検知し、前記コントローラが前記載置部の回転中心に対する前記ウエハの中心の偏心量を算出したとき、前記偏心量が、前記X軸移動機構あるいは前記Y軸移動機構の動作限界量を超えていた場合、前記X軸移動機構あるいは前記Y軸移動機構が前記動作限界量を動作したのちに、前記リフト機構が持ち替え動作を行うよう構成する。
また、前記ウエハの径に応じた信号を受信すると、前記信号に応じて、前記X軸移動機構が、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検出できる位置となるよう、前記載置部と前記回転機構とを、前記ウエハエッジ検出センサの方向に所定量だけ移動させるよう構成する。
さらに、前記所定量の移動後、前記回転機構が前記ウエハを保持した前記載置部を回転させ、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検知し、前記コントローラが前記載置部の回転中心に対する前記ウエハの中心の偏心量を算出すると、前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構は、前記偏心量に前記所定量を加算した量だけ動き、その後、前記リフト機構が前記ウエハを保持するよう構成する。
また、前記リフト機構の上下動の使用有無を設定できるよう構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリアライメント装置のウエハを平面2方向へ移動させる機構として、X軸移動機構とY軸移動機構と回転機構とを有しており、かつ、X軸およびY軸移動機構の動作に連動しない独立したリフト機構を有しているため、搬送機構(例えばロボットハンド)がパドル形のハンドであっても、ウエハの受け渡しが可能である。
さらに、プリアライナ装置でウエハの偏心量を算出した結果、この偏心量がXやY軸の移動機構の動作範囲外であった場合でも、リフト機構でウエハを持ち替え動作するので、搬送装置のハンドでウエハを置き換えることなく、プリアライナ装置単体で確実にアライメント動作が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態を示すプリアライナ装置の側断面図である。
【図2】図1のプリアライナ装置とパドル形ハンドとのウエハ授受を示す上面図である。
【図3】図2のプリアライナ装置に対するパドル形ハンドの進入方向が逆の場合を示す上面図である。
【図4】従来のプリアライナ装置とU字形ハンドとのウエハ授受を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本発明の一実施形態であるプリアライナ装置の側断面図を示す。プリアライナ装置のフレーム10は、箱体状に形成されていて、ウエハ載置パッド11の上部がフレーム10の上面から突出している。ウエハ20は、ウエハ載置パッド11に載置される。ウエハ20は図示しないロボットなど搬送装置が搬送してくる。ウエハ載置パッド11は、ウエハ20の裏面中央付近を支持する。ウエハ載置パッド11は、本実施例の場合、図示しない真空吸引機構に接続されており、その上面に形成された溝に負圧を発生させることで、ウエハ20を吸着保持する。あるいは、摩擦係数が高い弾性体(例えばフッ素ゴム)などをウエハ載置パッド11の上面に装着し、ウエハ20の裏面に接触させて摩擦による支持でウエハ20を保持してもよい。
【0014】
ウエハ載置パッド11は、フレーム10内に収容されている回転機構12と接続され、回転機構12によって回転する。つまりウエハ載置パッド11は、ウエハ20を水平に保持し、ウエハ20の平面を水平に保ったまま回転する。回転機構12は、モータ16を有している。モータ16は回転機構12の動力源であり、本実施例の場合、プーリとベルトを介してウエハ載置パッド11を回転させる。回転機構12の動力源は、回転型のエアシリンダを用いても良いが、いずれにしても、回転機構12には載置パッド11の回転位置を検出できるものを備える必要がある。
【0015】
フレーム10の上面にはウエハエッジ検出センサ19が載置されている。ウエハエッジ検出センサ19は、ウエハ載置パッド11に載置されたウエハ20が回転機構12によって回転したときの外周を検知できる位置に配置されている。本実施例では、ウエハエッジ検出センサ19はCCDセンサであって、ウエハ20の下側あるいは上側の一方に配置された光源からの光がウエハ20の外周によって遮光されたことを他方のCCDセンサにて検出する。また、このとき、その情報と回転機構12の回転位置の情報とを使って、図示しないプリアライナ装置のコントローラが、ウエハ載置パッド11の回転中心からウエハ20の中心位置の偏心量(平面方向のずれ量)と、ノッチやオリフラなどの特徴形状の周方向の位置とを算出する。なお、コントローラは、回転機構12、後述するX軸移動機構15とY軸移動機構14もコントロールする。
【0016】
ウエハ載置パッド11および回転機構12を支持しているのがY軸移動機構14である。Y軸移動機構14は、回転機構12を支持する回転機構支持部材13と、回転機構支持部材13をY軸方向に移動させるモータとを備えている。Y軸方向は、図1では、紙面前後方向であって、ウエハ20の平面方向の1方向である。回転機構支持部材13はリニアガイドなどで精密に案内されるとともに、モータによって位置が制御される。
ウエハ載置パッド11と回転機構12とY軸移動機構14とを支持しているのがX軸移動機構15である。X軸移動機構15はY軸移動機構と基本構成は同じである。X軸移動機構15は、Y軸移動機構14をX軸方向に移動させる。X軸方向は、図1では、紙面左右方向であって、上記Y軸方向とは直角な平面方向の1方向である。
従って、Y軸移動機構14は、ウエハ載置パッド11と回転機構12とをY軸方向に移動させる。また、X軸移動機構15は、ウエハ載置パッド11と回転機構12とY軸移動機構14とをX軸方向に移動させる。X軸移動機構15、Y軸移動機構14も、回転機構12とともにフレーム10内に収容されている。
【0017】
リフト機構17について説明する。リフト機構17は少なくとも3本からなるリフトピン18と、それらを同時に昇降(上下)動作させる駆動源とから構成される。本実施例では、ウエハ載置パッド11の周囲を取り囲むように、3本のリフトピン18が配置されている。リフトピン18のそれぞれは、フレーム10の上面から突出している。リフトピン18のそれぞれは、本実施例の場合、フレーム10に収容されたエアシリンダによって昇降動作する。リフト機構17の駆動源であるエアシリンダは、フレーム10の内部に直接固定されている。つまり、上記のX軸移動機構15、Y軸移動機構14には支持されておらず、リフトピン18の上下動作は、回転機構12、X軸移動機構15、Y軸移動機構14の動作とは無関係である。
リフトピン18のそれぞれの上端部には、例えば摩擦係数が高い弾性体(例えばフッ素ゴム)などが装着されている。リフトピン18のそれぞれの高さは等しい。リフトピン18が上昇したとき、ウエハ載置パッド11の上に載置されていたウエハ20を、ウエハ載置パッド11より上に持ち上げる。一方、リフトピン18が下降するとき、ウエハ載置パッド11に対して、ウエハ20を載せることができる。そして、リフトピン18が下降したとき、リフトピン18の上端面は、ウエハ載置パッド11に載置されているウエハ20の下面よりもさらに下方に位置する。
【0018】
リフトピン18についてさらに説明する。図2は、図1のプリアライナ装置の上面図(平面図)であって、パドル形ハンド31がリフトピン18にウエハ20を授受するときを示している。図2のように、3本のリフトピン18は、ウエハ載置パッド11を取り囲むように、ウエハ載置パッド11の回転中心を中心としてほぼ等分配置になるよう配置されている。ここで、図2において、3本のリフトピン18を、リフトピン18a、18b、18cとすると、リフトピン18aと18b、18bと18c、18cと18a、のいずれかの距離は、搬送装置30のパドル形ハンド31の幅よりも大きくなるよう配置されている。つまり、パドル形ハンド31の幅寸法W3よりも、少なくともハンドの進入方向に対してリフトピン同士の内寸法W4が大きくなるよう配置されている。この場合、少なくともリフトピン18bと18cの間の寸法W4がW3よりも大きくなっている。また、パドル形ハンド31はカセットの形状に影響を受けるが、このリフトピン18はウエハ20の範囲内であって、後述するようにウエハ載置パッド11の動作を妨げる位置になければどこに設置しても良い。
さらに、本実施例の場合、3本のリフトピン18a、b、cは、その位置が自由に変更できるよう構成されている。つまり、図2では、紙面の上側からパドル形ハンド31が進入できるよう、リフトピン18が配置されているが、これを紙面下側からパドル形ハンド31が進入できるよう、図3のように、それらの配置が変更できるようになっている。
【0019】
さらに、本実施例のリフトピン18は、ウエハ載置パッド11の動作を妨げない位置に配置されているので、このことについて以下説明する。パドル形ハンド31は、毎回、予め決められた同じ位置でリフトピン18とウエハ20の授受を行う。従って、パドル形ハンド31がリフトピン18からアライメントが終了したウエハ20を受け取るとき、ウエハ20の中心位置が補正された状態で受け取ることができるよう、コントローラがウエハの偏心量を算出する。ウエハ載置パッド11は、この偏心量を無くすように上記X軸移動機構15とY軸移動機構14とによって偏心量を補正する動作を行う。一方、上述したように、リフトピン18の上下動作は、X軸移動機構15とY軸移動機構14とによるウエハ載置パッド11の平面2方向の動作とは無関係なので、リフトピン18を適切な位置に配置しないと、ウエハ載置パッド11の平面2方向の動作によってウエハ載置パッド11とリフトピン18とが干渉する恐れがある。ウエハ載置パッド11は、上記X軸移動機構15とY軸移動機構14とによって、図2の斜線部の範囲を動作する。本実施例の場合、ウエハ載置パッド11の基準位置から、+X方向に50mm、−X方向に5mm、+Y方向に5mm、−Y方向に5mm、それぞれ移動できるように構成されている。+X方向は、ウエハ載置パッド11からみてウエハエッジ検出センサ19に向かう方向である。基準位置は、本実施例の場合、ウエハ載置パッド11の中心に8インチウエハの中心が載置されたとき、ウエハエッジ検出センサ19がウエハ20の外周を適切に検知できる位置である。ウエハ載置パッド11に、6インチあるいは4インチなど、基準位置にあるウエハ載置パッド11に載置されたとしてもウエハ20の外周をウエハエッジ検出センサ19が適切に検知できないような小径のウエハが載置される場合、図示しないコントローラが、ウエハの径ごとに設定された信号を受信すると、これに応じてコントローラは、ウエハ載置パッド11を所定の量だけ+X方向に移動させる。この所定の量だけウエハ載置パッド11が動くと、ウエハ載置パッド11は、ウエハの外周をウエハエッジ検出センサ19が適切に検知できる位置になる。また、このとき、ウエハ載置パッド11は、リフトピン18bと18cの間を通り抜けてウエハエッジ検出センサ19に接近する。
【0020】
次に本実施形態のプリアライナ装置の動作について説明する。
まず、図2のように、ロボット(搬送装置)のパドル形ハンド31が、リフトピン18の上にウエハ20を載置する。パドル形ハンド31が退避した後、リフトピン18が下降しながらウエハ20をウエハ載置パッド11上に置く。リフトピン18はウエハ20をウエハ載置パッド11に置いた後、ウエハ20の裏面とリフトピン18とが干渉しない位置まで下降する。ウエハ20は例えば吸着によってウエハ載置パッド11に保持される。その後、ウエハ載置パッド11に載置されたウエハの径を示す信号を受信していた場合、X軸移動機構15によりウエハ20とウエハ載置パッド11をウエハエッジ検出センサ19の検出範囲まで+X方向に所定量だけ移動させる。その後、回転機構12によってウエハ20を任意の角度だけ回転させ、ウエハエッジ検出センサ19によってウエハ20の外周の検出動作を行う。ウエハエッジ検出センサ19の情報と回転機構12の回転位置の情報とから、図示しないコントローラは、ウエハ載置パッド11の回転中心に対するウエハ20の中心の偏心量と、ウエハ20のノッチ等の位置を算出する。その後、再び回転機構12の動作によって、希望する位置にノッチもしくはオリフラを周方向に回転移動させるとともに、Y軸移動機構14およびX軸移動機構15の動作によって、リフトピン18つまりパドル形ハンド31に対して偏心量が補正されるようにウエハ載置パッド11およびウエハ20を動かす。これをウエハ20のアライメント動作と呼ぶ。本実施例では、このアライメント動作において、回転機構12、Y軸移動機構14およびX軸移動機構15が同時に動作する。
なお、ウエハの径を示す信号を受信してX軸移動機構15によりウエハ20とウエハ載置パッド11をウエハエッジ検出センサ19の+X方向に所定量だけ移動させた場合に限り、X軸移動機構15は、上記アライメント動作時に、偏心を補正する量に前記所定量をさらに加算した量だけ動作する。
そして、アライメント動作完了後、ウエハ載置パッド11がウエハ20を開放し、リフトピン18が上昇し、ウエハ20をリフトピン18が載置する。ここでプリアライナ装置の一連の動作が完了する。
その後、パドル形ハンド31がリフトピン18からウエハ20を受け取り、次の場所へウエハ20を搬送する。
【0021】
以上の動作において、本実施形態のプリアライナ装置は、回転機構12がウエハ20を回転させ、ウエハエッジ検出センサ19がウエハ20の外周を検知し、コントローラが上述した偏心量を算出したとき、この偏心量が、X軸移動機構15あるいはY軸移動機構14の動作限界量を超えていた場合、X軸移動機構15あるいはY軸移動機構14は、動作限界量を動作したのちに、リフト機構17が持ち替え動作を行う。この持ち替え動作は、ウエハ載置パッド11がX方向あるいはY方向の動作限界量を動作したあと、リフトピン18が一度ウエハ20をウエハ載置パッド11から持ち上げ、さらに偏心量の不足分だけウエハ載置パッド11が動作して、再びリフトピン18がウエハ載置パッド11にウエハ20を置き、アライメント動作を完了させるものである。
また、以上の動作において、例えば搬送されてくるウエハのうち大半が8インチである場合など、主に使用される搬送装置のハンド形状がU字形である場合は、コントローラの設定を変更することによって、リフタ機構17を一時的に使用しない状態に変更できるようにしてもよい。
【0022】
従来のプリアライナ装置では、回転機構12とリフト機構17が回転機構12上に設置されていたため、ウエハ20の載置位置を変更するにはロボット等によるウエハ20の置き直しが必要であった。しかし、本実施形態のプリアライナ装置では、回転機構12とリフト機構17が独立した構造となっているため、プリアライナ装置単体でウエハ20の置き直しができ、搬送装置のハンドによるウエハ20の置き換えが不要となる。つまり、プリアライナ装置単体でアライメント動作が完結するので、搬送システムの制御がシンプルな構成でよく、かつ、搬送システムとしてのスループット向上に貢献することができる。
また、本実施形態のプリアライナ装置では、上述したようなリフトピン18を備えているので、大口径ウエハから小径ウエハまでの異径ウエハに対応することができる。さらに、小径ウエハの場合に最適なパドル形ハンドが使用されてもウエハの受け渡しが可能である。
【符号の説明】
【0023】
10 :フレーム
11 :ウエハ載置パッド
12 :回転機構
13 :回転機構支持部材
14 :Y軸移動機構
15 :X軸移動機構
16 :モータ
17 :リフト機構
18 :リフトピン
18a:リフトピンa
18b:リフトピンb
18c:リフトピンc
19 :ウエハエッジ検出センサ
20 :ウエハ
30 :ロボットアーム(搬送装置)
31 :パドル形ハンド
32 :U字形ハンド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置が搬送してきたウエハを保持し、前記ウエハの円周方向と中心とを所望の位置に移動させるプリアライナ装置において、
前記ウエハを載置する載置部と、
前記ウエハを載置した前記載置部を回転させる回転機構と、
前記回転機構によって回転する前記ウエハの外周を検知するウエハエッジ検出センサと、
前記載置部と前記回転機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向に移動させるX軸移動機構と、
前記載置部と前記回転機構と前記X軸移動機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向とは直角の平面方向に移動させるY軸移動機構と、
前記搬送装置と前記ウエハを授受するとともに、上下動を行なって前記載置部と前記ウエハを授受するリフト機構と、
前記回転機構と前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構と前記リフト機構とをコントロールするとともに、前記ウエハエッジ検出センサの信号から前記ウエハのノッチもしくはオリフラの位置と前記ウエハの中心位置とを算出するコントローラと、を備え、
前記リフト機構の前記上下動の動作が、前記載置部の前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構とによる平面方向との移動とは無関係におこなわれるよう構成されたことを特徴とするプリアライナ装置。
【請求項2】
前記リフト機構が、前記載置部を取り囲むように設けられた少なくとも3本のリフトピンを備え、前記少なくとも3本のリフトピンが、前記搬送装置が進入可能な方向を変更できるよう、前記リフトピンのそれぞれの位置を移動できるよう構成されたことを特徴とする請求項1記載のプリアライナ装置。
【請求項3】
前記回転機構が前記ウエハを保持した前記載置部を回転させ、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検知し、前記コントローラが前記載置部の回転中心に対する前記ウエハの中心の偏心量を算出したとき、前記偏心量が、前記X軸移動機構あるいは前記Y軸移動機構の動作限界量を超えていた場合、前記X軸移動機構あるいは前記Y軸移動機構が前記動作限界量を動作したのちに、前記リフト機構が持ち替え動作を行うこと、を特徴とする請求項1記載のプリアライナ装置。
【請求項4】
前記ウエハの径に応じた信号を受信すると、前記信号に応じて、前記X軸移動機構が、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検出できる位置となるよう、前記載置部と前記回転機構とを、前記ウエハエッジ検出センサの方向に所定量だけ移動させることを特徴とする請求項1記載のプリアライナ装置。
【請求項5】
請求項4記載のプリアライナ装置において、前記所定量の移動後、前記回転機構が前記ウエハを保持した前記載置部を回転させ、前記ウエハエッジ検出センサが前記ウエハの外周を検知し、前記コントローラが前記載置部の回転中心に対する前記ウエハの中心の偏心量を算出すると、前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構は、前記偏心量に前記所定量を加算した量だけ動き、その後、前記リフト機構が前記ウエハを保持すること、を特徴とするプリアライナ装置。
【請求項6】
前記リフト機構の上下動の使用有無を設定できることを特徴とする請求項1記載のプリアライナ装置。
【請求項7】
パドル形のハンドでウエハを保持して任意の位置に前記ウエハを搬送する搬送装置と、
前記パドル形のハンドが搬送してきたウエハを保持し、前記ウエハの円周方向と中心とを所望の位置に移動させるプリアライナ装置と、を備えた搬送システムにおいて、
前記プリアライナ装置が、
前記ウエハを載置する載置部と、
前記ウエハを載置した前記載置部を回転させる回転機構と、
前記回転機構によって回転する前記ウエハの外周を検知するウエハエッジ検出センサと、
前記載置部と前記回転機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向に移動させるX軸移動機構と、
前記載置部と前記回転機構と前記X軸移動機構とを前記ウエハエッジ検出センサの方向とは直角の平面方向に移動させるY軸移動機構と、
前記搬送装置と前記ウエハを授受するとともに、上下動を行なって前記載置部と前記ウエハを授受するリフト機構と、
前記回転機構と前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構と前記リフト機構とをコントロールするとともに、前記ウエハエッジ検出センサの信号から前記ウエハのノッチもしくはオリフラの位置と前記ウエハの中心位置とを算出するコントローラと、を備え、
前記リフト機構の前記上下動の動作が、前記載置部の前記X軸移動機構と前記Y軸移動機構とによる平面方向との移動とは無関係におこなわれるよう構成されたこと、を特徴とする搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−124298(P2011−124298A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279061(P2009−279061)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】