説明

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のギャップ制御方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】基板の一面を複数のショットに分けて露光する際、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させる。
【解決手段】マスクホルダ20とチャック10とを相対的にZ方向へ移動及びチルトする複数のZ−チルト機構30と、マスク2と基板1とのギャップを複数箇所で測定する複数のギャップセンサー30とを設ける。予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサー40の測定点におけるショット毎のオフセット値を決める。ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構30によりマスク2と基板1とのギャップ合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のギャップ制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、基板をXY方向へステップ移動させて、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のギャップ制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
近年、表示用パネルの各種基板の製造では、大型化及びサイズの多様化に対応するため、比較的大きな基板を用意し、表示用パネルのサイズに応じて、1枚の基板から1枚又は複数枚の表示用パネル基板を製造している。その場合、プロキシミティ方式では、基板の一面を一括して露光しようとすると、基板と同じ大きさのマスクが必要となり、高価なマスクのコストがさらに増大する。そこで、基板より比較的小さなマスクを用い、基板をXY方向へステップ移動させて、基板の一面を複数のショットに分けて露光する方式が主流となっている。
【0004】
プロキシミティ方式では、マスクと基板とを数百μm程度のプロキシミティギャップまで接近させて露光を行う。マスクと基板とのギャップ合わせは、複数のギャップセンサーによりマスクと基板とのギャップを複数箇所で測定し、測定結果に基づいて、複数のZ−チルト機構により、マスクを保持するマスクホルダ又は基板を支持するチャックをZ方向へ移動及びチルトして行われる。基板の一面を複数のショットに分けて露光する場合、マスクと基板とのギャップ合わせをショット毎に行うため、ショット数が増えるに従って、ギャップ合わせに要する時間が増加する。これに対し、特許文献1には、基板をXY方向へステップ移動した後、マスクと基板とのギャップ合わせを短時間に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−250239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表示用パネルの大画面化に伴い基板が大型化する程、基板を平坦に支持することが困難になるので、基板をXY方向へステップ移動させて、基板の一面を複数のショットに分けて露光する場合、ショット毎に、露光領域内での基板の表面の凹凸やうねり等が微妙に異なる。従来のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法では、ギャップセンサーの測定点で基板の表面に局所的な凹凸やうねり等があると、そのショットの露光領域の他の部分が平坦であっても、そのショットの露光領域全体から見て、マスクが傾いた状態でギャップ合わせが行われる。そのため、マスクと基板との平行度がショット毎に異なって、露光精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、基板の一面を複数のショットに分けて露光する際、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させることである。また、本発明の課題は、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置において、マスクホルダとチャックとを相対的にZ方向へ移動及びチルトする複数のZ−チルト機構と、マスクと基板とのギャップを複数箇所で測定する複数のギャップセンサーと、複数のZ−チルト機構を駆動する駆動回路と、駆動回路を制御する制御装置とを備え、制御装置が、予め露光した基板のパターンを測定して決めた、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を記憶し、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、駆動回路により複数のZ−チルト機構を駆動して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0009】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法であって、マスクホルダとチャックとを相対的にZ方向へ移動及びチルトする複数のZ−チルト機構と、マスクと基板とのギャップを複数箇所で測定する複数のギャップセンサーとを設け、予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構によりマスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0010】
ギャップセンサーの測定点で基板の表面に局所的な凹凸やうねり等があると、基板のそのショットの露光領域全体から見て、マスクが傾いた状態でギャップ合わせが行われるので、ギャップの大小による回折光の広がりの違いから、基板に露光されたパターンは、線幅や高さが均一にならない。本発明では、予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構によりマスクと基板とのギャップ合わせを行うので、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定点で、基板の表面の局所的な凹凸やうねり等がオフセット値により相殺される。従って、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせが行われ、露光精度が向上する。
【0011】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御装置が、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0012】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0013】
マスクと基板とのギャップ合わせの際、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うので、各ギャップセンサーにより実際に測定された測定値が正確である程、ギャップ合わせの精度が向上する。
【0014】
あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御装置が、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0015】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0016】
ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップを用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うので、各ギャップセンサーにより実際に測定された測定値の一部に誤差がある場合、誤差による影響が少なくなって、ギャップ合わせの精度が向上する。
【0017】
あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御装置が、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0018】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うものである。
【0019】
補正値及び論理ギャップの両方を用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うので、いずれか一方でも許容範囲外であるとギャップ合わせが継続され、ギャップ合わせの精度がさらに向上する。
【0020】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を用いてマスクと基板とのギャップ合わせを行って、基板の露光を行うものである。ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせが行われ、露光精度が向上するので、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法によれば、予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構によりマスクと基板とのギャップ合わせを行うことにより、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法によれば、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことにより、各ギャップセンサーにより実際に測定された測定値が正確である程、ギャップ合わせの精度を向上させることができる。
【0023】
あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法によれば、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことにより、各ギャップセンサーにより実際に測定された測定値の一部に誤差がある場合、誤差による影響を少なくして、ギャップ合わせの精度を向上させることができる。
【0024】
あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法によれば、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことにより、ギャップ合わせの精度をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させることができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】マスクホルダの上面図である。
【図3】チャックをロード/アンロード位置へ移動した状態を示す図である。
【図4】図4(a)はZ−チルト機構の正面図、図4(b)はZ−チルト機構の側面図である。
【図5】ギャップセンサーの概略構成を示す図である。
【図6】ショットの領域の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を用いた露光処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】主制御装置のギャップ合わせ動作を行う部分を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を示すフローチャートである。
【図10】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、ホルダフレーム21、トップフレーム22、エアクッション23、Z−チルト機構30、ギャップセンサー40、主制御装置50、Xステージ駆動回路61、Yステージ駆動回路62、θステージ駆動回路63、及びZ−チルト機構駆動回路64を含んで構成されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0028】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0029】
図1において、チャック10は、基板1の露光を行う露光位置にある。露光位置の上空には、トップフレーム22が設置されている。トップフレーム22には、エアクッション23を介して、ホルダフレーム21が取り付けられている。ホルダフレーム21には、マスク2を保持するマスクホルダ20が取り付けられている。図2は、マスクホルダの上面図である。図2において、マスクホルダ20には、露光光が通過する開口20aが設けられており、開口20aの下方には、マスク2が装着されている。マスクホルダ20の下面の開口20aの周囲には、吸着溝が設けられており、マスクホルダ20は、吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持している。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0030】
図3は、チャックをロード/アンロード位置へ移動した状態を示す図である。ロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、基板1がチャック10へ搬入され、また基板1がチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。
【0031】
図1及び図3において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図1及び図3の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図1及び図3の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を複数箇所で支持する。
【0032】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。また、トップフレーム22の側面に設けたZ−チルト機構30により、マスクホルダ20をZ方向(図1の図面上下方向)へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、基板1のアライメントが行われる。
【0033】
Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられている。図1において、Xステージ駆動回路61は、主制御装置50の制御により、Xステージ5を駆動する。Yステージ駆動回路62は、主制御装置50の制御により、Yステージ7を駆動する。θステージ駆動回路63は、主制御装置50の制御により、θステージ8を駆動する。Z−チルト機構駆動回路64は、主制御装置50の制御により、各Z−チルト機構30を駆動する。
【0034】
図4(a)はZ−チルト機構の正面図、図4(b)はZ−チルト機構の側面図である。Z−チルト機構30は、ケーシング31、直動ガイド32、可動ブロック33、モータ34、軸継手35、ボールねじ36a、ナット36b、及びボール37を含んで構成されている。図4(b)に示す様に、ケーシング31は、トップフレーム22の側面に取り付けられている。図4(a)に示す様に、ケーシング31の内部には、直動ガイド32が設けられており、直動ガイド32には、可動ブロック33が搭載されている。ケーシング31の上方には、モータ34が設置されており、モータ34の回転軸には、軸継手35を介して、ボールねじ36aが接続されている。可動ブロック33には、ボールねじ36aにより移動されるナット36bが取り付けられており、可動ブロック33は、モータ34の回転により、直動ガイド32に沿って上下に移動する。
【0035】
図4(b)に示す様に、ホルダフレーム21の下面には、チルト用腕24が設けられている。可動ブロック33の下面には、ボール37が取り付けられており、ボール37は、可動ブロック33によりチルト用腕24に押し付けられている。図2において、Z−チルト機構30は、ホルダフレーム21の側面近くの三箇所に設置されている。3つのZ−チルト機構30は、可動ブロック33を上下に移動して、チルト用腕24を押すボール37の高さをそれぞれ変更することにより、エアクッション23により支持されているホルダフレーム21の高さを三箇所で変更して、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトする。
【0036】
なお、本実施の形態では、Z−チルト機構30によりマスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0037】
図2において、マスクホルダ20に保持されたマスク2の上方には、4つのギャップセンサー40が設けられている。マスク2と基板1とのギャップ合わせを行う際、各ギャップセンサー40は、図示しない移動機構により、マスクホルダ20の開口20aの四隅の上方へ移動され、マスク2と基板1とのギャップを、マスク2の四隅で測定する。マスク2と基板1とのギャップ合わせが終了した後、各ギャップセンサー40は、図示しない移動機構により、マスクホルダ20の開口20aの外側へ移動される。
【0038】
図5は、ギャップセンサーの概略構成を示す図である。ギャップセンサー40は、レーザー光源41、コリメーションレンズ群42、投影レンズ43、ミラー44,45、結像レンズ46、及びCCDラインセンサー47を含んで構成されている。レーザー光源41から発生されたレーザー光は、コリメーションレンズ群42及び投影レンズ43を通り、ミラー44からマスク2へ斜めに照射される。マスク2へ照射されたレーザー光は、その一部がマスク2の上面で反射され、一部がマスク2の内部へ透過する。マスク2の内部へ透過したレーザー光は、その一部がマスク2の下面で反射され、一部がマスク2の下面から基板1の表面へ照射される。基板1の表面へ照射されたレーザー光は、その一部が基板1の表面で反射され、一部が基板1の内部へ透過する。マスク2の下面で反射されたレーザー光及び基板1の表面で反射されたレーザー光は、マスクの上面から射出された後、ミラー45で反射され、結像レンズ46を通って、CCDラインセンサー47の受光面に結像する。CCDラインセンサー47は、受光面で受光した光の強度に応じた検出信号を出力する。CCDラインセンサー47のマスク2の下面で反射されたレーザー光の検出信号の位置と、基板1の表面で反射されたレーザー光の検出信号の位置とから、マスク2と基板1とのギャップGが測定される。
【0039】
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法について説明する。本実施の形態のプロキシミティ露光装置は、露光位置において、基板1をXY方向へステップ移動させて、基板1の一面を複数のショットに分けて露光する。図6は、ショットの領域の一例を示す図である。図6は、基板1の一面を6つのショットに分けて露光する例を示している。1回目のショットで基板1の領域1aが露光され、2回目のショットで基板1の領域1bが露光され、3回目のショットで基板1の領域1cが露光され、4回目のショットで基板1の領域1dが露光され、5回目のショットで基板1の領域1eが露光され、6回目のショットで基板1の領域1fが露光される。
【0040】
図7は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を用いた露光処理の動作を示すフローチャートである。まず、ロード/アンロード位置において、チャック10への基板1のロードが行われる(ステップ301)。主制御装置50は、Xステージ駆動回路61によりXステージ5を駆動し、Yステージ駆動回路62によりYステージ7を駆動し、θステージ駆動回路63によりθステージ8を駆動して、ロード/アンロード位置においてチャック10をXY方向へ移動及びθ方向へ回転させ、基板1のプリアライメントを行う(ステップ302)。次に、主制御装置50は、Xステージ駆動回路61によりXステージ5を駆動し、Yステージ駆動回路62によりYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置へ移動させ、基板1を露光位置の1回目のショットを行う位置へ移動させる(ステップ303)。
【0041】
続いて、主制御装置50は、4つのギャップセンサー40の測定結果に基づき、Z−チルト機構駆動回路64により各Z−チルト機構30を駆動して、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行う(ステップ304)。次に、主制御装置50は、Xステージ駆動回路61によりXステージ5を駆動し、Yステージ駆動回路62によりYステージ7を駆動し、θステージ駆動回路63によりθステージ8を駆動して、露光位置においてチャック10をXY方向へ移動及びθ方向へ回転させ、基板1のアライメントを行う(ステップ305)。
【0042】
なお、基板1のアライメント(ステップ305)は、マスク2と基板1とのギャップ合わせ(ステップ304)中に、アライメント用のセンサーが基板1及びマスク2に設けられたアライメント用のマークを検出できる距離にマスク2と基板1が接近した時点から開始してもよい。その場合、マスク2と基板1とのギャップ合わせ(ステップ304)と基板1のアライメント(ステップ305)を一部並行して行うことができるので、タクトタイムが短縮する。
【0043】
マスク2と基板1とのギャップ合わせが終了して、ショット(ステップ306)を行った後、主制御装置50は、全ショットが終了したか否かを判断する(ステップ307)。全ショットが終了していない場合、主制御装置50は、Z−チルト機構駆動回路64により各Z−チルト機構30を駆動して、各Z−チルト機構30を、予め決定したマスク2と基板1の接触の恐れが無い退避位置へ移動させる(ステップ308)。続いて、主制御装置50は、Xステージ駆動回路61によりXステージ5を駆動し、Yステージ駆動回路62によりYステージ7を駆動して、基板1のXY方向へのステップ移動を行い(ステップ309)、基板1を次のショットを行う位置へ移動させる。そして、ステップ304へ戻り、全ショットについてギャップ合わせが終了するまで、ステップ304〜309を繰り返す。
【0044】
全ショットが終了した場合、主制御装置50は、Z−チルト機構駆動回路64により各Z−チルト機構30を駆動して、マスク2と基板1とのギャップを広げた後(ステップ310)、Xステージ駆動回路61によりXステージ5を駆動し、Yステージ駆動回路62によりYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ311)。そして、ロード/アンロード位置において、チャック10からの基板1のアンロードが行われる(ステップ312)。
【0045】
ステップ304において、マスク2と基板1とのギャップ合わせは、後述する様に、各ギャップセンサー40によりマスク2と基板1とのギャップをマスク2の四隅で測定し、測定結果に基づいて、各Z−チルト機構30により、マスク2を保持するマスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトして行われる。このとき、ギャップセンサー40の測定点で基板1の表面に局所的な凹凸やうねり等があると、そのままでは、基板1のそのショットの露光領域全体から見て、マスク2が傾いた状態でギャップ合わせが行われるので、ギャップの大小による回折光の広がりの違いから、基板1に露光されるパターンは、線幅や高さが均一にならない。本発明では、予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサー40の測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、これらのオフセット値を用いて、ギャップセンサー40の測定点での基板1の表面の局所的な凹凸やうねり等を相殺する。
【0046】
図8は、主制御装置のギャップ合わせ動作を行う部分を示すブロック図である。主制御装置50のギャップ合わせ動作を行う部分は、Z−チルト機構制御部51、補正部52、メモリ53、移動量算出部54、判定部55、移動量決定部56、及び累積値確認部57を含んで構成されている。Z−チルト機構制御部51は、Z−チルト機構駆動回路64の制御を行い、Z−チルト機構駆動回路64が駆動した各Z−チルト機構30のZ方向の位置を検出する。
【0047】
メモリ53は、マスク2と基板1とのギャップの目標値、各ギャップセンサー40の測定点でのマスク2のZ方向の移動量の上限値、及び、予め露光した基板のパターンを測定して決めた、各ギャップセンサー40の測定点におけるショット毎のオフセット値を記憶している。移動量算出部54は、Z−チルト機構制御部51が検出した各Z−チルト機構30のZ方向の位置に基づき、3つのZ−チルト機構30で構成される平面の傾きを算出し、各ギャップセンサー40の測定点でのマスク2の移動量を算出する。
【0048】
図9は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を示すフローチャートである。図7に示した露光処理において、マスク2と基板1とのギャップ合わせ(ステップ304)を行う際、まず、各ギャップセンサー40は、マスク2と基板1とのギャップを、マスク2の四隅で測定する(ステップ401)。補正部52は、各ギャップセンサー40の測定値を、メモリ53に記憶された各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正する(ステップ402)。続いて、補正部52は、各ギャップセンサー40の測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスク2の各測定点を含む回帰平面を求める(ステップ403)。そして、補正部52は、求めた回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出する(ステップ404)。
【0049】
次に、判定部55は、メモリ53に記憶されたマスク2と基板1とのギャップの目標値と、ステップ402で得られた各補正値又はステップ404で算出された各論理ギャップとに基づき、マスク2と基板1とのギャップが許容範囲内であるか判定する(ステップ405)。このとき、判定部55は、ステップ402で得られた各補正値が許容範囲内か否かを判定し、または、ステップ404で算出された各論理ギャップが許容範囲内か否かを判定し、あるいは両者が許容範囲内か否かを判定する。
【0050】
各ギャップセンサー40の測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うと、各ギャップセンサー40により実際に測定された測定値が正確である程、ギャップ合わせの精度が向上する。また、回帰平面上で算出した各論理ギャップを用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うと、各ギャップセンサーにより実際に測定された測定値の一部に誤差がある場合、誤差による影響が少なくなって、ギャップ合わせの精度が向上する。さらに、補正値及び論理ギャップの両方を用いて、ギャップが許容範囲内か否かの判定を行うと、いずれか一方でも許容範囲外であるとギャップ合わせが継続されるので、ギャップ合わせの精度がさらに向上する。
【0051】
ステップ405において、マスク2と基板1とのギャップが許容範囲内であれば、ギャップ合わせ動作を終了する。マスク2と基板1とのギャップが許容範囲内でない場合、移動量決定部56は、メモリ53に記憶されたマスク2と基板1とのギャップの目標値と、ステップ402で得られた各補正値又はステップ404で算出された各論理ギャップとに基づき、各ギャップセンサー40の測定点での、マスク2を移動する移動量を決定し(ステップ406)、各Z−チルト機構30を移動する移動量を算出する(ステップ407)。
【0052】
累積値確認部57は、Z−チルト機構制御部51がZ−チルト機構駆動回路64により各Z−チルト機構30を駆動する前に、各ギャップセンサー40の測定点について、移動量算出部54が算出したマスク2の移動量及び移動量決定部56が決定したマスク2の移動量の累積値が、メモリ53に記憶された上限値以下であるか確認する(ステップ408)。移動量の累積値が上限値以下である場合、Z−チルト機構制御部51は、Z−チルト機構駆動回路64を駆動して、各Z−チルト機構30を移動量決定部56が算出した各Z−チルト機構30の移動量だけ移動させ(ステップ409)、ステップ401へ戻る。マスク2の移動量の累積値が上限値以下でない場合、ギャップ合わせ動作を停止する。
【0053】
予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサー40の測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構30によりマスク2と基板1とのギャップ合わせを行うので、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定点で、基板1の表面の局所的な凹凸やうねり等がオフセット値により相殺される。従って、ショット毎に、マスク2と基板1とがより平行な状態でギャップ合わせが行われ、露光精度が向上する。
【0054】
また、各Z−チルト機構30のZ方向の位置に基づき、各ギャップセンサー40の測定点でのマスク2の移動量を算出し、マスク2と基板1とのギャップの目標値、及びマスク2と基板1とのギャップの測定結果に基づき、各ギャップセンサー40の測定点での、マスク2を移動する移動量を決定し、複数のZ−チルト機構30を駆動する前に、各ギャップセンサー40の測定点について、算出した移動量及び決定した移動量の累積値が上限値以下であるか確認するので、ギャップ合わせ時にマスク2と基板1の接触が防止される。
【0055】
以上説明した実施の形態によれば、予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサー40の測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構30によりマスク2と基板1とのギャップ合わせを行うことにより、ショット毎に、マスク2と基板1とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させることができる。
【0056】
さらに、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行うことにより、各ギャップセンサー40により実際に測定された測定値が正確である程、ギャップ合わせの精度を向上させることができる。
【0057】
あるいは、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスク2の各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行うことにより、各ギャップセンサー40により実際に測定された測定値の一部に誤差がある場合、誤差による影響を少なくして、ギャップ合わせの精度を向上させることができる。
【0058】
あるいは、ショット毎に、各ギャップセンサー40の測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスク2の各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行うことにより、ギャップ合わせの精度をさらに向上させることができる。
【0059】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を用いてマスクと基板とのギャップ合わせを行って、基板の露光を行うことにより、ショット毎に、マスクと基板とがより平行な状態でギャップ合わせを行って、露光精度を向上させることができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0060】
例えば、図10は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0061】
また、図11は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0062】
図10に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図11に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
21 ホルダフレーム
22 トップフレーム
23 エアクッション
24 チルト用腕
30 Z−チルト機構
31 ケーシング
32 直動ガイド
33 可動ブロック
34 モータ
35 軸継手
36a ボールねじ
36b ナット
37 ボール
40 ギャップセンサー
41 レーザー光源
42 コリメーションレンズ群
43 投影レンズ
44,45 ミラー
46 結像レンズ
47 CCDラインセンサー
50 主制御装置
51 Z−チルト機構制御部
52 補正部
53 メモリ
54 移動量算出部
55 判定部
56 移動量決定部
57 累積値確認部
61 Xステージ駆動回路
62 Yステージ駆動回路
63 θステージ駆動回路
64 Z−チルト機構駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、前記チャックを移動するステージとを備え、前記ステージにより前記チャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置において、
前記マスクホルダと前記チャックとを相対的にZ方向へ移動及びチルトする複数のZ−チルト機構と、
マスクと基板とのギャップを複数箇所で測定する複数のギャップセンサーと、
前記複数のZ−チルト機構を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、予め露光した基板のパターンを測定して決めた、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を記憶し、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、前記駆動回路により前記複数のZ−チルト機構を駆動して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記制御装置は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記制御装置は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
前記制御装置は、ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項5】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、ステージによりチャックを移動して基板のXY方向へのステップ移動を行い、基板の一面を複数のショットに分けて露光するプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法であって、
マスクホルダとチャックとを相対的にZ方向へ移動及びチルトする複数のZ−チルト機構と、マスクと基板とのギャップを複数箇所で測定する複数のギャップセンサーとを設け、
予め露光した基板のパターンを測定して、各ギャップセンサーの測定点におけるショット毎のオフセット値を決め、
ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を、各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正し、補正後の補正値に基づいて、複数のZ−チルト機構によりマスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法。
【請求項6】
ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値が、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法。
【請求項7】
ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法。
【請求項8】
ショット毎に、各ギャップセンサーの測定値を各測定点におけるショット毎のオフセット値で補正した補正値を用いて、マスクの各測定点を含む回帰平面を求め、回帰平面上の各測定点での論理ギャップを算出し、各補正値及び算出した各論理ギャップが、許容範囲内か否かを判定して、マスクと基板とのギャップ合わせを行うことを特徴とする請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項10】
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置のギャップ制御方法を用いてマスクと基板とのギャップ合わせを行って、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−54270(P2013−54270A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193683(P2011−193683)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】