説明

ベルト式無段変速機の変速制御装置

【課題】セカンダリ圧が高い状態から急激にHigh側へシフトさせる際のベルト滑りを防止する。
【解決手段】本発明は、油圧ポンプから供給されるライン圧を元圧としてプライマリプーリへの供給圧であるプライマリ圧を制御する変速制御弁と、無段変速機構の目標変速比に対応した位置に変速アクチュエータを駆動させることによって変速制御弁をプライマリ圧が変化する位置に移動させるとともに、プライマリ圧が変化してプライマリプーリの可動シーブが変位することで変速制御弁をプライマリ圧が保持される位置に戻すリンク機構とを備えるベルト式無段変速機の変速制御装置において、ライン圧の上限値に基づいてプライマリプーリが発生可能な最大推力を演算し(S3)、最大推力に基づいて変速速度の上限値を演算し(S5)、変速速度の上限値に基づいて目標変速比を設定する(S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルト式無段変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一端がステップモータに連結され、他端がプライマリプーリの可動シーブに連結されるリンク機構を変速制御弁に連結し、ステップモータの送り量に応じて変速制御弁を駆動するとともに可動シーブの変位によって実変速比のフィードバックを受けることで変速比を制御するベルト式無段変速機が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2006−105174公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、マニュアルモードで変速比を固定して加速中にエンジン回転速度が所定の回転速度を超えてオートアップされるような場合などのように、セカンダリ圧が高い状態から急激にHigh側へシフトされると、差推力を得るためにプライマリ圧の要求値が最大となるがセカンダリ圧が高いために大きな差推力を得ることができない。
【0004】
また、セカンダリ圧及びプライマリ圧の元圧となるライン圧は、ポンプの吐出油量収支上、最大圧には上限があり、当然、プライマリ圧はライン圧の最大圧を越える圧力に設定することはできず、これも差推力を大きくとれない要因となっている。
【0005】
これにより、変速が遅れて実変速比と目標変速比との差が大きくなり、その分フィードバック補正量が大きくなるので、変速制御弁のプライマリ圧を供給する側の開度が最大となりプライマリプーリに過剰な油圧が供給される。
【0006】
よって、実変速比が目標変速比に対してアンダーシュートするので、実変速比を戻すように変速制御弁のドレン側通路を開放するが、このときプライマリ圧が抜けすぎてベルト滑りを生じることがある。
【0007】
本発明は、セカンダリ圧が高い状態から急激にHigh側へシフトさせる際のベルト滑りを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトを掛け回し、各プーリへの供給圧を制御することで各プーリの可動シーブが変位して変速比が変化するように構成される無段変速機構と、油圧ポンプから供給されるライン圧を元圧としてプライマリプーリへの供給圧であるプライマリ圧を制御する変速制御弁と、無段変速機構の目標変速比に対応した位置に変速アクチュエータを駆動させることによって変速制御弁をプライマリ圧が変化する位置に移動させるとともに、プライマリ圧が変化してプライマリプーリの可動シーブが変位することで変速制御弁をプライマリ圧が保持される位置に戻すリンク機構とを備えるベルト式無段変速機の変速制御装置において、ライン圧の上限値に基づいてプライマリプーリが発生可能な最大推力を演算するプライマリ最大推力演算手段と、プライマリプーリが発生可能な最大推力に基づいて無段変速機構の変速速度の上限値を演算する変速速度上限値演算手段と、変速速度の上限値に基づいて無段変速機構の目標変速比を設定する目標変速比設定手段とを備えることを特徴とするベルト式無段変速機の変速制御装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ライン圧の上限値に基づいてプライマリプーリが発生可能な最大推力を演算し、この最大推力に基づいて演算される無段変速機構の変速速度の上限値に基づいて無段変速機構の目標変速比を設定するので、セカンダリ圧が高い状態から急激にHigh側へシフトさせても、実変速比が目標変速比に追従できなくなることを防止できる。よって、実変速比が目標変速比に対してアンダーシュートすることがなく、従来のアンダーシュートした実変速比を戻す際に生じるプライマリ圧の抜けすぎに起因するベルト滑りを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
図1は本実施形態におけるベルト式無段変速機のライン圧制御装置を示す概略構成図である。ベルト式無段変速機10は、プライマリプーリ11と、セカンダリプーリ12と、Vベルト13と、CVTコントロールユニット20(以下「CVTCU」という)と、油圧コントロールユニット30とを備える。
【0012】
プライマリプーリ11は、このベルト式無段変速機10にエンジン1の回転を入力する入力軸側のプーリである。プライマリプーリ11は、入力軸11dと一体となって回転する固定円錐板11bと、この固定円錐板11bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、プライマリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧によって軸方向へ変位可能な可動円錐板11aとを備える。プライマリプーリ11は、前後進切り替え機構3、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ2を介してエンジン1に連結され、そのエンジン1の回転を入力する。プライマリプーリ11の回転速度は、プライマリプーリ回転速度センサ26によって検出される。
【0013】
Vベルト13は、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に巻き掛けられ、プライマリプーリ11の回転をセカンダリプーリ12に伝達する。
【0014】
セカンダリプーリ12は、Vベルト13によって伝達された回転をディファレンシャル4に出力する。セカンダリプーリ12は、出力軸12dと一体となって回転する固定円錐板12bと、この固定円錐板12bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室12cへ作用する油圧に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板12aとを備える。なお、セカンダリプーリシリンダ室12cの受圧面積は、プライマリプーリシリンダ室11cの受圧面積と略等しく設定されている。
【0015】
セカンダリプーリ12は、アイドラギア14及びアイドラシャフトを介してディファレンシャル4を連結しており、このディファレンシャル4に回転を出力する。セカンダリプーリ12の回転速度は、セカンダリプーリ回転速度センサ27によって検出される。なお、このセカンダリプーリ12の回転速度から車速を算出することができる。
【0016】
CVTCU20は、インヒビタスイッチ23、アクセルペダルストローク量センサ24、油温センサ25、プライマリプーリ回転速度センサ26、セカンダリプーリ回転速度センサ27等からの信号や、エンジンコントロールユニット21からの入力トルク情報に基づいて、変速比や接触摩擦力を決定し、油圧コントロールユニット30に指令を送信して、ベルト式無段変速機10を制御する。
【0017】
油圧コントロールユニット30は、CVTCU20からの指令に基づいて応動する。油圧コントロールユニット30は、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に対する供給油圧を制御して可動円錐板11a及び可動円錐板12aを回転軸方向に移動させる。
【0018】
可動円錐板11a及び可動円錐板12aが移動するとプーリ溝幅が変化する。すると、Vベルト13が、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12上で移動する。これによって、Vベルト13のプライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に対する接触半径が変わり、変速比及びVベルト13の接触摩擦力がコントロールされる。
【0019】
エンジン1の回転は、トルクコンバータ2、前後進切り替え機構3を介してベルト式無段変速機10へ入力され、プライマリプーリ11からVベルト13、セカンダリプーリ12を介してディファレンシャル4へ伝達される。
【0020】
アクセルペダルが踏み込まれたり、マニュアルモードでシフトチェンジされると、プライマリプーリ11の可動円錐板11a及びセカンダリプーリ12の可動円錐板12aを軸方向へ変位させて、Vベルト13との接触半径を変更することにより、変速比を連続的に変化させる。
【0021】
図2は油圧コントロールユニット及びCVTCUの概念図である。
【0022】
油圧コントロールユニット30は、レギュレータバルブ31と、変速制御弁32と、減圧弁33とを備え、油圧ポンプ34から供給される油圧を制御してプライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に供給する。
【0023】
レギュレータバルブ31は、ソレノイドを有し、油圧ポンプ34から圧送された油の圧力を、CVTCU20からの指令(例えば、デューティ信号など)に応じて所定のライン圧に調圧する調圧弁である。
【0024】
油圧ポンプ34から供給され、レギュレータバルブ31によって調圧されたライン圧は、変速制御弁32と、減圧弁33にそれぞれ供給される。
【0025】
変速制御弁32は、プライマリプーリシリンダ室11cの油圧(以下「プライマリ圧」という)を所望の目標圧となるよう制御する制御弁である。変速制御弁32は、メカニカルフィードバック機構を構成するサーボリンク50(リンク機構)に連結され、サーボリンク50の一端に連結されたステップモータ40によって駆動されるとともに、サーボリンク50の他端に連結したプライマリプーリ11の可動円錐板11aから溝幅、つまり実変速比のフィードバックを受ける。変速制御弁32は、スプール32aの変位によってプライマリプーリシリンダ室11cへの油圧の吸排を行って、ステップモータ40の駆動位置で指令された目標変速比となるようにプライマリ圧を調整し、実際に変速が終了するとサーボリンク50からの変位を受けてスプール32aを閉弁位置に保持する。
【0026】
減圧弁33は、ソレノイドを備え、セカンダリプーリシリンダ室12cへの供給圧(以下「セカンダリ圧」という)を所望の目標圧に制御する制御弁である。
【0027】
プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12の変速比は、CVTCU20からの変速指令信号に応じて駆動されるステップモータ40によって制御され、ステップモータ40に応動するサーボリンク50の変位に応じて変速制御弁32のスプール32aが駆動され、変速制御弁32に供給されたライン圧が調整されてプライマリ圧をプライマリプーリ11へ供給し、溝幅が可変制御されて所定の変速比に設定される。
【0028】
CVTCU20は、インヒビタスイッチ23からのレンジ信号、アクセルペダルストローク量センサ24からのアクセルペダルストローク量、油温センサ25からのベルト式無段変速機10の油温や、プライマリプーリ速度センサ26、セカンダリプーリ速度センサ27、油圧センサ29からの信号等を読み込んで変速比やVベルト13の接触摩擦力を可変制御する。なお、油圧センサ29は、セカンダリプーリのシリンダ室12cにかかるセカンダリ圧を検出するセンサである。
【0029】
CVTCU20は、車速やアクセルペダルストローク量等に応じて、その運転状態で最適な変速比(到達変速比)を決定する。この到達変速比に対して、中間的な目標の変速比(目標変速比)を演算し、現在の変速比から到達変速比に向けての変化過程を所望の特性となるように制御する。目標変速比は、到達変速比に対して一次遅れ系となるように設定され、その際の時定数(通常の時定数)を車両の運転状態やベルト式無段変速機10の動作モード等により任意に調整することで、変速速度を調整している。この目標変速比にフィードフォワード補償処理、フィードバック補償処理、外乱補償処理等を行った上で、最終的な目標変速比を決定し、これをステップモータ40の駆動信号に変換して、ステップモータ40を駆動し、現在の変速比を目標変速比へ向けて変化させる。
【0030】
さらに、入力トルク情報、変速比、油温からライン圧の目標値を決定し、レギュレータバルブ31のソレノイドを駆動することでライン圧の制御を行い、また、セカンダリ圧の目標値を決定して、油圧センサ29の検出値と目標値とに応じて減圧弁33のソレノイドを駆動して、フィードバック制御によりセカンダリ圧を制御する。
【0031】
以下、CVTCU20で行う制御について図3のフローチャートを参照しながら説明する。なお、これらの制御は微少時間(例えば10ms)ごとに繰り返し行われる。
【0032】
ステップS1では、制御開始条件を満足しているか否かを判定する。制御開始条件を満足していればステップS2へ進み、満足していなければ処理を終了する。制御開始条件は、アップシフト中であること、シフトレバーがN、Pレンジ以外にあること、変速比が平衡状態にあるときのプライマリ圧であるバランス圧が正確に演算できない状態でないこと、及び変速機への入力トルクが補正される状態にないことなどの条件である。本ステップでは、以上の条件を全て満たすときに条件を満足していると判定される。
【0033】
ここで、到達変速比と目標変速比との偏差が所定値以下のときアップシフト中であると判定される。このように判定するのは、アップシフト中であるとして本制御が行われているときに、実変速比が目標変速比に対してアンダーシュートすることで運転者の操作によってダウンシフトした場合に、ダウンシフト中であると判定されて制御が中止されるのを防止するためである。また、バランス圧が正確に演算できない状態とは、駆動輪がスリップしたときや車両が停止中などである。変速機への入力トルクが補正される状態とは、インヒビタスイッチ23の異常時やエンジン回転速度の異常時などである。
【0034】
ステップS2では、ライン圧の上限値を演算する。ライン圧上限値は、油圧ポンプ34が発生することができる最大の発生圧と、油温や油圧ポンプ34の回転速度を考慮して求められる発生圧とのうち低い方の圧力である。油温や油圧ポンプ34の回転速度は油量収支に影響を与え、例えば油温が高すぎる、又は低すぎると発生圧は低下し、油圧ポンプ34の回転速度が低いほど発生圧は低下する。
【0035】
ステップS3(プライマリ最大推力演算手段)では、プライマリプーリ11に発生させることができる最大推力を演算する。プライマリプーリ11に発生させることができる最大推力とは、ステップS2において演算されたライン圧上限値をプライマリ圧として供給したときにプライマリプーリ11に生じる推力であり、ライン圧上限値にプライマリプーリシリンダ室11cの受圧面積を乗算することで演算される。
【0036】
ステップS4では、差推力を演算する。差推力とは、プライマリ圧とセカンダリ圧とがバランスして変速比が平衡状態にあるときのプライマリプーリ11の推力であるバランス推力と、プライマリプーリ11の最大推力との差である。
【0037】
ステップS5(変速速度上限値演算手段)では、差推力に基づいて時定数の限界値を演算する。ここで、時定数とは変速速度を決定するパラメータであり、時定数が大きいほど変速速度は遅くなり、時定数が小さいほど変速速度は速くなる。時定数の限界値はステップS4において演算された差推力によって実現できる最高の変速速度となる時定数であり、差推力が大きいほど変速速度は高くなり時定数の限界値は小さく設定される。
【0038】
ステップS6では、時定数の限界値が通常の時定数より大きいか否かを判定する。時定数の限界値が通常の時定数より大きければステップS7へ進み、時定数の限界値を時定数として設定する。時定数の限界値が通常の時定数以下であればステップS8へ進み、通常の時定数を時定数として設定する。
【0039】
ステップS9(目標変速比設定手段)では、ステップS7又はS8において設定された時定数に基づいて目標変速比を設定する。ここで、目標変速比はステップS7又はS8において設定された時定数、すなわち現在実現可能な最高の変速速度で変速したときに実変速比を追従させることができる最大の変速比に設定される。
【0040】
ステップS10では、目標変速比に基づいてステップモータ40の指示値を設定する。
【0041】
次に図4、5を用いて本実施形態の作用について説明する。図4は従来例における変速制御を示すタイムチャートであり、(a)は変速比、(b)はステップモータ指示値、(c)はプライマリ圧及びセカンダリ圧をそれぞれ示している。図5は本実施形態におけるベルト式無段変速機の変速制御装置の作用を示すタイムチャートであり、(a)は変速比、(b)はステップモータ指示値、(c)はプライマリ圧及びセカンダリ圧をそれぞれ示している。
【0042】
初めに図4を参照しながら従来例について説明する。車両が走行中に急激なアップシフトが要求されると、ステップモータ40をHigh側へ送り、時刻t1においてプライマリ圧が発生可能な最大圧まで上昇する。しかし、セカンダリ圧が高く、またライン圧の上限値以上には上昇させることができないので、差推力が確保できず、変速が遅れて実変速比と目標変速比との偏差が拡大する。
【0043】
これにより、フィードバック補正量が過大となりステップモータ40が過剰にHigh側へ送られたままプライマリプーリシリンダ室11cに油圧が過剰供給されるので、時刻t2において実変速比が目標変速比に対してアンダーシュートする。そこでアンダーシュートした実変速比を戻すためにステップモータ40をロー側へ送り、変速制御弁32のドレン側通路を開放すると油圧が抜けすぎてプライマリ圧が急激に低下し、ベルト滑りを生じる。
【0044】
次に図5を参照しながら本実施形態におけるベルト式無段変速機の変速制御装置の作用について説明する。車両が走行中に急激なアップシフトが要求されると、ステップモータ40をHigh側へ送り、時刻t1においてプライマリ圧が発生可能な最大圧まで上昇する。このときライン圧上限値に基づいてプライマリ圧に実際に生じさせることができる差推力を演算し、この差推力で変速可能な変速速度(時定数)を演算する。さらに、この変速速度(時定数)に基づいて目標変速比を演算し、ステップモータ40を駆動する。
【0045】
これにより、実変速比を目標変速比に追従させることができるので、フィードバック補正量が過大となることなく、プライマリ圧が急低下してベルト滑りが生じることを防止できる。
【0046】
以上のように本実施形態では、ライン圧の上限値に基づいてプライマリプーリ11が発生可能な最大推力を演算し、この最大推力に基づいて演算される変速速度の上限値(時定数の下限値)に基づいて目標変速比を設定するので、セカンダリ圧が高い状態から急激にHigh側へシフトさせても、実変速比が変速速度の上限値を超える速度で変速されることで目標変速比に追従できなくなることを防止できる。よって、実変速比が目標変速比に対してアンダーシュートし、さらにアンダーシュートした実変速比を戻す際にプライマリ圧が抜けすぎてベルト滑りを生じることを防止できる。(請求項1に対応)
また、バランス推力とプライマリプーリ11の最大推力との差が大きいほど変速速度の上限値は高く(時定数は小さく)設定されるので、差推力に基づいて実現可能な変速速度を適切に設定することができ、実変速比が目標変速比に追従できなくなることを防止できる。(請求項2に対応)
さらに、変速速度の上限値が高いほど目標変速比は高く設定されるので、実変速比が目標変速比に追従できなくなることを防止できる。(請求項3に対応)
さらに、ライン圧の上限値は油温と油圧ポンプ34の回転速度に基づいて演算されるので、演算精度を向上させることができる。(請求項4に対応)
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態におけるベルト式無段変速機の変速制御装置を示す概略構成図である。
【図2】油圧コントロールユニット及びCVTCUの概念図である。
【図3】本実施形態におけるベルト式無段変速機の変速制御装置の制御を示すフローチャートである。
【図4】従来例における変速制御を示すタイムチャートである。
【図5】本実施形態における変速制御を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 ベルト式無段変速機
11 プライマリプーリ
11a 可動円錐板(可動シーブ)
11b 固定円錐板
12 セカンダリプーリ
12a 可動円錐板(可動シーブ)
12b 固定円錐板
13 Vベルト
20 CVTコントロールユニット
32 変速制御弁
32a スプール
34 油圧ポンプ
40 ステップモータ(変速アクチュエータ)
50 サーボリンク(リンク機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトを掛け回し、各プーリへの供給圧を制御することで各プーリの可動シーブが変位して変速比が変化するように構成される無段変速機構と、油圧ポンプから供給されるライン圧を元圧として前記プライマリプーリへの供給圧であるプライマリ圧を制御する変速制御弁と、前記無段変速機構の目標変速比に対応した位置に変速アクチュエータを駆動させることによって前記変速制御弁をプライマリ圧が変化する位置に移動させるとともに、プライマリ圧が変化して前記プライマリプーリの可動シーブが変位することで前記変速制御弁をプライマリ圧が保持される位置に戻すリンク機構とを備えるベルト式無段変速機の変速制御装置において、
ライン圧の上限値に基づいて前記プライマリプーリが発生可能な最大推力を演算するプライマリ最大推力演算手段と、
前記プライマリプーリが発生可能な最大推力に基づいて前記無段変速機構の変速速度の上限値を演算する変速速度上限値演算手段と、
前記変速速度の上限値に基づいて前記無段変速機構の目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、
を備えることを特徴とするベルト式無段変速機の変速制御装置。
【請求項2】
前記変速速度上限値演算手段は、前記無段変速機構の変速比が平衡状態にあるときの前記プライマリプーリの推力と前記プライマリプーリが発生可能な最大推力との差が大きいほど前記無段変速機構の変速速度の上限値を高く設定することを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
【請求項3】
前記目標変速比設定手段は、前記変速速度の上限値が高いほど前記無段変速機構の目標変速比を高く設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。
【請求項4】
前記ライン圧の上限値は油温及び前記油圧ポンプの回転速度に基づいて演算されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のベルト式無段変速機の変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−151198(P2008−151198A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337966(P2006−337966)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】