説明

マイクロメカニカル構造体とその製造方法

【課題】固定部から伸びる可動梁で反射面を支持するマイクロメカニカル構造体において固定部を高くして反射面の揺動可能角度度を拡大する。
【解決手段】犠牲エッチング層を除去して形成したマイクロメカニカル構造体であり、基板42と、基板から垂直方向に立ち上がっている固定部113と、固定部に連なっているとともに基板から間隙Hを隔てた高さを基板に平行に伸びている可動梁112a,112bと、可動梁の先端に連なっているとともに基板となす角度が変化する揺動板111と、揺動板の表面に形成されている反射面161を備えている。可動梁112a,112bが伸びている方向に測定した固定部131の幅Lが、基板10に垂直方向に測定した可動梁112a,112bの厚みTよりも大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメカニカル構造体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路作成技術を利用して3次元構造を備えたマイクロメカニカル構造体(MEMS;Micro Electro Mechanical Systems)が製造可能となっており、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、あるいはデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下ではDMDという)等が実現されている。半導体集積回路作成技術で3次元構造を実現するために、犠牲エッチング層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングする技術が利用される。
本発明でいうマイクロメカニカル構造体(以下ではMEMSという)とは、成膜技術とエッチング技術に代表される半導体集積回路作成技術を利用し、犠牲エッチング層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングすることによって実現された3次元の構造体をいう。
【0003】
センサやDMD等を実現するMEMSの中には、基板と固定部と可動梁と揺動板を備えているものがある。固定部は、基板から垂直方向に立ち上がっている。可動梁は、固定部に連なっているとともに、基板から間隙を隔てた高さを基板に平行に伸びている。揺動板は、可動梁の先端に連なっているとともに、基板となす角度が変化する。DMDを実現するMEMSは揺動板を揺動させるアクチュエータを備えており、可動梁を変形させることによって揺動板が基板に対して揺動する。センサを実現するMEMSの場合は、外力が作用すると揺動板が可動梁を変形させることによって基板に対して揺動する。揺動板の揺動角を検出することによって作用した外力等を検出することができる。
【0004】
上記のMEMSが、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平8−146911号公報
【特許文献2】特開2005−221903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可動梁と揺動板を有するMEMSには、揺動板の揺動可能角度を大きくしたいとする要求が存在する。例えばDMD等を実現するMEMSの揺動板の揺動可能角度を大きくすることができれば、光ビームの反射方向を大きく変化させることができ、光ビームを大口径レンズに入射させたり入射させなかったりする切換が可能となり、大口径レンズを利用して明るい映像を実現することが可能となる。
【0006】
基板と固定部と可動梁と揺動板を有するMEMSは、犠牲エッチング層を利用して形成される。すなわち、基板と可動梁との間隙ならびに基板と揺動板との間の間隙を確保するために、間隙の厚みの等しい犠牲エッチング層を用意する。その犠牲エッチング層には、側面を形成しておき、その側面を利用して固定部を形成する。
具体的に説明すると、図70に示すように、支持板602と支持板表面耐エッチング層604と犠牲エッチング層606を積層した積層板を準備する。支持板602と支持板表面耐エッチング層604を総称して基板600という。犠牲エッチング層606の厚みはHに調整しておく。犠牲エッチング層606には、後で固定部616を製造する部位に側面606aを形成しておく。ついで図71に示すように、内側耐エッチング層608と易エッチング層610と外側耐エッチング層612を積層する。内側耐エッチング層608と易エッチング層610と外側耐エッチング層612は、犠牲エッチング層606の表面のみならず、側面606aにも形成される。なお、易エッチング層610は、後記する貫通孔614の形成範囲では除去しておく。ついで図72に示すように、外側耐エッチング層612と内側耐エッチング層608を貫通して犠牲エッチング層606に達する貫通孔614を穿つ。貫通孔614は、易エッチング層610が除去されている範囲内に形成する。ついで図73に示すように、貫通孔614から犠牲エッチング層606をエッチングして除去する。支持板表面耐エッチング層604で支持板602を保護し、内側耐エッチング層608と外側耐エッチング層610で易エッチング層610を保護した状態でエッチングするために、支持板602と易エッチング層610はエッチングされず、犠牲エッチング層606だけがエッチングされる。図74はその段階で得られるMEMSの平面図を示す。
上記の結果、図73と図74に示すように、基板600の上に、固定部616と可動梁618と揺動板620が形成される。固定部616は、基板600の表面から垂直方向に立ち上がっている。可動梁618は、固定部616に連なっているとともに基板600から間隙H(犠牲エッチング層606の厚みHに等しい)を隔てた高さを基板600に平行に伸びている。揺動板620は、可動梁618の先端に連なっているとともに、可動梁618が変形すると基板600となす角度が変化する。可動梁618は変形しやすいように幅Wが狭く形成されている。
【0007】
易エッチング層610は導電性である。MEMSがDMD等の能動型の場合は、揺動板620の一部を構成する易エッチング層610が電圧等を印加するアクチュエータを構成する。MEMSがセンサ等の受動型の場合は、揺動板620の一部を構成する易エッチング層610が揺動板620が揺動したときに出力電圧等を変化させる電極を構成する。
固定部616を構成している導電性の易エッチング層610は、揺動板620の一部を構成する易エッチング層610と基板600の表面に形成されている導電層(図示されていない)を電気的に接続する。
【0008】
上記は、固定部616と可動梁618と揺動板620を形成する通常の方法であり、固定部616と可動梁618と揺動板620の全部が、内側耐エッチング層608と易エッチング層610と外側耐エッチング層612の積層板で形成される。可動梁618が伸びている方向に測定した固定部616の幅Lは、基板600に垂直方向に測定した可動梁618の厚みTにほぼ等しい。
【0009】
基板600と可動梁618の間の間隙H、あるいは基板600と揺動板620の間の間隙Hが小さい場合には、上記の方法で製造されるMEMSで格別の不都合は生じない。
しかしながら、揺動板620の揺動可能角度を大きくするためには、基板600と可動梁618の間の間隙H、あるいは基板600と揺動板620の間の間隙Hを大きくしなければならない。間隙Hを大きくする場合には、深刻な問題が生じる。
一つの問題は、間隙Hが大きくなってくると固定部616の強度が不足し、固定部616が意図に反して変形するために意図した間隙Hを確保できなくなることである。間隙HはMEMSの特性に直接的に影響するために、意図した間隙Hを確保できなければ意図した特性が得られない。内側耐エッチング層608、易エッチング層610あるいは外側耐エッチング層612の厚みを増せば、固定部616の強度を向上させることができるが、今度は可動梁618の剛性が高くなりすぎ、揺動板620を揺動させることが困難となる。固定部616の強度を上げることと可動梁618のしなやかさを確保することはトレードオフの関係にあり、両者を同時に満足することは難しい。
他の一つの問題は、間隙Hを大きくなると、固定部616を通過する導電性の易エッチング層610が断線しやすくするなることである。
【0010】
本発明の一つの目的は、固定部によって基板から間隙を隔てた高さに可動梁と揺動板を支持しておく構造において、固定部の強度を上げることと可動梁のしなやかさを維持することの両者を同時に実現する技術を提供する。
本発明の更なる目的は、上記の構造において固定部を通過する導電層の断線を防止する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は新規なマイクロメカニカル構造体(MEMS)を実現する。ここでいうMEMSは、積層板を構成する層のうちの特定の層を局所的に除去することによって得られる3次元構造を備えている物体をいう。
本発明のMEMSは、基板と、基板から垂直方向に立ち上がっている固定部と、固定部に連なっているとともに基板から間隙を隔てた高さを基板に平行に伸びている可動梁と、可動梁の先端に連なっているとともに基板となす角度が変化する揺動板とを備えている。本発明のMEMSは、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅が、基板に垂直方向に測定した可動梁の厚みよりも大きいことを特徴とする。
【0012】
課題の欄で記載したように、従来の方法で製造したMEMSは、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅と、基板に垂直方向に測定した可動梁の厚みが等しい。そのために、基板と可動梁の間の間隙、あるいは基板と揺動板の間の間隙を大きくすると、固定部の強度が不足し、間隙を維持できなくなる。固定部の幅を増大させれば固定部の強度を確保できるが、こんどは可動梁が変形しづらくなってしまう。可動梁の可動性を確保する必要があることから、固定部の幅を増大させて固定部の強度を確保する構造を採用することができない。
本発明のMEMSは、製造方法を改良することによって、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅が、基板に垂直方向に測定した可動梁の厚みよりも大きいという結果を実現している。
上記の関係を備えているMEMSによると、固定部の強度を上げるのと同時に、可動梁のしなやかさを維持することが可能となる。可動梁のしなやかさを維持しながら、基板と可動梁の間の間隙、あるいは基板と揺動板の間の間隙を大きくすることができ、揺動板の揺動可能角度を大きくとることができる。
【0013】
固定部の幅と可動梁の厚みを変えるために、固定部を構成する積層構造と可動梁を構成する積層構造を変えることが好ましい。例えば、可動梁と揺動板については、基板に垂直な断面で観測したときに、基板の側から順に、内側耐エッチング層と易エッチング層と外側耐エッチング層が観測される構造を採用する一方において、固定部については、基板に垂直であるとともに可動梁が伸びている方向に沿った断面で観測したときに、可動梁の側から順に、追加耐エッチング層と追加易エッチング層が観測される構造を採用することが好ましい。
追加易エッチング層は、MEMSの製造工程で利用する犠牲エッチング層を同一材料で形成されていてもよい。また上記でいう耐エッチング層とは、犠牲エッチング層をエッチングするエッチング剤に対して耐性を有することを意味し、犠牲エッチング層をエッチングして除去した状態で残存するものをいう。また易エッチング層とは、犠牲エッチング層をエッチングするエッチング剤によるエッチング速度が速いことを意味し、耐エッチング層で被覆しておかなければ犠牲エッチング層のエッチングの際に消失してしまうものをいう。さらにここでいう「追加」は、可動梁と揺動板を構成する積層には見られない層であることを示している。
【0014】
可動梁が伸びている方向に沿った断面で観測したときに、可動梁の側から順に、追加耐エッチング層と追加易エッチング層が観測される構造によって固定部を形成すると、可動梁のしなやかさと無関係に固定部の強度を自在に調整することができる。
【0015】
通常の耐エッチング層は絶縁物質で形成されており、通常の易エッチング層は導電物質で形成されていることが多い。
この場合、可動梁を構成している易エッチング層と、固定部を構成している追加易エッチング層が、可動梁と固定部の間に位置している内側耐エッチング層に形成された孔を通して導通している構造を実現することができる。
【0016】
上記の構造によると、固定部を構成している追加易エッチング層が、可動梁を構成している易エッチング層と、基板に形成されている導電層を接続する導体としても機能する。固定部が高くして可動梁と基板の間の間隙を大きくしても、固定部を通過する導電体が断線する事故の発生を防止することができる。
【0017】
本発明によると、固定部の強度を上げることができるために、高さを高くすることができる。すなわち、基板に垂直方向に測定した固定部の高さが、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅よりも大きい関係を実現することができる。
この場合、揺動板と基板の間の間隙を大きくし、揺動板の揺動可能角度を十分に確保することができる。
【0018】
本発明のMEMSは、固定部と可動梁と揺動板で構成される構造を単位としたときに、複数個の単位構造を共通基板に形成することに適している。すなわち、単位構造の複数個が共通基板に配置されている構造を簡単に実現することができる。
【0019】
上記によると、複数個の揺動板が配置されているMEMSを実現することができる。例えば、複数個の揺動板を規則的に配置することで構成される画像作成装置を実現することができる。
【0020】
画像作成装置を実現する場合、各々の揺動板の外側表面に反射面が形成することが好ましい。反射面を形成することによって、反射光量を確保して明るい画像を形成することが可能となる。
【0021】
本発明のMEMSは下記の製造方法で製造することができる。この製造方法では、一部が犠牲エッチング層となる間隙形成層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングしてMEMSを製造する。間隙形成層のうちのエッチングで除去される範囲を犠牲エッチング層という。
この製造方法では、支持板と支持板表面耐エッチング層と間隙形成層と内側耐エッチング層と易エッチング層と外側耐エッチング層が積層されている積層板を用意する。
この積層板には、可動梁の内側に位置する間隙に固定部が面する位置において、間隙形成層を貫通する追加耐エッチング層を形成しておく。また、固定部の一部を形成する追加易エッチング層となる間隙形成層を、追加耐エッチング層と外側耐エッチング層で取り囲んでおく。
この製造方法では、その積層板をエッチングする。このとき、支持板表面耐エッチング層で支持板を保護し、追加耐エッチング層と外側耐エッチング層で固定部の一部を構成する追加易エッチング層となる間隙形成層を保護し、内側耐エッチング層と外側耐エッチング層で易エッチング層を保護した状態で、犠牲エッチング層をエッチングする。すなわち、耐エッチング層で保護されていない間隙形成層をエッチングして除去する。
この結果、基板と可動梁の間ならびに基板と揺動板の間に存在していた犠牲エッチング層が除去され、基板と可動梁の間ならびに基板と揺動板の間に間隙が形成される。
固定部を形成する部位では、追加耐エッチング層と外側耐エッチング層によって間隙形成層が取り囲まれているために、取り囲まれている範囲の間隙形成層はエッチングされないで残存する。それによって固定部の一部が形成される。
本方法によると、強度が高い固定部を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、基板と、基板から間隙を隔てた高さを基板に平行に伸びている可動梁を備えているマイクロメカニカル構造体において、可動梁を基板に固定する固定部の強度を上げることができる。すなわち、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅を、基板に垂直方向に測定した可動梁の厚みよりも大きくすることができ、太い固定部で薄い可動梁を支持することができる。高い固定部を利用して基板と可動梁の間隙を大きくすることができ、揺動板の揺動可能角度を大きくすることができる。
可動梁を内側耐エッチング層と易エッチング層と外側耐エッチング層の積層構造で形成する場合、固定部を追加耐エッチング層と追加易エッチング層で形成することができる。この場合、追加易エッチング層の幅(可動梁が伸びている方向に測定した距離)を自在に調整することができ、固定部の太さを自在に調整することができる。
固定部を形成する追加易エッチング層を導電体で形成することもでき、その場合には、追加易エッチング層を配線の一部に利用することができる。基板と可動梁の間隙を大きくしても配線が断線することがない。
本発明のマイクロメカニカル構造体は、犠牲エッチング層を利用することによって、共通基板に複数個のマイクロメカニカル構造体が配置されている構造を実現することができる。この場合、各々の揺動板の外側表面に反射面を形成することによって、明るいを画像を提供する画像形成装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の最良の形態では、シリコン基板(支持板)を利用してマイクロメカニカル構造体を製造する。犠牲エッチング層ないし易エッチング層には多結晶シリコンを用い、耐エッチング層には酸化シリコンないし窒化シリコンを用いる。
本発明の最良の形態では、間隙形成層の一部をエッチングから保護して残存させることによって固定部を形成する。
本発明の最良の形態では、間隙形成層に多結晶シリコンを用い、固定部を形成する多結晶シリコンを配線の一部に用いる。
本発明の最良の形態では、揺動板と基板の間に電極対を設け、その電極対の間に吸引力を発揮させることで揺動板を揺動させる。
本発明の一つの形態では、揺動板の両サイドを捩れ梁で支える。
本発明の他の一つの形態では、揺動板の中心近傍に一対のスリットを設け、そのスリットの内側部分を可動梁に利用する。
【0024】
好ましい実施例の特徴を最初に列記する。
(特徴1)可動梁は、シリコンの熱酸化膜と多結晶シリコン層とシリコンの熱酸化膜の積層構造で形成されている。
(特徴2)固定部を高さ方向に観察すると、シリコン基板の表面に形成されている熱酸化膜と、多結晶シリコン層と、シリコンの熱酸化膜の積層構造で形成されている。シリコンの熱酸化膜は、可動梁の内側耐エッチング層を形成しているシリコンの熱酸化膜でもある。
(特徴3)シリコン基板の表面近傍に不純物が注入されている配線部が形成されている。シリコン基板の表面に形成されている熱酸化膜に開口が形成され、固定部を形成している多結晶シリコン層とシリコン基板の表面近傍に形成されている配線部が導通している。
(特徴4)可動梁の内側耐エッチング層を形成しているシリコンの熱酸化膜に開口が形成され、固定部を形成している多結晶シリコン層と可動梁を形成している多結晶シリコン層が導通している。
(特徴5) 揺動板の中心近傍に固定部が形成されており、固定部から両サイドに可動梁が伸びており、一対の可動梁の先端に揺動板が連なっている。逆に説明すると、揺動板の中心近傍に一対のスリットが形成されており、一対のスリットとスリットの間が可動梁となっている。固定部は、一対のスリットとスリットの間に配置されている。
(特徴6)基板に凹所が形成されており、揺動板の可動範囲が拡大している。
(特徴7)基板と凹所の境界から、揺動板が基板に衝突する際の衝撃を緩和する膜が伸びている。
【実施例】
【0025】
(第1実施例)
図1は、第1実施例のマイクロメカニカル構造体200の平面図を示し、図2は、図1のE−F線断面図を示し、図3は、図1のG−H線断面図を示している。図1は、理解のために、種々の高さにおける平面図を重畳して図示しており、同一の高さで全部の部材が視認されるものでない。図1から図3は、1個のマイクロメカニカル構造体200のみを示しているが、実際には、図68と図69に示すように、共通基板10の上に多数のマイクロメカニカル構造体200がマトリクス状に配置されている。各々のマイクロメカニカル構造体200の上面に反射面161が形成されている。図68において、各々の反射面161は、YとZを結ぶ方向に揺動可能である。複数のマイクロメカニカル構造体200が配置されている範囲の周囲には、マイクロメカニカル構造体200ごとに設けられている電極対に加える電圧を調整する駆動回路500が設けられている。駆動回路500は、電極対に加える電圧を他の電極対から独立に調整することができる。駆動回路500と、マトリクス状に配置されているマイクロメカニカル構造体200の配列によって、セル毎に明暗を切換えて画像を提供する画像表示装置が実現されている。
【0026】
単位となるマイクロメカニカル構造体200は、図1と図2に示すように、単結晶シリコン基板10(支持板)とその表面を覆っている熱酸化膜40からなる基板42の表面に形成されており、固定部113、一対の捩れ梁(可動梁)112a,112b、揺動板111を備えている。一対の捩れ梁112a,112bと揺動板111は、基板42から間隙をおいた高さに位置している。揺動板111の表面に反射面161が設けられている。揺動板111の下方に位置する単結晶シリコン基板10の表面に、一対の電極20a,20bが設けられている。電極20aは、一対の捩れ梁112a,112bを結ぶ線分よりも図1において上方の位置に配置されており、電極20bは、一対の捩れ梁112a,112bを結ぶ線分よりも図1において下方の位置に配置されている。一対の電極20a,20bに印加する電圧を変化させると、一対の捩れ梁112a,112bを結ぶ線分の周りに揺動板111と反射面161が揺動し、反射面161に入射する光ビームの反射方向を切換える。
【0027】
図2に示すように、固定部113は基板42から垂直に(高さ方向に)伸びており、図1に示すように、基板42の表面上を正方形の辺に沿って伸びている。一対の捩れ梁112a,112bは、固定部113によって支持されており、基板42から間隙Hだけ離反した高さを基板42と平行に伸びている。揺動板111は、一対の捩れ梁112a,112bの各々の先端に連なっており、基板42から間隙Hだけ離反した高さを伸びている。電極20a,20bが揺動板111に加える吸引力によって、揺動板111は、一対の捩れ梁(可動梁)112a,112bを結ぶ直線の周りに揺動する。
【0028】
シリコン基板10の表面の種々の範囲に、不純物拡散により導電性を有するように処理された拡散層が形成されており、これらの拡散層によって、第1固定電極20a、第1固定電極配線21a、第2固定電極20b、第2固定電極配線21b、可動電極配線30が形成されている。シリコン基板10の表面は、後記するコンタクトウインドが形成されている第1絶縁膜40で被覆されている。
第1固定電極20aは、第1固定電極配線21a、第1固定電極コンタクト140a(第1絶縁膜40に形成されているコンタクトウインド)、第1固定電極端子150aを介して第1固定電極用接続部151aに接続されている。第2固定電極20bは、第2固定電極配線21b、第2固定電極コンタクト140b(第1絶縁膜40に形成されているコンタクトウインド)、第2固定電極端子150bを介して第2固定電極用接続部151bに接続されている。可動電極配線30は、第1可動電極コンタクト130(第1絶縁膜40に形成されているコンタクトウインド)、可動電極端子150cを介して可動電極用接続部151cに接続されている。第1固定電極端子150a、第2固定電極端子150b、可動電極端子150cのそれぞれはアルミニウムで形成されている。第1固定電極端子150aは、第1固定電極端子保護膜152aで保護されている。第2固定電極端子150bは、第2固定電極端子保護膜152bで保護されている。可動電極端子150cは、可動電極端子保護膜152cにより保護されている。第1固定電極端子150aと第2固定電極端子150bと可動電極端子150cは、酸化膜で形成されている電極端子保護膜152で保護されている。第1固定電極用接続部151aは、第1固定電極端子保護膜152aから露出し、第2固定電極用接続部151bは、第2固定電極端子保護膜152bから露出し、可動電極用接続部151cは、可動電極端子保護膜152cから露出している。
【0029】
図2に示されているように、固定部113の横断面を内側から外側に観察すると、すなわち、捩れ梁112a,112bが存在する側から存在しない側に観測すると、SiOで形成されている耐エッチング膜(追加の耐エッチング膜)71、多結晶シリコンで形成されている固定部材(追加の易エッチング層)62、SiOで形成されている第2絶縁膜(内側の耐エッチング膜)90、SiOで形成されている第3絶縁膜(外側の耐エッチング膜)120の積層構造が観察される。一対の捩れ梁(可動梁)112a,112bが伸びている方向に沿って測定した固定部材62の幅は十分に厚く、固定部113の強度ないし剛性は高い。多結晶シリコンで形成されている固定部材62は導電性を有するように処理されており、第2可動電極コンタクト50(第1絶縁膜40に形成されているコンタクトウインド)を介して可動電極配線30に導通している。
【0030】
ほぼ正方形の辺に沿って形成されている固定部113から、内側に向けて、一対の捩れ梁112a,112bが伸びている。一対の捩れ梁112a,112bは、固定部113の頂面から伸びており、基板42から間隙Hを隔てた高さを伸びている。一対の捩れ梁112a,112bの断面を内側から外側に観察すると(図2と図3において下から上に観察すると)、SiOで形成されている第2絶縁膜(内側の耐エッチング膜)90と、導電性を有するように処理された多結晶シリコン層110(易エッチング膜)と、SiOで形成されている第3絶縁層(外側の耐エッチング膜)120の積層構造が観察される。一対の捩れ梁112a,112bを基板10に垂直方向に測定した厚みTは薄く、一対の捩れ梁112a,112bのそれぞれはしなやかに変形する。捩れ梁112a,112bのそれぞれを構成している多結晶シリコン層110は、第3可動電極コンタクト100(SiOで形成されている第2絶縁膜90に形成されているコンタクトウインド)を介して導電性を有する固定部材62に接続されている。
【0031】
揺動板111は、一対の捩れ梁112a,112bの内側の端部に連なっており、基板42から間隙Hだけ離反した高さを伸びている。揺動板111を内側から外側に観察すると(図2と図3において下から上に観察すると)、一対の捩れ梁112a,112bと同じ積層構造が観測される。すなわち、SiOで形成されている第2絶縁膜(内側の耐エッチング膜)90と、導電性を有するように処理された多結晶シリコン層110(易エッチング膜)と、SiOで形成されている第3絶縁層(外側の耐エッチング膜)120の積層構造が観察される。揺動板111を構成している多結晶シリコン層110と、一対の捩れ梁112a,112bを構成している多結晶シリコン層110は連続しており、同電位に維持される。揺動板111を構成している多結晶シリコン層110は、第1固定電極20aとも向かい合い、第2固定電極20bとも向かいあっており、可動電極115を形成している。揺動板111の表面には、反射面161が形成されている。揺動板111の厚みTは、一対の捩れ梁112a,112bの厚みTに等しい。
【0032】
一対の捩れ梁112a,112bが伸びている方向に測定した固定部113の幅Lと、一対の捩れ梁112a,112bと基板42の間隙H(揺動板111と基板42の間隙Hに等しい)と、一対の捩れ梁112a,112bの厚みTとの間には、L>H>Tの関係がある。固定部113の幅Lは十分に厚いので、固定部113の高さを高くして前記間隙Hを大きくしても、固定部113が容易には変形しない程度の強度と剛性を得ている。したがって大きな間隙Hを得ることができる。一対の捩れ梁112a,112bの厚みTは十分に薄く、しなやかに変形することができる。
固定部材62の幅Lが十分にあるので、固定部113の高さを高くして前記間隙Hを大きくしても、固定部材62が断線することがない。間隙Hを大きくしても、可動電極115と可動電極配線30の間で断線することがない。
必要であれば、H>L>Tの関係を実現することができる。固定部材62の幅Lが十分に大きいので、固定部113の高さをその幅L以上に高くして大きな間隙Hを実現しても、固定部113が変形することがない。
【0033】
マイクロメカニカル構造体200では、可動電極用接続部151cに印加する電圧を調整することによって、揺動板111を構成している可動電極115の電位を調整することができる。第1固定電極用接続部150aに印加する電圧を調整することによって、基板10に固定されている第1固定電極20aの電位を調整することができる。第2固定電極用接続部150bに印加する電圧を調整することによって、基板10に固定されている第2固定電極20bの電位を調整することができる。
【0034】
揺動板111を構成している可動電極115と、基板10に固定されている第1固定電極20aは対向しており、可動電極115と第1固定電極20aに加える電圧を調整することによって、両者間に吸引力を発揮させることができる。すなわち、揺動板111の第1固定電極20a側の端部を基板10に向けて引き付ける吸引力を発揮することができる。同様に、揺動板111を構成している可動電極115と、基板10に固定されている第2固定電極20bは対向しており、可動電極115と第2固定電極20bに加える電圧を調整することによって、両者間に吸引力を発揮させることができる。すなわち、揺動板111の第2固定電極20b側の端部を基板10に向けて引き付ける吸引力を発揮することができる。上記の吸引力によって、揺動板111を、一対の捩れ梁112a,112bを結ぶ直線の周りに揺動させることができる。すなわち、反射面161の指向方向を一対の捩れ梁112a,112bを結ぶ直線の周りに揺動させることができる。
【0035】
この際、一対の捩れ梁112a,112bが捩じられる。図2に示すように、一対の捩れ梁112a,112bの厚みTは薄く、図1に示すように、一対の捩れ梁112a,112bの幅Wは狭く形成されている。一対の捩れ梁112a,112bの各々は、しなやかに変形する。すなわち、一対の捩れ梁112a,112bに過大な応力や過度な歪が生じることがなく、疲労破壊しづらい。また、揺動板111と第1固定電極20aの間、あるいは揺動板111と第2固定電極20bの間に小さな吸引力を発生させることで反射面161の指向方向を切換えることができる。駆動電力が低く、耐久性の高い画像形成装置を実現することができる。
【0036】
(第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造方法)
図4以降に、第1実施例のマイクロメカニカル構造体200の製造方法を示す。図4以降は、図1のE−F断面を示している。以下、図面に即して説明する。
【0037】
(図4)p型の単結晶シリコンからなる基板10の(100)方位の表面の複数個所にイオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて、不純物であるリンを添加して拡散し、高濃度にリンを含有しているために導電性を有するn型半導体に変換された領域(深さ500nm)を作る。導電性のn型半導体領域によって、図1〜図3に示した、第1固定電極20a、第1固定電極配線21a、第2固定電極20b、第2固定電極配線21b、可動電極配線30を形成する。
【0038】
(図5)次に、単結晶シリコン基板10の表面全域に耐エッチング特性を有する熱酸化膜からなる第1絶縁膜40を厚さ100nmに形成する。単結晶シリコン基板10と第1絶縁膜40を総称して基板42という。単結晶シリコン基板10は支持板であり、第1絶縁膜40は支持板表面耐エッチング層であり、両者によって基板42が形成されているということができる。
【0039】
(図6)次に、第1絶縁膜40を貫通して可動電極配線30に達する第2可動電極コンタクト50をフォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングにより開口形成する。以下、フォトリソグラフィーを行い、反応性イオンエッチングを行う流れの処理をフォトエッチングという。
【0040】
(図7)次に、第1絶縁膜40の表面に、減圧CVD法によって、等方性エッチング特性を有する厚さ2μmの多結晶シリコンからなる間隙形成層60を形成する。間隙形成層60の一部は犠牲エッチング層61に利用され、エッチングから保護された部分によって固定部材62を形成する。
【0041】
(図8)次に、間隙形成層60に、イオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて、不純物であるリンを添加して拡散し、リンを高濃度に含有するために高伝導度を有するn型半導体に変換する。そして、その後の工程で製造する固定部材62の内側境界となる位置に、幅800nmのトレンチ70をフォトエッチングを用いて形成する。
【0042】
(図9)トレンチ70の内部に耐エッチング特性を有する熱酸化膜を埋め込むために、間隙形成層60の表面全域に厚さ1μmの熱酸化膜を形成し、トレンチ70の内部に熱酸化膜71を充填する。トレンチ70の内部に充填されたSiO膜71は、後工程でエッチング除去する犠牲エッチング層61となる領域を規定する。SiO膜71は、犠牲エッチング層61のエッチング剤に対してほとんどエッチングされず、耐エッチング層ということが言える。また、捩れ梁112a,112bと揺動板111にはみられない層であり、追加されている層であるということができる。熱酸化膜(SiO膜)71は、追加の耐エッチング膜であり、犠牲エッチング層61となる範囲を規制し、固定部材62を残存させる層である。
【0043】
(図10)図9で間隙形成層60の表面に製造した熱酸化膜71を反応性イオンエッチングあるいはケミカルメカニカルポリッシュにより除去する。トレンチ70の内部に充填されている追加の熱酸化膜71は除去されない。また、間隙形成層60のうち、固定部材62となる範囲よりも外側の範囲をフォトエッチングにより除去する。
【0044】
(図11)露出している基板42の表面の全域と、犠牲エッチング層61となる間隙形成層60と、固定部材62となる間隙形成層60を覆うように、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO膜)から成る第2絶縁膜90を形成する。第2絶縁膜90は、一対の捩れ梁112a,112bと揺動板111の内側の面(下側の面)をエッチングから保護する膜となる。第2絶縁膜90は、内側耐エッチング層ということができる。
【0045】
(図12)第2絶縁膜90を貫通して固定部材62に達する第3可動電極コンタクト100をフォトエッチングにより開口形成する。
(図13)第2絶縁膜90の表面上に、減圧CVD法によって、可動電極115となる多結晶シリコン層110を厚さ200nmに形成する。
(図14)可動電極115となる多結晶シリコン層110に、イオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて、不純物であるリンを添加して拡散し、高濃度にリンを含有するために高伝導度を有するn型半導体に改質する。そして、フォトエッチングにより、多結晶シリコン層110と第2絶縁膜90をエッチングして、多結晶シリコン層110と第2絶縁膜90を、揺動板111、第1捩れ梁112a、第2捩れ梁112b、並びに固定部113の形状にパターニングする。多結晶シリコン層110は、導電性であり、耐エッチング層で保護しておかなければ、後で犠牲エッチング層61をエッチングする際にエッチングされてしまう。多結晶シリコン層110は、易エッチング層ということができる。
【0046】
(図15)それまでに製造された構造を含む単結晶シリコン基板10の表面全域にわたって、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO膜)から成る第3絶縁膜120を形成する。第3絶縁膜120は、可動電極115となる多結晶シリコン層110の表面と側面を覆う。また、一対の捩れ梁112a,112bの一部となる多結晶シリコン層110の表面と側面を覆う。また、固定部113の頂面に形成されている多結晶シリコン層110の表面と側面を覆う。さらには、多結晶シリコンからなる間隙形成層60のうち、固定部材62となる範囲の側面を覆う。第3絶縁膜120は、一対の捩れ梁112a,112bと揺動板111の外側の面(上側の面)をエッチングから保護する膜となる。第3絶縁膜90は、外側耐エッチング層ということができる。また、固定部材62となる範囲の側面を覆ってエッチングから保護する耐エッチング層ということができる。
【0047】
(図16)次に、第3絶縁膜120と第2絶縁膜90と第1絶縁膜40を貫通するコンタクトホールを形成する。この段階で、可動電極配線30に達する第1可動電極コンタクト130と、第1固定電極配線21aに達する第1固定電極コンタクト140a(図1、図3参照)と、第2固定電極配線21bに達する第2固定電極コンタクト140b(図1、図3参照)をフォトエッチングにより開口形成する。
【0048】
(図17)次に、それまでに製造された構造を含む単結晶シリコン基板10の表面の全域に、真空蒸着あるいはスパッタリングにより、アルミニウムから成る電極端子形成部材150を800nmの厚さで被覆形成する。
(図18)次に、電極端子形成部材150の不要な領域をフォトエッチングにより除去し、第1固定電極端子150a(図1、図3参照)、第2固定電極端子150b(図1、図3参照)、可動電極体端子150cを形成する。
【0049】
(図19)次に、それまでに製造された構造を含む単結晶シリコン基板10の表面の全域に、プラズマCVD法によって、電極端子保護膜152となる酸化膜を厚さ200nmに形成する。
(図20)次に、電極端子保護膜152の不要な領域をフォトエッチングにより除去し、第1固定電極端子保護膜152a(図1、図3参照)、第2固定電極端子保護膜152b(図1、図3参照)、可動電極端子保護膜152cを形成する。
【0050】
(図21)次に、それまでに製造された構造を含む単結晶シリコン基板10の表面の全域に真空蒸着あるいはスパッタリングにより、アルミニウムから成る反射面部材160を100nmの厚さで被覆形成する。
(図22)次に、反射面部材160の不要な領域をフォトエッチングにより除去し、反射面161を形成する。
【0051】
(図23)次に、第1固定電極端子保護膜152a(図3参照)、第2固定電極端子保護膜152b(図3参照)、可動電極端子保護膜152cを貫通して第1固定電極端子150a(図3参照)、第2固定電極端子150b(図3参照)、可動電極端子150cに達する開口をフォトエッチングによって形成し、第1固定電極用接続部151a(図3参照)、第2固定電極用接続部151b(図3参照)、可動電極用接続部151cを形成する。
【0052】
(図24)次に、犠牲エッチング層61となる領域内の所定位置に、第3絶縁膜120と第2絶縁膜90を貫通して犠牲エッチング層61に到達するエッチング孔170を形成する(図1と図3参照)。このエッチング孔170に二フッ化キセノン(XeF2)ガスを注入することにより、多結晶シリコンで形成されている犠牲エッチング層61の全てをエッチングして除去し、間隙80を形成する。間隙80の距離Hは、犠牲エッチング層61の厚みに等しい。
XeF2ガスは、アルミニウムと熱酸化膜(耐エッチング層)をエッチングしないので、3次元構造を有するマイクロメカニカル構造体200を安定して製造することを可能とする。
【0053】
マイクロメカニカル構造体200は、犠牲エッチング層61を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングして形成される。固定部113を可動梁112a、112bが伸びている側から可動梁112a,112bが伸びている向きに沿って観測すると、追加耐エッチング層71と追加易エッチング層62の積層構造が観測される。絶縁層40,90,120は耐エッチング能力を備えており、導電性の易エッチング層である多結晶シリコン層110を保護している。
可動梁112a,112bを構成している易エッチング層110と固定部113を構成している追加易エッチング層62は、可動梁112a,112bと固定部113の間に位置している内側耐エッチング層90に形成された孔50を通して導通している。図68に示すように、固定部113と可動梁112a,112bと揺動板111で構成される単位構造の複数個が共通基板10に配置されている。
【0054】
上記の製造方法では、支持板10と支持板表面耐エッチング層40と間隙形成層60と内側耐エッチング層90と易エッチング層110と外側耐エッチング層120が積層されている積層板からマイクロメカニカル構造体200を製造する。可動梁112a,112bの内側に存在する間隙80に固定部113が面する位置において、間隙形成層60を貫通する追加耐エッチング層71が形成されており、固定部113の一部を形成する追加易エッチング層62となる間隙形成層60が、支持板表面耐エッチング層40と追加耐エッチング層71と外側耐エッチング層120で取り囲まれている積層板を準備する工程を備えている。さらに、支持板表面耐エッチング層40で支持板10を保護し、追加耐エッチング層71と内側耐エッチング層90と外側耐エッチング層120で、固定部113の一部を構成する固定部材62となる間隙形成層60を保護し、内側耐エッチング層90と外側耐エッチング層120で易エッチング層110を保護した状態で、犠牲エッチング層61をエッチングして、基板10と可動梁112a,112bの間ならびに基板10と揺動板111の間に間隙Hを形成する。
【0055】
(第2実施例)
図25から図27に、第2実施例の揺動反射面161を備えているマイクロメカニカル構造体200の構造を示す。第1実施例と対応する部材には同一符号を付した。第1実施例との違いは、揺動板111の中央の位置において単一の固定部113が基板10に固定されており、その固定部113から両側に可動梁112a,112bが伸び、その2本の可動梁112a,112bの先端に揺動板111が連なっていることである。
【0056】
揺動板111の中央から揺動板111を支持すると、環境温度が変化した場合に異種材料の熱膨張係数の違いから発生する熱応力が開放される。その結果、熱に強いマイクロメカニカル構造体200が実現できる。製造方法は、第1実施例と同様である。
【0057】
第2実施例のマイクロメカニカル構造体は、揺動板111の中心近傍に一対のスリット170,170が形成されており、一対のスリット170,170の間が可動梁112a,112bとなっている。固定部113は、一対のスリット170,170の間に配置されている。一対のスリット170,170はエッチング孔としても機能する。
【0058】
図25において、揺動板111の右側の位置に第1固定電極20aを形成し、揺動板111の左側の位置に第2固定電極20bを形成してもよい。この場合は、一対の可動梁112a,112bが撓むことによって揺動板111が揺動する。揺動板111を支持する可動梁は、捩れ梁であってもよいし、撓み梁であってもよい。
【0059】
(第3実施例)
図28から図30に、第3実施例の揺動反射面161を備えているマイクロメカニカル構造体200の構造を示す。第2実施例と対応する部材には同一符号を付した。第2実施例との違いは、反射面161をさらに大きく傾かせるため、揺動板111が基板10の表面に接触する領域に、フォトエッチングで所望の深さの溝11a,11bを形成したことである。溝11a,11bを形成したために、揺動板111の揺動可能角度が拡大されている。
【0060】
(第4実施例)
図31から図33に、第4実施例の揺動反射面161を備えているマイクロメカニカル構造体200の構造を示す。第3実施例と対応する部材には同一符号を付した。第3実施例との違いは、揺動板111が溝11a,11bのコーナーに接触する際の衝撃を緩和する衝撃緩和部材15a,15bを形成したことである。これにより、マイクロメカニカル構造体200の長寿命化が実現できる。
図34と図35に揺動板111の傾き動作と、衝撃緩和部材15aの変形状況を示す。第1固定電極用接続部151a(図3参照)と可動電極用接続部151c(図2参照)との間に所望の電圧を印加する。すると、第1固定電極20aと揺動板111との間に静電引力が発生し、揺動板111が第1固定電極20a側へ引き寄せられて傾く。そして、揺動板111が第1衝撃緩和部材15aに接触し(図34)、さらに、揺動板111が衝撃緩和部材15aを変形させながら傾く(図35)。このように衝撃緩和部材15aがクッションとなり揺動板111に加われる衝撃は緩和され、揺動反射面161を含むマイクロメカニカル構造体200の長寿命化が図れる。
【0061】
(第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造方法)
図36以降に、第4実施例のマイクロメカニカル構造体200の製造方法を示す。この図36以降は、図31のP−O断面である。第1実施例の製造方法と対応する部材には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0062】
(図36)シリコン基板10の表面に、フォトエッチングを用いて、深さ1μmの第1溝11aと第2溝11bを形成する。第1溝11aは、第1固定電極20aに吸引されて基板10側に接近する側の揺動板111のエッジが入り込む位置に形成する。第2溝11bは、第2固定電極20bに吸引されて基板側に接近する側の揺動板111のエッジが入り込む位置に形成する。
【0063】
(図37)基板10の表面の複数個所に不純物を注入して拡散することによって、第1固定電極20a、第1固定電極配線21a、第2固定電極20b、第2固定電極配線21b、可動電極配線30を形成する。
(図38)次に、第1絶縁膜40を被覆形成する。
(図39)次に、第1可動電極コンタクト50をフォトエッチングによって開口形成する。第4実施例では、固定部113を中央に設けるので、第1可動電極コンタクト50を中央に設ける。
【0064】
(図40)次に、第1絶縁膜40の表面に厚さ2μmの第1間隙形成層60aを形成する。
(図41)次に、第1間隙形成層60aをケミカルメカニカルポリッシュ(以下、CMPという)により研磨する。第1絶縁膜40が露出するまで第1間隙形成層60aをポリッシュする。
【0065】
(図42)次に、基板10の表面全域に、厚さ50nmの熱酸化膜から成る第1保護膜12を形成し、その上に、衝撃緩和膜13とする厚さ100nmの多結晶シリコン層を、減圧CVD法によって成膜する。
(図43)次に、フォトエッチングによって多結晶シリコン層を衝撃緩和膜13の形状にパターニングする。そして、衝撃緩和膜13を覆うように、厚さ50nmの熱酸化膜からなる第2保護膜14を形成する。
(図44)次に、第2保護膜14の不要な部分をフォトエッチングにより取り除き、第1衝撃緩和部材15aと第2衝撃緩和部材15bを形成する。
【0066】
(図45)次に、基板10の表面全域に、厚さ2μmの第2間隙形成層60bを形成する。
(図46)次に、第2間隙形成層60bをCMPにより表面がフラットになるまでポリッシュする。
(図47)次に、第1間隙形成層60aと第2間隙形成層60bに、イオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて、不純物であるリンを添加して拡散し、リンを高濃度に含有するために高伝導度を有するn型半導体に改質処理する。
そして、後工程でエッチング除去する犠牲エッチング層61の除去範囲を規定するトレンチ70をフォトエッチングを用いて形成する。
【0067】
(図48)次に、厚さ1μmの熱酸化膜を形成し、トレンチ70の内部に耐エッチング膜71を充填する。
(図49)次に、反応性イオンエッチングあるいはCMPにより、第2間隙形成層60bの表面に形成されている熱酸化膜を除去する。トレンチ70を充填している熱酸化膜(耐エッチング膜)71は除去されない。
そして、犠牲エッチング領域61よりも外側の範囲の第2間隙形成層60bをフォトエッチングにより除去する。
【0068】
(図50)次に、すでに表面に上記の構造が形成されている単結晶シリコン基板10の表面の全域にわたって第2絶縁膜90を形成する。
(図51)次に、第2可動電極コンタクト100をフォトエッチングにより開口形成する。
(図52)次に、厚さ200nmの多結晶シリコン層110を形成する。
(図53)次に、イオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて、多結晶シリコン層110に不純物であるリンを添加して拡散し、リンを高濃度に含有するために高伝導度を有するn型半導体に改質処理する。そして、フォトエッチングにより、揺動板111、第1可動梁112a(図31参照)、第2可動梁112b(図31参照)、固定部113の形状にパターニングする。
【0069】
(図54)次に、パターニングされた多結晶シリコン層110を覆うように第3絶縁膜120を形成する。第3絶縁膜120は、パターニングされた多結晶シリコン層110の表面と側面を被覆する。
【0070】
(図55)次に、第1可動電極コンタクト130(図31、図32)と、第1固定電極配線21aに達する第1固定電極コンタクト140a(図31、図33)と、第2固定電極配線21bに達する第2固定電極コンタクト140b(図31、図33)をフォトエッチングにより開口形成する。
(図56)次に、アルミニウムから成る電極端子形成層150を被覆形成する。
(図57)次に、フォトエッチングにより、第1固定電極端子150a、第2固定電極端子150b、可動電極端子150c(図32)を形成する。
(図58)次に、電極端子保護膜152を形成する。
(図59)次に、フォトエッチングにより、第1固定電極端子保護膜152a、第2固定電極端子保護膜152b、可動電極端子保護膜152c(図32)を形成する。
【0071】
(図60)次に、アルミニウムから成る反射面形成層160を被覆形成する。
(図61)次に、反射面形成層160の不要な領域をフォトエッチングにより除去し、反射面161を形成する。
(図62)次に、第1固定電極用接続部151a、第2固定電極用接続部151b、可動電極用接続部151c(図32)をフォトエッチングにより開口形成する
【0072】
(図63)次に、犠牲エッチング層61が広がっている領域内の所定位置に、エッチング孔170を形成する。
(図64)次に、エッチング孔170に二フッ化キセノン(XeF2)ガスを注入することにより、犠牲エッチング層61の全てをエッチング除去し、間隙80を形成する。
【0073】
(第5実施例)
図65から図67に、第5実施例の揺動反射面161を備えているマイクロメカニカル構造体200の構造を示す。第4実施例と対応する部材には同一符号を付した。第4実施例との違いは、揺動板111上に、多結晶シリコンから成る補強部材114を形成した点である。これにより、揺動板111の剛性が高くなるので、傾き動作をする際に揺動板111が湾曲することがない。反射面161がフラットな状態を維持して揺動する。
【0074】
(第6実施例)
図68と図69に、第6実施例の可動反射面161を備えているマイクロメカニカル構造体を示す。第1から第5実施例のいずれかに示した単位となるマイクロメカニカル構造体200の複数個を共通基板10上に配置したものである。個々の揺動反射面161は、周辺に形成した駆動回路IC500の信号に基づいて傾き動作を行う。この揺動反射面161の配置と、光学系を組み合わせることにより、プロジェクター等を実現することができる。
【0075】
(その他の実施例)
上述した実施例では、イオン注入法(熱拡散でもよい)を用いて多結晶シリコンに高濃度に不純物を添加、拡散することによって、第1固定電極、第1固定電極配線、第2固定電極、第2固定電極配線、可動電極配線を形成する。これに限らず、高伝導度特性を有するように処理された多結晶シリコンを用いてもよい。
【0076】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図2】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図3】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の図2に直交する断面図。
【図4】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図5】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図6】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図7】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図8】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図9】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図10】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図11】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図12】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図13】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図14】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図15】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図16】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図17】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図18】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図19】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図20】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図21】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図22】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図23】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図24】第1実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図25】第2実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図26】第2実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図27】第2実施例のマイクロメカニカル構造体の図26に直交する断面図。
【図28】第3実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図29】第3実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図30】第3実施例のマイクロメカニカル構造体の図29に直交する断面図。
【図31】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図32】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図33】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の図32に直交する断面図。
【図34】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の動作を説明する図。
【図35】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の動作を説明する図。
【図36】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図37】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図38】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図39】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図40】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図41】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図42】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図43】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図44】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図45】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図46】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図47】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図48】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図49】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図50】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図51】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図52】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図53】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図54】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図55】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図56】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図57】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図58】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図59】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図60】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図61】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図62】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図63】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図64】第4実施例のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す。
【図65】第5実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図66】第5実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図67】第5実施例のマイクロメカニカル構造体の図29に直交する断面図。
【図68】第6実施例のマイクロメカニカル構造体の平面図。
【図69】第6実施例のマイクロメカニカル構造体の断面図。
【図70】従来のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す図。
【図71】従来のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す図。
【図72】従来のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す図。
【図73】従来のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す図。
【図74】従来のマイクロメカニカル構造体の製造過程を示す図。
【符号の説明】
【0078】
10:シリコン基板、支持板
20a:第1固定電極
20b:第2固定電極
21a:第1固定電極配線
21b:第2固定電極配線
30:可動電極配線
40:第1絶縁膜、SiO膜、熱酸化膜、支持板表面耐エッチング層
42:基板
60:間隙形成層
61:犠牲エッチング層
62:固定部材
70:トレンチ
71:追加のSiO膜、追加の耐エッチング層
80:間隙
90:第2絶縁膜、SiO膜、熱酸化膜、内側耐エッチング層
110:多結晶シリコン層、易エッチング層、可動電極層
111:揺動板
112a,112b:捩れ梁、可動梁
113:固定部
120:第3絶縁膜、SiO膜、熱酸化膜、外側耐エッチング層
115:可動電極
161:反射面
170:エッチング孔、スリット
200:マイクロメカニカル構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層板を構成する特定層が局所的に除去されて形成されているマイクロメカニカル構造体であり、
基板と、
基板から垂直方向に立ち上がっている固定部と、
固定部に連なっているとともに基板から間隙を隔てた高さを基板に平行に伸びている可動梁と、
可動梁の先端に連なっているとともに基板となす角度が変化する揺動板を備えており、
可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅が、基板に垂直方向に測定した可動梁の厚みよりも大きいことを特徴とするマイクロメカニカル構造体。
【請求項2】
基板に垂直な断面で可動梁と揺動板を観測すると、基板の側から順に、内側耐エッチング層と易エッチング層と外側耐エッチング層が観測され、
基板に垂直であるとともに可動梁が伸びている方向に沿った断面で固定部を観測すると、可動梁の側から順に、追加耐エッチング層と追加易エッチング層が観測されることを特徴とする請求項1のマイクロメカニカル構造体。
【請求項3】
前記の耐エッチング層が絶縁物質で形成されており、
前記の易エッチング層が導電物質で形成されており、
可動梁を構成している易エッチング層と固定部を構成している追加易エッチング層が、可動梁と固定部の間に位置している内側耐エッチング層に形成された孔を通して導通していることを特徴とする請求項2のマイクロメカニカル構造体。
【請求項4】
基板に垂直方向に測定した固定部の高さが、可動梁が伸びている方向に測定した固定部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項5】
固定部と可動梁と揺動板で構成される単位構造の複数個が共通基板に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項6】
各々の揺動板の外側表面に反射面が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項7】
間隙形成層を含む積層板を選択的かつ局所的にエッチングして請求項2に記載のマイクロメカニカル構造体を製造する方法であり、
支持板と支持板表面耐エッチング層と間隙形成層と内側耐エッチング層と易エッチング層と外側耐エッチング層が積層されており、可動梁の内側の間隙に固定部が面する位置において間隙形成層を貫通する追加耐エッチング層が形成されており、固定部の一部を形成する追加易エッチング層となる間隙形成層が追加耐エッチング層層と外側耐エッチング層で取り囲まれている積層板を準備する工程と、
支持板表面耐エッチング層で支持板を保護し、追加耐エッチング層と外側耐エッチング層で固定部の一部を構成する追加易エッチング層となる間隙形成層を保護し、内側耐エッチング層と外側耐エッチング層で易エッチング層を保護した状態で、耐エッチング層で保護されていない間隙形成層をエッチングして基板と可動梁の間ならびに基板と揺動板の間に間隙を形成することを特徴とするマイクロメカニカル構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【公開番号】特開2010−12574(P2010−12574A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176444(P2008−176444)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】