説明

レジスト塗布方法およびレジスト塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法

【課題】毛管状隙間を有するノズルによりレジスト塗布面を迅速に均一に乾燥させることが可能なレジスト塗布方法および塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】被塗布面10aを下方に向けた基板10にレジスト液を塗布する方法であって、液槽に溜められたレジスト液を、ノズル24の毛細管現象によって被塗布面10aに導いて接液させ、ノズル24と基板10とを水平方向に相対移動させることにより、被塗布面10aにレジスト液110を塗布し、被塗布面10aに対し、一定方向にほぼ一定の相対流速で被塗布面10aと平行な気流を供給し、気流を被塗布面10aに接触させることにより、レジスト液110の乾燥を行うレジスト塗布方法および塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト塗布方法およびレジスト塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法に関し、特に、比較的大型の基板に適用可能なレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトレジストなどの塗布液をフォトマスクブランク用基板やシリコンウエハ等の基板に塗布する塗布装置(コータ)として、基板の中央に塗布液を滴下し、次いで基板を高速回転させることにより、遠心力の作用によって塗布液を伸展させ、基板表面に塗布膜を形成するスピンコータが使用されてきた。
【0003】
しかし、上記のスピンコータは、基板の周縁部にレジストのフリンジと呼ばれる盛り上がりが発生する問題があった。また、特に、液晶表示装置や液晶表示装置製造用のフォトマスクにおいては、大型基板(例えば、少なくとも、一辺が300mm以上の方形基板)にレジストを塗布する必要があるが、スピンコータを用いて、そのような大型基板にレジストを塗布することは困難であった。よって、近年におけるパターンの高精度化や、基板サイズの大型化にともない、大型基板に均一なレジスト膜を塗布する技術の開発が望まれていた。
【0004】
かかる課題を解決するため、大型基板に均一なレジスト膜を塗布する技術を用いた装置として、CAPコータ(キャピラリコータ)と呼ばれる塗布装置が提供されている。このCAPコータは、塗布液が溜められた液槽に毛管状隙間を有するノズルを沈めておき、下方を向いた状態で保持された基板の被塗布面近傍まで、ノズルを上昇させて毛管状隙間から塗布液を接液し、次いでノズルを被塗布面に亘って相対的に走査させることにより、塗布膜を形成するものである。
【0005】
このようなCAPコータを用いて均一なレジスト膜を得るには、毛管状隙間を有するノズルによる均一な塗布とともに、塗布されたレジスト膜を均一に乾燥させることが重要となる。
これを実現するため、例えば、ダウンフローが構成されたクリーンルーム内において、ダウンフローが被塗布面に回り込むのを抑制しながら被塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法が提案されている(引用文献1参照)。
また、CAPコータにおいて、基板を移動させながら被塗布面にレジストを塗布後、塗布の際に移動した方向と逆方向に引き返し移動させ、この移動の間にレジスト膜を乾燥させる乾燥方法が提案されている(引用文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−112099号
【特許文献2】特開2004−311884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の乾燥方法では、クリーンルームに設置したレジスト塗布装置に対して、クリーンルーム設備としてのダウンフローが与える影響を抑止することができるが、被塗布面を迅速に均一に乾燥させるには不十分であり、更なる改良が望まれていた。
特許文献2に記載の乾燥方法では、被塗布面に塗布されたレジスト膜の均一な乾燥には貢献するが、基板を引き返し移動させることによって、被塗布面に対する雰囲気気体との接触方向が逆転すること、および基板の移動距離が限られている等の理由により、被塗布面を迅速に均一に乾燥させるには不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決して、毛管状隙間を有するノズルによりレジスト液が塗布された被塗布面をより迅速に均一に乾燥させることが可能なレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係るレジスト塗布方法の1つの実施態様は、被塗布面を下方に向けた状態の基板にレジスト液を塗布する方法であって、液槽に溜められたレジスト液を、ノズルの毛細管現象によって前記被塗布面に導いて前記被塗布面に接液させ、前記ノズルと前記基板とを水平方向に相対移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、前記被塗布面に対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって前記被塗布面と平行な気流を供給し、前記気流を塗布されたレジスト液に接触させることにより、前記塗布されたレジスト液の乾燥を行うことを特徴とする。
【0010】
本実施態様で使用するレジストは、公知のネガまたはポジレジストを用いることができる。使用するレジストの粘度は、3〜20cps(センチポイズ))の範囲にあることが好ましく、5〜15cpsの範囲にあることがさらに好ましい。
本実施態様は、任意の基板に適用可能で有るが、液晶表示装置製造用のフォトマスクをはじめとするサイズが一辺300mm以上の基板に適用することができ、特に一辺が1000mmを超える基板にも適用可能である。
【0011】
「ノズルと基板とを水平方向に相対移動させること」には、ノズルを移動させる場合も、基板を移動させる場合も、両方を移動させる場合も含まれる。塗布の進行する方向と、気流の進行方向とが同一方向である場合も含まれるし、異なる場合も含まれる。
【0012】
「ほぼ一定の相対流速」とは、被塗布面の乾燥の進行に対して影響を与えるような相対流速の変動が生じない程度の気流速度であることをいう。「ほぼ一定の相対流速」としては、相対流速の変化が10%以内であることが好ましく、5%以内であることがさらに好ましい。
【0013】
基板を移動させて塗布を行なっているときに、既に気流が供給されている場合において、塗布終了時に基板の移動が終了すると、その時点で、基板の被塗布面内の任意の位置に対して、供給される気流の被塗布面に対する相対流速は変化する。
しかし、相対流速の変化が十分に小さい、例えば、塗布進行中の相対流速に対して10%以内の変動であれば、ほぼ一定の相対流速であり、被塗布面内を均一に乾燥されることが可能である。なお、気流としては、フィルタを通したクリーンな乾燥空気や不活性ガスを用いることができる。
【0014】
本実施態様では、気流の進行方向が被塗布面と平行であれば、塗布の進行する方向と気流の進行方向との関係は任意に設定することができ、同一方向である場合も含まれるし、異なる方向の場合も含まれる。
【0015】
本実施態様によれば、一定方向でほぼ一定の相対流速の被塗布面と平行な気流を、塗布されたレジスト液に接触させることにより、塗布されたレジスト液の乾燥を行うので、迅速で均一な乾燥を実現できる。これにより、被塗布面に表れるむら(肉眼で視認可能な色相の異なる斑)を実質上消失させることができ、レジスト膜厚値の面内分布のばらつきを、従来に比べ大幅に減少させる(例えば半減)ことができる。
【0016】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記被塗布面と対向配置された整流板によって前記気流を整流して、前記被塗布面と平行な気流を供給することを特徴とする。
【0017】
本実施態様によれば、整流板によって気流を整流することにより、被塗布面と平行な気流を確実に供給することができ、被塗布面の迅速で均一な乾燥を促進できる。
【0018】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記被塗布面において、塗布の進行する方向と、前記気流の進行方向とが同一方向であることを特徴とする。
【0019】
本明細書においては、「方向」と「向き」とを下記の定義で区別して記載している。ベクトルを例にとると、「方向」は、ベクトルの矢印を考えない起点と終点とを結ぶ線上の往来を意味し、「向き」は、ベクトルの矢印を考慮した、起点から終点に向かう進み具合を意味する。つまり、「塗布の進行方向と気流の進行方向とが同一方向である」とは、塗布の進行する向きと気流の向きが、同一の向きの場合も、対向する向きの場合も含まれる。
本実施態様においては、塗布の進行方向と気流の進行方向とが同一方向なので、基板の幅方向において均一な乾燥ができる。よって、均一な被塗布面の乾燥を効率的に実現できる。
【0020】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記基板を水平方向に移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、かつ前記基板が移動する向きに対向する向きで、前記気流を前記塗布されたレジスト液に接触させることを特徴とする。
【0021】
本実施態様によれば、レジスト液が溜められた液槽やノズルを移動させずに、基板側を移動させることにより塗布を行なうことができる。よって、液槽内のレジスト液の液面が乱れて、毛細管現象により塗布挙動が乱れる恐れがない。さらに、気流を基板が移動する向きと対向する向きで塗布されたレジスト液に接触させるので、より効果的に被塗布面の乾燥を行なうことができる。この場合、塗布の進行する向きと、気流の進行する向きも同一となる。すなわち、先に塗布が行われた部分が、先に気流に接触する。
【0022】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記気流の供給が、前記被塗布面への塗布が終了する前に開始されることを特徴とする。
【0023】
レジスト液が被塗布面に付けられた時点から実質的に乾燥が始まるので、本実施態様のように、被塗布面への塗布が終了する前に気流の供給を開始することによって、迅速で均一な被塗布面の乾燥を実現できる。
【0024】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記気流の供給が、前記被塗布面への塗布を開始する前に開始されることを特徴とする。
【0025】
本実施態様によれば、被塗布面への塗布を開始する前に気流の供給が開始されるので、レジスト液が被塗布面に付けられた直後から気流に接触して乾燥が行なわれ、迅速で均一な被塗布面の乾燥をより確実に実現できる。
【0026】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記気流の流速が、前記ノズルおよび前記基板の前記相対移動の速度に対して、10倍以上であることを特徴とする。
【0027】
本実施態様によれば、気流の流速が、ノズルおよび基板の相対移動の速度に対して10倍以上であるので、上記の「ほぼ一定の相対流速」を有する気流に該当し、常に被塗布面内を均一に乾燥することができる。
【0028】
本発明に係るレジスト塗布方法のその他の実施態様は、さらに、前記気流の流速が、0.05〜1.5m/秒であることを特徴とする。
【0029】
気流の流速を本実施態様の範囲にとることによって、被塗布面内を迅速で均一に乾燥することができる。
【0030】
本発明に係るフォトマスクブランクの製造方法の1つの実施態様は、透明基板上に光学膜が成膜されたフォトマスクブランク基板にレジストを塗布する工程を含む、フォトマスクブランク製造方法であって、上記の何れかのレジスト塗布方法によってレジストを塗布することを特徴とする。
【0031】
ここで、石英ガラス等からなる透明基板を用いることができ、光学膜には、遮光膜、半透光膜、位相シフト膜、これらに積層した反射防止膜等を含む。本実施態様では、上記と同様の作用効果を奏し、光学的に優れたフォトマスクブランクを得ることができる。
【0032】
本発明に係るフォトマスクブランクの製造方法のその他の実施態様は、透明基板上の光学膜に、得ようとする電子デバイスに応じた転写用パターンをパターニングしてフォトマスクを製造する方法であって、上記のフォトマスクブランクを用いることを特徴とする。
【0033】
本実施態様によれば、所望の転写用パターンが形成された光学的に優れたフォトマスクブランクを得ることができる。
【0034】
本発明に係るフォトマスクブランクの製造方法のその他の実施態様は、透明基板上に成膜された複数の光学膜をが、それぞれパターニングされたフォトマスクの製造方法であって、レジストを塗布して、前記レジストへの描画および現像工程を施すことにより、第1の光学膜をパターニングして、第1の転写用パターンを有するフォトマスク中間体を形成する工程と、該フォトマスク中間体にレジストを塗布して、前記レジストへの描画および現像工程を施すことにより、第2の光学膜をパターニングして、第2の転写用パターンを有するフォトマスクまたはフォトマスク中間体を形成する工程と、を含み、前記レジストの塗布に際して、上記の何れかのレジスト塗布方法を用いることを特徴とする。
【0035】
フォトマスクの製造工程においては、静電気による電位差によって放電が生じ、その際のエネルギーにより光学膜が溶損する静電破壊が生じる場合がある。例えば、複数の光学膜をパターニングするにあたり、2回目のパターニング時に、既にパターニングされた光学膜のパターン同士間で放電が生じて、パターン形状が壊れる恐れがある。特に、先端が尖った形状のパターンが接近している場合に、静電破壊が生じ易い。しかし、本実施態様では、適正な湿度(例えば、湿度40〜70%)の気流を供給することにより、静電破壊を未然に防止することができる。
【0036】
本発明に係るレジスト液の塗布装置の1つの実施態様は、被塗布面を下方に向けた状態の基板にレジスト液を塗布するレジスト塗布装置であって、レジスト液を溜める液槽と、該液槽に溜められたレジスト液を、毛管現象によって前記基板の被塗布面に導くノズルと、を備えた塗布手段と、前記ノズルおよび前記基板の少なくとも一方を移動させることにより、両者を水平方向に相対移動させる移動手段と、気流を生じさせる気流発生源と、前記被塗布面と所定の離間距離で対向配置されたガイド面を有して、該気流を前記被塗布面と平行な流れに整流する整流板とを備えた乾燥機構と、を備え、前記塗布手段により、毛管現象でレジスト液が前記被塗布面に接液された状態で、前記移動手段により、前記ノズルおよび前記基板を水平方向に相対移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、前記乾燥手段により、前記被塗布面に対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって前記被塗布面と平行な気流を供給し、前記気流を塗布されたレジスト液に接触させることにより、前記塗布されたレジスト液の乾燥を行うことを特徴とする。
【0037】
ここで、「ノズルおよび基板の少なくとも一方を移動させることにより、両者を水平方向に相対移動させること」には、ノズルを移動させる場合と、基板を移動させる場合と、両方を移動させる場合が含まれる。また、気流の進行方向が被塗布面と平行であれば、塗布の進行する方向と気流の進行方向との関係を任意にとることができる。つまり、塗布の進行する方向と気流の進行方向とが、同一方向である場合も含まれるし、異なる方向である場合も含まれる。
【0038】
液晶表示装置製造用のフォトマスク等の製造においては、最終製品に応じて頻繁なサイズ変更が生じる場合が多いが、本実施態様では、製造するフォトマスクのサイズが変更されても、装置上の大きな変更を必要としないという利点を有する。つまり、サイズがノズル幅以内の基板に対する塗布では、基板のサイズが変更されても、ノズル自体の交換を必要とせず、乾燥手段についても、気流発生源や整流板を交換する必要がない。
【0039】
本実施態様の塗布装置を用いれば、一定方向でほぼ一定の相対流速の被塗布面と平行な気流を、塗布されたレジスト液に接触させることにより、塗布されたレジスト液の乾燥を行うので、迅速で均一な乾燥を実現できる。これにより、被塗布面に表れるむら(肉眼で視認可能な色相の異なる斑)を実質上消失させることができ、レジスト膜厚値の面内分布のばらつきを、従来に比べ大幅に減少させる(例えば半減)ことができる。
【0040】
本発明に係るレジスト液の塗布装置のその他の実施態様は、さらに、前記離間距離が調整可能であり、前記離間距離が前記気流の流速に応じて調整されることを特徴とする。
【0041】
被塗布面と整流板のガイド面との離間距離は、大きすぎると気流の整流効果が薄れ、一方、近すぎると、整流板のガイド面の不均一要因(傷やレジスト付着などによる表面平滑性の不均一など)を敏感に拾ってしまう不都合が生じる。特に、気流の流速が速い場合には、ガイド面の不均一要因を敏感に拾う恐れが高まる。
よって、本実施態様のように、離間距離を気流の流速に応じて調整することによって、レジストの塗布工程を長く継続しても、迅速で均一な被塗布面の乾燥を安定的に維持することができる。
【0042】
本発明に係るレジスト液の塗布装置のその他の実施態様は、さらに、前記移動手段によって前記基板を水平方向に移動させることにより、前記ノズルおよび前記基板を水平方向に相対移動させ、かつ前記気流発生源が前記基板と一体に移動することを特徴とする。
【0043】
本実施態様によれば、本実施態様によれば、レジスト液が溜められた液槽やノズルを移動させずに、基板側を移動させることにより塗布を行なうことができる。よって、液槽内のレジスト液の液面が乱れて、毛細管現象により塗布挙動が乱れる恐れがない。さらに、基板の被塗布面と気流発生源との相対位置を変えずに、塗布、乾燥を行なうことができるので、常に一定の気流を被塗布面に塗布されたレジスト液に接触させることができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明においては、一定方向でほぼ一定の相対流速の被塗布面と平行な気流を、塗布されたレジスト液に接触させることにより、塗布されたレジスト液の乾燥を行うので、迅速で均一な乾燥を実現でき、これにより、被塗布面に表れるむらを実質上消失させ、レジスト膜厚値の面内分布のばらつきを大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るレジストの塗布装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るレジストの塗布装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図3】本発明に係るレジストの塗布手段の一実施形態を示す概略側面図である。
【図4】本発明に係る乾燥手段の一実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る整流板のその他の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る乾燥手段のその他の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る乾燥手段のその他の実施形態を示す模式図である。
【図8】透明基板上に複数の光学膜が成膜されたフォトマスク(半透光膜が上層にくる膜構成のフォトマスク)の製造方法の実施形態を示す模式図である。
【図9】透明基板上に複数の光学膜を成膜されたフォトマスク(半透光膜が下層にくる膜構成のフォトマスク)の製造方法の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本発明に係るレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る塗布装置1の側面概略図であり、図2は、図1の左側から見た正面概略図である。図3は、塗布装置1の主要構成機器である塗布手段2を示す概略断面図である。
【0047】
図1に示すように、塗布装置1は、ベースフレーム11に設けられた塗布手段2と、移動フレーム12に設けられた吸着手段3と、この移動フレーム12を水平面内で移動させる移動手段4と、基板10を着脱自在に保持し、吸着手段3に装着する保持手段5と、レジスト液が塗布された基板10の被塗布面を乾燥させるために気流を供給する乾燥手段100と、図示しない制御部とを備えている。
【0048】
塗布手段2は、被塗布面を下方に向けた状態の基板10に対して、レジスト液の塗布を行うものであり、塗布手段2は、矩形箱状のベースフレーム11のほぼ中央部に設けてある。
具体的には、図3に示すように、支持プレート21を昇降させるモータ駆動方式の昇降部22と、毛細管隙間23を備えたノズル24と、支持プレート21の上端部に固定され、ノズル24を塗布液20に浸漬させた状態で収納する液槽25と、ノズル24を液槽25から所定高さまで突出させるエアシリンダ駆動方式のノズル昇降部26とを備え、さらに、基板10の板厚を測定する測定手段としてリニアゲージ9を液槽25の側部に設けた構造としてある。なお、さらに詳細な説明は、図3を用いて後述する。
【0049】
本実施形態で塗布するレジストは、公知のネガ、またはポジレジストを用いることができ、使用するレジストの粘度は、3〜20cps(センチポイズ)することが好ましく、5〜15cpsとすることがさらに好ましい。なお、本実施形態では、塗布装置1をジスト液の塗布に用いているが、これに限定されるものではなく、塗布手装置1をその他の任意の塗布液の塗布に適用することができる。
【0050】
移動フレーム12は、対向する一対の側板と、この側板を連結する天板とが一体的に形成されており、剛性不足により基板10と塗布手段2との位置精度が狂うことがないように、十分な機械的強度を有している。
また、移動フレーム12は、リニアウェイ41を介して、ベースフレーム11と水平方向に移動自在に連結されている。
さらに、移動フレーム12は、天板のほぼ中央部に、複数の吸着孔(図示せず)が穿設された吸着板からなる吸着手段3が取り付けてある。また、移動フレーム12の一方の側板には、後述するボールスクリュウ42が螺合するナットの形成された移動部13が突設してある。
【0051】
移動手段4は、移動フレーム12の側板をガイドさせながら移動させるリニアウェイ41と、移動部13のナットに螺合するボールスクリュウ42と、ボールスクリュウ42を回転させるモータ43とからなっている。
制御部からの指示によってモータ43を回転させるとボールスクリュウ42が回転し、移動部13をボールスクリュウ42の回転方向に応じた方向へ所定の距離だけ水平移動させることができる。
【0052】
保持手段5は、基板10の四隅の周縁部を保持する四つの保持部材55を備えている。これらの保持部材55は、保持部材55ごとに保持プレート61に固定されている。
ここで、好ましくは、保持部材55にセットされた基板10が保持部材55から外れたりしないように、押え手段(図示せず)を設けることが好ましい。この押え手段は、例えば、押えプレートが上下動しかつ水平方向に揺動するようにしてある。これにより、斜めに傾けて保持部材55にセットされた基板10を保持部材55の方向に押さえつける。
【0053】
保持プレート61は、リニアウェイ62を介して、Y方向(図1参照)に平行に対向して配設されたレール63に2個ずつ配設してあり、奥側の2個の保持プレート61は、ボールスクリュウとモータを用いた駆動手段(図示せず)によりY方向に移動させることができる。これにより、基板10の縦寸法が異なる場合に、上記駆動手段により保持プレート61をY方向に移動させ、縦寸法の異なる基板10に容易に対向することができる。
また、レール63は、X方向(図2参照)に平行に対向して配設されたリニアウェイ64を介して、両端部が回動プレート65に取り付けられており、ボールスクリュウとモータを用いた駆動手段(図示せず)によりX方向に移動させることができる。これにより、基板10の横寸法が異なる場合に、上記駆動手段により保持プレート61をX方向に移動させ、横寸法の異なる基板10に容易に対向することができる。
【0054】
回動プレート65は、正面側の端部が回動軸66を介して、ベースプレート69と回動自在に連結されており、奥側の端部が、ベースプレート69に突設されたストッパ68によって水平に支持されている。また、回動プレート65は、回動シリンダ67によって、所定角度回動される。この回動シリンダ67は、ロッド先端が回動プレート65と回動自在に連結され、かつ、シリンダ本体の端部がベースプレート69と回動自在に連結されている。
【0055】
ベースプレート69は、下面の四隅に、保持手段フレーム70に貫通するガイド棒71が突設されており、底フレーム72に設けられた、エアシリンダ等の昇降手段73によって、垂直方向に移動させることができる。
【0056】
乾燥手段100は、ベース部材106を介して、ベースフレーム11に設置された送風ユニット102と整流板104とを備える。送風ユニット102から吐出され、整流板104によりガイドされた気流が、概ねY方向に平行に図1の右から左へ流れる。この気流により、塗布手段2によりレジスト液が塗布された基板10の被塗布面を迅速に均一に乾燥させることができる。なお、さらに詳細な説明は、図4を用いて後述する。
【0057】
<塗布装置1の動作の概要の説明>
次に、上記構成の塗布装置1の動作の概要について、図1を参照して説明する。
まず、塗布装置1において、ベースプレート69が昇降手段73によって上昇されておらず、回動プレート65が水平に支持されており、移動フレーム12が処理終了位置にあり、塗布手段2が上昇していない状態が、初期状態である。
なお、保持部材55は、基板10の縦寸法および横寸法にあわせてあらかじめ調整されている。この調整において、レール63をX方向に移動させることにより、基板10の横寸法に応じて保持部材55の位置決めを容易に行なうことができる。また、奥側の二個の保持プレート61をY方向に移動させることにより、基板10の縦寸法に応じて保持部材55の位置決めを容易に行なうことができる。
【0058】
次に、回動プレート65が、回動シリンダ67によって、手前側に起き上がるように(図1で半時計周りに)回動しながら、セット位置に移動する。そして、塗布装置1の正面側で作業する作業者が、基板10の被塗布面を塗布装置1側に向けた状態で保持部材55にセットすると、上記押え手段が基板10を保持部材55に押さえつける。これにより、塗布装置1は、斜めに傾斜した状態の保持部材55にセットされた基板10が、保持部材55から外れて落下するといった不具合を防止することができる。
【0059】
次に、回動プレート65は、回動シリンダ67によって、奥側に倒れるように(図1で時計周りに)回動し、回動プレート65の奥側端部がストッパ68に当接し水平に支持される。そして、基板10が水平に支持されると、押え手段が基板10の押えを解除する。
これにより、基板10は、装着位置に水平に置かれた状態になる。なお、押えを解除した状態の押え手段は、基板10の上面より低い状態となるので、基板10を上昇させても吸着手段3と当接することはない。
【0060】
次に、移動フレーム12が、吸着手段3の吸着位置が基板10上に位置するように、移動手段4によって処理終了位置から装着位置まで移動する。なお、このとき、塗布手段2は降下した状態にある。
続いて、昇降手段73が、基板10の上面が吸着手段3と当接するまで、ベースプレート69を上昇させる。
【0061】
次に、吸着手段3が吸着孔(図示せず)から吸引すると、基板10が吸着手段3に吸着され、続いて、昇降手段73が下降する。
次に、移動フレーム12が処理位置側に移動するとともに、塗布手段2が所定位置まで上昇し、基板10の被塗布面に塗布液を塗布する。この際、塗布手段2は、毛細管現象によりノズル先端まで揚げられた塗布液を被塗布面と接触させ、続いて、所望する塗布厚となるようにノズル位置を調整し、この垂直方向のクリアランスを保った状態で、移動フレーム12が処理位置を通過することにより、基板10に膜厚が均一な塗布膜を形成することができる。
【0062】
このとき、乾燥手段100により気流が供給され、塗布手段2によりレジスト液が塗布された基板10の被塗布面が迅速に均一に乾燥される。なお、気流の供給開始時期については、塗布を終了する前に開始することが好ましく、塗布を開始する前に開始することがさらに好ましい。
また、塗布を開始する前に気流の供給を開始する場合には、接液前から気流を供給することも可能であるし、接液後(例えば、接液してからノズルを下降させ、塗布に適切な塗布ギャップを作った時点)に気流をスタートさせることも可能である。
【0063】
そして、移動フレーム12が処理終了位置まで移動すると、塗布手段2が降下し、移動フレーム12の移動方向を反転させて、処理終了位置から装着位置までY方向に移動する。なお、周囲の環境によって塗布されたレジストの面内分布に影響が出ない時点まで乾燥が進んだら、気流の供給を停止することができる。具体的には、塗布開始後5〜15分程度で気流の供給を停止できる。
【0064】
そして、昇降手段73が、基板10に保持部材55が当接するまで、ベースプレート69を上昇させ、保持部材55が基板10と当接すると、吸着手段3が吸引を停止し、エアブローにより基板を離脱させ、基板10は保持部材55に載置される。
なお、基板10に電荷が溜まっている場合、保持部材55が絶縁性の材料で構成されていると、基板10を保持部材55に載置した際、基板10と保持部材55の当接箇所において静電破壊を起こす可能性がある。このような静電破壊を防止するために、保持部材55として金属等の導電性の材料を用いることが好ましい。
【0065】
続いて、昇降手段73がベースプレート69を降下させ停止した後、押え手段が基板10を保持部材55に押えつけ、続いて、回動プレート65を正面側に回動させる。
次に、回動プレート65の回動が停止すると、押え手段が解除され、作業者は、塗膜の形成された基板10を保持部材55から容易に取り外すことができる。
【0066】
このように、本実施形態の塗布装置1によれば、基板10の被塗布面を下向きにした状態で、下方から塗布液を塗る場合であっても、移動手段4側に垂直方向の誤差を生じさせる反転手段を設けておらず、基板10と塗布手段2のノズルとの垂直方向の位置精度を高めることができるので、基板10に均一な厚さの塗布膜を形成することができる。さらに、乾燥手段100による気流の供給により、基板10の被塗布面が迅速に均一に乾燥されるので、外観性能としてのむらおよびレジスト膜厚のばらつきの点で従来に比べ品質が大幅に改善される。
【0067】
なお、図1から明らかなように、基板10をセットする際、保持手段5が回動し傾斜した状態となるので、作業者は、基板10を180度反転させなくてもすみ、傾斜した角度分だけ基板10を容易に保持部材55にセットしたり、取り外したりすることができる。
さらに、保持手段5は、回動プレート65にリニアウェイ64を介して移動自在に取り付けられたレール63と、このレールにリニアウェイ62を介して移動自在に取り付けられた保持プレート61と、この保持プレート61に取付けたれた保持部材55とを備えているので、サイズの異なる基板10に対しても、保持部材55の位置を迅速かつ容易に変更することができ、機種切替における生産性を向上させることができる。
【0068】
本実施形態は、任意のサイズの基板に適用可能で有るが、ポジレジストを用いた液晶表示装置製造用のフォトマスク、特に、サイズが一辺300mm以上の基板に適用することが好ましく、幅が1000mmを超える基板にも適用可能である。
このような液晶表示装置製造用のフォトマスクの製造においては、最終製品に応じて頻繁なサイズ変更が生じる場合が多いが、本実施形態では、製造するフォトマスクのサイズが変更されても、装置上の大きな変更を必要としないという利点を有する。つまり、サイズがノズル24の幅以内の基板10に対する塗布では、基板10のサイズが変更されても、ノズル24自体の交換を必要とせず、乾燥手段100についても、気流発生源102や整流板104を一切交換する必要がない。
【0069】
<塗布手段2の実施形態の説明>
次に、図3を参照しながら、塗布手段2の実施形態についてさらに詳細な説明を行なう。上記のように、塗布手段2は、支持プレート21を昇降させるモータ駆動方式の昇降部22と、毛細管隙間23を備えたノズル24と、支持プレート21の上端部に固定され、ノズル24を塗布液20に浸漬させた状態で収納する液槽25と、ノズル24を液槽25から所定高さまで突出させるエアシリンダ駆動方式のノズル昇降部26と、基板10の板厚を測定するリニアゲージ9とを備える。
【0070】
昇降部22は、制御手段によって制御されるモータ(図示せず)により、支持プレート21の高さを微調節可能な昇降機構を備えている。すなわち、昇降部22が、ノズル24と基板10の被塗布面との間隙を制御しながら、ノズル24を昇降させる昇降手段となる。
また、ノズル昇降部26は、制御手段によって制御されるエアシリンダ(図示せず)により、ノズル24を、液槽25に収納された状態から先端部を突出させる状態まで、一定の距離だけ上昇させる昇降機構を備えている。
【0071】
ここで、支持プレート21の上部には、液槽25が固定され、液槽25の側面にリニアゲージ9が固定されており、さらに、ノズル24は、ノズル昇降部26によって、液槽25に対して一定の距離だけ上昇する構成としてある。したがって、昇降部22が支持プレート21の高さを制御すると、リニアゲージ9、液槽25および突出状態のノズル24の高さを同時に制御することとなる。
【0072】
以上の制御により、塗布手段2は、毛細管現象によりノズル先端まで揚げられた塗布液を被塗布面と接触させ、続いて、所望する塗布厚となるようにノズル位置を調整し、この垂直方向のクリアランスを保った状態で、移動フレーム12が処理位置を通過することにより、基板10に膜厚が均一な塗布膜を形成することができる。
【0073】
なお、本実施形態で使用するレジストは、公知のネガまたはポジレジストを用いることができ、レジストの粘度としては、3〜20CPS(センチポイズ))の範囲にあることが好ましく、5〜15CPSの範囲にあることがより好ましい。
【0074】
<乾燥手段100の実施形態の説明>
次に、本発明に係る乾燥手段100の1つの実施形態について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、乾燥手段100に関連する塗布装置1の主要構成機器を表わした模式図であり、図4(a)は、乾燥手段100の側面を表し、図4(b)は、図4(a)における上方から見た平面を表わす。ただし、図4(b)では、吸着手段3および基板10の記載は省略してある。
【0075】
図4には、液槽に溜められたレジスト液を毛管現象によって基板10の被塗布面に導く、塗布手段2のノズル24と、移動手段4により水平方向に移動する吸着手段3と、吸着手段3の吸引力により被塗布面が下向きになる状態で保持された基板10と、気流を生じさせる気流発生源102と、ガイド面104aが被塗布面10aと離間距離tで対向配置され、気流を被塗布面10aと平行な流れに整流する整流板104とが示されている。ここで、乾燥機構100は、主に気流発生源102と整流板104とによって構成されている。
【0076】
塗布手段2のノズル24により、毛管現象でレジスト液が被塗布面10aに接液された状態で、移動手段4により、基板10を吸着した吸着手段3を水平移動させて、ノズル24および基板10を水平方向に相対移動させる。これにより、被塗布面10aにレジスト液110を塗布することができる。このとき、乾燥手段100により、被塗布面10aに対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって被塗布面10aと平行な気流を供給して(図4の矢印参照)、気流を塗布されたレジスト液110に接触させることにより、塗布されたレジスト液110の乾燥を行うことができる。
なお、塗布手段2のノズル24は、ベースフレーム11の中央部に設置され、乾燥機構100は、ベース部材106を介してベースフレーム11の端部に接続されているので、レジスト塗布時においては、基板10は移動するが、塗布手段2と乾燥手段100との位置関係に変化しない。
【0077】
気流発生源102は、主に駆動部102aと送風ノズル102bとから構成される。駆動部102aの内部には、電動モータで駆動されるフィルタ付きファン(図示せず)が配置され、ファンの回転によりフィルタを通過した気流が、送風ノズル102bの送風開口から吐出され、塗布手段2のノズル24側へ送られる。このフィルタを通過したクリーンな気流を、図4の矢印で示す。駆動部102aに用いるファンとしては、シロッコファン、ターボファンをはじめとする任意のタイプのファンを用いることができる。
【0078】
本実施形態では、送風ノズル102bは、気流の流れに直交する方向において4室に区分されており、各室にダンパ等を備えることによって、各室の気流の風速を調整できるようになっている。さらに、各室ごとに個別のファンを有する送風ユニットを設けて、個々の送風ユニットの気流の風速を調節可能にすることもできる。なお、送風ノズル102bを区分する数が4に限られるものではなく、任意の数に区分することができ、区分をせずに一体的な送風ノズル102bを用いることもできる。
【0079】
供給する気流は、クリーンルーム内に充填された気体を駆動部102aのファンが吸引して吐出することにより供給することもできるし、別のガス供給源から駆動部102aのファンに気体を供給して吐出することにより供給することもできる。また、加熱手段を備えて、気流を所定の温度の保つこともできるし、保湿手段を備えて、気流を所定の湿度に保つこともできる。なお、気流の湿度については後述する。
【0080】
整流板104は、そのガイド面104aが被塗布面10aと離間距離tで対向配置されており、ガイド面104aは平滑な表面性状を有する。図4に示すように、整流板104は、送風ノズル102bから塗布手段2のノズル24の位置まで、気流を下側から連続的にガイドするように配置されている。
【0081】
整流板104のガイド面104aと被塗布面10aとが「対向配置される」ことには、図4に示すようなガイド面104aと被塗布面10aとが平行に配置される場合(本実施形態の場合)だけでなく、例えば、図5に示すように、ガイド面104aと被塗布面10aとの間の距離が、気流発生源102側で広く、ノズル24側で狭くなったくさび状の気流の流路が形成される場合も含まれる。この場合であっても、気流の流れに直交する方向では、ガイド面104aと被塗布面10aとの間の距離が同一になっており、被塗布面10aと平行な気流を供給することができる。
【0082】
気流発生源102から離れるにつれて気流の運動エネルギーが減少するが、図5に示すような整流板104の配置によって、気流の流速の減少を補うことができる。整流板104と材料としては、樹脂、金属をはじめとする任意の材料を用いることができる。
【0083】
被塗布面10aと整流板104のガイド面104aとの離間距離tは、大きすぎると気流の整流効果が薄れ、一方、近すぎると、整流板104のガイド面104aの不均一要因を敏感に拾ってしまう不都合が生じる。特に、気流の流速が速い場合には、ガイド面の不均一要因を敏感に拾う恐れが高まる。よって、離間距離tを気流の流速に応じて調整することができるようにすることが好ましい。このようにすることによって、迅速で均一な被塗布面の乾燥を実現する最適な気流を得ることができる。また、例えば基板がフォトマスクやフォトマスクブランク基板である場合、製品によって多数の板厚種類があり、異なる板厚みの基板のそれぞれに最適の整流を形成するためには、整流板の高さが可変であることが好ましい。
【0084】
例えば、整流版104のガイド面104aは、使用中にレジストが付着した汚れや、傷が生じることがあり、ガイド面104aが近すぎると、その凹凸(例えば数十〜数百μmの凹凸)がレジスト塗布面に反映する恐れがある。また、気流の流れに直交する方向において、気流発生源102が各室ごとに複数のファンを有する場合には、その境界付近の気流が乱れる場合がある。よって各々の状況に応じて、離間距離tを調整することにより、その影響を軽減することができる。
なお、気流の流れに直交する方向において、ガイド面104aの表面性状が不均一になって場合には、気流の流れに直交する方向における各室ごとに、気流の風速を調整して対処することもできる。
【0085】
離間距離tの具体的な寸法としては、被塗布面10aと気流の相対速度の秒速値に対して、1〜50%とすることが好ましく、より好ましくは10〜50%とすることができる。例えば、被塗布面10aと気流の相対速度を0.1〜1m/秒とすると、離間距離tは10〜50mmの範囲内で選択することが望ましい。なお、気流の流速については、下記のレジストの塗布方法の説明において詳述する。
【0086】
本実施形態では、図4(a)に示すように、吸着手段3の両端に、クリーンルーム内のダウンフローが巻き込まれて、供給した気流に影響を与えないように、ひさし部分108が設けられている。ただし、このひさし部分108は、必ず設ける必要がある部材ではない。
【0087】
本実施形態においては、被塗布面10aにおいて、塗布の進行する方向と、気流の進行方向とが同一方向である。特に本実施形態では、塗布手段2のノズル24によりレジストが塗布された基板10は、被塗布面10aを下方に向けた状態で移動手段4により図面で左から右へ水平に移動する。このとき、既に気流が供給されている場合には、被塗布面10aに塗布されたレジスト液110に、図面で右から左へ流れる気流が平行に接触し、これにより被塗布面上のレジスト液は迅速に均等に乾燥される。
このとき、基板10に対して、基板10の移動速度と気流の流速が加わった相対流速で乾燥を行なうことになる。なお、気流は塗布手段2のノズル24に達すると、流れが左右に分かれて流れて、基板10が存在する領域から離れる。
【0088】
この気流による被塗布面10aの乾燥は、基板10が処理終了位置に達して停止し、さらに、基板10が反対向きに移動して装着位置に達するまで継続して行なわれる。移動手段4(基板10)が反対向きに移動するときには、基板10に対して、気流の流速から基板10の移動速度を減じた相対流速で乾燥を行なうことになる。このような気流による乾燥により、周囲の環境によって塗布されたレジストの面内分布に影響が出ない時点まで乾燥が進んだら、気流の供給を停止することができる。具体的には、塗布開始後5〜15分程度で気流の供給を停止でき、その後、塗布装置1から基板10を取り外すことができる。
【0089】
本実施形態によれば、乾燥手段100の送風ノズル102b及び整流板104の幅寸法が、ノズル24の幅寸法以上なので、レジストを塗布する基板のサイズが変更されても、乾燥手段100の各部材を交換する必要はない。
【0090】
<乾燥手段100のその他の実施形態の説明>
図4に示す実施形態では、気流発生源102とノズル24との位置関係が変わらない状態で、基板10を移動させることにより、レジストの塗布および乾燥を行なっているが、これに限られるものではない。例えば、気流発生源102を基板10側に設置することも可能である。この場合には、移動手段4によって基板10を水平方向に移動させることにより、ノズル24および基板10を水平方向に相対移動させ、かつ気流発生源102が基板10と一体に移動するようになる。ただし、整流板104は、ノズル24から連続的に設置されている。
この場合には、基板10の被塗布面10aと気流発生源102との相対位置を変えずに、塗布、乾燥を行なうことができ、常に安定した気流を被塗布面10aに塗布されたレジスト液に接触させることができる。
【0091】
図4に示す実施形態では、塗布の進行する方向と、気流の進行方向とが同一方向であるが、これに限られるものではない。例えば、図6に示すように、気流の流れが基板10の進行方向に対して直交する場合も考えられるし、図7に示すように、気流の進行方向が、基板10の進行方向に対して斜めの場合も考えられる。
図6に示す場合には、気流がノズル24とぶつかることがなく、図7に示す場合には、気流がノズル24と正面衝突せずに流れの方向を変えるので、よりスムーズに流れる。
何れの場合においても、基板10の側部から気流を入れるときには、基板10の幅方向の条件差が生じるので、比較的狭幅の基板の適用に適していると考えられる。
【0092】
<乾燥手段100を用いたレジスト塗布方法の実施形態の説明>
次に、上記の乾燥手段100を用いたレジスト塗布方法の1つの実施形態の説明を図4を用いて行なう。
本レジスト塗布方法では、塗布手段2により、液槽25に溜められたレジスト液をノズル24の毛細管現象によって被塗布面10aに導いて被塗布面に接液させ、移動手段4により、ノズル24と基板10とを水平方向に相対移動させることにより、被塗布面10aにレジスト液110を塗布する。このとき、乾燥手段100が、被塗布面10bに対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって被塗布面と平行な気流を供給し、塗布されたレジスト液110に気流を接触させることにより、塗布されたレジスト液110の乾燥を行う。
【0093】
そして、周囲の環境によって塗布されたレジストの面内分布に影響が出ない時点まで乾燥が進んだら、気流の供給を停止する。例えば、塗布開始5〜15分程度で気流の供給を停止でき、その後、塗布装置1から基板10を取り外すことができる。
【0094】
特に、被塗布面10a平行なガイド面104aを有する整流板104によって気流を整流することにより、被塗布面10aと平行な滑らかな気流を供給することができる。これにより、被塗布面を迅速に均一の乾燥させることができ、これにより、外観性能としてのむら(目視で視認可能な色相の異なる斑)がほぼ消失し、レジスト膜厚値の面内分布を、従来の乾燥方法(例えば、特許文献2の図6に示す乾燥方法)に比べて、ほぼ半減させることができる。
【0095】
ここで、塗布の進行する方向と、気流の進行方向とは任意の方向を取ることができるが、塗布の進行する方向と、気流の進行方向とが同一となるようにすることが好ましい。この場合、図4に示すような、基板10を水平方向に移動させて被塗布面10aにレジスト液を塗布する場合には、基板10が移動する向きに対向する向きで、気流を塗布されたレジスト液110に接触させることになる。
【0096】
この場合には、レジスト液が溜められた液槽25やノズル24を移動させずに、基板10側を移動させることにより塗布を行なうので、液槽25内のレジスト液の液面が乱れて、毛細管現象により塗布挙動が乱れる恐れがない。さらに、気流を基板10が移動する向きと対向する向きで塗布されたレジスト液110に接触させるので、より効果的に被塗布面10aの乾燥を行なうことができる。
ただし、本発明はこれ限られるものではなく、基板10の移動方向と同様な向きで、気流を塗布されたレジスト液110に接触させることもできる。
【0097】
気流の供給を開始するタイミングとしては、被塗布面10aへの塗布が終了する前に開始することが好ましく、被塗布面10aへの塗布を開始する前に開始することがさらに好ましい。
レジスト液が被塗布面10aに付けられた時点から実質的に乾燥が始まるが、被塗布面10aへの塗布が終了する前に気流の供給を開始することによって、迅速で均一な被塗布面の乾燥を実現できる。さらに、被塗布面10aへの塗布を開始する前に気流の供給が開始する場合には、レジスト液が被塗布面10aに付けられた直後から、気流に接触して乾燥が行なわれるので、迅速で均一な被塗布面の乾燥をより確実に実現できる
【0098】
被塗布面10aへの塗布を開始する前に気流の供給を開始する場合には、接液前から気流を供給することも可能であるし、接液後(例えば、接液してからノズルを下降させ、塗布に適切な塗布ギャップを作った時点)に気流をスタートさせることも可能である。
【0099】
供給する気流の流速としては、ノズルおよび基板の相対移動の速度に対して、10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがさらに好ましい。
このような流速を取ることによって、基板10とノズル24との相対移動の有無に関わらず、ほぼ一定の相対流速を有する気流を供給することができるので、被塗布面10aを均一に乾燥することができる。
ここで、ノズルおよび基板の相対移動の速度としては、0.05〜1m/分の範囲が好ましく、0.1〜0.5m/分の範囲がさらに好ましい。気流の流速としては、0.05〜1.5m/秒であることが好ましく、0.1〜1.5m/秒であることがさらに好ましい。
【0100】
<フォトマスクブランク、フォトマスクを製造する実施形態の説明>
上記のレジスト塗布方法によって、透明基板上に光学膜が成膜されたフォトマスクブランク基板にレジストを塗布することにより、フォトマスクブランクを製造することもできる。本実施形態では、石英ガラス等からなる透明基板を用いることができ、光学膜には、遮光膜、半透光膜、位相シフト膜、これらに積層した反射防止膜等が含まれる。また、このフォトマスクブランクを用いて、透明基板上の光学膜に、得ようとする電子デバイスに応じた転写用パターンをパターニングしてフォトマスクを製造することもできる。
【0101】
<複数の光学膜を成膜されたフォトマスクを製造する実施形態の説明>
次に、図8、9を参照しながら、上記のレジスト塗布方法を適用して、透明基板上に複数の光学膜を成膜されたフォトマスクを製造する場合の説明を行なう。
図8、9には、複数の光学膜を成膜されたフォトマスクの一例として、遮光膜に加えて、半透光膜(HTL:Half Tone Layer)が成膜されたフォトマスクの製造方法が示されている。このフォトマスクは、半透光膜を追加することで光量を調整して、グレー部を表現することができ、例えば、液晶表示装置製造においてその工数を低減することができる。
【0102】
図8には、半透光膜(HTL)を後から成膜し、結果として、半透光膜が上層にくる膜構成のフォトマスクの製造工程を示し、図9には、半透光膜(HTL)を先に成膜し、結果として、半透光膜が下層にくる膜構成のフォトマスクの製造工程を示す。
【0103】
図8に示す膜構成のフォトマスクの製造工程において、下層からCr系遮光膜(CR)、反射防止膜(AR)の順で積層された透明基板(図8(a)参照)に、1回目のレジスト塗布を行ってレジスト膜を形成し、このレジスト膜上にパターン露光および現像を行って1回目のレジストパターンを形成する(図8(b)参照)。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより、Cr系遮光膜(CR)および反射防止膜(AR)をパターニングし、その上に半透光膜(HTL)を積層してフォトマスク中間体を形成する(図8(c)参照)。
次に、フォトマスク中間体に2回目のレジスト塗布を行なってレジスト膜を形成し、このレジスト膜上にパターン露光および現像を行って2回目のレジストパターンを形成する(図8(d)参照)。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより、半透光膜(HTL)、遮光膜(CR)および反射防止膜(AR)がパターニングされたフォトマスクまたはフォトマスク中間体を形成することができる(図8(e)参照)。
【0104】
図9に示す膜構成のフォトマスクの製造工程において、下層から半透光膜(HTL)、Cr系遮光膜(CR)、反射防止膜(AR)の順で積層された透明基板(図9(a)参照)に、1回目のレジスト塗布を行なってレジスト膜を形成し、このレジスト膜上にパターン露光および現像を行って1回目のレジストパターンを形成する(図9(b)参照)。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより、半透光膜(HTL)、Cr系遮光膜(CR)および反射防止膜(AR)がパターニングされたフォトマスク中間体を形成する(図9(c)参照)。
次に、フォトマスク中間体に2回目のレジスト塗布を行なってレジスト膜を形成し、このレジスト膜上にパターン露光および現像を行って2回目のレジストパターンを形成する(図9(d)参照)。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより、半透光膜(HTL)、Cr系遮光膜(CR)および反射防止膜(AR)がパターニングされたフォトマスクまたはフォトマスク中間体を形成することができる(図9(e)参照)。
【0105】
図8および図9に示す何れの製造方法においても、レジスト塗布においては、上記の乾燥手段100を用いた塗布方法が適用されている。
ここで、フォトマスクにおいては、静電気による電位差によって放電が生じ、その際のエネルギーにより光学膜が溶損する静電破壊が生じる場合があるが、特に、基板上に形成された複数の光学膜をパターニングするにあたり、2回目のパターニング時に、既にパターニングされた遮光膜等の光学膜のパターン同士間で放電が生じて、パターン形状が壊れる恐れがある。特に、先端が尖った形状のパターンが接近している場合に、静電破壊が生じ易い。図8(c)および図9(c)においては、スペースを隔てて隣接したCr系遮光膜(CR)のパターン同士間で放電が生じて、静電破壊が生じる恐れがある。
【0106】
このとき、乾燥手段100により、基板に平行な気流を供給することができるので、適正な湿度(例えば、湿度40〜70%)の気流を供給することにより、Cr系遮光膜(CR)に気流を接触させることができるので、静電破壊を未然に防止することができる。クリーンルーム内では、雰囲気自体が既にその湿度に制御されているが、上記のように、気流に適正な湿度を持たせるために、加湿手段を備えることもできる。
【0107】
本発明に係るレジスト塗布方法およびレジスト塗布装置、並びに該レジスト塗布方法を用いたフォトマスクブランクおよびフォトマスクの製造方法の実施形態は、上記の実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 塗布装置
2 塗布手段
3 吸着手段
4 移動手段
5 保持手段
9 リニアゲージ
10 基板
10a 被塗布面
11 ベースフレーム
12 移動フレーム
13 移動部
20 塗布液
21 支持プレート
22 昇降部
23 毛細管隙間
24 ノズル
25 液槽
26 ノズル昇降部
41 リニアウェイ
42 ボールスクリュウ
43 モータ
55 保持部材
61 保持プレート
62 リニアウェイ
63 レール
64 リニアウェイ
65 回動プレート
66 回動軸
67 回動シリンダ
68 ストッパ
69 ベースプレート
70 保持手段フレーム
71 ガイド棒
72 底フレーム
73 昇降手段
91 測定端子
100 乾燥手段
102 気流発生源
102a 駆動部
102b 送風ノズル
104 整流板
104a ガイド面
106 ベース部材
108 ひさし部分
110 レジスト液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布面を下方に向けた状態の基板にレジスト液を塗布する方法であって、
液槽に溜められたレジスト液を、ノズルの毛細管現象によって前記被塗布面に導いて前記被塗布面に接液させ、前記ノズルと前記基板とを水平方向に相対移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、
前記被塗布面に対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって前記被塗布面と平行な気流を供給し、前記気流を塗布されたレジスト液に接触させることにより、前記塗布されたレジスト液の乾燥を行うことを特徴とする、レジスト塗布方法。
【請求項2】
前記被塗布面と対向配置された整流板によって前記気流を整流して、前記被塗布面と平行な気流を供給することを特徴とする、請求項1に記載のレジスト塗布方法。
【請求項3】
前記被塗布面において、塗布の進行する方向と、前記気流の進行方向とが同一方向であることを特徴とする請求項1または2に記載のレジスト塗布方法。
【請求項4】
前記基板を水平方向に移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、かつ、前記基板の移動する向きに対向する向きで、前記気流を前記塗布されたレジスト液に接触させることを特徴とする、請求項3に記載のレジスト塗布方法。
【請求項5】
前記気流の供給が、前記被塗布面への塗布が終了する前に開始されることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載のレジスト塗布方法。
【請求項6】
前記気流の供給が、前記被塗布面への塗布を開始する前に開始されることを特徴とする、請求項5に記載のレジスト塗布方法。
【請求項7】
前記気流の流速が、前記ノズルおよび前記基板の前記相対移動の速度に対して、10倍以上であることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載のレジスト塗布方法。
【請求項8】
前記気流の流速が、0.05〜1.5m/秒であることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載のレジスト塗布方法。
【請求項9】
透明基板上に光学膜が成膜されたフォトマスクブランク基板にレジストを塗布する工程を含む、フォトマスクブランク製造方法であって、請求項1〜8の何れか1項に記載のレジスト塗布方法によってレジストを塗布することを特徴とする、フォトマスクブランクの製造方法。
【請求項10】
透明基板上の光学膜に、得ようとする電子デバイスに応じた転写用パターンをパターニングしてフォトマスクを製造する方法であって、請求項9に記載のフォトマスクブランクを用いることを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【請求項11】
透明基板上に形成された複数の光学膜がそれぞれパターニングされたフォトマスクの製造方法であって、
レジストを塗布して、前記レジストへの描画および現像工程を施すことにより、第1の光学膜をパターニングして、第1の転写用パターンを有するフォトマスク中間体を形成する工程と、
該フォトマスク中間体にレジストを塗布して、前記レジストへの描画および現像工程を施すことにより、第2の光学膜をパターニングして、第2の転写用パターンを有するフォトマスクまたはフォトマスク中間体を形成する工程と、
を含み、
前記レジストの塗布に際して、請求項1〜8の何れか1項に記載のレジスト塗布方法を用いることを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【請求項12】
被塗布面を下方に向けた状態の基板にレジスト液を塗布するレジスト塗布装置であって、
レジスト液を溜める液槽と、該液槽に溜められたレジスト液を、毛管現象によって前記基板の被塗布面に導くノズルと、を備えた塗布手段と、
前記ノズルおよび前記基板の少なくとも一方を移動させることにより、両者を水平方向に相対移動させる移動手段と、
気流を生じさせる気流発生源と、前記被塗布面と所定の離間距離で対向配置されたガイド面を有して、該気流を前記被塗布面と平行な流れに整流する整流板とを備えた乾燥機構と、
を備え、
前記塗布手段により、毛管現象でレジスト液が前記被塗布面に接液された状態で、
前記移動手段により、前記ノズルおよび前記基板を水平方向に相対移動させることにより、前記被塗布面にレジスト液を塗布し、
前記乾燥手段により、前記被塗布面に対し、一定方向にほぼ一定の相対流速であって前記被塗布面と平行な気流を供給し、前記気流を塗布されたレジスト液に接触させることにより、前記塗布されたレジスト液の乾燥を行うことを特徴とする、塗布装置。
レジスト塗布装置。
【請求項13】
前記離間距離が調整可能であり、前記離間距離が前記気流の流速に応じて調整されることを特徴とする、請求項12に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記移動手段によって前記基板を水平方向に移動させることにより、前記ノズルおよび前記基板を水平方向に相対移動させ、かつ前記気流発生源が前記基板と一体に移動することを特徴とする、請求項12または13に記載のレジスト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−210889(P2011−210889A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76255(P2010−76255)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】