説明

三次元形状測定装置、三次元形状測定方法、構造物の製造方法および構造物製造システム

【課題】光源の光量に変化があった場合であっても、三次元形状を精度良く算出することができる。
【解決手段】三次元形状測定装置1は、メイン光源22が発光した光を縞パターンに変換して測定対象物11上に投影する投影部13と、測定対象物11を撮像する撮像部14と、投影部13が投影する縞パターンの位相を変化させながら、撮像部14に測定対象物11の撮像を繰り返しさせるとともに、縞パターンの画像を複数順に取得する制御部と、メイン光源22の光量の変化量を検出し、当該検出した変化量が所定の値以上である場合に、当該検出した変化量に基づいて前記縞パターンの画像を補正し、当該補正した縞パターンの画像に基づいて、測定対象物11の三次元形状を算出する形状算出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の三次元形状を測定するための三次元形状測定装置、三次元形状測定方法、構造物の製造方法および構造物製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の面形状(三次元形状)を非接触で測定する手法として、位相シフト法によるパターン投影型の三次元形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この三次元形状測定装置では、正弦波状の強度分布を持つ縞パターンを測定対象物上に投影し、その縞パターンの位相を一定ピッチで変化させながら測定対象物を繰り返し撮像し、それによって得られた複数枚の画像(輝度変化データ)を所定の演算式に当てはめることで、測定対象物の面形状に応じて変形した縞の位相分布(位相画像)を求め、その位相画像をアンラップ(位相接続)してから、測定対象物の高さ分布(高さ画像)に換算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−214653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、縞パターンを投影するための光源に電力を供給した直後に測定対象物の撮影を開始すると、複数の画像夫々を取得した際の光源の光量が異なるため、三次元形状の測定精度が劣化する、という問題がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源の光量に変化があった場合であっても、三次元形状を精度良く測定することができる三次元形状測定装置、三次元形状測定方法、構造物の製造方法および構造物製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、光源が発光した光を縞パターンに変換して測定対象物上に投影する投影部と、前記測定対象物を撮像する撮像部と、前記投影部が投影する縞パターンの位相を変化させながら、前記撮像部に前記測定対象物の撮像を繰り返しさせるとともに、縞パターンの画像を複数順に取得する制御部と、前記光源の光量の変化量を検出し、当該検出した変化量が所定の値以上である場合に、当該検出した変化量に基づいて前記縞パターンの画像を補正し、当該補正した縞パターンの画像に基づいて、前記測定対象物の三次元形状を算出する形状算出部と、を備えることを特徴とする三次元形状測定装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源の光量に変化があった場合であっても、三次元形状を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態による三次元形状測定装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態による三次元形状測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態による縞画像の一例を示すイメージ図である。
【図5】第2の実施形態による三次元形状測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態による三次元形状測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】構造物製造システムのブロック構成図である。
【図10】構造物製造システムによる処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳しく説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による三次元形状測定装置1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すとおり三次元形状測定装置1は、工業製品又は部品などの測定対象物11を載置するステージ12と、互いに固定された投影部13及び撮像部14とを備える。投影部13の光軸と撮像部14の光軸との間には角度がつけられており、両者の光軸は、ステージ12の基準面上で交差している。このうち撮像部14の光軸はステージ12の基準面に対して垂直である。なお、撮像部14の光軸を垂直にする代わりに投影部13の光軸を垂直してもよい。
【0010】
ステージ12は、撮像部14の光軸と平行な軸の周りに測定対象物11を回転させるθステージ12θと、撮像部14の光軸と垂直な所定方向(X軸方向)に向けて測定対象物11をシフトさせるXステージ12Xと、θステージ12θの回転軸とX軸方向との双方に対して垂直な所定方向(Y軸方向)に向けて測定対象物11をシフトさせるYステージ12Yとを備える。
【0011】
投影部13は、測定対象物11が配置されるステージ12上の一部の領域(照射領域)に斜め方向から投影パターンを照射する光学系であって、メイン光源22と、パターン形成部23と、投影光学系24とをこの順で配置している。なお、本実施形態による測定対象物11のサイズは、投影部13の照射領域内に測定対象物11の全体が収まる程度に小さいものとして説明する。
【0012】
投影部13の光源であるメイン光源22は、LED(Light Emitting Diode)により構成され、メイン光源22と電気的に接続された電源からの電力の供給を受けて点灯し、パターン形成部23を照射する。なお、メイン光源22は、パターン投影型の面形状測定に使用されるものなので、例えば、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどの一般的な光源を適用してもよい。
また、メイン光源22は、一つの素子として図示しているが複数の光学素子からなる照明光学系で構成されても構わない。その場合、例えば、均一照明を行うためのフライアイレンズやロッドインテグレータ等を用いた照明光学系を有する。
【0013】
投影部13のパターン形成部23は、透過率分布が可変のパネル(液晶表示素子など)であり、そのパネルへ縞パターン(正弦格子パターン)を表示することにより、投影部13から照射領域へ向かう照射光束の断面強度分布を正弦波状とする。パターン形成部23に表示される縞パターンの縞(格子)方向は、投影部13の光軸と撮像部14の光軸との双方が存在している面に対して垂直である。また、パターン形成部23の表示面上の中央近傍に位置する基準点は、ステージ12の基準面上の基準点(撮像部14の光軸と投影部13の光軸との交差点)に対して光学的に共役であり、これによって縞パターンの投影先は、ステージ12の照射領域内に配置された測定対象物11の表面(以下、「被検面」と称す。)に設定されている。なお、被検面上に縞パターンを投影できるのであれば、パターン形成部23の基準点とステージ12の基準点とが完全な共役関係になっていなくとも構わない。投影部13の投影光学系24は、パターン形成部23を通過した光を照射領域に集光させる。
【0014】
撮像部14は、ステージ12上の照射領域の像(輝度分布)を検出する光学系であって、その照射領域で発生した反射光を結像する結像光学系25と、結像光学系25が結像した像を撮像して画像を取得する撮像素子26とが順に配置される。撮像素子26の撮像面上の中央近傍に位置する基準点は、ステージ12の前述した基準点と光学的に共役であり、撮像素子26は、ステージ12の照射領域内に配置された測定対象物11の画像(被検面の画像)を取得することができる。つまり、撮像部14は、測定対象物11を撮像する。なお、被検面の画像を十分なコントラストで取得することができるのであれば、撮像素子26の基準点とステージ12の基準点とが完全な共役関係になっていなくとも構わない。
【0015】
ここで、投影部13のメイン光源22に電源から電力を供給(メイン光源22をオンに)し、この状態で撮像素子26を駆動すると、三次元形状測定装置1は、縞パターンの投影された被検面の画像(=被検面の面形状情報を含んだ画像)を取得することができる。以下、この画像を「縞画像(縞パターンの画像)」と称す。さらに、縞パターンの位相をシフトさせながら縞画像の取得を繰り返せば、被検面の面形状データDを既知とするための情報が揃う。また、ステージ12と、投影部13及び撮像部14の高さとを調整することにより、三次元形状測定装置1は、様々な角度から測定対象物11を撮像することができる。
【0016】
図2は、本実施形態による三次元形状測定装置1の機能構成を示すブロック図である。
図2において図1に示した要素と同じものには同じ符号を付した。図2に示すとおり、投影部13のメイン光源22と、投影部13のパターン形成部23と、撮像部14の撮像素子26とは、それぞれコンピュータ100の制御部101に接続されている。
【0017】
コンピュータ100は、制御部101の他に、CPU(中央処理装置)15と、記憶部16と、三次元形状測定装置1が測定対象物11を測定した結果等を表示するモニタ17と、測定対象物11の測定指示等を入力する入力部18とを含んで構成される。CPU(形状算出部)15は、コンピュータ100の全体を統括して制御し、記憶部16に記憶された所定の動作プログラムに基づいて動作する。例えば、CPU15は、制御部101に対して各種の指示を与えることにより三次元形状測定装置1の各部を駆動制御する。記憶部16は、上述したCPU15の動作プログラムと、CPU15の動作に必要な各種の情報とを予め記憶している。
【0018】
制御部101は、メイン光源22をオン/オフするタイミング、メイン光源22の発光強度、パターン形成部23に表示される縞パターンの位相、撮像素子26による画像の取得タイミング、撮像素子26による画像取得時の電荷蓄積時間(シャッター速度)、ステージ12の座標などを制御する。なお、制御部101は、パターン形成部23に表示されるパターンを、一様なパターンに設定することもできる。
【0019】
次に、図3を参照して、三次元形状測定装置1による三次元形状算出処理について説明する。図3は、本実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
なお、この三次元形状算出処理の開始時点では、ステージ12の座標は、適切な座標に調整済みである。
まず、ステップS101において、CPU15が、画像番号mを初期値1に設定する。
次に、ステップS102において、CPU15は、縞パターンの位相シフト量を、現在の画像番号mに対応したシフト量(m−1)π/2に設定する。
【0020】
次に、ステップS103において、制御部101が、パターン形成部23を駆動することにより、位相シフト量が(m−1)π/2である縞パターンを測定対象物11へ投影する。そして、制御部101は、撮像素子26を駆動して縞画像IMを取得する。制御部101は、取得した縞画像IMをCPU15に出力する。CPU15は、入力された縞画像IMを記憶部16へ書き込む。
【0021】
次に、ステップS104において、CPU15は、現在の画像番号mが最終値mmaxに達したか否かを判定する。そして、画像番号mが最終値mmaxに達していなければステップS105へ移行し、画像番号mが最終値mmaxに達していればステップS106へ移行する。なお、mmaxは、5以上の整数であり、本実施形態では画像番号mの最終値mmaxが「5」に設定された場合を説明する。
【0022】
ステップS105において、CPU15は、画像番号mに1加算し、ステップS102へ戻る。よって、ステップS102〜S103のループは繰り返され、制御部101は、縞パターンの位相がπ/2(90度)ずつ順に変化した合計5枚の縞画像IM〜IMを取得する。
【0023】
一方、ステップS106において、CPU15は、縞画像IMの光量Lと縞画像IMの光量Lとの光量差を算出し、算出した光量差が所定の閾値L以上であるか否かを判定する。縞画像IMと縞画像IMとは、縞パターンの位相が等しい。ここで、本実施形態による光量Lは、縞画像IMの全て又は一部の領域における画素の輝度値の平均値である。そして、算出した光量差が閾値L以上である場合にはステップS107へ移行し、算出した光量差が閾値Lより小さい場合にはステップS108へ移行する。
【0024】
ステップS107において、CPU15は、縞画像IM〜IM夫々に対する補正係数を算出し、各縞画像IM〜IMに算出した補正係数を乗じて補正した縞画像データに基づいて、位相分布を算出する。具体的には、まず、CPU15は、次の式(1)により、補正係数の変化比率Cを算出する。式(1)に示すように、変化比率Cは、縞画像IM間でメイン光源22の光量が線形に変化しているものとして決定する。なお、本実施形態では、メイン光源22の光量が線形的に変化している場合を説明したが、非線形であっても線形部分の補正が可能である。
【0025】
【数1】

【0026】
そして、CPU15は、各縞画像IMに対する補正係数Cを次の式(2)により算出する。式(2)に示すように、補正係数Cは、画素番号mの値、つまり縞画像を撮像した順序(時間)に応じた値である。
【0027】
【数2】

【0028】
次に、CPU15は、縞画像の全ての画素iについて、初期位相φを5バケット法の次の式(3)により算出する。
【0029】
【数3】

【0030】
ただし、Imiは、縞画像IMの画素iにおける輝度値である。
そして、CPU15は、算出した初期位相φの値を、位相画像(位相分布)φにおける画素iの値として記憶部16へ書き込む。
【0031】
一方、ステップS108において、CPU15は、縞画像IM〜IMに基づいて位相分布を算出する。具体的には、CPU15は、各画素iについて、初期位相φを5バケット法の次の式(4)により算出する。
【0032】
【数4】

【0033】
そして、CPU15は、算出した初期位相φの値を、位相画像(位相分布)φにおける画素iの値として記憶部16へ書き込む。
【0034】
ステップS107又はS108に続いて、ステップS109において、CPU15は、測定対象物11の三次元形状を算出する。具体的には、CPU15は、位相画像φを記憶部16から読み出し、読み出した位相画像φにオフセット分布Δを加算するアンラップ処理(位相接続)を行い、アンラップ後の位相画像ψを取得する。ここで、オフセット分布Δは、別途測定され記憶部16へ予め格納されたもの(所謂空間コード化法、他)、或いは、位相飛び検出により自動で設定(位相つなぎ法、他)されたものである。そして、CPU15は、アンラップ後の位相画像ψを、被検面の高さ分布Z(X,Y)(三次元形状)に換算してからモニタ17上に表示する。また、CPU15は、必要に応じて高さ分布Z(X,Y)を記憶部16へ保存し、フローを終了する。
【0035】
図4は、本実施形態による縞画像の一例を示すイメージ図である。
図4(a)は、縞パターンの位相シフト量が0である縞画像IMを示す。また、図4(b)は、縞パターンの位相シフト量がπ/2である縞画像IMを示す。また、図4(c)は、縞パターンの位相シフト量がπである縞画像IMを示す。また、図4(d)は、縞パターンの位相シフト量が3π/2である縞画像IMを示す。また、図4(e)は、縞パターンの位相シフト量が2π(=0)である縞画像IMを示す。ここで、縞画像IMと縞画像IMとは縞パターンの位相シフト量が等しい。制御部101は、縞画像IM,IM,IM,IM,IMをこの順に取得する。時間に応じて光源の光量に変化が生じた場合、光量の変化に応じて縞画像IM〜IMの輝度値の平均値も変化する。このため、CPU15は、縞パターンの位相シフト量が等しい縞画像IMと縞画像IMとの輝度値の平均値の差を算出し、算出した差が所定の閾値L以上である場合に、各縞画像IM〜IMを補正し、補正した縞画像IM〜IMに基づいて、測定対象物11の三次元形状を算出する。
【0036】
このように、本実施形態によれば、制御部101が、縞パターンの位相の等しい縞画像を含む縞画像を複数順に取得し、CPU15が、縞パターンの位相の等しい縞画像の差に基づいて各縞画像を補正し、縞画像を補正した縞画像データに基づいて測定対象物11の三次元形状を算出する。これにより、複数の縞画像を撮像している間にメイン光源22の光量が変化した場合であっても、精度良く測定対象物11の三次元形状を算出することができる。また、メイン光源22の光量に変化がない場合には、補正係数を算出しないため、計算量を少なくすることができる。
ところで、三次元形状測定装置1全体或いは三次元形状測定装置1を構成する各部の温度変化等によって、パターン形成部23のパネルの濃度の精度や撮像部14の撮像素子26の感度が時間とともに変化することがある。本実施形態による三次元形状測定装置1は、縞画像の差に基づいて各縞画像を補正するため、メイン光源22の光量の変化だけではなく、パターン形成部23のパネルの濃度の精度の変化や撮像部14の撮像素子26の感度の変化にも対応して補正を行うことができる。
【0037】
5バケット法の説明を上記では行ったが、7バケット、9バケット等他のバケット法を用いた場合も同様に光量変動の補正を行うことが可能である。
例えば、7バケット法では、90度毎に位相を変化させて7枚の縞画像を取得し、同位相の縞画像(1枚目と5枚目、2枚目と6枚目或いは3枚目と7枚目)を比較することによって光量変動を把握することが可能である。具体的には、CPU15は、1枚目の縞画像と5枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ1と、2枚目の縞画像と6枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ2と、3枚目の縞画像と7枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ3とに基づいて全体の変化比率Cを算出する。例えば、CPU15は、全体の変化比率C=(Δ1+Δ2+Δ3/3)とする。次に、CPU15は、全体の変化比率Cを用いて、各縞画像に対する補正係数Cを夫々算出する。そして、CPU15は、各縞画像に補正係数を乗じて補正した縞画像データに基づいて位相分布を算出する。ここで、1枚目の縞画像と5枚目の縞画像は位相が等しい。また、2枚目の縞画像と6枚目の縞画像は位相が等しい。また、3枚目の縞画像と7枚目の縞画像は位相が等しい。勿論、上記の変化率Δ1、Δ2、Δ3のいずれか1つあるいは2つを用いて全体の変化率を算出してもよい。
一方、9バケット法でも同様に同位相の画像を使用可能である。例えば、制御部101は、90度毎に位相を変化させて9枚の縞画像を取得する。そして、CPU15は、1枚目の縞画像と5枚目の縞画像と9枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ1と、2枚目の縞画像と6枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ2と、3枚目の縞画像と7枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ3と、4枚目の縞画像と8枚目の縞画像との差分から算出した変化比率Δ4と、に基づいて全体の変化比率Cを算出する。例えば、CPU15は、全体の変化比率C=(Δ1+Δ2+Δ3+Δ4/4)とする。次に、CPU15は、全体の変化比率Cを用いて、各縞画像に対する補正係数Cを夫々算出する。そして、CPU15は、各縞画像に補正係数を乗じて補正した縞画像データに基づいて位相分布を算出する。ここで、1枚目の縞画像と5枚目の縞画像と9枚目の縞画像とは位相が等しい。また、2枚目の縞画像と6枚目の縞画像は位相が等しい。また、3枚目の縞画像と7枚目の縞画像は位相が等しい。また、4枚目の縞画像と8枚目の縞画像は位相が等しい。この場合も、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4の全てを用いる必要が無く、いずれか一つあるいは任意の複数の変化率を組み合わせて全体の変化率としてもよい。更に、上記の説明ではΔ1の算出に1枚目、5枚目、9枚目の3枚の縞画像を用いているが、例えば、一枚目と9枚目の2枚の縞画像からΔ1を求めても良い。
【0038】
なお、本実施形態による三次元形状測定装置1は、縞画像の全部又は一部の領域における画素の輝度値の平均値を光量としているが、例えば、縞画像の全部又は一部の領域における画素の輝度値の合計値を光量としてもよい。
また、本実施形態による三次元形状測定装置1は、上述したステップS106において光量差が閾値L以上であるか否かを判定し、ステップS107又はS108へ分岐しているが、ステップS106の判定を行わずにステップS104からステップS107の縞画像を補正した縞画像データに基づいて位相分布を算出する処理へ進んでもよい。
【0039】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態による三次元形状測定装置3について説明する。本実施形態による三次元形状測定装置3の外観構成は第1の実施形態と同様である。
【0040】
図5は、本実施形態による三次元形状測定装置3の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態による三次元形状測定装置3は、図2に示す三次元形状測定装置1の構成に加えて、光量検出部47と、ハーフミラー等のビームスプリッター48とを含んで構成される。
ビームスプリッター48は、メイン光源42から入射される光の一部を照射領域に透過し、メイン光源42から入射される光の一部を光量検出部47に反射する。光量検出部47は、ビームスプリッター48から反射された光の光量を検出し、検出した光量を制御部301に出力する。制御部301は、光量検出部47から入力された光量をCPU35に出力する。CPU35は、入力された光量の変化量に基づいて、測定対象物11の三次元形状を算出する。他の構成は第1の実施形態による三次元形状測定装置1の構成と同様なので説明を省略する。
【0041】
次に、図6を参照して、三次元形状測定装置3による三次元形状算出処理について説明する。図6は、本実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、CPU35が、画像番号mを初期値1に設定する。
次に、ステップS202において、CPU35は、縞パターンの位相シフト量を、現在の画像番号mに対応したシフト量(m−1)π/2に設定する。
【0042】
次に、ステップS203において、制御部301が、パターン形成部43を駆動することにより、位相シフト量が(m−1)π/2である縞パターンを測定対象物11へ投影し、撮像素子46を駆動して縞画像Iを取得する。制御部301は、取得した縞画像IMをCPU35に出力する。CPU35は、入力された縞画像IMを記憶部36へ書き込む。
【0043】
次に、ステップ204において、制御部301は、メイン光源42の光量Lを光量検出部47から取得し、取得した光量LをCPU35に出力する。CPU35は、入力された光量Lを縞画像IMに対応付けて記憶部36に書き込む。
【0044】
次に、ステップS205において、CPU35は、現在の画像番号mが最終値mmaxに達したか否かを判定する。そして、画像番号mが最終値mmaxに達していなければステップS206へ移行し、画像番号mが最終値mmaxに達していればステップS207へ移行する。なお、本実施形態では画像番号mの最終値mmaxが「5」に設定された場合を説明する。
【0045】
次に、ステップS206において、CPU35は、画像番号mに1加算し、ステップS202へ戻る。よって、ステップS202〜S204のループは繰り返され、制御部301は、合計5枚の縞画像IM〜IMを順に取得する。
【0046】
一方、ステップS207において、CPU35は、縞画像IMに対応するメイン光源42の光量Lと縞画像IMに対応するメイン光源42の光量Lとを記憶部36から読み出し、読み出した光量Lと光量Lとの差(光量差)を算出し、算出した光量差が所定の閾値Lc1以上であるか否かを判定する。そして、算出した光量差が閾値Lc1以上である場合にはステップS208へ移行し、算出した光量差が閾値Lc1より小さい場合にはステップS209へ移行する。
【0047】
ステップS208において、CPU35は、縞画像IM〜IM夫々に対する補正係数を算出し、各縞画像IM〜IMに算出した補正係数を乗じて補正した縞画像データ基づいて、位相分布を算出する。補正係数の算出方法及び位相分布の算出方法は第1の実施形態のステップS107と同様である。
一方、ステップS209において、CPU35は、縞画像IM〜IMに基づいて位相分布を算出する。位相分布の算出方法は第1の実施形態のステップS108と同様である。
ステップS208又はS209に続いて、ステップS210において、CPU35は、測定対象物11の三次元形状を算出し、フローを終了する。三次元形状の算出方法は第1の実施形態のステップS109と同様である。
【0048】
このように、本実施形態によれば、制御部301が、縞画像IM〜IMに対応する光量を光量検出部47から取得し、CPU35が、位相シフト量の等しい縞画像の光量差に基づいて、各縞画像を補正し、縞画像を補正した縞画像データに基づいて測定対象物11の三次元形状を算出する。これにより、複数の縞画像を撮像している間にメイン光源42の光量が変化した場合であっても、精度良く測定対象物11の三次元形状を算出することができる。また、ビームスプリッター48は、パターン形成部43を透過した光を光量検出部47に反射するため、メイン光源42の光量の変化だけではなく、パターン形成部43のパネルの濃度の精度の変化にも応じた補正を行うことができる。
【0049】
なお、ビームスプリッター48は、図5の符号48’に示した位置(メイン光源42とパターン形成部43との間)に配置してもよい。この場合、光量検出部47は、パターン形成部43を透過する前の光の光量を検出するため、位相シフト量の等しい縞画像の光量差に基づいて各縞画像の補正係数を算出する必要はない。このため、例えば、縞画像IMの光量Lと縞画像IMの光量Lとの差から縞画像IMの補正係数を算出する等、取得した縞画像夫々に対応する光量に基づいて、各縞画像の補正係数を算出してもよい。
また、投影部33のパターン形成部43は、液晶表示素子等の透過型に限らず、反射型液晶素子、DMD(Digital Mirror Device、デジタルミラーデバイス)等の反射型でもよい。パターン形成部43が反射型である場合、光量検出部47は、パターン形成部43により反射された光の光量を検出してもよい。
【0050】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態による三次元形状測定装置5について説明する。本実施形態による三次元形状測定装置5の外観構成は第1の実施形態と同様である。
図7は、本実施形態による三次元形状測定装置5の機能構成を示すブロック図である。
本実施形態による三次元形状測定装置5は、図2に示す三次元形状測定装置1の構成に加えて、外気温検出部67と、計時部59とを含んで構成される。
外気温検出部67は、外気温を検出し、検出した外気温を制御部501に出力する。制御部501は、外気温検出部67から入力された外気温をCPU55に出力する。コンピュータ500が備える計時部59は、時刻を計時する。また、記憶部56は、メイン光源62に電力が供給され始めて(メイン光源62を点灯して)からの経過時間と外気温とに対応するメイン光源62の光量を示すルックアップテーブル(LUT)56Aを予め記憶している。CPU55は、計時部59が計時する時刻と制御部501から入力された外気温とに基づいて、位相の等しい縞画像夫々に対応する光量をルックアップテーブル56Aから読み出し、読み出した光量の差に基づいて、測定対象物11の三次元形状を算出する。他の構成は第1の実施形態による三次元形状測定装置1の構成と同様なので説明を省略する。
【0051】
次に、図8を参照して、三次元形状測定装置5による三次元形状算出処理について説明する。図8は、本実施形態による三次元形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
ここで、CPU55は、メイン光源62に電力が供給され始めた時刻を予め記憶部56に書き込んでいる。
まず、ステップS301において、CPU55が、画像番号mを初期値1に設定する。
次に、ステップS302において、CPU55は、縞パターンの位相シフト量を、現在の画像番号mに対応したシフト量(m−1)π/2に設定する。
【0052】
次に、ステップS303において、制御部501が、パターン形成部63を駆動することにより、位相シフト量が(m−1)π/2である縞パターンを測定対象物11へ投影し、撮像素子66を駆動して縞画像Iを取得する。制御部501は、取得した縞画像IMをCPU55に出力する。CPU55は、入力された縞画像IMを記憶部56へ書き込む。
【0053】
次に、ステップ304において、制御部501は、外気温を外気温検出部47から取得し、取得した外気温をCPU55に出力する。また、CPU55は、計時部59から現在の時刻を取得する。
次に、ステップS305において、CPU55は、光量Lを算出する。具体的には、CPU55は、まず、計時部59から取得した時刻と記憶部56に記憶されているメイン光源62に電力が供給された時刻との差から、メイン光源62に電力が供給されてからの経過時間を算出する。そして、CPU55は、算出した経過時間と入力された外気温とに対応する光量をルックアップテーブル56Aから読み出し、読み出した光量を縞画像IMに対応する光量Lとする。CPU55は、算出した光量Lを縞画像IMに対応付けて記憶部56に書き込む。
【0054】
次に、ステップS306において、CPU55は、現在の画像番号mが最終値mmaxに達したか否かを判定する。そして、画像番号mが最終値mmaxに達していなければステップS306へ移行し、画像番号mが最終値mmaxに達していればステップS307へ移行する。なお、本実施形態では画像番号mの最終値mmaxが「5」に設定された場合を説明する。
【0055】
次に、ステップS307において、CPU55は、画像番号mに1加算し、ステップS202へ戻る。よって、ステップS302〜S304のループは繰り返され、制御部501は、合計5枚の縞画像IM〜IMを順に取得する。
【0056】
一方、ステップS308において、CPU55は、縞画像IMに対応する光量Lと縞画像IMに対応する光量Lとの差(光量差)が所定の閾値Lc2以上であるか否かを判定する。そして、算出した光量差が閾値Lc2以上である場合にはステップS309へ移行し、算出した光量差が閾値Lc2より小さい場合にはステップS310へ移行する。
【0057】
ステップS309において、CPU55は、縞画像IM〜IM夫々に対する補正係数を算出し、各縞画像IM〜IMに算出した補正係数を乗じて補正した縞画像データに基づいて、位相分布を算出する。補正係数の算出方法及び位相分布の算出方法は第1の実施形態のステップS107と同様である。
一方、ステップS310において、CPU55は、縞画像IM〜IMに基づいて位相分布を算出する。位相分布の算出方法は第1の実施形態のステップS108と同様である。
ステップS309又はS310に続いて、ステップS311において、CPU55は、測定対象物11の三次元形状を算出し、フローを終了する。三次元形状の算出方法は第1の実施形態のステップS109と同様である。
【0058】
このように、本実施形態によれば、CPU55は、ルックアップテーブル56Aに基づいて縞画像の光量を求め、位相シフト量の等しい縞画像の光量差に基づいて、各縞画像を補正し、縞画像を補正した縞画像データに基づいて測定対象物11の三次元形状を算出する。これにより、複数の縞画像を撮像している間にメイン光源62の光量が変化した場合であっても、精度良く測定対象物11の三次元形状を算出することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、ルックアップテーブル56Aに基づいて光量を算出しているが、例えば、メイン光源62に電力を供給してからの経過時間と外気温とに対応する光量を算出する光量変動関数に基づいて光量を算出してもよい。
また、本実施形態では、メイン光源62に電力を供給してからの経過時間と外気温とに基づいて光量を算出しているが、メイン光源62の電流又は温度を検出し、検出した電流又は温度に基づいて光量を算出してもよい。
【0060】
次に、第1の実施形態による三次元形状測定装置1、第2の実施形態による三次元形状測定装置3、又は、第3の実施形態による三次元形状測定装置5を備える構造物製造システムについて説明する。
図9は、構造物製造システム200のブロック構成図である。構造物製造システム200は、三次元形状測定装置1と、設計装置210と、成形装置220と、制御装置230と、リペア装置240と含んで構成される。なお、本実施形態では、第1の実施形態による三次元形状測定装置1を用いたが、第2の実施形態による三次元形状測定装置3又は第3の実施形態による三次元形状測定装置5を用いてもよい。
【0061】
設計装置210は、構造物の形状に関する設計情報を作製し、作製した設計情報を成形装置220に送信する。また、設計装置210は、作成した設計情報を制御装置230の後述する座標記憶部231に記憶させる。ここで、設計情報とは例えば、構造物の各位置の座標を示す情報である。
成形装置220は、設計装置210から入力された設計情報に基づいて上記構造物を作製する。成形装置220の成形工程には、鋳造、鍛造、または切削等が含まれる。
三次元形状測定装置1は、第1の実施形態において説明したように、作製された前記構造物(測定対象物11)の座標(三次元形状)を算出し、算出した座標を示す情報(形状情報)を制御装置230へ送信する。
【0062】
制御装置230は、座標記憶部231と、検査部232とを備える。座標記憶部231には、前述の通り、設計装置210から受信した設計情報が記憶される。検査部232は、座標記憶部231から設計情報を読み出し、三次元形状測定装置1から受信した座標を示す情報(形状情報)と座標記憶部231から読み出した設計情報とを比較する。
【0063】
そして、検査部232は、比較結果に基づき、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部232は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。また、検査部232は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合、修復可能であるか否か判定する。修復できる場合、検査部232は、比較結果に基づき、不良部位と修復量を算出し、リペア装置240に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
【0064】
リペア装置240は、制御装置230から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を加工する。
【0065】
図10は、本実施形態における構造物製造システム200による処理の流れを示したフローチャートである。
まず、ステップS401において、設計装置210が、構造物の形状に関する設計情報を作製する。次に、ステップS402において、成形装置220は、設計情報に基づいて上記構造物を作製する。次に、ステップS403において、三次元形状測定装置1は、作製された上記構造物の形状を算出する。次に、ステップS404において、制御装置230の検査部232は、三次元形状測定装置1で得られた形状情報と、上記設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作成されたか否か検査する。
【0066】
次に、ステップS405において、制御装置230の検査部232は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。そして、作成された構造物が良品である場合には、構造物製造システム200はその処理を終了する。一方、作成された構造物が良品でない場合には、ステップS406へ移行する。
【0067】
ステップS406において、制御装置230の検査部232は、作成された構造物が修復できるか否か判定する。作成された構造物が修復できる場合にはステップS407へ移行し、作成された構造物が修復できない場合には構造物製造システム200はその処理を終了する。ステップS407において、リペア装置240は、構造物の再加工を実施し、ステップS403の処理に戻る。
【0068】
以上により、第1の実施形態に示すように、三次元形状測定装置1は精度良く構造物の座標(三次元形状)を算出することができるため、構造物製造システム200は作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
【0069】
なお、本実施形態におけるリペア装置240が実行するリペア工程は、成形装置220が成形工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置230の検査部232が修復できると判定した場合、成形装置220は、成形工程(鍛造、切削等)を再実行する。具体的には、例えば、成形装置220は、構造物において本来切削されるべき箇所であって切削されていない箇所を切削する。これにより、構造物製造システム200は、構造物を正確に作成することができる。
【0070】
また、図3,6又は8に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、三次元形状算出処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0071】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,3,5…三次元形状測定装置 13,33,53…投影部 14,34,54…撮像部 15,35,55…CPU 16,36,56…記憶部 22,42,62…メイン光源 101,301,501…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が発光した光を縞パターンに変換して測定対象物上に投影する投影部と、
前記測定対象物を撮像する撮像部と、
前記投影部が投影する縞パターンの位相を変化させながら、前記撮像部に前記測定対象物の撮像を繰り返しさせるとともに、縞パターンの画像を複数順に取得する制御部と、
前記光源の光量の変化量を検出し、当該検出した変化量が所定の値以上である場合に、当該検出した変化量に基づいて前記縞パターンの画像を補正し、当該補正した縞パターンの画像に基づいて、前記測定対象物の三次元形状を算出する形状算出部と、
を備えることを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元形状測定装置において、
前記制御部は、位相の等しい縞パターンの画像を含む縞パターンの画像を複数順に取得し、
前記形状算出部は、前記制御部が取得した位相の等しい縞パターンの画像夫々に対応する前記光源の光量の差を前記変化量として検出する
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元形状測定装置において、
前記形状算出部は、前記光量の差が所定の閾値以上である場合に、当該光量の差に基づいて補正係数を算出し、当該算出した補正係数を乗じて補正した縞パターンの画像に基づいて、前記測定対象物の三次元形状を算出する
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の三次元形状測定装置において、
前記形状算出部は、前記光量の差に基づいて、前記制御部が順に取得した縞パターンの画像夫々に対する補正係数を算出する
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の三次元形状測定装置において、
前記形状算出部は、前記光量の差に基づいて、前記順に取得した画像夫々に対する補正係数の変化比率を算出し、当該変化比率に基づいて前記順に取得した画像夫々に対する補正係数を算出する
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項6】
請求項2から5いずれか1項に記載の三次元形状測定装置において、
前記形状算出部は、前記制御部が取得した位相の等しい縞パターンの画像同士の差を前記光源の光量の差とする
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元形状測定装置において、
前記制御部は、前記縞パターンの位相を90度ずつ順に変化させながら、前記撮像部による撮像を繰り返して、縞パターンの画像を少なくとも5枚取得し、
前記形状算出部は、前記制御部が取得した時間の異なる2枚の画像であって、位相の等しい縞パターンの画像の差を前記光源の光量の差とする
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項8】
請求項1から5いずれか1項に記載の三次元形状測定装置において、
前記光源の光量を検出する光量検出部を備え、
前記形状算出部は、前記制御部が縞パターンの画像夫々を取得した際に、前記光量検出部が検出した光量に基づき、前記光源の光量の変化量を検出する
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項9】
請求項2から5いずれか1項に記載の三次元形状測定装置において、
前記光源に電力が供給され始めてからの経過時間に対応する前記光源の光量を記憶する記憶部を備え、
前記形状算出部は、前記制御部が位相の等しい縞パターンの画像夫々を取得した時刻に基づいて、前記位相の等しい縞パターンの画像夫々に対応する前記光源の光量を前記記憶部から読み出す
ことを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項10】
光源が発光した光を縞パターンに変換して測定対象物上に投影し、前記測定対象物を撮像する三次元形状測定装置における三次元形状測定方法であって、
前記三次元形状測定装置の制御部が、投影する縞パターンの位相を変化させながら、前記測定対象物の撮像を繰り返すとともに、縞パターンの画像を複数順に取得するステップと、
前記三次元形状測定装置の形状算出部が、前記光源の光量の変化量を検出し、当該検出した変化量が所定の値以上である場合に、当該検出した変化量に基づいて前記縞パターンの画像を補正し、当該補正した縞パターンの画像に基づいて、前記測定対象物の三次元形状を算出するステップと、
を有することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項11】
構造物の形状に関する設計情報を作製する設計工程と、
前記設計情報に基づいて前記構造物を作製する成形工程と、
作製された前記構造物の形状を請求項10に記載の三次元形状測定方法を用いて算出する測定工程と、
前記測定工程で得られた形状情報と、前記設計情報とを比較する検査工程と、
を有することを特徴とする構造物の製造方法。
【請求項12】
前記検査工程の比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を実施するリペア工程を有することを特徴とする請求項11に記載の構造物の製造方法。
【請求項13】
前記リペア工程は、前記成形工程を再実行する工程であることを特徴とする請求項12に記載の構造物の製造方法。
【請求項14】
前記リペア工程は、前記検査工程の比較結果に基づいて、前記構造物の不良部位を加工する工程であることを特徴とする請求項12に記載の構造物の製造方法。
【請求項15】
構造物の形状に関する設計情報を作製する設計装置と、
前記設計情報に基づいて前記構造物を作製する成形装置と、
請求項1から9いずれか1項に記載の三次元形状測定装置と、
前記三次元形状測定装置が算出した前記構造物の形状情報と、前記設計情報とを比較する検査装置と、
を有することを特徴とする構造物製造システム。
【請求項16】
前記検査装置における比較結果に基づいて、前記構造物の再加工を実施するリペア装置を有することを特徴とする請求項15に記載の構造物製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−93235(P2012−93235A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240962(P2010−240962)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】