不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
【課題】メモリセル領域でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域では十分な量のシリサイドを形成することのできる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板と、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備える。メモリセルトランジスタは、半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有する。制御ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成される。制御ゲート電極は、積層された複数の導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有する。制御ゲート電極は、その一部がシリサイド化されている。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板と、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備える。メモリセルトランジスタは、半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有する。制御ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成される。制御ゲート電極は、積層された複数の導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有する。制御ゲート電極は、その一部がシリサイド化されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施の形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的書き換えが可能で、且つ、高集積化が可能な不揮発性半導体記憶装置(EEPROM)として、NAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリでは、複数のメモリセルを隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共有する形で直列接続して、NANDセルユニットを構成する。NANDセルユニットの両端はそれぞれ、選択ゲートトランジスタを介してビット線及びソース線に接続される。この様なNANDセルユニット構成により、NOR型と比べて単位セル面積が小さくかつ大容量記憶が可能となる。
【0003】
情報記憶のためのメモリセル領域の周辺には、NAND型フラッシュメモリの動作を制御するための周辺回路が設けられる。周辺回路領域に形成される電界効果トランジスタは、メモリセルトランジスタや選択ゲートトランジスタと同様の工程により形成される。このメモリセルトランジスタや、周辺回路領域の電界効果トランジスタの性能を改善するために、ゲート電極をシリサイド化する構成が知られている。
【0004】
不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程では、メモリセル領域と周辺回路領域とでシリサイドの成長速度に差が生じることがある。シリサイドの成長速度が異なると、周辺回路領域の電界効果トランジスタで十分なシリサイドが形成できたとしても、メモリセル領域のメモリセルトランジスタでは過剰にシリサイド化が進み、ゲート電極内に空隙(Void)ができて、性能が悪化する場合がある。
逆に、メモリセルトランジスタでは適正な量のシリサイドが形成できたとしても、電界効果トランジスタでは不十分な量のシリサイドしか形成されない場合もある。そのため、不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程ではメモリセル領域でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域では十分な量のシリサイドを形成することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−159614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メモリセル領域でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域では十分な量のシリサイドを形成することのできる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板と、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備える。メモリセルトランジスタは、半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有する。電界効果トランジスタは、半導体基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された下側ゲート電極と、下側ゲート電極上に配置され、開口部を有する第2の電極間絶縁膜と、第2の電極間絶縁膜上に配置され、開口部を介して下側ゲート電極に電気的に接続される上側ゲート電極とを有する。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成される。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有する。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、その一部がシリサイド化されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域及び周辺回路領域を示す図である。
【図2A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイを示す等価回路図である。
【図2B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイのレイアウト図である。
【図3】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の周辺回路領域の一部のレイアウト図である。
【図4】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の周辺回路領域の一部の断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】第1の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】第1の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図27】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図28】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図29】第3の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図30】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図31】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図32】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図33】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図34】第4の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図35】第4の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態においては、NAND型フラッシュメモリを例として説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるフローティングゲート構造を有する他の半導体記憶装置にも適用することができる。なお、以下の実施の形態における図面の記載では、同一の構成を有する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各膜の厚みと平面寸法との関係や、各層の厚みの比率などは実際の不揮発性半導体記憶装置とは異なるものである。
【0010】
(第1の実施の形態)
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成について、図1乃至図6を参照して説明する。まず、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリの構成を説明する。
【0011】
図1は、不揮発性半導体記憶装置の全体を示すブロック図である。図1に示すように、不揮発性半導体記憶装置は、情報の記憶のために用いられるメモリセル領域100と、メモリセル領域100に対する情報の書き込み、消去、及び読み出しの各動作の制御のために用いられる周辺回路領域200とを有する。メモリセル領域100には、後述するメモリセルアレイが形成されている。また、周辺回路領域200には、ロウデコーダ、カラムデコーダ、電圧生成回路や、各種のコマンド・アドレス・データを送受信するインターフェース等が形成されている。
【0012】
図2Aは、NAND型フラッシュメモリのメモリセル領域100に形成されるメモリセルアレイの一部を示す等価回路図である。NAND型フラッシュメモリのNANDセルユニット1は、2個の選択ゲートトランジスタST1、ST2と、選択ゲートトランジスタST1、ST2間に直列接続された複数個のメモリセルトランジスタMn(nは0乃至15の整数、以下同様)とからなる。NANDセルユニット1内において、複数個のメモリセルトランジスタMnは隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共有して形成されている。メモリセルアレイは、NANDセルユニット1が行列状に設けられることにより構成されている。
【0013】
図2A中X方向(ゲート幅方向に相当)に配列されたメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極は、それぞれワード線WLnにより共通接続されている。また、図2A中X方向に配列された選択ゲートトランジスタST1のゲート電極は選択ゲート線S1で共通接続され、選択ゲートトランジスタST2のゲート電極は選択ゲート線S2で共通接続されている。選択ゲートトランジスタST1のドレイン領域にはビット線コンタクトBLCが接続されている。このビット線コンタクトBLCは図2A中X方向に直交するY方向(ゲート長方向に相当)に伸びるビット線BLに接続されている。また、選択ゲートトランジスタST2はソース領域を介して図2A中X方向に伸びるソース線SLに接続されている。
【0014】
メモリセルトランジスタMnは、シリコン基板のp型ウェル3に形成されたn型ソース/ドレイン領域を有し、電荷蓄積層としての浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とを有する積層ゲート構造であるものとする。NAND型フラッシュメモリは、浮遊ゲート電極に保持する電荷量を書き込み動作、消去動作で変化させることにより、メモリセルトランジスタMnのしきい値電圧を変化させて、1ビット或いは多ビットのデータを記憶する。NAND型フラッシュメモリにおいては、ワード線WLを共有する複数のNANDセルユニット1の集合がブロックを構成する。NAND型フラッシュメモリにおけるデータの消去は、このブロック単位で実行される。
【0015】
図2Bは、NAND型フラッシュメモリのメモリセル領域100に形成されるメモリセルアレイの一部のレイアウト図である。図3は、NAND型フラッシュメモリの周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタのレイアウト図である。
【0016】
図2Bに示すように、シリコン基板(半導体基板)には、図2B中Y方向に沿って伸びるSTI(Shallow Trench Isolation)構造の複数の素子分離領域4が、X方向に所定間隔をもって形成される。これにより素子領域5が図2B中X方向に分離されて形成される。また、図2B中X方向に沿って伸びるメモリセルトランジスタMnのワード線WLnが、Y方向に所定間隔をもって形成されている。ワード線WLnと交差する素子領域5上において、ワード線WLnはメモリセルトランジスタMnのゲート電極MGnとなる。また、図2B中X方向に沿って伸びるように選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート線S1が形成されている。選択ゲート線S1と交差する素子領域5上において、選択ゲート線S1は選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1となる。隣接する選択ゲート線S1間の素子領域5にはビット線コンタクトBLCがそれぞれ形成されている。このビット線コンタクトBLCは、図2B中Y方向に伸びるビット線BL(図示せず)に接続される。また、図2B中X方向に沿って伸びるように選択ゲートトランジスタST2の選択ゲート線S2が形成されている。選択ゲート線S2と交差する素子領域5上において、選択ゲート線S2は選択ゲートトランジスタST2のゲート電極SG2となる。隣接する選択ゲート線S2間の素子領域5にはソース線コンタクトSLCがそれぞれ形成されている。このソース線コンタクトSLCは、図2B中X方向に伸びるソース線SL(図示せず)に接続される。
【0017】
次に、周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの構造を説明する。図3に示すように、周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrは、シリコン基板(半導体基板)に矩形上に残された素子領域6上に設けられている。この素子領域6を囲むように素子分離領域4が形成されている。各素子領域6には、これを横切るようにゲート電極7が形成され、その両側に不純物を拡散して形成したソース/ドレイン領域8が設けられている。ソース/ドレイン領域8にはコンタクトプラグ9が形成されている。
【0018】
図4乃至図6は、それぞれ図2B及び図3に示されるA−A’線、B−B’線、C−C’線の断面図である。図4は、図2BのX方向に沿ったNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の断面図である。図5は、図2BのY方向に沿ったNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の断面図である。図6は、NAND型フラッシュメモリの周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの断面図である。なお、B−B’線方向のメモリセルトランジスタMnの多結晶シリコン膜13の長さをメモリセルトランジスタのゲート長、C−C’線方向の電界効果トランジスタTrの多結晶シリコン13の長さを電界効果トランジスタのゲート長と称する。
【0019】
図4に示すように、シリコン基板S上のメモリセル領域100には、p型ウェル3が形成されている。このp型ウェル3には等間隔にトレンチTが形成されており、このトレンチTには素子分離絶縁膜11が埋め込まれている。素子分離絶縁膜11が埋め込まれた領域が、上述の素子分離領域4となる。この素子分離絶縁膜11に挟まれたp型ウェル3上に、メモリセルトランジスタMnが形成される。すなわち、素子分離絶縁膜11に挟まれたp型ウェル3は、メモリセルトランジスタMn、選択ゲートトランジスタST1等が形成される素子領域5として機能する。
【0020】
図4及び図5に示すように、p型ウェル3上に、トンネル絶縁膜12が形成される。このトンネル絶縁膜12を介して、メモリセルトランジスタMn(nは0乃至15の整数、以下同様)のゲート電極MGn及び選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1が形成されている。これらゲート電極MGn、SG1は、浮遊ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜13、電極間絶縁膜14、及び制御ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜15A、15Bが順次積層された構成となっている。多結晶シリコン膜15A、15Bは図5の紙面垂直方向を長手方向として延びて、ワード線WLを形成する。一方、多結晶シリコン膜13は、1つのメモリセルトランジスタMnごとに絶縁分離されている。電極間絶縁膜14は、シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜からなるONO構造や、それを更にシリコン窒化膜で挟み込んだNONON構造などが用いられる。更に、メモリセルトランジスタMnのカップリング比を高めるために、高誘電率材料、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニウムシリケート(HfSiO)などを含めることも可能である。
【0021】
図4及び図5に示すように、多結晶シリコン膜15Aと15Bとの間の界面には、後述する製造方法により形成されるバリア膜16が存在する。バリア膜16は、シリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する機能を有する。
【0022】
また、図5に示すように、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1の電極間絶縁膜14には、開口17が形成され、この開口17内に多結晶シリコン膜15Bが埋め込まれている。この開口17を介して多結晶シリコン膜13と多結晶シリコン膜15A、15Bとが電気的に接続している。各ゲート電極MGn間、及びゲート電極MG15−SG1間のp型ウェル3の表層(表面)には、ソース/ドレイン領域となる不純物拡散領域18が形成されている。不純物拡散領域18は、隣接するメモリセルトランジスタMn同士でソース/ドレイン領域が共有されるように形成される。ゲート電極SG1−SG1間のシリコン基板Sの表層には、高濃度の不純物拡散領域19が形成されている。なお、ゲート電極SG1−SG1間のソース/ドレイン領域は、高濃度の不純物拡散領域19だけではなく、低濃度で浅い不純物拡散領域も含んだLDD(Lightly Doped Drain)構造としてもよい。
【0023】
各ゲート電極MGnの間、及びゲート電極MG15とゲート電極SG1の間には、例えば、LP−CVD法により層間絶縁膜として機能するシリコン酸化膜21が形成されている。これらシリコン酸化膜21は、トンネル絶縁膜12を介してシリコン基板S上に形成され、その上面は例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化されている。
【0024】
ゲート電極SG1−SG1間のシリコン酸化膜21には、図5に示すようにシリコン基板Sの表面に達するコンタクトホール27が形成されている。このコンタクトホール27は、シリコン酸化膜21、トンネル絶縁膜12を貫通し、不純物拡散領域19の表面を露出するように形成されている。コンタクトホール27の内部には導体を埋め込み形成したコンタクトプラグ28が形成され、不純物拡散領域19に電気的に接続されている。このコンタクトプラグ28は、図2Bに示すビット線コンタクトBLCとして機能する。このコンタクトプラグ28の上に、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)からなるビット線BLが形成される。図5ではビット線側のコンタクト部のみを示しているが、ソース線側のコンタクト部も同様の構成でソース線SLに接続される。ビット線BL上にはパッシベーション膜として機能するシリコン酸化膜22が堆積されている。
【0025】
図6に示すように、周辺回路領域200のp型ウェル3上に、ゲート絶縁膜29が形成される。このゲート絶縁膜29を介して、電界効果トランジスタTrのゲート電極PGが形成されている。ゲート絶縁膜29の膜厚は、メモリセル領域100に形成されるトンネル絶縁膜12の膜厚より大きい。このゲート電極PGは、下側ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜13、電極間絶縁膜14、及び上側ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜15A、15Bが順次積層された構成となっている。電極間絶縁膜14は、シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜からなるONO構造や、それを更にシリコン窒化膜で挟み込んだNONON構造などが用いられる。
【0026】
図6に示すように、多結晶シリコン膜15Aと15Bとの間の界面にも、後述する製造方法により形成されるバリア膜16が存在する。バリア膜16は、シリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する機能を有する。
【0027】
電界効果トランジスタTrのゲート電極PGの電極間絶縁膜14にも、開口17が形成され、この開口17内に多結晶シリコン膜15Bが埋め込まれている。この開口17を介して多結晶シリコン膜13と多結晶シリコン膜15A、15Bとが電気的に接続している。ゲート電極PGの両側のp型ウェル3の表層(表面)には、前述のソース/ドレイン領域8となる不純物拡散領域30が形成されている。なお、不純物拡散領域30はLDD構造を有していても良い。このゲート電極PGを埋め込むように、層間絶縁膜として機能するシリコン酸化膜24が形成され、その上面は例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化されている。
【0028】
不純物拡散領域30上には、図6に示すようにp型ウェル3の表面に達するコンタクトホール27が形成されている。このコンタクトホール27は、シリコン酸化膜24、ゲート絶縁膜29を貫通し、不純物拡散領域30の表面を露出するように形成されている。コンタクトホール27の内部には導体を埋め込み形成したコンタクトプラグ28が形成され、不純物拡散領域30に電気的に接続されている。このコンタクトプラグ28は、図3に示すコンタクトプラグ9として機能する。このコンタクトプラグ28の上に、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)からなる接続配線31が形成される。接続配線31上にはパッシベーション膜として機能するシリコン酸化膜32が堆積されている。
【0029】
上述の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置において、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15Bは、その一部がシリサイド化されている。図4及び図5に示すように、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bの全てと、多結晶シリコン膜15Aの上部がシリサイド化されている。また、図6に示すように、周辺回路領域200では、多結晶シリコン膜15Bの上部のみがシリサイド化されている。多結晶シリコン膜15A、15Bのシリサイド化には、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)等の金属が用いられる。
【0030】
図4乃至図6に示すように、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置では、周辺回路領域200では、電界効果トランジスタTrのゲート電極PG内に十分な量のシリサイドが形成されている一方、メモリセル領域100では、シリサイドはバリア膜16の作用により電極間絶縁膜14に到達していない。以下の不揮発性半導体記憶装置の製造方法では、このようなシリサイドの形成方法について述べる。
【0031】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図7乃至図11を参照して説明する。図7〜図11は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図7〜図11は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0032】
図7に示すように、ゲート電極MGn、SG、PGの積層構造を形成する。まず、シリコン基板Sに、p型ウェル3形成のためのイオン注入を行う。その後、A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100のp型ウェル3上にトンネル絶縁膜12を形成する。また、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200のp型ウェル3上にゲート絶縁膜29を形成する。次に、後の工程を経てメモリセルトランジスタMnの浮遊ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの下側ゲート電極となる多結晶シリコン膜13を堆積する。その後、周知のリソグラフィ法およびRIE法を用いてトレンチTを形成し、そのトレンチT内に素子分離絶縁膜11を充填して素子分離領域4を形成する。次に、メモリセルトランジスタMnのカップリング比を調整するため、メモリセル領域100の素子分離領域4内の素子分離絶縁膜11をエッチバックする。これにより、素子分離絶縁膜11の上面は多結晶シリコン膜13の上面よりも低くなる。その後、電極間絶縁膜14としてONO膜(シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜の積層膜)を成膜する。ONO膜の代わりに、ONO膜の両側に更にシリコン窒化膜を追加したNONON膜や、高誘電率材料である酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニウムシリケート(HfSiO)などを含んだ絶縁膜とすることもできる。次に、後の工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極の一部となる多結晶シリコン膜15Aを成膜する。
【0033】
次に、図8に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。半導体記憶装置の製造方法において、複数の多結晶シリコン膜を積層する際には下地の膜表面の影響を低減するために界面処理を行うことがある。バリア膜16の形成工程として、この界面処理を利用することができる。界面処理は、硫酸と過酸化水素水を処理液として界面を酸化又は洗浄するものであり、この界面処理によりバリア膜16として機能するシリコン酸化膜が形成される。このバリア膜16は、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。界面処理は塩酸と過酸化水素水等を処理液として用いるものであってもよい。
【0034】
次に、図9に示すように、周辺回路領域200において、バリア膜16、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。なお、A−A’線断面、B−B’線断面には図示していないが、メモリセル領域100の選択ゲートトランジスタST1、ST2の開口17も同時に形成される。開口17をRIE法により形成し、希弗酸で処理した際には自然酸化膜が形成されることもあるが、この自然酸化膜はバリア膜としての機能を有さないほど薄い膜(膜厚1.0〜1.5nm程度)であるため、図9ではその記載を省略している。以下の実施の形態の説明においても同様である。
【0035】
次に、図10に示すように、開口17を埋め込むように、バリア膜16上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。バリア膜16の厚さは、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定される。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、バリア膜16、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0036】
次に、図11に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0037】
次に、図12に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0038】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、バリア膜16に達する。メモリセル領域100の金属原子の拡散は、このバリア膜16により抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがバリア膜16に到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0039】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、図4乃至図6に示す本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0040】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリの製造方法の効果について、比較例の製造方法と比較して説明する。図13乃至図17は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、図8に示すバリア膜16を形成する工程を除いている点において、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法と異なる。比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、バリア膜16を形成する工程以外は上述の実施の形態と同様の工程により、多結晶シリコン膜15A、15Bの積層と開口17の形成を行う。
【0041】
図13は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法により多結晶シリコン膜15A、15Bを積層した状態を示す図である。図13に示すように比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとの間にバリア膜16が形成されていない点において図10と異なる。
【0042】
次に、図14に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0043】
次に、図15に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15A、15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0044】
A−A’線断面、B−B’線断面に示すメモリセル領域100のシリサイド化は、多結晶シリコン膜15Bの全体に広がる。ここで、比較例の製造方法ではバリア膜16が形成されていないため、シリサイドはさらに成長して多結晶シリコン膜15A内に広がる。その結果、メモリセル領域100の多結晶シリコン膜15A、15Bは完全にシリサイド化(FUSI:Full Silicide)される。メモリセル領域100では、シリサイドは電極間絶縁膜14に到達することになる。この状態で、さらにシリサイドが成長すると、多結晶シリコン膜15A、15B内に存在する微小な空隙(Void)の周囲の多結晶シリコンがシリサイド成長に伴って移動する。その結果、多結晶シリコン膜15A、15B中の空隙(Void)が大きくなり、性能が悪化するという問題がある。
【0045】
メモリセル領域100にスパッタリングにより形成する金属膜20の量を減らせば、多結晶シリコン膜15A、15Bが完全にシリサイド化することを防ぐことができる。しかし、金属膜20の量を減らすと、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができなくなってしまう。図16及び図17は、この問題を説明するための比較例の製造方法の図である。図16は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、スパッタリングする金属膜20の量を減らした状態を示している。
【0046】
次に、図17に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。図17に示す例では金属膜20の量が少ないため、拡散する金属原子の量は図14及び図15に示す例よりも少なくなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。
一方、C−C’線断面に示す周辺回路領域200では金属膜20の量が少なく、且つ金属膜20と多結晶シリコン膜15Bとは主として上面でしか接していないため、多結晶シリコン膜15B内に十分に金属が拡散しない。その結果、周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15B上で金属の凝集が起こり、多結晶シリコン膜に十分な量のシリサイドを形成することができない。この場合、後の工程で周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15B上にコンタクトを形成する際、シリサイドがRIEのストッパーとして機能しないおそれがある。多結晶シリコン膜15Bに達するコンタクトを形成しようとしても、シリサイド及び多結晶シリコン膜15A、15Bを突き抜け、さらに電極間絶縁膜14までも突き抜けてしまい、不具合を生じる可能性がある。
【0047】
このように、比較例の不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程では、金属膜20の厚さを厚くして、周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrで十分なシリサイドが形成できたとしても、メモリセル領域100のメモリセルトランジスタMnでは過剰にシリサイド化が進み、ゲート電極内に空隙(Void)ができる。逆に、金属膜20の厚さを薄くして、メモリセルトランジスタMnでは適正な量のシリサイドが形成できたとしても、電界効果トランジスタTrでは不十分な量のシリサイドしか形成されない。そのため、比較例の不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程ではメモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができない。
【0048】
これに対し本実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15B内にシリサイドの成長を防ぐためのバリア膜16が形成される。このバリア膜16により、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではバリア膜16近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。本実施の形態の製造方法のシリサイド工程では、メモリセル領域100の多結晶シリコン膜15A、15Bが完全にシリサイド化されることがなく、過剰なシリサイド化により多結晶シリコン膜15A、15Bの中に空隙(Void)が生じることがない。また、周辺回路領域200における金属の凝集を防ぐこともできる。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を用いることにより、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0049】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第1の実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15A上にバリア膜16を形成した後、開口17を形成していた(図8及び図9参照)。このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番は変更することができる。すなわち、多結晶シリコン膜15A及び電極間絶縁膜14を貫通する開口17を形成し、その後バリア膜16を形成することができる。この場合、バリア膜16は開口17内部にも形成される。図18は、この方法で開口17及びバリア膜16を形成した状態を示す図である。上述のようにバリア膜16は多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとが導通するような厚さに設定されている。そのため、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜13もバリア膜16を介して開口17底部で導通するので、バリア膜16の形成と開口17の形成の順番の変更は不揮発性半導体記憶装置の動作に影響を及ぼさない。バリア膜16と開口17の形成の順番の変更以外は上述の実施の形態の製造方法と同様にして、不揮発性半導体記憶装置を形成することができる。
【0050】
また、第1の実施の形態の製造方法では、バリア膜16は、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図19に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、各工程において界面処理を行い、バリア膜16を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜16を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図20乃至図23を参照して説明する。第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16としてシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を用いる点において第1の実施の形態と異なる。第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
以後の図において、図20〜図23は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図20〜図23は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0053】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図20に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法において、バリア膜16は、シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜として形成される。この積層膜の膜厚は、例えば1.5〜3.0nm程度の厚さである。このシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。
【0054】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第1の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図21に示すように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。そして、開口17を埋め込むように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの厚さは、例えば1.5〜3.0nm程度としたが、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0055】
次に、図22に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0056】
次に、図23に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0057】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bにより抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0058】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0059】
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16はシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bの積層膜として設けられる。このシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bにより、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16B近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0060】
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
なお、バリア膜16は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜として説明したが、これに限定されるものではない。バリア膜16として、シリコン窒化膜を2層積層した膜を使用してもよいし、その他の積層膜を使用してもよい。
【0061】
(第3の実施の形態)
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図24乃至図28を参照して説明する。第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16としてシリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜を用いる点は、第2の実施の形態と同様である。第3の実施の形態の製造方法は、このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番を変更する点において第2の実施の形態と異なる。第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
以後の図において、図24〜図28は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図24〜図28は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0063】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図24に示すように、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13が接続される。
【0064】
次に、図25に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法も、バリア膜16は、シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜として形成される。この積層膜の膜厚は、例えば1.5〜3.0nm程度の厚さである。このシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。この場合、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは開口17内部にも形成される。上述のようにバリア膜16は多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとが導通するような厚さに設定されている。そのため、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜13もシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bを介して開口17底部で導通するので、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの形成と開口17の形成の順番の変更は不揮発性半導体記憶装置の動作に影響を及ぼさない。
【0065】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第2の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図26に示すように、開口17を埋め込むように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの厚さは、例えば1.5〜3.0nm程度としたが、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0066】
次に、図27に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0067】
次に、図28に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0068】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bにより抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0069】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0070】
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16はシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bの積層膜として設けられる。このシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bにより、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16B近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0071】
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第3の実施の形態の製造方法では、積層されたシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図29に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、シリコン酸化膜16A’及びシリコン窒化膜16B’の積層膜を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜(シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜、及びシリコン酸化膜16A’とシリコン窒化膜16B’の積層膜)を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0072】
(第4の実施の形態)
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図30乃至図33を参照して説明する。第4の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16として多結晶シリコン膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜を用いる点において第1の実施の形態と異なる。第4の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
以後の図において、図30〜図33は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図30〜図33は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0074】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図30に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法において、多結晶シリコン膜15Aの表面に炭素及び窒素をドーピングして、多結晶シリコン膜15A内にシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜を形成する。このシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜がバリア膜16となる。バリア膜16は、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。
【0075】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第1の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図31に示すように、バリア膜16、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。そして、開口17を埋め込むように、バリア膜16上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。バリア膜16の厚さは、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、バリア膜16、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0076】
次に、図32に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0077】
次に、図33に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0078】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、バリア膜16に達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、バリア膜16により抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがバリア膜16に到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0079】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0080】
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16は多結晶シリコン膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜として設けられる。このバリア膜16により、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではバリア膜16近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0081】
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第4の実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15A上にバリア膜16を形成した後、開口17を形成していた(図30及び図31参照)。このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番は変更することができる。すなわち、多結晶シリコン膜15A及び電極間絶縁膜14を貫通する開口17を形成し、その後バリア膜16を形成することができる。図31は、開口17を形成した後に多結晶シリコン膜に炭素及び窒素をドーピングしてバリア膜16を形成している状態を示す図である。バリア膜16と開口17の形成の順番の変更以外は図32以降に示す上述の実施の形態の製造方法と同様にして、不揮発性半導体記憶装置を形成することができる。
【0082】
また、第4の実施の形態の製造方法では、バリア膜16は、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図35に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、各工程において多結晶シリコン膜15Bに炭素及び窒素をドーピングしてバリア膜16を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜16を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加、組み合わせ等が可能である。例えば、選択トランジスタST1、ST2の間に直列接続されるメモリセルトランジスタMnの数は複数であればよく、その数は16個に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
1・・・NANDセルユニット、 3・・・p型ウェル、 4、5、6・・・素子領域、 7・・・ゲート電極、 8・・・ソース/ドレイン領域、 9・・・コンタクトプラグ、 11・・・素子分離絶縁膜、 12・・・トンネル絶縁膜、 13・・・多結晶シリコン膜、 14・・・電極間絶縁膜、 15・・・多結晶シリコン膜、 16・・・バリア膜、 17・・・開口、 18、19・・・不純物拡散領域、 20・・・金属膜、 21、22、24・・・シリコン酸化膜、 27・・・コンタクトホール、 28・・・コンタクトプラグ、 29・・・ゲート絶縁膜、 30・・・不純物拡散領域、 31・・・接続配線、 32・・・シリコン酸化膜、 Mn・・・メモリセルトランジスタ、 ST・・・選択ゲートトランジスタ、 WL・・・ワード線、 BL・・・ビット線、 SL・・・ソース線。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施の形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的書き換えが可能で、且つ、高集積化が可能な不揮発性半導体記憶装置(EEPROM)として、NAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリでは、複数のメモリセルを隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共有する形で直列接続して、NANDセルユニットを構成する。NANDセルユニットの両端はそれぞれ、選択ゲートトランジスタを介してビット線及びソース線に接続される。この様なNANDセルユニット構成により、NOR型と比べて単位セル面積が小さくかつ大容量記憶が可能となる。
【0003】
情報記憶のためのメモリセル領域の周辺には、NAND型フラッシュメモリの動作を制御するための周辺回路が設けられる。周辺回路領域に形成される電界効果トランジスタは、メモリセルトランジスタや選択ゲートトランジスタと同様の工程により形成される。このメモリセルトランジスタや、周辺回路領域の電界効果トランジスタの性能を改善するために、ゲート電極をシリサイド化する構成が知られている。
【0004】
不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程では、メモリセル領域と周辺回路領域とでシリサイドの成長速度に差が生じることがある。シリサイドの成長速度が異なると、周辺回路領域の電界効果トランジスタで十分なシリサイドが形成できたとしても、メモリセル領域のメモリセルトランジスタでは過剰にシリサイド化が進み、ゲート電極内に空隙(Void)ができて、性能が悪化する場合がある。
逆に、メモリセルトランジスタでは適正な量のシリサイドが形成できたとしても、電界効果トランジスタでは不十分な量のシリサイドしか形成されない場合もある。そのため、不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程ではメモリセル領域でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域では十分な量のシリサイドを形成することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−159614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メモリセル領域でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域では十分な量のシリサイドを形成することのできる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板と、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備える。メモリセルトランジスタは、半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有する。電界効果トランジスタは、半導体基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された下側ゲート電極と、下側ゲート電極上に配置され、開口部を有する第2の電極間絶縁膜と、第2の電極間絶縁膜上に配置され、開口部を介して下側ゲート電極に電気的に接続される上側ゲート電極とを有する。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成される。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有する。制御ゲート電極及び上側ゲート電極は、その一部がシリサイド化されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域及び周辺回路領域を示す図である。
【図2A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイを示す等価回路図である。
【図2B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイのレイアウト図である。
【図3】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の周辺回路領域の一部のレイアウト図である。
【図4】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の周辺回路領域の一部の断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】第1の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】第1の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図27】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図28】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図29】第3の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図30】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図31】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図32】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図33】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図34】第4の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【図35】第4の実施の形態の他の例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態においては、NAND型フラッシュメモリを例として説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるフローティングゲート構造を有する他の半導体記憶装置にも適用することができる。なお、以下の実施の形態における図面の記載では、同一の構成を有する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各膜の厚みと平面寸法との関係や、各層の厚みの比率などは実際の不揮発性半導体記憶装置とは異なるものである。
【0010】
(第1の実施の形態)
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成について、図1乃至図6を参照して説明する。まず、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリの構成を説明する。
【0011】
図1は、不揮発性半導体記憶装置の全体を示すブロック図である。図1に示すように、不揮発性半導体記憶装置は、情報の記憶のために用いられるメモリセル領域100と、メモリセル領域100に対する情報の書き込み、消去、及び読み出しの各動作の制御のために用いられる周辺回路領域200とを有する。メモリセル領域100には、後述するメモリセルアレイが形成されている。また、周辺回路領域200には、ロウデコーダ、カラムデコーダ、電圧生成回路や、各種のコマンド・アドレス・データを送受信するインターフェース等が形成されている。
【0012】
図2Aは、NAND型フラッシュメモリのメモリセル領域100に形成されるメモリセルアレイの一部を示す等価回路図である。NAND型フラッシュメモリのNANDセルユニット1は、2個の選択ゲートトランジスタST1、ST2と、選択ゲートトランジスタST1、ST2間に直列接続された複数個のメモリセルトランジスタMn(nは0乃至15の整数、以下同様)とからなる。NANDセルユニット1内において、複数個のメモリセルトランジスタMnは隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共有して形成されている。メモリセルアレイは、NANDセルユニット1が行列状に設けられることにより構成されている。
【0013】
図2A中X方向(ゲート幅方向に相当)に配列されたメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極は、それぞれワード線WLnにより共通接続されている。また、図2A中X方向に配列された選択ゲートトランジスタST1のゲート電極は選択ゲート線S1で共通接続され、選択ゲートトランジスタST2のゲート電極は選択ゲート線S2で共通接続されている。選択ゲートトランジスタST1のドレイン領域にはビット線コンタクトBLCが接続されている。このビット線コンタクトBLCは図2A中X方向に直交するY方向(ゲート長方向に相当)に伸びるビット線BLに接続されている。また、選択ゲートトランジスタST2はソース領域を介して図2A中X方向に伸びるソース線SLに接続されている。
【0014】
メモリセルトランジスタMnは、シリコン基板のp型ウェル3に形成されたn型ソース/ドレイン領域を有し、電荷蓄積層としての浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とを有する積層ゲート構造であるものとする。NAND型フラッシュメモリは、浮遊ゲート電極に保持する電荷量を書き込み動作、消去動作で変化させることにより、メモリセルトランジスタMnのしきい値電圧を変化させて、1ビット或いは多ビットのデータを記憶する。NAND型フラッシュメモリにおいては、ワード線WLを共有する複数のNANDセルユニット1の集合がブロックを構成する。NAND型フラッシュメモリにおけるデータの消去は、このブロック単位で実行される。
【0015】
図2Bは、NAND型フラッシュメモリのメモリセル領域100に形成されるメモリセルアレイの一部のレイアウト図である。図3は、NAND型フラッシュメモリの周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタのレイアウト図である。
【0016】
図2Bに示すように、シリコン基板(半導体基板)には、図2B中Y方向に沿って伸びるSTI(Shallow Trench Isolation)構造の複数の素子分離領域4が、X方向に所定間隔をもって形成される。これにより素子領域5が図2B中X方向に分離されて形成される。また、図2B中X方向に沿って伸びるメモリセルトランジスタMnのワード線WLnが、Y方向に所定間隔をもって形成されている。ワード線WLnと交差する素子領域5上において、ワード線WLnはメモリセルトランジスタMnのゲート電極MGnとなる。また、図2B中X方向に沿って伸びるように選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート線S1が形成されている。選択ゲート線S1と交差する素子領域5上において、選択ゲート線S1は選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1となる。隣接する選択ゲート線S1間の素子領域5にはビット線コンタクトBLCがそれぞれ形成されている。このビット線コンタクトBLCは、図2B中Y方向に伸びるビット線BL(図示せず)に接続される。また、図2B中X方向に沿って伸びるように選択ゲートトランジスタST2の選択ゲート線S2が形成されている。選択ゲート線S2と交差する素子領域5上において、選択ゲート線S2は選択ゲートトランジスタST2のゲート電極SG2となる。隣接する選択ゲート線S2間の素子領域5にはソース線コンタクトSLCがそれぞれ形成されている。このソース線コンタクトSLCは、図2B中X方向に伸びるソース線SL(図示せず)に接続される。
【0017】
次に、周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの構造を説明する。図3に示すように、周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrは、シリコン基板(半導体基板)に矩形上に残された素子領域6上に設けられている。この素子領域6を囲むように素子分離領域4が形成されている。各素子領域6には、これを横切るようにゲート電極7が形成され、その両側に不純物を拡散して形成したソース/ドレイン領域8が設けられている。ソース/ドレイン領域8にはコンタクトプラグ9が形成されている。
【0018】
図4乃至図6は、それぞれ図2B及び図3に示されるA−A’線、B−B’線、C−C’線の断面図である。図4は、図2BのX方向に沿ったNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の断面図である。図5は、図2BのY方向に沿ったNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の断面図である。図6は、NAND型フラッシュメモリの周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの断面図である。なお、B−B’線方向のメモリセルトランジスタMnの多結晶シリコン膜13の長さをメモリセルトランジスタのゲート長、C−C’線方向の電界効果トランジスタTrの多結晶シリコン13の長さを電界効果トランジスタのゲート長と称する。
【0019】
図4に示すように、シリコン基板S上のメモリセル領域100には、p型ウェル3が形成されている。このp型ウェル3には等間隔にトレンチTが形成されており、このトレンチTには素子分離絶縁膜11が埋め込まれている。素子分離絶縁膜11が埋め込まれた領域が、上述の素子分離領域4となる。この素子分離絶縁膜11に挟まれたp型ウェル3上に、メモリセルトランジスタMnが形成される。すなわち、素子分離絶縁膜11に挟まれたp型ウェル3は、メモリセルトランジスタMn、選択ゲートトランジスタST1等が形成される素子領域5として機能する。
【0020】
図4及び図5に示すように、p型ウェル3上に、トンネル絶縁膜12が形成される。このトンネル絶縁膜12を介して、メモリセルトランジスタMn(nは0乃至15の整数、以下同様)のゲート電極MGn及び選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1が形成されている。これらゲート電極MGn、SG1は、浮遊ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜13、電極間絶縁膜14、及び制御ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜15A、15Bが順次積層された構成となっている。多結晶シリコン膜15A、15Bは図5の紙面垂直方向を長手方向として延びて、ワード線WLを形成する。一方、多結晶シリコン膜13は、1つのメモリセルトランジスタMnごとに絶縁分離されている。電極間絶縁膜14は、シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜からなるONO構造や、それを更にシリコン窒化膜で挟み込んだNONON構造などが用いられる。更に、メモリセルトランジスタMnのカップリング比を高めるために、高誘電率材料、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニウムシリケート(HfSiO)などを含めることも可能である。
【0021】
図4及び図5に示すように、多結晶シリコン膜15Aと15Bとの間の界面には、後述する製造方法により形成されるバリア膜16が存在する。バリア膜16は、シリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する機能を有する。
【0022】
また、図5に示すように、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG1の電極間絶縁膜14には、開口17が形成され、この開口17内に多結晶シリコン膜15Bが埋め込まれている。この開口17を介して多結晶シリコン膜13と多結晶シリコン膜15A、15Bとが電気的に接続している。各ゲート電極MGn間、及びゲート電極MG15−SG1間のp型ウェル3の表層(表面)には、ソース/ドレイン領域となる不純物拡散領域18が形成されている。不純物拡散領域18は、隣接するメモリセルトランジスタMn同士でソース/ドレイン領域が共有されるように形成される。ゲート電極SG1−SG1間のシリコン基板Sの表層には、高濃度の不純物拡散領域19が形成されている。なお、ゲート電極SG1−SG1間のソース/ドレイン領域は、高濃度の不純物拡散領域19だけではなく、低濃度で浅い不純物拡散領域も含んだLDD(Lightly Doped Drain)構造としてもよい。
【0023】
各ゲート電極MGnの間、及びゲート電極MG15とゲート電極SG1の間には、例えば、LP−CVD法により層間絶縁膜として機能するシリコン酸化膜21が形成されている。これらシリコン酸化膜21は、トンネル絶縁膜12を介してシリコン基板S上に形成され、その上面は例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化されている。
【0024】
ゲート電極SG1−SG1間のシリコン酸化膜21には、図5に示すようにシリコン基板Sの表面に達するコンタクトホール27が形成されている。このコンタクトホール27は、シリコン酸化膜21、トンネル絶縁膜12を貫通し、不純物拡散領域19の表面を露出するように形成されている。コンタクトホール27の内部には導体を埋め込み形成したコンタクトプラグ28が形成され、不純物拡散領域19に電気的に接続されている。このコンタクトプラグ28は、図2Bに示すビット線コンタクトBLCとして機能する。このコンタクトプラグ28の上に、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)からなるビット線BLが形成される。図5ではビット線側のコンタクト部のみを示しているが、ソース線側のコンタクト部も同様の構成でソース線SLに接続される。ビット線BL上にはパッシベーション膜として機能するシリコン酸化膜22が堆積されている。
【0025】
図6に示すように、周辺回路領域200のp型ウェル3上に、ゲート絶縁膜29が形成される。このゲート絶縁膜29を介して、電界効果トランジスタTrのゲート電極PGが形成されている。ゲート絶縁膜29の膜厚は、メモリセル領域100に形成されるトンネル絶縁膜12の膜厚より大きい。このゲート電極PGは、下側ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜13、電極間絶縁膜14、及び上側ゲート電極として機能する多結晶シリコン膜15A、15Bが順次積層された構成となっている。電極間絶縁膜14は、シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜からなるONO構造や、それを更にシリコン窒化膜で挟み込んだNONON構造などが用いられる。
【0026】
図6に示すように、多結晶シリコン膜15Aと15Bとの間の界面にも、後述する製造方法により形成されるバリア膜16が存在する。バリア膜16は、シリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する機能を有する。
【0027】
電界効果トランジスタTrのゲート電極PGの電極間絶縁膜14にも、開口17が形成され、この開口17内に多結晶シリコン膜15Bが埋め込まれている。この開口17を介して多結晶シリコン膜13と多結晶シリコン膜15A、15Bとが電気的に接続している。ゲート電極PGの両側のp型ウェル3の表層(表面)には、前述のソース/ドレイン領域8となる不純物拡散領域30が形成されている。なお、不純物拡散領域30はLDD構造を有していても良い。このゲート電極PGを埋め込むように、層間絶縁膜として機能するシリコン酸化膜24が形成され、その上面は例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化されている。
【0028】
不純物拡散領域30上には、図6に示すようにp型ウェル3の表面に達するコンタクトホール27が形成されている。このコンタクトホール27は、シリコン酸化膜24、ゲート絶縁膜29を貫通し、不純物拡散領域30の表面を露出するように形成されている。コンタクトホール27の内部には導体を埋め込み形成したコンタクトプラグ28が形成され、不純物拡散領域30に電気的に接続されている。このコンタクトプラグ28は、図3に示すコンタクトプラグ9として機能する。このコンタクトプラグ28の上に、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)からなる接続配線31が形成される。接続配線31上にはパッシベーション膜として機能するシリコン酸化膜32が堆積されている。
【0029】
上述の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置において、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15Bは、その一部がシリサイド化されている。図4及び図5に示すように、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bの全てと、多結晶シリコン膜15Aの上部がシリサイド化されている。また、図6に示すように、周辺回路領域200では、多結晶シリコン膜15Bの上部のみがシリサイド化されている。多結晶シリコン膜15A、15Bのシリサイド化には、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)等の金属が用いられる。
【0030】
図4乃至図6に示すように、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置では、周辺回路領域200では、電界効果トランジスタTrのゲート電極PG内に十分な量のシリサイドが形成されている一方、メモリセル領域100では、シリサイドはバリア膜16の作用により電極間絶縁膜14に到達していない。以下の不揮発性半導体記憶装置の製造方法では、このようなシリサイドの形成方法について述べる。
【0031】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図7乃至図11を参照して説明する。図7〜図11は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図7〜図11は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0032】
図7に示すように、ゲート電極MGn、SG、PGの積層構造を形成する。まず、シリコン基板Sに、p型ウェル3形成のためのイオン注入を行う。その後、A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100のp型ウェル3上にトンネル絶縁膜12を形成する。また、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200のp型ウェル3上にゲート絶縁膜29を形成する。次に、後の工程を経てメモリセルトランジスタMnの浮遊ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの下側ゲート電極となる多結晶シリコン膜13を堆積する。その後、周知のリソグラフィ法およびRIE法を用いてトレンチTを形成し、そのトレンチT内に素子分離絶縁膜11を充填して素子分離領域4を形成する。次に、メモリセルトランジスタMnのカップリング比を調整するため、メモリセル領域100の素子分離領域4内の素子分離絶縁膜11をエッチバックする。これにより、素子分離絶縁膜11の上面は多結晶シリコン膜13の上面よりも低くなる。その後、電極間絶縁膜14としてONO膜(シリコン酸化膜−シリコン窒化膜−シリコン酸化膜の積層膜)を成膜する。ONO膜の代わりに、ONO膜の両側に更にシリコン窒化膜を追加したNONON膜や、高誘電率材料である酸化アルミニウム(Al2O3)、ハフニウムシリケート(HfSiO)などを含んだ絶縁膜とすることもできる。次に、後の工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極の一部となる多結晶シリコン膜15Aを成膜する。
【0033】
次に、図8に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。半導体記憶装置の製造方法において、複数の多結晶シリコン膜を積層する際には下地の膜表面の影響を低減するために界面処理を行うことがある。バリア膜16の形成工程として、この界面処理を利用することができる。界面処理は、硫酸と過酸化水素水を処理液として界面を酸化又は洗浄するものであり、この界面処理によりバリア膜16として機能するシリコン酸化膜が形成される。このバリア膜16は、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。界面処理は塩酸と過酸化水素水等を処理液として用いるものであってもよい。
【0034】
次に、図9に示すように、周辺回路領域200において、バリア膜16、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。なお、A−A’線断面、B−B’線断面には図示していないが、メモリセル領域100の選択ゲートトランジスタST1、ST2の開口17も同時に形成される。開口17をRIE法により形成し、希弗酸で処理した際には自然酸化膜が形成されることもあるが、この自然酸化膜はバリア膜としての機能を有さないほど薄い膜(膜厚1.0〜1.5nm程度)であるため、図9ではその記載を省略している。以下の実施の形態の説明においても同様である。
【0035】
次に、図10に示すように、開口17を埋め込むように、バリア膜16上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。バリア膜16の厚さは、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定される。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、バリア膜16、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0036】
次に、図11に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0037】
次に、図12に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0038】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、バリア膜16に達する。メモリセル領域100の金属原子の拡散は、このバリア膜16により抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがバリア膜16に到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0039】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、図4乃至図6に示す本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0040】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリの製造方法の効果について、比較例の製造方法と比較して説明する。図13乃至図17は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、図8に示すバリア膜16を形成する工程を除いている点において、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法と異なる。比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、バリア膜16を形成する工程以外は上述の実施の形態と同様の工程により、多結晶シリコン膜15A、15Bの積層と開口17の形成を行う。
【0041】
図13は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法により多結晶シリコン膜15A、15Bを積層した状態を示す図である。図13に示すように比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとの間にバリア膜16が形成されていない点において図10と異なる。
【0042】
次に、図14に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0043】
次に、図15に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15A、15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0044】
A−A’線断面、B−B’線断面に示すメモリセル領域100のシリサイド化は、多結晶シリコン膜15Bの全体に広がる。ここで、比較例の製造方法ではバリア膜16が形成されていないため、シリサイドはさらに成長して多結晶シリコン膜15A内に広がる。その結果、メモリセル領域100の多結晶シリコン膜15A、15Bは完全にシリサイド化(FUSI:Full Silicide)される。メモリセル領域100では、シリサイドは電極間絶縁膜14に到達することになる。この状態で、さらにシリサイドが成長すると、多結晶シリコン膜15A、15B内に存在する微小な空隙(Void)の周囲の多結晶シリコンがシリサイド成長に伴って移動する。その結果、多結晶シリコン膜15A、15B中の空隙(Void)が大きくなり、性能が悪化するという問題がある。
【0045】
メモリセル領域100にスパッタリングにより形成する金属膜20の量を減らせば、多結晶シリコン膜15A、15Bが完全にシリサイド化することを防ぐことができる。しかし、金属膜20の量を減らすと、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができなくなってしまう。図16及び図17は、この問題を説明するための比較例の製造方法の図である。図16は、比較例の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、スパッタリングする金属膜20の量を減らした状態を示している。
【0046】
次に、図17に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。図17に示す例では金属膜20の量が少ないため、拡散する金属原子の量は図14及び図15に示す例よりも少なくなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。
一方、C−C’線断面に示す周辺回路領域200では金属膜20の量が少なく、且つ金属膜20と多結晶シリコン膜15Bとは主として上面でしか接していないため、多結晶シリコン膜15B内に十分に金属が拡散しない。その結果、周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15B上で金属の凝集が起こり、多結晶シリコン膜に十分な量のシリサイドを形成することができない。この場合、後の工程で周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15B上にコンタクトを形成する際、シリサイドがRIEのストッパーとして機能しないおそれがある。多結晶シリコン膜15Bに達するコンタクトを形成しようとしても、シリサイド及び多結晶シリコン膜15A、15Bを突き抜け、さらに電極間絶縁膜14までも突き抜けてしまい、不具合を生じる可能性がある。
【0047】
このように、比較例の不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程では、金属膜20の厚さを厚くして、周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrで十分なシリサイドが形成できたとしても、メモリセル領域100のメモリセルトランジスタMnでは過剰にシリサイド化が進み、ゲート電極内に空隙(Void)ができる。逆に、金属膜20の厚さを薄くして、メモリセルトランジスタMnでは適正な量のシリサイドが形成できたとしても、電界効果トランジスタTrでは不十分な量のシリサイドしか形成されない。そのため、比較例の不揮発性半導体記憶装置のシリサイド工程ではメモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができない。
【0048】
これに対し本実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15B内にシリサイドの成長を防ぐためのバリア膜16が形成される。このバリア膜16により、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではバリア膜16近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。本実施の形態の製造方法のシリサイド工程では、メモリセル領域100の多結晶シリコン膜15A、15Bが完全にシリサイド化されることがなく、過剰なシリサイド化により多結晶シリコン膜15A、15Bの中に空隙(Void)が生じることがない。また、周辺回路領域200における金属の凝集を防ぐこともできる。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を用いることにより、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0049】
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第1の実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15A上にバリア膜16を形成した後、開口17を形成していた(図8及び図9参照)。このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番は変更することができる。すなわち、多結晶シリコン膜15A及び電極間絶縁膜14を貫通する開口17を形成し、その後バリア膜16を形成することができる。この場合、バリア膜16は開口17内部にも形成される。図18は、この方法で開口17及びバリア膜16を形成した状態を示す図である。上述のようにバリア膜16は多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとが導通するような厚さに設定されている。そのため、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜13もバリア膜16を介して開口17底部で導通するので、バリア膜16の形成と開口17の形成の順番の変更は不揮発性半導体記憶装置の動作に影響を及ぼさない。バリア膜16と開口17の形成の順番の変更以外は上述の実施の形態の製造方法と同様にして、不揮発性半導体記憶装置を形成することができる。
【0050】
また、第1の実施の形態の製造方法では、バリア膜16は、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図19に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、各工程において界面処理を行い、バリア膜16を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜16を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図20乃至図23を参照して説明する。第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16としてシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を用いる点において第1の実施の形態と異なる。第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
以後の図において、図20〜図23は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図20〜図23は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0053】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図20に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法において、バリア膜16は、シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜として形成される。この積層膜の膜厚は、例えば1.5〜3.0nm程度の厚さである。このシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。
【0054】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第1の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図21に示すように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。そして、開口17を埋め込むように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの厚さは、例えば1.5〜3.0nm程度としたが、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0055】
次に、図22に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0056】
次に、図23に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0057】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bにより抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0058】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0059】
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16はシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bの積層膜として設けられる。このシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bにより、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16B近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0060】
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
なお、バリア膜16は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜として説明したが、これに限定されるものではない。バリア膜16として、シリコン窒化膜を2層積層した膜を使用してもよいし、その他の積層膜を使用してもよい。
【0061】
(第3の実施の形態)
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図24乃至図28を参照して説明する。第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16としてシリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜を用いる点は、第2の実施の形態と同様である。第3の実施の形態の製造方法は、このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番を変更する点において第2の実施の形態と異なる。第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
以後の図において、図24〜図28は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図24〜図28は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0063】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図24に示すように、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13が接続される。
【0064】
次に、図25に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法も、バリア膜16は、シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜として形成される。この積層膜の膜厚は、例えば1.5〜3.0nm程度の厚さである。このシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。この場合、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは開口17内部にも形成される。上述のようにバリア膜16は多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜15Bとが導通するような厚さに設定されている。そのため、多結晶シリコン膜15Aと多結晶シリコン膜13もシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bを介して開口17底部で導通するので、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの形成と開口17の形成の順番の変更は不揮発性半導体記憶装置の動作に影響を及ぼさない。
【0065】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第2の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図26に示すように、開口17を埋め込むように、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bの厚さは、例えば1.5〜3.0nm程度としたが、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16B、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0066】
次に、図27に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0067】
次に、図28に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0068】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、シリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bにより抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bに到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0069】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0070】
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16はシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bの積層膜として設けられる。このシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16Bにより、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではシリコン酸化膜16A及びシリコン窒化膜16B近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0071】
[第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第3の実施の形態の製造方法では、積層されたシリコン酸化膜16A、シリコン窒化膜16Bは、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図29に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、シリコン酸化膜16A’及びシリコン窒化膜16B’の積層膜を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜(シリコン酸化膜16Aとシリコン窒化膜16Bの積層膜、及びシリコン酸化膜16A’とシリコン窒化膜16B’の積層膜)を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0072】
(第4の実施の形態)
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について、図30乃至図33を参照して説明する。第4の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、バリア膜16として多結晶シリコン膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜を用いる点において第1の実施の形態と異なる。第4の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置のメモリセル領域100及び周辺回路領域200におけるその他の構成は、図1〜図6に示す上述の第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と対応する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
以後の図において、図30〜図33は、メモリセル領域100に形成されるメモリセルトランジスタMn及び周辺回路領域200に形成される電界効果トランジスタTrの製造工程の断面図である。図30〜図33は、図2Bに示されるA−A’線の断面、図2Bに示されるB−B’線の断面、図3に示されるC−C’線の断面を並べて示している。なお、説明を簡素化するため、B−B’線断面図では、選択ゲートトランジスタST1を省略して、メモリセルMnの部分のみを示す。
【0074】
本実施の形態の製造方法は、図7に示すゲート電極の積層構造を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。次に、図30に示すように、多結晶シリコン膜15A上に、バリア膜16を形成する。本実施の形態の製造方法において、多結晶シリコン膜15Aの表面に炭素及び窒素をドーピングして、多結晶シリコン膜15A内にシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜を形成する。このシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜がバリア膜16となる。バリア膜16は、後のシリサイド工程において金属原子の拡散を抑制する。
【0075】
これ以降の本実施の形態の製造方法は、第1の実施の形態と同様の工程である。すなわち、図31に示すように、バリア膜16、多結晶シリコン膜15A、及び電極間絶縁膜14を貫通して多結晶シリコン膜13に達するように開口17を形成する。周辺回路領域200の電界効果トランジスタTrは、この開口17を介して上側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜15A、15Bと、下側ゲート電極を形成する多結晶シリコン膜13とが電気的に接続される。そして、開口17を埋め込むように、バリア膜16上に多結晶シリコン膜15Bを成膜する。バリア膜16の厚さは、多結晶シリコン膜15A、15B間が導通するような厚さに設定されていればよい。この2層の多結晶シリコン膜15A、15Bが、後に示す工程を経てメモリセルトランジスタMnの制御ゲート電極又は電界効果トランジスタTrの上側ゲート電極となる。その後、フォトリソグラフィ法及びRIE法を用いてパターニングを行い、メモリセル領域100及び周辺回路領域200の多結晶シリコン膜15A、15B、バリア膜16、電極間絶縁膜14、及び多結晶シリコン膜13を順にエッチングする。そして、イオン注入により不純物拡散領域18及び不純物拡散領域30を形成して、メモリセルトランジスタMn及び電界効果トランジスタTrを形成する。電界効果トランジスタTrがNMOSトランジスタの場合には例えば砒素(As)、又はリン(P)を、PMOSトランジスタの場合には例えばホウ素(B)、又はフッ化ホウ素(BF2)をイオン注入して不純物拡散領域30を形成する。次に、パターニングされたメモリセル領域100のゲート電極MGn間や、周辺回路領域200のゲート電極PGをシリコン酸化膜21で埋め込む。ゲート電極MGn、PGは、シリコン酸化膜21により一旦全て埋め込まれる。その後、ゲート電極MGn、PG上のマスク材(図示せず)をストッパーにしてCMPにより平坦化を実行する。そして、RIE法によりエッチバックを行い、ゲート電極MGn、PG上のマスク材を除去するとともに、ゲート電極MGn、PG間の酸化膜を多結晶シリコン膜15Bの側面の一部が露出したままとなるように形成する。
【0076】
次に、図32に示すように、スパッタリングにより多結晶シリコン膜15Bを覆うように金属膜20を堆積する。この金属膜20は、次のシリサイド工程で多結晶シリコン膜15A、15Bへ金属を拡散させるために用いられる。A−A’線断面、B−B’線断面に示すように、メモリセル領域100の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接するように設けられている。一方、C−C’線断面に示すように、周辺回路領域200の金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面の一部に接する。ここで、電界効果トランジスタTrのゲート長は、メモリセルトランジスタMnのゲート長と比較すると長い。周辺回路領域200において、金属膜20は、殆ど多結晶シリコン膜15Bの上面にのみ形成されている状態となる。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比べて多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少なくなる。
【0077】
次に、図33に示すように、RTP法を用いて多結晶シリコン膜15A、15Bをシリサイド化する。ここで、メモリセル領域100では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの上面及び側面に接しており、それぞれの面から金属原子が拡散する。メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が多いため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が大きい。一方、周辺回路領域200では、金属膜20は多結晶シリコン膜15Bの主に上面に接している。周辺回路領域200では、メモリセル領域100と比較して、多結晶シリコン膜15Bに対する金属の割合が少ないため、シリサイドが多結晶シリコン膜15Bに伸びる量が小さい。
【0078】
メモリセル領域100のシリサイド化は多結晶シリコン膜15Bの全体に広がり、バリア膜16に達する。本実施の形態の製造方法においても、メモリセル領域100の金属原子の拡散は、バリア膜16により抑制され、シリサイドの成長速度が遅くなる。所定時間のシリサイド工程が終了したとき、メモリセル領域100では、多結晶シリコン膜15Aの一部はシリサイド化されるものの、電極間絶縁膜14まではシリサイドが到達せずにシリサイド工程が終了することになる。また、周辺回路領域200ではシリサイドの成長速度は遅く、シリサイドがバリア膜16に到達する前にシリサイド工程が終了する。
【0079】
これ以降は、周知の不揮発性半導体記憶装置の製造工程により製造する。メモリセル領域100及び周辺回路領域200をシリコン酸化膜21で埋め込む。そして、コンタクトホール27を開口して、導体で埋め込むことによりコンタクトプラグ28を形成する。このコンタクトプラグ28に接続するように上層配線を形成してパッシベーション膜を堆積する。これにより、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置を製造することができる。
【0080】
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法の効果]
本実施の形態の製造方法では、バリア膜16は多結晶シリコン膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜として設けられる。このバリア膜16により、メモリセル領域100でシリサイド化が過剰に進むことがなくなるとともに、周辺回路領域200ではバリア膜16近傍まで多結晶シリコン膜がシリサイド化される。そのため、メモリセル領域100でシリサイドの成長速度を抑制しつつ、周辺回路領域200では十分な量のシリサイドを形成することができ、メモリセルトランジスタMnと電界効果トランジスタTrの動作特性を向上させることが出来る。
【0081】
[第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他の例]
上述の第4の実施の形態の製造方法では、多結晶シリコン膜15A上にバリア膜16を形成した後、開口17を形成していた(図30及び図31参照)。このバリア膜16の形成と開口17の形成の順番は変更することができる。すなわち、多結晶シリコン膜15A及び電極間絶縁膜14を貫通する開口17を形成し、その後バリア膜16を形成することができる。図31は、開口17を形成した後に多結晶シリコン膜に炭素及び窒素をドーピングしてバリア膜16を形成している状態を示す図である。バリア膜16と開口17の形成の順番の変更以外は図32以降に示す上述の実施の形態の製造方法と同様にして、不揮発性半導体記憶装置を形成することができる。
【0082】
また、第4の実施の形態の製造方法では、バリア膜16は、多結晶シリコン膜15A、15B間に形成された1層のみとして説明した。しかし、図35に示すように多結晶シリコン膜15Bを積層する工程を複数回に分けて、各工程において多結晶シリコン膜15Bに炭素及び窒素をドーピングしてバリア膜16を形成することもできる。これにより、複数のバリア膜16を多結晶シリコン膜15B内に設けることができる。その結果、メモリセル領域100においてシリサイドの成長をさらに抑制することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加、組み合わせ等が可能である。例えば、選択トランジスタST1、ST2の間に直列接続されるメモリセルトランジスタMnの数は複数であればよく、その数は16個に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
1・・・NANDセルユニット、 3・・・p型ウェル、 4、5、6・・・素子領域、 7・・・ゲート電極、 8・・・ソース/ドレイン領域、 9・・・コンタクトプラグ、 11・・・素子分離絶縁膜、 12・・・トンネル絶縁膜、 13・・・多結晶シリコン膜、 14・・・電極間絶縁膜、 15・・・多結晶シリコン膜、 16・・・バリア膜、 17・・・開口、 18、19・・・不純物拡散領域、 20・・・金属膜、 21、22、24・・・シリコン酸化膜、 27・・・コンタクトホール、 28・・・コンタクトプラグ、 29・・・ゲート絶縁膜、 30・・・不純物拡散領域、 31・・・接続配線、 32・・・シリコン酸化膜、 Mn・・・メモリセルトランジスタ、 ST・・・選択ゲートトランジスタ、 WL・・・ワード線、 BL・・・ビット線、 SL・・・ソース線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、前記浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、前記第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有し、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、
前記半導体基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された下側ゲート電極と、前記下側ゲート電極上に配置され、開口部を有する第2の電極間絶縁膜と、前記第2の電極間絶縁膜上に配置され、前記開口部を介して前記下側ゲート電極に電気的に接続される上側ゲート電極とを有し、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備え、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成され、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、積層された複数の前記導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有し、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、その一部がシリサイド化されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記バリア膜は、シリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記バリア膜は、積層されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記バリア膜は、前記導電膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、少なくとも3層以上の前記導電膜により形成され、
前記バリア膜は、複数の前記導電膜間の界面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
メモリセル領域及び周辺回路領域に第1の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜上に電極間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極間絶縁膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜上に金属原子の拡散を抑制するバリア膜を形成する工程と、
前記周辺回路領域の前記バリア膜、前記第2の導電膜及び前記電極間絶縁膜を貫通して前記第1の導電膜に達する開口部を形成する工程と、
前記バリア膜上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜、前記バリア膜、前記第2の導電膜、前記電極間絶縁膜及び前記第1の導電膜をパターニングして、前記メモリセル領域に浮遊ゲート電極、前記浮遊ゲート電極上の第1の電極間絶縁膜及び前記第1の電極間絶縁膜上の制御ゲート電極を有するメモリセルトランジスタを形成し、前記周辺回路領域に下側ゲート電極、前記開口部を含む第2の電極間絶縁膜及び前記第2の電極間絶縁膜上の上側ゲート電極を有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜及び前記第2の導電膜の一部をシリサイド化する工程とを備える
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
メモリセル領域及び周辺回路領域に第1の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜上に電極間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極間絶縁膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
前記周辺回路領域の前記第2の導電膜及び前記電極間絶縁膜を貫通して前記第1の導電膜に達する開口部を形成する工程と、
前記第2の導電膜上に金属原子の拡散を抑制するバリア膜を形成する工程と、
前記バリア膜上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜、前記バリア膜、前記第2の導電膜、前記電極間絶縁膜及び前記第1の導電膜をパターニングして、前記メモリセル領域に浮遊ゲート電極、前記浮遊ゲート電極上の第1の電極間絶縁膜及び前記第1の電極間絶縁膜上の制御ゲート電極を有するメモリセルトランジスタを形成し、前記周辺回路領域に下側ゲート電極、前記開口部を含む第2の電極間絶縁膜及び前記第2の電極間絶縁膜上の上側ゲート電極を有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜及び前記第2の導電膜の一部をシリサイド化する工程とを備える
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記バリア膜は、導電膜を積層する前の界面処理により形成された酸化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記バリア膜は、積層されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記バリア膜は、導電膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記バリア膜及び前記第3の導電膜を形成する工程を交互に所定回数繰り返すことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲート電極と、前記浮遊ゲート電極上に配置される第1の電極間絶縁膜と、前記第1の電極間絶縁膜上に配置される制御ゲート電極とを有し、メモリセル領域に形成されたメモリセルトランジスタと、
前記半導体基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された下側ゲート電極と、前記下側ゲート電極上に配置され、開口部を有する第2の電極間絶縁膜と、前記第2の電極間絶縁膜上に配置され、前記開口部を介して前記下側ゲート電極に電気的に接続される上側ゲート電極とを有し、周辺回路領域に形成された電界効果トランジスタとを備え、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、積層された複数の導電膜により形成され、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、積層された複数の前記導電膜間の界面のうちの少なくとも1つに形成され金属原子の拡散を抑制するバリア膜を有し、
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、その一部がシリサイド化されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記バリア膜は、シリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記バリア膜は、積層されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記バリア膜は、前記導電膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御ゲート電極及び前記上側ゲート電極は、少なくとも3層以上の前記導電膜により形成され、
前記バリア膜は、複数の前記導電膜間の界面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
メモリセル領域及び周辺回路領域に第1の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜上に電極間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極間絶縁膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜上に金属原子の拡散を抑制するバリア膜を形成する工程と、
前記周辺回路領域の前記バリア膜、前記第2の導電膜及び前記電極間絶縁膜を貫通して前記第1の導電膜に達する開口部を形成する工程と、
前記バリア膜上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜、前記バリア膜、前記第2の導電膜、前記電極間絶縁膜及び前記第1の導電膜をパターニングして、前記メモリセル領域に浮遊ゲート電極、前記浮遊ゲート電極上の第1の電極間絶縁膜及び前記第1の電極間絶縁膜上の制御ゲート電極を有するメモリセルトランジスタを形成し、前記周辺回路領域に下側ゲート電極、前記開口部を含む第2の電極間絶縁膜及び前記第2の電極間絶縁膜上の上側ゲート電極を有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜及び前記第2の導電膜の一部をシリサイド化する工程とを備える
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
メモリセル領域及び周辺回路領域に第1の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜上に電極間絶縁膜を形成する工程と、
前記電極間絶縁膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
前記周辺回路領域の前記第2の導電膜及び前記電極間絶縁膜を貫通して前記第1の導電膜に達する開口部を形成する工程と、
前記第2の導電膜上に金属原子の拡散を抑制するバリア膜を形成する工程と、
前記バリア膜上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜、前記バリア膜、前記第2の導電膜、前記電極間絶縁膜及び前記第1の導電膜をパターニングして、前記メモリセル領域に浮遊ゲート電極、前記浮遊ゲート電極上の第1の電極間絶縁膜及び前記第1の電極間絶縁膜上の制御ゲート電極を有するメモリセルトランジスタを形成し、前記周辺回路領域に下側ゲート電極、前記開口部を含む第2の電極間絶縁膜及び前記第2の電極間絶縁膜上の上側ゲート電極を有する電界効果トランジスタを形成する工程と、
前記メモリセル領域及び前記周辺回路領域の前記第3の導電膜及び前記第2の導電膜の一部をシリサイド化する工程とを備える
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記バリア膜は、導電膜を積層する前の界面処理により形成された酸化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記バリア膜は、積層されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記バリア膜は、導電膜に炭素及び窒素がドーピングされて形成されたシリコン炭化膜及びシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項6又は7記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記バリア膜及び前記第3の導電膜を形成する工程を交互に所定回数繰り返すことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2012−38835(P2012−38835A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175970(P2010−175970)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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