交通情報配信装置
【課題】通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる交通情報配信装置を提供する。
【解決手段】情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から、現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に車両情報を受信した場合には、交通情報の配信対象となる道路区分を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定する(S213〜S219)。また、CPU11は、高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定すると共に、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定する(S211:YES〜S212)。
【解決手段】情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から、現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に車両情報を受信した場合には、交通情報の配信対象となる道路区分を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定する(S213〜S219)。また、CPU11は、高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定すると共に、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定する(S211:YES〜S212)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置からの送信要求に基づいて交通情報を配信する交通情報配信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されたナビゲーション装置からの送信要求に基づいて交通情報を配信する交通情報配信装置が種々提案されている。
例えば、車両に搭載されたナビゲーション装置から送られてくる送信要求を通信手段によって受信し、受信した送信要求に基づいて、車両の現在位置を含む所定範囲内の道路に対応する交通情報を情報配信センタに備わった交通情報抽出手段によって抽出し、抽出された交通情報を通信手段によってナビゲーション装置に向けて配信する交通情報配信装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−286469号公報(段落(0012)〜(0063)、図1〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載される構成では、車両の現在位置や、車両が位置する道路区分、地形、時間帯、交通情報の情報量等に関しては一切考慮されていないため、不要な情報が配信されるという問題がある。例えば、交通状況や情報量が大きく異なる昼夜でも同じ範囲に対応する交通情報を配信することとなり、不要な情報を多く含んで情報量が増大し、通信コストが増加するという問題がある。また、情報量の削減化を目的に、配信範囲を狭くした場合には、十分な交通情報を配信することが難しいという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる交通情報配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる道路区分を設定する道路区分設定手段(10)と、前記道路区分に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る交通情報配信装置は、請求項1に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、前記道路区分設定手段(10)は、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、算出された距離又は所要時間に基づいて前記配信対象となる道路区分を設定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る交通情報配信装置は、請求項1に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報を含み、前記道路区分設定手段(10)は、前記自車位置情報に基づいて、前記車両が位置する道路区分を前記配信対象となる道路区分として設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る交通情報配信装置は、請求項3に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、目的地を表す目的地情報を含み、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段(10)を備え、前記交通情報抽出手段(10)は、前記車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、前記経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、現在時刻を検出する時刻検出手段(14)と、前記車両情報と前記現在時刻とに基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段(10)と、前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する基本配信範囲設定手段(10)と、前記基本配信範囲内の道路状況に基づいて、前記基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する配信範囲変更手段(10)と、前記変更配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記基本配信範囲に対応する交通情報に基づいて、該基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する渋滞リンク算出手段(10)を備え、前記配信範囲変更手段(10)は、前記全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する配信範囲判定手段(10)を有し、該配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段(10)を備え、前記基本配信範囲設定手段(10)は、前記車両の現在位置から進行方向前方に前記基本配信範囲を設定し、前記配信範囲変更手段(10)は、該車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項10に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在するか否かを判定する交通障害判定手段(10)を有し、該配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在すると判定した場合には、該基本配信範囲を拡大するように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項11に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から経路の探索条件を受信する探索条件受信手段(17)と、前記探索条件に基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段(10)と、前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて交通情報の配信対象となる道路区分を設定する。そして、この設定された道路区分に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、ナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて道路区分(例えば、「高速道路・有料道路」、「都道府県道以上」、「全ての道路」などである。)を設定するため、車両状況に対応して道路区分を適切に設定し、不要な道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となる。
【0017】
また、請求項2に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置からの車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて、自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、この算出した距離又は所要時間に基づいて、交通情報の抽出対象となる道路区分を設定する。そして、この設定した道路区分に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて、交通情報の抽出対象となる道路区分が設定され、この設定された道路区分に対応する交通情報を配信するため、車両の現在位置から目的地までの距離(例えば、短距離、中距離、長距離等である。)又は所要時間(例えば、短時間、中時間、長時間である。)が異なっても、配信する交通情報の情報量を適切に設定することが可能となり、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となる。
【0018】
また、請求項3に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置から受信した車両情報に含まれる車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)を表す自車位置情報に基づいて、この車両が位置する道路区分(例えば、「高速道路・有料道路」、「一般道路」、「細街路」などである。)を配信対象となる道路区分として設定する。
これにより、車両が位置する道路区分に対応する交通情報を抽出してナビゲーション装置へ配信するため、車両が走行しない道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置から受信した車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて経路を探索する。そして、車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、この経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出してナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両が走行する高速道路上又は有料道路上及び該高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報をナビゲーション装置へ配信するため、不要な交通情報を大幅に削減して、通信コストの更なる削減化を図ることが可能になると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0020】
また、請求項5に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報と現在時刻とに基づいて交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する。そして、この設定した配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置等の車両状況と時間帯等の時間的要因を考慮して、交通情報の配信対象となる配信範囲を設定することが可能となり、渋滞が多発する時間帯等の各時間帯における配信範囲を、交通情報の情報量が適切な情報量になるように設定して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0021】
また、請求項6に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する。そして、基本配信範囲内の道路状況に基づいて、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する。そして、この設定した変更配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、基本配信範囲内の道路状況を考慮して、交通情報の配信対象となる変更配信範囲を設定することが可能となり、基本配信範囲内の不要な配信範囲を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、この基本配信範囲を変更して、十分な交通情報を配信することが可能となる
【0022】
また、請求項7に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて変更配信範囲が設定されるため、渋滞リンクが所定割合を超えた場合には、基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定し、渋滞リンクが一定割合以下の場合には、基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、配信する交通情報の情報量が適切な情報量になるように変更配信範囲を設定して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する。
これにより、車両の現在地や走行経路を考慮して、山間部、海岸、湖岸等のリンクが存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定することが可能となり、不要な配信範囲の交通情報を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、より有効な配信範囲に対応する十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0024】
また、請求項9に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置からの車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて経路探索を行う。そして、車両の現在位置から進行方向前方に基本配信範囲が設定される。また、車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定し、この変更配信範囲に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置周辺における所定数以上の走行可能なリンクが変更配信範囲内に含まれるため、経路探索に十分な交通情報を抽出して配信することが可能となる。
【0025】
また、請求項10に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内に交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲を拡大するように変更配信範囲を設定し、この変更配信範囲に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、基本配信範囲内に交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲よりも広い変更配信範囲に対応する交通情報を配信することができるため、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となり、ナビゲーション装置は、事故や交通規制等の交通障害を大きく迂回する経路を高精度に探索することが可能となる。
【0026】
更に、請求項11に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した経路の探索条件に基づいて、交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する。そして、この設定した配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、経路の探索条件に基づいて変更配信範囲を設定するため、探索される経路の広がりを考慮して、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、十分な交通情報を配信することが可能となる。また、探索条件によって経路の広がりが少ない場合には、基本配信範囲を経路沿いに狭めて変更配信範囲を設定することが可能となり、変更配信範囲に対応する交通情報量を削減して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る交通情報配信装置をナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0029】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や後述の渋滞情報等の交通情報を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0030】
また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞を通過するのに要する所要時間、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0031】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側交通情報データベース(センタ側交通情報DB)16と、センタ側通信装置17と、配信範囲データベース(配信範囲DB)18とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から収集した交通情報に基づいて現況の交通情報を作成し、ナビゲーション装置2からの要求に基づいて、ネットワーク4を介して配信する交通情報配信処理(図3参照)等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ19を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0032】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0033】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0034】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0035】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0036】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
尚、以下、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道を高規格道路という。また、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道を一般道路という。また、一般道路よりも狭い街中等の街路を細街路という。
【0037】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクの距離、道幅、道路種別等によって決定される各ノードの重み付け(以下、「コスト」という。)を算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路をナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ25(図2参照)の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0038】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26(図2参照)によって出力するための音声出力データも記録される。
【0039】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。具体的には、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2から更新用地図情報14Aの配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報をナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される更新情報としては、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aの新設道路を特定するための新設道路情報を含む全情報を送信することとしても良いし、現在のナビゲーション装置に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の必要最小限の情報(新設道路を特定するための新設道路情報を含む更新部分の情報のみ)を送信することとしても良い。
【0040】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0041】
また、センタ側交通情報DB16には、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。
【0042】
また、このセンタ側交通情報DB16には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5からのVICS信号や、各プローブカーから収集したプローブ情報等の過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報16Bが格納されている。
尚、この統計交通情報16Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
更に、センタ側交通情報DB16には、現況交通情報16A及び統計交通情報16Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約15分毎、約30分間毎、約1時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報16Cが格納されている。
【0043】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2から要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報16Aに基づいて各交差点間の交通情報や、統計交通情報16B、渋滞予測情報等である予測交通情報16C等を選択して配信する。
【0044】
また、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報には、道路種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0045】
ここで、センタ側地図情報DB14に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、各道路(リンク)に識別番号として付与される道路リンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。これにより、VICSリンクIDをナビゲーション装置2において使用されている道路リンクIDに変換して、交通情報を送信することができる。
【0046】
また、配信範囲DB18には、後述のようにナビゲーション装置2からの要求に基づいて現況交通情報16A、統計交通情報16B、予測交通情報16Cを配信する際に、各交通情報16A、16B、16Cの送信対象となる基本的な所定範囲(例えば、自車位置を中心とする50km四方の範囲である。)である基本配信範囲88(図8参照)や基本配信範囲101(図11参照)等が格納されている。
【0047】
尚、情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が運営していてもよい。
【0048】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0049】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0050】
図2に示すように本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5や情報配信センタ3等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0051】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0052】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0053】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0054】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0055】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報データベース(ナビ側交通情報DB)36、ナビ側地図情報データベース(ナビ側地図情報DB)37、走行履歴データベース(走行履歴DB)38及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0056】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ(VICS)5から受信した渋滞の実際の長さ、所要時間、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報から作成した現況交通情報36Aが格納される。また、ナビ側交通情報DB36の統計交通情報36Bには、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された上述の統計交通情報16Bが格納されている。そして、統計交通情報36Bに格納される統計交通情報16Bの各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された上記統計交通情報16Bを統計交通情報36Bに記憶し、所定期間毎に(例えば、1週間乃至3ヶ月毎等である。)、走行履歴に基づいて更新するように構成してもよい。
尚、この統計交通情報36Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
【0057】
更に、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された上述の予測交通情報16Cが格納されている。そして、予測交通情報36Cに格納される予測交通情報16Cの各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された上記予測交通情報16Cを予測交通情報36Cに記憶し、所定期間毎に(例えば、1週間乃至3ヶ月毎等である。)、現況交通情報36A及び統計交通情報36Bに基づいて更新するように構成してもよい。
【0058】
また、ナビ側地図情報DB37には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報37Aが格納されている。ここで、ナビ地図情報37Aには、更新用地図情報14Aと同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0059】
また、走行履歴DB38には、各リンクの走行毎に、走行履歴(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)が順次記憶される。
【0060】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した交通情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のように、情報配信センタ3へ交通情報の配信を要求する交通情報取得処理プログラム(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0061】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0062】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0063】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0064】
また、液晶ディスプレイ25には、ナビ地図情報37Aに基づく地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0065】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0066】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報や現況交通情報等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ(VICS)5等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0067】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する交通情報取得処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する交通情報をナビゲーション装置2に配信する交通情報配信処理について図3乃至図16に基づいて説明する。
図3はナビゲーション装置2のCPU41が実行する交通情報取得処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する交通情報をナビゲーション装置2へ配信する交通情報配信処理とを示すメインフローチャートである。図4は図3の対象道路設定処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。図5は図3の配信範囲変更処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【0068】
先ず、図3に基づいてナビゲーション装置2のCPU41が実行する「交通情報取得処理」について説明する。尚、図3に、S11〜S13のフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0069】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24の入力操作等によって、目的地が設定されたか否かを判定する判定処理を実行する。そして、目的地が設定されていない場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、目的地が入力されたと判断すると(S11:YES)、CPU41は、その目的地の座標等をRAM42に一時格納後、S12の処理に移行する。
【0070】
続いて、S12において、CPU41は、情報配信センタ3に対して、交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等を送信する。
その後、S13において、CPU41は、情報配信センタ3から、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を受信して、この現況交通情報16A等を現況交通情報36A等に記憶後、当該処理を終了する。
【0071】
次に、図3に基づいて情報配信センタ3のCPU11が実行する「交通情報配信処理」について説明する。尚、図3に、S111乃至S120のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
【0072】
先ず、S111において、CPU11は、上記S12でナビゲーション装置2から送信された交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aに基づいて、受信した探索条件に従って目的地までの基本ルートを探索し、RAM12に記憶する。
【0073】
そして、S112において、CPU11は、各交通情報16A、16B、16Cの送信対象となる基本的配信範囲を配信範囲DB18から読み出し、RAM12に記憶する。
例えば、自車位置から目的地までの距離が100km以上の場合には、自車位置を中心とする50km四方の範囲や、自車位置から前方30km四方の範囲等を配信範囲DB18から読み出し、基本的配信範囲としてRAM12に記憶する。
続いて、S113において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を設定する「対象道路設定処理」のサブ処理を実行する。
【0074】
ここで、「対象道路設定処理」のサブ処理について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、S211において、CPU11は、受信した自車位置データに基づいてナビゲーション装置2が搭載された車両が、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路等のいわゆる高速道路上又は有料道路上に位置しているか否かを、更新用地図情報14Aに基づいて判定する。
【0075】
そして、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には(S211:YES)、CPU11は、S212の処理に移行する。S212において、CPU11は、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、上記S111で探索した基本ルート上における、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。
更に、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
尚、起動時には、変更配信範囲フラグには、「0」が代入されて、RAM12に記憶されている。
【0076】
一方、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していないと判定した場合には(S211:NO)、CPU11は、S213の処理に移行する。S213において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として設定し、RAM12に記憶後、S214の処理に移行する。
【0077】
ここで、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合(S211:YES)と、位置していない場合(S211:NO)との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例について図6に基づいて説明する。
図6はナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合(S211:YES)と、位置していない場合(S211:NO)との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例を示す図で、(A)は高速道路上又は有料道路上に位置している場合を示し、(B)は高速道路上又は有料道路上に位置していない場合を示す図である。
【0078】
図6(A)に示すように、ナビゲーション装置2が搭載された車両を表す車両位置マーク51が、高速道路61上に位置している場合には(S211:YES)、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を、車両位置マーク51が位置する高速道路61と、この高速道路61の探索経路上の出口62の周辺における細街路以上の全ての道路に設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、この高速道路61の車両位置マーク51の前方の探索経路上と、この高速道路61の探索経路上の出口62を中心とする10km四方とを、変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。
【0079】
また、図6(B)に示すように、ナビゲーション装置2が搭載された車両を表す車両位置マーク51が、高速道路又は有料道路以外の国道、県道等の一般道路65上に位置する場合には(S211:NO)、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に設定される30km四方の基本配信範囲66内の細街路以上の全ての道路を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。
【0080】
続いて、図4に示すように、S214において、CPU11は、受信した自車位置のデータと、目的地の座標データとに基づいて、自車位置から目的地までの距離と基本ルート上を走行した場合の所要時間とを算出して、RAM12に記憶する。
そして、S215において、CPU11は、自車位置から目的地までの距離が長距離(例えば、100km以上である。)又は所要時間が長時間(例えば、2時間以上である。)か否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車位置から目的地までの距離が長距離又は所要時間が長時間の場合には(S215:YES)、CPU11は、S216の処理に移行する。
S216において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道の高規格道路に設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0081】
一方、自車位置から目的地までの距離が長距離でなく、且つ、所要時間が長時間でない場合には(S215:NO)、CPU11は、S217の処理に移行する。S217において、CPU11は、自車位置から目的地までの距離が中距離(例えば、30km以上100km未満である。)又は所要時間が中程度の中時間(例えば、45分以上2時間未満である。)か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置から目的地までの距離が中距離又は所要時間が中時間の場合には(S217:YES)、CPU11は、S218の処理に移行する。S218において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を都道府県道以上に設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0082】
一方、自車位置から目的地までの距離が中距離でなく、且つ、所要時間が中時間でない場合には(S217:NO)、CPU11は、自車位置から目的地までの距離は短距離(例えば、30km未満である。)又は所要時間は短時間(例えば、45分未満である。)であると判定して、S219の処理に移行する。S219において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として再度、設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0083】
ここで、交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例について図7に基づいて説明する。図7は交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例を示す図で、(A)は距離が長距離又は所要時間が長時間の場合、(B)は距離が中距離又は所要時間が中程度の中時間の場合、(C)は距離が短距離又は所要時間が短時間の場合である。
【0084】
図7(A)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地67までの距離が長距離(例えば、100km以上である。)又は所要時間が長時間(例えば、2時間以上である。)の場合には、CPU11は、各国道68、69と都市高速道路70とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0085】
また、図7(B)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地73までの距離が中距離(例えば、30km以上100km未満である。)又は所要時間が中程度の中時間(例えば、45分以上2時間未満である。)の場合には、CPU11は、各国道74、75、高速自動車国道76、各県道77を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0086】
また、図7(C)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地79までの距離が短距離(例えば、30km未満である。)又は所要時間は短時間(例えば、45分未満である。)の場合には、CPU11は、各国道80、81、都市高速道路82、各県道83、各市道85と町道86等の全ての道路を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0087】
続いて、図3に示すように、S114において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、この基本配信範囲内に道路の存在しない配信範囲があるか否か、即ち、この基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する判定処理を実行する。そして、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲が無い場合には(S114:NO)、CPU11は、S116の処理に移行する。
【0088】
一方、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲がある場合には(S114:YES)、CPU11は、S115の処理に移行する。S115において、CPU11は、基本配信範囲内のリンクの存在しない配信範囲を含まないように、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、基本配信範囲の配信方向の角度を変更して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。また、CPU11は、基本配信範囲の左右方向の幅又は前後方向の幅を縮小して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。また、CPU11は、基本配信範囲を左右方向に分割して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S116の処理に移行する。
【0089】
ここで、基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例について図8に基づいて説明する。図8は基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は基本配信範囲の左右方向の幅を縮小する場合、(B)は基本配信範囲の配信方向を変更する場合、(C)は基本配信範囲を左右方向に分割する場合である。
図8(A)に示すように、自車位置が、山間部の道路に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲88の山に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲88の左右方向の幅を縮小して変更配信範囲89を設定して、RAM12に記憶する。
【0090】
また、図8(B)に示すように、自車位置が海岸の道路に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲91の海に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲91の配信方向を岸側に所定角度変更して、陸上を配信対象とするように変更配信範囲92を設定して、RAM12に記憶する。
また、図8(C)に示すように、自車位置が湖に向かって湖岸に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲94の湖に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲9を左右方向に分割して、陸上を配信対象とするように各変更配信範囲95、96を設定して、RAM12に記憶する。
【0091】
続いて、図3に示すように、S116において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする2km〜6km四方である。)から基本配信範囲内の道路へ走行可能な道路があるか否か、即ち、自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする2km〜6km四方である。)に走行可能なリンクが所定数以上(例えば、3個〜5個以上である。)存在するか否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車位置周辺に存在する走行可能なリンクが所定数未満の場合には(S116:NO)、CPU11は、S118の処理に移行する。
【0092】
一方、自車位置周辺に所定数以上の走行可能なリンクが存在する場合には(S116:YES)、CPU11は、S117の処理に移行する。S117において、CPU11は、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。
例えば、CPU11は、自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する。また、CPU11は、自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S118の処理に移行する。
【0093】
ここで、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定する一例について図9及び図10に基づいて説明する。図9は自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。図10は自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
例えば、図9に示すように、CPU11は、自車位置を中心とする約2km四方〜6km四方の配信範囲を、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲97に付加して変更配信範囲98を設定して、自車位置周辺を含むように配信範囲を拡大する。
また、図10に示すように、CP11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲97を自車位置側に数km(例えば、約2km〜6kmである。)移動して、変更配信範囲99を設定して、自車位置周辺の配信範囲を拡大する。
【0094】
続いて、図3に示すように、S118において、CPU11は、基本配信範囲内の道路状況に基づいて、即ち、この道路状況に対応する交通情報の情報量等に基づいて、基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する「配信範囲変更処理」のサブ処理を実行する。
ここで、「配信範囲変更処理」のサブ処理について図5に基づいて説明する。
図5に示すように、S311において、CPU11は、基本配信範囲内の道路状況に対応する現況交通情報16A及び統計交通情報16Bに基づいて、この基本配信範囲内の配信対象となる全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する。そして、CPU11は、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えたか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)以下の場合には(S311:NO)、CPU11は、S313の処理に移行する。
【0095】
一方、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えた場合には(S311:YES)、CPU11は、S312の処理に移行する。
S312において、CPU11は、基本配信範囲に対応する交通情報の通信量が多くなるため、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、自車位置を中心として基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。また、自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S313の処理に移行する。
【0096】
ここで、基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例について図11に基づいて説明する。図11は基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を縮小する場合である。
例えば、図11(A)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51を中心とする50km四方の基本配信範囲101を、該車両位置マーク51を中心とする30km四方に縮小して変更配信範囲102を設定し、RAM12に記憶する。
また、図11(B)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51と目的地方向の基準となる基準位置104を含む基準配信範囲105を、該車両位置マーク51と基準位置104を含むようにルート沿いに内側方向に縮小して変更配信範囲106を設定し、RAM12に記憶する。
【0097】
続いて、図5に示すように、S313において、CPU11は、上記S311で算出した渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)か否かを判定する判定処理を実行する。そして、渋滞リンクの割合が一定割合を超えている場合には(例えば、10%を超えている場合である。)(S313:NO)、CPU11は、S315の処理に移行する。
【0098】
一方、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)の場合には(S313:YES)、CPU11は、S314の処理に移行する。
S314において、CPU11は、基本配信範囲に対応する交通情報の通信量に余裕があるため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、自車位置を中心として基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。また、自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S313の処理に移行する。
【0099】
ここで、基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例について図12に基づいて説明する。図12は基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を拡大する場合である。
例えば、図12(A)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51を中心とする50km四方の基本配信範囲101を、該車両位置マーク51を中心とする80km四方に拡大して変更配信範囲108を設定し、RAM12に記憶する。
また、図12(B)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51と目的地方向の基準となる基準位置104を含む基準配信範囲105を、該車両位置マーク51と基準位置104を含むようにルート沿いに外側方向に拡大して変更配信範囲109を設定し、RAM12に記憶する。
【0100】
続いて、図5に示すように、S315において、CPU11は、タイマ19の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の曜日、時間帯等の要因を特定してRAM12に記憶する。そして、CPU11は、各交通情報16A、16B等に基づいて、現時点の時間帯が、上記S112で設定した基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯でないと判定した場合には(S315:NO)、CPU11は、S317の処理に移行する。
【0101】
一方、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定した場合には(S315:YES)、CPU11は、S316の処理に移行する。例えば、現時点の時間帯が、朝・夕の通勤時間帯の場合には、CPU11は、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定し、S316の処理に移行する。
S316において、CPU11は、基本配信範囲内に対応する交通情報の通信量が多くなるため、上記S312の処理を実行後、S317の処理に移行する。
【0102】
続いて、S317において、CPU11は、各交通情報16A、16B等に基づいて、上記S315でRAM12に記憶した現時点の時間帯が、上記S112で設定した基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯でないと判定した場合には(S317:NO)、CPU11は、S319の処理に移行する。
【0103】
一方、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定した場合には(S317:YES)、CPU11は、S318の処理に移行する。例えば、現時点の時間帯が、深夜の場合には、CPU11は、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定し、S318の処理に移行する。
S318において、CPU11は、基本配信範囲内に対応する交通情報の通信量に余裕があるため、上記S314の処理を実行後、S319の処理に移行する。
【0104】
続いて、S319において、CPU11は、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先か否かを判定する判定処理を実行する。そして、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先でないと判定した場合には(S319:NO)、CPU11は、S321の処理に移行する。
一方、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先であると判定した場合には(S319:YES)、CPU11は、S320の処理に移行する。
S320において、CPU11は、経路探索条件が、推奨又は有料道路優先等の場合には、基本ルートは広がる可能性が有るため、基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S321の処理に移行する。
【0105】
ここで、基本配信範囲を基本ルート沿いに拡大して変更配信範囲を設定する一例について図13に基づいて説明する。図13は基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方の配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を拡大する場合である。
【0106】
例えば、図13(A)に示すように、CPU11は、経路探索条件が推奨又は有料道路優先等の場合には、基本ルート111は広がる可能性が有るため、基本配信範囲112の車両位置マーク51が位置する自車位置から前方の配信範囲を外側方向に拡大して、変更配信範囲113を設定し、RAM12に記憶する。
また、図13(B)に示すように、CPU11は、経路探索条件が推奨又は有料道路優先等の場合には、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地方向の基準となる基準位置104への基本ルート115は広がる可能性が有るため、該車両位置マーク51と基準位置104を含む基本配信範囲116をを外側方向に拡大して、変更配信範囲117を設定し、RAM12に記憶する。
【0107】
続いて、図5に示すように、S321において、CPU11は、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先か否かを判定する判定処理を実行する。そして、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先でないと判定した場合には(S321:NO)、CPU11は、S323の処理に移行する。
一方、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先であると判定した場合には(S321:YES)、CPU11は、S322の処理に移行する。
S322において、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルートは目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S323の処理に移行する。
【0108】
ここで、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例について図14に基づいて説明する。図14は基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心に基本ルート沿いに基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合である。
【0109】
例えば、図14(A)に示すように、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルート119は、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲120を基本ルート119沿いに内側方向、即ち、左右幅方向内側へ縮小して変更配信範囲121を設定して、RAM12に記憶する。
また、図14(B)に示すように、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルート123は、自車位置を表す車両位置マーク51から目的地方向の基準となる基準位置104へ向かってほぼ直進するため、基本配信範囲124を基本ルート123沿いに内側方向、即ち、左右幅方向内側へ縮小して変更配信範囲125を設定して、RAM12に記憶する。
【0110】
続いて、図5に示すように、S323において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、即ち、この道路状況に対応する現況交通情報16Aに基づいて、基本配信範囲内の基本ルート沿いに事故情報や交通規制情報等の交通障害に関する情報があるか否か、即ち、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在するか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が無いと判定した場合には(S323:NO)、CPU11は、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S119の処理に移行する。
【0111】
一方、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在すると判定した場合には(S323:YES)、CPU11は、S324の処理に移行する。
S324において、CPU11は、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合には、迂回して大回りなルートになる可能性が有るため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S119の処理に移行する。
【0112】
ここで、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例について図15に基づいて説明する。図15は基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方に交通障害がある場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置との間に交通障害がある場合である。
【0113】
例えば、図15(A)に示すように、CPU11は、基本配信範囲127内の車両位置マーク51が位置する自車位置から前方に、道路工事128による交通規制と、事故による通行止め129がある場合には、この基本配信範囲127を外側方向に拡大して(例えば、四方に30kmずつ拡大する。)、変更配信範囲130を設定し、RAM12に記憶する。
また、図15(B)に示すように、CPU11は、基本配信範囲132内の車両位置マーク51が位置する自車位置と目的地方向の基準となる基準位置104との間に、道路工事128による交通規制と、事故による通行止め129がある場合には、この基本配信範囲132を外側方向に拡大して(例えば、四方に30kmずつ拡大する。)、変更配信範囲133を設定し、RAM12に記憶する。
【0114】
続いて、図3に示すように、S119において、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグが「0」の場合には、上記S112で設定した基本配信範囲を交通情報の配信対象とし、上記S113で設定した道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する配信交通情報としてRAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグが「1」の場合には、上記S115、S117、S118で設定した変更配信範囲を交通情報の配信対象とし、上記S113で設定した道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する配信交通情報としてRAM12に記憶する。
そして、S120において、CPU11は、この配信交通情報を、上記S111で受信したナビ識別IDに対応するナビゲーション装置2に対して配信後、当該処理を終了する。
【0115】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件等の車両情報を受信した場合には、交通情報の配信対象となる道路区分を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定する(S213〜S219)。そして、CPU11は、この設定された道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する(S119〜S120)。
【0116】
これにより、CPU11は、ナビゲーション装置2から受信した車両情報に基づいて道路区分(「高規格道路」、「都道府県道以上」、「全ての道路」である。)を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定するため、ナビゲーション装置2が搭載される車両状況に対応して道路区分を適切に設定し、不要な道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となる。
【0117】
また、CPU11は、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報の配信対象となる道路区分として設定すると共に、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定する(S211:YES〜S212)。
これにより、CPU11は、車両が走行する高速道路上又は有料道路上及び該高速道路又は有料道路の出口周辺の渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信するため(S119〜S120)、不要な交通情報を大幅に削減して、通信コストの更なる削減化を図ることが可能になると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0118】
また、CPU11は、タイマ19の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の曜日、時間帯等の要因を特定し、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定した場合には、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定する(S315:YES〜S316)。また、CPU11は、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定した場合には、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S317:YES〜S318)。
これにより、CPU11は、時間帯等の時間的要因を考慮して、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の配信対象となる配信範囲を設定することが可能となり、渋滞が多発する時間帯等の各時間帯における配信範囲を、現況交通情報16A等の情報量が適切な情報量になるように設定して(例えば、現況交通情報16A等の情報量が一定の情報量になるように設定する。)、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0119】
また、CPU11は、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えた場合には、基本配信範囲に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報の通信量が多くなるため、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定する(S311:YES〜S312)。また、CPU11は、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)の場合には、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S313:YES〜S314)。
これにより、CPU11は、ナビゲーション装置2に対して配信する現況交通情報16A等の情報量が適切な情報量になるように変更配信範囲を設定して(例えば、現況交通情報16A等の情報量が一定の情報量になるように変更配信範囲を設定する。)、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0120】
また、CPU11は、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲がある場合には、基本配信範囲内のリンクの存在しない配信範囲を含まないように、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する(S114:YES〜S115)。
これにより、CPU11は、車両の現在地や走行経路を考慮して、山間部、海岸、湖岸等のリンクが存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定することが可能となり、不要な配信範囲の現況交通情報16A等を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、より有効な配信範囲に対応する十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0121】
また、CPU11は、自車位置周辺に所定数以上の走行可能なリンクが存在する場合には、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定する(S116:YES〜S117)。
これにより、自車位置周辺の複数経路の走行可能なリンクが変更配信範囲内に含まれるため、CPU11は、経路探索に十分な現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。
【0122】
また、CPU11は、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在すると判定した場合には、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合には、迂回して大回りなルートになる可能性が有るため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S323:YES〜S324)。
これにより、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲よりも広い変更配信範囲に対応する現況交通情報16A等を配信することができるため、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となり、ナビゲーション装置2は、事故や交通規制等の交通障害を大きく迂回する経路を高精度に探索することが可能となる。
【0123】
更に、CPU11は、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先であると判定した場合には、基本ルートが広がる可能性が有るため、基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する(S319:YES〜S320)。また、CPU11は、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先であると判定した場合には、基本ルートが目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する(S321:YES〜S322)。
【0124】
これにより、CPU11は、経路探索条件に基づいて変更配信範囲を設定するため、探索される基本ルートの広がりを考慮して、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2に対して配信することが可能となる。また、CPU11は、経路探索条件によって基本ルートの広がりが少ない場合には、基本配信範囲をルート沿いに内側方向に狭めて変更配信範囲を設定することが可能となり、変更配信範囲に対応する交通情報量を削減して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【0125】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0126】
(1)例えば、経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定するようにしてもよい。その一例を図16に基づいて説明する。図16は経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定する一例を示す図である。
図16に示すように、CPU11は、車両位置マーク51で表される自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする30km以内である。)と目的地135周辺(例えば、目的地135を中心とする30km以内である。)とに、交通情報16A等の配信対象となるレイヤ0の各配信範囲137、138を設定する。また、CPU11は、各配信範囲137、138の外側に、交通情報16A等の配信対象となる所定幅(例えば、約30kmの幅である。)のレイヤ1の各配信範囲139、140を設定する。更に、CPU11は、各配信範囲139、140の外側を囲んで、交通情報16A等の配信対象となるレイヤ2の配信範囲141を設定する。
【0127】
そして、CPU11は、各配信範囲137、138の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、各配信範囲139、140の配信対象となる道路区分を都道府県道以上に設定し、RAM12に記憶する。更に、CPU11は、配信範囲141の配信対象となる道路区分を高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道の高規格道路に設定し、RAM12に記憶する。
続いて、CPU11は、各配信範囲137〜141のそれぞれの道路区分に対応する現況交通情報16Aを抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する。
【0128】
これにより、CPU11は、各レイヤ0〜2毎の道路区分に対応する現況交通情報16A等を配信するため、ナビゲーション装置2の経路探索に対応した現況交通情報16A等を配信することが可能となると共に、各レイヤ0〜2毎に道路区分を限定することによって、交通情報量を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となる。
【0129】
(2)例えば、CPU11は、走行している車両がセンサ(プローブカー)となり、このプローブカーから収集した速度(時間、位置)等のプローブ情報に基づいて渋滞情報を含む現況交通情報16A等を作成している場合には、各プローブカー毎の走行履歴を記憶しておき、各プローブカーのユーザがどのような道路を好んで利用するのか、また、渋滞を迂回したがるか等の情報をこの走行履歴から抽出して、上記ステップ111において、各プローブカーのユーザに合わせた基本ルートを探索し、現況交通情報16A等の配信対象となる基本配信範囲や道路区分を設定するようにしてもよい。
これにより、CPU11は、各プローブカーのユーザ等の特定ユーザに特化した現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。また、各プローブカーのユーザの好みに合う経路を探索することが可能なように、統計交通情報16Bのユーザ好みの箇所のリンクコストを下げ、この統計交通情報16Bに基づいて経路探索を行って基本ルートを設定し、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、各プローブカーへ配信することも可能となる。
【0130】
(3)例えば、上記ステップ12おいて、ナビゲーション装置2のCPU41は、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に、走行履歴DB38に格納される自車両の走行履歴のデータを情報配信センタ3へ送信する。そして、情報配信センタ3のCPU11は、この交通情報を要求する要求コマンドと共に受信した走行履歴のデータに基づいて、ナビゲーション装置2のユーザがどのような道路を好んで利用するのか、また、渋滞を迂回したがるか等の情報をこの走行履歴のデータから抽出して、上記ステップ111において、ナビゲーション装置2のユーザに特化した現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。また、ナビゲーション装置2のユーザの好みに合う経路を探索することが可能なように、統計交通情報16Bのユーザ好みの箇所のリンクコストを下げて、この統計交通情報16Bに基づいて経路探索を行って基本ルートを設定し、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等をナビゲーション装置2に対して配信することも可能となる。
【0131】
(4)例えば、上記ステップ(以下、Sと略記する)11において、ナビゲーション装置2のCPU41は、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24に設けられた交通情報を要求する要求ボタン等を押下されたか否かを判定する判定処理を実行するようにしてもよい。そして、交通情報を要求する要求ボタン等を押下されていない場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。一方、交通情報を要求する要求ボタン等を押下された場合には(S11:YES)、CPU41は、上記S12において、情報配信センタ3に対して、交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等を送信する。その後、CPU41は、上記S13の処理を実行するようにしてもよい。
【0132】
また、この場合には、情報配信センタ3のCPU11は、上記S111において、ナビゲーション装置2から送信された交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、上記S112の処理を実行する。
続いて、上記S113において、CPU11は、上記S211の処理を実行後、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には(S211:YES)、上記S212の処理に移行する。そして、上記S212において、CPU11は、この高速道路又は有料道路を交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、この高速道路上又は有料道路上を変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。更に、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0133】
一方、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していないと判定した場合には(S211:NO)、CPU11は、上記S213の処理を実行後、S214乃至S219の処理を実行することなく、メインフローチャートに戻る。
そして、CPU11は、上記S114乃至S117の処理を実行する。続いて、上記S118において、CPU11は、上記S311乃至S318の処理を実行後、S319乃至S324の処理を実行することなく、メインフローチャートに戻る。そして、CPU11は、上記S119乃至S120の処理を実行後、当該処理を終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置のCPUが実行する交通情報取得処理と、情報配信センタのCPUが実行する交通情報をナビゲーション装置へ配信する交通情報配信処理とを示すメインフローチャートである。
【図4】図3の対象道路設定処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図5】図3の配信範囲変更処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合と、位置していない場合との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例を示す図で、(A)は高速道路上又は有料道路上に位置している場合を示し、(B)は高速道路上又は有料道路上に位置していない場合を示す図である。
【図7】交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例を示す図で、(A)は距離が長距離又は所要時間が長時間の場合、(B)は距離が中距離又は所要時間が中程度の中時間の場合、(C)は距離が短距離又は所要時間が短時間の場合である。
【図8】基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は基本配信範囲の左右方向の幅を縮小する場合、(B)は基本配信範囲の配信方向を変更する場合、(C)は基本配信範囲を左右方向に分割する場合である。
【図9】自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
【図10】自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
【図11】基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を縮小する場合である。
【図12】基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を拡大する場合である。
【図13】基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方の配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を拡大する場合である。
【図14】基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心に基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合である。
【図15】基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方に交通障害がある場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置との間に交通障害がある場合である。
【図16】経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
16 センタ側交通情報DB
16A、36A 現況交通情報
16B、36B 統計交通情報
17 センタ側通信装置
18 配信範囲DB
21 現在地検出処理部
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
51 車両位置マーク
66、71、88、91、94、97、101、105、112、116、120、124、127、132 基本配信範囲
89、92、95、98、99、102、106、108、109、113、117、121、125、130、133 変更配信範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置からの送信要求に基づいて交通情報を配信する交通情報配信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されたナビゲーション装置からの送信要求に基づいて交通情報を配信する交通情報配信装置が種々提案されている。
例えば、車両に搭載されたナビゲーション装置から送られてくる送信要求を通信手段によって受信し、受信した送信要求に基づいて、車両の現在位置を含む所定範囲内の道路に対応する交通情報を情報配信センタに備わった交通情報抽出手段によって抽出し、抽出された交通情報を通信手段によってナビゲーション装置に向けて配信する交通情報配信装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−286469号公報(段落(0012)〜(0063)、図1〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載される構成では、車両の現在位置や、車両が位置する道路区分、地形、時間帯、交通情報の情報量等に関しては一切考慮されていないため、不要な情報が配信されるという問題がある。例えば、交通状況や情報量が大きく異なる昼夜でも同じ範囲に対応する交通情報を配信することとなり、不要な情報を多く含んで情報量が増大し、通信コストが増加するという問題がある。また、情報量の削減化を目的に、配信範囲を狭くした場合には、十分な交通情報を配信することが難しいという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる交通情報配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる道路区分を設定する道路区分設定手段(10)と、前記道路区分に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る交通情報配信装置は、請求項1に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、前記道路区分設定手段(10)は、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、算出された距離又は所要時間に基づいて前記配信対象となる道路区分を設定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る交通情報配信装置は、請求項1に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報を含み、前記道路区分設定手段(10)は、前記自車位置情報に基づいて、前記車両が位置する道路区分を前記配信対象となる道路区分として設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る交通情報配信装置は、請求項3に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、目的地を表す目的地情報を含み、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段(10)を備え、前記交通情報抽出手段(10)は、前記車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、前記経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、現在時刻を検出する時刻検出手段(14)と、前記車両情報と前記現在時刻とに基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段(10)と、前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段(17)と、前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する基本配信範囲設定手段(10)と、前記基本配信範囲内の道路状況に基づいて、前記基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する配信範囲変更手段(10)と、前記変更配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記基本配信範囲に対応する交通情報に基づいて、該基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する渋滞リンク算出手段(10)を備え、前記配信範囲変更手段(10)は、前記全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する配信範囲判定手段(10)を有し、該配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段(10)を備え、前記基本配信範囲設定手段(10)は、前記車両の現在位置から進行方向前方に前記基本配信範囲を設定し、前記配信範囲変更手段(10)は、該車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項10に係る交通情報配信装置は、請求項6に記載の交通情報配信装置(3)において、前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在するか否かを判定する交通障害判定手段(10)を有し、該配信範囲変更手段(10)は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在すると判定した場合には、該基本配信範囲を拡大するように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項11に係る交通情報配信装置は、交通情報を配信する交通情報配信装置(3)において、車両に搭載されたナビゲーション装置から経路の探索条件を受信する探索条件受信手段(17)と、前記探索条件に基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段(10)と、前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段(10)と、抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて交通情報の配信対象となる道路区分を設定する。そして、この設定された道路区分に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、ナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて道路区分(例えば、「高速道路・有料道路」、「都道府県道以上」、「全ての道路」などである。)を設定するため、車両状況に対応して道路区分を適切に設定し、不要な道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となる。
【0017】
また、請求項2に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置からの車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて、自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、この算出した距離又は所要時間に基づいて、交通情報の抽出対象となる道路区分を設定する。そして、この設定した道路区分に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて、交通情報の抽出対象となる道路区分が設定され、この設定された道路区分に対応する交通情報を配信するため、車両の現在位置から目的地までの距離(例えば、短距離、中距離、長距離等である。)又は所要時間(例えば、短時間、中時間、長時間である。)が異なっても、配信する交通情報の情報量を適切に設定することが可能となり、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となる。
【0018】
また、請求項3に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置から受信した車両情報に含まれる車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)を表す自車位置情報に基づいて、この車両が位置する道路区分(例えば、「高速道路・有料道路」、「一般道路」、「細街路」などである。)を配信対象となる道路区分として設定する。
これにより、車両が位置する道路区分に対応する交通情報を抽出してナビゲーション装置へ配信するため、車両が走行しない道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置から受信した車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて経路を探索する。そして、車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、この経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出してナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両が走行する高速道路上又は有料道路上及び該高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報をナビゲーション装置へ配信するため、不要な交通情報を大幅に削減して、通信コストの更なる削減化を図ることが可能になると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0020】
また、請求項5に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報と現在時刻とに基づいて交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する。そして、この設定した配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置等の車両状況と時間帯等の時間的要因を考慮して、交通情報の配信対象となる配信範囲を設定することが可能となり、渋滞が多発する時間帯等の各時間帯における配信範囲を、交通情報の情報量が適切な情報量になるように設定して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0021】
また、請求項6に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した車両情報に基づいて交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する。そして、基本配信範囲内の道路状況に基づいて、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する。そして、この設定した変更配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、基本配信範囲内の道路状況を考慮して、交通情報の配信対象となる変更配信範囲を設定することが可能となり、基本配信範囲内の不要な配信範囲を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、この基本配信範囲を変更して、十分な交通情報を配信することが可能となる
【0022】
また、請求項7に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて変更配信範囲が設定されるため、渋滞リンクが所定割合を超えた場合には、基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定し、渋滞リンクが一定割合以下の場合には、基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、配信する交通情報の情報量が適切な情報量になるように変更配信範囲を設定して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となると共に、十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する。
これにより、車両の現在地や走行経路を考慮して、山間部、海岸、湖岸等のリンクが存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定することが可能となり、不要な配信範囲の交通情報を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、より有効な配信範囲に対応する十分な交通情報を配信することが可能となる。
【0024】
また、請求項9に係る交通情報配信装置では、ナビゲーション装置からの車両情報に含まれる自車位置情報と目的地情報とに基づいて経路探索を行う。そして、車両の現在位置から進行方向前方に基本配信範囲が設定される。また、車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定し、この変更配信範囲に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、車両の現在位置周辺における所定数以上の走行可能なリンクが変更配信範囲内に含まれるため、経路探索に十分な交通情報を抽出して配信することが可能となる。
【0025】
また、請求項10に係る交通情報配信装置では、基本配信範囲内に交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲を拡大するように変更配信範囲を設定し、この変更配信範囲に対応する交通情報をナビゲーション装置へ配信する。
これにより、基本配信範囲内に交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲よりも広い変更配信範囲に対応する交通情報を配信することができるため、十分な交通情報をナビゲーション装置へ配信することが可能となり、ナビゲーション装置は、事故や交通規制等の交通障害を大きく迂回する経路を高精度に探索することが可能となる。
【0026】
更に、請求項11に係る交通情報配信装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置から受信した経路の探索条件に基づいて、交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する。そして、この設定した配信範囲に対応する交通情報を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する。
これにより、経路の探索条件に基づいて変更配信範囲を設定するため、探索される経路の広がりを考慮して、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、十分な交通情報を配信することが可能となる。また、探索条件によって経路の広がりが少ない場合には、基本配信範囲を経路沿いに狭めて変更配信範囲を設定することが可能となり、変更配信範囲に対応する交通情報量を削減して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る交通情報配信装置をナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
先ず、本実施例に係るナビゲーションシステム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーションシステム1を示したブロック図である。
【0029】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や後述の渋滞情報等の交通情報を配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0030】
また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞を通過するのに要する所要時間、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図2を用いて詳細に説明する。
【0031】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側交通情報データベース(センタ側交通情報DB)16と、センタ側通信装置17と、配信範囲データベース(配信範囲DB)18とを備える。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から収集した交通情報に基づいて現況の交通情報を作成し、ナビゲーション装置2からの要求に基づいて、ネットワーク4を介して配信する交通情報配信処理(図3参照)等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ19を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0032】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0033】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0034】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0035】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0036】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
尚、以下、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道を高規格道路という。また、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道を一般道路という。また、一般道路よりも狭い街中等の街路を細街路という。
【0037】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクの距離、道幅、道路種別等によって決定される各ノードの重み付け(以下、「コスト」という。)を算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路をナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ25(図2参照)の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0038】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26(図2参照)によって出力するための音声出力データも記録される。
【0039】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。具体的には、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置2から更新用地図情報14Aの配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報をナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される更新情報としては、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aの新設道路を特定するための新設道路情報を含む全情報を送信することとしても良いし、現在のナビゲーション装置に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aに更新する為の必要最小限の情報(新設道路を特定するための新設道路情報を含む更新部分の情報のみ)を送信することとしても良い。
【0040】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータ毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0041】
また、センタ側交通情報DB16には、プローブカーにより収集されるプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)や道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報を収集して作成した現況の道路の渋滞等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。
【0042】
また、このセンタ側交通情報DB16には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5からのVICS信号や、各プローブカーから収集したプローブ情報等の過去の交通情報に基づいて生成された統計交通情報16Bが格納されている。
尚、この統計交通情報16Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
更に、センタ側交通情報DB16には、現況交通情報16A及び統計交通情報16Bに基づいて作成された現況の各渋滞に対する将来における所定時刻毎(例えば、現在時刻から約15分毎、約30分間毎、約1時間毎等である。)の渋滞予測情報等である予測交通情報16Cが格納されている。
【0043】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2から要求があったタイミングで、センタ側交通情報DB16に格納された現況交通情報16Aに基づいて各交差点間の交通情報や、統計交通情報16B、渋滞予測情報等である予測交通情報16C等を選択して配信する。
【0044】
また、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5から受信した交通情報には、道路種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0045】
ここで、センタ側地図情報DB14に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、各道路(リンク)に識別番号として付与される道路リンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応する道路リンクIDを特定することができるようになっている。これにより、VICSリンクIDをナビゲーション装置2において使用されている道路リンクIDに変換して、交通情報を送信することができる。
【0046】
また、配信範囲DB18には、後述のようにナビゲーション装置2からの要求に基づいて現況交通情報16A、統計交通情報16B、予測交通情報16Cを配信する際に、各交通情報16A、16B、16Cの送信対象となる基本的な所定範囲(例えば、自車位置を中心とする50km四方の範囲である。)である基本配信範囲88(図8参照)や基本配信範囲101(図11参照)等が格納されている。
【0047】
尚、情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が運営していてもよい。
【0048】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0049】
次に、本実施例に係るナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0050】
図2に示すように本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5や情報配信センタ3等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置27と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。
【0051】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0052】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0053】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0054】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0055】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側交通情報データベース(ナビ側交通情報DB)36、ナビ側地図情報データベース(ナビ側地図情報DB)37、走行履歴データベース(走行履歴DB)38及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0056】
ここで、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3や道路交通情報センタ(VICS)5から受信した渋滞の実際の長さ、所要時間、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路渋滞情報や、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の交通情報から作成した現況交通情報36Aが格納される。また、ナビ側交通情報DB36の統計交通情報36Bには、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された上述の統計交通情報16Bが格納されている。そして、統計交通情報36Bに格納される統計交通情報16Bの各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された上記統計交通情報16Bを統計交通情報36Bに記憶し、所定期間毎に(例えば、1週間乃至3ヶ月毎等である。)、走行履歴に基づいて更新するように構成してもよい。
尚、この統計交通情報36Bは、祭り、パレード、花火大会等のイベントの開催予定場所、予定日時等のイベント予定情報、例えば、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の統計的渋滞情報や渋滞予測情報を含んでもよい。
【0057】
更に、ナビ側交通情報DB36には、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された上述の予測交通情報16Cが格納されている。そして、予測交通情報36Cに格納される予測交通情報16Cの各内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
尚、ナビゲーション装置2は、CD−ROM等によって供給された上記予測交通情報16Cを予測交通情報36Cに記憶し、所定期間毎に(例えば、1週間乃至3ヶ月毎等である。)、現況交通情報36A及び統計交通情報36Bに基づいて更新するように構成してもよい。
【0058】
また、ナビ側地図情報DB37には、ナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報37Aが格納されている。ここで、ナビ地図情報37Aには、更新用地図情報14Aと同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0059】
また、走行履歴DB38には、各リンクの走行毎に、走行履歴(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、渋滞度、速度等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、車外/路面温度、天気、ABS(Antilock brake system)動作情報、路面状況、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等)である。)が順次記憶される。
【0060】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや情報配信センタ3から受信した交通情報等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のように、情報配信センタ3へ交通情報の配信を要求する交通情報取得処理プログラム(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0061】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0062】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0063】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0064】
また、液晶ディスプレイ25には、ナビ地図情報37Aに基づく地図が表示されて各リンク上の交通情報が表示される経路案内画面の他、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0065】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0066】
そして、通信装置27は、情報配信センタ3と通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、情報配信センタ3との間で最もバージョンの新しい更新地図情報や現況交通情報等の送受信を行う。また、通信装置27は、情報配信センタ3に加えて、道路交通情報センタ(VICS)5等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0067】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する交通情報取得処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する交通情報をナビゲーション装置2に配信する交通情報配信処理について図3乃至図16に基づいて説明する。
図3はナビゲーション装置2のCPU41が実行する交通情報取得処理と、情報配信センタ3のCPU11が実行する交通情報をナビゲーション装置2へ配信する交通情報配信処理とを示すメインフローチャートである。図4は図3の対象道路設定処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。図5は図3の配信範囲変更処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【0068】
先ず、図3に基づいてナビゲーション装置2のCPU41が実行する「交通情報取得処理」について説明する。尚、図3に、S11〜S13のフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0069】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24の入力操作等によって、目的地が設定されたか否かを判定する判定処理を実行する。そして、目的地が設定されていない場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、目的地が入力されたと判断すると(S11:YES)、CPU41は、その目的地の座標等をRAM42に一時格納後、S12の処理に移行する。
【0070】
続いて、S12において、CPU41は、情報配信センタ3に対して、交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等を送信する。
その後、S13において、CPU41は、情報配信センタ3から、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を受信して、この現況交通情報16A等を現況交通情報36A等に記憶後、当該処理を終了する。
【0071】
次に、図3に基づいて情報配信センタ3のCPU11が実行する「交通情報配信処理」について説明する。尚、図3に、S111乃至S120のフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているRAM12やROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
【0072】
先ず、S111において、CPU11は、上記S12でナビゲーション装置2から送信された交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、センタ側地図情報DB14に格納されるナビ地図情報37Aのバージョン情報に対応する更新用地図情報14Aに基づいて、受信した探索条件に従って目的地までの基本ルートを探索し、RAM12に記憶する。
【0073】
そして、S112において、CPU11は、各交通情報16A、16B、16Cの送信対象となる基本的配信範囲を配信範囲DB18から読み出し、RAM12に記憶する。
例えば、自車位置から目的地までの距離が100km以上の場合には、自車位置を中心とする50km四方の範囲や、自車位置から前方30km四方の範囲等を配信範囲DB18から読み出し、基本的配信範囲としてRAM12に記憶する。
続いて、S113において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を設定する「対象道路設定処理」のサブ処理を実行する。
【0074】
ここで、「対象道路設定処理」のサブ処理について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、S211において、CPU11は、受信した自車位置データに基づいてナビゲーション装置2が搭載された車両が、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路等のいわゆる高速道路上又は有料道路上に位置しているか否かを、更新用地図情報14Aに基づいて判定する。
【0075】
そして、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には(S211:YES)、CPU11は、S212の処理に移行する。S212において、CPU11は、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、上記S111で探索した基本ルート上における、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。
更に、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
尚、起動時には、変更配信範囲フラグには、「0」が代入されて、RAM12に記憶されている。
【0076】
一方、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していないと判定した場合には(S211:NO)、CPU11は、S213の処理に移行する。S213において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として設定し、RAM12に記憶後、S214の処理に移行する。
【0077】
ここで、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合(S211:YES)と、位置していない場合(S211:NO)との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例について図6に基づいて説明する。
図6はナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合(S211:YES)と、位置していない場合(S211:NO)との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例を示す図で、(A)は高速道路上又は有料道路上に位置している場合を示し、(B)は高速道路上又は有料道路上に位置していない場合を示す図である。
【0078】
図6(A)に示すように、ナビゲーション装置2が搭載された車両を表す車両位置マーク51が、高速道路61上に位置している場合には(S211:YES)、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を、車両位置マーク51が位置する高速道路61と、この高速道路61の探索経路上の出口62の周辺における細街路以上の全ての道路に設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、この高速道路61の車両位置マーク51の前方の探索経路上と、この高速道路61の探索経路上の出口62を中心とする10km四方とを、変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。
【0079】
また、図6(B)に示すように、ナビゲーション装置2が搭載された車両を表す車両位置マーク51が、高速道路又は有料道路以外の国道、県道等の一般道路65上に位置する場合には(S211:NO)、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に設定される30km四方の基本配信範囲66内の細街路以上の全ての道路を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。
【0080】
続いて、図4に示すように、S214において、CPU11は、受信した自車位置のデータと、目的地の座標データとに基づいて、自車位置から目的地までの距離と基本ルート上を走行した場合の所要時間とを算出して、RAM12に記憶する。
そして、S215において、CPU11は、自車位置から目的地までの距離が長距離(例えば、100km以上である。)又は所要時間が長時間(例えば、2時間以上である。)か否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車位置から目的地までの距離が長距離又は所要時間が長時間の場合には(S215:YES)、CPU11は、S216の処理に移行する。
S216において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道の高規格道路に設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0081】
一方、自車位置から目的地までの距離が長距離でなく、且つ、所要時間が長時間でない場合には(S215:NO)、CPU11は、S217の処理に移行する。S217において、CPU11は、自車位置から目的地までの距離が中距離(例えば、30km以上100km未満である。)又は所要時間が中程度の中時間(例えば、45分以上2時間未満である。)か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、自車位置から目的地までの距離が中距離又は所要時間が中時間の場合には(S217:YES)、CPU11は、S218の処理に移行する。S218において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を都道府県道以上に設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0082】
一方、自車位置から目的地までの距離が中距離でなく、且つ、所要時間が中時間でない場合には(S217:NO)、CPU11は、自車位置から目的地までの距離は短距離(例えば、30km未満である。)又は所要時間は短時間(例えば、45分未満である。)であると判定して、S219の処理に移行する。S219において、CPU11は、交通情報の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として再度、設定し、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0083】
ここで、交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例について図7に基づいて説明する。図7は交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例を示す図で、(A)は距離が長距離又は所要時間が長時間の場合、(B)は距離が中距離又は所要時間が中程度の中時間の場合、(C)は距離が短距離又は所要時間が短時間の場合である。
【0084】
図7(A)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地67までの距離が長距離(例えば、100km以上である。)又は所要時間が長時間(例えば、2時間以上である。)の場合には、CPU11は、各国道68、69と都市高速道路70とを、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0085】
また、図7(B)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地73までの距離が中距離(例えば、30km以上100km未満である。)又は所要時間が中程度の中時間(例えば、45分以上2時間未満である。)の場合には、CPU11は、各国道74、75、高速自動車国道76、各県道77を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0086】
また、図7(C)に示すように、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地79までの距離が短距離(例えば、30km未満である。)又は所要時間は短時間(例えば、45分未満である。)の場合には、CPU11は、各国道80、81、都市高速道路82、各県道83、各市道85と町道86等の全ての道路を、交通情報の配信対象となる道路区分として設定する。また、CPU11は、車両位置マーク51から探索経路上の前方に30km四方の基本配信範囲71を設定する。
【0087】
続いて、図3に示すように、S114において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、この基本配信範囲内に道路の存在しない配信範囲があるか否か、即ち、この基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する判定処理を実行する。そして、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲が無い場合には(S114:NO)、CPU11は、S116の処理に移行する。
【0088】
一方、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲がある場合には(S114:YES)、CPU11は、S115の処理に移行する。S115において、CPU11は、基本配信範囲内のリンクの存在しない配信範囲を含まないように、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、基本配信範囲の配信方向の角度を変更して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。また、CPU11は、基本配信範囲の左右方向の幅又は前後方向の幅を縮小して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。また、CPU11は、基本配信範囲を左右方向に分割して、リンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S116の処理に移行する。
【0089】
ここで、基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例について図8に基づいて説明する。図8は基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は基本配信範囲の左右方向の幅を縮小する場合、(B)は基本配信範囲の配信方向を変更する場合、(C)は基本配信範囲を左右方向に分割する場合である。
図8(A)に示すように、自車位置が、山間部の道路に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲88の山に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲88の左右方向の幅を縮小して変更配信範囲89を設定して、RAM12に記憶する。
【0090】
また、図8(B)に示すように、自車位置が海岸の道路に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲91の海に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲91の配信方向を岸側に所定角度変更して、陸上を配信対象とするように変更配信範囲92を設定して、RAM12に記憶する。
また、図8(C)に示すように、自車位置が湖に向かって湖岸に位置する場合には、CPU11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲94の湖に重なった部分を含まないように、即ち、リンクの存在しない部分を含まないように、この基本配信範囲9を左右方向に分割して、陸上を配信対象とするように各変更配信範囲95、96を設定して、RAM12に記憶する。
【0091】
続いて、図3に示すように、S116において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする2km〜6km四方である。)から基本配信範囲内の道路へ走行可能な道路があるか否か、即ち、自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする2km〜6km四方である。)に走行可能なリンクが所定数以上(例えば、3個〜5個以上である。)存在するか否かを判定する判定処理を実行する。そして、自車位置周辺に存在する走行可能なリンクが所定数未満の場合には(S116:NO)、CPU11は、S118の処理に移行する。
【0092】
一方、自車位置周辺に所定数以上の走行可能なリンクが存在する場合には(S116:YES)、CPU11は、S117の処理に移行する。S117において、CPU11は、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定して、RAM12に記憶する。
例えば、CPU11は、自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する。また、CPU11は、自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S118の処理に移行する。
【0093】
ここで、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定する一例について図9及び図10に基づいて説明する。図9は自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。図10は自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
例えば、図9に示すように、CPU11は、自車位置を中心とする約2km四方〜6km四方の配信範囲を、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲97に付加して変更配信範囲98を設定して、自車位置周辺を含むように配信範囲を拡大する。
また、図10に示すように、CP11は、車両位置マーク51の前方に設定された基本配信範囲97を自車位置側に数km(例えば、約2km〜6kmである。)移動して、変更配信範囲99を設定して、自車位置周辺の配信範囲を拡大する。
【0094】
続いて、図3に示すように、S118において、CPU11は、基本配信範囲内の道路状況に基づいて、即ち、この道路状況に対応する交通情報の情報量等に基づいて、基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する「配信範囲変更処理」のサブ処理を実行する。
ここで、「配信範囲変更処理」のサブ処理について図5に基づいて説明する。
図5に示すように、S311において、CPU11は、基本配信範囲内の道路状況に対応する現況交通情報16A及び統計交通情報16Bに基づいて、この基本配信範囲内の配信対象となる全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する。そして、CPU11は、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えたか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)以下の場合には(S311:NO)、CPU11は、S313の処理に移行する。
【0095】
一方、渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えた場合には(S311:YES)、CPU11は、S312の処理に移行する。
S312において、CPU11は、基本配信範囲に対応する交通情報の通信量が多くなるため、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、自車位置を中心として基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。また、自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S313の処理に移行する。
【0096】
ここで、基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例について図11に基づいて説明する。図11は基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を縮小する場合である。
例えば、図11(A)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51を中心とする50km四方の基本配信範囲101を、該車両位置マーク51を中心とする30km四方に縮小して変更配信範囲102を設定し、RAM12に記憶する。
また、図11(B)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51と目的地方向の基準となる基準位置104を含む基準配信範囲105を、該車両位置マーク51と基準位置104を含むようにルート沿いに内側方向に縮小して変更配信範囲106を設定し、RAM12に記憶する。
【0097】
続いて、図5に示すように、S313において、CPU11は、上記S311で算出した渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)か否かを判定する判定処理を実行する。そして、渋滞リンクの割合が一定割合を超えている場合には(例えば、10%を超えている場合である。)(S313:NO)、CPU11は、S315の処理に移行する。
【0098】
一方、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)の場合には(S313:YES)、CPU11は、S314の処理に移行する。
S314において、CPU11は、基本配信範囲に対応する交通情報の通信量に余裕があるため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。例えば、CPU11は、自車位置を中心として基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。また、自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S313の処理に移行する。
【0099】
ここで、基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例について図12に基づいて説明する。図12は基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を拡大する場合である。
例えば、図12(A)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51を中心とする50km四方の基本配信範囲101を、該車両位置マーク51を中心とする80km四方に拡大して変更配信範囲108を設定し、RAM12に記憶する。
また、図12(B)に示すように、CPU11は、自車位置を表す車両位置マーク51と目的地方向の基準となる基準位置104を含む基準配信範囲105を、該車両位置マーク51と基準位置104を含むようにルート沿いに外側方向に拡大して変更配信範囲109を設定し、RAM12に記憶する。
【0100】
続いて、図5に示すように、S315において、CPU11は、タイマ19の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の曜日、時間帯等の要因を特定してRAM12に記憶する。そして、CPU11は、各交通情報16A、16B等に基づいて、現時点の時間帯が、上記S112で設定した基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯でないと判定した場合には(S315:NO)、CPU11は、S317の処理に移行する。
【0101】
一方、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定した場合には(S315:YES)、CPU11は、S316の処理に移行する。例えば、現時点の時間帯が、朝・夕の通勤時間帯の場合には、CPU11は、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定し、S316の処理に移行する。
S316において、CPU11は、基本配信範囲内に対応する交通情報の通信量が多くなるため、上記S312の処理を実行後、S317の処理に移行する。
【0102】
続いて、S317において、CPU11は、各交通情報16A、16B等に基づいて、上記S315でRAM12に記憶した現時点の時間帯が、上記S112で設定した基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯でないと判定した場合には(S317:NO)、CPU11は、S319の処理に移行する。
【0103】
一方、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定した場合には(S317:YES)、CPU11は、S318の処理に移行する。例えば、現時点の時間帯が、深夜の場合には、CPU11は、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定し、S318の処理に移行する。
S318において、CPU11は、基本配信範囲内に対応する交通情報の通信量に余裕があるため、上記S314の処理を実行後、S319の処理に移行する。
【0104】
続いて、S319において、CPU11は、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先か否かを判定する判定処理を実行する。そして、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先でないと判定した場合には(S319:NO)、CPU11は、S321の処理に移行する。
一方、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先であると判定した場合には(S319:YES)、CPU11は、S320の処理に移行する。
S320において、CPU11は、経路探索条件が、推奨又は有料道路優先等の場合には、基本ルートは広がる可能性が有るため、基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S321の処理に移行する。
【0105】
ここで、基本配信範囲を基本ルート沿いに拡大して変更配信範囲を設定する一例について図13に基づいて説明する。図13は基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方の配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を拡大する場合である。
【0106】
例えば、図13(A)に示すように、CPU11は、経路探索条件が推奨又は有料道路優先等の場合には、基本ルート111は広がる可能性が有るため、基本配信範囲112の車両位置マーク51が位置する自車位置から前方の配信範囲を外側方向に拡大して、変更配信範囲113を設定し、RAM12に記憶する。
また、図13(B)に示すように、CPU11は、経路探索条件が推奨又は有料道路優先等の場合には、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地方向の基準となる基準位置104への基本ルート115は広がる可能性が有るため、該車両位置マーク51と基準位置104を含む基本配信範囲116をを外側方向に拡大して、変更配信範囲117を設定し、RAM12に記憶する。
【0107】
続いて、図5に示すように、S321において、CPU11は、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先か否かを判定する判定処理を実行する。そして、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先でないと判定した場合には(S321:NO)、CPU11は、S323の処理に移行する。
一方、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先であると判定した場合には(S321:YES)、CPU11は、S322の処理に移行する。
S322において、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルートは目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、S323の処理に移行する。
【0108】
ここで、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例について図14に基づいて説明する。図14は基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心に基本ルート沿いに基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合である。
【0109】
例えば、図14(A)に示すように、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルート119は、車両位置マーク51が位置する自車位置から目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲120を基本ルート119沿いに内側方向、即ち、左右幅方向内側へ縮小して変更配信範囲121を設定して、RAM12に記憶する。
また、図14(B)に示すように、CPU11は、経路探索条件が、距離又は一般道路優先等の場合には、基本ルート123は、自車位置を表す車両位置マーク51から目的地方向の基準となる基準位置104へ向かってほぼ直進するため、基本配信範囲124を基本ルート123沿いに内側方向、即ち、左右幅方向内側へ縮小して変更配信範囲125を設定して、RAM12に記憶する。
【0110】
続いて、図5に示すように、S323において、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲内の道路状況に基づいて、即ち、この道路状況に対応する現況交通情報16Aに基づいて、基本配信範囲内の基本ルート沿いに事故情報や交通規制情報等の交通障害に関する情報があるか否か、即ち、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在するか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が無いと判定した場合には(S323:NO)、CPU11は、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S119の処理に移行する。
【0111】
一方、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在すると判定した場合には(S323:YES)、CPU11は、S324の処理に移行する。
S324において、CPU11は、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合には、迂回して大回りなルートになる可能性が有るため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定し、RAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S119の処理に移行する。
【0112】
ここで、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例について図15に基づいて説明する。図15は基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方に交通障害がある場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置との間に交通障害がある場合である。
【0113】
例えば、図15(A)に示すように、CPU11は、基本配信範囲127内の車両位置マーク51が位置する自車位置から前方に、道路工事128による交通規制と、事故による通行止め129がある場合には、この基本配信範囲127を外側方向に拡大して(例えば、四方に30kmずつ拡大する。)、変更配信範囲130を設定し、RAM12に記憶する。
また、図15(B)に示すように、CPU11は、基本配信範囲132内の車両位置マーク51が位置する自車位置と目的地方向の基準となる基準位置104との間に、道路工事128による交通規制と、事故による通行止め129がある場合には、この基本配信範囲132を外側方向に拡大して(例えば、四方に30kmずつ拡大する。)、変更配信範囲133を設定し、RAM12に記憶する。
【0114】
続いて、図3に示すように、S119において、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグが「0」の場合には、上記S112で設定した基本配信範囲を交通情報の配信対象とし、上記S113で設定した道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する配信交通情報としてRAM12に記憶する。
また、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグが「1」の場合には、上記S115、S117、S118で設定した変更配信範囲を交通情報の配信対象とし、上記S113で設定した道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する配信交通情報としてRAM12に記憶する。
そして、S120において、CPU11は、この配信交通情報を、上記S111で受信したナビ識別IDに対応するナビゲーション装置2に対して配信後、当該処理を終了する。
【0115】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、目的地の座標データ、経路探索条件等の車両情報を受信した場合には、交通情報の配信対象となる道路区分を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定する(S213〜S219)。そして、CPU11は、この設定された道路区分に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、ナビゲーション装置へ配信する(S119〜S120)。
【0116】
これにより、CPU11は、ナビゲーション装置2から受信した車両情報に基づいて道路区分(「高規格道路」、「都道府県道以上」、「全ての道路」である。)を、自車位置から目的地までの距離又は所要時間に基づいて設定するため、ナビゲーション装置2が搭載される車両状況に対応して道路区分を適切に設定し、不要な道路区分の交通情報を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となる。
【0117】
また、CPU11は、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には、この高速道路又は有料道路と、この高速道路又は有料道路の出口周辺における細街路以上の全ての道路とを、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報の配信対象となる道路区分として設定すると共に、この高速道路上又は有料道路上と、この高速道路又は有料道路の出口周辺とを、変更配信範囲として設定する(S211:YES〜S212)。
これにより、CPU11は、車両が走行する高速道路上又は有料道路上及び該高速道路又は有料道路の出口周辺の渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信するため(S119〜S120)、不要な交通情報を大幅に削減して、通信コストの更なる削減化を図ることが可能になると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0118】
また、CPU11は、タイマ19の時刻データ等を読み込み、現在日時、現在時刻を取得し、現時点の曜日、時間帯等の要因を特定し、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が多発する時間帯であると判定した場合には、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定する(S315:YES〜S316)。また、CPU11は、現時点の時間帯が、基本配信範囲内に渋滞が殆ど発生しない時間帯であると判定した場合には、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S317:YES〜S318)。
これにより、CPU11は、時間帯等の時間的要因を考慮して、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の配信対象となる配信範囲を設定することが可能となり、渋滞が多発する時間帯等の各時間帯における配信範囲を、現況交通情報16A等の情報量が適切な情報量になるように設定して(例えば、現況交通情報16A等の情報量が一定の情報量になるように設定する。)、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0119】
また、CPU11は、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が所定割合(例えば、50%である。)を超えた場合には、基本配信範囲に対応する渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報の通信量が多くなるため、基本配信範囲を内側方向に縮小して変更配信範囲を設定する(S311:YES〜S312)。また、CPU11は、基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合が一定割合以下(例えば、10%以下である。)の場合には、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S313:YES〜S314)。
これにより、CPU11は、ナビゲーション装置2に対して配信する現況交通情報16A等の情報量が適切な情報量になるように変更配信範囲を設定して(例えば、現況交通情報16A等の情報量が一定の情報量になるように変更配信範囲を設定する。)、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0120】
また、CPU11は、基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲がある場合には、基本配信範囲内のリンクの存在しない配信範囲を含まないように、この基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する(S114:YES〜S115)。
これにより、CPU11は、車両の現在地や走行経路を考慮して、山間部、海岸、湖岸等のリンクが存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定することが可能となり、不要な配信範囲の現況交通情報16A等を削減して通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、より有効な配信範囲に対応する十分な現況交通情報16A等を配信することが可能となる。
【0121】
また、CPU11は、自車位置周辺に所定数以上の走行可能なリンクが存在する場合には、基本配信範囲を自車位置周辺を含むように変更して変更配信範囲を設定する(S116:YES〜S117)。
これにより、自車位置周辺の複数経路の走行可能なリンクが変更配信範囲内に含まれるため、CPU11は、経路探索に十分な現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。
【0122】
また、CPU11は、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在すると判定した場合には、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合には、迂回して大回りなルートになる可能性が有るため、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する(S323:YES〜S324)。
これにより、基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害が存在する場合には、この基本配信範囲よりも広い変更配信範囲に対応する現況交通情報16A等を配信することができるため、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となり、ナビゲーション装置2は、事故や交通規制等の交通障害を大きく迂回する経路を高精度に探索することが可能となる。
【0123】
更に、CPU11は、受信した経路探索条件が、推奨又は有料道路優先であると判定した場合には、基本ルートが広がる可能性が有るため、基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する(S319:YES〜S320)。また、CPU11は、受信した経路探索条件が、距離又は一般道路優先であると判定した場合には、基本ルートが目的地に向かってほぼ直進するため、基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する(S321:YES〜S322)。
【0124】
これにより、CPU11は、経路探索条件に基づいて変更配信範囲を設定するため、探索される基本ルートの広がりを考慮して、基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定することが可能となり、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2に対して配信することが可能となる。また、CPU11は、経路探索条件によって基本ルートの広がりが少ない場合には、基本配信範囲をルート沿いに内側方向に狭めて変更配信範囲を設定することが可能となり、変更配信範囲に対応する交通情報量を削減して、通信コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【0125】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0126】
(1)例えば、経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定するようにしてもよい。その一例を図16に基づいて説明する。図16は経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定する一例を示す図である。
図16に示すように、CPU11は、車両位置マーク51で表される自車位置周辺(例えば、自車位置を中心とする30km以内である。)と目的地135周辺(例えば、目的地135を中心とする30km以内である。)とに、交通情報16A等の配信対象となるレイヤ0の各配信範囲137、138を設定する。また、CPU11は、各配信範囲137、138の外側に、交通情報16A等の配信対象となる所定幅(例えば、約30kmの幅である。)のレイヤ1の各配信範囲139、140を設定する。更に、CPU11は、各配信範囲139、140の外側を囲んで、交通情報16A等の配信対象となるレイヤ2の配信範囲141を設定する。
【0127】
そして、CPU11は、各配信範囲137、138の配信対象となる道路区分を細街路以上の全ての道路として設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、各配信範囲139、140の配信対象となる道路区分を都道府県道以上に設定し、RAM12に記憶する。更に、CPU11は、配信範囲141の配信対象となる道路区分を高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道の高規格道路に設定し、RAM12に記憶する。
続いて、CPU11は、各配信範囲137〜141のそれぞれの道路区分に対応する現況交通情報16Aを抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信する。
【0128】
これにより、CPU11は、各レイヤ0〜2毎の道路区分に対応する現況交通情報16A等を配信するため、ナビゲーション装置2の経路探索に対応した現況交通情報16A等を配信することが可能となると共に、各レイヤ0〜2毎に道路区分を限定することによって、交通情報量を削減して、通信コストの低減化を図ることが可能となると共に、十分な現況交通情報16A等をナビゲーション装置2へ配信することが可能となる。
【0129】
(2)例えば、CPU11は、走行している車両がセンサ(プローブカー)となり、このプローブカーから収集した速度(時間、位置)等のプローブ情報に基づいて渋滞情報を含む現況交通情報16A等を作成している場合には、各プローブカー毎の走行履歴を記憶しておき、各プローブカーのユーザがどのような道路を好んで利用するのか、また、渋滞を迂回したがるか等の情報をこの走行履歴から抽出して、上記ステップ111において、各プローブカーのユーザに合わせた基本ルートを探索し、現況交通情報16A等の配信対象となる基本配信範囲や道路区分を設定するようにしてもよい。
これにより、CPU11は、各プローブカーのユーザ等の特定ユーザに特化した現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。また、各プローブカーのユーザの好みに合う経路を探索することが可能なように、統計交通情報16Bのユーザ好みの箇所のリンクコストを下げ、この統計交通情報16Bに基づいて経路探索を行って基本ルートを設定し、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等を抽出して、各プローブカーへ配信することも可能となる。
【0130】
(3)例えば、上記ステップ12おいて、ナビゲーション装置2のCPU41は、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等の交通情報を要求する要求コマンドと共に、走行履歴DB38に格納される自車両の走行履歴のデータを情報配信センタ3へ送信する。そして、情報配信センタ3のCPU11は、この交通情報を要求する要求コマンドと共に受信した走行履歴のデータに基づいて、ナビゲーション装置2のユーザがどのような道路を好んで利用するのか、また、渋滞を迂回したがるか等の情報をこの走行履歴のデータから抽出して、上記ステップ111において、ナビゲーション装置2のユーザに特化した現況交通情報16A等を抽出して配信することが可能となる。また、ナビゲーション装置2のユーザの好みに合う経路を探索することが可能なように、統計交通情報16Bのユーザ好みの箇所のリンクコストを下げて、この統計交通情報16Bに基づいて経路探索を行って基本ルートを設定し、渋滞情報や交通規制情報等を含む現況交通情報16A等をナビゲーション装置2に対して配信することも可能となる。
【0131】
(4)例えば、上記ステップ(以下、Sと略記する)11において、ナビゲーション装置2のCPU41は、タッチパネル、操作スイッチ等の操作部24に設けられた交通情報を要求する要求ボタン等を押下されたか否かを判定する判定処理を実行するようにしてもよい。そして、交通情報を要求する要求ボタン等を押下されていない場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。一方、交通情報を要求する要求ボタン等を押下された場合には(S11:YES)、CPU41は、上記S12において、情報配信センタ3に対して、交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等を送信する。その後、CPU41は、上記S13の処理を実行するようにしてもよい。
【0132】
また、この場合には、情報配信センタ3のCPU11は、上記S111において、ナビゲーション装置2から送信された交通情報を要求する要求コマンドと共に、ナビ識別ID、自車位置の座標データ、ナビ地図情報37Aのバージョン情報等の各情報を受信して、この各情報をRAM12に記憶する。そして、CPU11は、上記S112の処理を実行する。
続いて、上記S113において、CPU11は、上記S211の処理を実行後、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していると判定した場合には(S211:YES)、上記S212の処理に移行する。そして、上記S212において、CPU11は、この高速道路又は有料道路を交通情報の配信対象となる道路区分として設定し、RAM12に記憶する。また、CPU11は、上記S112で設定した基本配信範囲に替えて、交通情報の配信対象となる配信範囲を、この高速道路上又は有料道路上を変更配信範囲として設定し、RAM12に記憶する。更に、CPU11は、RAM12から変更配信範囲フラグを読み出し、この変更配信範囲フラグに「1」を代入し、再度、RAM12に記憶後、メインフローチャートに戻る。
【0133】
一方、ナビゲーション装置2が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置していないと判定した場合には(S211:NO)、CPU11は、上記S213の処理を実行後、S214乃至S219の処理を実行することなく、メインフローチャートに戻る。
そして、CPU11は、上記S114乃至S117の処理を実行する。続いて、上記S118において、CPU11は、上記S311乃至S318の処理を実行後、S319乃至S324の処理を実行することなく、メインフローチャートに戻る。そして、CPU11は、上記S119乃至S120の処理を実行後、当該処理を終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置のCPUが実行する交通情報取得処理と、情報配信センタのCPUが実行する交通情報をナビゲーション装置へ配信する交通情報配信処理とを示すメインフローチャートである。
【図4】図3の対象道路設定処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図5】図3の配信範囲変更処理のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置が搭載された車両が、いわゆる高速道路上又は有料道路上に位置している場合と、位置していない場合との交通情報の配信対象となる各配信範囲の一例を示す図で、(A)は高速道路上又は有料道路上に位置している場合を示し、(B)は高速道路上又は有料道路上に位置していない場合を示す図である。
【図7】交通情報の配信対象となる道路区分を自車位置から目的地までの距離又は所要時間によって設定する一例を示す図で、(A)は距離が長距離又は所要時間が長時間の場合、(B)は距離が中距離又は所要時間が中程度の中時間の場合、(C)は距離が短距離又は所要時間が短時間の場合である。
【図8】基本配信範囲を変更してリンクの存在しない配信範囲を含まないように変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は基本配信範囲の左右方向の幅を縮小する場合、(B)は基本配信範囲の配信方向を変更する場合、(C)は基本配信範囲を左右方向に分割する場合である。
【図9】自車位置周辺を基本配信範囲に付加して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
【図10】自車位置周辺を含むように基本配信範囲を移動して変更配信範囲を設定する一例を示す図である。
【図11】基本配信範囲を縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を縮小する場合である。
【図12】基本配信範囲を拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心として基本配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含むように基本配信範囲を拡大する場合である。
【図13】基本配信範囲を基本ルート沿いに外側方向へ拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方の配信範囲を拡大する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を拡大する場合である。
【図14】基本配信範囲を基本ルート沿いに内側方向へ縮小して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置を中心に基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置とを含む基本配信範囲を左右幅方向内側へ縮小する場合である。
【図15】基本配信範囲内に事故や交通規制等の交通障害がある場合に、この基本配信範囲を外側方向に拡大して変更配信範囲を設定する一例を示す図で、(A)は自車位置から前方に交通障害がある場合、(B)は自車位置と目的地方向の基準となる基準位置との間に交通障害がある場合である。
【図16】経路探索の範囲をレイヤ別に設定して、各レイヤ別に交通情報の配信対象となる道路区分を設定する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
16 センタ側交通情報DB
16A、36A 現況交通情報
16B、36B 統計交通情報
17 センタ側通信装置
18 配信範囲DB
21 現在地検出処理部
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
51 車両位置マーク
66、71、88、91、94、97、101、105、112、116、120、124、127、132 基本配信範囲
89、92、95、98、99、102、106、108、109、113、117、121、125、130、133 変更配信範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる道路区分を設定する道路区分設定手段と、
前記道路区分に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項2】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、
前記道路区分設定手段は、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、算出された距離又は所要時間に基づいて前記配信対象となる道路区分を設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報配信装置。
【請求項3】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報を含み、
前記道路区分設定手段は、前記自車位置情報に基づいて、前記車両が位置する道路区分を前記配信対象となる道路区分として設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報配信装置。
【請求項4】
前記車両情報は、目的地を表す目的地情報を含み、
前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段を備え、
前記交通情報抽出手段は、前記車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、前記経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出することを特徴とする請求項3に記載の交通情報配信装置。
【請求項5】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
現在時刻を検出する時刻検出手段と、
前記車両情報と前記現在時刻とに基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段と、
前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項6】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する基本配信範囲設定手段と、
前記基本配信範囲内の道路状況に基づいて、前記基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する配信範囲変更手段と、
前記変更配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項7】
前記基本配信範囲に対応する交通情報に基づいて、該基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する渋滞リンク算出手段を備え、
前記配信範囲変更手段は、前記全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項8】
前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する配信範囲判定手段を有し、
該配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項9】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、
前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段を備え、
前記基本配信範囲設定手段は、前記車両の現在位置から進行方向前方に前記基本配信範囲を設定し、
前記配信範囲変更手段は、該車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項10】
前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在するか否かを判定する交通障害判定手段を有し、
該配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在すると判定した場合には、該基本配信範囲を拡大するように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項11】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から経路の探索条件を受信する探索条件受信手段と、
前記探索条件に基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段と、
前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項1】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる道路区分を設定する道路区分設定手段と、
前記道路区分に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項2】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、
前記道路区分設定手段は、前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて自車位置から目的地までの距離又は所要時間を算出し、算出された距離又は所要時間に基づいて前記配信対象となる道路区分を設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報配信装置。
【請求項3】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報を含み、
前記道路区分設定手段は、前記自車位置情報に基づいて、前記車両が位置する道路区分を前記配信対象となる道路区分として設定することを特徴とする請求項1に記載の交通情報配信装置。
【請求項4】
前記車両情報は、目的地を表す目的地情報を含み、
前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段を備え、
前記交通情報抽出手段は、前記車両が高速道路上又は有料道路上に位置する場合には、前記経路上の高速道路又は有料道路の出口周辺の交通情報を更に抽出することを特徴とする請求項3に記載の交通情報配信装置。
【請求項5】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
現在時刻を検出する時刻検出手段と、
前記車両情報と前記現在時刻とに基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段と、
前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項6】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から車両情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報に基づいて前記交通情報の配信対象となる基本配信範囲を設定する基本配信範囲設定手段と、
前記基本配信範囲内の道路状況に基づいて、前記基本配信範囲を変更して変更配信範囲を設定する配信範囲変更手段と、
前記変更配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【請求項7】
前記基本配信範囲に対応する交通情報に基づいて、該基本配信範囲内の全リンクに対する渋滞リンクの割合を算出する渋滞リンク算出手段を備え、
前記配信範囲変更手段は、前記全リンクに対する渋滞リンクの割合に基づいて前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項8】
前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があるか否かを判定する配信範囲判定手段を有し、
該配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内にリンクの存在しない配信範囲があると判定した場合には、このリンクの存在しない配信範囲を含まないように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項9】
前記車両情報は、前記車両の現在位置を表す自車位置情報と目的地を表す目的地情報とを含み、
前記自車位置情報と前記目的地情報とに基づいて経路を探索する経路探索手段を備え、
前記基本配信範囲設定手段は、前記車両の現在位置から進行方向前方に前記基本配信範囲を設定し、
前記配信範囲変更手段は、該車両の現在位置周辺に走行可能なリンクが所定数以上存在する場合には、該車両の現在位置周辺を含むように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項10】
前記配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在するか否かを判定する交通障害判定手段を有し、
該配信範囲変更手段は、前記基本配信範囲内に交通障害が存在すると判定した場合には、該基本配信範囲を拡大するように前記変更配信範囲を設定することを特徴とする請求項6に記載の交通情報配信装置。
【請求項11】
交通情報を配信する交通情報配信装置において、
車両に搭載されたナビゲーション装置から経路の探索条件を受信する探索条件受信手段と、
前記探索条件に基づいて前記交通情報の配信対象となる配信範囲を設定する配信範囲設定手段と、
前記配信範囲に対応する交通情報を抽出する交通情報抽出手段と、
抽出した交通情報を前記ナビゲーション装置へ配信するように制御する交通情報配信制御手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報配信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−96339(P2008−96339A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279827(P2006−279827)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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