説明

人物動作検出装置、遊具装置、人物動作検出方法、ゲーム方法、制御プログラムおよび可読記録媒体

【課題】多数の空間領域を面状に演算処理する場合に、高いフレームレートでも演算量が膨大にならず、撮像範囲における人物動作の方向と距離の変化量を高精度に検出する。
【解決手段】TOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する高速人物動作検知制御手段4は、TOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成部431と、少なくとも2つの距離フレームに基づいて、人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレーム(背景画像フレーム)を生成する距離平衡フレーム生成部432と、複数の距離フレームについてそれぞれ距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、フレーム差分から人物の動作情報として人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算部46とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離フレームから人物の動作を検出して目的とする人物情報を抽出する人物動作検出装置および人物動作検出方法、この人物動作検出装置を用いて人物の動作を検出して、ゲーム内容の各種制御を行うテレビゲーム機などの遊具装置、これを用いたゲーム方法、これらの人物動作検出方法およびゲーム方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビゲーム機などの遊具装置では、テニスや野球などのスポーツを題材に、人間の動きを利用した体験型ゲームが多く開発されている。これらの体験型ゲームでは、コントローラを例えばテニスのラケットや野球のバットなどに見立て、テレビジョン画面上のアニメーションの動きに合わせて、ラケットやバットなどのコントローラを振ったり突き出したりして移動させる。このコントローラの動きの速さや方向の時間変化をコントローラに搭載した加速度センサや角速度センサにより検出して、テレビジョン画面上で、ゲーム内の登場人物が動作するテニスのラケットや野球のバットなどの動き、さらには各種イベントの発生などに反映させている。
【0003】
従来の遊具装置がコントローラを使用していることを図29を用いて説明する。
【0004】
図29は、従来の遊具装置の外観図である。
【0005】
図29において、従来の遊具装置111は、表示手段の一例の家庭用テレビジョン受像機113(以下、モニタという)と、このモニタ113に接続コードを介して接続する据置型のゲーム装置本体112と、このゲーム装置本体112と無線により接続するゲームコントローラ114とから構成されている。このゲームコントローラ114は加速度センサ115を内蔵しており、加速度センサ115は上述のようにコントローラの動きの速さや方向の時間変化を検出して、その検出値を無線によりゲーム装置本体112に送信している。
【0006】
しかし、上記センサによって検出できるのは、人間が移動させるコントローラの動きだけであり、人間の身体全体の3次元空間内の位置や動きは検出することができない。このため、ゲーム操作が単純化され過ぎてしまい、ユーザが充分な操作感を得られなかったり、すぐにゲーム操作に習熟して飽きてしまったりするという課題がある。
【0007】
例えばテニスゲームでは、ラケットとしてコントローラを持つ手首を動かすだけで強い打球が得られるため、全身を用いる実際のテニスの場合と操作感が乖離してしまっている。また、例えば野球ゲームで、バットとしてのコントローラの3次元空間での高低などの位置は検出されないため、バットスウィングの高低が区別できず、バットとボールが衝突するタイミングだけがモニタされている。
【0008】
そこで、人間の3次元空間での位置や動作を検出してゲーム内容に反映することができれば、現実のスポーツに操作感が近くて臨場感の高いゲームを提供することができたり、ゲームを通じて現実のスポーツでの技術の向上が期待できたりする。
【0009】
しかし、人間の3次元空間での位置や動作を検出するために、従来のRGBカメラを用いて、対象物体である人物と背景とのRGB画像上の相違点を解析して対象物体を抽出するという手法(例えば、単一色の背景から色差を利用して対象となる人間を切り出す)をとる場合、特殊な撮像環境が必要であったり複雑な画像認識処理が必要であったりするため、広く普及するテレビゲーム機などの遊具装置に適用することは困難であった。
【0010】
そこで、上記目的で、距離画像センサを適用することが期待されている。この距離画像センサを用いると、設定した距離範囲内の対象物体のみを検出することが可能であるため、特殊な背景や画像認識処理を用いることなく、人物の位置や動作の検出が可能である。
【0011】
特に、スポーツなどの体験型ゲームでは対象となる人物の動作が速いため、ユーザの操作感や動作の検出精度を向上させるためには、距離画像センサのフレームレートを高くする必要がある。
【0012】
ところが、フレームレートを高くすると、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである固体撮像素子の信号蓄積時間が減少するためS/N比が低下する。しかしながら、信号成分とノイズ成分を区別するために、高度なフィルタリング処理などの複雑な信号処理を行うと、演算量が増加してしまいゲーム進行に合わせたリアルタイム処理が困難になってしまうか、または、リアルタイム処理を行うには高性能のハードウェアが必要になり、部品コストが増加してしまう。
【0013】
このため、特に、高いフレームレートでテレビゲーム機などの遊具装置で人物動作の検出を行う際には、計算的に安価な計算手段に基づいてリアルタイムに処理を行うことが求められている。
【0014】
距離フレームを利用したこの種の従来の情報抽出装置が特許文献1に開示されている。上記従来の情報抽出装置では、反射光の強度分布により対象物体までの距離を取得している。即ち、反射光の強度は対象物体までの距離の2乗に反比例して減少する性質があるため、反射光の強度分布によって、撮像範囲の対象物体の各構成部分の遠近関係を求めている。
【0015】
図17は、距離フレームを利用した特許文献1に開示されている従来の情報抽出装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図17では、1つの撮像領域内の複数の箇所から対象物の形状、動きおよび位置などの情報を抽出(認識)して、その抽出した情報を、例えばモグラ叩きゲームなどの他のシステムへ入力している。
【0016】
図17に示すように、従来の情報抽出装置100は、反射光を受光し、距離画像を取得する距離画像取得部101と、取得した距離画像を別途指定された領域に分割する領域分割処理部102と、この領域分割処理部102で分割された各領域毎に距離画像を解析し、対象物の輪郭、重心の抽出や対象物までの距離の算出、対象物の移動速度、移動ベクトルの算出などの認識対象に関する目的とする情報を抽出する画像処理部103と、例えば大型の液晶パネルやスピーカなどから構成される呈示部104と、各部の制御を司る情報管理部105とを有している。
【0017】
画像処理部103で抽出された情報は、例えば情報管理部105を介して他のシステムに入力される。即ち、他のシステムとして、例えばモグラ叩きゲームなどは、情報管理部5を介して他のシステムに接続されている。この他のシステムは、例えばコンピュータに実行させることのできる制御プログラムを搭載したゲームシステムであってもよい。
【0018】
図17に示すような情報抽出装置100が、例えば呈示部104の表示画面上の任意の表示領域からモグラを出現させ、ユーザがそのモグラの出現した表示領域めがけてひっぱたく動作(ユーザは表示画面に触れるほど叩く必要はない)を行って、命中したモグラの数を競うモグラ叩きゲームに接続されている場合、1つの距離画像取得部101は、ユーザが呈示部104の表示画面上のどのモグラめがけてひっぱたこうとしているかを認識できるように(表示画面全体に対する対象物としての手の位置が認識できるように)設置されている。
【0019】
領域分割処理部102では、呈示部104の表示画面上のモグラの出現領域に対応して、距離画像取得部101で取得した距離画像の領域分割を行う。
【0020】
ここで、距離画像取得部101および、距離画像取得部101にて取得される距離画像について簡単に説明する。
【0021】
距離画像取得部101の外観が図18に示されている。図18に示すように、中央部には円形レンズとその後部にあるエリアセンサ(図示せず)から構成される受光部101aが配置され、円形レンズの周囲にはその輪郭に沿って、赤外線などの光を照射するLEDから構成される発光部101bが複数個(ここでは例えば8個)、等間隔に配置されている。
【0022】
この発光部101bから照射された光が物体に反射され、受光部101aのレンズにより集光されて、レンズの後部にあるエリアセンサで受光される。このエリアセンサは、例えば256×256のマトリックス状に配列された複数のセンサ群で、マトリックス中の各センサにて受光された反射光の強度がそれぞれ画素値となる。このようにして取得された画像が、図19に示すような各分割領域毎の反射光の強度分布としての距離画像データである。
【0023】
図20は、図17の距離画像取得部101の要部構成例を示したブロック図であり、主に、受光部101a、発光部101b、反射光抽出部101cおよびタイミング信号生成部101dから構成されている。
【0024】
発光部101bは、タイミング信号生成部101dにて生成されたタイミング信号に従って時間的に強度変動する光を発光する。この光は発光部101bの前方にある対象物体に照射される。
【0025】
受光部101aは、発光部101bが発した光の対象物体による反射光の量を検出する。
【0026】
反射光抽出部101cは、受光部101aにて受光された反射光の空間的な強度分布を抽出する。この反射光の空間的な強度分布は画像として捉えることができるので、以下、これを距離画像と呼ぶ。
【0027】
受光部101aは、一般的に発光部101bから発せられる光の対象物による反射光だけでなく、照明光や太陽光などの外光も同時に受光する。そこで、反射光抽出部102は発光部101bが発光しているときに受光した光の量と、発光部101bが発光していないときに受光した光の量の差をとることによって、発光部101bからの光の対象物体による反射光成分だけを取り出すことができる。
【0028】
反射光抽出部101cでは、受光部101aにて受光された反射光から、その強度分布、即ち、図19に示すような距離画像データを抽出する。
【0029】
図19では、簡単のため、256×256画素の距離画像の一部である8×8画素の距離画像の場合について示している。
【0030】
物体からの反射光は、物体の距離が大きくなるにつれ大幅に減少する。物体の表面が一様に光を散乱する場合、距離画像1画素当たりの受光量は物体までの距離の2乗に反比例して小さくなる。
【0031】
図19において、行列中のセルの値(画素値)は、取得した反射光の強さを256階調(8ビット)で示したものである。例えば、「255」の値があるセルは、距離画像取得部101に最も接近した状態、「0」の値があるセルは、距離画像取得部101から遠くにあり、反射光が距離画像取得部101にまで到達しないことを示している。
【0032】
距離画像の各画素値は、その画素に対応する単位受光部で受光した反射光の量を表す。反射光は、物体の性質(光を鏡面反射する、散乱する、吸収する、など)、物体の向き、物体の距離などに影響されるが、物体全体が一様に光を散乱する物体である場合、その反射光量は物体までの距離と密接な関係を持つ。手などは、このような性質を持つため、距離画像取得部101の前方に手を差し出した場合の距離画像は、手までの距離、手の傾き(部分的に距離が異なる)などを反映する図21に示したような3次元的なイメージを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2004−333505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
しかし、上記特許文献1に開示されている従来の情報抽出装置100で求まるのは、対象物体の各構成部分の距離の相対値だけであり、距離の絶対値を得ることはできない。距離の絶対値を得る必要がある場合は、距離と反射光強度の間に基準となる対応関係を求める較正手順が必要になったり、相対値から絶対値に変換する手順が必要になったりする。
【0035】
また、特許文献1に開示されている従来の情報抽出装置100では、反射光の強度の強弱により距離を求めるため、対象物体の表面全体が一様な光学的性質を有する物体にしか適用できない。一般に、対象物体は表面の材質、色彩、加工処理などにより、光学的な性質(例えば、反射、散乱、吸収および屈折)が異なる。人間を対象物体とするとき、人間は光学的性質の異なる複数の構成部分(例えば、頭髪、肌、上半身の衣服および下半身の衣服)からなるため、上記従来の情報抽出装置では、人間のように光学的性質が異なる複数の構成部分からなる対象の距離情報を取得する場合、各構成部分の光学的性質を考慮に入れて距離の補正処理を行う必要性が生じる。スポーツゲームなどの遊具装置に適用するとき、距離画像センサを高いフレームレートで駆動して多数の距離フレームの演算処理を行う必要性が生じている中で、一層、演算量が増加してしまい、リアルタイム処理が困難になってしまう。
【0036】
さらに、上記従来の情報抽出装置では、対象物体の装置に対する向きも距離に影響する。その向きによらず、光を一様に反射・散乱する物体(例えば球体)でない場合、対象物体の装置に対する向き(例えば、正対している、斜めを向いている、真横を向いている)により、それぞれ反射光の強度が異なるため、距離情報も異なって取得されてしまう。つまり、対象物体の並進運動は検出できても、回転運動は正確に検出することができない。
【0037】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、多数の空間領域を面状に演算処理する場合に、高いフレームレートでも演算量が膨大にならず、撮像範囲における人物動作の方向と距離の変化量の検出精度を高精度に検出できる人物動作検出装置および人物動作検出方法、これらを用いたテレビゲーム機などの遊具装置、これを用いたゲーム方法、これらの人物動作検出方法およびゲーム方法の少なくともいずれかをコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の人物動作検出装置は、投射光を出射する発光手段と、該投射光の投射空間からの反射光を受光して、該投射空間の人物までの距離に応じた距離情報を複数の受光部からそれぞれ出力するTOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像センサとを有する人物動作検出装置であって、該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する人物動作検知制御手段を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
また、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における人物動作検知制御手段は、該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成手段と、該複数の距離フレームについてそれぞれのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算手段とを有する。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における人物動作検知制御手段は、該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成手段と、少なくとも2つの該距離フレームに基づいて、前記人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成手段と、該複数の距離フレームについてそれぞれ該距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算手段とを有する。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置において、前記人物との距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分から、該人物との距離の変化の有無を検出する距離変位検出手段を更に有する。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置において、前記人物との距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分が所定の閾値未満である状態が所定の時間以上または所定のフレーム数以上継続した場合に、該人物の距離情報が平衡状態にあると判定する距離平衡状態判定手段を更に有する。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における距離平衡フレーム生成手段は、前記距離平衡状態判定手段が距離平衡状態にあると判断した場合に、少なくとも2つの距離フレームの時間平均を算出して距離平衡フレームを生成する。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における距離平衡フレーム生成手段は、前記人物が撮像範囲内にいる場合において、遊具装置の指示により該人物を該撮像範囲の右側または左側に移動させて、該撮像範囲の左側または右側半分の該撮像範囲に人物がいない一方側半分の距離平衡フレームを生成し、該人物を該撮像範囲の左側または右側に移動させて、該撮像範囲の右側あるいは左側半分の撮像範囲に該人物がいない他方側半分の距離平衡フレームを生成して、それらの撮像範囲に該人物がいない距離平衡フレームを合成することにより距離平衡フレームを生成する。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置において、前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分を演算し、距離情報が平衡状態にある背景からの距離の変化の有無により人物を検出するフレーム差分演算手段を有する。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置において、前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分により検出した人物の距離情報から前記人物の中心座標を求める中心座標検出手段を有する。
【0047】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における中心座標検出手段は、前記距離フレーム間の中心座標の移動量を求める。
【0048】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における中心座標検出手段は、前記距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、該距離フレームと前記距離平衡フレーム間のフレーム差分により求めた中心座標から、該距離変位と該中心座標の相対位置を演算する。
【0049】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸の重心座標を前記中心座標として算出する。
【0050】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸方向の最大値および最小値から中点を前記中心座標として算出する。
【0051】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、人物の輪郭上の各点からの距離の和が最小となる点を前記中心座標として算出する。
【0052】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における距離平衡フレーム生成手段は、前記距離平衡フレームの生成処理を、装置起動時、初期化時または所定時間毎に行う。
【0053】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における発光手段は、前記投射光として近赤外のパルス光を一定周期で前記投射空間に投射する。
【0054】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における受光部は、光電変換部が中央に設けられ、該光電変換部の中心に対する点対称位置に、互いに相反するゲート信号が入力される二つの電荷転送ゲートをそれぞれ介して2つの画素出力電極V1,V2が設けられ、該二つの画素出力電極V1,V2から、前記人物までの距離に相当した光の飛行時間に依存して分配された信号電荷をそれぞれ出力する。
【0055】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における二つの画素出力電極V1,V2からの前記信号電荷はそれぞれ前記人物までの距離に応じた出力電圧情報に変換されて、前記TOF式距離画像センサから前記距離情報としてそれぞれ出力される。
【0056】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における人物までの距離Lが、既知の光速をcとして該人物までの光の飛行時間Tを検出して、L=(1/2)・c・Tから求められている。
【0057】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出装置における距離情報は、前記受光部に対応した画素毎の立体的な複数点の距離情報である。
【0058】
本発明の遊具装置は、本発明の上記人物動作検出装置と、該人物動作検出装置からの人物の距離の変化量とその変化方向の動作情報を用いて、ゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御するアプリケーションプロセッサとを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0059】
また、好ましくは、本発明の遊具装置において、前記アプリケーションプロセッサは、前記人物の動作の詳細情報を取得するために、上記連続して取得されるフレーム差分情報を比較して、前記人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび動作の加速度ベクトルの各種情報を抽出する人物動作検知手段を有する。
【0060】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置において、前記動作領域の位置情報は前記距離フレームの水平方向および垂直方向のXY座標位置および遊具装置からの距離Lから立体的に求められ、前記人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルは、該動作領域の平均移動距離、該動作領域の重心位置の移動距離および該人物の特定部位位置の移動距離のいずれかから求められる。
【0061】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置において、前記人物が行う動作の時刻や空間領域に関して期待値を有しており、該期待値と合致する時刻や空間の距離情報を含む距離フレームに限定して前記人物動作検知手段による処理を行う。
【0062】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置における人物の中心座標の移動量が、前記期待値から設定した閾値以上であった場合に該人物の「全身移動があった」と判定し、また、該人物の中心座標の移動量が該閾値未満であった場合に該人物の「全身移動がなかった」と判定する中心座標移動判定手段を有する。
【0063】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置において、前記中心座標と前記距離フレームの差分の距離変位の相対的な位置関係から、動作した人物の身体部位を判定する身体部位判定手段を有する。
【0064】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置における身体部位判定手段は、前記距離フレーム間のフレーム差分により検出した距離変位が、前記中心座標より右上であれば右腕の動作、前記中心座標より左上であれば左腕の動作、前記中心座標より右下であれば右足の動作、前記中心座標より左下であれば左足の動作であると判定する。
【0065】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置における身体部位判定手段は、その判定結果として身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかと前記期待値とを比較して、該少なくともいずれかが該期待値と一致する場合は該身体部位に「期待動作があった」と判定し、また、該少なくともいずれかが該期待値と不一致の場合は該身体部位に「期待動作がなかった」と判定する。
【0066】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置における期待値として、前記人物が何らかの行動を起こすことを期待されるタイミングを期待時刻とし、該人物が移動動作を行うことを期待される空間領域を期待存在空間とし、該人物が行うであろうと期待される動作の速さや方向が期待動作変化とする。
【0067】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置におけるアプリケーションプロセッサは、前記人物の動作の時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかに関する期待値を有しており、該期待値と合致する人物動作を検知した場合に、無線または有線を介して、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させる体感刺激発生装置を有する。
【0068】
さらに、好ましくは、本発明の遊具装置において、従来の遊具装置に搭載されているゲームコントローラを使用することなく前記人物動作検出装置を用いて人物動作が検知され、当該人物動作の検知結果と前記期待値との比較処理が行わて、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させる体感刺激発生装置を駆動させる。
【0069】
本発明の人物動作検出方法は、発光手段から出射される投射光の投射空間からの反射光を受光して、該投射空間の人物までの距離に応じた距離情報をTOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像センサの複数の受光部からそれぞれ出力する人物動作検出方法であって、 該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する人物動作検知制御ステップを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0070】
また、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における人物動作検知制御ステップは、前記TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、該複数の距離フレームについてそれぞれのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有する。
【0071】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における人物動作検知制御ステップは、 前記TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、少なくとも2つの該距離フレームに基づいて、前記人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成ステップと、該複数の距離フレームについてそれぞれ該距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有する。
【0072】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法において、前記人物の距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分から、該人物の距離の変化の有無を検出する距離変位検出ステップを更に有する。
【0073】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法において、前記人物の距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分が所定の閾値未満である状態が所定の時間以上または所定のフレーム数以上継続した場合に、該人物の距離情報が平衡状態にあると判定する距離平衡状態判定ステップを更に有する。
【0074】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法において、前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分を演算し、距離情報が平衡状態にある背景からの距離の変化の有無により前記人物を検出するフレーム差分演算ステップを有する。
【0075】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分により検出した人物の距離情報から中心座標を求める中心座標検出ステップを有する。
【0076】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における中心座標検出ステップは、前記距離フレーム間の中心座標の移動量を求める。
【0077】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における中心座標検出ステップは、前記距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、該距離フレームと前記距離平衡フレーム間のフレーム差分により求めた中心座標から、該距離変位と該中心座標の相対位置を演算する。
【0078】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸の重心座標を前記中心座標として算出する。
【0079】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸方向の最大値および最小値から中点を前記中心座標として算出することを特徴とする。
【0080】
さらに、好ましくは、本発明の人物動作検出方法における中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、人物の輪郭上の各点からの距離の和が最小となる点を前記中心座標として算出する。
【0081】
本発明のゲーム方法は、本発明の上記人物動作検出装置からの人物の距離の変化量とその変化方向の動作情報を用いて、アプリケーションプロセッサがゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御するゲーム実行ステップを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0082】
また、好ましくは、本発明のゲーム方法において、人物の動作詳細情報を取得するために、連続して取得されるフレーム差分情報を比較して、該人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルの各種情報を抽出する人物動作検知ステップを更に有し、前記人物の距離の変化量とその変化方向の情報と共に、該人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルの各種情報を用いて、前記ゲーム実行ステップとして、前記アプリケーションプロセッサがゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御する。
【0083】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記人物動作検出方法のステップをコンピュータに実行させるための処理手順が記述されたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0084】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記ゲーム方法のステップをコンピュータに実行させるための処理手順が記述されたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0085】
本発明の可読記録媒体は、本発明の上記制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0086】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0087】
本発明においては、TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて、時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成手段と、少なくとも2つの距離フレームに基づいて距離の変化がないフレームである距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成手段と、各距離フレームについて距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、対象物体の人物との距離の変化量とその方向を算出する手段とを有して、人物として形状特定化された距離変位領域までの方向および距離を人物の動作情報として検出する。
【0088】
これによって、多数の空間領域を面状に演算処理する場合であっても、従来の反射光の強度分布を用いた距離画像センサや三角測量式距離画像センサのように計算量が膨大にならず、フレームレートが高い場合であっても人物の動作検出をリアルタイムに行うことが可能となる。
【0089】
したがって、この高速な人物動作の検出により、人物動作に応じてゲーム内容の制御をリアルタイムに行うことが可能となって、遊具装置において操作性の向上や動きの検出精度の向上が大いに図られる。
【発明の効果】
【0090】
以上により、本発明によれば、TOF式距離画像センサからの距離情報(距離に応じた出力電圧情報)に基づいて、投射光の投射空間の物体までの距離変位を検出する距離変位検出手段と、距離変位の有無を判定する距離平衡状態判定手段とを有し、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分による距離変位を人物動作として検出するため、多数の空間領域を面状に演算処理する場合であっても、従来の距離画像センサのように演算量が膨大にならず、人物の動作の検出を計算的に安価に行うことができる。よって、要求されるフレームレートが高い用途であっても、人物の動作をリアルタイムに抽出し、ゲーム内容や進行状況に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態1に係る人物動作検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の人物動作検出装置で用いるTOF式距離計測原理を模式的に示す説明図である。
【図3】図1の画素アレイ部における1画素単位の受光部の平面構造図である。
【図4】図2のTOF式距離計測原理を説明するための各要部での信号波形のタイミング図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態2を実施するための最良の形態における期待時刻と期待存在空間を模式的に示す図である。
【図7】本実施形態2を実施するための最良の形態における期待時刻と期待存在空間と期待動作変化を模式的に示す図である。
【図8】図5の人物動作検出装置の簡易な動作例を示すフローチャートである。
【図9】図5の人物動作検出装置の高精度な動作例を示すフローチャートである。
【図10】図5の距離平衡フレーム生成部で取得した距離情報の具体例を示した画像図である。
【図11】ある時刻において、図5の距離フレーム生成部で取得した距離情報の具体例を示した画像図である。
【図12】図10とは異なる時刻において、図5の距離フレーム生成部で取得した距離情報の具体例を示した画像図である。
【図13】図10の距離フレームと図11の距離平衡フレームとのフレーム差分画像(RFsubBRF)の具体例を示した画像図である。
【図14】図10の距離フレームと図11の距離平衡フレームのフレーム差分画像(RFsubBRF)の具体例を示した画像図である。
【図15】図12のBRF距離差分フレーム(RFsubBRF)と図11のBRF距離差分フレーム(RFsubBRF)のフレーム差分画像の具体例を示した画像図である。
【図16】図5のアプリケーションプロセッサの要部ハード構成例を示すブロック図である。
【図17】距離フレームを利用した特許文献1に開示されている従来の情報抽出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図18】図17の従来の情報抽出装置における距離画像取得部の外観を模式的に示す図である。
【図19】図17の従来の情報抽出装置における分割領域毎の反射光の強度分布を示す距離画像のデータ図である。
【図20】図17の従来の情報抽出装置における距離画像取得部の要部構成例を示したブロック図である。
【図21】図17の従来の情報抽出装置における距離画像取得部の前方に手を差し出した場合の距離画像を示す図である。
【図22】本発明の実施形態3に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図23】図22の人物動作検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態4に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図25】図24の人物動作検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施形態5に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施形態5に係る遊具装置の変形例を示すブロック図である。
【図28】本発明の実施形態5に係る遊具装置の別の変形例を示すブロック図である。
【図29】従来の遊具装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
以下に、本発明の人物動作検出装置の実施形態1について説明した後に、本発明の人物動作検出装置の実施形態1を、対象物体としての人物の動作内容に応じてゲームの内容や進行を制御する遊具装置に用いた場合を実施形態2とし、人物動作の検出における人物の身体全体の移動の判定方法を実施形態3とし、人物動作の検出において、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定する方法を実施形態4とし、さらに、体感刺激発生装置を有する遊具装置について実施形態5として、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0093】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る人物動作検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0094】
図1において、本実施形態1の人物動作検出装置1は、図2に示すように、距離計測の対象物体Aに対して投射光を出射するための光源としての発光手段2と、その投射光の距離計測の対象物体Aからの反射光を受光する受光手段3と、受光手段3からの受光情報に基づいて対象物体Aとしての人物の動作を検出する人物動作検知制御手段4とを有しており、受光手段3からの受光情報に基づいて対象物体Aまでの光の飛行時間(遅れ時間)Tを検出して既知の光速cからの演算で対象物体Aまでの距離Lを求めるTOF(タイム・オブ・フライト)技術を用いて、画素毎の複数点の距離情報を用いて立体的に高精度に人物の位置や動作を検出する。
【0095】
発光手段2は、人物動作検知制御手段4により投射光の発光タイミングが制御されるパワーLEDドライバ21と、パワーLEDドライバ21により駆動されて複数のパワーLED22aから投射光を発光するパワーLEDモジュール22と、少なくとも1つ以上のパワーLED22aが設けられたパワーLEDモジュール22の前方位置に配置されて対象物体Aに対する投射光の放射角を調整可能とする放射角調整レンズ23とを有している。
【0096】
この場合の投射光は、投射光として近赤外のパルス光を一定周期で投射空間に投射するようにしてもよい。
【0097】
受光手段3は、対象物体Aからの反射光を受光して対象物体Aまでの距離Lに応じた撮像信号を複数の画素でそれぞれ検出するTOF式距離画像センサ31と、TOF式距離画像センサ31の前方位置に配置されて、対象物体Aからの反射光が入射される視野角を調整可能とする視野角調整レンズ32とを有している。
【0098】
TOF式距離画像センサ31は、複数の受光部である画素アレイ部311と、各画素(受光部)からの信号読出用のタイミング信号を生成するタイミング生成部312と、各画素(受光部)を垂直方向に走査する垂直スキャナ部313および、各画素(受光部)を水平方向に走査する水平スキャナ部314と、このタイミング信号を用いて垂直スキャナ部313および水平スキャナ部314を制御して各画素(受光部)からの信号読み出しを駆動する画素ドライバ部315と、画素ドライバ部315により画素アレイ部311から読み出された画像信号に対してノイズキャンセル処理を行うノイズキャンセラ部316と、ノイズキャンセラ部315からの出力信号をA/D変換して信号出力するA/Dコンバータ317とを有している。
【0099】
画素アレイ部311は、対象物体Aからの反射光を受光してそれぞれ光電変換して信号電荷をそれぞれ生成する複数の受光部(例えば約8万画素)が行列方向のマトリクス状で面状に配列されているが、ここでは、本発明の特徴構成を持った1画素単位の受光部を図3の平面構造図に示している。
【0100】
図3に示すように、その1画素単位の受光部は、対象物体Aからの反射光を受光する受光部が中央部に光電変換領域(電荷変換領域PG)として設けられており、この電荷変換領域PGの左右位置に電荷転送ゲートTX1,TX2をそれぞれ介して出力電極V1,V2がそれぞれ設けられ、各出力電極V1,V2から読み出される各信号電荷を、タイミング的に電荷転送ゲートTX1,TX2への相反のゲート信号によって振り分けられている。要するに、対象物体Aまでの距離Lに相当した光の飛行時間(反射光の遅れ時間Td)に依存して分配された信号電荷をそれぞれ二つの画素出力電極V1,V2から出力し、その信号電荷はそれぞれ距離Lに応じた出力電圧情報に変換されて、TOF式距離画像センサ31から距離情報としてそれぞれ出力される。即ち、図4に示すように、投射光のパルス幅T0が、反射光の遅れ時間Tdのタイミングによって、二つの画素出力電極V1,V2から距離Lに応じた出力電圧ΔV1、ΔV2として振り分けられて出力される。なお、CDは電荷変換領域PGの上下位置に設けられた背景光信号排出ゲートである。
【0101】
ここで、図2に示すTOF(タイム・オブ・フライト)技術を用いて対象物体Aまでの距離Lを複数点で立体的に求める原理について簡単に説明する。
【0102】
まず、電流をIとすると、電荷Qは時間ΔTの時間積分として求められ、Q=I・ΔTで与えられる。また、電極に電圧ΔVを印加して蓄積できる電荷Qは、誘電体の容量をCとすると、Q=C・ΔVで与えられる。これらの2つの式により、出力端子電圧Vは、ΔV=(1/C)・I・ΔTで与えられる。上記出力端子電圧Vを用いて、図4に示されるパルス投射光および信号電荷転送ゲートのタイミング図に基づいて、出力端子電圧ΔV1,ΔV2を以下に導出する。図4に示されるように、パルス投射光の点灯時間幅をT0、反射光の光電変換にて流れる光電流をIph、光速をc、出力端子容量をC1,C2とすると、出力端子電圧V1,V2はそれぞれ、次の式1(数1)により求めることができる。
【0103】
【数1】

また、図3に示されるように、2つの出力端子の構造は同一のため、端子容量C1とC2は等しくなる。即ち、C1=C2である。この条件を、上記式1(数1)に代入して距離Lを求めると、次の式2(数2)を求めることができる。
【0104】
【数2】

上記TOF技術に基づくTOF式距離画像センサ31を用いた人物動作検出装置1は、従来の対象物体からの反射光の強度分布を用いて距離情報を取得する距離画像センサを用いた人物動作検出装置の場合と比較して、以下の点で大幅に優れている。
【0105】
第1に、空間上の複数点での距離Lを各画素の距離の相対的な遠近ではなく、距離の絶対値で計ることができる。距離Lが絶対値で求まるため、A/D変換後の信号処理(例えば、距離変位の有無を判定する閾値の設定)が容易である。よって、追加の演算処理が不要であり、テレビゲームなどの高いフレームレートが要求される用途でのリアルタイム処理に適している。
【0106】
一方、反射光の強度分布から距離を取得する従来の距離画像センサでは、距離Lが相対値でしか求まらないため、距離Lを相対値から絶対値に変換する演算が必要になり、演算量が増加してしまう。よって、テレビゲームなどの遊具装置での高いフレームレートでのリアルタイム処理に適さないことになる。
【0107】
第2に、対象物体Aの表面の光学的性質の影響を受けにくいため、距離情報を取得できる対象物体Aの適用範囲が広い。上記式2によれば、距離Lは出力端子電圧ΔV1,ΔV2の比で求まるため、対象物体Aの表面の光学的性質の影響を受けにくい。即ち、対象物体Aの表面の光学的性質が対象物体Aの構成部分により異なる場合(例えば対象物体Aの表面の一部分は反射率が高く、その他の部分は反射率が低い)、ΔV1,ΔV2の絶対値は上記構成部分により増減するが、ΔV1,ΔV2の比は一定であるため、距離Lは対象物体Aの表面の光学的性質の影響を受けにくい。これによって、追加の演算処理が不要であり、テレビゲームなどの遊具装置での高いフレームレートでのリアルタイム処理に適することになる。
【0108】
一方、反射光の強度分布から距離Lを取得する従来の距離画像センサでは、反射光の強度分布は対象物体Aの表面の光学的性質の影響を大きく受けるため、光学的性質が均一である対象物体にしか適用できない。このため、人物の全身動作を取得しようとする場合、光学的性質が均一の構成部位毎(例えば、手のみ、上半身の衣服のみ、下半身の衣服のみ)に変化量を見る演算処理や、構成部位毎の光学的性質を考慮に入れて距離を補正する演算処理が必要になる。これによって、追加の演算量が膨大になり、テレビゲームなどの高いフレームレートでのリアルタイム処理に適さないことになる。
【0109】
図1の説明に戻って、本実施形態1の特徴構成である高速人物動作検知制御手段4は、人物動作検出装置1全体を制御するために必要な各種制御部から構成されており、パワーLEDドライバ21およびTOF式距離画像センサ31の各駆動タイミングをそれぞれ制御するタイミング制御手段としてのタイミング制御部41と、ホスト側の遊具装置11などのシステムと交信するためのホストインターフェイス手段としてのホストインターフェイス部42と、TOF式距離画像センサ31からの距離情報(距離に応じた出力電圧情報)に基づく出力データストリームを所定のフォーマットに変換するためのデータフォーマット手段としてのデータフォーマット部43と、投射光の投射空間の距離変位を検出する距離変位検出手段としての距離変位検出部44と、距離変位の有無を判定する距離変位判定手段としての距離平衡状態判定部45と、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分を求めるフレーム差分演算手段としてのフレーム差分演算部46とを有し、受光手段3からの受光情報に基づいて対象物体Aとしての人物の動作を検出する。
タイミング制御部41は、少なくとも1個以上のパワーLEDモジュール22を、パワーLEDドライバ21を介して発光させるタイミングを制御すると共に、図4に示すように時間経過に伴って信号を振り分けるために、画素アレイ部311の各受光部の転送ゲートTX1,TX2の開閉タイミングをそれぞれ相反に制御する。
ホストインターフェイス部42は、図5で後述する制御対象の遊具装置11などのシステムのアプリケーションプロセッサ5と交信して必要な情報をやり取りするためのインターフェイスであって、例えば人物の動作を検出したときに、人物の動作情報を3次元空間座標でアプリケーションプロセッサ5に情報通信するためのインターフェイスである。
【0110】
データフォーマット部43は、画素アレイ部311が複数の受光部として例えば8万画素からなっており、TOF式距離画像センサ31からのセンサ出力が、処理の高速化のために2画素単位の並列出力であり、1画素当りの出力情報が2つの端子の出力電圧のΔV1,ΔV2の形式で出力されるため、後段の信号処理として、演算処理が容易となるようにデータ形式の変換が為されている。
【0111】
また、データフォーマット部43は、所定のフォーマットで距離フレーム(RangeFrame;RF)を生成する距離フレーム生成部431と、所定のフォーマットで距離平衡フレーム(背景画像フレーム)を生成する距離平衡フレーム生成部432とを有している。
【0112】
距離フレーム生成部431は、上記[式1]のTOF式距離画像センサ31の出力電圧情報を基に、上記[式2]より距離Lを演算して距離フレームを生成する。
【0113】
距離平衡フレーム生成部432は、少なくとも2つの距離フレームを基に、人物動作検出の際にフレーム差分演算の基準(背景画像フレーム)となる距離平衡フレームを生成する。この距離平衡フレーム生成部432について、以下に更に詳細に説明する。
【0114】
距離変位検出部44は、TOF式距離画像センサ31からの距離情報(距離に応じた出力電圧情報で、上記式1の情報)に基づいて投射光の投射空間の距離Lを上記[式2]によりリアルタイムに計測し、計測した距離L(距離フレーム)に基づいて、フレーム差分演算部46による距離フレーム間でのフレーム差分演算処理(RFsubRF)により投射空間の距離の変化量を算出して所定の閾値と比較することにより距離変位の有無を検出することができる。
【0115】
即ち、距離変位検出部44は、人物が動作を行ったか行っていないかを求めるのに、距離フレーム間で距離の変化があるかどうかを求める。例えば1秒間に120フレーム分の距離情報が距離画像センサ31から距離変位検出部44に入ってくるが、距離変位検出部44において、距離Lの時間に対する変化量をフレーム差分演算部46によるフレーム差分(RFsubRF)から求める。なお、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分の算出はここではフレーム差分演算部46によって行っているが、距離変位検出部44が少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分を算出してもよい。
【0116】
各距離フレームは、TOF式距離画像センサ31の出力電圧情報の時間的な揺らぎ(ランダムノイズ)に由来する距離の時間的な揺らぎを持っているため、人物が全く動作せず距離Lの変化がなくても、上記フレーム差分(RFsubRF)が全画素で「0」にはならない。そこで、人物の動作があったかなかったかを確定するために、距離Lの変化に対する閾値(フレーム差分閾値)を設定する。上記距離Lの変化に対する閾値は、TOF距離画像センサ31の距離分解能性能を考慮して、代表的な距離L毎に、TOF距離画像センサ31の距離分解能以上で、複数個、テーブル形式で用意しておく。
【0117】
上記フレーム差分(RFsubRF)が設定閾値未満となった場合、距離変位検出部44は投射光の投射空間における距離の変化がない(対象物体Aは動いていない)と判定する。一方、上記フレーム差分(RFsubRF)が設定閾値以上となった場合、距離変位検出部44は投射光の投射空間における距離の変化があった(対象物体Aが動いている)と判定する。
【0118】
距離平衡状態判定部45は、投射光の投射空間が距離平衡状態にあるかどうかを判定する。距離平衡状態判定部45は、上記距離変位検出部44が距離Lの時間変化がないと判定した期間が所定の時間以上続くかまたは、所定のフレーム数以上続けば、投射光の投射空間は距離平衡状態にあると判定する。なお、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分の算出はここではフレーム差分演算部46によって行っているが、距離平衡状態判定部45が少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分を算出してもよい。
【0119】
フレーム差分演算部46は、連続して取得される距離フレーム間でフレーム差分演算(RFsubRF)を行ったり、距離フレームと距離平衡フレームの間でフレーム差分演算(RFsubBRF)を行ったりする。
【0120】
このように、フレーム差分演算部46は、複数の距離フレームについてそれぞれ距離平衡フレーム(背景画像)とのフレーム差分を演算し、そのフレーム差分から、例えば変化した水平方向および垂直方向(XY座標)の面積が最も広い領域や、距離Lの変化量が最も大きい領域などを、人物の動作情報として距離の変化量と変化方向を算出するようにしている。
【0121】
距離平衡フレーム生成部432は、連続して取得される距離フレームの中から、上記距離変位検出部44が距離の変化がないと判定した少なくとも1つの連続した距離フレームを記憶する。距離平衡状態判定手段45が、投射光の投射空間が距離平衡状態にあると判定したら、距離平衡フレーム生成部432は、記憶しておいた少なくとも2つの距離フレームの時間平均を算出し、距離平衡フレーム(BalancedRange Frame;BRF)を生成する。この時間平均をとることにより、距離平衡フレームが含む時間的なランダムノイズが減少し、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分をとって人物動作を検出する際の誤検出を減少させることができる。
【0122】
上記距離平衡フレーム生成処理は、所定の時刻毎(例えば毎秒1回)など頻繁に行う必要はなく、例えば高速人物動作検出装置1の起動時やアプリケーションプロセッサ5によるゲームプログラムの初期化時などに行えばよい。よって、上記距離平衡フレーム生成処理の演算量は多いが頻度が少ないため、高いフレームレートでの駆動時におけるリアルタイム処理を阻害することはない。
【0123】
(実施形態2)
上記実施形態1では、対象物体Aまでの距離Lを複数点で立体的に求める本発明の人物動作検出装置1について説明したが、本実施形態2では、上記高速人物動作検出装置1を、対象物体Aとしての人物の動作内容に応じてゲーム内容や進行を制御する遊具装置に適用した場合について詳細に説明する。
【0124】
図5は、本発明の実施形態2に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1の構成部材と同様の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付して説明する。
【0125】
図5において、本実施形態2の遊具装置11は、上記実施形態1の人物動作検出装置1と、ゲームプログラムの実行や人物動作検出装置1との距離情報のやり取りなどゲーム進行に必要な各種制御を行うアプリケーションプロセッサ5とを有している。
【0126】
人物動作検出装置1は、TOF式距離画像センサ31を有することで、後段の信号処理での演算量を大幅に減らすことができるため、特に、テレビゲームなどの高いフレームレートが要求される遊具装置11におけるリアルタイム処理に適している。
【0127】
アプリケーションプロセッサ5は、この人物の動作情報の3次元空間座標に基づいて、人物の動作をゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるなどゲーム内容を制御してゲームを進行させる。
【0128】
アプリケーションプロセッサ5の人物動作検出部51は、検出しようとする人物の動作の詳細な情報を取得するために、上記連続して取得されるフレーム差分(RFsubRFやRFsubBRF)を比較して、人物の動作領域の位置(距離と方向)、人物の動作の速度ベクトル(動作の速さと方向)、人物の動作の加速度ベクトル(動作の加速度の大きさと方向)などの各種情報を抽出する。動作領域の位置は距離フレームの水平・垂直方向(XY座標)の位置および距離L(XY平面に直交する人物動作検出装置1からの距離L)から立体座標(XYZ座標)として求める。人物の動作の速度ベクトルや加速度ベクトルは動作領域の平均移動距離から求めてもよく、動作領域の重心位置の移動距離から求めてもよく、特定位置(例えば人物の頭部や腕や手)について求めてもよい。
【0129】
ここで、人物動作検出装置1と人物動作検出部51の間で、ゲームの内容や進行状況に応じて、アプリケーションプロセッサ5が必要とする距離情報に対してのみ信号処理を限定するように、ホストインターフェイス部42を介して情報のやり取りを行ってもよい。即ち、アプリケーションプロセッサ5のゲームプログラム側では、ゲームの内容や進行状況に応じて、対象物体Aである人物が動作を行うことを期待する時刻(以下、期待時刻)や、人物が存在することを期待する空間(以下、期待存在空間)、および人物が動作することを期待する空間(以下、期待動作変化)の情報を持っている。
【0130】
図6は、本実施形態2を実施するための最良の形態における期待時刻と期待存在空間を模式的に示す図であり、図7は、本実施形態2を実施するための最良の形態における期待時刻と期待存在空間と期待動作変化を模式的に示す図である。
【0131】
図6および図7において、テニスゲームを例にして期待時刻、期待存在空間および期待動作変化について詳細に説明する。対象物体Aである人物が何らかの行動を起こすことを期待されるタイミングが期待時刻である。例えば図6の時刻t0では、ゲーム内でテニスが開始されていないので対象物体Aである人物は移動や動作を期待されていない。次の時刻t1では、ゲーム内の対戦相手が返球する順番で、対象物体Aである人物は移動の構えをとっているだけであり、ここではまだ、対象物体Aである人物や対戦相手が移動や動作を期待されていない。更に次の時刻t2において、ゲーム内のプレイヤが返球する順番であり、対象物体Aである人物はボールに届く位置まで移動を開始することが期待されている。
【0132】
対象物体Aである人物が移動するなどの動作を行うことを期待される空間領域が期待存在空間である。例えば図6の時刻t2において、ゲーム内のプレイヤが返球するためにテニスコートの右に移動しなければならないとき、対象物体Aである人物は期待存在空間P2まで右に移動することが期待されている。さらに、対象物体Aである人物が行うであろうと期待される動作の速さや方向が期待動作変化である。
【0133】
図7の時刻t3において、対象物体Aである人物は期待存在空間P3まで右に移動し、図7の時刻t4において、ゲーム内のプレイヤの近くにボールが来たら、対象物体Aである人物は期待存在空間P4において手に持ったラケットで返球動作(期待動作変化V4)を行うことが期待されている。
【0134】
アプリケーションプロセッサ5では、ゲームプログラムの進行に合わせて期待時刻tでの期待存在空間Pにおける期待動作変化Vのみが意味を持つため、それ以外のモニタ量は不要と見なせる。よって、人物動作検出部51は上記各期待値と合致する距離情報についてのみ、人物動作を検出するための演算処理を行えばよい。
【0135】
人物動作検出部51は、不要な信号処理を実施しないことにより演算量を減らすことができるため、人物動作検出装置1を高いフレームレートで駆動してもリアルタイム処理を行うことが可能になる。また、対象物体Aである人物のゲーム進行と無関係の動作や、複数人が撮像領域内にいるときに対象物体Aである人物以外の動作を誤検出する可能性が低くなる。
【0136】
ここで、まず、図8に示すフローチャートを参照して、図5の人物動作検出装置1の簡易で特に高速な人物動作検知処理について説明する。
【0137】
図8に示すように、まず、ステップS1において、電源の投入または遊具装置11のゲームプログラムからの動作開始の指示などにより、高速人物動作検知制御手段4は、発光手段2や受光手段3を用いて、例えば1秒間に120枚程度のフレームレートで距離フレームを取得する。
【0138】
次に、ステップS2でフレーム差分を演算する。即ち、高速人物動作検知制御手段4のフレーム差分演算部46は、距離フレーム間でフレーム演算を行う。出力端子電圧ΔV1,ΔV2の大きさが、対象物体Aとなる人物が存在する領域と存在しない領域(背景)とで比較すると1桁から2桁違うため、人物の存在や動作を検出することが可能である。
【0139】
その後、演算結果の情報は、ホストインターフェイス部42を介してアプリケーションプロセッサ5に渡される。アプリケーションプロセッサ5の人物動作検知部51では、ステップS3で、距離変位がアプリケーションプロセッサ5の有する期待値と一致するかどうかを判定し、それが一致する場合は、ステップS4で「人物動作があった」と判定し、それが不一致の場合は、ステップS5で「人物動作がなかった」と判定する。
【0140】
以上の簡易で高速な人物動作検知制御ステップは、距離フレーム生成部431がTOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、フレーム差分演算部46が複数の距離フレームについてそれぞれのフレーム差分を演算し、その演算したフレーム差分から人物の動作情報として人物の距離の変化量とその変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有している。
【0141】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、図1の高速人物動作検出装置1の高精度な人物動作検知処理について説明する。
【0142】
図9に示すように、まず、ステップS11において、電源の投入または遊具装置11のゲームプログラムからの動作開始の指示などにより、高速人物動作検知制御手段4は、発光手段2や受光手段3を用いて、例えば1秒間に120枚程度のフレームレートで距離フレームを取得する。
【0143】
次に、ステップS12で、高速人物動作検知制御手段4が、所定のタイミングで、距離フレーム毎のフレーム差分を求める動作を開始する。
【0144】
ステップS13で、上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値未満であるかどうかが判定される。上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値未満であるとき、ステップS14で、距離変位検出部44は「距離変位がない」と判定する。また、上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値以上であるとき、ステップS15で、距離変位検出部44は「距離変位有り」と判定し、その後、ステップS11の距離フレーム取得処理に戻る。
【0145】
さらに、ステップS14で、距離変位検出部44により「距離変位がない」と判定された状態が、所定の時間以上または所定のフレーム枚数以上継続した場合、距離平衡状態判定部45は投射光の投射空間が距離平衡状態にあると判定する。
【0146】
その後、ステップS16で、距離平衡状態判定部45は投射光の投射空間が距離平衡状態にあると判定すると、距離平衡フレーム生成部432は、少なくとも1つの距離フレームの時間平均をとり、距離平衡フレームを生成する。
【0147】
続いて、距離平衡フレームの具体例を示した画像を図10に示している。図10では対象物体Aである人物がおらず、背景のみから距離平衡フレームを生成しているが、人物が撮像範囲にいても、例えば遊具装置11のゲームプログラムからの指示により人物を右側に移動させて左側半分の距離フレームを生成し、続いて人物を左側に移動させて右側半分の距離フレームを生成し、最後にそれらを合成することにより距離平衡フレームを生成することができる。または、人物が静止している状態であれば、静止した人物を含めて距離平衡フレームを生成しても、フレーム差分演算(RFsubBRF)により距離の変位を検出することができる。
【0148】
以上の高精度な人物動作検知制御ステップは、距離フレーム生成部431がTOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、距離平衡フレーム生成部432が、少なくとも2つの距離フレームに基づいて、人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成ステップと、フレーム差分演算部46が複数の距離フレームについてそれぞれ距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、その演算したフレーム差分から人物の動作情報として人物の距離の変化量とその変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有している。
【0149】
図11および図12に、ある時刻とその後の時刻において図5の距離フレーム生成部431で取得した距離情報の具体例を示した画像をそれぞれ示している。
【0150】
ステップS17において、フレーム差分演算部46が、距離フレームと距離平衡フレームの間のフレーム差分演算を行う。図10と図11のフレーム差分(RFsubBRF)および図10と図12のフレーム差分(RFsubBRF)をそれぞれ図13と図14に示している。距離変位がない領域はフレーム差分演算により相殺され距離変位がある領域のみが残る。
【0151】
図15に、図13と図14のフレーム差分を示している。それぞれ図11と図12に示す距離フレームを取得する間に対象物体Aである人物がどれだけ移動したかが検出されることになる。
【0152】
その後、演算結果の情報は、ホストインターフェイス部42を介してアプリケーションプロセッサ5に渡される。人物動作検知部51では、ステップS18で、距離変位がアプリケーションプロセッサ5の有する期待値と一致するかどうかを判定し、それが一致する場合は、ステップS19で「人物動作があった」と判定し、それが不一致の場合は、ステップS20で「人物動作がなかった」と判定する。
【0153】
(実施形態3)
上記実施形態1では、対象物体Aまでの距離Lを複数点で立体的に求める本発明の人物動作検出装置1について説明し、上記実施形態2では、上記高速人物動作検出装置1を、対象物体Aとしての人物の動作内容に応じてゲーム内容や進行を制御する遊具装置に適用した場合について説明し、本実施形態3では、上記実施形態2の図9のステップS17のフレーム差分演算(RFsubRF)以降のステップを追加することにより、対象物体Aである人物の身体全体が移動したかどうかを判定する方法について詳細に説明する。
【0154】
図22は、本発明の実施形態3に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1および図5の構成部材と同様の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付して説明する。
【0155】
図22において、本実施形態3の遊具装置11Aは、対象物体Aまでの距離Lを複数点で立体的に求める人物動作検出装置1Aと、ゲームプログラムの実行や人物動作検出装置1Aとの距離情報のやり取りなどゲーム進行に必要な各種制御を行うアプリケーションプロセッサ5Aとを有している。
【0156】
人物動作検出装置1Aは、上記実施形態1、2の人物動作検出装置1の構成に中心座標検出部47をさらに有している。
【0157】
距離平衡フレーム生成手段よしての距離平衡フレーム生成部432が距離平衡フレーム(BRF)を生成し、フレーム差分演算手段としてのフレーム差分演算部46がN番目の距離フレームと距離平衡フレームとの差分(RFsubBRF)を演算する。これによって、距離変化のない背景情報から、対象物体Aである人物を切り出して検出することができる。即ち、フレーム差分演算部46は、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分を演算し、距離情報が平衡状態にある背景情報からの距離の変化の有無により人物を検出する。
【0158】
この状態で、中心座標検出手段としての中心座標検出部47は、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分により検出した人物の距離情報から中心座標および中心座標の移動量を求める。つまり、中心座標検出部47は、N番目の距離フレームについて、その検出した人物の距離情報から中心座標を求める。次のN+1番目の距離フレームについても同様に中心座標を求め、N番目とN+1番目の各距離フレーム間の中心座標の移動量を求める。この場合の中心座標とは、例えば、検出した人物の身体全体の距離情報から重心座標を求めてもよく、検出した人物の全身のX,Y,Z座標の最大値および最小値からそれぞれ中点座標を求めてもよく、検出した人物の輪郭の各点からの距離の和が最小になる点の座標を求めてもよい。
【0159】
即ち、中心座標検出部47は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸の重心座標を中心座標として算出する。または、中心座標検出部47は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸方向の最大値および最小値から中点を中心座標として算出する。または、中心座標検出部47は、検出した人物の身体全体の距離情報から、人物の輪郭上の各点からの距離の和が最小となる点を中心座標として算出する。
【0160】
アプリケーションプロセッサ5Aは、この人物の動作情報の3次元空間座標に基づいて、人物の動作をゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるなどゲーム内容を制御してゲームを進行させる。
【0161】
アプリケーションプロセッサ5Aの人物動作検出手段としての人物動作検出部51Aは、連続して取得される距離フレーム間の中心座標の移動量と、ゲーム内の期待値とを比較して、中心座標移動判定手段としての中心座標移動判定部511は、人物の中心座標の移動量が期待値から設定した閾値以上であった場合には人物の「全身移動があった」と判定し、また、人物の中心座標の移動量が閾値未満であった場合には人物の「全身移動がなかった」と判定する。
【0162】
ここで、人物動作検出装置1Aの高速人物動作検知制御手段4Aと人物動作検出部51の間で、ゲームの内容や進行状況に応じて、アプリケーションプロセッサ5Aが必要とする距離情報に対してのみ信号処理を限定するように、ホストインターフェイス部42を介して情報のやり取りを行ってもよい。即ち、アプリケーションプロセッサ5Aのゲームプログラム側では、ゲームの内容や進行状況に応じて、対象物体Aである人物が動作を行うことを期待する時刻(以下、期待時刻)や、人物が存在することを期待する空間(以下、期待存在空間)、および人物が動作することを期待する空間(以下、期待動作変化)の情報を持っている。
【0163】
次に、図23に示すフローチャートを参照して、図22の高速人物動作検出装置1Aの高精度な人物動作検知処理について説明する。
【0164】
図23に示すように、まず、ステップS11において、電源の投入または遊具装置11Aのゲームプログラムからの動作開始の指示などにより、高速人物動作検知制御手段4Aは、発光手段2や受光手段3を用いて、例えば1秒間に120枚程度のフレームレートで距離フレームを取得する。
【0165】
次に、ステップS12で、高速人物動作検知制御手段4Aが、所定のタイミングで、距離フレーム毎のフレーム差分を求める動作を開始する。
【0166】
ステップS13で、上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値未満であるかどうかが判定される。上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値未満であるとき、ステップS14で、距離変位検出部44は「距離変位がない」と判定する。また、上記フレーム差分(RFsubRF)が、設定された閾値以上であるとき、ステップS15で、距離変位検出部44は「距離変位有り」と判定し、その後、ステップS11の距離フレーム取得処理に戻る。
【0167】
さらに、ステップS14で、距離変位検出部44により「距離変位がない」と判定された状態が、所定の時間以上または所定のフレーム枚数以上継続した場合、距離平衡状態判定部45は投射光の投射空間が距離平衡状態にあると判定する。
【0168】
その後、ステップS16で、距離平衡状態判定部45は投射光の投射空間が距離平衡状態にあると判定すると、距離平衡フレーム生成部432は、少なくとも1つの距離フレームの時間平均をとり、距離平衡フレームを生成する。
【0169】
さらに、ステップS17において、フレーム差分演算部46が、距離フレームと距離平衡フレームの間のフレーム差分演算を行う。距離変位がない領域はフレーム差分演算により相殺され距離変位がある領域のみが残っている。
【0170】
このように、この距離平衡フレーム生成方法に従って、距離平衡フレーム(BRF)を求め(ステップS16)、N番目の距離フレームと距離平衡フレームとの差分(RFsubBRF)を演算する(ステップS17)ことにより、距離が平衡状態にある、即ち距離変化のない背景情報から、対象物体Aである人物を切り出して検出することができる。
【0171】
ここまでは、図9のステップS17のフレーム差分演算(RFsubRF)までのステップと同様であるが、ステップS17以降のステップを追加することにより、対象物体Aである人物の身体の全体が移動したかどうかを判定することができる。
即ち、フレーム差分演算処理に続くステップS21において、高速人物動作検知制御手段4Aの中心座標検出部47は、N番目の距離フレームについて、検出した人物の距離情報から中心座標を求める。中心座標とは、例えば、検出した人物の身体全体の距離情報から重心座標を求めてもよく、検出した人物の全身のX,Y,Z座標の最大値および最小値からそれぞれ中点座標を求めてもよく、検出した人物の輪郭の各点からの距離の和が最小になる点の座標を求めてもよい。これと同様に、次のN+1番目の距離フレームについても同様に中心座標を求め、N番目とN+1番目の距離フレーム間の中心座標の移動量を求める。例えば、テニスゲームにおいてボールの返球位置に人物が移動するために、人物が投射光の投射空間を前後左右に移動すると、人物の中心座標は距離フレーム間で移動するため、人物の身体がどこからどこに移動したのか、演算が簡易で演算量の少ない指標値とすることができる。
【0172】
さらに、ステップS22において、中心座標の移動量の情報は、ホストインターフェイス部42を介してアプリケーションプロセッサ5Aに渡される。ゲームプログラム側では、ゲーム内容に応じて人物がどこにどの程度移動すべきか期待値を持っており、アプリケーションプロセッサ5Aの人物動作検知部51Aは、人物の中心座標の移動量を期待値と比較する。
【0173】
その人物の中心座標の移動量が期待値から設定した閾値以上であった場合、次のステップS23で、中心座標移動判定部511は、対象物体Aである人物が単に手足を動かしただけでなく「全身移動があった」と判定する。一方、人物の中心座標の移動量が閾値未満であった場合、ステップS24で、中心座標移動判定部511は人物の「全身移動がなかった」と判定する。このようにして、対象物体Aである人物の身体の全体が移動したかどうかを判定することができる。
【0174】
(実施形態4)
上記実施形態3では、対象物体Aである人物の身体全体が移動したかどうかを判定する方法について説明したが、本実施形態4では、人物動作の検出において、上記実施形態3の中心座標演算処理以降のステップを追加することにより、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定する方法について説明する。
【0175】
図24は、本発明の実施形態4に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1および図5の構成部材と同様の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付して説明する。
【0176】
図24において、本実施形態4の遊具装置11Bは、対象物体Aまでの距離Lを複数点で立体的に求める人物動作検出装置1Bと、ゲームプログラムの実行や人物動作検出装置1Aとの距離情報のやり取りなどゲーム進行に必要な各種制御を行うアプリケーションプロセッサ5Bとを有している。
【0177】
人物動作検出装置1Bは、上記実施形態1、2の人物動作検出装置1の構成に中心座標検出部47Bをさらに有している。
【0178】
中心座標検出部47Bは、N番目の距離フレームとN+1番目の距離フレームについて、その検出した人物の距離情報から各中心座標を求め、N番目とN+1番目の距離フレーム間の中心座標の移動量を求めると共に、距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、距離フレームと距離平衡フレーム間のフレーム差分演算で求めた中心座標から、距離変位と中心座標の相対位置を演算する。
【0179】
アプリケーションプロセッサ5Bは、この人物の動作情報の3次元空間座標に基づいて、人物の動作をゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるなどゲーム内容を制御してゲームを進行させる。
【0180】
アプリケーションプロセッサ5Bの人物動作検出部51Bは、連続して取得される距離フレーム間の中心座標の移動量と、ゲーム内の期待値とを比較して、中心座標移動判定手段としての中心座標移動判定部511は、人物の中心座標の移動量が期待値から設定した閾値以上であった場合には人物の「全身移動があった」と判定し、また、人物の中心座標の移動量が閾値未満であった場合には人物の「全身移動がなかった」と判定する。
【0181】
また、アプリケーションプロセッサ5Bの人物動作検出部51Bは、中心座標と距離フレーム差分の距離変位の相対的な位置関係から、動作した人物の身体部位を判定する身体部位判定手段としての身体部位判定部512を有している。身体部位判定部512は、その判定結果としての身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかと期待値とを比較して、身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかが期待値と一致する場合は身体部位に「期待動作があった」と判定し、また、身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかが期待値と不一致の場合は身体部位に「期待動作がなかった」と判定する。要するに、身体部位判定部512は、中心座標と距離変位の座標の相対的な位置関係から、対象物体Aである人物の身体のどの部分が動作したのかを判定する。
【0182】
ゲームプログラム側では、ゲーム内容に応じて人物が動作するべき身体部位が何であるか、期待値を持っており、身体の中心部に位置する中心座標と比較して、例えば、距離フレーム間の距離変位が中心座標より右上(水平方向および垂直方向のXY座標方向)であれば右腕の動作、左上であれば左腕の動作、右下であれば右足の動作、左下であれば左足の動作であると判定する。身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と一致する場合は「期待動作があった」と判定し、また、身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と不一致の場合は「期待動作がなかった」と判定する。
【0183】
ここで、人物動作検出装置1Bの高速人物動作検知制御手段4Bと人物動作検出部51Bの間で、ゲームの内容や進行状況に応じて、アプリケーションプロセッサ5Bが必要とする距離情報に対してのみ信号処理を限定するように、ホストインターフェイス部42を介して情報のやり取りを行ってもよい。即ち、アプリケーションプロセッサ5Bのゲームプログラム側では、ゲームの内容や進行状況に応じて、対象物体Aである人物が動作を行うことを期待する時刻(以下、期待時刻)や、人物が存在することを期待する空間(以下、期待存在空間)、および人物が動作することを期待する空間(以下、期待動作変化)の情報を持っている。
【0184】
次に、図25に示すフローチャートを参照して、図24の高速人物動作検出装置1Bの高精度な人物動作検知処理について説明する。なお、ここでは、図23に示すフローチャートのステップと同一の作用効果を奏するステップには同一の符号を付してその説明を省略する。
人物動作の検出において、上記実施形態3の中心座標演算処理以降のステップを追加することにより、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定することができる。
【0185】
即ち、ステップS12において、距離フレーム間の差分演算(RFsubRF)で求めた距離変位と、ステップS21において、距離フレームと距離平衡フレーム間のフレーム差分演算(RFsubBRF)で求めた中心座標から、ステップS31において、距離変位と中心座標の相対位置を演算する。
ステップS21で求めた距離フレーム間の中心座標の移動量がホストインターフェイス部42を介してアプリケーションプロセッサ5Bに渡されるのと同様に、ステップS12で求めた距離変位とその中心座標の相対位置がステップS31で演算され、その求められた距離変位と中心座標の相対位置がホストインターフェイス部42を介してアプリケーションプロセッサ5Bに渡される。ゲームプログラム側では、ゲーム内容に応じて人物がどの方向にどの程度移動すべきかの期待値を持っている。
アプリケーションプロセッサ5Bにおいて、まず、ステップ22で、人物の身体の全体が移動したかどうかに関して、上記実施形態3の場合と同様に、中心座標の移動量を期待値と比較する。
【0186】
さらに、上記実施形態3の場合と同様に、中心座標の移動量が期待値から設定した閾値以上であった場合、ステップS23で、中心座標移動判定部511は、対象物体Aである人物が単に手足を動かしただけでなく人物の「全身移動があった」と判定する。一方、中心座標の移動量が閾値未満であった場合、ステップS24で、中心座標移動判定部511は人物の「全身移動がなかった」と判定する。これによって、対象物体Aである人物の身体の全体が移動したかどうかを判定することができる。
【0187】
次に、ステップ32で、身体部位判定部512は、上記中心座標と上記距離変位の座標の相対的な位置関係から、対象物体Aである人物の身体のどの部分が動作したのかを判定することができる。即ち、ゲームプログラム側では、ゲーム内容に応じて人物が動作するべき身体部位が何であるか、期待値を持っており、身体の中心部に位置する中心座標と比較して、例えば、距離フレーム間の距離変位が中心座標より右上(水平方向および垂直方向のXY座標方向)であれば右腕の動作、左上であれば左腕の動作、右下であれば右足の動作、左下であれば左足の動作であると判定する。
【0188】
身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と一致する場合は、ステップ33で「期待動作があった」と判定する。一方、身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と不一致の場合は、ステップ34で「期待動作がなかった」と判定する。このようにして、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定することができる。
このように、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定する本実施形態4の方法は、従来の関節などの特徴点から人物の骨格を抽出することにより人物の全身をモデル化する方法と比べて演算量が大幅に少なく、要求されるフレームレートが高いテレビゲーム機などの遊具装置に適している。
【0189】
(実施形態5)
上記実施形態2では、人物動作検出装置1を、対象物体Aの人物の動作内容に応じてゲームの内容や進行を制御する遊具装置11に用いた場合について説明し、上記実施形態3では、対象物体Aである人物の身体全体が移動したかどうかを判定する方法について説明し、上記実施形態4では、距離フレーム間の距離変位が身体のどの部分に該当するかを判定する方法について説明したが、本実施形態5では、上記実施形態2〜4の遊具装置に、衝撃や衝撃音などを発生させて臨場感を得るための体感刺激発生装置を更に有する場合について説明する。
【0190】
図26は、本発明の実施形態5に係る遊具装置の要部構成例を示すブロック図である。なお、図1および図5の構成部材と同様の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付して説明する。また、図26は、上記実施形態4の遊具装置11Bに、衝撃や衝撃音などを発生させて臨場感を得るための体感刺激発生装置を更に有する場合を示しているが、上記実施形態2の遊具装置11に体感刺激発生装置を更に有する場合を図27に示し、上記実施形態3の遊具装置11Aに体感刺激発生装置を更に有する場合を図28に示している。ここでは、図26を用いて体感刺激発生装置の一例を説明する。
【0191】
図26において、遊具装置11Cのアプリケーションプロセッサ5Cは、ゲームの進行内容において期待値と一致する人物動作があったと判定した場合、人物動作検知部51Cで動作を検知し、無線送信部57(例えばBluetoothを用いた無線通信)または有線を通じて体感刺激発生装置8に体感刺激制御信号を送信する。
【0192】
体感刺激発生装置8は、無線送信部57からの体感刺激制御信号を受信する無線受信部81と、例えばテニスゲームの場合テニスラケットにボールが当たる衝撃などを発生させる振動発生部82(例えばバイブレータ)と、発光させる発光部83(例えばLED)と、例えばテニスゲームの場合テニスラケットにボールが当たる衝撃音などを発生させる音声出力部84(例えばスピーカ)と、香りを発生させる香り発生部85(例えば香りを発する物体を封入した扉の開閉)とを有しており、受信した信号に応じて体感刺激発生装置8の筐体に振動や衝撃を発生させたり、発光させたり、衝突音などの音声を出力させたり、香りを発生させたりする。これによって、体感刺激発生装置8を保持する人物(対象物体Aである人物)は、ゲーム内容と自身の操作内容に応じたフィードバックを得て臨場感を得ることができる。要するに、体感刺激発生装置8は、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させるようになっている。
【0193】
ここで、体感刺激発生装置8をラケットに見立てたテニスゲームを一例に説明する。
【0194】
体感刺激発生装置8であるラケットがボールに当たるときに、中心座標検出部47Bが、検出した人物の距離情報から中心座標を求め、さらに、距離フレーム間の中心座標の移動量を求める、距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、距離フレームと距離平衡フレーム間のフレーム差分演算で求めた中心座標から、距離変位と中心座標の相対位置を演算する。次に、アプリケーションプロセッサ5Cの人物動作検出部51Bは、連続して取得される距離フレーム差分の距離変位と中心座標の相対的位置とゲーム内の期待値とを比較して、身体部位判定部512は、中心座標と距離変位の座標の相対的な位置関係から、対象物体Aである人物の身体のどの部分、ここでは右手にラケットを持っているので、人物の右手と共にラケットが動作したのかどうかを判定する。
【0195】
ゲームプログラム側では、ゲーム内容に応じて人物が動作するべき身体部位、右手およびラケットに対する期待値を持っており、身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と一致する場合は「期待動作があった」と判定し、また、身体部位判定部512の判定結果が上記期待値と不一致の場合は「期待動作がなかった」と判定する。この場合、期待値は、人物動作において身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかに関する期待値である。
【0196】
身体部位判定部512が「期待動作があった」と判定した場合、即ち、ラケットがボールに当たった瞬間、アプリケーションプロセッサ5Cは、ゲームの進行内容において期待値と一致する人物動作(ラケットを振る動作)があったと判定した場合、人物動作検知部51Bで動作を検知し、アプリケーションプロセッサ5Cから無線送信部57を通じて体感刺激発生装置8に体感刺激制御信号を送信する。
【0197】
体感刺激発生装置8では、無線送信部57からの体感刺激制御信号を無線受信部81で受信すると、内部の振動発生部82を用いて体感刺激発生装置8の筐体を、ボールが当たった衝撃を受けたように振動させたり、音声出力部84を用いてボールが当たった衝突音を発生させたりする。
【0198】
これによって、ラケットである体感刺激発生装置8を保持する人物は、ラケットにボールが当たる瞬間の衝撃を手で感じることができる。また、音声もテレビジョンのスピーカから聞こえてくるのではなく、手に保持した体感刺激装置8から聞こえてくるため、より現実のテニスに近い操作感および臨場感を得ることができる。なお、ボールの速さやボールの飛ぶ向き、ラケットのスウィングスピード、衝突のタイミングのずれの有無などに応じて、振動や音声の強弱、長さ、リズムなどを変化させてもよい。
【0199】
本実施形態5の体感刺激発生装置8は、従来のテレビゲーム機などの遊具装置11Cにおけるリモートコントローラに相当する。ただし、ユーザの操作を制御信号として遊具装置11Cに無線送信するものに限らず、遊具装置11Cからの制御信号を受信する機能専用のものであってもよい。
【0200】
従来の遊具装置のように、リモートコントローラ内部に搭載した加速度センサや角速度センサにより人物動作を検出する場合、上記のようにゲーム内容に応じて、リモートコントローラ内部に搭載したバイブレータなどの振動発生装置によりリモートコントローラを振動させることができなかった。これは、加速度センサや角速度センサでは、人物の動作とリモートコントローラの振動の区別ができないため、振動させた場合、目的とする人物動作のみを検出することができなくなるためである。本実施形態5では、体感刺激発生装置8の外部の人物動作検知装置1、1Aまたは1Bのみで人物動作を検知しているため、体感刺激発生装置8を振動させても上記課題は生じない。スポーツなどの体感型ゲームにおいて、ユーザへの触覚によるフィードバックは視覚や聴覚と同様に重要であり、ユーザの操作感を大きく向上させることができる。
【0201】
なお、上記テニスゲームを例にした説明では、ユーザがラケットとしての体感刺激発生装置8を手に保持する場合について説明したが、体感刺激発生装置8を手に保持する場合に限らず、振動であれば、身体のどの部分で保持していてもよく、光、音声、香りであればユーザが感知できる範囲に設置してあればよい。また、体感刺激発生装置8は、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させるが、テニスゲームで「振動」は衝撃の代わりに用い「音声」はボールを打つときの衝撃音の代わりに用い、これ以外の「光」の事例については、LEDを光らせるなど、例えば「刀」同士が衝突したときの火花の代わりに刀の一部または全部を光らせるようにすることができるし、また、「香り」の事例としては、薬品をヒータで熱するなどして各種の「香り」を発生させることができるし、例えばピストルで玉を撃った後の薬莢のにおいの代わり用いることができる。
【0202】
以上により、上記実施形態1〜5によれば、対象物体Aまでの距離Lに相当した光の飛行時間(遅れ時間)に依存して分配された信号電荷をそれぞれ二つの画素出力電極V1,V2から出力し、その信号電荷はそれぞれ距離Lに応じた出力電圧情報に変換されて、TOF式距離画像センサ31から距離情報として出力される。このTOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて、既知の光速をcとして、光の飛行時間(遅れ時間)Tを検出して、L=(1/2)・c・Tから対象物体Aまでの距離Lを求め、これに基づいて、投射光の投射空間の対象物体Aまでの距離変位を検出する距離変位検出手段44と、投射空間が距離平衡状態にあるかどうかを判定する距離平衡判定手段45とを有しており、フレーム差分(RFsubBRF)によって、対象物体Aである人物が動作したかどうかを検出する。これによって、多数の空間領域を面状に演算処理する場合に、高いフレームレートでもであっても従来の距離画像センサのように演算量が膨大にならず、撮像範囲における人物の動作の検出をリアルタイムに行うと共に、撮像範囲における人物動作の方向と距離の変化量の検出精度を高精度に検出することができる。
【0203】
この高精度で計算的に安価な人物動作の検出により、テレビゲームなどの遊具装置11および11A〜11Eのゲーム内容や進行状況の制御をリアルタイムに行うことができて、遊具装置11および11A〜11Eの操作性の向上を図ることができる。
【0204】
また、従来の遊具装置において利用されていたゲームコントローラを利用することなく人物動作検知装置1,1Aまたは1Bが用いられ、人物動作検知装置1,1Aまたは1Bを用いて立体的な人物動作が検知され、当該人物動作の検知結果と期待値との比較処理が行わて、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させる体感刺激発生装置を駆動させることにより、ゲームコントローラを用いないでゲームを行うことが可能となった。これにより、ゲームコントローラ作成にかかる費用が不要になり、更に、ゲームコントローラを指で押したりする操作が不要となるため、現実のスポーツなどに操作感が近いゲームを実現できることや、ゲームを通じて現実のスポーツなどでの技術の向上を期待することもできる。
【0205】
なお、上記実施形態2〜5では、本発明の人物動作検出装置1、1Aまたは1Bを、その人物動作に応じてゲーム内容や進行状況を制御する遊具装置11および11A〜11Eなどに用いた場合について説明したが、これに限らず、リアルタイムで3次元空間の人物動作情報を検出する人物動作検出装置1、1Aまたは1Bによる人物動作検出情報を用いて制御できる電子機器であればどのようなものでもよい。
【0206】
なお、上記実施形態2〜5では、特に説明しなかったが、アプリケーションプロセッサ5および5A〜5Eは、人物動作検知部51、51Aおよび51Bの他に各種構成部が配設されており、これについて以下に詳細に説明する。ここでは、上記実施形態2のアプリケーションプロセッサ5により代表して説明する。
【0207】
図16は、図5のアプリケーションプロセッサ5の要部ハード構成例を示すブロック図である。
【0208】
図16において、上記実施形態2のアプリケーションプロセッサ5は、全体の制御を行う制御手段としてのCPU(中央演算処理装置)50と、前述したが、検出しようとする人物の動作の詳細な情報を取得するために、上記連続して取得されるフレーム差分(RFsubRFやRFsubBRF)を比較して、人物の動作領域の位置(距離と方向)、人物の動作の速度ベクトル(動作の速さと方向)、人物の動作の加速度ベクトル(動作の加速度の大きさと方向)などの各種情報を抽出する人物動作検知部51と、人物動作検知部51による人物動作検知情報を用いてゲーム進行に必要な各種制御を行うゲーム実行部52と、CPU50に対して入力指令を行うためのキーボード、マウス、タッチパネルおよびペン入力装置、さらには通信ネットワーク(例えばインターネットやイントラネット)を介して受信入力する入力装置などの操作部53と、表示画面上に、初期画面、選択場面、ゲームプログラムに基づく制御結果画面および操作入力画面などを表示する表示部54と、ゲームプログラムおよびそのデータなどが記憶されたコンピュータ読み出し可能な可読記録媒体としてのROM55と、起動時にゲームプログラムおよびそのデータなどが読み出されて、CPU1による制御毎にデータを読み出し・記憶するワークメモリとして働く記憶部としてのRAM56とを有している。
【0209】
CPU50は、ROM55内に記憶された制御プログラムとしてのゲームプログラムおよびそのデータを装置起動時にRAM56内に読み出して、そのゲームプログラムおよびそのデータ基づいて、人物動作検知部51が、上記連続して取得されるフレーム差分(RFsubRFやRFsubBRF)を比較して、人物の動作領域の位置(距離と方向)、人物の動作の速度ベクトル(動作の速さと方向)、人物の動作の加速度ベクトル(動作の加速度の大きさと方向)などの各種情報を抽出する人物動作検知ステップと、ゲーム実行部52が、人物動作検知部51による人物動作検知情報を用いてゲーム進行に必要な各種制御を行うゲーム実行ステップとを実行するようになっている。
【0210】
可読記録媒体としてのROM55としては、ハードディスクの他、形態自在な光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成されていてもよい。このゲームプログラムおよびそのデータなどがROM55に記憶されるが、このゲームプログラムおよびそのデータは、他の可読記録媒体から、または、無線、有線またはインターネットなどを介してROM55にダウンロードされてもよい。
【0211】
また同様に、本実施形態1〜5において、図示しない高速人物動作検知制御手段4のCPUは、ROM内に記憶された制御プログラムとしての人物動作検知プログラムおよびそのデータを装置起動時にRAM内に読み出して、その人物動作検知プログラムおよびそのデータに基づいて、タイミング制御部41が、パワーLEDドライバ21およびTOF式距離画像センサ31の各駆動タイミングをそれぞれ制御するタイミング制御ステップと、ホストインターフェイス部42が、ホスト側の遊具装置11などのシステムと交信するためのホストインターフェイスステップと、データフォーマット部43が、TOF式距離画像センサ31からの距離情報(距離に応じた出力電圧情報)に基づく出力データストリームを所定のフォーマットに変換するデータフォーマットステップと、距離変位検出部44が、投射光の投射空間の距離変位を検出する距離変位検出ステップと、距離平衡状態判定部45が、距離変位の有無を判定する距離変位判定ステップと、フレーム差分演算部46が、距離フレームと距離平衡フレームのフレーム差分を求めるフレーム差分演算手段としてのフレーム差分演算ステップとを実行し、受光手段3からの受光情報に基づいて対象物体Aとしての人物の動作情報を検出する。
【0212】
このデータフォーマットステップは、ROM内に記憶された制御プログラムとしての人物動作検知プログラムおよびそのデータを装置起動時にRAM内に読み出して、その人物動作検知プログラムおよびそのデータに基づいて、距離フレーム生成部431が、TOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、距離平衡フレーム生成部432が、少なくとも2つの距離フレームに基づいて、人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレーム(背景画像フレーム)を生成する距離平衡フレーム生成ステップとを実行する。
【0213】
この場合も、前述したように、可読記録媒体としてのROMとしては、ハードディスクの他、形態自在な光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成されていてもよい。この人物動作検知プログラムおよびそのデータなどがROMに記憶されるが、この人物動作検知プログラムおよびそのデータは、他の可読記録媒体から、または、無線、有線またはインターネットなどを介して、そのROMにダウンロードされてもよい。
【0214】
なお、上記実施形態1〜5では、特に説明しなかったが、投射光を出射する発光手段2と、投射光の投射空間からの反射光を受光して、投射空間の人物までの距離に応じた距離情報を複数の受光部からそれぞれ出力するTOF式距離画像センサ31とを有する人物動作検出装置1であって、TOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する高速人物動作検知制御手段4を有している。この高速人物動作検知制御手段4は、TOF式距離画像センサ31からの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成部431と、少なくとも2つの距離フレームに基づいて、人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレーム(背景画像フレーム)を生成する距離平衡フレーム生成部432と、複数の距離フレームについてそれぞれ距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、フレーム差分から人物の動作情報として人物の距離変化量と変化方向を算出するするフレーム差分演算部46とを有している。
【0215】
これによって、多数の空間領域を面状に演算処理する場合に、高いフレームレートでも演算量が膨大にならず、撮像範囲における人物動作の方向と距離の変化量の検出精度を高精度に検出できる本発明の目的を達成することができる。
【0216】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜5を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜5に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜5の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明は、人物の動作を検出するための人物動作検出装置および人物動作検出方法、この人物動作検出装置を用いて人物の動作を検出して、ゲーム内容の各種制御を行う遊具装置、これを用いたゲーム方法、これらの人物動作検出方法およびゲーム方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体の分野において、TOF式距離画像センサからの距離情報(距離に応じた出力電圧情報)に基づいて、時系列に複数の距離フレームを生成する手段と、少なくとも1つの該距離フレームに基づいて、距離の変化のない距離フレームである距離平衡フレームを生成する手段と、各距離フレームについて距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、対象物体の距離の変化量と方向を算出する手段を有し、距離変位が生じた領域までの距離や方向の変化を人物の動作として検出するため、多数の空間領域を面状に演算処理する場合であっても、従来の反射光の強度を用いた距離画像センサや三角測量式距離画像センサのように演算量が膨大にならず、高フレームレートにおける人物の動作検出をリアルタイムに行うことができる。この人物動作検出により、人物動作に応じてゲーム内容の各種制御をリアルタイムで行うことができて、テレビゲームなどの遊具装置の操作性を大幅に向上させることができる。
【符号の説明】
【0218】
1、1A、1B 人物動作検出装置
2 発光手段
21 パワーLEDドライバ
22 パワーLEDモジュール
22a パワーLED
23 放射角調整レンズ
3 受光手段
31 TOF式距離画像センサ
311 画素アレイ部
312 タイミング生成部
313 垂直スキャナ部
314 水平スキャナ部
315 画素ドライバ部
316 ノイズキャンセラ部
317 A/Dコンバータ部
32 視野角調整レンズ
4、4A、4B 高速人物動作検知制御手段
41 タイミング制御部
42 ホストインターフェイス部
43 データフォーマット部
431 距離フレーム生成部
432 距離平衡フレーム生成部
44 距離変位検出部
45 距離平衡状態判定部
46 フレーム差分演算部
47、47B 中心座標検出部
5、5A〜5E アプリケーションプロセッサ
51、51A〜51E 人物動作検出部
511 中心座標移動判定部
512 身体部位判定部
52 ゲーム実行部
53 操作部
54 表示部
55 ROM
56 RAM
57 無線送信部
8 体感刺激発生装置
81 無線受信部
82 振動発生部
83 発光部
84 音声出力部
85 香り発生部
6 ゲーム内容の模式図
7 テレビジョン
11、11A〜11E 遊具装置
A 対象物体
T 光の飛行時間
c 光速
C1 画素出力電極V1での容量
C2 画素出力電極V2での容量
PG 電荷変換領域
TX1,TX2 電荷転送ゲート
V1,V2 画素出力電極
ΔV1,ΔV2 画素出力電極での出力電圧
T0 パルス幅
Td 反射光の遅れ時間
Iph 反射光による光電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射光を出射する発光手段と、該投射光の投射空間からの反射光を受光して、該投射空間の人物までの距離に応じた距離情報を複数の受光部からそれぞれ出力するTOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像センサとを有する人物動作検出装置であって、
該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する人物動作検知制御手段を有する人物動作検出装置。
【請求項2】
前記人物動作検知制御手段は、
該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成手段と、
該複数の距離フレームについてそれぞれのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算手段とを有する請求項1に記載の人物動作検出装置。
【請求項3】
前記人物動作検知制御手段は、
該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成手段と、
少なくとも2つの該距離フレームに基づいて、前記人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成手段と、
該複数の距離フレームについてそれぞれ該距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算手段とを有する請求項1に記載の人物動作検出装置。
【請求項4】
前記人物との距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分から、該人物との距離の変化の有無を検出する距離変位検出手段を更に有する請求項2または3に記載の人物動作検出装置。
【請求項5】
前記人物との距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分が所定の閾値未満である状態が所定の時間以上または所定のフレーム数以上継続した場合に、該人物の距離情報が平衡状態にあると判定する距離平衡状態判定手段を更に有する請求項3に記載の人物動作検出装置。
【請求項6】
前記距離平衡フレーム生成手段は、前記距離平衡状態判定手段が距離平衡状態にあると判断した場合に、少なくとも2つの距離フレームの時間平均を算出して距離平衡フレームを生成する請求項5に記載の人物動作検出装置。
【請求項7】
前記距離平衡フレーム生成手段は、前記人物が撮像範囲内にいる場合において、遊具装置の指示により該人物を該撮像範囲の右側または左側に移動させて、該撮像範囲の左側または右側半分の該撮像範囲に人物がいない一方側半分の距離平衡フレームを生成し、該人物を該撮像範囲の左側または右側に移動させて、該撮像範囲の右側あるいは左側半分の撮像範囲に該人物がいない他方側半分の距離平衡フレームを生成して、それらの撮像範囲に該人物がいない距離平衡フレームを合成することにより距離平衡フレームを生成する請求項3に記載の人物動作検出装置。
【請求項8】
前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分を演算し、距離情報が平衡状態にある背景からの距離の変化の有無により人物を検出するフレーム差分演算手段を有する請求項5に記載の人物動作検出装置。
【請求項9】
前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分により検出した人物の距離情報から前記人物の中心座標を求める中心座標検出手段を有する請求項8に記載の人物動作検出装置。
【請求項10】
前記中心座標検出手段は、前記距離フレーム間の中心座標の移動量を求める請求項9に記載の人物動作検出装置。
【請求項11】
前記中心座標検出手段は、前記距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、該距離フレームと前記距離平衡フレーム間のフレーム差分により求めた中心座標から、該距離変位と該中心座標の相対位置を演算する請求項10に記載の人物動作検出装置。
【請求項12】
前記中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸の重心座標を前記中心座標として算出する請求項9に記載の人物動作検出装置。
【請求項13】
前記中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸方向の最大値および最小値から中点を前記中心座標として算出する請求項9に記載の人物動作検出装置。
【請求項14】
前記中心座標検出手段は、検出した人物の身体全体の距離情報から、人物の輪郭上の各点からの距離の和が最小となる点を前記中心座標として算出する請求項9に記載の人物動作検出装置。
【請求項15】
前記距離平衡フレーム生成手段は、前記距離平衡フレームの生成処理を、装置起動時、初期化時または所定時間毎に行う請求項3または6に記載の人物動作検出装置。
【請求項16】
前記発光手段は、前記投射光として近赤外のパルス光を一定周期で前記投射空間に投射する請求項1に記載の人物動作検出装置。
【請求項17】
前記受光部は、光電変換部が中央に設けられ、該光電変換部の中心に対する点対称位置に、互いに相反するゲート信号が入力される二つの電荷転送ゲートをそれぞれ介して2つの画素出力電極V1,V2が設けられ、該二つの画素出力電極V1,V2から、前記人物までの距離に相当した光の飛行時間に依存して分配された信号電荷をそれぞれ出力する請求項1に記載の人物動作検出装置。
【請求項18】
前記二つの画素出力電極V1,V2からの前記信号電荷はそれぞれ前記人物までの距離に応じた出力電圧情報に変換されて、前記TOF式距離画像センサから前記距離情報としてそれぞれ出力される請求項17に記載の人物動作検出装置。
【請求項19】
前記人物までの距離Lが、既知の光速をcとして該人物までの光の飛行時間Tを検出して、L=(1/2)・c・Tから求められている請求項1または17に記載の人物動作検出装置。
【請求項20】
前記距離情報は、前記受光部に対応した画素毎の立体的な複数点の距離情報である請求項1〜3、5および18のいずれかに記載の人物動作検出装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の人物動作検出装置と、該人物動作検出装置からの人物の距離の変化量とその変化方向の動作情報を用いて、ゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御するアプリケーションプロセッサとを有する遊具装置。
【請求項22】
前記アプリケーションプロセッサは、前記人物の動作の詳細情報を取得するために、連続して取得されるフレーム差分情報を比較して、該人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび動作の加速度ベクトルの各種情報を抽出する人物動作検知手段を有する請求項21に記載の遊具装置。
【請求項23】
前記動作領域の位置情報は前記距離フレームの水平方向および垂直方向のXY座標位置および距離から立体的に求められ、前記人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルは、該動作領域の平均移動距離、該動作領域の重心位置の移動距離および該人物の特定部位位置の移動距離のいずれかから求められる請求項22に記載の遊具装置。
【請求項24】
前記人物が行う動作の身体部位の時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかに関して期待値を有しており、該期待値と合致する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかの距離情報を含む距離フレームに限定して前記人物動作検知手段による処理を行う請求項22に記載の遊具装置。
【請求項25】
前記人物の中心座標の移動量が、前記期待値から設定した閾値以上であった場合に該人物の「全身移動があった」と判定し、また、該人物の中心座標の移動量が該閾値未満であった場合に該人物の「全身移動がなかった」と判定する中心座標移動判定手段を有する請求項22または24に記載の遊具装置。
【請求項26】
前記中心座標と前記距離フレームの差分の距離変位の相対的な位置関係から、動作した人物の身体部位を判定する身体部位判定手段を有する請求項22または24に記載の遊具装置。
【請求項27】
前記身体部位判定手段は、前記距離フレーム間のフレーム差分により検出した距離変位が、前記中心座標より右上であれば右腕の動作、前記中心座標より左上であれば左腕の動作、前記中心座標より右下であれば右足の動作、前記中心座標より左下であれば左足の動作であると判定する請求項26に記載の遊具装置。
【請求項28】
前記身体部位判定手段は、その判定結果として身体部位が存在する時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかと前記期待値とを比較して、該少なくともいずれかが該期待値と一致する場合は該身体部位に「期待動作があった」と判定し、また、該少なくともいずれかが該期待値と不一致の場合は該身体部位に「期待動作がなかった」と判定する請求項26または27に記載の遊具装置。
【請求項29】
前記期待値として、前記人物が何らかの行動を起こすことを期待されるタイミングを期待時刻とし、該人物が移動動作を行うことを期待される空間領域を期待存在空間とし、該人物が行うであろうと期待される動作の速さや方向が期待動作変化とする請求項24〜27のいずれかに記載の遊具装置。
【請求項30】
前記アプリケーションプロセッサは、前記人物の動作の時刻、空間領域および動作変化のうちの少なくともいずれかに関する期待値を有しており、該期待値と合致する人物動作を検知した場合に、無線または有線を介して、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させる体感刺激発生装置を有する請求項21に記載の遊具装置。
【請求項31】
従来の遊具装置に搭載されているゲームコントローラを使用することなく前記人物動作検出装置を用いて人物動作が検知され、当該人物動作の検知結果と前記期待値との比較処理が行わて、振動、光、音声および香りの少なくともいずれかを発生させる体感刺激発生装置を駆動させる請求項21に記載の遊具装置。
【請求項32】
発光手段から出射される投射光の投射空間からの反射光を受光して、該投射空間の人物までの距離に応じた距離情報をTOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像センサの複数の受光部からそれぞれ出力する人物動作検出方法であって、
該TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて人物の動作情報を検出する人物動作検知制御ステップを有する人物動作検出方法。
【請求項33】
前記人物動作検知制御ステップは、
前記TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、
該複数の距離フレームについてそれぞれのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有する請求項32に記載の人物動作検出方法。
【請求項34】
前記人物動作検知制御ステップは、
前記TOF式距離画像センサからの距離情報に基づいて時系列に複数の距離フレームを生成する距離フレーム生成ステップと、
少なくとも2つの該距離フレームに基づいて、前記人物に距離変化のない距離情報である距離平衡フレームを生成する距離平衡フレーム生成ステップと、
該複数の距離フレームについてそれぞれ該距離平衡フレームとのフレーム差分を演算し、該フレーム差分から該人物の動作情報として該人物の距離の変化量と変化方向を算出するフレーム差分演算ステップとを有する請求項32に記載の人物動作検出方法。
【請求項35】
前記人物の距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分から、該人物の距離の変化の有無を検出する距離変位検出ステップを更に有する請求項33または34に記載の人物動作検出方法。
【請求項36】
前記人物の距離をリアルタイムに計測し、少なくとも2つの距離フレームの間のフレーム差分が所定の閾値未満である状態が所定の時間以上または所定のフレーム数以上継続した場合に、該人物の距離情報が平衡状態にあると判定する距離平衡状態判定ステップを更に有する請求項34に記載の人物動作検出方法。
【請求項37】
前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分を演算し、距離情報が平衡状態にある背景からの距離の変化の有無により前記人物を検出するフレーム差分演算ステップを有する請求項36に記載の人物動作検出方法。
【請求項38】
前記距離フレームと前記距離平衡フレームのフレーム差分により検出した人物の距離情報から中心座標を求める中心座標検出ステップを有する請求項37に記載の人物動作検出方法。
【請求項39】
前記中心座標検出ステップは、前記距離フレーム間の中心座標の移動量を求める請求項38に記載の人物動作検出方法。
【請求項40】
前記中心座標検出ステップは、前記距離フレーム間の差分演算で求めた距離変位と、該距離フレームと前記距離平衡フレーム間のフレーム差分により求めた中心座標から、該距離変位と該中心座標の相対位置を演算する請求項38または39に記載の人物動作検出装置。
【請求項41】
前記中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸の重心座標を前記中心座標として算出する請求項38に記載の人物動作検出方法。
【請求項42】
前記中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、3次元空間の各座標軸方向の最大値および最小値から中点を前記中心座標として算出することを特徴とする請求項38に記載の人物動作検出方法。
【請求項43】
前記中心座標検出ステップは、検出した人物の身体全体の距離情報から、人物の輪郭上の各点からの距離の和が最小となる点を前記中心座標として算出する請求項38に記載の人物動作検出方法。
【請求項44】
請求項1〜20のいずれかに記載の人物動作検出装置からの人物の距離の変化量とその変化方向の動作情報を用いて、アプリケーションプロセッサがゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御するゲーム実行ステップを有するゲーム方法。
【請求項45】
前記人物の動作詳細情報を取得するために、連続して取得されるフレーム差分情報を比較して、該人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルの各種情報を抽出する人物動作検知ステップを更に有し、前記人物の距離の変化量とその変化方向の情報と共に、該人物の動作領域の位置情報、該人物の動作の速度ベクトルおよび加速度ベクトルの各種情報を用いて、前記ゲーム実行ステップとして、前記アプリケーションプロセッサがゲーム内の登場人物の動作やイベントの発生に反映させるようにゲームを制御する請求項44に記載のゲーム方法。
【請求項46】
請求項32〜43のいずれかに記載の人物動作検出方法のステップをコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム。
【請求項47】
請求項44または45に記載のゲーム方法のステップをコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム。
【請求項48】
請求項46または47に記載の制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−27707(P2011−27707A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275952(P2009−275952)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】