説明

低k誘電体膜用の紫外線硬化法

【課題】熱の費用に悪い影響を与えることなく、機械的特性を向上できる、低k誘電体の形成方法の提供。
【解決手段】基板の表面上に低k誘電体を形成する方法であって、表面上に低k誘電体を成膜し、低k誘電体の機械的特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線に低k誘電体を露光して、これによって、この機械的特性を、紫外線に露光されない低k誘電体の対応する機械的特性や、炉で硬化される低k誘電体の対応する機械的特性や、紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる低k誘電体の対応する機械的特性と比べて相当向上させ、この際、過度の活性化エネルギーには、過度のホットプレートベークシーケンス、炉の硬化、焼鈍硬化、複数の温度の硬化プロセス又はプラズマ処理であって、紫外線照射に先立つものが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、半導体装置に用いる誘電体膜に関し、より具体的には、低k誘電体膜用の紫外線硬化法(UVキュアプロセス)に関する。
【背景技術】
【0002】
進んだ半導体製造分野では、全体的にキャパシタンスのクロストークを減らすように、90ナノメーター(nm)以下の設計ルールでの集積回路の今後の製造のため、低k値の誘電体を必要としている。「低k誘電体」は、一般に、例えばSiO2のような酸化ケイ素よりも低い誘電率を有する材料をいう。即ち、一般に、これは約3.9より小さい誘電率を有する。より典型的には、進んだ設計ルールでは、低k誘電体の誘電率は3.0より小さく選ばれており、しばしば2.5より小さい。誘電体膜は、一般に、スピン−オン法や化学気相堆積(CVD)法を用いて、成膜(蒸着)されたり、形成されている。
【0003】
低誘電率を得るために、低誘電率を有する材料を用いるか、及び/又は、膜に空隙率(porosity)を導入することができる。空気の誘電率は1.0なので、空隙率を上昇させると、誘電率を効果的に減少できる。しかしながら、膜の空隙率を上昇させることは、熱と機械的特性に直接的な影響を与え、それは、バックエンド(BEOL:Back End Of Line)処理のストレスに耐えなくてはならない。例えば、スピン−オン法や化学気相堆積法を用いて、低k誘電体膜を成膜した後、ベーク(スピン−オン材料)と、続いて硬化プロセスが一般に行われている。ベークプロセスでは、一般に、成膜プロセスの後すぐに、(単一のウエハの)ホットプレート上で幾つかの加熱ステップを行う。このベークプロセスは、残留成分と溶媒を除いて、さらなる処理のために低k誘電体膜を一層硬くするために用いられている。次に硬化プロセスが行われるが、大抵、炉内で行われる。一般のベークと硬化プロセスでは、ウエハを好ましくないような延長した時間、高い温度(例えば1〜数時間にわたって、約300℃より高い温度)にさらしている。このような温度は、製造者にとって許容できる熱の費用を超え、要求に合わない。しかも、このように硬化された誘電体は、熱と機械的特性が影響を受けることに加えて、比較的に劣ったウェットエッチングレジスタンスを有するので、このような分野では、一般に、改良が望まれている。
【0004】
さらに、幾つかの低k誘電体は、触媒やエネルギーによって作用を受けることがある他の化学反応体を備えて、熱や他のエネルギー源にさらされることがあるが、このエネルギー源として、例えば、複数の高温のベーク、炉の硬化、焼鈍(アニール)硬化、プラズマ露光、電子ビーム露光、化学物質へ暴露や、複数の温度の硬化プロセスで、硬化プロセスを起こすために紫外線照射より前に行われるものがあるが、それは、これらに限定されない。
【0005】
ウァルドフリッド(Waldfried)と他の者による特許文献1には、低k誘電体を硬化するために、紫外線を照射することについて開示されている。この紫外線硬化は、典型的に、通常のベークプロセスの後で、ホットプレート上で行われるが、一層長い加熱期間と一層高い温度に低k誘電膜を既にさらして、触媒や他の化学反応物を作用させて、熱の費用を好ましくないようにしている。
【特許文献1】米国特許第6,756,085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、集積回路の製造工程では、低k誘電体の一体化をさらに向上することが依然として求められている。特に、誘電率に悪い影響を与えることなく、誘電体の機械的特性を向上できる改良が求められている。さらに、特定の技術的な節目で必要とされる熱の費用に悪い影響を与えることなく、改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法について説明する。実施形態の一つでは、基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法は、前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、前記低k誘電体の機械的特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線に前記低k誘電体を露光し、これによって、前記機械的特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する機械的特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する機械的特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する機械的特性と比べて、向上させる。
【0008】
低k誘電体を紫外線に露光する際、このプロセスでは、紫外線への露光の前に過度の活性化エネルギーに低k誘電体をさらすことを避けて、これにより、紫外線の露光の前に、低k誘電体内にある触媒や化学反応物を有効のままにする。実施形態の一つでは、ガス圧入、スピン−オン、又は、低k誘電体を何らかの活性化エネルギー源へさらすことに続いて、触媒や化学反応物を注入することが考えられるが、しかし、紫外線に低k誘電体を露光する前か同時にして、紫外線露光中に触媒や化学反応物が存在するようにする。
【0009】
他の実施形態では、低k誘電体の形成方法は、基板の表面上に低k誘電体を成膜し、低k誘電体に紫外線を露光するが、この際、成膜と露光のステップは、97%以上の架橋結合効率を提供し、低k誘電体を形成するのに効果的なようにする。
【0010】
さらに他の実施形態の方法では、前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、前記低k誘電体の弾性率特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線を前記低k誘電体に露光して、これによって、前記弾性率特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する弾性率特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する弾性率特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する弾性率特性と比べて相当向上させるが、前記過度の活性化エネルギーには、炉の硬化、焼鈍硬化、又は複数の温度の硬化プロセスであって、前記紫外線照射に先立つものが含まれる。このプロセスでは、紫外線への露光の前に、低k誘電体に過度の活性化エネルギーをさらすことを避けて、紫外線の露光の前に低k誘電体内にある触媒や化学反応物を有効のままにして、この架橋結合を向上させる。あるいは、ガス圧入、スピン−オン、又は、低k誘電体を何らかの活性化エネルギーへさらすことに続いて、触媒や化学反応物を導入してもよいが、しかし、低k誘電体を紫外線に露光する前か同時にする。
【0011】
さらに他の実施形態の方法では、表面上に低k誘電体を成膜し、前記低k誘電体の硬度特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線を前記低k誘電体に露光して、これによって、前記硬度特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する硬度特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する硬度特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する硬度特性と比べて相当向上させるが、前記過度の活性化エネルギーには、炉の硬化、焼鈍硬化、又は複数の温度の硬化プロセスであって、前記紫外線照射に先立つものが含まれる。このプロセスは、紫外線への露光の前に、低k誘電体に過度の活性化エネルギーをさらすことを避けて、紫外線の露光の前に低k誘電体内にある触媒や化学反応物を有効のままにする。本発明では、このような触媒や化学反応物を紫外線の露光への前に好ましくないように作用することが起こり得ることが解ったので、望ましくは、紫外線への露光の前に低k誘電体に過度の活性化エネルギーをさらすことを避ける。従って、紫外線への露光の前に、低k誘電体内にある触媒や化学反応物は有効のままとなる。あるいは、低k誘電体を何らかの活性化エネルギーへさらすことに続いて、触媒や化学反応物を導入してもよいが、しかし、紫外線に低k誘電体を露光する前か同時にする。
【0012】
さらに他の実施形態では、基板上に被覆される、硬化される低k誘電体の形成方法では、表面上に前記低k誘電体を成膜し、炉の硬化、焼鈍硬化、又は、複数の温度の硬化プロセスからの過度の活性化エネルギーに前記低k誘電体をさらすことを避けて、前記低k誘電体を効果的に硬化させる時間と強さで紫外線に前記低k誘電体を露光させる。
【0013】
本明細書で説明した方法は、通常、利用されているスピン−オンの低k誘電体やCVD成膜の低k誘電体に適する。但し、シリカゼオライト系の新たに開発された低k誘電体に関する実施形態については特別な注意を要する。米国特許第6,573,131号公報には、半導体装置内の誘電体として、シリカゼオライトの低k誘電体薄膜を用いる場合について開示されている。この低k誘電体やシリカゼオライト膜、例えばNCS(nano-clustered silica)の新しい種類は、基板上の適当な溶媒内で、シリカ源と触媒(これはコマンダーやゼオライト形成構造誘導剤としても参照可)を含む材料をスピン−コートすることで成膜される。このようなゼオライト低k誘電体の形成方法には、単一のベークステップ(約150℃まで)が含まれるが、これは、成膜プロセスのすぐ後で、紫外線硬化法の前に行われて、溶媒のほとんどを取り除くが、低k誘電体薄膜内に存在する触媒のほとんどを保つように行われる。続く紫外線硬化法中に触媒が存在することで、低k誘電体の架橋結合効率を向上して(これはまた、構造の向上としても参照可)、これによって、望ましい機械的特性の向上、望ましい硬度特性の向上、及び/又は、望ましい弾性率特性の向上を得ることができる。
【0014】
以下、上述した特長とさらなる特徴について、以下に示す詳細な説明と図を用いて説明する。
【0015】
図について説明すると、これらは例示的な実施形態に関するものであって、同じ部品については、同様に番号がふられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の低k誘電体用の紫外線硬化法について説明する。この方法は、一般に、任意の手段によって、適当な基板上に低k誘電体を成膜させて、100ナノメーターより大きく400ナノメーターより小さい、一つ又は複数の波長からなる紫外線に低k誘電体を露光させることで、これを硬化させ、この際、紫外線への露光とは別の活性化エネルギーに低k誘電体をさらすことを最小にするか、及び/又は、なくす。本明細書で用いられる“活性化エネルギー”の用語は、一般に、誘電体の分子結合ネットワークに影響を与えるエネルギー源を指す。例えば、活性化エネルギー源は、本明細書では、ホットプレート、焼鈍用の炉、及び同様物に対して誘電体をさらす時に起こり得るような熱エネルギー源や、又はプラズマを用いるプロセス中に光子及び/又は電子に誘電体をさらす時に起こり得るような陽子と電子のエネルギー源や、さらに他の同様物でもよいが、これらに限定されない。
【0017】
以下において詳述するように、低k誘電体を活性化エネルギーにさらすと、紫外線硬化法の効率を低下させることが予期せずに見出された。理論に拘束されることを望むのではないが、考えられているところによると、活性化エネルギーは、触媒が存在する場合、触媒の作用を介して、又はそうでなくても、分子結合ネットワーク構成を変化させて、修正されたネットワーク構造をフリーズさせて、このため、続く紫外線硬化法では誘電体を効果的に架橋結合させないと考えられている(例えばSQ(silsequioxane)系の誘電体用にSi-O結合を形成する)。この結果、低k誘電体内の移動度はかなり減り、続く硬化では、低k誘電体の最大の硬度と弾性率特性を得ることが出来ない。低k誘電体を成膜させた後で、但し、紫外線への露光の前に、任意の活性化エネルギーにさらすことをなくしたり、及び/又は、最小にすることで、この誘電体の機械的特性を、硬化されない誘電体と比べて、又は、紫外線への露光の前に、活性化エネルギーの相当量にさらされる誘電体と比べて、向上できることが予期せずに見出された。長所として、紫外線硬化法は、低k誘電体の誘電率に悪い影響を与えない。
【0018】
活性化エネルギーにさらすことを最小にする際、望ましくは、活性化エネルギーの任意の源にさらすことを最小にするが、しかしこれには、誘電体を含む膜を形成することを含んでいてもよい。例えば、スピン−オン誘電体は、一般的に溶媒類である。一度、基板上に被覆されると、被覆された誘電体には、一般的に、溶媒を取除き、膜を設定するため、複数の段階からなるホットプレートのベーク法が用いられる。このホットプレートベーク法は、一般的に誘電体の特定のタイプに合わせられ、典型的に、所定の時間で、温度を段階的に上昇させることを含む。例を示すと、MSQ(methylsilsesquioxane)スピン−オン低k誘電体の通常のホットプレートのベーク法では、被覆された膜を1分間100℃で加熱して、次に被覆された膜を1分間150℃で加熱し、さらに被覆された膜を1分間200℃で加熱することができる。従来技術では、これら段階状の加熱温度にさらした後でだけ、紫外線に被覆を露光させていた。本発明の出願人は、追加の加熱段階は、紫外線露光の架橋結合効率に影響を及ぼすことができることを発見した。また、活性化エネルギーにさらすことを最小にするか、及び/又は、なくすことで、紫外線露光に関する架橋結合効率を向上できることが解った。ここで示す例では、段階状に温度にさらす替わりに、上記例で、3つの段階より少なくしたり、各段階の継続時間を1分より短くするように、露出を最小にすると、紫外線照射パターンへの露光からの架橋結合効率を向上できることが解った。例えば、MSQ誘電体のスピンコートの後で、紫外線への露光の前に、この材料を1分間100℃(又は所望の温度と時間)に加熱できる場合、残留溶媒を最小にして、安定した被覆を十分に形成することができる。安定した被覆は、紫外線を用いて効率的な架橋結合を可能とするので、誘電率に悪い影響を与えることなく、機械的特性を最大にできる。幾つかの低k誘電体では、紫外線照射パターンに露光する際、誘電率を効果的に減少させる。
【0019】
実施形態の一つでは、紫外線への露光の前に、熱的活性化エネルギーにさらすこと(時間及び/又は温度に関して)を最小にすることで、紫外線硬化法の効率を向上させる。他の実施形態では、紫外線への露光の前に、低k誘電体内に存在することがある何らかの触媒又は化学反応物の作用を最小にすることで、紫外線硬化法の効率を向上させる。さらに他の実施形態では、熱又は他のエネルギー源によって提供されることがある活性化エネルギーに対して低k誘電体をさらすことを最小にすることで、紫外線硬化法の効率を向上させるが、上記エネルギー源として、例えば、複数の高温のベーク、炉の硬化、焼鈍硬化、プラズマ露光、電子ビーム露光、又は化学物質へ暴露が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で開示した方法の効果的な結果は、低k誘電体の成膜の仕方に依存しない。例えば、低k誘電体は、化学気相堆積法(CVD)によって、スピン−コートされて、成膜されてもよく、又は同様の手段によって成膜されてもよい。
【0021】
同様に、この方法は、一般的に、用いられる低k誘電体の種類に依存しない。適当な低k誘電体の種類には、通常利用されているスピン−オン低k誘電体やCVD成膜される低k誘電体が含まれるが、これらに限定されない。これら低k誘電体は、有機材料や、無機材料、又はこれらの組合せでもよい。より特徴的には、適当な低k誘電体として、ハイドロジェンシルセスキオサン(HSQ:hydrogen silsesquioxane)、MSQのようなアルキルシルセスキオキサン(alkyl silsesquioxane)誘電体、カーボンドープドオキサイド(CDO:carbon doped oxide)誘電体、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド(SiCOH)誘電体、BCB(benzocyclobutene)誘電体のようなB-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン(arylcyclobutene)系誘電体、ポリフェニレン系誘電体、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性(ポーラス)シリカ、シリカゼオライト、上記誘電体の多孔性派生物、及びこれらの組合わせを含むことができる。多孔性派生物、即ち、メソ多孔性又はナノ多孔性は、ポロゲン形成の多孔や、溶媒形成の多孔、又は、分子工学で形成された多孔でもよく、これは相互連結されたり、閉鎖されていてもよく、また、不規則的又は規則的に配置されていてもよく、例えば、垂直方向の多孔でもよい。
【0022】
上述したように、低k誘電体内のネットワーク結合構成を向上するために、低k誘電体には、触媒又は他の化学反応物を含ませていてもよいが、含ませていなくてもよい。尚、シリカゼオライト類の低k誘電体に関しては、特別な注意を要する。この比較的に新しい種類の低k誘電体つまりシリカゼオライト膜は、例えば、日本のCCIC社(Catalysis & Chemicals Ind. Co.)のNCSから得られるが、これは、基板上の適当な溶媒内に存在するシリカ源と触媒(これはコマンダーやシリカゼオライト形成構造誘導剤としても参照可)を含む材料をスピン−コートすることで成膜される。米国特許第6,573,131号公報には、上記シリカゼオライト低k誘電体薄膜の形成と、半導体装置内での誘電体の使用について開示されている。この特許文献に教示されているように、ゼオライト低k誘電体の形成には、成膜プロセスの後になされる幾つかの加熱段階が含まれる。これら加熱段階は、一般に約350℃〜550℃の温度での加熱を含み、熱処理(calcinations)としても参照できる。他の従来技術では、炉又は紫外線硬化に続いて、三段階のベークプロセスを用いている。この三段階のベークプロセスでは、150℃の第一段階、250℃の第二段階、最後に350℃の第三段階での加熱を含む。本発明の出願人は、一度、ゼオライト低k誘電体が上記加熱プロセス/シーケンスにさらされると、材料内に触媒が残らず、ゼオライト(又は構造)が不可逆的になることを見出した。さらに、ベークプロセスの後で紫外線硬化にさらすと、低k誘電体の架橋結合は、硬度特性、弾性率特性又は誘電率値(k-値)に関してはっきりとした向上を示さなかった。これに対し、本発明に従う上記ゼオライト低k誘電体の形成方法では、紫外線硬化法の前に、限られた温度(特に好ましくは、150℃以下)でかつ限られた露出時間でベークステップを含み、溶媒のほとんどを除くが、低k誘電体膜内に存在する触媒のほとんどを維持する。後の紫外線硬化法中に触媒が存在するので、向上された機械的特性、向上された硬度特性、また向上された弾性率特性を導くように、構造(これは架橋結合効率としても参照可)を向上できる。
【0023】
スピンコート分野では、低k誘電体を定めるモノマー、モノマー混合物、及び/又は、ポリマーは、多くの仕方で、溶媒化したり、任意の適当な溶媒に溶解させてもよいが、得られる溶液が、基板、ウエハ、又は層状材料上で、スピンコートされたり、又は機械的に層状にされるようにする。従来技術では、誘電体をスピンコートする多くの仕方があるが、これら既知の方法の全てを適切に考慮できる。
【0024】
好適な溶液は、ウエハ、基板又は層状物質上で、スピンコートされたり、ロールされたり、ドリップされたり、スプレーされるように構成されて、意図される。特に好適な溶液は、ウエハ、基板又は層状物質上でスピンコートされるように構成される。典型的な溶媒は、誘電体、層状成分、又は電子成分の分野で速やかに入手可能な溶媒である。想定される溶媒には、任意の適当な、純粋又は混合形態の、有機、有機金属又は無機分子であって、所望の温度で揮発されるものが含まれる。また溶媒は、任意の適当な、純粋な又は混合形態の、極性又は非極性の成分を含んでいてもよい。好適な実施形態では、溶媒には、水、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、エーテル、シクロヘキサノン、ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、ポリエチレングリコールメチルエーテル(polyethyleneglycolmethylether)、メシチレン、及びアニソールが含まれる。
【0025】
さらに、本明細書で説明される紫外線プロセスは、一般的に、用いられる基材(基板)の種類に依存しない。誘電体を被覆するのに適当な基材には、任意の所望な実質的に固体の材料が含まれていてもよい。特に望ましい基材の層には、膜(フィルム)、グラス、セラミック、プラスチック、金属、又は被覆金属、あるいは複合材料が含まれる。幾つかの実施形態では、基材は、シリコンやガリウム砒素ダイ又はウエハ表面、銅、銀、ニッケル又は金をプレートしたリードフレームに見られるようなパッケージ面、回路基板やパッケージ接続トレース、バイア−ウォール又はスティフナインターフェースに見られるような銅の表面(“銅”にははだかの銅と、この酸化物を含むことが考えられる)、ポリマー系フレックスパッケージ、リード又は他の金属合金はんだくず面、グラス及びポリマーに見られるようなポリマー系パッケージやインターフェースボードを含むことができる。他の実施形態では、基材は、シリコン、銅、グラス、及びポリマーのような、パッケージと回路基板産業で共通の材料を含む。
【0026】
上述したように、ベークステップ中に、活性化エネルギーに前もってさらすことを最小にしたり、なくして、紫外線を用いて低k誘電体を硬化することで、炉で焼鈍された低k誘電体や過度の量の活性化エネルギーにさらされた材料と比べて、特性を向上できることが解った。活性化エネルギーは、熱や他のエネルギー源を介して提供されてもよいが、エネルギー源として、例えば、複数の高温のベーク、炉の硬化、焼鈍硬化、プラズマ露光、電子ビーム露光、化学物質へ暴露があるが、これに限定されない。特に、低k誘電体の誘電率を悪化させるように変化させることなく、紫外線照射の関数として、弾性率特性と機械硬度特性を向上できることが解った。さらに、この紫外線硬化法は、炉の焼鈍の硬化法と比べて、全体的に熱の費用を低減することが可能になった。
【0027】
本発明の出願人は、低k誘電体の弾性率及び/又は材料硬度を上昇させるため、誘電率を上げることなく、弾性率及び/又は材料硬度を効果的に上昇させる時間と強さで紫外線を低k誘電体に露光した。活性化エネルギーに前もってさらすことをなくすか及び/又は最小にすることで、紫外線硬化法の効率が、予期せずに向上した。また、この紫外線硬化法は、例えばウェットエッチングレジスタンスのような、化学的安定性も向上させることが解った。さらに、幾つかの材料では、誘電率は、紫外線露光の関数として減少する。
【0028】
実施形態の一つでは、この方法は、任意の手段によって低k誘電体の安定した膜を形成するが、この際、このように形成された低k誘電体は、第一誘電率、第一弾性率、及び第一材料硬度を有するものとする。低k誘電体は、次に、紫外線照射パターンに露光されて硬化されて、紫外線硬化された誘電体を生じさせるが、これは、第一誘電率と匹敵する第二誘電率と、第一弾性率よりも大きな第二弾性率及び/又は第一材料硬度よりも大きな第二材料硬度を有する。ここで“匹敵する”とは、第一誘電率の約±20%内に収まることをいう。実施形態の一つでは、紫外線硬化法の結果として、誘電率を効果的に減少させる。また、第二の弾性率及び/又は材料硬度特性の向上を、相当改善できる。
【0029】
紫外線硬化された誘電体の弾性率及び/又は材料硬度は、炉で(熱的に)硬化された同じ材料や、硬化されない誘電体や、過度の量の活性化エネルギーにさらされるものと比べて、向上される。炉で硬化されたり、硬化されない低k誘電体は、典型的に、誘電率が約1.6〜約2.7の間にある時、約0.5Gpa〜約8Gpaの間の弾性率を有する。一方、紫外線硬化された誘電体の弾性率は約2.5Gpa以上あり、より典型的には、約4Gpa〜約12Gpaの間にある。炉で硬化されたものや硬化されない膜の材料硬度は、約0.1Gpaである。一方、紫外線硬化された誘電体の材料硬度は、約0.25Gpa以上あり、より典型的には、約0.25Gpa〜約1.2Gpaの間にある。図3と4を参照すると、NCSの低k誘電体用に得られた弾性率の値をグラフ状に示しているが、これらは、夫々、炉の硬化、全ベークシーケンスの後で行われた通常の紫外線硬化、部分的なベークシーケンス(150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階)の後で行われた紫外線硬化、部分的なベーク(単一の150℃の第一ベーク段階)の後で行われた紫外線硬化に関する。通常の炉の硬化の後で得られた弾性率は、4.0Gpaであった。前もって全ベークシーケンスを行った紫外線硬化の後の弾性率は4.6Gpaであり、最適なように部分的ベーク(単一の150℃の第一ベーク段階)の後のものは5.9Gpaであったが、これは約40%かこれ以上向上された。
【0030】
誘電率を有害なように向上させることなく、弾性率と硬度特性を有効に向上させることに加えて、ウェットエッチレジスタンスを向上させるために紫外線硬化法を用いることができ、得られた紫外線硬化された誘電体は、向上された化学的安定性と向上された寸法の安定性を有する。尚、向上された“化学的安定性”とは、紫外線硬化された誘電体が化学物に対してより耐性を示すことを意味し、この化学物には、例えば、洗浄溶液、化学的ポリッシング溶液や、プラズマを介したアッシング(灰化除去)やエッチングプロセス中に起こり得るプラズマダメージが含まれる。
【0031】
例えば、リトグラフの後、ウェットエッチングプロセスを用いて、低k誘電体の層を含む基材の部位を選択的に除くようにしてもよい。典型的に、基材は、希釈水溶液のフッ化水素酸のバスのようなストリッパー内に浸される。他のウェットストリッパーにとして、当業者には公知なような酸、ベース、及び溶媒が含まれる。特別なウェットストリッパーを用いることも、当業者には可能であると思料する。例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、フッ化水素酸が、ウェットストリッパーとして一般的に用いられている。操作中、ウェットストリッパーは、基材上で、浸されるか、濁らされるか、流されるか、スプレーされるか、同様の処理を行われて、この後、純水でリンスされる。以下の例で詳述するように、紫外線硬化された低k誘電体は、紫外線硬化法がされない同じ材料と比べて、向上されたウェットエッチレジスタンスを有する。
【0032】
紫外線硬化法では、紫外線放射具を用いることができる。適当な紫外線放射具として、アクセリス テクノロジー社(Axcelis Technologies, Inc.)から商業的に入手可能となっている道具のラピッドキュア(登録商標)がある。使用中、まず、光源チャンバーを、窒素、ヘリウム又はアルゴンのような不活性ガスを用いてパージ(浄化)することができ、スペクトルの吸収を最小にして、隣接するプロセスチャンバーに紫外線を送るようにする。安定した誘電体を含む基材をプロセスチャンバー内に配置して、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオン水蒸気、COZ、OZ、CXHY、CXFY、CXHZFY、及びこれらの混合物のようなプロセスガスを用いて別にパージされるが、ここで、Xは1〜6の間の整数、Yは4〜14の間の整数、Zは1〜3の間の整数として、様々な分野で用いることができる。これに関し、紫外線硬化は、真空状態や、酸素や酸化性ガスの存在しない状態で生じることができる。尚、用語“安定”は、一般的に、基材上に誘電体の層を形成するのに必要な、活性化エネルギーの最小量として定められる。これにより、膜は、他のものより良好な粘着性を示す。
【0033】
実施形態の一つでは、水素とヘリウムガスの混合を用いてプロセスチャンバーをパージする。この際、利用形態に基づいて、様々なスペクトル分布で紫外線を生じさせる電球を選んでもよい。紫外線光源には、極超短波(マイクロ波)操作、アーク放電、誘電バリア放電、電子衝撃による生成、又は同様の手段を利用できる。紫外線露光中、選択的に、赤外線光源、光学的光源、熱面(ホットサーフェス)又は紫外線光源自体を用いて、基材の温度を約室温から約450℃まで制御してもよい。プロセス圧力は、大気圧より小さくてもよく、大きくてもよく、又はほぼ等しくてもよい。紫外線パワーは、例えば、300秒以下の露出で、約0.1〜約2,000mW/cmである。
【0034】
低k誘電体は、約300秒以上紫外線に露光されず、より好ましくは、約60秒〜約180秒の間で露光される。また、紫外線処理は、約室温〜約450℃の間の温度で行われ、プロセス圧力は、大気圧より小さくてもよく、大きくてもよく、又はほぼ等しくてもよく、紫外線パワーは、約0.1〜約2000mW/cmの間であり、紫外線波長スペクトルは、約100〜約400nmの間である。さらに紫外線硬化された誘電体は、窒素、OZ、アルゴン、ヘリウム、水素、水蒸気、COZ、CXHY、CXFY、CXHZFY、空気及びこれらの混合物のようなプロセスガスのパージを用いて紫外線処理できるが、ここで、Xは1〜6の間の整数、Yは4〜14の間の整数、Zは1〜3の間の整数である。
【0035】
また、紫外線硬化された誘電体を上昇した温度でプラズマ状態に露光させる、他のタイプのポスト紫外線処理を用いることができる。典型的なプラズマ補助のポスト紫外線処理ではプロセスガスを用いるが、例えば、酸素、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、CXHY、フッ素を含むガス、及びこれらの混合物を様々な形態に応じて用いてもよく、この際、Xは1〜6の間の整数で、Yは4〜14の間の整数である。ウエハ温度は、約室温〜約450℃の範囲内で制御されてもよい。典型的に、紫外線硬化された誘電体は、約1トル〜約10トルの間のプロセス圧力でプラズマ処理される。
【0036】
ここで、次の表1を参照して、200mmと300mmのウエハ用の、典型的なプラズマ補助のポスト紫外線処理状態について例示する。
【表1】

【0037】
選択的に、低k誘電体の紫外線露光に続いて、熱硬化を行ってもよい。例えば、紫外線硬化されたプリメタル誘電体に対して、紫外線露光によって向上された機械的特性に影響を及ぼすことなく、(例えば30分間、400℃で、窒素雰囲気で)炉の硬化を行ったり、(例えば3〜5分間、420℃〜460℃で)ホットプレートの最終的な硬化ステップを行ってもよい。
【0038】
他の実施形態では、異なる波長を用いて、前もって紫外線硬化された低k誘電体に第二の紫外線処理を行って、より低い誘電率を有し、弾性率と機械硬度を保つか、さらに向上させる材料を得られるようにしてもよい。
【0039】
ここで、次の表2を参照して、紫外線硬化の多孔性低k誘電体膜の典型的な材料特性について例示する。
【表2】

【0040】
さらに、本明細書では、次の具体例を示すが、これらは、本発明を限定しない。
例1
この例では、JSRのLKD5537p−MSQの低k誘電体膜について、紫外線硬化処理を行う前、増大された量の熱にさらす場合の影響に関してテストした。この際、アクセリス ラピッドキュア(登録商標)320fc紫外線硬化具に、200mmのウエハを用いた。図1を参照すると、p−MSQ膜用の、熱の露出の関数として、架橋結合効率が示されているが、この際、紫外線露光の前に熱にさらしており、これはまた、紫外線露光の前に活性化エネルギーにさらすことの効果についてもサポートし、また、示している。
【0041】
例2
この例では、SiCOHの低k誘電体を用いたが、これはブラックダイアモンドのトレードマークで入手可能で、CVDにより成膜され、アプライドマテリアルから得た。SiCOHの低k誘電体を含むウエハを、紫外線への露光により架橋結合させた。ウエハの一部は、紫外線への露光の前に、プラズマ処理の形態で、活性化エネルギーにさらした。標準的な技術を用いて、この硬度と弾性率特性について測定したが、この結果は、次の表3に例示している。
【表3】

【0042】
この結果から、明らかに、プラズマ処理の形態で活性化エネルギーにさらされた誘電体と比べて、機械的特性が向上されることが示されている。さらに膜の厚さの測定とFTIR解析から、明らかに、プラズマ処理された低k誘電体膜は、成膜された低k誘電体膜の場合と対照的に、紫外線硬化中に、架橋結合が限定されることが示唆されている。
【0043】
例3
この例では、NCSの低k誘電体を含むウエハをCCICから入手して、評価した。このウエハは、膜を安定させるため、1分間150℃でホットプレートにさらされた。ウエハの一部は、次に、例1のように、紫外線照射パターンに露光された。残りのウエハは、製造者から推薦されているようにさらに熱処理を行ったが、これは、ウエハを1分間250℃でさらに加熱して、さらに1分間350℃で加熱することを含む。段階的な加熱シーケンスが終了した後、ウエハを紫外線に露光した。紫外線の強さと期間は、全ての処理されたウエハで同じである。また、スピン−トラック膜の成膜システム上でホットプレートベークを行ったが、この際、紫外線ライトを付けずに、所定の時間で、加熱チャック上にウエハを載せて、紫外線硬化チャンバー内でプレ加熱段階を行った。この結果は、次の表4に示されている。
【0044】
この結果から、明らかに、最終的なヤング率ではかなり異なることが示されている。さらに、活性化エネルギーの存在又は不在に基づいて、膜のFTIR特徴が相違している。ホットプレートベーク及びプレ加熱段階を除くことで、紫外線下で低k誘電体を架橋結合させることを一層向上することができる。次の表は、この比較の測定結果についてまとめている。
【表4】

【0045】
図2を参照すると、紫外線硬化法の前後のNCS材料のネットワークが示されている。
【0046】
図3を参照すると、NCSの低k誘電体用の波数ベクトルの関数として、フェース速度がグラフ状に示されているが、夫々、炉の硬化、全ベークシーケンスの後に行われる通常の紫外線硬化、部分的なベークシーケンス(150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階)の後に行われる紫外線硬化、部分的なベーク(一つの150℃の段階)の後に行われる紫外線硬化に関する。この結果、通常の炉の硬化後の弾性率は4.0GPaである。全ベークシーケンスでの紫外線硬化後の弾性率は4.6Gpaで、最適化された部分的なベーク(一つの150℃の段階)の後は5.9Gpaであったが、40%の向上が示された。
【0047】
図4を参照すると、NCSの低k誘電体の弾性率をグラフ状に示しているが、夫々、炉の硬化、全ベークシーケンスの後に行われる通常の紫外線硬化、部分的なベークシーケンス(150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階)の後に行われる紫外線硬化、部分的なベーク(単一の150℃のベーク段階)の後に行われる紫外線硬化に関する。
【0048】
図5を参照すると、150℃の第一段階と250℃の第二段階からなる部分的なベークプロセス後のNCSの低k誘電体のFTIRスペクトルと、単一の約150℃の加熱段階からなる部分的なベークプロセス後の同じNCSの低k誘電体のFTIRスペクトルについて示している。このスペクトルから、明らかに、部分的なベークプロセス後に、依然触媒が存在することが理解できる。
【0049】
他の例として、ハニーウェル社から入手可能な、所謂ナノグラスEの低k誘電体の、炉で硬化した膜と紫外線硬化した膜の双方がある。誘電率値(k値)は匹敵するが、弾性率は、次の表5から読み取れるように、50%以上向上した。
【表5】

【0050】
以上、例示した実施形態を参照して、本発明について説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行ったり、この部品を同様に取り替えることことができるであろう。さらに、特定の状態や材料に合わせて、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の技術思想に従って、多くの修正を行うことも可能である。即ち、この開示内容は、本発明を実施する上で好適な実施形態として本明細書で開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、この開示内容には、添付した特許請求の範囲内に含まれる全ての実施形態が含まれることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】紫外線露光の前に熱をさらした場合の、MSQ膜用の熱の露出の関数として、架橋結合効率をグラフ状に示した図である。
【図2】実施形態の一つに従って、紫外線硬化前後のNCS材料のネットワークについて例示した図である。
【図3】NCS低k誘電体用の波数ベクトルの関数として、フェース速度をグラフ状に示したものであり、炉の硬化、全ベークシーケンスの後に行われる通常の紫外線硬化、部分的なベークシーケンス(150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階)の後に行われる紫外線硬化、部分的なベーク(単一の150℃のベーク段階)の後に行われる場合ついて示した図である。また、弾性率についても示した図である。
【図4】NCS低k誘電体の弾性率をグラフ状に示したものであり、炉の硬化、全ベークシーケンスの後に行われる通常の紫外線硬化、部分的なベークシーケンス(150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階)の後に行われる紫外線硬化、部分的なベーク(単一の150℃のベーク段階)の後に行われる場合ついて示した図である。
【図5】150℃の第一ベーク段階と250℃の第二のベーク段階からなる部分的なベークプロセス後のNCS低k誘電体のFTIRスペクトルと、単一の約150℃のベーク段階からなる部分的なベークプロセス後の同じNCS低k誘電体のFTIRスペクトルについて示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法であって、
前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、
前記低k誘電体の機械的特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線に前記低k誘電体を露光し、これによって、前記機械的特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する機械的特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する機械的特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する機械的特性と比べて、向上させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記過度の活性化エネルギーの源には、複数の高温のベークプロセス、炉の硬化、焼鈍硬化、プラズマ露光、電子ビーム露光、化学物質へ暴露、又は紫外線露光前の複数の温度の硬化プロセスが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低k誘電体を成膜する際、前記低k誘電体を含む溶液のスピンコートを行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記低k誘電体を成膜する際、化学気相堆積法を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低k誘電体は、触媒及び/又は化学反応物を有し、前記活性化エネルギーにさらすことを最小にして、前記紫外線への露光の前に、前記触媒及び/又は化学反応物を有効のままにすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記低k誘電体を前記紫外線に露光する前、又は同時で、前記低k誘電体を任意の活性化エネルギーにさらした後に、触媒及び/又は化学反応物を注入することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記紫外線照射パターンは、100ナノメートルより大きく、400ナノメートルより小さな波長を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記低k誘電体を前記紫外線に対して露光する中及び/又はこの後で、前記基板をさらに加熱することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記低k誘電体は、ハイドロジェンシルセスキオサン、アルキルシルセスキオキサン、カーボンドープドオキサイド、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド、B-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン系材料、ポリフェニレン系材料、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性シリカ、シリカゼオライト、及びこれらのうち少なくとも一つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低k誘電体は、前記紫外線への露光の前後でほぼ同じ誘電率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記低k誘電体を前記紫外線に露光することで、前記誘電率を減少させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記機械的特性には、弾性率特性、硬度特性、又はこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
弾性率特性及び/又は硬度特性は、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する弾性率特性及び/又は硬度特性や、前記炉で硬化される前記低k誘電体の対応する機械的特性や、前記紫外線への露光前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する機械的特性と比べて、少なくとも約40%向上することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
弾性率特性及び/又は硬度特性は、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する弾性率特性及び/又は硬度特性や、前記炉で硬化される前記低k誘電体の対応する機械的特性や、前記紫外線への露光前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する機械的特性と比べて、少なくとも約50%向上することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法であって、
前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、
前記低k誘電体に紫外線を露光して、前記成膜と露光のステップにより、97%より大きい架橋結合効率を提供して、前記低k誘電体を形成することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記誘電体は、3.0より小さな誘電率を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記低k誘電体を成膜する際、前記低k誘電体を含む溶液のスピンコートを行うことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記低k誘電体を成膜する際、化学気相堆積法を行うことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記低k誘電体を前記紫外線に対して露光する中及び/又はこの後で、前記基板をさらに加熱することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記低k誘電体は、ハイドロジェンシルセスキオサン、アルキルシルセスキオキサン、カーボンドープドオキサイド、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド、B-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン系材料、ポリフェニレン系材料、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性シリカ、シリカゼオライト、及びこれらのうち少なくとも一つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記低k誘電体は、前記紫外線への露光の前後でほぼ同じ誘電率を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記低k誘電体を紫外線に露光することで、紫外線に露光されない前記低k誘電体と比べて、弾性率特性、硬度特性、又はこれらの組合せを向上させることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記低k誘電体は、触媒及び/又は化学反応物を含み、前記成膜ステップでは、前記低k誘電体を紫外線に露光するステップ中、前記触媒及び/又は化学反応物を有効のままにすることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法であって、
前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、
前記低k誘電体の弾性率特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線を前記低k誘電体に露光して、これによって、前記弾性率特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する弾性率特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する弾性率特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する弾性率特性と比べて相当向上させるが、前記過度の活性化エネルギーには、炉の硬化、焼鈍硬化、又は前記紫外線照射の前の複数の温度の硬化プロセスが含まれることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記低k誘電体は、ハイドロジェンシルセスキオサン、アルキルシルセスキオキサン、カーボンドープドオキサイド、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド、B-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン系材料、ポリフェニレン系材料、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性シリカ、シリカゼオライト、及びこれらのうち少なくとも一つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記低k誘電体は、前記紫外線への露光の前後でほぼ同じ誘電率を有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
基板の表面上に被覆される低k誘電体の形成方法であって、
前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、
前記低k誘電体の硬度特性を効果的に向上させる時間と強さで紫外線を前記低k誘電体に露光して、これによって、前記硬度特性を、前記紫外線に露光されない前記低k誘電体の対応する硬度特性や、炉で硬化される前記低k誘電体の対応する硬度特性や、前記紫外線の露光の前に過度の活性化エネルギーにさらされる前記低k誘電体の対応する硬度特性と比べて相当向上させるが、前記過度の活性化エネルギーには、炉の硬化、焼鈍硬化、又は前記紫外線照射の前の複数の温度の硬化プロセスが含まれることを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記低k誘電体は、ハイドロジェンシルセスキオサン、アルキルシルセスキオキサン、カーボンドープドオキサイド、フッ化珪酸塩ガラス、ダイアモンド状の炭素、パリレン、水素化シリコンオキシカーバイド、B-ステージ状ポリマー、アリルサイクロブテン系材料、ポリフェニレン系材料、ポリアリレンエーテル、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、多孔性シリカ、シリカゼオライト、及びこれらのうち少なくとも一つを含む組合せを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記低k誘電体は、前記紫外線への露光の前後でほぼ同じ誘電率を有することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
基板の表面上に被覆される硬化された低k誘電体の形成方法であって、
前記表面上に前記低k誘電体を成膜し、
炉の硬化、焼鈍硬化、又は、複数の温度の硬化プロセスからの過度の活性化エネルギーに前記低k誘電体をさらすことを避けて、
前記低k誘電体を効果的に硬化させる時間と強さで紫外線に前記低k誘電体を露光させることを特徴とする方法。
【請求項31】
シリカゼオライト低k誘電体の形成方法であって、
基板上に前記シリカゼオライト低k誘電体を成膜し、この際、前記シリカゼオライト低k誘電体は触媒を含み、
前記触媒を有効のままに保つ温度と時間で前記シリカゼオライト低k誘電体をベークして、
前記シリカゼオライト低k誘電体の構造を効果的にする時間と強さで紫外線に前記シリカゼオライト低k誘電体を露光させて、前記触媒を非作用にすることを特徴とする方法。
【請求項32】
前記ベーク温度は150℃以下であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記シリカゼオライト低k誘電体をベークする際、単一のステップで、ベーク温度と時間に前記シリカゼオライト低k誘電体をさらすことを特徴とする請求項31に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−152373(P2009−152373A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328830(P2007−328830)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】