健康管理ネットワークシステム
【課題】ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる健康管理ネットワークシステムを提供すること。
【解決手段】建物10は、ホームネットワークシステムを有しており、そのホームネットワークシステムは、ホームサーバ25と、子サーバ21〜23と、建物機器15〜17とを含んで構成されている。子サーバ21〜23は、浴室11、トイレ12及び寝室13にそれぞれ設けられている各種センサ等からユーザの生理データ及び行動データを取得し、生理データに基づいて生理指標を算出するとともに、行動データに基づいて行動指標を算出する。そして、生理指標と行動指標とを合成させることで健康状態指標を算出する。ホームサーバ25は、健康状態指標に基づいて報知対象を設定し、報知処理を実行する。
【解決手段】建物10は、ホームネットワークシステムを有しており、そのホームネットワークシステムは、ホームサーバ25と、子サーバ21〜23と、建物機器15〜17とを含んで構成されている。子サーバ21〜23は、浴室11、トイレ12及び寝室13にそれぞれ設けられている各種センサ等からユーザの生理データ及び行動データを取得し、生理データに基づいて生理指標を算出するとともに、行動データに基づいて行動指標を算出する。そして、生理指標と行動指標とを合成させることで健康状態指標を算出する。ホームサーバ25は、健康状態指標に基づいて報知対象を設定し、報知処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じて人の生活状況を把握するネットワークシステムが提案されている。例えば特許文献1には、ユーザの行動データを複数取得することでそのユーザの生活状況を見守る見守り装置と、見守り装置との通信が可能となっている通信端末とを含んで構築されているネットワークシステムについて記載されている。このシステムでは、トイレ在室時間や入浴時間といった複数の行動データのうち少なくとも1つに異常が発生した場合、すなわちユーザの生活状況に異変が発生した場合、見守り装置は異変発生を検出するとともに、その異変発生を報知するための情報を通信端末に送信する。これにより、通信端末を所持している管理者等は、ユーザの生活状況に異変が発生したことを把握できる。
【特許文献1】特開2005−115411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているシステムでは、トイレ在室時間や入浴時間等の行動データのそれぞれについて異常の有無が判定され、それらの判定結果に対応した処理が個別に実行されるため、健康管理の観点から見た場合、ユーザの健康状態に対して総合的に適した処理が実行されているとは限らない。したがって、ユーザの健康管理に関して改善の余地がある。
【0004】
そこで、本発明は、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる健康管理ネットワークシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0006】
第1の発明は、ユーザが日常使用する設備又は場所にそれぞれ設けられ、ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得する複数のユーザ情報取得手段と、ネットワークを通じて前記複数のユーザ情報取得手段に接続される制御装置と、該制御装置からの出力により制御される制御対象機器と、を備え、前記制御装置は、前記複数のユーザ情報取得手段により取得される都度のユーザ情報に基づいて、少なくとも健康及び不健康の2状態を含む健康状態指標を算出する健康状態指標算出手段と、前記健康状態指標算出手段により算出した健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記制御対象機器を用い、都度の健康状態指標に応じて所定の規定処理を実行する処理実行手段とを備えることを特徴とする健康管理ネットワークシステムである。
【0007】
第1の発明によれば、複数のユーザ情報取得手段により、ユーザの日常生活に合わせて、少なくとも生体情報を含むユーザ情報が順次取得される。このとき、各ユーザ情報取得手段による取得情報がネットワークを通じて制御装置に入力されるため、当該制御装置では、ユーザが行動することに伴い生体情報が逐次変化しても、その逐次変化する生体情報を好適に把握できる。
【0008】
また、本発明は、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御が行われるものとなっており、特に、都度のユーザ情報が健康状態指標に変換されるとともに、その健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、都度の健康状態指標に応じて制御対象機器の制御が行われる。かかる場合、各ユーザ情報をそのまま用いて制御対象機器を制御するのではなく、各ユーザ情報を健康状態指標に変換した後、その健康状態指標に基づいて制御対象機器を制御する。このため、各ユーザ情報に個別に適した規定処理だけでなく、ユーザの健康状態に対して総合的に適した規定処理を実行することができる。すなわち、ユーザ情報に健康情報として多種多様な情報が含まれていても適正に規定処理を実行できる。以上の結果、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる。
【0009】
第2の発明では、前記健康状態指標算出手段は、複数段階の不健康状態が含まれるように前記健康状態指標を算出し、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、該ユーザの不健康状態の段階に応じて所定の規定処理を実行する。
【0010】
第2の発明によれば、健康状態指標において、ユーザが不健康であることに相当するものであれば、その不健康の段階に応じて制御対象機器の制御が行われる。このため、ユーザの健康状態が比較的重度の不健康状態である場合に、比較的軽度の不健康状態である場合とは異なる動作を制御対象機器に行わせることが可能となる。すなわち、不健康状態の段階が逐次変化しても、その変化する不健康状態の段階に合わせて制御対象機器を好適に動作させることができる。
【0011】
第3の発明では、前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報として、前記生体情報に加えてユーザの行動履歴に関する行動情報を取得し、前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報と前記行動情報とについて少なくとも健康及び不健康の2状態の判定をそれぞれ行うとともに、前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成して前記健康状態指標を算出する。
【0012】
第3の発明によれば、ユーザ情報取得手段により、生体情報に加えて行動情報がユーザ情報として取得される。すなわち、ユーザの日常生活に合わせて、生態情報だけでなく行動情報が順次取得される。そして、生体情報及び行動情報は、健康状態に関する判定がそれぞれについて行われ、それら判定結果が合成されることで健康状態指標に変換される。この場合、生体情報及び行動情報のいずれか一方だけが健康状態指標に変換された場合に比べて、健康状態指標に含まれる健康状態の段階を増加させることが可能となるとともに、健康状態の内容や程度に関する情報を健康状態指標に多面的に含ませることができる。この結果、ユーザの健康状態に応じて実行される規定処理の内容をきめ細かく設定することが可能となる。
【0013】
前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成する構成としては、第4の発明のように、前記健康状態指標算出手段が、前記生体情報についての状態判定結果よりも多段階の状態を含む前記健康状態指標を算出する構成が好ましい。この構成では、生体情報だけが健康状態指標に変換された場合に比べて、健康状態指標に含まれる健康状態の段階が増加される。例えば、生体情報が2段階で状態判定されるのに対し、健康状態指標が3段階で状態判定される。したがって、一層好適な健康管理を実現できる。
【0014】
第5の発明では、前記複数のユーザ情報取得手段により取得されるユーザ情報の項目及びその内容と前記健康状態指標とをあらかじめ対応付けた健康管理データを記憶している手段を備え、前記健康状態指標算出手段は、前記健康管理データを参照して前記健康状態指標を算出する。
【0015】
第5の発明によれば、健康管理データが参照されることで、ユーザ情報の項目やその内容に基づいて健康状態指標が算出される。これにより、都度のユーザ情報を健康状態指標に変換することができる。
【0016】
第6の発明では、前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報に加えて、該ユーザ情報を取得した時刻に関する時刻情報を取得し、前記健康状態指標算出手段は、前記ユーザ情報と前記時刻情報とを対応させて前記健康状態指標を算出する。
【0017】
第6の発明によれば、ユーザ情報取得手段により、ユーザ情報に加えて時刻情報が取得されるため、逐次変化する生体情報の変化の様子を取得することが可能となる。また、この場合、ユーザ情報を時系列的に健康状態指標に変換することができるため、ユーザの健康状態が時間の経過とともに変化しても、都度の健康状態だけでなくその健康状態の変化の様子に対して総合的に適した規定処理を実行することができる。
【0018】
第7の発明では、前記制御対象機器は、異常発生時において各々異なる報知相手に対してそれぞれ異常報知を行う複数の報知機器であり、前記複数の報知機器を前記健康状態指標のいずれかの状態にそれぞれ対応させた報知機器対応データを算出する手段を有し、 前記処理実行手段は、前記報知機器対応データに基づいて、前記複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知を行わせる。
【0019】
第7の発明によれば、報知機器対応データに基づいて、複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知が行われる。これにより、健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当する場合に、すなわちユーザの健康状態に異常が発生している異常発生時に、その異常の程度や内容に適した報知相手を対象として異常報知を行うことができる。
【0020】
第8の発明では、前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得する浴室用生体センサを浴室内に設けるとともに、前記制御対象機器として前記浴室内に湯水調整装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記湯水調整装置により浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整を実行する。
【0021】
第8の発明によれば、入浴中にユーザが不健康な状態になった場合に、すなわちユーザの体調に異変が生じた場合に、浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整が実行される。このため、仮に浴槽内の湯水に浸かったりシャワーを浴びたりすることで体調に異変が生じた場合でも、例えばのぼせた場合でも、その体調異変の回復を図ることができる。
【0022】
第9の発明では、前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得するトイレ用生体センサをトイレに設けるとともに、前記制御対象機器として前記トイレ内に通便補助装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記通便補助装置による通便補助処理を実行する。
【0023】
第9の発明によれば、ユーザが不健康な状態である場合に、通便補助装置により通便補助処理が実行される。例えばユーザの便通状態が良好でない場合に、その排便が促される。したがって、ユーザは、便通状態が良好でなくても、排便を行うことが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、ホームネットワークシステムを有する住宅等の建物について具体化しており、そのホームネットワークシステムは、親サーバと、親サーバの制御対象となる子サーバと、子サーバの制御対象となる建物機器とを含んで構成されている。図1は、ホームネットワークシステムの概略を示す構成図である。
【0025】
図1に示すように、建物10は、浴室11、トイレ12及び寝室13等の屋内空間を有している。建物10には、浴室11用の浴室機器15と、トイレ12用のトイレ機器16と、寝室13用の寝室機器17とが建物機器として設けられている。また、建物10には、子サーバとして、浴室機器15を制御対象機器とする浴室サーバ21と、トイレ機器16を制御対象機器とするトイレサーバ22と、寝室機器17を制御対象機器とする寝室サーバ23とが設置されており、さらに、親サーバとしてホームサーバ25が設置されている。なお、説明の便宜上、浴室機器15、トイレ機器16及び寝室機器17を建物機器15〜17ともいい、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23を子サーバ21〜23ともいう。
【0026】
ホームサーバ25は、子サーバ21〜23とそれぞれ有線又は無線通信が可能となっており、それら子サーバ21〜23は、それぞれ建物機器15〜17と有線又は無線通信が可能となっている。例えば、ホームサーバ25は、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23と個別に電気的に接続されている。また、浴室サーバ21は浴室機器15と、トイレサーバ22はトイレ機器16と、寝室サーバ23は寝室機器17とそれぞれ電気的に接続されている。これにより、建物10におけるホームネットワークシステムのホームネットワークが構築されている。
【0027】
ホームサーバ25は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータによりホームネットワークシステムの制御を行う。例えば、指令信号を出力することで子サーバ21〜23をそれぞれ個別に制御する。また、ホームサーバ25は、ユーザにより入力操作が行われる操作部と、ホームネットワークシステムの設定内容等を表示する表示部と有しており、ユーザが操作部に対して入力操作を行うことでホームネットワークシステムの制御内容を設定できるようになっている。
【0028】
子サーバ21〜23は、ホームサーバ25と同様のマイクロコンピュータをそれぞれ有しており、建物機器15〜17に対してそれぞれ指令信号を出力することで、それら建物機器15〜17の動作制御をそれぞれ個別に行う。また、子サーバ21〜23は、ホームサーバ25と同様の操作部及び表示部を有しており、ユーザがそれぞれの操作部に対して入力操作を行うことで建物機器15〜17の制御内容を個別に設定できるようになっている。
【0029】
なお、ホームサーバ25や子サーバ21〜23には、いずれの操作部からでもユーザの個人情報が入力されるようになっており、その個人情報は共通の情報(例えばデータベース)としてホームサーバ25や子サーバ21〜23にそれぞれ記憶されるようになっている。個人情報としては、例えば身長や体重等の生理データが挙げられ、新規の内容に都度更新されるようになっている。
【0030】
ホームサーバ25は、無線通信機能を有する建物通信部29を有しており、その建物通信部29を介して移動通信機器31、外部施設32及び車両33といった制御対象機器との間での無線通信が可能となっている。この場合、移動通信機器31には、移動通信機器A,B,C等として、携帯電話、通信機能を有するゲーム機や家電製品等が含まれている。外部施設32には、外部施設A,B,C等として、知人宅、病院や消防署といった医療機関等が含まれている。車両33には、車両A,B,C等として、ユーザの車両や知人の車両等が含まれている。
【0031】
ホームサーバ25は、車両33と無線通信を行うことで、その車両33の現在位置や運転状態等の車両情報を取得することが可能になっている。また、ホームサーバ25は、車両33に対して指令信号を出力することで、車両33の運転制御や車載機器の動作制御を行うことが可能になっている。例えば、車載機器として車載ナビゲーション装置を搭載している車両33に対して指令信号を出力することで、ホームサーバ25の動作制御を行うことが可能となっている。
【0032】
次に、浴室11、トイレ12及び寝室13の構成について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、浴室11の構成を説明するための概略図、図3は、トイレ12の構成を説明するための概略図、図4は、寝室13の構成を説明するための概略図である。
【0033】
まず、浴室11の構成について、図2を参照しつつ説明する。図2では、浴室11内の浴槽41に人が入っている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面透視図である。
【0034】
図2に示す浴室11において、浴室設備としての浴槽41には、水道蛇口等の給水部(図示略)により給水が行われることで湯水が貯められる。浴槽41は、平面視において長方形をなす形状に形成されており、その長手方向が、入浴者が身体を伸ばす方向となっている。また、入浴者が長手方向に身体を伸ばすことで浴槽41の短辺側を向いて足を伸ばして座ることができる大きさ及び深さとなっている。
【0035】
浴槽41の側部44には、その短辺側の側面のそれぞれに放水部43が設けられている。放水部43は、前記側面の上部に配置されており、対向する短辺側の側面に向かって水平方向にそれぞれ湯水を放出する。放水部43は、浴槽41内で入浴者が座っている場合にその入浴者にとっての正面側から放水するようになっており、この場合は入浴者の全身(又は頭部を除く部位)を放水対象として湯水を放出する。したがって、浴槽41内に湯水が貯められていない状態であれば(又は浴槽41内の水位が低ければ)、入浴者は、浴槽41内においていずれの短辺側を向いていても、全身に湯水を浴びることが可能となっている。なお、放水部43は、湯水をシャワー状に噴射する構成であってもよく、湯水をミスト状に噴霧する構成であってもよい。
【0036】
浴槽41は、入浴者の生体情報を検出する生体情報検出部として浴槽用センサ47を有している。浴槽用センサ47は、入浴者の身体の一部が浴槽41の側部44と接触することでその入浴者の生体情報を検出するように、浴槽41の側部44に設けられており、例えば、電極を含んで構成されている生体インピーダンス検出部と、生体電位を検出する生体電位検出部と、圧電素子を含んで構成されている圧電センサ部と、身体の表面温度を体表面温度として検出する表面温度検出部とを有している。
【0037】
浴槽用センサ47は、シート状に形成されており、浴槽41の側部44において、長手方向で対向する内側面のそれぞれに第1浴槽用センサ47a及び第2浴槽用センサ47bとして配置されている。換言すれば、それら浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41の対向する短辺側の各側面にそれぞれ配置されている。また、各浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41の内側における放水部43の下方に位置しており、入浴者が浴槽41内においていずれの短辺側の側面にもたれても、その入浴者の背中や腕の付け根(例えば上腕部の裏側)が各浴槽用センサ47a,47bのうち一方に接触するとともに、入浴者の足先(例えば足の裏)が各浴槽用センサ47a,47bのうち他方に接触するようになっている。したがって、入浴者が浴槽41内においていずれの短辺側を向いていても、その背中や足先から生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度等が検出される。なお、各浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41において側部44から底部48に跨るように配置されており、入浴者の背中や足先に加えて尻部から生体情報を検出するようになっている。
【0038】
また、浴槽41の底部48には、浴槽41内の湯水を排出する排水装置49が設けられている。排水装置49は、排水口と、その排水口を開閉する排水弁とを有しており、排水弁により排水口を閉鎖することで浴槽41での貯水を可能とし、排水弁により排水口を開放することで浴槽41からの湯水の排出を可能とする。
【0039】
ここで、浴室11における電気的な構成について説明する。
【0040】
図2(b)に示すように、浴室サーバ21には、上記の放水部43や排水装置49が浴室機器15として接続されている。また、その他の浴室機器15として、浴室11内の空間温度を調整する浴室用エアコン51と、入浴者の健康状態について表示する浴室用表示モニタ52と、入浴者の健康状態に異常があることを報知する表示ランプ53と、浴室11内の酸素濃度を調整する酸素供給装置54と、浴槽41に貯められている湯水の温度を調整する湯温調整装置55とが接続されている。
【0041】
浴室サーバ21、浴室用表示モニタ52及び表示ランプ53は、1つのケースに一体的に収容された状態で例えば浴室11の壁に設置されている。浴室サーバ21は、入浴時に入浴者により浴室サーバ21の操作部に対して入力操作が行われることで入浴者を特定するようになっている。また、浴室用表示モニタ52は、入浴者が浴槽41内で湯水に浸かった状態で表示画面を視認することができるようになっており、表示ランプ53は、その点灯や点滅を入浴者が視認できるようになっている。なお、浴室サーバ21、浴室用表示モニタ52及び表示ランプ53は個別に設置されていてもよく、設置場所は浴室11に隣接した脱衣室等であってもよい。また、浴室サーバ21には、報知手段として、浴室用表示モニタ52や表示ランプ53に加えてスピーカなどが接続されていてもよい。
【0042】
浴室サーバ21は、指令信号を出力することで浴室機器15の動作制御を実行する。例えば、放水部43に対して指令信号を出力することで、複数の放水部43のうち湯水を放出させる放水部43を選択したり放水量を調整したりし、排水装置49に対して指令信号を出力することで、排水装置49から湯水を排出させて浴槽41の水位(水量)を低くする。また、浴室用エアコン51に対して指令信号を出力することで、浴室11の空間温度を調整し、酸素供給装置54に対して指令信号を出力することで、浴室11内に酸素を供給させる。さらに、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力することで、浴室用表示モニタ52における表示内容を設定し、表示ランプ53に対して指令信号を出力することで、表示ランプ53を点灯又は点滅させる。
【0043】
浴室サーバ21には、第1浴槽用センサ47a及び第2浴槽用センサ47bが接続されており、各浴槽用センサ47a,47bから検出信号がそれぞれ入力される。浴室サーバ21は、それら浴槽用センサ47a,47bの検出信号に基づいて入浴者の生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。
【0044】
生理データの取得について説明すると、浴室サーバ21は、浴槽用センサ47a,47bの検出信号に含まれている生体インピーダンス検出部の検出結果から生体インピーダンスを取得し、その生体インピーダンスと、身長や体重等といった個人情報とに基づいて、体脂肪率や筋肉量、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量といった体組成に関する生理データを算出する。なお、内臓脂肪については、内臓脂肪量ではなく、内臓脂肪量を複数段階で評価した内臓脂肪レベルを算出してもよい。また、浴室サーバ21は、生体電気検出部の検出結果から生体電位を取得し、その生体電位に基づいて、心拍数などの情報が含まれている心電図波形を生理データとして算出する。さらに、圧電センサ部の検出結果から、所定時間当たりの脈拍数や呼吸数、体動を生理データとして算出し、表面温度検出部の検出結果から体表面温度を生理データとして算出する。
【0045】
行動データの取得について説明すると、浴室サーバ21は、浴槽用センサ47a,47bの検出信号に基づいて、入浴者が浴槽41内で継続して湯水に浸かっていた経過時間を入浴時間として算出し、その入浴時間を行動データとして取得する。なお、入浴者が浴室11に滞在していた浴室滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0046】
次に、トイレ12の構成について、図3を参照しつつ説明する。図3では、トイレ12内の便座67に人が座っている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面図である。
【0047】
図3に示すように、トイレ12は、四方の壁61と床62とにより囲まれているトイレスペースを有している。壁61の一面には、人が出入する出入口63が形成されており、その出入口63は扉64により開閉されるようになっている。トイレ12には、便器65と、水を貯めるタンク66とがトイレ設備として設置されている。便器65は、タンク66から水が供給されることで排泄物が流される構成となっている。
【0048】
便器65には、ユーザが腰掛けるように座ることが可能な便座67と、その便座67に座ったユーザがもたれることができる背もたれ68とが設けられている。背もたれ68は、便器65におけるトイレ12の奥側に取り付けられており、上端部が回動可能となるように便器65に軸支されている。また、便器65には、背もたれ68の傾倒角度を調整する傾倒調整装置69が設けられており、傾倒調整装置69は、モータ等の駆動部を含んで構成されている。さらに、便器65には、ユーザの肛門に向かって水を噴射させる噴射装置71が設けられており、噴射装置71から水が噴射されることで排便が促されたり肛門部の洗浄が行われたりする。噴射装置71は、噴射する水の量や温度、噴き付け圧力等を調整することが可能な調整機能を有している。
【0049】
便座67は、着座したユーザの生体情報を検出する生体情報検出部として便座用センサ72を有している。便座用センサ72は、ユーザの身体の一部が便座67に接触することでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、浴槽用センサ47と同様に、生体インピーダンス検出部と、生体電位検出部と、圧電センサ部と、表面温度検出部とを有している。
【0050】
便座用センサ72は、シート状に形成されて便座67の上面側に配置されており、ユーザが便座67に座った場合にそのユーザの尻部や足の付け根(例えば太股の裏側)と接触するようになっている。そして、それら尻部や足の付け根から生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度等を検出する。
【0051】
トイレ12には、ユーザの手により握られる握り棒73が握り部として設けられている。排便時において、ユーザが握り棒73を握ってその状態で力むこと(すなわちいきむこと)で排便がし易くなると考えられる。こうした利用方法からすれば、握り棒73を「いきみ棒」と称することもできる。
【0052】
握り棒73は、トイレ12の壁61に、ユーザが便座67に座った状態で容易に握ることができる位置に取り付けられている。より詳しくは、握り棒73は、壁61から延びている取付部74を有しており、出入口63に対して両側方の壁61のそれぞれに取付部74を介して取り付け固定されている。各握り棒73は、便器65を挟んで互いに対向している。また、握り棒73は、全体として略円柱状に形成されており、その外径が一端から他端に向かって連続的に大きくなっている。すなわち、連続的に太くなっている。そして、中心線が壁面に対して平行となるように、例えば床面に対して45度の角度で斜め上方に延びている。この場合、太い方の端部に対して細い方の端部が斜め下方に位置しており、且つ太い方の端部が細い方の端部よりも出入口63側に位置している。
【0053】
これにより、ユーザが便座67に座って左右それぞれの手で左右両側(換言すれば両側方)の握り棒73をそれぞれ握る際、ユーザは、それぞれの体格に合った位置及び太さの部分を握ることができる。例えば、大柄なユーザであれば、握り棒73の上部の太い部分を容易に握ることができ、小柄なユーザや子供であれば、握り棒73の下部の細い部分を容易に握ることができる。なお、握り棒73は、例えば太い方の端部における断面の直径が5〜7cm程度、細い方の端部における断面の直径が2〜4cm程度となっており、その全長が1m程度となっている。また、握り棒73は、手摺りとして使用されてもよい。
【0054】
握り棒73には、その握り棒73を握っているユーザの生体情報を検出する生体情報検出部として握り棒用センサ75が設けられている。握り棒用センサ75は、ユーザの身体の一部が握り棒73に接触することでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、便座用センサ72と同様に、生体インピーダンス検出部と、生体電位検出部と、圧電センサ部と、表面温度検出部とを有している。また、握り棒用センサ75は、握り棒73に対してユーザにより加えられる圧力(すなわちユーザが握り棒73を握る力)の大きさを検出する圧力検出部を有しており、圧力検出手段としての役割を担っている。
【0055】
握り棒用センサ75は、握り棒73の表面に巻かれた状態で設けられており、握り棒73をユーザが握った場合にユーザの手のひらと接触するようになっている。そして、ユーザの手のひらから、生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度、ユーザが握り棒73を握る力等を検出する。
【0056】
また、トイレ12の床部には、ユーザの体重を検出する重量センサ76が設けられている。重量センサ76は、トイレ12で立ったまま排尿する時や便器65に座る前後にユーザが立つ位置、すなわち出入口63と便器65との間の位置にある。これにより、ユーザの体重は意図的に計測しようとしなくても、排尿又は排便に伴って計測されることになる。また、重量センサ76は、便座67に座った状態のユーザが足を乗せることが可能な位置に設置されている。
【0057】
ここで、トイレ12における電気的な構成について説明する。
【0058】
図3(b)に示すように、トイレサーバ22には、上記の傾倒調整装置69や噴射装置71がトイレ機器16として接続されている。また、その他のトイレ機器16として、トイレ12内の空間温度を調整するトイレ用エアコン77と、ユーザの健康状態について表示するトイレ用表示モニタ78とが接続されている。
【0059】
トイレサーバ22及びトイレ用表示モニタ78は、1つのケースに一体的に収容された状態で例えばトイレ12の壁61に設置されている。トイレサーバ22は、トイレ使用時にユーザによりトイレサーバ22の操作部に対して入力操作が行われることでユーザを特定するようになっている。トイレ用表示モニタ78は、ユーザがトイレ12で便座67に座った状態で表示画面を視認することができるようなっている。なお、トイレサーバ22及びトイレ用表示モニタ78は個別に設置されていてもよく、設置場所はトイレ12に通じる廊下等であってもよい。また、トイレサーバ22には、報知手段として、トイレ用表示モニタ78に加えて表示ランプやスピーカなどが接続されていてもよい。
【0060】
トイレサーバ22は、指令信号を出力することでトイレ機器16の動作制御を実行する。例えば、指令信号を出力することで、傾倒調整装置69を動作させて背もたれ68の傾倒角度を調整したり、噴射装置71を動作させてユーザの肛門に水を噴き付けたりする。さらには、トイレ用エアコン77を動作させてトイレ12の空間温度を調整したり、トイレ用表示モニタ78における表示内容を設定したりする。
【0061】
トイレサーバ22には、便座用センサ72、握り棒用センサ75及び重量センサ76が接続されており、それら便座用センサ72、握り棒用センサ75及び重量センサ76からそれぞれ検出信号が入力される。トイレサーバ22は、それらに検出信号に基づいて、ユーザの生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。
【0062】
生理データの取得について説明すると、トイレサーバ22は、浴室サーバ21と同様に、便座用センサ72及び握り棒用センサ75の各検出信号にそれぞれ含まれている生体インピーダンス検出部の検出結果から生体インピーダンスを取得し、その生体インピーダンスと、身長や体重等といった個人情報とに基づいて、体脂肪率や筋肉量、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量といった体組成に関する生理データを算出する。なお、内臓脂肪については、内臓脂肪量ではなく、内臓脂肪量を複数段階で評価した内臓脂肪レベルを算出してもよい。また、トイレサーバ22は、生体電気検出部の検出結果から生体電位を取得し、その生体電位に基づいて、心拍数などの情報が含まれている心電図波形を生理データとして算出する。さらに、圧電センサ部の検出結果から、所定時間当たりの脈拍数や呼吸数、体動を生理データとして算出し、表面温度検出部の検出結果から体表面温度を生理データとして算出する。
【0063】
また、トイレサーバ22は、その他の生理データとして、「いきみ量」や体重、BMI(肥満度指数)等を取得する。いきみ量について、トイレサーバ22は、握り棒用センサ75の検出信号からユーザが握り棒73を握る力(圧力)の大きさを取得し、その大きさに基づいてユーザの「いきみ度合い」をいきみ量として算出する。体重及びBMIについて、トイレサーバ22は、重量センサ76により計測された体重を取得するとともにBMIを算出し、それら体重及びBMIを生理データとして取得する。
【0064】
さらに、トイレサーバ22は、いきみ量に基づいてユーザの便通状態を取得する。ユーザが排便を行う場合、便通状態によっていきみ量が異なると考えられるため、便通状態を推定することができる。例えば、ユーザが便秘状態にあったりして便通状態が良好でない場合は、排便を行うために強くいきむ必要があるため、排便時のいきみ量が大きくなる。一方、便通状態が良好である場合は、排便を行うために強くいきむ必要がないため、排便時のいきみ量が小さくなる。
【0065】
なお、体重に関する情報は、個人情報として、トイレサーバ22に記憶されるとともトイレサーバ22からホームサーバ25、浴室サーバ21、寝室サーバ23に対して送信され、それら各サーバ25,21,23で記憶される。
【0066】
行動データの取得について説明すると、トイレサーバ22は、便座用センサ72の検出信号に基づいて、ユーザが便座67に座っていた継続時間を着座時間として算出し、その着座時間を行動データとして取得する。なお、ユーザがトイレ12に滞在していたトイレ滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0067】
次いで、寝室13の構成について、図4を参照しつつ説明する。図4では、ベッド81で人が寝ている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面図である。
【0068】
図4に示すように、寝室13には、ベッド81が寝室設備として設置されており、ベッド81上にはマットレス82が敷かれている。マットレス82はヒータ83を有しており、ユーザがベッド81で寝ている場合、そのユーザをヒータ83により暖めることが可能となる。ベッド81には、ベッド81周辺の空間温度を検出するベッド用温度計84が設けられており、ベッド用温度計84は、ユーザがベッド81に寝た状態でそのユーザの頭部周辺の空間温度を検出するようになっている。
【0069】
マットレス82は、就寝中のユーザの生体情報を検出する生体情報検出部としてベッド用センサ85を有している。ベッド用センサ85は、ユーザがマットレス82上に寝ることでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、ユーザの体温を検出する体温検出部と、ユーザの睡眠状態を検出する睡眠状態検出部とを有している。
【0070】
ベッド用センサ85は、シート状に形成されてマットレス82の上面側に配置されており、ベッド81でユーザが寝ている場合にユーザにおける上半身の下方近傍に位置するようになっている。そして、ユーザの上半身から生体情報として体温や睡眠状態を検出する。
【0071】
ここで、寝室13における電気的な構成について説明する。
【0072】
図4(b)に示すように、寝室サーバ23には、上記のヒータ83が寝室機器17として接続されている。また、その他の寝室機器17として、寝室13内の空間温度を調整する寝室用エアコン86と、寝室13に隣接している部屋の空間温度を調整する隣室用エアコン87と、寝室13に設けられている寝室用照明器具88とが接続されている。寝室サーバ23は、例えば寝室13の壁に取り付けられており、就寝時にユーザにより寝室サーバ23の操作部に対して入力操作が行われることでユーザを特定するようになっている。
【0073】
寝室サーバ23は、指令信号を出力することで寝室機器17の動作制御を実行する。例えば、指令信号を出力することで、寝室用エアコン86を動作させて寝室13の空間温度を調整したり、隣室用エアコン87を動作させて隣室の空間温度を調整したりする。
【0074】
寝室サーバ23には、ベッド用センサ85及び音センサ89が接続されており、それらベッド用センサ85及び音センサ89からそれぞれ検出信号が入力される。寝室サーバ23は、それら検出信号に基づいて、ユーザの生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。ここで、音センサ89は、ベッド81で寝ているユーザのいびきや咳を音で検出するセンサである。
【0075】
生理データの取得について説明すると、寝室サーバ23は、ベッド用センサ85の検出結果から体温と睡眠状態を生理データとして取得する。さらに、「いびき」や咳に関する情報を生理データとして取得する。寝室サーバ23は、音センサ89の検出信号に基づいて、ユーザのいびきや咳の回数や音の大きさ等の情報を算出し、その情報を生理データとして取得する。
【0076】
行動データの取得について説明すると、寝室サーバ23は、ベッド用センサ85の検出信号に基づいて、ユーザがベッド81で継続して寝ている継続時間を睡眠時間として算出し、その睡眠時間を行動データとして取得する。なお、ユーザが寝室13に滞在していた寝室滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0077】
また、寝室サーバ23には、ベッド用温度計84が接続されており、ベッド用温度計84から検出信号が入力される。寝室サーバ23は、そのベッド用温度計84の検出信号に基づいて、ベッド81で寝ているユーザの頭部周辺の空間温度を取得する。
【0078】
次に、ホームサーバ25、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23によって行われる制御処理について、図5〜図9を参照しつつ説明する。図5は、ホームネットワークシステムの概略を示す機能ブロック図、図6は、生理指標及び健康状態指標について説明するための図、図7は、心電図波形について説明するための図、図8は、心電図波形を算出する構成について説明するための図、図9は、報知対象について説明するための図である。
【0079】
図5に示すように、子サーバ21〜23は、生理データに基づいて生理指標を算出する生理指標算出部91と、行動データに基づいて行動指標を算出する行動指標算出部92と、生理指標と行動指標とを合成することで、人の健康状態を示す健康状態指標を算出する健康状態指標算出部93と、健康状態指標に基づいて建物機器15〜17の動作制御を行う機器制御部94とを有している。
【0080】
図6(a)に示すように、生理指標算出部91により算出される生理指標は、時系列的な生理データにより算出された指標であり、生理異常レベルの状態がL0,L1,L2の3つの段階のうちいずれかに設定される。例えば、タイミングt1では生理指標が生理異常レベルL0にあり、生理データの項目に異常がないことになる。すなわち生理指標が正常にある。これに対して、タイミングt2では生理指標が生理異常レベルL1にあり、生理データの項目に初期異常項目があることになる。また、タイミングt3では生理指標が生理異常レベルL2にあり、生理データの項目に重度異常項目があることになる。
【0081】
生理データのうち、心拍数や脈拍数、体表面温度など数値で表される項目については、子サーバ21〜23に記憶されている過去の数値と比較されることで現在の状態が設定される。数値で表される項目が1つでも正常値より大きい又は小さい場合(初期異常や軽度異常である場合)は、生理指標が生理異常レベルL1となり、それらの値が1つでも正常値より著しく大きい又は著しく小さい場合(重度異常である場合)は、生理指標が生理異常レベルL2となる。
【0082】
さらに例示すれば、呼吸数が正常値より大きい又は小さい場合や、いびきの音量が大きかったりいびきの継続時間が長かったりする場合、所定時間での咳の回数が多い場合、いきみ量が大きかったり継続していきむ「いきみ時間」が長かったりする場合などは生理指標が生理異常レベルL1となる。また、呼吸数がゼロの場合(呼吸が停止している場合)や、いびきの音量が著しく大きかったりいびきの継続時間が著しく長かったりする場合、所定時間での咳の回数が著しく多い場合、いきみ量が著しく大きかったりいきみ時間が著しく長かったりする場合などは生理指標が生理異常レベルL2となる。
【0083】
特に、生理データにおいて、図7に示すような心電図波形については、その波形の形状や振幅の大きさに基づいて現在の状態が設定される。例えば心臓疾患が発生していると、心電図波形に異常が発生するため、その異常内容に応じて生理指標の異常レベルが設定される。心臓疾患が不整脈である場合、R波と次のR波との間の間隔が一定の間隔にならない。すなわち、間隔RR1と間隔RR2と間隔RR3とが一定の大きさにならない。この場合は、生理指標が異常レベルL1にある。また、心臓疾患が心筋梗塞である場合、心電図波形のうちT波を含んだ部分が上昇する。すなわち、周波数解析が行われるとその周波数分布に異常が生じる。この場合は、生理指標が異常レベルL2にある。
【0084】
子サーバ21〜23には、生理データの項目及びその内容と、生理指標の生理異常レベルL0〜L2との対応付けがなされている健康管理データがそれぞれ記憶されている。したがって、都度の生理データから生理指標への上記のような変換が実行される際、その変換は容易且つ正確に実行されることになる。
【0085】
ちなみに、図8に示すように、生理指標算出部91には、差動増幅器等を有する生体アンプ97が設けられており、生体アンプ97は、生体電気検出部により身体における複数の部分から検出された検出信号に基づいて心電図波形を算出する。より詳しくは、生体アンプ97には、身体における4つの部分から検出された検出信号S1,S2,S3,S4がそれぞれ入力される。生体アンプ97は、それら検出信号S1〜S4のうち2つの検出信号を入力信号として差動増幅を行い、心電図波形Wを算出する。なお、検出信号S1〜S4は、例えば右手、左手、右足及び左足からそれぞれ検出された信号波形となっている。
【0086】
この場合、検出信号S1〜S4ではほぼ同じノイズが誘導されてしまっているため、検出信号S1〜S4のうち入力信号以外の1つの信号を基準信号として、入力信号からのノイズを除去しておく。これにより、心電図波形Wは、ノイズが除去され且つ検出信号が増幅された波形となっている。ここで、心電図波形Wの算出には検出信号S1〜S4のうち3つの信号が用いられるため、入力信号及び基準信号に使用される信号の組み合わせを変更することで心電図波形Wの算出パターンを4通り確保することが可能となり、より精度の高い心電図波形Wを取得することができる。
【0087】
なお、生理指標算出部91には、圧電センサ部により検出された検出信号に基づいて心拍波形を算出する圧電アンプ等が設けられていてもよい。この場合、圧電アンプは、増幅器を有しており、圧電センサ部からの検出信号を入力信号として増幅を行い、心拍等を示す心拍波形を算出する。この場合でも、心臓疾患として不整脈が発生していると、心拍波形のうち心拍を示す波の間隔が一定の間隔とならない。このため、心拍波形に基づいて、生理指標の生理異常レベルを設定することができる。
【0088】
また、生体指標に関して、生理データが生理異常レベルL2にあるパターンには、生理データにおいて、数値で表される項目に重度異常項目がある場合の他に、前記項目に初期異常項目が2つ以上ある場合が含まれる。例えば、心拍数の値が初期異常であって、さらに心拍数以外の項目が初期異常である場合、生理指標が生理異常レベルL2にあるパターンに含まれる。これにより、生理指標に関して、生理異常レベルの設定精度を高めることができる。
【0089】
一方、行動指標算出部92により算出される行動指標は、時系列的な行動データにより算出された指標であり、行動異常レベルの状態がR0,R1,R2の3つの段階のうちいずれかに設定される。行動データの項目に異常がない場合、行動指標は行動異常レベルR0となる。すなわち、行動指標が正常にある。これに対して、行動データの項目に初期異常項目がある場合、行動指標は行動異常レベルR1となり、行動データの項目に重度異常項目がある場合、行動指標は行動異常レベルR2となる。
【0090】
ここでは、行動データのうち、睡眠時間や入浴時間、便座67の着座時間といった数値で表される項目については、生理データと同様に、子サーバ21〜23に記憶されている過去の数値と比較されることで、現在の状態が設定される。例えば、睡眠時間や入浴時間、便座67の着座時間の値が1つでも正常値より大きい又は小さい場合(初期異常である場合)は、行動指標が行動異常レベルR1となり、それらの値が1つでも正常値より著しく大きい又は著しく小さい場合(重度異常である場合)は、行動指標が行動異常レベルR2となる。
【0091】
また、行動指標に関して、行動データが行動異常レベルR2となるパターンには、行動データにおいて、数値で表される項目に重度異常項目がある場合の他に、前記項目に初期異常項目が2つ以上ある場合や、生理指標が生理異常レベルL1であってさらに前記項目に初期異常が1つある場合が含まれる。例えば、生理データの項目として心拍数の値が初期異常であって、さらに行動データの項目が1つだけ初期異常である場合、行動指標が行動異常レベルR2となるパターンに含まれる。これにより、行動指標に関して、行動異常レベルの設定精度を高めることができる。
【0092】
図6(b)に示すように、健康状態指標算出部93により算出される健康状態指標は、所定タイミングでの生理指標及び行動指標に基づいて算出された指標であり、複数の状態のうちいずれかに設定される。本実施形態において、健康状態指標は、生理異常レベルの状態が3段階に設定される生理指標と、行動異常レベルの状態が3段階に設定される行動指標とが合成されることで算出され、その状態は9つに区分けされる。
【0093】
健康状態指標の状態は、複数段階のいずれかに対応している。本実施形態では、4段階のいずれかに対応しており、それら段階には、ホームサーバ25や子サーバ21により実行される処理の処理モードとして、ゼロモードN0、第1モードN1、第2モードN2、第3モードN3、第4モードN4のうちいずれかが設定されている。例えばタイミングt1における健康状態指標にはゼロモードN0が設定されており、タイミングt2における健康状態指標には第1モードN1が設定されている。また、タイミングt3における健康状態指標には第3モードN3が設定されている。
【0094】
図5の説明に戻り、子サーバ21〜23には、健康状態指標算出部93から健康状態指標を取得し、その健康状態指標に基づいて建物機器15〜17の動作制御を行う機器制御部94がそれぞれ設けられている。機器制御部94は、例えば健康状態指標の処理モードがゼロモードN0にある場合、建物機器15〜17の動作制御を実行せず、第1モードN1〜第4モードN4のいずれかにある場合、建物機器15〜17の動作制御を実行する。
【0095】
ホームサーバ25には、ホームサーバ25が子サーバ21〜23から受信した健康状態指標に基づいて、建物通信部29の動作制御を行う通信制御部95が設けられている。通信制御部95は、ユーザの健康状態をその健康状態に応じた相手に報知するように建物通信部29を動作させる。図9に示すように、建物通信部29による報知対象は、健康状態指標の処理モードに対応付けて設定されている。報知対象としては、例えば、健康状態指標の処理モードが第1モードN1にある場合にはユーザ本人が設定され、第2モードN2にある場合には家族や友人が設定される。また、第3モードN3にある場合には病院等の医療機関が設定され、第4モードN4にある場合には、緊急車両の手配が可能な消防署等の医療機関が設定される。これらに対して、ゼロモードN0にある場合には報知対象が設定されない。すなわち、報知処理を実行しない。
【0096】
次いで、ホームサーバ25により実行される報知処理について、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0097】
図10において、ステップS101では、子サーバ21〜23から健康状態指標を受信する。ステップS102では、受信した健康状態指標により処理モードを読み込む。ステップS103では、処理モードがゼロモードN0であるか否かを判定する。処理モードがゼロモードN0である場合、ユーザの健康状態に異常がないとして、そのまま本処理を終了する。一方、処理モードがゼロモードN0でない場合、ユーザの健康状態に異常が発生しているとして、ステップS104に進み、処理モードが第1モードN1であるか否かを判定する。
【0098】
処理モードが第1モードN1である場合、ステップS105に進み、異常発生をユーザ本人に報知する。ユーザ本人に報知するには、例えば、子サーバ21〜23に指令信号を出力し、制御対象機器として建物機器15〜17の動作制御を行う。具体的には、浴室サーバ21に指令信号を出力し、浴室サーバ21が、浴室用表示モニタ52に異常発生の旨を表示させたり表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。この場合、ユーザは、家族や知人、医療機関等に報知するか否かの判断を行うなど、異常発生に応じて自分で対処することになる。なお、制御対象機器として移動通信機器31の動作制御を行い、移動通信機器31を通じてユーザ本人に異常発生を報知する。この場合、移動通信機器31は例えばユーザの携帯電話である。
【0099】
処理モードがゼロモードN0及び第1モードN1のいずれでもない場合、ステップS106に進み、処理モードが第2モードN2であるか否かを判定する。
【0100】
処理モードが第2モードN2である場合、ステップS107に進み、異常発生を家族や知人に報知する。具体的には、制御対象機器として移動通信機器31や外部施設32、車両33の動作制御を行い、それら移動通信機器31や外部施設32、車両33を通じて家族や知人に異常発生を報知する。この場合、移動通信機器31は例えば家族や知人の携帯電話であり、外部施設32は例えば知人宅であり、車両33は例えば知人の車両である。この場合、家族や知人は、医療機関等に報知するか否かの判断を行うなど、異常発生に応じて対処することになる。家族や知人がユーザを医療機関等に連れて行く場合、車載ナビゲーション装置に医療機関等に関する情報を表示させたり、医療機関等に対してユーザの健康状態に関する情報を送信したりする。
【0101】
処理モードがゼロモードN0〜第2モードN2のいずれでもない場合、ステップS108に進み、処理モードが第3モードN3であるか否かを判定する。
【0102】
処理モードが第3モードN3である場合、ステップS109に進み、異常発生を病院に報知する。例えば、制御対象機器として外部施設32の動作制御を行い、その外部施設32を通じて病院関係者に異常発生を報知する。この場合、異常発生の報知に加えて、ユーザの健康状態に関する情報(例えば、異常発生からの経過時間等)を病院に送信する。なお、異常発生を、病院に加えて家族や知人にも報知する。
【0103】
報知対象がゼロモードN0〜第3モードN3のいずれでもない場合、処理モードが第4モードN4であるとして、ステップS110に進み、異常発生を消防署に報知する。例えば、制御対象機器として外部施設32の動作制御を行い、その外部施設32を通じて消防署関係者に異常発生を報知するとともに、救急車等の緊急車両を手配する。この場合、地域に配備されている緊急車両の台数が不足気味であっても、その不都合を解消することが可能となる。また、ユーザの状態に応じて、専門医療機関に対して異常報知を行うとともにその専門医療機関に対してユーザの健康状態に関する情報(例えば、異常発生からの経過時間等)を送信する。この場合には、専門医療機関に関する情報を消防署や緊急車両に送信してもよい。なお、ユーザの状態に応じて、ユーザのかかりつけ病院等に対して異常報知を行ってもよい。
【0104】
次に、子サーバ21〜23により実行される建物機器15〜17を制御対象とした建物機器制御処理について、図11〜図13のフローチャートを参照しつつ説明する。上記のように、ホームサーバ25は、ユーザの健康状態に異常がある場合に異常発生を報知する処理を実行するが、子サーバ21〜23は、ユーザの健康状態に異常がある場合に異常発生に応じて建物機器15〜17を動作制御する処理を実行する。
【0105】
まず、浴室サーバ21により実行される浴室機器15を制御対象とした浴室機器制御処理について説明する。
【0106】
図11において、ステップS201では、入浴者を特定する個人認証処理を行う。例えば、入浴者が浴室サーバ21の操作部から入力した情報に基づいてその入浴者を特定する。また、浴室11の出入口周辺や脱衣室に入浴者の身体的特徴を検出する身体感知センサが設けられている構成であれば、その身体感知センサから入力される検出信号に基づいて入浴者を特定してもよい。
【0107】
ステップS202では、浴槽用センサ47a,47bから検出信号を受信したか否かを判定する。検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS203に進み、その検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS204では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。ステップS205では、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力し、浴室用表示モニタ52に生理データを入浴者の健康状態として表示させたり、行動データを入浴状況として表示させたりする。
【0108】
ステップS206では、生理データに基づいて浴槽41内における入浴者の体位を判定する。より詳しくは、各浴槽用センサ47a,47bのそれぞれから検出された各検出信号に基づいて、第1浴槽用センサ47a側の心電図波形と第2浴槽用センサ47b側の心電図波形とを取得する。そして、これら心電図波形を比較し、振幅が大きい方の心電図波形を背中側の心電図波形として判定する。すなわち、各浴槽用センサ47a,47bのうちいずれに入浴者の背中が接触しているのかを判定し、入浴者の体位を判定する。本実施形態では、生理データとして、背中側の心電図波形を採用するが、足側の心電図波形を採用してもよい。なお、入浴中には、入浴者が浴槽41における短辺側の側面にもたれていると考えられるため、各浴槽用センサ47a,47bのうち一方の側だけしか心電図波形を取得することができなくても、その心電図波形を背中側の心電図波形として特定することができる。
【0109】
ステップS207では、入浴時間が正常であるか否かを判定する。なお、浴室滞在時間を取得した場合は、浴室滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。入浴時間が正常でない場合、ステップS208に進み、入浴時間異常報知処理を行う。例えば、現在の入浴時間長さが通常の入浴時間長さより長くなった場合、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力し、浴室用表示モニタ52に入浴時間が十分に確保されたことを表示させたり、表示ランプ53に対して指令信号を出力し、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。一方、入浴時間が正常である場合、例えば、現在の入浴時間長さが通常の入浴時間長さより短い場合は、そのままステップS209に進む。
【0110】
ステップS209では、生理指標が正常であるか否かを判定する。入浴時間及び生理指標が正常である場合、そのまま本処理を終了し、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS210に進む。
【0111】
ステップS210では、生理データにおいて、心電図波形及び心拍数が正常であるか否かを判定し、心電図波形及び心拍数が正常でない場合、ステップS211にて、心拍異常報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52に心電図波形又は心拍数が正常でないことを表示させたり、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。
【0112】
心電図波形及び心拍数が正常である場合、ステップS212に進み、体表面温度が正常であるか否かを判定する。すなわち、入浴者が「のぼせ」状態にあるか否かを判定する。より詳しくは、各浴槽用センサ47a,47bの検出結果に基づいて、第1浴槽用センサ47a側の体表面温度と、第2浴槽用センサ47b側の体表面温度とを算出する。そして、体位判定の判定結果に基づいて、それら体表面温度の一方を背中側の体表面温度として取得し、他方を足側の体表面温度として取得する。なお、ステップS206の体位判定処理に基づいて、各浴槽用センサ47a,47bのうち背中側となる方と足側となる方とをそれぞれ特定するとよい。
【0113】
入浴者が浴槽41内で湯水に浸かっている場合、のぼせていなくても体表面温度は高くなっているが、のぼせている時は体表面温度が著しく高くなっている。したがって、背中側及び足側の各体表面温度をそれぞれ正常値と比較することでのぼせ状態にあるか否かの判定を行うことができる。また、通常、人の背中側の体表面温度は足先側の体表面温度より高くなっているが、のぼせている時の温度差はのぼせていない時の温度差に比べて小さくなっている。したがって、背中側の体表面温度と足側の体表面温度とを比較することでのぼせ状態にあるか否かの判定を行うことができる。ちなみに、背中側の体表面温度と足側の体表面温度との温度差は、のぼせている時で0〜2℃程度であり、のぼせていない時で5℃程度である。
【0114】
体表面温度が正常でない場合、ステップS213に進み、のぼせ報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52にのぼせていることを表示して浴槽41から出るように促したり、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。
【0115】
ステップS214では、のぼせ報知処理を行ったにもかかわらず入浴者が浴槽41から出ない場合に、のぼせ回復処理を行う。例えば、湯温調整装置55に対して指令信号を出力し、浴槽41内の湯水の温度を低下させたり、排水装置49に対して指令信号を出力し、排水装置49から湯水を排出させて浴槽41内の水位を低くしたりする。また、浴室用エアコン51に対して指令信号を出力し、浴室11内の空間温度を低くしたり、酸素供給装置54に対して指令信号を出力し、浴室11内の酸素濃度を調整したりする。これらの処理により、のぼせ状態の回復を図る。なお、浴槽41内の水位を低くした場合、放水部43に対して指令信号を出力し、入浴者の足側に位置する放水部43から湯水を放出させる。これにより、入浴者はその全身にシャワーを浴びることになり、のぼせ状態の回復を図りつつ湯冷めを防止することができる。
【0116】
生理指標が正常でない場合に、心電図波形及び心拍数、対表面温度のいずれも正常であれば、ステップS215に進み、異常報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52や表示ランプ53に対して指令信号を出力し、健康状態に異常があることを報知させる。
【0117】
次いで、トイレサーバ22により実行されるトイレ機器16を制御対象としたトイレ機器制御処理について説明する。
【0118】
図12において、ステップS301では、浴室サーバ21での個人認証処理と同様に、個人認証処理を行う。ステップS302では、便座用センサ72、握り棒用センサ75又は重量センサ76から検出信号を受信したか否かを判定する。それら検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS303に進み、受信した検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS304では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。ステップS305では、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、トイレ用表示モニタ78に生理データをユーザの健康状態として表示させたり、行動データをトイレ使用状況として表示させたりする。
【0119】
ステップS306では、便座67の着座時間が正常であるか否かを判定する。なお、トイレ滞在時間を取得した場合は、トイレ滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。便座67の着座時間が正常でない場合、ステップS307に進み、着座時間異常報知処理を行う。例えば、現在の着座時間長さが通常の着座時間長さより長くなった場合、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、トイレ用表示モニタ78に着座時間が正常時より長くなっていることを表示させる。一方、着座時間が正常である場合、例えば、現在の着座時間長さが通常の着座時間長さより短い場合は、そのままステップS308に進む。
【0120】
ステップS308では、生理指標が正常であるか否かを判定する。入浴時間及び生理指標が正常である場合、そのまま本処理を終了し、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS309に進む。
【0121】
ステップS309では、生理データにおいて、心電図波形及び心拍数が正常であるか否かを判定し、心電図波形及び心拍数が正常でない場合、ステップS310にて、心拍異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に心電図波形又は心拍数が正常でないことを表示させる。
【0122】
心電図波形及び心拍数が正常である場合、ステップS311に進み、いきみ量が正常であるか否かを判定する。具体的には、現在のいきみ量と、各種メモリに記憶されている過去のいきみ量に関するデータとを比較し、いきみ量が正常の範囲内にあるか否かを判定する。これにより、ユーザの排便状態が正常であるか否かを判定することができる。
【0123】
いきみ量が正常でない場合、ステップS312に進み、排便異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に排便状態が異常であることを表示させる。ステップS313では、排便補助処理を行う。例えば、噴射装置71に対して指令信号を出力し、噴射装置71から湯水を噴射させたり、トイレ用エアコン77に対して指令信号を出力し、トイレ12内の空間温度を調整したりする。これにより、ユーザの便意と便通とを促進することができる。
【0124】
生理指標が正常でない場合に、いきみ量が正常であれば、ステップS314に進み、異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、健康状態に異常があることを報知させる。なお、この場合、傾倒調整装置69に対して指令信号を出力し、背もたれ68の傾倒角度を調整してもよい。この場合、ユーザに体調異変が生じても、ユーザをリラックス可能な体勢とすることになり、体調回復を図ることができる。
【0125】
続いて、寝室サーバ23により実行される寝室機器17を制御対象とした寝室機器制御処理について説明する。
【0126】
図13において、ステップS401では、浴室サーバ21での個人認証処理と同様に、個人認証処理を行う。ステップS402では、ベッド用センサ85から検出信号を受信したか否かを判定する。検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS403に進み、その検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS404では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。
【0127】
ステップS405では、睡眠時間が正常であるか否かを判定する。なお、寝室滞在時間を取得した場合は、寝室滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。睡眠時間が正常でない場合、ステップS406に進み、目覚め促進処理を行う。例えば、現在の睡眠時間長さが通常の睡眠時間長さより著しく長くなった場合、寝室用照明器具88に対して指令信号を出力し、寝室用照明器具88を点灯させて寝室13を明るくする。一方、睡眠時間が正常である場合、例えば、現在の睡眠時間長さが通常の睡眠時間長さより短い場合は、そのままステップS407に進む。
【0128】
ステップS407では、生理指標が正常であるか否かを判定する。睡眠時間及び生理指標が正常である場合、ステップS408に進み、睡眠中処理を行う。例えば、寝室用エアコン86に対して指令信号を出力し、寝室13内の空間温度を睡眠に適した温度に調整したり、ベッド用温度計84の検出信号に基づいてユーザの頭部周辺の空間温度を睡眠に適した温度に調整したりする。なお、屋外の温度を検出する屋外温度計が設けられていれば、屋外温度に合わせて寝室13の空間温度を調整してもよい。さらに、ヒータ83に対して指令信号を出力し、マットレス82の温度を睡眠に適した温度に調整する。特に、寝室13の空間温度が低い場合には、ユーザの足周辺を暖めることで頭寒足熱を実現することができる。
【0129】
また、睡眠中処理として、睡眠時間や睡眠状態からユーザの起床タイミングを推定し、起床を促すべく寝室用照明器具88に対して指令信号を出力し、寝室13内を明るくする。なお、寝室13に設けられているカーテンやブラインドカーテンが電動式であれば、それらの開放制御を行うことで寝室13内を明るくしてもよい。また、隣室用エアコン87に対して指令信号を出力し、寝室13に隣接した部屋の空間温度を調整する。これにより、起床後、ユーザは隣部屋でも快適に過ごすことができる。なお、起床後は、寝室用エアコン86及び寝室用照明器具88を動作停止させる。
【0130】
一方、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS408に進み、異常回復処理を行う。例えば、寝室用エアコン86やヒータ83を動作させ、寝室13内の空間温度を調整したりマットレス82の温度を調整したりして、ユーザの体調回復を図る。
【0131】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0132】
浴室11に浴槽用センサ47が設けられ、トイレ12に便座用センサ72及び握り棒用センサ75が設けられ、寝室13にベッド用センサ85が設けられているため、入浴や排便、就寝などのユーザの日常生活に合わせてユーザの生体情報が検出される。また、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23は、ホームネットワークを介してホームサーバ25と接続されているため、ユーザの行動や時間経過に伴って生体情報が逐次変化しても、その逐次変化する生体情報を好適に把握できる。すなわち、都度のユーザの健康状態を好適に把握できる。
【0133】
また、生体情報に基づいて生理データ及び行動データが取得され、それら生理データ及び行動データに基づいて生理指標、行動指標及び健康状態指標が算出される。すなわち、生体情報が健康状態指標に変換される。そして、ホームサーバ25は、健康状態指標に基づいて、報知対象機器として移動通信機器31や外部施設32、車両33の動作制御を行う。すなわち、報知処理を実行する。この場合、ホームサーバ25は、生体情報をそのまま用いて報知処理を実行するのではなく、健康状態指標を用いて報知処理を実行するため、生体情報に個別に対応した報知処理だけでなく、ユーザの健康状態に対して総合的に適した報知処理を実行することができる。つまり、生体情報に多種多様な情報が含まれていても、例えば報知対象を適切に設定し、その報知対象に健康状態の異常発生等を報知することができる。
【0134】
以上の結果、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる。
【0135】
ホームサーバ25は、健康状態指標の状態に応じて処理モードをゼロモードN0〜第4モードN4のいずれかに設定し、それら処理モードに応じて報知対象を設定する。このため、都度のユーザの健康状態に合わせて適切な報知対象に対して異常報知等を行うことができる。この場合、ユーザの健康状態が逐次変化しても、その逐次変化する健康状態に合わせて報知対象を可変設定することが可能となる。
【0136】
生理指標の状態は、生理異常レベルL0〜L2のいずれかに設定され、行動指標の状態は、行動異常レベルR0〜R2のいずれかに設定される。そして、健康状態指標は、それぞれ状態設定された生理指標と行動指標とが合成されることで算出されるため、健康状態指標に対する処理モードを、都度のユーザの健康状態を内容や程度に関して多くの段階にきめ細かく判別することができる。
【0137】
生体情報に基づいて生理データ及び行動データが取得され、それら生理データ及び行動データに基づいて健康状態指標が算出されるため、健康状態の内容や程度に関する情報を健康状態指標に多面的に含ませることができる。例えば、生理データに異常がなくても、浴室11での入浴時間や、トイレ12での着座時間、寝室13での就寝時間等に異常がある場合に、それらユーザの行動に関する異常を健康状態指標に含ませることができる。したがって、ホームサーバ25により、異常発生を報知する報知処理をより確実に行わせることができる。
【0138】
健康状態指標は、所定タイミングでの生体情報に基づいて算出されるため、ホームサーバ25は、報知処理を実行する際に、都度の健康状態(時系列で同時に検出された複数の生体情報)に適した報知対象を設定するだけでなく、時系列的な健康状態の変化の様子(時系列で別々のタイミングで検出された複数の生体情報)に対して総合的に適した報知対象を設定することができる。例えば、入浴中に、心拍に関する異常及び体表面温度に関する異常が同時に検出された場合と、入浴中に体表面温度に関する異常が検出され、入浴後に心拍に関する異常が検出された場合とで、異なる報知対象を設定することが可能となる。また、異常発生を報知する場合、複数の報知対象のうちいずれかを報知する構成となっているため、異常の内容や程度に適した報知対象に報知することができる。
【0139】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0140】
(1)車両33を運転しているドライバの生体情報が検出される構成としてもよい。例えば、車両33が、ドライバの生体情報を検出する生体情報検出部として、浴槽用センサ47等と同様の車両用センサを有する構成とする。車両用センサは、ドライバの身体の一部が座席シートやハンドルと接触することでそのドライバの生体情報を検出するように、それら座席シートやハンドルに設けられている。例えば、ドライバが座るシートやドライバが手で握るハンドルに設けられている。この場合、車両33には、その車両33の運転制御や車載機器の動作制御を行う車載コントローラが設けられており、車載コントローラに車両用センサが電気的に接続されている。車載コントローラは、車両用センサの検出信号に基づいて生理データや行動データを取得し、それらデータに基づいて生理指標や行動指標、健康状態指標を算出する。
【0141】
車載コントローラは、生理指標や行動指標に基づいてユーザの健康状態に関して異常判定を行い、異常発生時には、車両33や車載機器の動作制御を実行する。例えば、車載エアコンの動作制御を行い、車両33内の空間温度を調整したり、車載酸素供給装置の動作制御を行い、車両33内の酸素濃度を高めたりすることでドライバの体調回復を図る。また、車両33の自動運転制御が可能となっており、走行中の車両33を徐々に道路の路肩に寄せて停車させつつ、ハザードランプを点滅させて停止車両33の安全を確保する。そして、傾倒可能なシートの傾倒角度を調節する制御を行い、ドライバにリラックス可能な体勢を取らせることで体調回復を図る。さらには、車載ナビゲーション装置の動作制御を行い、病院に関する情報を車載ナビゲーション装置に表示させる。以上の結果、車両33の走行中にドライバの健康状態に異常が発生して仮にドライバが運転不能な状態に陥っても車両33を安全に停止させるなど、異常に合わせて好適に対処することができる。
【0142】
(2)建物10内の階段や廊下等を歩行しているユーザの生理データや行動データが取得される構成としてもよい。例えば、階段を昇降しているユーザの動きを検出する検出センサが設けられており、その検出結果に基づいて生理データや行動データが取得される構成とする。この場合、階段の昇降に要する所要時間や動きの様子を生理データや行動データとして取得し、異常判定が行われる。したがって、ユーザの日常生活のより多くの場面から健康状態指標を算出し、日常生活についてきめ細かく異常判定を行うことができる。なお、ユーザの声量等が生理データや行動データとして取得される構成としてもよい。
【0143】
(3)上記実施形態では、寝室13において、ベッド用センサ85は、ベッド81で寝ているユーザの上半身近傍に位置するように配置されているが、ベッド81又はマットレス82における上面のほぼ全体に配置されていてもよい。この場合、寝室サーバ23が浴室サーバ21と同等の項目の生理データを取得する構成であれば、寝室サーバ23は、心電図波形等に基づいてユーザの就寝中の体位を特定することができ、ユーザの体位に合わせて寝室機器17の動作制御を行うことができる。例えば、寝返り等によりユーザの体位が変わったとしても、就寝中には、寝室用エアコン86から吹出される風がユーザの頭部周辺に当たらないようにしたり、ユーザの頭部周辺が寝室用照明器具88により照らされないようにしたりすることで、ユーザの睡眠状態を良好に保つことができる。また、起床時には、ユーザの頭部周辺が寝室用照明器具88で照らすようにすることで、ユーザの覚醒を促すことができる。
【0144】
(4)上記実施形態では、ホームサーバ25、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23といった複数のサーバが含まれてホームネットワークシステムが構成されているが、1つのサーバだけが含まれてホームネットワークシステムが構成されていてもよい。また、複数のサーバのうち1つのサーバだけが、生理指標算出部91、行動指標算出部92、健康状態指標算出部93及び通信制御部95を全て有していてもよい。
【0145】
(5)上記実施形態では、健康状態指標が生理指標と行動指標とが合成されることで算出されているが、健康状態指標は、生理指標及び行動指標のうち一方により算出されてもよく、それら生理指標及び行動指標の少なくとも一方にその他の指標が合成されることで算出されてもよい。
【0146】
(6)生理指標には、生理データが異常である場合に複数の異常状態(生理異常レベルL1,L2)が含まれているが、正常及び異常の2状態だけが含まれていてもよい。同様に、行動指標には、行動データが異常である場合に複数の異常状態(行動異常レベルR1,R2)が含まれているが、正常及び異常の2状態だけが含まれていてもよい。また、健康状態指標には、生理指標又は行動指標が異常である場合に複数の異常状態(第1モードN1〜第4モードN4に対応した状態)が含まれているが、ユーザの健康及び不健康の2状態だけが含まれていてもよい。
【0147】
(7)上記実施形態では、生体指標及び行動指標が算出され、それら指標が合成されることで健康状態指標が算出されるが、生体指標や行動指標が算出されずに生体情報や生理データ、行動データ等に基づいて健康状態指標が算出されてもよい。
【0148】
(8)上記実施形態では、ホームサーバ25に子サーバ21〜23が電気的に接続されているが、ホームサーバ25に建物機器15〜17が電気的に接続されていてもよい。この場合、ホームサーバ25により建物機器15〜17の動作制御が行われる構成とする。
【0149】
(9)上記実施形態では、ホームサーバ25により報知処理が実行される構成としたが、子サーバ21〜23により報知処理が実行される構成としてもよい。例えば、子サーバ21〜23に建物通信部29がそれぞれ設けられている構成とする。
【0150】
(10)ホームネットワークシステムには、建物機器15〜17として、浴室機器15、トイレ機器16及び寝室機器17以外の機器が含まれていてもよい。例えば、玄関等に設けられている施錠装置等が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本実施形態におけるホームネットワークシステムの概略を示す構成図。
【図2】浴室の構成を説明するための概略図。
【図3】トイレの構成を説明するための概略図。
【図4】寝室の構成を説明するための概略図。
【図5】ホームネットワークシステムの概略を示す機能ブロック図。
【図6】生理指標及び健康状態指標について説明するための図。
【図7】心電図波形について説明するための図。
【図8】心電図波形を算出する構成について説明するための図。
【図9】報知対象について説明するための図。
【図10】ホームサーバにより実行される報知処理を示すフローチャート。
【図11】浴室サーバにより実行される浴室機器制御処理を示すフローチャート。
【図12】トイレサーバにより実行されるトイレ機器制御処理を示すフローチャート。
【図13】寝室サーバにより実行される寝室機器制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0152】
10…建物、11…浴室、12…トイレ、15…浴室機器、16…トイレ機器、17…寝室機器、21…浴室サーバ、22…トイレサーバ、23…寝室サーバ、25…ホームサーバ、29…建物通信部、31…通信機器、32…外部施設、33…車両、41…浴槽、47…浴槽内センサ、67…便座、72…便座用センサ、73…握り棒、75…握り棒用センサ、76…重量センサ、91…生理指標算出部、92…行動指標算出部、93…健康状態指標算出部、94…機器制御部、95…健康状態指標解析部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じて人の生活状況を把握するネットワークシステムが提案されている。例えば特許文献1には、ユーザの行動データを複数取得することでそのユーザの生活状況を見守る見守り装置と、見守り装置との通信が可能となっている通信端末とを含んで構築されているネットワークシステムについて記載されている。このシステムでは、トイレ在室時間や入浴時間といった複数の行動データのうち少なくとも1つに異常が発生した場合、すなわちユーザの生活状況に異変が発生した場合、見守り装置は異変発生を検出するとともに、その異変発生を報知するための情報を通信端末に送信する。これにより、通信端末を所持している管理者等は、ユーザの生活状況に異変が発生したことを把握できる。
【特許文献1】特開2005−115411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているシステムでは、トイレ在室時間や入浴時間等の行動データのそれぞれについて異常の有無が判定され、それらの判定結果に対応した処理が個別に実行されるため、健康管理の観点から見た場合、ユーザの健康状態に対して総合的に適した処理が実行されているとは限らない。したがって、ユーザの健康管理に関して改善の余地がある。
【0004】
そこで、本発明は、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる健康管理ネットワークシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0006】
第1の発明は、ユーザが日常使用する設備又は場所にそれぞれ設けられ、ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得する複数のユーザ情報取得手段と、ネットワークを通じて前記複数のユーザ情報取得手段に接続される制御装置と、該制御装置からの出力により制御される制御対象機器と、を備え、前記制御装置は、前記複数のユーザ情報取得手段により取得される都度のユーザ情報に基づいて、少なくとも健康及び不健康の2状態を含む健康状態指標を算出する健康状態指標算出手段と、前記健康状態指標算出手段により算出した健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記制御対象機器を用い、都度の健康状態指標に応じて所定の規定処理を実行する処理実行手段とを備えることを特徴とする健康管理ネットワークシステムである。
【0007】
第1の発明によれば、複数のユーザ情報取得手段により、ユーザの日常生活に合わせて、少なくとも生体情報を含むユーザ情報が順次取得される。このとき、各ユーザ情報取得手段による取得情報がネットワークを通じて制御装置に入力されるため、当該制御装置では、ユーザが行動することに伴い生体情報が逐次変化しても、その逐次変化する生体情報を好適に把握できる。
【0008】
また、本発明は、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御が行われるものとなっており、特に、都度のユーザ情報が健康状態指標に変換されるとともに、その健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、都度の健康状態指標に応じて制御対象機器の制御が行われる。かかる場合、各ユーザ情報をそのまま用いて制御対象機器を制御するのではなく、各ユーザ情報を健康状態指標に変換した後、その健康状態指標に基づいて制御対象機器を制御する。このため、各ユーザ情報に個別に適した規定処理だけでなく、ユーザの健康状態に対して総合的に適した規定処理を実行することができる。すなわち、ユーザ情報に健康情報として多種多様な情報が含まれていても適正に規定処理を実行できる。以上の結果、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる。
【0009】
第2の発明では、前記健康状態指標算出手段は、複数段階の不健康状態が含まれるように前記健康状態指標を算出し、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、該ユーザの不健康状態の段階に応じて所定の規定処理を実行する。
【0010】
第2の発明によれば、健康状態指標において、ユーザが不健康であることに相当するものであれば、その不健康の段階に応じて制御対象機器の制御が行われる。このため、ユーザの健康状態が比較的重度の不健康状態である場合に、比較的軽度の不健康状態である場合とは異なる動作を制御対象機器に行わせることが可能となる。すなわち、不健康状態の段階が逐次変化しても、その変化する不健康状態の段階に合わせて制御対象機器を好適に動作させることができる。
【0011】
第3の発明では、前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報として、前記生体情報に加えてユーザの行動履歴に関する行動情報を取得し、前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報と前記行動情報とについて少なくとも健康及び不健康の2状態の判定をそれぞれ行うとともに、前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成して前記健康状態指標を算出する。
【0012】
第3の発明によれば、ユーザ情報取得手段により、生体情報に加えて行動情報がユーザ情報として取得される。すなわち、ユーザの日常生活に合わせて、生態情報だけでなく行動情報が順次取得される。そして、生体情報及び行動情報は、健康状態に関する判定がそれぞれについて行われ、それら判定結果が合成されることで健康状態指標に変換される。この場合、生体情報及び行動情報のいずれか一方だけが健康状態指標に変換された場合に比べて、健康状態指標に含まれる健康状態の段階を増加させることが可能となるとともに、健康状態の内容や程度に関する情報を健康状態指標に多面的に含ませることができる。この結果、ユーザの健康状態に応じて実行される規定処理の内容をきめ細かく設定することが可能となる。
【0013】
前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成する構成としては、第4の発明のように、前記健康状態指標算出手段が、前記生体情報についての状態判定結果よりも多段階の状態を含む前記健康状態指標を算出する構成が好ましい。この構成では、生体情報だけが健康状態指標に変換された場合に比べて、健康状態指標に含まれる健康状態の段階が増加される。例えば、生体情報が2段階で状態判定されるのに対し、健康状態指標が3段階で状態判定される。したがって、一層好適な健康管理を実現できる。
【0014】
第5の発明では、前記複数のユーザ情報取得手段により取得されるユーザ情報の項目及びその内容と前記健康状態指標とをあらかじめ対応付けた健康管理データを記憶している手段を備え、前記健康状態指標算出手段は、前記健康管理データを参照して前記健康状態指標を算出する。
【0015】
第5の発明によれば、健康管理データが参照されることで、ユーザ情報の項目やその内容に基づいて健康状態指標が算出される。これにより、都度のユーザ情報を健康状態指標に変換することができる。
【0016】
第6の発明では、前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報に加えて、該ユーザ情報を取得した時刻に関する時刻情報を取得し、前記健康状態指標算出手段は、前記ユーザ情報と前記時刻情報とを対応させて前記健康状態指標を算出する。
【0017】
第6の発明によれば、ユーザ情報取得手段により、ユーザ情報に加えて時刻情報が取得されるため、逐次変化する生体情報の変化の様子を取得することが可能となる。また、この場合、ユーザ情報を時系列的に健康状態指標に変換することができるため、ユーザの健康状態が時間の経過とともに変化しても、都度の健康状態だけでなくその健康状態の変化の様子に対して総合的に適した規定処理を実行することができる。
【0018】
第7の発明では、前記制御対象機器は、異常発生時において各々異なる報知相手に対してそれぞれ異常報知を行う複数の報知機器であり、前記複数の報知機器を前記健康状態指標のいずれかの状態にそれぞれ対応させた報知機器対応データを算出する手段を有し、 前記処理実行手段は、前記報知機器対応データに基づいて、前記複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知を行わせる。
【0019】
第7の発明によれば、報知機器対応データに基づいて、複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知が行われる。これにより、健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当する場合に、すなわちユーザの健康状態に異常が発生している異常発生時に、その異常の程度や内容に適した報知相手を対象として異常報知を行うことができる。
【0020】
第8の発明では、前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得する浴室用生体センサを浴室内に設けるとともに、前記制御対象機器として前記浴室内に湯水調整装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記湯水調整装置により浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整を実行する。
【0021】
第8の発明によれば、入浴中にユーザが不健康な状態になった場合に、すなわちユーザの体調に異変が生じた場合に、浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整が実行される。このため、仮に浴槽内の湯水に浸かったりシャワーを浴びたりすることで体調に異変が生じた場合でも、例えばのぼせた場合でも、その体調異変の回復を図ることができる。
【0022】
第9の発明では、前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得するトイレ用生体センサをトイレに設けるとともに、前記制御対象機器として前記トイレ内に通便補助装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記通便補助装置による通便補助処理を実行する。
【0023】
第9の発明によれば、ユーザが不健康な状態である場合に、通便補助装置により通便補助処理が実行される。例えばユーザの便通状態が良好でない場合に、その排便が促される。したがって、ユーザは、便通状態が良好でなくても、排便を行うことが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、ホームネットワークシステムを有する住宅等の建物について具体化しており、そのホームネットワークシステムは、親サーバと、親サーバの制御対象となる子サーバと、子サーバの制御対象となる建物機器とを含んで構成されている。図1は、ホームネットワークシステムの概略を示す構成図である。
【0025】
図1に示すように、建物10は、浴室11、トイレ12及び寝室13等の屋内空間を有している。建物10には、浴室11用の浴室機器15と、トイレ12用のトイレ機器16と、寝室13用の寝室機器17とが建物機器として設けられている。また、建物10には、子サーバとして、浴室機器15を制御対象機器とする浴室サーバ21と、トイレ機器16を制御対象機器とするトイレサーバ22と、寝室機器17を制御対象機器とする寝室サーバ23とが設置されており、さらに、親サーバとしてホームサーバ25が設置されている。なお、説明の便宜上、浴室機器15、トイレ機器16及び寝室機器17を建物機器15〜17ともいい、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23を子サーバ21〜23ともいう。
【0026】
ホームサーバ25は、子サーバ21〜23とそれぞれ有線又は無線通信が可能となっており、それら子サーバ21〜23は、それぞれ建物機器15〜17と有線又は無線通信が可能となっている。例えば、ホームサーバ25は、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23と個別に電気的に接続されている。また、浴室サーバ21は浴室機器15と、トイレサーバ22はトイレ機器16と、寝室サーバ23は寝室機器17とそれぞれ電気的に接続されている。これにより、建物10におけるホームネットワークシステムのホームネットワークが構築されている。
【0027】
ホームサーバ25は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを有しており、マイクロコンピュータによりホームネットワークシステムの制御を行う。例えば、指令信号を出力することで子サーバ21〜23をそれぞれ個別に制御する。また、ホームサーバ25は、ユーザにより入力操作が行われる操作部と、ホームネットワークシステムの設定内容等を表示する表示部と有しており、ユーザが操作部に対して入力操作を行うことでホームネットワークシステムの制御内容を設定できるようになっている。
【0028】
子サーバ21〜23は、ホームサーバ25と同様のマイクロコンピュータをそれぞれ有しており、建物機器15〜17に対してそれぞれ指令信号を出力することで、それら建物機器15〜17の動作制御をそれぞれ個別に行う。また、子サーバ21〜23は、ホームサーバ25と同様の操作部及び表示部を有しており、ユーザがそれぞれの操作部に対して入力操作を行うことで建物機器15〜17の制御内容を個別に設定できるようになっている。
【0029】
なお、ホームサーバ25や子サーバ21〜23には、いずれの操作部からでもユーザの個人情報が入力されるようになっており、その個人情報は共通の情報(例えばデータベース)としてホームサーバ25や子サーバ21〜23にそれぞれ記憶されるようになっている。個人情報としては、例えば身長や体重等の生理データが挙げられ、新規の内容に都度更新されるようになっている。
【0030】
ホームサーバ25は、無線通信機能を有する建物通信部29を有しており、その建物通信部29を介して移動通信機器31、外部施設32及び車両33といった制御対象機器との間での無線通信が可能となっている。この場合、移動通信機器31には、移動通信機器A,B,C等として、携帯電話、通信機能を有するゲーム機や家電製品等が含まれている。外部施設32には、外部施設A,B,C等として、知人宅、病院や消防署といった医療機関等が含まれている。車両33には、車両A,B,C等として、ユーザの車両や知人の車両等が含まれている。
【0031】
ホームサーバ25は、車両33と無線通信を行うことで、その車両33の現在位置や運転状態等の車両情報を取得することが可能になっている。また、ホームサーバ25は、車両33に対して指令信号を出力することで、車両33の運転制御や車載機器の動作制御を行うことが可能になっている。例えば、車載機器として車載ナビゲーション装置を搭載している車両33に対して指令信号を出力することで、ホームサーバ25の動作制御を行うことが可能となっている。
【0032】
次に、浴室11、トイレ12及び寝室13の構成について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、浴室11の構成を説明するための概略図、図3は、トイレ12の構成を説明するための概略図、図4は、寝室13の構成を説明するための概略図である。
【0033】
まず、浴室11の構成について、図2を参照しつつ説明する。図2では、浴室11内の浴槽41に人が入っている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面透視図である。
【0034】
図2に示す浴室11において、浴室設備としての浴槽41には、水道蛇口等の給水部(図示略)により給水が行われることで湯水が貯められる。浴槽41は、平面視において長方形をなす形状に形成されており、その長手方向が、入浴者が身体を伸ばす方向となっている。また、入浴者が長手方向に身体を伸ばすことで浴槽41の短辺側を向いて足を伸ばして座ることができる大きさ及び深さとなっている。
【0035】
浴槽41の側部44には、その短辺側の側面のそれぞれに放水部43が設けられている。放水部43は、前記側面の上部に配置されており、対向する短辺側の側面に向かって水平方向にそれぞれ湯水を放出する。放水部43は、浴槽41内で入浴者が座っている場合にその入浴者にとっての正面側から放水するようになっており、この場合は入浴者の全身(又は頭部を除く部位)を放水対象として湯水を放出する。したがって、浴槽41内に湯水が貯められていない状態であれば(又は浴槽41内の水位が低ければ)、入浴者は、浴槽41内においていずれの短辺側を向いていても、全身に湯水を浴びることが可能となっている。なお、放水部43は、湯水をシャワー状に噴射する構成であってもよく、湯水をミスト状に噴霧する構成であってもよい。
【0036】
浴槽41は、入浴者の生体情報を検出する生体情報検出部として浴槽用センサ47を有している。浴槽用センサ47は、入浴者の身体の一部が浴槽41の側部44と接触することでその入浴者の生体情報を検出するように、浴槽41の側部44に設けられており、例えば、電極を含んで構成されている生体インピーダンス検出部と、生体電位を検出する生体電位検出部と、圧電素子を含んで構成されている圧電センサ部と、身体の表面温度を体表面温度として検出する表面温度検出部とを有している。
【0037】
浴槽用センサ47は、シート状に形成されており、浴槽41の側部44において、長手方向で対向する内側面のそれぞれに第1浴槽用センサ47a及び第2浴槽用センサ47bとして配置されている。換言すれば、それら浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41の対向する短辺側の各側面にそれぞれ配置されている。また、各浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41の内側における放水部43の下方に位置しており、入浴者が浴槽41内においていずれの短辺側の側面にもたれても、その入浴者の背中や腕の付け根(例えば上腕部の裏側)が各浴槽用センサ47a,47bのうち一方に接触するとともに、入浴者の足先(例えば足の裏)が各浴槽用センサ47a,47bのうち他方に接触するようになっている。したがって、入浴者が浴槽41内においていずれの短辺側を向いていても、その背中や足先から生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度等が検出される。なお、各浴槽用センサ47a,47bは、浴槽41において側部44から底部48に跨るように配置されており、入浴者の背中や足先に加えて尻部から生体情報を検出するようになっている。
【0038】
また、浴槽41の底部48には、浴槽41内の湯水を排出する排水装置49が設けられている。排水装置49は、排水口と、その排水口を開閉する排水弁とを有しており、排水弁により排水口を閉鎖することで浴槽41での貯水を可能とし、排水弁により排水口を開放することで浴槽41からの湯水の排出を可能とする。
【0039】
ここで、浴室11における電気的な構成について説明する。
【0040】
図2(b)に示すように、浴室サーバ21には、上記の放水部43や排水装置49が浴室機器15として接続されている。また、その他の浴室機器15として、浴室11内の空間温度を調整する浴室用エアコン51と、入浴者の健康状態について表示する浴室用表示モニタ52と、入浴者の健康状態に異常があることを報知する表示ランプ53と、浴室11内の酸素濃度を調整する酸素供給装置54と、浴槽41に貯められている湯水の温度を調整する湯温調整装置55とが接続されている。
【0041】
浴室サーバ21、浴室用表示モニタ52及び表示ランプ53は、1つのケースに一体的に収容された状態で例えば浴室11の壁に設置されている。浴室サーバ21は、入浴時に入浴者により浴室サーバ21の操作部に対して入力操作が行われることで入浴者を特定するようになっている。また、浴室用表示モニタ52は、入浴者が浴槽41内で湯水に浸かった状態で表示画面を視認することができるようになっており、表示ランプ53は、その点灯や点滅を入浴者が視認できるようになっている。なお、浴室サーバ21、浴室用表示モニタ52及び表示ランプ53は個別に設置されていてもよく、設置場所は浴室11に隣接した脱衣室等であってもよい。また、浴室サーバ21には、報知手段として、浴室用表示モニタ52や表示ランプ53に加えてスピーカなどが接続されていてもよい。
【0042】
浴室サーバ21は、指令信号を出力することで浴室機器15の動作制御を実行する。例えば、放水部43に対して指令信号を出力することで、複数の放水部43のうち湯水を放出させる放水部43を選択したり放水量を調整したりし、排水装置49に対して指令信号を出力することで、排水装置49から湯水を排出させて浴槽41の水位(水量)を低くする。また、浴室用エアコン51に対して指令信号を出力することで、浴室11の空間温度を調整し、酸素供給装置54に対して指令信号を出力することで、浴室11内に酸素を供給させる。さらに、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力することで、浴室用表示モニタ52における表示内容を設定し、表示ランプ53に対して指令信号を出力することで、表示ランプ53を点灯又は点滅させる。
【0043】
浴室サーバ21には、第1浴槽用センサ47a及び第2浴槽用センサ47bが接続されており、各浴槽用センサ47a,47bから検出信号がそれぞれ入力される。浴室サーバ21は、それら浴槽用センサ47a,47bの検出信号に基づいて入浴者の生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。
【0044】
生理データの取得について説明すると、浴室サーバ21は、浴槽用センサ47a,47bの検出信号に含まれている生体インピーダンス検出部の検出結果から生体インピーダンスを取得し、その生体インピーダンスと、身長や体重等といった個人情報とに基づいて、体脂肪率や筋肉量、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量といった体組成に関する生理データを算出する。なお、内臓脂肪については、内臓脂肪量ではなく、内臓脂肪量を複数段階で評価した内臓脂肪レベルを算出してもよい。また、浴室サーバ21は、生体電気検出部の検出結果から生体電位を取得し、その生体電位に基づいて、心拍数などの情報が含まれている心電図波形を生理データとして算出する。さらに、圧電センサ部の検出結果から、所定時間当たりの脈拍数や呼吸数、体動を生理データとして算出し、表面温度検出部の検出結果から体表面温度を生理データとして算出する。
【0045】
行動データの取得について説明すると、浴室サーバ21は、浴槽用センサ47a,47bの検出信号に基づいて、入浴者が浴槽41内で継続して湯水に浸かっていた経過時間を入浴時間として算出し、その入浴時間を行動データとして取得する。なお、入浴者が浴室11に滞在していた浴室滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0046】
次に、トイレ12の構成について、図3を参照しつつ説明する。図3では、トイレ12内の便座67に人が座っている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面図である。
【0047】
図3に示すように、トイレ12は、四方の壁61と床62とにより囲まれているトイレスペースを有している。壁61の一面には、人が出入する出入口63が形成されており、その出入口63は扉64により開閉されるようになっている。トイレ12には、便器65と、水を貯めるタンク66とがトイレ設備として設置されている。便器65は、タンク66から水が供給されることで排泄物が流される構成となっている。
【0048】
便器65には、ユーザが腰掛けるように座ることが可能な便座67と、その便座67に座ったユーザがもたれることができる背もたれ68とが設けられている。背もたれ68は、便器65におけるトイレ12の奥側に取り付けられており、上端部が回動可能となるように便器65に軸支されている。また、便器65には、背もたれ68の傾倒角度を調整する傾倒調整装置69が設けられており、傾倒調整装置69は、モータ等の駆動部を含んで構成されている。さらに、便器65には、ユーザの肛門に向かって水を噴射させる噴射装置71が設けられており、噴射装置71から水が噴射されることで排便が促されたり肛門部の洗浄が行われたりする。噴射装置71は、噴射する水の量や温度、噴き付け圧力等を調整することが可能な調整機能を有している。
【0049】
便座67は、着座したユーザの生体情報を検出する生体情報検出部として便座用センサ72を有している。便座用センサ72は、ユーザの身体の一部が便座67に接触することでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、浴槽用センサ47と同様に、生体インピーダンス検出部と、生体電位検出部と、圧電センサ部と、表面温度検出部とを有している。
【0050】
便座用センサ72は、シート状に形成されて便座67の上面側に配置されており、ユーザが便座67に座った場合にそのユーザの尻部や足の付け根(例えば太股の裏側)と接触するようになっている。そして、それら尻部や足の付け根から生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度等を検出する。
【0051】
トイレ12には、ユーザの手により握られる握り棒73が握り部として設けられている。排便時において、ユーザが握り棒73を握ってその状態で力むこと(すなわちいきむこと)で排便がし易くなると考えられる。こうした利用方法からすれば、握り棒73を「いきみ棒」と称することもできる。
【0052】
握り棒73は、トイレ12の壁61に、ユーザが便座67に座った状態で容易に握ることができる位置に取り付けられている。より詳しくは、握り棒73は、壁61から延びている取付部74を有しており、出入口63に対して両側方の壁61のそれぞれに取付部74を介して取り付け固定されている。各握り棒73は、便器65を挟んで互いに対向している。また、握り棒73は、全体として略円柱状に形成されており、その外径が一端から他端に向かって連続的に大きくなっている。すなわち、連続的に太くなっている。そして、中心線が壁面に対して平行となるように、例えば床面に対して45度の角度で斜め上方に延びている。この場合、太い方の端部に対して細い方の端部が斜め下方に位置しており、且つ太い方の端部が細い方の端部よりも出入口63側に位置している。
【0053】
これにより、ユーザが便座67に座って左右それぞれの手で左右両側(換言すれば両側方)の握り棒73をそれぞれ握る際、ユーザは、それぞれの体格に合った位置及び太さの部分を握ることができる。例えば、大柄なユーザであれば、握り棒73の上部の太い部分を容易に握ることができ、小柄なユーザや子供であれば、握り棒73の下部の細い部分を容易に握ることができる。なお、握り棒73は、例えば太い方の端部における断面の直径が5〜7cm程度、細い方の端部における断面の直径が2〜4cm程度となっており、その全長が1m程度となっている。また、握り棒73は、手摺りとして使用されてもよい。
【0054】
握り棒73には、その握り棒73を握っているユーザの生体情報を検出する生体情報検出部として握り棒用センサ75が設けられている。握り棒用センサ75は、ユーザの身体の一部が握り棒73に接触することでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、便座用センサ72と同様に、生体インピーダンス検出部と、生体電位検出部と、圧電センサ部と、表面温度検出部とを有している。また、握り棒用センサ75は、握り棒73に対してユーザにより加えられる圧力(すなわちユーザが握り棒73を握る力)の大きさを検出する圧力検出部を有しており、圧力検出手段としての役割を担っている。
【0055】
握り棒用センサ75は、握り棒73の表面に巻かれた状態で設けられており、握り棒73をユーザが握った場合にユーザの手のひらと接触するようになっている。そして、ユーザの手のひらから、生体情報として生体インピーダンスや生体電位、呼吸数、体表面温度、ユーザが握り棒73を握る力等を検出する。
【0056】
また、トイレ12の床部には、ユーザの体重を検出する重量センサ76が設けられている。重量センサ76は、トイレ12で立ったまま排尿する時や便器65に座る前後にユーザが立つ位置、すなわち出入口63と便器65との間の位置にある。これにより、ユーザの体重は意図的に計測しようとしなくても、排尿又は排便に伴って計測されることになる。また、重量センサ76は、便座67に座った状態のユーザが足を乗せることが可能な位置に設置されている。
【0057】
ここで、トイレ12における電気的な構成について説明する。
【0058】
図3(b)に示すように、トイレサーバ22には、上記の傾倒調整装置69や噴射装置71がトイレ機器16として接続されている。また、その他のトイレ機器16として、トイレ12内の空間温度を調整するトイレ用エアコン77と、ユーザの健康状態について表示するトイレ用表示モニタ78とが接続されている。
【0059】
トイレサーバ22及びトイレ用表示モニタ78は、1つのケースに一体的に収容された状態で例えばトイレ12の壁61に設置されている。トイレサーバ22は、トイレ使用時にユーザによりトイレサーバ22の操作部に対して入力操作が行われることでユーザを特定するようになっている。トイレ用表示モニタ78は、ユーザがトイレ12で便座67に座った状態で表示画面を視認することができるようなっている。なお、トイレサーバ22及びトイレ用表示モニタ78は個別に設置されていてもよく、設置場所はトイレ12に通じる廊下等であってもよい。また、トイレサーバ22には、報知手段として、トイレ用表示モニタ78に加えて表示ランプやスピーカなどが接続されていてもよい。
【0060】
トイレサーバ22は、指令信号を出力することでトイレ機器16の動作制御を実行する。例えば、指令信号を出力することで、傾倒調整装置69を動作させて背もたれ68の傾倒角度を調整したり、噴射装置71を動作させてユーザの肛門に水を噴き付けたりする。さらには、トイレ用エアコン77を動作させてトイレ12の空間温度を調整したり、トイレ用表示モニタ78における表示内容を設定したりする。
【0061】
トイレサーバ22には、便座用センサ72、握り棒用センサ75及び重量センサ76が接続されており、それら便座用センサ72、握り棒用センサ75及び重量センサ76からそれぞれ検出信号が入力される。トイレサーバ22は、それらに検出信号に基づいて、ユーザの生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。
【0062】
生理データの取得について説明すると、トイレサーバ22は、浴室サーバ21と同様に、便座用センサ72及び握り棒用センサ75の各検出信号にそれぞれ含まれている生体インピーダンス検出部の検出結果から生体インピーダンスを取得し、その生体インピーダンスと、身長や体重等といった個人情報とに基づいて、体脂肪率や筋肉量、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量といった体組成に関する生理データを算出する。なお、内臓脂肪については、内臓脂肪量ではなく、内臓脂肪量を複数段階で評価した内臓脂肪レベルを算出してもよい。また、トイレサーバ22は、生体電気検出部の検出結果から生体電位を取得し、その生体電位に基づいて、心拍数などの情報が含まれている心電図波形を生理データとして算出する。さらに、圧電センサ部の検出結果から、所定時間当たりの脈拍数や呼吸数、体動を生理データとして算出し、表面温度検出部の検出結果から体表面温度を生理データとして算出する。
【0063】
また、トイレサーバ22は、その他の生理データとして、「いきみ量」や体重、BMI(肥満度指数)等を取得する。いきみ量について、トイレサーバ22は、握り棒用センサ75の検出信号からユーザが握り棒73を握る力(圧力)の大きさを取得し、その大きさに基づいてユーザの「いきみ度合い」をいきみ量として算出する。体重及びBMIについて、トイレサーバ22は、重量センサ76により計測された体重を取得するとともにBMIを算出し、それら体重及びBMIを生理データとして取得する。
【0064】
さらに、トイレサーバ22は、いきみ量に基づいてユーザの便通状態を取得する。ユーザが排便を行う場合、便通状態によっていきみ量が異なると考えられるため、便通状態を推定することができる。例えば、ユーザが便秘状態にあったりして便通状態が良好でない場合は、排便を行うために強くいきむ必要があるため、排便時のいきみ量が大きくなる。一方、便通状態が良好である場合は、排便を行うために強くいきむ必要がないため、排便時のいきみ量が小さくなる。
【0065】
なお、体重に関する情報は、個人情報として、トイレサーバ22に記憶されるとともトイレサーバ22からホームサーバ25、浴室サーバ21、寝室サーバ23に対して送信され、それら各サーバ25,21,23で記憶される。
【0066】
行動データの取得について説明すると、トイレサーバ22は、便座用センサ72の検出信号に基づいて、ユーザが便座67に座っていた継続時間を着座時間として算出し、その着座時間を行動データとして取得する。なお、ユーザがトイレ12に滞在していたトイレ滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0067】
次いで、寝室13の構成について、図4を参照しつつ説明する。図4では、ベッド81で人が寝ている状態を示しており、(a)は平面図であり、(b)は電気的構成を含んだ正面図である。
【0068】
図4に示すように、寝室13には、ベッド81が寝室設備として設置されており、ベッド81上にはマットレス82が敷かれている。マットレス82はヒータ83を有しており、ユーザがベッド81で寝ている場合、そのユーザをヒータ83により暖めることが可能となる。ベッド81には、ベッド81周辺の空間温度を検出するベッド用温度計84が設けられており、ベッド用温度計84は、ユーザがベッド81に寝た状態でそのユーザの頭部周辺の空間温度を検出するようになっている。
【0069】
マットレス82は、就寝中のユーザの生体情報を検出する生体情報検出部としてベッド用センサ85を有している。ベッド用センサ85は、ユーザがマットレス82上に寝ることでそのユーザの生体情報を検出する構成となっており、ユーザの体温を検出する体温検出部と、ユーザの睡眠状態を検出する睡眠状態検出部とを有している。
【0070】
ベッド用センサ85は、シート状に形成されてマットレス82の上面側に配置されており、ベッド81でユーザが寝ている場合にユーザにおける上半身の下方近傍に位置するようになっている。そして、ユーザの上半身から生体情報として体温や睡眠状態を検出する。
【0071】
ここで、寝室13における電気的な構成について説明する。
【0072】
図4(b)に示すように、寝室サーバ23には、上記のヒータ83が寝室機器17として接続されている。また、その他の寝室機器17として、寝室13内の空間温度を調整する寝室用エアコン86と、寝室13に隣接している部屋の空間温度を調整する隣室用エアコン87と、寝室13に設けられている寝室用照明器具88とが接続されている。寝室サーバ23は、例えば寝室13の壁に取り付けられており、就寝時にユーザにより寝室サーバ23の操作部に対して入力操作が行われることでユーザを特定するようになっている。
【0073】
寝室サーバ23は、指令信号を出力することで寝室機器17の動作制御を実行する。例えば、指令信号を出力することで、寝室用エアコン86を動作させて寝室13の空間温度を調整したり、隣室用エアコン87を動作させて隣室の空間温度を調整したりする。
【0074】
寝室サーバ23には、ベッド用センサ85及び音センサ89が接続されており、それらベッド用センサ85及び音センサ89からそれぞれ検出信号が入力される。寝室サーバ23は、それら検出信号に基づいて、ユーザの生理データや行動データを取得し、それらデータを記憶する。ここで、音センサ89は、ベッド81で寝ているユーザのいびきや咳を音で検出するセンサである。
【0075】
生理データの取得について説明すると、寝室サーバ23は、ベッド用センサ85の検出結果から体温と睡眠状態を生理データとして取得する。さらに、「いびき」や咳に関する情報を生理データとして取得する。寝室サーバ23は、音センサ89の検出信号に基づいて、ユーザのいびきや咳の回数や音の大きさ等の情報を算出し、その情報を生理データとして取得する。
【0076】
行動データの取得について説明すると、寝室サーバ23は、ベッド用センサ85の検出信号に基づいて、ユーザがベッド81で継続して寝ている継続時間を睡眠時間として算出し、その睡眠時間を行動データとして取得する。なお、ユーザが寝室13に滞在していた寝室滞在時間を行動データとして取得してもよい。
【0077】
また、寝室サーバ23には、ベッド用温度計84が接続されており、ベッド用温度計84から検出信号が入力される。寝室サーバ23は、そのベッド用温度計84の検出信号に基づいて、ベッド81で寝ているユーザの頭部周辺の空間温度を取得する。
【0078】
次に、ホームサーバ25、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23によって行われる制御処理について、図5〜図9を参照しつつ説明する。図5は、ホームネットワークシステムの概略を示す機能ブロック図、図6は、生理指標及び健康状態指標について説明するための図、図7は、心電図波形について説明するための図、図8は、心電図波形を算出する構成について説明するための図、図9は、報知対象について説明するための図である。
【0079】
図5に示すように、子サーバ21〜23は、生理データに基づいて生理指標を算出する生理指標算出部91と、行動データに基づいて行動指標を算出する行動指標算出部92と、生理指標と行動指標とを合成することで、人の健康状態を示す健康状態指標を算出する健康状態指標算出部93と、健康状態指標に基づいて建物機器15〜17の動作制御を行う機器制御部94とを有している。
【0080】
図6(a)に示すように、生理指標算出部91により算出される生理指標は、時系列的な生理データにより算出された指標であり、生理異常レベルの状態がL0,L1,L2の3つの段階のうちいずれかに設定される。例えば、タイミングt1では生理指標が生理異常レベルL0にあり、生理データの項目に異常がないことになる。すなわち生理指標が正常にある。これに対して、タイミングt2では生理指標が生理異常レベルL1にあり、生理データの項目に初期異常項目があることになる。また、タイミングt3では生理指標が生理異常レベルL2にあり、生理データの項目に重度異常項目があることになる。
【0081】
生理データのうち、心拍数や脈拍数、体表面温度など数値で表される項目については、子サーバ21〜23に記憶されている過去の数値と比較されることで現在の状態が設定される。数値で表される項目が1つでも正常値より大きい又は小さい場合(初期異常や軽度異常である場合)は、生理指標が生理異常レベルL1となり、それらの値が1つでも正常値より著しく大きい又は著しく小さい場合(重度異常である場合)は、生理指標が生理異常レベルL2となる。
【0082】
さらに例示すれば、呼吸数が正常値より大きい又は小さい場合や、いびきの音量が大きかったりいびきの継続時間が長かったりする場合、所定時間での咳の回数が多い場合、いきみ量が大きかったり継続していきむ「いきみ時間」が長かったりする場合などは生理指標が生理異常レベルL1となる。また、呼吸数がゼロの場合(呼吸が停止している場合)や、いびきの音量が著しく大きかったりいびきの継続時間が著しく長かったりする場合、所定時間での咳の回数が著しく多い場合、いきみ量が著しく大きかったりいきみ時間が著しく長かったりする場合などは生理指標が生理異常レベルL2となる。
【0083】
特に、生理データにおいて、図7に示すような心電図波形については、その波形の形状や振幅の大きさに基づいて現在の状態が設定される。例えば心臓疾患が発生していると、心電図波形に異常が発生するため、その異常内容に応じて生理指標の異常レベルが設定される。心臓疾患が不整脈である場合、R波と次のR波との間の間隔が一定の間隔にならない。すなわち、間隔RR1と間隔RR2と間隔RR3とが一定の大きさにならない。この場合は、生理指標が異常レベルL1にある。また、心臓疾患が心筋梗塞である場合、心電図波形のうちT波を含んだ部分が上昇する。すなわち、周波数解析が行われるとその周波数分布に異常が生じる。この場合は、生理指標が異常レベルL2にある。
【0084】
子サーバ21〜23には、生理データの項目及びその内容と、生理指標の生理異常レベルL0〜L2との対応付けがなされている健康管理データがそれぞれ記憶されている。したがって、都度の生理データから生理指標への上記のような変換が実行される際、その変換は容易且つ正確に実行されることになる。
【0085】
ちなみに、図8に示すように、生理指標算出部91には、差動増幅器等を有する生体アンプ97が設けられており、生体アンプ97は、生体電気検出部により身体における複数の部分から検出された検出信号に基づいて心電図波形を算出する。より詳しくは、生体アンプ97には、身体における4つの部分から検出された検出信号S1,S2,S3,S4がそれぞれ入力される。生体アンプ97は、それら検出信号S1〜S4のうち2つの検出信号を入力信号として差動増幅を行い、心電図波形Wを算出する。なお、検出信号S1〜S4は、例えば右手、左手、右足及び左足からそれぞれ検出された信号波形となっている。
【0086】
この場合、検出信号S1〜S4ではほぼ同じノイズが誘導されてしまっているため、検出信号S1〜S4のうち入力信号以外の1つの信号を基準信号として、入力信号からのノイズを除去しておく。これにより、心電図波形Wは、ノイズが除去され且つ検出信号が増幅された波形となっている。ここで、心電図波形Wの算出には検出信号S1〜S4のうち3つの信号が用いられるため、入力信号及び基準信号に使用される信号の組み合わせを変更することで心電図波形Wの算出パターンを4通り確保することが可能となり、より精度の高い心電図波形Wを取得することができる。
【0087】
なお、生理指標算出部91には、圧電センサ部により検出された検出信号に基づいて心拍波形を算出する圧電アンプ等が設けられていてもよい。この場合、圧電アンプは、増幅器を有しており、圧電センサ部からの検出信号を入力信号として増幅を行い、心拍等を示す心拍波形を算出する。この場合でも、心臓疾患として不整脈が発生していると、心拍波形のうち心拍を示す波の間隔が一定の間隔とならない。このため、心拍波形に基づいて、生理指標の生理異常レベルを設定することができる。
【0088】
また、生体指標に関して、生理データが生理異常レベルL2にあるパターンには、生理データにおいて、数値で表される項目に重度異常項目がある場合の他に、前記項目に初期異常項目が2つ以上ある場合が含まれる。例えば、心拍数の値が初期異常であって、さらに心拍数以外の項目が初期異常である場合、生理指標が生理異常レベルL2にあるパターンに含まれる。これにより、生理指標に関して、生理異常レベルの設定精度を高めることができる。
【0089】
一方、行動指標算出部92により算出される行動指標は、時系列的な行動データにより算出された指標であり、行動異常レベルの状態がR0,R1,R2の3つの段階のうちいずれかに設定される。行動データの項目に異常がない場合、行動指標は行動異常レベルR0となる。すなわち、行動指標が正常にある。これに対して、行動データの項目に初期異常項目がある場合、行動指標は行動異常レベルR1となり、行動データの項目に重度異常項目がある場合、行動指標は行動異常レベルR2となる。
【0090】
ここでは、行動データのうち、睡眠時間や入浴時間、便座67の着座時間といった数値で表される項目については、生理データと同様に、子サーバ21〜23に記憶されている過去の数値と比較されることで、現在の状態が設定される。例えば、睡眠時間や入浴時間、便座67の着座時間の値が1つでも正常値より大きい又は小さい場合(初期異常である場合)は、行動指標が行動異常レベルR1となり、それらの値が1つでも正常値より著しく大きい又は著しく小さい場合(重度異常である場合)は、行動指標が行動異常レベルR2となる。
【0091】
また、行動指標に関して、行動データが行動異常レベルR2となるパターンには、行動データにおいて、数値で表される項目に重度異常項目がある場合の他に、前記項目に初期異常項目が2つ以上ある場合や、生理指標が生理異常レベルL1であってさらに前記項目に初期異常が1つある場合が含まれる。例えば、生理データの項目として心拍数の値が初期異常であって、さらに行動データの項目が1つだけ初期異常である場合、行動指標が行動異常レベルR2となるパターンに含まれる。これにより、行動指標に関して、行動異常レベルの設定精度を高めることができる。
【0092】
図6(b)に示すように、健康状態指標算出部93により算出される健康状態指標は、所定タイミングでの生理指標及び行動指標に基づいて算出された指標であり、複数の状態のうちいずれかに設定される。本実施形態において、健康状態指標は、生理異常レベルの状態が3段階に設定される生理指標と、行動異常レベルの状態が3段階に設定される行動指標とが合成されることで算出され、その状態は9つに区分けされる。
【0093】
健康状態指標の状態は、複数段階のいずれかに対応している。本実施形態では、4段階のいずれかに対応しており、それら段階には、ホームサーバ25や子サーバ21により実行される処理の処理モードとして、ゼロモードN0、第1モードN1、第2モードN2、第3モードN3、第4モードN4のうちいずれかが設定されている。例えばタイミングt1における健康状態指標にはゼロモードN0が設定されており、タイミングt2における健康状態指標には第1モードN1が設定されている。また、タイミングt3における健康状態指標には第3モードN3が設定されている。
【0094】
図5の説明に戻り、子サーバ21〜23には、健康状態指標算出部93から健康状態指標を取得し、その健康状態指標に基づいて建物機器15〜17の動作制御を行う機器制御部94がそれぞれ設けられている。機器制御部94は、例えば健康状態指標の処理モードがゼロモードN0にある場合、建物機器15〜17の動作制御を実行せず、第1モードN1〜第4モードN4のいずれかにある場合、建物機器15〜17の動作制御を実行する。
【0095】
ホームサーバ25には、ホームサーバ25が子サーバ21〜23から受信した健康状態指標に基づいて、建物通信部29の動作制御を行う通信制御部95が設けられている。通信制御部95は、ユーザの健康状態をその健康状態に応じた相手に報知するように建物通信部29を動作させる。図9に示すように、建物通信部29による報知対象は、健康状態指標の処理モードに対応付けて設定されている。報知対象としては、例えば、健康状態指標の処理モードが第1モードN1にある場合にはユーザ本人が設定され、第2モードN2にある場合には家族や友人が設定される。また、第3モードN3にある場合には病院等の医療機関が設定され、第4モードN4にある場合には、緊急車両の手配が可能な消防署等の医療機関が設定される。これらに対して、ゼロモードN0にある場合には報知対象が設定されない。すなわち、報知処理を実行しない。
【0096】
次いで、ホームサーバ25により実行される報知処理について、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0097】
図10において、ステップS101では、子サーバ21〜23から健康状態指標を受信する。ステップS102では、受信した健康状態指標により処理モードを読み込む。ステップS103では、処理モードがゼロモードN0であるか否かを判定する。処理モードがゼロモードN0である場合、ユーザの健康状態に異常がないとして、そのまま本処理を終了する。一方、処理モードがゼロモードN0でない場合、ユーザの健康状態に異常が発生しているとして、ステップS104に進み、処理モードが第1モードN1であるか否かを判定する。
【0098】
処理モードが第1モードN1である場合、ステップS105に進み、異常発生をユーザ本人に報知する。ユーザ本人に報知するには、例えば、子サーバ21〜23に指令信号を出力し、制御対象機器として建物機器15〜17の動作制御を行う。具体的には、浴室サーバ21に指令信号を出力し、浴室サーバ21が、浴室用表示モニタ52に異常発生の旨を表示させたり表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。この場合、ユーザは、家族や知人、医療機関等に報知するか否かの判断を行うなど、異常発生に応じて自分で対処することになる。なお、制御対象機器として移動通信機器31の動作制御を行い、移動通信機器31を通じてユーザ本人に異常発生を報知する。この場合、移動通信機器31は例えばユーザの携帯電話である。
【0099】
処理モードがゼロモードN0及び第1モードN1のいずれでもない場合、ステップS106に進み、処理モードが第2モードN2であるか否かを判定する。
【0100】
処理モードが第2モードN2である場合、ステップS107に進み、異常発生を家族や知人に報知する。具体的には、制御対象機器として移動通信機器31や外部施設32、車両33の動作制御を行い、それら移動通信機器31や外部施設32、車両33を通じて家族や知人に異常発生を報知する。この場合、移動通信機器31は例えば家族や知人の携帯電話であり、外部施設32は例えば知人宅であり、車両33は例えば知人の車両である。この場合、家族や知人は、医療機関等に報知するか否かの判断を行うなど、異常発生に応じて対処することになる。家族や知人がユーザを医療機関等に連れて行く場合、車載ナビゲーション装置に医療機関等に関する情報を表示させたり、医療機関等に対してユーザの健康状態に関する情報を送信したりする。
【0101】
処理モードがゼロモードN0〜第2モードN2のいずれでもない場合、ステップS108に進み、処理モードが第3モードN3であるか否かを判定する。
【0102】
処理モードが第3モードN3である場合、ステップS109に進み、異常発生を病院に報知する。例えば、制御対象機器として外部施設32の動作制御を行い、その外部施設32を通じて病院関係者に異常発生を報知する。この場合、異常発生の報知に加えて、ユーザの健康状態に関する情報(例えば、異常発生からの経過時間等)を病院に送信する。なお、異常発生を、病院に加えて家族や知人にも報知する。
【0103】
報知対象がゼロモードN0〜第3モードN3のいずれでもない場合、処理モードが第4モードN4であるとして、ステップS110に進み、異常発生を消防署に報知する。例えば、制御対象機器として外部施設32の動作制御を行い、その外部施設32を通じて消防署関係者に異常発生を報知するとともに、救急車等の緊急車両を手配する。この場合、地域に配備されている緊急車両の台数が不足気味であっても、その不都合を解消することが可能となる。また、ユーザの状態に応じて、専門医療機関に対して異常報知を行うとともにその専門医療機関に対してユーザの健康状態に関する情報(例えば、異常発生からの経過時間等)を送信する。この場合には、専門医療機関に関する情報を消防署や緊急車両に送信してもよい。なお、ユーザの状態に応じて、ユーザのかかりつけ病院等に対して異常報知を行ってもよい。
【0104】
次に、子サーバ21〜23により実行される建物機器15〜17を制御対象とした建物機器制御処理について、図11〜図13のフローチャートを参照しつつ説明する。上記のように、ホームサーバ25は、ユーザの健康状態に異常がある場合に異常発生を報知する処理を実行するが、子サーバ21〜23は、ユーザの健康状態に異常がある場合に異常発生に応じて建物機器15〜17を動作制御する処理を実行する。
【0105】
まず、浴室サーバ21により実行される浴室機器15を制御対象とした浴室機器制御処理について説明する。
【0106】
図11において、ステップS201では、入浴者を特定する個人認証処理を行う。例えば、入浴者が浴室サーバ21の操作部から入力した情報に基づいてその入浴者を特定する。また、浴室11の出入口周辺や脱衣室に入浴者の身体的特徴を検出する身体感知センサが設けられている構成であれば、その身体感知センサから入力される検出信号に基づいて入浴者を特定してもよい。
【0107】
ステップS202では、浴槽用センサ47a,47bから検出信号を受信したか否かを判定する。検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS203に進み、その検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS204では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。ステップS205では、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力し、浴室用表示モニタ52に生理データを入浴者の健康状態として表示させたり、行動データを入浴状況として表示させたりする。
【0108】
ステップS206では、生理データに基づいて浴槽41内における入浴者の体位を判定する。より詳しくは、各浴槽用センサ47a,47bのそれぞれから検出された各検出信号に基づいて、第1浴槽用センサ47a側の心電図波形と第2浴槽用センサ47b側の心電図波形とを取得する。そして、これら心電図波形を比較し、振幅が大きい方の心電図波形を背中側の心電図波形として判定する。すなわち、各浴槽用センサ47a,47bのうちいずれに入浴者の背中が接触しているのかを判定し、入浴者の体位を判定する。本実施形態では、生理データとして、背中側の心電図波形を採用するが、足側の心電図波形を採用してもよい。なお、入浴中には、入浴者が浴槽41における短辺側の側面にもたれていると考えられるため、各浴槽用センサ47a,47bのうち一方の側だけしか心電図波形を取得することができなくても、その心電図波形を背中側の心電図波形として特定することができる。
【0109】
ステップS207では、入浴時間が正常であるか否かを判定する。なお、浴室滞在時間を取得した場合は、浴室滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。入浴時間が正常でない場合、ステップS208に進み、入浴時間異常報知処理を行う。例えば、現在の入浴時間長さが通常の入浴時間長さより長くなった場合、浴室用表示モニタ52に対して指令信号を出力し、浴室用表示モニタ52に入浴時間が十分に確保されたことを表示させたり、表示ランプ53に対して指令信号を出力し、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。一方、入浴時間が正常である場合、例えば、現在の入浴時間長さが通常の入浴時間長さより短い場合は、そのままステップS209に進む。
【0110】
ステップS209では、生理指標が正常であるか否かを判定する。入浴時間及び生理指標が正常である場合、そのまま本処理を終了し、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS210に進む。
【0111】
ステップS210では、生理データにおいて、心電図波形及び心拍数が正常であるか否かを判定し、心電図波形及び心拍数が正常でない場合、ステップS211にて、心拍異常報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52に心電図波形又は心拍数が正常でないことを表示させたり、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。
【0112】
心電図波形及び心拍数が正常である場合、ステップS212に進み、体表面温度が正常であるか否かを判定する。すなわち、入浴者が「のぼせ」状態にあるか否かを判定する。より詳しくは、各浴槽用センサ47a,47bの検出結果に基づいて、第1浴槽用センサ47a側の体表面温度と、第2浴槽用センサ47b側の体表面温度とを算出する。そして、体位判定の判定結果に基づいて、それら体表面温度の一方を背中側の体表面温度として取得し、他方を足側の体表面温度として取得する。なお、ステップS206の体位判定処理に基づいて、各浴槽用センサ47a,47bのうち背中側となる方と足側となる方とをそれぞれ特定するとよい。
【0113】
入浴者が浴槽41内で湯水に浸かっている場合、のぼせていなくても体表面温度は高くなっているが、のぼせている時は体表面温度が著しく高くなっている。したがって、背中側及び足側の各体表面温度をそれぞれ正常値と比較することでのぼせ状態にあるか否かの判定を行うことができる。また、通常、人の背中側の体表面温度は足先側の体表面温度より高くなっているが、のぼせている時の温度差はのぼせていない時の温度差に比べて小さくなっている。したがって、背中側の体表面温度と足側の体表面温度とを比較することでのぼせ状態にあるか否かの判定を行うことができる。ちなみに、背中側の体表面温度と足側の体表面温度との温度差は、のぼせている時で0〜2℃程度であり、のぼせていない時で5℃程度である。
【0114】
体表面温度が正常でない場合、ステップS213に進み、のぼせ報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52にのぼせていることを表示して浴槽41から出るように促したり、表示ランプ53を点灯又は点滅させたりする。
【0115】
ステップS214では、のぼせ報知処理を行ったにもかかわらず入浴者が浴槽41から出ない場合に、のぼせ回復処理を行う。例えば、湯温調整装置55に対して指令信号を出力し、浴槽41内の湯水の温度を低下させたり、排水装置49に対して指令信号を出力し、排水装置49から湯水を排出させて浴槽41内の水位を低くしたりする。また、浴室用エアコン51に対して指令信号を出力し、浴室11内の空間温度を低くしたり、酸素供給装置54に対して指令信号を出力し、浴室11内の酸素濃度を調整したりする。これらの処理により、のぼせ状態の回復を図る。なお、浴槽41内の水位を低くした場合、放水部43に対して指令信号を出力し、入浴者の足側に位置する放水部43から湯水を放出させる。これにより、入浴者はその全身にシャワーを浴びることになり、のぼせ状態の回復を図りつつ湯冷めを防止することができる。
【0116】
生理指標が正常でない場合に、心電図波形及び心拍数、対表面温度のいずれも正常であれば、ステップS215に進み、異常報知処理を行う。例えば、浴室用表示モニタ52や表示ランプ53に対して指令信号を出力し、健康状態に異常があることを報知させる。
【0117】
次いで、トイレサーバ22により実行されるトイレ機器16を制御対象としたトイレ機器制御処理について説明する。
【0118】
図12において、ステップS301では、浴室サーバ21での個人認証処理と同様に、個人認証処理を行う。ステップS302では、便座用センサ72、握り棒用センサ75又は重量センサ76から検出信号を受信したか否かを判定する。それら検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS303に進み、受信した検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS304では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。ステップS305では、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、トイレ用表示モニタ78に生理データをユーザの健康状態として表示させたり、行動データをトイレ使用状況として表示させたりする。
【0119】
ステップS306では、便座67の着座時間が正常であるか否かを判定する。なお、トイレ滞在時間を取得した場合は、トイレ滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。便座67の着座時間が正常でない場合、ステップS307に進み、着座時間異常報知処理を行う。例えば、現在の着座時間長さが通常の着座時間長さより長くなった場合、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、トイレ用表示モニタ78に着座時間が正常時より長くなっていることを表示させる。一方、着座時間が正常である場合、例えば、現在の着座時間長さが通常の着座時間長さより短い場合は、そのままステップS308に進む。
【0120】
ステップS308では、生理指標が正常であるか否かを判定する。入浴時間及び生理指標が正常である場合、そのまま本処理を終了し、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS309に進む。
【0121】
ステップS309では、生理データにおいて、心電図波形及び心拍数が正常であるか否かを判定し、心電図波形及び心拍数が正常でない場合、ステップS310にて、心拍異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に心電図波形又は心拍数が正常でないことを表示させる。
【0122】
心電図波形及び心拍数が正常である場合、ステップS311に進み、いきみ量が正常であるか否かを判定する。具体的には、現在のいきみ量と、各種メモリに記憶されている過去のいきみ量に関するデータとを比較し、いきみ量が正常の範囲内にあるか否かを判定する。これにより、ユーザの排便状態が正常であるか否かを判定することができる。
【0123】
いきみ量が正常でない場合、ステップS312に進み、排便異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に排便状態が異常であることを表示させる。ステップS313では、排便補助処理を行う。例えば、噴射装置71に対して指令信号を出力し、噴射装置71から湯水を噴射させたり、トイレ用エアコン77に対して指令信号を出力し、トイレ12内の空間温度を調整したりする。これにより、ユーザの便意と便通とを促進することができる。
【0124】
生理指標が正常でない場合に、いきみ量が正常であれば、ステップS314に進み、異常報知処理を行う。例えば、トイレ用表示モニタ78に対して指令信号を出力し、健康状態に異常があることを報知させる。なお、この場合、傾倒調整装置69に対して指令信号を出力し、背もたれ68の傾倒角度を調整してもよい。この場合、ユーザに体調異変が生じても、ユーザをリラックス可能な体勢とすることになり、体調回復を図ることができる。
【0125】
続いて、寝室サーバ23により実行される寝室機器17を制御対象とした寝室機器制御処理について説明する。
【0126】
図13において、ステップS401では、浴室サーバ21での個人認証処理と同様に、個人認証処理を行う。ステップS402では、ベッド用センサ85から検出信号を受信したか否かを判定する。検出信号を受信していない場合、そのまま本処理を終了する。検出信号を受信した場合、ステップS403に進み、その検出信号に基づいて生理データ及び行動データを取得し、生理指標、行動指標及び健康状態指標を算出する。ステップS404では、健康状態指標をホームサーバ25へ送信する。
【0127】
ステップS405では、睡眠時間が正常であるか否かを判定する。なお、寝室滞在時間を取得した場合は、寝室滞在時間が正常であるか否かを判定してもよい。要は、行動指標が正常であるか否かを判定すればよい。睡眠時間が正常でない場合、ステップS406に進み、目覚め促進処理を行う。例えば、現在の睡眠時間長さが通常の睡眠時間長さより著しく長くなった場合、寝室用照明器具88に対して指令信号を出力し、寝室用照明器具88を点灯させて寝室13を明るくする。一方、睡眠時間が正常である場合、例えば、現在の睡眠時間長さが通常の睡眠時間長さより短い場合は、そのままステップS407に進む。
【0128】
ステップS407では、生理指標が正常であるか否かを判定する。睡眠時間及び生理指標が正常である場合、ステップS408に進み、睡眠中処理を行う。例えば、寝室用エアコン86に対して指令信号を出力し、寝室13内の空間温度を睡眠に適した温度に調整したり、ベッド用温度計84の検出信号に基づいてユーザの頭部周辺の空間温度を睡眠に適した温度に調整したりする。なお、屋外の温度を検出する屋外温度計が設けられていれば、屋外温度に合わせて寝室13の空間温度を調整してもよい。さらに、ヒータ83に対して指令信号を出力し、マットレス82の温度を睡眠に適した温度に調整する。特に、寝室13の空間温度が低い場合には、ユーザの足周辺を暖めることで頭寒足熱を実現することができる。
【0129】
また、睡眠中処理として、睡眠時間や睡眠状態からユーザの起床タイミングを推定し、起床を促すべく寝室用照明器具88に対して指令信号を出力し、寝室13内を明るくする。なお、寝室13に設けられているカーテンやブラインドカーテンが電動式であれば、それらの開放制御を行うことで寝室13内を明るくしてもよい。また、隣室用エアコン87に対して指令信号を出力し、寝室13に隣接した部屋の空間温度を調整する。これにより、起床後、ユーザは隣部屋でも快適に過ごすことができる。なお、起床後は、寝室用エアコン86及び寝室用照明器具88を動作停止させる。
【0130】
一方、生理指標が正常でない場合、すなわち生理指標が生理異常レベルL1又はL2にある場合、ステップS408に進み、異常回復処理を行う。例えば、寝室用エアコン86やヒータ83を動作させ、寝室13内の空間温度を調整したりマットレス82の温度を調整したりして、ユーザの体調回復を図る。
【0131】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0132】
浴室11に浴槽用センサ47が設けられ、トイレ12に便座用センサ72及び握り棒用センサ75が設けられ、寝室13にベッド用センサ85が設けられているため、入浴や排便、就寝などのユーザの日常生活に合わせてユーザの生体情報が検出される。また、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23は、ホームネットワークを介してホームサーバ25と接続されているため、ユーザの行動や時間経過に伴って生体情報が逐次変化しても、その逐次変化する生体情報を好適に把握できる。すなわち、都度のユーザの健康状態を好適に把握できる。
【0133】
また、生体情報に基づいて生理データ及び行動データが取得され、それら生理データ及び行動データに基づいて生理指標、行動指標及び健康状態指標が算出される。すなわち、生体情報が健康状態指標に変換される。そして、ホームサーバ25は、健康状態指標に基づいて、報知対象機器として移動通信機器31や外部施設32、車両33の動作制御を行う。すなわち、報知処理を実行する。この場合、ホームサーバ25は、生体情報をそのまま用いて報知処理を実行するのではなく、健康状態指標を用いて報知処理を実行するため、生体情報に個別に対応した報知処理だけでなく、ユーザの健康状態に対して総合的に適した報知処理を実行することができる。つまり、生体情報に多種多様な情報が含まれていても、例えば報知対象を適切に設定し、その報知対象に健康状態の異常発生等を報知することができる。
【0134】
以上の結果、ユーザの健康状態に応じて制御対象機器の制御を好適に行うことができる。
【0135】
ホームサーバ25は、健康状態指標の状態に応じて処理モードをゼロモードN0〜第4モードN4のいずれかに設定し、それら処理モードに応じて報知対象を設定する。このため、都度のユーザの健康状態に合わせて適切な報知対象に対して異常報知等を行うことができる。この場合、ユーザの健康状態が逐次変化しても、その逐次変化する健康状態に合わせて報知対象を可変設定することが可能となる。
【0136】
生理指標の状態は、生理異常レベルL0〜L2のいずれかに設定され、行動指標の状態は、行動異常レベルR0〜R2のいずれかに設定される。そして、健康状態指標は、それぞれ状態設定された生理指標と行動指標とが合成されることで算出されるため、健康状態指標に対する処理モードを、都度のユーザの健康状態を内容や程度に関して多くの段階にきめ細かく判別することができる。
【0137】
生体情報に基づいて生理データ及び行動データが取得され、それら生理データ及び行動データに基づいて健康状態指標が算出されるため、健康状態の内容や程度に関する情報を健康状態指標に多面的に含ませることができる。例えば、生理データに異常がなくても、浴室11での入浴時間や、トイレ12での着座時間、寝室13での就寝時間等に異常がある場合に、それらユーザの行動に関する異常を健康状態指標に含ませることができる。したがって、ホームサーバ25により、異常発生を報知する報知処理をより確実に行わせることができる。
【0138】
健康状態指標は、所定タイミングでの生体情報に基づいて算出されるため、ホームサーバ25は、報知処理を実行する際に、都度の健康状態(時系列で同時に検出された複数の生体情報)に適した報知対象を設定するだけでなく、時系列的な健康状態の変化の様子(時系列で別々のタイミングで検出された複数の生体情報)に対して総合的に適した報知対象を設定することができる。例えば、入浴中に、心拍に関する異常及び体表面温度に関する異常が同時に検出された場合と、入浴中に体表面温度に関する異常が検出され、入浴後に心拍に関する異常が検出された場合とで、異なる報知対象を設定することが可能となる。また、異常発生を報知する場合、複数の報知対象のうちいずれかを報知する構成となっているため、異常の内容や程度に適した報知対象に報知することができる。
【0139】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0140】
(1)車両33を運転しているドライバの生体情報が検出される構成としてもよい。例えば、車両33が、ドライバの生体情報を検出する生体情報検出部として、浴槽用センサ47等と同様の車両用センサを有する構成とする。車両用センサは、ドライバの身体の一部が座席シートやハンドルと接触することでそのドライバの生体情報を検出するように、それら座席シートやハンドルに設けられている。例えば、ドライバが座るシートやドライバが手で握るハンドルに設けられている。この場合、車両33には、その車両33の運転制御や車載機器の動作制御を行う車載コントローラが設けられており、車載コントローラに車両用センサが電気的に接続されている。車載コントローラは、車両用センサの検出信号に基づいて生理データや行動データを取得し、それらデータに基づいて生理指標や行動指標、健康状態指標を算出する。
【0141】
車載コントローラは、生理指標や行動指標に基づいてユーザの健康状態に関して異常判定を行い、異常発生時には、車両33や車載機器の動作制御を実行する。例えば、車載エアコンの動作制御を行い、車両33内の空間温度を調整したり、車載酸素供給装置の動作制御を行い、車両33内の酸素濃度を高めたりすることでドライバの体調回復を図る。また、車両33の自動運転制御が可能となっており、走行中の車両33を徐々に道路の路肩に寄せて停車させつつ、ハザードランプを点滅させて停止車両33の安全を確保する。そして、傾倒可能なシートの傾倒角度を調節する制御を行い、ドライバにリラックス可能な体勢を取らせることで体調回復を図る。さらには、車載ナビゲーション装置の動作制御を行い、病院に関する情報を車載ナビゲーション装置に表示させる。以上の結果、車両33の走行中にドライバの健康状態に異常が発生して仮にドライバが運転不能な状態に陥っても車両33を安全に停止させるなど、異常に合わせて好適に対処することができる。
【0142】
(2)建物10内の階段や廊下等を歩行しているユーザの生理データや行動データが取得される構成としてもよい。例えば、階段を昇降しているユーザの動きを検出する検出センサが設けられており、その検出結果に基づいて生理データや行動データが取得される構成とする。この場合、階段の昇降に要する所要時間や動きの様子を生理データや行動データとして取得し、異常判定が行われる。したがって、ユーザの日常生活のより多くの場面から健康状態指標を算出し、日常生活についてきめ細かく異常判定を行うことができる。なお、ユーザの声量等が生理データや行動データとして取得される構成としてもよい。
【0143】
(3)上記実施形態では、寝室13において、ベッド用センサ85は、ベッド81で寝ているユーザの上半身近傍に位置するように配置されているが、ベッド81又はマットレス82における上面のほぼ全体に配置されていてもよい。この場合、寝室サーバ23が浴室サーバ21と同等の項目の生理データを取得する構成であれば、寝室サーバ23は、心電図波形等に基づいてユーザの就寝中の体位を特定することができ、ユーザの体位に合わせて寝室機器17の動作制御を行うことができる。例えば、寝返り等によりユーザの体位が変わったとしても、就寝中には、寝室用エアコン86から吹出される風がユーザの頭部周辺に当たらないようにしたり、ユーザの頭部周辺が寝室用照明器具88により照らされないようにしたりすることで、ユーザの睡眠状態を良好に保つことができる。また、起床時には、ユーザの頭部周辺が寝室用照明器具88で照らすようにすることで、ユーザの覚醒を促すことができる。
【0144】
(4)上記実施形態では、ホームサーバ25、浴室サーバ21、トイレサーバ22及び寝室サーバ23といった複数のサーバが含まれてホームネットワークシステムが構成されているが、1つのサーバだけが含まれてホームネットワークシステムが構成されていてもよい。また、複数のサーバのうち1つのサーバだけが、生理指標算出部91、行動指標算出部92、健康状態指標算出部93及び通信制御部95を全て有していてもよい。
【0145】
(5)上記実施形態では、健康状態指標が生理指標と行動指標とが合成されることで算出されているが、健康状態指標は、生理指標及び行動指標のうち一方により算出されてもよく、それら生理指標及び行動指標の少なくとも一方にその他の指標が合成されることで算出されてもよい。
【0146】
(6)生理指標には、生理データが異常である場合に複数の異常状態(生理異常レベルL1,L2)が含まれているが、正常及び異常の2状態だけが含まれていてもよい。同様に、行動指標には、行動データが異常である場合に複数の異常状態(行動異常レベルR1,R2)が含まれているが、正常及び異常の2状態だけが含まれていてもよい。また、健康状態指標には、生理指標又は行動指標が異常である場合に複数の異常状態(第1モードN1〜第4モードN4に対応した状態)が含まれているが、ユーザの健康及び不健康の2状態だけが含まれていてもよい。
【0147】
(7)上記実施形態では、生体指標及び行動指標が算出され、それら指標が合成されることで健康状態指標が算出されるが、生体指標や行動指標が算出されずに生体情報や生理データ、行動データ等に基づいて健康状態指標が算出されてもよい。
【0148】
(8)上記実施形態では、ホームサーバ25に子サーバ21〜23が電気的に接続されているが、ホームサーバ25に建物機器15〜17が電気的に接続されていてもよい。この場合、ホームサーバ25により建物機器15〜17の動作制御が行われる構成とする。
【0149】
(9)上記実施形態では、ホームサーバ25により報知処理が実行される構成としたが、子サーバ21〜23により報知処理が実行される構成としてもよい。例えば、子サーバ21〜23に建物通信部29がそれぞれ設けられている構成とする。
【0150】
(10)ホームネットワークシステムには、建物機器15〜17として、浴室機器15、トイレ機器16及び寝室機器17以外の機器が含まれていてもよい。例えば、玄関等に設けられている施錠装置等が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本実施形態におけるホームネットワークシステムの概略を示す構成図。
【図2】浴室の構成を説明するための概略図。
【図3】トイレの構成を説明するための概略図。
【図4】寝室の構成を説明するための概略図。
【図5】ホームネットワークシステムの概略を示す機能ブロック図。
【図6】生理指標及び健康状態指標について説明するための図。
【図7】心電図波形について説明するための図。
【図8】心電図波形を算出する構成について説明するための図。
【図9】報知対象について説明するための図。
【図10】ホームサーバにより実行される報知処理を示すフローチャート。
【図11】浴室サーバにより実行される浴室機器制御処理を示すフローチャート。
【図12】トイレサーバにより実行されるトイレ機器制御処理を示すフローチャート。
【図13】寝室サーバにより実行される寝室機器制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0152】
10…建物、11…浴室、12…トイレ、15…浴室機器、16…トイレ機器、17…寝室機器、21…浴室サーバ、22…トイレサーバ、23…寝室サーバ、25…ホームサーバ、29…建物通信部、31…通信機器、32…外部施設、33…車両、41…浴槽、47…浴槽内センサ、67…便座、72…便座用センサ、73…握り棒、75…握り棒用センサ、76…重量センサ、91…生理指標算出部、92…行動指標算出部、93…健康状態指標算出部、94…機器制御部、95…健康状態指標解析部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが日常使用する設備又は場所にそれぞれ設けられ、ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得する複数のユーザ情報取得手段と、
ネットワークを通じて前記複数のユーザ情報取得手段に接続される制御装置と、
該制御装置からの出力により制御される制御対象機器と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数のユーザ情報取得手段により取得される都度のユーザ情報に基づいて、少なくとも健康及び不健康の2状態を含む健康状態指標を算出する健康状態指標算出手段と、
前記健康状態指標算出手段により算出した健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記制御対象機器を用い、都度の健康状態指標に応じて所定の規定処理を実行する処理実行手段と、
を備えることを特徴とする健康管理ネットワークシステム。
【請求項2】
前記健康状態指標算出手段は、複数段階の不健康状態が含まれるように前記健康状態指標を算出し、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、該ユーザの不健康状態の段階に応じて所定の規定処理を実行する請求項1に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項3】
前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報として、前記生体情報に加えてユーザの行動履歴に関する行動情報を取得し、
前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報と前記行動情報とについて少なくとも健康及び不健康の2状態の判定をそれぞれ行うとともに、前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成して前記健康状態指標を算出する請求項1又は2に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項4】
前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報についての状態判定結果よりも多段階の状態を含む前記健康状態指標を算出する請求項3に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項5】
前記複数のユーザ情報取得手段により取得されるユーザ情報の項目及びその内容と前記健康状態指標とをあらかじめ対応付けた健康管理データを記憶している手段を備え、
前記健康状態指標算出手段は、前記健康管理データを参照して前記健康状態指標を算出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項6】
前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報に加えて、該ユーザ情報を取得した時刻に関する時刻情報を取得し、
前記健康状態指標算出手段は、前記ユーザ情報と前記時刻情報とを対応させて前記健康状態指標を算出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項7】
前記制御対象機器は、異常発生時において各々異なる報知相手に対してそれぞれ異常報知を行う複数の報知機器であり、
前記複数の報知機器を前記健康状態指標のいずれかの状態にそれぞれ対応させた報知機器対応データを算出する手段を有し、
前記処理実行手段は、前記報知機器対応データに基づいて、前記複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知を行わせる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項8】
前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得する浴室用生体センサを浴室内に設けるとともに、前記制御対象機器として前記浴室内に湯水調整装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記湯水調整装置により浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整を実行する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項9】
前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得するトイレ用生体センサをトイレに設けるとともに、前記制御対象機器として前記トイレ内に通便補助装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記通便補助装置による通便補助処理を実行する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項1】
ユーザが日常使用する設備又は場所にそれぞれ設けられ、ユーザの生体情報を含むユーザ情報を取得する複数のユーザ情報取得手段と、
ネットワークを通じて前記複数のユーザ情報取得手段に接続される制御装置と、
該制御装置からの出力により制御される制御対象機器と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数のユーザ情報取得手段により取得される都度のユーザ情報に基づいて、少なくとも健康及び不健康の2状態を含む健康状態指標を算出する健康状態指標算出手段と、
前記健康状態指標算出手段により算出した健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記制御対象機器を用い、都度の健康状態指標に応じて所定の規定処理を実行する処理実行手段と、
を備えることを特徴とする健康管理ネットワークシステム。
【請求項2】
前記健康状態指標算出手段は、複数段階の不健康状態が含まれるように前記健康状態指標を算出し、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、該ユーザの不健康状態の段階に応じて所定の規定処理を実行する請求項1に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項3】
前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報として、前記生体情報に加えてユーザの行動履歴に関する行動情報を取得し、
前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報と前記行動情報とについて少なくとも健康及び不健康の2状態の判定をそれぞれ行うとともに、前記生体情報についての状態判定結果と前記行動情報についての状態判定結果とを合成して前記健康状態指標を算出する請求項1又は2に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項4】
前記健康状態指標算出手段は、前記生体情報についての状態判定結果よりも多段階の状態を含む前記健康状態指標を算出する請求項3に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項5】
前記複数のユーザ情報取得手段により取得されるユーザ情報の項目及びその内容と前記健康状態指標とをあらかじめ対応付けた健康管理データを記憶している手段を備え、
前記健康状態指標算出手段は、前記健康管理データを参照して前記健康状態指標を算出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項6】
前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報に加えて、該ユーザ情報を取得した時刻に関する時刻情報を取得し、
前記健康状態指標算出手段は、前記ユーザ情報と前記時刻情報とを対応させて前記健康状態指標を算出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項7】
前記制御対象機器は、異常発生時において各々異なる報知相手に対してそれぞれ異常報知を行う複数の報知機器であり、
前記複数の報知機器を前記健康状態指標のいずれかの状態にそれぞれ対応させた報知機器対応データを算出する手段を有し、
前記処理実行手段は、前記報知機器対応データに基づいて、前記複数の報知機器のいずれかに対して選択的に報知を行わせる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項8】
前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得する浴室用生体センサを浴室内に設けるとともに、前記制御対象機器として前記浴室内に湯水調整装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記湯水調整装置により浴槽内湯水又はシャワー湯水の調整を実行する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【請求項9】
前記ユーザ情報取得手段として前記ユーザ情報を取得するトイレ用生体センサをトイレに設けるとともに、前記制御対象機器として前記トイレ内に通便補助装置を設けた健康管理ネットワークシステムであり、
前記処理実行手段は、前記健康状態指標が、ユーザが不健康であることに相当するものである場合に、前記規定処理として前記通便補助装置による通便補助処理を実行する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の健康管理ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−240661(P2009−240661A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93113(P2008−93113)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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