説明

光電変換装置の製造方法

【課題】光電変換装置外部と電気的に接続される領域となる端子部は、その製造工程中に、フォトダイオードのドライエッチング雰囲気、パッシベーション層のフッ酸系ウェットエッチング雰囲気に等に晒される。また、各工程におけるレジスト剥離に伴うプラズマアッシング雰囲気にも晒される。そのため、エッチング工程による端子部の表面でダメージが蓄積され、接触抵抗の増加、密着性の低下等の不良が発生する。
【解決手段】製造工程中でのエッチング工程による端子部10Bの表面でのダメージ蓄積を防ぐため、無機平坦化層202を、最終のエッチング工程(端子部10Bとコンタクトを取る工程前)まで残した。エッチング工程によるダメージは無機平坦化層202により吸収されるため、端子部10Bへの不必要なダメージ蓄積を防ぐことが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換装置を形成する基板として従来結晶シリコンが主に用いられてきたが、近年、基板にガラスを用い、アモルファスシリコン層を光電変換層として用い、この光電変換層との間での電気的な処理に、ポリシリコン等で構成されるTFT(薄膜トランジスター)を用いる光電変換装置が精力的に研究されている。
【0003】
結晶シリコン基板を用いた場合では、直径30cm程度の基板径が限度となるが、ガラス基板を用いることで、一辺が3m近い基板を用いることが可能となり、大型の光電変換装置を得ることが可能となる。また、一枚のウェファーから得られる光電変換装置の数が違ってくるため、基板そのものの値段差に加え、取れ数にも差が生じ、コスト面でも優位性を備えている。
【0004】
TFTを備える光電変換装置を形成する場合、プロセス上の制約から、TFTのソース・ドレイン・コンタクト部に与える損傷を抑制する技術として、特許文献1〜4に示すものが知られている。このように、下地層の損傷を抑えることで、接触抵抗の増加、密着性の低下等の影響を緩和することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−41512号公報
【特許文献2】特開平6−29510号公報
【特許文献3】特開平6−61466号公報
【特許文献4】特開2000−232215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ソース・ドレイン・コンタクト部に限らずエッチングに伴う損傷により、たとえば接触抵抗の増加、密着性の低下が発生するという現象が発生する。特に、図16に示される構造を形成すべく、端子部10Bを有機平坦化層203と無機平坦化層202を積層した後、続けてエッチングして端子部10Bを露出させる工程を用いた場合、光電変換装置外部と電気的に接続される領域となる端子部10Bは、典型的には、有機平坦化層203と無機平坦化層202の開口時におけるドライエッチング雰囲気、画素電極204形成時のドライエッチング雰囲気、フォトダイオード20形成時のドライエッチング雰囲気、パッシベーション層の加工に伴うフッ酸系ウェットエッチング雰囲気に晒される。また、各工程におけるレジスト剥離に伴うプラズマアッシング雰囲気にも晒される。そのため、エッチング工程による端子部10Bの表面でダメージが蓄積され、端子部10Bと光電変換装置外部との間での接触抵抗の増加、密着性の低下等の不良が発生するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態又は適用例として実現することが可能である。ここで、「上」とは、基板から見て光電変換素子がある方向を指すものと定義する。「下」とは、上と反対方向を指すものとして定義する。なお、「上」、「下」いずれの場合においても、構成要素同士が直接接触していない場合を含むものとする。また、「端子部」とは光電変換装置の外にある電源装置や制御装置等の外部装置から電源の供給や制御信号を受ける部分や、光電変換装置の中で得られた信号を他の外部装置に送り出す部分を指し、光電変換素子と信号のやりとりをするための部分と定義する。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる光電変換装置の製造方法は、光電変換素子と、前記光電変換素子と信号のやりとりをするための端子部と、を基板上に備えた光電変換装置の製造方法であって、前記基板上に、前記端子部を形成する工程と、前記基板上に、前記端子部を覆う第1被覆層を形成する工程と、前記基板における平面視にて、前記端子部に重ならない領域であって、積層方向で前記第1被覆層の上に前記光電変換素子の前駆体を形成する工程と、前記光電変換素子前駆体をエッチングし、前記光電変換素子を形成する工程と、前記端子部上の前記第1被覆層をエッチングし、前記端子部を露出させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
これによれば、端子部が受けるエッチング起因の損傷を抑えることが可能となる。端子部は、光電変換素子前駆体のエッチングに際して少なくとも第1被覆層により被覆されているため、エッチングに用いられる薬液やプラズマ等の雰囲気から保護される。そのため、端子部を介して接続される、外部装置と光電変換装置とを繋げる配線の接続強度を確保することができる。そのため、機械的な剥がれや、電気的な接触不良等の発生を抑制できる。即ち、信頼性に優れた光電変換装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子の電気的動作を制御する薄膜トランジスターをさらに備えた上記に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記端子部を形成する工程において、前記光電変換素子と接続するための前記薄膜トランジスターの半導体層と接続される接続電極部を、前記基板における平面視にて前記端子部に重ならない位置であって前記端子部と積層方向の同一層に形成し、前記第1被覆層を形成する工程において、前記接続電極部を覆う前記第1被覆層を形成し、前記第1被覆層を形成する工程の後であって、前記光電変換素子の前駆体を形成する工程の前に、前記接続電極部に重なる領域の前記第1被覆層を開口させる工程と、前記第1被覆層の上に導電性を備えた画素電極前駆体を形成した後、前記基板における平面視にて、前記接続電極部に重なる領域と、前記光電変換素子が配置されるべき領域と、前記接続電極部に重なる領域と前記光電変換素子が配置されるべき領域と、を電気的に接続する領域を残すように前記画素電極前駆体をエッチングし、画素電極を形成する工程と、をさらに含み、前記光電変換素子の前駆体を形成する工程において、前記画素電極の上に前記画素電極と電気的に接続される前記光電変換素子の前駆体を形成することを特徴とする。
【0011】
これによれば、端子部が受けるエッチング起因の損傷を抑えることが可能となる。端子部は、画素電極前駆体のエッチングに際して少なくとも第1被覆層により被覆されているため、エッチングに用いられる薬液やプラズマ等の雰囲気から保護される。そのため、端子部を介して接続される、外部装置と光電変換装置とを繋げる配線の接続強度を確保することができる。そのため、機械的な剥がれや、電気的な接触不良等の発生を抑制できる。即ち、信頼性に優れた光電変換装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子を形成する工程の後に、前記基板上に、パッシベーション層前駆体を形成する工程と、をさらに含み、前記端子部を露出させる工程において、前記端子部の上の前記第1被覆層と共に前記パッシベーション層前駆体をエッチングすると共に、前記光電変換素子の上の前記パッシベーション層前駆体をエッチングし、前記端子部と前記光電変換素子が露出されたパッシベーション層を形成することを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、端子部が受けるエッチング起因の損傷を抑えることが可能となる。端子部は、パッシベーション層前駆体のエッチングに際して少なくとも第1被覆層により被覆されているため、エッチングに用いられる薬液やプラズマ等の雰囲気から保護される。そのため、端子部を介して接続される、外部装置と光電変換装置とを繋げる配線の接続強度を確保することができる。そのため、機械的な剥がれや、電気的な接触不良等の発生を抑制できる。即ち、信頼性に優れた光電変換装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記第1被覆層を形成する工程の後に、前記基板上に、前記第1被覆層の上であって、前記光電変換素子の前駆体の下に、第2被覆層を形成する工程と、前記端子部を露出させる工程の前に、前記端子部と重なる領域と、前記接続電極部と重なる領域の前記第2被覆層を開口させる工程と、をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、第1被覆層と第2被覆層の一方を無機物層とし、他方を有機物層とする構成が可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記端子部を形成する工程の後であって、前記第1被覆層を形成する工程の前に、前記基板上に、第2被覆層を形成する工程と、前記端子部と重なる領域と、前記接続電極部と重なる領域の前記第2被覆層を開口させる工程と、をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、第1被覆層と第2被覆層の一方を無機物層とし、他方を有機物層とする構成が可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記第1被覆層と前記第2被覆層のうち、下層側の被覆層は有機物層であり、上層側の被覆層は無機物層を用いてなることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、平坦化性に優れた有機物層を下層に用いることで、薄膜トランジスターの形成等で生じた段差を効果的に解消し平坦化することが可能となる。また、上層に無機物層を用いることで、有機物層から発生する揮発性有機物等の汚染物質を封じ込め、光電変換素子への侵入を抑制することが可能となる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記第1被覆層と前記第2被覆層のうち、下層側の被覆層は無機物層であり、上層側の被覆層は有機物層を用いてなることを特徴とする。
【0021】
上記した適用例によれば、無機物層と有機物層とのエッチングにおいて、その物性が大きく異なることから、高い選択比を取ることが可能となる。そのため、精密にエッチング深さを制御することが可能となる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記無機物層は、SiOxy(x=0または、y=0を含む)層であることを特徴とする。
【0023】
上記した適用例によれば、SiOxy層は緻密な性質を持った層であり、水分や酸素の浸入を効果的に阻止することが可能となる。また、SiOxy層は半導体デバイスに長期に渡り用いられている実績のある層であり、想定外の不良発生を防ぐことが可能となる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記パッシベーション層は、SiOxy(x=0または、y=0を含む)層であることを特徴とする。
【0025】
上記した適用例によれば、SiOxy層は緻密な性質を持った層であり、水分や酸素の浸入を効果的に阻止することが可能となる。また、SiOxy層は半導体デバイスに長期に渡り用いられている実績のある層であり、想定外の不良発生を防ぐことが可能となる。
【0026】
[適用例10]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記基板における平面視にて前記端子部が前記無機物層と重なっている場合に、前記パッシベーション層と前記無機物層を構成する窒化酸化珪素(窒化珪素、酸化珪素を含む)の組成比が揃えられていることを特徴とする。
【0027】
上記した適用例によれば、パッシベーション層と無機物層とは、組成比が揃えられた窒化酸化珪素により構成されている。そのため、エッチングを行う際に、パッシベーション層と無機物層とを同じ条件でエッチングすることが可能となる。そのため、エッチング工程を簡略化することが可能となる。また、エッチング速度を揃えることが可能となるため、パッシベーション層と無機物層との間に継ぎ目状の形状を発生させることを抑制することが可能となる。そのため、後工程における導電層形成における不良発生を抑制することが可能となる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子前駆体は、N+層と、I型半導体層と、P+層とを積層することにより形成されることを特徴とする。
【0029】
上記した適用例によれば、上述のように、端子部が受けるエッチング起因の損傷を抑えつつ、限られた平面の中に、光電変換素子の受光領域を十分に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態のイメージセンサーの配線構造を示す模式図であり、(a)は全体構成、(b)はイメージセンサーが備えるフォトセンサーの断面図。
【図2】第1の実施形態におけるイメージセンサーが備える、フォトセンサーの概略構成を示す断面図。
【図3】(a)、(b)は、第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図4】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図5】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図6】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図7】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図8】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図9】第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図10】第3の実施形態により得られる光電変換装置の断面図。
【図11】第3の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図12】第3の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図13】第3の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図14】第3の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図15】第3の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図。
【図16】背景技術を説明するための光電変換装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1の実施形態:全体構成)
以下、第1の実施形態として、光電変換装置の構成について説明する。図1は本実施形態の光電変換装置の配線構造を示す模式図であり、(a)は全体構成、(b)は光電変換装置が備えるフォトセンサーの断面図である。図1(a)に示すように、本実施形態の光電変換装置100は、素子領域Aに互いに交差する方向に延びる走査線3aとデータ線6aとが設けられている。走査線3aは、走査線駆動回路102に接続され、データ線6aは、読み取り回路101に接続されている。フォトセンサー50は、走査線3aとデータ線6aとの交点付近に対応して形成され、素子領域Aにマトリックス状に配列されている。
【0033】
また、図1(b)に示すように、走査線3aと並列に定電位線3bが設けられ、データ線6aと並列に定電位線12aが設けられている。定電位線3bは、走査線駆動回路102に接続され、定電位線12aは、読み取り回路101に接続されている。それぞれのフォトセンサー50において、定電位線12aと定電位線3bとの間には、光電変換素子としてのフォトダイオード20と、保持容量30とが直列に電気的に接続されて設けられている。ここで、保持容量30は透光性の物質により構成されていることが好ましく、この場合にはフォトダイオード20の下側にも保持容量30を配置することが可能となる。また、走査線3aにゲート電極10G(図2参照)が接続された薄膜トランジスターとしてのTFT10が形成されており、このTFT10のソース10S(図2参照)は、データ線6aに接続され、ドレイン10D(図2参照)は、フォトダイオード20と保持容量30との接続点に電気的に接続されている。本実施形態では、TFT10と、フォトダイオード20と、保持容量30とによりフォトセンサー50が構成されている。
【0034】
図2は、本実施形態における光電変換装置が備える、フォトセンサー50と、読み取り回路101(図示せず)の一部を構成する薄膜トランジスターとしてのTFT10の概略構成を示す拡大断面図である。フォトセンサー50は、基板250、TFT40、光電変換素子としてのフォトダイオード20、層間絶縁層201、第1被覆層としての無機平坦化層202、第2被覆層としての有機平坦化層203、画素電極としての画素電極204、パッシベーション層208、を備える。TFT10は端子部としての端子部10Bを備える。ここで、図面の視認性向上のため、保持容量30についての記載は省略している。
【0035】
TFT10は、チャネル10CH、電界緩和部10LDD、ソース10S、ドレイン10D、ゲート絶縁層GI、ゲート電極10G、第1接続部10C、端子部10B、ドレイン電極10Eを備える。
【0036】
チャネル10CHは、TFT10に流れる電流を制御し、ソース10S、ドレイン10D間のオン・オフを切り替える機能を有している。
【0037】
ゲート絶縁層GIとゲート電極10Gは協働して、チャネル10CHにキャリアを誘起または排斥する機能を有している。
【0038】
電界緩和部10LDDは、ソース10Sとチャネル10CH、ドレイン10Dとチャネル10CHとの間にかかる電界強度を緩和し、高電界によりキャリアが加速されることで発生するホットキャリアによるTFT10の劣化を抑制する機能を有している。
【0039】
端子部10Bは、第1接続部10Cと、図示せぬ外部回路との間に備えられ、電気的に外部回路とドレイン10Dとを接続させる機能を有しており、ドレイン電極10E中に配置される。
【0040】
TFT40は、チャネル40CH、電界緩和部40LDD、ソース40S、ドレイン40D、ゲート絶縁層GI、ゲート電極40G、第2接続部40C、接続電極部40B、ドレイン電極40Eを備える。
【0041】
チャネル40CHは、TFT40に流れる電流を制御し、ソース40S、ドレイン40D間のオン・オフを切り替える機能を有している。
【0042】
ゲート絶縁層GIとゲート電極40Gは協働して、チャネル40CHにキャリアを誘起または排斥する機能を有している。
【0043】
電界緩和部40LDDは、ソース40Sとチャネル40CH、ドレイン40Dとチャネル40CHとの間にかかる電界強度を緩和し、高電界によりキャリアが加速されることで発生するホットキャリアによるTFT40の劣化を抑制する機能を有している。
【0044】
接続電極部40Bは、第2接続部40Cと、画素電極204との間に備えられ、電気的に画素電極204とドレイン40Dとを接続させる機能を有しており、ドレイン電極40E中に配置される。
【0045】
基板250は、上層にある構成物を支持している。基板250としては、たとえばガラスが好適に用いられる。平坦な構造を備えるガラスは、現在では一辺が3m程度のものが提供されており、多数の光電変換装置100を一度で製造することができるため、好適である。また、セラミック板等を基板として用いても良い。
【0046】
層間絶縁層201は、TFT10やTFT40と、フォトダイオード20との間の電気的分離を行うために形成されている。また、層間絶縁層201は、交差する電気配線パターンを層間絶縁層201上側と下側に分けて通すことで、配線の自由度を向上させる機能を有している。ここで、層間絶縁層201に加えさらに別の層間絶縁層を追加することで、配線の自由度をより高いものとすることも可能である。本実施形態では、一層のみを用いた例について説明している。
【0047】
無機平坦化層202は、TFT10、TFT40や、電気配線で凸凹ができた面を覆い、平坦な面に戻す機能を有している。このように平坦化することで、TFT10やTFT40と基板250における平面視にて重なる領域にフォトダイオード20を形成することが可能となり、少ない面積で光感度が高いフォトセンサー50が得られる。無機平坦化層202は、SiOxy(x=0、またはy=0を含む)等の物質を用いることが好適である。SiOxyは半導体プロセスで長い実績を持っており、SiOxyを無機平坦化層202に用いることで予期せぬ課題発生を防止することが可能となる。
【0048】
有機平坦化層203は、無機平坦化層202によりある程度平坦化された領域上に形成され、平坦性をより向上させるべく形成されている。有機平坦化層203は、アクリル等の有機樹脂を用いることができる。
【0049】
パッシベーション層208は、TFT10、TFT40や有機平坦化層203を外部雰囲気から保護する機能を有している。
【0050】
フォトダイオード20は、N+層205、I型半導体層206、P+層207を備える。なお、N+層205とP+層207はその位置を入れ替えても良い。この場合には、電気配線等の変更や、フォトダイオード20のバイアス条件変更等で対応することができる。なお、N+、P+とは、それぞれ高濃度のN型、高濃度のP型(たとえば1×1020cm-3以上程度)を意味する。ここで、I型半導体層206のN型不純物量(第1導電型不純物量)はN+層205より少なく、かつP型不純物量(第2導電型不純物量)はP+層207よりも少ない。I型半導体層206の空乏層は光電変換部として機能する。I型半導体層206中では不純物濃度が低い。そのため空乏層の伸びは大きくなる。従って、光電変換効率を高くすることが可能となる。
【0051】
(変形例:全体構成)
ここで、上記した光電変換装置の変形例について説明する。上記した例では、端子部10Bが、読み取り回路101から送出される信号(電荷)を外部回路へ伝送するための中継点となるよう、読み取り回路101の一部を構成するTFT10の一部として構成したが、端子部10Bは、この構成に限られるものではなく、外部回路から送出される信号を走査線駆動回路102へ伝送するための中継点となるよう、走査線駆動回路102の一部を構成するTFT等の一部として構成しても良い。また、読み取り回路101や走査線駆動回路102を光電変換装置100の外部に設ける構成として、端子部10Bを、データ線6aから送出される信号(電荷)を読み取り回路101へ伝送するための中継点となるよう構成したり、走査線駆動回路102から送出される信号を走査線3aへ伝送するための中継点となるように構成したりしても良い。いずれの場合においても、端子部10Bは、TFT40の接続電極部40Bと同じ層に構成されている。
【0052】
(第2の実施形態:光電変換装置の製造方法−1)
以下、本実施形態にかかる光電変換装置の製造方法について、図面を用いて説明する。図3(a)、(b)、図4〜図9は第2の実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0053】
まず、工程1として、基板250上に、薄膜トランジスターとしてのTFT10、TFT40(図2参照)の主要部分となるTFT10a、TFT40aを形成する。TFT10a、TFT40aの形成方法としては、たとえば、70nm程度の厚さを有するアモルファスシリコン層を形成し、エキシマレーザーアニールを行うことで結晶化させ、ポリシリコン層に改質する。次に、TFT10a、TFT40aとすべき領域を残してパターニングを行う。次に、酸化雰囲気で熱処理し、酸化膜を形成した後、CVD(化学気相堆積)法等によりゲート絶縁層GIを形成する。次に、たとえばアルミ合金等を成膜した後、パターニングを行い、ゲート電極10G、ゲート電極40Gを形成する。次に、たとえばゲート電極10G、ゲート電極40Gをマスクとして用いてイオン注入やプラズマドーピングを行い電界緩和部10LDD、電界緩和部40LDDを形成する。この工程では、別にマスクを用いても良い。次に、たとえばゲート電極10G、ゲート電極40Gを覆い、電界緩和部10LDD、電界緩和部40LDDを残す領域と基板250における平面視にて重なるマスクを形成して、イオン注入やプラズマドーピングを行い、ソース10Sとチャネル10CH(ゲート電極10Gの下部には不純物が入らず、チャネル10CHが残る)、ドレイン10Dを形成することでTFT10aが形成される。同時に、ソース40Sとチャネル40CH(ゲート電極40Gの下部には不純物が入らず、チャネル40CHが残る)、ドレイン40Dが形成され、TFT40aが形成される。ここまでの工程を終えた断面図を図3(a)に示す。
【0054】
次に、工程2として、CVD法等を用いて層間絶縁層201を形成する。次に、パターニングを行い、端子部10B(図2参照)と電気的に導通を取る第1接続部10Cと、接続電極部40B(図2参照)と電気的に接続を取る第2接続部40Cに対応する第1接続開口部10Fと第2接続開口部40Fを開口する。
【0055】
次に、工程3として、CVD法やスパッタ法を含むPVD(物理気相堆積)法等を用いて、第1接続開口部10Fと第2接続開口部40Fとを充填するように導電層60を形成する。導電層60としては、たとえばスパッタ法を用いて形成された、ネオジムや銅が添加されたアルミニウム層を用いることができる。そして、パターニングを行うことで基板250における平面視にて、第1接続部10Cと端子部10Bを含むドレイン電極10Eと、第2接続部40Cと接続電極部40Bを含むドレイン電極40Eを形成する。ここで、第1接続部10Cは基板250における平面視にて端子部10Bに囲われる。同様に、第2接続部40Cは基板250における平面視にて接続電極部40Bに囲われる。ここで、第1接続開口部10Fと第2接続開口部40Fのアスペクト比が高い場合に、第1接続開口部10Fと第2接続開口部40Fとを充填可能な形成方法の一つとしては、たとえばタングステンCVD法をあげることができる。
【0056】
ここで、たとえばタングステンを用いて第1接続部10Cと第2接続部40Cとを充填した場合、充填された第1接続部10Cと第2接続部40Cとを残してエッチングを行い、別の金属層を形成して後、これを新たな導電層60とし、パターニングを行うことで端子部10Bと接続電極部40Bとを形成しても良い。この場合、たとえば充填された領域よりも低抵抗の金属層を用いることも好適で、電気抵抗を低減することが可能となる。また、端子部10Bと接続電極部40Bの電気抵抗値を同程度に揃える場合には、端子部10Bと接続電極部40Bに起因する段差を少なく抑えることが可能となる。また、導電層60は多層構造を備えていても良い。ここまでの工程を終えた断面図を図3(b)に示す。
【0057】
次に、工程4として、第1被覆層としての無機平坦化層202を形成する。無機平坦化層202は、SiOxy(x=0、またはy=0を含む)等の物質を用いることが好適である。SiOxyは半導体プロセスで長い実績を持っており、SiOxyを無機平坦化層202に用いることで予期せぬ課題発生を防止することが可能となる。層形成には、たとえばCVD法を用いることができる。また、CVD法に代えてPVD法を用いて形成しても良い。また、無機平坦化層202として、ポーラス酸化珪素や、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物等を用いても良い。
【0058】
続けて、第2被覆層としての有機平坦化層203を形成する。有機平坦化層203としては、たとえばアクリル樹脂を用いることが好適である。アクリル樹脂を用いることで、平坦性をより向上させることが可能となる。ここで、アクリル樹脂に代えて、ポリイミド系、ポリエステル系、メチルメタアクリレート系、エポキシ系等の樹脂を用いても良い。ここまでの工程を終えた断面図を図4に示す。
【0059】
次に、工程5として、基板250における平面視にて接続電極部40Bと端子部10Bと重なる領域を開口させた第1レジスト層301を形成し、第1レジスト層301をマスクとして、有機平坦化層203を開口させる。ここで、平坦化層が3層以上の構成を備えている場合には、無機平坦化層202を残してその他の全ての平坦化層を開口させる。ここまでの工程を終えた断面図を図5に示す。この工程を終えた後、第1レジスト層301を除去する工程を行う。なお、工程4において形成した有機平坦化層203を、感光性樹脂、例えば感光性のアクリル樹脂を用いて形成しても良い。この場合、工程5において、ステッパー等の露光装置を用いることにより露光を行い、その後現像処理をすることにより、接続電極部40Bと端子部10Bと重なる領域を開口させるようにしても良い。
【0060】
次に、工程6として、基板250における平面視にて接続電極部40Bの少なくとも一部と重なる領域を開口させた第2レジスト層302を形成し、第2レジスト層302をマスクとして無機平坦化層202を貫通させ、接続電極部40Bに達するコンタクトホールを形成する、ここまでの工程を終えた断面図を図6に示す。この工程を終えた後、第2レジスト層302を除去する工程を行う。
【0061】
次に、工程7として、画素電極前駆体としての画素電極前駆体204aを形成し、基板250における平面視にて接続電極部40Bと重なる領域と、光電変換素子としてのフォトダイオード20と重なる領域と、接続電極部40Bと重なる領域とフォトダイオード20と重なる領域とを電気的に接続する領域と、を保護する第3レジスト層303を図7に示すように形成し、プラズマを用いたドライエッチングを行い、画素電極前駆体204aをエッチングし、画素電極204を形成する。この際に、画素電極204を確実にエッチングし切るためには、若干のオーバーエッチングが必要となる。そのため、画素電極204以外の領域にはプラズマダメージが加えられるが、端子部10Bの上には無機平坦化層202が残されているため、端子部10Bはプラズマダメージから保護される。ここまでの工程を終えた断面図を図7に示す。この工程を終えた後、第3レジスト層303を除去する工程を行う。第3レジスト層303は通常アルゴンプラズマや酸素プラズマを用いて除去されるが、端子部10Bはこのプラズマ雰囲気からも保護されている。
【0062】
次に、工程8として、フォトダイオード前駆体20aを堆積する。フォトダイオード前駆体20aは、N+層205、I型半導体層206、P+層207を積層して備えている。次に、フォトダイオード20が形成されるべき領域を保護する第4レジスト層304を形成し、第4レジスト層304をマスクとして、SFやCF等を用いたドライエッチングによりフォトダイオード20を形成する。この場合においても、フォトダイオード20以外の部分にはプラズマダメージが加えられるが、端子部10Bの上には無機平坦化層202が残されているため、端子部10Bはプラズマダメージから保護される。ここまでの工程を終えた断面図を図8に示す。この工程を終えた後、第4レジスト層304を除去する工程を行う。第4レジスト層304は通常アルゴンプラズマや酸素プラズマを用いて除去されるが、端子部10Bはこのプラズマ雰囲気からも保護されている。
【0063】
次に、工程9として、パッシベーション層前駆体208aを堆積する。パッシベーション層前駆体としては、たとえば無機平坦化層202と同じ組成を持つSiOxyを用いることが好適であるが、異なった材質を用いても対応可能である。異なった材質を用いる場合には、後述するパッシベーション層前駆体208aのエッチング条件と、無機平坦化層202とで、異なる条件を用いてエッチングすることで対応可能である。本実施形態では、同じ組成を有する場合について説明を続ける。フォトダイオード20が位置する領域と、端子部10Bが位置する領域が開口された第5レジスト層305をマスクとして、フッ酸系のウェットエッチング液を用いて、端子部10Bとフォトダイオード20とを露出させる。ここまでの工程を終えた断面図を図9に示す。この工程を終えた後、第5レジスト層305を除去する工程を行う。
【0064】
以上記載した条件を用いることで、第1の実施形態に述べた光電変換装置100が形成される。この後、光電変換装置100上にITO(インジウム・錫・酸化物)電極等を形成する工程が行われる。端子部10Bは製造工程中では無機平坦化層202により保護されているため、エッチングによるダメージが少なく抑えられている。そのため、ITOを介して接続される図示せぬ外部回路との間での接触抵抗の増加、密着性の低下等の不良発生が抑えられ、良好な接続特性を得ることが可能となる。
【0065】
(変形例:光電変換装置の製造方法−1)
ここで、上記した光電変換装置の製造方法の変形例について説明する。上記した例では、工程5において、接続電極部40Bと端子部10Bと重なる領域の有機平坦化層203を開口させ、工程6において、基板250における平面視にて接続電極部40Bの少なくとも一部と重なる領域の無機平坦化層202を貫通させ、接続電極部40Bに達するコンタクトホールを形成したが、これを、工程5において、接続電極部40Bと重なる領域の有機平坦化層203および無機平坦化層202を貫通させ、接続電極部40Bに達するコンタクトホールを形成し、工程6において、接続電極部40Bと重なる領域の有機平坦化層203を開口させるようにしても良い。この場合でも、接続電極部40Bと重なる領域を露出させる時に端子部10Bの上には無機平坦化層202が残されているため、端子部10Bはエッチング時の薬液等から保護される。上記した例では、第1被覆層としての無機平坦化層202を形成した後、第2被覆層としての有機平坦化層203を形成しているが、この順序は逆にしても良く、この場合でも平坦性を向上させることができる。
【0066】
また、第1被覆層としての無機平坦化層202と有機平坦化層203を形成した後、第2被覆層としての無機平坦化層を形成しても良い。この場合、平坦化性が高い有機平坦化層をガスバリア性が高い無機平坦化層で挟むため、フォトダイオード20やTFT10、TFT40を有機平坦化層からの脱ガスから保護することが可能となる。
【0067】
(第3の実施形態:光電変換装置の製造方法−2)
以下、本実施形態にかかる光電変換装置の製造方法について、図面を用いて説明する。図10は本実施形態により得られる光電変換装置の断面図、図11〜図15は光電変換装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0068】
まず、第2の実施形態の工程1〜工程3を行う。ここまでは第2の実施形態と同じ工程を用いている。
【0069】
次に、工程4として、第1被覆層としての有機平坦化層402を形成する。有機平坦化層402としては、たとえばアクリル樹脂を用いることが好適である。アクリル樹脂を用いることで、平坦性をより向上させることが可能となる。ここで、アクリル樹脂に代えて、ポリイミド系、ポリエステル系、メチルメタアクリレート系、エポキシ系等の樹脂を用いても良い。
【0070】
次に、基板250における平面視にて、接続電極部40Bと端子部10Bとを含む領域を開口させた第1レジスト層501を形成し、第1レジスト層501をマスクとして、有機平坦化層402を貫通させ、接続電極部40Bと端子部10Bとに達するコンタクトホールを形成する。ここで、平坦化層が3層以上の構成を備えている場合には、全ての平坦化層を貫通させて接続電極部40Bを露出させる。ここまでの工程を終えた断面図を図11に示す。この工程を終えた後、第1レジスト層501を除去する工程を行う。なお、工程4において形成した有機平坦化層402を、感光性樹脂、例えば感光性のアクリル樹脂を用いて形成しても良い。この場合も、この後の工程において、ステッパー等の露光装置を用いることにより露光を行い、その後現像処理をすることにより、接続電極部40Bと端子部10Bとを露出させるようにしても良い。
【0071】
次に、工程5として、第2被覆層としての無機平坦化層403を形成する。無機平坦化層403は、SiOxy(x=0、またはy=0を含む)等の物質を用いることが好適である。SiOxyは半導体プロセスで長い実績を持っており、SiOxyを無機平坦化層403に用いることで予期せぬ課題発生を防止することが可能となる。層形成には、たとえばCVD法を用いることができる。また、CVD法に代えてPVD法を用いて形成しても良い。また、無機平坦化層403として、ポーラス酸化珪素や、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物等を用いても良い。また、無機平坦化層403と、層間絶縁層201と、で有機平坦化層402を覆うため、有機平坦化層402由来の脱ガスを封止することを可能としている。
【0072】
次に、基板250における平面視にて接続電極部40Bと重なる領域を開口させた第2レジスト層502を形成し、第2レジスト層502をマスクとして、無機平坦化層403を貫通させるべくエッチングを行い、接続電極部40Bに達するコンタクトホールを形成する。ここで、平坦化層が3層以上の構成を備えている場合には、全ての平坦化層を貫通させて接続電極部40Bを露出させる。この工程では、エッチングレートが異なる有機平坦化層402と別に、無機平坦化層403のみをエッチングするため、エッチング後の形状を滑らかにすることが容易となる。ここまでの工程を終えた断面図を図12に示す。この工程を終えた後、第2レジスト層502を除去する工程を行う。
【0073】
次に、工程6として、画素電極前駆体としての画素電極前駆体204aを形成し、基板250における平面視にて接続電極部40Bと重なる領域と、光電変換素子としてのフォトダイオード20と重なる領域と、接続電極部40Bと重なる領域とフォトダイオード20と重なる領域とを電気的に接続する領域と、を保護する第3レジスト層503を図13に示すように形成し、プラズマを用いたドライエッチングを行い、画素電極前駆体204aをエッチングし、画素電極としての画素電極204を形成する。この際に、画素電極204を確実にエッチングし切るためには、若干のオーバーエッチングが必要となる。そのため、画素電極204以外の領域にはプラズマダメージが加えられるが、端子部10Bの上には無機平坦化層403が残されているため、端子部10Bはプラズマダメージから保護される。ここまでの工程を終えた断面図を図13に示す。この工程を終えた後、第3レジスト層503を除去する工程を行う。第3レジスト層503は通常アルゴンプラズマや酸素プラズマを用いて除去されるが、端子部10Bはこのプラズマ雰囲気からも保護されている。
【0074】
次に、工程7として、フォトダイオード前駆体20aを堆積する。フォトダイオード前駆体20aは、N+層205、I型半導体層206、P+層207を積層して備えている。次に、フォトダイオード20が形成されるべき領域を保護する第4レジスト層504を形成し、第4レジスト層504をマスクとして、SFやCF等を用いたドライエッチングによりフォトダイオード20を形成する。この場合においても、フォトダイオード20以外の部分にはプラズマダメージが加えられるが、端子部10Bの上には無機平坦化層403が残されているため、端子部10Bはプラズマダメージから保護される。ここまでの工程を終えた断面図を図14に示す。この工程を終えた後、第4レジスト層504を除去する工程を行う。第4レジスト層504は通常アルゴンプラズマや酸素プラズマを用いて除去されるが、端子部10Bはこのプラズマ雰囲気からも保護されている。
【0075】
次に、工程8として、パッシベーション層前駆体208aを堆積する。パッシベーション層前駆体としては、たとえば無機平坦化層403と同じ組成を持つSiOxyを用いることが好適であるが、異なった材質を用いても対応可能である。異なった材質を用いる場合には、後述するパッシベーション層前駆体208aのエッチング条件と、無機平坦化層403とで、異なる条件を用いてエッチングすることで対応可能である。本実施形態では、同じ組成を有する場合について説明を続ける。フォトダイオード20が位置する領域と、端子部10Bが位置する領域が開口された第5レジスト層505をマスクとして、フッ酸系のウェットエッチング液を用いて、端子部10Bとフォトダイオード20とを露出させる。ここまでの工程を終えた断面図を図15に示す。この工程を終えた後、第5レジスト層505を除去する工程を行う。
【0076】
以上記載した条件を用いることで、図10に示す光電変換装置100が形成される。この後、光電変換装置100上にITO(インジウム・錫・酸化物)電極等を形成する工程が行われる。端子部10Bは製造工程中では無機平坦化層403により保護されているため、エッチングによるダメージが少なく抑えられている。そのため、ITOを介して接続される図示せぬ外部回路との間での接触抵抗の増加、密着性の低下等の不良発生が抑えられ、良好な接続特性を得ることが可能となる。
【0077】
(変形例:光電変換装置の製造方法−2)
ここで、上記した光電変換装置の製造方法の変形例について説明する。上記した例では、第1被覆層としての有機平坦化層402を形成した後、第2被覆層としての無機平坦化層403を形成しているが、この順序は逆にしても良く、この場合でも平坦性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0078】
3a…走査線、3b…定電位線、6a…データ線、10…TFT、10B…端子部、10C…第1接続部、10CH…チャネル、10D…ドレイン、10F…第1接続開口部、10G…ゲート電極、10LDD…電界緩和部、10S…ソース、10a…TFT、12a…定電位線、20…フォトダイオード、20a…フォトダイオード前駆体、30…保持容量、40…TFT、40B…接続電極部、40C…第2接続部、40CH…チャネル、40D…ドレイン、40F…第2接続開口部、40G…ゲート電極、40LDD…電界緩和部、40S…ソース、40a…TFT、50…フォトセンサー、60…導電層、100…光電変換装置、101…読み取り回路、102…走査線駆動回路、201…層間絶縁層、202…無機平坦化層、203…有機平坦化層、204…画素電極、204a…画素電極前駆体、205…N+層、206…I型半導体層、207…P+層、208…パッシベーション層、208a…パッシベーション層前駆体、250…基板、301…第1レジスト層、302…第2レジスト層、303…第3レジスト層、304…第4レジスト層、305…第5レジスト層、402…有機平坦化層、403…無機平坦化層、501…第1レジスト層、502…第2レジスト層、503…第3レジスト層、504…第4レジスト層、505…第5レジスト層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子と、前記光電変換素子と信号のやりとりをするための端子部と、を基板上に備えた光電変換装置の製造方法であって、
前記基板上に、前記端子部を形成する工程と、
前記基板上に、前記端子部を覆う第1被覆層を形成する工程と、
前記基板における平面視にて、前記端子部に重ならない領域であって、積層方向で前記第1被覆層の上に前記光電変換素子の前駆体を形成する工程と、
前記光電変換素子前駆体をエッチングし、前記光電変換素子を形成する工程と、
前記端子部上の前記第1被覆層をエッチングし、前記端子部を露出させる工程と、
を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記光電変換素子の電気的動作を制御する薄膜トランジスターをさらに備えた請求項1に記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記端子部を形成する工程において、前記光電変換素子と接続するための前記薄膜トランジスターの半導体層と接続される接続電極部を、前記基板における平面視にて前記端子部に重ならない位置であって前記端子部と積層方向の同一層に形成し、
前記第1被覆層を形成する工程において、前記接続電極部を覆う前記第1被覆層を形成し、
前記第1被覆層を形成する工程の後であって、前記光電変換素子の前駆体を形成する工程の前に、
前記接続電極部に重なる領域の前記第1被覆層を開口させる工程と、
前記第1被覆層の上に導電性を備えた画素電極前駆体を形成した後、前記基板における平面視にて、前記接続電極部に重なる領域と、前記光電変換素子が配置されるべき領域と、前記接続電極部に重なる領域と前記光電変換素子が配置されるべき領域と、を電気的に接続する領域を残すように前記画素電極前駆体をエッチングし、画素電極を形成する工程と、をさらに含み、
前記光電変換素子の前駆体を形成する工程において、前記画素電極の上に前記画素電極と電気的に接続される前記光電変換素子の前駆体を形成することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子を形成する工程の後に、
前記基板上に、パッシベーション層前駆体を形成する工程と、をさらに含み、
前記端子部を露出させる工程において、前記端子部の上の前記第1被覆層と共に前記パッシベーション層前駆体をエッチングすると共に、前記光電変換素子の上の前記パッシベーション層前駆体をエッチングし、前記端子部と前記光電変換素子が露出されたパッシベーション層を形成することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記第1被覆層を形成する工程の後に、
前記基板上に、前記第1被覆層の上であって、前記光電変換素子の前駆体の下に、第2被覆層を形成する工程と、
前記端子部を露出させる工程の前に、
前記端子部と重なる領域と、前記接続電極部と重なる領域の前記第2被覆層を開口させる工程と、
をさらに含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2または3に記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記端子部を形成する工程の後であって、前記第1被覆層を形成する工程の前に、
前記基板上に、第2被覆層を形成する工程と、
前記端子部と重なる領域と、前記接続電極部と重なる領域の前記第2被覆層を開口させる工程と、
をさらに含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記第1被覆層と前記第2被覆層のうち、下層側の被覆層は有機物層であり、上層側の被覆層は無機物層を用いてなることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4または5に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記第1被覆層と前記第2被覆層のうち、下層側の被覆層は無機物層であり、上層側の被覆層は有機物層を用いてなることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記無機物層は、SiOxy(x=0または、y=0を含む)層であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項9】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記パッシベーション層は、SiOxy(x=0または、y=0を含む)層であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、
前記基板における平面視にて前記端子部が前記無機物層と重なっている場合に、前記パッシベーション層と前記無機物層を構成する窒化酸化珪素(窒化珪素、酸化珪素を含む)の組成比が揃えられていることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記光電変換素子前駆体は、N+層と、I型半導体層と、P+層とを積層することにより形成されることを特徴とする光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−258261(P2010−258261A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107433(P2009−107433)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】