内燃機関の制御装置およびそれを備えたハイブリッド車両
【課題】冷間時のエンジンの始動性を確保し、かつ、エンジン始動時の振動にも配慮した内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 可変動弁装置120は、油圧式のVVT機構を含み、エンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを変更可能なように構成される。エンジンECU130は、イグニッションキーがオフされると、ナビゲーション装置140からの情報に基づいて次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、予測温度が規定温度よりも低いとき、吸気バルブの開閉時期を進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上のときは、遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止する。
【解決手段】 可変動弁装置120は、油圧式のVVT機構を含み、エンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを変更可能なように構成される。エンジンECU130は、イグニッションキーがオフされると、ナビゲーション装置140からの情報に基づいて次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、予測温度が規定温度よりも低いとき、吸気バルブの開閉時期を進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上のときは、遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置およびそれを備えたハイブリッド車両に関し、特に、バルブタイミングを調整可能な内燃機関の制御装置およびそれを備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−227236号公報(特許文献1)は、内燃機関のバルブタイミング調整装置を開示する。このバルブタイミング調整装置は、ベーンおよびハウジングによって形成される進角油圧室および遅角油圧室の油圧を調整してベーンを進角または遅角させて吸気バルブの開閉タイミングを変更する。そして、このバルブタイミング調整装置においては、エンジンの停止が運転者によるもの(イグニッションキーのオフ操作)であるとき、エンジンの次回始動は冷間時に行なわれるものと判断され、吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更してからエンジンが停止される。
【0003】
このバルブタイミング調整装置によれば、吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更してからエンジンを停止するので、次回のエンジン始動が冷間時であってもエンジンを容易に始動することができる。そして、エンジンの停止時に吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更するので、エンジンの始動時に吸気バルブの開閉タイミングを調整する必要はない(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−227236号公報
【特許文献2】特開2002−213262号公報
【特許文献3】特開2003−247434号公報
【特許文献4】特開2001−65375号公報
【特許文献5】特開2000−257453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気バルブの開閉タイミングが最進角時にエンジンを始動すると、冷間時においてもエンジンを容易に始動できるが、エンジン始動時の振動は大きくなる。特に、車両の動力源としてエンジンおよびモータを搭載するハイブリッド車両においては、モータのみによる走行中にエンジンが始動する場合があり、エンジン始動時の振動が大きいと走行快適性が損なわれる。
【0005】
特開平10−227236号公報に開示されるバルブタイミング調整装置では、エンジンの停止が運転者によるものであるとき、次回のエンジン始動は、必ず吸気バルブの開閉タイミングが最進角位置の状態で行なわれる。したがって、吸気バルブの開閉タイミングを不必要に進角させている場合があり、その結果、エンジン始動時の振動を不必要に大きくしている場合がある。
【0006】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、冷間時のエンジンの始動性を確保し、かつ、エンジン始動時の振動にも配慮した内燃機関の制御装置を提供することである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、冷間時のエンジンの始動性を確保し、かつ、エンジン始動時の振動にも配慮した内燃機関の制御装置を搭載したハイブリッド車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、内燃機関の制御装置は、内燃機関の動作時に発生する油圧を用いて吸気弁の開閉時期を変更可能なように構成された可変動弁装置と、運転者により内燃機関の停止が要求されると、内燃機関の次回始動時の外気温度または内燃機関の温度を予測し、その予測温度に基づいて吸気弁の開閉時期を変更するように可変動弁装置を制御した後、内燃機関を停止する制御部とを備える。制御部は、予測温度が規定温度よりも低いとき、吸気弁の開閉時期を進角させるように可変動弁装置を制御し、予測温度が規定温度以上のとき、吸気弁の開閉時期を遅角させるように可変動弁装置を制御する。
【0009】
好ましくは、制御部は、内燃機関が搭載される車両の現在位置に基づいて外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0010】
さらに好ましくは、制御部は、現在位置の高度情報をさらに考慮して外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0011】
また、好ましくは、制御部は、日付情報に基づいて外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0012】
さらに好ましくは、制御部は、内燃機関が搭載される車両の使用頻度をさらに考慮して外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0013】
好ましくは、内燃機関は、蓄電装置からの電力によって駆動力を発生する回転電機から駆動力を受けて始動する。規定温度は、蓄電装置の出力可能電力および内燃機関を始動するのに必要な電力に基づいて決定される。
【0014】
好ましくは、制御部は、内燃機関の停止時に運転者により内燃機関の停止が要求されたとき、内燃機関を一旦始動させ、予測温度に基づいて吸気弁の開閉時期を変更するように可変動弁装置を制御した後、内燃機関を停止する。
【0015】
また、この発明によれば、ハイブリッド車両は、車両の動力源として搭載される内燃機関および第1の回転電機と、蓄電装置と、内燃機関の出力軸に回転軸が連結され、蓄電装置からの電力を用いて内燃機関を始動可能なように構成された第2の回転電機と、上述したいずれかの内燃機関の制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、制御部は、運転者により内燃機関の停止が要求されると、内燃機関の次回始動時の外気温度または内燃機関の温度を予測する。そして、制御部は、その予測温度が規定温度よりも低いときは、吸気弁の開閉時期を進角させるように可変動弁装置を制御してから内燃機関を停止し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気弁の開閉時期を遅角させるように可変動弁装置を制御してから内燃機関を停止するので、内燃機関の始動時の温度が低い場合は、吸気弁の開閉時期が進角された状態で内燃機関の始動が行なわれ、内燃機関の始動時の温度が高い場合は、吸気弁の開閉時期が遅角された状態で内燃機関の始動が行なわれる。
【0017】
したがって、この発明によれば、内燃機関の始動時に吸気弁の開閉時期を変更することなく、内燃機関の始動時の温度が低い場合には、容易に内燃機関を始動することができ、内燃機関の始動時の温度が高い場合には、内燃機関の始動時の振動を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態による内燃機関の制御装置の機能ブロック図である。図1を参照して、この制御装置100は、可変動弁装置120と、エンジンECU(Electronic Control Unit)130と、ナビゲーション装置140とを備える。
【0020】
可変動弁装置120は、油圧式の可変バルブタイミング(VVT)機構を含む。可変動弁装置120は、エンジン110に設けられるオイルポンプによって生成される油圧を用いて、エンジンECU130からの指令に基づいてエンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを変更可能なように構成される。なお、可変動弁装置120の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0021】
エンジンECU130は、イグニッションキーの状態やアクセルペダルの開度、車両速度などに基づいてエンジン110を制御する。また、エンジンECU130は、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、後述の方法により、ナビゲーション装置140からの情報に基づいてエンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、その予測温度に基づいて可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを制御する。
【0022】
具体的には、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、エンジンECU130は、エンジン110の次回始動時の予測温度が予め設定された規定温度よりも低い場合には、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、イグニッションキーのオフ操作に従ってエンジン110を停止する。
【0023】
ナビゲーション装置140は、GPS(Global Positioning System)アンテナや地図データを蓄えたROM(Read Only Memory)などを用いて、このエンジン110およびその制御装置100が搭載される車両の現在位置を検出し、その検出した現在位置に関する位置情報をエンジンECU130へ出力する。また、ナビゲーション装置140は、カレンダ機能を有しており、エンジンECU130へ日付情報を出力する。
【0024】
この制御装置100においては、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140から日付情報および車両の位置情報を取得し、その取得した情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。
【0025】
そして、エンジンECU130は、予測温度が規定温度よりも低い場合には、エンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上の場合には、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止する。
【0026】
運転者によりイグニッションキーがオン操作され、所定の条件が成立すると、エンジンECU130は、エンジン110を始動させる。このとき、エンジン110は、前回のエンジン110の停止時に設定された開閉タイミングで吸気バルブが開閉される。
【0027】
そして、エンジン110が始動すると、エンジンECU130は、吸気バルブの開閉タイミングが遅角されている場合には、開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御する。また、エンジンECU130は、運転者によるイグニッションキーのオフ操作によらずにエンジン110が停止する場合(たとえばハイブリッド車両における蓄電装置の充電状態(SOC)に応じたエンジン停止や、アイドルストップ機能によるエンジン停止など)、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。
【0028】
図2は、図1に示した制御装置を搭載したハイブリッド車両の全体ブロック図である。図2を参照して、ハイブリッド車両10は、動力伝達ギヤ12と、ディファレンシャルギヤ14と、駆動輪16R,16Lと、プラネタリギヤ18と、動力取出ギヤ20と、チェーンベルト22と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン110と、可変動弁装置120と、クランクシャフト24と、オイルポンプ26と、ダンパ30と、蓄電装置32と、インバータ34,36と、MG−ECU38と、エンジンECU130と、HV−ECU42と、ナビゲーション装置140とを備える。
【0029】
クランクシャフト24は、ダンパ30を介してプラネタリギヤ18およびモータジェネレータMG1に接続される。ダンパ30は、クランクシャフト24のねじり振動の振幅を抑制する。動力取出ギヤ20は、チェーンベルト22を介して動力伝達ギヤ12に接続される。また、動力取出ギヤ20は、プラネタリギヤ18のリングギヤ54と結合され、リングギヤ54から受ける動力をチェーンベルト22を介して動力伝達ギヤ12に伝達する。動力伝達ギヤ12は、ディファレンシャルギヤ14を介して駆動輪16R,16Lに動力を伝達する。
【0030】
プラネタリギヤ18は、クランクシャフト24と同軸のキャリア軸64に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸60に結合されたサンギヤ52と、キャリア軸64と同軸のリングギヤ軸62に結合されたリングギヤ54と、サンギヤ52とリングギヤ54との間に配置され、サンギヤ52の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ56と、キャリア軸64の端部に結合され、各プラネタリピニオンギヤ56の回転軸を軸支するプラネタリキャリア58とから構成される。
【0031】
このプラネタリギヤ18では、サンギヤ52、リングギヤ54およびプラネタリキャリア58にそれぞれ結合されたサンギヤ軸60、リングギヤ軸62およびキャリア軸64の3軸が動力の入出力軸とされ、3軸のいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は、決定された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
【0032】
エンジン110は、エンジンECU130からの制御信号に基づいて、吸気管に設けられるスロットルバルブや、点火装置、噴射装置など(いずれも図示せず)を動作させて動力を発生し、その発生した動力をクランクシャフト24へ出力する。オイルポンプ26は、エンジン110の駆動力を動力源として油圧を発生し、エンジン110内へオイルを圧送する。また、オイルポンプ26は、オイル管28を介して可変動弁装置120へもオイルを供給する。
【0033】
モータジェネレータMG1,MG2は、3相交流電動機から成る。モータジェネレータMG1,MG2の各々は、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する3相コイルが巻回されたステータとを含む。モータジェネレータMG1のロータは、サンギヤ軸60に結合され、モータジェネレータMG2のロータは、リングギヤ軸62に結合される。この各モータジェネレータMG1,MG2は、永久磁石による磁界と3相コイルによって形成される磁界との相互作用によりロータを回転駆動する電動機として動作するとともに、永久磁石による磁界とロータの回転との相互作用により3相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機として動作する。
【0034】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジン110を始動するスタータとして動作し、かつ、エンジン110の動力を用いて発電する発電機として動作するものとしてハイブリッド車両10に組込まれ、モータジェネレータMG2は、駆動輪16R,16Lを駆動する電動機としてハイブリッド車両10に組込まれる。
【0035】
蓄電装置32は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置32は、インバータ34,36へ直流電力を供給する。また、蓄電装置32は、エンジン110の出力を用いてモータジェネレータMG1により発電された電力および回生制動時にモータジェネレータMG2により発電された電力によって充電される。
【0036】
インバータ34,36は、蓄電装置32から直流電圧を受け、その受けた直流電圧を交流電圧に変換してそれぞれモータジェネレータMG1,MG2へ出力する。また、インバータ34,36は、モータジェネレータMG1,MG2によって発電された交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置32を充電する。
【0037】
MG−ECU38は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な制御指令をHV−ECU42から受ける。そして、MG−ECU38は、インバータ34を駆動するための制御信号PWI1およびインバータ36を駆動するための制御信号PWI2を生成し、その生成した制御信号PWI1,PWI2をそれぞれインバータ34,36へ出力する。
【0038】
HV−ECU42は、イグニッションキーの状態を検知するイグニッションスイッチ(図示せず)からの信号IG、アクセル開度を示す信号AP、ブレーキ踏込量を示す信号BP、車両速度SV、および蓄電装置32のSOCを示す信号SOCを受ける。そして、HV−ECU42は、上記各信号および各検出値に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン110を駆動制御するのに必要な制御指令を生成し、その生成した制御指令をMG−ECU38およびエンジンECU130へ出力する。
【0039】
また、HV−ECU42は、イグニッションスイッチがオフされると、その旨をエンジンECU130へ通知するとともに、ナビゲーション装置140から日付情報および車両の位置情報を取得してエンジンECU130へ出力する。
【0040】
図3は、可変動弁装置120の構成図である。図3を参照して、可変動弁装置120は、吸気側カムシャフト200と、排気側カムシャフト202と、カム204,206と、VVTコントローラ210と、オイルコントロールバルブ212と、タイミングベルト214とを含む。
【0041】
吸気側カムシャフト200は、回転可能に軸支されており、外周には2つで1対をなす4対のカム204が形成されている。そして、各カム204には、エンジン110の気筒ごとに設けられた吸気バルブ112の上端部が当接されており、吸気側カムシャフト200とともにカム204が回転することによりカム204の外周形状に応じて吸気バルブ112が開閉し得る。
【0042】
同様に、排気側カムシャフト202も、回転可能に軸支されており、外周には2つで1対をなす4対のカム206が形成されている。そして、各カム206には、エンジン110の気筒ごとに設けられた排気バルブ114の上端部が当接されており、排気側カムシャフト202とともにカム206が回転することによりカム206の外周形状に応じて排気バルブ114が開閉し得る。
【0043】
そして、吸気側カムシャフト200および排気側カムシャフト202にはそれぞれスプロケットが設けられており、タイミングベルト214を介してクランクシャフト24(図示せず)の回転に連動して吸気側カムシャフト200および排気側カムシャフト202が回転するように構成されている。
【0044】
VVTコントローラ210は、吸気側カムシャフト200の端部に設けられる。そして、VVTコントローラ210は、オイルコントロールバルブ212によって制御される油圧に応じてクランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を可変とすることで、吸気バルブ112の開閉タイミングを可変調整する。
【0045】
オイルコントロールバルブ212は、エンジンECU130(図示せず)からの指令に基づいて、オイルポンプ26(図示せず)から圧送されたオイルの油路を変更することによりクランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を制御する。
【0046】
図4は、図3に示したVVTコントローラ210の拡大図である。なお、この図4では、VVTコントローラ210の内部構造を説明するため、カバーを取り外した状態が示されている。図4を参照して、VVTコントローラ210は、ハウジング222と、ベーン224とから成る。
【0047】
ハウジング222は、タイミングベルト214(図示せず)が掛装されるスプロケット226に固定され、スプロケット226と一体となって回転する。ハウジング222の内部には、外周側から軸心に向けて等間隔に4つの突部が形成されている。
【0048】
ベーン224は、吸気側カムシャフト200の軸心を中心とした略十字型の形状を有し、ハウジング222に回転自在に嵌挿される。ベーン224は、吸気側カムシャフト200に固定され、吸気側カムシャフト200と一体になって回転する。ここで、ベーン224は、ハウジング222の4つの突部との間に間隙を形成可能なように構成され、ハウジング222に対して回転位相を持つことができる。したがって、ハウジング222に対するベーン224の回転位相を変更することにより、クランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を変更することができる。
【0049】
図5は、吸気側カムシャフトの位相を遅角させる場合のVVTコントローラ210の油圧状態を示した図である。図5を参照して、ハウジング222とベーン224との間に形成される遅角油圧室232にオイルコントロールバルブ212(図示せず)からオイルを供給することにより、ハウジング222に対してベーン224を遅角方向(図では反時計方向)に回転させることができる。これにより、吸気バルブ112(図示せず)の開閉タイミングを遅角させることができる。
【0050】
図6は、吸気側カムシャフトの位相を進角させる場合のVVTコントローラ210の油圧状態を示した図である。図6を参照して、ハウジング222とベーン224との間に形成される進角油圧室234にオイルコントロールバルブ212(図示せず)からオイルを供給することにより、ハウジング222に対してベーン224を進角方向(図では時計方向)に回転させることができる。これにより、吸気バルブ112(図示せず)の開閉タイミングを進角させることができる。
【0051】
図7は、可変動弁装置120によるバルブタイミングの制御を説明する概念図である。図7を参照して、可変動弁装置120により、吸気バルブ112の開弁期間は、最進角時252から最遅角時254のまでの間で調整可能となる。したがって、吸気バルブ112の開弁タイミングおよび閉弁タイミングは、位相調整可能範囲258,260内でそれぞれ調整可能である。なお、排気バルブ114の開弁期間256は固定されている。
【0052】
このようにして、可変動弁装置120により吸気バルブの開閉タイミングを進角または遅角させることができる。そして、吸気バルブの開閉タイミングを変更することによって、エンジン110を始動する際の振動を低減したり、エンジン110の始動に必要な電力を低減することができる。
【0053】
図8は、エンジン110を始動する際の吸気バルブの開閉タイミングと振動との関係を示す図である。図8を参照して、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、エンジン110の始動時の振動を小さくすることができる。これは、次の理由による。すなわち、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、圧縮行程になっても吸気バルブがまだ開いているので、燃焼室内の混合気の一部が吸気マニホールド側に排出される。したがって、混合気の圧縮圧が低くなり、エンジン110の振動が小さくなる。一方、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、混合気の圧縮圧は高くなり、エンジン110の振動は大きくなる。
【0054】
図9は、エンジン110の温度とエンジン110の始動に必要な電力および蓄電装置32の出力電力との関係を示す図である。図9を参照して、実線k1A,k1Bは、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動するのに必要な電力の温度依存性を示しており、実線k1Aは、可変動弁装置120によって吸気バルブの開閉タイミングを遅角させた場合の電力を示し、実線k1Bは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させた場合の電力を示す。点線k2は、蓄電装置32が出力可能な電力の温度依存性を示す。
【0055】
図に示されるように、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動するのに必要な電力は、温度が低くなるほど大きくなる。これは、温度が低いほどエンジン110の潤滑油の粘度が大きくなるので、エンジン110のクランキング抵抗が大きくなるからである。
【0056】
そして、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、エンジン110の始動に必要な電力を小さくすることができる。これは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、混合気の圧縮圧が高くなるので、吸気バルブの開閉タイミングを進角させていない場合に比べて低回転でエンジン110を始動できるからである。反対に、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、エンジン110の始動に必要な電力は大きくなる。
【0057】
一方、蓄電装置32の出力電力は、蓄電装置32の温度が低くなるほど低下する。したがって、極低温下では、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動できなくなる。
【0058】
そこで、この実施の形態では、エンジン110の停止時にエンジン110の次回始動時の外気温度を予測し、その予測温度が極低温の場合に限り吸気バルブの開閉タイミングを進角させてからエンジン110を停止し、それ以外の場合には、エンジン110の始動時の振動を低減するため、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させてからエンジン110を停止することとしたものである。
【0059】
なお、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるか遅角させるかを判定するための規定温度は、図8に示されるように、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させたときのエンジン始動電力が蓄電装置32の出力可能電力と略同等になるときの温度Tthに基づいて決定することができる。
【0060】
なお、次回のエンジン110の始動時ではなくエンジン110の停止時に次回始動時の外気温度を予測し、その予測温度に基づいて吸気バルブの開閉タイミングを変更することとしたのは、エンジン110が始動する前は可変動弁装置120を動作させるための油圧が発生していないからである。なお、可変動弁装置120の油圧室をドレーンポートに連通させ、クランクシャフトを回転させることにより、エンジン110の始動直前に吸気バルブの開閉タイミングを最進角または最遅角にすることも可能ではあるが、エンジン110の始動に時間を要することとなり、要求出力に応じて走行中にエンジン110が始動され得るハイブリッド車両においては適さない。
【0061】
図10は、図1に示したエンジンECU130のエンジン停止制御のフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0062】
図10を参照して、エンジンECU130は、運転者によるイグニッションキーの操作に応じてイグニッションスイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS10)。エンジンECU130は、イグニッションスイッチはオンされていると判定すると(ステップS10においてNO)、ステップS110へ処理を進め、メインルーチンに処理が戻される。
【0063】
ステップS10においてイグニッションスイッチがオフされたと判定されると(ステップS10においてYES)、エンジンECU130は、HV−ECU42を介してナビゲーション装置140からの位置情報および日付情報を取得する(ステップS20)。そして、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140から取得した情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する(ステップS30)。
【0064】
具体的には、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140からの日付情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測することができる。たとえば、季節ごと、月ごとまたは週ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの日付情報に基づいて外気温度を予測してもよい。
【0065】
また、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140からの位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測してもよい。たとえば、地域ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの位置情報に基づいて外気温度を予測してもよい。
【0066】
さらに、時期および地域ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの日付情報および位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測してもよい。また、さらに、一般的に高地ほど低温であるので、位置情報に高度情報を含め、高度情報に基づいて予測温度を補正するようにしてもよい。
【0067】
ステップS30においてエンジン110の次回始動時の外気温度が予測されると、エンジンECU130は、その予測外気温度が予め設定された規定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS40)。ここで、この規定温度は、上述したように、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させたときのエンジン始動電力と蓄電装置32の出力可能電力都に基づいて決定される。
【0068】
ステップS40において予測外気温度が規定温度よりも低いと判定されると(ステップS40においてYES)、エンジンECU130は、エンジン110が既に停止しているか否かを判定する(ステップS50)。すなわち、エンジン110は、モータジェネレータMG2も動力源として搭載するハイブリッド車両10に搭載されているので、イグニッションスイッチのオフ時にエンジン110が停止している場合がある。
【0069】
そして、ステップS50においてエンジン110が停止していると判定されると(ステップS50においてYES)、エンジン110が始動される(ステップS60)。これは、オイルポンプ26を駆動して可変動弁装置120を駆動可能とするためである。したがって、ステップS50においてエンジン110が動作していると判定されると(ステップS50においてNO)、エンジンECU130は、ステップS70へ処理を進める。
【0070】
なお、エンジン110の始動は、エンジンECU130からHV−ECU42へ始動指令が出力され、MG−ECU38によりインバータ34が駆動されてモータジェネレータMG1がエンジン110をクランキングすることにより行なわれる。
【0071】
次いで、エンジンECU130は、吸気側カムシャフト200の回転位相を進角させるように可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを進角させる(ステップS70)。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止し(ステップS80)、一連の処理を終了する(ステップS110)。
【0072】
一方、ステップS40においてエンジン110の次回始動時の予測外気温度が規定温度以上であると判定されると(ステップS40においてNO)、エンジンECU130は、エンジン110が動作中であるか否かを判定する(ステップS90)。エンジンECU130は、エンジン110が動作中であると判定すると(ステップS90においてYES)、吸気側カムシャフト200の回転位相を遅角させるように可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させる(ステップS100)。その後、エンジンECU130は、ステップS80へ処理を進め、エンジン110を停止する。
【0073】
ステップS90においてエンジン110が停止していると判定されると(ステップS90においてNO)、エンジンECU130は、ステップS110へ処理を進め、一連の処理を終了する。
【0074】
なお、ステップS100において吸気バルブの開弁位置を遅角させるのは、エンジン110の次回始動時の振動を低減するためである。すなわち、エンジン動作中は、エンジン出力を高めるために吸気バルブの開閉タイミングを進角させているので、ステップS40においてエンジン110の次回始動時の予測外気温度が規定温度以上であると判定され、かつ、エンジン110が動作中のときは、エンジン110を停止する前に吸気バルブの開閉タイミングを遅角させることとしたものである。
【0075】
なお、エンジン110が既に停止している場合には、上述のように、エンジン110の停止時(運転者によるイグニッションキーのオフ操作によらない停止)に吸気バルブの開閉タイミングを遅角させているので、特に制御を行なう必要はない。
【0076】
以上のように、この実施の形態においては、エンジンECU130は、運転者によりイグニッションキーのオフ操作がなされると、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、その予測温度が規定温度よりも低いときは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御してからエンジン110を停止し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御してからエンジン110を停止する。
【0077】
そうすると、エンジン110の始動時の温度が低い場合には、吸気バルブの開閉タイミングが進角された状態でエンジン110が始動され、エンジン110の始動時の温度が高い場合には、吸気バルブの開閉タイミングが遅角された状態でエンジン110が始動される。したがって、この実施の形態によれば、エンジン110の始動時に吸気バルブの開閉タイミングを変更することなく、エンジン110の始動時の温度が低い場合には、容易にエンジン110を始動することができ、エンジン110の始動時の温度が高い場合には、エンジン110の始動時の振動を低減することができる。
【0078】
また、ナビゲーション装置140からの日付情報および/または位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測するので、次回始動時の外気温度を精度よく予測できる。したがって、この実施の形態によれば、不必要に吸気バルブの開閉タイミングが進角されてエンジン始動時の振動が大きくなるのを防止することができる。
【0079】
なお、ハイブリッド車両10の使用頻度を学習し、その学習値を用いることによって、エンジン110の次回始動時の外気温度の予測精度を高めることができる。
【0080】
図11は、エンジンECU130のエンジン停止制御の他のフローチャートである。図11を参照して、このフローチャートは、図10に示したフローチャートにおいてステップS25をさらに含む。すなわち、ステップS20においてナビゲーション装置140からの位置情報および日付情報が取得されると、エンジンECU130は、車両の使用頻度に関する学習値を取得する(ステップS25)。この学習値は、利用者によって車両が平均何日ごとに使用されるかを学習したものであり、たとえば、利用者によってイグニッションキーがオン操作されるごとに学習値が更新される。
【0081】
そして、ステップS30において、エンジンECU130は、この車両使用頻度に関する学習値とナビゲーション装置140からの日付情報とに基づいて、エンジン110が次回起動される時期を予測し、その時期における外気温度を予測する。これにより、エンジン110が次回始動されるときの外気温度の予測精度を高めることができる。
【0082】
なお、上記の実施の形態においては、排気バルブの開閉タイミングは固定されており、吸気バルブの開閉タイミングのみを可変としたが、吸気バルブおよび排気バルブの双方について開閉タイミングを可変とすることもできる。
【0083】
また、上記においては、ナビゲーション装置140からの情報に基づいてエンジン110の次回始動時の外気温度を予測するものとしたが、たとえば、無線LANを用いてインターネットから天気予報情報を取得し、その取得した情報に基づいて次回始動時の外気温度が極低温であると予測される場合にのみ、エンジン停止時に吸気バルブの開閉タイミングを進角させるようにしてもよい。
【0084】
また、上記においては、外気温度を予測するものとしたが、予測する温度は、エンジン110の温度であってもよい。
【0085】
また、上記においては、ハイブリッド車両は、プラネタリギヤ18にエンジン110およびモータジェネレータMG1,MG2の出力軸を接続して動力を分配するシリーズ/パラレル型であったが、この発明は、エンジンを発電専用に用い、エンジンの動力を用いて発電された電力によってモータを駆動して車両の駆動力を得るシリーズ型のハイブリッド車両にも適用可能である。
【0086】
また、上記においては、内燃機関およびその制御装置がハイブリッド車両に搭載される場合について説明したが、この発明の適用範囲は、ハイブリッド車両に限定されるものではなく、エンジンを動力源として搭載する車両全般を含む。たとえば、信号待ち等の車両停止時にエンジンを一時的に自動停止させ、エンジン始動条件の成立時にスタータモータによりエンジンを始動させるアイドルストップ車両において、エンジン始動時に振動低減を目的としてバルブタイミングを遅角させている場合には、本発明は好適である。なお、ハイブリッド車両においては、走行中にエンジンの始動および停止が頻繁に行なわれるので、エンジン始動時の振動低減を目的としてバルブタイミングを遅角させているケースが多くみられ、本発明は特に好適である。
【0087】
なお、上記において、エンジン110は、この発明における「内燃機関」に対応し、エンジンECU130は、この発明における「制御部」に対応する。また、モータジェネレータMG2は、この発明における「第1の回転電機」に対応し、モータジェネレータMG1は、この発明における「第2の回転電機」に対応する。
【0088】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明の実施の形態による内燃機関の制御装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示す制御装置を搭載したハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図3】可変動弁装置の構成図である。
【図4】図3に示すVVTコントローラの拡大図である。
【図5】吸気側カムシャフトの位相を遅角させる場合のVVTコントローラの油圧状態を示した図である。
【図6】吸気側カムシャフトの位相を進角させる場合のVVTコントローラの油圧状態を示した図である。
【図7】可変動弁装置によるバルブタイミングの制御を説明する概念図である。
【図8】エンジンを始動する際の吸気バルブの開閉タイミングと振動との関係を示す図である。
【図9】エンジンの温度とエンジンの始動に必要な電力および蓄電装置の出力電力との関係を示す図である。
【図10】図1に示すエンジンECUのエンジン停止制御のフローチャートである。
【図11】エンジンECUのエンジン停止制御の他のフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 ハイブリッド車両、12 動力伝達ギヤ、14 ディファレンシャルギヤ、16R,16L 駆動輪、18 プラネタリギヤ、20 動力取出ギヤ、22 チェーンベルト、24 クランクシャフト、26 オイルポンプ、28 オイル管、30 ダンパ、32 蓄電装置、34,36 インバータ、38 MG−ECU、42 HV−ECU、52 サンギヤ、54 リングギヤ、56 プラネタリピニオンギヤ、58 プラネタリキャリア、60 サンギヤ軸、62 リングギヤ軸、64 キャリア軸、100 制御装置、110 エンジン、112 吸気バルブ、114 排気バルブ、120 可変動弁装置、130 エンジンECU、140 ナビゲーション装置、200 吸気側カムシャフト、202 排気側カムシャフト、204,206 カム、210 VVTコントローラ、212 オイルコントロールバルブ、214 タイミングベルト、222 ハウジング、224 ベーン、226 スプロケット、232 遅角油圧室、234 進角油圧室、MG1,MG2 モータジェネレータ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置およびそれを備えたハイブリッド車両に関し、特に、バルブタイミングを調整可能な内燃機関の制御装置およびそれを備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−227236号公報(特許文献1)は、内燃機関のバルブタイミング調整装置を開示する。このバルブタイミング調整装置は、ベーンおよびハウジングによって形成される進角油圧室および遅角油圧室の油圧を調整してベーンを進角または遅角させて吸気バルブの開閉タイミングを変更する。そして、このバルブタイミング調整装置においては、エンジンの停止が運転者によるもの(イグニッションキーのオフ操作)であるとき、エンジンの次回始動は冷間時に行なわれるものと判断され、吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更してからエンジンが停止される。
【0003】
このバルブタイミング調整装置によれば、吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更してからエンジンを停止するので、次回のエンジン始動が冷間時であってもエンジンを容易に始動することができる。そして、エンジンの停止時に吸気バルブの開閉タイミングを最進角位置に変更するので、エンジンの始動時に吸気バルブの開閉タイミングを調整する必要はない(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−227236号公報
【特許文献2】特開2002−213262号公報
【特許文献3】特開2003−247434号公報
【特許文献4】特開2001−65375号公報
【特許文献5】特開2000−257453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気バルブの開閉タイミングが最進角時にエンジンを始動すると、冷間時においてもエンジンを容易に始動できるが、エンジン始動時の振動は大きくなる。特に、車両の動力源としてエンジンおよびモータを搭載するハイブリッド車両においては、モータのみによる走行中にエンジンが始動する場合があり、エンジン始動時の振動が大きいと走行快適性が損なわれる。
【0005】
特開平10−227236号公報に開示されるバルブタイミング調整装置では、エンジンの停止が運転者によるものであるとき、次回のエンジン始動は、必ず吸気バルブの開閉タイミングが最進角位置の状態で行なわれる。したがって、吸気バルブの開閉タイミングを不必要に進角させている場合があり、その結果、エンジン始動時の振動を不必要に大きくしている場合がある。
【0006】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、冷間時のエンジンの始動性を確保し、かつ、エンジン始動時の振動にも配慮した内燃機関の制御装置を提供することである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、冷間時のエンジンの始動性を確保し、かつ、エンジン始動時の振動にも配慮した内燃機関の制御装置を搭載したハイブリッド車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、内燃機関の制御装置は、内燃機関の動作時に発生する油圧を用いて吸気弁の開閉時期を変更可能なように構成された可変動弁装置と、運転者により内燃機関の停止が要求されると、内燃機関の次回始動時の外気温度または内燃機関の温度を予測し、その予測温度に基づいて吸気弁の開閉時期を変更するように可変動弁装置を制御した後、内燃機関を停止する制御部とを備える。制御部は、予測温度が規定温度よりも低いとき、吸気弁の開閉時期を進角させるように可変動弁装置を制御し、予測温度が規定温度以上のとき、吸気弁の開閉時期を遅角させるように可変動弁装置を制御する。
【0009】
好ましくは、制御部は、内燃機関が搭載される車両の現在位置に基づいて外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0010】
さらに好ましくは、制御部は、現在位置の高度情報をさらに考慮して外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0011】
また、好ましくは、制御部は、日付情報に基づいて外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0012】
さらに好ましくは、制御部は、内燃機関が搭載される車両の使用頻度をさらに考慮して外気温度または内燃機関の温度を予測する。
【0013】
好ましくは、内燃機関は、蓄電装置からの電力によって駆動力を発生する回転電機から駆動力を受けて始動する。規定温度は、蓄電装置の出力可能電力および内燃機関を始動するのに必要な電力に基づいて決定される。
【0014】
好ましくは、制御部は、内燃機関の停止時に運転者により内燃機関の停止が要求されたとき、内燃機関を一旦始動させ、予測温度に基づいて吸気弁の開閉時期を変更するように可変動弁装置を制御した後、内燃機関を停止する。
【0015】
また、この発明によれば、ハイブリッド車両は、車両の動力源として搭載される内燃機関および第1の回転電機と、蓄電装置と、内燃機関の出力軸に回転軸が連結され、蓄電装置からの電力を用いて内燃機関を始動可能なように構成された第2の回転電機と、上述したいずれかの内燃機関の制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、制御部は、運転者により内燃機関の停止が要求されると、内燃機関の次回始動時の外気温度または内燃機関の温度を予測する。そして、制御部は、その予測温度が規定温度よりも低いときは、吸気弁の開閉時期を進角させるように可変動弁装置を制御してから内燃機関を停止し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気弁の開閉時期を遅角させるように可変動弁装置を制御してから内燃機関を停止するので、内燃機関の始動時の温度が低い場合は、吸気弁の開閉時期が進角された状態で内燃機関の始動が行なわれ、内燃機関の始動時の温度が高い場合は、吸気弁の開閉時期が遅角された状態で内燃機関の始動が行なわれる。
【0017】
したがって、この発明によれば、内燃機関の始動時に吸気弁の開閉時期を変更することなく、内燃機関の始動時の温度が低い場合には、容易に内燃機関を始動することができ、内燃機関の始動時の温度が高い場合には、内燃機関の始動時の振動を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態による内燃機関の制御装置の機能ブロック図である。図1を参照して、この制御装置100は、可変動弁装置120と、エンジンECU(Electronic Control Unit)130と、ナビゲーション装置140とを備える。
【0020】
可変動弁装置120は、油圧式の可変バルブタイミング(VVT)機構を含む。可変動弁装置120は、エンジン110に設けられるオイルポンプによって生成される油圧を用いて、エンジンECU130からの指令に基づいてエンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを変更可能なように構成される。なお、可変動弁装置120の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0021】
エンジンECU130は、イグニッションキーの状態やアクセルペダルの開度、車両速度などに基づいてエンジン110を制御する。また、エンジンECU130は、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、後述の方法により、ナビゲーション装置140からの情報に基づいてエンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、その予測温度に基づいて可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを制御する。
【0022】
具体的には、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、エンジンECU130は、エンジン110の次回始動時の予測温度が予め設定された規定温度よりも低い場合には、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、イグニッションキーのオフ操作に従ってエンジン110を停止する。
【0023】
ナビゲーション装置140は、GPS(Global Positioning System)アンテナや地図データを蓄えたROM(Read Only Memory)などを用いて、このエンジン110およびその制御装置100が搭載される車両の現在位置を検出し、その検出した現在位置に関する位置情報をエンジンECU130へ出力する。また、ナビゲーション装置140は、カレンダ機能を有しており、エンジンECU130へ日付情報を出力する。
【0024】
この制御装置100においては、運転者によりイグニッションキーがオフ操作されると、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140から日付情報および車両の位置情報を取得し、その取得した情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。
【0025】
そして、エンジンECU130は、予測温度が規定温度よりも低い場合には、エンジン110の吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御し、予測温度が規定温度以上の場合には、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止する。
【0026】
運転者によりイグニッションキーがオン操作され、所定の条件が成立すると、エンジンECU130は、エンジン110を始動させる。このとき、エンジン110は、前回のエンジン110の停止時に設定された開閉タイミングで吸気バルブが開閉される。
【0027】
そして、エンジン110が始動すると、エンジンECU130は、吸気バルブの開閉タイミングが遅角されている場合には、開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御する。また、エンジンECU130は、運転者によるイグニッションキーのオフ操作によらずにエンジン110が停止する場合(たとえばハイブリッド車両における蓄電装置の充電状態(SOC)に応じたエンジン停止や、アイドルストップ機能によるエンジン停止など)、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御する。
【0028】
図2は、図1に示した制御装置を搭載したハイブリッド車両の全体ブロック図である。図2を参照して、ハイブリッド車両10は、動力伝達ギヤ12と、ディファレンシャルギヤ14と、駆動輪16R,16Lと、プラネタリギヤ18と、動力取出ギヤ20と、チェーンベルト22と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン110と、可変動弁装置120と、クランクシャフト24と、オイルポンプ26と、ダンパ30と、蓄電装置32と、インバータ34,36と、MG−ECU38と、エンジンECU130と、HV−ECU42と、ナビゲーション装置140とを備える。
【0029】
クランクシャフト24は、ダンパ30を介してプラネタリギヤ18およびモータジェネレータMG1に接続される。ダンパ30は、クランクシャフト24のねじり振動の振幅を抑制する。動力取出ギヤ20は、チェーンベルト22を介して動力伝達ギヤ12に接続される。また、動力取出ギヤ20は、プラネタリギヤ18のリングギヤ54と結合され、リングギヤ54から受ける動力をチェーンベルト22を介して動力伝達ギヤ12に伝達する。動力伝達ギヤ12は、ディファレンシャルギヤ14を介して駆動輪16R,16Lに動力を伝達する。
【0030】
プラネタリギヤ18は、クランクシャフト24と同軸のキャリア軸64に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸60に結合されたサンギヤ52と、キャリア軸64と同軸のリングギヤ軸62に結合されたリングギヤ54と、サンギヤ52とリングギヤ54との間に配置され、サンギヤ52の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ56と、キャリア軸64の端部に結合され、各プラネタリピニオンギヤ56の回転軸を軸支するプラネタリキャリア58とから構成される。
【0031】
このプラネタリギヤ18では、サンギヤ52、リングギヤ54およびプラネタリキャリア58にそれぞれ結合されたサンギヤ軸60、リングギヤ軸62およびキャリア軸64の3軸が動力の入出力軸とされ、3軸のいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は、決定された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
【0032】
エンジン110は、エンジンECU130からの制御信号に基づいて、吸気管に設けられるスロットルバルブや、点火装置、噴射装置など(いずれも図示せず)を動作させて動力を発生し、その発生した動力をクランクシャフト24へ出力する。オイルポンプ26は、エンジン110の駆動力を動力源として油圧を発生し、エンジン110内へオイルを圧送する。また、オイルポンプ26は、オイル管28を介して可変動弁装置120へもオイルを供給する。
【0033】
モータジェネレータMG1,MG2は、3相交流電動機から成る。モータジェネレータMG1,MG2の各々は、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する3相コイルが巻回されたステータとを含む。モータジェネレータMG1のロータは、サンギヤ軸60に結合され、モータジェネレータMG2のロータは、リングギヤ軸62に結合される。この各モータジェネレータMG1,MG2は、永久磁石による磁界と3相コイルによって形成される磁界との相互作用によりロータを回転駆動する電動機として動作するとともに、永久磁石による磁界とロータの回転との相互作用により3相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機として動作する。
【0034】
そして、モータジェネレータMG1は、エンジン110を始動するスタータとして動作し、かつ、エンジン110の動力を用いて発電する発電機として動作するものとしてハイブリッド車両10に組込まれ、モータジェネレータMG2は、駆動輪16R,16Lを駆動する電動機としてハイブリッド車両10に組込まれる。
【0035】
蓄電装置32は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置32は、インバータ34,36へ直流電力を供給する。また、蓄電装置32は、エンジン110の出力を用いてモータジェネレータMG1により発電された電力および回生制動時にモータジェネレータMG2により発電された電力によって充電される。
【0036】
インバータ34,36は、蓄電装置32から直流電圧を受け、その受けた直流電圧を交流電圧に変換してそれぞれモータジェネレータMG1,MG2へ出力する。また、インバータ34,36は、モータジェネレータMG1,MG2によって発電された交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置32を充電する。
【0037】
MG−ECU38は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な制御指令をHV−ECU42から受ける。そして、MG−ECU38は、インバータ34を駆動するための制御信号PWI1およびインバータ36を駆動するための制御信号PWI2を生成し、その生成した制御信号PWI1,PWI2をそれぞれインバータ34,36へ出力する。
【0038】
HV−ECU42は、イグニッションキーの状態を検知するイグニッションスイッチ(図示せず)からの信号IG、アクセル開度を示す信号AP、ブレーキ踏込量を示す信号BP、車両速度SV、および蓄電装置32のSOCを示す信号SOCを受ける。そして、HV−ECU42は、上記各信号および各検出値に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン110を駆動制御するのに必要な制御指令を生成し、その生成した制御指令をMG−ECU38およびエンジンECU130へ出力する。
【0039】
また、HV−ECU42は、イグニッションスイッチがオフされると、その旨をエンジンECU130へ通知するとともに、ナビゲーション装置140から日付情報および車両の位置情報を取得してエンジンECU130へ出力する。
【0040】
図3は、可変動弁装置120の構成図である。図3を参照して、可変動弁装置120は、吸気側カムシャフト200と、排気側カムシャフト202と、カム204,206と、VVTコントローラ210と、オイルコントロールバルブ212と、タイミングベルト214とを含む。
【0041】
吸気側カムシャフト200は、回転可能に軸支されており、外周には2つで1対をなす4対のカム204が形成されている。そして、各カム204には、エンジン110の気筒ごとに設けられた吸気バルブ112の上端部が当接されており、吸気側カムシャフト200とともにカム204が回転することによりカム204の外周形状に応じて吸気バルブ112が開閉し得る。
【0042】
同様に、排気側カムシャフト202も、回転可能に軸支されており、外周には2つで1対をなす4対のカム206が形成されている。そして、各カム206には、エンジン110の気筒ごとに設けられた排気バルブ114の上端部が当接されており、排気側カムシャフト202とともにカム206が回転することによりカム206の外周形状に応じて排気バルブ114が開閉し得る。
【0043】
そして、吸気側カムシャフト200および排気側カムシャフト202にはそれぞれスプロケットが設けられており、タイミングベルト214を介してクランクシャフト24(図示せず)の回転に連動して吸気側カムシャフト200および排気側カムシャフト202が回転するように構成されている。
【0044】
VVTコントローラ210は、吸気側カムシャフト200の端部に設けられる。そして、VVTコントローラ210は、オイルコントロールバルブ212によって制御される油圧に応じてクランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を可変とすることで、吸気バルブ112の開閉タイミングを可変調整する。
【0045】
オイルコントロールバルブ212は、エンジンECU130(図示せず)からの指令に基づいて、オイルポンプ26(図示せず)から圧送されたオイルの油路を変更することによりクランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を制御する。
【0046】
図4は、図3に示したVVTコントローラ210の拡大図である。なお、この図4では、VVTコントローラ210の内部構造を説明するため、カバーを取り外した状態が示されている。図4を参照して、VVTコントローラ210は、ハウジング222と、ベーン224とから成る。
【0047】
ハウジング222は、タイミングベルト214(図示せず)が掛装されるスプロケット226に固定され、スプロケット226と一体となって回転する。ハウジング222の内部には、外周側から軸心に向けて等間隔に4つの突部が形成されている。
【0048】
ベーン224は、吸気側カムシャフト200の軸心を中心とした略十字型の形状を有し、ハウジング222に回転自在に嵌挿される。ベーン224は、吸気側カムシャフト200に固定され、吸気側カムシャフト200と一体になって回転する。ここで、ベーン224は、ハウジング222の4つの突部との間に間隙を形成可能なように構成され、ハウジング222に対して回転位相を持つことができる。したがって、ハウジング222に対するベーン224の回転位相を変更することにより、クランクシャフト24に対する吸気側カムシャフト200の回転位相を変更することができる。
【0049】
図5は、吸気側カムシャフトの位相を遅角させる場合のVVTコントローラ210の油圧状態を示した図である。図5を参照して、ハウジング222とベーン224との間に形成される遅角油圧室232にオイルコントロールバルブ212(図示せず)からオイルを供給することにより、ハウジング222に対してベーン224を遅角方向(図では反時計方向)に回転させることができる。これにより、吸気バルブ112(図示せず)の開閉タイミングを遅角させることができる。
【0050】
図6は、吸気側カムシャフトの位相を進角させる場合のVVTコントローラ210の油圧状態を示した図である。図6を参照して、ハウジング222とベーン224との間に形成される進角油圧室234にオイルコントロールバルブ212(図示せず)からオイルを供給することにより、ハウジング222に対してベーン224を進角方向(図では時計方向)に回転させることができる。これにより、吸気バルブ112(図示せず)の開閉タイミングを進角させることができる。
【0051】
図7は、可変動弁装置120によるバルブタイミングの制御を説明する概念図である。図7を参照して、可変動弁装置120により、吸気バルブ112の開弁期間は、最進角時252から最遅角時254のまでの間で調整可能となる。したがって、吸気バルブ112の開弁タイミングおよび閉弁タイミングは、位相調整可能範囲258,260内でそれぞれ調整可能である。なお、排気バルブ114の開弁期間256は固定されている。
【0052】
このようにして、可変動弁装置120により吸気バルブの開閉タイミングを進角または遅角させることができる。そして、吸気バルブの開閉タイミングを変更することによって、エンジン110を始動する際の振動を低減したり、エンジン110の始動に必要な電力を低減することができる。
【0053】
図8は、エンジン110を始動する際の吸気バルブの開閉タイミングと振動との関係を示す図である。図8を参照して、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、エンジン110の始動時の振動を小さくすることができる。これは、次の理由による。すなわち、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、圧縮行程になっても吸気バルブがまだ開いているので、燃焼室内の混合気の一部が吸気マニホールド側に排出される。したがって、混合気の圧縮圧が低くなり、エンジン110の振動が小さくなる。一方、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、混合気の圧縮圧は高くなり、エンジン110の振動は大きくなる。
【0054】
図9は、エンジン110の温度とエンジン110の始動に必要な電力および蓄電装置32の出力電力との関係を示す図である。図9を参照して、実線k1A,k1Bは、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動するのに必要な電力の温度依存性を示しており、実線k1Aは、可変動弁装置120によって吸気バルブの開閉タイミングを遅角させた場合の電力を示し、実線k1Bは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させた場合の電力を示す。点線k2は、蓄電装置32が出力可能な電力の温度依存性を示す。
【0055】
図に示されるように、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動するのに必要な電力は、温度が低くなるほど大きくなる。これは、温度が低いほどエンジン110の潤滑油の粘度が大きくなるので、エンジン110のクランキング抵抗が大きくなるからである。
【0056】
そして、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、エンジン110の始動に必要な電力を小さくすることができる。これは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させると、混合気の圧縮圧が高くなるので、吸気バルブの開閉タイミングを進角させていない場合に比べて低回転でエンジン110を始動できるからである。反対に、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、エンジン110の始動に必要な電力は大きくなる。
【0057】
一方、蓄電装置32の出力電力は、蓄電装置32の温度が低くなるほど低下する。したがって、極低温下では、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させると、モータジェネレータMG1を用いてエンジン110を始動できなくなる。
【0058】
そこで、この実施の形態では、エンジン110の停止時にエンジン110の次回始動時の外気温度を予測し、その予測温度が極低温の場合に限り吸気バルブの開閉タイミングを進角させてからエンジン110を停止し、それ以外の場合には、エンジン110の始動時の振動を低減するため、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させてからエンジン110を停止することとしたものである。
【0059】
なお、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるか遅角させるかを判定するための規定温度は、図8に示されるように、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させたときのエンジン始動電力が蓄電装置32の出力可能電力と略同等になるときの温度Tthに基づいて決定することができる。
【0060】
なお、次回のエンジン110の始動時ではなくエンジン110の停止時に次回始動時の外気温度を予測し、その予測温度に基づいて吸気バルブの開閉タイミングを変更することとしたのは、エンジン110が始動する前は可変動弁装置120を動作させるための油圧が発生していないからである。なお、可変動弁装置120の油圧室をドレーンポートに連通させ、クランクシャフトを回転させることにより、エンジン110の始動直前に吸気バルブの開閉タイミングを最進角または最遅角にすることも可能ではあるが、エンジン110の始動に時間を要することとなり、要求出力に応じて走行中にエンジン110が始動され得るハイブリッド車両においては適さない。
【0061】
図10は、図1に示したエンジンECU130のエンジン停止制御のフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、一定時間毎または所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0062】
図10を参照して、エンジンECU130は、運転者によるイグニッションキーの操作に応じてイグニッションスイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS10)。エンジンECU130は、イグニッションスイッチはオンされていると判定すると(ステップS10においてNO)、ステップS110へ処理を進め、メインルーチンに処理が戻される。
【0063】
ステップS10においてイグニッションスイッチがオフされたと判定されると(ステップS10においてYES)、エンジンECU130は、HV−ECU42を介してナビゲーション装置140からの位置情報および日付情報を取得する(ステップS20)。そして、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140から取得した情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する(ステップS30)。
【0064】
具体的には、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140からの日付情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測することができる。たとえば、季節ごと、月ごとまたは週ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの日付情報に基づいて外気温度を予測してもよい。
【0065】
また、エンジンECU130は、ナビゲーション装置140からの位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測してもよい。たとえば、地域ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの位置情報に基づいて外気温度を予測してもよい。
【0066】
さらに、時期および地域ごとの外気温度を予め設定しておき、ナビゲーション装置140からの日付情報および位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測してもよい。また、さらに、一般的に高地ほど低温であるので、位置情報に高度情報を含め、高度情報に基づいて予測温度を補正するようにしてもよい。
【0067】
ステップS30においてエンジン110の次回始動時の外気温度が予測されると、エンジンECU130は、その予測外気温度が予め設定された規定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS40)。ここで、この規定温度は、上述したように、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させたときのエンジン始動電力と蓄電装置32の出力可能電力都に基づいて決定される。
【0068】
ステップS40において予測外気温度が規定温度よりも低いと判定されると(ステップS40においてYES)、エンジンECU130は、エンジン110が既に停止しているか否かを判定する(ステップS50)。すなわち、エンジン110は、モータジェネレータMG2も動力源として搭載するハイブリッド車両10に搭載されているので、イグニッションスイッチのオフ時にエンジン110が停止している場合がある。
【0069】
そして、ステップS50においてエンジン110が停止していると判定されると(ステップS50においてYES)、エンジン110が始動される(ステップS60)。これは、オイルポンプ26を駆動して可変動弁装置120を駆動可能とするためである。したがって、ステップS50においてエンジン110が動作していると判定されると(ステップS50においてNO)、エンジンECU130は、ステップS70へ処理を進める。
【0070】
なお、エンジン110の始動は、エンジンECU130からHV−ECU42へ始動指令が出力され、MG−ECU38によりインバータ34が駆動されてモータジェネレータMG1がエンジン110をクランキングすることにより行なわれる。
【0071】
次いで、エンジンECU130は、吸気側カムシャフト200の回転位相を進角させるように可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを進角させる(ステップS70)。その後、エンジンECU130は、エンジン110を停止し(ステップS80)、一連の処理を終了する(ステップS110)。
【0072】
一方、ステップS40においてエンジン110の次回始動時の予測外気温度が規定温度以上であると判定されると(ステップS40においてNO)、エンジンECU130は、エンジン110が動作中であるか否かを判定する(ステップS90)。エンジンECU130は、エンジン110が動作中であると判定すると(ステップS90においてYES)、吸気側カムシャフト200の回転位相を遅角させるように可変動弁装置120を制御し、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させる(ステップS100)。その後、エンジンECU130は、ステップS80へ処理を進め、エンジン110を停止する。
【0073】
ステップS90においてエンジン110が停止していると判定されると(ステップS90においてNO)、エンジンECU130は、ステップS110へ処理を進め、一連の処理を終了する。
【0074】
なお、ステップS100において吸気バルブの開弁位置を遅角させるのは、エンジン110の次回始動時の振動を低減するためである。すなわち、エンジン動作中は、エンジン出力を高めるために吸気バルブの開閉タイミングを進角させているので、ステップS40においてエンジン110の次回始動時の予測外気温度が規定温度以上であると判定され、かつ、エンジン110が動作中のときは、エンジン110を停止する前に吸気バルブの開閉タイミングを遅角させることとしたものである。
【0075】
なお、エンジン110が既に停止している場合には、上述のように、エンジン110の停止時(運転者によるイグニッションキーのオフ操作によらない停止)に吸気バルブの開閉タイミングを遅角させているので、特に制御を行なう必要はない。
【0076】
以上のように、この実施の形態においては、エンジンECU130は、運転者によりイグニッションキーのオフ操作がなされると、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測する。そして、エンジンECU130は、その予測温度が規定温度よりも低いときは、吸気バルブの開閉タイミングを進角させるように可変動弁装置120を制御してからエンジン110を停止し、予測温度が規定温度以上のときは、吸気バルブの開閉タイミングを遅角させるように可変動弁装置120を制御してからエンジン110を停止する。
【0077】
そうすると、エンジン110の始動時の温度が低い場合には、吸気バルブの開閉タイミングが進角された状態でエンジン110が始動され、エンジン110の始動時の温度が高い場合には、吸気バルブの開閉タイミングが遅角された状態でエンジン110が始動される。したがって、この実施の形態によれば、エンジン110の始動時に吸気バルブの開閉タイミングを変更することなく、エンジン110の始動時の温度が低い場合には、容易にエンジン110を始動することができ、エンジン110の始動時の温度が高い場合には、エンジン110の始動時の振動を低減することができる。
【0078】
また、ナビゲーション装置140からの日付情報および/または位置情報に基づいて、エンジン110の次回始動時の外気温度を予測するので、次回始動時の外気温度を精度よく予測できる。したがって、この実施の形態によれば、不必要に吸気バルブの開閉タイミングが進角されてエンジン始動時の振動が大きくなるのを防止することができる。
【0079】
なお、ハイブリッド車両10の使用頻度を学習し、その学習値を用いることによって、エンジン110の次回始動時の外気温度の予測精度を高めることができる。
【0080】
図11は、エンジンECU130のエンジン停止制御の他のフローチャートである。図11を参照して、このフローチャートは、図10に示したフローチャートにおいてステップS25をさらに含む。すなわち、ステップS20においてナビゲーション装置140からの位置情報および日付情報が取得されると、エンジンECU130は、車両の使用頻度に関する学習値を取得する(ステップS25)。この学習値は、利用者によって車両が平均何日ごとに使用されるかを学習したものであり、たとえば、利用者によってイグニッションキーがオン操作されるごとに学習値が更新される。
【0081】
そして、ステップS30において、エンジンECU130は、この車両使用頻度に関する学習値とナビゲーション装置140からの日付情報とに基づいて、エンジン110が次回起動される時期を予測し、その時期における外気温度を予測する。これにより、エンジン110が次回始動されるときの外気温度の予測精度を高めることができる。
【0082】
なお、上記の実施の形態においては、排気バルブの開閉タイミングは固定されており、吸気バルブの開閉タイミングのみを可変としたが、吸気バルブおよび排気バルブの双方について開閉タイミングを可変とすることもできる。
【0083】
また、上記においては、ナビゲーション装置140からの情報に基づいてエンジン110の次回始動時の外気温度を予測するものとしたが、たとえば、無線LANを用いてインターネットから天気予報情報を取得し、その取得した情報に基づいて次回始動時の外気温度が極低温であると予測される場合にのみ、エンジン停止時に吸気バルブの開閉タイミングを進角させるようにしてもよい。
【0084】
また、上記においては、外気温度を予測するものとしたが、予測する温度は、エンジン110の温度であってもよい。
【0085】
また、上記においては、ハイブリッド車両は、プラネタリギヤ18にエンジン110およびモータジェネレータMG1,MG2の出力軸を接続して動力を分配するシリーズ/パラレル型であったが、この発明は、エンジンを発電専用に用い、エンジンの動力を用いて発電された電力によってモータを駆動して車両の駆動力を得るシリーズ型のハイブリッド車両にも適用可能である。
【0086】
また、上記においては、内燃機関およびその制御装置がハイブリッド車両に搭載される場合について説明したが、この発明の適用範囲は、ハイブリッド車両に限定されるものではなく、エンジンを動力源として搭載する車両全般を含む。たとえば、信号待ち等の車両停止時にエンジンを一時的に自動停止させ、エンジン始動条件の成立時にスタータモータによりエンジンを始動させるアイドルストップ車両において、エンジン始動時に振動低減を目的としてバルブタイミングを遅角させている場合には、本発明は好適である。なお、ハイブリッド車両においては、走行中にエンジンの始動および停止が頻繁に行なわれるので、エンジン始動時の振動低減を目的としてバルブタイミングを遅角させているケースが多くみられ、本発明は特に好適である。
【0087】
なお、上記において、エンジン110は、この発明における「内燃機関」に対応し、エンジンECU130は、この発明における「制御部」に対応する。また、モータジェネレータMG2は、この発明における「第1の回転電機」に対応し、モータジェネレータMG1は、この発明における「第2の回転電機」に対応する。
【0088】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明の実施の形態による内燃機関の制御装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示す制御装置を搭載したハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図3】可変動弁装置の構成図である。
【図4】図3に示すVVTコントローラの拡大図である。
【図5】吸気側カムシャフトの位相を遅角させる場合のVVTコントローラの油圧状態を示した図である。
【図6】吸気側カムシャフトの位相を進角させる場合のVVTコントローラの油圧状態を示した図である。
【図7】可変動弁装置によるバルブタイミングの制御を説明する概念図である。
【図8】エンジンを始動する際の吸気バルブの開閉タイミングと振動との関係を示す図である。
【図9】エンジンの温度とエンジンの始動に必要な電力および蓄電装置の出力電力との関係を示す図である。
【図10】図1に示すエンジンECUのエンジン停止制御のフローチャートである。
【図11】エンジンECUのエンジン停止制御の他のフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 ハイブリッド車両、12 動力伝達ギヤ、14 ディファレンシャルギヤ、16R,16L 駆動輪、18 プラネタリギヤ、20 動力取出ギヤ、22 チェーンベルト、24 クランクシャフト、26 オイルポンプ、28 オイル管、30 ダンパ、32 蓄電装置、34,36 インバータ、38 MG−ECU、42 HV−ECU、52 サンギヤ、54 リングギヤ、56 プラネタリピニオンギヤ、58 プラネタリキャリア、60 サンギヤ軸、62 リングギヤ軸、64 キャリア軸、100 制御装置、110 エンジン、112 吸気バルブ、114 排気バルブ、120 可変動弁装置、130 エンジンECU、140 ナビゲーション装置、200 吸気側カムシャフト、202 排気側カムシャフト、204,206 カム、210 VVTコントローラ、212 オイルコントロールバルブ、214 タイミングベルト、222 ハウジング、224 ベーン、226 スプロケット、232 遅角油圧室、234 進角油圧室、MG1,MG2 モータジェネレータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の動作時に発生する油圧を用いて吸気弁の開閉時期を変更可能なように構成された可変動弁装置と、
運転者により前記内燃機関の停止が要求されると、前記内燃機関の次回始動時の外気温度または前記内燃機関の温度を予測し、その予測温度に基づいて前記開閉時期を変更するように前記可変動弁装置を制御した後、前記内燃機関を停止する制御部とを備え、
前記制御部は、前記予測温度が規定温度よりも低いとき、前記開閉時期を進角させるように前記可変動弁装置を制御し、前記予測温度が規定温度以上のとき、前記開閉時期を遅角させるように前記可変動弁装置を制御する、内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記内燃機関が搭載される車両の現在位置に基づいて前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記現在位置の高度情報をさらに考慮して前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、日付情報に基づいて前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記内燃機関が搭載される車両の使用頻度をさらに考慮して前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関は、蓄電装置からの電力によって駆動力を発生する回転電機から駆動力を受けて始動し、
前記規定温度は、前記蓄電装置の出力可能電力および前記内燃機関を始動するのに必要な電力に基づいて決定される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記内燃機関の停止時に前記運転者により前記内燃機関の停止が要求されたとき、前記内燃機関を一旦始動させ、前記予測温度に基づいて前記開閉時期を変更するように前記可変動弁装置を制御した後、前記内燃機関を停止する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
車両の動力源として搭載される内燃機関および第1の回転電機と、
蓄電装置と、
前記内燃機関の出力軸に回転軸が連結され、前記蓄電装置からの電力を用いて前記内燃機関を始動可能なように構成された第2の回転電機と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置とを備えるハイブリッド車両。
【請求項1】
内燃機関の動作時に発生する油圧を用いて吸気弁の開閉時期を変更可能なように構成された可変動弁装置と、
運転者により前記内燃機関の停止が要求されると、前記内燃機関の次回始動時の外気温度または前記内燃機関の温度を予測し、その予測温度に基づいて前記開閉時期を変更するように前記可変動弁装置を制御した後、前記内燃機関を停止する制御部とを備え、
前記制御部は、前記予測温度が規定温度よりも低いとき、前記開閉時期を進角させるように前記可変動弁装置を制御し、前記予測温度が規定温度以上のとき、前記開閉時期を遅角させるように前記可変動弁装置を制御する、内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記内燃機関が搭載される車両の現在位置に基づいて前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記現在位置の高度情報をさらに考慮して前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、日付情報に基づいて前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記内燃機関が搭載される車両の使用頻度をさらに考慮して前記外気温度または前記内燃機関の温度を予測する、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関は、蓄電装置からの電力によって駆動力を発生する回転電機から駆動力を受けて始動し、
前記規定温度は、前記蓄電装置の出力可能電力および前記内燃機関を始動するのに必要な電力に基づいて決定される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記内燃機関の停止時に前記運転者により前記内燃機関の停止が要求されたとき、前記内燃機関を一旦始動させ、前記予測温度に基づいて前記開閉時期を変更するように前記可変動弁装置を制御した後、前記内燃機関を停止する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
車両の動力源として搭載される内燃機関および第1の回転電機と、
蓄電装置と、
前記内燃機関の出力軸に回転軸が連結され、前記蓄電装置からの電力を用いて前記内燃機関を始動可能なように構成された第2の回転電機と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置とを備えるハイブリッド車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−303308(P2007−303308A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130561(P2006−130561)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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